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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240423BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B23/00 510D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019211771
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021082220
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-115796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機と、携帯端末とを備えた防災システムであって
前記受信機は、画面生成部で生成された画面のうちの一部に基づいた内容を表示する受信機画面表示部を備え
前記携帯端末は、
前記画面のうち前記受信機画面表示部で表示する部分を包含する内容を受信機表示内容画面として抽出する受信機表示内容画面抽出部と、
前記画面のうち前記受信機画面表示部で表示しない部分に基づく内容を受信機外表示内容画面として抽出する受信機外表示内容画面抽出部と、
前記受信機表示内容画面と、前記受信機外表示内容画面を表示可能な端末画面表示部と、
を備え
表示される表示内容に対する操作を受け付けた場合に、当該操作の画面上の位置情報を少なくとも含む操作情報を送信することを特徴とする防災システム。
【請求項2】
請求項記載の防災システムであって
前記端末画面表示部、前記受信機表示内容画面と、前記受信機外表示内容画面を同時に表示可能であることを特徴とする防災システム。
【請求項3】
受信機と、携帯端末とを備えた防災システムであって、
前記受信機は、画面生成部で生成された画面のうちの一部に基づいた内容を表示する受信機画面表示部を備え、
前記携帯端末は、
前記画面のうち前記受信機画面表示部で表示する部分を包含する内容と、前記画面のうち前記受信機画面表示部で表示しない部分に基づく内容とを同時に表示可能な端末画面表示部を備え、
表示される表示内容に対する操作を受け付けた場合に、当該操作の画面上の位置情報を少なくとも含む操作情報を送信することを特徴とする防災システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機から引き出された信号線に火災感知器や防排煙機器等の複数種別の端末機器を接続して火災等の異常を監視する防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R型(Record-type)として知られた火災報知設備にあっては、受信機から引き出した信号線に、固有のアドレスを設定した伝送機能を有する火災感知器等の端末を接続し、火災検出時には、火災感知器からの火災割込みに基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定して煙濃度や温度等の火災データを収集し、火災データが所定の火災閾値を超えた場合に火災と判断し、火災代表灯を点灯して主音響警報を出力し、更に、受信機に設けられたディスプレイに火災発報画面を表示し、火災発報画面には、火災発生メッセージ、火災発生場所、火災発生時刻、受信機操作ガイダンス等を表示させ、必要な火災対処のための画面操作を可能としている。
【0003】
また、施工工事や定期点検の際に、保守モードに切り替えることでディスプレイに保守画面を表示し、保守画面は試験、端末機器状態、障害情報、履歴、物件情報等の保守メニュー選択の可能とし、画面選択した保守メニューに対応した例えば試験画面や端末機器の状態を示す端末情報画面を表示し、火災感知器の試験や防排煙機器の連動制御等の確認や操作を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-265353号公報
【文献】特開2007-219870号公報
【文献】特開2013-229028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の受信機ディスプレイの画面表示を利用した例えば火災感知器の試験にあっては、火災感知器を現場で試験する点検員に加え、火災感知器の試験発報による受信機の動作を確認する点検員が必要となり、また、施行工事の際に火災感知器の設置状況等から工事の進行具合を確認するためには受信機の設置場所に出向いてディスプレイに端末情報を表示して見る必要があり、手間と時間がかかり、作業負担が大きいといった問題がある。
【0006】
この問題を解決するためには受信機のグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)により受信機ディスプレイに現在表示される画面を、タブレット等の携帯端末のリモート・グラフィカル・ユーザ・インターフェース(リモートGUI)により端末ディスプレイに端末情報を表示したり画面操作することが考えられる(特許文献3)。
【0007】
しかしながら、タブレット端末のリモート・グラフィカル・ユーザ・インターフェースにより受信機のグラフィカル・ユーザ・インターフェースに接続すると、受信機の画面を使用した操作がタブレット端末により専有され、タブレット端末の接続が開放されるまで、受信機の画面がタブレット端末の操作に伴い勝手に切り替わり、同時に受信機での画面操作ができなくなる問題がある。
【0008】
また、タブレット側であらかじめ画面データを作成し、受信機の信号を受けて画面の表示内容を変更させるという手法もあるが、この手法ではタブレット側に、例えば区画名等の受信機固有の情報を記憶させる必要があり、タブレットを点検員所有のものとし、受信機に固有のものとしない場合、客先の情報を保護するという観点から考慮すべき点が残る。
【0009】
本発明は、受信機の画面操作と画面表示を維持したまま携帯端末での遠隔的な画面操作と画面表示を可能とする防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(防災システム)
本発明は、受信機と、携帯端末とを備えた防災システムに於いて、
画面を生成する画面生成部と、
