(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】患者への内服物の経口投与のためのアプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61J7/00 C
(21)【出願番号】P 2021550694
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2020056927
(87)【国際公開番号】W WO2020183003
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-01
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521382023
【氏名又は名称】エゾカップ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】EsoCap AG
【住所又は居所原語表記】Switzerland 4052 Basel Malzgasse 9
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【氏名又は名称】前澤 龍
(72)【発明者】
【氏名】ピーター スタンジャー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアス クラウゼ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ローゼンバウム
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-146(JP,A)
【文献】特表2003-508106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者への内服物(2)、特に固形製剤の経口投与のためのアプリケータ(1)であって、
第1開口(4)と第2開口(5)とを有するハウジング(3)であり、ハウジング(3)の前記第1開口(4)が液体リザーバ(20)、特に飲用容器と結合されるように構成され、ハウジング(3)の前記の第2開口(5)が前記患者が飲用に使えるように構成される、ハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)の中に配設されて前記内服物(2)を収容するように構成されるホルダ(6)であり、前記ハウジング(3)の前記第1開口(4)から前記第2開口(5)へ液体(25)が前記ハウジング(3)を流れる時に前記ハウジング(3)の前記第2開口(5)へ前記内服物(2)が搬送されることを可能にするようにさらに構成されるホルダ(6)と、
を包含
し、
ホルダ構造(9~14)が、特に底部構造(9)に装着される壁部構造(10)を包含し、前記壁部構造(10)の中に収容された前記内服物(2)に装着される糸または紐(17)が、前記壁部構造(10)の中から前記壁部構造(10)の外側へ、またはその逆に案内される、および/または、前記壁部構造(10)の外側に巻き付けられることを可能にする一以上の切欠き、スロット、および/または凹部(12)が前記壁部構造(10)に見られるアプリケータ(1)。
【請求項2】
前記ハウジング(3)の中に特に同軸に配設されて前記内服物(2)を収容するように構成されるホルダ構造(9~14)を前記ホルダ(6)が包含する、請求項1に記載のアプリケータ(1)。
【請求項3】
前記ホルダ構造(9~14)の第1端部に設けられる底部構造(9)を前記ホルダ構造(9~14)が包含する、請求項2に記載のアプリケータ(1)。
【請求項4】
前記ハウジング(3)の前記第1開口(4)から前記第2開口(5)へ前記ハウジング(3)を流れる液体(25)の少なくとも一部が前記ホルダ構造(9~14)を流れることにより、前記ハウジング(3)の前記第2開口(5)へ前記内服物(2)を搬送することを可能にするように前記底部構造(9)が構成される、請求項3に記載のアプリケータ(1)。
【請求項5】
前記底部構造(9)がグリッドおよび/またはブリッジ状またはストリップ状の支持構造を包含する、請求項4に記載のアプリケータ(1)。
【請求項6】
前記底部構造(9)が前記ハウジング(3)に取り付けられる、および/または、装着される、請求項3から5のいずれかに記載のアプリケータ(1)。
【請求項7】
前記壁部構造(10)の中に収容された前記内服物(2)に装着される糸
