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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01H 3/10 20060101AFI20240423BHJP
   B02C 23/00 20060101ALI20240423BHJP
   B02C 4/02 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
G01H3/10
B02C23/00 A
B02C4/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020089378
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183931
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】517359668
【氏名又は名称】コンピュートロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392008574
【氏名又は名称】明治機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】古井戸 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】日根 年治
(72)【発明者】
【氏名】松井 三栄登
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-042708(JP,A)
【文献】特開2018-120407(JP,A)
【文献】特開2019-144174(JP,A)
【文献】特開2005-248817(JP,A)
【文献】特開2019-096014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00- 13/045
G01M 99/00
G01H 1/00- 17/00
G06Q 10/20- 10/30
G05B 23/00- 23/02
G06F 18/00- 18/40
G06N 3/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を有する監視対象機械の監視部位に取り付けられて前記監視部位の所定の物理量を検出し、得られた物理量検出結果を出力する物理量検出手段と、
前記物理量検出手段から出力された物理量検出結果を時系列データとして受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記時系列データから前記可動部に関連する部品の交換時期を判断し、前記交換時期に関する情報を出力する監視部と、
を備え、
前記監視部は、前記部品を交換する直前の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換前データと、前記部品を交換した直後の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換後データとにより部品交換前後の前記時系列データに基づく学習モデルを生成する学習部と、
前記監視対象機械の実稼動期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる実稼動データを、前記学習部で学習された前記学習モデルによって評価し、この評価結果に基づいて前記部品の交換時期に関する情報を出力する判定部と
を備え、
前記学習部は、前記交換前データと前記交換後データとを入力し、これらのデータから交換前と交換後とを分類する学習モデルを生成し、
前記判定部は、前記学習モデルに基づいて前記実稼動データを前記交換前と交換後とに分類し、交換前であることを示す分類結果の出現割合に基づいて前記部品の交換時期の到来を判断する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記交換前であることを示す分類結果の出現割合が所定期間中に所定のしきい値を超えたとき、又は交換前であることを示す前記分類結果が所定期間中に所定のしきい値を所定回数連続して超えたときに、前記部品の交換時期であると判断する
ことを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
可動部を有する監視対象機械の監視部位に取り付けられて前記監視部位の所定の物理量を検出し、得られた物理量検出結果を出力する物理量検出手段と、
前記物理量検出手段から出力された物理量検出結果を時系列データとして受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記時系列データから前記可動部に関連する部品の交換時期を判断し、前記交換時期に関する情報を出力する監視部と、
を備え、
前記監視部は、前記部品を交換する直前の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換前データと、前記部品を交換した直後の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換後データとにより部品交換前後の前記時系列データに基づく学習モデルを生成する学習部と、
前記監視対象機械の実稼動期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる実稼動データを、前記学習部で学習された前記学習モデルによって評価し、この評価結果に基づいて前記部品の交換時期に関する情報を出力する判定部と
を備え、
前記学習部は、前記交換前データを学習して交換前データ学習モデルを生成すると共に、前記交換後データを学習して交換後データ学習モデルを生成し、
前記判定部は、前記交換前データ学習モデルに基づいて前記実稼動データの第1の誤差量を算出すると共に、前記交換後データ学習モデルに基づいて前記実稼動データの第2の誤差量を算出し、これら第1の誤差量及び第2の誤差量の所定期間の傾向に基づいて前記部品の交換時期の到来を判断する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項4】
可動部を有する監視対象機械の監視部位に取り付けられて前記監視部位の所定の物理量を検出し、得られた物理量検出結果を出力する物理量検出手段と、
前記物理量検出手段から出力された物理量検出結果を時系列データとして受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記時系列データから前記可動部に関連する部品の交換時期を判断し、前記交換時期に関する情報を出力する監視部と、
を備え、
前記監視部は、前記部品を交換する直前の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換前データと、前記部品を交換した直後の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換後データとにより部品交換前後の前記時系列データに基づく学習モデルを生成する学習部と、
前記監視対象機械の実稼動期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる実稼動データを、前記学習部で学習された前記学習モデルによって評価し、この評価結果に基づいて前記部品の交換時期に関する情報を出力する判定部と
を備え、
前記学習部は、前記交換前データから第1の偏相関行列を生成すると共に、前記交換後データから第2の偏相関行列を生成し、
前記判定部は、前記実稼動データを第3の偏相関行列に変換し、前記第1の偏相関行列と前記第3の偏相関行列から第1の異常値スコアを算出すると共に、前記第2の偏相関行列と前記第3の偏相関行列から第2の異常値スコアを算出し、これら第1の異常値スコア及び第2の異常値スコアの所定期間の傾向に基づいて前記部品の交換時期の到来を判断する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項5】
前記物理量は加速度であり、
前記物理量検出手段は、前記監視部位に装着された加速度センサであり、
前記物理量検出結果は、加速度検出結果である
請求項1~4のいずれか1項記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部を有する監視対象機械の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
粉砕機等の監視対象機械の故障や部品交換を予測する種々の監視システムが知られている。例えば、下記特許文献1には、ローラが許容限界を超えて摩耗する前に、ローラ部の交換時期を判断可能な粉砕機が開示されている。この粉砕機では、毎時電力量を計測し、その計測値と予め設定されたしきい値とを比較して、ローラ部の交換時期を判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3222966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より正確に部品の交換時期を提示することができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る監視システムは、可動部を有する監視対象機械の監視部位に取り付けられて前記監視部位の所定の物理量を検出し、得られた物理量検出結果を出力する物理量検出手段と、前記物理量検出手段から出力された物理量検出結果を時系列データとして受信する受信部と、前記受信部で受信された前記時系列データから前記可動部に関連する部品の交換時期を判断し、前記交換時期に関する情報を出力する監視部とを備える。前記監視部は、前記部品を交換する直前の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換前データと、前記部品を交換した直後の期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる交換後データとにより部品交換前後の前記時系列データに基づく学習モデルを生成する学習部と、前記監視対象機械の実稼動期間に前記受信部で受信された前記時系列データからなる実稼動データを、前記学習部で学習された前記学習モデルによって評価し、この評価結果に基づいて前記部品の交換時期に関する情報を出力する判定部とを備える。
【0006】
本発明の一実施形態において、前記学習部は、前記交換前データと前記交換後データとを入力し、これらのデータから交換前と交換後とを分類する学習モデルを生成し、前記判定部は、前記学習モデルに基づいて前記実稼動データを前記交換前と交換後とに分類し、この分類結果の所定期間の傾向に基づいて前記部品の交換時期を判断するようにしても良い。
【0007】
本発明の他の実施形態において、前記学習部は、前記交換前データを学習して交換前データ学習モデルを生成すると共に、前記交換後データを学習して交換後データ学習モデルを生成し、前記判定部は、前記交換前データ学習モデルに基づいて前記実稼動データの第1の誤差量を算出すると共に、前記交換後データ学習モデルに基づいて前記実稼動データの第2の誤差量を算出し、これら第1の誤差量及び第2の誤差量の所定期間の傾向に基づいて前記部品の交換時期を判断するようにしても良い。
【0008】
本発明の他の実施形態において、前記学習部は、前記交換前データから第1の偏相関行列を生成すると共に、前記交換後データから第2の偏相関行列を生成し、前記判定部は、前記実稼動データを第3の偏相関行列に変換し、前記第1の偏相関行列と前記第3の偏相関行列から第1の異常値スコアを算出すると共に、前記第2の偏相関行列と前記第3の偏相関行列から第2の異常値スコアを算出し、これら第1の異常値スコア及び第2の異常値スコアの所定期間の傾向に基づいて前記部品の交換時期を判断するようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より正確に部品の交換時期を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る監視システムの概略的な構成を示す模式図である。
図2】収集される時系列データの一例を示す模式図である。
