(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】エアロゾル生成品
(51)【国際特許分類】
A24B 15/16 20200101AFI20240423BHJP
A24B 15/22 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/22
(21)【出願番号】P 2022520477
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 GB2020052518
(87)【国際公開番号】W WO2021069917
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-05-30
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】ユリテリ, カナー
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1788630(CN,A)
【文献】特許第6530149(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/068930(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/145451(WO,A1)
【文献】特表2019-519195(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104450186(CN,A)
【文献】国際公開第2019/068801(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成成分を含むエアロゾル生成品を製作する方法であって、前記エアロゾル生成品が、前記エアロゾル生成品を燃焼させずに加熱することで吸引可能なエアロゾルを発生し、
10~30重量%の水分含有量を有するタバコ組成物を用意するステップと、
前記タバコ組成物にパルス電界を印加し、以て
10~30重量%の水分含有量を有する処理済みタバコ組成物を用意するステップと、
前記処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤と組み合わせてエアロゾル生成成分を用意するステップであって、前記エアロゾル生成成分が、前記エアロゾル生成成分の8重量%以上のエアロゾル生成剤を含む、ステップと、
前記エアロゾル生成成分を含むように前記エアロゾル生成品を形成するステップとを含む方法であり、
前記タバコ組成物に印加される前記パルス電界が、約100V/cm以上の電界強度、及び約20Hz以上のパルス周波数を有する、方法。
【請求項2】
前記パルス電界が約10ns~5sのパルス幅を有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記パルス電界が約5kV/cm未満の電界強度を有する、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パルス電界を印加する前記ステップが、約10~600分の時間、実行される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記タバコ組成物が、葉タバコ、タバコストリップ、タバコ葉柄、挽きタバコ、又はこれらの組合せを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記処理済みタバコ組成物を前記エアロゾル生成剤と組み合わせて前記エアロゾル生成成分を用意するステップが、前記エアロゾル生成剤を前記処理済みタバコ組成物と混合することを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記処理済みタバコ組成物を前記エアロゾル生成剤と組み合わせてエアロゾル生成成分を用意するステップ、及び前記エアロゾル生成品を形成するステップが、ハウジングの第1のチャンバに前記エアロゾル生成剤を供給すること、及び前記ハウジングの第2のチャンバに前記処理済みタバコ組成物を供給することを含み、前記第1のチャンバが前記第2のチャンバと流体連通している、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
エアロゾル生成アセンブリに使用するためのエアロゾル生成品であって、エアロゾル生成成分を含み、前記エアロゾル生成成分が、
パルス電界が印加されたタバコを含
み、10~30重量%の水分含有量を有する処理済みタバコ組成物であって、前記パルス電界が、約100V/cm以上の電界強度、及び約20Hz以上のパルス周波数を有する、処理済みタバコ組成物と、
前記エアロゾル生成品の約8重量%以上の量で、前記エアロゾル生成品内に存在するエアロゾル生成剤と
を含む、エアロゾル生成品。
【請求項9】
前記処理済みタバコ組成物と前記エアロゾル生成剤とが混合物として提供され、前記処理済みタバコ組成物及び前記エアロゾル生成剤が、前記混合物全体に均一に分布している、請求項
8に記載のエアロゾル生成品。
【請求項10】
前記処理済みタバコ組成物が入る第1のチャンバと、前記エアロゾル生成剤が入る第2のチャンバとを備える、請求項
8に記載のエアロゾル生成品。
【請求項11】
前記第1のチャンバが、前記エアロゾル生成アセンブリでの使用において前記第2のチャンバの下流になるように構成された、請求項
10に記載のエアロゾル生成品。
【請求項12】
前記エアロゾル生成剤が液体である、請求項
10又は
11に記載のエアロゾル生成品。
【請求項13】
約0.5~2重量%のニコチン含有量を有する、請求項
8~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成品。
【請求項14】
