(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】第1の排ガス浄化コンポーネントと第2の排ガス浄化コンポーネントとを有する内燃機関を作動させる方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/22 20060101AFI20240423BHJP
F01N 3/021 20060101ALI20240423BHJP
F01N 3/033 20060101ALI20240423BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20240423BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F01N3/22 301M
F01N3/021
F01N3/033 C
F01N3/035 A
F01N3/035 E
F01N3/24 E
F01N3/24 B
F01N3/22 321J
F01N3/22 321Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019185636
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】10 2018 218 051.2
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル,ファイ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドレ,ワーグナー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン,クノップ
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017201742(DE,A1)
【文献】特開2011-247176(JP,A)
【文献】特開2012-197705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0124995(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/22
F01N 3/021
F01N 3/033
F01N 3/035
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の排ガス浄化コンポーネント(31)と、前記第1の排ガス浄化コンポーネント(31)の下流側に第2の排ガス浄化コンポーネント(27)とが配置された排ガス設備(14)を有する内燃機関(10)を作動させる方法であって、前記第2の排ガス浄化コンポーネント(27)は少なくとも1つの排ガス成分のための蓄積器を有している、そのような方法において、前記第1の排ガス浄化コンポーネント(31)の出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の出力濃度が出力エミッションモデル(110)によって計算され、前記第2の排ガス浄化コンポーネント(27)の入力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度が計算された前記出力濃度に依存して決定され、こうして決定された少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度に依存して前記内燃機関(10)が作動
し、
前記内燃機関(10)は、前記第2の排ガス浄化コンポーネント(27)の蓄積器の充填レベルの制御のために、前記第1の排ガス浄化コンポーネント(31)の計算された出力濃度と同一になるように決定される前記第2の排ガス浄化コンポーネントの入力濃度に依存して作動することを特徴とする方法。
【請求項2】
第1の排ガス浄化コンポーネント(31)と、前記第1の排ガス浄化コンポーネント(31)の下流側に第2の排ガス浄化コンポーネント(27)とが配置された排ガス設備(14)を有する内燃機関(10)のための制御装置(16)であって、前記第2の排ガス浄化コンポーネント(27)は少なくとも1つの排ガス成分のための蓄積器を有している、そのような制御装置において、前記制御装置(16)は、前記第1の排ガス浄化コンポーネント(31)の出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の出力濃度を出力エミッションモデル(110)によって計算し、前記第2の排ガス浄化コンポーネント(27)の入力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度を計算された前記出力濃度に依存して決定し、少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度に依存して前記内燃機関(10)を作動させるためにセットアップされ
、かつ、前記制御装置(16)は、前記第2の排ガス浄化コンポーネント(27)の蓄積器の充填レベルの制御のために、前記第1の排ガス浄化コンポーネント(31)の計算された出力濃度と同一になるように決定される前記第2の排ガス浄化コンポーネントの入力濃度に依存して前記内燃機関(10)を作動させるためにセットアップされることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法の各ステップを実行するように請求項
2に記載の制御装置(16)に指図する命令を有しているコンピュータプログラム(16.2)。
【請求項4】
請求項
