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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】二重管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 39/00 20060101AFI20240423BHJP
   F16L 37/12 20060101ALI20240423BHJP
   F16L 37/56 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F16L39/00
F16L37/12
F16L37/56
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020112918
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011642
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】松島 至俊
(72)【発明者】
【氏名】藤川 基
(72)【発明者】
【氏名】金川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】廖 赤虹
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-051095(JP,A)
【文献】実開昭51-161619(JP,U)
【文献】中国実用新案第206831012(CN,U)
【文献】特開2019-140080(JP,A)
【文献】特表平11-512808(JP,A)
【文献】特公昭50-012016(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第103727337(CN,A)
【文献】米国特許第06170522(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0244848(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0350548(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L
A62C 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管及び内管からなる二重管同士を連結する継手であって、
外管オス継手及び外管メス継手からなり前記外管同士を接続する外管継手と、
内管オス継手及び内管メス継手からなり前記内管同士を接続する内管継手とを備え、
前記外管オス継手及び前記外管メス継手は、前記内管オス継手又は前記内管メス継手が挿入される内管受入部を内部に、対となる前記外管メス継手又は前記外管オス継手と接続する外管継手接続部を一端に、前記外管へ差し込んで又は前記外管を差し込んで接続する外管接続部を他端に有し、
前記内管オス継手及び前記内管メス継手は、対となる前記内管メス継手又は前記内管オス継手と接続する内管継手接続部を一端に、前記内管へ差し込んで又は前記内管を差し込んで接続する内管接続部を他端に有し、
前記外管継手の内面又は前記内管継手の外面から突出した突出部と、
第一ストッパー部及び第二ストッパー部とを備え、
前記内管継手が前記外管継手の前記内管受入部に挿入された状態において、前記内管継手は、前記突出部が前記第一ストッパー部及び前記第二ストッパー部に当接することにより軸方向の移動が制限されることを特徴とする二重管継手。
【請求項2】
外管及び内管からなる二重管同士を連結する継手であって、
外管オス継手及び外管メス継手からなり前記外管同士を接続する外管継手と、
内管オス継手及び内管メス継手からなり前記内管同士を接続する内管継手とを備え、
前記外管オス継手及び前記外管メス継手は、前記内管オス継手又は前記内管メス継手が挿入される内管受入部を内部に、対となる前記外管メス継手又は前記外管オス継手と接続する外管継手接続部を一端に、前記外管へ差し込んで又は前記外管を差し込んで接続する外管接続部を他端に有し、
前記内管オス継手及び前記内管メス継手は、対となる前記内管メス継手又は前記内管オス継手と接続する内管継手接続部を一端に、前記内管へ差し込んで又は前記内管を差し込んで接続する内管接続部を他端に有し、
前記内管継手の外面から突出し有底孔が設けられた突出部と、
前記外管継手に外面から内面を貫通して設けられた貫通孔と、
前記有底孔と前記貫通孔に挿通される挿通具とを備え、
前記内管継手が前記外管継手の前記内管受入部に挿入された状態において、前記内管継手は、前記挿通具が前記有底孔と前記貫通孔に挿通されることにより軸方向の移動が制限されることを特徴とする二重管継手。
【請求項3】
前記内管受入部には、前記内管オス継手又は前記内管メス継手の全体が収容されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二重管継手。
【請求項4】
前記外管オス継手と前記外管メス継手との接続の固定と、前記内管オス継手と前記内管メス継手との接続の固定を兼ねた接続固定部を前記外管継手に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二重管継手。
【請求項5】
前記内管継手接続部は、先端にテーパーが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の二重管継手。
【請求項6】
前記外管継手は、前記内管受入部に挿入された前記内管継手の回転を阻止する回転阻止部を有することを特徴とする請求項1、又は請求項1を引用する請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の二重管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外管及び内管からなる二重管同士を連結する二重管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
