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特許7477190無線通信装置、無線通信方法及び無線通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法及び無線通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/18 20180101AFI20240423BHJP
   H04W 8/26 20090101ALI20240423BHJP
   H04W 84/12 20090101ALN20240423BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W8/26
H04W84/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022020569
(22)【出願日】2022-02-14
(65)【公開番号】P2023117808
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】金原 孝
【審査官】吉倉 大智
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-091082(JP,A)
【文献】特開2015-177359(JP,A)
【文献】特開2005-32014(JP,A)
【文献】特開2015-146561(JP,A)
【文献】特開2018-007185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行う無線通信部と、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行う接続確認部と、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知する通知部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記無線通信部に過去に設定されていた通信設定を記した通信設定履歴テーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記接続確認部が、前記通信設定履歴テーブルに記されている全ての通信設定での前記無線子機からの着信を受け付け、
前記通知部が、前記通信設定履歴テーブルに記されている通信設定の中で、いずれの通信設定での着信を前記接続確認部が前記無線子機から受け付けたかをユーザに対して通知する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記記憶部が、前記接続確認部によって着信を受け付けた前記無線子機の識別子と、当該無線子機から受け付けた着信の通信設定とを記した過去設定着信テーブルを更に記憶し、
前記通知部が、前記過去設定着信テーブルの内容をディスプレイに表示する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記記憶部が、外部装置としてのサーバに備えられ、
前記サーバから前記通信設定履歴テーブルを読み出して、前記通信設定履歴テーブルに記されている全ての通信設定での前記無線子機からの着信を受け付けるように前記接続確認部の設定を変更する設定変更部を更に備える、請求項2又は3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行うように無線通信部の通信設定を変更するステップと、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行うように接続確認部の通信設定を変更するステップと、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知するステップと、
を含む、無線通信方法。
【請求項6】
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行うように無線通信部の通信設定を変更する処理と、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行うように接続確認部の通信設定を変更する処理と、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知する処理と、
をコンピュータに実行させる無線通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信方法及び無線通信プログラムに関する。特に、通信設定を変更可能な無線通信装置、無線通信方法及び無線通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)通信では、セキュリティを確保するためにアクセスポイントとして動作する通信機器の通信設定(識別子のSSIDや暗号化情報など)を定期的に変更することが望ましい。一方で、無線LANの普及により通信機器には多数の無線子機が接続していることが多く、通信機器の通信設定を変更するたびに通信機器に接続する全ての無線子機の通信設定を漏れなく変更することが必要となる。無線子機の通信設定が変更されなければ、その無線子機は通信機器に対して接続できなくなる。