受信機に備えられ、画面のうちの一部に基づいた内容を表示する受信機画面表示部と、
携帯端末に備えられ、画面のうち受信機画面表示部で表示しない部分を含む内容を表示する端末画面表示部と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
(携帯端末で受信機表示内容を再現する画面と他の画面を表示)
携帯端末は、
画面に基づき、画面のうち受信機画面表示部で表示する部分を包含する内容を受信機表示内容画面(現在画面)として抽出する受信機表示内容画面抽出部と、
画面に基づき、画面のうち受信機画面表示部で表示しない部分に基づく内容を受信機外表示内容画面(隠れ画面)として抽出する受信機外表示内容画面抽出部と、
を備え、
端末画面表示部により、受信機表示内容画面と、受信機外表示内容画面を表示可能である。
【0012】
なお、以下の説明では、受信機表示内容画面を「現在画面」といい、受信機外表示内容画面を「隠れ画面」という場合がある。
【0013】
(2画面)
携帯端末は、
端末画面表示部により、受信機表示内容画面と、受信機外表示内容画面を同時に表示可能である。
【0014】
(前後の重ね画面)
携帯端末は、所定の画面切替操作に基づき、
端末画面表示部により、受信機表示内容画面と、受信機外表示内容画面の何れか一方を前画面として表示する。
【0015】
(携帯端末の操作による画面表示)
携帯端末は、
携帯端末に表示される表示内容に対する操作を受け付けた場合に、当該操作の画面上の位置情報を少なくとも含む操作情報を送信する。
【0016】
(受信機の画面生成部)
受信機は、
画面生成部を備え、
携帯端末による操作情報を受信した場合、当該操作情報に基づく処理を実行すると共に画面を変更する。
【0017】
(受信機表示内容画面と受信機外表示内容画面の例)
受信機表示内容画面(現在画面)は少なくとも保守メニューが配置された通常監視画面であり、
受信機外表示内容画面(隠れ画面)は、
通常監視画面の保守メニューの画面操作により生成される少なくとも試験メニューを含む試験画面と、
試験画面の試験メニューの画面操作により生成される試験を行う複数の火災感知器のアドレス選択リストが配置された試験アドレス選択画面と、
試験アドレス選択画面のアドレス選択の画面操作による火災感知器の試験により生成される試験発報画面と、
受信機からの信号線に接続された少なくとも火災感知器を含む端末機器の状態を一覧表示する端末状態画面と、
を含む。
【0018】
(携帯端末からの操作情報の重複回避)
受信機は、複数の携帯端末からの操作情報が重複したときに、少なくとも何れか1つの操作情報を許可し、残りの操作情報を抑止する。
【発明の効果】
【0019】
(基本的な効果)
本発明は、画面を生成する画面生成部と、受信機に備えられ、画面のうちの一部に基づいた内容を表示する受信機画面表示部と、携帯端末に備えられ、画面のうち受信機画面表示部で表示しない部分を含む内容を表示する端末画面表示部とを備えたため、受信機やサーバで画面が生成され、例えばタブレットなどの携帯端末で画面を生成する必要がないことから、携帯端末に受信機固有の情報を記憶することなく、受信機に関する情報を表示可能となる。
【0020】
(携帯端末で受信機表示内容を再現する画面と他の画面を表示する効果)
また、携帯端末は、画面に基づき、画面のうち受信機画面表示部で表示する部分を包含する内容を受信機表示内容画面(現在画面)として抽出する受信機表示内容画面抽出部と、画面に基づき、画面のうち受信機画面表示部で表示しない部分に基づく内容を受信機外表示内容画面(隠れ画面)として抽出する受信機外表示内容画面抽出部とを備え、端末画面表示部により、受信機表示内容画面と、受信機外表示内容画面を表示可能としたため、携帯端末で受信機表示内容画面(現在画面)と受信機外表示内容画面(隠れ画面)を必要に応じて同時に見ることができる。
【0021】
(2画面の効果)
また、携帯端末は、端末画面表示部により、受信機表示内容画面と、受信機外表示内容画面を同時に表示可能としたため、携帯端末のディスプレイに現在画面に制約されることなく隠れ画面を確実に表示することができる。
【0022】
(前後の重ね画面)
また、携帯端末は、所定の画面切替操作に基づき、端末画面表示部により、受信機表示内容画面(現在画面)と、受信機外表示内容画面(隠れ画面)の何れか一方を前画面として表示するようにしたため、受信機と同程度の携帯端末の画面サイズであっても、画面サイズをそのまま利用して受信機表示内容画面(現在画面)と受信機外表示内容画面(隠れ画面)が明確に分かるように表示可能とする。
【0023】
(携帯端末の操作による画面表示の効果)
また、携帯端末は、携帯端末に表示される表示内容に対する操作を受け付けた場合に、当該操作の画面上の位置情報を少なくとも含む操作情報を送信するようにしたため、携帯端末のディスプレイに表示する現在画面又は隠れ画面に配置されたアイコン、釦、プルダウンメニュー等に対応した操作コマンドをリンクさせる必要はなく、画面操作位置を示す座標情報を受信機に送信するだけで受信機側の操作コマンドを起動して対応する処理を行うことで、携帯端末側に配置するリモート画面操作の機能を簡単にすることができる。
【0024】
また、携帯端末側で現在画面又は隠れ画面の画面操作を行っても、受信機での画面操作が携帯端末に専有されて受信機画面操作ができなくなることがなく、受信機の画面操作と画面表示を維持したまま携帯端末での遠隔的な画面操作と画面表示を並行して行うことができる。
【0025】
(受信機の画面生成部による効果)
また、受信機は、画面生成部を備え、携帯端末による操作情報を受信した場合、当該操作情報に基づく処理を実行するとともに画面を変更するようにしたため、携帯端末に表示している受信機で表示しない部分を含む隠れ画面の画面操作により受信機の画面切替等の遠隔操作を可能とする。
【0026】
(受信機表示内容画面と受信機外表示内容画面の例による効果)
