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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】棒材切断機
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/04 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B23D47/04 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019147973
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028101
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-07-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】桝家 克幸
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆志
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】田々井 正吾
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-015616(JP,A)
【文献】特開平06-023618(JP,A)
【文献】特開平11-071859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/00 - 47/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の丸鋸を回転させつつ長手状の鉄筋に切り込ませることにより、前記鉄筋を所定の長さ寸法に切断するに際して、前記丸鋸が前記鉄筋に切り込まれる切断部付近の前記鉄筋を挟持する位置固定の主バイス装置と、前記鉄筋の前記切断部よりも反送り方向側を挟持し、前記鉄筋を前記切断部側へ送り込む送り方向に駆動される搬送バイス装置とを備えた棒材切断機であって、
前記切断部よりも送り方向側に位置し、前記鉄筋の先端部を挟持して切断後の前記鉄筋を前記主バイス装置から引き出す引出バイス装置と、
前記主バイス装置と前記引出バイス装置との間に位置固定に設けられ、前記鉄筋の先端部の側面の前記鉄筋の先端から予め設定された所定距離の第1マーキング位置に第1マーキングを付与するマーキング装置と、
前記鉄筋の先端面と前記鉄筋の第1マーキング位置との間の距離が、前記切断部と前記鉄筋の切断位置とが一致したときの前記鉄筋の先端面と前記マーキング装置によるマーキング付与位置との間の距離よりも短い位置に第1マーキングを施すに際して、前記搬送バイス装置により、前記鉄筋の先端部の前記第1マーキング位置を前記マーキング装置によるマーキング付与位置に位置させて、前記鉄筋の前記第1マーキング位置に前記マーキング装置により第1マーキングを付与させ、次いで前記搬送バイス装置により、前記鉄筋を前記所定の長さとなるように定められた切断位置を前記切断部に位置させた後、前記引出バイス装置に前記鉄筋の先端部を挟持させるとともに、前記丸鋸により前記鉄筋の前記切断位置を切断させ、切断された前記鉄筋を前記引出バイス装置により引き出させる制御装置とを、備え
前記制御装置は、前記第1マーキングが先端部に付与されて切断された前記鉄筋を前記引出バイス装置により引き出させ、前記切断された前記鉄筋の後端部の側面に予め設定された第2マーキング位置を前記マーキング装置によるマーキング付与位置に位置させて、前記鉄筋の前記第2マーキング位置に前記マーキング装置により第2マーキングを付与させ
ことを特徴とする棒材切断機。
【請求項2】
前記鉄筋は、前記鉄筋の側面において前記鉄筋の中心線に平行に形成された平行面と、連続する螺旋状に連なる凸条が前記平行面によって周方向の一部が削除された不連続な螺旋状の凸条とが形成された鉄筋であり、
前記マーキング装置は、前記平行面にマーキング付与を行う
ことを特徴とする請求項1の棒材切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材を所望の長さに自動的に切断するとともに、切断された棒材の端から予め定められた位置に自動的にマーキングを付す棒材切断機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋などの棒材を所望の長さに切断するとともに、切断された棒材の端から予め定められた位置にマーキングを付す棒材切断機が提案されている。たとえば、特許文献1に記載の棒材切断機がそれである。