【0003】
このような状況に対応するため、特許文献1、2には通信機器における通信設定の変更に応じて、無線子機の通信設定を自動で変更する技術が開示されている。また、特許文献3には、接続できなくなった無線子機が通信機器に対して接続を要求する技術が開示されている。また、特許文献4には変更前の通信設定で接続中の無線子機に対しては、通信機器における通信設定の変更が行われた場合であっても変更前の通信設定での接続を維持する技術が開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-165794号公報
【文献】特開2007-184764号公報
【文献】特開2012-227786号公報
【文献】特開2012-105213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【0006】
特許文献1、2の技術は、無線子機が通信設定を自動で変更する機能を備えることが前提となり、また特許文献3の技術は、無線子機が通信機器に対して接続を要求する機能を備えることが前提となる。そのため、そのような機能を備えていない無線子機は通信設定が変更されずに放置されることになるため、ユーザによる手動での通信設定の変更が必要になる。
【0007】
ここで、手動での通信設定の変更が必要な無線子機についてユーザが把握していなければならないが、多数の無線子機に関して各々のスペックをユーザが把握しているという状況は考え難い。そのため上記の技術では、通信設定の変更が行われない無線子機も生じ得るという問題がある。
【0008】
また、通信機器の通信設定の変更はセキュリティを確保する目的で行われるケースがあるが、無線子機が通信設定を自動で変更してしまうと、接続を拒否したい無線子機に関しても接続を許容してしまうという問題点もある。
【0009】
なお、特許文献4の技術は、一時的に接続を維持するに過ぎず根本的な解決にはなり得ない。
【0010】
そこで、本発明では、通信設定の変更が行われない無線子機の発生を防止することに貢献する無線通信装置、無線通信方法及び無線通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の視点によれば、
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行う無線通信部と、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行う接続確認部と、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知する通知部と、
を備える無線通信装置が提供される。
【0012】
本発明の第2の視点によれば、
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行うように無線通信部の通信設定を変更するステップと、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行うように接続確認部の通信設定を変更するステップと、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知するステップと、
を含む、無線通信方法が提供される。
【0013】
本発明の第3の視点によれば、
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行うように無線通信部の通信設定を変更する処理と、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行うように接続確認部の通信設定を変更する処理と、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知する処理と、
をコンピュータに実行させる無線通信プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の各視点によれば、通信設定の変更が行われない無線子機の発生を防止することに貢献する無線通信装置、無線通信方法及び無線通信プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の概要を説明するための図である。
図2】実施形態1の無線通信装置10に関するブロック図である。
図3】動作設定テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
図4】通信設定履歴テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
図5】設定変更時の流れを示すフローチャート図である。
図6】通知までの流れを示すフローチャート図である。
図7】過去設定着信テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
図8】実施形態2の無線通信装置10に関するブロック図である。
図9】実施形態2の無線通信装置10による処理の流れを示すフローチャート図である。
図10】無線通信装置10としてのコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のとり得る好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
