(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240423BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 838
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2020004069
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】佐枝 政夫
(72)【発明者】
【氏名】中井 康博
(72)【発明者】
【氏名】片本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】村上 光一
(72)【発明者】
【氏名】早野 康友
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-209480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置であって、前記所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物および前記サービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出する検出手段、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、前記検出手段によって当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、当該物品が存在する所定の箇所から回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定手段、および前記サービスが実行された後、前記注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行う注意手段を備える、情報処理装置において、
前記設定手段は、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが前記検出手段によって検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、
前記注意手段は、前記設定手段によって注意対象物品として設定された前記第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意を行うことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の物品のうち、前記サービスにおいて実際に使用されたユーザの所有物および前記サービスに関連して実際に出力された出力物を特定する特定手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記サービスにおいて実際に使用されたユーザの所有物および前記サービスに関連して実際に出力された出力物を前記注意対象物品に設定する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
ディスプレイを備え、所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置であって、前記所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物および前記サービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品が存在する処理の箇所から回収されたかどうかを検出する検出手段、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、前記検出手段によって当該物品が存在する処理の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、当該物品が存在する処理の箇所から回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定手段、および前記サービスが実行された後、前記注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行うための注意部を前記ディスプレイに表示する注意手段を備える、情報処理装置において、
前記設定手段は、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが前記検出手段によって検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、
前記注意手段は、前記設定手段によって注意対象物品として設定された前記第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意部を前記ディスプレイに表示させ、さらに
所定のキーが操作されるか、所定時間経過後に前記注意部を非表示にすることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項4】
前記注意部は、前記情報処理装置の外観図を含み、
前記注意手段は、前記注意対象物品が存在する所定の箇所に対応する前記外観図における所定の部分を強調して表示させる、請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザ操作を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記注意部は、前記注意対象物品のそれぞれに対応する個別注意部を含み、
前記注意手段は、前記第1種類の物品に対応する前記個別注意部または前記外観図における前記第1種類の物品に対応する前記所定の部分が前記入力手段を介してユーザにより選択された場合に、当該個別注意部または当該部分に対応する物品についての注意を中止する、請求項
4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2種類の物品に対応する前記個別注意部または前記第2種類の物品に対応する前記所定の部分が選択された場合であって、当該第2種類の物品が回収されていない場合に、警告を行う警告手段をさらに備える、請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
音声出力手段をさらに備え、
前記注意手段は、前記注意対象物品の取り忘れを防止するための音声を、前記音声出力手段から出力させる、請求項1から6までのいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記注意手段は、前記第2種類の物品のうち、回収された物品についての前記音声を前記音声出力手段に出力させない、請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記注意手段は、前記第1種類の物品についての前記音声と、前記第2種類の物品のうち、回収されていない物品についての前記音声を前記音声出力手段から出力させる、請求項7または8記載の情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれかに記載の情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能な画像形成装置とを備え、
前記所定のサービスは、前記情報処理装置と前記画像形成装置とが協働することによってユーザに提供される、情報処理システム。
【請求項11】
所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置の制御プログラムであって、前記情報処理装置のプロセッサに、前記所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物および前記サービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出する検出ステップ、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、前記検出ステップで当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定ステップ、および前記サービスが実行された後、前記注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行う注意ステップを実行させ、さらに
前記設定ステップでは、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが前記検出ステップで検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、
前記注意ステップでは、前記設定ステップにおいて注意対象物品として設定された前記第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意を行うことを特徴とする、制御プログラム。
【請求項12】
所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置の制御プログラムであって、前記情報処理装置のプロセッサに、前記所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物および前記サービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出する検出ステップ、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、前記検出ステップで当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定ステップ、および前記サービスが実行された後、前記注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行う注意ステップを実行させ、さらに
