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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20240423BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240423BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H02P5/46 H
B60L15/20 S
B60L9/18 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020003457
(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公開番号】P2021112062
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000154347
【氏名又は名称】株式会社ユニバンス
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】稲満 幸浩
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/46
B60L 15/20
B60L 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モータの回転数および第2モータの回転数を減速し共通の出力軸に回転を伝達する減速機と、
前記第2モータの回転数を検出する回転センサと、を備える車両に搭載され、前記第1モータ及び前記第2モータを制御する制御装置であって、
前記減速機は、前記第2モータの動力伝達経路の減速比が、前記第1モータの動力伝達経路の減速比よりも小さく、
前記制御装置は、第1モータの瞬時最大トルクを上限として前記第1モータの定格トルクよりも大きいトルクを前記第1モータに出力させる間、第2モータの定格トルクを上限として前記第2モータにトルクを出力させる第1運転モードに設定するモータ制御部を備え、
前記モータ制御部は、前記回転センサが検出する回転数が、前記第2モータの定格トルクにおける基底回転数以上の場合に前記第1運転モードに設定する制御装置。
【請求項2】
前記車両は、前記第1運転モードにおける前記第1モータの運転時間、前記第1モータの温度の少なくとも1つを検出する第1検出部を備え、
前記モータ制御部は、前記第1検出部の検出値が許容値を超えた場合に、前記第1モータの定格トルクを上限として前記第1モータにトルクを出力させる第2運転モードに設定する請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記モータ制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記第1モータの定格トルクを上限として前記第1モータにトルクを出力させる間、前記第2モータの瞬時最大トルクを上限として前記第2モータの定格トルクよりも大きいトルクを前記第2モータに出力させる請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記車両は、前記第2運転モードにおける前記第2モータの運転時間、前記第2モータの温度の少なくとも1つを検出する第2検出部を備え、
前記モータ制御部は、前記第2検出部の検出値が許容値を超えた場合に、前記第2モータの定格トルクを上限として前記第2モータにトルクを出力させる請求項3記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載された2つのモータの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の駆動力を発生する2つのモータの制御装置において、特許文献1には、各モータの定格トルクを上限として2つのモータにトルクを出力させ、悪路を走行するときやスポーツ走行を楽しみたいとき等、運転者が指定したときにだけ各モータの瞬時最大トルクを上限として2つのモータにトルクを出力させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-115145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記技術では、運転者が指定したときにだけモータが出力するトルクの上限を瞬時最大トルクにするので、運転者が指定しない大部分の時間は、各モータが出力するトルクの上限が定格トルクに制限される。そのため定格出力が大きい特別なモータを搭載しない限り、大部分の時間の車両の動力性能を向上できないという問題点がある。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、特別なモータを搭載しなくても車両の動力性能を向上できる制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の制御装置は、車両の駆動力を出力軸に加える2つのモータを制御するものであって、第1モータの瞬時最大トルクを上限として第1モータの定格トルクよりも大きいトルクを第1モータに出力させる間、第2モータの定格トルクを上限として第2モータにトルクを出力させる第1運転モードに設定するモータ制御部を備える。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の制御装置によれば、モータ制御部は、第1モータの瞬時最大トルクを上限として第1モータの定格トルクよりも大きいトルクを第1モータに出力させる間、第2モータの定格トルクを上限として第2モータにトルクを出力させる第1運転モードに設定する。従って2つのモータがトルクを出力するときに、各モータの定格トルクを上限として2つのモータにトルクを出力させる場合に比べ、第1モータの定格トルクよりも大きいトルクを第1モータが出力できる分だけ、車両の動力性能を向上できる。