消防隊による消火活動では、消防車から火点まで消防用ホースを延長し、消火剤を確実に送る必要がある。このとき消火剤の移送に用いる流路は、消防用ホースと消防車の吐出口、消防用ホースと放射ノズル、及び消防用ホース同士が、消火剤を漏らすことのないように継手(結合金具)を介して連結される。なお、日本で販売される結合金具には、差込式、ねじ式、及びツイスト式があるが、差込式の結合金具は構造が簡単で軽量であり、着脱の操作性が優れているため、多くの消防隊で採用されている。
消防車から移送される消火剤としては、近年は水以外にも、消防車内で水と薬剤と空気を混合した泡が用いられている。ただし、この泡は消防車内で混合されるため、放射ノズルでは任意に混合比率を変えることはできない。
一方、消防車から放射ノズルまでの流路が2つあれば、空気と薬剤を混合した水溶液とを放射ノズルまで別々に移送することが可能となり、放射ノズルにて混合比率を変えることができる。このことは、泡の混合比率を変更する状況において、放射ノズルを担当する筒先員から消防車の操作担当の機関員への指示が必要なく、また消防車で混合比率が変更された後に消防車から放射ノズルまで混合比率が変更された泡が到達するまでのタイムラグを省くことができ、手間と時間を大幅に削減することができる。
また、一台の消防車から消防用ホースを分岐させて複数の放射ノズルを接続した場合、火災状況に応じて放射ノズル毎に任意に空気と水の混合比を変えることができるため、流路を二つ有することによる利点はさらに大きい。
【0003】
流路を二つに増やすには、単純に消防用ホースを二本並列に用いる方法がある。しかし、消防車から放射ノズルの使用場所まで距離が離れている場合は、複数本の消防用ホースを直列で連結する必要がある。また、階段を使用して消防用ホースを展開する場合は、階段における折り返しや、建物角部で消防用ホースが引っ掛かることを防ぐケアが必要となる。このため、消防用ホースを並列にして本数が増えると、放水を始めるまでに2倍の手間がかかり、また、消防職員が消防用ホースに躓き負傷する可能性等が想定される。
このため、二つの流路は二本のホースで賄うのではなく、一本のホースに含まれ、かつ、内外二つの結合金具同士の結合も、一つの作業で完結することが望ましい。
【0004】
図9は本件発明者が検討した二つの流路を有するホースの断面図である。
図9(a)は断面が円形の流路を電気コードのように二本並列にホース内に配置する構造としたもの、図9(b)はホースの断面を半分に分割して流路を分ける構造としたもの、図9(c)はホース(外管2A)の中に一周り小さいホース(内管2B)を入れて同軸二重構造の二重管2としたものである。
図9(a)と図9(b)に示す構造、又は図9(c)に示す構造において外側のホースを空気流路とした場合は、ホース内部が圧縮空気で満たされた状態での使用中に仮にホースが破損すると、圧縮された空気によってホースが破裂する危険性がある。一方、図9(c)に示す構造において内側のホースを空気流路、外側のホースを水の流路とすれば、仮に内側のホースが破損しても、外側のホース内で破裂が収まるため安全を確保できる。したがって、ホース(特に消防用ホース)は、図9(c)に示す同軸二重構造とし、外側の流路を水等の液体の流路、内側の流路を空気等の気体の流路とすることが好ましい。
【0005】
ここで特許文献1には、高圧流体を循環する内管が、低圧流体を循環する外管内に配管されるとともに、内管と外管とが一体あるいは別体で形成されてそれぞれ連結手段で連結して構成された2本の二重管を接続する二重管継手構造が開示されている。
また、特許文献2には、差し金具と受け金具とからなる消防ホースの結合金具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-270928号公報
【文献】特開2016-14477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
同軸二重構造の二重管(二重ホース)とした場合、内側のホースと継手との接続は外側のホースの内部になる。このため、内側のホースと結合金具を予め確実に接続したのちに、外側のホースと結合金具とを確実に接続できることが求められる。特に、二重ホースが消防用ホースである場合には、ホースと結合金具が外れないように、内側のホースと結合金具との接続部、及び外側のホースと結合金具との接続部を、それぞれ針金等でかしめる必要がある。
特許文献1の二重管継手構造は、二重管の内管に雌側継手部が形成されているように、内管と継手が一体的に製造されるものである。したがって、ホースと継手が別々に製造される場合には適用することができない。
また、特許文献2の消防ホースの結合金具は、同軸二重構造の消防用ホースを連結するものではない。
そこで本発明は、二重管同士を簡便に接続できると共に、二重管継手と二重管とを強固に接続することができる二重管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明の二重管継手1は、外管2A及び内管2Bからなる二重管2同士を連結する継手であって、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bからなり外管2A同士を接続する外管継手10と、内管オス継手20A及び内管メス継手20Bからなり内管2B同士を接続する内管継手20とを備え、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bは、内管オス継手20A又は内管メス継手20Bが挿入される内管受入部16を内部に、対となる外管メス継手10B又は外管オス継手10Aと接続する外管継手接続部を一端に、外管2Aへ差し込んで又は外管2Aを差し込んで接続する外管接続部13を他端に有し、内管オス継手20A及び内管メス継手20Bは、対となる内管メス継手20B又は内管オス継手20Aと接続する内管継手接続部を一端に、内管2Bへ差し込んで又は内管2Bを差し込んで接続する内管接続部23を他端に有し、外管継手10の内面又は内管継手20の外面から突出した突出部と、第一ストッパー部及び第二ストッパー部とを備え、内管継手20が外管継手10の内管受入部16に挿入された状態において、内管継手20は、突出部が第一ストッパー部及び第二ストッパー部に当接することにより軸方向の移動が制限されることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の本発明の二重管継手1は、外管2A及び内管2Bからなる二重管2同士を連結する継手であって、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bからなり外管2A同士を接続する外管継手10と、内管オス継手20A及び内管メス継手20Bからなり内管2B同士を接続する内管継手20とを備え、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bは、内管オス継手20A又は内管メス継手20Bが挿入される内管受入部16を内部に、対となる外管メス継手10B又は外管オス継手10Aと接続する外管継手接続部を一端に、外管2Aへ差し込んで又は外管2Aを差し込んで接続する外管接続部13を他端に有し、内管オス継手20A及び内管メス継手20Bは、対となる内管メス継手20B又は内管オス継手20Aと接続する内管継手接続部を一端に、内管2Bへ差し込んで又は内管2Bを差し込んで接続する内管接続部23を他端に有し、内管継手20の外面から突出し有底孔62が設けられた突出部と、外管継手10に外面から内面を貫通して設けられた貫通孔61と、有底孔62と貫通孔61に挿通される挿通具63とを備え、内管継手20が外管継手10の内管受入部16に挿入された状態において、内管継手20は、挿通具63が有底孔62と貫通孔61に挿通されることにより軸方向の移動が制限されることを特徴とする。
【0010】
請求項記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の二重管継手1において、内管受入部16には、内管オス継手20A又は内管メス継手20Bの全体が収容されることを特徴とする。
【0011】
請求項記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二重管継手1において、外管オス継手10Aと外管メス継手10Bとの接続の固定と、内管オス継手20Aと内管メス継手20Bとの接続の固定を兼ねた接続固定部17を外管継手10に備えることを特徴とする。
【0012】
請求項記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の二重管継手1において、内管継手接続部は、先端にテーパー25、26が設けられていることを特徴とする
【0013】
求項6記載の本発明は、請求項1、又は請求項1を引用する請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の二重管継手1において、外管継手10は、内管受入部16に挿入された内管継手20の回転を阻止する回転阻止部を有することを特徴とする
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1発明の一実施例による二重管継手の構造を示す図
図2】同外管継手への内管継手の収容度合いによる二重管の損傷可能性を比較した図
図3】同内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第一の例を示す図
図4】同内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第二の例を示す図
図5】同内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第三の例を示す図
図6】同内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第四の例を示す側断面図
図7】同第四の例の固定方法を用いた二重管継手の外観写真
図8】本発明の他の実施例による二重管への二重管継手の取付け手順を示す図
図9】二つの流路を有するホースの断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施の形態による二重管継手は、外管及び内管からなる二重管同士を連結する継手であって、外管オス継手及び外管メス継手からなり外管同士を接続する外管継手と、内管オス継手及び内管メス継手からなり内管同士を接続する内管継手とを備え、外管オス継手及び外管メス継手は、内管オス継手又は内管メス継手が挿入される内管受入部を内部に、対となる外管メス継手又は外管オス継手と接続する外管継手接続部を一端に、外管へ差し込んで又は外管を差し込んで接続する外管接続部を他端に有し、内管オス継手及び内管メス継手は、対となる内管メス継手又は内管オス継手と接続する内管継手接続部を一端に、内管へ差し込んで又は内管を差し込んで接続する内管接続部を他端に有するものである。
本実施の形態によれば、二重管同士を簡便に接続できる。また、製造時などにおいて二重管に二重管継手を取付ける際は、内管と内管継手とをカシメ接続し、その内管継手を外管継手に挿入した後に外管と外管継手とをカシメ接続することができるため、二重管と二重管継手とを強固に接続することができる。
【0016】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による二重管継手において、内管受入部には、内管オス継手又は内管メス継手の全体が収容されるものである。
本実施の形態によれば、二重管継手が地面に落下した際に、内管及び外管が地面と内管継手とに挟まれて損傷することを防止できる。
【0017】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による二重管継手において、外管オス継手と外管メス継手との接続の固定と、内管オス継手と内管メス継手との接続の固定を兼ねた接続固定部を外管継手に備えるものである。
本実施の形態によれば、二重管同士を接続又は引き離す際において、外管オス継手と外管メス継手との接続の固定又は固定解除、及び内管オス継手と内管メス継手との接続の固定又は固定解除に係る操作を一括して行うことができる。また、接続固定部を外管継手に設けることで、接続状態を容易に視認することができる。
