(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ダンプ車両の荷箱の後部扉開閉装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/267 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B60P1/267 B
(21)【出願番号】P 2023223801
(22)【出願日】2023-12-29
【審査請求日】2024-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524006003
【氏名又は名称】筒井 陽一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130199
【氏名又は名称】松永 充弘
(72)【発明者】
【氏名】筒井 陽一郎
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-182106(JP,A)
【文献】実開昭59-118645(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/267
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台に対して傾動自在な荷箱の後部開口部を開閉する後部扉と、前記後部扉の開閉機構と、を備え、
前記後部扉は、上部扉と下部扉とを有し、
前記上部扉の上端部は、前記後部開口部に対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられ、
前記下部扉の上端部は、前記上部扉の下端部に対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられ、
前記開閉機構は、前記後部開口部に対する前記上部扉の開き角度の増大に伴って、前記上部扉に対する前記下部扉の開き角度を増大させるように構成され、
さらに、前記開閉機構は、前記後部開口部に対する前記上部扉の動きと前記上部扉に対する前記下部扉の動きとを連動させるための連動用ワイヤと、前記連動用ワイヤを屈曲させるための滑車と、を備え、
前記滑車は、前記上部扉に設けられる第1滑車と、前記第1滑車よりも下方位置となるように前記上部扉に設けられる第2滑車と、を有し、
前記連動用ワイヤの両端は、前記荷箱の上端固定部と前記下部扉の下端固定部に取り付けられ、
前記連動用ワイヤは、前記上端固定部から出発して前記第1滑車、前記第2滑車の順に掛け渡されて前記下端固定部に到達するように構成されている、
ことを特徴とするダンプ車両の荷箱の後部扉開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車台に対して傾動自在な荷箱の後部開口部を開閉する後部扉と後部扉の開閉機構とを備えたダンプ車両の荷箱の後部扉開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車台に対して傾動自在な荷箱(荷台)と荷箱の後部開口部を開閉する後部扉(ゲート)とを備えたダンプ車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のダンプ車両では、後部扉は一枚物で形成されている。後部扉は、荷箱の後端部に上部ヒンジによって取り付けられている。荷箱が水平状態のとき、後部扉は後部開口部を塞ぐ位置にある。一方、荷箱が傾斜状態のとき、後部扉は重力の作用により上部ヒンジを中心にして下開きされる。これにより、後部開口部が開放される。積載物が積載された荷箱を傾斜状態にさせた場合には、後部開口部から地面へ積載物が荷下ろしされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来のダンプ車両では、荷下ろし中に積載物が地面に積み上げられていって積載物の塊になると、開いた後部扉がこの積載物の塊に接触しやすかった。そして、この接触が生じると、全ての積載物が荷箱から排出できなくなったり後部扉が壊れたりするという問題点があった。そのため従来は、荷下ろし中、先に荷下ろしされた地面上の積載物の塊に接触しないように、ダンプ角度を制限したり、時間をかけたりして荷下ろしすることが求められてきた。特に、高さ方向の寸法が大きい荷箱と後部扉とを備えたダンプ車両において積載物を荷下ろしする場合には、できるだけ早く荷下ろしを終えるために荷箱を大きく傾斜させる必要があり、より顕著に上記問題点が生じた。
