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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】油煙捕集装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240423BHJP
   H01H 35/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
H01H35/00 X
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020113120
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011767
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 裕太
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雄汰
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2748806(CN,Y)
【文献】特開2007-078249(JP,A)
【文献】特開2016-065688(JP,A)
【文献】特開2005-308245(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109724263(CN,A)
【文献】特開2003-262850(JP,A)
【文献】特開2016-191568(JP,A)
【文献】特開2008-215629(JP,A)
【文献】特開2003-194380(JP,A)
【文献】特開2012-042164(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104566591(CN,A)
【文献】中国実用新案第204593508(CN,U)
【文献】中国実用新案第209431507(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第102801409(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属筐体の操作面側に、操作部を備える油煙捕集装置であって、
前記操作部は、
少なくとも光を照射する発光部、および前記発光部から照射されて検知対象物において反射した前記光を受光する受光部を備えて、操作入力を検出する受発光部と、
前記受発光部よりも前記検知対象物側に設けられ、前記光を透過する操作スイッチ部と、を有し、
前記受発光部は、前記操作入力を判定する判定部を有し、
前記判定部は、基準値および前記基準値に対して設定された閾値を用いて判定を行い、
前記閾値は、電源投入後の経過時間毎に感度低下に応じた補正係数がかけられて下がる、油煙捕集装置。
【請求項2】
前記操作部は、互いに隣り合う第1領域および第2領域を有し、
前記受発光部は、前記第1領域に対する操作入力を検出する第1受発光部と、前記第2領域に対する操作入力を検出する第2受発光部と、を有し、
前記操作部は、前記第1領域および前記第2領域の間を仕切る光非透過性の仕切り部を有する、請求項1に記載の油煙捕集装置。
【請求項3】
前記操作スイッチ部は、操作入力を検出するスイッチ操作面が、前記金属筐体の筐体面から凸状に形成されている、請求項1または2に記載の油煙捕集装置。
【請求項4】
前記スイッチ操作面は、平面状に形成されている、請求項3に記載の油煙捕集装置。
【請求項5】
前記受発光部は、前記操作スイッチ部の周囲光を検出する照度センサ受光部をさらに有し、
前記判定部は、前記受光部が受光した光量、および前記照度センサ受光部が受光した光量に基づいて、前記操作入力を判定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の油煙捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油煙捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
台所や飲食店の厨房などに配置され、調理時に発生する油煙を捕集して排出する油煙捕集装置が知られている。従来、この油煙捕集装置の操作するための操作部として、タクトスイッチが使用されている。
【0003】
しかしながら、タクトスイッチは、タクトスイッチを押すためのプッシュ部が手前側に突出しているため、清掃性や意匠性が低下する。さらに、機械的なプッシュ部が設けられていることから、スイッチの間隔に制約が生じてしまい、好ましくない。
【0004】
これに関連して、例えば下記の特許文献1には、操作部として静電スイッチを採用した換気装置が開示されている。この換気装置によれば、操作部の表面の凹凸や操作部の間の隙間がなくなるため、清掃性および意匠性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-078249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、油煙捕集装置の金属筐体において、静電スイッチを使用する場合、操作部の周辺に位置する金属筐体が静電スイッチの静電容量に影響を及ぼす虞があり、誤検知等の不具合が生じる虞がある。
