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特許7477328制御装置及び制御プログラムの書き換え方法
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  • 特許-制御装置及び制御プログラムの書き換え方法 図1
  • 特許-制御装置及び制御プログラムの書き換え方法 図2
  • 特許-制御装置及び制御プログラムの書き換え方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】制御装置及び制御プログラムの書き換え方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240423BHJP
【FI】
G06F8/65
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020045471
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021149173
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 仁一
(72)【発明者】
【氏名】草茅 佑亮
【審査官】大倉 崚吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-142914(JP,A)
【文献】特開2009-271737(JP,A)
【文献】特開2009-134563(JP,A)
【文献】特開2009-026183(JP,A)
【文献】特開2012-169876(JP,A)
【文献】特開2015-195653(JP,A)
【文献】国際公開第2013/103023(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/60-8/658
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御プログラムを実行することで、制御対象となる電子機器の動作を制御するように構成されている制御部と、
前記制御プログラムを記憶するように構成されている記憶部と、
更新プログラムを外部から受信するように構成されている通信部と、
を具備し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記制御プログラムを、前記通信部を介して受信した前記更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行可能であり、
前記記憶部は、前記書き換え処理の成否を表す成否表示データを記憶する成否判定結果記憶領域を有し、
前記制御部は、
前記書き換え処理の終了後、チェックサムにより前記書き換え処理の成否を判定し、当該成否に応じて前記成否表示データを前記成否判定結果記憶領域に書き込み、
前記電子機器の起動後、前記成否判定結果記憶領域にある前記成否表示データを読み込み、前記成否表示データが前記書き換え処理の成功を表すものであると判定した場合、前記書き換え処理を実施しないで前記制御プログラムを実行し、前記成否表示データが前記書き換え処理の成功を表すものでないと判定した場合、前記書き換え処理の成否を判定するように構成されている、
制御装置。
【請求項2】
前記成否表示データの組み合わせは、
成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、
成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、ヌルである組み合わせ、又は、
成功した場合には、ヌルであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記書き換え処理は、前記書き換え処理の実行指示がある場合及び前記制御プログラムが前記記憶部に記憶されていない場合に実行される、請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御プログラムは、前記電子機器に設けられた二次電池の充放電を制御するプログラムである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
記憶部に記憶された、電子機器の動作を制御するための制御プログラムを書き換える方法であって、
前記制御プログラムの書き換えの実行指示の有無を判定する第1ステップと、
前記制御プログラムを更新プログラムに書き換える第2ステップと、
前記制御プログラムから前記更新プログラムへの書き換えの成否をチェックサムにより判定する第3ステップと、
前記書き換えの成否に応じて、前記記憶部に設けられた成否判定結果記憶領域に前記書き換えの成否を表す成否表示データを書き込む第4ステップと、
前記成否判定結果記憶領域にある前記成否表示データを読み込む第5ステップと、
を備え、
前記電子機器の起動後、前記第1ステップにおいて、前記書き換え処理の実行指示がないと判定した場合には、直接前記第5ステップを実施し、前記第5ステップにおいて、前記成否表示データが前記書き換え処理の成功を表すものであると判定した場合、前記第2ステップから第4ステップを経ることなく制御プログラムを実行し、
前記成否表示データが前記書き換え処理の成功を表すものでないと判定した場合、前記第3ステップを実行する、
制御プログラムの書き換え方法。
【請求項6】
前記成否表示データの組み合わせは、
成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、
