(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】根管長測定器アタッチメント
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61C19/04 A
(21)【出願番号】P 2019558420
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(86)【国際出願番号】 US2018030133
(87)【国際公開番号】W WO2018201127
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ランベイン,シルビオ
(72)【発明者】
【氏名】ストーチ,レインホールド
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】村上 聡
【審判官】佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-29512(JP,U)
【文献】特開平11-42240(JP,A)
【文献】特開2001-309932(JP,A)
【文献】特開2005-176914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C19/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用器具を根管長測定器に電気的に結合するための根管長測定器アタッチメントであって、
第1の部分及び
前記第1の部分と接続され、前記第1の部分と一体となる第2の部分を有
し、導電性材料で作製された電極と、
前記電極を覆い、少なくとも前記第2の部分を露出させる絶縁オーバーモールドと、
を備え、
前記第1の部分
は、根管測定のために前記根管長測定器アタッチメントを歯科用器具にクランプする又は引っ掛けるためのスプリングバック
する機構を有するクランプ要素
の一部であって、
前記第2の部分
は、ジャック型コネクタとして構築される、又は前記根管長測定器の電気コネクタに接続するべくジャック型コネクタを受け入れるように構築され、
前記クランプ要素は、
a)前記絶縁オーバーモールドである第1のフィンガと前記第1の部分である第2のフィンガを含み、前記第1のフィンガは、異なるサイズの歯科用器具を受け入れる及び拘束するための複数のノッチを含み、前記第1のフィンガと前記第2のフィンガとの間で前記歯科用器具をクランプする構成であ
る、または
b)前記第1の部分が屈曲した電極を有し、前記屈曲した電極と複数のノッチを有する前記絶縁オーバーモールドとの間で前記歯科用器具をクランプする構成である根管長測定器アタッチメント。
【請求項2】
前記絶縁オーバーモールドが、
ポリエーテルイミドで作製される、請求項1に記載の根管長測定器アタッチメント。
【請求項3】
前記絶縁オーバーモールドにウィンドウをさらに備え、前記ウィンドウが、露出した電極の位置で前記歯科用器具を根管長測定器に電気的に結合するべく前記電極の一部を露出する、請求項1に記載の根管長測定器アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、歯内治療のための根管長測定器アタッチメントに関し、より具体的には、根管の長さを求めるべく根尖孔の位置を測定する根管長測定器に接続するための電極を備える根管長測定器アタッチメントに関し、アタッチメントは、片手で保持され、容易に消毒されるように構築される。アタッチメントの形状、構造、及び寸法は、アタッチメントの使いやすさを最大にし、且つ根管長測定器への歯科用器具の機械的及び電気的結合を可能にするように構成される。
【背景技術】
【0002】
根管内部の軟組織である歯髄が炎症を起こした又は感染したときに歯内治療が重要である。炎症又は感染は、深いう蝕、歯に対する繰り返された歯科手技、若しくは歯のひび割れ又は欠けによって引き起こされることがある。歯髄の炎症又は感染が治療されないままの場合、痛みが生じる又は膿瘍につながることがある。根管から歯髄を除去するのに根管用ファイルが用いられ、ファイルは、先端直径が様々であり、テーパが増加し得る。
【0003】
歯内治療中に、歯科医が、根管の長さを求めるのに根管長測定器を用いる場合がある。これは、根尖端に対する根管内の歯科用ファイルの位置の正確な判断を必要とする根管治療を受けなくてはならない患者に必要とされる場合がある。歯根の尖端は、電流への固有抵抗を有する場合があり、これは、リップクリップなどの唇に引っ掛けられ且つファイルクリップなどの歯内ファイルに取り付けられる一対の電極を用いて測定される場合がある。いくつかのアタッチメントは、Minigrabber、Root ZX mini、Joypex File clip、タッチプローブ、及びMedicNRGのMini file holderを含む。