【0018】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれか一つの実施の形態による二重管継手において、内管継手接続部は、先端にテーパーが設けられているものである。
本実施の形態によれば、内管メス継手を内管オス継手に差し込む際に互いの軸が一致するように誘導される。
【0019】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4のいずれか一つの実施の形態による二重管継手において、外管継手の内面又は内管継手の外面から突出した突出部と、第一ストッパー部及び第二ストッパー部とを備え、内管継手が外管継手の内管受入部に挿入された状態において、内管継手は、突出部が第一ストッパー部及び第二ストッパー部に当接することにより軸方向の移動が制限されるものである。
本実施の形態によれば、外管継手に対する内管継手の相対位置を固定することができる。
【0020】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5のいずれか一つの実施の形態による二重管継手において、外管継手は、内管受入部に挿入された内管継手の回転を阻止する回転阻止部を有するものである。
本実施の形態によれば、外管継手に対する内管継手の回転が抑制されることで、内管継手の回転により外管継手の内面が損傷することを防止できる。
【0021】
本発明の第7の実施の形態は、第1から請求項4のいずれか一つの実施の形態による二重管継手において、内管継手の外面から突出し有底孔が設けられた突出部と、外管継手に外面から内面を貫通して設けられた貫通孔と、有底孔と貫通孔に挿通される挿通具とを備え、内管継手が外管継手の内管受入部に挿入された状態において、内管継手は、挿通具が有底孔と貫通孔に挿通されることにより軸方向の移動が制限されるものである。
本実施の形態によれば、外管継手に対する内管継手の相対位置を固定することができる。
【実施例
【0022】
以下、本発明の一実施例による二重管継手について説明する。
図1は本実施例による二重管継手の構造を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は側面図である。なお、内部構造を示すため外管継手は半分のみを表している。
二重管継手1は、図9(c)に示すような外管2A及び内管2Bからなる同軸二重構造の二重管2同士を連結する。二重管2は、例えば、主材質を樹脂やゴム等とし可撓性を有する消防用ホースである。
二重管継手1は、略円筒形の外管継手10及び内管継手20を備える。外管継手10の内径は内管継手20の外径よりも大きく、内管継手20は外管継手10の内部に配置される。二重管継手1は、金属製又は樹脂製とすることができる。
外管2A同士の接続に用いる外管継手10は、差し口である外管オス継手10Aと受け口である外管メス継手10Bの一対からなる。また、内管2B同士の接続に用いる内管継手20は、差し口である内管オス継手20Aと受け口である内管メス継手20Bの一対からなる。
【0023】
外管オス継手10Aは、一端に外管メス継手10Bと接続する外管継手接続部としてオス外管継手接続部11を備え、他端に第一の二重管2の外管2Aと接続する接続口として外管接続部13を備える。外管接続部13の外面には鋸歯状の凹凸が設けられている。
外管メス継手10Bは、一端に外管オス継手10Aと接続する外管継手接続部としてオス外管継手接続部11よりも径大のメス外管継手接続部12を備え、他端に第二の二重管2の外管2Aと接続する外管接続部13を備える。外管接続部13の外面には鋸歯状の凹凸が設けられている。また、外管メス継手10Bにおいて、一端側の外面にはゴムバンド14が環状に装着され、内面にはゴムパッキン15が装着されている。
メス外管継手接続部12の内面は、輪切り断面(軸方向に対して垂直な断面)を真円としている。また、外管オス継手10Aと外管メス継手10Bは、接続した状態において互いの中心軸が一致する構成としている。このため、外管オス継手10Aを外管メス継手10Bに差し込む際における断面円の中心軸の回転方向の位置合わせは不要であり、外管オス継手10Aと外管メス継手10Bを迅速に接続することができる。
【0024】
内管オス継手20Aは、一端に内管メス継手20Bと接続する内管継手接続部としてオス内管継手接続部21を備え、他端に第一の二重管2の内管2Bと接続する接続口として内管接続部23を備える。内管接続部23の外面には鋸歯状の凹凸が設けられている。
内管メス継手20Bは、一端に内管オス継手20Aと接続する内管継手接続部としてオス内管継手接続部21よりも径大のメス内管継手接続部22を備え、他端に第二の二重管2の内管2Bと接続する内管接続部23を備える。内管接続部23の外面には鋸歯状の凹凸が設けられている。また、内管メス継手20Bは、一端側の開口近傍にシール部24を備える。シール部24は、例えば、Oリング、Uパッキン、Vパッキン、Yパッキン、又はXパッキン等である。シール部24は、内管メス継手20Bに差し込まれた内管オス継手20Aの外面に密着する。これにより円周方向にシールが行われ、内管2Bを流れる流体が外管2A側に漏れ出ることを確実に防止できる。
メス内管継手接続部22の内面は、輪切り断面を真円としている。また、内管オス継手20Aと内管メス継手20Bは、接続した状態において互いの中心軸が一致する構成としている。このため、内管オス継手20Aを内管メス継手20Bに差し込む際における断面円の中心軸の回転方向の位置合わせは不要であり、内管オス継手20Aと内管メス継手20Bを迅速に接続することができる。
また、オス内管継手接続部21の先端の外面には先細りのテーパー25を設け、メス内管継手接続部22の先端の内面には奥細りのテーパー26を設けている。これにより、内管メス継手20Bに内管オス継手20Aを差し込む際に、内管メス継手20Bの中心軸と内管オス継手20Aの中心軸がずれていたとしても、互いの軸が一致するように誘導されるため、内管オス継手20Aと内管メス継手20Bとの接続を円滑に行うことができる。
【0025】