または紐(17)が、前記壁部構造(10)の中から前記壁部構造(10)の外側へ、またはその逆に案内される、および/または、前記壁部構造(10)の外側に巻き付けられることを可能にする一以上の切欠き(12)が前記壁部構造(10)に見られる、請求項
3から6のいずれかに記載のアプリケータ(1)。
【請求項8】
前記ホルダ構造(9~14)がさらに、前記ホルダ構造(9~14)に前記糸(17)を固定するように構成される少なくとも一つの固定要素(11)を包含する、請求項
1から7のいずれかに記載のアプリケータ(1)。
【請求項9】
アプリケータ(1)がさらに、前記ホルダ(6)により収容される内服物(2)、特に固形製剤を包含する、
請求項1~8のいずれかに記載のアプリケータ(1)。
【請求項10】
アプリケータ(1)がさらに、前記ハウジング(3)の前記第1開口(4)および/または前記ハウジング(3)の前記第2開口(5)を密閉するように構成される少なくとも一つのキャップ(7,8)を包含し、前記少なくとも一つのキャップ(7,8)が前記ハウジング(3)の前記第1開口(4)および/または第2開口(5)に開封可能に装着される、
請求項1~9のいずれかに記載のアプリケータ(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のアプリケータ(1)と、容器(20)、特に液体(25)を格納するように構成される飲用容器とを包含する飲用装置であって、前記容器(20)に格納される前記液体(25)が前記ハウジング(3)の前記第1開口(4)を介して前記アプリケータ(1)へ流入できるように前記アプリケータ(1)が特に開封可能に前記容器(20)と結合される、飲用装置。
【請求項12】
前記容器(20)が開口(23)を有して、前記アプリケータ(1)が前記容器(20)の前記開口(23)に特に開封可能に装着される、請求項11に記載の飲用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内服物、特に固形製剤を患者に経口投与するためのアプリケータおよび飲用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上部消化管の診断のために最近開発された方法において、患者は、―内視鏡使用の代替策として―食道の内膜から細胞を収集するように構成される使い捨て装置として設計された小型の物品を内服するだけでよい。装置は、ゼラチンカプセルに格納されて紐または糸に装着される直径約30mmの小型メッシュスポンジを包含する。患者は水とともにカプセルを内服し、装置が胃に達するとゼラチンコーティングが溶解する。数分後に医療従事者が紐を使用して膨張したスポンジを回収する。回収の間、若干研磨性のメッシュが食道の長さにわたって細胞を収集する。そして、例えば、特定の疾病を示すバイオマーカを検出する免疫組織化学染色を使用することにより、収集された細胞が分析されうる。
【0003】
カプセルのような小型内服物は通常、内視鏡など他の診断装置の使用と比較すると患者にとってそれほど不便ではないが、このような物品の経口投与を可能な限り簡便で確実なものにすることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
簡便かつ確実な方式での患者への内服物の経口投与を可能にするためのアプリケータおよび飲用装置を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項に記載のアプリケータおよび飲用装置により達成される。
【0006】
本発明の第一の態様によれば、内服物、例えば固形製剤を患者に経口投与するためのアプリケータは、第1開口と第2開口とを有するハウジングを包含し、ハウジングの第1開口は液体リザーバ、特に飲用容器と結合されるように構成され、ハウジングの第2開口は患者が飲用に使えるように構成される。アプリケータはさらに、ハウジングの中に配設されて内服物を収容するように構成されるホルダを包含し、ホルダはさらに、ハウジングの第1開口から第2開口へ液体がハウジングを流れる時に内服物をハウジングの第2開口へ搬送することを可能にするように構成される。
【0007】
発明の第二の態様によれば、飲用装置は、発明の第一の態様によるアプリケータと、液体を格納するように構成される容器、特に飲用容器とを包含し、容器に格納された液体がハウジグの第1開口を介してアプリケータへ流入できるように、アプリケータは特に開封可能に容器と結合される。
【0008】