【0017】
先ず、本発明の一概要について説明する。図1に示すように、無線通信装置10は、無線通信部1と、接続確認部2と、通知部3とを備える。無線通信部1は、ユーザによって変更された第1通信設定で無線子機と通信を行う。接続確認部2は、ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行う。通知部3は、接続確認部2が無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知する。
【0018】
このような無線通信装置10によれば、変更前の通信設定である第2通信設定のままの無線子機についてユーザが把握することができ、通信設定の変更が行われない無線子機の発生を防止することが可能になる。
【0019】
[実施形態1]
以下では、上記一概要として説明した無線通信装置10を実施形態1として詳細に説明する。
【0020】
実施形態1の無線通信装置10は、無線子機20、30、40と無線通信を行うとともに、ネットワーク50及び通信端末60と有線で接続される。無線通信装置10は、図2に示すように、無線通信部1、接続確認部2、通知部3、制御部4、記憶部5、タイマ6、WAN通信部7及び有線通信部8を備える。
【0021】
記憶部5は、無線通信設定の内容を保存可能なメモリなどである。具体的には、記憶部5は、動作設定テーブルと、通信設定履歴テーブルと、過去設定着信テーブルとを記憶する。
【0022】
動作設定テーブルは、例えば、図3に示すように、無線通信部1の現状の通信設定に関する識別子と、SSID(Service Set Identifier)と、パスワードとを対応付けて記憶する。この動作設定テーブルは、ユーザによる無線通信装置10の通信設定の変更に応じて書き換えられる。例えば、無線通信装置10の通信設定が設定:Bから設定:Cに変更された場合に、動作設定テーブルは図3(1)から図3(2)に書き換えられる。
【0023】
通信設定履歴テーブルは、無線通信部1に過去に設定されていた通信設定を記憶する。例えば、図4に示すように、通信設定履歴テーブルは、無線通信部1に過去に設定されていた通信設定の識別子と、SSIDと、パスワードとを対応付けて記憶する。この通信設定履歴テーブルには、ユーザによって無線通信装置10の通信設定が変更された際に、変更前の通信設定が追加される。例えば、無線通信装置10の通信設定が設定:Bから設定:Cに変更された場合には、変更前の通信設定履歴テーブルである図4(1)に対して、変更された設定:Bのエントリが追加されて図4(2)となる。
【0024】
過去設定着信テーブルについては後に詳細に説明する。
【0025】
無線通信部1は、IEEE802.11で規定された無線LANにより通信可能に構成される。具体的には無線通信部1は、動作設定テーブルに登録された通信設定で無線子機20、30、40と通信を行う。ここで、動作設定テーブルには、ユーザによって設定された最新の通信設定が登録されているため、無線通信部1は「ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行う」とも言い換えられる。
【0026】
接続確認部2は、無線通信部1と同じ無線規格の無線子機からの接続を確認可能に構成される。具体的には接続確認部2は、動作設定テーブルに登録された通信設定での無線子機20、30、40からの着信を受け付けて接続確認を行う。ここで、動作設定テーブルには、ユーザによって変更された過去の通信設定が登録されているため、接続確認部2は、「ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行う」とも言い換えられる。
【0027】
通知部3は、ユーザに情報通知可能なLEDランプ、ディスプレイなどである。
【0028】
制御部4は、無線通信装置10の動作を制御するCPUである。具体的には、制御部4は、ユーザによって指示された通信設定の変更内容を無線通信部1に反映するとともに、接続確認部2の着信設定の変更を行う。また、制御部4は、動作設定テーブル、通信設定履歴テーブル及び過去設定着信テーブルの書き換えも行う。
【0029】
タイマ6は、無線通信装置10の動作時刻を管理する。
【0030】
WAN(Wide Area Network)通信部7は、IEEE802.3で規定された有線LANによりインターネットなどのネットワーク50に接続可能とする。
【0031】
有線通信部8は、IEEE802.3で規定された有線LANによりPCなどの通信端末60と通信可能とする。なお、IEEE802.11/IEEE802.3に規定される機能や構成は、当業者にとってよく知られたものであるため、詳細な説明は割愛する。
【0032】
以下では、具体的な一例を挙げて無線通信装置10による処理の流れを説明するとともに、無線通信装置10の各構成要素についてより詳細に説明する。ここで、無線子機20は、無線通信装置10の動作を管理するユーザが無線通信装置10に接続していることを認識している子機とする。また、無線子機30は、無線通信装置10の動作を管理するユーザが無線通信装置10に接続していることを認識しておらず、かつ常時無線通信装置10に接続している子機とする。また、無線子機40は、無線通信装置10の動作を管理するユーザが無線通信装置10に接続していることを認識しておらず、1日に1回の頻度で短時間のみ間欠的に無線通信装置10に接続を行う子機とする。また、無線子機20、30の現状の通信設定が設定:Bであるものとし、無線子機40の現状の通信設定が設定:Aであるものとする。そして、動作設定テーブルが図3(1)の状態にあるものとし、通信設定履歴テーブルが図4(1)の状態にあるものとする。
