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特許7477192物理的電力デジタル通貨の取引システム及び取引方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】物理的電力デジタル通貨の取引システム及び取引方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240423BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022054683
(22)【出願日】2022-03-29
(65)【公開番号】P2022159136
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】110111951
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】596009559
【氏名又は名称】姚 立和
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】姚 立和
【審査官】上田 翔太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144760(JP,A)
【文献】登録実用新案第3237626(JP,U)
【文献】特開2019-144761(JP,A)
【文献】特開2018-109809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力バンクプラットフォームと、少なくとも1つの販売業者と、少なくとも1人の個人会員と、が少なくとも1つの電力デジタル通貨取引イベントを実行するために用いられる物理的電力デジタル通貨の取引システムであって、
前記物理的電力デジタル通貨の取引システムは、
電力バンクプラットフォームが所有する取引管理ホスト(10)と、
少なくとも1つの販売業者の取引ポイント装置(20)と、
少なくとも1人の個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)と、からなり、
前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)は、
エネルギー蓄積ユニット(353)と、
電力管理ユニット(351)と、
メモリーユニット(32)と、を備え、
電力を前記エネルギー蓄積ユニット(353)に入力して保存できるとともに、前記エネルギー蓄積ユニット(353)の電力を出力して売却でき、
前記電力管理ユニット(351)は、前記エネルギー蓄積ユニット(353)の電力を所定の換算比率によって換算した容量電力デジタル通貨を前記メモリーユニット(32)に記録し、
前記販売業者は、電力交換能力と、電力以外の商品の販売能力と、を備えた店舗であり、
前記取引ポイント装置(20)は、エネルギー蓄積設備(263)と、電力交換ユニット(26)と、を備え、
前記取引ポイント装置(20)の前記電力交換ユニット(26)は、個人会員が前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記エネルギー蓄積ユニット(353)から出力して前記取引ポイント装置(20)の前記エネルギー蓄積設備(263)に向けて売却した電力に相当する容量電力デジタル通貨を使用可能な電力デジタル通貨として前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記メモリーユニット(32)に記録し、
また、前記取引ポイント装置(20)の前記電力交換ユニット(26)は、個人会員が前記取引ポイント装置(20)の前記エネルギー蓄積設備(263)から購入して前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記エネルギー蓄積ユニット(353)に入力した電力に相当する容量電力デジタル通貨を前記使用可能な電力デジタル通貨から差し引いた値を前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記メモリーユニット(32)に記録し、
さらに、また、前記取引ポイント装置(20)の前記電力交換ユニット(26)は、前記個人会員と前記販売業者との間の取り引きにおいて前記個人会員が前記使用可能な電力デジタル通貨を使用して電力以外の商品の購入を行った場合には、前記メモリーユニット(32)に記録された前記使用可能な電力デジタル通貨から使用した前記使用可能な電力デジタル通貨を差し引いた値を前記メモリーユニット(32)に記録し、
さらに、前記取引ポイント装置(20)は前記取引管理ホスト(10)と通信し、取り引きを行った個人会員の情報ととともに前記使用可能な電力デジタル通貨および前記容量電力デジタル通貨の移行を前記取引管理ホスト(10)の取引イベント管理モジュール(15)に送信する
ことを特徴とする物理的電力デジタル通貨の取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物理的電力デジタル通貨の取引システムにおいて、
前記取引管理ホスト(10)は、少なくとも、
処理ユニット(11)と、
メモリーユニット(12)と、
送信ユニット(13)と、
前記取引イベント管理モジュール(15)と、
前記個人会員の情報を管理する個人会員管理モジュール(16)と、
前記販売業者の情報を管理する販売業者管理モジュール(17)と、
電力デジタル通貨管理モジュール(19)と、を備え、
そのうち、前記処理ユニット(11)は、内蔵プログラムの実行及び各種データの処理に用いられ、
前記処理ユニット(11)に接続される前記メモリーユニット(12)は、プログラム及び各種データを保存するのに用いられ、
また、前記処理ユニット(11)に接続される前記送信ユニット(13)は、前記取引ポイント装置(20)に接続されるとともに、
