IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホーチキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-警報システム 図1
  • 特許-警報システム 図2
  • 特許-警報システム 図3
  • 特許-警報システム 図4
  • 特許-警報システム 図5
  • 特許-警報システム 図6
  • 特許-警報システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】警報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20240423BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240423BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G08B25/00 510K
G08B17/00 C
G08B27/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019199553
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021072014
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-032149(JP,A)
【文献】特開2015-133070(JP,A)
【文献】特開昭63-041997(JP,A)
【文献】特開平08-273075(JP,A)
【文献】特開2011-197994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同住宅の住戸毎に設置された複数の警報器により、前記住戸毎に連動グループを形成して異常を監視する警報システムであって
前記住戸毎に設けられ、前記住戸内の前記警報器から異常検出信号を受信したときに、住戸外に異常発生住戸を示す異常通報信号を送信する戸外通報装置と、
前記戸外通報装置からの前記異常通報信号を受信したときに、前記異常発生住戸を報知すると共に、予め設定された所定の外部宛先に前記異常通報信号を送信する受信器と、
を備え、
前記戸外通報装置は、前記警報器から前記異常検出信号を受信して前記異常通報信号を送信した後に、前記警報器から警報停止信号を受信したときに前記受信器に警報停止通報信号を送信し、
前記受信器は、前記戸外通報装置から前記警報停止通報信号を受信したときに前記外部宛先に対する前記異常通報信号の送信を保留し、前記戸外通報装置から前記異常通報信号を再度受信したときに前記保留を解除して前記異常通報信号を前記外部宛先に送信することを特徴とする警報システム。
【請求項2】
共同住宅の住戸毎に設置された複数の警報器により、前記住戸毎に連動グループを形成して異常を監視する警報システムであって
前記住戸毎に設けられ、前記住戸内の前記警報器から異常検出信号を受信したときに、火災移報信号を信号線により出力する移報装置と、
前記移報装置に前記信号線により接続されて前記住戸毎に設けられ、前記移報装置から前記火災移報信号を受信したときに、住戸外に異常発生住戸を示す異常通報信号を無線により送信する戸外通報装置と、
前記戸外通報装置からの前記異常通報信号を受信したときに、前記異常発生住戸を報知する受信器と、
を備え、
前記各住戸に設けられた前記連動グループを形成する前記複数の警報器は、他の住戸の連動グループとは相互に異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送受信し
前記各住戸に設けられた前記戸外通報装置は前記各住戸の連動グループとは異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送信することを特徴とする警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の各住戸に設置され、連動グループを形成して火災等の異常を監視して警報する警報器を戸外から集中監視する警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等における火災を検知して警報する火災警報器が普及している。このような火災警報器にあっては、電池電源で動作し、火災警報器内に火災を検出するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備え、センサ部の検出信号に基づき火災を検知すると警報部から火災警報音を出力するようにしており、所謂自動火災報知設備のように受信機等を必要とせず火災警報器単体で火災監視と警報報知ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0003】