3の前記コンピュータプログラム製品(16.2)が機械可読の形式で格納されているコンピュータ可読媒体(16.1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項に記載されている方法に関し、および独立請求項8の前提項に記載されている制御装置に関する。さらに本発明は、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読の媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの対象物は特許文献1から公知である。この公知の方法は、第1の排ガス浄化コンポーネントと、第1の排ガス浄化コンポーネントの下流側に第2の排ガス浄化コンポーネントとが配置された排ガス設備を有する内燃機関を対象としている。第1の排ガス浄化コンポーネントと第2の排ガス浄化コンポーネントの間に、公知の対象物においては連通部が配置されていて、これを介して二次空気を排ガス設備に吹込み可能である。第2の排ガス浄化コンポーネントは、少なくとも1つの排ガス成分のための蓄積器を有している。
【0003】
内燃機関を制御するためにラムダプローブが利用され、これによって排ガス中の酸素濃度が検出される。空気過剰率ラムダは、内燃機関が作動する燃料/空気比率を表す目安である。このときワイドバンド・ラムダプローブとジャンプ・ラムダプローブが利用される。ワイドバンド・ラムダプローブによって、排ガスラムダを幅広いラムダ領域で連続的に制御することができる。その信号がラムダ値の幅広い範囲にわたって比較的低い勾配を有しているからである。プローブ特性曲線を線形化することで、制約されたラムダ範囲内でではあるが、さらに低コストなジャンプ・ラムダプローブによっても連続的なラムダ制御が可能である。ワイドバンド・ラムダプローブに比べて、ジャンプ・ラムダプローブはその飛躍的なプローブ特性曲線のゆえにラムダ=1周辺の狭い領域では明らかに高い精度を有する。化学量論的な燃料/空気比率を特徴づける空気過剰率ラムダ=1周辺のこの狭い範囲の外部では、ジャンプ・ラムダプローブの精度はリッチなラムダ(1以下)またはリーンなラムダ(1以上)において、通常、許容差や経年劣化の現象のゆえにワイドバンド・ラムダプローブよりも低くなる。
【0004】
したがって、通常、エンジン制御システムでは、リッチもしくはリーンなラムダ値が厳密に測定されるべきところでは、またはラムダ=1を中心とする領域での測定が制約された精度で足りるところでは、ワイドバンド・ラムダプローブが使用される。ジャンプ・ラムダプローブは、ラムダ=1を中心とする領域での排ガスラムダがいっそう高い精度で測定されるべきところで使用される。典型的な用途は、ワイドバンド・ラムダプローブについては触媒の前でのラムダ制御や、たとえば触媒を診断するときの酸素注入・排出のバランシングである。ジャンプ・ラムダプローブの典型的な用途は、触媒の後での正確なラムダ=1制御や、触媒を診断するときのリッチまたはリーンな排ガスの出現の認識である。
【0005】
今日の厳しいエミッション・診断要求事項(たとえばSULEV)のための燃料システムの典型的な排ガス設備は、ワイドバンド・ラムダプローブと、第1の排ガス浄化コンポーネントとしての第1の三元触媒と、ジャンプ・ラムダプローブと、第2の排ガス浄化コンポーネントとしての監視されない第2の三元触媒とで構成される。
【0006】
将来的にさらに厳しくなるエミッション・診断要求事項(たとえばChina 6)は、第2の触媒が同じく監視されるだけでなく、排ガス中の粒子数も制限される排ガス設備を必要とする。したがって、第2の三元触媒が粒子フィルタと組み合わされるか、または、四元触媒とも呼ばれるコーティングされた粒子フィルタによって置き換えられなければならない。以下において四元触媒と言うとき、それによって、三元触媒の直列の施工形態と、触媒コーティングされた粒子フィルタとがいずれもそのつど意味されるものとする。
【0007】
四元触媒の最善の動作のためには、少なくともこの触媒の前で排ガス中の酸素濃度をできる限り正確に知ることが必要である。三元触媒の場合にこの情報が必要なのは、いわゆる触媒ウィンドウで、すなわち化学量論的な動作点(ラムダ=1)を中心とする狭いラムダ領域で、触媒を作動させるためである。そのようにしてのみ、同時に高い転換率をHC、CO、およびNOXについて実現することができる。粒子フィルタの場合、フィルタの前の酸素濃度を知ることは、動作温度への迅速な到達のために、および、許容されない高いエミッションや粒子フィルタの損傷なしでの再生のために必要である。
【0008】
第2の触媒の前の排ガス中の酸素濃度は、通常、ジャンプ・ラムダプローブによって判定される。あるいは、第2の触媒の前でのワイドバンド・ラムダプローブの使用も考えられる。
【0009】
いずれのケースでも、これらのラムダプローブの取付位置での酸素濃度と、ラムダプローブの信号との間に一義的な関係があることが前提条件になる。そうでない場合、このような信号を基礎とする制御またはパイロット制御の精度が十分ではなく、許容されない高いエミッションや粒子フィルタ成分の損傷が四元触媒で起こり得るからである。
【0010】
三元触媒と四元触媒の間の排ガス組成に依存して、三元触媒と四元触媒の間に配置されるラムダプローブは、同じ排ガスラムダにもかかわらず異なる出力信号を有し得る。考えられる原因の例には次のようなものがある。
【0011】
三元触媒の後では、一定のリッチなラムダのとき、水素(H2)と一酸化炭素(CO)の間で時間的に変化する比率が生じる。その理由は、触媒を(恒常的に)平衡状態にすることができない水性ガスシフト反応にある。ラムダ=1またはこれよりもリーンなラムダから一定のリッチなラムダへの転換後、最初に触媒は、平衡状態にほぼ相当するH2量を供給する。しかし時間とともに触媒は、H2との比率で明らかに多すぎるCOを供給するようになる。H2とCOについて横感度が相違するため、三元触媒の後に配置されたラムダプローブは、プローブ位置でのラムダが一定であるにもかかわらず、時間的に強く変化する信号を示す。