【0008】
ータ制御部は、第1モータの動力伝達経路の減速比よりも動力伝達経路の減速比が小さい第2モータの回転数が、第2モータの定格トルクにおける基底回転数以上の場合に第1運転モードに設定する。これにより第1運転モードにおいて第2モータが出力軸に加えるトルクを安定にできる。
【0009】
請求項記載の制御装置によれば、モータ制御部は、第1運転モードにおける第1モータの運転時間、第1モータの温度の少なくとも1つを検出する第1検出部の検出値が許容値を超えた場合に、第1モータの定格トルクを上限として第1モータにトルクを出力させる第2運転モードに設定する。よって請求項1の効果に加え、第1モータの過負荷による出力の低下を防止できる。
【0010】
請求項記載の制御装置によれば、モータ制御部は、第2運転モードにおいて、第1モータの定格トルクを上限として第1モータにトルクを出力させる間、第2モータの瞬時最大トルクを上限として第2モータの定格トルクよりも大きいトルクを第2モータに出力させる。これにより第1運転モードから第2運転モードに変わるときに出力軸に加えるトルクが小さくならないようにできるので、請求項の効果に加え、運転者に減速感を与え難くできる。
【0011】
請求項記載の制御装置によれば、モータ制御部は、第2運転モードにおける第2モータの運転時間、第2モータの温度の少なくとも1つを検出する第2検出部の検出値が許容値を超えた場合に、第2モータの定格トルクを上限として第2モータにトルクを出力させる。よって請求項の効果に加え、第2モータの過負荷による出力の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施の形態における車両の機能ブロック図である。
図2】第1モータ、第2モータ及び第1クラッチの動作の組合せを示す図表である。
図3】第1モータ及び第2モータのトルク特性を示す模式図である。
図4】(a)は第1モータ温度監視処理のフローチャートであり、(b)は第2モータ温度監視処理のフローチャートである。
図5】(a)は第1モータトルク監視処理のフローチャートであり、(b)は第2モータトルク監視処理のフローチャートである。
図6】第2モータ回転数監視処理のフローチャートである。
図7】モータ制御処理のフローチャートである。
図8】運転時間と第1モータ及び第2モータの温度との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は一実施の形態における車両10の機能ブロック図である。車両10には動力伝達装置11、第1モータ12、第2モータ13及び制御装置50が搭載されている。
【0014】
動力伝達装置11には、第1モータ12に接続される第1入力軸14、第2モータ13に接続される第2入力軸15及び出力軸16が配置されている。本実施形態では、第1入力軸14及び第2入力軸15は同軸上に配置される。第1入力軸14(第2入力軸15)及び出力軸16は互いに平行に配置されている。第1入力軸14及び第2入力軸15は、それぞれ第1モータ12及び第2モータ13の駆動力を直接受ける主軸である。
【0015】
第1入力軸14及び第2入力軸15は、パイロットベアリング(図示せず)を介して互いに相対回転可能に連結されている。第1モータ12及び第2モータ13は電動モータであり、同一のトルク特性を有している。出力軸16の機械出力は、車軸17の中央に配置された差動装置18に伝達される。車軸17は出力軸16と平行に配置されている。差動装置18は左右の車軸17に駆動力を配分する。差動装置18の動作を制限する制限装置を設けることは当然可能である。車軸17の両端に車輪19がそれぞれ配置されている。車両10は、車輪19以外に複数の車輪(図示せず)が配置されており、車軸17及び車輪19の回転駆動により走行する。
【0016】
第1減速機20は第1入力軸14の回転を減速して出力軸16に伝達する機構である。第1減速機20は、第1入力軸14に結合する第1ギヤ21と、第2クラッチ23の切換によって出力軸16に結合または出力軸16を空転する第2ギヤ22と、を備えている。第2ギヤ22は第1ギヤ21にかみ合う。第1減速機20は、第1ギヤ21と第2ギヤ22とのかみ合いによる減速比に設定される。
【0017】
第2クラッチ23は出力軸16と第2ギヤ22との間に介在する。第2クラッチ23は第2ギヤ22から出力軸16へ正転方向の動力を伝達するワンウェイクラッチである。第2クラッチ23は、第2ギヤ22の正回転を出力軸16に伝達する一方、出力軸16から第2ギヤ22への正回転の伝達を遮断する。
【0018】