処理済みタバコ組成物と、
エアロゾル生成剤と、
前記処理済みタバコ組成物及び/又は前記エアロゾル生成剤を加熱するが燃焼させないように配置された熱源とを備えるエアロゾル生成アセンブリであって、
前記処理済みタバコ組成物が
10~30重量%の水分含有量を有し、
前記処理済みタバコ組成物が、パルス電界が印加されたタバコを含み、前記パルス電界が、約100V/cm以上の電界強度、及び約20Hz以上のパルス周波数を有する、エアロゾル生成アセンブリ。
【請求項15】
前記熱源が、電気抵抗加熱要素、赤外線加熱要素、光源、誘導加熱要素、又はそれらの組合せを備える、請求項
14に記載のエアロゾル生成アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成品、前記エアロゾル生成品を作る方法、及びエアロゾル生成アセンブリに関する。特に、本発明は、パルス電界を用いてタバコを処理するステップを含む、エアロゾル生成品を作る方法に関する。
【背景】
【0002】
紙巻タバコ及び葉巻タバコ等の物品は、使用時にタバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによって、タバコを燃焼させるこれらのタイプの物品に代わるものを提供する試みがなされている。
【0003】
そのような製品の例としては、タバコ加熱製品又はタバコ加熱デバイスとしても知られているいわゆる非燃焼加熱式製品があり、これらは材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいし、ブレンドされた混合物などの組合せでもよく、それらは、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0004】
そのような製品の他の例として、電子タバコハイブリッドデバイスとしても知られている、eシガレット/非燃焼加熱式ハイブリッドデバイスがある。これらのハイブリッドデバイスには、加熱によって気化して、吸引可能な蒸気又はエアロゾルを発生する液体が入っている。この液体は、加香剤、及び/又は、グリセロール、いくつかの例では、ニコチンなどのエアロゾル生成物質を含んでもよい。蒸気又はエアロゾルは、デバイス内の材料を通過し、基体材料の1つ又は複数の構成要素を巻き込んで、吸引される媒体を生成する。その基体材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいし、ブレンドされた混合物などの組合せでもよく、それらは、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0005】
タバコ加熱製品及びハイブリッドデバイスはともに、基体を比較的低い温度で加熱して、消費者にとって望ましい感覚受容特性を有するエアロゾルを提供することが困難である。
【概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成成分を含むエアロゾル生成品を製作する方法が提供される。ここで、本エアロゾル生成品は、エアロゾル生成品を燃焼させずに加熱することで吸引可能なエアロゾルを発生する。本方法は、
タバコ組成物を用意するステップと、
タバコ組成物にパルス電界を印加し、以て処理済みタバコ組成物を用意するステップと、
処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤と組み合わせてエアロゾル生成成分を用意するステップであって、エアロゾル生成成分が、エアロゾル生成成分の約8重量%以上のエアロゾル生成剤を含む、ステップと、
エアロゾル生成成分を含むようにエアロゾル生成品を形成するステップとを含み、
タバコ組成物に印加されるパルス電界は、約100V/cm以上の電界強度、及び約20Hz以上のパルス周波数を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、タバコ組成物は約10~30重量%の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、処理済みタバコ組成物は約10~30重量%の水分含有量を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、パルス電界は約10ns~5×108nsのパルス幅を有する。いくつかの実施形態では、パルス電界は約5kV/cm未満の電界強度を有する。いくつかの実施形態では、パルス電界を印加するステップは、約10~600分の時間、実行される。
【0009】
いくつかの実施形態では、タバコ組成物は、葉タバコ、タバコストリップ、タバコ葉柄、挽きタバコ、又はこれらの組合せを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤と組み合わせてエアロゾル生成成分を用意するステップは、エアロゾル生成剤を処理済みタバコ組成物と混合することを含む。
【0011】
他の実施形態では、処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤と組み合わせてエアロゾル生成成分を用意するステップ、及びエアロゾル生成品を形成するステップは、ハウジングの第1のチャンバにエアロゾル生成剤を供給すること、及びハウジングの第2のチャンバに処理済みタバコ組成物を供給することを含み、第1のチャンバは第2のチャンバと流体連通している。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル生成アセンブリに使用するためのエアロゾル生成品であって、エアロゾル生成成分を含むエアロゾル生成品が提供される。エアロゾル生成成分は、
パルス電界が印加されたタバコを含む処理済みタバコ組成物であって、パルス電界が、約100V/cm以上の電界強度、及び約20Hz以上のパルス周波数を有する、処理済みタバコ組成物と、