【0007】
さらに金属筐体の厚みを薄くする場合、金属筐体と静電スイッチの距離が近づくことになり、誤検知等の不具合の可能性が高くなってしまう。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するために発明されたものであり、清掃性および意匠性に優れるとともに、薄型の金属筐体に適用可能な操作部を備える油煙捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の油煙捕集装置は、金属筐体の操作面側に、操作部を備える油煙捕集装置であって、前記操作部は、少なくとも光を照射する発光部、および前記発光部から照射されて検知対象物において反射した前記光を受光する受光部を備えて、操作入力を検出する受発光部と、前記受発光部の前記操作面側に設けられ、前記光を透過する操作スイッチ部と、を有する。前記受発光部は、前記操作入力を判定する判定部を有する。前記判定部は、基準値および前記基準値に対して設定された閾値を用いて判定を行い、前記閾値は、電源投入後の経過時間毎に感度低下に応じた補正係数がかけられて下がる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の油煙捕集装置によれば、機械的なプッシュ部が設けられることなく、光によって操作入力を検知することができるため、清掃性および意匠性に優れる。さらに、光によって操作入力を検知することができるため、薄型の金属筐体に適用可能である。以上から、清掃性および意匠性に優れるとともに、薄型の金属筐体に適用可能な操作部を備える油煙捕集装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る油煙捕集装置をキッチンに設置した場合の正面図である。
図2】本実施形態に係る油煙捕集装置を示す斜視図である。
図3】操作部を示す分解斜視図である。
図4】操作部を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係る油煙捕集装置の操作スイッチ部を示す正面図である。
図6】操作部を示す透視図である。
図7】操作部を示す正面図である。
図8図7の8-8線に沿う断面図である。
図9】受発光部のブロック図である。
図10】操作部の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
以下、図1図9を参照して、本発明の実施形態に係る油煙捕集装置1の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る油煙捕集装置1をキッチンに設置した場合の正面図である。図2は、本実施形態に係る油煙捕集装置1を示す斜視図である。図3は、操作部30を示す分解斜視図である。図4は、操作部30を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る油煙捕集装置1の操作スイッチ部40を示す正面図である。図6は、操作部30を示す透視図である。図7は、操作部30を示す正面図である。図8図7の8-8線に沿う断面図である。図9は、受発光部61のブロック図である。
【0014】
以下の説明において、図1の左右方向をX方向、油煙捕集装置1の奥行方向をY方向、鉛直方向をZ方向と称する。
【0015】
本実施形態に係る油煙捕集装置1は、図1に示すように、加熱調理器200の上部に設置される。油煙捕集装置1は、加熱調理器200の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む臭気や油煙を吸い込み外部に排気する。例示している加熱調理器200は2つの熱源210を有する。なお、本明細書において、熱源210は、ガス用の加熱調理器200に対してはバーナーやバーナー付近にある五徳を、IH用の加熱調理器200に対してはヒーターを、それぞれ意味する。
【0016】
油煙捕集装置1は、図1図2に示すように、加熱調理器200の調理によって発生した油煙を吸い込むフード部(金属筐体に相当)10と、フード部10の中央部の上面側に設けられる送風機ボックス20と、油煙捕集装置1を作動させるための操作部30と、を有する。
【0017】
フード部10の下面側には、図1図2に示すように、開口部11が形成されている。開口部11は、加熱調理器200の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む油煙を吸い込む。
【0018】
フード部10は、図3図4図7に示すように、Z方向の上側に配置される第1フード部12と、Z方向の下側に配置される第2フード部13と、を有する。すなわち、フード部10は、上下で2分割された構成となっている。なお、フード部は、分割されていない構成であってもよい。第1フード部12および第2フード部13の間には、図3に示すように、孔部14が形成される。孔部14には、後述する操作スイッチ部40が手前側(Y方向のマイナス側)に突出するように挿通される。
【0019】
送風機ボックス20の内部には送風機(不図示)が配置されている。送風機は、開口部11から油煙を吸引するための吸引力を発生させ、吸引した油煙を外部に排気させる。
【0020】