【0004】
Minigrabberは、それにより手用器具がクランプされ得る押しボタンを含む、VDW GmbHにより販売されている根管長測定器のためのファイルクリップアタッチメントである。ファイルクリップは、65mmの長さを有し、押しボタンが押されるときに先端から延び出る金属フックを備える。ファイルクリップは、ケーブルで根管長測定器に接続され得る。Root ZX mini及びJoypex 5のファイルクリップは、クランプせずに根尖の測定を行うことができるようにするべくウィンドウを有する押しボタン付きの他のファイルクリップである。
【0005】
タッチプローブは、根管長測定器と共に用いられる他のアタッチメントである。それらは、金属プローブの歯内ファイルをタッチプローブの金属先端部と触れさせることにより歯内ファイルを根管長測定器に接続するのに用いられる場合がある。MedicNRG Ltd.により製造されるMini file holderは、測定中に歯内ファイルと触れさせるのに同じく用いられる屈曲した金属シートを備える。
【0006】
米国特許出願公開第20030064347号は、根管の長さの測定を可能にするべく歯内ファイルのファイルハンドルの真下で歯内ファイルに取り付けるクリップを開示する。
【0007】
米国特許出願公開第20090148810号は、根管に挿入するためのプローブと患者を接地するためのリップクリップとを有する根管長測定器を開示する。
【0008】
EP1747767は、コネクタに取り付け可能な第1の部分と歯科用器具に取り付け可能な第2の部分とを有し、第2の部分が歯科手技を行いながら歯科用器具を挿入及び保持するのを容易にするスロットを有する、導電性材料で作製された管状の留め金を含む、歯科用器具を電気コネクタに電気的に結合するための結合装置を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの従来の設計に伴う問題は、それらが、それらの後側の押しボタンを用いることにより歯内器具を固定するべく開閉することができる可動部を有することである。この構成に起因して、装置の前部にハウジングの少なくとも1つの開口部が存在し、また、清掃及び消毒することができない、したがって、歯内治療の効率を低下させる洞穴がハウジング内部に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に関連した既存の制限、並びに他の制限は、歯内ファイル又は手用器具に解放可能に係合するための金属要素と、根尖孔の位置、したがって、根管の長さを測定するべく根管長測定器に接続するためのケーブルとを備える根管長測定器アタッチメント/ファイルクリップにより克服され得る。根管長測定器アタッチメント(以下、アタッチメント、ファイルクリップ、タッチプローブ、プローブなどとも呼ばれる)の形状及び構造、並びにアタッチメントの寸法は、他の歯内器具(以下、歯内ファイル、ファイル、手用器具、歯科用器具などとも呼ばれる)との歯内手技に関するアタッチメントの効率及び使いやすさを最大にするように構成されてよい。アタッチメントは、キャビティ又は隙間を有さないように構築され、すべての構成要素が容易に清掃、消毒、及びオートクレーブされるようにし得る。アタッチメントはまた、金属又はプラスチックであり得る、可動部を有さないものであり得る、フックのスプリングバックに基づくクランプ又は引っ掛け機構を含み得る。
【0011】
一態様では、本発明は、根尖孔の深さを測定するための根管長測定器アタッチメントであって、第1の部分及び第2の部分を有する導電性材料で作製された電極と、絶縁オーバーモールドとを備え、第1の部分が、根管測定のために前記根管長測定器アタッチメントを歯科用器具にクランプする又は引っ掛けるためのスプリングバック機構を有するクランプ要素を含み、前記第2の部分が、ジャック型コネクタとして構築される、又は根管長測定器の電気コネクタに接続するべくジャック型コネクタを受け入れるように構築される、根管長測定器アタッチメントを提供する。
【0012】