前記設定ステップでは、前記サービスが実行された後、前記複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが前記検出ステップで検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、
前記注意ステップでは、前記設定ステップにおいて注意対象物品として設定された前記第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意を行うことを特徴とする、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、情報処理システム、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置、情報処理システム、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の背景技術の一例が特許文献1に開示される。背景技術の画像形成装置は、対象物検出手段および音声メッセージ出力手段を備える。対象物検出手段は、利用者が立ち去ったか否か、あるいは利用者が代わったか否かと、排出トレイやソーター内に複写済用紙が残っているか否かを検出する。音声メッセージ出力手段は、画像形成装置の動作が完了し、利用者が立ち去ったか利用者が代わったにもかかわらず排出トレイやソーター内に複写済用紙が残っていると対象物検出手段で検知された場合には、複写済用紙の取り忘れがあることを知らせる音声メッセージを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術の画像形成装置では、対象物検出手段で検知できない物品については取り忘れがあることを知らせる音声メッセージが出力されない。このため、対象物検出手段で検知できない物品については、ユーザに取り忘れがあることを気付かせることができないという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、情報処理装置、情報処理システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、所定のサービスに関する物品の取り忘れを効果的に予防することができる、情報処理装置、情報処理システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施例は、所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置であって、所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物およびサービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出する検出手段、サービスが実行された後、複数の物品のうち、検出手段によって当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、当該物品が存在する所定の箇所から回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定手段、およびサービスが実行された後、注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行う注意手段を備える、情報処理装置において、設定手段は、サービスが実行された後、複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが検出手段によって検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、注意手段は、設定手段によって注意対象物品として設定された第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意を行うことを特徴とする、情報処理装置である。
【0009】
第2の実施例は、第1の実施例に従属する情報処理装置であって、複数の物品のうち、サービスにおいて実際に使用されたユーザの所有物およびサービスに関連して実際に出力された出力物を特定する特定手段をさらに備え、設定手段は、サービスにおいて実際に使用されたユーザの所有物およびサービスに関連して実際に出力された出力物を注意対象物品に設定する。
【0010】
第3の実施例は、第1または第2の実施例に従属する情報処理装置であって、ディスプレイをさらに備え、注意手段は、注意対象物品の取り忘れを防止するための注意部を含む報知画面をディスプレイに表示させる。
【0011】
第4の実施例は、ディスプレイを備え、所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置であって、所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物およびサービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品が存在する処理の箇所から回収されたかどうかを検出する検出手段、サービスが実行された後、複数の物品のうち、検出手段によって当該物品が存在する処理の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、当該物品が存在する処理の箇所から回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定手段、およびサービスが実行された後、注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行うための注意部をディスプレイに表示する注意手段を備える、情報処理装置において、設定手段は、サービスが実行された後、複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが検出手段によって検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、注意手段は、設定手段によって注意対象物品として設定された第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意部をディスプレイに表示させ、さらに所定のキーが操作されるか、所定時間経過後に注意部を非表示にすることを特徴とする、情報処理装置である。
【0012】
第5の実施例は、第4の実施例に従属する情報処理装置であって、ユーザ操作を受け付ける入力手段をさらに備え、注意部は、注意対象物品のそれぞれに対応する個別注意部を含み、注意手段は、第1種類の物品に対応する個別注意部または外観図における第1種類の物品に対応する所定の部分が入力手段を介してユーザにより選択された場合に、当該個別注意部または当該部分に対応する物品についての注意を中止する。
【0013】
第6の実施例は、第5の実施例に従属する情報処理装置であって、注意手段は、第2種類の物品に対応する個別注意部または外観図における第2種類の物品に対応する所定の部分が選択された場合であって、当該第2種類の物品が回収されていない場合に、警告を行う。
【0014】
第7の実施例は、第1から第6までのいずれかの実施例に従属する情報処理装置であって、音声出力手段をさらに備え、注意手段は、注意対象物品の取り忘れを防止するための音声を、音声出力手段から出力させる。
【0015】
第8の実施例は、第7の実施例に従属する情報処理装置であって、注意手段は、第2種類の物品のうち、回収された物品についての音声を音声出力手段に出力させない。
【0016】
第9の実施例は、第7または第8の実施例に従属する情報処理装置であって、注意手段は、第1種類の物品についての音声と、第2種類の物品のうち、回収されていない物品についての音声を音声出力手段から出力させる。
【0017】
第10の実施例は、第1から第9までのいずれかの実施例の情報処理装置と、情報処理装置と通信可能な画像形成装置とを備え、所定のサービスは、情報処理装置と画像形成装置とが協働することによってユーザに提供される情報処理システムである。
【0018】
第11の実施例は、所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置の制御プログラムであって、情報処理装置のプロセッサに、所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物およびサービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出する検出ステップ、サービスが実行された後、複数の物品のうち、検出ステップで当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定ステップ、およびサービスが実行された後、注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行う注意ステップを実行させ、さらに設定ステップでは、サービスが実行された後、複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが検出ステップで検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、注意ステップでは、設定ステップにおいて注意対象物品として設定された第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意を行うことを特徴とする、制御プログラムである。
【0019】