【0033】
<設定変更時の流れ>
図5に示すように、無線通信装置10は、ユーザによって入力された通信設定を設定:Bから設定:Cに変更する指示を受け付ける。この時(ステップS11、Yes)、制御部4は、動作設定テーブルを図3(2)に書き換え(ステップS12)、通信設定履歴テーブルを図4(2)に書き換える(ステップS13)。そして、制御部4は、無線通信部1の通信設定を設定:Bから設定:Cに変更し(ステップS14)、設定:A及び設定:Bでの着信を行うように接続確認部2を設定する(ステップS15)。
【0034】
その際に、無線子機20については、ユーザが無線通信装置10に接続していることを認識しているため、通信設定の設定:Bから設定:Cへの変更が手動で行われる。一方で、無線子機30、40についてはユーザが無線通信装置10に接続していることを認識していないため、無線子機30の通信設定は設定:Bのままで放置され、無線子機40の通信設定は設定:Aのままで放置される。
【0035】
<通知までの流れ>
以下では、無線通信装置10及び無線子機20における設定:Bから設定:Cへの通信設定の変更が既に行われているものとする。図6に示すように、接続確認部2は、無線子機30から設定:Bでの着信及び/又は無線子機40から設定:Aでの着信(つまり、変更前の設定での着信)を受け付ける。この時(ステップS21、Yes)制御部4は、図7に示す過去設定着信テーブルを作成する(ステップS22)。例えば、無線子機40から設定:Aでの着信を受け付けた際に、制御部4は、設定:Aに関する過去設定着信テーブル(図7(1))に、無線子機40の識別情報(例えばMACアドレス)と着信時刻とを対応付けたエントリを作成する。また、無線子機30から設定:Bでの着信を受け付けた際に、制御部4は、設定:Bに関する過去設定着信テーブル(図7(2))に、無線子機30の識別情報と着信時刻とを対応付けたエントリを作成する。
【0036】
そして、制御部4は、無線子機30、40に設定されている通信設定が設定変更前のままである旨をユーザに対して通知する。例えば、制御部4は、LEDランプとしての通知部3を点滅させるなど、ユーザに対して詳細の確認を促す(ステップS23)。そして、ユーザから詳細表示指示を受け付けると(ステップS24、Yes)、制御部4は、ディスプレイとしての通知部3に過去設定着信テーブルの内容を表示する(ステップS25、Yes)。例えば、図7(1)の内容を閲覧したユーザは、無線子機40の設定が設定:Aのままであることを把握することができる。また、図7(2)の内容を閲覧したユーザは、無線子機30の設定が設定:Bのままであることを把握することができる。要するに、通知部3は、通信設定履歴テーブルに記されている通信設定の中で、いずれの通信設定での着信を接続確認部2が無線子機30、40から受け付けたかをユーザに対して通知する。以後、ユーザによって無線子機30、40の通信設定の変更が手動で行われることになる。
【0037】
以上のように、本発明によれば通信設定の変更が行われていない無線子機を見つけ出すことができ、通信設定の変更が行われない無線子機の発生を防止することができる。特に、実施形態1の無線通信装置10は、無線通信部1に過去に設定されていた全ての通信設定での着信を受け付けるため、複数回にわたって通信設定が変更された場合であっても、かなり前の通信設定のままの無線子機も見つけ出すことができる。
【0038】
[実施形態2]
実施形態2の無線通信装置10は、図8に示す様にネットワーク50を介してサーバ70と接続され、記憶部5がサーバ70の構成要素として備えられる点が実施形態1と異なる。実施形態2では、無線通信装置10そのものを新たなものに交換した場合であっても、通信設定の変更が行われない無線子機の発生を防止することが可能になる。
【0039】
以下では実施形態2の無線通信装置10(交換後の無線通信装置10)による処理について説明する。なお、交換前の無線通信装置10に関して、無線通信部1の通信設定が設定:Cであり、接続確認部2が設定:A及び設定:Bでの着信を行うように設定されているものとする。そして、サーバ70における記憶部5には、図3(2)に示す動作設定テーブルと、図4(2)に示す通信設定履歴テーブルとが格納されているものとする。
【0040】
新たに設置された無線通信装置10(すなわち交換後の無線通信装置10)の制御部4は、図9に示すように、サーバ70における記憶部5へアクセスして動作設定テーブルと通信設定履歴テーブルとを読み出す(ステップS31)。そして、制御部4は、無線通信部1の通信設定を設定:Bから設定:Cに変更し(ステップS32)、設定:A及び設定:Bでの着信を行うように接続確認部2を設定する(ステップS33)。
【0041】
なお、制御部4は、サーバ70から通信設定履歴テーブルを読み出して、通信設定履歴テーブルに記されている全ての通信設定での無線子機からの着信を受け付けるように接続確認部2の設定を変更する設定変更部とも表現され得る。