また別の態様では、本発明は、以下の特徴:(i)絶縁オーバーモールドがUltemなどのポリエーテルイミド製品で作製される、根管長測定器アタッチメント、(ii)絶縁オーバーモールドにウィンドウを備え、ウィンドウが、露出した電極の位置で歯科用器具を根管長測定器に電気的に結合するべく電極の一部を露出する、根管長測定器アタッチメント、(iii)根管長測定器アタッチメントの全体又は一部が屈曲可能に構築される、根管長測定器アタッチメント、(iv)電極が、アタッチメントが再処理中などの加熱後に所定の形状に自動的に戻ることを可能にするべく記憶合金を含む、根管長測定器アタッチメント、(v)電極がNiTi材料を含む、根管長測定器アタッチメント、(vi)根管長測定器アタッチメントの外形の形状が概してピンセットのように構築される、根管長測定器アタッチメント、(vii)歯科用器具をクランプするための第1の部分にある把持ジョーを備える、根管長測定器アタッチメント(vii)異なる軸径の歯科用器具をクランプするための複数の開口部を備える、根管長測定器アタッチメント、のうちの1つ又は複数及びその任意の組み合わせを含み得る。
【0013】
また別の態様では、本発明は、根尖孔の深さを測定するための根管長測定器アタッチメントであって、第1の部分及び第2の部分を有する導電性材料で作製された電極と、絶縁オーバーモールドと、導電性材料で作製されたばねとを備え、ばねが、歯科用器具を把握するための第1の部分にある電極に結合され、前記第2の部分が、ジャック型コネクタとして構築される、又は根管長測定器の電気コネクタに接続するべくジャック型コネクタを受け入れるように構築される、根管長測定器アタッチメントを提供する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、根尖孔の深さを測定するための根管長測定器アタッチメントであって、第1の部分、第2の部分、及び概してピンセットのような形状を有する、導電性材料で作製された金属要素と、金属要素の第1の部分にある把持ジョーと、金属要素の一部を収納する取り外し可能な被覆部材とを備え、取り外し可能な被覆部材が、根管測定のために前記根管長測定器アタッチメントを歯科用器具にクランプする又は引っ掛けるために把持ジョーを開閉するべくスライドさせるように構築され、前記金属要素の第2の部分が、根管長測定器の電気コネクタに接続するべくジャック型コネクタを受け入れるように構築される、根管長測定器を提供する。
【0015】
本明細書での例示的な実施形態によれば、アタッチメントが提供され、アタッチメントの外形は、ピンセットのような形状を有するように構築されてよく、手用器具をクランプするための把持ジョーを備えてよい。
【0016】
別の例示的な実施形態によれば、ファイルクリップは、ピンセットのような形状を有するように構築されてよく、2つのプラスチックフランクを備えてよく、この場合、1つのフランクは電極を収容し、ファイルクリップの一端は、測定ケーブルの雌プラグに差し込まれ得るジャック型コネクタとして構築される。別の実施形態では、ファイルクリップの一端は、別のコネクタに接続するためのケーブルを有し得る。
【0017】
さらに別の実施形態では、ファイルクリップは、異なる軸径の歯内ファイルをクランプするための複数の開口部(例えば、2つの開口部)と共に構築され得る。
【0018】
本明細書での別の例示的な実施形態では、ファイルクリップは、ばねと、プラスチックをオーバーモールドした電極を備えてよく、歯内ファイルは、根管測定のためにばねによりクランプされてよい。
【0019】
本発明の種々の実施形態の他の目的及び利点は読者に明らかとなり、これらの目的及び利点は本開示の範囲内にあることが意図される。上記の及び関連する実施形態を達成するために、本発明は、添付図に例示した形態で具体化され得るが、例示及び説明された特定の構造に本出願の範囲内で変化が加えられ得ることに留意されたい。さらに、アタッチメントは、少なくとも、臼歯に達するように屈曲することができる部分(ネック又は中間部)を有し得る。さらに、これは、金属であり得る屈曲可能部を含み得る。屈曲可能部はまた、アタッチメントが再処理中などの加熱後に所定の形状に自動的に戻ることを可能にするべく記憶合金であってよい。
【0020】
本明細書での種々の実施形態のさらなる特徴及び利点、並びに、構造及び動作を、添付図を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0021】
本明細書で以下に与えられる詳細な説明と、単なる説明として与えられ、したがって本明細書での例示的な実施形態を限定するものではない、同様の要素が同様の参照文字によって表される添付図から、例示的な実施形態がより十分に理解されることとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】本発明に係るピンセットのようなプロファイルを有する一実施形態を例示する図である。
【
図1C】
図1Aに示された実施形態のプラスチック部品を示す図である。
【
図2A】本発明に係るピンセットのようなプロファイルと把持ジョーの第1の形状を有する別の実施形態を示す図である。
【
図2B】本発明に係るピンセットのようなプロファイルと把持ジョーの第2の形状を有する別の実施形態を示す図である。