第12の実施例は、所定のサービスをユーザに提供する情報処理装置の制御プログラムであって、情報処理装置のプロセッサに、所定のサービスで使用されるかまたは使用可能なユーザの所有物およびサービスに関連して出力される出力物を含む複数の物品のうち、一部の物品について当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出する検出ステップ、サービスが実行された後、複数の物品のうち、検出ステップで当該物品の存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、回収されていない物品を注意対象物品に設定する設定ステップ、およびサービスが実行された後、注意対象物品について、取り忘れを防止するための注意を行う注意ステップを実行させ、さらに設定ステップでは、サービスが実行された後、複数の物品のうち、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかが検出ステップで検出されない第1種類の物品についても、注意対象物品に設定し、
注意ステップでは、設定ステップにおいて注意対象物品として設定された第1種類の物品についても、取り忘れを防止するための注意を行うことを特徴とする、制御方法である。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、所定のサービスに関する物品の取り忘れを効果的に予防することができる。
【0021】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1はこの発明の一実施例である情報処理システムの外観構成を示す図解図である。
【
図2】
図2は
図1に示す情報処理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は
図1に示す画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4はホーム画面の一例を示す図解図である。
【
図5B】
図5Bは忘れ物報知画面の他の例を示す図解図である。
【
図5C】
図5Cは忘れ物報知画面の他の例を示す図解図である。
【
図6】
図6は情報処理システムが提供可能なサービスとそれぞれのサービスにおいて取り忘れの注意の対象となる物品となり得る物品との関係を示す図である。
【
図7】
図7は
図2に示す情報処理装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【
図8】
図8は
図3に示す画像形成装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【
図9】
図9は
図2に示すCPUの忘れ物注意処理の一例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は第2実施例における忘れ物注意処理の一例を示すフロー図である。
【
図11】
図11は第2実施例におけるコピーサービスにおいて取り忘れの注意の対象となる物品を示す図である。
【
図13】
図13は第3実施例における忘れ物注意処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施例]
図1はこの発明の情報処理システム100の構成の一例を示す図である。この
図1を参照して、この発明の第1実施例である情報処理システム100は、情報処理装置10および画像形成装置70を含む。
【0024】
情報処理装置10は、スーパーマーケット、レストランまたはコンビニエンスストアなどの店舗、並びに駅、バスターミナル、空港、役所または図書館などの公共施設に配置されるマルチメディアキオスク(MMK)端末である。この情報処理装置10は、配置される場所に応じて各種情報または所定のサービス(機能)を利用者(ユーザ)に提供する。また、詳細は後述するが、情報処理装置10は、画像形成装置70と協働して、コピー、プリント、スキャンおよびファクスなどの所定のサービスをユーザに提供することもできる。
【0025】
なお、この明細書では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり後述するディスプレイ14が設けられる側の面を前面(正面)として情報処理装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、情報処理装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから情報処理装置10を見た状態を基準として規定する。これらのことは、画像形成装置70についても同様である。
【0026】
情報処理装置10は、タッチパネル12付きのディスプレイ14、記憶媒体接続部16、紙片用プリンタ18、符号読取部20、近距離通信部22、貨幣処理部24および写真用プリンタ26を含む装置本体28を備える。
【0027】
タッチパネル12付きのディスプレイ14は、情報処理装置10(装置本体28)の上端部に配置される。タッチパネル12は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル12としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ14の表示面上にタッチパネル12が設けられる。ただし、タッチパネル12とディスプレイ14とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。また、ディスプレイ14としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0028】
記憶媒体接続部16は、各種の記憶媒体を装着するための装着部(たとえばドライブおよびメモリスロット)を含む。各種の記憶媒体は、光ディスク(たとえばCD-R、DVD-RおよびBD-Rなど)およびフラッシュメモリ(たとえばUSBメモリ、SDメモリカードおよびメモリースティックなど)などである。ただし、光ディスクは、ドライブに装着される。また、フラッシュメモリは、メモリスロットに装着される。
【0029】
紙片用プリンタ18(第3画像形成部)は、たとえばサーマルプリンタ(感熱式プリンタ)またはドットインパクトプリンタであり、レシート、領収書、ジャーナルまたはクーポン券などの画像が印刷された紙片を発行する。具体的には、紙片用プリンタ18は、ロール紙上に各種の文字列、画像、コードパターン(バーコードなど)などを印刷し、印刷済の紙片を排紙部18aから排出する。
【0030】
符号読取部20は、たとえばレーザスキャナまたはカメラなどを含み、商品、カード、レシートなどに付された符号またはユーザ端末(携帯端末)の画面に表示された符号などを読み取ることができる。符号読取部20で読み取ることができる符号には、バーコード(1次元バーコード)または2次元コード(たとえばQRコード(登録商標)、マイクロQRコード、DataMATRIX、MaxiCODEおよびVeriCODEなど)などがある。
【0031】
近距離通信部22は、たとえば、ISO/IEC18092等の通信規格(いわゆるNFC(Near Field Communication))等に従って、ICカード(身分証、会員証または社員証など)またはユーザ端末等の通信対象との間で無線による非接触のデータ通信を行うものである。近距離通信部22の通信可能距離は、数cm~数m程度である。近距離通信部22は、通信対象に対して、通信対象に記憶されたデータの読み出しを指示する信号(読出し命令)を送信する。通信対象は、読出し命令に対する応答として所望のデータを近距離通信部22に送信する。また、近距離通信部22は、通信対象に書き込むデータ(書き込みデータ)とともに書き込みを指示する信号(書き込み命令)を送信する。通信対象は、書き込み命令に従って、受信した書き込みデータを通信対象の記憶部に書き込む(記憶する)。
【0032】
貨幣処理部24は、貨幣投入部24aおよび硬貨返却口24bを含む。貨幣投入部24aは、硬貨投入口、紙幣投入口および釣銭返却レバー等を含み、近距離通信部22の下方に配置される。硬貨投入口から投入された硬貨および紙幣投入口から投入された紙幣は、それぞれ種類毎に分類されて所定の貨幣格納部(不図示)に収容される。貨幣格納部は、硬貨用の格納部および紙幣用の格納部を含む。硬貨または紙幣が投入されると、硬貨用の格納部に収容された硬貨の種類および枚数と、紙幣用の格納部に収容された紙幣の種類および枚数とに応じて、投入金額が算出される。情報処理装置10において所定のサービスが実行されると、そのサービスの内容に応じた費用(料金)が投入金額から減算され、投入金額の残高が算出される。また、釣銭返却レバーが操作されると、投入金額の残高に応じて、硬貨または紙幣(おつり)が返却される。ただし、硬貨は、貨幣投入部24aの下方に設けられる硬貨返却口24bから返却され、紙幣は、紙幣投入口から返却される。
【0033】
写真用プリンタ26(第2画像形成部)は、たとえば昇華型プリンタまたはインクジェットプリンタであり、写真用の用紙(写真用紙)上に画像を印刷する。写真用プリンタ26で印刷された写真は、排出部26aに排出される。ただし、用紙上に画像を形成するための画像データとしては、記憶媒体接続部16に接続された記憶媒体に記憶された画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。また、写真用プリンタ26で印刷される写真のサイズは、L判サイズまたは2L判サイズなどである。
【0034】
図2は
図1に示す情報処理装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図2を参照して、情報処理装置10はCPU32を含む。CPU32には、バス60を介してRAM34、ROM36、タッチパネル制御回路38、表示制御回路40、記憶媒体接続部16、紙片用プリンタ18、符号読取部20、近距離通信部22、貨幣処理部24、写真用プリンタ26、通信回路44およびオーディオIC46が接続される。また、タッチパネル制御回路38にはタッチパネル12が接続され、表示制御回路40にはディスプレイ14が接続され、オーディオIC46にはスピーカ48が接続される。
【0035】
CPU32は、情報処理装置10の全体的な制御を司る。RAM34は、CPU32のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。ROM36は、情報処理装置10の起動プログラムや各種情報についてのデフォルト値を記憶する。