【0003】
たとえば棒材の一種に、外周面に連続または不連続に螺旋状に連なる凸条が形成された鉄筋が用いられ、切断された鉄筋の一端同士を内周面に雌ねじが形成された筒状のネジカプラーを用いて接続する場合がある。この場合には、鉄筋に付されたマークの位置までネジカプラーを螺合することで、ネジカプラー内での鉄筋相互の位置決めを行い、ネジカプラーに形成された貫通孔を通して充填材(グラウト材)を外部から注入し、鉄筋の端面間の空間および鉄筋の外周面とネジカプラーの内周面との空間を充填材で埋めて硬化させることで、鉄筋を相互に固定するグラウト固定式固定方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭58-15616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記鉄筋のようなマーキングを必要とする棒材を、特許文献1に記載の棒材切断機を用いて、自動的に、切断された棒材の一端から一定の位置にマーキングを施すようにした場合には、棒材の送り装置をマーキング位置へ棒材を送るためにも利用できるという利点がある。しかし、棒材の送り方向において、棒材を切断する鋸による切断場所と棒材を鋸による切断場所に送り込む搬送バイス装置との間にマーキング装置は設けられている。このため、棒材切断時の棒材の先端とマーキング装置によるマーキング付与位置との間の距離よりも、棒材の先端と棒材上のマーキング位置との間の距離が短い場合には、搬送バイスが棒材上の切断位置まで棒材を送ると、棒材上のマーキング位置がマーキング付与位置を通り過ぎるので、切断前にマーキングするための棒材の送りを一旦停止してマーキングを行なってから、切断位置まで送るという送り操作が必要となって、棒材の送りに無駄が多いという問題があった。
【0006】
また、棒材の両端部の2箇所にマーキングを行なう場合では、2箇所にマーキングするための棒材の送りをそれぞれ一旦停止してマーキングを行なってから、切断位置まで送るという送り操作が必要となって、鉄筋の送りに無駄が多いという問題があった。これに対して、切断された棒材の両端から一定の位置にマーキングを施すようにする場合には、切断された棒材を載置するマーキング用コンベアと、マーキング用コンベア上の棒材の先端部および後端部にそれぞれマーキングを行なう先端部マーキング装置および後端部マーキング装置とを、棒材切断機に加えて設ける必要があり、装置が大型化してコスト高となるという問題があった。
【0007】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、棒材の送りに無駄が少なく、マーキング装置およびマーキング用コンベアの増設を必要としないで、切断された棒材の一端部或いは両端部にマーキングを施すことができる棒材切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨とするところは、(a)円板状の丸鋸を回転させつつ長手状の鉄筋に切り込ませることにより、前記鉄筋を所定の長さ寸法に切断するに際して、前記丸鋸が前記鉄筋に切り込まれる切断部付近の前記鉄筋を挟持する位置固定の主バイス装置と、前記鉄筋の前記切断部よりも反送り方向側を挟持し、前記鉄筋を前記切断部側へ送り込む送り方向に駆動される搬送バイス装置とを備えた棒材切断機であって、(b)前記切断部よりも送り方向側に位置し、前記鉄筋の先端部を挟持して切断後の前記鉄筋を前記主バイス装置から引き出す引出バイス装置と、(c)前記主バイス装置と前記引出バイス装置との間に位置固定に設けられ、前記鉄筋の先端部の側面の前記鉄筋の先端から予め設定された所定距離の第1マーキング位置に第1マーキングを付与するマーキング装置と、(d)前記鉄筋の先端面と前記鉄筋の第1マーキング位置との間の距離が、前記切断部と前記鉄筋の切断位置とが一致したときの前記鉄筋の先端面と前記マーキング装置によるマーキング付与位置との間の距離よりも短い位置に第1マーキングを施すに際して、前記搬送バイス装置により、前記鉄筋の先端部の前記第1マーキング位置を前記マーキング装置によるマーキング付与位置に位置させて、前記鉄筋の前記第1マーキング位置に前記マーキング装置により第1マーキングを付与させ、次いで前記搬送バイス装置により、前記鉄筋を前記所定の長さとなるように定められた切断位置を前記切断部に位置させた後、前記引出バイス装置に前記鉄筋の先端部を挟持させるとともに、前記丸鋸により前記鉄筋の前記切断位置を切断させ、切断された前記鉄筋を前記引出バイス装置により引き出させる制御装置とを、備え、(e)前記制御装置は、前記第1マーキングが先端部に付与されて切断された前記鉄筋を前記引出バイス装置により引き出させ、前記切断された前記鉄筋の後端部の側面に予め設定された第2マーキング位置を前記マーキング装置によるマーキング付与位置に位置させて、前記鉄筋の前記第2マーキング位置に前記マーキング装置により第2マーキングを付与させることにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の切断機によれば、前記切断部よりも送り方向側に位置し、前記鉄筋の先端部を挟持して切断後の前記鉄筋を前記主バイス装置から引き出す引出バイス装置と、前記主バイス装置と前記引出バイス装置との間に位置固定に設けられ、前記鉄筋の先端部の側面の前記鉄筋の先端から予め設定された所定距離の第1マーキング位置に第1マーキングを付与するマーキング装置と、前記鉄筋の先端面と前記鉄筋の第1マーキング位置との間の距離が、前記切断部と前記鉄筋の切断位置とが一致したときの前記鉄筋の先端面と前記マーキング装置によるマーキング付与位置との間の距離よりも短い位置に第1マーキングを施すに際して、前記搬送バイス装置により、前記鉄筋の先端部の前記第1マーキング位置を前記マーキング装置によるマーキング付与位置に位置させて、前記鉄筋の前記第1マーキング位置に前記マーキング装置により第1マーキングを付与させ、次いで前記搬送バイス装置により、前記鉄筋を前記所定の長さとなるように定められた切断位置を前記切断部に位置させた後、前記引出バイス装置に前記鉄筋の先端部を挟持させるとともに、前記丸鋸により前記鉄筋の前記切断位置を切断させ、切断された前記鉄筋を前記引出バイス装置により引き出させる制御装置と、を備える。これにより、鉄筋切断時の鉄筋の先端とマーキング装置によるマーキング付与位置との間の距離よりも、鉄筋の先端と鉄筋上のマーキング位置との間の距離が短い場合であっても、切断後の鉄筋に予め定められた第1マーキング位置にマーキングを施しつつ鉄筋を切断するに際して、鉄筋の送りに無駄が少なく、マーキング装置およびマーキング用コンベアの増設を必要としないで、切断された鉄筋の一端部或いは両端部にマーキングを施すことができる。
また、前記制御装置は、前記第1マーキングが先端部に付与されて切断された前記鉄筋を前記引出バイス装置により引き出させ、前記切断された前記鉄筋の後端部の側面に予め設定された第2マーキング位置を前記マーキング装置によるマーキング付与位置に位置させて、前記鉄筋の前記第2マーキング位置に前記マーキング装置により第2マーキングを付与させる。これにより、切断された鉄筋において、2箇所の第1マーキング位置および第2マーキング位置に第1マーキングおよび第2マーキングを付す場合においても、鉄筋の送りに無駄がなく、マーキング装置およびマーキング用コンベアの増設を必要としないで、切断された鉄筋の両端部にマーキングを施すことができる。
【0011】
好適には、前記鉄筋は、前記鉄筋の側面において前記鉄筋の中心線に平行に形成された平行面と、連続する螺旋状に連なる凸条が前記平行面によって周方向の一部が削除された不連続な螺旋状の凸条とが形成された鉄筋であり、前記マーキング装置は、前記平行面にマーキング付与を行う。これにより、鉄筋の側平面にマーキングが行なわれるので、マーキングが明瞭であり、消え難い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例のマーキング装置付の棒材切断機を示す正面図である。
図2】丸鋸切断機を取り外して示す図1の棒材切断機を側面を、電子制御装置と共に示す図である。
図3図1の棒材切断機を平面視で示す平面図である。
図4図1の棒材切断機によって切断される棒材の側面を示す図である。
図5図1の棒材切断機の作動を説明する図であって、搬送バイス装置により棒材の先端部を主バイス装置に送り込む作動状態を示す図である。
図6図1の棒材切断機の作動を説明する図であって、棒材の先端部にマーキングさせる位置まで、搬送バイス装置により棒材を送り込む作動状態を示す図である。
図7図1の棒材切断機の作動を説明する図であって、棒材の先端部にマーキングさせた後に、棒材の先端部を切断する位置まで、搬送バイス装置により棒材を送り込む作動状態を示す図である。
図8図1の棒材切断機の作動を説明する図であって、棒材の先端部を引出バイス装置により挟持させた状態で棒材の先端部を切断する作動状態を示す図である。
図9図1の棒材切断機の作動を説明する図であって、切断により切り離された棒材の先端部を引出バイス装置が引き出す作動状態を示す図である。
図10図2の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例
【0014】
