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▶ 株式会社ダリヤの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】染毛用または脱色用第2剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/22 20060101AFI20240423BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240423BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20240423BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K8/22
A61K8/33
A61K8/39
A61K8/86
A61Q5/08
A61Q5/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020073307
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021169429
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】松崎 晃一
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-184968(JP,A)
【文献】特開2017-171582(JP,A)
【文献】特開2018-104327(JP,A)
【文献】Cream Hair Color(ID: 6416327),Mintel GNPD [online],2019年03月,[検索日;2024年2月6日],https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
【文献】Fast Change Coloring (ID: 6334449),MintelGNPD [online],2019年02月,[検索日;2024年2月6日],https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
【文献】EX Hi-Bleach (ID: 4942957),Mintel GNPD[online],2017年07月,[検索日;2024年2月6日],https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
【文献】Hair Color Remake (ID: 4885601),Mintel GNPD[online],2017年06月,[検索日;2024年2月6日],https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
【文献】Hair Color (ID: 2019439),Mintel GNPD[online],2013年02月,[検索日;2024年2月6日],https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
【文献】Creamy Milk Hair Color (ID: 1290724),MintelGNPD [online],2010年02月,[検索日;2024年2月6日],https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
【文献】Prism Magic Hair Color (Mocha au Lait Natural Gloss Type) (ID: 920715),Mintel GNPD [online],2008年05月,[検索日;2024年2月6日],https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛用または脱色用第1剤組成物と用時混合して使用する染毛用または脱色用第2剤組成物であって、
(A)酸化剤
(B)ポリオキシエチレン(1)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(1)ステアリルエーテルまたはポリオキシエチレン(1)ベヘニルエーテルから選ばれる1種以上
(C)前記(B)成分以外のポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる2種以上であり、前記(A)成分の含有量は2~6質量%であり、前記(B)成分の含有量は5~20質量%であり、前記(C)成分の含有量は1~8質量%であり、炭素数12~24の高級アルコールを含有しない染毛用または脱色用第2剤組成物。
【請求項2】
前記染毛用または脱色用第2剤組成物の20℃における粘度が、3,000~100,000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の染毛用または脱色用第2剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛用または脱色用第2剤組成物に関する。さらに詳しくは、染毛用または脱色用第1剤組成物と用時混合して使用する染毛用または脱色用第2剤組成物であって、高温時での安定性に優れ、かつ低温保管時においても粘度変化が少なく、容器からの吐出性に影響がない染毛用または脱色用第2剤組成物に関する。
【0002】
近年のファッション意識の高まりから、手軽に髪の色を変化させることのできるヘアカラーリング剤は、男女問わず多くの人に受け入れられている。ヘアカラーリング剤には、永久染毛剤、半永久染毛料、脱色剤および一時着色料など、様々な種類があり、それぞれのニーズによって使用される。中でも永久染毛剤および脱色剤は、染毛および脱色効果に優れ、この特性から現在多くの人に使用されているヘアカラーリング剤である。
【0003】
永久染毛剤および脱色剤として、酸化染料を含有し、あるいは含有せず、アルカリ剤を含有する第1剤組成物と、過酸化水素などの酸化剤を含有する第2剤組成物からなる二剤式が広く利用されている。これらは、使用の直前にトレーやボトル状の容器で予め染毛用または脱色用第1剤組成物と第2剤組成物を混合してから毛髪上に塗布する方法や、ブラシなどを用いて毛髪上で混合する方法などがある。
【0004】