【
図3】本明細書での一実施形態に係るピンセットのようなプロファイルを有する別の実施形態を示す図である。
【
図4A】歯内ファイルを受け入れるための複数の開口部を備える本発明の別の実施形態の側面図である。
【
図5】歯内ファイルと接触するためのばねを備える本発明に係る別の実施形態を例示する図である。
【
図7】ファイルクリップをタッチプローブとして用いるためのウィンドウを備える本発明に係る別の実施形態を示す図である。
【
図8】タッチプローブとしての導電性材料を備える本発明に係る実施形態を例示する図である。
【
図9】タッチプローブとしての導電性材料を備える本発明に係る異なる実施形態を例示する図である。
【
図10】ファイルクリップをタッチプローブとして用いるためのウィンドウを備える本発明に係る別の実施形態を示す図である。
【
図11】異なるサイズの歯内ファイルをクランプするための複数のノッチを備える本発明に係る一実施形態を示す図である。
【
図12】異なるサイズの歯内ファイルをクランプするための別の複数のノッチを備える本発明に係る一実施形態を示す図である。
【
図13】異なるサイズの歯内ファイルをクランプするための別の複数のノッチを備える本発明に係るさらに別の実施形態を示す図である。
【
図14A】異なるサイズの歯内ファイルをクランプするための複数のノッチとハンドルとを備える本発明に係るさらに別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面のそれぞれは、同じ構成要素を識別するために同じ少なくともいくつかの参照番号を有し得るが、それぞれのこのような構成要素の詳細な説明は、各図面に関して以下に提供されない場合がある。
【0024】
本明細書で説明される例示的な態様によれば、装置は、根管(図示せず)の長さを測定するべく根尖孔の位置を突き止めるために提供されてよく、装置は、歯内ファイル又は手用器具との歯内手技に関するアタッチメントの効率及び使いやすさを最大にするように構成される。装置は、ファイルクリップ、タッチプローブなどであり得る。
【0025】
本明細書で定義される場合の、ピンセット及び/又はピンセットのようなとは、対向するフランク/フィンガが付勢(ばね式)運動を通じて互いに離れる方へ及び/又は向かう方へ移動可能な構造的構成を指す。1つの具体例において、ピンセットのような構造体は、フランク/フィンガがツールをピンセットのような構造体に解放可能に固定する閉位置と、ツールが取り外されてよく、ピンセットのような構造体にもはや固定されない開位置とを有することになる。開位置及び閉位置からの移動は、ユーザにより適用される力及び/又はピンセットのような構造体の付勢力(ばね力)を通じて起こり得る。
【0026】
図1A、
図1B、及び
図1Cは、根管長測定器アタッチメントの一実施形態を例示する。アタッチメント/ファイルクリップ600は、ピンセットのようなプロファイルを有する要素28を含み得る。要素28は、プラスチック材料、金属材料、又は複合材料などの種々の材料で形成されてよい。1つの特定の実施形態では、要素28は、導電性材料で作製され得る金属材料で形成される。手用器具51又は歯内ファイル29は、金属要素の把持ジョー30でクランプされてよい。金属要素28は、プラスチック或いは絶縁材などの被覆部材31で覆われてよい。部材31は、再処理の前に金属要素28に取り外し可能に取り付けられ/固定され(例えば、そこから分解されるように構築され)てよい。プラスチック部品31を要素28の長さに沿ってスライドさせることによりピンセット要素28の把持ジョー30を開閉することができる。各把持ジョー30は、それらの間でのツール29、51の移動を低減する又は実質的に防ぐために、屈曲した端部30Aと1つ以上の突起30Bを含み得る。測定ケーブル62の雌プラグ32への接続は、ジャック型コネクタ33により実現され得る。ファイルクリップ600は、約30mm~約65mm、好ましくは約40mm~約55mmの範囲の(例えば、47mmの)x軸方向の長さを有するように寸法設定されてよい。
【0027】
図2A及び
図2Bに示す本発明の他の実施形態では、ファイルクリップ600a及び600bは、ピンセットのような外形を有し得る。
図2A~
図2Bに示すように、ファイルクリップ600a及び600bは、プラスチックで作製され得る2つのフランク35、36(
図2A)及び38、39(