エアロゾル生成品の約8重量%以上の量で、エアロゾル生成品内に存在するエアロゾル生成剤と
を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、処理済みタバコ組成物とエアロゾル生成剤とは混合物として提供され、処理済みタバコ組成物及びエアロゾル生成剤は、混合物全体に均一に分布している。
【0014】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成品は、処理済みタバコ組成物が入る第1のチャンバと、エアロゾル生成剤が入る第2のチャンバとを備える。第1のチャンバは、エアロゾル生成アセンブリでの使用において第2のチャンバの下流になるように構成されてもよい。これらの実施形態では、エアロゾル生成剤は液体であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成品は、約0.5~2重量%のニコチン含有量を有する。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、
処理済みタバコ組成物と、
エアロゾル生成剤と、
処理済みタバコ組成物及び/又はエアロゾル生成剤を加熱するが燃焼させないように配置された熱源とを備え、
処理済みタバコ組成物が、パルス電界が印加されたタバコを含み、パルス電界が、約100V/cm以上の電界強度、及び約20Hz以上のパルス周波数を有する、エアロゾル生成アセンブリが提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、熱源は、電気抵抗加熱要素、赤外線加熱要素、光源、誘導加熱要素、又はそれらの組合せを備える。
【0018】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して単なる例として挙げる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本明細書で説明するようなエアロゾル生成品の実施形態の図である。
【
図2】エアロゾル冷却要素を含む、本明細書で説明するようなエアロゾル生成品のさらなる実施形態の図である。
【詳細な説明】
【0020】
一態様では、本発明は、エアロゾル生成品を作る方法に関する。
【0021】
本発明者らは、燃焼性製品に使用されるタバコ組成物は、タバコ加熱製品又はハイブリッドデバイスでの使用には最適ではないことを見出した。その理由は、デバイスの動作温度では、燃焼の際に放出されるタバコ加香剤が、揮発した液体に巻き込まれないからである。驚くべきことに、本方法を実行することによって、エアロゾル生成アセンブリのより低い動作温度でより多くのタバコ加香剤などを放出するエアロゾル生成品が提供されることが見出された。
【0022】
本方法は、まず、電界が印加されるタバコを用意するステップを含む。本明細書で説明する方法の文脈では、このタバコは、タバコ組成物と呼ばれることが適切である。
【0023】
タバコ組成物は、任意の適切な形態で提供されてもよい。例えば、タバコ組成物は、葉タバコ(バージニア(熱風乾燥)及び/又はバーレー及び/又はオリエンタルを含む、単一等級又はブレンド、刻みラグ又は全葉)、タバコ葉柄、タバコ茎、挽きタバコ、及びこれらの組合せを含んでもよいし、これらから構成されてもよい。好ましい例では、タバコ組成物は、葉タバコ、特に、全葉タバコを含む、又はこれから構成される。タバコ組成物は、未乾燥タバコ又は乾燥タバコを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、タバコ組成物は、約30重量%、15重量%、又は20重量%未満の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、タバコ組成物は、約5~40重量%、例えば、約10~30重量%、10~20重量%、又は13~17重量%の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、タバコ組成物は、少なくとも約5重量%、10重量%、又は13重量%の水分含有量を有する。タバコ組成物は、スラリーなどの液体媒体で提供されないことが好ましい。すなわち、タバコは、乾燥した形態で提供されることが好ましい。驚くべきことに、パルス電界処理は、乾燥タバコに効果的に実行できることが見出された。スラリー状タバコなどの液体媒体のタバコではなく、乾燥タバコを処理することは、必要な下流工程を簡略化することができる。
【0025】
本方法は、タバコ組成物にパルス電界を印加するステップをさらに含む。パルス電界(PEF:pulsed electric field)処理は、2つの電極の間に配置された組成物を通る高電圧の短パルスを印加するステップを含む。タバコ組成物にパルス電界を印加すると、処理済みタバコが得られる。
【0026】
驚くべきことに、タバコ組成物にPEF処理を適用すると、未処理のタバコと比較して、より低い温度で香料成分を放出するようにタバコに変化を起こさせることが見出された。すなわち、この方法は、加熱されるが燃焼されないエアロゾル生成品に使用されるタバコに対してタバコの感覚受容特性を改善して吸入可能なエアロゾルを供給する。
【0027】
理論に縛られたくはないが、パルス電界をタバコ組成物に印加すると、「電気穿孔」と呼ばれる現象を通じて、細胞膜の透過化を引き起こすことができる。しかしながら、誤解を避けるために、本方法は、タバコ組成物から成分を抽出する方法ではなく、加香成分は、パルス電界を印加することによってタバコから除去されない。むしろ、パルス電界は、未処理のタバコと比較して、より低温で、成分のより多くがエアロゾル生成品から放出されるようにタバコに変化を起こさせる。
【0028】
好ましい実施形態では、いかなる成分も、エアロゾル生成品に含まれる前に、処理済みタバコから除去されない。