また、受信機表示内容画面(現在画面)は少なくとも保守メニューが配置された通常監視画面であり、受信機外表示内容画面(隠れ画面)は、通常監視画面の保守メニューの画面操作により生成される少なくとも試験メニューを含む試験画面と、試験画面の試験メニューの画面操作により生成される試験を行う複数の火災感知器アドレス選択リストが配置された試験アドレス選択画面と、試験アドレス選択画面のアドレス選択の画面操作による火災感知器の試験により生成される試験発報画面と、受信機からの信号線に接続された少なくとも火災感知器を含む端末機器の状態を一覧表示する端末状態画面を含むようにしたため、携帯端末による受信機画面のリモート画面操作は、例えば、施工工事や運用中の保守点検で行う例えば火災感知器の試験に利用され、携帯端末には使用開始時に、受信機の通常監視画面が表示され、通常監視画面からの階層的な画面操作により、受信機隠れ画面として試験画面、試験アドレス選択画面が表示され、この状態で火災感知器の発報試験を行うと試験発報画面に切り替わり、携帯端末のリモート画面操作により受信機側に点検員をつけることなく、火災感知器の試験作業を効率的に行うことができる。
【0027】
また、施工工事の段階で、工事担当者の携帯端末で受信機隠れ画面として端末状態画面を表示することで、火災感知器や防排煙機器等の種類の異なる端末の受信機からの信号線に対する接続状態を、受信機に出向くことなく、簡単に確認することが可能となる。
【0028】
(携帯端末からの操作情報の重複回避の効果)
また、受信機は、複数の携帯端末からの操作情報が重複したときに、少なくとも何れか1つの操作情報を許可し、残りの操作情報を抑止するようにしたため、例えば複数の点検員が火災感知器の試験を並行して行うために複数の携帯端末を使用して受信機のリモート画面操作を行う場合、リモート画面操作の重複による混乱を回避し、ピア・ツー・ピア(1対1)による受信機の遠隔的な画面操作を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】火災報知設備を例にとって防災システムの実施形態を示した説明図である。
図2】防災システムで使用するタブレット端末の実施形態を示した説明図である。
図3】受信機の遠隔的な画面操作をタブレット端末で行う画面操作の機能構成を示した説明図である。
図4】通常監視画面と火災発報画面を示した説明図である。
図5】保守画面と試験管理画面を示した説明図である。
図6】試験アドレス選択画面と試験発報画面を示した説明図である。
図7】端末状態画面を示した説明図である。
図8】タブレット端末の画面配置を示した説明図である。
図9図8に続くタブレット端末の画面配置を示した説明図である。
図10】受信機とタブレット端末による画面操作の制御動作を示した説明図である。
図11図10に続く受信機とタブレット端末による画面操作の制御動作を示した説明図である。
図12図11に続く受信機とタブレット端末による画面操作の制御動作を示した説明図である。
図13】受信機とタブレット端末による画面操作の制御動作を示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[防災システム]
(火災報知設備の概要)
図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の一階の管理人室などには例えばR型(Record-type)の受信機10を設置し、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて信号線12-1~12-3が引き出している。
【0031】
信号線12-1には固有のアドレスを設定した伝送機能を有する複数のアナログ火災感知器14を接続し、また、固有のアドレスを設定した伝送機能を有する中継器16から引き出された感知器回線17にオンオフ火災感知器18及び発信機20を接続している。
【0032】
信号線12-2には複数のアナログ火災感知器14の接続に加え、固有のアドレスを設定した伝送機能を有するアドレッサブル発信機22を接続されている。更に、信号線12-3には固有のアドレスを設定した伝送機能を有する中継器16を介して防火戸や排煙装置等の防排煙機器24に接続している。
【0033】
更に、信号線12-1~12-3には、固有のアドレスを設定した伝送機能を有するガス漏れ警報器、防犯検知器、接点信号を送信するP入力端末(接点入力端末)等の端末を必要に応じて接続しているが、図示は省略している。
【0034】
ここで、信号線12-1~12-3に接続されるアナログ火災感知器14、中継器16等の端末機器に設定される最大アドレス数を例えば256としており、信号線12には最大255台の火災感知器14を含む端末を接続できる。なお、以下の説明では、信号線12-1~12-3を区別する必要がない場合は、信号線12という場合がある。
【0035】
(受信機の機能構成)
受信機10には、メインCPU26と複数のサブCPU基板28-1~28-3を設け、サブCPU基板28-1~28-3にはサブCPU30-1~30-3と伝送部32-1~32-3を設けている。
【0036】
メインCPU26とサブCPU30-1~30-3は、シリアル転送バス34で接続しており、相互にデータを送受信する。なお、以下の説明では、サブCPU30-1~30-3及び伝送部32-1~32-3を区別する必要がない場合はサブCPU30及び伝送部32という場合がある。
【0037】
メインCPU26には、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ36、火災、ガス漏れ、障害の代表灯、LED表示灯等を設けた表示部38、施工保守モードと火災監視モードを切り替えるスイッチや火災監視に必要な各種のスイッチを設けた操作部40、スピーカを設けた音響警報部42、及び、移報部44を接続している。
【0038】
メインCPU26にはプログラムの実行により実現する機能として受信制御部52、画面生成部53及び受信機画面抽出部54を設ける。
【0039】
また、メインCPU26には、アナログ火災感知器14、オンオフ火災感知器18を接続した中継器16、アドレッサブル発信機22、防排煙機器24を接続した中継器16等の端末に関する端末情報を記憶している。
【0040】
(受信制御)
受信機10の運用中における受信制御は次のようになる。サブCPU基板28-1のサブCPU30-1を例にとると、サブCPU30-1は伝送部32-1に指示してアナログ火災感知器14との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、火災監視を行っている。
【0041】
伝送部32-1からアナログ火災感知器14に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、信号線12-1の線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送する。