発明の態様は、例えば、カプセル、丸薬、錠剤、またはペレットの形状および/または大きさを好ましくは有する内服物または装置を、好ましくはスリーブ状または管状のハウジングの中に配設されるホルダによってハウジングの中に収容および/または保管および/または保持するというアプローチに基づいている。アプリケータ、特にハウジングは、液体リザーバ、例えば飲用容器と結合されうる、および/または、これに装着されうるような形状および/または寸法および/または構成を持ち、特に、容器をこれに装着されたアプリケータとともに傾けた後または傾けている間に、リザーバに格納されている液体が、ハウジングの第1開口から第2開口へハウジングおよび/またはホルダを流れることを可能にする。好ましくは、ハウジングの第2開口は、患者が飲用に使えるように、例えばスパウト、くちばし形状スパウト、または薬飲器のマウスピースのような寸法および/または形状を持つ。さらに、ホルダは、アプリケータが傾けられる、および/または、液体がハウジングを流れる時に、収容された内服物を放出して、重力により、および/または、ハウジングの第2開口へハウジングを流れる液体により、内服物が搬送されることを可能にするように構成されることが好ましく、第2開口で内服物が液体とともにハウジングから出るので、患者により、容易に内服されうる。
【0009】
好ましくは、内服物は、以下の固形または半固形の製剤、つまり錠剤、フィルムコーティング錠剤、カプレット、糖衣錠、軟質ゼラチンカプセル、硬質ゼラチンカプセル、発泡錠、丸薬、粉末、顆粒、ペレット、ペースト、クリーム、軟膏、ジェルのうち少なくとも一つであるか、これらを包含する。
【0010】
好ましくは、内服物または装置は、紐および/または糸が装着されるカプセルのような固形製剤である。好ましくは、アプリケータは、物品と、これに装着される紐または糸の両方を収容するように構成される。例えば、紐または糸は、ハウジングおよび/またはホルダの中に、および/またはホルダの周りに、少なくとも部分的に巻き付けられて配設される。代替的または付加的に、紐または糸の少なくとも一区分は、固形製剤の周りに巻き付けられる、および/または、固形製剤、例えばカプセルの中に配設されうる。上述の事例のいずれかにおいて、アプリケータおよび/またはホルダおよび/または製剤は好ましくは、紐または糸を放出して、固形製剤が重力および/または第2開口へハウジングを流れる液体に従って患者により内服されることを可能にするように構成される。
【0011】
このようにして、本発明は、固形製剤のような内服物の患者への簡便かつ確実な経口投与を可能にする。
【0012】
好適な実施形態によれば、ホルダは、ハウジング内に特に同軸に配設されて内服物を収容するように構成されるホルダ構造を包含する。好ましくは、ホルダ構造は、ホルダ構造の第1端部に設けられる底部構造を包含する。さらに、ハウジングの第1開口から第2開口へハウジングを流れる液体の少なくとも一部がホルダ構造を流れることにより内服物をハウジングの第2開口へ搬送することを可能にするように底部構造が構成されると好適である。上述した好適な実施形態のうち一以上によって、一方で内服物のアプリケータ内への収容、他方でアプリケータハウジングの第2開口への内服物の放出および搬送が、特に確実かつ単純な手法で保証される。
【0013】
底部構造がグリッドを包含する、および/または、グリッドとして設計されるとさらに好適である。好ましくは、グリッドは、内服物の最小の寸法、例えば直径より小さいグリッド構造を有するので、内服物はグリッドを通過できない。このようにして、ホルダに収容された、および/または、グリッドに載った内服物はグリッドを通過して、液体リザーバ、例えばアプリケータハウジングの第1開口に用意される飲用容器へ流入できず、一方で、リザーバからの液体はグリッドを反対方向に通過して、グリッドからアプリケータハウジングの第2開口へ内服物を「押し流す」ことができる。
【0014】
本開示の意味における「グリッド」または「グリッド構造」の語は、二以上の交差ストリップ状要素による格子および/または枠組みもしくは構造に好ましくは関係するが、必ずしも関係するわけではない。非常に単純な例において、グリッドまたはグリッド構造は2本の交差ストリップ状要素のみにより形成されうる。
【0015】
