(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】内部加熱型相変化材料熱バッテリおよび方法
(51)【国際特許分類】
F28D 20/02 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
F28D20/02 E
(21)【出願番号】P 2021501287
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 GB2019052119
(87)【国際公開番号】W WO2020021288
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518455088
【氏名又は名称】サンアンプ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビッセル、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ガタオラ、サントク
(72)【発明者】
【氏名】ニコルソン、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ドーク、キエラン
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146014(JP,A)
【文献】特開2001-317886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0083459(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0028791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)であって、
前記PCM熱バッテリの全体のための熱バッテリケースと、
前記熱バッテリケース内に配置された、PCMを保持することが可能なPCM筐体と、
前記PCM筐体に配置されるPCMと、
前記PCM熱バッテリを制御するための電子制御システムと、
前記PCM熱バッテリに配置された少なくとも1つ、または複数ある加熱装置であって、前記PCMを加熱および/または蓄熱することが可能である少なくとも1つ、または複数ある加熱装置と、
前記PCMおよび前記PCM熱バッテリの他の部分
の温度をモニタリングすることが可能である、前記PCM熱バッテリの異なる垂直位置に配置された複数のセンサと、
前記PCM筐体の中に配置され、前記PCMと作動媒体との間で熱エネルギーの移動を行うように構成された、少なくともコア及びフィンの一方を有する熱交換器と、
を備え、
前記少なくとも1つ、または複数ある加熱装置は、前記PCM筐体の中に配置され、従って、前記PCMに直接接触して浸漬され、
少なくとも1つ、または複数の熱導体が、
前記熱バッテリケースに実質的に垂直に挿入され、前記PCMに浸漬され、または、部分的に浸漬され、
前記少なくとも1つ、または複数の熱導体は、
前記熱交換器の中
に実質的に垂直に配置され、前記PCM内に延在し、かつ、
前記加熱装置とは直接接触して配置されず、
前記電子制御システムは、
前記複数のセンサの測定値に基づいて、前記少なくとも1つ、または複数である加熱装置を通じて、前記PCMに熱を直接加えることによって、前記PCM
の温度を制御する、
相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項2】
少なくとも1、2、3、4、5、6、または複数である加熱装置がある、請求項1に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項3】
前記PCM筐体の中の異なる垂直位置に配置された加熱装置がある、請求項1または2に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項4】
前記熱バッテリケースの内側に、前記PCM筐体の周囲に延在する断熱層
を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項5】
前記
熱交換器が、入力部および出力部をそれぞれ含む第1熱交換回路および第2の熱交換回路を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項6】
前記熱交換器
がフィンを含
む、請求項1から5のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項7】
過熱安全カットオフサーモスタッ
トを更に備え、
前記複数のセンサは、前記PCM、および/または、前記熱交換器にわたる温度を取得する
べく、前記
PCM熱バッテリの異なる垂直位置全体にわたっ
て配置される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項8】
前記加熱装置は、前記PCM筐体の上半分に配置され、前記PCMに浸漬される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項9】
前記電子制御システムは、バッテリコントローラを含み、前記加熱装置が完全に制御される、および/または、要求されたときにオンおよび/またはオフに切り替えられることを可能にし、前記加熱装置によって供給されるパワーおよび/または加熱の量はまた、前記PCM筐体および前記PCMに配置されたセンサの測定結果に応じて制御される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項10】
前記PCM筐体および/または前記PCMの中の異なる高さに配置された複数の電気加熱装置がある、請求項1から
9のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項11】
前記PCM筐体の上半分に配置された第1加熱装置、および、前記PCM筐体の下半分に配置された第2加熱装置があり、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の両方は前記PCMに浸漬される、請求項1から
10のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項12】
前記熱交換器が、伝導要素を含むコアを含み、
前記コアに
、一部が埋め込まれた少なくとも1つ、または複数である非平面形加熱装置
を更に備え、
前記非平面形加熱装置は、前記PCMを通って下向きに延在する、実質的に垂直な部分を含み、前記実質的に垂直な部分から実質的に接線方向に延在する、少なくとも1つ、または複数の実質的に水平に配置された部分がある、または、
第1の実質的に水平に配置された部分は、前
記コアの下4分の1に沿って延在し、第2の水平に配置された部分は、前
記コアの中央部を実質的に通って延在し、第3の水平に配置された部分は、前
記コアの上4分の1を通って延在する、または、
前記実質的に水平に配置された部分は、前
記コアに埋め込まれる、または、少なくとも部分的に埋め込まれる、
請求項1から
11のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項13】
前記熱交換器が、伝導要素を含むコアを含み、
前記コアに
、一部が埋め込まれた少なくとも1つ、または複数である加熱装置
を更に備え、
前記少なくとも1つ、または複数の電気加熱装置は、前記PCM熱バッテリのマニホールドに埋め込まれる、または、
前記加熱装置は、前
記コアにわたって実質的に水平に延在する回路に埋め込まれ、前記回路は前記熱交換器に埋め込まれ、
前記回路の周囲に延在する通路があり、前記回路の周囲に延在する、少なくとも1つ、または複数である加熱装置がある、
請求項1から
12のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項14】
前記少なくとも1つ、または複数ある加熱装置の少なくとも一部が、前記熱交換器の下側に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項15】
前記少なくとも1つ、または複数の熱導体が、ロッド、パイプ、または平面状の熱導体の少なくとも1つである、請求項1から14のいずれか一項に記載の相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)。
【請求項16】
熱エネルギーを相変化材料熱バッテリ(PCM熱バッテリ)に加える方法であって、
PCMを保持することが可能なPCM筐体を
熱バッテリケース内に配置する段階と、
前記PCM筐体に配置されたPCMを提供する段階と、
前記PCM熱バッテリを制御するための電子制御システムを提供する段階と、
前記PCM筐体に配置され、前記PCMに浸漬された少なくとも1つ、または複数である加熱装置を提供する段階であって、前記少なくとも1つ、または複数である加熱装置は、前記PCMを加熱および/または蓄熱することが可能である、段階と、
前記PCMおよび前記
PCM熱バッテリの他の部分
の温度をモニタリングすることが可能である、前記PCM熱バッテリの異なる垂直位置に配置された複数のセンサを提供する段階と
前記PCM筐体の中に、前記PCMと作動流体との間で熱交換を行う、少なくともコア及びフィンの一方を有する熱交換器を配置する段階と、
を含み、
前記少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、前記PCM筐体の中に配置され、従って、前記PCMに直接接触して浸漬され、
少なくとも1つ、または複数の熱導体が、
前記熱バッテリケースに実質的に垂直に挿入され、前記PCMに浸漬され、または部分的に浸漬され、
前記少なくとも1つ、または複数の熱導体は、
前記熱交換器
の中に実質的に垂直に配置され、前記PCM内に延在し、かつ、
前記加熱装置とは直接接触して配置されず、
前記電子制御システムは、
前記複数のセンサの測定値に基づいて、前記少なくとも1つ、または複数である加熱装置を通じて熱を加えることによって、前記PCM
の温度を制御する、
方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つ、または複数ある加熱装置の少なくとも一部が、前記熱交換器の下側に配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つ、または複数の熱導体が、ロッド、パイプ、または平面状の熱導体の少なくとも1つである、請求項16または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部加熱される相変化材料(PCM)バッテリ設計に関する。より具体的には、本発明は、PCMを含む一連の熱バッテリに一体的に、および/または、内部的に配置される加熱装置(例えば電気加熱装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
熱の移動および/または貯蔵に使用されるPCMを含む熱バッテリが周知である。しかしながら、既存のPCMバッテリ技術には多くの問題がある。
【0003】
PCMを含む標準の熱バッテリにおいて、複数の蓄熱用熱源を接続する効率の問題がある。さらに、外部に配置された一次熱源によってPCM熱バッテリが蓄熱される必要がある状況において問題もある。
【0004】
制御された方式でPCMを蓄熱するために内部加熱装置が使用されるとき、非常に複雑なハイドロニクス回路が必要となるので、更なる問題が従来技術の装置において見られる。複雑なハイドロニクス回路は、非常に信頼性が低く、また、頻繁に不具合が発生することが分かっている。複雑なハイドロニクス回路はまた、高価であり、点検が困難である。
【0005】
本発明の少なくとも1つの態様の目的は、上記の問題の少なくとも1つまたは複数を回避および/または緩和することである。
【0006】
本発明のなお更なる目的は、複数の蓄熱用熱源に接続するための柔軟性を含む技術的効率および利益を提供する、PCMを含む改善された熱バッテリを提供することである。
【0007】
本発明のなお更なる目的は、複雑なハイドロニクス回路を必要とすることなく、外部に配置された一次熱源、および/または、内部加熱装置を用いて、制御された方式で蓄熱される能力を含む、PCMを含む改善された熱バッテリを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1態様によれば、少なくとも1、2以上、または複数の一体型および/または内部的に配置された加熱装置、例えば電気加熱装置を有するPCM熱バッテリが提供される。
【0009】
本発明の第2態様によれば、PCMを保持可能なPCM筐体と、筐体に配置されるPCMはと、PCM熱バッテリを制御するための電子制御システムと、PCM熱バッテリに配置された少なくとも1つ、または複数の加熱装置とを含むPCM熱バッテリが提供され、少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、PCMの加熱および/または蓄熱が可能である。
【0010】
本発明は、改善された熱バッテリ設計に関し、熱バッテリは、例えば、少なくとも1つ、または複数の加熱装置を有するPCM熱バッテリであり、加熱装置はPCMバッテリに一体的に、および/または、内部的に配置され得る。
【0011】
PCM熱バッテリは、熱バッテリ構成における複雑なハイドロニクス回路、ならびに、任意の付随コンポーネントおよび付随コストについての要件を克服するという利点を有する。
【0012】
本発明のPCM熱バッテリは、改善された技術的効率、利益、および、特に複数の蓄熱用熱源への接続についての柔軟性を提供する、改善された熱バッテリ構成および設計を提供する。
【0013】
通常、加熱装置はPCM筐体の中に配置され得る。従って、いくつかの実施形態において、加熱装置はPCMに直接接触し、その中に浸漬し得る。 PCM熱バッテリは、少なくとも1、2、3、4、5、または6個の加熱装置を含み得る。
【0014】
代替的に、PCM熱バッテリは、少なくとも2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、または6個以上の加熱装置を含み得る。PCM熱バッテリは複数の加熱装置を含み得る。
【0015】
加熱装置は、PCM筐体、従って、PCM熱バッテリ内に一体的に、および/または、内部的に配置されるものとして記載され得る。
【0016】
加熱装置は、PCM筐体内において異なる位置(すなわち、深さまたは高さ)に配置され得る。従って、加熱装置は、PCM筐体内において異なる垂直位置に配置され得る。
【0017】
複雑なハイドロニクス回路を有するという要件を無くすために、PCM熱バッテリは、外部の一次熱源で蓄熱され得る。従って、PCM熱バッテリは、外部の一次熱源、および、PCM筐体内に配置された加熱装置の両方によって蓄熱され得る。従って、本発明の加熱装置は、PCM熱バッテリの二次熱源としてみなされ得る。そのような構成により、PCMの蓄熱および/または温度を非常に高精度に制御することが可能となる。PCM熱バッテリは、PCM熱バッテリ全体のための外部ケーシングを含み得る。
【0018】
PCM熱バッテリの外部ケーシング内に断熱層が配置され得る。断熱層はPCM熱バッテリの熱効率を増加させ、熱をPCM筐体内に保持し得る。
【0019】
PCM筐体は、外部ケーシングおよび断熱層の内側に配置された収納容器であり得る。PCM筐体はPCMを保持し得る。従って、断熱層は、PCM筐体の周囲に被覆断熱層を形成し得る。
【0020】
本発明において使用されるPCMは、具体的な用途および必要なエネルギーに対して適合され、変更され得る。従って、任意の好適なタイプのPCMが、一連の用途、例えば、家庭および産業両方の用途における温水の提供、エネルギーの貯蔵、および、その後のエネルギーの放出などに使用され得る。
【0021】
電子制御システムは、加熱装置を通じて熱などのエネルギーを加えることにより、PCMの物理的特性および/または温度を制御し得る。
【0022】
加熱装置は、エネルギーおよび/または熱をPCMに提供可能な任意の好適な要素であり得る。例えば、加熱装置は、熱エネルギーをPCMに加えることによりPCMの温度を増加させるために使用され得る電気加熱要素であり得る。
【0023】
従って、本発明における加熱装置は、電気加熱装置に一体的に、および/または、内部的に配置され得る。従って、いくつかの実施形態において、加熱装置は、PCM材料に直接接触し得る。
【0024】
従って、いくつかの実施形態において、PCMが直接加熱され得ることは、バッテリ内の回路における流体の循環が蓄熱フェーズに必須ではなく、熱バッテリの放熱のためだけに存在することを意味する。本発明はまた、複雑なハイドロニクス回路の必要性を克服する。 特定の実施形態において、PCM熱バッテリはデュアルポート熱バッテリであり得る。
【0025】
PCM熱バッテリはまた、例えばフィン付きコアを有する熱交換器であり得る熱交換器を含み得る。熱交換器はPCM筐体内に配置され得る。
【0026】
本発明の電子制御システムは、PCM熱バッテリに電気的接続を提供するために使用される低電力回路(LPC)および高電力回路(HPC)を含み得る。
【0027】
電子制御システムはまた、HPC入力部およびHPC出力部を含み得る。また、LPC入力部およびLPC出力部があり得る。入力部および出力部は、PCM熱バッテリの上側、すなわち、上表面に配置され得る。
【0028】
バッテリコントローラもあり得る。バッテリ蓄熱状態シグナルおよびバッテリ蓄熱制御シグナルもあり得る。 PCMバッテリは主電源から電力供給され得る。
【0029】
PCM熱バッテリはまた、PCMおよび熱バッテリの他部分の物理的特性および/または温度をモニタリング可能な少なくとも1つ、または複数のセンサを含み得る。例えば、過熱安全カットオフサーモスタットS0があり得る。さらに、温度センサ、例えば、温度センサS1、S2、S3があり得る。センサ、例えば、温度センサは、作動媒体全体にわたる温度を取得するために、熱バッテリ全体に分布し得る。
【0030】
センサはPCMにおける異なる垂直位置に配置され得る。これにより、PCMの物理的特性および温度をPCM筐体の全体にわたってモニタリングすることが可能となる。例えば、上半分、および/または、中央付近、および/または、PCM筐体の下方端側の付近にセンサが配置され得る。
【0031】
任意の特定の実施形態において、PCM熱バッテリは例えば、バックアップ加熱器要素、例えば電気加熱器要素の形態である本発明の加熱装置を有するデュアルポート設計であり得る。少なくとも1または複数のバックアップ加熱器要素があり得る。
【0032】
本発明のデュアルポート設計は、非飲用水で熱バッテリを蓄熱可能であるという技術的利点を提供する。さらに、バッテリは単純で安価な非認証コンポーネントで蓄熱できる。次に、飲用水を用いて熱が抽出され得る。従って、本発明の熱バッテリは、過去の複雑なハイドロニクスシステムと比較して、大幅に改善されている。
【0033】
特定の実施形態において、熱バッテリは、例えば、PCMに配置されるスタンバイ電気加熱器であり得る単一または複数の加熱装置を含み得る。加熱装置は、PCMに配置され得る任意の形態の電気加熱装置であり得る。従って、加熱装置は、PCMに浸漬される、一体的および/または内部的に配置された電気加熱装置として記載され得る。本発明は、PCMに配置された少なくとも1、2、または複数の加熱装置を有し得ることに留意されたい。
【0034】
PCM筐体、従って、PCMにおける加熱装置の位置は重要であることが分かった。特定の実施形態において、加熱装置、例えば電気加熱器は、PCM筐体の上半分に配置され得る。上半分とは、PCM筐体の垂直方向の上半分を意味する。加熱装置はPCMに浸漬され得る。
【0035】
電子制御システムはバッテリコントローラであり得る、またはそれを含み得る。加熱装置はバッテリコントローラに接続され得る。従って、加熱装置は、要求されたとき、完全に制御される、および/または、オンおよび/またはオフに切り替えられ得る。加えて、加熱装置によって供給されるパワーおよび/または加熱の量も修正され得る、すなわち、適合および変更され得る。従って、供給される加熱および蓄熱の量は、センサの測定値、および/または、温水の供給など特定の用途に要求されるパワーに依存し得る。
【0036】
特定の実施形態において、加熱装置は、PCM筐体の上半分、3分の1、または上4分の1に配置され得る。加熱装置がPCM筐体の上部、および、上部における対応するPCMを蓄熱することに使用され得るように、加熱装置の位置は、PCM筐体の上部にあることが好ましいことがあり得る。これにより、PCM筐体の上部におけるPCMだけが加熱され、従って、低減されたキャパシティのみを提供するが、それでも、ユーザが使用可能な出力を利用するのに十分な熱が提供される。従って、本発明の加熱装置は、完全適合型バックアップ加熱システムとして機能し得る。
【0037】
本発明のPCMバッテリの更なる利点として、加熱装置を介して電熱を入力し、その後、熱交換器を介して即座に熱を取り出すことが可能であることが分かった。この利点として、瞬間水加熱器システムなど従来技術のシステムにおいて見られたものと異なり、電熱エネルギーが貯蔵される必要がない。
【0038】
実施形態において、PCM熱バッテリは、PCM筐体内の異なる高さに配置される複数の電気加熱装置を含み得る。これを行う利点として、どれだけのPCM材料を加熱するか、従って、エネルギーをどれほど貯蔵および/または放出するかを選択できる。電気加熱装置を異なる高さに配置することにより、異なる量(すなわち体積)のPCMを加熱することが可能となる。従って、本発明のバックアップ電気加熱器要素機能は例えばデュアルポートシステムなどの幅広い用途において高度に適合可能である。
【0039】
特定の実施形態において、PCM熱バッテリは、PCM筐体の上半分に配置された加熱装置と、PCM筐体の下半分に配置された加熱装置とを含み得る。従って、PCM熱バッテリは、異なる垂直位置に2つの加熱装置を含み得る。上に配置された加熱装置はバックアップ加熱器として機能し得る。従って、当該加熱装置は、一次熱源が故障した場合に起動され得る。
【0040】
代替的に、PCM筐体の上約4分の3に配置された加熱装置と、PCM筐体の底部のすぐ上に配置された下方に配置された加熱装置とがあり得る。上述のように、異なる量のPCMを加熱することを可能にするように、加熱装置の位置は適合され得る。上述のように、加熱装置は、任意の好適な形態の電気加熱器/要素であり得る。
【0041】
PCM筐体の底部側に配置される加熱装置は、バッテリにおける実質的にすべてのPCM材料が迅速に蓄熱されることを可能にし得る。
【0042】
第2加熱装置をPCM筐体内に配置する利点は、熱バッテリにおけるPCMがより迅速に蓄熱されることが可能になることである。PCM筐体の底部に配置された加熱装置は、熱バッテリのための一次熱源として機能し得る。
【0043】
従って、本発明は、異なる量のエネルギーを提供するために、バッテリにおける異なる高さの電気加熱装置など、一体的および/または内部的に配置された複数の加熱装置を有し得る。異なる量および体積のPCMを加熱することにより、異なる量のエネルギーが提供され、それらは次に貯蔵および/または分配できる。
【0044】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリに一体的に、および/または、内部的に配置され得、例えば熱交換器の下側のPCMに浸され得る少なくとも1つまたは複数の加熱装置があり得る。PCM筐体はまた、熱バッテリの下方端側に配置された、例えば、段構造、例えば、PCM筐体の底部から上向きに延在する2つの段構造を含み得る。
【0045】
段構造は、例えば、加熱器要素端子および安全カットオフ構造のための効率的なハウジングを提供し得る。段構造はまた、真空断熱パネルがPCM熱バッテリの断熱に使用されることを可能にし得る。
【0046】
これらの段構造503aはまた、加熱装置511の上に熱交換器504を配置し、熱交換器504の下側に一定量のPCM505を配置することを助ける。
【0047】
加熱装置は、PCM筐体の下方端側に配置された電気加熱装置であり得る。例えば、加熱装置は、管状の形態であり得、熱バッテリと一体化され得る。加熱装置は熱交換器の下側に配置され得る。従って、加熱装置は、瞬時の加熱をPCMに提供するために使用され得る。
【0048】
加熱装置(例えば管状の電気加熱器)は、例えばバルクヘッド接続を介して熱バッテリケースを貫通し得る。そのような構成は、管状の細長い加熱装置から大きい表面積を介してPCMへ熱を移動することが可能であるという利点を提供する。
【0049】
加熱装置は、PCMに浸され、完全に浸漬され得る。従って、加熱装置はPCMと直接接触し得る。
【0050】
また、PCM熱バッテリ内に配置され、PCM筐体およびPCMの内側に配置された熱交換器があり得る。通常、熱交換器は、熱効率を改善するためのフィン付きコアを有し得る。熱交換器は制御回路を有し得る。
【0051】
PCMにおける伝導および対流により、熱交換器、例えばフィン付きコアを有する熱交換器に熱が移動し得る。これは、エネルギー効率が高いシステムであることが分かった。
【0052】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、少なくとも1つ、または複数の熱導体、例えば、熱バッテリケースに実質的に垂直に挿入され得る金属ロッドなどを含み得る。熱導体は例えば、伝導ロッドまたはヒートパイプであり得る。熱導体は、熱交換器において実質的に垂直に配置され、例えば、PCMの上方端エリアなどのPCMの部分中に延在し得る。熱導体は、熱交換器および/またはPCM全体に熱を放散および/または拡散するために使用され得る。
【0053】
従って、熱導体は、PCM中に浸漬され得る、または、少なくとも部分的に浸漬され得る。熱導体はまた、熱交換器、例えば、フィン付きであり得る熱交換器コア中に延在、または少なくとも部分的に延在し得る。
【0054】
少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、熱交換器の下方端側に配置され得る。加熱装置は、PCM筐体の底部側に、底部に沿って実質的に水平に配置され得る。
【0055】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、PCM熱バッテリ設計中に統合され得る熱プレート(例えば、金属プレートなどの伝導熱プレート)を含み得る。熱プレートは、熱交換器コア(例えば熱交換器フィン付きコア)内に延在し得る、または少なくとも部分的に延在し得る。熱プレートは、熱交換器の下側、または実質的に下側の熱バッテリの加熱された領域中に延在し得る。
【0056】
例えば、2、3、4または複数の熱プレートがあり得る。熱プレートは、熱交換器において実質的に垂直に配置され、任意で、加熱装置を通ってPCM705の下方端エリア中に延在し得る。熱交換器を通って任意の好適な向きに向けられ得る任意の好適な数の熱プレートがあり得る。プレートに沿った上方向への熱の移動、および、下方向への冷却の移動を助けるために、熱プレートは、実質的に垂直に入れられ得ることが好ましいことが分かった。
【0057】
熱プレートは、任意の好適な金属および/または合金などの伝熱材料から形成され得る。プレートは、伝熱を助けるために比較的厚いことがあり得る。熱プレートは、実質的に平面状で、PCM熱バッテリにおいて実質的に垂直方向に向き得る。
【0058】
熱プレートは、約0.1~5cm厚、約0.1~2cm厚、または約0.1~0.5cm厚など、比較的厚いことがあり得る。
【0059】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、例えば、フィン付きコア熱交換器などの熱交換器に埋め込まれた、例えば少なくとも1つ、または複数の実質的にL字形の電気加熱装置などの非平面形加熱装置を含み得る。
【0060】
非平面形加熱装置(例えば実質的にL字形の加熱装置)は、PCMを通って下向きに延在する、実質的に垂直に配置された部分を含み得る。実質的に垂直な部分811aから接線方向に延在する、1または複数の(例えば3つの)実質的に水平方向に配置された部分があり得る。単一または複数など、任意の数の実質的に垂直に配置された部分、および、実質的に水平に配置された部分があり得る。
【0061】
1つの実質的に水平に配置された部分は、熱交換器コアの下4分の1において延在し得、第2の水平方向に配置された部分は、熱交換器コアの実質的に中央部を通って延在し得、第3の水平に配置された部分は、熱交換器の上4分の1を通って延在し得る。水平方向に配置された部分は、熱交換器コアの任意の好適なエリアに配置され得る。
【0062】
実質的に水平方向に配置された部分は、熱交換器のコア(例えば、フィン管熱交換器のフィン付きコア)中に埋め込まれ得る、または、少なくとも部分的に埋め込まれ得る。熱交換器は好ましくは、PCM中にすべて、または少なくとも部分的に浸され得る。
【0063】
均一な蓄熱、蓄熱時間、部分的な流し出し、および、膨張特性に関してより良い性能を提供するために、加熱装置の実質的に水平に配置された部分は、熱バッテリのフットブリントおよびアスペクト比に応じて、熱交換器コア(例えばフィン付きコア)内の特定の高さに配置され得る。
【0064】
加熱装置の実質的に水平に配置された部分の配置は、以下の課題を軽減することが分かった。
a)バッテリセルケースを損傷し得る過剰な局所圧力
b)安全動作限界を超えるPCMの急速過熱
c)寿命の短縮または故障をもたらす加熱装置の過熱
【0065】
PCM熱バッテリにおいて、加熱要素と、熱交換器フィンなどの熱交換器コアの部分との間に締まりばめを有することが好ましいことが分かった。これにより、驚くべきことに、蓄熱時間が改善された伝熱表面の増加が提供されることが分かった。
【0066】
実質的に水平の部分を有する「L字」形の加熱装置はまた、以下のような多くの利点を提供することが分かった。
1)相変化(融解および凝固)中のPCMの任意の膨張の緩和
2)PCM熱バッテリの上部における熱バッテリの動作に要求されるケーブルの単純な終端
【0067】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、任意で金属製の伝導要素(例えば銅管などの伝導管)を含み得る熱交換器コアに埋め込まれ得る少なくとも1つ、または複数の加熱装置(例えば電気的に加熱される管状の加熱器)を含み得る。
【0068】
少なくとも1つ、または複数の加熱装置は電気加熱装置であり得る。特に、加熱装置は、PCM筐体と熱交換器コアとの間の熱バッテリの上側部分に配置され得る電気加熱装置の部分を含み得る。特に、複数の電気加熱装置のうち少なくとも1つは、PCM熱バッテリのマニホールドに埋め込まれ得る。
【0069】
加熱装置はまた、回路、例えば、スキップ回路行(skipped circuit row)に埋め込まれ得る。当該回路は、熱交換器コアにわたって実質的に水平に延在し得る。
【0070】
熱交換器コアにわたって延在する任意の数のスキップ回路行があり得る。例えば、熱交換器コアにわたって実質的に水平に延在する第2のスキップ回路行があり得る。
【0071】
従って、スキップ回路行は熱交換器に埋め込まれ得る。例えば熱交換のための管であり得る通路もあり得る。通路920は、例えばスキップ回路行であり得る回路の周囲に延在し得る。スキップ回路行の周囲に延在する加熱装置があり得る。従って、電気加熱器は、熱交換器内、特に、熱交換器コアを通って延在する通路(すなわち、銅または任意の他の好適な伝導材料から作られ得る管)に埋め込まれ得る。加熱装置は、熱交換器コアに埋め込まれ得、好ましくは任意でPCM中に直接入れられない。加熱装置をどれに埋め込むかについて、多くの異なる選択肢が存在する。
【0072】
従って、加熱装置は、熱交換器と直接接触し得るので、伝熱の改善および一貫性が達成される。追加的に、加熱装置(例えば加熱要素)は任意で、本実施形態において、PCMと直接接触せず、そのため、PCMに適合する必要が無いことがあり得る。これにより、コストが低減され、信頼性およびロバスト性が増加した加熱器のより多くの選択肢が生じる。点検担当者がPCMにさらされることなく、点検整備のために加熱器要素にアクセス可能である。より高パワーの要素が使用されることがあり得、PCM動作条件は、加熱器のより高パワーの表面負荷の懸念が無い。
【0073】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、熱を効率的に移動および/または拡散することが可能な材料を含むハウジングに埋め込まれ得る、および/または、配置され得る少なくとも1つ、または複数の加熱装置を含み得る。従って、当該材料により、加熱装置から熱交換器コアおよび/または相変化材料へ熱をより良く移動することが可能である。
【0074】
本実施形態において、加熱装置(例えば電気加熱装置)は、PCM筐体の下方端側、および、熱交換器コア(例えば熱交換器フィン付きコア)の下に配置され得る。第1の熱交換器回路(熱交換器回路1)および第2の熱交換器回路(熱交換器回路2)があり得る。
【0075】
加熱装置はまた、任意で、2つの段構造の間に配置され、通常、これらの2つの段構造の間に延在し得る。段構造は、PCM筐体の一部であり得る。
【0076】
加熱装置は、熱を均等に移動および/または拡散することが可能な材料/流体で充填され得るハウジング内に保持され得る。材料/流体は例えば、任意の好適な形態の油および/または放熱グリスであり得る。
【0077】
通常、加熱装置は例えば、ハウジング内に配置され、かつ、効率的に熱を移動および/または拡散することが可能な材料によって囲まれ得る管状電気加熱装置であり得る。従って、ハウジングは、油および/または放熱グリスで充填され得る。
【0078】
いくつかの実施形態におけるハウジングは、伝熱を改善するためにフィン付きであり得、他の実施形態においては、特定の熱およびエネルギー要件に応じてフィン付きでないことがあり得る。
【0079】
従って、加熱装置は、均等に熱を移動および/または拡散することが可能な伝熱材料で充填され得るハウジングに埋め込まれ得る。ハウジングは好ましくは、PCM筐体と一体的であり得る。加熱装置は通常、PCMと接触しない。
【0080】
ハウジングは起伏が無くよく、または任意で、表面積を増加させ、加熱器から伝熱材料、ハウジング、そしてPCMへの伝熱を増加させるが、重要なこととして、加熱装置の表面負荷を低減させ、点検期間が短縮されたロバスト設計をもたらすフィン付きでもよい。これは大きな技術的利点であり、PCM熱バッテリの寿命を増加させることが分かった。
【0081】
ハウジングにおいてオイルバスを利用することは、加熱装置が、カートリッジ加熱器で要求されるような、ハウジング内の高いはめ合い公差を有する必要が無いことを意味する。多くの場合、加熱装置およびハウジングの両方は好ましくは、(締まりばめを通じて)伝熱を提供するために適切に加工/指定され、加熱装置を容易に外すことを可能にするためにテーパ状であり得る。これも本設計の更なる利点である。
【0082】
加熱装置およびハウジングの当該設計は、加熱装置が容易に取り外し可能であり、点検担当者がPCMにさらされることなくアクセス可能であり得ることを意味する。油など少量の伝熱材料が、ハウジングにおけるオイルニップルを介して、点検期間中に置き換えられる。従って、熱バッテリは、非常に容易に点検可能であり得、これは更なる技術的利点である。
【0083】
ハウジング上のフィンは単純に、延在する細長いプレートであり得、表面積を増加させることによって熱エネルギーを移動および/または拡散するための熱放散エリアとして機能する。
【0084】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、PCM筐体の外部に配置され得る少なくとも1つ、または、複数の加熱装置を含み得る。さらに、例えば伝導ブロックがあり得、この中では外部の誘導加熱器を介して電流が誘導され得る。
【0085】
加熱装置は、PCM筐体の下方端側、通常、熱交換器コア(例えば熱交換器フィン付きコア)の下(すなわち実質的に下側)に配置され得る。好ましくは、加熱装置は、PCM筐体の外側、かつ、PCM筐体の底部に、または底部側に外部的に配置され得る。従って、加熱装置は、PCM筐体の底部とバッテリケースの底部との間に配置され得る。特定の実施形態において、加熱装置は誘導加熱器であり得る。
【0086】
従って、加熱装置は、熱交換器コアおよびPCMの外部に配置されるものとして記載され得る。それでも加熱装置はPCM熱バッテリの内部にある。
【0087】
PCM筐体の底部に沿って、または底部に実質的に沿って延在し得る伝導材料の層が、加熱装置の上または実質的に上、PCM筐体の内側に配置され得る。伝導材料の機能は、誘導加熱器であり得る加熱装置から熱を誘導的に移動することであり得る。従って、伝導材料は、熱伝導金属および/または合金ブロックの形態であり得、その中で電流が誘導され、熱を生成および/または移動し得る。
【0088】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、内部に浸漬された伝導ブロックを含む、少なくとも1つ、または複数の取り外し可能カートリッジ加熱装置を含み得る。
【0089】
伝導ブロックは、任意の好適な伝導材料から作られ得、PCM筐体の底部に沿って延在し得、任意で、熱交換器コアおよびPCMの下(すなわち下側)に配置され得る。
【0090】
伝導ブロックは、PCM筐体の片側から他方側へ完全に、または実質的に、または少なくとも部分的に沿って延在し得る。伝導ブロックは、任意の好適な金属および/または合金などの伝導材料から構成され得る。従って、伝導ブロックは、加熱装置が配置され得るPCM筐体の底部の内側から効率的に熱を移動することを意図したものである。
【0091】
取り外し可能であり得る少なくとも1つ、または一連のカートリッジ加熱装置が、伝導ブロックの内部に埋め込まれ得る。カートリッジ加熱装置は、ブロックに沿って、好ましくはブロック内において、実質的に水平に延在し得る。
【0092】
従って、カートリッジ加熱装置は、PCM筐体の内部に配置され得る。従って、カートリッジ加熱装置は、効率的に熱を移動することが可能な熱伝導金属および/または合金ブロックを含み得る。
【0093】
従って、伝導ブロックは、PCM筐体の底部および内側に埋め込まれた熱源として機能し得る。伝導ブロックは通常、埋め込み型カートリッジ加熱装置と比較して、大きい表面積を有する。
【0094】
カートリッジ加熱装置の技術的利点として、これらは外部からアクセス可能であり、よって、PCMと接触していないので容易に取り外し可能である。
【0095】
好ましくは、伝導ブロックは、PCM筐体の底部に埋め込まれた加熱器ブロックの形態であり得る。
【0096】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、追加的に、PCMを混合し、強制対流を介して伝熱を助けるインペラアジテータを含み得る。従って、インペラアジテータの追加は、以下の技術的利点を提供する。
【0097】
・強制対流を介して伝熱を助ける。
・PCMおよびその構成物を撹拌および混合する。
【0098】
従って、PCM熱バッテリは追加的に、回転アジテータなどの任意の形態の撹拌装置であり得る撹拌機を含み得る。撹拌機は、例えば、PCM筐体の底部側に配置され得、PCMを撹拌して熱バッテリおよび伝熱の効率を改善するために使用され得る。
【0099】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、PCM筐体の内側において実質的に垂直に延在する加熱装置を含み得る。加熱装置は、加熱器要素ネットワークの形態であり得る。
【0100】
加熱器要素ネットワークの形態の加熱装置は、グリッド状パターンの形態であり得る。従って、効率的な伝熱を提供する管状部分が内部にあり得るグリッド部分があり得る。管状部分は例えば、金属管、例えば銅管であり得る。
【0101】
加熱装置は熱交換器において見られる通常のフィンを置き換え得る膨張部材(例えばフィン)も含み得る。特定の実施形態において、熱交換器において見られる標準のフィンを置き換える、銅管などの伝熱管上にスライドされ得る正温度係数(PTC)加熱器が使用され得る。
【0102】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリは、PCMの循環を助けるために、例えば、ヒートパイプまたは伝導ロッドなどの形態である実質的に垂直に向いた低電力垂直加熱器の形態である加熱装置を含み得る。これにより、熱バッテリ内のPCM材料のためのポンプ作用が生じることが分かった。
【0103】
当該構成は、以下のような多くの技術的利点を有することが分かった。
1)熱バッテリの基部からコアへの上方向の伝熱を増加させ、蓄熱時間を最適化する。
2)融解されたPCMが進むための経路を作り、相変化およびPCMの膨張によって生じる任意の圧力の蓄積を緩和する。
【0104】
加熱装置は、PCM筐体の底部側に配置され得る。加熱装置は、実質的に熱交換器の底部にわたって延在し得る。
【0105】
通常、複数の実質的に垂直に向いた低電力垂直加熱器があり得る。実質的に垂直に向いた加熱器は、低電力加熱装置、または、代替的にヒートチューブの形態であり得る。任意の好適な数の実質的に垂直に向いた加熱器があり得る。
【0106】
実質的に垂直に向いた加熱器は、PCM筐体の上面からPCMを通って熱交換器内に延在し得る。
【0107】
更なる実施形態において、PCM熱バッテリはルーバー付きフィンを含み得る。ルーバー付きフィンは、熱を移動するために使用され得る一連の管(例えば銅管)を含み得る。管の中および周囲をPCM材料が流れ得る。フィンにおけるルーバーを使用することにより、PCM材料の流れが制御され得る。従って、フィンは、実質的に完全に開くことができるルーバーを含み得る。そのため、それは完全な平面状であり得る、または、PCM材料の流れを制御するために使用できるように、角がある形態に切り替えられ得る。ルーバー付きフィン設計は、任意の実施形態、および上記の熱バッテリに組み込まれ得る。
【0108】
本発明の第3態様において提供される、熱エネルギーをPCM熱バッテリに加える方法は、PCMを保持可能であるPCM筐体を提供する段階と、筐体に配置されたPCMを提供する段階と、PCM熱バッテリのための電子制御システムを提供する段階と、PCM筐体に配置され、PCMに浸漬された少なくとも1つ、または複数の加熱装置を提供する段階とを含み、少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、PCMを加熱および/または蓄熱することが可能である。
【0109】
上記の特徴は、本願に記載の実施形態のいずれかとの任意の組み合わせで使用され得る。当該方法は、第1および第2態様に記載の任意の特徴を使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0110】
単に例示として、以下の図を参照して、本発明の実施形態をここで説明する。
【0111】
【
図1】従来技術によるデュアルポート熱バッテリ設計の概略図である。
【0112】
【
図2】本発明による電気加熱器によって熱バッテリを蓄熱するためのハイドロニクス回路を有する、本発明の実施形態によるデュアルポート熱バッテリを表す。
【0113】
【
図3】本発明の実施形態による熱バッテリを表す。バックアップ電気加熱器要素を有するデュアルポートがある。
【0114】
【
図4】本発明の更なる実施形態による熱バッテリを表す。2つの加熱装置を有する、電気的に加熱される熱バッテリを有するデュアルポートがある。
【0115】
【
図5】本発明の更なる実施形態による熱バッテリを表す。熱交換器の下側でPCMに浸される、熱バッテリと一体である電気加熱器がある。
【0116】
【
図6a】本発明の更なる実施形態による熱バッテリを表す。熱伝導ロッドまたはヒートパイプなどの多くの熱導体は、実質的に垂直に熱バッテリケースに挿入される。
【
図6b】
図6aに示される熱導体の拡大断面図を表す。
【0117】
【
図7】本発明の更なる実施形態による熱バッテリを表す。伝導プレートは熱交換器コアに統合され、伝導プレートは、熱交換器の下側にある、熱バッテリの加熱された領域内に延在する。
【0118】
【
図8】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表す。熱バッテリは、熱交換器に埋め込まれた実質的にL字形の電気加熱装置を含む。
【0119】
【
図9】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表す。加熱装置(例えば電気的に加熱される管状加熱器)は、伝導要素、例えば、銅管などの金属管を含み得る熱交換器コアに埋め込まれる。
【0120】
【
図10】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表し、スキップ行を熱交換器に埋め込むための構成を示す。
【0121】
【
図11a】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表す。熱を効率的に移動および/または拡散させることが可能な材料を含むハウジングに埋め込まれた、および/または、配置された加熱装置がある。
【0122】
【
図11b】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表す。熱を効率的に移動および/または拡散させることが可能な材料を含むハウジングに埋め込まれた、および/または、配置された加熱装置があり、ハウジング全体から下向きに延在するファンがある。
【0123】
【
図12】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表す。PCM筐体の外部に配置された加熱装置がある。加熱は外部に配置された誘導加熱器によって提供される。
【0124】
【
図13】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表す。伝導ブロックの内側に配置された少なくとも1つ、または複数の取り外し可能カートリッジ加熱装置がある。
【0125】
【
図14】本発明の更なる実施形態による更なる熱バッテリを表す。伝導ブロックの内側に配置された少なくとも1つ、または複数の取り外し可能カートリッジ加熱装置があり、また、PCMを混合するための撹拌機/アジテータがある。
【0126】
【
図15a】本発明の更なる実施形態を表す。PCM筐体の内側において実質的に垂直に延在する加熱装置ネットワークの形態の加熱装置がある熱バッテリが示される。
【0127】
【
図16a】本発明の更なる実施形態を表す。PCMの循環を助けるために、例えばヒートパイプまたは伝導ロッドの形態である、実質的に垂直に向いた低電力垂直加熱器の形態の加熱装置がある熱バッテリが示される。
【0128】
【
図17】本発明の更なる実施形態を表す。本発明による熱バッテリにおいて使用され得るルーバー付きフィン設計の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0129】
一般に、本発明は、改善された熱バッテリ設計に関し、熱バッテリは例えば、内部に配置され得る少なくとも1つ、または複数の加熱装置を有するPCM熱バッテリである。
【0130】
本発明の加熱装置は、電気加熱装置に一体的に、および/または、内部に配置され得る。従って、いくつかの実施形態において、加熱装置はPCM材料と直接接触し得る。
【0131】
従って、本発明において、いくつかの実施形態において、PCMが直接加熱され得ることは、バッテリ内の回路における流体の循環が蓄熱フェーズに必須ではなく、熱バッテリの放熱のためにだけに存在することを意味する。本発明はまた、複雑なハイドロニクス回路の必要性を克服する。
【0132】
図1は、全体的に100と指定される従来技術の熱バッテリ設計を示す。示される熱バッテリ100はデュアルポート熱バッテリである。
【0133】
図1に示すように、熱バッテリケース101がある。熱バッテリケース101内に断熱材102が配置されている。断熱材102内に、熱バッテリ100のPCMを格納するために使用されるPCM筐体103が配置されている。断熱材102は、PCM筐体103の周囲に被覆および断熱層を形成する。
【0134】
また、
図1に示すように、熱バッテリ100に電気的接続を提供するために使用される低電力回路(LPC)104および高電力回路(HPC)105がある。
【0135】
熱バッテリ100の上部には、HPC入力部106およびHPC出力部107も示されている。LPC入力部108およびLPC出力部109も示されている。
【0136】
図1はまた、バッテリコントローラ110、主電源(CC)111、バッテリ蓄熱状態シグナル112、およびバッテリ蓄熱制御シグナル113があることを示す。
【0137】
熱バッテリ100において、過熱安全カットオフサーモスタットS0、ならびに温度センサS1、S2、およびS3もある。
【0138】
熱バッテリ100を「加熱/蓄熱」する必要がある場合、作動流体(水)が熱交換器のパイプを通って循環し、作動流体から、PCM筐体103内に配置されるPCMへ熱エネルギーを移動する。そのため、ポンプ、温度およびフローセンサなどを有する補助的なハイドロニクスアセンブリ/回路が必要となる。これが従来技術において使用される技術的解決策であり、多くの欠点をもたらす。本発明は、これらの問題に対処し、そのような複雑なハイドロニクスの必要性を克服する。
【0139】
従って、複数の蓄熱用の熱源に接続するための、改善された技術的効率、利益、および、特に柔軟性を提供する、改善された熱バッテリ構成および設計を提供する必要性が当該分野において存在する。これは、複雑なハイドロニクス回路を必要とすることなく、制御された方式で、外部の一次熱源を用いて、および/または、内部の加熱装置によってなお蓄熱される能力を含む。複雑なハイドロニクス回路を有する従来の設計が
図2において概略的に示されている。
【0140】
図2は更なる熱バッテリ200設計である。
図1に示される熱バッテリ100と同様に、熱バッテリケース201、断熱材202、PCM筐体203、低電力回路(LPC)204、高電力回路(HPC)205、HPC入力部206、HPC出力部207、LPC入力部208、LPC出力部209、バッテリコントローラ210、主電源(CC)211、バッテリ蓄熱状態シグナル212、およびバッテリ蓄熱制御シグナル213がある。
【0141】
図2に示されるバッテリ200はまた、バッテリ200の上部に配置された電気加熱器214を含む。ポンプ215、膨張リリーフ弁(ERV)216、膨張容器217およびシステム充填構成218もある。従って、熱バッテリ200は、ハイドロニクスループ250を含む。
【0142】
従って、
図2に示されるバッテリ200は、デュアルポート熱バッテリハイドロニクス電気加熱構成である。
【0143】
上で言及され、
図2において示される独立のハイドロニクス回路は、単一または複数(デュアル)のハイドロニクス回路を有するバッテリに好適である。熱バッテリ蓄熱回路が飲用水のために設計される条件において、次いでこのハイドロニクス回路およびこの回路におけるコンポーネントは、水の規制の認証を受ける必要があり、追加のコストおよび複雑性が生じる。
【0144】
これらのタイプのハイドロニクス回路および任意の付随するコンポーネント、ならびに付随するCAPEXおよびOPEXコストを省略するために、一体的および/または内部的に配置された加熱装置(例えば電気加熱装置)がある構成が、PCMを含む一連の熱バッテリのために、本願において提示される。
【0145】
よって、PCMを直接加熱することは、いずれかのハイドロニクス回路における循環流体が蓄熱フェーズに必須ではなく、従って、熱バッテリの放熱だけに要求されることを意味する。PCMを直接加熱することにより、多くの技術的利点を提供し、ハイドロニクスシステムについての多くの既知の問題を克服する。
1.スケーリングの課題:従来技術の熱バッテリにおける加熱器要素をスケールアップすることは熱故障につながり得ることが分かっている。 2.従来の設計において、加熱器の制御は問題があることが分かっているが、本発明では、加熱器は、制御できるPCMにさらされ、一連の具体的な要件のために任意のカスタマイズされた形態になる。
3.加熱器が作動流体の流れにある従来の設計において、これは、システム圧力降下を追加することが分かっている。また、蓄熱用の流量に影響を与え妨げ得る。 4.本発明は、従来の設計において使用される水より高い沸点温度を有するPCMを使用する。
【0146】
図2に示される熱バッテリ200は、
図1に示される熱バッテリ100から前進している。従って、熱バッテリ200は、異なる回路を蓄熱および/または放熱する能力に起因して、古い単一のポート設計から前進している。これは、非常に柔軟な解決策を提供する。
【0147】
デュアルポート熱バッテリ設計は、追加のコンポーネント無しで、(単純で安価な非認証コンポーネントを使用して)非飲用水で熱バッテリを蓄熱し、次に、飲用水で熱を抽出する能力を提供する。
【0148】
「デュアルポート熱バッテリ」における各ポートは、適切なサイズにすることができる。例えば、熱バッテリを、50%-50%、または、70%-30%に分割でき、蓄熱と比較して、放熱に対してより大きい比率を割り当てることができる。
【0149】
これにより、より長い期間にわたって徐々に蓄熱し、高パワーで、より高い流量で放熱することが可能となる。
【0150】
本発明は、
図1および
図2に示される熱バッテリと比較して、更なる改善を提供する。
【0151】
図3は、本発明による熱バッテリ300を表す。熱バッテリ300は、デュアルポート設計であり、バックアップ加熱器要素、例えば電気加熱器要素を有する。少なくとも1つ、または複数のバックアップ加熱器要素があり得る。これは、以下でより詳細に記載される。
【0152】
本発明のデュアルポート設計は、非飲用水で熱バッテリを蓄熱することが可能であるという技術的利点を提供する。さらに、バッテリは、単純で安価な非認証コンポーネントで蓄熱できる。次に、熱は飲用水で抽出され得る。従って、本発明の熱バッテリは、過去の複雑なハイドロニクスシステムと比較して遥かに改善されている。
【0153】
熱バッテリ300は、熱バッテリ300のコンポーネントのすべてのための筐体として機能する熱バッテリケース301を含む。熱バッテリケース301内には断熱層302が配置される。断熱層302は、熱バッテリ300の効率を改善するための断熱材として機能する。断熱層302は断熱被覆を形成する。断熱層302は、任意の好適な断熱材料から作られ得る。
【0154】
断熱層302内にはPCM筐体303が配置される。PCM筐体303内にはPCMがある。使用される具体的なPCMは、要求される具体的な目的のために、適合され、カスタマイズされ得る。従って、本発明の熱バッテリ300は、適合性が高く、幅広い用途のために修正できる。
【0155】
図3はまた、熱バッテリ300が低電力回路(LPC)304および高電力回路(HPC)305を含むことを示す。
【0156】
図3に示されるように、熱バッテリ300の上面にはHPC入力部306およびLPC出力部307がある。
【0157】
熱バッテリ300の上面には、LPC入力部308およびLPC出力部309もある。
【0158】
図3はまた、主電源(CC)311に接続されたバッテリコントローラ310があることを示す。また、バッテリ蓄熱状態シグナル312およびバッテリ蓄熱制御シグナル313がある。
【0159】
また、過熱安全カットオフサーモスタットS0および温度センサS1、S2、S3があることが示される。少なくとも1つの温度センサまたは複数の温度センサがあり得る。作動媒体全体にわたる温度を取得するために、温度センサは、熱バッテリ全体に分布し得る。
【0160】
熱バッテリ300はまた、
図3に示されるような、PCMに配置される、例えばスタンバイ電気加熱器であり得る加熱装置314を含む。この特徴は、
図1および
図2に示される熱バッテリに対する大きな違いを示す。加熱装置314は、PCMに配置され得る任意の形態の電気加熱装置であり得る。従って、加熱装置314は、PCMに浸漬される、一体的および/または内部的に配置される電気加熱装置として記載され得る。本発明は、PCMに配置された少なくとも1つ、2つ、または複数の加熱装置を有し得ることに留意されたい。
【0161】
PCM筐体303、従って、PCMにおける加熱装置314の位置は重要であることが分かった。熱バッテリ300はまた、加熱装置314のための電源315を含む。
【0162】
図3に示されるように、電気加熱器314は、PCM筐体303の上半分に配置される。上半分とは、PCM筐体303の垂直方向の上半分を意味する。電気加熱器314はまた、PCM材料に浸漬される。
【0163】
加熱装置314はバッテリコントローラ310に接続される。従って、加熱装置314は、完全に制御され得る、および/または、要求されたときにオンおよび/またはオフに切り替えられ得る。加えて、加熱装置314によって供給されるパワーおよび/または加熱の量も、修正および変更され得る。
【0164】
好ましい実施形態において、加熱装置314は、PCM筐体303の上半分、上3分の1、または上4分の1に配置される。好ましくは、加熱装置314の位置はPCM筐体313の上部にある。これにより、加熱装置314は、上部、および、PCM筐体303の上部における対応するPCMを蓄熱するために使用され得る。これは、PCM筐体303の上部におけるPCMを加熱するだけであり、従って、低減されたキャパシティのみを提供するが、ユーザが使用可能な出力を利用するのに十分な熱をなお提供する。従って、本発明の加熱装置314は、完全適合可能なバックアップ加熱システムとして機能し得る。
【0165】
熱バッテリ300に示されるシステムの更なる利点として、加熱装置314を介して電気熱を入力し、次に、熱交換器を介して即座に熱を取り出すことが可能であることが分かった。これの利点として、瞬間水加熱器システムなどの従来技術のシステムで見られるものとは異なり、電熱エネルギーを貯蔵する必要が無い。
【0166】
図3には示されないが、熱バッテリ300は、PCM筐体303内の異なる高さに配置された複数の電気加熱装置を含み得る。これを行う利点として、どれだけのPCM材料を加熱するか、従って、エネルギーをどれほど貯蔵および/または放出するかを選択できる。電気加熱装置を異なる高さに配置することにより、異なる量(すなわち体積)のPCMを加熱することが可能となる。従って、本発明のバックアップ電気加熱器要素機能は例えばデュアルポートシステムなどの幅広い範囲の用途において高度に適合可能である。
【0167】
図4に示される熱バッテリ400は、
図3に示される熱バッテリ300と非常に類似している。違いとして、
図4における熱バッテリ400は、2つの加熱装置、すなわち、加熱装置414および加熱装置416を有する。
【0168】
熱バッテリ400は、熱バッテリケース401、断熱層402、PCM筐体403、低電力回路(LPC)404、高電力回路(HPC)405、HPC入力部406、HPC出力部407、LPC出力部408、LPC入力部409、バッテリコントローラ410、主電源(CC)411、バッテリ蓄熱状態シグナル412、バッテリ蓄熱制御シグナル413、上位置電気加熱器414、電気加熱器用電源415、および、下位置電気加熱器416を含む。
【0169】
過熱安全カットオフサーモスタットS0および温度センサS1、S2、S3も示される。
【0170】
従って、バッテリ400は、PCM筐体403の上半分に配置された第1加熱装置414、および、PCM筐体403の下半分に配置された第2加熱装置416を含む。
【0171】
図4に示されるように、加熱装置414は、PCM筐体414の上約4分の3に配置され、下方に配置された加熱装置416は、PCM筐体403の底部のすぐ上に配置される。上記のように、異なる量のPCMを加熱することを可能にするために、加熱装置の位置は適合され得る。上述のように、加熱装置は、任意の好適な形態の電気加熱器/要素であり得る。
【0172】
上方に配置された加熱装置414は、
図3に記載されるようなバックアップ加熱器として機能し得る。従って、一次熱源が故障した場合に加熱装置414は起動され得る。
【0173】
下方に配置された加熱装置416は、一次加熱システムと共に使用され得る。加熱装置416は、PCM筐体403の底部側に配置されるので、バッテリ400における実質的にすべてのPCM材料を迅速に蓄熱することが可能である。
【0174】
第2加熱装置416を有する利点として、熱バッテリ400におけるPCMをより迅速に蓄熱することが可能となる。PCM筐体403の底部に配置された加熱装置416は、熱バッテリ400のための一次熱源として機能し得る。
【0175】
従って、
図4に示される実施形態に加えて、本発明は、異なる量のエネルギーを提供するために、バッテリにおける異なる高さの電気加熱装置など、一体的および/または内部的に配置された複数の加熱装置を有し得る。異なる量および体積のPCMを加熱することにより、異なる量のエネルギーが提供され、それらは次に貯蔵および/または分配できる。
【0176】
図3および
図4に示される実施形態について、これにより、外部の一次熱源を用いて熱バッテリをなお蓄熱して、複雑なハイドロニクス回路を有するという要件を無くす能力を含む、多くの技術的利益が提供されることが分かった。また、これにより、制御された方式で、外部の熱源および少なくとも1つ、または複数の内部加熱装置によって熱バッテリを蓄熱するという能力を提供する。少なくとも1つ、または複数の内部加熱装置は、様々な垂直方向の位置に配置され得る。これにより、異なる量のPCMを加熱し、従って、異なる量のエネルギーを貯蔵および/または放熱する能力を提供する。
【0177】
従って、本出願者は、電気加熱装置または複数の電気加熱装置など、一体的に、および/または内部的に配置された加熱装置が多くの異なる技術的利点を提供する熱バッテリ設計を開発した。
【0178】
統合された、および/または、内部的に配置された電気加熱装置または複数の統合された加熱装置を有する本発明の熱バッテリは、以下のような利点を提供する。
a)熱バッテリを外部の一次熱源(例えばボイラ)によってなお蓄熱でき、本願において、電気加熱器は、一次熱源が故障した場合に、バックアップ(二次)熱源として機能する。
b)第2に、
図4に示すように、統合された電気加熱器は、主熱源/一次熱源として機能し、バッテリを直接加熱し、これにより、複雑なハイドロニクス回路の要件を省略する。
c)また、熱バッテリを、制御された方式で外部熱源および内部加熱装置の両方によって蓄熱できる。例えば、電気要素を介する太陽光発電、および、ハイドロニクス回路を介するボイラによる補充加熱。
d)加熱装置は、PCM、すなわち、一定で既知のパラメータの環境によって囲まれる。温水シリンダにおいて、加熱装置は、飲用水によって囲まれる。従って、加熱要素上に水垢が蓄積し、ホットスポットを生じさせ、最終的には加熱装置の故障をもたらす。本発明のように、加熱装置がPCM内に配置される場合、これらの課題は生じず、従って、加熱装置の寿命が長くなる。
e)水シリンダと異なり、底部に配置された加熱装置を有する本発明の熱バッテリを異なるレベルで蓄熱できる。例えば、加熱装置は、例えば50%のPCMが融解するまでだけオン状態に切り替えられ得る。従って、異なる高さの複数の要素を使用することなく蓄熱状態を制御できる。
【0179】
以下で詳細に説明され、
図5から
図15aおよび
図15bにおいて概略的に示されるように、複数の変形/反復が設計および評価された。図の各々は、機器のコンポーネントについて、わずかに異なる構成を有し、様々な技術的利益がもたらされる。これは以下で説明される。
【0180】
図5は、本発明による熱バッテリ500を表す。例えば熱交換器などの下側において、熱バッテリに一体、および/または、その内部の電気加熱器などの、PCMに浸された加熱装置がある。
【0181】
図5に示されるように、熱バッテリケース501の内側に配置された断熱層502を有する熱バッテリケース501がある。断熱層502の内側には、PCM筐体503が配置される。断熱層502は、PCM505を保持するPCM筐体503の周囲に被覆を形成する。また、熱交換器504および熱交換器コア520がある。
【0182】
図5に示されるように、PCM筐体503は、熱バッテリ500の下方端側に配置された、PCM筐体503の底部から上向きに延在する2つの段構造503aを有する。
【0183】
図5はまた、熱効率を改善するためのフィン付きコアを有し得る熱交換器504があることを示す。また、熱交換器回路504aおよび熱交換器回路504bが示されている。 PCM筐体503の内側にはPCM505が配置される。
【0184】
PCM筐体503の上側には、入力部506(例えば入力部回路1)、出力部507(例えば回路1)、入力部508(例えば回路2)、および出力部509(例えば回路2)が配置される。
【0185】
センサ510もある。
図5に示されるように、好ましくは、3つのセンサ510がある。第1センサが、PCM筐体503の上方端側に配置され、第2センサが、PCM筐体503の中央付近に配置され、更なるセンサが、PCM筐体503の下方端側に配置される。従って、複数の異なるセンサ510が、PCM筐体503における異なる垂直位置に配置され得る。これにより、PCM材料の全体にわたって、PCMの温度などの物理的パラメータを異なる高さで測定および/または記録することが可能となる。
【0186】
重要なことに、
図5はまた、電気加熱装置などの加熱装置511がPCM筐体503の下方端側に配置されていることを示す。加熱装置511は、管状の形態であり得、熱バッテリ500と一体であり得る。加熱装置511は熱交換器504の下側に配置される。
【0187】
熱交換器回路504a(熱交換器回路1)および熱交換器回路504b(熱交換器回路2)もある。従って、加熱装置511は、PCM505に瞬時加熱を提供するために使用され得る。
【0188】
図5に示されるように、加熱装置511(例えば管状電気加熱器)は、例えばバルクヘッド接続を介して熱バッテリケース501を貫通し得る。
【0189】
さらに、加熱装置511は、PCM505に浸され、完全に浸漬される。従って、加熱装置511は、PCM505と直接接触する。
【0190】
図5は、大きい表面積を介して加熱装置511からPCM505へ熱が移動するという技術的利点を提供する。PCM505における伝導および対流により、熱が熱交換器504、例えばフィン付きコアを有する熱交換器へ移動する。これは、エネルギー効率的が高いシステムであることが分かった。
【0191】
段構造503aは、PCM筐体503の一部であり、例えばPCM筐体503の両側に存在する。従って、2つの段構造503a、または、任意の好適な数があり得る。
【0192】
段構造503aは、例えば、加熱器要素端子および安全カットオフ構造のための効率的なハウジングを提供する。段構造503aはまた、真空断熱パネルが、熱バッテリ500を断熱するために使用されることを可能にし得る。
【0193】
これらの段構造503aはまた、加熱装置511の上に熱交換器504を、熱交換器504の下側に一定量のPCM505を配置することを助ける。
【0194】
本発明者はまた、本発明による以下の態様を発見した。熱バッテリが低温(すなわち、放熱モード)である場合、PCMは固体状態であり、熱伝導性が低いことが分かった。この条件において、加熱装置がオン状態に切り替えられた場合、周りを囲むPCMを融解させ(すなわち、これにより、固体のPCMによって囲まれる、膨張する液体プールが形成される)、以下を生じさせる。
a)バッテリセルケースを損傷させ得る過剰な局所圧力
b)安全動作限界の上にあるPCMの急速過熱
c)寿命の短縮または故障をもたらす、加熱装置の過熱
【0195】
これらの課題を克服するために、2つの主な方法が調査され、展開された。
a)パワー入力を低減する。すなわち、伝熱プロセスを遅くして、PCM/熱交換器コアの熱伝達特性と一致させる。バッテリ蓄熱時間が許容できなかったので、この選択肢は更に追及しなかった。
b)以下の
図6aに示されるように垂直に挿入された多くの金属ロッドは、膨張する一定量のPCMが上の膨張空間側へ逃げるための経路を生じさせ、これにより、局所圧力の蓄積を防止し、また、加熱装置と熱交換器/PCMコアとの間の対流による伝熱が増加する。この方法は、最大パワーの伝熱を可能にするように最適化された。
c)上のような金属ロッドを使用するのではなく、薄いプレートを熱交換器設計のフィン付きコア内に統合する。これは、
図6bに示されるように、熱交換器の下の熱バッテリの加熱された領域中に延在する。
d)ルーバー付きフィンを使用して、フィンの間でPCMが移動することを可能にし、対流を通じた伝熱を助け、PCMの膨張のためのより多くのチャネルを可能にする。
【0196】
図6aは、例えば金属ロッドなどの多くの熱導体が実質的に垂直に熱バッテリケース内へ挿入される熱バッテリ600を表す。これは以下に記載される。
【0197】
図6aに示されるように、熱バッテリケース601と、熱バッテリケース601の内側に配置された断熱層602とを有する熱バッテリ600がある。また、PCM筐体603がある。
【0198】
図6aはまた、例えば、熱交換器フィン付きコアであり得る熱交換器604があり得ることを示す。熱交換器はコア620を有する。
図6aはまた、熱交換器回路604a(熱交換器回路1)および熱交換器回路604b(熱交換器回路2)があることを示す。 PCM筐体603の内側には、PCM605が配置される。
【0199】
PCM筐体603の上側には、入力部606(例えば入力部回路1)、出力部607(例えば回路1)、入力部608(例えば回路2)および出力部609(例えば回路2)が配置される。
【0200】
センサ610もある。
図6aに示されるように、好ましくは3つのセンサ610がある。第1センサは、PCM筐体603の上方端側に配置され、更なるセンサが、PCM筐体603の中央付近に配置され、更なるセンサがPCM筐体603の下方端側に配置される。
【0201】
図6aはまた、熱交換器604の下方端側に加熱装置611が配置されていることを示す。加熱装置611は、PCM筐体603の底部側に、それに沿って実質的に水平に配置され得る。
【0202】
図6aは更に、例えば、伝導ロッドまたはヒートパイプなどの4つの加熱導体612があることを示す。加熱導体612は、熱交換器604において実質的に垂直に配置され、熱交換器コア620からPCM605の上方端エリア内に延在する。
【0203】
図6bは、
図6aに示される加熱伝導ロッドまたはヒートパイプ612の断面である。
図6bは、熱が熱伝導ロッドまたはヒートパイプを通って上に進み、冷却が熱伝導ロッドまたはヒートパイプを通って下に進むことを示す。
【0204】
図7は、
図6aおよび
図6bにおける上のような金属ロッドを使用しない熱バッテリ700に関する。この実施形態は、熱プレート(例えば金属プレートなどの伝導熱プレート)を熱交換器コア(例えば熱交換器フィン付きコア)内に統合することに関する。プレートは、熱交換器の下の熱バッテリの加熱された領域内に延在する。
【0205】
図7に示される熱バッテリ700において、熱バッテリケース701、断熱層702、およびPCM筐体703がある。
図7に示されるように、熱交換器704、および、好ましくは熱交換器フィン付きコアであり得る熱交換器コア720もある。
【0206】
図7はまた、熱交換器回路704a(熱交換器回路1)および熱交換器回路704b(熱交換器回路2)があることを示す。
【0207】
PCM筐体703内にPCM705が配置される。熱バッテリケース701の上面には、入力部706(例えば入力部回路1)、出力部707(例えば回路1)、入力部708(例えば回路2)、および出力部709(例えば回路2)が配置される。
【0208】
センサ710もある。
図7に示されるように、好ましくは、3つのセンサ710がある。第1センサは、PCM筐体703の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体703の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体703の下方端側に配置される。
【0209】
図7はまた、加熱装置711が、熱交換器704の下方端の下側に配置されることを示す。従って、加熱装置711は、PCM705中に完全に浸漬される。
【0210】
図7は更に、例えば4つのプレート712があることを示す。プレートは、熱交換器704において実質的に垂直に配置され、任意で、加熱装置711を通って、PCM705の下方端エリア内に延在する。熱交換器704を通って任意の好適な向きに向き得る任意の好適な数のプレートがあり得る。プレート712に沿って、熱が上向きに、冷却が下向きに移動することを助けるために、プレート712は実質的に垂直に入れられることが好ましいことが分かった。
【0211】
プレート712は、任意の好適な金属および/または合金などの伝熱材料から形成され得る。プレート712は、伝熱を助けるために、比較的厚いことがあり得る。プレート712は、実質的に平面状であり、熱バッテリ700において実質的に垂直に向き得る。
【0212】
プレート712は、約0.1~5cm厚、約0.1~2cm厚、または約0.1~0.5cm厚など、比較的厚いことがあり得る。
【0213】
図8は本発明による更なる熱バッテリ800に関する。熱バッテリ800は、熱交換器、例えば熱交換器フィン付きコアに埋め込まれた、実質的にL字形の電気加熱装置を含む。これは以下で説明される。
【0214】
図8において、熱バッテリ外側ケース801、断熱層802、およびPCM筐体803を含む熱バッテリ800がある。熱交換器804および熱交換器コア820(例えば熱交換器フィン付きコア)もある。熱交換器回路804a(熱交換器回路1)および熱交換器回路804b(熱交換器回路2)がある。
図8はまた、PCM筐体803内に配置されたPCM805があることを示す。
【0215】
PCM筐体803の上側には、入力部806(例えば入力部回路1)、出力部807(例えば回路1)、入力部808(例えば回路2)および出力部809(例えば回路2)が配置される。
【0216】
センサ810もある。
図8に示されるように、好ましくは3つのセンサ810がある。第1センサは、PCM筐体803の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体803の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体803およびPCM805の下方端側に配置される。
【0217】
図8に示されるように、L字形の電気加熱装置811は、PCM805を通って下向きに延在する、実質的に垂直に配置された部分811aを含む。3つの実質的に水平に配置された部分811b、811cおよび811dが、実質的に垂直な部分811aから接線方向に延在する。単一または複数など、任意の数の実質的に垂直に配置された部分、および、実質的に水平に配置された部分があり得る。
【0218】
1つの実質的に水平に配置された部分811bは、熱交換器コア820の下4分の1において延在し得、水平に配置された部分811cは、熱交換器コア820の実質的に中央部を通って延在し得、第3の水平に配置された部分811dは、熱交換器804の上4分の1を通って延在し得る。水平に配置された部分は、熱交換器コア820の任意の好適なエリアに配置され得る。
【0219】
図8に示されるように、熱バッテリ800において、加熱装置811、および、特に実質的に水平に配置された部分811b、811c、811dは、熱交換器814のコア(例えば、フィン管熱交換器のフィン付きコア)に埋め込まれる。加熱装置811は好ましくは、少なくとも部分的にPCM805に浸される。
【0220】
熱バッテリ800において、加熱要素811と、熱交換器フィンなど、熱交換器コア820の部分との間に締まりばめを有することが好ましいことが分かった。驚くべきことに、これにより、増加した伝熱表面、および、改善された蓄熱時間が提供されることが分かった。
【0221】
実質的に水平の部分を有する「L字」形の加熱装置はまた、以下のような多くの利点を提供することが分かった。
1)相変化(融解および凝固)中のPCM805の任意の膨張の緩和
2)熱バッテリの上部における熱バッテリの動作に要求されるケーブルの単純な終端
【0222】
図8に示されるように、均一な蓄熱、蓄熱時間、部分的な流し出し、および、膨張特性に関してより良い性能を提供するために、加熱装置811の実質的に水平に配置された部分811b、811c、811dは、熱バッテリのフットプリントおよびアスペクト比に応じて、熱交換器コア804(例えばフィン付きコア)内の特定の高さに配置される。
【0223】
加熱装置811の実質的に水平に配置された部分811b、811c、811dの配置は、以下の課題を軽減することが分かった。
d)バッテリセルケースを損傷し得る過剰な局所圧力
e)安全動作限界を超えるPCMの急速過熱
f)寿命の短縮または故障をもたらす、加熱装置の過熱
【0224】
図8に示される熱バッテリ800は、貯蔵された熱および提供される加熱装置のパワーの両方を使用して家庭の温水供給を瞬時に加熱するハイブリッド温水加熱器に理想的な実施形態であると分かった。
【0225】
図9は、金属性伝導要素、例えば銅管などの伝導管を含み得る熱交換器コア内に加熱装置(例えば電気的に加熱される管状加熱器)が埋め込まれた熱バッテリ900を表す。
【0226】
図9に示される熱バッテリ900において、熱バッテリケース901、断熱層902、および、PCM905を保持するPCM筐体903がある。また、熱交換器904および熱交換器コア920がある。
【0227】
PCM筐体903の上側には、入力部906(例えば入力部回路1)、出力部907(例えば回路1)、入力部908(例えば回路2)および出力部909(例えば回路2)が配置されている。
【0228】
センサ910もある。
図9に示されるように、好ましくは3つのセンサ910がある。第1センサはPCM筐体903の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体903の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体903の下方端側に配置される。
【0229】
図9において、熱バッテリ900は、電気加熱装置などの加熱装置911を含む。特に、加熱装置911は、PCM筐体903と熱交換器コア920との間の熱バッテリ900の上部分に配置される電気加熱装置911aを含む。特に、電気加熱装置911aは熱バッテリ900のマニホールドに埋め込まれ得る。
【0230】
図9はまた、熱交換器コア920における通路915に埋め込まれた電気加熱装置911b、911cがあることを示す。通路915は、熱交換器コア920にわたって実質的に水平に延在し、「U字」に曲がり得る。
【0231】
図9はまた、熱交換器コア920にわたって実質的に水平に延在する第2加熱装置911cがあることを示す。
【0232】
図10は、通路915中に配置された加熱装置911bを示す図である。
図10において、PCM筐体903およびPCM905が示される。PCM筐体903およびPCM905中には熱交換器904が配置されている。熱交換器904はフィン付きコア熱交換器であり得る。
【0233】
図10は、例えば、熱交換器904のための管である通路922があることを示す。
図10に示されるように、通路922は、通路915の周囲に延在し、「スキップ」構成を提供し得る。
【0234】
従って、
図10は、電気加熱器が熱交換器内、特に、熱交換器コアを通って延在する通路(すなわち、銅または任意の他の好適な伝導材料から作られ得る管)に埋め込まれ得る実施形態に関する。
【0235】
図9および
図10に示される実施形態において、加熱装置911b、911cは、熱交換器コア904内に埋め込まれ、好ましくは任意でPCM905中に直接入れられない。加熱装置911b、911cを埋め込むための多くの異なる選択肢がある。加熱装置911b、911cは以下のような多くの方式で埋め込まれ得る。
・
図9における実施形態に示されるように、加熱装置911b、911cおよび通路922は、作動流体、すなわちPCM905から延在する入力部を提供し得る。加熱装置911b、911cは、熱交換器フィン付きコアを通じて供給するより小さいキャピラリに接続するための入力部上の直径がより大きいマニホールドに埋め込まれ得る。このことは、加熱装置911b、911cが作動流体中にあり、従って、蓄熱がバッテリ全体で均一になることを意味する。加熱装置911b、911cの動作は、補助的な工場設備と連携され、熱バッテリコントローラによって管理される。
・
図10は、回路915(例えば、スキップ行管)および熱交換器フィン付きコア(
図10)などの熱交換器の部分がどこに埋め込まれるかを示す。熱交換器フィン付きコアにおけるスキップ行によって、「スキップ管」には、フィン付きブロック全体の様々な位置における複数の加熱器によって供給できる。これの利点として、スキップ行は、フィン付きブロックに拡大され、管からフィンへのより優れた伝熱を提供する。
【0236】
図9および
図10に示される両方の変形において、加熱装置は、熱交換器と直接接触するので、改善された一貫した伝熱が達成される。追加的に、要素は、PCMと直接接触しないので、PCMと適合する必要が無い。これにより、コストが低減され、信頼性およびロバスト性が増加した加熱器のより多くの選択肢が生じる。点検担当者がPCMにさらされることなく、加熱器要素に点検整備のためにアクセス可能である。より高パワーの要素が使用されることがあり得、PCM動作条件は、加熱器のより高パワーの表面負荷の懸念が無い。
【0237】
図11aおよび
図11bは、本発明による更なる熱バッテリを表す。熱バッテリにおいて、熱を効率的に移動および/または拡散することが可能な材料を含むハウジングに埋め込まれた、および/または、配置された加熱装置がある。従って、当該材料により、加熱装置から熱交換器コアおよび/または相変化材料へ熱をより良く移動することが可能である。これは以下でより詳細に説明される。
【0238】
図11aに示されるように、熱バッテリケース1001、および、熱バッテリケース1001の内側に配置された断熱層1002を有する熱バッテリ1000がある。PCM筐体1003およびPCM1005もある。熱交換器1004および熱交換器コア1020もある。
【0239】
図11aにおいて、PCM筐体1003の上側に、入力部1006(例えば入力部回路1)、出力部1007(例えば回路1)、入力部1008(例えば回路2)および出力部1009(例えば回路2)が配置されている。
【0240】
センサ1010もある。
図11aに示されるように、好ましくは3つのセンサ810がある。第1センサは、PCM筐体1003の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1003の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1003の下方端側に配置される。
【0241】
図11aに示されるように、PCM筐体1003の下方端側、熱交換器コア1020(例えば熱交換器フィン付きコア)の下に配置された加熱装置1011(例えば電気加熱装置)がある。熱交換器回路1004a(熱交換器回路1)および熱交換器回路1004b(熱交換器回路2)がある。
【0242】
加熱装置1011は2つの段構造1003aと1003bとの間に配置され、これらの2つの段構造1003aと1003bとの間に延在する。段構造1003a、1003bは、PCM筐体1003の一部である。
【0243】
加熱装置は、熱を均等に移動および/または拡散することが可能な材料/流体で充填され得るハウジング1030内に保持される。材料/流体は例えば、任意の好適な形態の油および/または放熱グリスであり得る。
【0244】
図11aにおいて、加熱装置1011は例えば、ハウジング1030内に配置され、熱を効率的に移動および/または拡散することが可能な材料によって囲まれ得る管状電気加熱装置であり得る。従って、ハウジング1030は、油および/または放熱グリスで充填され得る。
図11bにおいて見られる実施形態とは対照的に、ハウジング1030はフィン付きでない。
【0245】
従って、
図11aに示される構成において、加熱装置1011は、熱を均等に移動および/または拡散することが可能な伝熱材料で充填されたハウジング1030に埋め込まれる。ハウジング1030は好ましくは、PCM筐体1003と一体である。加熱装置1011は、PCM1005と接触しない。
【0246】
ハウジング1030は起伏が無くても、または任意で、表面積を増加させ、加熱器から伝熱材料、ハウジング、そしてPCM1005への伝熱を増加させるが、重要なこととして、加熱装置1011の表面負荷を低減させ、点検期間が短縮されたロバスト設計をもたらすフィン付きでもよい。これは、大きな技術的利点であり、熱バッテリ1000の寿命を増加させることが分かった。
【0247】
ハウジング1030においてオイルバスを利用することは、加熱装置1011が、カートリッジ加熱器で要求されるような、ハウジング1030内の高いはめ合い公差を有する必要が無いことを意味する。多くの場合、加熱装置1011およびハウジング1030の両方は好ましくは、(締まりばめを通じて)伝熱を提供するために適切に加工/指定され、加熱装置1011を容易に外すことを可能にするためにテーパ状であり得る。これも本設計の更なる利点である。
【0248】
図11aにおいて見られる加熱装置1011およびハウジング1030の設計は、加熱装置1011が容易に取り外し可能であり、点検担当者がPCM1005にさらされることなくアクセス可能であることを意味する。油など少量の伝熱材料が、ハウジングにおけるオイルニップルを介して、点検期間中に置き換えられる。従って、熱バッテリ1000は、非常に容易に点検可能であり得、これは更なる技術的利点である。
【0249】
図11bは、ハウジング1050が、
図11aにおいて見られるものと類似している代替的な実施形態を表すが、本実施形態において、ハウジング1050全体から下向きに延在する一連のフィン1052がある。フィン1052は、表面積、従って、熱エネルギーの移動および/または拡散を増加させるために、熱放散エリアとして機能する、単純に延在する細長いプレートである。ハウジング1050の内部の長さの少なくとも一部、または実質的にすべてに沿って、その中に延在する加熱装置1054がある。
【0250】
図12は、本発明による更なる熱バッテリ1100を表す。この変形例において、加熱装置は、PCM筐体の外部に配置される。内部には伝導ブロックがあり、外部の誘導加熱器を介して電流が誘導される。これは以下でより詳細に説明される。
【0251】
図12は、熱バッテリケース1101、および、熱バッテリケース1101の内側に配置された断熱層1102を含む熱バッテリ1100があることを示す。PCM筐体1103およびPCM1105もある。熱交換器1104および熱交換器コア1120もある。
【0252】
図12において、PCM筐体1103の上側に、入力部1106(例えば入力部回路1)、出力部1107(例えば回路1)、入力部1108(例えば回路2)および出力部1109(例えば回路2)が配置される。
【0253】
センサ1110もある。
図12に示されるように、好ましくは3つのセンサ1110がある。第1センサは、PCM筐体1103の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1103の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1103の下方端側に配置される。
【0254】
熱交換器回路1104a(熱交換器回路1)および熱交換器回路1104b(熱交換器回路2)がある。
【0255】
図12に示されるように、PCM筐体1003の下方端側、熱交換器コア1104(例えば熱交換器フィン付きコア)の下に配置された加熱装置1111がある。特に、
図12に示される熱バッテリ1100において、加熱装置1111は、PCM筐体1103の外側、かつ、PCM筐体1103の底部に外部的に配置される。従って、加熱装置1111は、PCM筐体1103の底部とバッテリケース1101の底部との間に配置される。特定の実施形態において、加熱装置1111は誘導加熱器である。
【0256】
従って、加熱装置1111は、熱交換器コア1104およびPCM1105から外部的に配置されるように記載され得る。
【0257】
図12に示されるように、加熱装置1111の上または実質的に上、かつ、PCM筐体1103の内側に、PCM筐体1103の底部に沿って、または、底部に実質的に沿って延在する伝導材料1112の層が配置される。伝導材料1112の機能は、誘導加熱器であり得る加熱装置1111から熱を誘導的に移動することである。従って、伝導材料1112は、熱伝導金属および/または合金ブロックの形態であり得、その中で電流が誘導され、熱を生成および/または移動し得る。
【0258】
図13は、本発明による更なる熱バッテリ1200を表す。本実施形態において、熱バッテリ1200中には、内部に浸漬された伝導ブロックを含む少なくとも1つ、または複数の取り外し可能カートリッジ加熱装置がある。これは以下でより詳細に記載される。
【0259】
熱バッテリ1200において、熱バッテリケース1201、および、熱バッテリケース1201の内側に配置された断熱層1202がある。PCM筐体1203およびPCM1205もある。熱交換器1204および熱交換器コア1220もある。
【0260】
図13において、PCM筐体1203の上側には、入力部1206(例えば入力部回路1)、出力部1207(例えば回路1)、入力部1208(例えば回路2)および出力部1209(例えば回路2)が配置される。
【0261】
センサ1210もある。
図13に示されるように、好ましくは3つのセンサ1210がある。第1センサは、PCM筐体1203の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1203の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1203の下方端側に配置される。
【0262】
熱交換器回路1204a(熱交換器回路1)および熱交換器回路1204b(熱交換器回路2)がある。
【0263】
図13に示されるように、PCM筐体1203の底部に沿って延在し、熱交換器コア1220およびPCM1205の下に配置される材料のブロック1212がある。ブロック1212は、PCM筐体1203の片側から他方側へ完全に、または、実質的に、または、少なくとも部分的に沿って延在し得る。ブロック1212は、任意の好適な金属および/または合金などの伝導材料から構成される。従って、ブロック1212は、加熱装置が配置されるPCM筐体1203の底部の内側から熱を効率的に移動することを意図するものである。
【0264】
ブロック1212内には、取り外し可能であり得る少なくとも1つ、または一連のカートリッジ加熱装置1211が内部的に埋め込まれる。
図13において、3つのカートリッジ加熱装置1211があることが示されているが、任意の好適な数があり得る。カートリッジ加熱装置1211は、ブロック1212に沿って実質的に水平に延在する。
【0265】
従って、カートリッジ加熱装置1211は、PCM筐体1203内に内部的に配置される。従って、カートリッジ加熱装置1213は、熱を効率的に移動することが可能な熱伝導金属および/または合金ブロックを含み得る。
【0266】
従って、
図13に示される実施形態においてPCM筐体1213の内側の底部に埋め込まれた熱源として機能するブロック1212がある。ブロック1212は、埋め込み型カートリッジ加熱装置1213と比較して、大きい表面積を有する。
【0267】
カートリッジ加熱装置1211の技術的利点として、これらは外部からアクセス可能であり、よって、PCM1205と接触していないので容易に取り外し可能である。従って、
図13に示される実施形態および熱バッテリ1200は非常に容易に点検され得る。
【0268】
本変形例は、PCM筐体の底部に埋め込まれた加熱器ブロックを使用する。このブロックは、埋め込まれたカートリッジ加熱器と比較して大きい表面積を有する。加熱器は、外部的にアクセス可能であるので、取り外し可能であり、PCMと接触しない。
【0269】
図14は、本発明による更なる熱バッテリ1300を表す。本実施形態において、熱バッテリ1300には、内部的に浸漬された伝導ブロックと、また、PCM1315を混合し、強制対流を介して伝熱を助けるインペラアジテータとを含む少なくとも1つ、または複数の取り外し可能カートリッジ加熱装置がある。従って、インペラアジテータの追加は、以下の技術的利点を提供する。
・強制対流を介して伝熱を助ける
・PCM1305およびその構成物を撹拌および混合する
【0270】
図14に示されるバッテリ1300は、以下でより詳細に記載される。
【0271】
バッテリ1300は、熱バッテリケース1301、および、熱バッテリケース1301の内側に配置された断熱層1302を含む。PCM筐体1303およびPCM1305もある。熱交換器1304および熱交換器コア1320もある。
【0272】
図14において、PCM筐体1303の上側には、入力部1306(例えば入力部回路1)、出力部1307(例えば回路1)、入力部1308(例えば回路2)および出力部1309(例えば回路2)が配置されている。
【0273】
センサ1310もある。
図14に示されるように、好ましくは、3つのセンサ1310がある。第1センサは、PCM筐体1303の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1303の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1303の下方端側に配置される。
【0274】
熱交換器回路1304a(熱交換器回路1)および熱交換器回路1304b(熱交換器回路2)がある。
【0275】
図14に示されるように、PCM筐体1303の底部に沿って延在し、熱交換器コア1320およびPCM1305の下に配置される材料のブロック1312がある。ブロック1312は、PCM筐体1303の片側から他方側まで、完全に、または、実質的に、または、少なくとも部分的に沿って延在し得る。ブロック1312は、任意の好適な金属および/または合金などの伝導材料から構成される。従って、ブロック1312は、PCM筐体1303の底部の内側から効率的に熱を移動することを意図したものである。
【0276】
ブロック1312中に内部的に埋め込まれた、取り外し可能であり得る少なくとも1つまたは一連のカートリッジ加熱装置1311がある。
図14において、3つのカートリッジ加熱装置1311があることが示されているが、任意の好適な数であり得る。
【0277】
従って、カートリッジ加熱装置1311は、PCM筐体1303中に内部的に配置される。従って、カートリッジ加熱装置1311は、熱を効率的に移動することが可能な熱伝導金属および/または合金ブロックを含み得る。
【0278】
従って、
図14に示される実施形態において、PCM筐体1303の底部および内側に埋め込まれた熱源として機能するブロック1312がある。ブロック1312は、埋め込み型カートリッジ加熱装置1311と比較して、大きい表面積を有する。
【0279】
加えて、熱バッテリ1300は、回転アジテータなどの任意の形態の撹拌装置であり得る撹拌機1315を含む。撹拌機1315は例えば、PCM筐体1303の底部側に配置され得、熱バッテリ1300および伝熱の効率を改善するべく、PCM1305を撹拌するために使用され得る。
【0280】
図15aは、熱バッテリ1400があることが示される本発明の更なる実施形態を表す。熱バッテリ1400において、PCM筐体の内側に実質的に垂直に延在する加熱装置がある。加熱装置は、加熱器要素ネットワークの形態であり得る。これは、以下でより詳細に記載される。
【0281】
バッテリ1400は熱バッテリケース1401、および、熱バッテリケース1401の内側に配置される断熱層1402を含む。PCM筐体1403およびPCM1405もある。熱交換器1404および熱交換器コア1420もある。
【0282】
図15aにおいて、PCM筐体1403の上側には、入力部1406(例えば入力部回路1)、出力部1407(例えば回路1)、入力部1408(例えば回路2)および出力部1409(例えば回路2)が配置される。
【0283】
センサ1410もある。
図15aに示されるように、好ましくは3つのセンサ1410がある。第1センサは、PCM筐体1403の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1403の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1403の下方端側に配置される。
【0284】
図15aに示されるように、PCM筐体1403中に実質的に垂直に延在する一連の加熱装置1411がある。単一の加熱装置、または複数の加熱装置など、任意の数の加熱装置1411があり得る。単に具体的な例である
図15aに示される実施形態は、PCM筐体1403中に実質的に垂直に配置される6個の加熱装置1411を示す。
【0285】
図15bは、加熱装置1411の拡大断面図である。
図15bは、加熱装置1411が、グリッド状パターンの加熱装置ネットワーク1420を含むことを示す。グリッド部分中には、効率的な伝熱を提供する管状部分1422がある。管状部分1422は銅管であり得る。加熱装置1411はフィン1430の形態である。
【0286】
図15aおよび
図15bに示される構成において、熱交換器1404の製造中、通常のフィンは「加熱フィン」、すなわち加熱装置1411に置き換えられる。加熱装置1411の位置は例えば、アスペクト比によって決定され、使用される熱バッテリ1400および加熱装置1411の高さは、何の熱エネルギーが要求されるかに応じて、所望のパワー入力を提供するように選択できる。加熱装置1411の形態である、加熱フィンは、特定の実施形態において、熱交換器1404と一体の部分であるので、非取り外し可能であり得る。しかしながら、熱バッテリのロバスト性を確実にするべく、冗長性のために、要求されるより多くの余分の加熱フィン、すなわち加熱装置1411を設置する可能性がある。
【0287】
この設計の加熱される表面積が大きいことに起因して、各加熱フィン(すなわち加熱装置1411)のパワー密度は非常に低く、システムのロバスト性および寿命が改善される。
【0288】
また、用途に好適であるように蓄熱および放熱の能力を最適化するために、加熱フィンの上部から底部までの、
図15bに示されるような加熱器要素ネットワークの密度は、変動され得る。
【0289】
従って、
図15aおよび
図15bに示される熱バッテリ1400において、加熱装置1411は、熱交換器において見られる通常のフィンを置き換えるために使用され得る。特定の実施形態において、熱交換器において見られる標準のフィンを置き換える、銅管などの伝熱管上にスライドされ得る正温度係数(PTC)加熱器が使用され得る。
【0290】
図16aは、熱バッテリ1500があることが示される本発明の更なる実施形態を表す。熱バッテリ1500に示される実施形態において、PCM循環を助けるために、例えばヒートパイプまたは伝導ロッドの形態である、実質的に垂直に向いた低電力垂直加熱器の形態の加熱装置がある。これは、熱バッテリ内のPCM材料のためのポンプ作用を生じさせることが分かった。
【0291】
図15aに示される構成は、以下のような多くの技術的利点を有することが分かった。
1)熱バッテリの基部からコアへの上向きの伝熱を増加させ、蓄熱時間を最適化する
2)融解したPCMが進むための経路を作り、相変化および膨張するPCMによって生じる任意の圧力の蓄積を緩和する。
【0292】
熱バッテリ1500において、熱バッテリケース1501、および、熱バッテリケース1501の内側に配置された断熱層1502がある。PCM筐体1503およびPCM1505もある。熱交換器1504および熱交換器コア1520もある。
【0293】
図16aにおいて、PCM筐体1503の上側に入力部1506(例えば入力部回路1)、出力部1507(例えば回路1)、入力部1508(例えば回路2)および出力部1509(例えば回路2)が配置される。
【0294】
センサ1510もある。
図16aに示すように、好ましくは3つのセンサ1510がある。第1センサは、PCM筐体1503の上方端側に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1503の中央付近に配置され、更なるセンサは、PCM筐体1503お下方端側に配置される。
【0295】
熱交換器回路1504a(熱交換器回路1)および熱交換器回路1504b(熱交換器回路2)がある。
【0296】
図16aに示されるように、PCM筐体1503の底部側に加熱装置1511が配置される。加熱装置1511は、実質的に熱交換器1504の底部にわたって延在する。
【0297】
図16aはまた、複数の実質的に垂直に向いた低電力垂直加熱器1512があることを示す。垂直加熱器1512は、低電力加熱装置、または代替的にヒートチューブの形態であり得る。任意の好適な数の垂直加熱器1512があり得る。
【0298】
熱バッテリ1500に示される実施形態において、PCM筐体1503の上面からPCM1505を通って熱交換器1504内に延在する、4つの実質的に垂直に向いた加熱器1512がある。
【0299】
図16bは、使用され得る異なるタイプの垂直加熱器の拡大断面図を示す。
図16bの左側には、低電力加熱装置1530がある。
図16bの右側には、ヒートチューブ1540が示される。
図16bは、熱が垂直加熱器から上向きに進み、冷却が垂直加熱器を通って下向きに流れることを示す。
【0300】
図17は、本発明による、全体として1600と指定されるルーバー付きフィン設計の断面を表す。ルーバー付きフィン設計1600は、熱を移動するのに使用され得る一連の管1601(例えば銅管)を含む。管1601の中または周囲をPCM材料が流れる。PCM材料の流れは参照番号1603で示される。
図17に示されるように、PCM材料の流れは、フィン1602におけるルーバー1602aを使用して制御され得る。従って、フィン1602は、実質的に完全に開くことができるルーバーを含み得る。そのため、それは完全な平面状であり得る、または、PCM材料の流れを制御するために使用できるように、角がある形態に切り替えられ得る。ルーバー付きフィン設計600は、任意の実施形態、および上記の熱バッテリに組み込まれ得る。
【0301】
本発明の具体的な実施形態を上に記載したが、記載された実施形態からの逸脱は、本発明の範囲になお含まれ得ることを理解されたい。例えば、任意の好適なタイプの筐体が熱バッテリに使用され得る。加えて、任意の形態の好適なPCM材料および電子制御機構が使用され得る。さらに、加熱装置は、電気的に加熱されるなど、任意の好適な形態であり得る、または、本願の範囲内で想定される任意の他の形態の加熱システムであり得る。さらに、任意の形態の熱交換器が、本発明に記載の熱バッテリにおいて使用され得る。
他の可能な請求項
(項目1)
PCM熱バッテリであって、
PCMを保持することが可能なPCM筐体と、
上記PCM筐体に配置されるPCMと、
上記PCM熱バッテリを制御するための電子制御システムと、
上記PCM熱バッテリに配置された少なくとも1つ、または複数の加熱装置と
を備え、
上記少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、上記PCMを加熱および/または蓄熱することが可能である、
PCM熱バッテリ。
(項目2)
少なくとも1つ、または複数の加熱装置(例えば電気加熱)要素が上記PCMバッテリの中に一体的に、および/または、内部的に配置される、項目1に記載のPCM熱バッテリ。
(項目3)
上記少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、前記PCM筐体の中に配置され、従って、上記PCMに直接接触して浸漬される、項目1または2のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目4)
少なくとも1、2、3、4、5、6、または複数の加熱装置がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目5)
加熱装置が、上記PCM筐体の中の異なる垂直位置に配置される、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目6)
上記PCM熱バッテリは、外部の一次熱源で蓄熱され、従って、上記少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、二次熱源であり、上記PCMの蓄熱および/または温度を非常に高精度に制御することを可能にする、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目7)
上記PCM熱バッテリの全体、および、上記PCM筐体の周囲に延在する断熱層のための外部ケーシングがある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目8)
上記電子制御システムは、上記少なくとも1つ、または複数の加熱装置を通じて、熱などのエネルギーを加えることにより、上記PCMの物理的特性および/または温度を制御する、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目9)
上記PCM熱バッテリはデュアルポート熱バッテリである、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目10)
上記PCM熱バッテリは、任意でフィンを含み得る熱交換器を含み、上記熱交換器は上記PCM筐体の中に配置される、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目11)
上記電子制御システムは、上記PCM熱バッテリのために電気的接続を提供するために使用される低電力回路(LPC)および高電力回路(HPC)を含む、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目12)
上記電子制御システムはHPC入力部およびHPC出力部を含む、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目13)
バッテリ蓄熱状態シグナルおよびバッテリ蓄熱制御シグナルと共に、バッテリコントローラがある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目14)
上記PCM、および、上記熱バッテリの他の部分の物理的特性および/または温度をモニタリングすることが可能である、上記PCM筐体に配置された少なくとも1つ、または複数のセンサがある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目15)
過熱安全カットオフサーモスタットS0、および、作動媒体全体、ならびに、PCMおよび/または熱交換器にわたる温度を取得するために、上記熱バッテリの異なる垂直位置にわたって分布する一連の温度センサがある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目16)
上記PCM熱バッテリは、上記加熱装置がバックアップ加熱器要素、例えば、電気加熱器要素の形態であるデュアルポート設計である、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目17)
上記加熱装置は、上記PCM筐体の上半分に配置され、上記PCMに浸漬される、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目18)
上記電子制御システムは、バッテリコントローラを含み、上記加熱装置が、完全に制御される、および/または、要求されたときにオンおよび/またはオフに切り替えられることを可能にし、上記加熱装置によって供給されるパワーおよび/または加熱の量はまた、上記PCM筐体およびPCMに配置されるセンサの測定結果に応じて制御される(すなわち、適合および変更される)、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目19)
上記PCM筐体および/またはPCMの中の異なる高さに配置された複数の電気加熱装置がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目20)
上記PCM筐体の上半分に配置された第1加熱装置、および、上記PCM筐体の下半分に配置された第2加熱装置があり、上記第1加熱装置および上記第2加熱装置の両方はPCMに浸漬される、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目21)
上記PCM熱バッテリに一体的、および/または、内部的に配置され、熱交換器の下側のPCMに浸される、少なくとも1つ、または複数の加熱装置がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目22)
上記PCM筐体は、上記熱バッテリの下方端側に配置された、上記PCM筐体の底部から上方向に延在する段構造を含み、上記段構造は、加熱器要素端子、および、任意で安全カットオフ構造のためのハウジングを提供する、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目23)
上記加熱装置は、上記PCM筐体の下方端側に一体的に配置され、上記加熱装置は、管状形態であり、熱交換器の下側に配置される、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目24)
上記加熱装置は、上記PCMに浸漬された管状の細長い加熱装置であり、上記加熱装置はバルクヘッド接続リングに統合され、大きい表面積を介して熱を上記PCMへ移動し、瞬時加熱を上記PCMに提供する、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目25)
上記PCM熱バッテリの内部に配置され、上記PCM筐体およびPCMの内側に配置された熱交換器がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目26)
上記熱バッテリおよび熱交換器に実質的に垂直に挿入され、上記PCMの少なくとも一部の中に延在し、浸漬される、少なくとも1つ、または複数の熱導体(例えば金属ロッドまたはヒートパイプ)がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目27)
熱交換器の下方端側に配置された少なくとも1つ、または複数の加熱装置があり、上記加熱装置は、上記PCM筐体の底部側に、それに沿って実質的に水平に配置される、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目28)
実質的に垂直に向き、熱交換器コア(例えば熱交換器フィン付きコア)に延在し、または、少なくとも部分的に延在し、熱交換器の下側、または、実質的に下側の上記熱バッテリの加熱された領域内に延在する熱プレート(例えば金属プレートなどの伝導熱プレート)がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目29)
熱交換器コアに埋め込まれた少なくとも1つ、または複数非平面形加熱装置(例えば、実質的にL字形の電気加熱装置)がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目30)
上記非平面形加熱装置(例えば、実質的にL字形の加熱装置)は、上記PCMを通って下向きに延在する実質的に垂直の部分を含み、上記実質的に垂直な部分から実質的に接線方向に延在する、少なくとも1つ、または複数の実質的に水平に配置された部分がある、項目29に記載のPCM熱バッテリ。
(項目31)
第1の実質的に水平に配置された部分は、上記熱交換器コアの下4分の1に沿って延在し、第2の水平に配置された部分は、上記熱交換器コアの中央部を実質的にに通って延在し、第3の水平に配置された部分は、上記熱交換器コアの上4分の1を通って延在する、項目30に記載のPCM熱バッテリ。
(項目32)
上記実質的に水平に配置された部分は、熱交換器コア(例えばフィン管熱交換器のフィン付きコア)内に埋め込まれる、または、少なくとも部分的に埋め込まれる、項目30または31のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目33)
伝導要素、例えば銅管などの伝導管を含む熱交換器コアに埋め込まれた少なくとも1つ、または複数の加熱装置(例えば電気的に加熱される管状加熱器)がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目34)
上記少なくとも1つ、または複数の電気加熱装置は、上記PCM熱バッテリのマニホールドに埋め込まれる、項目33のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目35)
上記加熱装置は、上記熱交換器コアにわたって実質的に水平に延在する回路に埋め込まれる、請求項33に記載のPCM熱バッテリ。
(項目36)
上記回路は熱交換器に埋め込まれる、請求項35に記載のPCM熱バッテリ。
(項目37)
上記回路の周囲に延在する通路があり、上記回路の周囲には、少なくとも1つ、または複数の加熱装置が延在する、項目35および36のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目38)
熱を効率的に移動および/または拡散することが可能な材料を含むハウジングに埋め込まれた、および/または、配置された少なくとも1つ、または複数の加熱装置がある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目39)
上記ハウジングにおける上記材料は、油および/または放熱グリスである、項目38に記載のPCM熱バッテリ。
(項目40)
上記ハウジングは、上記PCM筐体と一体であり、上記加熱装置は、上記PCMと直接接触しない、項目38および39のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目41)
上記加熱装置は、油および/または放熱グリスで充填されたハウジングに埋め込まれる管状電気加熱器である、項目38から40のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目42)
少なくとも1つ、または複数の加熱装置が、上記PCM筐体の外部、上記PCM熱バッテリのための外部ケーシングの内部に配置される、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目43)
伝導ブロックが、上記PCM筐体の実質的に下側および外側に配置された誘導加熱器を介して電流を誘導可能な上記PCM筐体の中に配置される、項目42に記載のPCM熱バッテリ。
(項目44)
上記加熱装置は、上記PCM筐体の下方端側、通常、上記熱交換器コア(例えば熱交換器フィン付きコア)の下(すなわち実質的に下側)に配置される、項目42または43のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目45)
上記伝導ブロックの形態である上記加熱装置は、上記PCM筐体の外側の、外部に配置された誘導加熱器によって加熱される、項目42から44のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目46)
上記伝導ブロックは、上記誘導加熱器の上、または実質的に上に、上記PCM筐体の内側に内部的に配置される、項目45に記載のPCM熱バッテリ。
(項目47)
少なくとも1つ、または複数の取り外し可能なカートリッジ加熱器を介して加熱される、上記熱バッテリに一体的な、内部に浸漬された伝導ブロックがある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目48)
内部に浸漬された伝導ブロックの中い配置される少なくとも1つ、または複数の取り外し可能カートリッジ加熱装置があり、上記伝導ブロックは、上記PCM筐体の中、熱交換器の下側にある、項目47に記載のPCM熱バッテリ。
(項目49)
上記伝導ブロックは、上記PCM筐体の底部に沿って延在する熱伝導材料から作られ、熱交換器コアおよび上記PCMの下(すなわち下側)に配置される、項目47および48のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目50)
上記カートリッジ加熱器は、上記PCM筐体の中に内部的に配置され、熱を効率的に移動可能な熱伝導金属および/または合金ブロックを含む、請求項47から49のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目51)
上記PCMを混合し、強制対流を介して伝熱を助けるインペラアジテータがある、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目52)
上記加熱装置は、加熱器要素ネットワークの形態である、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目53)
上記加熱器要素ネットワークは、効率的な伝熱を提供する伝導管状部分が中にあるグリッド部分を含む、項目52に記載のPCM熱バッテリ。
(項目54)
上記加熱装置は、熱の放散および/または移動を助ける膨張部材(例えばフィン)を含む、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目55)
上記加熱装置は、伝熱管上にスライドする正温度係数(PTC)加熱器を含む、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目56)
上記加熱装置は、熱交換器の底部にわたって実質的に延在する、実質的に水平に向いた低電力垂直加熱器の形態である、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目57)
上記加熱装置は、実質的に垂直に向いた低電力垂直加熱器の形態である、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目58)
上記実質的に垂直に向いた低電力垂直加熱器は、PCM循環を助けるヒートパイプまたは伝導ロッドであり、上記熱バッテリ中のPCM材料のためにポンプ作用を生成する、項目57に記載のPCM熱バッテリ。
(項目59)
上記実質的に垂直に向いた加熱器は、上記PCM筐体の上面から上記PCMを通って熱交換器に延在する、項目57または58いずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目60)
熱バッテリはルーバー付きフィンを含む、上記の項目のいずれかに記載のPCM熱バッテリ。
(項目61)
上記ルーバー付きフィンは、熱を移動するのに使用される一連の管(例えば銅管)を含み、上記管の中および周囲を上記PCM材料が流れ、上記フィンにおける上記ルーバーを使用して制御することが可能である、項目60に記載のPCM熱バッテリ。
(項目62)
熱エネルギーをPCM熱バッテリに加える方法であって、
PCMを保持することが可能なPCM筐体を提供する段階と、
上記筐体に配置されたPCMを提供する段階と、
上記PCM熱バッテリのための電子制御システムを提供する段階と、
上記PCM筐体に配置され、上記PCMに浸漬された少なくとも1つ、または複数の加熱装置を提供する段階と
を含み、
上記少なくとも1つ、または複数の加熱装置は、上記PCMを加熱および/または蓄熱することが可能である、方法。