成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、ヌルである組み合わせ、又は、
成功した場合には、ヌルであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、である、
請求項5に記載の制御プログラムの書き換え方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御プログラムの書き換え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に搭載されるマイクロプロセッサ等の制御装置は、下記特許文献1から特許文献3に示すように、当該電子機器の動作を制御するための制御プログラムを記憶可能な記憶装置を備えており、当該制御プログラムの書き換えが可能になっている。上記制御装置は、上記電子機器の起動時において、都度、制御プログラムの書き換えが正常に行えたか否かを確認する確認動作を実行している。当該確認動作を実行する理由としては、制御プログラムの書き換え中に電源が切れる及び通信障害が発生する等の要因により正常に制御プログラムが書き換えできないことが挙げられる。この場合、もう一度、制御プログラムの書き換えを実行する必要がある。しかしながら、都度、電子機器の起動時に上記確認動作を行っていると、当該確認動作のために電子機器の起動が遅れるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-318933号公報
【文献】特開平08-055068号公報
【文献】特開平10-063497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、上記確認動作に起因する起動の遅れを抑制しつつ、より柔軟に制御プログラムの書き換えを実行することができる制御装置及び制御プログラムの書き換え方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様として実現することができる。
【0006】
<第1の態様>
第1の態様に係る制御装置は、制御プログラムを実行することで、制御対象となる電子機器の動作を制御するように構成されている制御部と、前記制御プログラムを記憶するように構成されている記憶部と、更新プログラムを外部から受信するように構成されている通信部と、を具備し、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記制御プログラムを、前記通信部を介して受信した前記更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行可能であり、前記記憶部は、前記書き換え処理の成否を表す成否表示データを記憶する成否判定結果記憶領域を有し、前記制御部は、前記書き換え処理の終了後、前記書き換え処理の成否を判定し、当該成否に応じて前記成否表示データを前記成否判定結果記憶領域に書き込み、前記電子機器の起動後、前記成否判定結果記憶領域にある前記成否表示データを読み込み、前記成否表示データが前記書き換え処理の成功を表すものであると判定した場合、前記書き換え処理を実施しないで前記制御プログラムを実行するように構成されている。
【0007】
上記構成によれば、第1の態様に係る制御装置は、上記成否表示データに応じて、制御プログラムの書き換え処理及びチェックサム等の処理を省略でき、電子機器の起動の高速化を実現することができる。
【0008】
<第2の態様>
第2の態様に係る制御装置は、第1の態様に係る制御装置において、前記成否表示データの組み合わせは、成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、ヌルである組み合わせ、又は、成功した場合には、ヌルであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、である。
【0009】
上記構成によれば、第2の態様に係る制御装置は、上記成否表示データに応じて、制御プログラムの書き換え処理及びチェックサム等の処理を省略でき、電子機器の起動の高速化を実現することができる。
【0010】
<第3の態様>
第3の態様に係る制御装置は、第1又は第2の態様に係る制御装置において、前記書き換え処理は、前記書き換え処理の実行指示がある場合及び前記制御プログラムが前記記憶部に記憶されていない場合に実行される。
【0011】
上記構成によれば、第3の態様に係る制御装置は、上記成否表示データに応じて、制御プログラムの書き換え処理及びチェックサム等の処理を省略でき、電子機器の起動の高速化を実現することができる。
【0012】
<第4の態様>
第4の態様に係る制御装置は、第1から第3の態様に係る制御装置において、前記制御プログラムは、前記電子機器に設けられた二次電池の充放電を制御するプログラムである。
【0013】
これにより、第4の態様に係る制御装置は、上記成否表示データに応じて、制御プログラムの書き換え処理及びチェックサム等の処理を省略でき、電子機器の起動の高速化を実現することができる。
【0014】
<第5の態様>
