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特許7477369単一パスロボットシステムを用いた長状複合部材の自動超音波検査
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】単一パスロボットシステムを用いた長状複合部材の自動超音波検査
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20240423BHJP
   B64F 5/60 20170101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N29/265
B64F5/60
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020094217
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021006809
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】16/437,239
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】バリー エー.フェッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ディー.セリル
(72)【発明者】
【氏名】カリーム ガマル シェハブ
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-008552(JP,A)
【文献】特開2018-136175(JP,A)
【文献】特開平09-281094(JP,A)
【文献】特開平10-288610(JP,A)
【文献】特開昭62-034047(JP,A)
【文献】米国特許第9933396(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0334301(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0017140(US,A1)
【文献】米国特許第05585564(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - B64B 1/70
B64C 1/00 - B64C 99/00
B64D 1/00 - B64D 47/08
B64F 1/00 - B64F 5/60
B64G 1/00 - B64G 99/00
B64U 10/00 - B64U 80/86
G01N 29/00 - G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールフレームアセンブリを含む装置であって、当該ツールフレームアセンブリは、前記装置の上下方向に延びるZ軸に平行に配向された第1及び第2のガイドシャフトを含んでおり、前記装置は、さらに、
前記第1及び第2のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な第1及び第2の回転軸を中心に其々回転可能な第1及び第2のピボットを備える第1及び第2のベアリングブロックアセンブリと、
互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを備える第1のフレームアセンブリと、を含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該第3の回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第1及び第2のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、装置。
【請求項2】
前記第1のピボットは、互いに共軸である第1及び第2のピボットピンを含み、前記第1のベアリングブロックアセンブリは、
前記第1の回転シャフトと前記第1のピボットとの間に配置されたリニアボールベアリングと、
前記第1のピボットの前記第1及び第2のピボットピンを其々支持する第1及び第2のベアリングと、
前記第1のガイドシャフトに摺動可能に連結された第1及び第2のリニアベアリングと、をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のフレームアセンブリは、下側フレームブラケットと、互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルとを含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のフレームアセンブリは、前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに取り付けられた上側アセンブリ、及び、前記下側フレームブラケットに取り付けられた下側アセンブリをさらに含み、前記上側アセンブリは、互いに対して並進移動可能且つ連携回転が可能な第1及び第2のNDIプローブを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第3のリニアスライドテーブルに取り付けられた第1の上側サブアセンブリ、前記第4のリニアスライドテーブルに取り付けられた第2の上側サブアセンブリ、及び、前記下側フレームブラケットに取り付けられた下側アセンブリをさらに含み、前記第1の上側サブアセンブリは、第1のNDIプローブを含み、前記第2の上側サブアセンブリは、第2のNDIプローブを含み、前記第1及び第2のNDIプローブは、互いに対して並進移動可能且つ連携回転が可能である、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記第3のリニアスライドテーブルに取り付けられた第1の上側サブアセンブリ、前記第4のリニアスライドテーブルに取り付けられた第2の上側サブアセンブリ、及び、前記下側フレームブラケットに取り付けられた下側アセンブリをさらに含み、前記下側アセンブリは、第1及び第2のNDIプローブを含む、請求項4~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記ツールフレームアセンブリは、前記ツールフレームアセンブリの前記Z軸に平行に配向された第3及び第4のガイドシャフト、前記第1のガイドシャフトと前記第3のガイ
ドシャフトとの間隔を維持する第1の下側ガイドシャフトスペーサ、及び、前記第2のガイドシャフトと前記第4のガイドシャフトとの間隔を維持する第2の下側ガイドシャフトスペーサをさらに含み、前記装置は、
前記第3及び第4のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記X軸に平行な第4及び第5の回転軸を中心に其々回転可能な第3及び第4のピボットを含む、第3及び第4のベアリングブロックアセンブリと、
互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第6の回転軸を有する第3及び第4の回転シャフトを含む第2のフレームアセンブリと、をさらに含み、前記第3及び第4の回転シャフトは、前記第6の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第3及び第4のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、請求項1~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記ツールフレームアセンブリは、前記ツールフレームアセンブリの前記Z軸に平行に配向された第5及び第6のガイドシャフトをさらに含み、前記第1の下側ガイドシャフトスペーサは、前記第3のガイドシャフトと前記第5のガイドシャフトとの間隔を維持し、前記第2の下側ガイドシャフトスペーサは、前記第4のガイドシャフトと前記第6のガイドシャフトとの間隔を維持し、前記装置は、
前記第5及び第6のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記X軸に平行な第7及び第8の回転軸を中心に其々回転可能な第5及び第6のピボットを含む、第5及び第6のベアリングブロックアセンブリと、
互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第9の回転軸を有する第5及び第6の回転シャフトを含む第3のフレームアセンブリと、をさらに含み、前記第5及び第6の回転シャフトは、前記第9の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第5及び第6のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のフレームアセンブリによって支持された第1及び第2のNDIプローブをさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記第1及び第2のNDIプローブは、其々、超音波トランスデューサアレイである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のフレームアセンブリは、
下側フレームブラケットと、
互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルと、
前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルと、をさらに含み、
前記第1のNDIプローブは、前記第3のリニアスライドテーブルに連結されており、前記第2のNDIプローブは、前記第4のリニアスライドテーブルに連結されている、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
ツールフレームアセンブリを含む、ブレード補強材の非破壊検査(NDI)のための装置であって、
当該ツールフレームアセンブリは、前記装置の上下方向に延びるZ軸に平行に配向された第1~第6のガイドシャフトを有しており、前記装置は、さらに、
前記第1~第6のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な其々の回転軸を中心に回転可能なピボットを其々備える第1~第6のベアリングブロックアセンブリと、第1のNDIプローブアセンブリと、第2のNDIプローブアセンブリと、第3のNDIプローブアセンブリと、を含んでおり、
前記第1のNDIプローブアセンブリは、第1のプローブフレームアセンブリと、ブレード補強材のウェブの両側に位置するフランジの各部分を其々検査するように配置された第1及び第2のNDIプローブと、を含み、前記第1のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第1の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第1回転軸を中心とする回転及び当該第1の回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第1及び第2のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されており、
前記第2のNDIプローブアセンブリは、第2のプローブフレームアセンブリと、前記ウェブを前記フランジに接続している前記ブレード補強材の各アール部を検査するように配置された第3及び第4のNDIプローブと、を含み、前記第2のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第2の回転軸を有する第3及び第4の回転シャフトを含み、前記第3及び第4の回転シャフトは、前記第2の回転軸を中心とする回転及び当該第2の回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第3及び第4のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されており、
前記第3のNDIプローブアセンブリは、第3のプローブフレームアセンブリと、前記ブレード補強材の前記ウェブを検査するように配置された第5及び第6のNDIプローブと、を含み、前記第3のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第5及び第6の回転シャフトを含み、前記第5及び第6の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該第3の回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第5及び第6のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、装置。
【請求項14】