染毛用または脱色用第1剤組成物および第2剤組成物は、混合によりアルカリ剤および酸化剤が酸化還元反応を起こすことから、使用時まで各種容器(ポリ容器、アルミチューブ容器、ポリチューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器など)に別々に保存される。従って、染毛用または脱色用第1剤組成物および第2剤組成物の粘度は、前記容器からの吐出性を考慮して、適宜設定される。乳化組成物の場合、粘度調整に炭素数12~24の高級アルコールを用いることが多く、また高級アルコールは乳化安定性を高める作用も有する。
【0005】
酸化剤を含有する染毛用または脱色用第2剤組成物は、pHが低いため、一般的な乳化組成物よりも経時安定性が低下しやすい。また、輸送中や保存時に過酷な環境下に置かれる可能性があり、特に夏場は気温や反射熱の影響を受けて50℃(本発明において、高温を意味する)程度になることもあり、そのような高温環境下においては、乳化組成物は合一やクリーミングが促進され、分離を引き起こしやすい。このため、高温時における乳化安定性が求められ、これまでにいくつかの染毛用または脱色用第2剤組成物が開示されている(特許文献1~特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-182685号公報
【文献】特開2006-282523号公報
【文献】特開2019-11291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、冷暖房機器を使用している場合の一般的な室温は20℃前後であるが、冬場に暖房機器を使用しない場合の室温は5℃(本発明において、低温を意味する)程度まで低下することもあり、このような環境下で染毛用または脱色用第2剤組成物が長期保管されることもある。
【0008】
染毛用または脱色用第2剤組成物は、前記したように粘度調整と乳化安定性の観点から、炭素数12~24の高級アルコールを含有する。しかしながら、炭素数12~24の高級アルコールは低温環境下では結晶化が促進され、乳化組成物の経時的な粘度上昇が起こり、結果として容器からの吐出性(エアゾール形態の場合、染毛用または脱色用第1剤組成物との同時吐出性も包含する)の低下を引き起こす。従って、高温時での安定性に優れ、かつ低温保管時においても粘度変化が少なく、容器からの吐出性に影響がない染毛用または脱色用第2剤組成物が求められる。
【0009】
しかしながら、いずれの特許文献においても高温時での安定性については検討がなされていたが、低温保管時における容器からの吐出性については考慮されていなかった。
【0010】
そこで本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、染毛用または脱色用第1剤組成物と用時混合して使用する染毛用または脱色用第2剤組成物であって、高温時での安定性に優れ、かつ低温保管時においても粘度変化が少なく、容器からの吐出性に影響がない染毛用または脱色用第2剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、染毛用または脱色用第1剤組成物と用時混合して使用する染毛用または脱色用第2剤組成物に、(A)酸化剤、(B)エチレンオキシドの平均付加モル数が1であるエチレン鎖を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤および(C)前記(B)成分以外のノニオン性界面活性剤を含有させることにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、染毛用または脱色用第1剤組成物と用時混合して使用する染毛用または脱色用第2剤組成物であって、
(A)酸化剤
(B)エチレンオキシドの平均付加モル数が1であるエチレン鎖を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤
(C)前記(B)成分以外のノニオン性界面活性剤
を含有することを特徴とする染毛用または脱色用第2剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の染毛用または脱色用第2剤組成物は、染毛用または脱色用第1剤組成物と用時混合して使用する染毛用または脱色用第2剤組成物であって、高温時での安定性に優れ、かつ低温保管時においても粘度変化が少なく、容器からの吐出性に影響がない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0016】
なお、本発明における高温とは、50℃を意味するものである。
【0017】
なお、本発明における低温とは、5℃を意味するものである。
【0018】
本発明の染毛用または脱色用第2剤組成物について説明する。
【0019】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物には、染毛性および脱色性の観点から、(A)酸化剤を含有する。
【0020】
本発明で用いられる前記(A)成分は、特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、臭素酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、染毛性および脱色性の観点から、過酸化水素が好ましい。
【0021】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、特に限定されないが、染毛性および脱色性の観点から、2~6%が好ましい。前記(A)成分の含有量が2%未満の場合、十分な染毛性および脱色性が得られない恐れがある。また前記(A)成分の含有量が6%を超える場合、毛髪にごわつきなどを与える恐れがある。
【0022】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、高温時での安定性の観点から、(B)エチレンオキシドの平均付加モル数が1であるエチレン鎖を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤を含有する。
【0023】