代替的または付加的に、内服物を収容する、および/または、下方から支持して、それぞれブリッジ、ブリッジ状またはストリップ状の支持構造に載った内服物が液体リザーバへ流入できず、ハウジングの第1開口から第2開口へハウジングを流れる液体の少なくとも一部がブリッジ、ブリッジ状、またはストリップ状の支持構造をそれぞれ越えて流れることによりハウジングの第2開口へ内服物を搬送することを可能にするように構成されるブリッジ、ブリッジ状、またはストリップ状の支持構造を底部構造が包含する、および/または、そのように設計されると好適である。
【0016】
また別の好適な実施形態によれば、底部構造はハウジングに取り付けられる、および/または、ハウジングに装着される。好ましくは、底部構造は、ハウジングの第1開口の近くでハウジングの内側に取り付けられるかここに装着される。このように、ハウジングへ流入してホルダの底部構造を介してホルダを通過する液体は、ホルダ構造とハウジングの内側との間の空間への流入も防止される。このように、内服物に装着されてホルダ構造とハウジングとの間の空間に保管される糸は液体との接触から可能な限り保護されるので、例えば、物品が液体とともに患者により内服された時のみ糸が液体と接触するか、これよりかなり前には接触が生じない。液体と糸の早過ぎる接触を防止することが、食道に達する前に薬物が糸から洗い流されないことを保証するため、食道で放出されることが想定される薬物または他の物質を糸が担持する事例では、これは特に有利である。
【0017】
例えば、底部構造は、ハウジングに取り付けるためのフランジを備えうる。代替的に、ハウジングとホルダおよび/または底部構造は、適当な製造方法、例えば射出成形または3Dプリンティングにより得られる単体として形成されてもよい。
【0018】
特に底部構造に装着される壁部構造をホルダ構造が包含するとさらに好適であり、ホルダ構造、特に壁部構造の中に収容される内服物に装着された糸または紐が、それぞれホルダ構造または壁部構造内から壁部構造の外側へ、および/または、その逆に、つまり壁部構造の外側から壁部構造の内側へ案内される、および/または、壁部構造の外側に巻き付けられることを可能にする一以上の切欠き、スロット、および/または凹部が、壁部構造に見られる。好ましくは、ホルダ構造はさらに、糸がホルダ構造に固定されることを可能にするように構成されて特に壁部構造の外側に設けられる少なくとも一つの固定要素を包含する。例えば、固定要素は、壁部構造の外側に設けられて糸または紐の結び目が作られるような形状および/または寸法を持つ突部であるか、これを包含しうる。上述の実施形態は、内服物、例えば製剤と、装着された糸または紐の両方の、ホルダによる安全な収容を、単独または組み合わせで可能にする。
【0019】
すでに上述したように、紐または糸は必ずしもホルダまたはホルダ構造に巻き付けられなくてもよい。代替的または付加的に、紐または糸の少なくとも一区分が、内服物、例えばカプセルのような固形製剤に巻き付けられる、および/または、内服物の中に配設されてもよい。
【0020】
また別の好適な実施形態によれば、アプリケータはさらに、ホルダに収容される内服物、特に固形製剤を包含する、および/または、含む。代替的または付加的に、アプリケータはさらに、ハウジングの第1開口および/またはハウジングの第2開口を密閉するように構成される少なくとも一つのキャップを包含し、少なくとも一つのキャップはハウジングの第1開口および/または第2開口に開封可能に装着される。アプリケータに格納された内服物の患者への投与に先立って、少なくとも一つのキャップがハウジングの開口から取り外される。上述の実施形態において、アプリケータは、中に格納される内服物、特に固形製剤のための一次パッケージとしても機能する。衛生上の目的のため、アプリケータは好ましくは、例えば商標、および/または、格納物品に関する情報、および/または、アプリケータの使用指示が表記されうる付加的な外側または二次パッケージ、例えばプラスチックバッグまたはボックスに封入されうる。
【0021】
容器が開口を有すること、そしてアプリケータが容器の開口に特に開封可能および/または取り外し可能に装着されると、さらに好適である。例えば、容器は、アプリケータが装着される飲用グラスまたはカップのような従来の飲用容器でありうる。代替的に、容器は、好ましくは開封可能および/または取り外し可能にアプリケータが装着されるノズルまたはスパウトを備えるスクリュキャップを有する飲用容器でありうる。
【0022】
すでに上で記載したように、内服物は好ましくは、食道の内膜から細胞を収集するように構成され、ゼラチンカプセルに格納されて紐に装着される小型メッシュスポンジを包含する使い捨て装置でありうる。