【0042】
これに対しアナログ火災感知器14から伝送部32-1に対する上り信号は電流モードで伝送する。この電流モードにあっては、信号線12-1に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送する。
【0043】
サブCPU30-1による火災監視制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部32-1に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信したアナログ火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、サブCPU30-1は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信する。
【0044】
アナログ火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサのアナログデータを含む応答信号を伝送部32-1に送信する。また、アナログ火災感知器14はセンサのアナログデータが所定の火災判定レベルより低い所定の火災プリレベルに達したことを検出すると伝送部32-1に対し火災割込み信号を送信する。
【0045】
サブCPU30-1は伝送部32-1を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14のアドレスを特定してセンサのアナログデータを集中的に収集し、シリアル転送バス34を介してメインCPU26に送信する。
【0046】
メインCPU26の受信制御部52はサブCPU30-1から受信したアナログデータを所定の火災判定レベル(火災閾値)と比較しており、アナログデータが火災判定レベルに達した場合に火災と判定し、表示部38の火災代表灯を点灯し、音響警報部42のスピーカから火災発生を示す所定の主音響警報を出力し、ディスプレイ36に火災を検出した感知器アドレスに基づき火災発生場所を含む火災発報画面を表示し、更に、移報部44により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行う。
【0047】
サブCPU基板28-2に設けられたサブCPU30-2と伝送部32-2による火災監視制御も、前述したサブCPU基板28-1の場合と同じになる。また、サブCPU基板28-3に設けたサブCPU30-3と伝送部32-3については、メインCPU26の受信制御部52が火災を判断した場合に予め設定した連動情報に基づき連動先となる防排煙機器24の連動制御を行なう。
【0048】
[受信機とタブレット端末の画面操作]
(受信機の画面操作部)
受信機10のメインCPU26に設けた画面生成部53は、ディスプレイ36に表示する所定の画面を生成する。また、受信機画面抽出部54は画面生成部53で生成した画面のうちの一部の画面を抽出して表示する。
【0049】
画面生成部53は、例えばx座標1920×y座標1080等の比較的大規模な画面を生成する。このうち、受信機画面抽出部54はx座標:0~720・y座標:0~480の範囲の領域を受信機画面表示部として機能する受信機のディスプレイ36に表示する画面として抽出する。
【0050】
画面生成部53が生成した画面にはアイコンや文字等の表示内容及び釦、プルダウンメニュー等の操作部位と各配置を含んでいる。各操作部位は操作機能に対応した操作コマンドにリンクしている。
【0051】
受信機10はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を有しており、例えばディスプレイ36はタッチパネルの機能を有しており、例えば画面上の操作部位をタッチ操作すると、このタッチ操作を判別し、タッチした操作部位にリンクした操作コマンドの実行により所定の画面表示や処理動作を行う。
【0052】
受信機10のメインCPU26には伝送アダプタ45を接続し、伝送アダプタ45から警戒区域に伝送線46を引き出し、伝送線46にはアクセスポイント48を接続し、監視領域に無線LAN(無線ローカルエリアネットワーク)を形成している。
【0053】
無線LANの通信エリアを形成した監視領域には例えばアナログ火災感知器14の試験を行う試験員が携帯するタブレット端末50が存在し、受信機10とタブレット端末50との間は、アクセスポイント48との間の無線LANおよび伝送アダプタ45からの伝送線46による有線LANを介して通信接続し、必要な情報を送受信可能としている。
【0054】
(タブレット端末のリモート画面操作)
タブレット端末50は、図2に示すように、CPU57、アンテナ58aを接続した通信部58、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ60、表示部62及び操作部64を設けている。
【0055】
CPU57にはプログラムの実行により実現される機能として、端末制御部66と端末画面抽出部68を設ける。端末制御部66はタブレット端末50にインストールされた任意のアプリケーションプログラムによる制御を行う。
【0056】
端末画面抽出部68は、受信機10から受信した例えばx座標1920×y座標1080の画面の内、全ての領域を端末のディスプレイ60に表示する画面として抽出することにより、受信機10で表示する内容と受信機10で表示しない内容のいずれも包含する内容を表示させる。
【0057】
また、端末画面抽出部68は、受信機10から受信した例えばx座標1920×y座標1080の画面のうち、x座標:0~720・y座標:0~480の範囲の領域を抽出することにより受信機10で表示する内容を包含する受信機表示内容画面とするとともに、x座標:800~1520・y座標:500~980の範囲の領域を抽出することにより受信機10で表示しない内容として受信機外表示内容画面とし、受信機表示内容画面と受信機外表示内容画面をそれぞれ異なる画面の並びや画面の重ね合わせ等によりディスプレイ60に表示する。
【0058】