前記取引イベント管理モジュール(15)および前記電力デジタル通貨管理モジュール(19)は、前記メモリーユニット(12)に内蔵されるプログラムによって実現される機能であり、前記メモリーユニット(12)は前記処理ユニット(11)を介して前記送信ユニット(13)に繋がり、
前記個人会員管理モジュール(16)は、前記メモリーユニット(12)内に保存され、
さらに、前記販売業者管理モジュール(17)は、前記メモリーユニット(12)内に保存され、
さらに、前記電力デジタル通貨管理モジュール(19)は、取り引きを行った個人会員の情報ととともに前記使用可能な電力デジタル通貨および前記容量電力デジタル通貨の移行を管理する
ことを特徴とする物理的電力デジタル通貨の取引システム。
【請求項3】
請求項2に記載の物理的電力デジタル通貨の取引システムにおいて、
前記取引管理ホスト(10)は、さらに、電力接続ポート(181)と、エネルギー蓄積設備(182)と、電力管理ユニット(18)と、を備え、
前記電力接続ポート(181)が外部の電源に接続されて前記エネルギー蓄積設備(182)には電力が保存できるとともに、前記電力接続ポート(181)を介して前記エネルギー蓄積設備(182)の電力を出力でき、
前記電力管理ユニット(18)は、前記エネルギー蓄積設備(182)の電力を所定の換算比率によって換算した容量電力デジタル通貨を管理する
ことを特徴とする物理的電力デジタル通貨の取引システム。
【請求項4】
請求項1に記載の物理的電力デジタル通貨の取引システムにおいて、
前記取引ポイント装置(20)は、少なくとも、
処理ユニット(21)と、
取引モジュール(25)を内蔵するメモリーユニット(22)と、
送信ユニット(23)と、
前記電力交換ユニット(26)と、
近接感知ユニット(27)と、を備え、
そのうち、前記処理ユニット(21)は、内蔵プログラムの実行及び各種データの処理に用いられ、
前記メモリーユニット(22)は、前記処理ユニット(21)に接続され、
また、前記処理ユニット(21)に接続される前記送信ユニット(23)は、前記取引管理ホスト(10)に接続するのに用いられ、
そのうち、前記取引モジュール(25)は、取引方法を選択する機能を備え、
さらに、前記電力交換ユニット(26)は、前記処理ユニット(21)に接続され、
前記電力交換ユニット(26)は、
電力管理ユニット(261)と、
前記電力管理ユニット(261)に接続される少なくとも1つの電力接続ポート(262)と、
少なくとも1つの前記エネルギー蓄積設備(263)と、を備え、
そのうち、前記電力管理ユニット(261)は、前記電力接続ポート(262)によって各前記エネルギー蓄積設備(263)に入力または出力される電力を管理制御するのに用いられる
ことを特徴とする物理的電力デジタル通貨の取引システム。
【請求項5】
請求項1に記載の物理的電力デジタル通貨の取引システムにおいて、
前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)は、少なくとも、
処理ユニット(31)と、
前記メモリーユニット(32)と、
近接感知ユニット(33)と、
電力エネルギー蓄積ユニット(35)と、を備え、
そのうち、前記処理ユニット(31)は、内蔵プログラムの実行及び各種データの処理に用いられ、前記処理ユニット(31)に接続される前記メモリーユニット(32)は、プログラム、蓄電量、電力デジタル通貨、及び、各種データの保存に用いられ、また、前記処理ユニット(31)に接続される前記近接感知ユニット(33)は、前記取引ポイント装置(20)と相互に感知して取引データを送信し、
さらに、前記電力エネルギー蓄積ユニット(35)は、前記処理ユニット(31)に接続され、前記電力エネルギー蓄積ユニット(35)は、前記電力管理ユニット(351)と、前記電力管理ユニット(351)に接続される電力接続ポート(352)と、前記エネルギー蓄積ユニット(353)と、を備える
ことを特徴とする物理的電力デジタル通貨の取引システム。
【請求項6】
請求項5に記載の物理的電力デジタル通貨の取引システムにおいて、
第一の前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)は、第二の前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)と取引を実行するものであって、
第一の前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)と第二の前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)とのいずれかは前記処理ユニット(31)に接続される送信ユニット(38)を介して前記取引管理ホスト(10)に接続されることで、各種取引データが送受信され、
前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)と前記第二の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)とは互いの電力接続ポート(352)によって相互に接続し、
さらに、前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)と前記第二の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)とは互いの近接感知ユニット(33)によって相互に感知し、
前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)が電力を前記第二の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)に売却するとき、
前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の電力エネルギー蓄積ユニット(35)が、前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のエネルギー蓄積ユニット(353)の電力を前記第二の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のエネルギー蓄積ユニット(353)に移転させ、
