(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】着用可能な筒状繊維製品
(51)【国際特許分類】
A41D 13/06 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A41D13/06 105
(21)【出願番号】P 2021569114
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2020053806
(87)【国際公開番号】W WO2020234664
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】102019000007051
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521507028
【氏名又は名称】プント・アッズッロ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】PUNTO AZZURRO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107180
【氏名又は名称】玄番 佐奈恵
(72)【発明者】
【氏名】ローダ,ロベルト
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0083605(US,A1)
【文献】特開2003-227014(JP,A)
【文献】特開2016-069764(JP,A)
【文献】特開平04-057904(JP,A)
【文献】特開2009-041152(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02873545(FR,A1)
【文献】国際公開第2008/077334(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0042754(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/06
A61F13/00-13/14
A61F5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉機能を補助する着用可能な繊維製品(1)であって、
下側開口(21)および上側開口(22)、人または動物の身体に触れるのに適した内側(I)および前記内側(I)の反対側である外側(E)を有する、筒状要素(2)を含み、
第1補強バンド(30)および第2補強バンド(31)が、前記外側(E)および/または前記内側(I)に取り付けられ、前記第1および第2補強バンド(30、31)の各々は、下側開口(21)から上側開口(22)に延びる方向
に沿って位置するパス(P、P’)に沿って配置されており、
前記筒状要素(2)が少なくとも第1生地部分(200)および第2生地部分(201)を含み、前記第1生地部分(200)および第2生地部分(201)の各々は、高分子物質からなる緯糸および経糸を織成することにより作製される生地から成り、
前記筒状要素(2)は、第1接合領域(300)および第2接合領域(301)を含み、これらに沿って前記第1生地部分(200)が第2生地部分(201)に接合され、
前記第1補強バンド(30)が少なくとも部分的に第1接合領域(300)と重なり、前記第2補強バンド(31)が少なくとも部分的に第2接合領域(301)と重なっており、
前記第1
補強バンド(30)が、実質的に「U」または「V」の形状の湾曲した領域(31’)を含んでいて、着用可能な繊維製品(1)が腿から膝にかけて膝を含むように着用されたときに、膝蓋骨の実質的に周囲に前記湾曲した領域(31’)が配置されることを特徴とする、
着用可能な繊維製品(1)。
【請求項2】
前記第1補強バンド(30)および前記第2補強バンド(31)の各々が、筒状要素(2)の生成ラインの方向に平行であ
る方向を有する湾曲したパスに従っている、請求項1に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項3】
前記第1補強バンド(30)および/または前記第2補強バンド(31)が、緯糸および経糸の織物を含む生地から成る、請求項1または2に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項4】
前記筒状要素(2)が縫目をまったく有しない、請求項1~3のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項5】
前記高分子物質がポリアミド物質を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項6】
前記第2生地部分(201)が、開口境界(211’)により規定される開口(211)を含み、前記開口(211)は、前記開口境界(211’)付近にて接着または融着された追加の生地部分(212)により被覆されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項7】
前記第1補強バンド(30)および前記第2補強バンド(31)が、実質的に筒状要素の全体高さ(H)に沿って延びている、請求項1~6のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項8】
筒状要素を二等分する対称面(Y)を仮定したときに、第1補強バンド(30)が第2補強バンド(31)と、前記対称面(Y)に関して対称である、請求項1~7のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項9】
前記第1補強バンド(3)および前記第2補強バンド(31)の各々がパス(P、P’)に沿って連続的に延び、前記パス(P、P’)は、前記繊維製品が着用されたときに、身体の前面ゾーンに配置される、筒状要素(2)の前面領域(A)から延び、前記繊維製品が着用されたときに、身体の背面ゾーンに配置される、筒状要素(2)の背面領域(B)に延びるものである、請求項1~8のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項10】
前記筒状要素(2)は、前記第1生地部分(200)および前記第2生地部分(201)を一体に結合したもののみからなる、請求項1~9のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項11】
前記筒状要素(2)は、高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより作製された生地からなる第3生地部分(202)を少なくとも含み、
前記筒状要素は、第3接合領域(302)および第4接合領域(303)を含み、
前記第1生地部分(200)は、前記第3生地部分(202)に、前記第3接合領域(302)および前記第4接合領域(303)に沿って接合され、
前記第3生地部分は、並んで配置された左側フラップ(202’)および右側フラップ(202'')を含み、前記左側フラップ(202’)、前記右側フラップ(202'')は、前記左側フラップ(202’)、前記右側フラップ(202'')、および前第1生地部分(200)が前記第4接合領域(303)に沿って一体に結合されるように、前記第4接合領域(303)に沿って少なくとも部分的に接合されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項12】
前記第1補強バンド(30)はまた、前記第3接合領域(302)に少なくとも部分的に重なっており、前記第2補強バンド(31)はまた、前記第4接合領域(303)に少なくとも部分的に重なっている、請求項11に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項13】
前記着用可能な繊維製品(1)が、腿固定器具であり、前記繊維製品が着用されたときに、腿および膝関節の両方を囲むような高さ(H)を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項14】
前記第1生地部分(200)が、第2生地部分(201)に、超音波結合により接合されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の着用可能な繊維製品を製造する方法であって、
a)高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより得られる生地からなる、第1生地部分(200)を提供する工程;
b)高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより得られる生地からなる、第2生地部分(201)を提供する工程;
c)第1生地部分(200)を、第2生地部分(201)に、第1接合領域(300)および第2接合領域(301)に沿って接合して、筒状要素(2)を得る工程;
d)第1補強バンド(30)を、外側(E)または内側(I)にて少なくとも部分的に第1接合領域(300)に重なるように取り付ける工程;
e)第2補強バンド31を、外側(E)または内側(I)にて少なくとも部分的に第2接合領域(301)に重なるように取り付ける工程
を含む、製造方法。
【請求項16】
前記工程c)の前に、
-第2生地部分(201)に形成される開口(211)を設ける工程
-第2生地部分(201)の背面側にて、前記開口(211)を追加の生地部分(212)で覆うために、追加の生地部分(212)を開口境界(211’)に融着または接着する工程