タブレット端末50はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を有しており、例えばディスプレイ60はタッチパネルの機能を有しており、例えば画面上の操作部位をタッチ操作すると、このタッチ操作を判別し、タッチした操作部位にリンクした操作コマンドの実行により所定の画面表示や処理動作を行う。表示された画面に配置されているアイコン、釦、プルダウンメニュー等の操作部位を例えばタッチ操作することで、受信機10の画面操作を遠隔的に行うことを基本とする。
【0059】
これに加え、タブレット端末50は受信機で表示していない領域を表示するため、当該領域で操作を行うことにより、受信機10の画面表示を維持したまま、タブレット端末50側で受信機10の遠隔的な画面操作が可能であり、タブレット端末50の遠隔的な画面操作により受信機10の画面操作が専有されて勝手に切り替わったり、受信機10での画面操作ができなくなることはなく、受信機10自身の画面操作とタブレット端末50による遠隔的な受信機10の画面操作を両立させることができる、という本実施形態に特有なリモートグラフィカルユーザインタフェースの機能を実現している。
【0060】
(受信機とタブレット端末の画面操作機能)
図3は受信機の遠隔的な画面操作をタブレット端末で行う画面操作の機能構成を示した説明図である。
【0061】
図3に示すように、受信機10側の画面操作機能は、受信機制御部52、画面生成部53、受信機画面抽出部54、操作入力受付部(GUI)51、画面記憶部55で構成し、画面生成部53は受信機制御部52と接続される。なお、通信部56は図1に示した伝送アダプタ45、伝送線46及びアクセスポイント48により構成された有線LANと無線LANの通信系統を示している。
【0062】
画面生成部53は受信機制御部52からの制御命令に基づき画面を生成する。画面フォーマットが画面記憶部55に記憶されており、画面生成部53は表示すべき画面フォーマットに例えば、火災発生場所等の各情報が追加された画面を生成する。
【0063】
受信機画面抽出部54は画面生成部53で生成された画面のうち、予め定められた領域を受信機のディスプレイで表示する受信機画面として抽出し、ディスプレイ36で表示させる。
【0064】
操作入力受付部51は、例えばタッチパネル等であり、受信機のディスプレイ36上での操作について操作座標情報を含む操作情報を取得する。操作情報は受信機制御部52に送信され、受信機制御部52は当該操作に基づき画面生成部53を介して画面を変更する。
【0065】
画面記憶部55は、例えば、通常監視画面70、火災発報画面72、保守画面74、試験管理画面76、試験アドレス選択画面78、試験発報画面80、端末状態画面82などを画面フォーマットとして記憶管理している。
【0066】
通常監視画面70、火災発報画面72、保守画面74、試験管理画面76、試験アドレス選択画面78、試験発報画面80、端末状態画面82には、アイコン、釦、プルダウンメニュー等の操作部位を必要に応じて配置しており、操作部位のそれぞれは対応する操作内容を実行する操作コマンドとリンクしており、例えば操作部位をタッチ操作すると、リンク先の操作コマンドを実行し、例えば階層的に作成された次の操作画面の表示や制御動作等を行う。
【0067】
一方、タブレット端末50側のリモート画面操作機能は、通信部58、端末制御部66、端末画面抽出部68、端末操作入力受付部(GUI)69で構成し、通信部58は端末制御部66と接続される。また、端末画面抽出部68には受信機表示内容画面抽出部68aと受信機外表示内容抽出部68bの機能を設ける。
【0068】
受信機表示内容画面抽出部68aは受信機10で生成した画面に基づき、画面のうちディスプレイ36で表示する部分を包含する内容を受信機表示内容画面となる現在画面として抽出し、ディスプレイ60に表示する。
【0069】
受信機外表示内容画面抽出部68bは、受信機10で生成した画面に基づき、画面のうちディスプレイ36で表示しない部分に基づく内容を受信機外表示内容画面となる隠れ画面として抽出し、ディスプレイ60に表示する。
【0070】
なお、以下の説明では、受信機表示内容画面抽出部68aと受信機外表示内容抽出部68bの機能を、端末画面抽出部68の機能としてまとめて説明する。
【0071】
端末画面抽出部68はタブレット端末50のCPU57により実行され、受信機10に通信接続していないときは受信機表示内容画面及び受信機外表示内容画面は表示されない。受信機10に通信接続したときに、受信機表示内容画面及び受信機外表示内容画面を表示する。
【0072】
受信機表示内容画面及び受信機外表示内容画面にはアイコン、釦、プルダウンメニュー等の操作部位が表示されるが、操作部位に対応する操作コマンドとのリンク関係は設定しておらず、単なる表示パーツである。
【0073】
端末操作入力受付部(GUI)69は、ディスプレイ60に受信機10の現在画面である通常監視画面70を表示した状態で、その中の操作釦等の操作部位を例えばタッチ操作すると、タッチ操作した操作部位の画面操作位置を示す座標情報を検出し、これを操作情報として受信機10に送信する。
【0074】
受信機10の画面生成部53はタブレット端末50からタッチ操作した操作部位の画面操作位置を示す座標情報(操作情報)を受信すると、この座標情報に基づき画面における当該座標の操作を受けたものとし、操作部位にリンクした操作コマンドを実行する。
【0075】
受信機10は受信機画面を変更すると共に、受信機10の通信部56は、随時画面情報をタブレット端末50に送信しており、タブレット端末50の端末画面抽出部68は受信機表示内容画面を変更する。
【0076】
受信機10の画面生成部53で生成される画面のうち、受信機外表示内容画面に相当する領域は通常空白となっており、表示内容が選択可能となっている。タブレット端末50の受信機外表示内容画面において所定の画面呼び出し操作を行うことにより、画面記憶部55に記憶されている画面フォーマットを元に所定の内容が受信機外表示内容画面に相当する領域に描画され、タブレット端末50の受信機外表示内容画面に表示される。
【0077】
タブレット端末50に新たに表示した受信機外表示内容画面については、その中の任意の操作部位をタッチ操作すると、受信機表示内容画面の場合と同様に、タッチ操作した操作部位の画面位置を示す座標情報(操作情報)を検出して受信機10に送信し、受信機10の画面生成部53は受信した座標情報に基づき隠れ画面に配置した操作部位の画面操作を判別し、操作部位にリンクした操作コマンドを実行し、操作部位に対応した別の隠れ画面を生成し、タブレット端末50に送信して現在表示している受信機10の受信機表示内容画面と共に表示する。