第2減速機30は第2入力軸15の回転を減速して出力軸16に伝達する機構である。第2減速機30は、第2入力軸15に結合する第3ギヤ31と、出力軸16に結合し第3ギヤ31にかみ合う第4ギヤ32と、を備えている。第2モータ13は、第2減速機30を介して常に出力軸16に動力を伝達できる。第2減速機30は、第3ギヤ31と第4ギヤ32とのかみ合いにより、第1減速機20の減速比よりも小さい減速比に設定される。第1減速機20は低速用伝動経路であり、第2減速機30は高速用伝動経路である。
【0019】
出力軸16に結合する第5ギヤ33は、差動装置18に結合する第6ギヤ34にかみ合う。第5ギヤ33及び第6ギヤ34は、差動装置18を介して出力軸16の動力を車軸17に伝達する。
【0020】
第1入力軸14と第2入力軸15との間を切断または接続する第1クラッチ40が、第1入力軸14と第2入力軸15との間に配置されている。本実施形態では第1クラッチ40はかみあいクラッチである。制御装置50は、アクチュエータ42を用いてスリーブ41を移動させて第1クラッチ40を断接する。しかし、これに限られるものではなく、第1クラッチ40に摩擦クラッチ等の他のクラッチを採用したりシンクロメッシュを組み込んだりすることは当然可能である。
【0021】
制御装置50(ECU)は、第1モータ12、第2モータ13及び第1クラッチ40を制御するための装置である。制御装置50は、CPU,ROM,RAM及びバックアップRAM(いずれも図示せず)を備えている。
【0022】
CPUは第1モータ12及び第2モータ13の制御を行うモード設定部51及びモータ制御部52、第1モータ12及び第2モータ13を監視する監視部53、各フラグがオンになった時間を測定する計時部54を含む。ROMは、プログラムを実行する際に参照されるマップ及びプログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、各センサから入力されたデータ、CPUでの演算結果、各種フラグ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAMは、保存すべきデータ等を記憶する不揮発性メモリである。
【0023】
制御装置50は、CAN通信線55を介してインバータ60,61が接続されている。制御装置50は、第1回転センサ62、第2回転センサ63、第1温度センサ64、第2温度センサ65、車速センサ66、アクセル開度センサ67、スリーブ位置センサ68、報知装置69及び他の入出力装置70が接続されている。制御装置50は、インバータ60,61を使って第1モータ12及び第2モータ13を力行制御または回生制御する。
【0024】
第1回転センサ62は、第1モータ12の回転数(回転速度)を検出するための装置である。第1回転センサ62は、第1入力軸14の回転数を検出し、その検出結果を処理して制御装置50へ出力する出力回路(図示せず)を備えている。第2回転センサ63は、第2モータ13の回転数(回転速度)を検出するための装置である。第2回転センサ63は、第2入力軸15の回転数を検出し、その検出結果を処理して制御装置50へ出力する出力回路(図示せず)を備えている。
【0025】
制御装置50は、インバータ60に流れる電流量を検出してフィードバックすることにより第1モータ12のトルクを制御し、インバータ61に流れる電流量を検出してフィードバックすることにより第2モータ13のトルクを制御する。また制御装置50は、第1回転センサ62により第1入力軸14の回転数を検出してフィードバックすることにより第1モータ12の回転数を制御し、第2回転センサ63により第2入力軸15の回転数を検出してフィードバックすることにより第2モータ13の回転数を制御する。
【0026】
第1温度センサ64は、第1モータ12の温度を検出するための装置である。第1温度センサ64は第1モータ12の温度を検出し、その検出結果を処理して制御装置50へ出力する出力回路(図示せず)を備えている。第2温度センサ65は、第2モータ13の温度を検出するための装置である。第2温度センサ65は第2モータ13の温度を検出し、その検出結果を処理して制御装置50へ出力する出力回路(図示せず)を備えている。
【0027】
車速センサ66は、車両10の速度(以下「車速」と称す)を検出するための装置である。車速センサ66は、出力軸16の回転速度を検出し、第5ギヤ33、第6ギヤ34及び差動装置18の減速比、車輪19の大きさ等を考慮して車速を算出し、制御装置50へ出力する出力回路(図示せず)を備えている。
【0028】
アクセル開度センサ67は、運転者によるアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を検出し、その検出結果を処理して制御装置50へ出力する出力回路(図示せず)を備えている。アクセル開度センサ67の出力は、運転者が要求する駆動力(トルク/車輪19の半径)に比例する。
【0029】
運転者が要求する総トルク、即ち出力軸16が必要とするトルク(以下「要求トルク」と称す)は、アクセル開度センサ67の検出結果(アクセル開度)と車速センサ66の検出結果(車速)とによって決められる。本実施形態では、要求トルクは、第5ギヤ33、第6ギヤ34及び差動装置18の減速比および車輪19の半径を考慮した出力軸16のトルクとして表される。