前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のエネルギー蓄積ユニット(353)が移転した電力に相当する容量電力デジタル通貨を前記第二の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のメモリーユニット(32)に加算し、前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のメモリーユニット(32)から差し引き、
前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のエネルギー蓄積ユニット(353)が移転した電力の容量電力デジタル通貨に相当する使用可能な電力デジタル通貨を前記第二の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のメモリーユニット(32)から差し引き、前記第一の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)のメモリーユニット(32)に加算し、
前記送信ユニット(38)は、前記取引管理ホスト(10)と通信し、取り引きを行った個人会員の情報ととともに前記使用可能な電力デジタル通貨および前記容量電力デジタル通貨の移行を前記取引管理ホスト(10)の取引イベント管理モジュール(15)に送信する
ことを特徴とする物理的電力デジタル通貨の取引システム。
【請求項7】
電力バンクプラットフォームと、少なくとも1つの販売業者と、少なくとも1人の個人会員と、が少なくとも1つの電力デジタル通貨取引イベントを実行するために用いられる物理的電力デジタル通貨の取引システムを用いた物理的電力デジタル通貨の取引方法であって、
前記物理的電力デジタル通貨の取引システムは、
電力バンクプラットフォームが所有する取引管理ホスト(10)と、
少なくとも1つの販売業者の取引ポイント装置(20)と、
少なくとも1人の個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置(30)と、からなり、
前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)は、エネルギー蓄積ユニット(353)と、電力管理ユニット(351)と、メモリーユニット(32)と、を備え、
電力をエネルギー蓄積ユニット(353)に入力して保存できるとともに、前記エネルギー蓄積ユニット(353)の電力を出力して売却でき、
前記電力管理ユニット(351)は、前記エネルギー蓄積ユニット(353)の電力を所定の換算比率によって換算した容量電力デジタル通貨をメモリーユニット(32)に記録し、
前記販売業者は、電力交換能力と、電力以外の商品の販売能力と、を備えた店舗であり、
前記取引ポイント装置(20)は、エネルギー蓄積設備(263)と、電力交換ユニット(26)と、を備え、
前記取引ポイント装置(20)の前記電力交換ユニット(26)は、個人会員が前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記エネルギー蓄積ユニット(353)から出力して前記取引ポイント装置(20)の前記エネルギー蓄積設備(263)に向けて売却した電力に相当する容量電力デジタル通貨を使用可能な電力デジタル通貨として前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記メモリーユニット(32)に記録し、
また、前記取引ポイント装置(20)の前記電力交換ユニット(26)は、個人会員が前記取引ポイント装置(20)の前記エネルギー蓄積設備(263)から購入して前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記エネルギー蓄積ユニット(353)に入力した電力に相当する容量電力デジタル通貨を前記使用可能な電力デジタル通貨から差し引いた値を前記携帯型エネルギー蓄積裝置(30)の前記メモリーユニット(32)に記録し、
さらに、また、前記取引ポイント装置(20)の前記電力交換ユニット(26)は、
前記個人会員と前記販売業者との間の取り引きにおいて前記個人会員が前記使用可能な電力デジタル通貨を使用して電力以外の商品の購入を行った場合には、前記メモリーユニット(32)に記録された前記使用可能な電力デジタル通貨から使用した前記使用可能な電力デジタル通貨を差し引いた値を前記メモリーユニット(32)に記録し、
さらに、前記取引ポイント装置(20)は前記取引管理ホスト(10)と通信し、取り引きを行った個人会員の情報ととともに前記使用可能な電力デジタル通貨および前記容量電力デジタル通貨の移行を前記取引管理ホスト(10)の取引イベント管理モジュール(15)に送信する
ことを特徴とする物理的電力デジタル通貨の取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力シェアリングエコノミーの取引の技術分野に関し、特に、小規模団体間で電力による取引を行えるようにすることで、グリーンエネルギー産業を活性化させ、それにより、誰でもグリーンエネルギーを効果的に活用できるようにするとともに、電力市場においてシェアリングエコノミーを創出することのできる物理的電力デジタル通貨の取引システム及び取引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における科学技術の発展により、グリーンエネルギーの取得効率及び安定性はいずれも大幅に向上しており、コストが高く不安定であるといった欠点もすでに改善されているため、一般家庭及び産業への応用意欲も高まっている。しかしながら、グリーンエネルギー産業は大企業に独占されており、一般家庭または小企業(以下、小規模団体)は、グリーンエネルギーを利用することしかできず、グリーンエネルギー産業に投資することができない。そのため、小規模団体がグリーンエネルギー生成設備を個人で設置したとしても、生産したエネルギーは自己使用に限られ、余剰電力がある場合にも取引したり償還したりしてグリーンエネルギーの生産に投資することができないため、グリーンエネルギー生産設備を広く設置する意欲がそがれてしまっている。言い換えると、上述した電力の取引問題がグリーンエネルギー産業を小規模団体に普及させることを難しくしている。そのため、温室効果ガスの削減問題を根本的に解決することができておらず、それにより、グリーンエネルギー産業を効果的に創出且つ発展させることもできていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、主に、小規模団体間で電力による取引を行えるようにすることで、グリーンエネルギー産業を活性化させ、それにより、誰でもグリーンエネルギーを効果的に活用できるようにするとともに、電力市場においてシェアリングエコノミーを創出することのできる物理的電力デジタル通貨の取引システム及び取引方法を提供することを目的とする。
【0004】
本発明は、さらに、投資コスト及び損失リスクを低減できることで、一般家庭または小型企業が電力産業に投資できるようにし、さらに、エネルギー不足の問題を解決するとともに経済をより活性化させることのできる物理的電力デジタル通貨の取引システム及び取引方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の物理的電力デジタル通貨の取引システムは、電力バンクプラットフォーム、少なくとも1つの販売業者、及び、少なくとも1人の個人会員が少なくとも1つの電力デジタル通貨取引イベントを実行するのに用いられる。前記電力デジタル通貨取引イベントには、電力の交換及び電力デジタル通貨の取引が含まれ、前記物理的電力デジタル通貨の取引システムは、電力バンクのプラットフォームが所有する取引管理ホストと、少なくとも1つの販売業者の取引ポイント装置と、少なくとも1人の個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置とからなる。前記電力バンクプラットフォームが所有する取引管理ホストによって、取引イベント管理モジュールが実行されることで、前記複数の電力デジタル通貨取引イベントが管理され、前記少なくとも1つの販売業者の取引ポイント装置は、取引管理ホストと接続されてデータを送信する。前記取引ポイント装置によって、取引モジュールが実行されるとともに、前記取引ポイント装置によって、少なくとも1人の個人会員は電力の交換及び電力デジタル通貨の取引を実行する。前記少なくとも1人の個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置は、前記取引ポイント装置と接近して感知することでデータを送信し、さらに、前記携帯型エネルギー蓄積裝置により電力が保存されるとともに、電力と電力デジタル通貨の計算及び換算が実行され、残りの電力は容量電力デジタル通貨に換算され、さらに、前記容量電力デジタル通貨は、使用後に足し引きされて累計が使用可能な電力デジタル通貨になる。これにより、個人会員は、前記携帯型エネルギー蓄積裝置と相互に対応する前記販売業者の取引ポイント装置によって、容量電力デジタル通貨または使用可能な電力デジタル通貨の電力交換と取引を実行することができ、1つの対応する電力デジタル通貨取引イベントが生じるとともに、前記電力バンクプラットフォームの取引管理ホストによって前記電力デジタル通貨取引イベントが管理される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明におけるシステムの構成を示した図である。
図2】本発明におけるシステムの配置を示した図である。
図3】本発明の取引方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1図2に示す通り、本発明の前記システムは、電力バンクプラットフォームにおける少なくとも1つの取引管理ホスト10と、販売業者の少なくとも1つの取引ポイント装置20と、個人会員の少なくとも1つの携帯型エネルギー蓄積裝置30とからなる。前記取引管理ホスト10及び前記取引ポイント装置20と、各前記携帯型エネルギー蓄積裝置30間は、有線接続または無線接続により相互にデータを送信することができ、それにより、個人会員は電力を利用して販売業者とやり取りをすることができ、少なくとも1つの電力デジタル通貨取引イベントを完了することができる。さらに、電力バンクプラットフォームによって前記電力デジタル通貨取引イベントは記録されるとともに、統計され且つ管理される。
【0008】
本発明の取引システムの詳しい構造は、図1図2を参照する。前記取引管理ホスト10は、処理ユニット11と、メモリーユニット12と、伝送ユニット13と、取引イベント管理モジュール15と、個人会員管理モジュール16と、販売業者管理モジュール17と、電力デジタル通貨管理モジュール19を少なくとも備える。そのうち、前記処理ユニット11は、内蔵プログラムを実行するとともに各種データを処理するのに用いられ、処理ユニット11に接続される前記メモリーユニット12は、プログラム及び各種データを保存するのに用いられる。さらに、処理ユニット11に接続される前記送信ユニット13は、無線技術または有線技術で前記取引ポイント装置20に接続されることができ、それにより、少なくとも1つの販売業者の取引ポイント装置20と接続されることで、各種取引データを受信したり送信したりできる。また、前記取引イベント管理モジュール15は、メモリーユニット12に内蔵されるプログラムであることができ、前記取引イベント管理モジュール15は、前記複数の取引ポイント装置20及び前記複数の携帯型エネルギー蓄積裝置30と接続されて、電力デジタル通貨取引イベントを生成且つ実行することができる。