また、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bは、内管オス継手20A又は内管メス継手20Bが挿入される内管受入部16をそれぞれの内部に有する。本実施例では、外管オス継手10Aの内部に内管オス継手20Aを収容する内管受入部16が形成され、外管メス継手10Bの内部に内管メス継手20Bを収容する内管受入部16が形成されている。なお、外管オス継手10Aの内部に内管メス継手20Bを収容する内管受入部16を形成し、外管メス継手10Bの内部に内管オス継手20Aを収容する内管受入部16を形成することもできる。
内管受入部16の内面は、輪切り断面を真円としている。また、内管受入部16に内管継手20が挿入された状態において、外管継手10の中心軸と内管継手20の中心軸が一致する構成としている。このため、内管継手20を外管継手10に挿入する際における断面円の中心軸の回転方向の位置合わせは不要である。
【0026】
製造時などにおいて二重管2の端部に二重管継手1を取付ける際の手順例としては、まず、二重管2について外管2Aから内管2Bを引き出すように両者の位置関係をずらし、内管継手20の内管接続部23を二重管2の内管2Bの端部へ差し込み、その上から金属製等のリング、針金、又はホースバンド等を用いてかしめる。
次に、内管2Bが接続された内管継手20を、外管継手10の他端側の開口から内管受入部16に挿入する。
次に、内管受入部16に挿入した内管継手20を、軸方向に所定以上動かないように固定する。なお、固定方法の詳細については後述する。
最後に、ずらしていた外管2Aと内管2Bとの位置関係を戻して外管継手10の外管接続部13を二重管2の外管2Aの端部へ差し込み、その上から金属製等のリング、針金、又はホースバンド等を用いてかしめる。この状態において外管接続部13の軸方向位置と内管接続部23の軸方向位置は重なる位置にある。
このように、二重管2に二重管継手1を取付ける際は、内管2Bと内管継手20とをカシメ接続し、その内管継手20を外管継手10に挿入した後に外管2Aと外管継手10とをカシメ接続することができるため、二重管2と二重管継手1とを強固に接続することができる。そのため、引っ張りや、曲げ、捩じり等の外力が加わっても二重管継手1が外れる心配がない。
なお、本実施例においては、二重管2と二重管継手1との接続を、外側からかしめる外面装着式としているが、内側からかしめる内面装着式とすることもできる。内面装着式の場合は、内管2Bの端部を内管接続部23に差し込み、また、外管2Aの端部を外管接続部13に差し込むことになる。
【0027】
ここで、図2は外管継手への内管継手の収容度合いによる二重管の損傷可能性を比較した図であり、図2(a)は内管継手の全体を外管継手に収容した二重管継手を示し、図2(b)は内管継手の一部を外管継手に収容した二重管継手を示している。
図2(b)のように、内管受入部16が内管オス継手20A又は内管メス継手20Bよりも小さく、内管接続部23が外管継手10からはみ出す収容状態では、二重管継手1が地面3に落ちた際に、内管継手20と地面3の間に内管2B及び外管2Aが挟まれるため、内管2B及び外管2Aが損傷する可能性がある。
一方、図2(a)のように、内管継手20が外管継手10からはみ出さない収容状態では、二重管継手1が地面3に落ちた際に、内管継手20と地面3との間に内管2B及び外管2Aが挟まれることがないため、内管継手20による内管2B及び外管2Aの損傷を防止できる。
したがって、内管受入部16の大きさは、内管オス継手20A又は内管メス継手20Bの大きさ以上とし、内管受入部16に、内管オス継手20A又は内管メス継手20Bの全体を収容することが好ましい。
【0028】
二重管2同士を接続する際は、二重管継手1の片割れを、対となる二重管継手1の片割れと結合することにより行う。本実施例では、図1に示すように、二重管継手1の接続方式を差込式(町野式)としている。二重管継手1は、接続固定部17として、外管オス継手10Aに押し輪17Aと凸部17Bを有し、外管メス継手10Bに爪17Cを有する。爪17Cは、外管メス継手10Bの中心軸に対して垂直な方向に移動可能である。一方で、内管継手20は接続固定部17を有さない。
二重管継手1の片割れ同士を結合する際は、外管メス継手10Bに外管オス継手10Aが差し込まれるのと同時に、内管メス継手20Bに内管オス継手20Aが差し込まれる。外管オス継手10Aが外管メス継手10Bの所定位置まで差し込まれると、凸部17Bと爪17Cが係合して外管オス継手10Aと外管メス継手10Bとの接続が固定(ロック)される。また、上述のように内管受入部16に収容された内管継手20は軸方向に動かないように固定されているため、外管オス継手10Aと外管メス継手10Bとの接続が固定されることで、内管オス継手20Aと内管メス継手20Bとの接続も間接的に固定される。
二重管2同士を引き離す際は、押し輪17Aの操作により爪17Cを凸部17Bよりも押し上げて外管オス継手10Aと外管メス継手10Bとの接続の固定を解除する。これにより、内管オス継手20Aと内管メス継手20Bとの接続の固定も同時に解除されることとなる。その後、二重管継手1の片割れ同士を離間させる。
このように、二重管継手1を用いることで、二重管2同士を簡便に接続することができる。また、二重管2同士を接続又は引き離す際において、外管オス継手10Aと外管メス継手10Bとの接続の固定又は固定解除、及び内管オス継手20Aと内管メス継手20Bとの接続の固定又は固定解除を、外管継手10に設けた接続固定部17の操作で一括して行えるため、二重管2同士の接続や分離を迅速に行うことができる。また、接続固定部17を外管継手10のみに設けることで、接続状態を容易に視認することができる。
【0029】
なお、上記では二重管2の接続方式を差込式として説明したが、ねじ式、又はツイスト式とすることもできる。但し、国内での流通量は差込式が最も多いため、従来の差込式継手との部品の共通化等を考慮すると、差込式とすることが好ましい。また、本発明の二重管継手1は、流路が一つのみの単管が備える継手と接続することも可能である。
【0030】
上述のように、外管継手10の内管受入部16に挿入した内管継手20は軸方向に動かないように固定される。この外管継手10と内管継手20との位置関係を固定する方法として以下に四つの例を挙げる。
【0031】