【0030】
スリーブ位置センサ68は、第1クラッチ40のスリーブ41の位置を検出し、その検出結果を処理して制御装置50へ出力する出力回路(図示せず)を備えている。スリーブ位置センサ68の検出結果により、制御装置50は、第1クラッチ40がつながっているか切れているかを検出する。
【0031】
報知装置69は、第1モータ12及び第2モータ13の温度などが許容値を超えたことを音や光などによって運転者に知らせる装置である。他の入出力装置70としては、例えば運転者によるブレーキペダル(図示せず)の踏み込み量を検出するブレーキストロークセンサが挙げられる。
【0032】
蓄電装置71は、第1モータ12及び第2モータ13のインバータ60,61や制御装置50等に電力を供給するバッテリやキャパシタ等である。蓄電装置71は、外部電力が供給される他、第1モータ12や第2モータ13からの回生電力が供給され充電される。
【0033】
図2は第1モータ12、第2モータ13及び第1クラッチ40の動作の組合せを示す図表である。図2では各モードにおいて駆動するモータ及び締結するクラッチが×で示される。制御装置50のモード設定部51は、車速センサ66やアクセル開度センサ67等から入力された情報により、ROMに記憶されたマップに基づいて第1モード、第2Aモード、第2Bモード、第3モード及び第4モードのいずれかに切り換える制御をする。
【0034】
第1モードでは、制御装置50は第1クラッチ40を切った状態で第2モータ13は非通電とし、第1モータ12を力行制御する。第1モードは、発進時や低速走行時に使われる。第1モータ12のトルクは、第2減速機30よりも減速比の大きい第1減速機20を介して出力軸16に出力されるので、低速から大きな駆動トルクを得て力強い発進および低速走行が可能となる。
【0035】
第2モード(第2A及び第2Bモード)では、制御装置50は第2モータ13を力行制御する。第2モータ13のトルクは、第1減速機20よりも減速比の小さい第2減速機30を介して出力軸16に出力されるので、電費の良い高速走行が可能となる。ワンウェイクラッチからなる第2クラッチ23は、出力軸16から第2ギヤ22への動力の伝達を遮断するので、第1クラッチ40が切られた第2Aモードにおいて、第2モータ13が出力軸16を駆動するときの第1減速機20及び第1モータ12による引き摺り損失を抑制できる。
【0036】
第2Bモードでは第1クラッチ40がつながれるので、第1モータ12は連れ回る。このときは、第1クラッチ40をつないで第1モータ12及び第2モータ13を駆動する第4モードへの切換要求があったときに、スムーズに第4モードへ切り換えられる。また、第2モードにおいて第1モータ12を非通電とすることにより、その分だけ第2モードのときの消費電力を少なくできる。
【0037】
なお、第2モードにおいて第1モータ12に通電しても良い。出力軸16に第2クラッチ23が配置されているので、第1モータ12により駆動される第2ギヤ22の回転数が、第2モータ13に駆動される第4ギヤ32(出力軸16)の回転数より小さいときは、第2クラッチ23が切れて第1モータ12の駆動力は出力軸16に伝達されないからである。
【0038】
第2モードにおいて第1モータ12に通電して第1モータ12の回転数を上げておくと、第1入力軸14と第2入力軸15との回転数を合わせるときの時間を短縮できるので、第1クラッチ40をつなぎ易くできる。よって、第2モードから第4モードへの切換時間を短縮できる。
【0039】
第3モードでは、制御装置50は第1クラッチ40を切った状態でマップを参照して、第1モータ12及び第2モータ13を力行制御する。第1モータ12により駆動される第2ギヤ22の回転数が、第2モータ13に駆動される第4ギヤ32(出力軸16)の回転数より大きいときは、ワンウェイクラッチからなる第2クラッチ23がつながるので、第1モータ12及び第2モータ13の駆動力が出力軸16に伝達される。
【0040】
一方、第1モータ12により駆動される第2ギヤ22の回転数が、第2モータ13に駆動される第4ギヤ32(出力軸16)の回転数より小さいときは第2クラッチ23が切れるので、第2モータ13の駆動力が出力軸16に伝達される。以上のように出力軸16にワンウェイクラッチからなる第2クラッチ23が配置されるので、第1モータ12及び第2モータ13が出力軸16を駆動する状態と、第2モータ13が出力軸16を駆動する状態とを、切れ目なく切り換えることができる。
【0041】
第4モードでは、制御装置50は第1クラッチ40をつないだ状態で第1モータ12及び第2モータ13を力行制御する。第4モードでは、第1モータ12及び第2モータ13により出力軸16が常に駆動されるので、出力軸16に出力するトルクを大きくできる。特に、第1モータ12及び第2モータ13の両方で高速用伝動経路の第2減速機30を駆動するので、高速でも十分な駆動トルクを得て加速が可能となる。
【0042】
図3は第1モータ12及び第2モータ13のトルク特性を示す模式図である。図3の横軸は第1入力軸14及び第2入力軸15の回転数であり、縦軸は第1入力軸14及び第2入力軸15のトルクである。定格トルク72は、定格出力および定格回転数で第1モータ12や第2モータ13が運転するときに第1モータ12や第2モータ13が出力するトルクである。瞬時最大トルク73は瞬時(短時間)に使用できる最大トルクである。