本発明で用いられる前記(B)成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)(1)カプリリルエーテル、POE(1)ウンデシルエーテル、POE(1)ラウリルエーテル、POE(1)トリデシルエーテル、POE(1)ミリスチルエーテル、POE(1)ペンタデシルエーテル、POE(1)セチルエーテル、POE(1)パルミトイルエーテル、POE(1)ヘプタデシルエーテル、POE(1)ステアリルエーテル、POE(1)イソステアリルエーテル、POE(1)オレイルエーテル、POE(1)リノレイルエーテル、POE(1)ノナデシルエーテル、POE(1)アラキジルエーテル、POE(1)ヘニコシルエーテル、POE(1)ベヘニルエーテル、POE(1)エルシルエーテル、POE(1)リグノセリルエーテル、POE(1)セリルエーテル、POE(1)モンタニルエーテルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、高温時での安定性の観点から、POE(1)セチルエーテル、POE(1)ステアリルエーテル、POE(1)ベヘニルエーテルが好ましい。
【0024】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、特に限定されないが、高温時での安定性の観点から、4~30%が好ましく、5~20%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が4%未満の場合、あるいは前記(B)成分の含有量が30%を超える場合、高温時での安定性が低下する恐れがある。
【0025】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、高温時での安定性の観点から、(C)前記(B)成分以外のノニオン性界面活性剤を含有する。
【0026】
本発明で用いられる前記(C)成分としては、特に限定されないが、例えば、前記(B)成分以外のPOEアルキルエーテル、POEポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEフィトステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。
【0027】
本発明で用いられる前記(B)成分以外のPOEアルキルエーテルの具体例としては、例えば、POE(5)デシルエーテル、POE(6)デシルエーテル、POE(2)ラウリルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(4)ラウリルエーテル、POE(5)ラウリルエーテル、POE(7)ラウリルエーテル、POE(8)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(12)ラウリルエーテル、POE(15)ラウリルエーテル、POE(19)ラウリルエーテル、POE(21)ラウリルエーテル、POE(25)ラウリルエーテル、POE(30)ラウリルエーテル、POE(40)ラウリルエーテル、POE(3)トリデシルエーテル、POE(5)トリデシルエーテル、POE(7)トリデシルエーテル、POE(8)トリデシルエーテル、POE(9)トリデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(12)トリデシルエーテル、POE(15)トリデシルエーテル、POE(20)トリデシルエーテル、POE(2)セチルエーテル、POE(5)セチルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(8)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(13)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(23)セチルエーテル、POE(25)セチルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル、POE(150)セチルエーテル、POE(2)ステアリルエーテル、POE(3)ステアリルエーテル、POE(4)ステアリルエーテル、POE(5)ステアリルエーテル、POE(7)ステアリルエーテル、POE(10)ステアリルエーテル、POE(11)ステアリルエーテル、POE(15)ステアリルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(30)ステアリルエーテル、POE(40)ステアリルエーテル、POE(50)ステアリルエーテル、POE(100)ステアリルエーテル、POE(8)イソステアリルエーテル、POE(12)イソステアリルエーテル、POE(16)イソステアリルエーテル、POE(2)オレイルエーテル、POE(5)オレイルエーテル、POE(7)オレイルエーテル、POE(9)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(15)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル、POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテルなどが挙げられる。
【0028】
本発明で用いられる前記POEPOPアルキルエーテルの具体例としては、POE(7)POP(2)デシルエーテル、POE(10)POP(2)デシルエーテル、POE(1)POP(4)セチルエーテル、POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(30)POP(4)ステアリルエーテル、POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。
【0029】
本発明で用いられる前記グリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノウンデシレン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノラウリン酸ポリグリセリル-4、モノラウリン酸ポリグリセリル-6、モノラウリン酸ポリグリセリル-10、モノミリスチン酸ポリグリセリル-10、モノステアリン酸ポリグリセリル-2、モノステアリン酸ポリグリセリル-4、モノステアリン酸ポリグリセリル-6、モノステアリン酸ポリグリセリル-10、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-2、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、モノオレイン酸ポリグリセリル-2、モノオレイン酸ポリグリセリル-4、モノオレイン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10などが挙げられる。