第5の態様に係る制御プログラムの書き換え方法は、記憶部に記憶された、電子機器の動作を制御するための制御プログラムを書き換える方法であって、前記制御プログラムの書き換えの実行指示の有無を判定する第1ステップと、前記制御プログラムを更新プログラムに書き換える第2ステップと、前記制御プログラムから前記更新プログラムへの書き換えの成否を判定する第3ステップと、前記書き換えの成否に応じて、前記記憶部に設けられた成否判定結果記憶領域に前記書き換えの成否を表す成否表示データを書き込む第4ステップと、前記成否判定結果記憶領域にある前記成否表示データを読み込む第5ステップと、を備え、前記電子機器の起動後、前記第1ステップにおいて、前記書き換え処理の実行指示がないと判定した場合には、直接前記第5ステップを実施し、前記第5ステップにおいて、前記成否表示データが前記書き換え処理の成功を表すものであると判定した場合、前記第2ステップから第4ステップを経ることなく制御プログラムを実行する。
【0015】
これにより、第5の態様に係る制御プログラムの書き換え方法は、上記成否表示データに応じて、制御プログラムの書き換え処理及びチェックサム等の処理を省略でき、電子機器の起動の高速化を実現することができる。
【0016】
<第6の態様>
第6の態様に係る制御プログラムの書き換え方法は、第5の態様に係る制御プログラムの書き換え方法において、前記成否表示データの組み合わせは、成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、ヌルである組み合わせ、又は、成功した場合には、ヌルであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせ、である。
【0017】
これにより、第6の態様に係る制御プログラムの書き換え方法は、上記成否表示データに応じて、制御プログラムの書き換え処理及びチェックサム等の処理を省略でき、電子機器の起動の高速化を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本態様に係る制御装置及び制御プログラムの書き換え方法は、上記確認動作に起因する起動の遅れを抑制しつつ、より柔軟に制御プログラムの書き換えを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る制御装置を備える電子回路を示す回路図である。
図2図1に示す制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る制御装置による電子機器の起動時における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、一実施形態に係る制御装置及び制御プログラムの書き換え方法について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小又は省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0021】
(構成)
まず、本実施形態に係る制御装置1について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る制御装置1を備える電子回路ECを示す回路図である。図1に示す制御装置1は、内部に記憶された制御プログラムを実行することで、制御対象となる電子機器(図示せず)の動作を制御する。本実施形態に係る制御装置1は、例えば、当該電子機器に搭載される電子回路ECに設けられている。図1に示す制御装置1は、蓄電装置(電池パックを含む)、電源装置、家電製品、産業用PC、サーバ、携帯電話又は無線ルータ等の一般に知られている電子機器等に搭載される電子回路ECに設けられる。より具体的には、上記制御プログラムは、電子機器に設けられた電池パック(二次電池)の充放電を制御するためのプログラムである。
【0022】
ここで、上記制御装置1は、内部に記憶された制御プログラムを外部装置EAに記憶されている制御プログラムに書き換えることが可能である。外部装置EA(図示せず)に記憶されている制御プログラムは、例えば、更新用の制御プログラム(以降、更新プログラムと記載する。)である。上記更新プログラムには、現行の制御プログラムより後にリリースされたバージョンの制御プログラム又は現行の制御プログラムより前にリリースされたバージョンの制御プログラムが含まれる。現行の制御プログラムより前にリリースされたバージョンの制御プログラムは、例えば、現行の制御プログラムに不具合があった場合の書き換えプログラムとして使用される。
【0023】
また、図1に示す電子回路ECは、上記制御装置1による制御の下、第1入出力端T又は第2入出力端Tのいずれか一方から入力された電圧を変換して、他方から出力する双方向コンバータである。上記電子回路ECは、ハイサイド側のスイッチング素子SW1、コイルL、ローサイド側のスイッチング素子SW2、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2等の回路素子により構成される。上記制御装置1は、当該回路素子のうち、ハイサイド側のスイッチング素子SW1及びローサイド側のスイッチング素子SW2各々のオンオフ動作を制御する。
【0024】
図2は、図1に示す制御装置1の構成を示すブロック図である。図2に示す制御装置1は、制御部2、記憶部3及び通信部4を備える。制御部2、記憶部3及び通信部4は、バス5を介して相互に接続される。
【0025】
制御部2は、ハードウェア資源として、所定のプロセッサを含む。制御部2は、上記制御プログラムを実行することで、制御対象となる電子機器の動作を制御する。また、制御部2は、記憶部3に記憶された制御プログラム31を、通信部4を介して受信した更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行可能である。なお、上記更新プログラムは、電子機器から見て外部に存在する装置(例えば、外部装置EA)から通信部4を介して受信する。