【0036】
タッチパネル制御回路38は、タッチパネル12に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル12のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU32に出力する。
【0037】
表示制御回路40は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU32の指示の下、GPUは、RAM34に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ14に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ14に出力する。
【0038】
通信回路44は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路44は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU32からの指示に従って、ネットワークを介して、サーバ等の外部コンピュータ(外部端末)と通信する。ただし、通信回路44は、ネットワークを介さずに、有線または無線(たとえば赤外線方式、WiFi(登録商標)方式またはブルートゥース(Bluetooth;登録商標)方式)で、画像形成装置70およびユーザ端末などと直接通信することも可能である。
【0039】
オーディオIC46は、CPU32の指示に従って、音声データを再生し、再生した音声をスピーカ48から出力する。したがって、音声データに対応する音または音声(合成音声)がスピーカ48から出力される。
【0040】
なお、
図2に示す情報処理装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
【0041】
図1に戻って、画像形成装置70は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。
【0042】
画像形成装置70は、画像読取部72、画像形成部74、給紙装置76および排紙トレイ78を含む装置本体80を備える。ただし、画像形成装置70は、情報処理装置10の近傍に設置される。たとえば、画像形成装置70は、情報処理装置10の右側に隣接して設けられる。
【0043】
画像読取部72は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、装置本体80に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー72aが開閉自在に取り付けられる。
【0044】
また、画像読取部72は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部72は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0045】
画像形成部74(第1画像形成部)は、装置本体80に内蔵され、画像読取部72の下方に設けられる。この画像形成部74は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置および定着装置などを備える。画像形成部74は、給紙装置76等から搬送される記録媒体(画像形成用の用紙)上に電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙(印刷物)を画像読取部72および画像形成部74の間に設けられる排紙トレイ78に排出する。ただし、用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部72で読み取った画像データ、情報処理装置10から送信された画像データ、または外部コンピュータ(サーバ等)から送信された画像データ等が利用される。
【0046】
図3は
図1に示す画像形成装置70の電気的な構成を示すブロック図である。
図3を参照して、画像形成装置70はCPU82を含む。CPU82には、バス90を介してRAM84、HDD86、画像読取部72、画像形成部74、原稿検出部88、印刷物検出部94および通信回路92が接続される。
【0047】
CPU82は、画像形成装置70の全体的な制御を司る。RAM84は、CPU82のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0048】
HDD86は、画像形成装置70の主記憶装置であって、CPU82が画像形成装置70の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよび各種の画面についての表示画像データ等を適宜記憶する。ただし、HDD86に代えて、またはHDD86とともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
【0049】
原稿検出部88は、原稿台に原稿がセットされているかどうかを検出するために設けられる。具体的な原稿の検出方法は、以下の通りである。
【0050】
第1の検出方法としては、原稿のスキャン(本スキャン)に先立ち、プレスキャンを実行し、ラインセンサの受光素子に結像された反射光の輝度または色度に応じて、原稿載置台上に原稿が存在するかどうかを判断する方法がある。この場合、画像読取部72が原稿検出部88としても機能する。つまり、画像読取部72と原稿検出部88とが兼用される。
【0051】
また、第2の検出方法としては、画像読取部30に、専用の原稿検出センサを設け、この原稿検出センサの出力に応じて、原稿載置台上に原稿が存在するかどうかを判断する方法がある。原稿検出センサとしては、反射型の光電センサまたは透過型の光電センサを用いることができる。たとえば、原稿検出センサは、原稿載置台の左奥の角付近等の、原稿のセット位置の範囲内に設けられる。
【0052】
さらに、第3の検出方法としては、原稿押えカバー72aが開閉されたことによって、原稿載置台上に原稿が存在すると判断する方法がある。この場合、原稿押えカバー72aが開状態にされた後に、原稿押えカバー72aが閉状態にされた場合に、原稿載置台上に原稿が載置されたと推定して、原稿載置台上に原稿が存在すると判断される。また、原稿載置台上に原稿が存在すると判断されている状態で、原稿押えカバー72aが開状態にされると、原稿載置台上から原稿が取り除かれた(原稿が存在しない)と判断される。
【0053】
印刷物検出部94は、排紙トレイ78に排出された印刷物の有無を検出するために設けられる。この印刷物検出部94は、排紙トレイ78に排出された印刷物の有無を検出するための排紙センサを含む。排紙センサとしては、汎用の光学センサまたは接触式センサを用いることができる。たとえば、排紙センサとして反射型の光学センサを用いる場合には、排紙センサは、発光部および受光部を含む。排紙トレイ78に印刷物がある場合と、無い場合とで、発光部から出力された光が受光部に入射されたり、発光部から出力された光が受光部に入射されなかったりする。そして、排紙センサの出力に基づいて、排紙トレイ78に印刷物があるかどうかが判断される。
【0054】
通信回路92は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路92は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU82からの指示に従って、ネットワークを介して、サーバ等の外部コンピュータと通信する。ただし、通信回路92は、ネットワークを介さずに、有線または無線で、情報処理装置10と直接通信することも可能である。
【0055】
ただし、原稿検出部88および印刷物検出部94は、通信回路92および通信回路44を介して情報処理装置10のCPU32に接続されており、CPU32によって制御される。
【0056】
なお、
図3に示す画像形成装置70の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
【0057】
このような構成の情報処理システム100では、情報処理装置10は、ディスプレイ14に表示されるGUIを介してユーザ操作を受け付ける。具体的には、情報処理装置10のディスプレイ14に種々の操作画面(設定画面)を表示し、タッチパネル12へのタッチ入力に応じてユーザ操作を受け付ける。すなわち、タッチパネル12付きのディスプレイ14がユーザ操作を受け付ける入力手段として機能する。情報処理システム100では、設定画面で設定された内容に応じて、所定のサービスが実行される。
【0058】
ここで、従来の情報処理システムでは、原稿または印刷物等の物品の有無を検出し、物品の取り忘れが発生していると判断した場合に、物品の取り忘れがあることを知らせる音声メッセージを出力するものがある。
【0059】
しかしながら、従来の情報処理システムでは、有無を検出できない物品については取り忘れがあることを知らせる音声メッセージが出力されない。このため、有無を検出できない物品については、ユーザに取り忘れがあることを気付かせることができないという問題がある。
【0060】
以下、
図4~
図6を参照して情報処理システム100の具体的な動作例を説明する。情報処理装置10および画像形成装置70の主電源がオンされて、各機能を実行可能な待機状態にある場合、情報処理装置10のディスプレイ14には、
図4に示すようなホーム画面110が表示される。ホーム画面110は、サービスを選択するための操作画面である。このホーム画面110には、情報処理システム100で提供されるサービスを選択するための複数のキー112が表示される。ただし、この第1実施例では、サービスは、コピー、スキャン、印刷(プリント)およびファクスの送受信などを意味する。
【0061】
複数のキー112の各々は、略矩形状の枠で囲まれた画像であり、ソフトウェアキーとして機能する。複数のキー112の各々には、“コピー”、“スマホからプリント”、 “記録メディアからプリント”、“ファクス”、“スキャン”、“写真・文書プリント”、“ネットワークプリント”および“行政サービス”等のサービスが割り当てられている。
