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特許7477390制御装置、車両管理システム及び車両管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】制御装置、車両管理システム及び車両管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/08 20060101AFI20240423BHJP
   G01G 19/02 20060101ALI20240423BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240423BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240423BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01G19/08 Z
G01G19/02 E
B60R16/02 660N
G08G1/00 D
G01G23/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020128616
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025663
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼森 徹示
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-19645(JP,A)
【文献】特開2017-1452(JP,A)
【文献】特開2015-182654(JP,A)
【文献】特表2009-521902(JP,A)
【文献】特開2001-317991(JP,A)
【文献】特開2011-232069(JP,A)
【文献】特開2010-145138(JP,A)
【文献】特表平10-507287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0283594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
B60R 16/00-17/02
B60P 1/00-9/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から動作電源を供給される制御装置であって、
前記車両に設けられ前記車両に加わる荷重に相当する荷重信号を出力する荷重センサからの入力を受け付けるセンサ入力部と、
前記車両の稼働計画を保存する記憶部と、
前記車両を起動させるための車両起動信号の入力を受け付ける信号入力部と、
動作モードを、第一モード、前記第一モードよりも消費電力が少ない第二モード、消費電力が前記第一モードよりも少なく、かつ、第二モードよりも多い第三モードのいずれか一に切り替える制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車両起動信号が入力されると、前記動作モードを前記第一モードに移行し、
前記車両起動信号が入力されない状態で所定条件が成立すると、前記動作モードを前記第二モードに移行し、
前記動作モードが前記第二モードの場合において、前記稼働計画に従って、前記動作モードを前記第三モードに移行する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一モード及び前記第三モードにおいて前記荷重センサへの電源供給を行い、前記第二モードにおいて前記荷重センサへの電源供給を行わない、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
現在時刻を把握する計時部を備え、
前記稼働計画は、前記車両の次回稼働開始時期に基づいて定められたモード移行時期の情報を少なくとも含み、
前記制御部は、前記現在時刻と前記モード移行時期とに基づいて、前記動作モードを前記第三モードに移行する、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記車両の運行を管理する管理装置と通信する通信部を備え、
前記制御部は、前記通信部が前記管理装置から前記動作モードの移行に関する指示を受信すると、前記動作モードを前記第二モードから前記第三モードに移行する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