【0031】
本発明で用いられる前記POEグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノステアリン酸POE(5)グリセリル、モノステアリン酸POE(15)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(5)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(8)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(10)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(20)グリセリル、トリイソステアリン酸POE(10)グリセリル、トリイソステアリン酸POE(15)グリセリル、トリイソステアリン酸POE(20)グリセリル、モノオレイン酸POE(5)グリセリル、モノオレイン酸POE(15)グリセリルなどが挙げられる。
【0032】
本発明で用いられる前記ソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0033】
本発明で用いられる前記POEソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、ヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン、モノステアリン酸POE(6)ソルビタン、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン、イソステアリン酸POE(20)ソルビタン、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(6)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、トリオレイン酸POE(20)ソルビタンなどが挙げられる。
【0034】
本発明で用いられる前記POEソルビット脂肪酸エステルの具体例としては、モノラウリン酸POE(6)ソルビット、テトラステアリン酸POE(60)ソルビット、テトライソステアリン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビットなどが挙げられる。
【0035】
本発明で用いられる前記POE硬化ヒマシ油の具体例としては、POE(5)硬化ヒマシ油、POE(10)硬化ヒマシ油、POE(20)硬化ヒマシ油、POE(30)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(50)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(80)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0036】
本発明で用いられる前記POEフィトステロールの具体例としては、POE(5)フィトステロール、POE(10)フィトステロール、POE(20)フィトステロール、POE(30)フィトステロールなどが挙げられる。
【0037】
本発明で用いられる前記ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの具体例としては、POE(9)モノラウリン酸エステル、POE(10)モノラウリン酸エステル、POE(6)モノステアリン酸エステル、POE(9)モノステアリン酸エステル、POE(10)モノステアリン酸エステル、POE(23)モノステアリン酸エステル、POE(25)モノステアリン酸エステル、POE(40)モノステアリン酸エステル、POE(45)モノステアリン酸エステル、POE(55)モノステアリン酸エステル、POE(150)ジステアリン酸エステル、POE(250)ジステアリン酸エステル、POE(8)ジイソステアリン酸エステル、POE(5)モノオレイン酸エステル、POE(6)モノオレイン酸エステル、POE(9)モノオレイン酸エステル、POE(10)モノオレイン酸エステル、POE(14)モノオレイン酸エステル、POE(16)モノオレイン酸エステルなどが挙げられる。
【0038】
本発明で用いられる前記(C)成分の中でも、高温時での安定性の観点から、前記(B)成分以外のPOEアルキルエーテルが好ましい。
【0039】
本発明で用いられる前記(C)成分は、高温時での安定性の観点から、2種以上を含有することが好ましい。
【0040】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、特に限定されないが、高温時での安定性の観点から、0.5~10%が好ましく、1~8%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が0.5%未満の場合、あるいは前記(C)成分の含有量が10%を超える場合、高温時での安定性が低下する恐れがある
【0041】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、低温保管時における容器からの吐出性の変化の観点から、炭素数12~24の高級アルコールの含有量は2%以下であることが好ましく、1%以下がより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。なお、実質的に含有しないとは、意図して含有させないという意味であり、不可避的に含有する場合を包含するという趣旨でもある。
【0042】
前記炭素数12~24の高級アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、2-デシルテトラデカノールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0043】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、すすぎ時の指通りおよび乾燥後の毛髪につや感を付与する観点から、油性成分を含有することができる。
【0044】