【0062】
なお、コピーサービスには、書類などの原稿の画像を通常用紙にコピー(複写)するサービス(通常コピーサービス)、および写真の画像を写真用紙にコピーするサービス(写真コピーサービス)などが含まれる。また、“スマホからプリント”のサービスは、スマートフォン等の携帯端末に記憶されている画像データを利用するプリントサービスのことであり、“記録メディアからプリント”のサービスは、記憶媒体に記憶された画像データを利用するプリントサービスのことであり、“ネットワークプリント”のサービスは、外部コンピュータ(ネットワークプリントサービス用のサーバ)から送信された画像データを利用するプリントサービスのことである。さらに、“行政サービス”は、行政機関のサーバから送信された、行政証明書の画像データを利用するプリントサービスのことである。なお、各プリントサービスでは、複数の画像形成部(たとえば画像形成部74(第1画像形成部)および写真用プリンタ26(第2画像形成部))の中から印刷を行う画像形成部を選択(指定)することができる。たとえば、印刷を行う画像形成部を選択するための選択キーを含む選択画面が情報処理装置10のディスプレイ14に表示され、すなわち、複数の画像形成部の中から印刷を行う画像形成部を選択するための選択肢がユーザに提示され、選択された画像形成部からの印刷が可能となる。
【0063】
ホーム画面110においてキー112がタッチ(操作)された場合、すなわち、サービスが選択された場合、ディスプレイ14には、選択されたサービスの設定を行うための複数の操作画面が順次表示される。情報処理装置10または画像形成装置70では、設定画面で設定された内容に応じて、所定のサービスが実行される。
【0064】
そして、サービスが終了すると、すなわち、サービスが実行された後、ディスプレイ14には、
図5A~
図5Cに示すような忘れ物報知画面200(200A~200C)が表示される。
【0065】
忘れ物報知画面200は、終了キー200aおよび忘れ物注意部202を含む。終了キー200aは、忘れ物報知画面200の表示を終了するための操作キーである。終了キー200aが操作されると、ディスプレイ14にはホーム画面110が表示される。
【0066】
忘れ物注意部202は、サービスに関連して使用されるユーザの所有物およびサービスに関連して出力される出力物を含む、取り忘れの注意の対象となる物品(注意対象物品)の取り忘れをユーザに注意するために設けられる。忘れ物注意部202には、情報処理装置10および画像形成装置70の外観
図204および注意対象物品の取り忘れを注意するためのメッセージが表示される。また、忘れ物注意部202には、個別注意部206が設けられる。
【0067】
個別注意部206は、各注意対象物品の取り忘れを個別に注意するために設けられ、注意対象物品毎に設けられる。この個別注意部206は、アイコンおよび矢印を含む。アイコンは、注意対象物品の内容を示す適宜の図形と、注意対象物品の内容を示す文字列と、図形および文字列を囲む枠線とを含む。矢印は、操作キーから外観
図204に向かって延びる。この矢印は、外観
図204における各アイコンに対応する注意対象物品が存在する箇所に対応する部分を指し示す。
【0068】
また、忘れ物注意部202には、たとえば“忘れ物にご注意ください。”のように、注意対象物品の取り忘れを注意するためのメッセージが表示される。さらに、図示は省略するが、外観
図204における注意対象物品が存在する箇所に対応する部分が強調して表示されるようにしてもよい。たとえば、注意対象物品が存在する箇所に対応する部分に模様が付されたり、適当な色彩が付されたりする。取り忘れの注意喚起であるためユーザの注意を引くことができる黄色の色彩が好ましい。このようにすれば、ユーザは、注意対象物品が存在する箇所を視覚的に認識し易くなる。
【0069】
ただし、注意対象物品は、原稿、印刷物、写真、領収書、近距離通信部22の通信対象(以下、「カード類」ということがある。)、料金を支払い可能(電子決裁可能な)な携帯端末およびおつり(釣銭)等を含む。なお、印刷物とは、画像形成部74で画像形成され、排紙トレイ78に排出される画像形成用の用紙のことであり、写真とは、写真用プリンタ26で印刷された写真用紙のことであり、領収書とは、紙片用プリンタ18で印刷された領収書のことである。おつりとは、ユーザ(情報処理システム100の使用者)に返却する必要のある金銭である。
【0070】
また、第1実施例では、注意対象物品は、サービスに関連して使用可能な物品またはサービスの出力物(成果物)となる可能性がある物品であり、サービス毎に複数存在する。
【0071】
この情報処理システム100により提供可能なサービスと、それぞれのサービスにおける注意対象物品との関係をまとめた一覧を
図6に示す。
【0072】
ただし、
図6に示す“〇”は、そのサービスにおいて必ず使用される物品であることを示す。たとえば、コピーサービスでは、原稿は必ず使用される。したがって、コピーサービスでは、原稿は“〇”に該当し、必ず注意対象物品となり、原稿に対応する個別注意部(原稿注意部)206a(
図5A等参照)は必ず忘れ物報知画面200に表示される。また、“△”は、そのサービスにおいて、使用可能な物品であることを示す。たとえば、コピーサービスでは、料金の支払い方法として、おつりが生じる可能性がある貨幣で支払う場合(現金決済)およびクレジットカード等で支払う場合等があり、おつりが生じる可能性およびカードが使用される可能性がある。したがって、コピーサービスでは、おつりおよびカード類は、“△”に該当し、注意対象物品となり、おつりに対応する個別注意部(おつり注意部)206f(
図5A等参照)およびカード類に対応する個別注意部(カード類注意部)206e(
図5A等参照)が忘れ物報知画面200に表示される。“―”は、そのサービスにおいて、使用可能でない(使用不可能な)物品であることを示す。たとえば、ネットワークプリントでは、原稿は使用されない。このため、ネットワークプリントでは、原稿は“―”に該当し、注意対象物品の対象外であり、原稿に対応する個別注意部が忘れ物報知画面200に表示されない。
【0073】
図6に示すように、コピーサービスにおいては、原稿、印刷物、領収書、写真、おつりおよびカード類が、注意対象物品となる。写真プリントサービス、ネットワークプリント、コンテンツプリントサービスにおいては、印刷物、領収書、写真、おつりおよびカード類が、注意対象物品となる。ただし、コピーサービス、写真プリントサービス、ネットワークプリント、コンテンツプリントサービスにおいては、印刷物および写真については、いずれか一方のみが出力され、他方は出力されない。たとえば、画像形成用の用紙を用いたコピー(通常のコピー)では、印刷物のみが出力され、写真用紙を用いたコピー(写真コピー)では、写真のみが出力される。
【0074】
ファクスサービスにおいては、ファクス送信をする場合と、ファクス受信をする場合とで、置き忘れられる虞のある物品が異なる。たとえば、ファクス送信サービスの場合には、原稿、印刷物、領収書、おつりおよびカード類が、注意対象物品となる。なお、ファクス送信サービスにおける印刷物とは、ファクスの送信結果表のことである。図示は省略するが、ファクス送信サービスの動作条件を設定するための操作画面には、送信結果表の印刷設定(送信結果表を出力するかどうか)を選択するための送信結果表の印刷設定部が設けられる。すなわち、送信結果表を出力するかどうかは、ユーザが選択できるようになっている。
【0075】
なお、送信結果表は、基本的には画像形成部74(第1画像形成部)で印刷される。ただし、送信結果表は、画像形成部74に代えて紙片用プリンタ18(第3画像形成部)で印刷されてもよい。また、送信結果表には、基本的には、送信結果、送信日時、送信先、送信元が印刷される(含まれる)が、これらに加えて、送信画像のタイトルまたは送信画像(送信画像が複数存在する場合には代表する1つの画像)が含まれてもよい。
一方、ファクス受信サービスの場合には、印刷物、領収書、おつりおよびカード類が、注意対象物品となる。
【0076】
スキャンサービスにおいては、原稿、領収書、おつりおよびカード類が、注意対象物品となる。行政サービスにおいては、印刷物、領収書、おつりおよびカード類(住民基本台帳カードもしくは個人番号カード)が、注意対象物品となる。
【0077】
ただし、全てのサービスに共通して、おつりおよびカード類については、おつりのみが返却される場合と、カード類のみが使用される場合とがある。たとえば、現金によって料金が支払われる場合には、カード類は使用されない。また、カード類(たとえば電子マネー)によって料金が支払われる場合および現金によって料金が支払われる場合であっておつりが発生しない場合には、おつりは返却されない。また、行政サービスを除くサービスに共通して、領収書は出力されない場合がある。図示は省略するが、各サービスの動作条件を設定するための操作画面に、領収書の印刷設定(領収書を出力するかどうか)を選択するための印刷設定部(領収書の印刷設定部)が設けられる。すなわち、領収書を出力するかどうかは、ユーザが選択できるようになっている。
【0078】
また、注意対象物品は、当該物品が存在する所定の箇所から回収されたかどうかを検出不可能な物品(第1種類の物品)と、所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能な物品(第2種類の物品)とを含む。
【0079】
第2種類の物品は、回収されたかどうかを検出する手段が設けられている物品のことであり、本実施例では、たとえば、原稿、印刷物およびカード類等である。上述したように、原稿は原稿検出部88の出力に応じて所定の箇所(原稿台)から回収されたかどうかを検出することができる。また、印刷物は、印刷物検出部94の出力に応じて所定の箇所(排紙トレイ78)から回収されたかどうかを検出することができる。カード類は、近距離通信部22と通信中かどうかに応じて、所定の箇所(近距離通信部22の近傍)から回収されたかどうかを検出することができる。
【0080】