前記第1~第3のプローブフレームアセンブリの各々は、下側フレームブラケットと、互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して其々並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルと、を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1~第3のプローブフレームアセンブリの各々は、前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルをさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1及び第2のNDIプローブは、前記第1のプローブフレームアセンブリの前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに其々連結されており、
前記第3及び第4のNDIプローブは、前記第2のプローブフレームアセンブリの前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに其々連結されており、
前記第5及び第6のNDIプローブは、前記第3のプローブフレームアセンブリの前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに其々連結されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1~第6のベアリングブロックアセンブリの各ピボットは、互いに共軸である第1及び第2のピボットピンを含み、前記第1~第6のベアリングブロックアセンブリの各々は、
前記第1~第6の回転シャフトの各々と、対応する前記ピボットとの間に配置された、リニアボールベアリングと、
前記各ピボットの前記第1及び第2のピボットピンを其々支持する第1及び第2のベアリングと、
前記第1~第6のガイドシャフトの各々に摺動可能に連結された第1及び第2のリニアベアリングと、をさらに含む、請求項13~16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記第1~第6のNDIプローブは、其々、超音波トランスデューサアレイである、請求項13~17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
ツールフレームアセンブリを含む、長状複合部材の非破壊検査(NDI)のための装置であって、
当該ツールフレームアセンブリは、前記装置の上下方向に延びるZ軸に平行に配向された第1及び第2のガイドシャフトを含んでおり、前記装置は、さらに、
前記第1及び第2のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な第1及び第2の回転軸を中心に其々回転可能な第1及び第2のピボットを備える、第1及び第2のベアリングブロックアセンブリと、
プローブフレームアセンブリと第1及び第2のNDIプローブとを備えるNDIプローブアセンブリと、を含み、前記プローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該第3の回転軸に沿った並進移動ができるように、其々前記第1のピボット及び前記第2のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、装置。
【請求項20】
前記プローブフレームアセンブリは、
下側フレームブラケットと、
互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルと、
前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルと、をさらに含み、
前記第1のNDIプローブは、前記第3のリニアスライドテーブルに連結されており、前記第2のNDIプローブは、前記第4のリニアスライドテーブルに連結されている、請求項19記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、非破壊検査装置及び方法に関し、より具体的には、補強材などの複合材料によって形成された長状部材を検査するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体の非破壊検査では、構造体を傷つけることなく、また、大幅に分解することなく、構造体を徹底的に調べる。非破壊検査は、航空機産業において一般的に用いられており、構造体のあらゆる種類の異常を発見すべく、非破壊検査によって航空機構造体を検査している。また、非破壊検査は、航空機の構造部品の初期製造段階においても用いられている。非破壊検査によって、部品が正確に製造されたかどうかを確認するとともに、部品に異物が入り込んでいないことを確認することができる。検査は、構造体の製造中でも、構造体が使用されるようになった後でも、行うことができる。
【0003】
航空機の補強された複合材部品に対して非破壊検査(NDI)を行うことがある。胴体や翼などの複合材部品は、「補強材(stiffeners)」または「ストリンガー」と称される長状の複合材部材(以下、「補強材」という)によって補強されることが多い。これらの補強材は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの複合材料によって形成される。本明細書において、「長状複合部材」という用語は、限定するものではないが、翼のブレード補強材や翼のベント補強材など、航空機の胴体や翼の製造に用いられる複合材補強材を含む。
【0004】
より具体的には、超音波検査を利用して、補強材の品質を非破壊的に判定することができる。補強材は、其々が超音波トランスデューサアレイを保持する1つ以上のシューを含むプローブによって超音波検査することができ、その際、プローブは、補強材の長手方向に徐々に移動する。プローブが移動する際に、トランスデューサアレイがパルス/エコーモードで動作してパルス超音波を生成し、これが補強材内に伝播する。反射された超音波が、超音波トランスデューサアレイに戻って当該超音波トランスデューサアレイによって検出され、これにより、補強材内の異常の存在を示すデータが得られる。超音波トランスデューサアレイによって収集されたデータは、通常、コンピュータシステムによって処理される。
【0005】
自動検査システムは、通常、マニピュレータ(例えば、オーバーヘッドガントリー、多軸スキャナ、又はロボット)を用いて、NDIエンドエフェクタを検査対象の部品に沿って走査移動させる。パルスエコー超音波検査などの片側からの検査法の場合、例えば、複数の自由度を有するシングルアームロボット装置を用いて、ロボットアームの端部に取り付けられたパルスエコー超音波検査装置などのNDIエンドエフェクタを配置したり移動させたりする。
【0006】
フランジ、アール部、及びウェブ用の各NDIプローブアセンブリを有する自動単一パス非破壊検査(NDI)システムが、米国特許第9,933,396号に開示されている。このシステムの設計は、形状、曲率、及び寸法が長手方向に沿って変化する長状複合部材も考慮に入れている。この超音波検査装置は、十分な数の自由度を有することにより、部品に対してプローブを適切にアラインメントさせた状態で、ロール、ピッチ、ヨー、横方向、及び、上下方向における局所的な部品の変化に対応することができる。しかしながら、製造後のブレード補強材は、超音波検査装置が調節可能な範囲を超えて、ブレード補強材ごとに異なるねじれを有する場合があり、部品に対する適切な超音波の伝達を維持するためには、検査者が、部品番号ごとに、ロボットプログラムを修正する必要が生じる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に提示の技術は、NDIツールヘッドが長状複合部材(例えばブレード補強材)の長手方向に走行する際に、フランジ用、アール部用、及び、ウェブ用の各NDIプローブアセンブリが其々独立して位置及び配向を調節できる機能を組み込むことによって、自動単一パスNDIツールヘッドの機能性を向上させる。より具体的には、各NDIプローブアセンブリは、NDIツールヘッドのZ軸に平行な第1軸に沿って並進移動すること、NDIツールヘッドのX軸(Z軸に対して垂直な軸)に平行な第2軸を中心に回転すること、及び、第3軸を中心に回転することが可能であり、第3軸は、NDIプローブアセンブリが第2軸を中心に回転する際に、第2軸(及びX軸)に対して垂直な平面内で回転する。これらの並進移動及び回転による調節は、NDIツールヘッドが長状複合部材の長手方向に移動する際に、長状複合部材の断面輪郭の変化に追随する。
【0008】
一実施形態によれば、ブレード補強材を検査するためのシステムは、ねじれ、ウェブ‐フランジ角度、ウェブ高さ、フランジ幅、厚み、又は、上下方向もしくは横方向における輪郭(例えば翼の外板の形状を反映する曲率)の変化に応じて、NDIツールヘッドの位置及び配向を調節することができるように設計されている。このように各NDIプローブアセンブリの配置を其々独立して調節できるように改善した機能によれば、検査中のブレード補強材が想定外の幾何学形状変化を呈する場合でも、自動ロボット検査ツールをプログラムし直す必要性が解消される。
【0009】
以下に詳述する要旨は、自動NDIシステムを用いて、1回の走査パスで長状複合部材の非破壊検査を行うための方法及び装置に関する。このシステム構想は、NDIツールヘッドをロボットに連結し、ロボットを用いてNDIツールヘッドを長状複合部材に沿って動かすこと、及び、検査中にNDIツールヘッドが部品の長手方向に走行する際に経路を阻害しない機構(tooling fixtures)を組み込むことによって、完全に自動化される。以下に詳しく開示する実施形態は、部品を固定状態で検査するように設計された単一パスNDIシステムを提供することによって、高い生産率を実現する。また、この機能により、使用される工場スペースの量を低減することができる。さらに、ロボット技術を検査に取り入れることによって、完全に自動化された検査が実現され、オペレータの労力が軽減または解消される。
【0010】
図示及び説明の便宜上、以下では、略T字型の翼のブレード補強材を、一回の走査パス(以下、「単一パス」)で超音波検査するための装置及び方法について詳述する。ただし、以下に開示する装置によって実現される原理及び概念のいくつかは、輪郭が略T字型ではない他の長状複合部材の超音波検査にも適用することができる。長状複合部材が翼のブレード補強材であり、ウェブと交差するフランジを含むことにより交差箇所の両側にアール部(別名「radii」)が形成されている場合、フランジを検査するための2つのフェーズドリニア超音波トランスデューサアレイ、ウェブを検査するための2つのフェーズドリニア超音波トランスデューサアレイ、及び、アール部を検査するための2つのフェーズド湾曲超音波トランスデューサアレイを含む超音波検査ツールヘッドが提供される。
【0011】
ハードツーリング(hard tooling)によって硬化された従来の複合材構造体は、良好に形成されるとともに再現可能な複合材アール部となる。これに対して、ソフトツーリング(soft tooling)で形成された複合材アール部は、必ずしも常に良好に形成されず、部品ごとにばらつきがある。場合によっては、寸法や輪郭のばらつきが、ハードツーリングで形成されたものよりも大きくなることがある。このようにばらつきが大きいと、信頼性のある検査がより困難になる。なお、ソフトツーリングによる複合材アール部の真円度のばらつきを考慮して、以下で用いるアール部(「radius」及び「radiused portion」)という用語は、厳密に解釈されるべきではなく、非円形の輪郭を含むものとする。
【0012】
長状複合部材を検査するための方法及び装置の様々な実施形態を後に詳述するが、これらの実施形態の1つ又は複数は、以下の側面のうちの1つ又は複数によって特徴付けることができる。
【0013】
以下に詳述する要旨の一側面は、ツールフレームアセンブリを含む装置であり、当該ツールフレームアセンブリは、そのZ軸に平行に配向された第1及び第2のガイドシャフトを含む。前記装置は、さらに、前記第1及び第2のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な第1及び第2の回転軸を中心に其々回転可能な第1及び第2のピボットを備える第1及び第2のベアリングブロックアセンブリと、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを備える第1のフレームアセンブリと、を含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第1及び第2のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている。フレームアセンブリは、一対のNDIプローブなどの一対の装置又は器具を支持するように構成されている。
【0014】