【0012】
能動的な二次空気吹込みの場合、H2、CO、およびO2についてのラムダプローブの相違する横感度に加えて、プローブ中でのO2とH2とのプレ触媒作用が生じる。わずかな量しか存在しないO2がプローブ中で反応する可能性があるため、その割合は存在するO2の量に強く依存する。この場合にも排ガス組成に依存して、プローブ位置でのラムダが一定であるにもかかわらず、異なるプローブ信号が発生する。
【0013】
プローブ信号は、通常、異なる排ガス成分(たとえばCO、CO2、H2、H2O、HC、NOX)に対するプローブの相違する横感度によって影響を受け、排ガス組成は動作条件が相違していれば同じ排ガスラムダにもかかわらず相違し得るので、前述の前提条件は、ワイドバンド・ラムダプローブでもジャンプ・ラムダプローブでも通常は満たされない。したがってこのようなコンセプトは、第2の触媒を最善に作動させることができないという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】ドイツ特許出願公開第102017201742A1号明細書
【発明の概要】
【0015】
このような従来技術に対して、本発明はそれぞれ独立請求項の特徴部の構成要件によって区別される。方法態様の観点から、本発明は、第1の排ガス浄化コンポーネントの出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の出力濃度が出力エミッションモデルによって計算され、第2の排ガス浄化コンポーネントの入力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度が計算された出力濃度に依存して決定され、こうして決定された少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度に依存して内燃機関が作動することを特徴とする。
【0016】
これらの構成要件によって本発明は、排ガスの流動方向で見て第1の排ガス浄化コンポーネントの下流側に配置された第2の排ガス浄化コンポーネントの作用にとって最善である方式で、複数の排ガス浄化コンポーネントを有する排ガス設備を有する内燃機関の作動を可能にする。
【0017】
流動方向で見て前の(第1の)排ガス浄化コンポーネントの後の、たとえば酸素などの少なくとも1つの排ガス成分の濃度が計算モデルを用いてモデル化されて、流動方向で見て後の(第2の)排ガス浄化コンポーネントの前に配置されるラムダプローブの信号の代替として、またはこの信号に追加して、第2の排ガス浄化コンポーネントの作用を最適化するために利用される。
【0018】
潜在的に誤りを含んでいるラムダプローブもしくはその他の排ガスセンサの信号に代えて、またはこのような信号に加えて、モデル化された排ガス濃度を利用することは、特に、相応のラムダプローブまたはその他の排ガスセンサがまだ動作準備が整っていないときや故障しているときにも、第2の排ガス浄化コンポーネントの最善の動作を可能にする。このことはいっそう少ないエミッションをもたらし、その結果、いっそう厳しい法律の要求事項を、排ガス浄化コンポーネントのいっそう低いコストで(たとえば触媒における少ない貴金属で)満たすことができる。さらに、排ガス浄化コンポーネントの(たとえば過熱による)損傷のリスクが低減される。必要なロバスト性は、プラントモデルに取り入れられる測定量やモデル量の不確実性を補正することを可能にする、プラントモデルのアダプションによって実現される。
【0019】
1つの好ましい実施形態は、内燃機関が、第2の排ガス浄化コンポーネントの蓄積器の充填レベルの制御のために、第1の排ガス浄化コンポーネントの計算された出力濃度と同一になるように決定される第2の排ガス浄化コンポーネントの入力濃度に依存して作動することを特徴とする。
【0020】
充填レベルの制御によって、最善の有害物質変換を促進する(平均)レベルに充填レベルを保つことができる。排ガス中の酸素欠乏が生じているとき、第2の排ガス浄化コンポーネントが排ガスに酸素を放出することができる。排ガス中で酸素過剰が生じているとき、第2の排ガス浄化コンポーネントが排ガスから酸素を取り込むことができる。
【0021】
第2の排ガス浄化コンポーネントの入力エミッションモデルによって決定される入力濃度に依存して内燃機関が作動するのも好ましい。この決定は、第1の排ガス浄化コンポーネント(31)と第2の排ガス浄化コンポーネントの間に二次空気を排ガス設備へ吹込み可能である連通部が配置された排ガス設備を有する内燃機関では、第1の排ガス浄化コンポーネントの出力エミッションモデルによって計算される、少なくとも1つの排ガス成分および導入された二次空気量の出力濃度に依存して行われる。
【0022】
両方の排ガス浄化コンポーネントの間で吹き込まれる二次空気量が考慮されることで、第2の排ガス浄化コンポーネントをほぼ第1の排ガス浄化コンポーネントに関わりなく化学的に加熱および/または再生することができる。
【0023】
さらに内燃機関は、第1の排ガス浄化コンポーネントの出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の濃度について出力エミッションモデルが空気過剰率ラムダ<0.92、特にたとえば空気過剰率ラムダ=0.9に相当する値を計算し、第2の排ガス浄化コンポーネントの入力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の濃度について入力エミッションモデルが1に等しい空気過剰率ラムダに相当する値を計算する程度の量の二次空気が吹き込まれるように作動するのが好ましい。その場合に必然的にリッチとなる燃焼室ラムダとの関連で、触媒作用のある第2の排ガス浄化コンポーネントで発熱反応し、それに伴って第2の排ガス浄化コンポーネントを第1の排ガス浄化コンポーネントに関わりなく加熱する、反応能力のある排ガス雰囲気がもたらされる。