複数の車両のそれぞれに搭載される、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記複数の車両の運行を管理し、複数の前記制御装置と通信可能な管理装置と、を備える車両管理システムであって、
前記複数の制御装置は、現時点での前記動作モードが、前記第一モード、前記第二モード、及び前記第三モードのいずれであるかを示すモード情報と、前記車両の現時点での積載重量を示す稼働データとを、それぞれ前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、受信した前記モード情報及び前記稼働データに基づいて、前記複数の制御装置から選択した少なくとも一の前記制御装置に、前記動作モードの移行に関する指示を送信する、
車両管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の車両管理システムにおいて、コンピュータを、前記制御装置及び前記管理装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、
現時点での前記動作モードが、前記第一モード、前記第二モード、及び前記第三モードのいずれであるかを示す前記モード情報と、前記車両の現時点での積載重量を示す前記稼働データとを、前記複数の制御装置のそれぞれが、前記管理装置に送信し、
前記管理装置が、受信した前記モード情報及び前記稼働データに基づいて、前記複数の制御装置から選択した少なくとも一の前記制御装置に、前記動作モードの移行に関する指示を送信する、
処理を実行させる、車両管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、車両管理システム及び車両管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される電子制御装置において、消費電力を低減するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1においては、1つのウォッチドッグタイマ回路が、稼働状態のCPUの異常監視と、待機状態のCPUの異常監視との両方を行う。このCPUは、待機状態において、所定の周期で動作モードを省電力モードから通常モードへ一時的に切り替える定期ウェイクアップ処理を行う中で、センサチェック処理とカウンタクリア信号の出力処理とを同期して行う。特許文献1の電子制御装置によれば、センサチェック処理とカウンタクリア信号の出力処理とを非同期で実行する場合に比べて、待機状態のCPUの動作モードを通常モードへ切り替える頻度が低くなるため、消費電力が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-91365号公報
【文献】特開2003-2444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術を、車両に設けられた荷重センサの出力に基づいて重量値を演算する自重計に適用しようとすると、省電力モードにおいて電源供給されていなかった荷重センサが冷えた状態となり得る。この状態において、動作モードが省電力モードから通常モードへ切り替わる場合、荷重センサの自己発熱による計測誤差発生が懸念される。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載自重計における計測精度の低下防止と車両バッテリーの負担低減とを実現可能な制御装置、車両管理システム及び車両管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る制御装置、車両管理システム及び車両管理プログラムは、下記(1)~(6)を特徴としている。
(1)車両から動作電源を供給される制御装置であって、
前記車両に設けられ前記車両に加わる荷重に相当する荷重信号を出力する荷重センサからの入力を受け付けるセンサ入力部と、
前記車両の稼働計画を保存する記憶部と、
前記車両を起動させるための車両起動信号の入力を受け付ける信号入力部と、
動作モードを、第一モード、前記第一モードよりも消費電力が少ない第二モード、消費電力が前記第一モードよりも少なく、かつ、第二モードよりも多い第三モードのいずれか一に切り替える制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車両起動信号が入力されると、前記動作モードを前記第一モードに移行し、
前記車両起動信号が入力されない状態で所定条件が成立すると、前記動作モードを前記第二モードに移行し、
前記動作モードが前記第二モードの場合において、前記稼働計画に従って、前記動作モードを前記第三モードに移行する、