図3は内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第一の例を示す図であり、図3(a)は分解斜視図、図3(b)は固定した状態での側断面図、図3(c)は固定した状態での外管オス継手及び内管オス継手からなる二重管継手の他端を示す正面図である。
内管オス継手20A及び内管メス継手20Bは、外面から突出した突出部として板状の突片31を複数有する。突片31は、オス内管継手接続部21又はメス内管継手接続部22と内管接続部23との間の位置において、円周方向に所定間隔で設けられ、上面が外管継手10の内面に接する。また、各突片31の高さは等しい。各突片31の高さを均等にすることで、内管受入部16に内管継手20が挿入された状態において、外管継手10の中心軸と内管継手20の中心軸を一致させることができる。
突片31は、内管継手20が外管継手10の内部で片寄らないように複数設けるが、多過ぎると流体の流れを阻害する可能性がある。そのため、内管オス継手20A又は内管メス継手20Bあたりの突片31の本数は、3本又は4本とすることが好ましい。本実施形態では、内管オス継手20A及び内管メス継手20Bに設ける突片31を各3本とし、円周方向に120度間隔で配置している。
【0032】
外管オス継手10A及び外管メス継手10Bは、第一ストッパー部として段差32を内面に有する。段差32は、円周方向に亘って設けられており、段差32が設けられた部分の内径は、内管継手20のうち突片31が設けられた部分の外径よりも小さくなっている。このため、外管継手10の他端側の開口から内管継手20を挿入したとき、突片31の一端が段差32に当接した位置が内管継手20の最大進入位置となる。段差32を設ける位置は、外管継手10及び内管継手20の長さや、外管継手10への内管継手20の挿入量等を考慮して設定する。
また、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bの内面において、段差32よりも他端側には、溝34が円周方向に亘って設けられている。段差32と溝34との間隔は、内管継手20が有する突片31の長さよりも若干大きく設定されている。
内管継手20を外管継手10に最大進入位置まで挿入した後、第二ストッパー部である止め輪33を外管継手10の他端側の開口から内管継手20の外面に沿って挿入し、溝34に嵌め込む。これにより、止め輪33と突片31の他端が近接した状態となり、内管継手20の後退は、突片31の他端が止め輪33に当接することによって阻止される。このように、段差32(第一ストッパー部)と止め輪33(第二ストッパー部)で突片31(突出部)を挟むことで、外管継手10に収容した内管継手20は軸方向の移動が制限されて所定以上動けなくなる。すなわち、外管継手10に対する内管継手20の相対位置が固定される。なお、本例では止め輪33をC型止め輪としているが、同心止め輪、又はばね材をC型にした止め輪とすることもできる。
【0033】
図3(b)、(c)に示すように、内管継手20には第一の流体4(例えば空気)が流れ、外管継手10には第二の流体5(例えば水)が流れる。このとき、第二の流体5は、突片31と突片31との間、及び止め輪33と内管継手20の外面との間を通過する。なお、突片31は断面を翼形状にすることが望ましく、これにより流れによる抵抗を極力小さくすることができる。
【0034】
また、内管継手20を外側継手10の外側からビス固定しない場合において、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bは、回転阻止部として直線溝35を内部に有する。直線溝35は、他端側の開口から段差32の手前まで軸方向に延びた直線的な溝であり、突片31の本数と同数の3本が、円周方向に120度間隔で設けられている。
内管継手20を外管継手10に挿入する際は、突片31を直線溝35に合わせて挿入する。これにより、外管継手10内に挿入された内管継手20は突片31が直線溝35に嵌合した状態となるため、外管継手10に対する内管継手20の回転が阻止される。外管継手10に対する内管継手20の回転が抑制されることで、内管継手20の回転により外管継手10の内面が損傷することを防止できる。
なお、回転阻止部を設けない場合、内管継手20は外管継手10に対して内管2Bと外管2Aとの捩じれを許容するように回転できる。回転阻止部を設けるか否かは、二重管2の用途等によって判断する。
【0035】
なお、突片31は、内管継手20ではなく、外管継手10の内面に設けることもできる。この場合は、例えば、内管継手20の一端側に、外管継手10の突片31に対応した溝を軸方向に設け、溝の終点(他端側)を第一ストッパー部とする。なお、溝の終点には段差を設けても良い。
組み立ての際は、内管継手20を、溝を外管継手10の突片31に合わせて挿入し、溝の終端に突片31が当接するまでスライドさせる。その後、第二ストッパー部である止め輪33を内管継手20の一端側から外管継手10に挿入する。
【0036】
図4は内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第二の例を示す図であり、図4(a)は分解斜視図、図4(b)は固定した状態での側断面図、図4(c)は固定した状態での外管オス継手及び内管オス継手からなる二重管継手の他端を示す正面図である。
製造時などにおいて、内管オス継手20A及び内管メス継手20Bのそれぞれの外面には、内管接続部23側から、一つ目の保持板41、間隔保持材42、及び二つ目の保持板41が順に嵌められる。
保持板41は、円形であり、内管継手20の外面に密着する内側リング41Aと、外管継手10の内面に接する外側リング41Bを有する。内側リング41Aと外側リング41Bとの間には所定の隙間が設けられ、内側リング41Aと外側リング41Bは三つの内外リング接続部41Cで接続されている。外管2Aを流れる流体は、内側リング41Aと外側リング41Bの間を通過する。
間隔保持材42は、円筒形であり、内管継手20の外面に密着する。なお、間隔保持材42は、内管継手20の内面に密着するようにしてもよい。また、間隔保持材42の厚みは、流体の流れを阻害しないように、内側リング41A以下としている。なお、間隔保持材42の厚みは、外側リング41B以下としてもよい。