【0024】
別の好ましい実施形態は、第1の排ガス浄化コンポーネントの出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の濃度について出力エミッションモデルが空気過剰率ラムダ0.98<ラムダ1以下に相当する値を計算し、第2の排ガス浄化コンポーネントの入力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の濃度について入力エミッションモデルが1.08よりも大きいラムダ値、特にたとえばラムダ=1.1に相当する値を計算する程度の量の二次空気が吹き込まれるように内燃機関が作動することを特徴とする。
【0025】
この実施形態により、好ましくはすでに加熱されている第2の排ガス浄化コンポーネントが酸素を提供し、この酸素によって、たとえば堆積したすす粒子が燃焼されることにより、第2の排ガス浄化コンポーネントの粒子フィルタコンポーネントを再生することができる。
【0026】
全体として、モデル化された濃度を用いるこれらの実施形態は、第2の排ガス浄化コンポーネントの動作温度への迅速な加熱と、この排ガス浄化コンポーネントの再生の制御とを可能にする。
【0027】
第1の排ガス浄化コンポーネントの出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の濃度について出力エミッションモデルにより計算された濃度が、第2の排ガス浄化コンポーネントのすす負荷のモデル化のために利用されるのも好ましい。それにより、必要に即した再生プロセスの始動が促進される。
【0028】
制御装置の実施形態の観点から、制御装置は、本方法の好ましい実施形態のうちの1つに基づく方法の進行を制御するためにセットアップされるのが好ましい。
【0029】
その他の利点は、発明の詳細な説明と添付の図面から明らかとなる。
【0030】
当然ながら、上に挙げた構成要件および以下にこれから説明する構成要件は、それぞれ記載されている組み合わせだけでなく、それ以外の組み合わせでも、あるいは単独でも、本発明の枠組みから逸脱することなく適用可能である。
【0031】
本発明の実施例が図面に示されており、以下の記述において詳しく説明する。ここでは異なる図面の同じ符号は、同じ部材または少なくともその機能の点からして同等の部材を表す。図面はそれぞれ模式的な形態で次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の技術的な周辺分野としての排ガスシステムを有する内燃機関である。
【
図3】本発明による方法の実施例の機能ブロック図である。
【
図4】第2の排ガス浄化コンポーネントの充填レベルを判定するための実施例としてのフローチャートである。
【
図5】第2の排ガス浄化コンポーネントの加熱をもたらす動作形態の実施例としてのフローチャートである。
【
図6】第2の排ガス浄化コンポーネントの再生をもたらす動作形態の実施例としてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、第1の排ガス浄化コンポーネントとしての三元触媒を有する内燃機関、四元触媒、および排ガス成分としての酸素を例にして本発明を説明する。しかしながら本発明は、これ以外の排ガス浄化コンポーネント(触媒とフィルタ)や、窒素酸化物および炭化水素などのこれ以外の排ガス成分にも内容に即して転用可能である。
【0034】
具体的には、
図1は、空気供給システム12と、排ガス設備14と、制御装置16とを有する内燃機関10を示している。空気供給システム12には、エアマス測定器18と、エアマス測定器18の下流側に配置されたスロットルバルブ19がある。空気供給システム12を通じて内燃機関10に流れ込む空気は、噴射弁22を通じて燃焼室20へ直接噴射される燃料と、または燃焼室の取込弁の前で噴射される燃料と、内燃機関10の燃焼室20で混合される。結果として生じる燃焼室充填物が点火装置24によって、たとえば点火プラグによって点火されて燃焼される。回転角センサ25が内燃機関10のシャフトの回転角を検出し、それにより、シャフトの事前設定された角度位置での点火の始動を制御装置16に可能にする。運転者希望検出器38が、走行ペダル位置およびそれに伴って運転者のトルク要求を検出して、トルク要求を反映する信号を制御装置16に送る。
【0035】
制御装置16は、例としてのみ前述した信号とは別の信号も含まれる入力信号から、特に、内燃機関10が要求されるトルクを生成することにつながる、内燃機関10のアクチュエータに対する制御信号を形成する。燃焼の結果として生じる排ガスは、排ガス設備14を通して運び出される。制御装置16はコンピュータ可読の媒体16.1、たとえばメモリチップを有していて、これに本発明に基づくコンピュータプログラム製品16.2が機械可読の形態で格納されている。
【0036】
排ガス設備14は、第1の排ガス浄化コンポーネント31としての三元触媒30と、排ガス流で見て三元触媒30の下流側に配置された第2の排ガス浄化コンポーネント27としての粒子フィルタまたは四元触媒26とを有している。四元触媒26は、多孔性のフィルタ材料からなる内部のハニカム構造を有していて、これが排ガス28によって貫流されて、排ガス28に含まれる粒子が留められる。
【0037】
四元触媒26は、たとえばフィルタ材料が触媒でコーティングされ、それにより粒子フィルタ作用に追加して三元触媒の作用もさらに有する粒子フィルタを基礎とする。三元触媒は周知のとおり3つの反応経路で窒素酸化物、炭化水素、および一酸化炭素の3つの排ガス成分を変換する。粒子フィルタ作用は第4の経路をなしていて、それが四元触媒26という呼び名の根拠となっている。第2の排ガス浄化コンポーネント31は、第2の三元触媒と、第2の三元触媒の下流側に配置された(触媒でコーティングされていない)粒子フィルタとの組み合わせとして具体化されていてもよい。