【0029】
パルス電界は、電界強度、パルス周波数、パルス持続時間、及びパルス形状などの様々なパラメータによって規定することができる。パルス電界のパラメータは、タバコの感覚受容特性を改善するが、タバコを分解しないように選択される。本明細書で規定されるパルス電界のパラメータは、パルス電界内でタバコ組成物が受けるようなパラメータ(すなわち、タバコ組成物「における」電界の特性)を指す。
【0030】
タバコ組成物に印加されるパルス電界は、約100V/cm(0.1kV/cm)以上の電界強度を有する。いくつかの実施形態では、電界強度は、約500V/cm(0.5kV/cm)、又は1kV/cm以上である。いくつかの実施形態では、電界強度は、約300kV/cm、30kV/cm、10kV/cm、又は5kV/cm未満である。いくつかの実施形態では、電界強度は、約0.5kV/cm~10kV/cm、又は約1kV/cm~5kV/cmである。
【0031】
驚くべきことに、タバコの感覚受容特性を改善するために比較的低い電界強度を使用することが可能であることが見出された。低い電界強度のパルス電界を使用することが、処理済みタバコがこの工程によって実質的に損傷しない(例えば、分解しない)ことを意味することができることが有利である。
【0032】
タバコ組成物に印加されるパルス電界は、約20Hz以上のパルス周波数を有する。いくつかの実施形態では、周波数は約100Hz、250Hz、又は400Hz以上である。いくつかの実施形態では、周波数は、約1,000Hz、750Hz、又は600Hz未満である。いくつかの実施形態では、周波数は、約250Hz~750Hz、又は400Hz~600Hzである。
【0033】
タバコ組成物に印加されるパルス電界は、任意の適切なパルス幅を有してもよい。「パルス幅」は、各パルスの持続時間を指す。いくつかの実施形態では、パルス幅は、約10ns、50ns、100ns、1μs(1×103ns)、又は1ms(1×106ns)以上である。いくつかの実施形態では、パルス幅は、約500ms(5×108ns)、1ms(1×106ns)、1μs(1×103ns)、300ns、200ns、又は150ns未満である。いくつかの実施形態では、パルス幅は、約10~300ns、又は50~200ns、又は100ns程度である。
【0034】
パルス電界のパルスは、1パルス中に供給されるエネルギーのプロファイルを指す「パルス形状」を有することができる。例えば、「丸みを帯びた」パルス形状は、1パルス中に供給されるエネルギーが比較的ゆっくりと上昇して下降することを意味する。これに対して、「角ばった」パルス形状は、急速なターンオンとターンオフ時間を有する。好ましい実施形態では、パルス電界のパルスは、角ばったパルス形状を有する。
【0035】
パルス電界は、タバコの感覚受容特性を改善するのに適した任意の時間、タバコ組成物に印加されてもよい。例えば、パルス電界は、約10分、15分、30分、45分、60分、120分、180分、又は240分以上の時間、タバコ組成物に印加されてもよい。いくつかの例では、パルス電界は、約600分、300分、180分、120分、60分、又は30分未満の時間、タバコ組成物に印加されてもよい。いくつかの例では、パルス電界は、約10~600分、又は30~300分、又は60~180分の時間、タバコ組成物に印加されてもよい。
【0036】
パルス電界処理は、任意の適切な温度で実行されてもよい。例えば、パルス電界は、約0℃~60℃、又は10℃~50℃、又は15℃~40℃の温度で実行されてもよい。好ましい実施形態では、パルス電界処理は、室温で実行される。特に、この方法全体が室温で実行されてもよい。したがって、本開示は、比較的低温でタバコの感覚受容特性を改善する方法を初めて提供する。
【0037】
いくつかの実施形態では、処理済みタバコ組成物は、約30重量%、約15重量%、又は約20重量%未満の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、処理済みタバコ組成物は、約5~40重量%、例えば約10~30重量%、10~20重量%、又は13~17重量%の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、処理済みタバコ組成物は、少なくとも約5重量%、10重量%、又は13重量%の水分含有量を有する。
【0038】
本方法は、処理済みタバコをエアロゾル生成剤と組み合わせて、エアロゾル生成成分を用意するステップをさらに含む。本明細書では、「エアロゾル生成剤」は、加熱時にエアロゾルの生成を促進する薬剤である。エアロゾル生成剤は、初期の蒸発、並びに/或いは、吸引可能な固体及び/又は液体エアロゾルへの気体の凝縮を促進することによってエアロゾルの生成を促進することができる。
【0039】
本明細書では、用語「エアロゾル生成成分」は、エアロゾル生成品が加熱されたときにエアロゾルに寄与する、エアロゾル生成品に提供される材料のすべてを単に指す。したがって、エアロゾル生成成分は、処理済みタバコ組成物及びエアロゾル生成剤を含む。この用語は、エアロゾル生成成分の構成要素のそれぞれがエアロゾル生成品の同じ部分に配置されていることを必ずしも示すものではない。以下で論じるように、エアロゾル生成成分は、エアロゾル生成品の同じ部分に混和物で提供された構成要素を含んでもよいし、これに代えて、エアロゾル生成品の別々のチャンバに提供された構成要素を含んでもよい、などである。
【0040】