前記油性成分としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素、油脂、ロウ、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーンなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。
【0045】
前記炭化水素の具体例としては、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、セレシンなどが挙げられる。
【0046】
前記油脂の具体例としては、オリーブ油、ツバキ油、シア油、ヒマワリ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、マカダミアンナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油、アボガド油、モモ核油、ローズヒップ油、アルガン油、オレンジ油、イランイラン花油、キョウニン油、コーン油、ザクロ種子油、ゴマ油、スペアミント油、トウツバキ種子油、ハッカ油、ヒポファエラムノイデス種子油、ニゲラサチバ種子油、ニオイテングクアオイ油、ベルガモット種子油、ヘマチ種子油、ミンク油、メドウフォーム油、ユーカリ油、ユチャ油、レモン果実油、ローズマリー油、サンフラワー油落下生油、綿実油、ピスタシオ油、ククイナッツ油などが挙げられる。
【0047】
前記ロウの具体例としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、コメヌカロウ、セラックロウ、ラノリンなどが挙げられる。
【0048】
前記高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン酸などが挙げられる。
【0049】
前記アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、ジイソノニルエーテルなどが挙げられる。
【0050】
前記エステルの具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレンギリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメリロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルなどが挙げられる。
【0051】
前記シリコーンの具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
【0052】
前記油性成分の含有量は、特に限定されないが、染毛後の毛髪のべたつきの観点から、0.5~20%が好ましい。前記油性成分の含有量が0.5%未満の場合、十分なすすぎ時の指通りおよび乾燥後の毛髪につや感が得られない恐れがある。前記油性成分の含有量が20%を超える場合、染毛後の毛髪にべたつきを与える恐れがある。
【0053】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、すすぎ時の指通りの観点から、多価アルコールを含有することができる。
【0054】
前記多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0055】
前記多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、すすぎ時の指通りの観点から、0.5~20%が好ましい。前記多価アルコールの含有量が0.5%未満の場合、十分なすすぎ時の指通りが得られない恐れがある。前記多価アルコールの含有量が20%を超える場合、乳化安定性が低下する恐れがある。
【0056】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、乾燥後の毛髪の指通りの観点から、カチオン性界面活性剤を含有することができる。
【0057】
前記カチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウムなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0058】
前記カチオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、乾燥後の毛髪の指通りの観点から、0.5~5%が好ましい。前記カチオン性界面活性剤の含有量が0.5%未満の場合、十分な乾燥後の毛髪の指通りが得られない恐れがある。前記カチオン性界面活性剤の含有量が5%を超える場合、酸化剤の安定性が低下する恐れがある。
【0059】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、酸化剤の安定性を向上させる観点から、酸、金属封鎖剤、pH調整剤を含有することができる。
【0060】
前記酸、金属封鎖剤、pH調整剤は、特に限定されないが、リン酸、エデト酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸およびそれらの塩類、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物などが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。
【0061】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物は、上記成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外の通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、界面活性剤、ノニオン性高分子、両性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、香料などが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものでない。
【0062】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物の剤型は、毛髪への塗布性および伸び性の観点から、クリーム状、乳液状またはゲル状が好ましい。