【0038】
粒子による四元触媒26の負荷は排ガス28にとっての流動抵抗を高め、それに伴って、四元触媒26で生じる圧力差を高める。この圧力差がたとえば圧力差センサ29で測定されて、その出力信号が制御装置16に送られ、または、制御装置16に存在する情報(測定値および/または調節量)から、粒子による負荷をモデル化した計算モデルによって計算される。制御装置16で判明している排ガス質量流量と圧力差から、計算または特性曲線処理によって流動抵抗が求められる。三元触媒30の上流側に、排ガスに暴露される前側のラムダプローブ32が、三元触媒30のすぐ手前に配置されている。
【0039】
三元触媒30と四元触媒26の間に、同じく排ガスに暴露される別のラムダプローブ34が配置されている。
【0040】
四元触媒26の下流側に、同じく排ガスに暴露される後側のラムダプローブ35が、四元触媒26のすぐ後に配置されている。前側のラムダプローブ32は、幅広い空気過剰率範囲にわたって空気過剰率ラムダの測定を可能にするワイドバンド・ラムダプローブであるのが好ましい。別のラムダプローブ34および後側のラムダプローブ35は、空気過剰率ラムダの値1を特別に正確に測定することができる、いわゆるジャンプ・ラムダプローブであるのが好ましい。このラムダプローブの信号は、この値で飛躍的に変化するからである。ボッシュ「自動車ハンドブック」第23版、524頁を参照。
【0041】
制御装置16により制御される二次空気を供給する装置50が、たとえば二次空気ポンプと二次空気弁との組み合わせが、三元触媒30と四元触媒26の間に配置された連通部52を介して空気を排ガス設備14へ吹き込み、それにより、四元触媒26をその動作準備完了温度(たとえば触媒コーティングのライトオフ温度)まで迅速に加熱するために、および四元触媒の粒子フィルタ成分の効率的な再生のために十分な空気酸素を提供し、そのために内燃機関10を三元触媒30での有害物質変換にとって不都合な過剰空気で作動させなくてもすむようにセットアップ、配置されている。
【0042】
制御装置16は、エアマス測定器18、回転角センサ25、圧力差センサ29、前側のラムダプローブ32、別のラムダプローブ34、後側のラムダプローブ35、および任意選択で存在する、四元触媒26の温度を検出する温度センサ36の信号を処理し、それをもとにスロットルバルブ18の角度位置を調整するため、点火装置20による点火を始動させるため、噴射弁22によって燃料を噴射するため、および二次空気を供給する装置50を制御するための制御信号を形成する。その代替または補足として制御装置16は、上述したアクチュエータまたは他のアクチュエータもしくは別のアクチュエータを制御するための運転者希望検出器38の信号など、他のセンサまたは別のセンサの信号も処理する。
【0043】
図2は、本発明の実施例のプラントモデル100およびその他の機能の機能ブロック図を示している。ここでプラントモデルとは、プラントモデルにより模倣される実際の対象物に作用する入力量を組み合わせて出力量にし、計算された出力量が実際の対象物の出力量に正確に呼応するようにするアルゴリズムを意味する。
【0044】
実際の対象物は、着目しているケースでは、入力量と出力量の間に位置するすべての物理的なプラントである。プラントモデル100は、三元触媒30についての触媒モデル102と出力ラムダモデル106とで成り立っている。触媒モデル102は、入力エミッションモデル108と充填レベル・出力エミッションモデル110とを有している。これに加えて触媒モデル102は、三元触媒30の平均の充填レベルバーθmodを計算するためのアルゴリズム112を有している。これらのモデルは、制御装置16で実行されて、計算モデルにより模倣される実際の対象物に作用する入力量を組み合わせて出力量にし、計算された出力量が実際の対象物の出力量にできる限り正確に呼応するようにするアルゴリズムである。
【0045】
入力エミッションモデル108は、三元触媒30の前に配置された前側の排ガスプローブ32の信号λin,measを入力量として、後続する充填レベルモデル110のために必要な入力量win,modに変換するようにセットアップされている。たとえば、入力エミッションモデル108を用いた三元触媒30の前におけるラムダが、O2,CO,H2およびHCの濃度に換算されるのが好ましい。
【0046】
入力エミッションモデル108によって計算される量win,mod、および場合により追加の入力量(たとえば排ガス温度や触媒温度、排ガス質量流量、および三元触媒30の現在最大の酸素蓄積能力)により、充填レベル・出力エミッションモデル110で、三元触媒30の充填レベルθmodと、三元触媒30の出力部における個々の排ガス成分の濃度wout,modとがモデル化される。このようなモデル化は、出力エミッションモデル110による、第1の排ガス浄化コンポーネント31の出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の出力濃度の計算の一例である。
【0047】
第2の排ガス浄化コンポーネント27について入力エミッションモデル210で、上述した出力濃度から、および二次空気を供給する装置50の影響を反映する信号から、第2の排ガス浄化コンポーネント27の入力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度が決定される。それに伴ってこの入力濃度は、特に、第1の排ガス浄化コンポーネント31の出力部で生じる少なくとも1つの排ガス成分の計算された出力濃度に依存して決定される。二次空気を供給する装置50は、制御装置16の最終段51によって操作される。
【0048】