図1は、本発明の一実施例のスイング式の棒材切断機10を示す正面図、図2は、図1の棒材切断機10の側面を、丸鋸切断装置14を取り外して示す側面図、図3は、図1の棒材切断機10の平面を示す平面図である。
【0015】
図1から図3において、棒材切断機10は、基台12上において水平な第1軸線C1まわりに回動可能に設けられた丸鋸切断装置14を備えている。丸鋸切断装置14は、第1軸線C1まわりに回動可能に設けられた回動フレーム16と、回動フレーム16に固定された電動機18と、第1軸線C1と平行な第2軸線C2まわりに回転可能に回動フレーム16に支持され、電動機18によって回転駆動される円板状の丸鋸20と、基台12上に設けられ、回動フレーム16に設けられたナット22に螺合するねじ軸24を回転駆動することにより回動フレーム16を第1軸線C1まわりに回動させる電動アクチュエータ26とを備えている。
【0016】
基台12上には、丸鋸切断装置14の丸鋸20を切り込ませる切断部10aにおいて棒材すなわち鉄筋BLを挟持して固定する把持する主バイス装置30が位置固定に設けられている。主バイス装置30は、切断部10aにおける鉄筋BLを横方向から挟持する横バイス32と、切断部10aにおける鉄筋BLを縦方向から挟持する縦バイス34とを、備えている。本実施例では、棒材切断機10において、横バイス32と縦バイス34との間に丸鋸20が下降する切断部10aが設けられている。
【0017】
横バイス32は、位置固定に設けられた横方向固定爪32aと、横方向固定爪32aに対して接近離隔可能に設けられた横方向可動爪32bと、鉄筋BLを横方向から挟持するために横方向可動爪32bを横方向固定爪32aに向かって駆動する横バイス油圧シリンダ32cとを有している。
【0018】
縦バイス34は、位置固定に設けられた縦方向固定爪34aと、縦方向固定爪34aに対して接近離隔可能に設けられた縦方向可動爪34bと、鉄筋BLを縦方向から挟持するために縦方向可動爪34bを縦方向固定爪34aに向かって駆動する縦バイス油圧シリンダ34cとを有している。
【0019】
また、基台12上には、鉄筋BLを長手方向の移動可能に支持するローラコンベア38と、ローラコンベア38に沿って移動可能に設けられ、鉄筋BLの切断位置側とは反対側の端部を挟持して、鉄筋BLを切断位置側へ予め設定された長さ毎に前方へ送り込む搬送バイス装置40とが、設けられている。
【0020】
搬送バイス装置40は、ローラコンベア38に沿って設けられたレール42に支持されて移動可能に設けられた搬送バイス台44と、搬送バイス台44をねじ軸46を介して位置決めする搬送バイス台駆動装置48と、搬送バイス台駆動装置48に固定された固定爪40aおよび固定爪40aに対して接近離隔可能に設けられた可動爪40bと、鉄筋BLの端を挟持するために可動爪40bを固定爪40aへ向かって駆動する搬送バイス開閉装置40cとを備え、鉄筋BLを予め設定された長さ寸法Lに切断するために棒材切断機10の切断部10aへ間欠的に送り込む。鉄筋BLが搬送バイス装置40により予め設定された長さ寸法Lだけ送り込まれると、棒材切断機10の丸鋸20が電動アクチュエータ26によって下降させられ、鉄筋BLが切断される。
【0021】
棒材切断機10には、さらに、棒材切断機10の丸鋸20直下の切断部10aよりも送り方向側に位置し、鉄筋BLの先端部を挟持して切断後の鉄筋BLを主バイス装置30から引き出す引出バイス装置60と、前記主バイス装置30と引出バイス装置60との間に位置固定に設けられたマーキング装置70とが、基台12上に備えられている。
【0022】
引出バイス装置60は、鉄筋BLの送り方向に平行に設けられたレール62と、レール62に案内されて移動可能に設けられた引出バイス台64と、引出バイス台64をねじ軸68を介して位置決めする引出バイス台駆動装置66と、引出バイス台駆動装置66に固定された固定爪60aと、固定爪60aに対して接近離隔可能に設けられた可動爪60bと、鉄筋BLの先端を挟持するために可動爪60bを固定爪60aへ向かって駆動する引出バイス開閉装置60cとを備え、切断後の鉄筋BLの先端を挟持して主バイス装置30から引き出して、切断後の所定寸法の鉄筋BLを、基台12に設けられた製品シュート52上に落下させる。落下させられた切断後の所定寸法の鉄筋BLは、製品シュート52により図示しない製品収容箱内に案内される。
【0023】