一般に、適切なエアロゾル生成剤としては、限定するものではないが、ポリオール、例えば、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール、並びに、非ポリオール、例えば、一価アルコール、高沸点炭化水素、酸(乳酸など)、グリセロール誘導体、エステル(ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、又はミリスチン酸塩(ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含む))、及び脂肪族カルボン酸エステル(例えば、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチル)が挙げられる。場合によっては、エアロゾル生成剤は、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、及びミリスチン酸イソプロピルのうちの1つ又は複数を含み、グリセロール及び/又はプロピレングリコールを含むことが適している。
【0041】
エアロゾル生成品がハイブリッドデバイスで使用される実施形態では、エアロゾル生成剤とタバコ(乾燥重量)の重量比は、約10:1~約1:10、好適には約5:1~約1:5、好適には約2:1~約1:3、好適には3:2~約1:2、好適には約1:1であってもよい。
【0042】
エアロゾル生成品がタバコ加熱製品に使用される実施形態では、処理済みタバコ組成物は、エアロゾル生成成分の重量(乾燥重量)の約5~30%、好ましくは約10~20%のエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成成分を提供するようにエアロゾル生成剤と組み合わされてもよい。
【0043】
本発明による方法は、タバコに水を加える初期ステップをさらに含んでもよい。加えられる水の量は、タバコの乾燥重量に対して約2%~約20%、好適には約2%、5%、又は8%~約12%、15%、18%、又は20%であってもよい。この水での前処理は、タバコから使用者によって吸引されるエアロゾルへの極性タバコ成分(香料など)の移行を増加させる場合がある。
【0044】
本エアロゾル生成品のエアロゾル生成剤含有量は、エアロゾル生成品を加熱するが燃焼させないエアロゾル生成装置での使用に特に適するような場合があり、前記エアロゾル生成品は従来の燃焼式喫煙品での使用には適さない可能性がある。
【0045】
本方法は、処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤と組み合わせるステップを含む。一実施形態では、処理済みタバコをエアロゾル生成剤と組み合わせるステップは、エアロゾル生成剤を処理済みタバコと混合することを含む。この実施形態によって提供されるエアロゾル生成成分は、タバコ加熱製品に使用するのに特に適している場合がある。この実施形態によって提供されるエアロゾル生成成分は、便宜上、「喫煙材」と呼ばれる場合がある。
【0046】
エアロゾル生成剤は、処理済みタバコ組成物と混合されるとき、固体であっても液体であってもよい。エアロゾル生成剤が固体の場合、処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤と組み合わせるステップは、処理済みタバコ組成物とエアロゾル生成剤を混合して混和物を提供するステップを含む場合がある。エアロゾル生成剤が液体の場合、処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤と組み合わせるステップは、処理済みタバコ組成物とエアロゾル生成剤を混合して、処理済みタバコ組成物がエアロゾル生成剤全体に均一に分布した混合物、言い換えれば、エアロゾル生成剤が処理済みタバコ組成物にわたって均一に分布した混合物を提供することを含んでもよい。
【0047】
タバコ加熱製品での使用に特に適したこの実施形態では、エアロゾル生成成分は、任意の適切な水分含有量を有してもよい。例えば、エアロゾル生成成分は、約20重量%、18重量%、又は15重量%未満の水分含有量を有してもよい。エアロゾル生成成分は、約1~20重量%、例えば約3~18重量%、又は5~15重量%の水分含有量を有してもよい。エアロゾル生成成分は、少なくとも約1重量%、約3重量%、又は5重量%の水分含有量を有してもよい。
【0048】
本方法はまた、エアロゾル生成成分を含むようにエアロゾル生成品を形成するステップを含む。タバコ加熱製品での使用に特に適したこの実施形態では、本方法は、製品の形状を有するようにエアロゾル生成成分を加工するステップを含んでもよい。例えば、本方法は、エアロゾル生成品を用意するために、エアロゾル生成成分の円筒形ロッドを用意するように、及び/又はエアロゾル生成成分を任意選択のフィルターを有する紙ラッパー内にエアロゾル生成成分を用意するように、混合物を加工するステップをさらに含んでもよい。
【0049】
処理済みタバコ組成物をエアロゾル生成剤とを組み合わせてエアロゾル生成成分を用意するステップと、エアロゾル生成成分を含むようにエアロゾル生成品を形成するステップは、同時に実行されてもよい。例えば、別の実施形態では、組み合わせるステップ及び形成するステップは、ハウジングの第1のチャンバにエアロゾル生成剤を供給すること、及びハウジングの第2のチャンバに処理済みタバコを供給することを含み、第1のチャンバと第2のチャンバとは流体連通している。この実施形態によって提供されるエアロゾル生成品は、電子タバコハイブリッドデバイスでの使用に適している場合がある。
【0050】
本発明の別の態様によれば、上記に開示された方法から得ることができるエアロゾル生成品が提供される。
【0051】
本発明のさらなる態様によれば、エアロゾル生成アセンブリに使用するためのエアロゾル生成品が提供され、このエアロゾル生成品は、エアロゾル生成成分を含み、エアロゾル生成成分は、処理済みタバコ組成物とエアロゾル生成剤とを含む。
【0052】
処理済みタバコ組成物は、パルス電界が印加されたタバコを含む。例えば、処理済みタバコ組成物は、上記で説明したように、タバコ組成物にパルス電界を印加するステップによって提供された処理済みタバコ組成物に相当することができる。本エアロゾル生成品の処理済みタバコ組成物は、100V/cm以上の電界強度及び20Hz以上のパルス周波数を有するパルス電界で処理されている。いくつかの実施形態では、パルス電界は、上記で説明した特性のいずれかを有する。