二次空気供給がオフになっているとき、第2の排ガス浄化コンポーネントの入力濃度は、第1の排ガス浄化コンポーネントの計算された出力濃度と同一である。
【0049】
内燃機関10は、特に、こうして決定される少なくとも1つの排ガス成分の入力濃度に依存して作動する。少なくとも1つの排ガス成分は、たとえば酸素である。入力エミッションモデル210は、これにより計算された、第2の排ガス浄化コンポーネントの入力部で生じる入力濃度の値を換算ユニット212に送り、これをもとに換算ユニットがたとえばラムダ実際値を生成する。二次空気供給の影響を反映する信号は、二次空気を供給する装置50の制御信号であってよい。
【0050】
出力ラムダモデル106のアルゴリズムは、触媒モデル102により計算される、触媒30の出力部における個々の排ガス成分の濃度wout,modを、プラントモデル100のアダプションのために、三元触媒30と四元触媒26の間に配置された別のラムダプローブ34の信号λout,measと比較することができる信号λout,modへと変換する。ラムダ値すなわち酸素濃度がモデル化されるのが好ましい。
【0051】
それに伴ってプラントモデル100は、一方では、確実に触媒ウィンドウの内部にある目標充填レベルに合わせて制御される、三元触媒30の少なくとも1つの平均の充填レベルバーθmodのモデル化のための役目を果たす。他方ではプラントモデル100は、三元触媒30の後に配置された別のラムダプローブ34のモデル化された信号λout,modを提供する。このモデル化された別のラムダプローブ34の信号λout,modがプラントモデル100のアダプションのためにどのように好ましく利用されるかは、さらに後で詳しく説明する。
【0052】
図3は、本発明による方法の一実施例の機能ブロック図を、この機能ブロックに作用する、または機能ブロックにより影響を受ける装置要素とともに示している。
【0053】
具体的には
図3は、出力ラムダモデル106によりモデル化される別の排ガスプローブ34の信号λ
out,modが、別の排ガスプローブ34の実際の出力信号λ
out,measとどのように照合されるかを示している。そのために、両方の信号λ
out,modおよびλ
out,measがアダプションブロック114に供給される。アダプションブロック114は、両方の信号λ
out,modおよびλ
out,measを相互に比較する。たとえば三元触媒30の後に配置されたジャンプ・ラムダプローブ34は、三元触媒30がいつ酸素で完全に充填されたか、または完全に酸素がなくなったかを一義的に表示する。このことは、リーン段階またはリッチ段階の後に、モデル化された酸素充填レベルを実際の酸素充填レベルと一致させて、またはモデル化された出力ラムダλ
out,modを三元触媒30の後で測定されるラムダλ
out,measと一致させて、誤差がある場合にプラントモデル100をアダプトするために活用することができる。このアダプションは、たとえばアダプションブロック114が、破線で示されているアダプション経路116を通じてプラントモデル100のアルゴリズムのパラメータを連続的に変更し、三元触媒30から流出する排ガスについて、モデル化されたラムダ値λ
out,modがそこで測定されるラムダ値λ
out,measに相当するようになるまでこれを行うことによって行われる。
【0054】
それにより、プラントモジュール100に取り込まれる測定量またはモデル量の不正確性を補正することができる。モデル化された値λout,modが測定されたラムダ値λout,measに呼応しているという状況から、プラントモデル100または第1の触媒モデル102によりモデル化された充填レベルバーθmodが、オンボード手段によって測定可能でない三元触媒30の充填レベルに呼応していると推定することができる。そしてさらに、第1の触媒モデル102のアルゴリズムから数学的な変形によって得られる、第1の触媒モデル102に対して反転した第2の触媒モデル104も、モデル化されたプラントの挙動を正しく記述していると推定することができる。
【0055】
このことは本発明では、反転した第2の触媒モデル104によってベース・ラムダ目標値BLSWを計算するために利用される。そのために、反転した第2の触媒モデル104に、任意選択のフィルタリング120によりフィルタリングされた充填レベル目標値バーθset,fltが入力量として供給される。フィルタリング120は、制御プラントが全体として追従することができる、反転した第2の触媒モデル104の入力量の変化だけを許容する目的のために行われる。このときまだフィルタリングされていない目標値バーθsetが、制御装置16のメモリ118から読み出される。そのためにメモリ118は、内燃機関10の最新の動作特性量でアドレシングされるのが好ましい。この動作特性量は、一例であって絶対にではないが、回転数センサ25で検出される回転数や、エアマス測定器18で検出される内燃機関10の負荷である。フィルタリングされた充填レベル目標値バーθset,fltが、反転した第2の触媒モデル104により、ベース・ラムダ目標値BLSWとなるように処理される。
【0056】
入力エミッションモデル210では、触媒モデル102の出力エミッションモデル106の出力信号に依存して、および場合により二次空気の供給が反映される信号に依存して、四元触媒26について入力エミッション濃度が決定される。二次空気の供給が反映される信号は、たとえば二次空気を供給する装置50が制御される制御信号である。こうして決定された入力エミッションから、ブロック212で四元触媒26について入力ラムダ値が決定される。ブロック214で、酸素欠乏と酸素過剰を分ける値1に対する入力ラムダ値の誤差が決定されて、排ガス質量流量と乗算される。排ガス質量流量は、たとえば回転数センサ25で検出される回転数と、エアマス測定器18で検出される内燃機関10の負荷から求められる。その値はいずれの場合にも制御装置16に存在する。乗算の結果は酸素欠乏または酸素過剰の質量流量であり、これが積分器216で充填レベル実際値となるように積分される。