各前記電力デジタル通貨取引イベントには、電力と電力デジタル通貨の換算、取引対象、取引金額の計算、電力デジタル通貨の支払送金、及び、電力デジタル通貨の記録が含まれるが、これらに制限されない。前記個人会員管理モジュール16は、前記メモリーユニット12内に保存することができるとともに、取引イベント管理モジュール15と接続して作動させることができる。また、前記個人会員管理モジュール16によって、個人会員のデータの作成及び認証、個人会員のアカウントにおける設備の保存、及び、電力デジタル通貨のデータ管理、電力デジタル通貨の使用記録、取引記録、残高といった個人会員のデータ照会を行うことができる。さらに、前記販売業者管理モジュール17は、前記メモリーユニット12内に保存することができるとともに、取引イベント管理モジュール15と接続して作動させることができる。また、前記販売業者管理モジュール17によって、販売業者のデータの作成及び認証、各前記販売業者のアカウントにおける設備のデータ管理の保存、使用記録、取引記録といった販売業者のデータ照会を行うことができる。さらに、前記電力デジタル通貨管理モジュール19はその処理ユニット11に接続され、それにより、前記電力デジタル通貨管理モジュール19は、デジタル通貨の換算、管理、両替、贈与、移行、または、利益分配を行うが、これらに限定されない。そのうち、前記電力デジタル通貨は、現金と同額のデジタルポイント、仮想通貨、または、炭素クレジット等の有価資産であることができる。複数の実施例に基づき、前記取引管理ホスト10は、さらに、その処理ユニット11に接続される電力管理ユニット18を備え、前記電力管理ユニット18は、少なくとも1つの電力接続ポート181と、少なくとも1つのエネルギー蓄積設備182に接続される。そのうち、前記電力管理ユニット18によって、各前記電力接続ポート181から各前記エネルギー蓄積設備182に出入力される電力と、電力と電力デジタル通貨の換算を管理制御することができ、電力接続ポート181は、電力系統といった外部の電源に接続することができ、エネルギー蓄積設備182は、超大型蓄電池といった電力を保存することができる。
【0009】
前記取引ポイント装置20は、販売業者によって設置される設備であって、前記取引ポイント装置20は、少なくとも、処理ユニット21と、メモリーユニット22と、送信ユニット23と、取引モジュール25と、電力交換ユニット26と、近接感知ユニット27を備える。そのうち、前記処理ユニット21は、内蔵プログラムの実行及び各種データの処理に用いられ、前記メモリーユニット22は、処理ユニット21に接続され、前記メモリーユニット22は、プログラム及び各種データを保存するのに用いられる。また、処理ユニット21に接続される前記送信ユニット23は、無線技術または有線技術によって前記取引管理ホスト10に接続されることで、各種取引データを送受信することができる。また、前記取引モジュール25は、メモリーユニット22に内蔵されるプログラムであることができ、取引方法を選択する機能を備える。さらに、処理ユニット21に接続される前記電力交換ユニット26は、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30との間で電力変換を行うのに用いられ、前記電力交換ユニット26は、電力管理ユニット261と、前記電力管理ユニット261に接続される少なくとも1つの電力接続ポート262と、少なくとも1つのエネルギー蓄積設備263を備えることができる。そのうち、前記電力管理ユニット261は、各前記電力接続ポート262によって各前記エネルギー蓄積設備263に入力または出力される電力を管理制御するのに用いられるとともに、前記電力交換ユニット26は、電力と電力デジタル通貨間の計算及び換算を実行することができる。前記近接感知ユニット27は、NFC、Bluetooth等のセンサー素子であることができ、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30との間の電力デジタル通貨の移行を実行するのに用いられ、それにより、電力デジタル通貨取引イベントが生成される。
【0010】
前記携帯型エネルギー蓄積裝置30は、少なくとも、処理ユニット31と、メモリーユニット32と、近接感知ユニット33と、電力エネルギー蓄積ユニット35を備える。そのうち、前記処理ユニット31は、内蔵プログラムの実行及び各種データの処理に用いられ、処理ユニット31に接続される前記メモリーユニット32は、プログラム、蓄電量、電力デジタル通貨、及び、各種データを保存するのに用いられる。また、処理ユニット31に接続される前記近接感知ユニット33は、無線技術のNFC、Bluetooth等のセンサー素子であることができ、それにより、前記取引ポイント装置20の近接感知ユニット27と接続され、各種取引データが送受信される。また、前記電力エネルギー蓄積ユニット35は、処理ユニット31に接続されることができ、前記電力エネルギー蓄積ユニット35は、前記取引ポイント装置20の電力交換ユニット26との間で電力変換を行うのに用いられ、前記電力エネルギー蓄積ユニット35は、電力管理ユニット351と、前記電力管理ユニット351に接続される電力接続ポート352と、エネルギー蓄積ユニット353を備えることができる。そのうち、前記電力管理ユニット351は、各前記電力接続ポート352によって各前記エネルギー蓄積ユニット353に入力または出力される電力を管理制御するのに用いられるとともに、前記電力エネルギー蓄積ユニット35は、エネルギー蓄積ユニット353内の残りの電力を換算することで取得される容量電力デジタル通貨を含む、電力と電力デジタル通貨の計算及び換算を実行することができる。さらに、前記容量電力デジタル通貨と、使用後に累計された使用可能な電力デジタル通貨に関連するデータは、前記メモリーユニット32に保存される。さらに、複数の実施例に基づき、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30は、処理ユニット31に接続される送信ユニット38をさらに備え、前記送信ユニット38は、無線技術または有線技術によって前記取引管理ホスト10に接続されることで、各種取引データが送受信される。それにより、各前記携帯型エネルギー蓄積裝置30は、別の携帯型エネルギー蓄積裝置30と取引を実行することができる。