【0053】
エアロゾル生成剤は、エアロゾル生成成分の8重量%以上の量でエアロゾル生成成分内に存在する。エアロゾル生成剤は、上記で説明したエアロゾル生成剤のいずれかに相当してもよい。
【0054】
本発明のエアロゾル生成品は、ニコチンを含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成品は、0.5~2重量%のニコチン含有量を有する。いくつかの例では、エアロゾル生成エアロゾルは、少なくとも約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.2%、1.4%、1.6%、又は1.8%のニコチン含有量を有する。いくつかの例では、エアロゾル生成エアロゾルは、約2%、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、0.8%、又は0.6%未満のニコチン含有量を有する。
【0055】
一実施形態では、エアロゾル生成品は、処理済みタバコ及びエアロゾル生成剤を混合物として含む。処理済みタバコ組成物及びエアロゾル生成剤は、混合物全体に均一に分布してもよい。エアロゾル生成品は、円筒形ロッドなどの製品形状を有してもよい。この実施形態のエアロゾル生成品は、タバコ加熱製品とともに使用するのに特に適している場合がある。これらのエアロゾル生成品のさらなる特性は、以下のタバコ加熱製品を参照して詳細に論じられる。
【0056】
別の実施形態では、エアロゾル生成品は、処理済みタバコ組成物が入る第1のチャンバと、エアロゾル生成剤が入る第2のチャンバとを備える。これらのチャンバは流体連通するように構成され、その結果、加熱されたエアロゾル生成剤は、処理済みタバコ組成物が入ったチャンバを通過することができる。いくつかの実施形態では、第1のチャンバは、エアロゾル生成アセンブリでの使用において第2のチャンバの下流になるように構成され、その結果、加熱されたエアロゾル生成剤は、エアロゾル生成アセンブリの吸い口端に向かって進むときに、処理済みタバコ組成物が入ったチャンバを通過する。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成品は、エアロゾル生成剤を液体として含む。一般に、これは、室温でエアロゾル生成剤が液体の形態であることを意味する。
【0057】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル生成アセンブリが提供される。エアロゾル生成アセンブリは、処理済みタバコ組成物とエアロゾル生成剤とを備え、両方とも上記で説明した通りである。
【0058】
エアロゾル生成アセンブリは、タバコ組成物及び/又はエアロゾル生成剤を加熱するが燃焼させないように配置された熱源をさらに備える。
【0059】
いくつかの実施形態において、エアロゾル生成アセンブリの熱源は、電気抵抗加熱要素、赤外線加熱要素、光源、誘導加熱要素、又はそれらの組合せを備える。熱源は、タバコを加熱するように、又はエアロゾル生成剤を加熱するように、又は両方を加熱するように配置されてもよい。
【0060】
エアロゾル生成アセンブリの特定の実施形態を以下に説明する。
【0061】
一実施形態では、エアロゾル生成アセンブリは、タバコ組成物を燃焼させずに加熱することによってエアロゾルを生成するように構成される。このような装置は、「非燃焼加熱式」装置、又は「タバコ加熱製品」、又は「タバコ加熱デバイス」などとして記述されることがある。この装置は、典型的には、概ね細長く、吸い口端と呼ばれることもある開放端を有する。喫煙材は、処理済みタバコ及びエアロゾル生成剤の両方を混合物として含み、装置に挿入することができるカートリッジ又はカセット又はロッドの形態の場合や、これらの一部として提供される場合がある。フィルター構成体は、材料が使用者によって引かれるときに揮発した材料を濾過及び/又は冷却するためにエアロゾル生成品の吸い口端に設けられる場合がある。喫煙材を加熱して揮発させるためのヒーターは、装置の「永久」部分として設けられてもよいし、エアロゾル生成アセンブリの一部分として、又は使用後に廃棄されて取り替えられる消耗品として設けられてもよい。使用時、主要な用途において特に、喫煙材は燃えず、燃焼しない。
【0062】
次に
図1を参照すると、喫煙材を加熱するための装置とともに使用するためのエアロゾル生成品100の一例が概略的に示されている。エアロゾル生成品100は、吸い口101、及び喫煙材102の円柱状ロッドを有する。喫煙材102は、上記で説明した処理済みタバコ及びエアロゾル生成剤を含む。
【0063】
吸い口101は、例えば、螺旋状に巻かれた紙チューブの形態の紙、酢酸セルロース、厚紙、圧着耐熱紙又は圧着羊皮紙などの圧着紙、及び、低密度ポリエチレン(LDPE:low density polyethylene)などの高分子材料、或いはいくつかの他の適切な材料から形成されてもよい。吸い口101はチューブを備えてもよい。チューブは、中空チューブであってもよい。このような中空チューブは、揮発した喫煙材を濾過するために濾過機能を提供してもよい。図示のように、吸い口101は、喫煙材を加熱する主装置の非常に高温の部分(複数可)から間隔を空けるために、細長くてもよい。
【0064】
図示していない実施形態では、吸い口は、フィルター要素を含んでもよい。フィルター要素は、フィルタープラグであってもよく、例えば、酢酸セルロースから作られてもよい。フィルター要素は、存在する場合、吸い口の下流端に配置されてもよい。
【0065】
次に