【0078】
ここで、受信機10からタブレット端末50に画面を送信する(送る)とは、ディスプレイ60に表示するために受信機10の表示用のメモリにディスプレイ36の表示形式に対応して格納している画面データを読み出してタブレット端末50に送信することを意味する。なお、受信機10とタブレット端末50に使用しているディスプレイの表示形式が異なる場合は、タブレット端末50で自己の表示形式への変換を行う。
【0079】
[受信機表示画面]
図3の受信機10の画面記憶部55に記憶している通常監視画面70、火災発報画面72、保守画面74、試験管理画面76、試験アドレス選択画面78、試験発報画面80、端末状態画面82を説明すると次のようになる。
【0080】
(通常監視画面)
図4(A)は通常監視画面の一例を示す。通常監視画面70は火災報知設備の運用中に表示する画面であり、「正常動作中」の状態表示に続いて、「機器起動切断・移報停止」の操作釦70a、「地区音響を停止設定」の操作釦70b、「保守(施工)」の操作釦70cを配置している。
【0081】
(火災発報画面)
図4(B)は火災発報画面の一例を示す。火災発報画面72は、タイトル72aとして「火災です」を表示し、続いて火災情報72bとして火災発生場所を表示し、火災対処メッセージ72cに続いて火災確認釦72d、非火災確認釦72e及び火災場所を示す全体図釦72fを配置している。
【0082】
(保守画面)
図5(A)は保守画面の一例を示す。図4(A)に示した通常監視画面70の操作釦70cをタッチ操作すると図5(A)の保守画面74を切替え表示する。保守画面74には、試験釦74a、端末状態釦74b、障害情報釦74c、履歴釦74d、物件情報釦74eを配置し、更に、リターン釦74fを配置する。
【0083】
(試験管理画面)
図5(B)は試験管理画面の一例を示す。図5(A)に示した保守画面74の試験釦74aをタッチ操作すると、図5(B)の試験管理画面76を切替え表示する。試験管理画面76には、試験メッセージ76aに続いて、アドレス選択釦76b、地区名選択釦76c、マップ選択釦76dを配置し、アドレス、地区名又はマップから試験を行う火災検知器の選択を可能としている。
【0084】
(試験アドレス選択画面)
図6(A)は試験アドレス選択画面の一例を示す。図5(B)に示した試験管理画面76のアドレス選択釦76bをクリックすると、図6(A)の試験アドレス選択画面78を切替え表示する。
【0085】
試験アドレス選択画面78には、試験メッセージ78aに続いて試験アドレス選択リスト78bを表示する。試験アドレス選択リスト78bは、選択、アドレス、種別、試験結果の項目をもち、アドレス001,002は既に試験済みで試験結果は「正常」であり、続いて、アドレス003の試験を行うことから、選択するラジオ釦をタッチ操作することで斜線部で示すようにリスト欄の色が変化し、試験アドレスを選択したことを示す。
【0086】
(試験発報画面)
図6(B)は試験発報画面の一例を示す。図6(A)に示した試験アドレス選択画面78の操作に基づき火災感知器の試験を行うと、試験発報した火災感知器からの火災信号に基づき図6(B)に示す試験発報画面80を表示する。
【0087】
試験発報画面80には、「火災です」のタイトル80aに加え、試験発報表示80bを行い、火災情報80cにより試験発報場所を示し、続いて、試験対処メッセージ80dに続いて試験確認釦80eを配置している。
【0088】
ここで、図6(A)の試験アドレス選択画面78の画面操作による火災感知器の試験は、図1に示した受信機10が試験指示を受けたアドレスを指定した試験信号を例えば信号線12-1に送信し、信号線12-1に接続しているアドレスが一致したアナログ火災感知器14で擬似的な火災発報動作を行い、試験発報信号を受信機10に送信する。
【0089】
このような受信機10からの試験信号による火災感知器の試験以外に、試験治具を使用して火災感知器に例えば煙を実際に流入させて行う炙り試験があるが、炙り試験の際には、受信機10の通常監視画面70が火災感知器の試験発報により試験発報画面80に切り替わり、タブレット端末50においては、受信機10の現在画面となる通常監視画面70を試験発報により試験発報画面80に切替え表示することで、受信機10側に別の試験員が付かなくとも、タブレット端末50の遠隔的な画面操作機能を利用して火災感知器の炙り試験に対する受信機10の試験発報動作が確認できる。
【0090】
(端末状態画面)
図7は火災感知器等の端末状態画面の一例を示す。図5(A)に示した保守画面74の端末状態釦74bをタッチ操作すると、図7に示す端末状態画面82を表示する。端末表示画面82には端末指定部82aと端末状態リスト82bを表示する。
【0091】
端末指定部82aには、火報、防排煙、連動用、端末障害等の端末又は端末状態を指定するラジオ釦を配置している。ここでは、火報と防排煙のラジオ釦をタッチ操作しており、これに対応して端末状態リスト82bに火災感知器と防火戸の端末状態を示す情報が例えばアドレス順に表示し、表示していない部分はスクロール操作で表示することができ、必要とする端末機器の状態を確認することができる。
【0092】
なお、通常監視画面70、火災発報画面72、保守画面74、試験管理画面76、試験アドレス選択画面78、試験発報画面80、端末状態画面82は一例であり、これ以外に火災監視や保守点検等に使用する多数の画面を生成して準備している。
【0093】
[タブレット端末の画面配置]
図8はタブレット端末の画面配置を示した説明図、図9図8に続くタブレット端末の画面配置を示した説明図である。
【0094】
図8(A)はタブレット端末50のディスプレイ60に表示する現在画面84と隠れ画面86の画面配置の実施形態であり、ディスプレイ60に表示した受信機10に現在表示していると同じ現在画面84の空き領域に、受信機10の遠隔的な画面操作で受信した隠れ画面86を配置している。この画面配置は、受信機10のディスプレイ36に対しタブレット端末50のディスプレイ60の画面サイズが十分に大きい場合に有効である。
【0095】
図8(B)はタブレット端末50のディスプレイ60の画面を左右の2画面に分け、一方に現在画面84を配置し、他方に隠れ画面86を配置している。これにより現在画面84に妨げられることなく隠れ画面86を確実に表示できる。