内管オス継手20A及び内管メス継手20Bの外面には、外方へ突出した段差43が円周方向に亘って設けられており、一つ目の保持板41は段差43を越えて進むことはできない。したがって、一つ目の保持板41は段差43に当接することで位置決めされる。また、間隔保持材42は一端が一つ目の保持板41と当接するように位置し、二つ目の保持板41は間隔保持材42の他端に当接するように位置する。これにより、内管継手20は、二つの保持板41からなる突出部を外面に有することとなる。
【0037】
外管オス継手10A及び外管メス継手10Bは、第一ストッパー部として段差44を内面に有する。段差44は、円周方向に亘って設けられている。
段差44が設けられた部分の内径は、内管継手20のうち保持板41が設けられた部分の外径よりも小さくなっている。このため、外管継手10の他端側の開口から内管継手20を挿入したとき、一つ目の保持板41が第一ストッパー部に当接した位置が内管継手20の最大進入位置となる。段差44を設ける位置は、外管継手10及び内管継手20の長さや、外管継手10への内管継手20の挿入量等を考慮して設定する。
また、外管オス継手10A及び外管メス継手10Bの内面において、段差44よりも他端側には、円周方向に亘る溝45が設けられている。段差44と溝45との間隔は、保持板41同士の間隔よりも若干大きく設定されている。
内管継手20を外管継手10に最大進入位置まで挿入した後、第二ストッパー部である止め輪46を外管継手10の他端側の開口から内管継手20の外面に沿って挿入し、溝45に嵌め込む。これにより、止め輪46と二つ目の保持板41が近接した状態となる。内管継手20は、二つ目の保持板41が止め輪46に当接することにより、止め輪46を越えて後退することができない。なお、本例では止め輪46をC型止め輪としているが、同心止め輪、又はばね材をC型にした止め輪とすることもできる。また、止め輪46の抜け止めとして、外管継手10の外側からビスを立ててもよい。
このように、段差44(第一ストッパー部)と止め輪46(第二ストッパー部)で二つの保持板41(突出部)を挟むことで、外管継手10に収容した内管継手20は軸方向の移動が制限されて所定以上動けなくなる。すなわち、外管継手10に対する内管継手20の相対位置が固定される。
【0038】
図4(b)、(c)に示すように、内管継手20には第一の流体4(例えば空気)が流れ、外管継手10には第二の流体5(例えば水)が流れる。このとき、第二の流体5は、止め輪46と内管継手20の外面との間、及び内側リング41Aと外側リング41Bとの間を通過する。
【0039】
また、本例における二重管継手1は回転阻止部を有さず、突出部である保持板41は軸中心の回転方向には固定されていないため、内管継手20は外管継手10に対して、内管2Bと外管2Aとの捩じれを許容するように回転することができる。
【0040】
図5は内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第三の例を示す図であり、図5(a)は分解斜視図、図5(b)は固定した状態での側断面図、図5(c)はリング材の正面図である。
本例において、外管オス継手10Aは、オス外管継手接続部11を有する第一外管オス継手10Aaと、外管接続部13を有する第二外管オス継手10Abとからなる。また、外管メス継手10Bは、メス外管継手接続部12を有する第一外管メス継手10Baと、外管接続部13を有する第二外管メス継手10Bbとからなる。
また、内管オス継手20Aは、オス内管継手接続部21を有する第一内管オス継手20Aaと、内管接続部23を有する第二内管オス継手20Abと、第一内管オス継手20Aaと第二内管オス継手20Abとを繋ぐ環状のリング材51とからなる。また、内管メス継手20Bは、メス内管継手接続部22を有する第一内管メス継手20Baと、内管接続部23を有する第二内管メス継手20Bbと、第一内管メス継手20Baと第二内管メス継手20Bbとを繋ぐ環状のリング材51とからなる。
【0041】
リング材51には、一方側から第一内管オス継手20Aa又は第一内管メス継手20Baのうち内管継手接続部が設けられた端部とは反対側の端部が略半分まで差し込まれると共に、他方側から第二内管オス継手20Ab又は第二内管メス継手20Bbのうち内管接続部23が設けられた端部とは反対側の端部が略半分まで差し込まれる。これにより、第一内管オス継手20Aaと第二内管オス継手20Abが一体化されてなる内管オス継手20A、及び第一内管メス継手20Baと第二内管メス継手20Bbが一体化されて内管メス継手20Bは、外面に突出部としてリング材51を有することとなる。
リング材51は、外面が外管継手10の内面に接し、内面が内管継手20の外面に密着する。また、外面と内面との間には、流体が流れる長孔51Aが形成されている。
【0042】
本例では、第一ストッパー部を、第一外管オス継手10Aaの一端の端面52Aと、第一外管メス継手10Baの一端の端面52Bとしている。また、第二外管オス継手10Ab及び第二外管メス継手10Bbは、第二ストッパー部として段差53を内面に有する。段差53は、円周方向に亘って設けられており、段差53が設けられた部分の内径は、内管継手20のうちリング材51が設けられた部分の外径よりも小さくなっている。
製造時などにおいて二重管2の端部に二重管継手1を取付ける際の手順例としては、まず、第二内管オス継手20Ab又は第二内管メス継手20Bbの内管接続部23に二重管2の内管2Bをカシメ接続する。
次に、内管2Bが接続された第二内管オス継手20Ab又は第二内管メス継手20Bbを、第二外管オス継手10Ab又は第二外管メス継手10Bbに通し、リング材51に一方側から略半分まで差し込む。また、第一内管オス継手20Aa又は第一内管メス継手20Baを、リング材51の他方側から略半分まで差し込む。なお、リング材51と第一内管オス継手20Aa又は第一内管メス継手20Baとは、予め一体的に形成されていてもよい。