【0026】
記憶部3は、ハードウェア資源として、不揮発性RAM(Random Access Memory)を含む。記憶部3は、上記制御プログラム31を記憶する。また、記憶部3は、上記書き換え処理の成否を表す成否表示データ32を記憶する成否判定結果記憶領域(図示せず)を有する。
【0027】
通信部4は、有線又は無線にて外部装置EAと通信するためのものである。本実施形態において、通信部4は、通信用ケーブルを介して外部装置EAと相互に接続される。また、通信部4は、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して外部装置EAと相互に接続される。通信部4は、上記更新プログラムを外部から受信する。
【0028】
(電子機器の起動時における処理の流れ)
ここで、電子機器の起動時、制御装置1において実行される処理の流れについて、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る制御装置1による電子機器の起動時における処理の流れを示すフローチャートである。
【0029】
まず、制御部2は、電子機器の起動動作を実行する(ステップS1)。ステップS1の終了後、制御部2は、記憶部3に記憶された制御プログラム31の書き換えの実行指示の有無又は上記制御プログラム31が記憶部3に記憶されていないか否か(すなわち、制御プログラム31が記憶部3に記憶されていないことを示すヌル状態であるか否か)を判定する(ステップS2)。
【0030】
記憶部3に記憶された制御プログラム31の書き換えの実行指示がある又はヌル状態である場合(ステップS2のYes)、制御部2は、上記書き換え処理を実行する(ステップS3)。ステップS3の終了後、制御部2は、上記書き換え処理の成否を判定する。より具体的には、制御部2は、制御プログラム31の書き換えが成功したか否かを電子回路ECに入力された入力電圧に対して出力される出力電圧が所定の数値で出力されているか否か(すなわち、チェックサムを実行し、当該チェックサムの結果=“成功(OK)”か否か)により判定する(ステップS4)。制御プログラム31の書き換えが成功した場合(すなわち、上記出力電圧が所定の数値で出力されている場合(チェックサム結果=“OK”の場合))(ステップS4のYes)、制御部2は、上記成否表示データ32として、“成功(OK)”を上記成否判定結果記憶領域に書き込む(ステップS5)。ステップS5の終了後、制御部2は、電子機器を通常起動する(ステップS6)。ステップS6の終了後、一連の処理を終了する。
【0031】
また、制御プログラム31の書き換えが失敗した場合(すなわち、上記出力電圧が所定の数値で出力されていない場合(チェックサムの結果=“NG”の場合))(ステップS4のNo)、制御部2は、上記成否表示データ32として、“失敗(NG)”を上記成否判定結果記憶領域に書き込む(ステップS7)。
【0032】
ステップS7の終了後、制御部2は、所定の分岐条件を満たすか否かを判定する(ステップS8)。ここで、ステップS8における分岐は、上記制御部2において、制御プログラム31の書き換えが失敗するたびに、書き換え処理及びチェックサム等の処理を実行すること(すなわち、無限ループ)を防ぐために設けられる。より具体的には、所定の分岐条件には、“(i)電子機器の起動時において上記通常起動に移行せずに所定の回数の上記書き換え処理が実行されたか”又は“(ii)電子機器の起動時において上記通常起動に移行せずに所定の時間が経過したか”のうちの少なくとも一つが含まれる。すなわち、制御部2は、ステップS8において、上記(i)又は(ii)のうちの少なくとも一つを満たすか否かを判定する。
【0033】
上記所定の分岐条件を満たさない場合(ステップS8のNo)、制御部2は、再度、書き換えの実行指示の有無を判定する(ステップS9)。新たな書き換えの実行指示がある場合(ステップS9のYes)、制御部2は、ステップS3に戻り、上記書き換え処理を実行する。すなわち、制御部2は、チェックサム結果により上記書き換え処理が失敗したことを把握し、再度、書き換え処理を実行する。
【0034】
上記所定の分岐条件を満たす場合(ステップS8のYes)又は新たな書き換えの実行指示がない場合(ステップS9のNo)、制御部2は、異常通知を生成し、当該異常通知をユーザに提示する(ステップS10)。なお、当該異常通知は、文字情報又は描画情報等を含む表示であっても、異常を示す音であってもよい。
【0035】
また、記憶部3に記憶された制御プログラム31の書き換えの実行指示がない又はヌル状態でない(すなわち、記憶部3に制御プログラム31が記憶されている)場合(ステップS2のNo)、制御部2は、上記成否判定結果記憶領域にある成否表示データ32を読み込み、当該成否表示データ32に応じて前回実行した書き換え処理が成功しているか否か(すなわち、成否表示データ32=“OK”であるか否か)を判定する(ステップS11)。成否表示データ32=“OK”である場合(ステップS11のYes)、制御部2は、ステップS6へ移行し、電子機器を通常起動する。すなわち、本実施形態における制御部2は、上記成否表示データ32=“OK”である場合、上記ステップS3からステップS10における処理を省略する。成否表示データ32=“OK”でない場合(すなわち、成否表示データ32=“NG”である場合)(ステップS11のNo)、制御部2は、ステップS4へ移行し、上記チェックサムを実行し、当該チェックサムの結果を把握する。
【0036】
(総括)