【0005】
図8は、従来のダンプ車両100において荷下ろし中に後部扉700が変形したイメージを示す側面図である。
図8に示すように、従来のダンプ車両100は、車台200に対して傾動自在な荷箱500と、荷箱500の後部開口部500aを開閉する後部扉700と、を備えている。荷箱500は高さ方向の寸法が通常の土砂運搬用のダンプ車両と比較して大きい。後部扉700は、一枚物で形成されている。後部扉700は、荷箱500の後端部に上部ヒンジ700aによって取り付けられている。後部扉700は、荷箱500の高さ寸法に合わせて形成されているので、高さ方向の寸法が大きい。このような後部扉700を備えた従来のダンプ車両100では、積載物Lの荷下ろし中、先に荷下ろしされた地面G上の積載物Lの塊に後部扉700の下部が埋まってしまう。こうなると、積載物Lによって後部扉700に大きな負荷が加わり、後部扉700が大きく湾曲してしまうことになる。荷箱500の内部に残っている積載物Lもスムーズに排出されない。最悪の場合、後部扉700が座屈して後部扉700が破損するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、その目的は、ダンプ車両の積載物を荷下ろしするために荷箱を傾斜させる際に、積載物の排出性を高めるとともに、荷箱の後部開口部を開放させた後部扉が破損するのを防ぎ得るダンプ車両の荷箱の後部扉開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために本明細書に開示する発明は、以下のように構成されている。すなわち、第1の発明は、車台に対して傾動自在な荷箱の後部開口部を開閉する後部扉と、前記後部扉の開閉機構と、を備え、前記後部扉は、上部扉と下部扉とを有し、前記上部扉の上端部は、前記後部開口部に対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられ、前記下部扉の上端部は、前記上部扉の下端部に対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられ、前記開閉機構は、前記後部開口部に対する前記上部扉の開き角度の増大に伴って、前記上部扉に対する前記下部扉の開き角度を増大させるように構成され、さらに、前記開閉機構は、前記後部開口部に対する前記上部扉の動きと前記上部扉に対する前記下部扉の動きとを連動させるための連動用ワイヤと、前記連動用ワイヤを屈曲させるための滑車と、を備え、前記滑車は、前記上部扉に設けられる第1滑車と、前記第1滑車よりも下方位置となるように前記上部扉に設けられる第2滑車と、を有し、前記連動用ワイヤの両端は、前記荷箱の上端固定部と前記下部扉の下端固定部に取り付けられ、前記連動用ワイヤは、前記上端固定部から出発して前記第1滑車、前記第2滑車の順に掛け渡されて前記下端固定部に到達するように構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、後部扉は、上部扉と下部扉とを有している。また、開閉機構は、荷箱の後部開口部に対する上部扉の開き角度の増大に伴って、上部扉に対する前記下部扉の開き角度を増大させるように構成されている。これにより、上部扉荷箱を傾斜させて積載物を荷下ろしする際、上部扉に対して下部扉を後方へ跳ね上げることができる。すなわち、従来の一枚物の後部扉と比較して、後部扉の下部の位置をより後方かつ上方へ移動させることができる。これにより、荷下ろし中、先に荷下ろしされた地面上の積載物の塊に後部扉が接触しないようにできる。その結果、全ての積載物を荷箱から短時間で排出することができる。また、地面上の積載物の塊に後部扉が接触することにより後部扉が破損することを防ぐことができる。また、高さ方向の寸法が大きい荷箱を備えたダンプ車両であってもダンプ角度を十分に確保することができる。
【0009】
また、開閉機構は、後部開口部に対する上部扉の動きと上部扉に対する下部扉の動きとを連動させるための連動用ワイヤと、連動用ワイヤを屈曲させるための滑車と、を備えているので、上部扉と下部扉とを連動させる構成を簡単な構成かつ低コストで実現することができる。
【0010】
また、滑車は、第1滑車と第2滑車とを有し、連動用ワイヤは、上端固定部から出発して第1滑車、第2滑車の順に掛け渡されて前記下端固定部に到達するように構成されている。これにより、後部扉に加わる重力の作用によって上部扉が後部開口部に対して開くと、その動きが下部扉に伝達されることによって下部扉を上部扉に対して後方へ跳ね上げることができる。これにより、重力を上部扉の動作だけでなく下部扉の動作にも有効活用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るダンプ車両の荷箱の後部扉開閉装置によれば、ダンプ車両の積載物を荷下ろしするために荷箱を傾斜させる際に、積載物の排出性を高めるとともに、荷箱の後部開口部を開放させた後部扉が破損するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る後部扉開閉装置を備えたダンプ車両の側面図である。
【
図2】積載物を積載した状態の荷箱内部を示したダンプ車両の側面図である。
【
図5】
図1において後部扉開閉装置およびその周辺部を拡大した要部拡大側面図である。
【
図6】
図5の状態から荷箱を傾斜させるとともに後部扉開閉装置を開動作させた状態を示す要部拡大側面図である。
【
図7】荷箱を傾斜させるとともに後部扉開閉装置を開動作させたダンプ車両の側面図である。
【
図8】従来のダンプ車両において荷下ろし中に後部扉が変形したイメージを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る後部扉開閉装置Eを備えたダンプ車両1の側面図である。
図2は、積載物Lを積載した状態の荷箱5内部を示したダンプ車両1の側面図である。本実施形態のダンプ車両1は、
図1および
図2に示すように、車台2と、車台2に対して傾動自在な荷箱5と、後部扉開閉装置Eとを備えている。車台2は、車両前後方向に延びるシャシフレーム2aと、シャシフレーム2a上の前部に設けられたキャブ2bとを備えている。キャブ2bの後方のシャシフレーム2a上には、車両前後方向に延びるサブフレーム3が取り付けられている。サブフレーム3の後端部には、荷箱5がダンプヒンジ6により傾動自在に取り付けられている。本実施形態では、荷箱5の傾動は、荷箱5とサブフレーム3との間に介在されるホイスト式傾動装置4(
図7参照)の駆動によって行われる。ホイスト式傾動装置4は、油圧シリンダや複数のリンク部材等から構成される。
【0015】
荷箱5は、
図2に示すように、底壁部52と、前壁部53と、車幅方向一対の側壁部54,54と、荷箱底部フレーム51とを有している。荷箱底部フレーム51は、荷箱5の前端から後端に亘って延びるように、底壁部52の底面に取り付けられている。荷箱底部フレーム51は、サブフレーム3とダンプヒンジ6により連結されている。荷箱5の上端は開口しており、積載物Lを荷箱5の上方から積載することが可能となっている。なお、荷箱5の上端に開閉自在な天蓋を設けてもよい。荷箱5の後端は開口しており、底壁部52および一対の側壁部54,54の後端部により後部開口部5aが形成されている。本実施形態の荷箱5は、高さ方向の寸法を土砂運搬用と比較して大きく設定している。本実施形態の荷箱5は、産業廃棄物や建築廃材等の軽比重物輸送用である。このような荷箱5を備えるダンプ車両1は、一般に深あおりダンプや土砂禁ダンプ等の名称で呼ばれている。
【0016】
図3は、後部扉開閉装置Eの正面図である。
図4は、
図3の要部拡大図である。
図5は、
図1において後部扉開閉装置Eおよびその周辺部を拡大した要部拡大側面図である。後部扉開閉装置Eは、
図3~
図5に示すように、後部扉7と、車幅方向に一対の開閉機構8,8とを備えている。後部扉7は、全体として略矩形状に形成されている。後部扉7は、荷箱5の後部開口部5aを開閉する。荷箱5の高さ方向の寸法が大きく設定されているので、後部扉7の高さ方向の寸法も大きく形成されている。
【0017】
後部扉7は、略矩形状の上部扉71と略矩形状の下部扉72とを有している。上部扉71の主面の面積は、下部扉72の主面の面積よりも大きい。そのため、重量についても、上部扉71の方が下部扉72よりも大きくなっている。上部扉71の上端部には、上部ヒンジ71aが設けられている。この上部ヒンジ71aにより、上部扉71は、後部開口部5aに対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられている。下部扉72の上端部は、蝶番73により、上部扉71の下端部に対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられている。
【0018】
開閉機構8は、後部開口部5aに対する上部扉71の動きと上部扉71に対する下部扉72の動きとを連動させるための連動ワイヤ81と、連動ワイヤ81を屈曲させるための滑車82と、を備えている。連動ワイヤ81の両端は、上端固定部85と下端固定部86に取り付けられている。上端固定部85は、側壁部54の後端部かつ上部の位置に設けられている。上端固定部85は、側壁部54の外側の面に設けられている。下端固定部86は、突出部材84に設けられている。この突出部材84は、下部扉72の上下方向の略中央の高さ位置から車両後方に突出するように、下部扉72の外側の面に設けられている。
【0019】
滑車82は、上部扉71に設けられる第1滑車821と、第1滑車821よりも下方位置となるように上部扉71に設けられる第2滑車822と、を有している。また、後部扉7により後部開口部5aを閉鎖した閉鎖状態では、
図5に示すように、第1滑車821は、上端固定部85よりも高い位置に配置されている。また、当該閉鎖状態では、第2滑車822は、上端固定部85よりも低い位置に配置されている。また、当該閉鎖状態では、第1滑車821および第2滑車822は、下端固定部86よりも高い位置に配置されている。
【0020】
第1滑車821は、
図4に示すように、滑車本体821aと本体固定部821bとを有している。本体固定部821bは、上部扉71の外側(車両後方側)の面、かつ、車幅方向端部の位置に取り付けられている。本体固定部821bは、車幅方向軸心まわりに回転自在となるように滑車本体821aを支持している。また、本体固定部821bは、滑車本体821aが上部扉71の車幅方向の端からさらに外側へ突出するように、滑車本体821aを支持している。
【0021】
第2滑車822は、滑車本体822aと本体固定部822bとを有している。本体固定部822bは、上部扉71の外側(車両後方側)の面、かつ、車幅方向端部の位置に取り付けられている。本体固定部822bは、車幅方向軸心まわりに回転自在となるように滑車本体822aを支持している。また、本体固定部822bは、滑車本体822aが上部扉71の車幅方向の端からさらに外側へ突出するように、滑車本体822aを支持している。
【0022】
連動ワイヤ81は、
図5に示すように、上端固定部85から出発して第1滑車821、第2滑車822の順に掛け渡されて下部扉72の下端固定部86に到達するように構成されている。連動ワイヤ81は、第1滑車821に対しては、車両後方へ向かって斜め上方位置の頂点を有するように屈曲される。連動ワイヤ81は、第2滑車822に対しては、車両前方位置の頂点を有するように屈曲される。連動ワイヤ81は、
図4に示すように、全体的に後部扉7の車幅方向の端からさらに外側へ突出するように配置されている。
【0023】
図6は、
図5の状態から荷箱5を傾斜させるとともに後部扉開閉装置Eを開動作させた状態を示す要部拡大側面図である。
図6に示すように、荷下ろしのために荷箱5を傾斜させる際、後部扉7を閉鎖状態に固定していた図示省略のロック装置を解除すると、後部扉7に加わる重力の作用によって上部扉71が後部開口部5aに対して開く。すると、開閉機構8は、上部扉71の動きを連動ワイヤ81により下部扉72に伝達することによって、下部扉72が上部扉71に対して後方へ跳ね上げられる。開閉機構8は、後部開口部5aに対する上部扉71の開き角度の増大に伴って、上部扉71に対する下部扉72の開き角度を増大させる。
【0024】
図7は、荷箱5を傾斜させるとともに後部扉開閉装置Eを開動作させたダンプ車両1の側面図である。
図7に示すように、本実施形態の後部扉開閉装置Eを備えたダンプ車両1では、積載物Lを荷箱5から荷下ろしする際、下部扉72が上部扉71に対して後方へ跳ね上げられるので、荷箱5を大きく傾斜させても後部扉7の下端と地面Gとの距離を十分に確保することができる。そのため、