制御装置。
(2)前記制御部は、前記第一モード及び前記第三モードにおいて前記荷重センサへの電源供給を行い、前記第二モードにおいて前記荷重センサへの電源供給を行わない、
上記(1)に記載の制御装置。
(3)現在時刻を把握する計時部を備え、
前記稼働計画は、前記車両の次回稼働開始時期に基づいて定められたモード移行時期の情報を少なくとも含み、
前記制御部は、前記現在時刻と前記モード移行時期とに基づいて、前記動作モードを前記第三モードに移行する、
上記(1)又は(2)に記載の制御装置。
(4)前記車両の運行を管理する管理装置と通信する通信部を備え、
前記制御部は、前記通信部が前記管理装置から前記動作モードの移行に関する指示を受信すると、前記動作モードを前記第二モードから前記第三モードに移行する、
上記(1)から(3)のいずれか一に記載の制御装置。
(5)複数の車両のそれぞれに搭載される、請求項1から4のいずれか一項に記載の複数の制御装置と、
前記複数の車両の運行を管理し、前記複数の制御装置と通信可能な管理装置と、を備える車両管理システムであって、
前記複数の制御装置は、現時点での前記動作モードが、前記第一モード、前記第二モード、及び前記第三モードのいずれであるかを示すモード情報と、前記車両の現時点での積載重量を示す稼働データとを、それぞれ前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、受信した前記モード情報及び前記稼働データに基づいて、前記複数の制御装置から選択した少なくとも一の前記制御装置に、前記動作モードの移行に関する指示を送信する、
車両管理システム。
(6)上記(5)に記載の車両管理システムにおいて、コンピュータを、前記制御装置及び前記管理装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、
現時点での前記動作モードが、前記第一モード、前記第二モード、及び前記第三モードのいずれであるかを示す前記モード情報と、前記車両の現時点での積載重量を示す前記稼働データとを、前記複数の制御装置のそれぞれが、前記管理装置に送信し、
前記管理装置が、受信した前記モード情報及び前記稼働データに基づいて、前記複数の制御装置から選択した少なくとも一の前記制御装置に、前記動作モードの移行に関する指示を送信する、
処理を実行させる、車両管理プログラム。
【0007】
上記(1)の構成の制御装置によれば、消費電力の少ない動作モードに切り替えることで省電力化を行い、車両バッテリーの負担を軽減できる。また、車両の稼働計画に従って動作モードが第三モードに移行するので、第三モードにおいて荷重センサに電源供給を行えば、車両が起動していない場合であっても、稼働計画に従って事前に荷重センサを温めることが可能となる。したがって、動作モードが、第三モードから、荷重センサの出力に基づく重量計測を行う第一モードへ移行した際、荷重センサの自己発熱による計測精度低下を防止できる。このように、稼働計画に応じて、消費電力の少ない第二モードから、消費電力の多い第一モードへ移行する前に、消費電力が中程度の第三モードを経由することにより、車載自重計における計測精度の低下防止と車両バッテリーの負担低減とを実現できる。
また、上記(1)の構成の制御装置によれば、稼働計画(稼働カレンダー)に従って、長期連休明けの省電力モード(第三モード)の自動解除が可能となる。
【0008】
上記(2)の構成の制御装置によれば、上記(1)の構成の制御装置を具体的に実現できる。
【0009】
上記(3)の構成の制御装置によれば、例えば、車両の次回稼働開始時刻の一時間前に、動作モードを第三モードに移行させて荷重センサに電源供給を開始し、事前に荷重センサを温めることができる。よって、稼働開始時刻には荷重センサの自己発熱を防止して精度の良い計測が可能となる。
【0010】
上記(4)の構成の制御装置によれば、例えば長期連休中に管理装置から稼働計画外の配車指示(動作モードの移行に関する指示)を受けた場合に、動作モードを第三モードに移行して、荷重センサへの電源供給を開始し、事前に荷重センサを温めることができる。このため、稼働計画外の突発的な車両使用時にも、車載自重計における計測精度の低下防止と車両バッテリーの負担低減とを実現できる。
【0011】