マーキング装置70は、たとえば噴射によるインクの塗布、レーザ光の照射による線刻、罫書き具により罫書き跡などにより、マーキング付与位置70aにおいて、鉄筋BLの切断位置から予め定められた位置にマーキング付与を行う。図4は、棒材切断機10によって切断される鉄筋BLの側面を示す図である。マーキング装置70は、マーキングヘッド72と、マーキングヘッド72を上昇位置および下降位置に位置させる昇降装置74とを備え、下降位置では、マーキングヘッド72を鉄筋BLの平行面FFに僅かな距離を隔てて対向させる。マーキングヘッド72をマーキングの色に応じ複数配置したり、マーキングヘッド72の位置を鉄筋BLの径に応じて変更する機構が設けられてもよい。マーキング装置70は、図5の模式図にも示すように、基台12上に設けられ、鉄筋BLの送り方向では主バイス装置30と引出バイス装置60との間において位置固定に設けられ、マーキング付与位置70aにおいてマーキング付与を行う。
【0024】
本実施例の鉄筋BLは、図4に示すように、鉄筋BLの中心線C3に平行且つ互いに平行に形成された一対の平行面FFと、連続する螺旋状に連なる凸条が平行面FFによって周方向の一部が削除されることで不連続な螺旋状とされた凸条CNとが、鉄筋BLの外周面に形成されたものである。マーキング装置70は、平行面FFにおいて、切断された鉄筋BLの先端から予め定められた所定距離L1のマーキング開始位置SPから鉄筋BLの先端から予め定められた所定距離L2のマーキング終了位置EPまでの長さMLでたとえば第1マーキングM1を付与する。
【0025】
電子制御装置80(図2を参照)は、棒材切断機10による切断作動およびマーキング作動を制御する。以下において、電子制御装置80の制御作動を、図5から図9の作動状態を示す図と、図10のフローチャートとを用いて説明する。である。図5から図9において、切断部10aは、棒材切断機10の丸鋸20による切断場所を示している。図10において、ステップS10(以下、ステップを省略する)では、搬送バイス装置40により鉄筋BLが挟持され、図5に示すように、鉄筋BLの先端部BLsが主バイス装置30に向かって送り込まれる(送込み工程)。
【0026】
次に、S20では、鉄筋BLの先端部BLsに予め設定された第1マーキング位置MP1がマーキング装置70によるマーキング付与位置70aに位置するように、搬送バイス装置40により鉄筋BLが送り込まれ、鉄筋BLのマーキング開始位置SPがマーキング装置70のマーキングヘッド72に対向する位置に位置決めされる。次いで、S30では、マーキング装置70により鉄筋BLの平行面FFにマーキング開始位置SPからマーキング終了位置EPまで長さMLの第1マーキングM1が形成されるようにインクが塗布される(第1マーキング工程)。図6はこの状態を示している。この状態では、鉄筋BLは、鉄筋BLの予め設定された長さ寸法Lを確保できる丸鋸20による切断位置CPには到達していない。
【0027】
次に、S40では、図7に示すように、鉄筋BLの予め設定された長さ寸法Lを確保できる鉄筋BLの切断位置CPが丸鋸20による切断部10aに到達するまで、搬送バイス装置40により鉄筋BLが切断位置まで送り込まれる(棒材切断位置位置決め工程)。
【0028】
次いで、S50では、引出バイス装置60により鉄筋BLの先端部BLsが挟持されるとともに、丸鋸切断装置14により鉄筋BLの切断位置CPを切断させる(切断工程)。図8はこの状態を示している。
【0029】
次に、S60では、切断された鉄筋BLの後端部BLeに予め設定された第2マーキング位置MP2がマーキング装置70に位置するように、引出バイス装置60により鉄筋BLを引き出させて送り込ませ鉄筋BLの第2マーキング位置MP2をマーキング装置70のマーキングヘッド72に対向する位置に位置決めさせる。次いで、S70では、その状態でマーキング装置70により鉄筋BLの平行面FFに第2マーキングM2が形成されるようにインクが塗布される(第2マーキング工程)。図9はこの状態を示している。
【0030】
その後、S80において、引出バイス装置60により第2マーキングが施された鉄筋BLが主バイス装置30およびマーキング装置70から引き出され、基台12に設けられた製品シュート52上に落下させられる(製品引出し工程)。
【0031】
本実施例の棒材切断機10によれば、円板状の丸鋸20を回転させつつ長手状の鉄筋(棒材)BLに切り込ませることにより、鉄筋BLを所定の長さ寸法Lに切断するに際して、丸鋸20が鉄筋BLに切り込まれる切断部10aの付近の鉄筋BLを挟持する位置固定の主バイス装置30と、鉄筋BLの切断部10aよりも反送り方向D2側を挟持し、鉄筋BLを切断部10aの側へ送り込む送り方向D1に駆動される搬送バイス装置40とを備えた棒材切断機10であって、切断部10aよりも送り方向D1側に位置し、鉄筋BLの先端部BLsを挟持して切断後の鉄筋BLを主バイス装置30から引き出す引出バイス装置60と、主バイス装置30と引出バイス装置60との間に位置固定に設けられたマーキング装置70と、搬送バイス装置40により、鉄筋BLの先端部BLsに予め設定された第1マーキング位置MP1をマーキング装置70によるマーキング付与位置70aに位置させて、鉄筋BLの第1マーキング位置MP1にマーキング装置70により第1マーキングM1を付与させ、次いで搬送バイス装置40により、鉄筋BLを所定の長さLとなるように定められた切断位置CPを切断部10aに位置させた後、引出バイス装置60に鉄筋BLの先端部BLsを挟持させるとともに、丸鋸20により鉄筋BLの切断位置CPを切断させ、切断された鉄筋BLを引出バイス装置60により引き出させる電子制御装置80とが、備えられている。