開口部11と送風機との間には、開口部11から吸引した油煙から油分を除去するためのフィルター(不図示)が設けられる。
【0021】
操作部30は、フード部10に対して操作面側(Y方向のマイナス側)に設けられる。操作部30は、図3に示すように、手前側から順に、操作スイッチ部40と、スイッチ枠50と、基板60と、スイッチ裏蓋70と、を有する。図3において、操作スイッチ部40は、スイッチ枠50に取り付けられている。
【0022】
操作スイッチ部40は、図5に示すように、左から順に切スイッチ81、タイマースイッチ82、風量弱スイッチ83、風量中スイッチ84、風量強スイッチ85、自動運転ONスイッチ86、照明スイッチ87、照度・色温度Downスイッチ88、照度・色温度UPスイッチ89、および常時換気スイッチ90を有する。すなわち、本実施形態に係る操作スイッチ部40は、10個のスイッチから構成される。なお、操作スイッチ部40の構成は、上述した構成に限定されない。
【0023】
操作スイッチ部40のスイッチ操作面41は、図3に示すように、XZ平面において平面状に形成されている。この構成によれば、例えば風量弱スイッチ83、風量中スイッチ84、風量強スイッチ85の順に切り替えるとき、指をX方向にスライドするだけの容易な操作で操作入力を切り替えることができる。
【0024】
なお、スイッチ操作面はスイッチ操作部に一体的に形成されていてもよいし、スイッチ操作面を構成する部分のみが分離する構成としてもよい。また、光を透過する材料をスイッチ操作部に適用してもよいし、スイッチ操作面のみに適用してもよい。
【0025】
操作スイッチ部40のスイッチ操作面41は、図4図8に示すように、フード部10の筐体面10Aから、手前側に凸状になるように形成されている。ここで、例えば、操作スイッチ部40のスイッチ操作面41が、フード部10の手前側の筐体面10Aと同一平面となるように構成されている場合、スイッチ操作面41が視覚的に奥側に入り込んでいるように見える。これに対して、本実施形態に係る油煙捕集装置1によれば、操作スイッチ部40のスイッチ操作面41が、フード部10の筐体面10Aから手前側に凸状に形成されているため、視覚的にスイッチ操作面41が手前側に浮いているように見え、操作性が向上する。
【0026】
操作スイッチ部40は、後述する発光部63から照射される光が透過する材料から構成される。このような材料としては、例えば、透光性樹脂や不燃・難燃性の透光性樹脂を挙げることができる。
【0027】
スイッチ枠50は、図3に示すように、操作スイッチ部40が取り付けられる。スイッチ枠50は、図6に示すように、互いに隣り合う第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、および第4領域R4を有する。
【0028】
第1領域R1は、図3図6に示すように、後述する第1受発光部61Aから照射される赤外光が通過する領域に相当する。第2領域R2は、後述する第2受発光部61Bから照射される赤外光が通過する領域に相当する。第3領域R3は、後述する第3受発光部61Cから照射される赤外光が通過する領域に相当する。実際には仕切られる領域の数は、操作スイッチ部40のスイッチの数(10個)に対応するが、図6では簡略化して、4つの領域R1、R2、R3、R4のみを図示する。
【0029】
スイッチ枠50は、図6図7に示すように、第1領域R1および第2領域R2の間を仕切る第1仕切り部(仕切り部に相当)51と、第2領域R2および第3領域R3の間を仕切る第2仕切り部(仕切り部に相当)52と、第3領域R3および第4領域R4の間を仕切る第3仕切り部(仕切り部に相当)53と、を有する。
【0030】
第1仕切り部51、第2仕切り部52、および第3仕切り部53は、スイッチ枠50の本体部54と一体的に構成されていてもよいし、別体で構成されて接着剤等で本体部54に固定された構成であってもよい。第1仕切り部51、第2仕切り部52、および第3仕切り部53は、光非透過性の材料から構成される。このような材料としては、例えば光非透過性の樹脂や不燃・難燃性の光非透過性樹脂を挙げることができる。
【0031】
このように光非透過性の第1仕切り部51、第2仕切り部52、および第3仕切り部53が設けられることによって、第1受発光部61Aから照射された赤外光が第1領域R1を通過する際に、第2領域R2に侵入することを防止でき、第2受発光部61Bから照射された赤外光が第2領域R2を通過する際に、第1領域R1および第3領域R3に侵入することを防止でき、第3受発光部61Cから照射された赤外光が第3領域R3を通過する際に、第2領域R2に侵入することを防止できる。したがって、操作スイッチ部40に対する入力操作の誤検知を防止できる。
【0032】
第1仕切り部51、第2仕切り部52、および第3仕切り部53は、図7図8に示すように、基板60の手前側の表面60Aから所定の距離Lだけ離間するように奥側(Y方向のプラス側)に延在している。この構成によれば、基板60に受発光部61以外の部品を搭載することが可能となる。
【0033】
基板60は、図3に示すように、XZ平面に延在する平面形状を備える。基板60の手前側の表面には、受発光部61およびLED照明部62が設けられる。
【0034】