【0011】
以上により、電力を組み合わせて取引を行うことのできる物理的電力デジタル通貨の取引システムを形成することができる。
【0012】
本発明を実際に使用する場合、図1図2に示す通り、上述の電力バンクプラットフォームの取引管理ホスト10を介して、少なくとも1つの販売業者の取引ポイント装置20において、少なくとも1つの個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置30により電力または電力デジタル通貨を利用して取引が実行され、電力デジタル通貨取引イベントが生じるとともに、前記複数の電力デジタル通貨取引イベント情報のデータが効果的に記録且つ保存され、統計且つ管理される。本発明の実際の使用状況については、以下に挙げる実施例によってさらに理解することができる。
【0013】
(実施例1)
携帯型エネルギー蓄積裝置30のエネルギー蓄積及び取引方法。
【0014】
いずれかの個人会員は、所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30によって、電力バンクプラットフォームの取引管理ホスト10において会員データ及び設備の登録と認証を実行することで、個人会員は、個人で設置した太陽エネルギー電池、風力発電機等のエネルギー生産設備によって発電することができるとともに、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30の電力エネルギー蓄積ユニット35を介して前記複数の電力は、エネルギー蓄積ユニット353内に入力且つ保存される。さらに、前記電力管理ユニット351によって、保存された電力容量は記録されるとともに容量電力デジタル通貨に換算される。例えば、1000mAh(ミリアンペアの場合)を1電力デジタル通貨(Power Dollar、別名PD)に換算できる場合、容量が100000mAhであるエネルギー蓄積ユニット353の最大容量の電力デジタル通貨は100PDであり、使用後の残りの容量が65000mAhであるエネルギー蓄積ユニット353の場合、取引可能な容量の電力デジタル通貨は65PDであり、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30のメモリーユニット32に記録される。さらに、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30のメモリーユニット32は、前記個人会員が複数回取引した後に累計された残りの使用可能な電力デジタル通貨を保存することができる。例えば、前記個人会員がエネルギー蓄積ユニット353の全負荷電力を12回売却した後に累計された使用可能な電力デジタル通貨は1200PDである。このように、個人会員が電力取引を実行する場合、容量電力デジタル通貨を使用して足し算、引き算が実行されるとともに、個人会員は、使用可能な電力デジタル通貨を使用して直接取引を実行することができる。
【0015】
(実施例2)
取引ポイント装置20の電力交換及び取引方法。
【0016】
いずれかの販売業者は、バッテリー交換スポット、コンビニエンスストア等の電力交換能力及び/または商品販売能力を備える店舗であることができ、前記販売業者には、少なくとも1つの取引ポイント装置20が設けられる。前記販売業者が所有する取引ポイント装置20が電力バンクプラットフォームの取引管理ホスト10の会員データ及び設備の登録と認証を実行するとともに、前記複数の取引ポイント装置20を前記電力バンクプラットフォームの取引管理ホスト10に接続させる。また、前記複数の取引ポイント装置20は、電力交換ユニット26の電力接続ポート262によって、いずれかの個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置30の電力接続ポート352に接続されることで、電力が交換されるとともに、両者の近接感知ユニット27と近接感知ユニット33が組み合わされて前記個人会員の容量電力デジタル通貨または使用可能な電力デジタル通貨の取引が実行される。同時に、前記取引ポイント装置20と前記取引管理ホスト10が接続されることで、取引データが前記取引管理ホスト10に送信されて、電力デジタル通貨取引イベントが生じるとともに、前記取引管理ホスト10の中に記録且つ保存される。
【0017】
(実施例3)
携帯型エネルギー蓄積裝置30と取引ポイント装置20間における電力による取引方法。
【0018】
いずれかの個人会員は、所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30によっていずれかの販売業者の取引ポイント装置20で電力を売却するまたは購入することができる。電力を売却する場合を例とすると、前記個人会員は、事前に太陽エネルギー電池、風力発電機等のエネルギー生産設備によって発電した後、または、従来の電力系統を通して充電した後、前記複数の電力は、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30における電力エネルギー蓄積ユニット35のエネルギー蓄積ユニット353内に保存されるとともに、電力エネルギー蓄積ユニット35における電力管理ユニット351によって、保存された電力容量は容量電力デジタル通貨に換算される。例えば、エネルギー蓄積ユニット353内の保存容量が100000mAhである場合、容量電力デジタル通貨は100PDである。