【0057】
1つの好ましい実施形態では、このとき四元触媒についても
図2に準ずる触媒モデルを適用することができる。
【0058】
後側のラムダプローブの信号により、四元触媒26の計算された充填レベル実際値を特定の状況で、たとえば惰性走行段階の後に酸素蓄積器が完全に充填されたときに、四元触媒26の実際の充填レベルと照合することができる。
【0059】
フィルタリングされた充填レベル目標値バーθset,fltが反転された第2の触媒モデル104によってベース・ラムダ目標値BLSWとなるように処理されるのと並行して、演算部122で、プラントモデル100または第1の触媒モデル102によりモデル化された充填レベルバーθmodとフィルタリングされた充填レベル目標値バーθset,fltとの誤差としての充填レベル制御誤差FSRAが形成される。この充填レベル制御誤差FSRAが充填レベル制御アルゴリズム124に供給されて、そこからこれがラムダ目標値修正値LSKWを形成する。このラムダ目標値修正値LSKWが演算部126で、反転したプラントモデル104により計算されたベース・ラムダ目標値BLSWに加算される。
【0060】
好ましい実施形態では、こうして形成された合計が、従来式のラムダ制御の目標値λin,setとして利用される。このラムダ目標値λin,setから、第1の排ガスプローブ32により提供されるラムダ実際値λin,measが演算部128で減算される。こうして形成された制御誤差RAが、通常の制御アルゴリズム130によって調節量SGへと変換され、これが演算部132でたとえば内燃機関10の動作パラメータに依存して事前設定された噴射パルス幅tinjのベース値BWと乗算により組み合わされる。ベース値BWは制御装置16のメモリ134に保存されている。動作パラメータはここでも好ましくは、ただし絶対にではないが、内燃機関10の負荷と回転数である。積の導き出される噴射パルス幅tinjによって、噴射弁22を介して燃料が内燃機関10の燃焼室20に噴射される。
【0061】
このようにして従来式のラムダ制御に、三元触媒30の酸素充填レベルの制御が重ね合わされる。適切な目標値設定により、このような構造を用いて四元触媒の充填レベルも制御することができる。このことは、
図4を参照しながら後でまた説明する。このときプラントモデル100を用いて、または第1の触媒モデル102を用いてモデル化される平均の酸素充填レベルバーθ
modは、たとえば、リーンおよびリッチが突発する確率を最低限に抑え、そのようにして最低限のエミッションをもたらす目標値バーθ
set,fltに合わせて制御される。このときベース・ラムダ目標値BLSWは反転された第2のプラントモデル104によって形成されるので、モデル化された平均の充填レベルバーθ
modが予備フィルタリングされた目標充填レベルバーθ
set,fltと同一であるとき、充填レベル制御の制御誤差はゼロに等しくなる。充填レベル制御アルゴリズム124が介入をするのは、それが成立していない場合に限られる。ある意味で充填レベル制御のパイロット制御として作用するベース・ラムダ目標値の形成は、第1の触媒モデル102の反転された第2の触媒モデル104として具体化されるので、このパイロット制御は、三元触媒30の後に配置された第2の排ガスプローブ34の信号λ
in,measをベースとする第1の触媒モデル102のアダプションとの類推でアダプトすることができる。このことは
図3では、反転されたプラントモデル104へと通じるアダプション経路116の分路によって図示されている。
【0062】
排ガスシステム14、排ガスプローブ32,34,35、エアマス測定器18、回転角センサ25、および噴射弁22を例外として、
図3に示すすべての部材が本発明による制御装置16の構成要素である。このとき蓄積器118,134を例外として、
図3のその他すべての部材は、制御装置16に格納されてその内部で進行するエンジン制御プログラム16.1の一部である。
【0063】
部材22,32,128,130および132が第1の制御回路を形成し、その中で、第1の排ガスプローブ(32)の信号λin,measがラムダ実際値として処理されるラムダ制御が行われる。第1の制御回路のラムダ目標値λin,setは、部材22,32,100,210,212,122,124,126,128,132を有する第2の制御回路で形成される。
【0064】
次に
図4を参照しながら、四元触媒の酸素蓄積器についての充填レベル制御の実施例を説明する。
図4は、排ガス成分の例としての酸素による四元触媒の充填レベルを判定するための実施例を示している。
【0065】
ブロック400は、所望のトルクが生じるようにたとえばスロットルバルブ19、点火装置20、および噴射弁22が制御される、内燃機関10を制御するためのメインプログラムを表している。
四元触媒26の充填レベルは直接には測定可能でないため、
図1の制御装置16で計算されるべき計算モデル16.1を用いてモデル化される。計算モデル16.1は、制御装置16で実行されるサブプログラムである。
【0066】
触媒の充填レベルを測定することはできないので、本発明は、三元触媒30と四元触媒26における充填レベル-好ましくは酸素充填レベル-を、計算モデル16.1を用いてモデル化することを意図する。計算モデル16.1は、制御装置16で実行されるサブプログラムである。
【0067】
ステップ402で、四元触媒26の入力部における酸素過剰と酸素欠乏の最新の質量流量が決定される。このような過剰または欠乏は、化学量論的な排ガス組成のときに形成される酸素濃度と、四元触媒の入力部について入力エミッションモデル210により決定される酸素濃度との差異として求められる。その限りにおいてステップ402は、