上記(5)の構成の車両管理システム及び上記(6)の構成の車両管理プログラムによれば、管理装置が、各車両に関する、制御装置の動作モード状態と積載重量とを一括管理する。そして、計画外の配車要求を受けた場合に、管理装置が、配車可能車両の制御装置に、動作モードを例えば第三モードとするよう指示できる。このため、稼働計画外の突発的な車両使用時にも、車載自重計における計測精度の低下防止と車両バッテリーの負担低減とを実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車載自重計における計測精度の低下防止と車両バッテリーの負担低減とを実現できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態の車両管理システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、荷重センサの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、積載重量計測装置を搭載した車両の構成例を表す図であり、図3(a)、図3(b)、及び図3(c)は、それぞれ正面図、右側面図、及び底面図である。
図4図4は、電子制御装置の初期設定(タイマ設定)動作例を示すフローチャートである。
図5図5は、電子制御装置の初期設定(稼働カレンダー設定)動作例を示すフローチャートである。
図6図6は、電子制御装置の動作モード移行制御例(1)を示すフローチャートである。
図7図7は、電子制御装置の動作モード移行制御例(2)を示すフローチャートである。
図8図8は、電子制御装置の日常運用時の動作モード移行例を示すイメージ図である。
図9図9は、電子制御装置の長期連休時の動作モード移行例を示すイメージ図である。
図10図10は、事務所PC内に蓄積される情報の一例を示すイメージ図である。
図11図11は、事務所PCによる計画外の配車指示動作例を示すフローチャートである。
図12図12は、電子制御装置の動作モード移行制御例(3)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。本実施形態では、車両のバッテリーから動作電源を供給され、車両に搭載された自重計を制御する制御装置が、自重計と一体に構成された積載重量計測装置の例を示す。積載重量計測装置は、消費電力の異なる複数の動作モードで動作するものであり、車両のイグニッションスイッチのON/OFF状態の切替に伴い、自動で電源ON/OFF状態の切替が行われる。
【0016】
図1は、本実施形態の車両管理システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す車両管理システムは、トラック車両(以下「車両」と称する。)41(図3参照)に搭載された積載重量計測装置1と、車両41の運行を管理する事務所PC28(管理装置、サーバー)と、を備えている。積載重量計測装置1は、電子制御装置10(制御装置)と、電子制御装置10に接続された4つの荷重センサ25A~25D、外部信号入力部22(信号入力部)、及び無線通信部24(通信部)と、を含む。電子制御装置10には、さらに、記録カード21、車両電源23、および設定用パソコン27が接続されている。
【0017】
また、電子制御装置10は、本体メモリ12(記録部)、外部入出力I/F(インタフェース)13(信号入力部)、警報出力部14、表示部15、制御部16(重量演算部、計時部)、電源部17、及び入出力I/F18(センサ入力部)を備えている。
【0018】
記録カード21は、電子制御装置10に対して着脱自在な不揮発性のメモリカードであり、運転者(乗務員)毎に個別に用意される。この記録カード21は、荷物を輸送する車両41の運行記録情報(稼働データ)や動作モードを記録するために利用できる。運行記録情報は、車両41の現在位置、時刻、車速、各車輪位置の荷重、現時点での積載重量などの情報を含む。
【0019】
外部信号入力部22は、車両41のイグニッションスイッチからの出力信号が入力される。
車両電源23は、車両41に搭載されているバッテリーなどの電源であり、電子制御装置10等の車載器に対して所定の直流電力(動作電源)を供給することができる。
【0020】
無線通信部24は、無線基地局を介して、インターネット等の通信ネットワークに接続した事務所PC28と無線通信を行う。事務所PC28は、車両41の運行を管理する企業等の事務所内に設置され、予め定められたプログラムに従って、複数の車両41から収集した稼働データ等に基づく各種処理を行う。事務所PC28は、複数の車両41の運行管理や各運転者の労務管理、安全管理などの用途で使用される。また、事務所PC28は、後述する、各種情報を蓄積・管理し、表示する。
【0021】
荷重センサ25A、25B、25C、および25Dは、それぞれ、前方左側(FL)、前方右側(FR)、後方左側(RL)、および後方右側(RR)の各位置の車輪を支持するサスペンションに加わる荷重の大きさを計測できるように設置されている。荷重センサ25A、25B、25C、および25Dは、車両41に加わる荷重に相当する荷重信号を出力する。