【0043】
定格出力では第1モータ12や第2モータ13の温度は許容値を超えないので、第1モータ12や第2モータ13は定格トルク72を上限とする連続運転領域74のトルクを連続して出力できる。第1モータ12や第2モータ13は加速時や減速時に瞬時最大トルク73を上限とし定格トルク72よりも大きい短時間運転領域75のトルクを出力できる。
【0044】
定格トルク72は回転数が0からBまで一定であり、回転数B以上になると回転数に対して反比例して定格トルク72が低下する。従って回転数B以上では第1モータ12や第2モータ13の出力は一定である。回転数Bは、第1モータ12及び第2モータ13の定格トルク72における基底回転数である。
【0045】
定格トルク72と瞬時最大トルク73との間の短時間運転領域75には、複数(本実施形態では3つ)の制限値76,77,78が設定されている。制限値77は制限値76よりも大きく、制限値78は制限値77よりも大きい。定格トルク72及び瞬時最大トルク73は第1モータ12や第2モータ13に固有の値である。制限値76,77,78はモータ制御部52により設定される値である。制限値76,77,78の数は3つに限られるものではなく、適宜設定される。
【0046】
図4(a)から図8を参照してモータ監視処理およびモータ制御処理について説明する。図4(a)は第1モータ温度監視処理のフローチャートである。図4(b)は第2モータ温度監視処理のフローチャートである。図5(a)は第1モータトルク監視処理のフローチャートである。図5(b)は第2モータトルク監視処理のフローチャートである。図6は第2モータ回転数監視処理のフローチャートである。図7はモータ制御処理のフローチャートである。図8は運転時間と第1モータ12及び第2モータ13の温度との関係を示す模式図である。
【0047】
各監視処理は第1モータ12及び第2モータ13を監視する処理であり、制御装置50に電源が投入されている間、監視部53によって繰り返し(例えば0.2秒間隔で)実行される。モータ制御処理は第1モータ12及び第2モータ13を制御する処理であり、制御装置50に電源が投入されている間、モータ制御部52によって繰り返し(例えば0.2秒間隔で)実行される。
【0048】
図4(a)に示す第1モータ温度監視処理では、監視部53は第1温度センサ64等の各種検出信号を読み込み(S1)、第1モータ12は許容できる温度か否かを判定する(S2)。第1モータ12の温度が許容値以下の場合には(S2:Yes)、第1フラグをオフして(S3)、この処理を終了する。第1モータ12の温度が許容値よりも高い場合には(S2:No)、第1フラグをオンして(S4)、この処理を終了する。
【0049】
図4(b)に示す第2モータ温度監視処理では、監視部53は第2温度センサ65等の各種検出信号を読み込み(S5)、第2モータ13は許容できる温度か否かを判定する(S6)。第2モータ13の温度が許容値以下の場合には(S6:Yes)、第2フラグをオフして(S7)、この処理を終了する。第2モータ13の温度が許容値よりも高い場合には(S6:No)、第2フラグをオンして(S8)、この処理を終了する。
【0050】
図5(a)に示す第1モータトルク監視処理では、監視部53は第1モータ12が出力するトルクに関する各種検出信号を読み込み(S9)、第1モータ12のトルクは短時間運転領域75(図3参照)か否かを判定する(S10)。第1モータ12のトルクが連続運転領域74の場合には(S10:No)、第3フラグをオフして(S11)、この処理を終了する。第1モータ12のトルクが短時間運転領域75の場合には(S10:Yes)、第3フラグをオンして(S12)、この処理を終了する。計時部54は第3フラグがオンの時間を計測する。計時部54が計測した時間は、第3フラグがオフされると0秒にリセットされる。
【0051】
図5(b)に示す第2モータトルク監視処理では、監視部53は第2モータ13が出力するトルクに関する各種検出信号を読み込み(S13)、第2モータ13のトルクは短時間運転領域75(図3参照)か否かを判定する(S14)。第2モータ13のトルクが連続運転領域74の場合には(S14:No)、第4フラグをオフして(S15)、この処理を終了する。第2モータ13のトルクが短時間運転領域75の場合には(S14:Yes)、第4フラグをオンして(S16)、この処理を終了する。計時部54は第4フラグがオンの時間を計測する。計時部54が計測した時間は、第4フラグがオフされると0秒にリセットされる。
【0052】
図6に示す第2モータ回転数監視処理では、監視部53は第2回転センサ63等の各種検出信号を読み込み(S17)、第2モータ13の回転数は基底回転数B(図3参照)以上か否かを判定する(S18)。第2モータ13の回転数が基底回転数B未満の場合には(S18:No)、第5フラグをオフして(S19)、この処理を終了する。第2モータ13の回転数が基底回転数B以上の場合には(S18:Yes)、第5フラグをオンして(S20)、この処理を終了する。計時部54は第4フラグ及び第5フラグの両方がオンの時間を計測する。計時部54が計測した時間は、第4フラグ及び第5フラグの少なくとも一方がオフされると0秒にリセットされる。
【0053】