本実施例では、原稿、印刷物およびカード類以外の物品、たとえば写真、領収書およびおつり等は、第1種類の物品として取り扱われるが、これは一例であり、原稿、印刷物およびカード類以外の物品であっても、回収されたかどうかを検出可能な物品であれば、第2種類の物品として取り扱われる。
【0081】
また、本実施例では、忘れ物報知画面200の忘れ物注意部202には、注意対象物品のうち、第1種類の物品と、第2種類の物品であって、所定の箇所から回収されていない物品とに対応する個別注意部206が表示される。ただし、第2種類の物品であって、所定の箇所から回収された物品は、注意対象物品から除外される。注意対象物品から除外された物品に対応する個別注意部206は、表示されない(非表示にされる)。すなわち、第2種類の物品であって、回収済の物品については、注意対象物品から除外され、取り忘れを防止するための注意が行われない。
【0082】
図5Aおよび
図5Bは、コピーサービスが実行された場合の忘れ物報知画面200(200A,200B)を示す。コピーサービスでは、原稿、カード類およびおつりが使用等される可能性があり、印刷物、写真および領収書が出力物となる可能性がある。したがって、コピーサービスでは、原稿、印刷物、写真、領収書、カード類およびおつりが、第1種類の物品および第2種類の物品となる。
【0083】
図5Aは、全ての物品が回収されていない状態の忘れ物報知画面200Aを示す。この場合、第1種類の物品および第2種類の物品の全て、すなわち原稿、印刷物、写真、領収書、カード類およびおつりのそれぞれに対応する6つの個別注意部206a~206fが表示される。
【0084】
図5Bは、原稿が回収された状態の忘れ物報知画面200Bを示す。上述したように、原稿は、回収されたかどうかを検出することができるので、第2種類の物品である。したがって、原稿が回収された状態では、原稿に対応する個別注意部206aは表示されず、第1種類の物品および原稿を除いた第2種類の物品、すなわち印刷物、写真、領収書、カード類およびおつりのそれぞれに対応する5つの個別注意部206b~206fが表示される。なお、サービスが終了する前に、原稿が回収されている場合には、最初から原稿に対応する個別注意部206aが非表示にされた忘れ物報知画面200Bが表示される。一方、サービスが終了した時点で原稿が回収されておらず、その後原稿が回収される場合には、原稿に対応する個別注意部206aが表示された忘れ物報知画面200A(
図5A参照)が一旦表示され、原稿が回収されたことが検出された時点で、忘れ物報知画面200Bが表示される。すなわち、原稿が回収されたことが検出された時点で、忘れ物報知画面200Aから忘れ物報知画面200Bに画面表示が遷移する。
【0085】
また、図示は省略するが、第2種類の物品である印刷物が回収された場合には、印刷物に対応する個別注意部206bが非表示にされ、第2種類の物品であるカード類が回収された場合には、カード類に対応する個別注意部206eが非表示にされる。なお、サービスが終了する前に、第2種類の物品が回収されている場合には、最初から回収済の第2種類の物品に対応する個別注意部206が非表示にされた忘れ物報知画面200(原稿が回収たとえば忘れ物報知画面200B)
図5Cは、スキャンサービスが実行された場合であって、全ての物品が回収されていない状態の忘れ物報知画面200Cを示す。スキャンサービスでは、原稿、カード類およびおつりが使用等される可能性があり、領収書が出力物となる可能性がある。したがって、コピーサービスでは、原稿、領収書、カード類およびおつりが、第1種類の物品および第2種類の物品となる。この場合、スキャンサービスにおける第1種類の物品および第2種類の物品の全て、すなわち原稿、領収書、カード類およびおつりのそれぞれに対応する4つの個別注意部206a,206d,206e,206fが表示される。また、図示は省略するが、第2種類の物品である原稿が回収された場合には、原稿に対応する個別注意部206aが非表示にされる。
【0086】
以上のように、本実施例では、サービスにおいて実際に使用されたかどうかにかかわらず、実際使用されなかった物品を含む、当該サービスで使用可能な全ての物品に対応する個別注意部206が忘れ物報知画面200に表示される。回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品に対応する個別注意部206は、第2種類の物品が回収された時点で非表示になるが、使用されなかった物品および回収されたかどうかを検出不可能な第1種類の物品に対応する個別注意部206の表示が残った状態となる。
【0087】
しかし、終了キー200aが操作されるか、忘れ物報知画面200が表示された時点から所定時間(たとえば2分~3分)経過後に、全ての個別注意部206が非表示にされる。
【0088】
具体的には、忘れ物報知画面200で終了キー200aが操作されると、ディスプレイ14には、忘れ物報知画面200に代えて
図4に示すようなホーム画面110が表示される。すなわち、終了キー200aが操作されることによって、個別注意部206が消えるともいえる。
【0089】
また、忘れ物報知画面200が表示された時点から所定時間経過した場合に、ホーム画面110が表示されたり、忘れ物報知画面200が表示されたまま、全ての個別注意部206が非表示にされたりする。
【0090】
情報処理システム100の上記のような動作は、情報処理装置10のCPU32がRAM34に記憶された情報処理装置10用の情報処理プログラムを実行し、画像形成装置70のCPU82がRAM84に記憶された画像形成装置70用の情報処理プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0091】
図7は
図2に示す情報処理装置10のRAM34のメモリマップ300の一例を示す図解図である。
図7に示すように、RAM34は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM34のプログラム記憶領域302には、上述したように、情報処理装置10用の情報処理プログラムが記憶される。この情報処理装置10用の情報処理プログラムは、通信プログラム302a、操作検出プログラム302b、表示プログラム302c、物品検出プログラム302d、設定プログラム302eおよび注意プログラム302fを含む。
【0092】
通信プログラム302aは、画像形成装置70、サーバ等の外部コンピュータないし他の機器とネットワークを介して、データを通信(送受信)するためのプログラムである。
【0093】
操作検出プログラム302bは、タッチ入力を検出するためのプログラムであり、CPU32は、この操作検出プログラム302bに従って、タッチパネル12から出力されたタッチ座標データを取得し、取得したタッチ座標データを時系列に従ってRAM34に記憶する。
【0094】
表示プログラム302cは、後述する画像生成データ304bを用いて、表示画像データ、すなわち、上述した各種の操作画面および忘れ物報知画面200などの画面データを生成し、ディスプレイ14に出力するためのプログラムである。
【0095】
物品検出プログラム302dは、原稿検出部88、印刷物検出部94および近距離通信部22等の、第2種類の物品が回収されたかどうかを検出するためのコンポーネントからの出力に応じて、第2種類の物品(原稿、印刷物およびカード類)が回収されたかどうかを検出するためのプログラムである。
【0096】
設定プログラム302eは、サービスの種類に応じて、当該サービスで使用可能な物品およびサービスで出力可能な物品を注意対象物品として設定するためのプログラムである。また、設定プログラム302eは、第2種類の物品のうち、回収された物品を注意対象物品から除外するためのプログラムでもある。
【0097】
注意プログラム302fは、第1種類の物品と、第2種類の物品であって、所定の箇所から回収されていない物品とについて、注意対象物品の取り忘れを注意するためのプログラムでもある。本実施例では、注意プログラム302fは、忘れ物報知画面200がディスプレイ14に表示されている場合に、第1種類の物品と、第2種類の物品であって、所定の箇所から回収されていない物品とに対応する個別注意部206を表示させて、注意対象物品の取り忘れを注意するためのプログラムである。
【0098】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、情報処理システム100におけるサービス等の料金を設定するためのプログラム、記憶媒体接続部16に装着された各種の記憶媒体へのデータの書込みおよび各種の記憶媒体からのデータの読み出しを制御するための記憶媒体接続プログラム、紙片用プリンタ18を制御して、ロール紙上に文字列、画像、バーコードなどを印刷するための紙片印刷プログラム、符号読取部20を制御して、レーザスキャナまたはカメラによって撮影された撮影画像から符号画像を抽出し、抽出した符号画像を復号するための符号読取プログラム、写真用プリンタ26を制御して、写真用紙上に画像を印刷するための写真印刷プログラム、近距離通信部22を制御して、通信対象(たとえば身分証、会員証または電子マネー媒体など)との間でのデータ通信を実現するための近距離通信プログラム、貨幣処理プログラム302iは、貨幣処理部24を制御して、投入金額を算出し、投入金額から所定のサービス等の料金を差し引いて残った残額に応じて、硬貨を硬貨返却口24bから返却したり、紙幣を紙幣投入口から返却したりするためのプログラムおよび情報処理装置10が備える各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0099】
また、RAM34のデータ記憶領域304には、操作入力データ304a、画像生成データ304b、物品検出データ304cおよび注意対象物品データ304dなどが記憶される。
【0100】
操作入力データ304aは、操作検出プログラム302bに従って検出されたタッチ座標データを時系列に従って記憶したデータである。
【0101】
