(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 65/02 20060101AFI20240423BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B65D65/02 A
G01N33/543 521
(21)【出願番号】P 2020054647
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520104396
【氏名又は名称】アボットダイアグノスティクスメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】中畦 悟
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511813(JP,A)
【文献】特開平03-111267(JP,A)
【文献】特開2019-178935(JP,A)
【文献】特開2009-085751(JP,A)
【文献】特開2010-172325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/02
B65D 67/00-79/02
G01N 33/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノクロマトグラフィ法により検査される検体が供給される検体供給部と前記検体供給部に供給された前記検体の検査結果を示す結果表示部とを含むテストストリップを内包するパッケージであって、
前記テストストリップの表側に配置される表部材と、
前記テストストリップの裏側に配置される裏部材と、
を備え、
前記表部材のうち前記テストストリップの前記結果表示部に対向する領域が透明領域であり、
前記表部材と前記裏部材との重複領域のうち前記テストストリップの外側の部分には、前記テストストリップを囲むように、前記表部材と前記裏部材とがシールされたシール部が形成されており、
前記シール部は、第1シール部と、前記第1シール部より剥離強度の強い第2シール部とを有し、
前記第2シール部は、前記テストストリップの前記検体供給部より前記結果表示部側に形成されており、
前記第1シール部の部分において前記表部材と前記裏部材を剥離した場合に前記テストストリップの前記検体供給部が露出するように、前記第1シール部は、前記シール部のうち、前記第2シール部より前記検体供給部側の部分である、
パッケージ。
【請求項2】
前記第2シール部のシール幅は、前記第1シール部のシール幅より長い、
請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記裏部材のうち少なくとも前記検体供給部と対向する領域の色は白色である、
請求項1又は2に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イムノクロマトグラフィ法用のテストストリップを内包するパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
抗原抗体反応を利用した迅速な検査方法の一つとして、特許文献1に記載されているようなクロマトグラフィー式検出装置(以下、「テストストリップ」と称す)が知られている。このテストストリップは、イムノクロマトグラフィ法による検査を実施するものである。従来、テストストリップは、重ね合わされた不透明な2枚のフィルムの周縁部をシールすることによって形成されたパッケージに内包されていた。従来のパッケージでは、2枚のフィルムを完全に分離するように剥離することによって取り出されたテストストリップを用いて、検査を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テストストリップを用いた検査では、テストストリップに検体(例えば血液)を供給して行う。そのため、検査後のテストストリップには検体が残存している。よって、検査後のテストストリップに起因した2次感染のおそれが生じる。
【0005】
そこで、本発明は、より安全性を高めてイムノクロマトグラフィを実施可能なテストストリップのパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るパッケージは、イムノクロマトグラフィ法により検査される検体が供給される検体供給部と上記検体供給部に供給された上記検体の検査結果を示す結果表示部とを含むテストストリップを内包するパッケージであって、上記テストストリップの表側に配置される表部材と、上記テストストリップの裏側に配置される裏部材と、を備え、上記表部材のうち上記テストストリップの上記結果表示部に対向する領域が透明領域であり、上記表部材と上記裏部材との重複領域のうち上記テストストリップの外側の部分には、上記テストストリップを囲むように、上記表部材と上記裏部材とがシールされたシール部が形成されており、上記シール部は、第1シール部と、上記第1シール部より剥離強度の強い第2シール部とを有し、上記第2シール部は、上記テストストリップの上記検体供給部より上記結果表示部側に形成されており、上記第1シール部は、上記シール部のうち、上記第2シール部より上記検体供給部側の部分である。
【0007】
上記構成では、テストストリップは、表部材と裏部材とで挟まれている。テストストリップの周囲はシール部でシールされているので、テストストリップは、パッケージに密封されている。第1シール部は、シール部のうち、第2シール部より検体供給部側の部分である。テストストリップを使用する際には、検体供給部に検体を供給する。そのため、パッケージのうち第1シール部側の端を開封端としてパッケージを開封する。第2シール部の剥離強度は、第1シール部の剥離強度より強いことから、第1シール部側から表部材及び裏部材を引き剥がすと、第2シール部に達した段階で剥離が一度止まる。したがって、パッケージのうち開封端から第2シール部までを部分的に開封できる。そのため、検体供給部をパッケージから露出させ、検体供給部に検体を供給できるので、テストストリップを用いた検査を実施可能である。検体供給部への検体供給後、表部材及び裏部材のうち剥離された部分を元に戻すことによって、検体が供給されたテストストリップ全体を表部材及び裏部材で再度覆うことができる。そのため、仮に検査結果が陽性であっても、例えば2次感染などを防止できるので、安全にイムノクロマトグラフィ法に基づく検査が可能である。更に、表部材のうち結果表示部に対向する領域は、透明領域であるため、上記のように、検体供給部に検体を供給した後のテストストリップ全体を再度表部材及び裏部材で覆っても、検査結果を目視可能である。
【0008】
上記第2シール部のシール幅は、上記第1シール部のシール幅より長くてもよい。これにより、第2シール部の剥離強度を第1シール部より強くできる。
【0009】
上記裏部材のうち少なくとも上記検体供給部と対向する領域の色は白色でもよい。これにより、検査結果をより確認し易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より安全性を高めてイムノクロマトグラフィを実施可能なテストストリップのパッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るパッケージが内包するテストストリップの平面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るパッケージの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のVI-VI線に沿った分解断面図である。
【
図5】
図5は、シール部の変形例を説明するための図面である。
【
図6】
図6は、パッケージに内包されたテストストリップの使用方法を説明するための図面である。
【
図7】
図7は、テストストリップの使用方法において、
図6の後工程を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るパッケージに内包されるテストストリップ100の平面図である。テストストリップ100は、イムノクロマトグラフィ法を実施するための試験片であり、一方向に延在している。テストストリップ100は、HIV抗体検査、妊娠判断、インフルエンザ検査等に使用される。
【0014】
テストストリップ100は、一端から他端に向けて、サンプルパッド101(検体供給部)、コンジュゲートパッド102、メンブレン103(結果表示部)及び吸収パッド104が配置されている。サンプルパッド101、コンジュゲートパッド102、メンブレン103及び吸収パッド104は、図示していない支持体に配置されている。
【0015】
サンプルパッド101は、検体が供給される検体供給部である。コンジュゲートパッド102は、サンプルパッド101に接触するように配置されており、検体が展開可能であって、標識体(例えば金コロイドで標識された抗体又は抗原)を含有するパッドである。メンブレン103は、コンジュゲートパッド102に接触するように配置されており、検体が毛細管現象で移動可能な多孔質体である。メンブレン103には、検出すべき物質(検出対象物質)の有無を検出するためのテストラインL1が形成されている。テストラインL1は、検出対象物質を捕捉する捕捉体(検出対象物質に対する抗原又は抗体))がライン状に固定されることによって形成されている。メンブレン103には、コントロールラインL2が設けられていてもよい。コントロールラインL2は、検出対象物質に対する標識体が正常に反応することを確認するためのラインである。通常、標識体を捕捉する捕捉抗体が固定されている。テストストリップ100において、メンブレン103の部分がイムノクロマトグラフィの結果が示される結果表示部である。吸収パッド104は、検体を吸収するためのパッドである。
【0016】
テストストリップ100の延在方向の長さは、例えば、30mm~150mmであり、幅方向(延在方向に直交する方向)の長さの例は、2mm~15mmである。テストストリップ100の厚さの例は、12μm~3000μmである。
【0017】
テストストリップ100の検査のための検体としては、例えば血液(全血、血清、血漿)、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、鼻汁、咽頭ぬぐい液、唾液、痰、便、尿等が挙げられる。以下では、断らない限り、検体は血液である。
【0018】
以下の説明において、テストストリップ100において、検査結果が表示される側(サンプルパッド101、メンブレン103等が配置されている側)が表側である。
【0019】
図2は、一実施形態に係るパッケージ10の分解斜視図である。
図3は、
図2に示したパッケージ10の平面図である。
図4は、
図3に示したパッケージ10の分解断面図である。
図4は、
図3のVI-VI線に沿った断面構成を模式的に示している。説明の便宜のため、
図2~
図4に示したように、テストストリップ100の延在方向をX方向とし、上記延在方向に直交する方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向と称す。
【0020】
パッケージ10は表部材11及び裏部材12を有する。
【0021】
表部材11及び裏部材12はX方向に延在している。表部材11及び裏部材12のX方向及びY方向の長さは、テストストリップ100の対応する方向の長さより長い。
【0022】
表部材11及び裏部材12のX方向の長さの例は、40mm~160mmである。表部材11及び裏部材12のY方向の長さの例は、3mm~20mmである。表部材11及び裏部材12の厚さ(Z方向の長さ)の例は、12μm~100μmである。表部材11のX方向、Y方向及びZ方向それぞれの長さは、裏部材12の対応する方向の長さと同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
表部材11はテストストリップ100の表側に配置されており、裏部材12は、テストストリップ100の裏側に配置されている。表部材11及び裏部材12は、テストストリップ100を挟むように重ねられている。
【0024】
図3に示したように、Z方向からみて、表部材11及び裏部材12が重なっている領域(以下、「重複領域」と称す)のうちテストストリップ100より外側の部分に、シール部13が形成されている。
図3では、シール部13を明示するため、シール部13にハッチングを付している。シール部13は、テストストリップ100を囲むように形成されている。これにより、テストストリップ100がパッケージ10に密封された状態で内包されている。シール部13は、表部材11及び裏部材12がイージーピール(易剥離)可能にシールされた部分である。本実施形態では、表部材11及び裏部材12は、ヒートシールされている。説明の便宜のため、
図3では、
図2に示していた端部近傍のグラデーションの図示を省略している。
【0025】
図3に例示した形態では、表部材11及び裏部材12の平面視形状(Z方向からみた形状)は同じである。そのため、表部材11及び裏部材12の全領域が重複領域であり、重複領域の周縁部がシール部13である。
【0026】
表部材11及び裏部材12は、内包されたテストストリップ100に外部環境が影響を与えないように、例えば水蒸気、酸素などをバリアするとともに、後述するようにテストストリップ100に供給された検体が外部に漏れないようにバリアするバリア性を有する。
【0027】
表部材11のうち少なくともメンブレン103(結果表示部)と対向する領域は透明領域Aである。パッケージ10において、透明領域A以外の領域には、パッケージ10の開封方法等(例えば、(
図2に示したように、開封方向を示す矢印)が印刷されていてもよい。本明細書に記載の透明(少なくとも透明領域Aにおける透明)の概念には、テストラインL1に示される検査結果の目視を妨げない程度に僅かな色が混じっている場合もむ。ただし、本明細書に記載の透明は、無色透明が好ましい。
【0028】
本実施形態では、
図3に示したように、表部材11及び裏部材12ともに、パッケージ10の開封端側の端部(サンプルパッド101側の端部)近傍以外は透明領域Aである。
【0029】
図4を利用して、表部材11及び裏部材12を更に説明する。
【0030】
図4に示したように、表部材11及び裏部材12は、テストストリップ100側から順にイージーピールシーラント層21a、透明樹脂フィルム21b、印刷層21c及び透明蒸着フィルム21dが積層された多層フィルムである。本実施形態において、断らない限り、表部材11及び裏部材12は、層構成が同じ多層フィルムである。各層を説明する。
【0031】
イージーピールシーラント層21aは、表部材11及び裏部材12をイージーピールするための層である。イージーピールシーラント層21は、透明なイージーピールシーラント樹脂から形成されている。このようなイージーピールシーラント樹脂の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)のブレンド樹脂が挙げられる。イージーピールシーラント層の厚さの例は、30μm~100μmである。例えば、イージーピールシーラント層は、PPとPEのブレンド樹脂(PP70%及びPE30%)から形成されており、厚さは50μmである。
【0032】
透明樹脂フィルム21bは、厚み調整のための層である。透明樹脂フィルム21bの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリアミド(ナイロン)(ONY)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。透明樹脂フィルム21bの厚さの例は、12μm~30μmである。例えば、透明樹脂フィルム21bは、厚さ25μmのPETフィルムである。
【0033】
印刷層21cは、上述した透明領域A以外にパッケージ10の開封方法などを印刷するための層である。印刷層21cは、表部材11及び裏部材12それぞれの厚さを均一にするために、表部材11及び裏部材12それぞれの全体に形成されている。よって、透明領域Aに対応する部分には、透明インキが用いられる。
【0034】
透明蒸着フィルム21dは、基材フィルム上に透明な無機薄膜が蒸着プロセスで製膜された機能性フィルムである。透明蒸着フィルム21dが主に上述したバリア性を実現するためのバリアフィルムとして機能する。無機薄膜上に更にコーティング層が形成されていてもよい。 透明蒸着フィルム21dの厚さの例は、12μm~30μmである。透明蒸着フィルム21dは、基材フィルムが外側に位置するように、表部材11及び裏部材12において配置されている。
【0035】
基材フィルムは透明樹脂フィルムである。基材フィルムの材料としては、PET、OPP、ONY、PBTが挙げられる。基材フィルムの厚さの例は、12μm~30μmである。例えば、基材フィルムは、厚さ12μmのPETフィルムである。
【0036】
無機薄膜の材料としては、例えばアルミナ又は酸化ケイ素が挙げられる。
【0037】
【0038】
図3に示したように、シール部13は、第1シール部13aと、第2シール部13b徒を有する。第2シール部13bは、サンプルパッド101よりメンブレン103側に位置している。第1シール部13aは、シール部13において、第2シール部13bよりサンプルパッド101側の部分である。
【0039】
第2シール部13bは、第1シール部13aより剥がれ難い領域である。すなわち、第2シール部13bは、第1シール部13aの剥離強度より強い剥離強度を有する。第2シール部13bは、剥離のストッパとして機能する。
【0040】
図3に示した形態では、第2シール部13bのシール幅W2は、第1シール部13aのシール幅W1より広い。これによって、第2シール部13bの剥離強度が第1シール部13aの剥離強度より強くなっている。
【0041】
図5に示したように、第2シール部13bは、シール部13において、テストストリップ100のサンプルパッド101よりメンブレン103側の領域のうちの一部であってもよい。この場合、シール部13のうち、第2シール部13bからみて第1シール部13aと反対側の部分は、テストストリップ100を密封可能な程度のシール幅を有すればよい。例えば、
図5に示したように、シール部13のうち、第2シール部13bよりメンブレン103側の部分は、第1シール部13aのシール幅と同じでよい。
【0042】
上述した第1シール部13a及び第2シール部13bの剥離強度の関係を実現するために、シール幅を変更する代わりに、第1シール部13aと第2シール部13bとのシール条件を変更してもよい。例えば、シール部13分がヒートシールである場合、第2シール部13bを形成する際のシール温度が、第1シール部13aを形成する際のシール温度と異なってもよい。シール温度と剥離強度の関係は、イージーピールシーラント層21aの材料に応じて異なるが、通常、シール温度が高いほど、剥離強度が強くなる。
【0043】
上述した第1シール部13a及び第2シール部13bの剥離強度の関係を実現するために、シール幅及びシール条件の両方が調整されてもよい。
【0044】
上記パッケージ10を製造する場合、まず、テストストリップ100を表部材11及び裏部材12で挟む。その後、第1シール部13a及び第2シール部13bを有するように、表部材11及び裏部材12の重複領域のうちテストストリップ100の外側の部分を、テストストリップ100を囲むようにシール(例えばヒートシール)することによって製造される。
【0045】
次に、
図6及び
図7を利用してパッケージ10を用いたイムノクロマトグラフィ法による検体の検査方法を説明する。
【0046】
まず、ユーザは、パッケージ10の開封端(サンプルパッド101側の端)から表部材11及び裏部材12を互いに引き剥がす。第2シール部13bは第1シール部13aより剥がれ難いので、第2シール部13bで剥離が止まる。すなわち、パッケージ10が部分開封される。この状態で、ユーザは、
図6に示したように、表部材11及び裏部材12のうち剥がされた部分を折り曲げて、パッケージ10からサンプルパッド101を露出させる。
図6では、表部材11及び裏部材12を互いに反対に折り曲げているが、例えば、表部材11のみを折り曲げてもよい。
【0047】
その後、ユーザは、露出されたサンプルパッド101に検体を供給する。検体(本実施形態では血液)は、例えば、検査を受ける患者の指などから直接サンプルパッド101に滴下してもよいし、或いは、容器(又は試験管)中の検体に、露出されたサンプルパッド101を浸漬することによって、検体をサンプルパッド101に供給してもよい。
【0048】
サンプルパッド101に検体を供給した後、
図7に示したように、ユーザは、表部材11及び裏部材12のうち剥離された部分を再び閉じて、テストストリップ100全体を表部材11と裏部材12で再度覆う。
【0049】
シール部13が第1シール部13aと、第1シール部13aより剥離強度の強い第2シール部13bとを有することから、
図6に示したように、パッケージ10において、サンプルパッド101を覆っている部分のみ、表部材11及び裏部材12を引き剥がすことが可能である。これにより、
図7に示したように、サンプルパッド101に検体を供給した後、テストストリップ100全体を再度表部材11と裏部材12で挟み込むことができる。更に、表部材11が透明領域Aを有することから、テストストリップ100を表部材11で覆っていても、検査結果を目視できる。サンプルパッド101に検体を供給した後(例えば検査結果の確認時)は、テストストリップ100を表部材11及び裏部材12でカバーできるので、検査結果が陽性(検体に病原菌、ウイルスなどが存在)を示している場合でも、2次感染を防止できる。すなわち、パッケージ10を使用することによって、安全に検査結果の確認を実施できる。
【0050】
表部材11及び裏部材12が例示した厚さを有する場合、可撓性とともに一定の剛性を有するため、それらの部分剥離及び部分剥離された領域を再度閉じる等の操作を実施し易い。また、表部材11及び裏部材12が例示した厚さを有する場合、表部材11及び裏部材12のうち部分剥離された領域を元に戻したときに、テストストリップ100を安定して覆うことが一層可能である。
【0051】
表部材11及び裏部材12の層構成は、
図4に示した形態に限定されない。表部材11及び裏部材12の変形例を具体的に説明する。
【0052】
(変形例1)
表部材11は、イージーピールシーラント層21aの代わりに、第1透明樹脂フィルムを有する点で、
図4に示した表部材11と相違する。変形例1における表部材11及び裏部材12の層構成は次のとおりである。
[表部材11]
透明蒸着フィルム21d/印刷層21c/透明樹脂フィルム21b/第1透明樹脂フィルム
[裏部材12]
イージーピールシーラント層21a/透明樹脂フィルム21b/印刷層21c/透明蒸着フィルム21d
【0053】
表部材11及び裏部材12において、透明蒸着フィルム21d側がパッケージ10の外側である。
【0054】
第1透明樹脂フィルムは、裏部材12のイージーピールシーラント層21aとイージーピールが可能に形成されていればよい。第1透明樹脂フィルムの材料としては、例えば、PE、PP、無軸延伸ポリプロピレン(CPP:Cast PolyPolypropylene)が挙げられる。第1透明樹脂フィルムの厚さの例は、20μm~50μmである。例えば、第1樹脂フィルムは、厚さ30μmのPEフィルムである。
【0055】
変形例1において、裏部材12が有するイージーピールシーラント層21aの厚さは、
図4に例示した裏部材12が有するイージーピールシーラント層21aの厚さより薄くてもよい。変形例1のイージーピールシーラント層21aの厚さは例えば30μmである。
【0056】
(変形例2)
裏部材12は、イージーピールシーラント層21aの代わりに第1透明樹脂フィルムを有してもよい。変形例2における表部材11及び裏部材12の層構成は次のとおりである。
[表部材11]
透明蒸着フィルム21d/印刷層21c/透明樹脂フィルム21b/イージーピールシーラント層21a
[裏部材12]
第1透明樹脂フィルム/透明樹脂フィルム21b/印刷層21c/透明蒸着フィルム21d
【0057】
第1透明樹脂フィルムは、表部材11のイージーピールシーラント層21aとイージーピールが可能に形成されていればよい。第1透明樹脂フィルムの材料及び厚さの例は、変形例1の場合と同様である。変形例2において、第1透明樹脂フィルムは、例えば、厚さ30μmのCPPフィルムである。
【0058】
変形例2において、表部材11が有するイージーピールシーラント層21aの厚さは、
図4に例示した裏部材12が有するイージーピールシーラント層21aの厚さより薄くてもよい。変形例2のイージーピールシーラント層21aの厚さは例えば30μmである。
【0059】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。表部材及び裏部材の大きさは、テストストリップをそれらで挟み内包可能であれば異なっていてもよい。例えば、表部材の延在方向の長さは、裏部材の延在方向より長くてもよいし、又は短くてもよい。
【0060】
裏部材において、結果表示部に対向する領域の色は白色でもよい。これにより、結果表示部で示される検査結果を確認し易い。例えば、印刷層の対応する領域に白色インキを利用することによって、裏部材12において、結果表示部に対向する領域の色を白色とし得る。
【0061】
表部材及び裏部材の少なくとも一方は、パッケージの内側に粘着層を有していてもよい。この場合、検体供給部への検体供給後、表部材及び裏部材を元に戻した際、テストストリップ全体を覆った状態を安定して維持し易い。
【0062】
表部材及び裏部材は、それらをイージーピール可能であること、バリア性を有すること、及び、少なくとも表部材は検査結果を目視で確認可能なように透明領域を有することを満たせば、表部材及び裏部材の構成は限定されない。例えば、表部材及び裏部材は印刷層を有さなくてもよい。表部材及び裏部材は、透明なバリアフィルムを有し、表部材及び裏部材のうち少なくとも一方は更にイージーピールシーラント層を有すればよい。
【符号の説明】
【0063】
10…パッケージ、11…表部材、12…裏部材、13…シール部、13a…第1シール部、13b…第2シール部、100…テストストリップ、101…サンプルパッド(検体供給部)、102…コンジュゲートパッド、103…メンブレン(結果表示部)、104…吸収パッド、A…透明領域、L1…テストライン、L2…コントロールライン、W1…シール幅(第1シール部のシール幅)、W2…シール幅(第2シール部のシール幅)。