直前のパラグラフに記載した装置の一実施形態によれば、前記第1のピボットは、互いに共軸である第1及び第2のピボットピンを含む。前記第1のベアリングブロックアセンブリは、前記第1の回転シャフトと前記第1のピボットとの間に配置されたリニアボールベアリングと、前記第1のピボットの前記第1及び第2のピボットピンを其々支持する第1及び第2のベアリングと、前記第1のガイドシャフトに摺動可能に連結された第1及び第2のリニアベアリングと、をさらに含む。また、前記第1のフレームアセンブリは、下側フレームブラケットと、互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルと、前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルをさらに含む。
【0015】
以下に詳述する要旨の別の側面は、ツールフレームアセンブリを含む、長状複合部材の非破壊検査のための装置である。当該ツールフレームアセンブリは、そのZ軸に平行に配向された第1及び第2のガイドシャフトを備えている。前記装置は、さらに、前記第1及び第2のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な第1及び第2の回転軸を中心に其々回転可能な第1及び第2のピボットを含む、第1及び第2のベアリングブロックアセンブリと、第1のプローブフレームアセンブリと第1及び第2のNDIプローブとを含む第1のNDIプローブアセンブリと、を含み、前記第1のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、其々前記第1のピボット及び前記第2のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている。提示される一実施態様によれば、前記第1及び第2のNDIプローブは、其々、超音波トランスデューサアレイである。
【0016】
直前のパラグラフに記載した装置の一実施形態によれば、前記ツールフレームアセンブリは、前記ツールフレームアセンブリの前記Z軸に平行に配向された第3及び第4のガイドシャフト、前記第1のガイドシャフトと前記第3のガイドシャフトとの間隔を維持する第1の下側ガイドシャフトスペーサ、及び、前記第2のガイドシャフトと前記第4のガイドシャフトとの間隔を維持する第2の下側ガイドシャフトスペーサをさらに含む。前記装置は、前記第3及び第4のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記X軸に平行な第4及び第5の回転軸を中心に其々回転可能な第3及び第4のピボットを備える、第3及び第4のベアリングブロックアセンブリと、第2のプローブフレームアセンブリと第3及び第4のNDIプローブとを備える第2のNDIプローブアセンブリとをさらに含む。前記第2のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第6の回転軸を有する第3及び第4の回転シャフトを含み、前記第3及び第4の回転シャフトは、前記第6の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第3及び第4のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている。
【0017】
別の実施形態によれば、直前の2つのパラグラフに記載した特徴に加えて、前記ツールフレームアセンブリは、前記ツールフレームアセンブリの前記Z軸に平行に配向された第5及び第6のガイドシャフトをさらに含み、前記第1の下側ガイドシャフトスペーサは、前記第3のガイドシャフトと前記第5のガイドシャフトとの間隔を維持し、前記第2の下側ガイドシャフトスペーサは、前記第4のガイドシャフトと前記第6のガイドシャフトとの間隔を維持する。前記装置は、前記第5及び第6のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記X軸に平行な第7及び第8の回転軸を中心に其々回転可能な第5及び第6のピボットを備える第5及び第6のベアリングブロックアセンブリと、第3のプローブフレームアセンブリと第5及び第6のNDIプローブとを備える第3のNDIプローブアセンブリと、をさらに含む。前記第3のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第9の回転軸を有する第5及び第6の回転シャフトを含み、前記第5及び第6の回転シャフトは、前記第9の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第5及び第6のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている。
【0018】
以下に詳述する要旨の別の側面は、ツールフレームアセンブリを含む長状複合部材の非破壊検査のための装置である。当該ツールフレームアセンブリは、そのZ軸に平行に配向された第1~第6のガイドシャフトを有している。前記装置は、さらに、前記第1~第6のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な其々の回転軸を中心に回転可能なピボットを其々備える第1~第6のベアリングブロックアセンブリと、第1のNDIプローブアセンブリと、第2のNDIプローブアセンブリと、第3のNDIプローブアセンブリと、を含んでいる。前記第1のNDIプローブアセンブリは、第1のプローブフレームアセンブリと、ブレード補強材のウェブの両側に位置するフランジの各部分を其々検査するように配置された第1及び第2のNDIプローブとを含んでおり、前記第1のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第1の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第1回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第1及び第2のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている。前記第2のNDIプローブアセンブリは、第2のプローブフレームアセンブリと、前記ウェブを前記フランジに接続している前記ブレード補強材の各アール部を検査するように配置された第3及び第4のNDIプローブと、を含んでおり、前記第2のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第2の回転軸を有する第3及び第4の回転シャフトを含み、前記第3及び第4の回転シャフトは、前記第2の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第3及び第4のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている。前記第3のNDIプローブアセンブリは、第3のプローブフレームアセンブリと、前記ブレード補強材の前記ウェブを検査するように配置された第5及び第6のNDIプローブとを含んでおり、前記第3のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第5及び第6の回転シャフトを含み、前記第5及び第6の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第5及び第6のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている。
【0019】
直前のパラグラフに記載した装置の一実施形態によれば、前記第1~第3のプローブフレームアセンブリの各々は、下側フレームブラケットと、互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して其々並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルと、前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルと、をさらに含む。
【0020】
提示される一実施態様によれば、前記第1~第6のベアリングブロックアセンブリの各ピボットは、互いに共軸である第1及び第2のピボットピンを含み、前記第1~第6のベアリングブロックアセンブリの各々は、前記第1~第6の回転シャフトの各々と、対応する前記ピボットとの間に配置された、リニアボールベアリングと、前記各ピボットの前記第1及び第2のピボットピンを其々支持する第1及び第2のベアリングと、前記第1~第6のガイドシャフトの各々に摺動可能に連結された第1及び第2のリニアベアリングと、をさらに含む。
【0021】
以下に詳述する要旨のさらなる側面は、ウェブ、フランジ、及び、アール部を有する長状複合部材の単一パスでの自動非破壊検査方法である。当該方法は、(a)NDIツールヘッドをロボットのコネクタプレートに連結する工程;(b)前記NDIツールヘッドを長状複合部材に載置して、前記NDIツールヘッドのフランジNDIプローブアセンブリ、アール部NDIプローブアセンブリ、及び、ウェブNDIプローブアセンブリを、前記長状複合部材の其々対応する部分に接触させる工程;(c)前記ロボットの動作によって、前記長状複合部材に沿って前記NDIツールヘッドを移動させる工程;(d)工程(c)の際に、前記フランジNDIプローブアセンブリに組み込まれた第1及び第2のNDIプローブを用いて、前記長状複合部材の前記フランジからNDIデータを収集する工程;(e)工程(c)の際に、前記アール部NDIプローブアセンブリに組み込まれた第3及び第4のNDIプローブを用いて、前記長状複合部材の前記アール部からNDIデータを収集する工程;(f)工程(c)の際に、前記ウェブNDIプローブアセンブリに組み込まれた第5及び第6のNDIプローブを用いて、前記長状複合部材の前記ウェブからNDIデータを収集する工程;(g)工程(c)の際に、前記長状複合部材によって前記フランジNDIプローブアセンブリに付与される力及びトルクの変化に応答して、前記NDIツールヘッドのフレームに対して前記フランジNDIプローブアセンブリを並進移動及び回転させる工程;(h)工程(c)の際に、前記長状複合部材によって前記アール部NDIプローブアセンブリに付与される力及びトルクの変化に応答して、前記NDIツールヘッドの前記フレームに対して前記アール部NDIプローブアセンブリを並進移動及び回転させる工程;及び、(i)工程(c)の際に、前記長状複合部材によって前記ウェブNDIプローブアセンブリに付与される力及びトルクの変化に応答して、前記NDIツールヘッドの前記フレームに対して前記ウェブNDIプローブアセンブリを並進移動及び回転させる工程を含む。前記各フランジ、アール部、及びウェブNDIプローブアセンブリは、前記NDIツールヘッドの前記フレームのZ軸に平行な其々の第1軸に沿って、前記NDIツールヘッドの前記フレームに対して並進移動し、前記Z軸に対して垂直である前記NDIツールヘッドの前記フレームのX軸に平行な其々の第2軸を中心に、前記NDIツールヘッドの前記フレームに対して回転し、前記フランジ、アール部、及び、ウェブNDIプローブアセンブリが前記第2軸を中心に回転する際に前記X軸に対して垂直な其々の平面内で回転する其々の第3軸を中心に、前記NDIツールヘッドの前記フレームに対して回転する。一実施形態によれば、当該方法は、工程(c)の際に、前記フランジNDIプローブアセンブリ、アール部NDIプローブアセンブリ、及び、ウェブNDIプローブアセンブリの各部品を、空圧式リニアスライドテーブルを用いて前記長状複合部材に押圧する工程をさらに含む。
【0022】
長状複合部材を検査するための方法及び装置の他の態様を以下に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
上述した特徴、機能、及び、利点は、様々な実施形態おいて個別に達成することができ、他の実施形態において、組み合わせることも可能である。上述した側面及び他の側面を説明するため、以下において、図面を参照しながら様々な実施形態を説明する。なお、本セクションで簡単に説明する図面は、いずれも縮尺どおりに描いたものではない。
【0024】
図1】複合材ブレード補強材の代表的な輪郭を示す図であり、当該輪郭は、典型的には、ウェブ角度がブレード補強材の長手方向に沿って垂直から変化していくにつれて、正確なT字型から変化する。
図2】略T字型のブレード補強材に装着されたNDIツールヘッドの三次元図である。
図2A図2に示したツールヘッドに組み込まれたツールフレームアセンブリの側面図である。
図3】一実施形態によるNDIツールヘッドの三次元図である。
図3A図3に示したNDIツールヘッドの側面図であり、すべてのベアリングブロックアセンブリが其々の最も低い垂直位置にある状態を示す図である。
図3B図3に示したNDIツールヘッドの背面図である。
図4A図3に示したNDIツールヘッドの正面図である。