図3】部品交換時期の判断で使用される時系列データを示す模式図である。
図4】第1実施形態における監視部での学習及び判定処理を説明するための模式図である。
図5】第2実施形態における監視部での学習及び判定処理を説明するための模式図である。
図6】第3実施形態における監視部での学習及び判定処理を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る監視システムを詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、第1実施形態に係る監視システムを説明するための模式図である。この実施形態では、監視対象機械として飼料等の製造プラントで使用される粉砕機10を例とする。
図1に示すように、本実施形態の監視システムは、粉砕機10に装着された後述する加速度センサ21、温度センサ22,23及び電力計測部24と、これらのセンサ等から装置の監視に必要なデータを受信する受信部としてのIoTゲートウェイ31と、このIoTゲートウェイ31を介して提供された各種データに基づいて粉砕機10の稼動状況を監視するクラウドサーバ等の監視部40とを備える。
【0013】
監視対象機械としての粉砕機10は、図1に示すように、例えば、平行に配列された2本のメインローラ11,12と、これらメインローラ11,12に対して平行に配列された2本のフィードローラ13,14とを有する。メインローラ11,12は、それぞれベアリング15a,15b及びベアリング16a,16bによって回転可能に支持されている。メインローラ11は、メインモータ17によって駆動される。フィードローラ13,14は、フィードモータ18によって駆動される。
【0014】
本実施形態では、メインローラ11,12を支持するベアリング15a,15b,16a,16b及びメインモータ17をそれぞれ監視部位に設定している。これらの監視部位には、それぞれ加速度センサ21と温度センサ22が装着されている。また、粉砕機10の周辺には、環境温度を測定するための温度センサ23が設けられている。また、粉砕機10の電力系統には、粉砕機10での消費電力を計測する電力計測部24が設けられている。
【0015】
加速度センサ21は、例えば、互いに直交するX,Y,Z軸方向のそれぞれの加速度を検出するIoT(Internet of Things)デバイスで、所定の無線又は有線での通信方式により、加速度検出結果を出力する。温度センサ22,23もIoTデバイスで、所定の無線又は有線での通信方式により、温度検出結果を送信出力する。
【0016】
一方、粉砕機10の近傍に配置された配電盤30には、受信部及び中継器としてIoTゲートウェイ31が配置されている。IoTゲートウェイ31は、加速度センサ21、温度センサ22,23及び電力計測部24からの加速度検出結果、温度検出結果及び電力計測値を、それぞれ時系列データとして受信し、必要なプロトコル変換をした上で、それら時系列データを外部の監視部40に送信出力する。
【0017】
監視部40は、収集された時系列データを記憶する記憶部41と、記憶された時系列データに基づいて、各種の学習モデルを生成する学習部43と、学習部43で生成された学習モデルに基づいて、実稼動データを評価し、必要な監視項目についての判定を行う判定部44と、判定結果等の監視情報を表示する表示部42とを有する。
【0018】
次に、このように構成された監視システムの動作について説明する。
[時系列データ]
本実施形態では、IoTゲートウェイ31又は監視部40において、データ分析に必要な時系列データを生成する。例えば、振動パターンの特徴をより抽出し易くするため、加速度検出結果の時系列データとして、次のようなデータを使用することも可能である。図2は、この時系列データの生成過程を示す図である。加速度センサ21からの出力を、例えば50Hz等の所定の周波数でサンプリングし、例えば324サンプルを1つのデータ周期として、各軸の加速度データを生成する。この各軸の加速度データは、フーリエ変換(FFT)によりパワースペクトルからなるFFTデータに変換され、更に対数化、正規化処理をして各軸について324サンプルの加速度検出結果の時系列データとなる。温度センサ22,23からの温度検出結果及び電力計測部24の計測結果については、加速度センサ21よりは長い周期でサンプリングを行い、時系列データを作成する。
【0019】
[状態監視]
粉砕機10の運転状態は、原材料の種類、混合条件、投入速度によって様々に変化する。現在の状態がどのような状態であるかは、加速度センサ21からの加速度検出結果、温度センサ22からの温度検出結果及び電力計測部24からの電力計測結果の少なくとも1つから分類することができる。具体的には、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)等を用いたクラスタリングの手法を利用して、例えば正常時の振動パターンを学習し、アイドル状態(カテゴリ0)、2.5~8 kWhの稼動状態(カテゴリ1)、8~12 kWhの稼動状態(カテゴリ2)、12 kWh以上の稼動状態(カテゴリ3)等のカテゴリに分類することができる。
そして、実際の稼動状態では、実稼動データを学習データに基づいて分類し、現在の状態を監視部40の表示部42に表示する。
【0020】
[部品交換時期の表示]
原料を粉砕するメインローラ11,12は、消耗部品として定期的に交換される。交換の最適なタイミングを決定することで、プラントの運用コストを削減することができる。本実施形態では、次のように、部品交換の最適時期を決定する。この処理は、例えば監視部40によって実行される。
【0021】
監視部40は、図3に示すように、実稼動によって消耗部品の交換が必要になった直前の期間に得られた、例えば加速度検出結果の時系列データを交換前データとし、部品交換の直後に得られた時系列データを交換後データとして記憶部41に記憶する。
次に、監視部40は、学習部43によって、交換前データと交換後データとにより部品交換前後の時系列データに基づく学習モデルを生成する。
そして、監視部40は、判定部44によって、粉砕機10の実稼動期間にIoTゲートウェイ31で受信された加速度センサ21からの時系列データ(実稼動データ)を、上述した学習モデルによって評価し、この評価結果に基づいて部品の交換時期に関する情報を出力する。
なお、学習モデルを作成するための交換前データ及び交換後データは、上述した監視対象機械である粉砕機10の状態(アイドル状態、所定電力での稼働状態等)の情報を含むように調整しても良い。
【0022】
以下、学習方法として、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)を使用した方法について説明する。
図4(a)に示すように、部品交換前後の所定期間に収集された交換前データと交換後データとを「交換前」、「交換後」のラベルを付けて教師付データとして学習部であるCNN43aに入力する。CNN43aは、入力層として例えば3(軸)×18×18(324)次元の入力層を有し、時系列データと「交換前」、「交換後」の分類との関係性を学習する。
【0023】
CNN43aの学習が終了したら、図4(b)に示すように、実稼働時に実稼動データを判定部であるCNN(学習モデル)44aに入力し、実稼動データが交換前、交換後のいずれに分類されたことを示す分類結果を出力する。そして、判定部44bは、所定期間における分類結果の傾向に基づいて、部品の交換時期を判断し、その判断結果を報知する。例えば、分類結果が交換前である出現割合が所定期間中に80%等の一定のしきい値を超えたとき、又は、所定期間を1週間とし、判定部44の出力結果が一定のしきい値をN週間連続して超えたとき等のタイミングを、部品交換タイミングであるとして、交換時期到来を、表示部42を介して報知する。
【0024】
このように、本実施形態によれば、実際に部品の交換が必要になった状況を学習し、その学習結果に基づいて部品交換時期の到来を報知するようにしているので、正確に部品の交換時期を提示することができる。
【0025】
[第2実施形態]
図5は、学習方法として、オートエンコーダ(AE)を使用した第2実施形態を示す模式図である。
第2実施形態では、学習時に、図5(a)に示すように、交換前データを学習部としての第1のオートエンコーダ43bに入力し、交換後データを学習部としての第2のオートエンコーダ43cに入力する。オートエンコーダは、入出力のデータが同じになるように圧縮及び復元を行うニューラルネットワークであり、例えば、入出力データ用に972(18×18×3)次元、中間層用に500次元のニューラルネットワークを使用することができる。
【0026】
学習が終了した第1のオートエンコーダ43bと第2のオートエンコーダ43cは、図5(b)に示すように、それぞれ交換前データ学習モデル及び交換後データ学習モデルとなる。
【0027】
実稼働時には、実稼動データを判定部である第1のオートエンコーダ44cと第2のオートエンコーダ44dに入力し、各オートエンコーダ44c,44dから出力される第1の誤差量及び第2の誤差量を求める。
そして、判定部44eは、所定期間における第1の誤差量及び第2の誤差量の傾向に基づいて、部品の交換時期を判断し、その判断結果を報知する。例えば、第1の誤差量と第2の誤差量のうち、第1の誤差量の出現割合が所定期間中に80%等の一定のしきい値を超えたとき 、又は、所定期間を1週間とし、判定部44の出力結果が一定のしきい値をN週間連続して超えたとき等のタイミングを、部品交換タイミングであるとして、交換時期到来を、表示部42を介して報知する。
【0028】
[第3実施形態]
図6は、学習方法として、スパース構造学習43d,43eを使用した第3の実施形態を示す模式図である。
第3実施形態では、学習時に、図6(a)に示すように、交換前データから偏相関行列1を生成し、交換後データから偏相関行列2を算出する。
【0029】
実稼働時には、実稼動データから偏相関行列変換部44fにより偏相関行列3を算出し、偏相関行列1と偏相関行列3、偏相関行列2と偏相関行列3とで、それぞれ第1の異常度スコア及び第2の異常値スコアを算出する。
【0030】
そして、判定部44iは、所定期間における第1の異常度スコア及び第2の異常スコアの傾向に基づいて、部品の交換時期を判断し、その判断結果を報知する。例えば、第1の異常度スコアと第2の異常度スコアのうち、第1の異常度スコアが小さい割合が所定期間中に80%等の一定のしきい値を超えたとき 、又は、所定期間を1週間とし、判定部44の出力結果が一定のしきい値をN週間連続して超えたとき等のタイミングを、部品交換タイミングであるとして、交換時期到来を、表示部42を介して報知する。
【0031】
以上の実施形態においても、部品の正確な交換時期の到来を報知することができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、時系列データとして、主として加速度検出結果の時系列データを利用した例を示した。しかし、例えば、温度検出結果の時系列データ、電力計測結果の時系列データ、その他の物理量の時系列データで、消耗部品の交換前後で異なる挙動の傾向を示す物理量の時系列データを利用して、上記と同様の部品の交換時期判断を行うようにしても良い。
【0033】
また、上記実施形態では、監視部40としてクラウドサーバを利用する例について説明したが、例えば、配電盤30に接続された他のコンピュータによって、学習部43と判定部44を有する監視部40を構成することもできる。
【0034】
また、上記実施形態では、管理対象機械として粉砕機10を例に挙げたが、例えばローラ、スライダ、回転軸等の可動部を有する他の機械の消耗部品の監視についても、同様に本発明を適用可能であることは言うまでも無い。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10…粉砕機、11,12…メインローラ、13,14…フィードローラ、15a,15b,16a,16b…ベアリング、17…メインモータ、18…フィードモータ、21…加速度センサ、22,23…温度センサ、24…電力計測部、30…配電盤、31…IoTゲートウェイ、40…監視部、41…記憶部、42…表示部,43…学習部、44…判定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6