【0022】
設定用パソコン27は、電子制御装置10に対して接続可能な汎用コンピュータであり、電子制御装置10に対して、後述する、「タイマ設定値」及び「稼働カレンダー(稼働計画)」を含む設定情報を設定するためのものである。
【0023】
本体メモリ12は、事前に定めた各種定数データや電子制御装置10の動作に必要なプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ(EEPROMなど)と、各種測定データを含む一時データを保持するためのメモリ(RAM)とを備えている。測定データは、荷重センサ25A~25Dが時系列的に出力した荷重信号及びこの荷重信号に基づいて算出された重量値を含む。また、本体メモリ12は、動作モードを切り替えるまでの待機時間の数値情報や、事務所PC28側で用意された稼働カレンダー(稼働計画)を保存する。稼働カレンダーは、車両41の稼働日(稼働開始時間を含む)及び非稼働日の情報を含む。また、稼働カレンダーは、稼働開始時間の何時間前に省電力モード1へ移行するかを示す復帰時間(車両の次回稼働開始時期に基づいて定められたモード移行時期)の情報を含む。
【0024】
外部入出力I/F13は、制御部16が記録カード21のデータにアクセスするための信号処理と、外部信号入力部22からの信号入力のための制御を実施する。外部入出力I/F13は、車両41のイグニッションスイッチからの出力信号に基づいて、イグニッションスイッチのON/OFF(KEY-ON/KEY-OFF)を検知する。すなわち、外部信号入力部22は、車両41を起動させるための車両起動信号(KEY-ON)の入力を受け付ける。
警報出力部14は、電子制御装置10に内蔵された警報ランプやブザーなどを用いて、異常の発生を運転者に報知するために利用される。
【0025】
表示部15は、自車両の運転者の位置から視認が容易な状態で配置された、液晶ディスプレイ等の平面ディスプレイを備えている。この平面ディスプレイの二次元画面に、カラー画像や文字情報などを必要に応じて表示できる。表示部15は、例えば、本体メモリ12に記録された設定情報や、各種測定データを表示できる。
【0026】
制御部16は、マイクロコンピュータ(マイコン)を主体とする電子回路により構成され、予め定められたプログラムを実行することにより、電子制御装置10に必要とされる各種の制御機能を実現する。制御部16は、現在時刻を計時する時計IC(計時部)を内蔵する。制御部16は、荷重センサ25A~25Dから時系列的に出力される荷重信号に基づいて重量値を逐次算出し、算出結果を本体メモリ12及び/又は記録カード21に記録する。すなわち、現時点での積載重量が記録される。
【0027】
制御部16は、動作モードを、通常モード(第一モード)と、二段階の省電力モードである省電力モード1(第三モード)及び省電力モード2(第二モード)とのうち、いずれかに切り替える。
【0028】
通常モードにおいて、電子制御装置10は、電源ON状態であり、LEDを点灯し液晶バックライトを点灯して表示部15が表示を行い、荷重センサ25A~25Dへの電源供給、及び通信を行う。通常モードにおいて、制御部16は、稼働状態であり、荷重信号に基づく重量値の算出(重量演算)を行う。
【0029】
省電力モード1において、電子制御装置10は、電源OFF状態であり、LEDを消灯し液晶バックライトを消灯して表示部15は表示を行わず、荷重センサ25A~25Dへの電源供給は行わない。省電力モード1において、制御部16は稼働状態であるが、重量演算は行わない。
【0030】
省電力モード2において、電子制御装置10は、電源OFF状態であり、LEDを消灯し液晶バックライトを消灯して表示部15は表示を行わず、荷重センサ25A~25Dへの電源供給は行わない。省電力モード2において、制御部16はスタンバイ状態である。
【0031】
省電力モード2は、通常モードよりも消費電力が大幅に少なく、省電力モード1は、消費電力が、通常モードよりも少なく、かつ、省電力モード2よりも多い。
【0032】
電源部17は、車両電源23から供給される電力に基づいて、安定した直流電力を生成し、この直流電力を電子制御装置10内部の各回路と、荷重センサ25A~25Dへ電源として供給する。
入出力I/F18は、無線通信部24、荷重センサ25A~25D等の各信号を制御部16に入力するための信号処理を実施する。入出力I/F18は、荷重センサ25A~25Dから出力される荷重信号の入力を受け付ける。
【0033】
図2は、荷重センサ25の構成例を示すブロック図である。図1中に示した荷重センサ25A~25Dのそれぞれが図2の荷重センサ25に相当する。
【0034】
図2に示すように、この荷重センサ25は歪み検出素子31、専用IC(ASIC)32、V/F変換回路33、MCU(マイクロコントローラ)34、入出力I/F35、および電源回路36を内蔵している。
【0035】
歪み検出素子31は、これが設置されている箇所に加わる荷重により生じる歪み量を検出する。専用IC32は、歪み検出素子31が検出した歪み量、すなわち荷重に相当する電圧(V)の電気信号を生成する。V/F変換回路33は、専用IC32が出力する信号の電圧変化を周波数(F)の変化に変換する。具体的には、V/F変換回路33が出力するパルス信号の周波数が、歪み検出素子31に加わった荷重に相当する。
【0036】
MCU34は、V/F変換回路33が出力するパルス信号の周波数に基づいて、検出された荷重の大きさを表すデータである荷重信号を生成する。MCU34が生成した荷重信号は、入出力I/F35を経由して電子制御装置10に入力される。電源回路36は、電源部17から供給される直流電力を変換して荷重センサ25内の各部に供給する。
【0037】
図3は、積載重量計測装置を搭載した車両の構成例を表す図であり、図3(a)、図3(b)、及び図3(c)は、それぞれ正面図、右側面図、及び底面図である。
【0038】
図3(a)に示した例では、車両41の運転席の近傍に電子制御装置10および無線通信部24が設置されている。電子制御装置10に接続された4つの荷重センサ25A、25B、25C、および25Dは、図3(b)、図3(c)に示すように、それぞれ、左前方の車輪44A、右前方の車輪44B、左後方の車輪44C、および右後方の車輪44Dの近傍に設置されている。荷物の積載状況に応じて、各車輪44C、44D等の位置における荷重が変動する。制御部16は、荷重センサ25A~25Dから時系列的に出力される荷重信号に基づいて、車両41に加わる荷重を計測し、荷室42に積み卸しされた荷物の重量値を算出する。
【0039】
上記のように構成された積載重量計測装置1において、車両電源23に接続された電子制御装置10が、所定条件に従って動作モードの自動切替制御を行う。以下、電子制御装置10の動作について説明する。
【0040】
図4及び図5を参照して、電子制御装置10に、動作モードを切り替えるまでの待機時間(タイマ)、及び車両41の稼働カレンダーを設定する動作について説明する。図4及び図5は、電子制御装置10の初期設定動作例を示すフローチャートであり、図4はタイマ設定、図5は稼働カレンダー設定を示す。電子制御装置10に対して、(1)設定用パソコン27を接続、(2)記録カード21によるローディング、又は、(3)事務所PC28との無線通信部24を介した通信、のいずれかを実施することにより、タイマ設定及び稼働カレンダー設定に必要な各種情報が制御部16に読み込まれる。そして、各種情報が本体メモリ12に記憶される。
【0041】
制御部16は、図4に示すように、設定用パソコン27、記録カード21又は事務所PC28から、イグニッションスイッチがOFF状態となってから省電力モード1に移行するまでの待機時間の値を読み込んで、本体メモリ12に設定する(ステップS1)。省電力モード1までの待機時間は、例えば、初期値が12時間とされる。次に制御部16は、設定用パソコン27、記録カード21又は事務所PC28から、動作モードが省電力モード1に移行してから省電力モード2に移行するまでの待機時間の値を読み込んで、本体メモリ12に設定する(ステップS2)。省電力モード2までの待機時間は、例えば、初期値が108時間とされる。以上のように、電子制御装置10は、タイマ設定を行う。
【0042】
制御部16は、図5に示すように、設定用パソコン27、記録カード21又は事務所PC28から、稼働カレンダーの情報を読み込んで、本体メモリ12に設定する(ステップS11)。次に制御部16は、設定用パソコン27、記録カード21又は事務所PC28から、復帰時間の値を読み込んで、本体メモリ12に設定する(ステップS12)。復帰時間は、動作モードが省電力モード2の場合において、稼働カレンダーに示される稼働開始時間の何時間前に省電力モード1へ移行するかを示す。復帰時間は、例えば、初期値が1時間とされる。以上のように、電子制御装置10は、稼働カレンダー設定を行う。
【0043】
図6及び図7を参照して、積載重量計測装置1の運用時における、電子制御装置10の動作について説明する。図6は、電子制御装置10の基本的な動作モード移行制御例を示すフローチャートであり、図7は、稼働カレンダー設定がされている場合における、電子制御装置10の動作モード移行制御例を示すフローチャートである。電子制御装置10は、制御部16が、電子制御装置10内の各部や外部信号入力部22、無線通信部24、荷重センサ25A~25D等と協同することにより、図6及び図7に示す処理を実行する。