【0042】
なお、その他の処理については、無線通信装置10がサーバ70へアクセスして情報を読み出す/書き換える点を除いて実施形態1と同様である。
【0043】
以上のように、実施形態2では、無線通信装置10そのものを新たなものに交換した場合であっても、通信設定の変更が行われない無線子機の発生を防止することが可能になる。
【0044】
[他の実施形態]
例えば、実施形態1、2では、無線通信部1と接続確認部2とを別個の構成要素として説明したが、複数のSSIDなどの複数の通信設定を扱える構成として統合しても良い。
【0045】
また、実施形態1、2では、通信設定としてSSID及びパスワードを記憶する場合を説明したが、暗号化方式、使用周波数、対応規格を記憶する場合であっても同様の効果が達成される。
【0046】
また、実施形態1ではディスプレイとしての通知部3に過去設定着信テーブルの内容を表示する場合を説明したが、通信端末60に出力表示するようにしても良い。
【0047】
また、本発明は、無線通信装置10としてのコンピュータによる無線通信方法、又は当該コンピュータが実行する無線通信プログラムとしても実現可能である。すなわち、図10に示すように、コンピュータのCPU(Central Processing Unit:制御部4に相当)がメモリ(記憶部5に相当)から無線通信プログラムを読み出して、通知部3に相当するモジュールを実現することによって本発明は実現され得る。なお、無線通信部1及び接続確認部2に関しては、インターフェイスを介して接続される別個の構成として実現され得る。あるいは、無線通信部1及び接続確認部2を無線通信装置10としてのコンピュータに実装しても良い。
【0048】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0049】
(付記1)
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行う無線通信部と、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行う接続確認部と、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知する通知部と、
を備える無線通信装置。
【0050】
(付記2)
前記無線通信部に過去に設定されていた通信設定を記した通信設定履歴テーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記接続確認部が、前記通信設定履歴テーブルに記されている全ての通信設定での前記無線子機からの着信を受け付け、
前記通知部が、前記通信設定履歴テーブルに記されている通信設定の中で、いずれの通信設定での着信を前記接続確認部が前記無線子機から受け付けたかをユーザに対して通知する、付記1に記載の無線通信装置。
【0051】
(付記3)
前記記憶部が、前記接続確認部によって着信を受け付けた前記無線子機の識別子と、当該無線子機から受け付けた着信の通信設定とを記した過去設定着信テーブルを更に記憶し、
前記通知部が、前記過去設定着信テーブルの内容をディスプレイに表示する、
付記2に記載の無線通信装置。
【0052】
(付記4)
前記記憶部が、外部装置としてのサーバに備えられ、
前記サーバから前記通信設定履歴テーブルを読み出して、前記通信設定履歴テーブルに記されている全ての通信設定での前記無線子機からの着信を受け付けるように前記接続確認部の設定を変更する設定変更部を更に備える、付記2又は3に記載の無線通信装置。
【0053】
(付記5)
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行うように無線通信部の通信設定を変更するステップと、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行うように接続確認部の通信設定を変更するステップと、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知するステップと、
を含む、無線通信方法。
【0054】
(付記6)
ユーザによって変更された第1通信設定で通信を行うように無線通信部の通信設定を変更する処理と、
ユーザによって変更される前の第2通信設定での無線子機からの着信を受け付けて接続確認を行うように接続確認部の通信設定を変更する処理と、
前記接続確認部が前記無線子機から第2通信設定での着信を受け付けた場合に、前記無線子機に設定されている通信設定が第2通信設定のままである旨をユーザに対して通知する処理と、
をコンピュータに実行させる無線通信プログラム。
【0055】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0056】
1 :無線通信部
2 :接続確認部
3 :通知部
4 :制御部
5 :記憶部
6 :タイマ
7 :WAN通信部
8 :有線通信部
10 :無線通信装置
20、30、40 :無線子機
50 :ネットワーク
60 :通信端末
70 :サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10