図4B-4D】他方のベアリングブロックアセンブリが固定したままで一方のベアリングブロックアセンブリが上方に変位する際の3つの段階における、図4Aに示したNDIツールヘッドの正面図である。
図5図3に示したNDIツールヘッドの一部を拡大した三次元図である。
図6】一実施形態によるプローブフレームアセンブリの三次元図であり、図6に示したタイプの3つのプローブフレームアセンブリが図3に示したNDIツールヘッドに組み込まれている。
図7】一実施形態によるベアリングブロックアセンブリの三次元図であり、図7に示したタイプの6つのベアリングブロックアセンブリが、図3に示したNDIツールヘッドに組み込まれている。
図7A図7に示したベアリングブロックアセンブリの分解図である。
図8】一実施形態によるフランジNDIプローブアセンブリの三次元図であり、このフランジNDIプローブアセンブリが図3に示したNDIツールヘッドに組み込まれている。
図9図8に示したフランジNDIプローブアセンブリの上面図である。
図9A図8に示したフランジNDIプローブアセンブリの、図9の線9A-9Aに沿う断面図である。
図9B図8に示したフランジNDIプローブアセンブリの、図9の線9B-9Bに沿う断面図である。
図10】一実施形態による、図3のNDIツールヘッドに組み込まれたアール部NDIプローブアセンブリの三次元図である。
図11】一実施形態による、図3のNDIツールヘッドに組み込まれたウェブNDIプローブアセンブリの三次元図である。
図11A】ブレード補強材のウェブの両側に配置された一対のリニア超音波トランスデューサアレイの立面図である。
図12】ロボットに取り付けられた図3に示したNDIツールヘッドの側面図である。
【0025】
以下では、図面を参照するが、これらの図面において、同じ要素は異なる図面においても同様の参照符号で示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
長状複合部材の自動検査のための方法及び装置の例示的な実施形態について、以下に幾分詳しく説明する。ただし、実際の態様のすべての特徴を本明細書に記載しているわけではない。当業者であればわかるように、このような実際の実施形態のいずれの開発においても、システム関連及びビジネス関連の制約の遵守などの開発者固有の目的を達成するために、その実施態様固有の多くの決定を行わなければならず、そのような決定は、実施態様によって異なるものである。さらに、このような開発努力は、複雑で時間がかかるかもしれないが、それでも本開示の利益を有する当業者にとっては、日常的な作業となるであろう。
【0027】
長状複合部材の超音波検査のための装置及び方法の実施形態を、略T字型の翼のブレード補強材の検査に関連させて説明する。ただし、本明細書に開示の装置及び方法を用いて、他の輪郭を有する複合材補強材や、補強材以外の長状複合部材を超音波検査することも可能である。
【0028】
図1は、フランジ4及びフランジ4と交差するウェブ6を含む複合材ブレード補強材2(以下、「ブレード補強材」という)の代表的な輪郭形状を示す図である。ブレード補強材2は、交差部分に左アール部8a及び右アール部8bを有する。なお、図1では見えないが、ブレード補強材2は、例えば長手方向において変化する輪郭を有している。いくつかの位置では、輪郭はT字型であり、他の位置では輪郭がT字型から変化しており、例えば、ウェブ‐フランジ角度θが、ブレード補強材2の長手方向において、(例えば図1に示すように)90度から変化している。例えば、ウェブ‐フランジ角度θは、±15°変化する。この範囲のウェブ角度を有する輪郭のブレード補強材を、本明細書では、「略T字型のブレード補強材」と称する。
【0029】
ブレード補強材2は、図2に示した米国特許第9,933,396号に開示されているタイプのNDIツールヘッド10を用いて、1回のパスで検査することができる。NDIツールヘッド10は、ブレード補強材2に装着されるように設計されている。図2に示したNDIツールヘッド10は、ツールフレームアセンブリ12と、ツールフレームアセンブリ12によって担持されたNDIプローブアセンブリ14とを含む。ツールフレームアセンブリ12は、クイックリリースツール側コネクタプレート16、上側フレーム20、及び、上側フレーム20をツール側コネクタプレート16に連結するジンバルアセンブリ15を含む。図12を参照して後述するように、ツール側コネクタプレート16は、対応するロボット側コネクタプレート114に接続される。
【0030】
一回の走査パス中に、NDIツールヘッド10は、フランジ4、ウェブ6、及び、アール部(図2ではアール部8aのみが見える)をスキャンしながら、ブレード補強材2の長手方向に一端から他端まで走行する。一実施態様によれば、NDIプローブアセンブリ14は、フランジ4を検査するための2つのフェーズドリニア超音波トランスデューサアレイ、ウェブ6を検査するための2つのフェーズドリニア超音波トランスデューサアレイ、及び、アール部8a、8bを検査するための2つのフェーズド湾曲超音波トランスデューサアレイを含む。これらのトランスデューサアレイは図2では見えない。NDIプローブアセンブリ14は、超音波トランスデューサアレイを調節可能に支持するプローブハウジングアセンブリ30をさらに含む。
【0031】
さらに図2を参照すると、ツールフレームアセンブリ12は、4つのガイドシャフト24a~24dをさらに含み、これらの各々は、その一端が、上側シャフトマウント21aによって上側フレーム20に固定連結(すなわち取付け)されており、ガイドシャフト24a~24dの各々の他端には、下側フレーム22が、下側シャフトマウント21bによって固定連結されている。好ましい実施形態において、ガイドシャフト24a~24dの軸はすべて、ツールフレームアセンブリ12の基準系におけるZ軸と平行である。ツールフレームアセンブリ12は、一対のベアリングブロックアセンブリ26a及び26b(図2Aに最もよく表れている)をさらに含み、これらは、其々対応する定荷重ばねアセンブリ42a及び42bによって、上側フレーム20に連結されている。さらに、ベアリングブロックアセンブリ26aは、対応する対のリニアベアリング(図2には図示せず)によって、ガイドシャフト24a及び24bに並進移動可能に連結されている。ベアリングブロックアセンブリ26b(図2Aで見える)は、対応する対のリニアベアリング(図示せず)によって、ガイドシャフト24c及び24dに並進移動可能に連結されている。ベアリングブロックアセンブリ26a及び26b(NDIプローブアセンブリ14を支持)は、定荷重ばねアセンブリ42a及び42bがこれらに上昇力を及ぼす際、連携してZ方向に並進移動可能である。図2Aに最もよく表れているように、ベアリングブロックアセンブリ26bのZ方向における変位は、ツールフレームアセンブリ12に一体に組み込まれたリニア可変差動変換器18によって測定することができる。ベアリングブロックアセンブリ26a及び26bの変位は、互いに等しくなる。
【0032】
図2Aに示すように、ベアリングブロックアセンブリ26aは回転シャフト28aを含み、ベアリングブロックアセンブリ26bは回転シャフト28bを含む。回転シャフト28a及び28bは、共通の回転軸を有しており、これをツールフレームアセンブリ12の基準系におけるY軸(Z軸に対して垂直)と定義することができる。NDIプローブアセンブリ14のプローブハウジングアセンブリ30は、回転シャフト28a及び28bに固定されている。このような設計により、回転シャフト28a及び28bに固定されているプローブハウジングアセンブリ30(図2参照)は、ツールフレームアセンブリ12のY軸を中心に回転することができる。
【0033】
図2及び図2Aに示したシステムによって、形状、曲率、及び寸法が長手方向に沿って変化する長状複合部材の自動検査が可能である。NDIツールヘッド10は、十分な数の自由度を有することにより、部品に対してプローブを適切にアラインメントさせた状態で、ロール、ピッチ、ヨー、横方向、及び、上下方向における局所的な部品の変化に対応することができる。しかしながら、図1及び図2に示したタイプの製造後のブレード補強材は、NDIツールヘッド10のNDIプローブがその位置や配向を調節して対応できる範囲を超える度合いの、ブレード補強材ごとに異なるねじれを有する場合がある。部品ごとのばらつきが非常に大きい場合、部品に対する適切な超音波の伝達を維持するためには、検査者が、部品番号ごとに、ロボットプログラムを修正しなければならない。
【0034】
本明細書に提示の技術は、NDIツールヘッドが長状複合部材(例えばブレード補強材)の長手方向に走行する際に、フランジ用、アール部用、及び、ウェブ用の各NDIプローブアセンブリが其々独立して位置及び配向を調節できる機能を組み込むことによって、自動単一パスブレードNDIツールヘッドの機能性を向上させる。より具体的には、各NDIプローブアセンブリは、NDIツールヘッドのZ軸に平行な第1軸に沿って並進移動すること、NDIツールヘッドのX軸(Z軸に対して垂直な軸)に平行な第2軸を中心に回転すること、及び、第3軸を中心に回転することが可能であり、第3軸は、NDIプローブアセンブリが第2軸を中心に回転する際に、X軸に対して垂直な平面内で回転する。このような並進移動及び回転による調節は、ロボットが検査ヘッドをブレード補強材の長手方向に移動させる際に、ロボットフレームの基部に対してブレード補強材が回転することを補償する。このようにフランジ用、アール部用、及びウェブ用の各NDIプローブアセンブリの配置を其々独立して調節できる向上した機能によれば、検査中の長状複合材ブレード補強材が想定外の幾何学形状変化を呈する際でも、自動ロボット検査ツールをプログラムし直す必要性が解消される。
【0035】
図3は、一実施形態による改善されたNDIツールヘッド10*の三次元図である。NDIツールヘッド10*は、切り離された状態で示されている。図3に示したNDIツールヘッド10*は、ツールフレームアセンブリ12*と、ツールフレームアセンブリ12*によって支持されて、独立して移動可能な3つのNDIプローブアセンブリ、すなわち、フランジNDIプローブアセンブリ32、アール部NDIプローブアセンブリ34、及び、ウェブNDIプローブアセンブリ36を含む。フランジNDIプローブアセンブリ32は、ブレード補強材のフランジを検査するための2つのフェーズドリニア超音波トランスデューサアレイ(図3では見えない)を有する。ウェブNDIプローブアセンブリ36は、ブレード補強材のウェブを検査するための二つのフェーズドリニア超音波トランスデューサアレイ(図3では見えない)を有する。アール部NDIプローブアセンブリ34は、ブレード補強材のアール部を検査するための二つのフェーズド湾曲超音波トランスデューサアレイ(図3では見えない)を有する。
【0036】
ツールフレームアセンブリ12*は、クイックリリースツール側コネクタプレート16、コネクタプレート16に取り付けられた衝突センサ64、衝突センサ64から懸架されたフレームアダプタアセンブリ66、及び、フレームアダプタアセンブリ66に取り付けられたフレームメインプレート70をさらに含む。フレームアダプタアセンブリ66は、一対のリニアスライドを含んでおり、これによって、フレームメインプレート70は、ツールフレームアセンブリ12*の基準系におけるY軸に沿って、衝突センサ64に対して並進移動が可能である。ツールフレームアセンブリ12*は、一対のハンドル48をさらに含み、これにより、NDIツールヘッド10*を手で持ち上げることが可能である。ツールフレームアセンブリ12*は、左導管60a及び右導管60bを含むケーブル導管アセンブリ60をさらに含む。種々の電気ケーブル及び空圧ホースが、他の装置にからまらないように、ケーブル導管アセンブリ60に挿通されている。
【0037】
さらに図3を参照すると、ツールフレームアセンブリ12*は、対応する上側シャフトマウント21aによって、其々の一端がフレームメインプレート70に固定連結(すなわち取付け)された6つのガイドシャフト38a~38fと、対応する下側シャフトマウント21bによってガイドシャフト38a~38c及び38d~38fの他端に其々固定連結された一対の下側ガイドシャフトスペーサ44及び46(下側ガイドスペーサ44は図3では見えないが図3Bを参照のこと)とをさらに含む。ガイドシャフト38a~38fの軸はすべて、ツールフレームアセンブリ12*の基準系におけるZ軸に平行である。下側ガイドシャフトスペーサ44は、ツールフレームアセンブリ12*の左側のガイドシャフト38a~38c間の間隔を維持する。下側ガイドシャフトスペーサ46は、ツールフレームアセンブリ12*の右側のガイドシャフト38d~38f間の間隔を維持する。
【0038】
ツールフレームアセンブリ12*は、一対のリニアベアリング(図3には図示せず)によって其々ガイドシャフト38a~38fに並進移動可能に連結された、6つのベアリングブロックアセンブリ40a~40fをさらに含む。ベアリングブロックアセンブリ40a及び40bは、フランジNDIプローブアセンブリ32を支持する。ベアリングブロックアセンブリ40c及び40dは、アール部NDIプローブアセンブリ34を支持する。ベアリングブロックアセンブリ40e及び40fは、ウェブNDIプローブアセンブリ36を支持する。ベアリングブロックアセンブリ40a~40fはすべて、其々のガイドシャフト38a~38fに沿って、独立して上下に摺動可能である。