また、複数の火災警報器間で相互に無線通信を行うことによって、任意の火災警報器で火災警報音が出力されると、他の火災警報器でも連動して火災警報音を出力させる連動型の警報システムも実用化され、普及している。
【0004】
また、床面積が500平米未満の共同住宅においては自動火災報知設備の設置義務がなく、住宅用の火災警報器が設置されており、例えば、住戸内の各部屋に無線連動型の火災警報器を設置して連動させることは一般に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-053751号公報
【文献】特開2011-059997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、共同住宅の住戸の各部屋に無線連動型の火災警報器を設置して連動させた場合、調理等の煙での発報により別住戸の火災警報器を連動させることは望ましくない等の住戸の独立性の問題や、同一の連動グループを構成する火災警報器の最大数の制限などから、住戸間の火災警報器は連動しないようにしている。
【0007】
例えば、複数の住戸の火災警報器を連動させる場合には、各住戸の居住者の同意を得る必要があり、連動を望まない住戸については、他の住戸と連動しないようにする特殊な設定が必要となり、運用管理が煩雑になり、また、連動グループを構成する火災警報器の最大数に制限があるため、連動することができる住戸の数が制約される問題があることから、住戸間の火災警報器は連動しないようにしている。
【0008】
しかしながら、住戸間の火災警報器を連動させないようした場合、共同住宅の管理者や所有者は、火災が発生したときに速やかに事態を把握することができず、特に、不在中に住戸で火災が発生したときには、火災の発見に手間取り、迅速な対処ができなくなる可能性がある。
【0009】
本発明は、住戸の独立性の問題や連動グループを形成する火災警報器の最大数等の制限を受けることなく、共同住宅の各住戸に設置された連動グループに対し住戸外から集中監視して共同住宅の全体的な火災等の異常監視を可能とする警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(警報システム)
本発明は、共同住宅の住戸毎に設置した複数の警報器により、住戸毎に連動グループを形成して異常を監視する警報システムに於いて、
住戸毎に設けられ、住戸内の警報器から異常検出信号を受信して住戸外に異常発生住戸を示す異常通報信号を送信する戸外通報装置と、
戸外通報装置からの異常通報信号を受信して異常発生住戸を報知する受信器と、
が設けられたことを特徴とする。
【0011】
(受信機操作による異なる住戸の戸外通報装置の連動)
受信器は、戸外通報装置から異常通報信号を受信したときに、所定の操作により、他の住戸の戸外通報装置に異常通報信号を送信して異常警報を出力させる。
【0012】
(異なる住戸の異常警報器の連動)
戸外通報装置は、受信器から他の住戸の異常発生を示す異常通報信号を受信したとき、自己の住戸内に設置した警報器に異常通報信号を送信して他の住戸の異常発生を示す警報を出力させる。
【0013】
(外部自動通報)
受信器は、戸外通報装置から戸外通報信号を受信したときに、予め設定された所定の外部宛先に対し異常通報信号を送信する。
【0014】
(警報停止)
戸外通報装置は、警報器から異常検出信号を受信して異常通報信号を送信した後に警報器から警報停止信号を受信したときに受信器に警報停止通報信号を送信し、
受信器は、戸外通報装置から警報停止通報信号を受信したときに外部宛先に対する異常通報信号の送信を保留し、戸外通報装置から異常通報信号を再度受信したときに保留を解除して異常通報信号を外部宛先に送信する。
【0015】
(チャンネル周波数)
各住戸に設けられた連動グループを形成する複数の警報器及び戸外通報装置は、他の住戸の連動グループとは相互に異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送受信し、
各住戸の戸外通報装置と受信器の間は、各住戸の連動グループとは異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送受信する。