【0063】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物の粘度は、染毛用または脱色用第1剤組成物との混合性、毛髪への塗布性および高温時での安定性の観点から、20℃の条件下で3,000~100,000mPa・sが好ましく、5,000~50,000mPa・sがより好ましい。染毛用または脱色用第2剤組成物の粘度が3,000mPa・s未満の場合、高温時での安定性が低下する恐れがある。また染毛用または脱色用第2剤組成物の粘度が100,000mPa・sを超える場合、染毛用または脱色用第1剤組成物との混合性、毛髪への塗布性および高温時での安定性が低下する恐れがある。
【0064】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られた染毛用第2剤組成物を140g容量のサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で1日間放置し調温した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、4号ローターにて1分間、粘度50,000mPa・s未満では回転速度12rpm、粘度50,000mPa・s以上では回転速度6rpmの条件下で測定したものである。
【0065】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物のpHは、酸化剤の安定性の観点から、20℃の条件下で1.5~3.5が好ましい。
【0066】
本発明における染毛用または脱色用第2剤組成物の20℃の条件下でのpHは、常法にて調製して得られた染毛用または脱色用第2剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、株式会社堀場製作所製)にて測定したものである。
【0067】
本発明に用いられる染毛用または脱色用第2剤組成物を充填および保存する容器は、特に限定されないが、ポリ容器、アルミチューブ容器、ポリチューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器などが挙げられる。
【0068】
本発明における容器からの吐出性とは、具体的に、容器からの染毛用または脱色用第2剤組成物の出しやすさを意味する。例えばアルミチューブ容器からの出しやすさ、パウチ容器からの出しやすさ、また、エアゾール形態の場合は一定時間における吐出量および染毛用または脱色用第1剤組成物との同時吐出性などを意味するものである。
【0069】
本発明の染毛用または脱色用第1剤組成物について説明する。
【0070】
本発明における染毛用第1剤組成物は、染毛性の観点から、酸化染料を含有する。
【0071】
本発明で用いられる前記酸化染料としては、特に限定されないが、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトール、レゾルシンおよびそれらの塩類などが挙げられ、その他、「医薬部外品原料規格2006 統合版」(2013年11月発行、薬事日報社)に収載されたものも適宜用いることができる。これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0072】
前記酸化染料の含有量は、特に限定されないが、染毛性の観点から、0.2~10%が好ましく、1~8%がより好ましく、2~6%がさらに好ましい。酸化染料の含有量が0.2%未満の場合、十分な染毛性が得られない恐れがある。酸化染料の含有量が10%を超える場合、染毛性はそれ以上の向上を期待できにくい。
【0073】
なお、本発明における前記酸化染料の含有量とは、酸化染料の純分換算の含有量を意味する。例えば、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノールなどの塩の形態の酸化染料については、塩ではない形態における質量に換算した含有量を意味する。
【0074】
本発明における染毛用または脱色用第1剤組成物は、染毛性および脱色性の観点からアルカリ剤を含有する。
【0075】
本発明で用いられる前記アルカリ剤としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、アルカノールアミン、有機アミン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、塩基性アミノ酸などが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。その中でも染毛性および脱色性の観点から、アンモニア、アルカノールアミンがより好ましい。
【0076】
本発明で用いられる前記アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0077】
本発明で用いられる前記有機アミンの具体例としては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、モルホリン、グアニジンなどが挙げられる。
【0078】
本発明で用いられる前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。
【0079】
本発明で用いられる前記塩基性アミノ酸の具体例としては、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられる。
【0080】
本発明で用いられる前記炭酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0081】
本発明で用いられる前記炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
【0082】
本発明で用いられる前記メタケイ酸塩の具体例としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、メタケイ酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0083】
本発明で用いられる前記リン酸塩の具体例としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウムなどが挙げられる。
【0084】
本発明で用いられる前記アルカリ剤の含有量は、特に限定されないが、染毛性および脱色性の観点から、0.5~8%が好ましい。前記アルカリ剤の含有量が0.5%未満の場合、十分な染毛性および脱色性が得られない恐れがある。前記アルカリ剤の含有量が8%を超える場合、染毛性および脱色性はそれ以上の向上を期待できにくい。
【0085】