【0039】
さらに図3を参照すると、各NDIプローブアセンブリは、其々のプローブフレームアセンブリを含み、各プローブフレームアセンブリは、対応するベアリングブロックアセンブリに其々連結された一対の空圧式リニアスライドアセンブリ51a及び51bを含む。フランジNDIプローブアセンブリ32は、ベアリングブロックアセンブリ40a及び40bに連結されたプローブフレームアセンブリ50aを含む。アール部NDIプローブアセンブリ34は、ベアリングブロックアセンブリ40c及び40dに連結されたプローブフレームアセンブリ50bを含む。ウェブNDIプローブアセンブリ36は、ベアリングブロックアセンブリ40e及び40fに連結されたプローブフレームアセンブリ50cを含む。プローブフレームアセンブリ50a~50cは、NDIツールヘッド10*がブレード補強材の長手方向に走行する際に、ブレード補強材によって各NDIプローブアセンブリに付与される力及びトルクに応答して、其々独立して位置及び配向を調節することができる。
【0040】
図3Aは、図3に示したNDIツールヘッド10*の側面図である。この図では、フレームアダプタアセンブリ66が溶接パイプスタンド62によって衝突センサ64に取り付けられているのが見える。図3に示した状態では、すべてのベアリングブロックアセンブリ40a~40fが、其々の最も低い垂直位置にある。特に、図3Aは、ベアリングブロックアセンブリ40b、40d、及び40fのすべてが、下側ガイドシャフトスペーサ46に接触している状態を示している。この状態において、ツールフレームアセンブリ12*のY軸に対するプローブフレームアセンブリ50a~50cの傾斜角度は、0度であると規定する。
【0041】
図3Bは、図3に示したNDIツールヘッド10*の背面図である。同図は、図3及び図3Aでは見えなかったメインプレート補強材74を示している。フレームメインプレート70及びケーブル導管アセンブリ60(図3参照)の両方が、メインプレート補強材74に取り付けられ、これによって支持されている。一実施態様によれば、メインプレート補強材74は、6つの上側シャフトマウント21aの近傍で其々終結する6個のラジアルアーム(radial arms)を備えた環状リング形の一体形成部品である。
【0042】
図3Bに示すように、ウェブNDIプローブアセンブリ36のプローブフレームアセンブリ50cの両端は、ベアリングブロックアセンブリ40e及び40fに対して其々摺動及び回転可能に連結された一対の相互共軸回転シャフト88e及び88fに固定されている。ベアリングブロックアセンブリ40e及び40fは、其々、ガイドシャフト38e及び38fに沿って、独立して摺動可能である。ベアリングブロックアセンブリ40eと40fとが不均衡に並進移動をする際は、プローブフレームアセンブリ50cが並進移動及び回転する。具体的には、プローブフレームアセンブリ50cは、X軸に平行な軸を中心に、且つ、回転シャフト88e及び88fの共通の回転軸を中心に、回転自在である。プローブフレームアセンブリ50cは、さらに、当該プローブフレームアセンブリ50cが回転する際、回転シャフト88e及び88fの共通の軸に沿って、わずかな距離、並進移動することによって、位置を調節することもできる。
【0043】
アール部NDIプローブアセンブリ34のプローブフレームアセンブリ50bは、ベアリングブロックアセンブリ40c及び40dに対して其々摺動及び回転可能に連結された回転シャフト88c及び88d(図3Bには図示しないが図4Dを参照)に固定されて、同様に位置及び配向を調節することができる。
【0044】
図4Aは、図3に示したNDIツールヘッド10*の正面図である。図4Aに示すように、NDIプローブアセンブリ32のプローブフレームアセンブリ50aの両端は、ベアリングブロックアセンブリ40a及び40bに対して其々摺動及び回転可能に連結された一対の相互共軸回転シャフト88a及び88bに固定されている。ベアリングブロックアセンブリ40a及び40bは、其々、ガイドシャフト38a及び38bに沿って、独立して摺動可能である。ベアリングブロックアセンブリ40aと40bとが不均衡に並進移動をする際は、プローブフレームアセンブリ50aが並進移動及び回転する。具体的には、プローブフレームアセンブリ50aは、X軸に平行な軸を中心に、且つ、回転シャフト88a及び88bの共通の回転軸を中心に、回転自在である。プローブフレームアセンブリ50aは、さらに、当該プローブフレームアセンブリ50aが回転する際、回転シャフト88a及び88bの共通の軸に沿って、わずかな距離、並進移動することによって、位置を調節することもできる。
【0045】
図4B図4Dは、ベアリングブロックアセンブリ40bが固定したままでベアリングブロックアセンブリ40aが上方に変位する際の3つの段階における、図4Aに示したNDIツールヘッド10*の正面図である。図4Bは、ベアリングブロックアセンブリ40aが最初の上方変位を行った後である、第1位置にあるフランジNDIプローブアセンブリ32を示している。ベアリングブロックアセンブリ40aのこの最初の上方変位の際、フランジNDIプローブアセンブリ32は、回転と並進移動との両方を行うことにより、図4Bに示した位置に到達する。図4Bに示したケースでは、アール部NDIプローブアセンブリ34及びウェブNDIプローブアセンブリ36は動いていない。図4Cは、ベアリングブロックアセンブリ40aが図4Bに示した垂直位置から図4Cに示した垂直位置までの2回目の上方変位を行った後である、第2位置にあるフランジNDIプローブアセンブリ32を示している。ベアリングブロックアセンブリ40aのこの2回目の上方変位の際、フランジNDIプローブアセンブリ32は、回転と並進移動との両方を行うことにより、図4Cに示した位置に到達する。図4Dは、ベアリングブロックアセンブリ40aが図4Cに示した垂直位置から図4Dに示した垂直位置までの3回目の上方変位を行った後である、第3位置にあるフランジNDIプローブアセンブリ32を示している。ベアリングブロックアセンブリ40aのこの3回目の上方変位の際、フランジNDIプローブアセンブリ32は、回転と並進移動との両方を行うことにより、図4Dに示した位置に到達する。
【0046】
図4C及び図4Dに最もよく表れているように、フランジNDIプローブアセンブリ32は、アール部NDIプローブアセンブリ34及びウェブNDIプローブアセンブリ36とは独立して移動することができる。また、アール部NDIプローブアセンブリ34及びウェブNDIプローブアセンブリ36も、図4B~4Dに示したのと同様の態様で、互いに独立して、且つ、フランジNDIプローブアセンブリ32とは独立して移動することができる。
【0047】
図5は、図3に示したNDIツールヘッド10*の一部を拡大した三次元図である。図5には、NDIプローブアセンブリを一部だけ示している。また、図5には、ベアリングブロックアセンブリは、40b及び40dのみを示している。各ベアリングブロックアセンブリは、ベアリングブロック82と、ベアリングブロック82に締結されたベアリングホルダー84とを含んでいる。各ベアリングブロックアセンブリ内のベアリングについては、図7及び図7Aを参照して後述する。
【0048】
図5を参照すると、ベアリングブロックアセンブリ40bは、フランジNDIプローブアセンブリ32の回転シャフト88bを支持するピボット80を含む。ピボット80は、ツールフレームアセンブリ12*のX軸に平行な軸を中心に回転可能である。回転シャフト88bは、ピボット80の回転軸に対して垂直な軸を中心に回転可能である。フランジNDIプローブアセンブリ32のプローブフレームアセンブリ50aの一端は、回転シャフト88bに固定されている。プローブフレームアセンブリ50aの他端は、フランジNDIプローブアセンブリ32の回転シャフト88a(図5には図示しないが、図4A図4Dを参照)に固定されており、当該回転シャフトは、上記と同様の態様で、ベアリングブロックアセンブリ40aによって支持されている。プローブフレームアセンブリ50aは、以下の部品、すなわち、回転シャフト88a及び88bに固定された下側フレームブラケット68;回転シャフト88bの回転軸に対して垂直である第1並進移動軸に沿って、下側フレームブラケット68に対して摺動可能な空圧式リニアスライドテーブル52;空圧式リニアスライドテーブル52に取り付けられたシリンダブラケット54;シリンダブラケット54に取り付けられて、これにより担持されたシリンダ58;及び、第1並進移動軸に対して垂直である第2並進移動軸に沿って摺動可能な空圧式リニアスライドテーブル56を含む。図5は、プローブフレームアセンブリ50aの下側フレームブラケット68の一端に並進移動可能に連結された、フランジNDIプローブアセンブリ32の右上サブアセンブリ32bを示している。フランジNDIプローブアセンブリ32の左上サブアセンブリ32a(図8に示す)は、同様の態様で、プローブフレームアセンブリ50aの下側フレームブラケット68の他端に並進移動可能に連結されている。
【0049】
さらに図5を参照すると、ベアリングブロックアセンブリ40dは、アール部NDIプローブアセンブリ34の回転シャフト88dを支持するピボット80を含む。ピボット80は、ツールフレームアセンブリ12*のX軸に平行な軸を中心に回転可能である。回転シャフト88dは、ピボット80の回転軸に対して垂直な軸を中心に回転可能である。アール部NDIプローブアセンブリ34のプローブフレームアセンブリ50bの一端は、回転シャフト88dに固定されている。プローブフレームアセンブリ50bの他端は、アール部NDIプローブアセンブリ34の回転シャフト88c(図5には図示しないが、図4B図4Dを参照)に固定されており、当該回転シャフトは、上記と同様の態様で、ベアリングブロックアセンブリ40cによって支持されている。プローブフレームアセンブリ50bは、プローブフレームアセンブリ50aについて上述したのと同様の構成で配置された同様の部品を含んでいる。図5は、プローブフレームアセンブリ50bの下側フレームブラケット68の一端に並進移動可能に連結された、アール部NDIプローブアセンブリ34の右上サブアセンブリ34bを示している。アール部NDIプローブアセンブリ34の左上サブアセンブリ34a(図10に示す)は、同様の態様で、プローブフレームアセンブリ50bの下側フレームブラケット68の他端に並進移動可能に連結されている。
【0050】
図6は、一実施形態によるプローブフレームアセンブリ50の三次元図である。フランジ、アール部、及び、ウェブNDIプローブアセンブリの各々のプローブフレームアセンブリ50a~50cはすべて、図6に示した構成に従って作製することができる。プローブフレームアセンブリ50は、下側フレームブラケット68を含み、当該下側フレームブラケットは、直線状のベース梁68bと、ベース梁68bの両端から上方に向かって互いに平行に伸びる直線状の縦アーム68a及び68cとを有する。縦アーム68a及び68cは、ベース梁68bに接合(例えば溶接)してもよいし、ベース梁と一体に形成してもよい。下側フレームブラケット68は、NDIプローブアセンブリの下側サブアセンブリが取り付けられる一対の装着スタンド68d及び68eをさらに含む。プローブフレームアセンブリ50は、縦アーム68a及び68cを其々の対応する回転シャフト(図6には図示せず)に固定する一対のシャフトカラー72をさらに含む。さらに、下側フレームブラケット68は、縦アーム68a及び68cが其々一体に形成された一対のガイドシャフト支持プレート78を含む。各ガイドシャフト支持プレート78は、其々一対の互いに平行なガイドシャフト76を支持する。
【0051】
プローブフレームアセンブリ50は、其々対応するベアリングブロックアセンブリに連結された空圧式リニアスライドアセンブリ51a及び51bを含む。空圧式リニアスライドアセンブリ51a及び51bの各々は、以下の部品、すなわち、一対のガイドシャフト76に摺動可能に連結された空圧式リニアスライドテーブル52;空圧式リニアスライドテーブル52に取り付けられたシリンダブラケット54;シリンダブラケット54に取り付けられて、これにより担持されたシリンダ58;及び、ガイドシャフト76に対して垂直である並進移動軸に沿って摺動可能な空圧式リニアスライドテーブル56を含む。図9図11を参照して後に詳述するように、フランジ、アール部、及びウェブNDIプローブアセンブリの各々の下側サブアセンブリは、其々対応するプローブフレームアセンブリ50a~50cの装着スタンド68d及び68eに取り付けられている。さらに、フランジ、アール部、及びウェブNDIプローブアセンブリの各々の一対の左上及び右上サブアセンブリは、其々対応するプローブフレームアセンブリ50a~50cの一対の空圧式リニアスライドテーブル56に取り付けられている。自動検査プロセスの際は、空圧式リニアスライドアセンブリ51a及び51bは、圧縮空気の供給を制御することによって、左上及び右上サブアセンブリを下方に押し下げてブレード補強材のフランジに接触させるとともに、これらのサブアセンブリを内方に押圧してブレード補強材のウェブと接触させるように動作する。