図7に示すモータ制御処理では、モータ制御部52はモード設定部51が設定したモード、監視部53が設定したフラグ、計時部54等の各種検出信号を読み込み(S21)、第1モータ12及び第2モータ13を運転中か否か、即ち第3モード又は第4モード(図2参照)に設定されているか否かを判定する(S22)。第3モード又は第4モードに設定されていないときは(S22:No)、この処理を終了する。第3モード又は第4モードに設定されていないときは(S22:No)、第1モータ12及び第2モータ13が出力するトルクは、連続運転できる定格トルク72に制限される。
【0054】
第3モード又は第4モードに設定されているときは(S22:Yes)、モータ制御部52は、第1フラグ及び第2フラグはオンか否かを判定する(S23)。第1フラグ及び第2フラグの少なくとも一方がオフの場合には(S23:No)、第1モータ12及び第2モータ13の少なくとも一方は短時間運転領域75のトルクを出力できるので、報知装置69による報知を解除し(S24)、第5フラグはオンであるか否かを判定する(S25)。第5フラグがオフの場合には(S25:No)、第2モータ13の回転数は基底回転数B未満なので、この処理を終了する。
【0055】
第5フラグがオンの場合には(S25:Yes)、モータ制御部52は、第1モータ12の回転数における第1モータ12の定格トルクを第1モータ12が出力したときの出力軸16上のトルクと第2モータ13の回転数における第2モータ13の定格トルクを第2モータ12が出力したときの出力軸16上のトルクとを合計したトルク(以下「合計トルク」と称す)が、要求トルクよりも小さいか否かを判断する(S26)。要求トルクが合計トルク以下の場合は(S26:No)、この処理を終了する。
【0056】
要求トルクが合計トルクより大きい場合は(S26:Yes)、第1運転モードとして、短時間運転領域75のトルクを第1モータ12が出力できるようにし、その間、連続運転領域74のトルクを第2モータ13に出力させる(S27)。第5フラグがオンの場合は第2モータ13の回転数が基底回転数B以上なので、第1運転モードのときに第2モータ13は連続運転領域74のトルクを出力軸16に安定して加えることができる。第1運転モードでは、図8に示す時間Lのように第1モータ12の温度は上昇するが、第2モータ13の温度はほとんど上昇しない。
【0057】
次いでモータ制御部52は、第1フラグはオンか否かを判定する(S28)。第1フラグがオンの場合には(S28:Yes)、第1モータ12の温度は許容値を超えているので、第2運転モードとして、第1モータ12が出力できるトルクを定格トルク72に制限し、短時間運転領域75のトルクを第2モータ13が出力できるようにする(S30)。これにより第1モータ12の過負荷による出力の低下を防止できる。第2運転モードでは、図8に示す時間Mのように第1モータ12は冷やされて第1モータ12の温度は下降するが、第2モータ13の温度は上昇する。
【0058】
S30の処理では、計時部54が測定した第4フラグ及び第5フラグの両方がオンの時間の長短に基づいて、短時間運転領域75において第2モータ13が出力できるトルクの上限が、制限値76,77,78及び瞬時最大トルク73のいずれかに設定される。モータ制御部52は、第4フラグ及び第5フラグの両方がオンの時間が長くなるにつれて、制限値76,77,78及び瞬時最大トルク73の順に、トルクの上限を上げる。これにより車両10の加速中に第2モータ13の回転数が基底回転数Bを超える場合、第2モータ13が出力するトルクの上限が、一気に瞬時最大トルク73に上がらないようにできる。第2モータ13が出力するトルクが急激に大きくならないようにできるので、第2モータ13が出力するトルクの急変によるショックを抑制できる。
【0059】
一方、第1フラグがオフの場合には(S28:No)、第1モータ12の温度は許容値以下なので、第3フラグがオンの時間は許容値以下か否かを判断する(S29)。第3フラグがオンの時間が許容値以下の場合には(S29:Yes)、S26の処理を実行する。第3フラグがオンの時間が許容値を超えている場合には(S29:No)、S30の処理を実行する。S30の処理により第1モータ12の過負荷による出力の低下を防止できる。
【0060】
次いでモータ制御部52は、第2フラグはオンか否かを判定する(S31)。第2フラグがオンの場合には(S31:Yes)、第2モータ13の温度は許容値を超えているので、第2モータ13が出力できるトルクの上限を定格トルク72に制限する(S33)。これにより第2モータ13の温度上昇を防ぐことができるので、第2モータ13の過負荷による出力の低下を防止できる。
【0061】
第2フラグがオフの場合には(S31:No)、第2モータ13の温度は許容値以下なので、第4フラグがオンの時間は許容値以下か否かを判断する(S32)。第4フラグがオンの時間が許容値以下の場合には(S32:Yes)、S30の処理を実行する。第4フラグがオンの時間が許容値を超えている場合には(S32:No)、S33の処理を実行する。S33の処理により第2モータ13の過負荷による出力の低下を防止できる。モータ制御部52が再び第1運転モードに設定すると、図8に示す時間Nのように第1モータ12の温度は上昇するが、第2モータ13は冷やされて第2モータ13の温度は下降する。
【0062】