【0032】
これにより、切断部10aと切断位置CPが一致した時の鉄筋BLの先端面とマーキング装置70によるマーキング付与位置70aとの間の距離L3よりも、鉄筋BLの先端面と鉄筋BL上の第1マーキング位置MP1との間の距離L1が短い場合であっても、切断後の鉄筋BLに予め定められた第1マーキング位置MP1に第1マーキングM1を施しつつ鉄筋BLを切断するに際して、鉄筋BLの送りに無駄がなく、マーキング装置70およびマーキング用コンベアの増設を必要としないで、切断された鉄筋BLの一端部或いは両端部にマーキングを付与することができる。
【0033】
本実施例の棒材切断機10によれば、前記制御装置は、第1マーキングM1が先端部BLsに付与されて切断された鉄筋BLを引出バイス装置60により引き出させるに先立って、引出バイス装置60に、切断された鉄筋BLの後端部BLeに予め設定された第2マーキング位置MP2をマーキング装置70によるマーキング付与位置70aに位置させて、鉄筋BLの第2マーキング位置MP2にマーキング装置70により第2マーキングM2を付与させる。これにより、切断された鉄筋BLにおいて、2箇所の第1マーキング位置MP1および第2マーキング位置MP2に第1マーキングM1および第2マーキングM2を付す場合においても、鉄筋BLの送りに無駄がなく、マーキング装置およびマーキング用コンベアの増設を必要としないで、切断された鉄筋BLの両端部にマーキングを施すことができる。
【0034】
本実施例の棒材切断機10によれば、鉄筋BLには、外周面において鉄筋BLの中心線C3に平行に形成された平行面FFと、連続する螺旋状に連なる凸条が平行面FFによって周方向の一部が削除された不連続な螺旋状の凸条CNとが形成されており、マーキング装置70は、平行面FFにマーキング付与を行う。このように、鉄筋BLの平行面FFにマーキング付与が行なわれるので、第1マーキングM1および第2マーキングM2が明瞭であり、消え難い利点がある。
【0035】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0036】
たとえば、前述の実施例の棒材切断機10は、切断された鉄筋BLの両端部に2つの第1マーキングM1および第2マーキングM2を付すものであったが、2つの第1マーキングM1および第2マーキングM2のうちの第1マーキングM1を切断された鉄筋BLの先端部BLsに付すものであってもよい。この場合には、図9に示された第2マーキング工程が不要となる。
【0037】
また、前述の実施例において、主バイス装置30は、横バイス32および縦バイス34から構成されていたが、横バイス32或いは縦バイス34のみから構成されていてもよい。
【0038】
また、前述の実施例において、棒材として鉄筋BLが用いられていたが、丸棒などの棒鋼や、L字鋼、H型鋼などの異型断面材など様々な断面形状の棒材であってもよい。
【0039】
また、前述の実施例において、棒材切断機10は、丸鋸20を水平な第1軸線C1まわりに回動させるスイング式の丸鋸切断装置14を備えたものであったが、これに限らず、丸鋸切断装置14は、例えば、丸鋸20を水平方向に平行移動させる横スライド方式、又は丸鋸20を垂直方向に平行移動させる縦スライド方式のもの等であってもよい。
【0040】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
10:棒材切断機
10a:切断部
14:丸鋸切断装置
20:丸鋸
22:ナット
30:主バイス装置
40:搬送バイス装置
60:引出バイス装置
70:マーキング装置
70a:マーキング付与位置
BL:鉄筋(棒材)
BLs:先端部
BLe:後端部
C3:中心線
CP:切断位置
FF:平行面
SP:マーキング開始位置
EP:マーキング終了位置
ML:マーキング長さ
M1:第1マーキング
M2:第2マーキング
MP1:第1マーキング位置
MP2:第2マーキング位置
L:長さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10