画像生成データ304bは、ディスプレイ14に表示する各種の画面に対応する表示画像データ等のデータである。
【0102】
物品検出データ304cは、第2種類の物品のそれぞれが、所定の箇所から回収されたかどうかを示すデータである。
【0103】
注意対象物品データ304dは、設定プログラム302eに従って設定される注意対象物品のデータである。
【0104】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、情報処理システム100により提供可能なサービスと、それぞれのサービスにおける注意対象物品との関係を示すデータが記憶されたり、情報処理装置10用の情報処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、情報処理装置10用の情報処理プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)やレジスタが設けられたりする。
【0105】
図8は
図3に示す画像形成装置70のRAM84のメモリマップ400の一例を示す図解図である。
図8に示すように、RAM84は、プログラム記憶領域402およびデータ記憶領域404を含む。RAM84のプログラム記憶領域402には、上述したように、画像形成装置70用の情報処理プログラムが記憶される。この画像形成装置70用の情報処理プログラムは、通信プログラム402a、画像読取プログラム402bおよび画像形成プログラム402cを含む。
【0106】
通信プログラム402aは、情報処理装置10またはサーバなどの外部コンピュータまたは他の機器とネットワークを介して通信するためのプログラムである。
【0107】
画像読取プログラム402bは、画像読取部72を制御して、原稿載置台に載置された原稿の画像を読み取り(スキャンし)、読み取った画像に対応する画像信号(スキャン画像データ)を出力するためのプログラムである。
【0108】
画像形成プログラム402cは、画像形成部74を制御して、スキャン画像データまたは入力画像データなどの画像データ404aに応じて多色または単色の画像を画像形成用の用紙に形成するためのプログラムである。
【0109】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域402には、画像形成装置70が備える各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0110】
また、RAM84のデータ記憶領域404には、画像データ404aなどが記憶される。画像データ404aは、画像読取部72で読み取った画像データまたはサーバ等の外部のコンピュータから入力される画像データなどである。
【0111】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域404には、画像形成装置70用の情報処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、画像形成装置70用の情報処理プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)やレジスタが設けられたりする。
【0112】
図9は、
図2に示す情報処理装置10のCPU32で実行される忘れ物注意処理の一例を示すフロー図である。この忘れ物注意処理は、サービスが終了された場合に開始される。
【0113】
図9に示すように、情報処理装置10のCPU32は、忘れ物注意処理を開始すると、ステップS1で、サービスで使用可能な物品およびサービスで出力可能な物品を注意対象物品として設定し、ステップS3で、注意対象物品のうち、回収された物品があるかどうかを判断する。
【0114】
ステップS3で“YES”であれば、つまり、注意対象物品のうち、回収された物品があると判断した場合には、ステップS5で、回収された物品を注意対象物品から除外して、ステップS7に進む。一方、ステップS3で“NO”であれば、つまり、注意対象物品のうち、回収された物品が無いと判断した場合には、ステップS5を経ずにステップS7に進む。
【0115】
続いて、ステップS7では、注意対象物品についての注意を実行して、ステップS9に進む。本実施例では、ステップS7では、注意対象物品のうち、第1種類の物品と、第2種類の物品であって、所定の箇所から回収されていない物品とに対応する個別注意部206を含む忘れ物報知画面200がディスプレイ14に表示される。
【0116】
続いて、ステップS9で、忘れ物注意処理を終了するかどうかを判断する。ここでは、終了キー200aが操作されるか、忘れ物報知画面200が表示された時点から所定時間が経過した場合に、忘れ物注意処理を終了すると判断する。
【0117】
ステップS9で“NO”であれば、つまり、忘れ物注意処理を終了しないと判断した場合には、ステップS3に戻る。一方、ステップS9で“YES”であれば、忘れ物注意処理を終了する。
【0118】
この第1実施例では、注意対象物品のうち、回収されたかどうかを検出不可能な第1種類の物品と、回収されたかどうかを検出可能な第2種類の物品であって、回収されていない物品について、取り忘れを防止するための注意を行う。このため、回収されたかどうかを検出不可能な物品についても取り忘れを防止するための注意が行われるので、回収されたかどうかを検出不可能な物品が回収されていない場合に、ユーザに取り忘れがあることを気付かせることができる。また、既に回収済の物品については、取り忘れを防止するための注意が行われないので、物品の取り忘れを無駄なく効果的に予防することができる。
【0119】
また、第1実施例によれば、サービスで使用可能な物品およびサービスで出力可能な物品について、取り忘れを防止するための注意を行うので、物品の取り忘れを確実に予防することができる。
【0120】
さらに、第1実施例によれば、ユーザに対して、注意対象物品の取り忘れを注意するために設けられる忘れ物注意部202を含む忘れ物報知画面200がディスプレイ14に表示されるので、ユーザに取り忘れがあることを視覚的に気付かせることができ、物品の取り忘れを効果的に予防することができる。
【0121】
なお、第1実施例では、忘れ物報知画面200がディスプレイ14に表示されることによって、物品の取り忘れを防止するための注意を行うようにしたが、これに代えて、またはこれに加えて、音声(音声メッセージ)によって物品の取り忘れを防止するための注意を行うようにしてもよい。たとえば、注意対象物品の取り忘れに注意する旨の音声メッセージがスピーカ48から出力される。注意対象物品が複数存在する場合には、注意対象物品毎に1つずつ取り忘れに注意する旨の音声メッセージがスピーカ48から出力される。ただし、既に回収されている第2種類の物品については、注意対象物品に該当しないので、音声による注意が行われない(取り忘れに注意する旨の音声メッセージが出力されない)。一方、回収されたかどうかを検出不可能な第1種類の物品および回収されていない第2種類の物品が注意対象物品に該当するので、これらの物品に対して音声による注意が行われる。また、音声によって物品の取り忘れの注意を行う場合には、音声メッセージを出力した時点から所定時間経過後に、回収されていない第2種類の物品が存在する場合には、再度取り忘れの注意を行う。2回目以降の注意が行われるとき、第2種類の物品であって、既に回収された物品は、注意対象物品から除外されているので、第2種類の物品であって、既に回収された物品については注意が行われない。
[第2実施例]
第2実施例の情報処理システム100では、サービスにおいて実際に使用された物品および実際に出力された物品を注意対象物品に設定するようにした以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0122】
第2実施例では、サービスが開始されてから終了されるまでの間に、実際に使用された物品および実際に出力された物品が特定される。たとえば、コピーサービスおよび各種プリントサービスにおいて、印刷物および写真のいずれが出力されるかどうかは、各サービスの動作条件の設定によって決まる。具体的には、写真用紙に印刷するか、画像形成用の用紙に印刷するかの条件(出力用紙の条件)の設定によって決まる。各サービスの動作条件は、当該サービスに対応する種々の操作画面で設定され、少なくともサービスの完了時には確定している。したがって、コピーサービスおよび各種プリントサービスにおいては、印刷物および写真のいずれが出力されるかどうかを特定することができる。
【0123】
また、ファクス送信サービスにおいてファクスの送信結果表が出力されるかどうかは、送信結果表の印刷設定によって決まる。したがって、ファクス送信サービスにおいては、送信結果表の印刷設定を読み出すことによって、送信結果表が出力されるかどうかを特定することができる。
【0124】
さらに、行政サービスを除くサービスにおいてファクスの領収書が出力されるかどうかは、領収書の印刷設定によって決まる。したがって、行政サービスを除くサービスにおいては、領収書の印刷設定を読み出すことによって、送信結果表が出力されるかどうかを特定することができる。
【0125】
さらにまた、各サービスにおいてカード類が使用されるかどうかは、各サービスの料金の支払い条件の設定によって決まる。具体的には、現金によって料金が支払われるか、カード類によって料金が支払われるかの条件(料金の支払い条件)の設定によって決まる。したがって、料金の支払い条件の設定を読み出すことによって、カード類が使用されるかどうかを特定することができる。また、料金の支払い条件の設定および、投入金額と料金との差額によって、おつりが返却されるかどうかを特定することができる。
【0126】
そして、第2実施例では、サービスが開始されてから終了されるまでの間に実際に使用された物品および実際に出力された物品が注意対象物品に設定される。その上で、忘れ物報知画面200の忘れ物注意部202には、注意対象物品のうち、第1種類の物品と、第2種類の物品であって、所定の箇所から回収されていない物品とに対応する個別注意部206が表示される。
【0127】