【0023】
基本的に、上部消化管での局所的処置は、口から胃までの2秒未満という短い食道移動時間ゆえに達成が困難である。これらの制限を考慮すると、食道の局所的処置のために構成された糸または紐に装着されるカプセル、丸薬、錠剤、またはペレットのような固形製剤を内服物が包含すると特に好適である。例えば、糸または紐は薬物または他の物質を格納しうる。例えば、薬物が糸または紐により放出されて食道へ送達されることを保証するには、固形製剤を内服することにより、好ましくはこれに装着された薬物担持の糸または紐が食道内で案内され、所望の時間にわたって食道内に存在できる。
【0024】
好ましくは、本開示の意味における「糸」の語は、必ずしもより狭い意味での糸である必要はなく、唾液との接触状態で溶解し、局所的に、および/または、―吸収後に―全身的に作用する活性成分を放出する好ましくは薄く可撓性で急速分解可能な薬物担体である「ウェハ」、「薄片」、「可食フィルム」、または「経口フィルム」とも呼ばれるフィルムであるかこれを包含してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明のさらなる利点、特徴、そして例は、以下の図についての以下の説明から明白になるだろう。
【
図4a】例示的なアプリケータ使用ステップを示す。
【
図4b】例示的なアプリケータ使用ステップを示す。
【
図4c】例示的なアプリケータ使用ステップを示す。
【
図4d】例示的なアプリケータ使用ステップを示す。
【
図4e】例示的なアプリケータ使用ステップを示す。
【
図5a】例示的なアプリケータ組立ステップを示す。
【
図5b】例示的なアプリケータ組立ステップを示す。
【
図5c】例示的なアプリケータ組立ステップを示す。
【
図5d】例示的なアプリケータ組立ステップを示す。
【
図10a】アプリケータの別の例をそれぞれ正面図と斜視図で示す。
【
図10b】アプリケータの別の例をそれぞれ正面図と斜視図で示す。
【
図11a】アプリケータの別の例をそれぞれ正面図と斜視図で示す。
【
図11b】アプリケータの別の例をそれぞれ正面図と斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、アプリケータ1の一例の断面を正面図で示す。アプリケータ1は、好ましくはスリーブ状および/または回転対称の形状を呈するとともに、第1開口4と第2開口5とを有するハウジング3を包含する。好ましくは、第1開口4および/またはその近くの領域において、液体リザーバ、特に飲用ボトルなどの飲用容器の上端部および/または開口23に、好ましくは液密状態で結合および/または装着されうるようにハウジング3が形成および/または構成される。
【0027】
アプリケータ1はさらに、ハウジング3の中に配設されて内服物2を収容および/または保持および/または保留するように形成および/または構成されるホルダ6を包含する。好ましくは、内服物2は、カプセルなどの固形製剤の大きさおよび形状を有する。この例で、内服物2は、ホルダ6の底部構造9および壁部構造10によりそれぞれ下方および側方の両方から支持される。さらに、所与の例では、第2開口5を密閉するため取り外し可能なキャップ8がハウジング3の第2開口5に装着される。
【0028】
図2は、アプリケータ1の一例の断面を斜視図で示す。
図1に挙げられた例と同様に、ハウジング3の第2開口5はキャップ8で密閉される。しかしながら、飲用容器に装着されるのではなく、第1開口4に取り外し可能に装着されるキャップ7で第1開口4が密閉されてもよい。好ましくは、ホルダ6の底部構造9は液体に対して透過性であって、例えば、液体に対して透過性であるグリッドまたは他の何らかの構造として構成されうる。
【0029】
好ましくは、ハウジング3および/またはホルダ6は、スリーブ状または管状の基本形態を有する、および/または、ハウジング3および/またはホルダ6は回転対称である。好ましくは、ホルダ6はハウジング3の中に同軸に配設される、つまりホルダ6およびハウジング3の回転対称の軸線は一致する。
【0030】
図3は、アプリケータ1の一例を斜視図で示し、ハウジング3は底部キャップ7と上部キャップ8の両方により密閉されている。
【0031】
図2および3の例から分かるように、格納される内服物2、特に固体製剤のための一次パッケージとしてアプリケータ1が機能すると有利でありうる。衛生上の目的のため、アプリケータ1は好ましくは付加的な外側または二次パッケージ、例えばプラスチックバッグまたはボックス(不図示)に封入されうる。