図2B)を含み得る。フランク36及び39は電極40を収容してよく、電極40は、導電性材料で作製されてよく、測定ケーブル62の雌コネクタ32に差し込まれてよい。2つの実施形態は、把持ジョー(34、37)の形状、並びに下側フランク(36、39)のオーバーモールドの長さが異なり得る。把持ジョー37は、タッチプローブとして用いるために先端37にある金属突出部を含み得る。本明細書では、金属突出部は、根管長測定のために歯内プローブ29に一時的に触れるのに用いられ得る。例示的な実施形態では、Z軸方向のファイルクリップ600aの長さは、55mm~75mm(例えば、67.0mm)であってよい。本明細書での別の例示的な実施形態では、Z軸方向のファイルクリップ600bの長さは、70.0mmであってよい。歯内ファイル29又は手用器具51は、根管測定のために電極40の露出部を含み得る把持ジョー37、34に嵌められてよい。
【0028】
図3は、ピンセットのような外形を有する本発明のさらに別の実施形態を示し、ファイルクリップ600cは2つのフランク41及び42を含み、フランクは、プラスチックで作製されてよい。
図3に示すフランク42は、ファイルクリップの先端43で終端する電極を収容し得る。他端は、測定ケーブル62の雌プラグ32に差し込まれ得るジャック型コネクタ44として構築されてよい。測定ケーブル62は、患者の根尖孔の深さの測定のために電子根管長測定器に接続されてよい。歯内ファイル29又は手用器具51は、把持ジョー68に嵌められてよく、把持ジョー68は、根管測定のために先端43にある電極40の露出部を含み得る。
【0029】
図4Aは、金属電極47と、歯の歯内治療中に歯内ファイルを受け入れるための複数の開口部46とを備える本明細書での別の例示的な実施形態を示す。
図4A及び
図4Bに示すように、ファイルクリップ600dは、プラスチック45を部分的にオーバーモールドされ得る金属電極47を含む。金属電極の一端は、測定ケーブル62の雌コネクタ32に接続するためのジャック型コネクタとして構築されてよい。ファイルクリップ600dはさらに、根管測定中に異なる軸径の歯内ファイル/歯科の手用器具をクランプするための複数の開口部46を含み得る。本明細書での一実施形態では、開口部の数は2つ以上であってよい。加えて、複数の開口部46は、金属で作製されてよく、したがって、タッチプローブとして用いられてよい。
【0030】
図5は、手用器具51又は歯内ファイル29を係合する(解放可能に固定する)ための付勢部材(ばね)50を有するファイルクリップ600eを提供する本発明の別の実施形態を例示する。電極49は、プラスチック或いは絶縁材などの被覆層48によりオーバーモールドされてよい。手用器具51又は歯内ファイル29は、プラスチック部品48の先端に存在し得るばね50でクランプされ得る。電極49は、ケーブル接続端69でジャック型コネクタを受け入れ、他端70でばね50に電気的に接続されるように構築されてよい。ケーブル接続端69にあるジャック型コネクタは、根管測定のために測定ケーブル62の雌コネクタ32に差し込まれてよい。
【0031】
図6は、歯内ファイル29又は手用器具51を係合するためのフック55と共に構築されるファイルクリップ600fを提供する本発明のさらに別の実施形態を例示する。ファイルクリップ600fは、根管長測定器への導電接続をなす電極52を含む。この電極はまた、射出成形プロセス中にプラスチック材料又は他の絶縁材などの被覆部材53をオーバーモールドされてよい。ファイルクリップ600fは、約45mm~約80mm、好ましくは約55mm~約70mmの範囲の(例えば、60mmの)Z軸方向の全長を有するように構築されてよい。Z軸方向の被覆部材/ハンドル53の長さは、約35mm~約70mm、好ましくは約40~約60mmの範囲(例えば、50mm)であってよい。ハンドル71の位置で、電極は、約0.5mm~約5mm、好ましくは約1mm~約3.5mmの範囲の(例えば、2.0mmの)直径を有し得る。前側区域1101で、電極は、0.5mm~2.0mm未満のより小さい直径を有するように設計されてよい。ファイルクリップ600fは、ウィンドウ54を通して手用器具51又は歯内ファイル29を電極52の露出部と触れさせることにより根管測定を可能にするべくウィンドウ54をさらに含み得る。本明細書での例示的な実施形態では、ファイルクリップ600fは、0.5から1mm(例えば、0.6mmから0.8mm)の間の軸径を有する歯内ファイル29と共に用いられるように構築されてよく、歯内ファイル29は、根管測定中にフックにおける電極52の露出部と接触させるためにフック55に保持されてよい。
【0032】
本発明のさらなる実施形態が
図7~
図10に例示される。本明細書では、歯内ファイル29又は手用器具51を係合する(解放可能に固定する)ためのファイルクリップの先端が説明される。ファイルクリップは、前述したのと同様の原理に従って動作してよく、歯内ファイル(歯内ファイルの金属部分)と接触すると、電極56は、根管の長さの測定のためにケーブルを通じて根管長測定器に情報を伝える。ファイルクリップ600g、600h、600i、及び600jは、プラスチック或いは絶縁材などの被覆材をオーバーモールドされ得る導電性材料で作製された電極56を含む。ファイルクリップ先端は、コーティングされた/プラスチック部分で少なくとも部分的に又は実質的に覆われた1つ以上のフランク/フィンガを含み得る。