【0016】
(移報装置による戸外通報装置の信号線接続)
各住戸に設けられた連動グループを形成する複数の警報器は、他の住戸の連動グループとは相互に異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送受信し、
各住戸の連動グループに、警報器から火災検出信号を受信したときに火災移報信号を信号線により出力する移報装置が設けられ、
各住戸に設けられた戸外通報装置は移報装置に信号線により接続され、移報装置から火災移報信号を受信したときに、各住戸の連動グループとは異なる所定のチャンネル周波数を使用して火災通報信号を無線により送信する。
【0017】
(警報器)
警報器は火災を検出して警報する火災警報器、又は、ガス漏れを検出して警報するガス漏れ警報器を含む。
【発明の効果】
【0018】
(基本的な効果)
本発明は、共同住宅の住戸毎に設置した複数の警報器により、住戸毎に連動グループを形成し異常を監視する警報システムに於いて、住戸毎に設けられ、住戸内の警報器から異常検出信号を受信して住戸外に異常発生住戸を示す異常通報信号を送信する戸外通報装置と、戸外通報装置からの異常通報信号を受信して異常発生住戸を報知する受信器とが設けられたため、住戸で例えば火災が発生して住戸内の連動グループの警報器により火災警報が出力されると、火災発生住戸に設けられた戸外通報装置が火災通報信号を管理人室等の住戸外に設置された受信器に送信することで、火災発生住戸を示す火災警報が出力され、住戸間の警報連動を行わないことで住戸の独立性を確保した場合、共同住宅の管理者や所有者は、住戸の火災発生を把握し、初期消火、避難誘導、消防署への通報といった対処を迅速且つ適切に行うことを可能とする。
【0019】
(受信器操作による異なる住戸の戸外通報装置の連動による効果)
また、受信器は、戸外通報装置から異常通報信号を受信したときに、所定の操作により、他の住戸の戸外通報装置に異常通報信号を送信して異常警報を出力させるようにしたため、住戸の火災発生を知った管理者等は、火災発生階の住戸或いは全住戸を指定した火災通報信号を送信する受信器の操作により、指定した住戸の戸外通報装置から火災警報を出力させ、住戸間で火災連動を行っていなくとも、迅速且つ適切な避難誘導を可能とする。
【0020】
(異なる住戸の異常警報器の連動の効果)
また、戸外通報装置は、受信器から他の住戸の異常発生を示す異常通報信号を受信したとき、自己の住戸内に設置した警報器に異常通報信号を送信して他の住戸の異常発生を示す警報を出力させるようにしたため、受信器の操作により指定した戸外通報装置からの火災警報に加え、指定した住戸の火災警報器による連動警報を行うことで、他の住戸で火災が発生したときの火災警報を各住戸の居住者に確実に知らせることができる。
【0021】
(外部自動通報の効果)
また、受信器は、戸外通報装置から戸外通報信号を受信したときに、予め設定された所定の外部宛先に対し異常通報信号を送信するようにしたため、受信器での火災発生住戸を示す火災警報に加え、消防署、警備会社、所有者等の予め設定した外部宛先に例えば電話回線を経由して火災発生住戸を示す火災警報の音声メッセージが自動通報され、共同住宅の火災に対し外部から迅速且つ適切に対処可能とする。
【0022】
(警報停止による効果)
また、戸外通報装置は、警報器から異常検出信号を受信して異常通報信号を送信した後に警報器から警報停止信号を受信したときに受信器に警報停止通報信号を送信し、受信器は、戸外通報装置から警報停止通報信号を受信したときに外部宛先に対する異常通報信号の送信を保留し、戸外通報装置から異常通報信号を再度受信したときに保留を解除して異常通報信号を外部宛先に送信するようにしたため、調理の煙等の非火災報に対する外部に対する自動通報を防止し、警報停止後に異常通知信号を再度受信したときに火災確定と判断して外部に自動通報することで、警報システムの信頼性を高めることができる。
【0023】
(チャンネル周波数の効果)
また、 各住戸に設けられた連動グループを形成する複数の警報器及び戸外通報装置は、他の住戸の連動グループとは相互に異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送受信し、各住戸の戸外通報装置と受信器の間は、各住戸の連動グループとは異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送受信するようにしたため、各住戸の連動グループ毎に異なるチャンネル周波数を割り当てることで、住戸間の警報連動が防止され、住戸の独立性を確保し、また住戸の独立性を損なうことなく戸外通報装置から管理人室の受信器等に異常通報信号を送信し、管理者や所有者等に火災等の異常が発生した事態を速やかに知らせることができる。
【0024】
(同一チャンネル周波数と異なるアドレスによる効果)
また、各住戸に設けられた連動グループを形成する複数の警報器は、他の住戸の連動グループとは相互に異なる所定のチャンネル周波数を使用して信号を無線により送受信し、各住戸の連動グループに、警報器から火災検出信号を受信したときに火災移報信号を信号線により出力する移報装置が設けられ、各住戸に設けられた戸外通報装置は移報装置に信号線により接続され、移報装置から火災移報信号を受信したときに、各住戸の連動グループとは異なる所定のチャンネル周波数を使用して火災通報信号を無線により送信するようにしたため、連動グループを形成する警報器と戸外通報装置の間を、移報装置を介した信号線接続としたことで、戸外通報装置が簡単となり、信号送受信の信頼性も向上できる。
【0025】
(警報器の効果)
また、警報器は火災を検出して警報する火災警報器、又は、ガス漏れを検出して警報するガス漏れ警報器を含むようにしたため、住戸の独立性を損なうことなく、共同住宅における火災又はガス漏れ監視を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】共同住宅に配置した警報システムの実施形態を示した説明図
図2】警報器の機能構成を示したブロック図
図3】戸外通報装置の機能構成を示したブロック図
図4】受信機の機能構成を示したブロック図
図5】警報器を移報装置により戸外通報装置に信号線接続した警報システムの他の実施形態を示した説明図
図6図5の移報装置の機能構成を示したブロック図
図7図5の戸外通報装置の機能構成を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[本実施形態の基本的な概念]
図1は共同住宅に配置した警報システムの実施形態を示した説明図である。本実施形態の基本的な概念は、共同住宅10の住戸12毎に、異常を検出して警報する複数の無線連動型の警報器、例えば火災を検出して警報する複数の警報器14を設置して連動グループを形成し、連動グループの警報器14は火災を検出した場合に連動元を示す火災警報を出力すると共に火災検出信号を他の警報器14に送信して連動先を示す火災警報を出力させる警報システムを対象とする。
【0028】
このような警報システムに対し、本実施形態は、住戸12毎に戸外通報装置16を設け、また、管理人室18に受信器20を設ける。戸外通報装置16は同じ住戸12内に設置している連動グループの警報器14から火災検出信号を受信したときに、住戸外の受信器20に火災発生住戸を示す火災通報信号を送信し、共同住宅10の管理人室18等に設置された受信器20は、火災が発生した住戸12に設けられた戸外通報装置16からの火災通報信号を受信すると、火災発生住戸を示す火災警報を出力して異常発生住戸を報知するというものである。
【0029】
このため、ある住戸12で火災が発生して警報器14から火災警報が出力されても、他の住戸12の警報器14による火災警報の連動出力は行われず、これにより火災警報について住戸間の独立性が確保されているが、管理人室18等に設置された受信器20により火災発生住戸を示す火災警報が出力されることで、管理者や所有者等は、独立して火災監視を行っている住戸12で火災が発生した事態を確実に把握し、初期消火、避難誘導、消防署への通報といった対処を迅速且つ適切に行うことができる。
【0030】
[警報システムの概要]
図1に示すように、本実施形態の警報システムは、例えば2階建ての共同住宅10を対象とし、共同住宅10の各住戸12には、無線式の警報器14が複数台設置され、住戸12毎に独立した連動グループを形成している。
【0031】
各住戸12の複数の警報器14で形成される連動グループは、異なるチャンネル周波数f1,f2,・・・f7が割り当てられており、各住戸12の連動グループの警報器14は割り当てられたチャンネル周波数f1~f7を使用し、住戸12単位に独立して信号の送受信を行う。
【0032】
また、住戸12の各々には戸外通報装置16が設置され、これに対応して管理人室18には受信器20が設置される。戸外通報装置16は同じ住戸12に設置している連動グループの何れかの警報器14の火災発報による火災検出信号を受信すると、戸外通報装置16に予め設定された固有の端末アドレス(住戸識別情報)を含む火災通報信号を受信器20に無線送信する。
【0033】
各住戸12に設けられた戸外通報装置16と受信器20は、各住戸12の連動グループに割り当てられたチャンネル周波数f1~f7以外のチャンネル周波数f8を使用して信号を送受信する。このため戸外通報装置16から送信された信号は住戸12の警報器14では受信されず、管理人室18の受信機20のみで受信される。
【0034】
管理人室18に設置された受信器20は、住戸12の何れかに設けた戸外通報装置16からの火災通報信号を受信すると、火災通報信号に含まれた戸外通報装置16に固有な端末アドレスに基づき火災発生住戸を特定し、火災発生場所を示す表示や音声メッセージを含む火災警報を出力する。
【0035】
また、受信器20は、火災警報の出力に連動し、予め設定した消防署、警備会社、所有者等の外部の宛先を指定し、例えば電話回線を使用した自動ダイヤルにより相手先に通話接続し、共同住宅10の火災発生住戸を示す音声メッセージ信号を送信して共同住宅10の特定住戸12で火災が発生したことを自動通報し、消防出動、警備会社の係員の出動、所有者による火災発生の把握を可能とする。
【0036】
また、受信器20は、火災警報が出力されたときの管理人による所定の操作に基づき、火災発生住戸以外の住戸12に設置された戸外通報装置16の端末アドレスを指定した火災通報信号を送信し、戸外通報装置16から他の住戸での火災発生を示す火災警報を出力させる。この場合の受信器20からの指定による戸外通報装置16からの他の住戸の火災を示す火災警報の出力は、全ての戸外通報装置16又は火災発生階といった特定の戸外通報装置16を端末アドレスにより指定して火災通報信号を送信して行うことができる。
【0037】
更に、火災警報を出力している連動グループの何れかの警報器14で警報停止操作が行われると、戸外通報装置16を経由して受信器20は警報停止通報信号を受信し、これにより外部宛先を指定した自動通報を保留し、その後、同じ戸外通報装置から火災通報信号を再度受信したときに、警報停止に伴い行っていた自動通報の保留を解除し、消防署、警備会社、所有者等の外部宛先を指定して自動通報を行う。
【0038】
[警報器]
図2は警報器の機能構成を示したブロック図である。図2に示すように、警報器14は制御プロセッサ22を備え、制御プロセッサ22には、CPU34が設けられ、CPU34からのバス42に、制御ロジック36、ROM38、RAM40が接続されている。なお、制御ロジック36はCPU34の制御処理に伴うバス制御などの各種のハードウェア機能を実現する。
【0039】
バス42には、制御プロセッサ22の外部に設けた連動通信部24、検煙部26、テストスイッチ28、表示灯30及びスピーカ32が接続されている。
【0040】
検煙部26は、公知の散乱光式検煙構造をもち、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を出力する。なお、検煙部26に代えて温度検出部を設ける場合もあり、温度検出部は、温度検出素子として例えばサーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧信号となる温度検出信号を出力する。
【0041】
連動通信部24は、アンテナ25が接続され、他の警報器14及び戸外通報装置16との間で所定の通信プロトコルに従って火災検出信号等を送受信する。この通信プロトコルは、日本国内の場合には、例えば426MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(特定小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)に準拠する。
【0042】
426MHz帯の特定小電力セキュリティシステム無線局設備では、426.2500MHz~426.8375MHzの間に12.5kHzの周波数帯域幅を持つ48チャンネルが割り当てられており、異なったチャンネル周波数を複数の警報器14で構成する異なった住戸の連動グループに割り当てて使用する。
【0043】
また、連動通信部24は無線送信部と無線通信部を備え、無線送信部は火災連動信号等のデータ信号をMSK変調した後にFM変調してアンテナ25から426MHz帯の割当チャンネル周波数の信号電波として送信し、無線受信部は、アンテナ25による他の警報器が送信した信号電波を受信し、FM復調した後に、FSK復調を行い、更にビット判定を行って火災連動信号等のデータ信号を復調する。
【0044】
CPU34にはROM38に記憶したプログラムの実行により実現される火災制御部44の機能が設けられる。CPU34に設けられた火災制御部44の制御機能は次のようになる。
【0045】
火災制御部44は、検煙部26から出力された煙濃度の検出信号をAD変換して読み込み、煙濃度が所定の閾値以上の場合に火災を検出し、連動元の火災を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0046】
火災制御部44は、火災警報を出力させた場合、連動通信部24に指示してグループアドレス及び自己の端末アドレスを設定した火災検出信号を生成し、同じ連動グループとなる同じ住戸内の他の警報器14及び戸外通報装置16へ火災検出信号を送信させる制御を行い、当該火災検出信号を受信した他の警報器14で連動先を示す火災警報を出力させ、また、戸外通報装置16で火災通報信号を戸外に送信させる。

【0047】
また、火災制御部44は、同じ連動グループとなる同じ住戸内の他の警報器14が送信した火災連動信号が送信した火災通報信号を連動通信部24により受信した場合、連動先を示す火災警報を出力させる制御を行い、また、戸外通報装置16が送信した火災通報信号を連動通信部24により受信した場合、他の住戸の火災を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0048】
また、火災制御部44は、テストスイッチ28の操作による警報停止制御、検煙部26の煙濃度が閾値以下に下がる火災復旧制御についても、火災検出信号の場合と同様に、連動通信部24により警報停止信号及び火災復旧信号の送信を行う。
【0049】
[戸外通報装置]
図3は戸外通報装置の機能構成を示したブロック図である。図3に示すように、戸外通報装置16は、アンテナ45を接続した連動通信部46、通報制御部48及びアンテナ52を接続した戸外通信部50で構成される。
【0050】
連動通信部46は図2に示した同じ連動グループとなる同じ住戸内の警報器14の連動通信部24と同じであり、同じチャンネル周波数を設定している。
【0051】
戸外通信部50も図2に示した警報器14の連動通信部24と同じであるが、チャンネル周波数が各住戸の連動グループに設定されたチャンネル周波数f1~f7とは異なるチャンネル周波数f8が設定されている。
【0052】
通報制御部48は、連動通信部46を介して警報器14から火災検出信号を受信したとき、自己の端末アドレスを含む火災通報信号を生成し、戸外通信部50に指示して受信器20に送信する制御を行う。
【0053】
また、通報制御部48は、連動通信部46を介して警報器14から警報停止信号又は火災復旧信号を受信したとき、自己の端末アドレスを含む警報停止通報信号又は火災復旧通報信号を生成し、戸外通信部50に指示して受信器20に送信する制御を行う。
【0054】
一方、通信制御部48は、戸外通信部50を介して受信器20から自己の端末アドレスを指定した火災通報信号を受信したとき、連動通信部46に指示して火災検出信号を同じ連動グループとなる同じ住戸内の警報器14に送信して他の住戸の火災を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0055】
なお、戸外通報装置16に表示灯やスピーカを備えた警報部を設け、通信制御部48は、戸外通信部50を介して受信器20から自己の端末アドレスを指定した火災通報信号を受信したとき、戸外通報装置16から他の住戸の火災を示す火災警報を出力させるようにしても良い。
【0056】
ここで、連動通信部46の通信エリアは住戸内であり、戸外通信部50の通信エリアは住戸外になることから、例えばアンテナ45は室内に設置し、アンテナ52は室外の廊下等に設置することが望ましい。
【0057】
[受信器]
図4は受信器の機能構成を示したブロック図である。図4に示すように、図1の管理人室18に設置された受信器20は、アンテナ55を接続した戸外通信部54、受信制御部56、表示部58、操作部60、警報部62及び自動通報部64で構成される。
【0058】
戸外通信部54は図3の戸外通信部50と同じになる。受信制御部56は、戸外通信部54を介して住戸12に設置した戸外通報装置16から火災通報信号を受信したとき、火災通報信号から端末アドレスを取得して火災発生住戸を特定し、表示部58に火災発生住戸を示す火災警報表示を行うと共に警報部62のスピーカから火災発生住戸を示す火災警報の音声メッセージを出力させる制御を行う。
【0059】