【0052】
図7は、一実施形態によるベアリングブロックアセンブリ40の三次元図である。図7は、ベアリングブロックアセンブリ40によって支持された、ベアリングブロックアセンブリの一部ではない回転シャフト88も示している。図7に示したタイプの6つのベアリングブロックアセンブリ40a~40fが、図3に示したNDIツールヘッド10*に組み込まれている。
【0053】
図7Aは、図7に示したベアリングブロックアセンブリ40の分解図である。ベアリングブロックアセンブリ40は、ベアリングブロック82と、ベアリングブロック82に皿ねじ91で締結されてハウジングを形成するベアリングホルダー84とを含む。一実施形態において、ベアリングブロック82及びベアリングホルダー84は、アルミニウム合金によって形成された機械加工部品である。ベアリングブロック82及びベアリングホルダー84は、ピボット80を支持するが、このピボットも、アルミニウム合金によって形成された機械加工部品である。ベアリングホルダー84は、ベアリング90aを保持し、ベアリングブロック82は、ベアリング90bを保持する。図7に最もよく表れているように、ベアリング90a及び90bは、互いに整列して其々のピボットピン86a及び86bを支持しており、ピボットピン86a及び86bは、共軸であり、互いに反対方向に突出している。このような構成により、ピボット80は、ピボットピン86a及び86bの共通の回転軸を中心に回転することができる。ベアリングブロックアセンブリ40がNDIツールヘッド10*に取り付けられた状態では、ピボット80の回転軸は、ツールフレームアセンブリ12*のx軸と平行である。
【0054】
図7を参照すると、ベアリングブロックアセンブリ40は、ピボット80内に回転シャフト88を支持するリニアボールベアリング94をさらに含む。回転シャフト88は、リニアボールベアリング94の軸に沿った並進移動も可能である。図7Aに最もよく表れているように、リニアボールベアリング94は、ピボット80に形成された孔81に配置されている。孔81の中心軸は、ピボットピン86a及び86bの共通の回転軸に対して、垂直に配向されている。リニアボールベアリング94は、保持リング93cによって、ピボット80の孔81の内部に保持されている。ベアリングブロックアセンブリ40がNDIツールヘッド10*に取り付けられた状態では、回転シャフト88の軸は、ツールフレームアセンブリ12*のx軸に対して垂直である。
【0055】
再び図7を参照すると、ベアリングブロックアセンブリ40は、ピボットピン86a及び86bの共通の回転軸に対して垂直な共通の軸を有する一対のリニアベアリング92a及び92bをさらに含む。リニアベアリング92a及び92bは、其々の保持リング93a及び93bによって、ベアリングブロック82の内部に保持されている。リニアベアリング92a及び92bは、ベアリングブロック82の内部の其々の円筒空間に収容されており、これらの空間は、円筒形の孔95によって互いに連通している。リニアベアリング92a、92b及び孔95には、ガイドシャフトが挿通されている。リニアベアリング92a及び92bは、ベアリングブロックアセンブリ40を並進移動可能にガイドシャフトに連結している。(リニアベアリング92a及び92bは、ベアリングブロックアセンブリ40を回転可能にもガイドシャフトに連結するが、この自由度は、ブレード補強材の検査の際には利用されない。)ベアリングブロックアセンブリ40がNDIツールヘッド10*に取り付けられた状態では、リニアベアリング92a及び92bの共通の軸は、ツールフレームアセンブリ12*のz軸と平行である。
【0056】
これにより、図7及び図7Aに示したタイプの一対のベアリングブロックアセンブリ40は、NDIプローブアセンブリの回転シャフトに連結されると、NDIプローブアセンブリを必要に応じて回転及び並進移動させることにより、NDIプローブアセンブリが、ブレード補強材の長手方向に走行する際に、ブレード補強材の断面輪郭の変化に対応できる。図3に示した実施形態では、フランジ、アール部、及び、ウェブNDIプローブアセンブリ32、34及び36の各々が、其々独立して位置及び配向を調節することができる。
【0057】
図8は、一実施形態によるフランジNDIプローブアセンブリ32の三次元図であり、フランジNDIプローブアセンブリ32は、図3に示すNDIツールヘッド10*に組み込まれているものである。フランジNDIプローブアセンブリ32は、プローブフレームアセンブリ50aの空圧式リニアスライドアセンブリ51aの空圧式リニアスライドテーブル56に取り付けられた左上サブアセンブリ32aと、プローブフレームアセンブリ50aの空圧式リニアスライドアセンブリ51bの空圧式リニアスライドテーブル56に取り付けられた右上サブアセンブリ32bと、プローブフレームアセンブリ50aの下側フレームブラケット68に取り付けられた下側アセンブリ32cとを含む。
【0058】
図8に示すように、フランジNDIプローブアセンブリ32の左上サブアセンブリ32aは、左上当て板(wear plate)130a及び左上ローラカバー132aを含み、フランジNDIプローブアセンブリ32の右上サブアセンブリ32bは、右上当て板130b及び右上ローラカバー132bを含む。フランジNDIプローブアセンブリ32の下側アセンブリ32cは、下側当て板134と、其々のリニア超音波トランスデューサアレイ(図8では見えない)を収容する前方アレイハウジング136a及び後方アレイハウジング136bとを含む。
【0059】
図9は、図8に示したフランジNDIプローブアセンブリ32の上面図である。図9Aは、図8に示したフランジNDIプローブアセンブリ32の、図9の線9A-9Aに沿う断面図である。図9Bは、図8に示したフランジNDIプローブアセンブリ32の、図9の線9B-9Bに沿う断面図である。図9Aに示すように、フランジNDIプローブアセンブリ32は、上述したように、対応するベアリングブロックアセンブリによって其々支持された回転シャフトに固定された、一対のシャフトカラー72をさらに含む。さらに、図9Aに示すように、空圧式リニアスライドテーブル56の各々は、其々対応する空圧式リニアスライドアセンブリ51a及び51bのシリンダ58の内部で摺動するピストン55を含んでいる。
【0060】
フランジNDIプローブアセンブリ32の左上サブアセンブリ32a及び右上サブアセンブリ32bの各々は、一対のローラ96をさらに含んでおり、これらのうちの一対が、図9Bに断面で示されている。さらに、フランジNDIプローブアセンブリ32の下側アセンブリ32cは、4個のローラ96を含んでおり、そのうちの2つが図9Bに断面で示されている。ローラ96は、ブレード補強材のフランジの上面及び下面に接触し、フランジNDIプローブアセンブリ32が、検査動作の際にフランジを底部側から検査しつつフランジに沿って転動できるようにする。図9Bに示すように、前方アレイハウジング136aは、ブレード補強材のフランジに音響結合されるリニア超音波トランスデューサアレイ98を収容している。フランジNDIプローブアセンブリ32がブレード補強材に沿って転動する際に、リニア超音波トランスデューサアレイ98は、ブレード補強材のフランジに伝播する超音波を出射し、戻ってくるエコーを検出する。
【0061】
さらに、フランジNDIプローブアセンブリ32の右上当て板130bは、リニア超音波トランスデューサアレイ98と垂直方向に整列した位置に、ドライ音響結合用エラストマー材料(dry acoustic couplant elastomeric material)からなるリニアブロック138を収容している。同様の構成が、フランジNDIプローブアセンブリ32の左側にも存在する。検査プロセスの際は、リニア超音波トランスデューサアレイ98が、水を介して、ブレード補強材のフランジの底面に音響結合する。さらに、ブレード補強材のフランジの上面は、ドライ音響結合用エラストマー材料のリニアブロック138と接触する。ドライ音響結合用エラストマー材料(例えば、カナダ、オンタリオ州、キッチナーのInnovation Polymersから商業的に入手可能なAqualene Rubber)は、水とほぼ同じ音響速度及び音響インピーダンスを有する。ドライ音響結合用エラストマー材料(超音波に対する作用が水と似ている)のリニアブロック138は、超音波の通過を可能にすることにより、遅延路としての役割を果たす。当該システムは、パルスエコー検査の際に、ブレード補強材のフランジの上面から反射を検出する。複合材料のインピーダンスが水と一致していないことによって、このような反射が起こる。ドライ音響結合用エラストマー材料が、水のインピーダンスを模する役割を果たすため、ブレード補強材のフランジの上面からの反射は、フランジの裏側に水があるのと同様になる。
【0062】
図10は、一実施形態による、アール部NDIプローブアセンブリ34の三次元図であり、当該アール部NDIプローブアセンブリ32は、図3に示すNDIツールヘッド10*に組み込まれているものである。アール部NDIプローブアセンブリ34は、プローブフレームアセンブリ50bの空圧式リニアスライドアセンブリ51aの空圧式リニアスライドテーブル56に取り付けられた左上サブアセンブリ34aと、プローブフレームアセンブリ50bの空圧式リニアスライドアセンブリ51bの空圧式リニアスライドテーブル56に取り付けられた右上サブアセンブリ34bと、プローブフレームアセンブリ50bの下側フレームブラケット68に取り付けられた下側アセンブリ34cとを含む。
【0063】
図10に示すように、アール部NDIプローブアセンブリ34の左上サブアセンブリ34aは、左上当て板140a及び左アレイハウジング146aを含み、アール部NDIプローブアセンブリ34の右上サブアセンブリ34bは、右上当て板140b及び右アレイハウジング146bを含む。左アレイハウジング146a及び右アレイハウジング146bの各々は、ブレード補強材の左アール部及び右アール部を其々スキャンするための、湾曲超音波トランスデューサアレイ99を収容している。アール部NDIプローブアセンブリ34の下側アセンブリ34cは、下側当て板144と、前方下ローラカバー142a及び後方下ローラカバー142bとを含んでいる。前述した空圧式リニアスライドアセンブリ51a及び51bが、湾曲超音波トランスデューサアレイ99を其々対応するアール部に押圧する。湾曲超音波トランスデューサアレイ99は、パルスエコーモードで動作することにより、ブレード補強材の左アール部及び右アール部を超音波検査することができる。左アレイハウジング146a及び右アレイハウジング146bの内部には、其々の給水器具によって、水が供給される。
【0064】
図11は、一実施形態によるウェブNDIプローブアセンブリ36の三次元図であり、当該ウェブNDIプローブアセンブリ36は、図3に示すNDIツールヘッド10*に組み込まれているものである。ウェブ部NDIプローブアセンブリ36は、プローブフレームアセンブリ50cの空圧式リニアスライドアセンブリ51aの空圧式リニアスライドテーブル56に取り付けられた左上サブアセンブリ36aと、プローブフレームアセンブリ50cの空圧式リニアスライドアセンブリ51bの空圧式リニアスライドテーブル56に取り付けられた右上サブアセンブリ36bと、プローブフレームアセンブリ50cの下側フレームブラケット68に取り付けられた下側アセンブリ36cとを含む。左上サブアセンブリ36aは、一対の互いに直交するリニアスライド124及び126に取り付けられたL字型ブラケット85によって、右上サブアセンブリ36bに連結されている。
【0065】
図11に示すように、ウェブNDIプローブアセンブリ36の左上サブアセンブリ36aは、左上当て板150aと、一対の左上ローラカバー148a及び148bとを含み、ウェブNDIプローブアセンブリ36の右上サブアセンブリ36bは、右上当て板150bと、一対の右上ローラカバー148c及び148dとを含む。また、ウェブNDIプローブアセンブリ36の左上サブアセンブリ36aは、左アレイハウジング156aをさらに含み、ウェブNDIプローブアセンブリ36の右上サブアセンブリ36bは、右アレイハウジング156bをさらに含む。左アレイハウジング156aは、L字型ブラケット85及びリニアスライド124、126によって、右アレイハウジング156bに連結されている。左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156bの各々は、ブレード補強材のウェブの左側及び右側を其々スキャンするための、リニア超音波トランスデューサアレイ97(一方だけが図11で見える)を収容している。
【0066】
さらに図11を参照すると、ウェブNDIプローブアセンブリ36の下側アセンブリ36cは、下側当て板154と、前方下ローラカバー152a及び後方下ローラカバー152bとを含んでいる。リニア超音波トランスデューサアレイ97は、パルスエコーモードで動作することにより、ブレード補強材のウェブの左側及び右側を超音波検査することができる。左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156bの内部には、其々の給水器具によって、水が供給される。
【0067】
一実施形態によれば、左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156bは、其々、左上当て板150a及び右上当て板150bに回転可能に連結されている。さらに、左アレイハウジング156aと右アレイハウジング156bとは、直角を成す二本の脚を含むL字型ブラケット85によって、間接的に、並進移動可能に相互連結されている。左アレイハウジング156aは、リニアスライド126によってL字型ブラケット85の水平脚に並進移動可能に連結されることにより、水平方向の並進が可能である。右アレイハウジング156bは、リニアスライド124によってL字型ブラケット85の垂直脚に並進移動可能に連結されることにより、垂直方向の並進が可能である。
【0068】
図11Aは、ブレード補強材フランジ4に対して垂直でないブレード補強材ウェブ6の両側に配置された一対のリニア超音波トランスデューサアレイ97a及び97bの立面図である。左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156bは、ブレード補強材2のウェブ‐フランジ角度の変化に対応すべく回転することができる。この角度は、部品の長手方向において変化する。ウェブ用プローブは、この変化するウェブ‐フランジ角度に追従する。より具体的には、左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156bは、これらの左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156bを其々左上当て板150a及び右上当て板150bに回転可能に連結している其々の対のピボットジョイント(図11では見えない)の第1軸及び第2軸を中心に、連携して同じ角度回転する。ピボットジョイントは、回転継手の形態であってもよい。
【0069】
図11に示すように、リニア超音波トランスデューサアレイ97aと97bとは、左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156bの回転に関わらず、互いに平行な関係を維持する。さらに、互いに平行なリニア超音波トランスデューサアレイ97aと97bとの間隙の幅は、左上当て板150a及び右上当て板150bが互いに近接又は離間するよう水平方向に並進移動可能であることにより、ブレード補強材のウェブ6の厚みの変化に応じて調整できる。さらに、ブレード補強材2が、厚みは一定であるが水平面内の曲率がゼロでない場合、左上当て板150a及び右上当て板150bは、同じ方向に水平並進移動して、当該ウェブ曲率に追随することができる。
【0070】
リニア超音波トランスデューサアレイ97a及び97bは、パルスエコーモードで動作することにより、ブレード補強材2のウェブ6の左側及び右側を超音波検査することができる。スキャンの際は、L字型ブラケット85(図11に示したリニアスライド124及び126と協働)により、リニア超音波トランスデューサアレイ97a及び97bは、独立して(ブレード補強材ウェブ6に平行に)上下動が可能であるとともに、独立して(ブレード補強材フランジ4と平行に)横移動が可能である。左アレイハウジング156a及び右アレイハウジング156b(図11参照)が、連携回転、及び/又は、上下動、及び/又は、近接離間移動する際には、L字型ブラケット85が、リニア超音波トランスデューサアレイ97aと97bとの平行状態を維持する。
【0071】
上述したNDIツールヘッド10*は、ロボットアームまたはガントリーロボットに連結するように構成することができる。ガントリーロボットは、水平面内での移動を実現するオーバーヘッドシステムに装着されたマニピュレータを含んで構成されている。ガントリーロボットは、直交(Cartesian)ロボット又はリニアロボットとも称されている。ロボットアームは、例えば、多軸移動機能を有するロボットの一部であってもよい。
【0072】
図12は、ブレード補強材などの長状複合材部材を検査するための自動システムであって、NDIツールヘッド10*がロボット100に装着されたシステムを示している。図12には示していないが、NDIツールヘッド10*に組み込まれた超音波プローブは、電気ケーブル(図12には図示せず)によって、データ収集システム(同じく図12には図示せず)に電気的に接続されるとともに、ホースによって音響結合用液体媒質(例えば水)の供給源と液体連通する。
【0073】
NDIツールヘッド10*は、ツール側コネクタプレート16をロボット100のコネクタプレート114に取り付けることによって、ロボット100に取り付けられる。NDIツールヘッド10*が検査対象の長状複合部材に沿って移動するにつれて、データがデータ収集システムに送られて処理される。典型的には、ロボット100は、自動制御により、長状複合部材に沿う長手方向にNDIツールヘッド10*を移動させ、その間、データ収集システムは、長状複合部材の画像を形成して、NDIプローブ応答をマッピングする。ロボット100を用いて、構造物の傷や欠陥の検出が必要とされる航空機産業、自動車産業、建設産業などの様々な産業において、任意の数の長状複合部材を検査することができる。具体的には、NDIツールヘッド10*図3に示したタイプである場合、ロボット100を用いて、図1及び図2に示したタイプの補強材を検査することができる。
【0074】
ロボット100は、多軸移動機能を有しており、ソフトウェアサポートを使用して、部品の測定及び検査に用いるための三次元プロファイルを生成する。具体的には、図12に示したロボット100は、ロボットベース102、回転ラック104、ロッカー106(別名ピボットアーム)、伸長式アーム108、ロボットハンド110、及び、コネクタプレート114が取り付けられる部材112を含む。ロボットベース102と回転ラック104とは、回転ジョイント116によって回転可能に連結されている。回転ラック104とロッカー106とは、ピボットジョイント118によって回転可能に連結されている。ロッカー106と伸長式アーム108とは、ピボットジョイント120によって回転可能に連結されている。ロッカー伸長式アーム108とロボットハンド110とは、回転ジョイント122によって回転可能に連結されている。これらの部材の組み合わせにより、複数の自由度が実現され、ひいては、NDIツールヘッド10*を、様々な方向且つ様々な位置に移動させることが可能となる。ロボット100は、プローブの正確な配置のためにデータ収集システムに位置データ(三次元空間内のX、Y、Z)を提供する1つ又は複数の位置センサ(図示せず)を、各ピボットジョイントに、または各ピボットジョイントに関連させて含みうる。さらに、NDIツールヘッド10*が、位置データを取得するための様々な数の(例えば1つ又は複数の)センサを含んでいてもよい。プローブは、検査中の構造体を示す超音波データを提供する。従って、ロボット100は、長状複合部材の検査の際に収集される位置データ及び超音波データを用いて、あらゆる欠陥の正確な位置を与える。図3に示したNDIツールヘッド10*と共に使用することができるロボット100の一例としては、Kuka Roboter GmbH(アウクスブルク、ドイツ)によって製造されているロボットModel KR-150があるが、超音波検査ツールヘッドの担持及びデータ収集システムとの通信が可能なものであれば、任意のロボット又はその他のマニピュレータを用いることができる。
【0075】
データ収集システムは、位置センサ及び超音波プローブによって収集されたデータに基づいて、例えば、長状複合部材のA‐スキャン画像、B‐スキャン画像、C‐スキャン画像を含む様々な種類の画像を形成することができる。さらに、データ収集システムは、例えば、位置センサ及び超音波プローブによって収集されたデータに基づいて、三次元点群を生成することができる。点群を生成するためには、例えば、位置データのストリームを超音波データのストリームにマッピングする。超音波データは、とりわけ検査構造体における異常、欠陥、不整、またはその他の不具合に関するデータを含み得る。データ収集システムは、通常、イメージングソフトウェアの制御下で動作するプロセッサ又は同様の演算装置を含み、検査構造体のあらゆる欠陥が、ディスプレイ画面に表示されるようになっている。プロセッサは、位置センサ及び超音波プローブによって生成されたデータを処理可能であるとともに、モニタ又はその他の表示装置などのディスプレイに表示されるスキャンデータの画像を形成可能な、デスクトップ、ラップトップ、またはポータブルの処理装置によって実現することができる。データ収集システムは、例えば、データの画像を形成するとともに、以前に形成されたデータをユーザが保存及び編集できるようにする。従って、画像の永続的な記録を、将来の使用または記録保持のために保存することができる。ただし、データ収集システムは、必ずしも画像を形成する必要はなく、データ収集システムが位置及び超音波データを数学的に収集及び分析し、技術者がこれを用いてデータに基づいて欠陥を判定及び位置特定してもよい。
【0076】
ロボット100は、通常、データ収集システムと通信して、位置センサ及び超音波プローブによって収集されたデータを処理し、処理データを表示する。多くの場合、通信ケーブル(図12には図示せず)によって、ロボット100とデータ収集システムとの間でデータが送信される。他の実施形態において、無線通信によって、ロボット100とデータ収集システムとの間でデータを送信してもよい。ロボット100は、プロセッサに直接接続してもよいし、ネットワークなどを介して間接的に接続してもよい。さらなる実施形態において、データ収集システムをロボット100の近傍に配置して、ロボットとデータ収集システムとのリモート接続を不要にしてもよい。
【0077】
長状複合部材の自動検査のための方法及び装置について、様々な実施形態を参照して説明したが、当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行い、構成要素をその均等物で代替することが可能である。さらに、本明細書の開示を特定の状況に適用するために、その範囲から逸脱することなく多くの改変を行うことが可能である。従って、請求の範囲が本明細書に開示した特定の実施形態に限定されないことが、意図されている。
【0078】
上述した実施形態は、1つ又は複数のコンピュータシステムを使用する。請求の範囲における「コンピュータシステム」という用語は、単一の処理又は演算装置、あるいは、有線又は無線接続によって通信する複数の処理又は演算装置を含む。このような処理又は演算装置は、典型的には、以下のもの、すなわち、プロセッサ、コントローラ、中央処理装置、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル信号プロセッサ、及び/又は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の他の回路又は処理装置のうちの1つ又は複数を含む。
【0079】
本明細書に記載の方法は、非一時的な有形のコンピュータ可読媒体に組み込まれる実行可能命令として符号化することができ、このような媒体には、限定するものではないが、記憶装置及び/又はメモリデバイスが含まれる。このような命令は、処理又は演算システムによって実行されると、本明細書に記載の方法の少なくとも一部をシステムデバイスに実行させる。
【0080】
以下に記載の方法についての請求項は、請求項の文言が、請求項に記載の工程のうちの一部又はすべてが行われる特定の順序を示す条件を明示的に述べていない限り、これらの工程を、アルファベット順または記載順に実行することを要件とすると解釈されるべきではない(請求項におけるアルファベットによる順序付けは、先に記載した工程に言及する目的のみで用いられる)。また、方法に関する請求項は、2つ以上の工程の任意の部分を同時に行うことや交互に行うことを、請求項の文言がそのような解釈を排除する条件を明示的に述べていない限り、排除すると解釈されるべきではない。
【0081】
本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0082】
付記1. ツールフレームアセンブリを含む装置であって、
当該ツールフレームアセンブリは、そのZ軸に平行に配向された第1及び第2のガイドシャフトを含んでおり、前記装置は、さらに、
前記第1及び第2のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な第1及び第2の回転軸を中心に其々回転可能な第1及び第2のピボットを備える第1及び第2のベアリングブロックアセンブリと、