上述の通り、本実施形態に係る制御装置1は、制御部2、記憶部3及び通信部4を備える。制御部2は、上記制御プログラム31を実行することで、制御対象となる電子機器の動作を制御する。記憶部3は、上記制御プログラム31を記憶する。通信部4は、上記更新プログラムを外部から受信する。また、制御部2は、記憶部3に記憶された制御プログラムを、通信部4を介して受信した更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行可能である。また、記憶部3は、上記書き換え処理の成否を表す成否表示データ32を記憶する成否判定結果記憶領域を有する。
【0037】
上記構成において、制御部2は、書き換え処理の終了後、上記書き換え処理の成否を判定し、当該成否に応じて成否表示データ32を成否判定結果記憶領域に書き込む。また、制御部2は、電子機器の起動後、成否判定結果記憶領域に書き込まれた成否表示データ32を読み込む。制御部2は、成否表示データ32が上記書き換え処理の成功を表すものであると判定した場合、上記書き換え処理を実施しないで制御プログラム31を実行する。つまり、本実施形態に係る制御装置1は、上記成否表示データ32に応じて、上記ステップS3からステップS10における処理を省略することができる。すなわち、本実施形態に係る制御装置1は、上記成否表示データ32に応じて、制御プログラム31の書き換え処理及びチェックサム等の処理を省略でき、電子機器の起動の高速化を実現することができる。
【0038】
かくして、本実施形態に係る制御装置1は、制御プログラム31の書き換えが正常に行えたか否かを確認する確認動作に起因する起動の遅れを抑制しつつ、より柔軟に制御プログラムの書き換えを実行することができる。また、本実施形態に係る制御装置1は、自身に内蔵される上記記憶部3に成否判定結果記憶領域を設けることにより、別途、不揮発性メモリ等を用意せずとも高速な起動を実現することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る制御装置1は、電池/電源分野において、「制御プログラム31の起動」=「充放電が可能となる」という関係にあるため、早急に電力を出力したいシステム等において高速な起動を実現することができる。さらに、本実施形態に係る制御装置1は、産業用PC及びサーバにおいて、電池が起動し、電池に付属しているシステムに異常がないことを認識してから機器を起動するため、制御プログラム31の起動速度が早ければ、そのまま、起動速度を早くすることができる。なお、本実施形態において、計算時間は、マイクロプロセッサの処理速度及びプログラムの量により異なるが、おおよそ2秒程度を要することがある。そこで、本実施形態に係る制御装置1を使用することにより、2秒程度早く本来の処理を開始することができ、かつ、制御プログラム31の書き換えに失敗した場合でも再度書き込みを実行することができる。
【0040】
ここで、上記実施形態において、制御装置1は、電子機器に搭載される電子回路ECに設けられている。しかしながら、本実施形態に係る制御装置1は、これに限定されない。例えば、本実施形態に係る制御装置1は、上記電子回路ECとは別体で設けられていてもよい。
【0041】
また、本実施形態における制御装置1において、上記成否表示データ32の組み合わせは、成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせである。しかしながら、本実施形態に係る制御装置1は、これに限定されない。例えば、上記成否表示データ32の組み合わせは、成功した場合には、ヌルであり、失敗した場合には、失敗したことを表すものである組み合わせであってもよい。また、上記成否表示データ32の組み合わせは、成功した場合には、成功したことを表すものであり、失敗した場合には、ヌルである組み合わせであってもよい。
【0042】
なお、本実施形態に係る制御装置1は、一例として、上記双方向コンバータに適用している。しかしながら、本実施形態に係る制御装置1は、これに限定されない。例えば、本実施形態に係る制御装置1は、上記双方向コンバータの他に、電池の充放電制御回路等の回路に適宜設置可能である。
【0043】
また、本実施形態において、上記制御プログラム31の書き換えの実行指示は、制御プログラム31の更新に関する情報及び制御プログラム31の脆弱性に関する情報等、上記制御プログラム31の書き換えのトリガとなる情報が外部装置EAに存在する場合に、外部装置EAから送信され、通信部4を介して受信されてもよい。
【0044】
また、本実施形態において、上記チェックサムは、制御プログラム31が正常に書き込めているかを確認するために、プログラム領域のデータを読み出し、すべてのデータを加算し、計算値が正常な値かを確認して行ってもよい。
【0045】
また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の専用又は汎用のプロセッサ、若しくは、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理回路)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理回路)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【0046】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 制御装置
2 制御部
3 記憶部
4 通信部
5 バス
EC 電子回路
EA 外部装置
図1
図2
図3