S23の処理の結果、第1フラグ及び第2フラグがオンである場合には(S23:Yes)、第1モータ12の温度も第2モータ13の温度も許容値を超えているので、第1モータ12及び第2モータ13が出力できるトルクの上限を定格トルク72に制限する(S34)。これにより第1モータ12及び第2モータ13の温度上昇を抑制できる。さらに報知装置69によって第1モータ12及び第2モータ13の温度が高いことを運転者に知らせる(S35)。これにより第1モータ12及び第2モータ13が出力できるトルクが制限されていることを運転者に知らせることができる。
【0063】
制御装置50によれば、第1モータ12の瞬時最大トルク73を上限として第1モータ12にトルクを出力させる間、第2モータ13の定格トルク72を上限として第2モータ13にトルクを出力させる第1運転モードにモータ制御部52が設定する。よって、第1モータ12及び第2モータ13がトルクを出力するときに、第1モータ12及び第2モータ13のトルクが連続運転領域74に制限される場合に比べ、短時間運転領域75のトルクを第1モータ12が出力できる分だけ、モータが出力するトルクを大きくできる。
【0064】
従って定格出力が大きい特別な第1モータ12及び第2モータ13を採用しなくても車両10の加速力や最高速度などの動力性能を向上できる。また、定格出力が大きい特別な第1モータ12及び第2モータ13を採用しなくても済むので、車両10の動力伝達装置11の設計の自由度を向上できる。
【0065】
モータ制御部52は、第1モータ12の動力伝達経路である第1減速機20の減速比よりも、第2モータ13の動力伝達経路である第2減速機30の減速比が小さい。第2モータ13の回転数が、第2モータ13の定格トルク72における基底回転数B以上の場合に第1運転モードに設定するので、第1運転モードにおいて第2モータ13が出力軸16に加えるトルクを安定にできる。
【0066】
モータ制御部52は、第1モータ12の短時間運転領域75における運転時間、第1モータ12の温度の少なくとも1つが許容値を超えた場合に、第1モータ12の定格トルク72を上限として第1モータ12にトルクを出力させる第2運転モードに設定する。よって第1モータ12の過負荷による出力の低下を防止できる。
【0067】
モータ制御部52は、第2運転モードにおいて、第1モータ12の定格トルク72を上限として第1モータ12にトルクを出力させる間、第2モータ13の瞬時最大トルク73を上限として第2モータ13にトルクを出力させる。これにより第1運転モードから第2運転モードに変わるときに出力軸16に加えるトルクが小さくならないようにできるので、運転者に減速感を与え難くできる。
【0068】
モータ制御部52は、第2モータ13の短時間運転領域75における運転時間、第2モータ13の温度の少なくとも1つが許容値を超えた場合に、第2モータ13の定格トルク72を上限として第2モータ13にトルクを出力させる。よって第2モータ13の過負荷による出力の低下を防止できる。
【0069】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0070】
実施形態では、車速センサ66やアクセル開度センサ67等から入力された情報によりマップに基づいて第1モード、第2Aモード、第2Bモード、第3モード及び第4モードのいずれかに切り換える制御をする場合について説明したが、これに限られるものではない。車速に代えて、出力軸16や車軸17の回転数や角速度などを用いてモードの切り換えを行うことは当然可能である。出力軸16や車軸17の回転数や角速度などは車速に比例するので、本質的に同じだからである。また、アクセル開速度(アクセル開度の変化速度)等のように、運転者が要求するトルクに比例する因子であれば、他の因子を用いることは当然可能である。ブレーキストロークセンサの検出結果をこの因子に加えることは当然可能である。
【0071】
実施形態では、第1モータ12及び第2モータ13にトルク特性が同一の電動モータを用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。トルク特性が異なる電動モータを用いることは当然可能である。例えば、低速用のトルク特性を有するモータを第1モータ12とし、高速用のトルク特性を有するモータを第2モータ13とする。
【0072】
実施形態では、第1モータ12及び第2モータ13(2つのモータ)が配置された車両10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1モータ12及び第2モータ13に加え、別の1つ又は複数のモータを設けたりエンジンを設けたりすることは当然である。
【0073】
実施形態では、モータ制御処理(図7参照)においてS28の処理とS29の処理とを含み、S31の処理とS32の処理とを含む場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。S28,S29の処理の一方を省略したりS31,S32の処理の一方を省略したりすることは当然可能である。
【0074】
実施形態では、S30の処理において、計時部54が測定した第4フラグ及び第5フラグの両方がオンの時間が長くなるにつれて、第2モータ13が出力できるトルクの上限を段階的に大きくする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0075】