図2を参照すると、マウスピースアセンブリ201は、冷却要素204を含んでもよい。要素204は、第1及び第2の端部を有し、第1の端部と第2の端部との間に延在する複数の貫通孔を備える一体型ロッドであってもよい。
図2に示すように、冷却要素204の他方の側には、冷却要素204を、喫煙材を加熱する主装置の非常に高温の部分(複数可)から間隔を空け、したがって冷却要素204を高い温度から保護するとともに、凝縮を防ぐのに役立ち得るので、エアロゾル生成を改善するのに役立つ第2の中空チューブ206があってもよい。第2のチューブ206は、例えば、この場合もまた、例えば、螺旋状に巻かれた紙チューブの形態の紙、酢酸セルロース、厚紙、圧着耐熱紙又は圧着羊皮紙などの圧着紙、及び、低密度ポリエチレン(LDPE)などの高分子材料、或いはいくつかの他の適切な材料から形成されてもよい。吸い口端チューブ205と第2のチューブ206は冷却要素204を支持する。吸い口端チューブ205は濾過機能を有してもよく、ときにはチューブフィルターと呼ばれることもある。
【0066】
この例の冷却要素204は、吸い口アセンブリ201の概ね中央に位置するが、他の例では吸い口アセンブリ201の多少一端の方又は他端の方に位置してもよい。
図2の例では、吸い口端チューブ205、冷却要素204、及び第2のチューブ206は、吸い口端チューブ205、冷却要素204、及び第2のチューブ206の周りにきつく巻かれて、これらを結びつけるチップペーパー203によって一緒に保持される。この意味で、吸い口アセンブリ201は「前もって組み立て」られている。
【0067】
1つの特定の例では、第1の吸い口端チューブ205は11mmの長さであってもよく、冷却要素204は19mmの長さであってもよく、第2のチューブ206は11mmの長さであってもよく、吸い口アセンブリ201の外径は全体として5.4mmであってもよい。チップペーパー203を除いて、冷却要素204、吸い口端チューブ205、及び第2のチューブ206の外径は、例えば5.13mm~5.25mmの範囲であってもよく、5.25mmが1つの好ましい選択肢である。例えば、特定の用途、流入するエアロゾル又は蒸気の典型的な温度、エアロゾル又は蒸気及び喫煙材の性質(材料)などに応じて、他の寸法が使用されてもよい。
【0068】
また
図2に示すように、吸い口アセンブリ201は、次いで、吸い口アセンブリ201と喫煙材202の少なくとも隣接する端部との周りに巻かれるさらなるチップペーパー207によって喫煙材202に接合されてもよい。他の例では、吸い口アセンブリ201は予め組み立てられておらず、その代わり、吸い口部分の構成要素に別のチップペーパーが設けられることなしに、エアロゾル生成品200は、冷却要素204、吸い口端チューブ205、第2のチューブ206、及び喫煙材202の周りにチップペーパー207を1つの操作で効果的に巻くことによって形成される。
【0069】
図2に示すように、吸い口アセンブリ201は冷却要素を含んでもよい。冷却要素は、ロッドの中央長手方向軸線に実質的に平行に延在することができる貫通孔を有する。
【0070】
貫通孔は、横方向の断面で見たときに、この要素の概ね半径方向に配置されてもよい。すなわち、ある例では、この要素は、貫通孔を画定して、2つの主な構造、すなわち、半径方向壁及び中央壁を有する内部壁を有する。半径方向壁は、要素の断面の半径に沿って延在し、中央壁は、要素の断面の中央に中心が配置される。1つの例の中央壁は円形であるが、他の規則的又は不規則な断面形状が使用されてもよい。同様に、1つの例の要素の断面は円形であるが、他の規則的又は不規則な断面形状が使用されてもよい。
【0071】
ある実施形態では、貫通穴の大部分は六角形又は概ね六角形の断面形状を有する。この実施形態では、この要素は、一端から見ると、「ハニカム」構造と呼ばれるものを有する。
【0072】
この要素は実質的に非圧縮性であってもよい。これは、セラミック材料、又は、ポリマー、例えば、押し出し可能なプラスチック材料でもよい熱可塑性ポリマーから形成されてもよい。
【0073】
ある実施形態では、この要素の空隙率は60%~75%の範囲である。ここでの空隙率は、貫通穴が占める要素の横断面の面積の比率の尺度とすることができる。ある実施形態では、この要素の空隙率は約69%~70%である。
【0074】
1つの実施形態では、エアロゾル生成アセンブリは、液体を加熱することによってエアロゾルを生成して吸引可能な蒸気又はエアロゾルを発生するように構成される。このような装置は、eシガレット/非燃焼加熱式ハイブリッドデバイスと呼ばれ、電子タバコハイブリッドデバイスとしても知られている。
【0075】
本明細書で説明したいくつかの実施形態によれば、本装置は、
液体を保持するための第1のチャンバと、
第1のチャンバに保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
本明細書で説明した処理済みタバコ組成物が入る第2のチャンバと、
出口とを備え、
使用時に、タバコ成分の1つ又は複数の構成要素と、蒸気及びエアロゾルのうちの少なくとも一方の形態の揮発された液体とを含む吸引可能な媒体が出口から出るように構成される。
【0076】
場合によっては、装置は、タバコ組成物を加熱してタバコの成分を揮発させ、第1のエアロゾル及び/又は蒸気を形成するための手段を備える。液体は、揮発されて第2の蒸気及び/又はエアロゾルを形成することができ、これは第1の蒸気及び/又はエアロゾルと組み合わされて吸引可能な媒体を形成することができる。場合によっては、1つのヒーターが液体とタバコ組成物の両方を加熱してもよい。場合によっては、上記で説明したように、タバコ組成物は、エアロゾル生成剤をさらに含んでもよい。これに代えて、又はこれに加えて、上記で説明したようなエアロゾル生成剤は、液体で提供されてもよい。
【0077】
他の場合では、吸引可能な媒体を生成するための装置が提供され、本装置は、
液体を保持するための第1のチャンバと、