図7において二点鎖線で示されるゆとりスペースAが生じる。積載物LはゆとりスペースAも利用して地面Gに荷下ろしされる。このゆとりスペースAがあるために、積載物Lの排出が阻害されることがない。また、地面G上の積載物Lの塊に後部扉7が接触することもない。
【0025】
以上のとおり、本実施形態に係るダンプ車両1は、車台2に対して傾動自在な荷箱5の後部開口部5aを開閉する後部扉7と、後部扉7の開閉機構8と、を備える。後部扉7は、上部扉71と下部扉72とを有する。上部扉71の上端部は、後部開口部5aに対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられる。下部扉72の上端部は、上部扉71の下端部に対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられる。開閉機構8は、後部開口部5aに対する上部扉71の開き角度の増大に伴って、上部扉71に対する下部扉72の開き角度を増大させるように構成されている。
【0026】
上記構成によれば、荷箱5を傾斜させて積載物Lを荷下ろしする際、上部扉71に対して下部扉72を後方へ跳ね上げることができる。すなわち、従来の一枚物の後部扉700と比較して、後部扉7の下部の位置をより後方かつ上方へ移動させることができる。これにより、荷下ろし中、先に荷下ろしされた地面G上の積載物Lの塊に後部扉7が接触しないようにできる。その結果、全ての積載物Lを荷箱5から短時間で排出することができる。また、地面G上の積載物Lの塊に後部扉7が接触することにより後部扉7が破損することを防ぐことができる。また、高さ方向の寸法が大きい荷箱5を備えたダンプ車両1であるが、ダンプ角度(荷箱傾斜角度)を十分に確保することができる。
【0027】
上記実施形態において、開閉機構8は、後部開口部5aに対する上部扉71の動きと上部扉71に対する下部扉72の動きとを連動させるための連動ワイヤ81と、連動ワイヤ81を屈曲させるための滑車82と、を備えている。
【0028】
上記構成によれば、上部扉71と下部扉72とを連動させる構成を簡単な構成かつ低コストで実現することができる。
【0029】
上記実施形態において、滑車82は、上部扉71に設けられる第1滑車821と、第1滑車821よりも下方位置となるように上部扉71に設けられる第2滑車822と、を有している。連動ワイヤ81の両端は、荷箱5の上端固定部85と下部扉72の下端固定部86に取り付けられている。連動ワイヤ81は、上端固定部85から出発して第1滑車821、第2滑車822の順に掛け渡されて下端固定部86に到達するように構成されている。
【0030】
上記構成によれば、後部扉7に加わる重力の作用によって上部扉71が後部開口部5aに対して開くと、その動きが下部扉72に伝達されることによって下部扉72を上部扉71に対して後方へ跳ね上げることができる。これにより、重力を上部扉71の動作だけでなく下部扉72の動作にも有効活用することができる。
【0031】
上記実施形態において、開閉機構8は、後部扉7の車幅方向両端部に一対設けられている。この構成によれば、バランスよく確実に上部扉71および下部扉72を連動させて開放状態にすることができる。
【0032】
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 ダンプ車両
2 車台
5 荷箱
5a 後部開口部
7 後部扉
8 開閉機構
71 上部扉
72 下部扉
81 連動ワイヤ
82 滑車
85 上端固定部
86 下端固定部
821 第1滑車
822 第2滑車
【要約】
【課題】ダンプ車両の積載物を荷下ろしするために荷箱を傾斜させる際に、積載物の排出性を高めるとともに荷箱の後部開口部を開放させた後部扉が破損するのを防ぎ得るダンプ車両の荷箱の後部扉開閉装置を提供する。
【解決手段】車台2に対して傾動自在な荷箱5の後部開口部5aを開閉する後部扉7と、後部扉7の開閉機構8と、を備える。後部扉7は、上部扉71と下部扉72とを有する。上部扉71の上端部は、後部開口部5aに対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられる。下部扉72の上端部は、上部扉71の下端部に対して車幅方向軸心まわりに回動自在に取り付けられる。開閉機構8は、後部開口部5aに対する上部扉71の開き角度の増大に伴って、上部扉71に対する下部扉72の開き角度を増大させるように構成されている。
【選択図】
図7