例えば第4モードに設定されている場合に、S30の処理において、第4フラグがオンの時間が長くなるにつれて、第2モータ13が出力できるトルクの上限を制限値76,77,78及び瞬時最大トルク73の順に上げることは当然可能である。第4モードでは第1モータ12及び第2モータ13の両方で高速用伝動経路の第2減速機30を駆動するので、第2モータ13の回転数に関わらず、出力軸16にトルクを安定して出力できる。従って第2モータ13が出力できるトルクの上限を第2モータ13の回転数に関わらず段階的に大きくすることにより、第2モータ13が出力するトルクが急激に大きくならないようにできるので、第2モータ13が出力するトルクの急変によるショックを抑制できる。
【0076】
同様にS27の処理において、第3モード・第4モードに関わらず、第2フラグがオンの時間が長くなるにつれて、第1モータ12が出力できるトルクの上限を制限値76,77,78及び瞬時最大トルク73の順に上げることは当然可能である。
【0077】
実施形態ではS26の処理において、出力軸16上の合計トルクと要求トルクとをモータ制御部52が比較する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えばモータ制御部52は、S26の処理において、第1モータ12の回転数における第1モータ12の定格トルクを第1モータ12が出力したときの第1入力軸14のトルクと第2モータ13の回転数における第2モータ13の定格トルクを第2モータ12が出力したときの第2入力軸15のトルクとを合計したトルク(合計トルク)と、運転者が必要とする総トルクを第1入力軸14のトルクと第2入力軸15のトルクとを合計したトルクに換算したトルク(要求トルク)と、を比較することは当然可能である。
【0078】
実施形態では、第1入力軸14及び第2入力軸15と出力軸16との間に中間軸が配置されていない場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。中間軸を1本以上設け、中間軸にそれぞれギヤを配置し、第1減速機20及び第2減速機30の一部を構成する歯車列を中間軸に設けることは当然可能である。
【0079】
実施形態では、第1入力軸14及び第2入力軸15が第1モータ12及び第2モータ13の駆動力を直接受ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1モータ12と第1入力軸14との間や第2モータ13と第2入力軸15との間に歯車列やベルト等を介在することは当然可能である。
【0080】
実施形態では、第1入力軸14と第2入力軸15とが同軸上に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1入力軸14と第2入力軸15とを平行に配置したり交軸にしたりすることは当然可能である。
【0081】
実施形態では、歯車列を用いて第1減速機20及び第2減速機30を構成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1減速機20及び第2減速機30に、ベルトや無段変速機(CVT)等を用いた他の減速機を用いることは当然可能である。
【0082】
実施形態では、第1減速機20を第1モータ12と別に配置する場合について説明したが、ギヤードモータのように、第1減速機20を一体に第1モータ12に組み付けることは当然可能である。同様に、第2減速機30を一体に第2モータ13に組み付けることは当然可能である。
【0083】
実施形態では、第1入力軸14と第2入力軸15とを断続する第1クラッチ40が配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1クラッチ40を省略することは当然可能である。
【0084】
実施形態では、第1減速機20を出力軸16に断続する第2クラッチ23がワンウェイクラッチの場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。摩擦クラッチやかみ合いクラッチ等によって第2クラッチ23を構成することは当然可能である。この場合、制御装置50は、摩擦クラッチやかみ合いクラッチ等からなる第2クラッチ23の断続を制御する。
【0085】
実施形態では、出力軸16と平行に配置された車軸17に車輪19が取り付けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば差動装置18に一対のプロペラシャフトを接続し、そのプロペラシャフトをそれぞれ車軸に接続することは当然可能である。これにより4輪駆動の車両が得られる。
【符号の説明】
【0086】
10 車両
12 第1モータ(モータ)
13 第2モータ(モータ)
16 出力軸
20 第1減速機(減速機)
30 第2減速機(減速機)
50 制御装置
52 モータ制御部
63 第2回転センサ(回転センサ)
64 第1温度センサ(第1検出部)
65 第2温度センサ(第2検出部)
72 定格トルク
73 瞬時最大トルク
B 基底回転数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8