LED照明部62は、図3に示すように、受発光部61のZ方向の上方および下方に一対設けられる。実際には、受発光部61およびLED照明部62は、操作スイッチ部40のスイッチの数(10個)と同じだけ設けられるが、図3では簡略化して、3つの受発光部61(第1受発光部61A、第2受発光部61B、第3受発光部61C)およびLED照明部62(第1LED照明部62A、第2LED照明部62B、第3LED照明部62C)が、X方向に沿って3つ設けられるように図示する。第1受発光部61A、第2受発光部61B、および第3受発光部61Cの構成は同一であるため、以下、受発光部61の構成について説明する。
【0035】
受発光部61は、図9に示すように、赤外光を照射する発光部63と、発光部63から照射されて検知対象物(例えば人の手指)において反射した赤外光を受光する受光部64と、操作スイッチ部40の周囲光を検出する照度センサ受光部65と、受光部64が受光した光量、および照度センサ受光部65が受光した光量に基づいて操作入力を判定する判定部66と、を有する。
【0036】
なお、判定部66は受発光部61に備えられており、受発光部61が備えられる基板60の通信I/Fを通じて油煙捕集装置の制御部に判定結果が送られる。
【0037】
発光部63では、一定周期で赤外光のオン・オフを繰り返すパルス変調式が用いられる。
【0038】
受光部64では、発光部63からパルス発光された赤外光を検知する。照度センサ受光部65は、可視光及び赤外光領域に感度を持つフォトダイオードをもち受発光部64の周囲光の検出を行う。これらダイオードは入射された光を電流に変換して光量を検知する。
【0039】
受発光部64は、近接測定および照度測定を1回ずつ行う1サイクルを繰り返し実行する。なお、受発光部64の測定サイクルは、例えば75msを1サイクルとして設定されている。この1サイクルを繰り返し実行することでスイッチ操作の検出を行っている。
【0040】
受発光部の1サイクルは具体的には下記のように実施される。近接測定(発光部63のオフ、オン)と照度測定(照度センサ受光部65の受光)の組み合わせを1サイクルとして検出を行っている。
【0041】
判定部66は、受光部64において計測された赤外成分の光量を数値(カウント値)に変換して、このカウント値を、予め設定された閾値と比較することで、操作入力の判定を行う。ここで、操作入力の判定は、誤検知を防ぐために閾値以上のカウント値が所定回数(例えば、4回以上)を超えた場合に操作入力があったと判定するようにしている。
【0042】
判定部66は、パルス発光と同期して入力された光を検出することで、非同期で入力される外乱光や単発的に同期した外乱光をノイズとして除去する。
【0043】
具体的には、判定部66は、発光部63を制御して、一定周期で赤外光のオン・オフを行い、赤外光のオンのタイミングで受光部64は照射された赤外光を受光する。
【0044】
赤外光の照射がオンのときは、受光部64において「反射された赤外光+周囲光の赤外成分」が検知され、赤外光の照射がオフの時は、受光部64において「周囲光の赤外成分」が検知される。「反射された赤外光+周囲光の赤外成分」と「周囲光の赤外成分」の差分を算出して、この差分を周囲光のノイズ除去に使用することができるようになる。周囲光の赤外成分としては、例えば、内部乱反射によるノイズ、LED照明部62によるノイズ、部屋の照明や窓からの太陽光ノイズ等が挙げられる。そしてこのノイズ除去されたもの、すなわち、「赤外光の照射がオンのときの受光量」-「赤外光の照射がオフのときの受光量」がカウント値となる。
【0045】
ここで、例えばノイズを除去することなく、判定部66によって操作入力を判定する場合、これらのノイズによって、カウント値が閾値を意図せず超えてしまって、判定部66によって操作入力したと誤って判定される虞がある。これに対して、本実施形態に係る油煙捕集装置1によれば、これらの差分を算出することによって、検知対象物によって反射された赤外光のみを検知することができ、周囲光の赤外成分によるノイズを除去することができる。
【0046】
判定部66は、基準値および基準値に対して設定された閾値(ロー閾値、ハイ閾値)を用いて判定を行う。基準値は装置の設置場所や使用環境との関係等を考慮して予め設定された値である。この基準値に対して検知対象物や検知距離を考慮して閾値を設定する。この閾値とカウント値を比較して判定を行うことは前述した。
【0047】
ここで、基準値には、予め設定された基準値と周囲の状況に応じて補正する補正基準値がある。基準値は予め設定されたものであるが、装置の周囲環境の変化に応じて基準値を変更させたほうが誤検出や検出不能といったエラーを防ぐことができる。このため周囲環境の変化に応じて基準値を補正することが可能な補正基準値が準備されている。
【0048】
補正基準値は、直近4回分の測定におけるカウント値が、閾値未満の場合に、計測255回分のカウント値を蓄積し、その平均値を補正基準値として更新する。このように補正基準値を用いることによって、環境等の緩やかな変化によるカウント計測値の変化に補正基準値が追従するため、操作入力の誤検知、操作入力の検出不能の発生を抑制できる。なお、カウント値が閾値以上の場合は、カウント値の蓄積を停止し、蓄積したデータは破棄する。
【0049】
なお、照度測定時に、赤外光の照度値が基準値に対して異常に高い場合、照度測定前に測定した近接測定のカウント値を破棄することによって、リモコン等による瞬間的な赤外成分を含むノイズを取り除くことができる。