互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを備える第1のフレームアセンブリと、を含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第1及び第2のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、装置。
【0083】
付記2. 前記第1のピボットは、互いに共軸である第1及び第2のピボットピンを含み、前記第1のベアリングブロックアセンブリは、
前記第1の回転シャフトと前記第1のピボットとの間に配置されたリニアボールベアリングと、
前記第1のピボットの前記第1及び第2のピボットピンを其々支持する第1及び第2のベアリングと、
前記第1のガイドシャフトに摺動可能に連結された第1及び第2のリニアベアリングと、をさらに含む、付記1に記載の装置。
【0084】
付記3. 前記第1のフレームアセンブリは、下側フレームブラケットと、互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルとを含む、付記1又は2に記載の装置。
【0085】
付記4. 前記第1のフレームアセンブリは、前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルをさらに含む、付記3に記載の装置。
【0086】
付記5. 前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに取り付けられた上側アセンブリ、及び、前記下側フレームブラケットに取り付けられた下側アセンブリをさらに含み、前記上側アセンブリは、互いに対して並進移動可能且つ連携回転が可能な第1及び第2のNDIプローブを含む、付記4に記載の装置。
【0087】
付記6. 前記第3のリニアスライドテーブルに取り付けられた第1の上側サブアセンブリ、前記第4のリニアスライドテーブルに取り付けられた第2の上側サブアセンブリ、及び、前記下側フレームブラケットに取り付けられた下側アセンブリをさらに含み、前記第1の上側サブアセンブリは、第1のNDIプローブを含み、前記第2の上側サブアセンブリは、第2のNDIプローブを含み、前記第1及び第2のNDIプローブは、互いに対して並進移動可能且つ連携回転が可能である、付記4又は5に記載の装置。
【0088】
付記7. 前記第3のリニアスライドテーブルに取り付けられた第1の上側サブアセンブリ、前記第4のリニアスライドテーブルに取り付けられた第2の上側サブアセンブリ、及び、前記下側フレームブラケットに取り付けられた下側アセンブリをさらに含み、前記下側アセンブリは、第1及び第2のNDIプローブを含む、付記4~6のいずれかに記載の装置。
【0089】
付記8. 前記ツールフレームアセンブリは、前記ツールフレームアセンブリの前記Z軸に平行に配向された第3及び第4のガイドシャフト、前記第1のガイドシャフトと前記第3のガイドシャフトとの間隔を維持する第1の下側ガイドシャフトスペーサ、及び、前記第2のガイドシャフトと前記第4のガイドシャフトとの間隔を維持する第2の下側ガイドシャフトスペーサをさらに含み、前記装置は、
前記第3及び第4のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記X軸に平行な第4及び第5の回転軸を中心に其々回転可能な第3及び第4のピボットを含む、第3及び第4のベアリングブロックアセンブリと、
互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第6の回転軸を有する第3及び第4の回転シャフトを含む第2のフレームアセンブリと、をさらに含み、前記第3及び第4の回転シャフトは、前記第6の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第3及び第4のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、付記1~7のいずれかに記載の装置。
【0090】
付記9. 前記ツールフレームアセンブリは、前記ツールフレームアセンブリの前記Z軸に平行に配向された第5及び第6のガイドシャフトをさらに含み、前記第1の下側ガイドシャフトスペーサは、前記第3のガイドシャフトと前記第5のガイドシャフトとの間隔を維持し、前記第2の下側ガイドシャフトスペーサは、前記第4のガイドシャフトと前記第6のガイドシャフトとの間隔を維持し、前記装置は、
前記第5及び第6のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記X軸に平行な第7及び第8の回転軸を中心に其々回転可能な第5及び第6のピボットを含む、第5及び第6のベアリングブロックアセンブリと、
互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第9の回転軸を有する第5及び第6の回転シャフトを含む第3のフレームアセンブリと、をさらに含み、前記第5及び第6の回転シャフトは、前記第9の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動が行えるように、其々前記第5及び第6のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、付記8に記載の装置。
【0091】
付記10. 前記第1のフレームアセンブリによって支持された第1及び第2のNDIプローブをさらに含む、付記1~9のいずれかに記載の装置。
【0092】
付記11. 前記第1及び第2のNDIプローブは、其々、超音波トランスデューサアレイである、付記10に記載の装置。
【0093】
付記12. 前記第1のフレームアセンブリは、
下側フレームブラケットと、
互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルと、
前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルと、をさらに含み、
前記第1のNDIプローブは、前記第3のリニアスライドテーブルに連結されており、前記第2のNDIプローブは、前記第4のリニアスライドテーブルに連結されている、付記10又は11に記載の装置。
【0094】
付記13. ツールフレームアセンブリを含む、ブレード補強材の非破壊検査(NDI)のための装置であって、
当該ツールフレームアセンブリは、そのZ軸に平行に配向された第1~第6のガイドシャフトを有しており、前記装置は、さらに、
前記第1~第6のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な其々の回転軸を中心に回転可能なピボットを其々備える第1~第6のベアリングブロックアセンブリと、第1のNDIプローブアセンブリと、第2のNDIプローブアセンブリと、第3のNDIプローブアセンブリと、を含んでおり、 前記第1のNDIプローブアセンブリは、第1のプローブフレームアセンブリと、ブレード補強材のウェブの両側に位置するフランジの各部分を其々検査するように配置された第1及び第2のNDIプローブと、を含み、前記第1のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第1の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第1回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第1及び第2のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されており、
前記第2のNDIプローブアセンブリは、第2のプローブフレームアセンブリと、前記ウェブを前記フランジに接続している前記ブレード補強材の各アール部を検査するように配置された第3及び第4のNDIプローブと、を含み、前記第2のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第2の回転軸を有する第3及び第4の回転シャフトを含み、前記第3及び第4の回転シャフトは、前記第2の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第3及び第4のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されており、
前記第3のNDIプローブアセンブリは、第3のプローブフレームアセンブリと、前記ブレード補強材の前記ウェブを検査するように配置された第5及び第6のNDIプローブと、を含み、前記第3のプローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第5及び第6の回転シャフトを含み、前記第5及び第6の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、前記第5及び第6のベアリングブロックアセンブリの其々の前記ピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、装置。
【0095】
付記14. 前記第1~第3のプローブフレームアセンブリの各々は、下側フレームブラケットと、互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して其々並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルとを含む、付記13に記載の装置。
【0096】
付記15. 前記第1~第3のプローブフレームアセンブリの各々は、前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルをさらに含む、付記14に記載の装置。
【0097】
付記16. 前記第1及び第2のNDIプローブは、前記第1のプローブフレームアセンブリの前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに其々連結されており、
前記第3及び第4のNDIプローブは、前記第2のプローブフレームアセンブリの前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに其々連結されており、
前記第5及び第6のNDIプローブは、前記第3のプローブフレームアセンブリの前記第3及び第4のリニアスライドテーブルに其々連結されている、付記15に記載の装置。
【0098】
付記17. 前記第1~第6のベアリングブロックアセンブリの各ピボットは、互いに共軸である第1及び第2のピボットピンを含み、前記第1~第6のベアリングブロックアセンブリの各々は、
前記第1~第6の回転シャフトの各々と、対応する前記ピボットとの間に配置された、リニアボールベアリングと、
前記各ピボットの前記第1及び第2のピボットピンを其々支持する第1及び第2のベアリングと、
前記第1~第6のガイドシャフトの各々に摺動可能に連結された第1及び第2のリニアベアリングと、をさらに含む、付記13~16のいずれかに記載の装置。
【0099】
付記18. 前記第1~第6のNDIプローブは、其々、超音波トランスデューサアレイである、付記13~17のいずれかに記載の装置。
【0100】
付記19.ツールフレームアセンブリを含む、長状複合部材の非破壊検査(NDI)のための装置であって、
当該ツールフレームアセンブリは、そのZ軸に平行に配向された第1及び第2のガイドシャフトを含んでおり、前記装置は、さらに、
前記第1及び第2のガイドシャフトに其々摺動可能に連結されるとともに、前記Z軸に対して垂直なX軸に平行な第1及び第2の回転軸を中心に其々回転可能な第1及び第2のピボットを備える、第1及び第2のベアリングブロックアセンブリと、
プローブフレームアセンブリと第1及び第2のNDIプローブとを備えるNDIプローブアセンブリと、を含み、前記プローブフレームアセンブリは、互いに共軸であるとともに前記X軸に対して垂直な第3の回転軸を有する第1及び第2の回転シャフトを含み、前記第1及び第2の回転シャフトは、前記第3の回転軸を中心とする回転及び当該回転軸に沿った並進移動ができるように、其々前記第1のピボット及び前記第2のピボットに対して回転可能且つ並進移動可能に連結されている、装置。
【0101】
付記20. 前記プローブフレームアセンブリは、
下側フレームブラケットと、
互いに平行な第1及び第2の直線経路に沿って、前記下側フレームブラケットに対して並進移動可能な第1及び第2のリニアスライドテーブルと、
前記第1及び第2の直線経路に対して垂直な第3の直線経路に沿って、其々前記第1及び第2のリニアスライドテーブルに対して並進移動可能な第3及び第4のリニアスライドテーブルと、をさらに含み、
前記第1のNDIプローブは、前記第3のリニアスライドテーブルに連結されており、前記第2のNDIプローブは、前記第4のリニアスライドテーブルに連結されている、付記19記載の装置。
図1
図2
図2A
図3
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図7A
図8
図9
図9A
図9B
図10
図11
図11A
図12