また、受信制御部56は、戸外通信部54を介して住戸12に設置した戸外通報装置16から火災通報信号を受信したときに、所定の待ち時間を設定し、待ち時間の間に警報停止通報信号や火災復旧通報信号の受信がない場合は、火災確定と判断し、自動通報部64に指示し、例えば電話回線に対する自動ダイヤル制御により予め設定した宛先に通話接続し、音声メッセージ信号の送信により自動通報する制御を行う。
【0060】
また、受信制御部56は、火災発生住戸を示す火災警報が出力された状態で、操作部60により火災警報の連動先の住戸を指定した所定の連動操作を検出したとき、連動先の住戸に対応した端末アドレスを含む火災通報信号を生成し、戸外通信部54に指示して戸外通報装置16に送信する制御を行う、この場合の操作部60による火災連動先の住戸の指定は、火災発生住戸に隣接した住戸等の特定住戸の指定、火災発生階の全住戸の指定、共同住宅10の全住戸の指定等が選択的に行えるようにしている。
【0061】
[警報システムの他の実施形態]
図5は警報器を移報装置により戸外通報装置に信号線接続した警報システムの他の実施形態を示した説明図、図6図5の移報装置の機能構成を示したブロック図、図7図5の戸外通報装置の機能構成を示したブロック図である。
【0062】
図5に示すように、本実施形態の警報システムは、共同住宅10の各住戸12に設けた連動グループを形成する複数の警報器14に対し更に移報装置15を追加し、移報装置15に戸外通報装置16を信号線により接続している。
【0063】
移報装置15は、図6に示すように、アンテナ65を接続した連動通信部66、移報制御部68及び接点信号を信号線により移報信号として戸外通報装置16に出力する移報出力部70で構成される。
【0064】
連動通信部66は図2に示した警報器14の連動通信部24と同じになる。移報制御部68は連動通信部66を介して警報器14から火災検出信号を受信すると、移報出力部70に設けられたリレーを作動してリレー接点を閉じ、接点信号となる移報信号を信号線により戸外通報装置16に送信する制御を行う。
【0065】
戸外通報装置16は、図7に示すように、図6の移報装置15からの信号線を入力接続した移報入力部72、通報制御部48及びアンテナ52を接続した戸外通信部50で構成される。
【0066】
通報制御部48は移報入力部72を介して図6の移報装置15から移報信号(接点信号)を入力すると、自己の端末アドレスを含む火災通報信号を生成し、戸外通信部50に指示して受信器20に送信し、火災発生住戸を示す火災警報を出力させる制御を行う。戸外通信部50は図3の戸外通報装置16と同じである。
【0067】
本実施形態にあっては、警報器14からの火災検出信号を受信して接点信号となる移報信号を戸外通報装置16に信号線接続で出力するように構成したことで、戸外通報装置16の構成を簡単にすることができる。
【0068】
[本発明の変形例]
(警報器)
上記の実施形態は、火災を検知して警報する無線式の警報器を例にとるものであったが、警報器以外の無線式の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら警報器を複合的に含むシステムについても同様に適用できる。
【0069】
また、上記の実施形態は無線式の警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした無線式の警報器であっても良い。
【0070】
(親子方式)
上記の実施形態は、住宅内に複数の警報器を設置して連動グループを形成する場合、親機/子機の区別が無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、親機と複数の子機を設けて連動グループを形成し、各グループの親機に中継器の機能を持たせ、異なるグループの親機同士の間で連動警報のための通信を行うようにしても良い。
【0071】
(その他)
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0072】
10:共同住宅
12:住戸
14:警報器
15:移報装置
16:戸外通報装置
18:管理人室
20:受信器
22:制御プロセッサ
24,46,66:連動通信部
26:検煙部
28:テストスイッチ
30:表示灯
32:スピーカ
34:CPU
36:制御ロジック
38:ROM
40:RAM
48:通報制御部
50,54:戸外通信部
56:受信制御部
58:表示部
60:操作部
62:警報部
68:移報制御部
70:移報出力部
72:移報入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7