【0032】
アプリケータ1に格納された内服物2の患者への投与に先立って、キャップ7,8が開口4,5から取り外され、ハウジング3が液体リザーバの開口23に装着される。これについては以下でより詳しく説明される。
【0033】
図4a)~e)は、アプリケータ1の例示的な使用ステップを断面表示で示す。
【0034】
図4aに示されている第1ステップでは、内服物2を格納してキャップ7,8で密閉されたアプリケータ1とともに飲用容器20が用意される。この例で、水などの液体25が充填された飲用容器20は、ねじ結合部22を上部開口に有するカップ21を包含する。開口23を有するスクリュキャップ24がねじ結合部22にねじ結合される。スクリュキャップ24の開口23は好ましくは、人が飲用に使えるような構成、特に形状および/または寸法を持つ。好ましくは、カップ21と開口23を備えるスクリュキャップ24とを含む飲用容器20は、病院または医療現場のような医療分野で一般に使用される飲用容器である。
【0035】
第2および第3ステップでは、アプリケータ1のハウジング3の第1開口4の底部キャップ7が取り外され(
図4b)、アプリケータ1がスクリュキャップ24の開口23に装着される(
図4c)。第4ステップ(
図4d)では、アプリケータ1のハウジング3の第2開口5の上部キャップ8が取り外される。
【0036】
第5ステップ(
図4e)で、飲用容器20がこれに装着されたアプリケータ1とともに傾けられて、ハウジング3の第1開口4を通り、続いて内服物2を収容するホルダ6を少なくとも部分的に通って、液体をカップ21から流出させる(破線矢印で指示)。ホルダ6を流れる液体および/または重力により、内服物2はハウジング6の第2開口5へ搬送され、第2開口5から流出する液体により「押し流され」、そして第2開口5から飲用を行っている患者により内服されうる。
【0037】
図5a)~d)は、アプリケータ1の例示的な組立ステップを断面図で示す。
【0038】
第1ステップ(
図5a)では、ホルダ6が用意される。第2ステップ(
図5b)では、内服物2が好ましくはホルダ6の底部構造9により支持される、および/または、好ましくはホルダ6の壁部構造10と当接するように、内服物2がホルダ6へ挿入される、および/または、ホルダ6の中に載置される。好ましくは、内服物2は、糸または紐(不図示)の第1端部で糸または紐が装着される製剤、例えばカプセル、丸薬、または錠剤である。
【0039】
好ましくは、ホルダ6への物品2の挿入に先立って、糸がホルダ6へ挿入される、および/または、ホルダ6の上に、またはホルダに沿って置かれる。例えば、以下の手順、つまりi)壁部構造10の第1半分への糸の巻き付けと、ii)壁部構造10に設けられる二つの両側切欠き12を介したホルダ6の内部での糸の案内と、iii)壁部構造10の第2半分への糸の巻き付けとiv)二つの両側切欠き12を介したホルダ6の内部での糸の案内とを反復することにより、ホルダ6の中と周りに糸が「8」の形状で載置されうる。
【0040】
好ましくは、物品2に装着されていない糸または紐の第2端部は、壁部構造10の外側に設けられた固定要素11に固定されうる。代替的または付加的に、固定要素11または糸を固定するための他の類似作用の要素は、ホルダ6および/またはハウジング3の別の位置、例えば底部構造9に、および/または、壁部構造10の内側に設けられうる。
【0041】
第3ステップ(
図5bの矢印参照)では、ホルダ6がこれに収容された物品2とともにハウジング3へ押入される。好ましくは、ホルダ6の底部領域にはフランジ13と傾斜突部14とが設けられる。ハウジング3の第1開口4の近位には、フランジ13と突部14との間に嵌着する周方向リブ15が設けられると、さらに好適である。好ましくは、ホルダ6を下方からハウジング3へ挿入する時に、傾斜突部14は矢印で示された方向にリブ5を通過できるが、フランジ13と突部14との間でのリブ15の形状嵌めによってハウジング6の内壁部にホルダ6が固定されるように反対方向には返しとげとして作用する。これは
図5cに図示されている。
【0042】
第4および第5ステップ(
図5d参照)では、上部キャップ8と下部キャップ7がそれぞれハウジング3に装着されて、ハウジング3の第2開口5と第1開口4とをそれぞれ密閉する。
【0043】
図6a)~c)は、ホルダ6の一例の様々な斜視図を示し、
図6aはホルダ6の断面を示す。基本的に、底部構造9、壁部構造10、固定要素11、切欠き12、フランジ13、そして突部14に関して、上の解説が適宜当てはまる。