を含む、請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明、着用可能な繊維製品に関し、特に、スポーツ活動の後に、又は例えば筋肉の回復のための外傷後リハビリテーションの間に着用される、筒状繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
小さな筋肉のアクシデントが肉体運動の間に生じることがあり、その結果、ある身体部分が弱ってしまったために及び/又は痛みを有するために、当該部分を支持する必要が生じることが知られている。同時に、肉体運動の間、最も大きなストレスに曝される身体部分内の筋肉に適切なサポートを提供することにより、アクシデントを防ぐ必要がある。
【0003】
この目的のために、スポーツ活動またはリハビリテーションのための着用可能な補助具の分野においては、運動活動を実施している間の筋肉をサポートし又はウォーミングアップするために、弾性合成布帛から成るブーツおよび固定器具(膝固定器具、脹脛固定器具、手首固定器具等)が知られている。
【0004】
しかしながら、これらのタイプの着用可能な補助具は編物により形成されており、筒状製品を得るための編機または靴下編機により一般的に作成される。編物はあいにく、引張力の適用方向に応じて異なる機械的応答を与える。これは、不均一な圧迫およびサポート作用を身体部分にもたらす。特に、一方向における牽引への編物の応答は、当該方向に垂直な方向と比較して、布のより大きな変形を伴う。これは、編成技術で得られる布のループの一般的な形状に起因する。
【0005】
さらに、従来の筒状の編物製品は、種々の寸法のものを製造することに対して融通性が低く、筋肉/腱系および靭帯を、均一および効果的な方法でサポートすることを可能にしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一つは、従来の筒状製品の欠点を克服することができる着用可能な(またはウェアラブル)繊維製品を提案することである。特に、本発明の目的の一つは、筋肉をその自然な修復および再生の間、サポートすることであり、したがって外傷を防止するという目的を果たすことである。本発明の別の目的は、改善された使用の融通性、および着用可能な繊維製品を作製する際の改善された融通性および有効性を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、添付の独立請求項に係る、着用可能な繊維製品および着用可能な繊維製品を製造する方法によって達成される。従属請求項は、前記着用可能な繊維製品および前記方法の好ましい又は有利な実施形態を説明する。
【0008】
本発明に係る、着用可能な繊維製品および繊維製品の製造方法の特徴および利点は、その好ましい形態についての以下の説明から明らかであり、この説明は添付の図面を参照して非制限的な例示としてのみ与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る着用可能な繊維製品の側面図を示す。
【
図4】
図4は、
図1の着用可能な繊維製品の一つを得るための製造プロセスにおける、着用可能な繊維製品の筒状要素の第2生地部分の裏側を示す。
【
図6】
図6は、
図4および
図5に示す工程の後の、
図1の着用可能な繊維製品の一つを製造する方法における別の工程を示す。
【
図7】
図7は、
図1の着用可能な繊維製品の物品を製造する方法において、
図6に示す工程の後続の工程であって、環状支持バンドを取り付ける工程を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る、着用可能な繊維製品の側面図である。
【
図11】
図11は、
図8の着用可能な繊維製品の一つを得るための製造中の工程における、着用可能な繊維製品の筒状要素の第3生地部分を示す。
【
図13】
図13は、
図12に示す工程の後の、
図8の着用可能な繊維製品の一つを製造する方法における別の工程を示す。
【
図14】
図14は、
図13に示す工程の後の、
図8の着用可能な繊維製品の一つを製造する方法における別の工程を示す。
【
図15】
図15は、
図14に示す工程の後の、
図8の着用可能な繊維製品の一つを製造する方法における別の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の図面に関して、符号1は、特に運動活動に従事した後で筋肉の機能を補助するための着用可能な繊維製品を指す。着用可能な繊維製品は好ましくは、腿固定器具、または脹脛固定器具、または踝固定器具のような、下肢にて着用され得るスリーブであり、あるいは肘固定器具または腕固定器具のような、肘周辺にて上肢の一方にて着用され得るスリーブである。着用可能な繊維製品は、活動を行っている間、関節全体の筋肉を適切にサポートするように、身体の部分と関節を同時に囲むような長さを好ましくは有している。
【0011】
着用可能な繊維製品1は、下側開口21および上側開口22を有し、これらの開口を経由してそれが着用されるようになっている筒状要素2を含む。
【0012】
特に、着用可能な繊維製品1は、人間または動物の身体の一部を接触するのに適した内側I、および内側Iと反対側であって、繊維製品1が着用されたときに外部環境に面する外側Eを含む。
【0013】
筒状要素2は、少なくとも第1生地部分200および第2生地部分201を含み、各々は、高分子物質、好ましくはポリアミド、ポリエステル、エラスタンおよび/またはリサイクル繊維のような合成高分子物質からなる緯糸および経糸の織成により作製された生地(または布地)からなる。換言すれば、これらの第1および第2生地分200、201は、編成によって、又は編機において作製されず、代わりに緯糸および経糸を例えば織機上で織ることにより作製される。
【0014】
加えて、筒状要素2は、第1接合領域300および第2接合領域301を含み、それらに沿って第1生地部分200が第2生地部分201に、好ましくは超音波接合またはヒートシーリングによって(接着剤を使用して又は使用せずに)接合されて、縫目がまったく無い筒状形状を得ている。
【0015】
特に、第1生地部分200および/または第2生地部分201は好ましくは、平坦な生地部分である。
【0016】
一つの実施形態によれば、第1補強バンド30および第2補強バンド31が、筒状要素2の外側Eに取り付けられている。好ましくは、第1補強バンド30および第2補強バンド31は、外側Eにのみ適用される。
【0017】
実施形態の変形例によれば、第1補強バンド30および第2補強バンド31は、筒状要素の内側Iに取り付けられる。この変形例によれば、第1補強バンド30および第2補強バンド31は好ましくは、内側Iにのみ適用される。
【0018】
さらに別の変形例によれば、第1補強バンド30および第2補強バンド31は、内側Iおよび外側Eの両方に取り付けられる。本発明によれば、これらの第1および第2補強バンド30、31の各々は、下側開口21から上側開口22に伸びる方向に主に沿って位置するパス(または経路)P、P’、好ましくは湾曲したパスP、P’に沿って、配置される。
【0019】
加えて、第1補強バンド30は少なくとも部分的に第1接合領域300と重なり、第2補強バンド31は少なくとも部分的に第2接合領域301と重なる。
【0020】
好ましくは、また特には、第1補強バンド30は完全に第1接合領域300を被覆し、第2補強バンド31は完全に第2接合領域301を被覆する。
【0021】
第1および第2補強バンド30、31は、腱-筋肉機能について追加のサポート効果を提供し、特にその周囲に着用可能な繊維製品が着用される関節の筋肉について追加のサポート効果を与える。特に、第1および第2補強バンド30、31は、そこに着用可能な繊維製品1が着用される身体部分の主たる筋肉の方向と実質的に平行になる、及び/または当該方向と合致する(または一直線となる)ように、配置される。
【0022】
好ましくは、第1および第2補強バンド30、31の各々は、筒状要素2の生成ラインと平行である優先方向(または好ましい方向)を有する湾曲したパスに従う。
【0023】
加えて、第1補強バンド30および/または第2補強バンド31は、高分子物質から成る緯糸および経糸の織物を含む生地から成り、関節または身体部分の筋肉に対して改良されたサポートを与える。
【0024】
好ましくは、第1および/もしくは第2生地部分200、201ならびに/または第1および/または第2補強バンド30、31を作製するために用いる高分子物質は、ポリアミド物質を含む。より好ましくは、第1および/もしくは第2生地部分200、201ならびに/または第1および/または第2補強バンド30、31を作製するために用いる高分子物質は、ポリアミド物質(またはポリアミド材料)および弾性物質(または弾性材料)を含む。
【0025】
着用可能な繊維製品1の一つの態様によれば、第2生地部分201は、開口の境界211’により規定される開口211を含む。この開口211は、開口の境界211’の付近で接着または融着される、追加の生地部分212により被覆される。これは、例えば膝窩または肘窩(elbow fold)のような関節の後方部分付近にて適切な融通性を与えることを可能とする。好ましくは、追加の生地部分212は穿孔されて、通気性が向上することを可能にする。
【0026】
好ましい実施形態によれば、第1および第2補強バンド30、31は、実質的に筒状要素の全高Hに沿って延びる。
【0027】
実施形態のさらに別の変形例によれば、筒状要素を二等分する対称面Yを仮定したときに、第1補強バンド30は前記対称面Yに関して第2補強バンド31と対称である。換言すれば、第1補強バンド30がそれに沿って存在する第1パスPは、対称面Yに関連して、第2補強バンド31がそれに沿って存在する第2パスP’と対称である。
【0028】
好ましくは、第1補強バンド30および第2補強バンド31は、繊維製品が着用されたときに身体部分の前側ゾーンに配置されることとなる筒状要素2の前面領域Aから、繊維製品が着用されたときに身体部分の背面ゾーンに配置されることとなる筒状要素2の背面領域Bに走るパスP、P’に沿って、連続的に延びる。
【0029】
実施形態の変形例において、例えば腕固定器具の場合には、繊維製品が着用されたときに、第1補強バンド30は、身体部分の前面領域に配置されることとなる筒状要素2の前面領域Aにもっぱら配置していることが好ましく、第2補強バンド31は、身体部分の背面領域に配置されることとなる筒状要素2の背面領域Bに配置することが好ましい。
【0030】
繊維製品1の特に有利な変形例は、
図1~
図7に示すように、前記第1生地部分200および前記第2生地部分201を合わせて接合したもののみからなる筒状要素2を有する。すなわち、生地の追加の部分は、筒状要素を形成するために提供されない。
【0031】
図8~
図15に示すような、着用可能な繊維製品の他の変形例において、筒状要素2は、少なくとも第3生地部分202を含み、当該第3生地部分もまた、高分子物質(例えば、ポリアミド、またはポリエステル、またはエラスタン、および/または再生繊維)から成る緯糸および経糸を織ってなる生地からなる。この変形例において、筒状要素2は、第3接合領域302および第4接合領域303を含む。第1生地部分200は、第3接合領域302および第4接合領域303に沿って、第3生地部分202に(好ましくは超音波接合またはヒートシーリングにより)接合される。加えて、第3生地部分202は、並んで配置され、かつ第4接合領域303に少なくとも部分的に沿って(好ましくは超音波接合またはヒートシーリングにより)一体に接合された左側フラップ202’および右側フラップ202''を含む。このようにして、左側フラップ202’、右側フラップ202''、および第1生地部分200は、閉じた筒状形状を形成するために、第4接合領域303に沿って一体に接合される。
【0032】
この実施形態の変形例において、第1補強バンド30は、少なくとも部分的に(または完全に)第3接合領域302とも重なり合い、第2補強バンド31は、少なくとも部分的に(または完全に)第4接合領域303とも重なり合う。
【0033】
好ましくは、第1バンド30は、実質的に「U」または「V」形状である湾曲した領域31’を、着用可能な製品1が膝を含む腿に着用されたときに、当該湾曲した領域31’が実質的に膝蓋骨付近に配置されるように含んで、膝関節全体だけでなく、膝蓋骨に関して改良されたサポートを与える。
【0034】
先に説明したとおり、本発明の着用可能な繊維製品1は、繊維製品が着用されたときに、それが腿および膝関節の両方を囲むような高さHを有する、腿固定器具であることが好ましい。あるいは、着用可能な繊維製品は、繊維製品が着用されたときに、それが腕または前腕、および肘関節を囲むような高さHを有する、肘固定器具のような上肢用のスリーブであることが好ましい。
【0035】
同様に、着用可能な繊維製品は、筒状要素の高さHが、繊維製品が着用されたときに、それが踝関節および/または脹脛を囲むようなものである、脹脛固定器具または踝固定器具であってよい。
【0036】
本発明の主題はまた、本明細書の先の部分で説明した着用可能な繊維製品を製造する方法である。着用可能な繊維製品を製造する方法は、
図4~
図7および
図11~
図15を参照することでより明確に理解されるであろう、一連の工程を含む。
【0037】
繊維製品を製造する方法は、(好ましくは以下に記載の順序で実施される)工程を含む。
【0038】
a)高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより得られる生地からなる第1生地部分200を提供する工程
【0039】
b)高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより得られる生地からなる第2生地部分201を提供する工程
【0040】
c)第1生地部分200を、第2生地部分201に、第1接合領域300および第2接合領域301に沿って、好ましくは超音波接着またはヒートシーリングによって接合して、筒状要素2を得る工程
【0041】
d)第1補強バンド30を、外側Eにて少なくとも部分的に第1接合領域300に重なるように取り付ける工程
【0042】
e)第2補強バンド31を、外側Eにて少なくとも部分的に第2接合領域301に重なるように取り付ける(または当てる)工程。工程e)の終了により、例えば、
図6に示す筒状要素が得られる。
【0043】
好ましくは、当該方法は工程c)の前に以下の工程を含む。
【0044】
-例えば
図4に示すように、第2生地部分201に形成される開口211を規定する(または設ける)工程;
【0045】
-第2生地部分201の裏側にて、追加の生地部分212を開口の境界211’に接着して、例えば
図5に示すように、開口211を追加の生地部分212により覆う工程。
【0046】
続けて、当該方法は、繊維製品1の内側Iにて、上側開口22に環状支持バンド220を取り付ける工程を好ましくは含む。環状支持バンド220は、皮膚と接触したときに適切な密着を確保するために、シリコーン物質(またはシリコーン材料)からなることが好ましい。
【0047】
加えて、当該方法は、筒状要素2の下側開口21にて、環状アクセサリーバンド210を、例えば融着または接着により、適用する工程を好ましくは含む。
【0048】
図11~
図15を特に参照すると、この変形例における方法は以下の工程を含む。
【0049】
a1)高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより得られる生地からなる第1生地部分200を提供する工程;
【0050】
b1)高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより得られる生地からなる第2生地部分201を提供する工程;
【0051】
b2)高分子物質から成る緯糸および経糸を織成することにより得られる生地からなる第3生地部分202を提供する工程;
【0052】
c1)(例えば
図12に示すように)第2生地部分201を少なくとも部分的に第3生地部分202に重ねる工程;
【0053】
c2)例えば、
図13に示すように、第1生地部分200を、第2生地部分201および第3生地部分202に、第2接合領域301および第3接合領域302に沿って、好ましくは超音波接着またはヒートシーリングにより接合して、筒状要素2を得る工程;
【0054】
d1)第2補強バンド31を、外側Eにて、第2接合領域301および第3接合領域302に、少なくとも部分的に(または完全に)重なるように接合する工程(
図13);
【0055】
d2)例えば
図14および
図9に示すように、第1生地部分200を第2生地部分201および第3生地部分202に、第1接合領域300および第4接合領域303に沿って、好ましくは超音波接着またはヒートシーリングにより接合する工程;
【0056】
e1)第1補強バンド30を、外側Eにて少なくとも部分的に(または完全に)第1接合領域300および第4接合領域303に重なるように適用する工程。
【0057】
工程e1)の終わりに、例えば、
図14に示す筒状要素が得られる。
【0058】
当該方法のこの変形例はまた、好ましくは、環状支持バンド220を上側開口22に、繊維製品1の内側Iにて取り付けることを要求する(
図15)。
【0059】
加えて、当該方法のこの変形例はまた、好ましくは、環状アクセサリーバンド210を筒状要素2の下側開口22にて、例えば接着により取り付けることを要求する(
図8)。
【0060】
第1生地部分200、および/または第2生地部分201、および/または第3生地部分202は、好ましくは平坦な生地部分であることは明らかである。
【0061】
革新的な方法で、本発明の着用可能な繊維製品は、従来技術に関連する欠点を克服する。特に、繊維製品は全体的に緯糸および経糸の生地部分で作製されるので、筋肉および関節機能にとって効果的で適切なサポートが、すべての方向における(軸および周長方向の両方における)均一な圧迫のために達成される。加えて、緯糸および経糸生地のために、先行技術の編物筒状製品の場合に用いられる生地と同じ量で、サイズとフィット感の点でより大きな融通性を達成することができる。特に、圧迫を調整するアイテム、例えば、ベルクロ(登録商標)ストラップおよび類似のアイテムがもはや不要となる。
【0062】
さらに、特に有利なやり方において、筒状要素2は、生地部分を接合しているために、完全に縫目を有さず、したがって着用者に最大限の快適さを確保する。
【0063】
さらにより有利には、第1および第2補強バンドの存在は、筋肉のサポート機能をさらに改良して、先行技術に係る「テーピング」という固有感覚のサポート効果に類似する効果をつくりだすが、この場合には直接的に着用可能な繊維製品に組み込まれる。そして、有利には、単一の動作でもって、利用者が繊維製品を着けることができ、一体となったテーピングが自動的に配置されて、固定されていない嵩高のストラップや縫目に起因する使用の違和感または不快感を経験することなく、筋肉機能をサポートする。
【0064】
さらに、接合に適した形状の平坦な生地部分が筒状要素を構成しているために、着用可能な繊維製品の製造は特に単純で効率的である。実際に、複雑な編機(または靴下製造機)は必要とされない。
【0065】
当業者は、特定の要求を満たす目的で、着用可能な繊維製品およびその製造方法の実施形態に対して、要素の変更、または他の機能的に等価なものによる要素の置換を行うことができる。
【0066】
そのような変形例はまた、以下の請求の範囲により規定される保護範囲内のものである。