前記個人会員は、80000mAhを売却することを選択でき、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30の電力接続ポート352を前記取引ポイント装置20における電力交換ユニット26の電力接続ポート262に接続すると同時に、携帯型エネルギー蓄積裝置30を取引ポイント装置20上に置くことで、両者の近接感知ユニット33と近接感知ユニット27は、相互に感知することができる。さらに、前記取引ポイント装置20の取引モジュール25によって電力を売却すること及び売却する量(例えば、80PDの容量電力デジタル通貨)を選択した場合、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30は、電力エネルギー蓄積ユニット35によって80000mAhを前記取引ポイント装置20における電力交換ユニット26のエネルギー蓄積設備263内に移転できると同時に、前記取引ポイント装置20は、80PDを前記携帯型エネルギー蓄積裝置30におけるメモリーユニット32内の使用可能な電力デジタル通貨に計上することができる。この時、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30におけるメモリーユニット32内の残りの容量電力デジタル通貨は20PD(残りの電力容量は20000mAh)であり、使用可能な電力デジタル通貨は80PDであると記録され、1つの電力デジタル通貨取引イベントが生じるとともに、前記取引ポイント装置20は、前記電力デジタル通貨取引イベントを取引管理ホスト10の取引イベント管理モジュール15に送信し、データを保存且つ管理する。電力を購入する場合を例とすると、前記個人会員は、電力のニーズがある場合、所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30をいずれかの販売業者に持って行き、所有する取引ポイント装置20によって必要な電力を購入することができる。前記個人会員は、携帯型エネルギー蓄積裝置30の電力接続ポート352を前記取引ポイント装置20における電力交換ユニット26の電力接続ポート262に接続すると同時に、携帯型エネルギー蓄積裝置30を取引ポイント装置20上に置くことで、両者の近接感知ユニット33と近接感知ユニット27が相互に感知することができる。続いて、前記取引ポイント装置20の取引モジュール25によって電力を購入すること及び必要な電力量(例えば、75PDの容量電力デジタル通貨)を選択する。この際、前記取引ポイント装置20のエネルギー蓄積設備263は、75000mAhの電力容量を前記携帯型エネルギー蓄積裝置30のエネルギー蓄積ユニット353内に移転できると同時に、前記取引ポイント装置20は、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30におけるメモリーユニット32内の使用可能な電力デジタル通貨から75PDを差し引くことができる。例えば、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30に使用可能な電力デジタル通貨が250PDあった場合、残りは175PDである。同時に、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30のメモリーユニット32内には、残りの容量電力デジタル通貨が75PD(つまり、残りの電力容量が75000mAh増加、例えば、5000mAhが80000mAhに増加)増加したことが記録されるとともに、1つの電力デジタル通貨取引イベントが生じる。さらに、前記取引ポイント装置20は、前記電力デジタル通貨取引イベントを取引管理ホスト10の取引イベント管理モジュール15に送信することでデータが保存且つ管理される。
【0019】
(実施例4)
携帯型エネルギー蓄積裝置30と取引ポイント装置20間における電力デジタル通貨による取引方法。
【0020】
いずれかの個人会員は、所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30により、いずれかの販売業者の取引ポイント装置20で所有する使用可能な電力デジタル通貨を累計することで、その他の商品の取引を直接行うことができる。例えば、前記個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置30内に650PDの使用可能な電力デジタル通貨が記録されている場合、前記個人会員は、前記販売業者で必要な商品を直接購入することができる。例えば、コーヒー1杯を購入するのに50PD必要な場合、前記個人会員が前記携帯型エネルギー蓄積裝置30を取引ポイント装置20上に直接置くことで、両者の近接感知ユニット33と近接感知ユニット27が相互に感知する。さらに、前記取引ポイント装置20の取引モジュール25によって使用可能な電力デジタル通貨の取引を使用することを選択できるとともに、前記取引ポイント装置20により前記携帯型エネルギー蓄積裝置30から使用可能な電力デジタル通貨50PDが直接差し引かれることで、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30のメモリーユニット32内には、残りの使用可能な電力デジタル通貨が600PDであると記録され、1つの電力デジタル通貨取引イベントが生じる。前記取引ポイント装置20は、前記電力デジタル通貨取引イベントを取引管理ホスト10の取引イベント管理モジュール15に送信することでデータが保存且つ管理される。
【0021】
(実施例5)
携帯型エネルギー蓄積裝置30と別の携帯型エネルギー蓄積裝置30間における電力による取引方法。
【0022】
いずれかの個人会員は、別の個人会員に電力を売却するまたは別の個人会員から電力を購入することができ、2人の会員が所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30のうちの少なくとも1つは、送信ユニット38を備えることで、前記電力バンクの取引管理ホスト10に接続される。電力を売却する場合を例とすると、送信ユニット38を備える携帯型エネルギー蓄積裝置30を第1携帯型エネルギー蓄積裝置30と定義し、もう1つの携帯型エネルギー蓄積裝置30を第2携帯型エネルギー蓄積裝置30と定義する。続いて、第1携帯型エネルギー蓄積裝置30及び第2携帯型エネルギー蓄積裝置30を電力接続ポート352によって相互に接続させると同時に、第1携帯型エネルギー蓄積裝置30及び第2携帯型エネルギー蓄積裝置30の近接感知ユニット33を相互に感知させる。さらに、前記第1携帯型エネルギー蓄積裝置30の電力エネルギー蓄積ユニット35によって電力を売却すること及び売却する量(例えば、60PDの容量電力デジタル通貨)を選択する。この時、前記第1携帯型エネルギー蓄積裝置30は、電力エネルギー蓄積ユニット35によって60000mAhを第2携帯型エネルギー蓄積裝置30における電力エネルギー蓄積ユニット35のエネルギー蓄積ユニット353内に移転することができると同時に、前記第1携帯型エネルギー蓄積裝置30は、第2携帯型エネルギー蓄積裝置30から60PDの使用可能な電力デジタル通貨を差し引くことができる。さらに、前記第1携帯型エネルギー蓄積裝置30の使用可能な電力デジタル通貨が60PD増加することで、前記第1携帯型エネルギー蓄積裝置30のメモリーユニット32内には、残りの容量電力デジタル通貨から60PD(つまり、残りの電力容量は60000mAh減少)差し引かれたとともに、使用可能な電力デジタル通貨が60PD増加したことが記録される。前記第2携帯型エネルギー蓄積裝置30のメモリーユニット32内には、残りの容量電力デジタル通貨が60PD(つまり、残りの電力容量は60000mAh増加)増加したとともに、使用可能な電力デジタル通貨が60PD差し引かれたことが記録されるとともに、1つの電力デジタル通貨取引イベントが生じる。さらに、前記第1携帯型エネルギー蓄積裝置30は、前記電力デジタル通貨取引イベントを取引管理ホスト10の取引イベント管理モジュール15に送信することでデータが保存且つ管理される。
【0023】
本発明における取引方法のプロセスは以下の通りである。
【0024】
(a)少なくとも1人の個人会員は、少なくとも1つの携帯型エネルギー蓄積裝置のエネルギー蓄積を実行する。少なくとも1人の個人会員は、所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30にエネルギーを蓄積することで、所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30における電力エネルギー蓄積ユニット35のエネルギー蓄積ユニット353は、電力を貯蔵することができる。
【0025】
(b)電力及び電力デジタル通貨の変換と記録を実行する。上述の少なくとも1人の個人会員が所有する携帯型エネルギー蓄積裝置30の電力エネルギー蓄積ユニット35は、電力管理ユニット351によってエネルギー蓄積ユニット353の電力容量を容量電力デジタル通貨に換算するとともに、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30のメモリーユニット32によって相互に対応する残りの容量電力デジタル通貨及び使用可能な電力デジタル通貨等のデータを記録する。
【0026】
(c)電力デジタル通貨取引イベントを実行する。上述の少なくとも1人の個人会員は、携帯型エネルギー蓄積裝置30によって少なくとも1つの販売業者の取引ポイント装置20または別の個人会員の携帯型エネルギー蓄積裝置30に対して電力デジタル通貨取引イベントを実行する。
【0027】
(d)取引方法を選択する。前記取引ポイント装置20は、前記取引管理ホスト10に接続されるとともに、電力デジタル通貨取引イベントのニーズに応じて、例えば、電力を売却する、電力を購入する、または、使用可能な電力デジタル通貨を利用して商品を購入する等の取引方法を選択する。
【0028】
(e)電力または電力デジタル通貨の移転を実行する。電力デジタル通貨取引イベントによって選択された取引方法に応じて、前記携帯型エネルギー蓄積裝置30と、前記取引ポイント装置20または別の携帯型エネルギー蓄積裝置30との間で電力または電力デジタル通貨の移転を実行する。
【0029】
(f)電力デジタル通貨の取引データを取引管理ホストに返送して管理する。前記電力デジタル通貨取引イベントの取引対象、取引金額の計算、電力デジタル通貨の支払送金、及び、電力デジタル通貨の金額等の記録は、取引管理ホスト10に返送され、それにより、電力バンクプラットフォームは、後日、前記複数の販売業者及び個人会員の管理、記録、及び、照会を実行して、取引が完了する。
【0030】
上述の説明から分かる通り、本発明は、個人会員間で電力を使用した取引を行えるようにすることで、グリーンエネルギー産業が活性化され、それにより、誰もがグリーンエネルギーを効果的に使用できるとともに、電力市場においてシェアリングエコノミーを創出することができる。従って、投資コスト及び損失リスクを低減できることで、一般家庭または小型企業が電力産業に投資できるようにし、さらに、エネルギー不足の問題を解決するとともに経済をより活性化させることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 取引管理ホスト
11 処理ユニット
12 メモリーユニット
13 送信ユニット
15 取引イベント管理モジュール
16 個人会員管理モジュール
17 販売業者管理モジュール
18 電力管理ユニット
181 電力接続ポート
182 エネルギー蓄積設備
19 電力デジタル通貨管理モジュール
20 取引ポイント装置
21 処理ユニット
22 メモリーユニット
23 送信ユニット
25 取引モジュール
26 電力交換ユニット
261 電力管理ユニット
262 電力接続ポート
263 エネルギー蓄積設備
27 近接感知ユニット
30 携帯型エネルギー蓄積裝置
31 処理ユニット
32 メモリーユニット
33 近接感知ユニット
35 電力エネルギー蓄積ユニット
351 電力管理ユニット
352 電力接続ポート
353 エネルギー蓄積ユニット
38 送信ユニット
図1
図2
図3