第2実施例におけるサービスと、サービスにおける注意対象物品との関係の一例を
図11に示す。ただし、
図11に示す“〇”は、サービスが開始されてから終了されるまでの間に実際に使用された物品および実際に出力された物品であることを示し、“―”は、そのサービスにおいて使用可能でない(使用不可能な)物品およびサービスが開始されてから終了されるまでの間に使用されなかった物品であることを示す。
図12に示す例では、領収書を出力することが選択され、印刷物および写真のうち印刷物が出力され、現金決済によって料金が支払われておつりが発生している場合を示す。すなわち、写真は印刷されておらず、カード類は使用されていない。したがって、原稿、印刷物、領収書およびおつりのそれぞれは、“〇”に該当し、注意対象物品となり、写真およびカード類は、“―”に該当し、注意対象物品の対象外となる。
【0128】
図12は、
図11に示す例に対応する、コピーサービスが実行された場合の忘れ物報知画面200Dを示す。
図12に示すように、忘れ物報知画面200Dには、注意対象物品となる原稿、印刷物、領収書およびおつりに対応する4つの個別注意部206a,206b,206d,206fが表示され、写真およびカード類に対応する個別注意部206は表示されない。
【0129】
また、第2実施例では、上述したような動作を実現するために、情報処理装置10のRAM34に記憶された情報処理装置10用の情報処理プログラムには、サービスが開始されてから終了されるまでの間に、実際に使用された物品および実際に出力された物品を特定するための特定プログラム等が含まれる。また、設定プログラム302eは、サービスが開始されてから終了されるまでの間に実際に使用された物品および実際に出力された物品を注意対象物品として設定するためのプログラムである。
【0130】
以下、フロー図を用いて、第2実施例における忘れ物注意処理について説明するが、第1実施例で説明した忘れ物注意処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0131】
図10は第2実施例の忘れ物注意処理の一例を示すフロー図である。
図10に示すように、情報処理装置10のCPU32は、忘れ物注意処理を開始すると、ステップS31で、サービスが開始されてから終了されるまでの間に、実際に使用された物品および実際に出力された物品を特定し、ステップS33で、サービスが開始されてから終了されるまでの間に、実際に使用された物品および実際に出力された物品を注意対象物品として設定し、ステップS3に進む。なお、ステップS3以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0132】
この第2実施例によれば、サービスにおいて実際に使用された物品および実際に出力された物品について取り忘れを注意するので、適切に物品の取り忘れを予防することができる。
[第3実施例]
第3実施例の情報処理システム100では、忘れ物報知画面200において注意対象物品がユーザに選択された場合に、注意を中止することがある以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0133】
第3実施例では、第1種類の物品に対応する個別注意部206(アイコンおよび矢印)または第1種類の物品に対応する外観
図204における矢印が指し示す部分がユーザにより選択された場合(以下、まとめて「第1種類の物品が選択された場合」ということがある。)に、当該個別注意部206または当該部分に対応する第1種類の物品についての注意が中止される。すなわち、第1種類の物品が選択された場合には、選択された第1種類の物品が回収されたと推定され、その第1種類の物品についての個別注意部206が非表示にされる。
【0134】
ただし、第2種類の物品に対応する個別注意部206が表示されている状態で、当該第2種類の物品に対応する個別注意部206または当該第2種類の物品に対応する外観
図204における矢印が指し示す部分が選択された場合(以下、まとめて「第2種類の物品が選択された場合」ということがある。)には、注意が中止されない。第1実施例で説明したように、第2種類の物品に対応する個別注意部206は、選択されるかどうかにかかわらず、所定の箇所から回収されたときに、非表示にされる(注意が中止される)。すなわち、対応する個別注意部206が表示されている第2種類の物品は、回収されていないからである。
【0135】
また、第2種類の物品に対応する個別注意部206が表示されている状態で、当該第2種類の物品が選択された場合、すなわち選択された第2種類の物品が回収されていない場合には、警告が行われる。たとえば、物品を回収したというユーザの認識と、物品が回収されていないという状況とが一致しない旨の警告が行われる。すなわち、物品を回収したというユーザの認識が誤っている旨の警告が行われる。
【0136】
また、第3実施例では、上述したような動作を実現するために、情報処理装置10のRAM34に記憶された情報処理装置10用の情報処理プログラムには、第2種類の物品に対応する個別注意部206または第2種類の物品に対応する外観
図204における矢印が指し示す部分が選択された場合であって、選択された第2種類の物品が回収されていない場合に、警告を行うための警告プログラム等が含まれる。
【0137】
以下、フロー図を用いて、第3実施例における忘れ物注意処理について説明するが、第1実施例で説明した忘れ物注意処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0138】
図13は第3実施例の忘れ物注意処理の一例の一部を示すフロー図である。
図13に示すように、情報処理装置10のCPU32は、忘れ物注意処理を開始すると、ステップS1で、サービスで使用可能な物品およびサービスで出力可能な物品を注意対象物品として設定し、ステップS51で、忘れ物報知画面200において注意対象物品がユーザに選択されたかどうかを判断する。
【0139】
ステップS51で“NO”であれば、つまり、忘れ物報知画面200において注意対象物品がユーザに選択されないと判断した場合には、ステップS3に進む。一方、ステップS51で“YES”であれば、つまり、忘れ物報知画面200において注意対象物品がユーザに選択されたと判断した場合には、ステップS53で、選択された物品が所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能かどうか、すなわち、第2種類の物品であるかどうかを判断する。
【0140】
ステップS53で“YES”であれば、つまり、選択された物品が所定の箇所から回収されたかどうかを検出可能であると判断した場合には、ステップS55で、選択された物品が所定の箇所から回収されたかどうかを判断する。ステップS55で“NO”であれば、つまり、選択された物品が所定の箇所から回収されていないと判断した場合は、ステップS57で、警告を実行して、ステップS3に進む。一方、ステップS55で“YES”であれば、つまり、選択された物品が所定の箇所から回収されたと判断した場合は、ステップS3に進む。
【0141】
また、ステップS53で“NO”であれば、つまり、選択された物品が所定の箇所から回収されたかどうかを検出不可能であると判断した場合には、ステップS59で、選択された物品を注意対象物品から除外して、ステップS3に進む。なお、ステップS9で“NO”であれば、ステップS51に戻るようにした以外は、ステップS3以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0142】
この第3実施例によれば、第1種類の物品に対応する個別注意部206または第1種類の物品に対応する外観
図204における矢印が指し示す部分が選択された場合に、当該個別注意部206または当該部分に対応する第1種類の物品についての注意が中止されるので、物品の取り忘れを無駄なく効果的に予防することができる。
【0143】
また、第3実施例によれば、第2種類の物品に対応する個別注意部206または第2種類の物品に対応する外観
図204における矢印が指し示す部分が選択された場合であって、選択された第2種類の物品が回収されていない場合には、取り忘れを防止するための警告が行われるので、適切に物品の取り忘れを予防することができる。
【0144】
なお、第3実施例に示した態様は、第2実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
【0145】
また、上述の実施例で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0146】
さらに、上述の実施例では、情報処理装置10がタッチパネル12付きのディスプレイ14を備え、ディスプレイ14に操作画面を表示するようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、画像形成装置70がタッチパネル付きのディスプレイ(第1ディスプレイに相当)を備えるようにしても良い。この場合、情報処理装置10のタッチパネル12付きのディスプレイ14が省略されても良いし、情報処理装置10がタッチパネル12付きのディスプレイ14を備えたまま(情報処理装置10と画像形成装置70との両方がタッチパネル付きのディスプレイを備える構成)でも良い。ただし、情報処理装置10のタッチパネル12付きのディスプレイ14が省略される場合には、画像形成装置70のディスプレイに操作画面が表示される。また、情報処理装置10と画像形成装置70との両方がタッチパネル付きのディスプレイを備える場合には、それぞれのディスプレイに操作画面が表示されても良いし、いずれか一方のディスプレイに操作画面が表示されても良い。画像形成装置70のディスプレイに操作画面が表示される場合には、ユーザは、画像形成装置70のタッチパネルへのタッチ入力によって当該操作画面でジョブの設定等を行うことができる。
【符号の説明】
【0147】
10 …情報処理装置
12 …タッチパネル
14 …ディスプレイ
32 …CPU
34 …RAM
36 …ROM
70 …画像形成装置