【0044】
図6bおよび6cから分かるように、この例では、壁部構造12の両側に二つの切欠き12が設けられる。概して、2本より少ないか多い切欠き12、例えば壁部構造12の周りに90°ずつ分散された四つの切欠きを設けることが可能である。
【0045】
図6aおよび6cから明白であるように、ホルダ6の底部構造9は、ホルダ6の中に収容された内服物2が底部構造9を通過して液体リザーバに入るのを効率よく防止する十字線状の構造を有する。概して、一方では液体に対して透過性であって、他方では収容された物品2が底部構造9を越えて液体リザーバに入るのを防止する他の何らかのタイプのグリッドを設けることが可能である。好ましくは、ホルダ6の中に収容される物品2、特に製剤の断面より小さい孔を底部構造9が有する。
【0046】
以下では、アプリケータ1の特定の態様を示すに過ぎない図を参照してアプリケータ1のさらなる例が説明されるが、一方で単純化のため、さらなる詳細は無視される。しかしながら、以下の例の(不図示の)詳細が少なくとも部分的には上記のアプリケータ1の例と同様に設計されうることが理解されるべきである。
【0047】
図7は、アプリケータの別の例を斜視図で示す。ハウジング3は本質的に管状またはスリーブ状の基本形状を有し、ホルダ6のフランジ構造13に滑り嵌めされて摩擦および/または形状嵌めによりホルダ6と係合する。
【0048】
上に挙げた例と同様に、ホルダ6の周方向壁部構造10には二つの切欠き12が設けられる。この例で、切欠き12は壁部構造10の上端部から壁部構造10の下端部まで延在し、下端部にはフランジ構造13が設けられる。
【0049】
さらに、この例で、ホルダ6の中に収容された内服物2は、内服物2に装着されて、切欠き12を介してホルダ3の内部とホルダ6の外側とに反復的に案内された糸17の複数の区分により形成されるウェブ、経路、またはブリッジ16により支持される、および/または、その上に位置する。この例では、図に指示されているように、糸は「8」に似た形状に置かれる。これに関して、
図5bを参照した上記の解説が適宜当てはまる。
【0050】
糸17の一端部は物品2に装着されるのに対して、糸17の他端部は、好ましくはホルダ6のフランジ構造13にハウジング3を滑り嵌めする時にハウジング3とホルダ6のフランジ構造13との間に糸17の端部を詰め込むことによりアプリケータ1に取り付けられる。
【0051】
図8は、アプリケータ1の別の例を斜視図で示す。基本的に、
図7を参照して挙げられた上記の解説が適宜当てはまる。しかしながら、切欠き12が本質的に一定の幅を有する
図7に挙げられた例と対照的に、この例における切欠き12の幅はホルダ6の上端部に向かって増加している。好ましくは、切欠き12は台形の形状を有する。このようにして、ホルダ6からの糸17の巻き出しが特に確実な方式で可能となる。
【0052】
図9は、アプリケータ1の別の例を斜視図で示す。基本的に、
図8を参照して挙げられた上記の解説が適宜当てはまる。
図8に挙げられた例と対照的に、ホルダ6の壁部構造10の高さは減少している。好ましくは、壁部構造10の高さは、ハウジング3の高さのおよそ30から80%、好ましくは50から60%に相当する。このようにして、ホルダ6からの糸17の巻き出しがさらに促進される。
【0053】
図10a)およびb)は、アプリケータの別の例をそれぞれ正面図と斜視図で示す。基本的に、
図9を参照して挙げられた上記の解説が適宜当てはまる。
図9に挙げられた例と対照的に、ハウジング3とホルダ6とのより安定した固定を保証するため、フランジ13に隣接する段部18の高さが増加している。
【0054】
図11a)およびb)は、アプリケータの別の例を正面図と斜視図で示す。基本的に、
図10を参照して挙げられた上記の解説が適宜当てはまる。
図10に挙げられた例と対照的に、ホルダ6からの糸(不図示)の特に確実な巻き出しを可能にする合計4本の切欠き12を備える本質的に円錐形の基本形態が壁部構造10に見られる。
【符号の説明】
【0055】
1 アプリケータ
2 内服物
3 ハウジング
4 第1開口
5 第2開口
6 ホルダ
7,8 キャップ
9 底部構造
10 壁部構造
11 固定要素
12 切欠き
13 フランジ
14 突部
15 リブ
16 ブリッジ
17 糸
18 段部
20 飲用容器
21 カップ
22 ねじ結合部
23 飲用容器の上端部または開口
24 スクリュキャップ
25 液体