図7及び
図10に示すように、ファイルクリップ先端は、被覆材で実質的に覆われる第1のフィンガ58Aと、被覆材で部分的に覆われ、少なくとも一方の側部で電極56の少なくとも一部が露出される第2のフィンガ58Bを含み得る。随意的に、
図8及び
図9に示すように、第2のフィンガ58Bに沿った電極56は、実質的に露出されてよい(例えば、被覆材を有さない)。種々のサイズの手用器具のクランピングを提供するために、第1のフィンガ58Aのプラスチック部分は、根管測定中に異なるサイズの歯内ファイル29又は手用器具51を受け入れる及び拘束するための複数のノッチ63を含み得る。ファイルクリップ600g及び600j(
図7及び
図10)は、使用中に電極56の露出した部分を歯内ファイル29と一時的に係合することによりタッチプローブとして用いるためのウィンドウ57を有してよい。他の実施形態では、
図8及び
図9に示されるように、導電性材料(例えば、金属)突出部1301及び1401がタッチプローブとして用いられ得るので、ウィンドウは必要とされない場合がある。
【0033】
図11~
図13は、屈曲した電極59を有するファイルクリップ600k、600l、及び600mを含む本発明のさらなる実施形態を例示する。電極59は、プラスチック或いは絶縁材などの被覆材60をオーバーモールドされてよい。被覆材60は、歯科医が異なるサイズの手用器具をファイルクリップにクランプすることを可能にし得る、手用器具又はファイルの一部を受け入れるための1つ以上のノッチ61を含み得る。本明細書では、電極59は、タッチプローブとしても用いられ得る。
【0034】
図14A~
図14Dに例示されるさらなる実施形態では、ファイルクリップ600nは、歯内ファイル29又は手用器具51を保持するための複数のノッチ61を備える。加えて、片手でしっかりと把握する及び/又は内部電極が壊れるのを防ぐために強化ハンドル64が設けられてよい。本明細書での例示的な実施形態では、ファイルクリップ600nは、再処理中に所定の温度を超えて、例えば華氏250度を超えて加熱された後で所定の形状に自動的に戻る記憶合金(NiTIなど)で部分的に又は全て作製され得る屈曲可能部(例えば、1つ以上の付勢部材)を含み得る。これはまた、ファイルクリップ600の他の実施形態で実現され得る。別の例示的な実施形態では、ファイルクリップ600nは、ファイルクリップ600nの一端で延び、且つファイルクリップに沿って/通って)ノッチ61及び/又は実質的に矩形のプロファイルを有する片持ち延長部65へ延びる電極67を有し得る。片持ち延長部65は、手用器具51又は歯内ファイル29により片持ち延長部65に外向きの力がかかるときにそれ自体とファイルクリップ600nの不動プラスチックアーム66との間に手用器具51又は歯内ファイル29を保持するべくスプリングバックするように構築され得る。
【0035】
同様に、本明細書で説明した実施形態のファイル被覆材は、応力に耐えることができ、且つオートクレーブすることができる材料であり得る。電極67は、屈曲することができるようにニッケル-チタン(NiTi)材料で作製されてよい。本明細書での一実施形態では、被覆材は、Ultem樹脂などのポリエーテルイミド製品から射出成形されてよい。さらに、ファイルクリップの構造は、可動部が存在しない、したがって、微生物が潜んで清掃効率を下げうる隙間及び穴をなくすようにされてよい。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び細部(例えば、異なるファイルクリップ形状、ファイルクリップ通信インターフェースへの根管長測定器など)に種々の変更が加えられ得ることが当業者には明白であろう。
【0036】
他に定めのない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味をもつ。本明細書で挙げられたすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が準拠法及び規則により許される程度に組み込まれる。本開示は、その精神又は本質的な属性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されてよく、したがって、本実施形態はすべての点で例示的なものであって制限的なものではないと考えられることが望まれる。説明の中で用いられるどの見出しも単に便宜のためであって、法的又は限定する効力をもたない。