第1のチャンバに保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
本明細書で説明された処理済みタバコ組成物が入る第2のチャンバと、
出口とを備え、
使用時に、ヒーターによって揮発された液体が、蒸気及びエアロゾルのうちの少なくとも一方の形態でタバコ組成物を通過し、以てタバコ組成物から1つ又は複数の構成要素を巻き込んで、出口から出る吸引可能な媒体を発生するように構成される。
これらのハイブリッドデバイスは、使用時、例えば、装置に入っているタバコ組成物から引き出された1つ又は複数の香料を有する吸引可能な媒体を提供する。特定の用途では、タバコ組成物を通る蒸気又はエアロゾルは高温であり、したがって、材料を加熱してタバコ組成物から1つ又は複数の構成要素を蒸発又は揮発させ、それによって構成要素が吸引可能な媒体に取り入れられることが可能になる。
【0078】
ある実施形態では、第1のチャンバに入っている液体を揮発させるためのヒーターは、液体を気化するように構成される。
【0079】
ある実施形態では、装置は、ヒーターの下流及びチャンバの上流に冷却器又は冷却ゾーンを備え、この冷却器又は冷却ゾーンは、気化した液体を冷却して、使用時にチャンバ内のタバコ組成物を通過する液滴のエアロゾルを形成するように構成される。冷却器は、実質上、熱交換器として機能するように構成されてもよく、それによって蒸気からの熱を回収することができる。回収された熱を使用して、例えば、タバコ組成物を予熱する、及び/又は液体を加熱するのを助けることができる。
【0080】
別の実施形態では、第1のチャンバに入っている液体を加熱するためのヒーターは、液体を加熱してエアロゾルを形成するように構成される。
【0081】
ある実施形態では、装置は、チャンバ内のタバコ組成物を加熱するための第2のヒーターを備える。これによって、このヒーターでタバコ組成物を加熱することができ、これはタバコ組成物からの化合物の放出を促進し、任意選択的に、加熱された液体に対してより低い温度を用いることを可能にする。
【0082】
ある実施形態では、装置はバッテリで作動する。
【0083】
ある実施形態では、このヒーター又は各ヒーターは電気抵抗ヒーターである。
【0084】
ある実施形態では、液体を保持するための第1のチャンバは取外し可能である。第1のチャンバは、ポットなど(いくつかの実施形態では、例えば、環状であってもよい)、及び/又は吸収性の詰め物などの形態であってもよい。液体が入る第1のチャンバ全体は、使用後に全体として交換される、実質上使い捨ての物品であってもよい。代替策として、使用者が装置から第1のチャンバを取り外して、使用済みの液体を交換し、又は第1のチャンバの中に液体を満たし、次いで第1のチャンバを装置に戻すように構成してもよい。
【0085】
場合によっては、第1のチャンバは装置から取り外せなくてもよい。このような実施形態では、使用者は、使用後に必要に応じて使用済みの液体を交換する、又は第1のチャンバの中に液体を満たすだけでよい。
【0086】
場合によっては、液体を保持するための第1のチャンバと処理済みタバコ組成物を入れるための第2のチャンバは一体のユニットである。
【0087】
場合によっては、第1のチャンバは、ニコチンを含む液体を保持する。
【0088】
場合によっては、第1のチャンバは、1つ又は複数の加香剤を含む液体を保持する。
【0089】
場合によっては、第1のチャンバは、1つ又は複数のエアロゾル生成剤を含む液体を保持する。この文脈では、「エアロゾル生成剤」は、エアロゾルの生成を促進する薬剤である。エアロゾル生成剤は、初期の蒸発、並びに/或いは、吸引可能な固体及び/又は液体エアロゾルへの気体の凝縮を促進することによってエアロゾルの生成を促進することができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成剤は、エアロゾル生成材料からの香料の送達を改善することができる。
【0090】
一般に、任意の適切なエアロゾル生成剤(複数可)が、本発明のエアロゾル生成材料に含まれてもよい。適切なエアロゾル生成剤としては、上記で説明したものが含まれる。
場合によっては、第2のチャンバは装置から取外し可能である。第2のチャンバは、例えば、使用前にタバコ組成物を入れるカートリッジなどの形態であってもよい。タバコ組成物が入る第2のチャンバ全体は、使用後に全体として交換される、実質上使い捨ての物品であってもよい。代替策として、使用者が装置から第2のチャンバを取り外して、第2のチャンバの中の使用済みの材料を交換し、次いで第2のチャンバを装置に戻すような構成でもよい。
【0091】
本明細書で説明したいくつかの実施形態によれば、タバコ材料を加熱するためのデバイスで使用するためのカートリッジが提供され、このカートリッジには、本明細書で説明したタバコ組成物が入る。好適には、カートリッジは、本明細書で説明した吸引可能な媒体を生成するための装置、好適には非燃焼式喫煙品で使用するように構成されてもよく、このカートリッジはタバコ組成物が入るチャンバを備える。
【0092】
場合によっては、カートリッジは、液体を保持するための第1のチャンバ、及び液体をさらに備える。
【0093】
上記の実施形態は、本発明の説明のための例として理解されたい。本発明のさらなる実施形態も考えられる。任意の1つの実施形態に関して説明された任意の特徴は、単独で使用されてもよく、又は、説明された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用されてもよく、又は任意の他の実施形態の任意の組合せにおいて使用されてもよいことを理解されたい。さらに、上記で説明していない等価物及び修正物もまた、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱しなければ使用することができる。