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特許7477246粉末を吸入するための吸入デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】粉末を吸入するための吸入デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022124088
(22)【出願日】2022-08-03
(62)【分割の表示】P 2020178105の分割
【原出願日】2015-02-20
(65)【公開番号】P2022140723
(43)【公開日】2022-09-27
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】61/942,657
(32)【優先日】2014-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516241669
【氏名又は名称】ブラウン、デイビッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、デイビッド
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0125371(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0126830(US,A1)
【文献】特表2004-522519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの通路内に配置された少なくとも1種の吸入粉末を含み、
前記少なくとも1つの通路が、少なくとも1つの出口、少なくとも1つの入口、及び使用前の吸入デバイス内での吸入粉末の移動の阻止及び吸入粉末の収容を可能とする少なくとも2つの障害物を有し、
吸入粉末を少なくとも部分的にエアロゾル化するために充分な突破圧力差を、前記吸入デバイスの前記少なくとも1つの通路の前記少なくとも1つの出口及び前記少なくとも1つの入口の間にかけた際に、前記障害物のうち少なくとも2つが突破され、通路を貫く流れを発生させることが可能になる、
吸入デバイスであって、
前記通路内に配置された粉末の平均直径は1mm未満であり、
前記突破圧力差は0.01kPa~100kPaであり、
前記通路は、0.1mm~100mmの内径に相当する等価断面積及び/又は通路の等価水力直径を有し、
前記突破圧力差が、1若しくは複数の生物による、前記吸入デバイスの開口部のうちの1つ若しくは複数に対する、息の吸入及び/又は吐き出しにより発生し
前記少なくとも1つの出口と前記少なくとも1つの入口とが、吸入デバイスの反対の端部に位置して、反対の方向に開口している、
吸入デバイス。
【請求項2】
前記障害物のうちの一つ又は複数が、弁、シャッター、ダイヤフラム、メッシュ、布地、フィルター、フィルム、箔、膜、カバー、ハッチ、キャップ、ドア又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の吸入デバイス。
【請求項3】
前記吸入粉末が、医薬品、薬用剤、診断薬、刺激薬、有毒剤、プラセボ、香味剤若しくは香りを与える薬剤、又は生物体に対し生物学的作用、化学的作用、薬学的作用若しくは心理学的作用を有することが意図される粉末を含有する、請求項1又は請求項2に記載の吸入デバイス。
【請求項4】
前記突破圧力差が、使用環境中に使用前に通常存在する圧力差の正常範囲を超えている
が、起動中にかかる最大圧力差未満である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項5】
前記吸入デバイスが単回用量及び/又は使い捨てであるか、
前記吸入デバイスが、少なくとも一部が再利用可能であってもよい1つ以上の通路構成要素と、単回用量及び/又は使い捨てであってもよい1つ以上のカプセル構成要素と、を含む、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を分散させる方法、特に、又は好ましい実施形態では、粉末を吸入する方法、及び、粉末を分散させるためのデバイス、特に、又は好ましい実施形態では、粉末を吸入するためのデバイス、に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末の分散は、いくつかの分野、特に医薬分野において重要である。吸入は喘息及びCOPDの治療において主要な投与経路となっており、糖尿病等の全身性疾患の治療用として実証され、商品化もされている。これは、肺への直接アクセスが可能となることに加え、薬剤が気道を通じて送達されることにより、作用の発現が迅速で予測可能なものとなり、例えば活性成分が血流中へ吸収される前に消化管の少なくとも一部をまず通過しなければならない経口経路と比較して、必要な投与量がより少量となるためである。
【0003】
加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)は一般的に使用されている吸入デバイスである。このようなデバイスは、噴霧剤中の微細薬剤粒子の懸濁液を収容するキャニスターを有している。作動すると、エアロゾル内容物が定量弁を通じて排出され、定量された用量が患者の肺へと押し出される。pMDIの継続使用における最大の脅威は、pMDIが、オゾン層枯渇の一因になると議論されているある噴射剤、すなわちクロロフルオロカーボン(CFC)に依存していることである。またpMDIでは、適切な肺送達のためには、作動と患者による吸入の協調が必要となる。
【0004】
非常に多種類のドライパウダー吸入器(DPI)が代わる代わる開発されてきている。DPIでは、薬剤粒子の分散に患者の吸入空気が利用される。DPIは一般的に作動と吸息の協調の必要がないため、ユーザーフレンドリーである。粉末化された薬剤は、単位用量容器として、例えば、ブリスター包装、カートリッジ又は可剥性ストリップとして配置させることができ、これらは、デバイスの開口部で開口される。あるいは、単位用量は計量部材、例えば投薬カップによって、粉末リザーバーから量り取られる。
【0005】
pMDI及びDPIにおいて、標的部位への肺深部堆積は、正確なサイズ範囲で粒子用量を送達することに大きく依存している。過剰に大きな粒子は、その慣性の高さから上気道の表面に衝突する傾向があり、過剰に小さな粒子は、ブラウン拡散によって同じ表面に到達する傾向がある。
【0006】
DPIにおいて、粉末化薬剤(吸入粉末)の流動性及び投薬精度を向上させるために、呼吸に適したサイズの微細な「活性」成分(例えば、薬剤)粒子が、典型的にはより粗大な担体粒子と混合され、微細な活性粒子がより大型の担体粒子に付着している規則的な混合物が形成される。この技術は、粉末エアロゾル化プロセスを複雑化する。特に、個々の大型粒子並びに凝集形成した大型及び小型の活性粒子が沈着する傾向にある患者の口及び喉に進入する前に、活性/担体の凝集塊が解体される必要がある。粉末の効率的なエアロゾル化及び解凝集のためには、粒子に及ぼされる力(デバイスの露出表面に対する力、活性粒子と担体粒子の間の力、あるいは活性粒子と活性粒子の間の力であろうと)が、予測される全ての吸入プロファイルにおいて克服されなければならない。
【0007】
吸入デバイスの目的は、高い微粒子量(Fine Particle Dose;FPD)の、呼吸に適したサイズ範囲の粒子を生じさせることである。しかし、現在利用可能な大部分のDPIにおいて、活性粒子を呼吸に適した粒径範囲にエアロゾル化及び解凝集するデバイスの能力は、患者の吸息技術に依存している。理想的なドライパウダー吸入器とは、最終分散液中に一貫した用量の呼吸に適した粒子を生じさせるために、広範囲な吸入プロファイルにわたって均一な粉末エアロゾル化及び解凝集を提供するものであるだろう。
【0008】
吸入中に活性粉末をエアロゾル化及び解凝集するための様々な技術が、DPIに利用されている。これらの技術としては、タービン及び羽根車(例えば、米国特許第4,524,769号、同第3,831,606号及び同第5,327,883号)、又は他の機械的手段(国際公開第98/26828号)、圧縮ガス(例えば、米国特許第5,113,855号、同第5,349,947号及び同第5,875,776号)、サイクロン(例えば、米国特許第5,301,666号及び国際公開第99/07426号)、静電気的懸濁及び圧電気振動(例えば、米国特許第3,948,264号及び国際公開第97/26934号)、ベンチュリ(venturi)(米国特許第4,200,099号、同第4,240,418号及び国際公開第92/00771号)並びにインパクタ(米国特許第5,724,959号)が挙げられる。いくつかの特許では、放出の起動と吸入を協調させるように、デバイス内の気流若しくは圧力降下を感知して気流内への粉末の放出を引き起こす電気的手段若しくは他の手段(例えば、国際公開第93/03782号、同第97/20589号及び米国特許第5,388,572号)、又は患者の吸息速度を機械的に制御するための手段(米国特許第5,727,546号及び同第5,161,524号)が利用されている。概して、これらのDPIはより複雑化し、より高額になってきている。
【0009】
現在の受動デバイスは、デバイスにわたる流速又は圧力降下の変化(言い換えれば、エアロゾル粒子が受ける乱流の変化)が、患者の肺におけるエアロゾル粒子分布に非常に顕著な変化をもたらす範囲において、作動する。活性医薬品(active pharmaceutical agent;API)送達のための、乾燥粉末を吸入する既存の方法は、吸入粉末の流動性及び分散性の低さによって制限されている。粉末製剤技術における最近の進展によって、例えば国際公開第2007/125159号に示されているような、肺深部へ送達するための、流動性と分散性の高い理想的なサイズの粉末が作り出された。
【0010】
本発明は、産業及び商業の利益となる、簡便、低コスト、高効率、安全、且つユーザーフレンドリーな吸入技術を提供することにより、既存の吸入法及びデバイスの制限を打開するための手段を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、例えばAPIの、細粉の安全で効率的な分散及び送達のための小型で簡便な送達デバイスを提供するための、既存の粉末エアロゾル化技術及び分散技術の障害を克服する手段を提供することである。本方法を用いることで、粉末からエアロゾルの雲(aerosol cloud)を作製する、エアロゾルの雲を方向付ける、又は、特に、若しくは好ましい実施形態では、肺深部に粉末を送達する、及び、前記手段を実行することが可能なデバイスを提供することができる。前記技術を鼻粘膜等の他の目的部位への粉末送達に応用することもでき、容器若しくは空間に粉末の雲を排出するため、又は、雲若しくは粉末、例えば刺激薬を含有する粉末を、例えば攻撃者の顔及び/又は眼に方向付けるために応用することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態の一態様は、以下のステップを有する、粉末、好ましくは吸入粉末、のエアロゾルを送達する方法に焦点を置いている:
a)一つ又は複数の出口、一つ又は複数の入口、及び使用前に通路内での移動を阻止するための、又は使用前に通路内に粉末を収容するための一つ又は複数の障害物、を有する通路内に配置された粉末を準備するステップ; b)通路内の流れを発生させるために、通路の一つ又は複数の出口と一つ又は複数の入口との間に、一つ又は複数の障害物を突破するための突破圧力差をかけるステップ;
c)発生した流れによって粉末を完全に又は部分的にエアロゾル化するステップ;
d)完全に又は部分的にエアロゾル化した粉末の全て又は一部を通路から放出するステップ。
【0013】
本発明の実施形態の別の態様は、粉末又は粉末のエアロゾル、好ましくは吸入粉末、を分散及び/又は送達するためのデバイスに焦点を当てており、前記デバイスは、通路内に前記粉末の全て又は一部を有しており、前記通路は、一つ又は複数の出口、一つ又は複数の入口、及び使用前に吸入デバイス内での移動を阻止するための、又は使用前に吸入デバイス内に粉末を収容するための一つ又は複数の障害物を有しており、前記一つ又は複数の障害物は、通路の一つ又は複数の出口及び入口の間に圧力差がかけられた際に突破可能である。
【0014】
デバイス又は吸入デバイスは、粉末又は粉末のエアロゾルを分散及び/又は送達するための前記方法を実行するのに適した、あらゆるデバイスであると理解される。
【0015】
デバイスは、突破圧力差がかけられた際に、起動する、又は使用中であるとされる。
【0016】
吸入は、「負の」吸入(すなわち、息の吐き出し又は吹き込み)、吸引、又は通路及び/又は障害物にわたって圧力差を発生させるためのあらゆる他の手段も包含すると理解される。より一般的には、吸入(及び息の吐き出し)は、吸入デバイスの、入口へ過圧をかけること及び/又は出口へ負圧をかけることを意味していると理解される。
【0017】
粉末は、少なくとも固体表面を有し、個々の粒子が好ましくは1ミリメータ未満の平均直径を有する、小粒子又は顆粒の集合を意味していると理解されるべきである。粉末は、様々なサイズ及び様々なサイズ分布の粒子を含有していてよい。例えば、吸入粉末は、粉末としてより流動性が高い傾向にあり得るより大型の粒子、及び肺深部へ送達されるのにより適した傾向にあり得る小型の粒子を含有していてよい。
【0018】
本明細書では、吸入粉末は、口、喉若しくは肺、又は生物のあらゆる他の外側若しくは内側の表面、通路、腔若しくは隆起への吸入、吸引又は吹き出しに適したサイズの、少なくとも一部分の吸入粒子を有する全ての粉末を包含すると広く理解されるべきである。吸入粉末の例としては、限定はされないが、医薬品、薬用剤、診断薬、刺激薬、有毒剤、プラセボ、香味剤若しくは香りを与える薬剤、又は生物に対し生物学的作用、化学的作用、薬学的作用若しくは心理学的作用を有することが意図される粉末、又は生物に対しある作用、例えば、生物学的作用、化学的作用、薬学的作用、心理学的作用若しくは他の作用を有することが意図される他の粉末が挙げられる。明確さのために、吸入粉末には息の吐き出しによる粉末も含まれる。
【0019】
活性成分及び医薬品有効成分(API)は、本明細書では、生物に対し正又は負の影響を及ぼすように意図されているあらゆる成分を意味すると理解される。これには、限定はされないが、薬剤(medicinal agents)及び薬(drugs)、診断用薬、刺激薬及び毒物が含まれ得る。
【0020】
本明細書において、通路は、ダクト、通路、チャネル、チューブ又は導管を意味し、流体(液体、気体、アクアゾル、又はエアロゾル等)が通過可能な、一つ又は複数の入口開口部(入口)及び一つ又は複数の出口開口部(出口)を有する構造を広く意味すると本明細書では理解されるべきである。明確さのために、これには、流れを阻害している障害物が突破されると流体が通過することが可能となる構造が含まれる。従って、入口から出口への流体の流れを許さないが、障害物が突破された際には流れを許すであろう封鎖された通路も、通路に含まれる。従って、通路は、起動又は突破時に封鎖が解除され得る封鎖された通路を含むように定義される。例として、限定はされないが、チューブ、複数の開口部を有する容器、ストロー及びパイプが挙げられるが、本発明によればより複雑な形状も可能である。
【0021】
突破又は起動は、障害物の主要機能(すなわち、通路内の流れの阻止)の、位置変化、開口、破裂、又は他の方法による完全若しくは部分的な排除若しくは障害若しくは阻害を意味すると理解される。明確さのために、突破する、突破された、起動する、又は起動された、という用語は、これらの状況又はこれらの機能的に等価な状況のいずれに対しても使用されるものとする(例えば、通路又はデバイスは障害物が突破された際に起動される)。
【0022】
本発明の一つ又は複数の入口及び出口は、吸入中の圧力差の方向に依存している場合があり、より高い圧力の開口部は入口となり、より低い圧力の開口部は出口となる。使用時に、どの開口部(一又は複数の開口部)が入口及び/又は出口であるかは、どの開口部に対して、及び/又はどの方向に向かって突破圧力差がかけられるかに依存し得る。
【0023】
本明細書において、障害物とは、流体、粉末及び/又はエアロゾルがデバイスの外へ自由に流れ出ることを阻止する、あらゆる構造又は構造の組合せを意味すると理解されるべきである。これらは、粉末の上流又は下流のどちらか一方にあってもよく、あるいは、粉末の上流及び下流の両方にあってもよい。従って、障害物は、例えば、空気の流れ及びエアロゾル粉末の流れを阻止し得るか(例えば、空隙率が低いか空隙が全くないダイヤフラム又は膜)、あるいは、空気の流れは許すが粉末の流れは阻止し得る(例えば、粒子フィルター)。明確さのために、上流及び下流とは、流体の流れを封鎖する障害物が突破された後の通路内の状況を指す。障害物の例としては、限定はされないが、例えば、弁、シャッター、開口部、ダイヤフラム、メッシュ、布地、フィルム、フィルター、箔、膜、カバー、ハッチ、キャップ、ドア、又は圧力差の下で完全に若しくは部分的に開口し得る他のあらゆるデバイス若しくは構築物が挙げられる。本発明のデバイスは、少なくとも1つの障害物を有するが、多くの例では、入口と粉末の間、及び出口と粉末の間の少なくとも2つの障害物を有し、本発明によれば他の構造も可能である。必須ではないが、障害物が、水分、酸化剤、還元剤、混入物、電磁放射(例えば紫外光)、熱、細菌及び使用前に粉末を分解又は変化させ得る他の作用剤又は条件等の外部環境条件から粉末を保護するのに役立つ働きもすることが好ましい。
【0024】
本明細書において、充分な圧力差、又は突破圧力差とは、起動前のデバイスの使用環境において典型的に存在する圧力差の正常範囲を超えているが、圧力差発生因子(ポンプ又は生物等)が使用前又は使用中に(例えばその呼吸器系を用いて)生み出す最大圧力差未満である、一つ又は複数の通路の一つ又は複数の入口と一つ又は複数の出口との間の圧力差を意味すると理解される。所与の実施形態では、前記圧力差は、放出圧力差、突破圧力差又は開始圧力差と称される。
【0025】
本明細書において、圧力差発生因子は、吸入デバイス内の一つ又は複数の障害物のうちの少なくとも1つを横切る突破圧力差を発生させることができる、あらゆる因子を意味すると理解される。
【0026】
本明細書において、生物は、例えば吸入を介して、突破圧力差を発生させることができるあらゆる生物を意味すると理解される。例としては、限定はされないが、爬虫類、鳥類、及び哺乳類(例えば、ヒト)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a図1は、デバイスの入口と出口の間の圧力差がまだ突破圧力差に達していない場合の、起動前の、非対称型(a)及び対称型(b)の、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図1b図1は、デバイスの入口と出口の間の圧力差がまだ突破圧力差に達していない場合の、起動前の、非対称型(a)及び対称型(b)の、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図2図2は、デバイスの入口と出口の間の圧力差が突破圧力差に達しており、粉末をエアロゾル化し、それをデバイスから運ぶための流れが確立されている場合の、使用中の、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図3図3は、入口又は上流の狭窄部を有する、起動前の、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図4図4は、出口又は下流の狭窄部を有する、起動前の、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図5図5は、出口の狭窄部及び入口の狭窄部の両方を有する、起動前の、本発明の好ましい実施形態を図示している。このような構成は、粉末の貯蔵及び/又は粉末の環境からの保護に有用である。
図6図6は、出口の狭窄部及び入口の狭窄部の両方を有し、入口及び出口が共に使用者の唇に対して密閉が容易な形状をしている、起動前の、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図7a図7は、使い捨ての通路又は再利用可能な通路と連結された、密閉粉末カプセルの別々の生産及び構築を可能にする、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図7b図7は、使い捨ての通路又は再利用可能な通路と連結された、密閉粉末カプセルの別々の生産及び構築を可能にする、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図8a図8は、廃棄又は詰め替え前の、使用前にデバイス全体が個々の単回使用用の密閉された袋の中に収納されている本発明の好ましい実施形態、及び、廃棄又は詰め替え前の、使用前に密閉粉末カプセルが個々に密閉された袋の中に収納されている、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図8b図8は、廃棄又は詰め替え前の、使用前にデバイス全体が個々の単回使用用の密閉された袋の中に収納されている本発明の好ましい実施形態、及び、廃棄又は詰め替え前の、使用前に密閉粉末カプセルが個々に密閉された袋の中に収納されている、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図8c図8は、廃棄又は詰め替え前の、使用前にデバイス全体が個々の単回使用用の密閉された袋の中に収納されている本発明の好ましい実施形態、及び、廃棄又は詰め替え前の、使用前に密閉粉末カプセルが個々に密閉された袋の中に収納されている、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図8d図8は、廃棄又は詰め替え前の、使用前にデバイス全体が個々の単回使用用の密閉された袋の中に収納されている本発明の好ましい実施形態、及び、廃棄又は詰め替え前の、使用前に密閉粉末カプセルが個々に密閉された袋の中に収納されている、本発明の好ましい実施形態を図示している。
図9a図9は、1人の使用者がデバイスを通じて吸引して、粉末を使用者の口、喉及び/又は肺に吹き入れる、本発明の実施形態の好ましい使用、第一使用者がデバイスを通じて息を吐き出して、粉末を第二使用者の口、喉及び/又は肺に吹き入れる、本発明の実施形態の好ましい使用、並びに、1人の使用者がデバイスを通じて息を吐き出し、粉末を第三使用者の顔又は眼に積もらせる、本発明の実施形態の好ましい使用を図示している。
図9b図9は、1人の使用者がデバイスを通じて吸引して、粉末を使用者の口、喉及び/又は肺に吹き入れる、本発明の実施形態の好ましい使用、第一使用者がデバイスを通じて息を吐き出して、粉末を第二使用者の口、喉及び/又は肺に吹き入れる、本発明の実施形態の好ましい使用、並びに、1人の使用者がデバイスを通じて息を吐き出し、粉末を第三使用者の顔又は眼に積もらせる、本発明の実施形態の好ましい使用を図示している。
図9c図9は、1人の使用者がデバイスを通じて吸引して、粉末を使用者の口、喉及び/又は肺に吹き入れる、本発明の実施形態の好ましい使用、第一使用者がデバイスを通じて息を吐き出して、粉末を第二使用者の口、喉及び/又は肺に吹き入れる、本発明の実施形態の好ましい使用、並びに、1人の使用者がデバイスを通じて息を吐き出し、粉末を第三使用者の顔又は眼に積もらせる、本発明の実施形態の好ましい使用を図示している。
図10図10に示すように、本発明の特定の実施形態では、吸入デバイスは、1つ若しくは2つ以上の活性薬剤及び/又は1若しくは2以上の用量を並行して又は連続して送達するために、2つ以上の別個の通路、及び/又は2つ以上の別個の粉末(例えば5a及び5b)、及び/又は2つ以上の別個の障害物(4)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0028】
下記の実施例に基づいて本発明の原理の説明を以下に記載する。
【0029】
図1は、通路が、圧力がPinである入口(2)及び圧力がPoutである出口(3)を有する直線チューブ(1)である、起動前の(すなわち、突破圧力差に達する前の)、本発明の好ましい実施形態を示している。使用前には、Pout及びPinは本質的に同じである。前記好ましい実施形態では、チューブの内径は、100mm~0.1mm、より好ましくは10mm~1mm、より好ましくは5mm~2mm、最も好ましくは約3.5mmである。本発明ではより複雑な管/通路/導管でも可能である。より複雑な形状では、直径は、等価断面積又は水力直径に換算して言い換えることができる。圧力差(dP)は、入口の圧力と出口の圧力の間の差異の絶対値である。起動前又は保存中、圧力差は突破圧力差(dP)未満に維持される。図1の実施形態において、2つの障害物(4)は、管の内壁で密閉された金属箔のダイヤフラムである。突破圧力差に到達した場合にのみ突破されるものであれば、ポリマー、有機膜及び紙又はこれらの組合せ等の他の材料及び構成が、本発明では可能である。また、障害物の好ましい材料は、例えば、水、酸素、紫外光、ウイルス、細菌、は吸入粉末若しくは吸入粉末の有効性を劣化させ得る若しくは他の方法で影響を与え得る他の環境因子に対する障壁でもある。一方又は両方の障害物は、管の一方又は両方の末端において密閉されていてもよいが、好ましい実施形態では、使用前の通常の取り扱い中の偶発的な破壊又は破裂を受け難くするために、障害物は末端から充分な距離を離して位置している。粉末(5)は障害物の間の通路内に位置している。
【0030】
図2は、管/通路/導管が、圧力がPinである入口(2)及び圧力がPoutである出口(3)を有する直線チューブ(1)である、起動後の(すなわち、突破圧力差に達した直後の)、本発明の図1の好ましい実施形態を示している。本発明のこの実施形態では、2つの箔ダイヤフラム障害物が圧力差によって破裂し、粉末(5)が障害物(4)間の容積から放出され、出口開口部(3)を通じてチューブから流れ出る。ここで、dPは、障害物が突破される際に、好ましくは0.01~100kPa、より好ましくは0.1~10kPa、より好ましくは0.5~5Pa、最も好ましくは1~3kPaである。ある実施形態によれば、吸入デバイスは、少なくとも1つの通路内に配置された少なくとも1つの吸入粉末を含む。前記少なくとも1つの通路は、少なくとも1つの出口、少なくとも1つの入口、及びそれらの間にある少なくとも1つの障害物を有する。障害物のうちの一つ又は複数は、使用前の吸入デバイス内での、吸入粉末の移動の阻止又は吸入粉末の収容が可能である。通路の少なくとも1つの障害物は、通路の少なくとも1つの出口と入口との間に圧力差がかけられた際に突破可能となる。ある実施形態によれば、障害物が突破可能になるために必要な圧力差は、吸入粉末を少なくとも部分的にエアロゾル化するのにも充分でなければならない。
【0031】
好ましい実施形態において、粉末の肺送達に使用される場合、エアロゾル化された吸入粒子の平均的な凝集塊は、好ましくは直径1000ミクロン未満、より好ましくは直径100ミクロン未満、より好ましくは直径10ミクロン未満、最も好ましくは直径約3ミクロンである。前記好ましい実施形態では、平均的なエアロゾル化吸入粒子は、好ましくは直径0.01~1000ミクロン、より好ましくは直径100~0.1ミクロン、より好ましくは直径10~1ミクロン、最も好ましくは直径約3ミクロンである。本発明の好ましい実施形態では、吸入粒子の凝集塊は、平均して、1000個未満の吸入粒子、より好ましくは100個未満の吸入粒子、より好ましくは10個未満の吸入粒子、より好ましくは5個未満の吸入粒子、より好ましくは3個未満の吸入粒子、最も好ましくは2個以下の吸入粒子を含有する。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、エアロゾル化吸入粉末粒子の微粒子画分(fine particle fraction;FPF)は、10%超、より好ましくは50%超、より好ましくは75%超、より好ましくは85%超、より好ましくは90%超、より好ましくは95%超、より好ましくは98%超、最も好ましくは99%超である。FPFは、デバイスから排出される、空気動力学径で5ミクロン未満の粒子の割合と定義される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、肺送達に使用される場合、低吸入速度と高吸入速度の間の放出用量(emitted dose;ED)における差は、80%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、最も好ましくは1%未満であり、ここで、前記低吸入速度は、好ましくは117L/分未満、より好ましくは1~53L/分、より好ましくは12~37L/分、より好ましくは17~29L/分、より好ましくは20~25L/分、より好ましくは21~23L/分、最も好ましくは約22L/分であり、前記高吸入速度は、好ましくは1L/分超、より好ましくは24~117L/分、より好ましくは40~85L/分、より好ましくは48~69L/分、より好ましくは52~61L/分、より好ましくは54~57L/分、最も好ましくは約55L/分である。
【0034】
本発明において、通路の断面積は、許容できる等価な内径又は水力直径の範囲によって変動し得る。例えば、本発明の別の実施形態において、通路全体の圧力降下を増加させるための、この場合では段状の、上流狭窄部(6)も含む実施形態が、図3に示されている。上流狭窄部(6)は、放出用量及び微粒子画分を増加させるための乱流、剪断力及び混合を増加させ、吸入粒子の肺送達の場合では、さらに、吸入粒子の肺深部堆積を向上させる働きもする。他の上流狭窄部、剪断力を発生させる形状又は乱流を発生させる形状が本発明では可能である。
【0035】
本発明の別の実施形態が図4に示されており、この実施形態は、通路全体の圧力降下を制御/増加するための、及び/又は、放出用量及び微粒子画分を増加させるための乱流、剪断力及び混合を増加させ、吸入粒子の肺送達の場合では、さらに、吸入粒子の肺深部堆積を向上させる働きをする、ここでは滑面の収束ノズルの形態の、下流狭窄部(7)も含んでいる。他の下流狭窄部、剪断力を発生させる形状又は乱流を発生させる形状が本発明では可能である。
【0036】
本発明の別の実施形態が図5に示されており、この実施形態は、通路全体の圧力降下を制御/増加するための、及び/又は、放出用量及び微粒子画分を増加させるための乱流、剪断力及び混合を増加させ、吸入粒子の肺送達の場合では、さらに、吸入粒子の肺深部堆積を向上させる働きをする、複数のノズル狭窄部(7)も含んでいる。
【0037】
本発明の別の実施形態が図6に示されており、この実施形態では、入口(2)及び出口(3)が、より良好に且つより快適に使用者の唇に対して密閉するために、卵円形にされている。
【0038】
本発明の別の実施形態が図7a及び7bに示されており、この実施形態は、3つの主な要素による構造を可能にする、分離可能な継ぎ目又は切れ目(8)を通路(1)に有する。この実施形態では、前記通路は2つの部分(1a及び1b)を有し、粉末は、ダイヤフラム又は他の適切な突破可能な障害物を両側に有し、一つ又は複数の粉末(5)を収容する、密閉カプセル(9)内に収容される。
【0039】
本発明の一実施形態では、図8に示すように、デバイス全体(10)の全て又は一部が、予め組み立てられており、図8aに示されるような一回量使用用の容器内に、例えば、図8bに示すように使用の直前に開封され得る密閉パッケージ(11)内に、包装されている。デバイス全体(10)は、その後廃棄するか、又は、詰め替えのために、製造業者若しくはリサイクル業者に戻すことができる。反対に、通路は再利用することができ、密閉カプセル(9)を各使用の前に挿入することもできる。従って、密閉カプセル(9)のみが、廃棄されるか、又は、再利用のために製造業者若しくはリサイクル業者に戻される。この場合、図8c及び図8dに示すように、密閉カプセル(9)は、使用前の保管のために、個々に包装することができる。
【0040】
図9aは、本発明の一実施形態の好ましい使用を示しており、ここでは、1人の使用者(12)が、粉末を使用者の口、喉及び/又は肺に吸い入れるために、口を介しデバイスを通じて吸入をしている。同様に、デバイスの一実施形態は、鼻腔、喉又は肺への送達のための経鼻吸入用に構成されていてもよい。鼻腔又は喉への送達では、粒子は、肺送達に最適なサイズよりも非常に小さくても大きくてもよい。図9bは本発明の好ましい使用を示しており、ここでは、第一使用者(12)が、デバイスを通じて息を吐き出して、粉末を別の使用者(14)の顔又は眼に積もらせている。
【0041】
この使用は、例えば、患者又は攻撃者の目又は皮膚への刺激薬又は局所用剤の適用に適している。図9cは本発明の好ましい使用を示しており、ここでは、本デバイスが1人の使用者(12)によって使用されて、粉末が別の使用者(13)に送達されている。この場合、使用者(12)は、吸入デバイス(10)を通じて吐き出し(負に吸入)又は吹き込みをし、他方の使用者(13)は、能動的に吸入するか、又は受動的に、吹き込まれている(すなわち、少なくとも部分的に、膨らまされている)。この使用のシナリオは、例えば、自力で粉末を吸引する意思や能力がない乳児又は非常に虚弱な患者の治療に適している。
【0042】
これらの実施例又は本発明の他の実施形態のいずれにおいても、ポンプ、ベローズ、減圧装置、与圧貯油槽又は他の適切な圧力差発生因子を、生物による吸入(息の吐き出し)に加えて、又はその替わりに、使用することができる。
【0043】
完全に対称的な、図1b及び図5、6、7、8及び9等のある特定の構成は、使用者が吸入、吐き出し、吸引又は吹き込みを行う方向にかかわらず本質的に同様に作動するため、誤用を起こしにくいが、図1~9又は本発明の他の実施形態の構成のいずれにおいても、Pout及びΡinを逆転させることができる(すなわち、流れを表示の反対方向に向かわせることができ、及び/又は、ある使用例における出口を別の使用例では入口にすることができる)ことを留意することは重要である。
【0044】
図10に示すように、本発明の特定の実施形態では、吸入デバイスは、1つ若しくは2つ以上の活性薬剤及び/又は1若しくは2以上の用量を並行して又は連続して送達するために、2つ以上の別個の通路、及び/又は2つ以上の別個の粉末(例えば5a及び5b)、及び/又は2つ以上の別個の障害物(4)を含む。
【0045】
当業者には明らかであるが、本発明は上記の実施例に限定されず、実施形態は特許請求の範囲の範囲内で自由に変更することができる。
【0046】
開示された本発明の実施形態が、本明細書で開示される特定の構造、工程ステップ、又は材料に限定されず、当業者が認めるであろうその等価物にまで及ぶことが理解されるべきである。本明細書で使用された専門用語が、特定の実施形態のみを記述する目的で使用されており、限定を意図していないことも理解されるべきである。
【0047】
本明細書の全体にわたる、「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、その実施形態と関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の全体にわたる、様々な場所における「一実施形態では」又は「ある実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが、同一の実施形態に言及しているわけではない。
【0048】
本明細書で使用される場合、複数の事項、構造要素、組成要素、及び/又は材料は、便宜上、共通のリストの中に存在していてもよい。しかしながら、これらのリストは、リストの各々の構成要素が別々且つ固有の構成要素として個々に認定されるように解釈されるべきである。従って、このようなリストのどの個々の構成要素も、反対の指示無しに、単にそれらが共通の群に存在するということに基づいて、同一リストのいかなる他の構成要素の事実上の等価物としても解釈されるべきではない。さらに、本発明の様々な実施形態及び実施例は、その種々の構成要素の代替物と共に言及されている場合がある。そのような実施形態、実施例、及び代替物は、互いの事実上の等価物であると解釈されるべきではなく、別々の独立した本発明の表現であると見なされるべきであることを理解されたい。
【0049】
さらに、記載された特徴、構造、又は特性は、一つ又は複数の実施形態において、あらゆる適切な様式で、組み合わされている場合がある。以下の記述では、本発明の実施形態の充分な理解を提供するために、多数の具体的詳細、例えば、長さ、幅、形等の例、が提供されている。しかしながら、本発明が、それらの具体的詳細のうちの一つ若しくは複数が無くても、又は他の方法、構成要素、材料等を用いても、実行可能であることは、当業者によって理解される。他の例では、周知の構造、材料、又は操作は、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細に表示も記載もされていない。
【0050】
前述の実施例は一つ又は複数の特定の適用における本発明の原理の実例であるが、形態、用法及び実施の詳細における多数の変更が、発明能力の発揮を要さずに、本発明の精神及び概念からの逸脱もなく、可能であることは、当業者には明らかであろう。従って、下記の特許請求の範囲によるものである場合を除き、本発明が限定されることは意図されていない。
(付記)
本開示は以下の態様を含む。
<1>a.少なくとも1つの出口と少なくとも1つの入口との間に粉末が配置された通路、及び、使用前に前記通路内での移動を阻止する、又は使用前に前記通路内に前記粉末を収容するように構成された少なくとも1つの障害物を有するデバイスを設けるステップ;b.前記通路内に流れを発生させるために、前記通路の前記少なくとも1つの出口と前記少なくとも1つの入口との間に、少なくとも1つの障害物を突破するための突破圧力差を発生させるステップ;
c 発生した前記流れによって前記粉末を少なくとも部分的にエアロゾル化するステップ;
d.エアロゾル化した前記粉末の少なくとも一部を前記通路から放出させるステップ、を含む、粉末をエアロゾル化する方法。
<2> 前記障害物のうちの一つ又は複数が、弁、シャッター、開口部、ダイヤフラム、メッシュ、布地、フィルター、フィルム、箔、膜、カバー、ハッチ、キャップ、ドア又はこれらの組み合わせである、<1>に記載の方法。
<3> 前記粉末が、医薬品、薬用剤、診断薬、刺激薬、有毒剤、プラセボ、香味剤若しくは香りを与える薬剤を含有する吸入粉末、又は、生物に対し生物学的作用、化学的作用、薬学的作用若しくは心理学的作用を有することが意図される粉末である、<1>又は<2>のいずれか一項に記載の方法。
<4> 前記突破圧力差が、使用環境中に使用前に通常存在する圧力差の正常範囲を超えているが、起動中にかかる最大圧力差未満であり、及び/又は、前記突破圧力差が、好ましくは0.01~100kPa、より好ましくは0.1~10kPa、より好ましくは0.5~5Pa、最も好ましくは1~3kPaである、<1>~<3>のいずれか一項に記載の方法。
<5> 通路断面積及び/又は水力直径が、100mm~0.1mm、より好ましくは10mm~1mm、より好ましくは5mm~2mm、最も好ましくは約3.5mmの内径に相当する、<1>~<4>のいずれか一項に記載の方法。
<6> エアロゾル化した粉末粒子の平均的な凝集塊が、好ましくは直径1000ミクロン未満、より好ましくは直径100ミクロン未満、より好ましくは直径10ミクロン未満、最も好ましくは直径約3ミクロンであり、及び/又は、
平均的なエアロゾル化粒子が、好ましくは直径0.01~1000ミクロン、より好ましくは直径100~0.1ミクロン、より好ましくは直径10~1ミクロン、最も好ましくは直径約3ミクロンであり、及び/又は、
エアロゾル化した粉末粒子の平均的な凝集塊が、好ましくは直径1000ミクロン未満、より好ましくは直径100ミクロン未満、より好ましくは直径10ミクロン未満、最も好ましくは直径約3ミクロンであり、及び/又は、エアロゾル化粒子の凝集塊が、平均して、1000個未満の吸入粒子、より好ましくは100個未満の吸入粒子、より好ましくは10個未満の吸入粒子、より好ましくは3個未満の吸入粒子、最も好ましくは2個未満の吸入粒子を含有する、
<1>~<5>のいずれか一項に記載の方法。
<7> エアロゾル化した粉末粒子の微粒子画分(FPF)が10%超、より好ましくは50%超、より好ましくは75%超、より好ましくは85%超、より好ましくは90%超、より好ましくは95%超、より好ましくは98%超、最も好ましくは99%超である、<1>~<6>のいずれか一項に記載の方法。
<8> 低吸入速度と高吸入速度の間の放出用量の差が、80%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、最も好ましくは1%未満であり、ここで、前記低吸入速度が、好ましくは117L/分未満、より好ましくは1~53L/分、より好ましくは12~37L/分、より好ましくは17~29L/分、より好ましくは20~25L/分、より好ましくは21~23L/分、最も好ましくは約22L/分であり、前記高吸入速度が、好ましくは1L/分超、より好ましくは24~117L/分、より好ましくは40~85L/分、より好ましくは48~69L/分、より好ましくは52~61L/分、より好ましくは54~57L/分、最も好ましくは約55L/分である、<1>~<7>のいずれか一項に記載の方法。
<9> 前記デバイスが単回用量及び/又は使い捨てであり、及び/又は、
前記デバイスが一つ若しくは複数の別個の通路構成要素及び一つ若しくは複数の別個の粉末カプセル構成要素を含み、ここで、前記通路構成要素の全て若しくは一部が再利用可能であり、及び/又は、一つ若しくは複数の密閉された前記カプセルが単回用量及び/又は使い捨てである、
<1>~<8>のいずれか一項に記載の方法。
<10> ポンプ、ベローズ、減圧装置、与圧貯油槽若しくは他の圧力差発生作動体により過圧及び/又は負圧をかけることにより、及び/又は、一若しくは複数の生物による、吸入デバイスの開口部のうちの一つ若しくは複数に対する、息の吸入、吐き出し、吹き込み及び/又は吸引により、前記圧力差が発生し、及び/又は、
かかる圧力差の方向に応じて入口及び出口が決定される、<1>に記載の方法。
<11> 少なくとも1つの通路内に配置された少なくとも1つの吸入粉末を含み、前記少なくとも1つの通路が、少なくとも1つの出口、少なくとも1つの入口、及び使用前の吸入デバイス内での吸入粉末の移動の阻止又は吸入粉末の収容を可能とする少なくとも1つの障害物を有し、吸入粉末を少なくとも部分的にエアロゾル化するために充分な圧力差を、前記吸入デバイスの前記少なくとも1つの通路の前記少なくとも1つの出口及び前記少なくとも1つの入口の間にかけた際に、前記少なくとも1つの障害物が突破可能になる、吸入デバイス。
<12> 前記障害物のうちの一つ又は複数が、弁、シャッター、開口部、ダイヤフラム、メッシュ、布地、フィルター、フィルム、箔、膜、カバー、ハッチ、キャップ、ドア又はこれらの組み合わせである、<11>に記載の吸入デバイス。
<13> 前記吸入粉末が、医薬品、薬用剤、診断薬、刺激薬、有毒剤、プラセボ、香味剤若しくは香りを与える薬剤、又は生物体に対し生物学的作用、化学的作用、薬学的作用若しくは心理学的作用を有することが意図される粉末を含有する、<11>又は<12>のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
<14> 前記突破圧力差が、使用環境中に使用前に通常存在する圧力差の正常範囲を超えているが、起動中にかかる最大圧力差未満であり、及び/又は、前記突破圧力差が、好ましくは0.01~100kPa、より好ましくは0.1~10kPa、より好ましくは0.5~5Pa、最も好ましくは1~3kPaである、<11>~<13>のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
<15> 通路断面積及び/又は水力直径が、100mm~0.1mm、より好ましくは10mm~1mm、より好ましくは5mm~2mm、最も好ましくは約3.5mmの内径に相当する、<11>~<14>のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
<16> エアロゾル化した粉末粒子の平均的な凝集塊が、好ましくは直径1000ミクロン未満、より好ましくは直径100ミクロン未満、より好ましくは直径10ミクロン未満、最も好ましくは直径約3ミクロンであり、及び/又は、
平均的なエアロゾル化粒子が、好ましくは直径0.01~1000ミクロン、より好ましくは直径100~0.1ミクロン、より好ましくは直径10~1ミクロン、最も好ましくは直径約3ミクロンであり、及び/又は、
エアロゾル化した粉末粒子の平均的な凝集塊が、好ましくは直径1000ミクロン未満、より好ましくは直径100ミクロン未満、より好ましくは直径10ミクロン未満、最も好ましくは直径約3ミクロンであり、及び/又は、エアロゾル化粒子の凝集塊が、平均して、1000個未満の吸入粒子、より好ましくは100個未満の吸入粒子、より好ましくは10個未満の吸入粒子、より好ましくは5個未満の吸入粒子、最も好ましくは2個未満の吸入粒子を含有する、
<11>~<15>のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
<17> エアロゾル化した粉末粒子の微粒子画分(FPF)が10%超、より好ましくは50%超、より好ましくは75%超、より好ましくは85%超、より好ましくは90%超、より好ましくは95%超、より好ましくは98%超、最も好ましくは99%超である、<11>~<16>のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
<18> 低吸入速度と高吸入速度の間の放出用量の差が、80%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、最も好ましくは1%未満であり、ここで、前記低吸入速度が、好ましくは117L/分未満、より好ましくは1~53L/分、より好ましくは12~37L/分、より好ましくは17~29L/分、より好ましくは20~25L/分、より好ましくは21~23L/分、最も好ましくは約22L/分であり、前記高吸入速度が、好ましくは1L/分超、より好ましくは24~117L/分、より好ましくは40~85L/分、より好ましくは48~69L/分、より好ましくは52~61L/分、より好ましくは54~57L/分、最も好ましくは約55L/分である、<11>~<17>のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
<19> 前記デバイスが単回用量及び/又は使い捨てであり、及び/又は、
前記デバイスが一つ若しくは複数の別個の通路構成要素及び一つ若しくは複数の別個の粉末カプセル構成要素を含み、ここで、前記通路構成要素の全て若しくは一部が再利用可能であり、及び/又は、一つ若しくは複数の密閉された前記カプセルが単回用量及び/又は使い捨てである、
<11>~<18>のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図10