【0050】
なお、受発光部の発光部の出力は経年劣化により出力が低下する。経年劣化による感度低下を補うため、時間経過に応じて補正を行うようにしてもよい。具体的には、電源投入後の経過時間(例えば、1か月)毎に感度低下に応じた補正係数をかけて検出閾値を下げることで感度低下に対応するようにしてもよい。
【0051】
LED照明部62は、LEDを照射して、スイッチ操作面41を照明する。この構成によれば、暗視野においても、スイッチ操作面41を視認できるため、操作性が向上する。
【0052】
次に、図10を参照して、油煙捕集装置1の操作部30の使用方法について説明する。
【0053】
図10に示すように、上述の1サイクルの計測が12回行われる。12回の各測定において、判定部66は、受光部64のカウント値に基づいて結果判定を行うとともに、カウント値を記憶する。判定部66は、ノイズ影響による誤検知を防ぐために、連続して4回、閾値以上検知したときにスイッチオン状態とする。
【0054】
図10において、指がスイッチ操作面41から離間した状態のとき、1~4回目の測定では、カウント値(黒丸)が閾値に達していないため、判定部66は、スイッチオフ状態と判定する。指がスイッチ操作面41に近づいた状態のとき、5~8回目の測定では、カウント値(黒丸)が連続して4回閾値以上を検知したため、判定部66はスイッチオン状態と判定して、所定のスイッチがオンされる。その後、指をスイッチ操作面41から離間する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る油煙捕集装置1は、フード部10の操作面側に、操作部30を備える油煙捕集装置1である。操作部30は、少なくとも光を照射する発光部63、および発光部63から照射されて検知対象物において反射した光を受光する受光部64を備えて、操作入力を検出する受発光部61と、受発光部61よりも検知対象物側に設けられ、光を透過する操作スイッチ部40と、を有する。このように構成された油煙捕集装置1によれば、機械的なプッシュ部が設けられることなく、光によって操作入力を検知することができるため、清掃性および意匠性に優れる。さらに、光によって操作入力を検知することができるため、薄型のフード部10に適用可能である。以上から、清掃性および意匠性に優れるとともに、薄型のフード部10に適用可能な操作部30を備える油煙捕集装置1を提供することができる。
【0056】
また、操作部30は、互いに隣り合う第1領域R1および第2領域R2を有し、受発光部61は、第1領域R1に対する操作入力を検出する第1受発光部61Aと、第2領域R2に対する操作入力を検出する第2受発光部61Bと、を有する。操作部30は、第1領域R1および第2領域R2の間を仕切る光非透過性の第1仕切り部51を有する。このように構成された油煙捕集装置1によれば、操作スイッチ部40に対する入力操作の誤検知を防止できる。
【0057】
また、操作スイッチ部40は、操作入力を検出するスイッチ操作面41が、フード部10の筐体面10Aから凸状に形成されている。このように構成された油煙捕集装置1によれば、視覚的にスイッチ操作面41が手前側に浮いているように見えるため、操作性が向上する。
【0058】
また、スイッチ操作面41は、平面状に形成されている。このように構成された油煙捕集装置1によれば、例えば風量弱スイッチ83、風量中スイッチ84、風量強スイッチ85の順に切り替えるとき、指をX方向にスライドするだけの容易な操作で操作入力を行うことができる。
【0059】
また、受発光部61は、操作スイッチ部40の周囲光を検出する照度センサ受光部65と、受光部64が受光した光量、および照度センサ受光部65が受光した光量に基づいて、操作入力を判定する判定部66と、を有する。このように構成された油煙捕集装置1によれば、赤外成分の異常値を検出することで、赤外成分を含むノイズにも強いスイッチを提供することができる。
【0060】
以上、実施形態を通じて本発明に係る油煙捕集装置1を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0061】
また、上述した実施形態では、操作部30は、光非透過性の仕切り部51、52、53が設けられたが、操作部は仕切り部が設けられていなくてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、操作スイッチ部40は、操作入力を検出するスイッチ操作面41が、フード部10の筐体面10Aから凸状に形成されていたが、操作スイッチ部40のスイッチ操作面41は、フード部10の筐体面10Aと同一平面となるように設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 油煙捕集装置、
30 操作部、
40 操作スイッチ部、
41 スイッチ操作面、
50 スイッチ枠、
51 第1仕切り部(仕切り部)、
52 第2仕切り部(仕切り部)、
53 第3仕切り部(仕切り部)、
61 受発光部、
61A 第1受発光部、
61B 第2受発光部、
61C 第3受発光部、
62 LED照明部、
63 発光部、
64 受光部、
65 照度センサ受光部、
66 判定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10