【0096】
図8(C)はタブレット端末50のディスプレイ60の画面に、現在画面84と隠れ画面86を一部が重複するように前後に重ねて配置しており、後側に位置する例えば隠れ画面86をタッチ操作すると、隠れ画面86が前画面となる。これにより受信機10とタブレット端末50の画面サイズで同程度であっても、現在画面84と隠れ画面86を、画面サイズをフルに利用して表示できる。
【0097】
図9(A)はタブレット端末50のディスプレイ60の画面を4分割して4画面としており、その内の一つに現在画面84を配置し、残り3つに隠れ画面86を配置する。これにより階層的に表示される隠れ画面を全体的にとらえることができ、また下位の隠れ画面から上位の隠れ画面に画面切替えを行うことなく、上位の隠れ画面の画面操作が簡単にできる。
【0098】
図9(B)は2画面表示の他の例であり、タブレット端末50のディスプレイ60の例えば左上隅の狭い領域に現在画面84を配置し、残りの広い領域に隠れ画面86を配置しており、隠れ画面86をメインにした表示ができる。
【0099】
図9(C)は現在画面の拡張表示を行う例であり、タブレット端末50のディスプレイ60の画面の大部分、例えば縦横それぞれ9割を占める領域に現在画面84を配置し、残りの下側及び右端の狭い領域に受信機画面で表示されていない内容を拡張的に表示した内容を表示できる。
【0100】
[画面操作の制御動作]
図10は受信機とタブレット端末による画面操作の制御動作を示した説明図、図11及び図12図10に続く受信機とタブレット端末による画面操作の制御動作を示した説明図である。
【0101】
図10に示すように、受信機10はメモリ上に表示画面記憶領域88として例えばx座標(0~1920)×y座標(0~1080)の領域(描画領域)を確保しており、その中に現在画面記憶領域90として例えばx座標(0~720)×y座標(0~480)の領域を設定し、また、隠れ画面記憶領域92として例えばx座標(800~1520)×y座標(500~980)の領域を設定し、現在画面記憶領域90には通常監視画面70を記憶し、一方、隠れ画面記憶領域92は空白画面71とし、空白画面71には適宜のマーク例えばカーソル94のみを配置している。
【0102】
このとき受信機10のディスプレイ36には現在画面記憶領域90に記憶している通常監視画面70を抽出して表示している。このような受信機10の画面表示状態でタブレット端末50の電源を投入し、所定の操作により受信機10と通信接続を行うと、受信機10に記憶している通常監視画面70と空白画面71がタブレット端末50に送信され、例えばタブレット端末50のディスプレイ60で図8(C)に示した前後にずらして重ね合わせる2画面表示を設定していたとすると、現在画面84として通常監視画面70を抽出して表示し、隠れ画面86として空白画面71を抽出して表示する。
【0103】
続いて、空白画面71をクリックして前画面とした状態で、カーソル94をクリックすると、例えば隠れ画面を選択するためのダイヤログ96が開く。ダイヤログ96には図3に示した受信機10の画面記憶部55に記憶している各種画面の選択メニューが配列されている。そこで、ダイヤログ96の中の例えば「保守場面」を選択操作すると、処理98で保守画面を指定した隠れ画面表示要求を受信機10に送信する。
【0104】
受信機10は処理100でタブレット端末50から保守画面を指定した隠れ画面表示要求を受信すると、保守画面74を生成して隠れ画面記憶領域92に記憶し、定期的な画面更新処理に基づき処理102で保守画面74を包含する画面全体の情報をタブレット端末50に送信し、タブレット端末50はディスプレイ60の隠れ画面86に受信した保守画面74を抽出して表示する。
【0105】
続いて、タブレット端末50で保守画面74の試験釦をタッチ操作すると、処理104で試験釦のタッチ操作を検出して画面操作位置を示す座標情報を受信機10に送信する。
【0106】
受信機10は処理106でタブレット端末50からの座標情報を受信し、図11に示すように、隠れ画面記憶部92に記憶している保守画面74の中の画面操作位置を検出し、隠れ画面として例えば試験管理画面76を生成して隠れ画面記憶領域92に記憶し、試験管理画面76をタブレット端末50に送信し、タブレット端末50はディスプレイ60の隠れ画面86に受信した試験管理画面76を抽出して表示する。
【0107】
続いて、タブレット端末50で試験管理画面76のアドレス選択釦をタッチ操作すると、処理110でアドレス選択釦のタッチ操作を検出して画面操作位置を示す座標情報を受信機10に送信する。
【0108】
受信機10は処理112でタブレット端末50からの座標情報を受信し、隠れ画面記憶部92に記憶している試験管理画面76の中の画面操作位置を検出し、例えば試験アドレス選択画面78を生成して隠れ画面記憶領域92に記憶し、定期的な画面更新処理に基づき処理113で試験アドレス選択画面78を包含する画面全体の情報をタブレット端末50に送信し、タブレット端末50はディスプレイ60の隠れ画面86に受信した試験アドレス選択画面78を抽出して表示する。
【0109】
続いて、タブレット端末50で試験アドレス選択画面78の試験アドレスをタッチ操作すると、処理114で選択した試験アドレスの画面操作位置を示す座標情報を受信機10に送信する。
【0110】
受信機10は処理116でタブレット端末50からの座標情報を受信して処理118で試験アドレスを検出し、火災感知器のアドレスを指定した試験信号を送信して火災感知器の遠隔試験を行う。この火災検知器の遠隔試験により試験発報した火災感知器からの火災信号を処理120で受信し、試験発報画面80を生成して隠れ画面記憶領域92に記憶し、定期的な画面更新処理に基づき図12の処理122で試験発報画面80を包含する画面全体の情報をタブレット端末50に送信し、タブレット端末50はディスプレイ60の隠れ画面86に受信した試験発報画面80を抽出して表示する。
【0111】
以下、タブレット端末50で試験発報画面80の確認釦又は戻り釦をタッチ操作して選択し、処理124で選択した確認釦又は戻り釦の画面操作位置を示す座標情報が受信機10に送信し、処理112に戻り、任意に同様の処理を繰り返す。
【0112】
また、試験中に、受信機10が火災を判断した場合には、受信機10及びタブレット端末50に現在画面84に火災発報画面72を表示し、例えば試験作業を中止して火災に対処することができる。