次に、第一外管オス継手10Aa又は第一外管メス継手10Baの一端を、第一内管オス継手20Aa又は第一内管メス継手20Baに被せるようにして、第二外管オス継手10Ab又は第二外管メス継手10Bbに差し込む。この状態においてリング材51は端面52A又は端面52Bと段差53とに挟まれるように位置するため、リング材51が端面52A又は端面52B及び段差53に当接することによって、外管継手10に収容した内管継手20は軸方向の移動が制限されて所定以上動けなくなる。すなわち、外管継手10に対する内管継手20の相対位置が固定される。
次に、第二外管オス継手10Ab又は第二外管メス継手10Bbの外管接続部13に二重管2の外管2Aをカシメ接続する。これにより二重管2には、端部に外管継手10と内管継手20とからなる二重管継手1の片割れが取り付けられた状態となる。
【0043】
図5(b)、(c)に示すように、内管継手20には第一の流体4(例えば空気)が流れ、外管継手10には第二の流体5(例えば水)が流れる。このとき、第二の流体5は、長孔51Aを通過する。
【0044】
また、本例における二重管継手1は回転阻止部を有さず、突出部であるリング材51は軸中心の回転方向には固定されていないため、内管継手20は外管継手10に対して、内管2Bと外管2Aとの捩じれを許容するように回転できる。
【0045】
図6は内管受入部に挿入した内管継手の固定方法の第四の例を示す側断面図である。また、図7は第四の例の固定方法を用いた二重管継手の外観写真であり、図7(a)は外管継手に内管継手を挿入する前の状態を示し、図7(b)は外管継手に内管継手を挿入した状態を示している。
本例は、上記した第一の例と同様に、内管オス継手20A及び内管メス継手20Bは、外面から突出した突出部として板状の突片31を複数有する。突片31は、オス内管継手接続部21又はメス内管継手接続部22と内管接続部23との間の位置において、円周方向に所定間隔(例えば120度間隔)で設けられ、上面が外管継手10の内面に接する。また、各突片31の高さは等しい。また、各突片31には、有底孔62が設けられている。
外管オス継手10A及び外管メス継手10Bは、外面から内面を貫通した貫通孔61を複数有する。貫通孔61は、オス外管継手接続部11又はメス外管継手接続部12と外管接続部13との間の位置において、突片31(突出部)に対応して円周方向に所定間隔で設けられている。
なお、貫通孔61及び有底孔62を設ける位置は、外管継手10及び内管継手20の長さや、外管継手10への内管継手20の挿入量等を考慮して設定する。
【0046】
組み立ての際は、内管継手20を外管継手10に挿入し、外管継手10の貫通孔62の位置と有底孔61の位置を合わせた後、ビス等の挿通具63を外管継手1の外側から貫通孔62及び有底孔61に通して固定する。
これにより、内管継手20は突片31を介して外管継手10に接続され、内管受入部16に収容された内管継手20は軸方向の移動が制限されて所定以上動けなくなる。すなわち、外管継手10に対する内管継手20の相対位置が固定される。
【0047】
また、本例における二重管継手1は、内管継手20が突片31を介して外管継手10に接続されているため、外管継手10に対する内管継手20の回転が阻止される。
【0048】
次に、本発明の他の実施例による二重管継手について説明する。なお、上記した実施例と同一機能部材については同一符号を付して説明を省略する。
図8は本実施例による二重管への二重管継手の取付け手順を示す図である。
上記実施例で説明したように、製造時などにおいて二重管2の端部に二重管継手1を取付ける際は、まず内管継手20の内管接続部23に二重管2の内管2Bをカシメ接続し、その後に外管継手10の外管接続部13に二重管2の外管2Aをカシメ接続する。
このとき、二重管2の全長が短い場合は、内管接続部23に内管2Bをカシメ接続するにあたって、比較的容易に外管2Aから内管2Bを引き出すように両者の位置関係をずらせるため、外管2Aと内管2Bの長さは同一でも構わない。しかし、二重管2の全長が長い場合は、外管2Aと内管2Bとの位置関係をずらすことに手間がかかる。
そこで、本実施例においては、内管2Bのホースをかしめる部分が内管2Aよりも外方に突出するように、内管2Bを外管2Aよりも長くしている。また、外管継手10の全長を、内管2Bの突出量に対応させて上記した実施例よりも長くしている。
【0049】
製造時などにおいて二重管2の端部に二重管継手1を取付ける際の手順例としては、まず、内管2Bの外側に外管2Aを通し、内管2Bの端部を外管2Aの端部よりも突出させる(図8(a))。
次に、内管継手20の内管接続部23を二重管2の内管2Bの端部へ差し込む(図8(b))。
次に、金属製等のリング、針金、又はホースバンド等のカシメ材60Aを用いて、内管2Bを内管継手20にかしめる(図8(c))。
次に、外管継手10の外管接続部13を二重管2の外管2Aの端部へ差し込む(図8(d))。
最後に、金属製等のリング、針金、又はホースバンド等のカシメ材60Bを用いて、外管2Aを外管継手10にかしめる(図8(e))。この状態において外管接続部13の軸方向位置と内管接続部23の軸方向位置は重ならない位置にある。
このように、本実施例による二重管継手1は、外管2Aと内管2Bとの位置関係をずらすことなく二重管2の端部に二重管継手1を取付けることができる。そのため、例えば二重管2が一般的な全長が20mと長い消防用ホースである場合など、二重管2の全長が長い場合に特に有効である。
【符号の説明】
【0050】
1 二重管継手
2 二重管
2A 外管
2B 内管
10 外管継手
10A 外管オス継手
10B 外管メス継手
11 オス外管継手接続部(外管継手接続部)
12 メス外管継手接続部(外管継手接続部)
13 外管接続部
16 内管受入部
17 接続固定部
20 内管継手
20A 内管オス継手
20B 内管メス継手
21 オス内管継手接続部(内管継手接続部)
22 メス内管継手接続部(内管継手接続部)
23 内管接続部
25、26 テーパー
31 突片(突出部)
32、44 段差(第一ストッパー部)
33、46 止め輪(第二ストッパー部)
35 直線溝(回転阻止部)
41 保持板(突出部)
51 リング材(突出部)
52A、52B 端面(第一ストッパー部)
53 段差(第二ストッパー部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9