本発明における染毛用または脱色用第1剤組成物は、上記成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外の通常の化粧料、医薬部外品、医薬品などに用いられる各種成分、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、HC染料、界面活性剤、ノニオン性高分子、両性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、油性成分、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、金属封鎖剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料などから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものでない。
【0086】
本発明における染毛用または脱色用第1剤組成物の剤型は、毛髪への塗布性および伸び性の観点から、クリーム状、乳液状またはゲル状が好ましい。
【0087】
本発明における染毛用または脱色用第1剤組成物の粘度は、染毛用または脱色用第2剤組成物との混合性と毛髪への塗布の観点から、20℃の条件下で3,000~100,000mPa・sが好ましく、5,000~50,000mPa・sが好ましい。
【0088】
本発明における染毛用または脱色用第1剤組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られた染毛用または脱色用第1剤組成物を140g容量のサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で1日間静置し調温した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、4号ローターにて1分間、粘度50,000mPa・s未満では回転速度12rpm、粘度50,000mPa・s以上では回転速度6rpmの条件下で測定したものである。
【0089】
本発明における染毛用または脱色用第1剤組成物のpHは、染毛性および脱色性の観点から、20℃の条件下で9~12が好ましい
【0090】
本発明における染毛用または脱色用第1剤組成物の20℃の条件下でのpHは、常法にて調製して得られた染毛用または脱色用第1剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、株式会社堀場製作所製)にて測定したものである。
【0091】
本発明に用いられる染毛用または脱色用第1剤組成物を充填および保存する容器は、特に限定されないが、ポリ容器、アルミチューブ容器、ポリチューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器などが挙げられる。
【0092】
本発明における第1剤組成物および第2剤組成物の混合質量比(第1剤:第2剤)は、特に限定されないが、染毛性および脱色性の観点から、1:5~5:1が好ましく、1:2~2:1がより好ましい。
【実施例
【0093】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0094】
本明細書に示す評価試験において、染毛用または脱色用第2剤組成物に含まれる成分およびその含有量を変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0095】
<高温時での安定性>
本明細書に示す「高温時での安定性」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛用または脱色用第2剤組成物を140g容量のサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填した後に、50℃条件下で保存し、目視にて外観状態を確認し、以下に示すように評価した。
【0096】
<高温時での安定性の評価基準>
◎:3ヶ月以上経過しても組成物に変化が確認されなかった。
〇:3ヶ月未満で分離または水吐きが確認された。
△:2ヶ月未満で分離または水吐きが確認された。
×:1ヶ月未満で分離または水吐きが確認された。
【0097】
<低温保管時における容器からの吐出性の変化>
本明細書に示す「低温保管時における容器からの吐出性の変化」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛用または脱色用第2剤組成物をアルミチューブ容器(武内プレス工業株式会社製、外径:25.2mm、内径:24.5mm、肩下寸法:130mm、口径:6.7mm、内面コート:TPL-301、内袋:ポリエチレン(厚さ:0.2mm))に40g充填した後、5℃の条件下で30日保存した染毛用または脱色用第2剤組成物と20℃の条件下で30日保存した染毛用または脱色用第2剤組成物を、各々アルミチューブから全量吐出し、5℃と20℃の保管温度における染毛用または脱色用第2剤組成物の吐出性の差異を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0098】
<低温保管時における容器からの吐出性の変化の評価基準>
5℃と20℃で吐出性に差を感じない :3点
5℃と20℃で吐出性にやや差を感じる:2点
5℃と20℃で吐出性に差を感じる :1点
【0099】
<低温保管時における容器からの吐出性の変化の評価結果>
◎:25点~30点
〇:21点~25点
△:16点~20点
×:10点~15点
【0100】
表1の実施例1から実施例11では、前記(B)成分の種類および含有量を代えても、比較例1から比較例3と比較して、高温時での安定性に優れ、かつ低温保管時においても粘度変化が少なく、容器からの吐出性に影響がない結果が得られた。
【0101】
【表1】
【0102】
表2および表3の実施例12から実施例26では、前記(C)成分の種類および含有量を代えても、比較例4と比較して、高温時での安定性に優れ、かつ低温保管時においても粘度変化が少なく容器からの吐出性に影響がない結果が得られた。
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、染毛用または脱色用第1剤組成物と用時混合して使用する染毛用または脱色用第2剤組成物であって、高温時での安定性に優れ、かつ低温保管時においても粘度変化が少なく、容器からの吐出性に影響がない染毛用または脱色用第2剤組成物を提供することができる。