図3のブロック214の機能に相当する。
【0068】
ステップ404でこの差異が積分される。積分の結果が酸素充填レベルである。その限りにおいてステップ404は、
図3のブロック216の機能に相当する。ステップ406で、四元触媒26の下流側に配置された第3のラムダプローブ35が、完全に充填された、または完全に空になった酸素蓄積器を表示しているか否か照会される。完全に充填された酸素蓄積器が生じるのは、たとえば燃料供給がオフになっている比較的長い惰性走行段階の後である。このようなケースでは、積分の結果が定義された最大値にセットされてから、プログラムが一時的にメインプログラムへ戻るように分岐することによって、ステップ408での積分が初期化される。このようにして、第3のラムダプローブ35の信号が確実で正確である状況のときにモデル化が較正される。それに対して、ラムダプローブの信号がたとえば上に挙げた横感度のゆえに損なわれている別の状況では、酸素濃度についての信頼できる値がモデル化によって得られる。第3のラムダプローブ35がステップ406で定義された充填状態(完全に一杯または完全に空)を表示していないとき、プログラムは初期化をせずにメインプログラムへと戻る。
【0069】
充填レベル制御のために、メインプログラムではたとえば充填レベル制御目標値FSRAが変更される。四元触媒での充填レベルを上昇させるために、まず、三元触媒がいわば暫定的に(酸素で)オーバーフローされるように目標値が引き上げられる。そして、四元触媒の充填レベルがその目標値に達すると、三元触媒で所望の充填が調整される程度まで、充填レベル制御目標値FSRAが引き下げられる。引き続き、充填レベルが理想的なケースではそれ以上変化しないニュートラルな値に合わせて充填レベル制御目標値が調整される。
【0070】
それに伴って四元触媒26の充填レベルの制御は、好ましくは三元触媒30の充填レベルの制御に準じてモデルベースで行われるが、ただし、四元触媒の入力濃度は四元触媒の前のラムダプローブの信号から入力エミッションモデルを用いて取得されるのではなく、三元触媒30のモデル化された出力エミッションに直接的に呼応するという相違がある。両方の触媒の間に配置されたラムダプローブ34の(たとえば水素に対する)横感度や動作条件(たとえばプローブ温度)への依存性が、四元触媒の充填レベル制御の精度に対して、またはプローブ信号へのこのような影響の修正に対して及ぼすマイナスの影響が、それによって回避される。充填プロセスと放出プロセスを現実的に反映できるようにするために、触媒30,26が複数の(軸方向の)ゾーンに下位区分され、これらの各々のゾーンについての反応動力学を利用して、個々の排ガス成分の濃度が判定される。
【0071】
図5は、内燃機関10および二次空気を供給する装置50の、四元触媒26の加熱につながる動作形態の実施例としてのフローチャートを示している。そのためにメインプログラム400からステップ410へと分岐がなされ、そこで、四元触媒26の出力部で生じている酸素の濃度について出力エミッションモデル110が空気過剰率ラムダ<0.92に相当する値を計算するように、内燃機関10が作動する。ステップ412で、四元触媒の入力部で生じている酸素の濃度について入力エミッションモデル210が1に等しい空気過剰率ラムダに相当する値を計算するように、二次空気を供給する装置50が制御される。
【0072】
図6は、内燃機関10および二次空気を供給する装置50の、四元触媒の再生につながる動作形態の実施例としてのフローチャートを示している。そのためにメインプログラム400からステップ414へと分岐がなされ、そこで、四元触媒26の出力部で生じている酸素の濃度について出力エミッションモデル110が空気過剰率ラムダ0.98<ラムダ1以下に相当する値を計算するように、内燃機関10が作動する。ステップ416で、四元触媒26の入力部で生じている酸素の濃度について入力エミッションモデル210が1.08よりも大きい空気過剰率ラムダに相当する値を計算するように、二次空気を供給する装置50が制御される。このような酸素過剰によって、四元触媒26で蓄積されたすすが高い温度で燃焼される。この高い温度は、たとえば
図5との関連で説明したように、動作による先行する加熱によって実現される。
【0073】
図4~
図6の対象物は、第1の排ガス浄化コンポーネント31の出力エミッションモデルにより計算される少なくとも1つの排ガス成分の出力濃度と導入される二次空気量とに依存して第2の排ガス浄化コンポーネント27の入力エミッションモデルにより決定される入力濃度に依存して内燃機関が作動する方法の実施例である。
【0074】
それに伴い、四元触媒26の前でのその加熱および再生のためのラムダの制御または調節は、三元触媒30のモデル化された出力濃度を利用したうえで行われる。この場合、付加的に、導入される二次空気が考慮される。そのために、三元触媒30の出力濃度と導入される二次空気とが四元触媒26についての入力エミッションへと変換される入力エミッションモデルが意図される。三元触媒30のモデル化された出力濃度は、これに加えて、四元触媒26のすす負荷の改善されたモデル化のために利用することができる。それにより、四元触媒26のいっそう的確な再生が可能である。(たとえば水素に対する)横感度、プローブでの水素と酸素のプレ触媒作用、および四元触媒26の前でのプローブの動作条件(たとえばプローブ温度)への依存性などが四元触媒26の動作に対して、またはこれらの影響の修正に対して及ぼすマイナスの影響が、それによって回避される。
【符号の説明】
【0075】
10 内燃機関
14 排ガス設備
16 制御装置
16.1 コンピュータ可読の媒体
16.2 コンピュータプログラム製品
27 第2の排ガス浄化コンポーネント
31 第1の排ガス浄化コンポーネント
52 連通部
110 出力エミッションモデル
210 入力エミッションモデル