【0113】
図13は受信機とタブレット端末による画面操作の制御動作を示したタイムチャートである。図13に示すように、受信機10は運用中にステップS1で現在画面記憶領域に通常監視画面を生成して記憶し、ステップS2で隠れ画面記憶領域にカーソル付きの空白画面を生成して記憶し、ステップS3でディスプレイ36に現在画面記憶領域に記憶している通常監視画面を抽出して表示している。
【0114】
この状態でタブレット端末50が所定操作によりステップS4で受信機10に対する通信接続要求を行うと、受信機10はステップS5で通常監視画面と空白画面をタブレット端末50に送信し、タブレット端末50はステップS6でディスプレイ60に現在画面として通常監視画面を抽出して表示し、隠れ画面としてカーソル付きの空白画面を抽出して表示する。
【0115】
続いて、タブレット端末50で空白画面に対する所定の操作、例えばカーソルクリックによりダイヤログを開いて表示したい隠れ画面の表示要求操作を行うと、ステップS7で隠れ画面の表示要求操作を判別し、ステップS8で隠れ画面表示要求を受信機10に送信する。
【0116】
受信機10はタブレット端末50から隠れ画面表示要求を受信すると、ステップS9で要求された隠れ画面を生成して隠れ画面記憶領域に記憶すると共にタブレット端末50に画面全体の情報を送信し、タブレット端末50はステップS10でディスプレイ60に受信機10から受信した隠れ画面を抽出して表示する。
【0117】
続いて、タブレット端末50は表示している受信機10の隠れ画面に配置した任意の操作部位のタッチ操作による画面操作をステップS11で判別すると、ステップS12でタッチ操作した操作部位の操作位置を示す座標情報(操作情報)を検出して受信機10に送信する。
【0118】
受信機10はステップS13でタブレット端末50から受信した座標情報(操作情報)に基づき隠れ画面記憶領域に記憶している隠れ画面を対象に座標情報で特定される操作部位の画面操作を判別し、画面操作に対応した隠れ画面を生成して隠れ画面記憶領域に記憶するとともにタブレット端末50に送信し、タブレット端末50はステップS14でディスプレイ60の隠れ画面に受信した新たな隠れ画面を抽出して表示する。
【0119】
以下、タブレット端末50での必要に応じた隠れ画面の画面操作により、受信機10に画面操作に対応した新たな隠れ画面を生成して送信させることで、遠隔的な隠れ画面の表示と操作を繰り返す。
【0120】
[遠隔的な画面操作の重複回避]
本実施形態において、受信機10に対し複数のタブレット端末50からの画面操作要求(操作情報)、即ち、複数のタブレット端末50からの通信接続が重複した場合、受信機10は何れか1つの画面操作要求(操作情報)を許可し、残りの画面操作要求(操作情報)を抑止する。これにより複数のタブレット端末50を使用して受信機10の遠隔的な画面操作を行う場合、遠隔的な画面操作の重複による混乱を回避し、ピア・ツー・ピア(1対1)による受信機10の遠隔的な画面操作を可能とする。
【0121】
なお、複数のタブレット端末50からの遠隔的な画面操作要求(操作情報)に対し予め優先度を設定し、優先度の高い要求を許可するようにしても良い。また、受信機10に仮想的な受信機画面抽出部54を生成する機能を設けることで、複数のタブレット端末の遠隔的な画面操作要求を受け入れて並列的に処理できるようにしても良い。
【0122】
[サーバによる画面の生成]
上記の実施形態では、図1に示すように、受信機10に画面生成部53を設けて火災報知設備の火災監視等に必要な所定の画面を生成して受信機10及びタブレット端末50で画面表示しているが、受信機10をインターネット等の通信ネットワークを介して外部の支援サーバと通信接続し、支援サーバに画面生成部53を設けて火災報知設備の火災監視等に必要な所定の画面を生成し、生成した画面を受信機10に送信して受信機画面抽出部54で画面表示し、また、受信機10からタブレット端末50に画面を送信して表示しても良い。
【0123】
[本発明の変形例]
(P型受信機)
上記の実施形態は、R型(Record-type)の受信機からの信号線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型(Proprietary-type)の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した火災報知設備についても、同様に、タブレット端末により受信機の遠隔的な画面操作により隠れ画面を生成して表示させるようにしても良い。
【0124】
(携帯端末)
上記の実施形態では、携帯端末としてタブレット端末を使用しているが、受信機に携帯電話通信網に通信接続する無線通信部を設け、関係者が携帯する携帯端末により受信機の遠隔的な画面操作により必要とする情報を携帯電話に表示するようにしても良い。
【0125】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0126】
10:受信機
12-1~12-3:信号線
14:アナログ火災感知器
16:中継器
17:感知器回線
18:オンオフ火災感知器
20:発信機
22:アドレッサブル発信機
24:防排煙機器
26:メインCPU
28-1~28-3:サブCPU基板
30-1~30-3:サブCPU
32-1~32-3:伝送部
34:シリアル転送バス
36,60:ディスプレイ
38,62:表示部
40,64:操作部
42:音響警報部
44:移報部
45:伝送アダプタ
46:伝送線
48:アクセスポイント
50:タブレット端末
51:操作入力受付部
52:受信制御部
53:画面生成部
54:受信機画面抽出部
55:画面記憶部
56,58:通信部
57:CPU
66:端末制御部
68:端末画面抽出部
68a:受信機表示内容画面抽出部
68b:受信機外表示内容画面抽出部
69:端末操作入力受付部
70:通常監視画面
72:火災発報画面
74:保守画面
76:試験管理画面
78:試験アドレス選択画面
80:試験発報画面
82:端末状態画面
84:現在画面
86:隠れ画面
88:表示画面記憶領域
90:現在画面記憶領域
92:隠れ画面記憶領域
94:カーソル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13