【0044】
図6に示すように、電子制御装置10は、車両電源23が接続されたか否かを判断する(ステップS21)。車両電源23が接続される(ステップS21でYES)、すなわち、車両起動信号が入力されない状態で所定条件が成立すると、動作モードが省電力モード2に状態遷移する(ステップS22)。省電力モード2において、電子制御装置10は、電源OFF状態であり、表示部15は表示を行わず、荷重センサ25A~25Dへの電源供給は行わない。
【0045】
電子制御装置10は、車両41のキーシリンダーにおいてイグニッションスイッチがON(KEY-ON)されたか否か、すなわち、車両起動信号が入力されたか否か、を判断する(ステップS23)。電子制御装置10は、KEY-OFFの間(ステップS23でNO)は省電力モード2を維持し、KEY-ONされる(ステップS23でYES)と、初期動作を行う(ステップS24)。電子制御装置10は、初期動作として、メインプログラムを本体メモリ12のRAMへ展開して、各タスクを起動し、表示部15に初期画面を所定時間(例えば約2秒間)表示する。
【0046】
電子制御装置10は、初期動作後、通常モードに状態遷移する(ステップS25)。通常モードにおいて、電子制御装置10は、電源ON状態であり、表示部15は表示を行い、荷重センサ25A~25Dへの電源供給、及び通信を行う。通常モードにおいて、制御部16は、稼働状態であり、荷重信号に基づく重量値の算出(重量演算)を行う。
【0047】
電子制御装置10は、通常モードにおいて、車両41のキーシリンダーにおいてイグニッションスイッチがON(KEY-ON)か否かを判断し(ステップS26)、KEY-ONの間(ステップS26でYES)は通常モードを維持する。OFF(KEY-OFF)の場合(ステップS26でNO)、電子制御装置10は、KEY-OFFを検知した時点から、タイマ設定された待機時間(例えば12時間)が経過したか否かを判断する(ステップS27)。
【0048】
電子制御装置10は、待機時間(例えば12時間)が 経過した場合(ステップS27でYES)、省電力モード1に状態遷移し(ステップS28)、経過しない場合(ステップS27でNO)は通常モードを維持する。省電力モード1において、電子制御装置10は、電源OFF状態であり、表示部15は表示を行わず、荷重センサ25A~25Dへの電源供給は行わない。省電力モード1において、制御部16は稼働状態であるが、重量演算は行わない。
【0049】
電子制御装置10は、省電力モード1において、車両41のキーシリンダーにおいてイグニッションスイッチがON(KEY-ON)か否かを判断する(ステップS29)。KEY-OFFの場合(ステップS29でNO)、電子制御装置10は、省電力モード1に移行した時点から、タイマ設定された待機時間(例えば108時間)が経過したか否かを判断する(ステップS30)。電子制御装置10は、待機時間(例えば108時間)が経過した場合(ステップS30でYES)、すなわち、車両起動信号が入力されない状態で所定条件が成立した場合、省電力モード2に状態遷移する(ステップS22)。待機時間が経過しない場合(ステップS30でNO)、電子制御装置10は省電力モード1を維持する(ステップS28)。
【0050】
図7に示すように、電子制御装置10は、本体メモリ12に稼働カレンダーが設定されているか否かを判断する(ステップS41)。稼働カレンダーが設定されている場合(ステップS41でYES)、電子制御装置10は、現在時刻が、稼働カレンダーに規定された次回稼働開始時間の1時間前か否かを判断する(ステップS42)。現在時刻が次回稼働開始時間の1時間前の場合、電子制御装置10は、動作モードが省電力モード2であるかいなかを判断する(ステップS43)。省電力モード2である場合(ステップS43でYES)、電子制御装置10は、車両41がKEY-OFFのままであっても、省電力モード1に状態遷移する(ステップS44)。稼働開始時間に、車両41がKEY-ONされると、電子制御装置10は通常モードに状態遷移する。尚、ステップS41でNOの場合及びステップS42でNOの場合、電子制御装置10はステップS41の処理に戻る。
【0051】
図8及び図9を参照して、上述した動作モード移行制御の具体例を説明する。図8は、電子制御装置10の日常運用時の動作モード移行例を示すイメージ図であり、図9は、電子制御装置10の長期連休時の動作モード移行例を示すイメージ図である。尚、図8及び図9中の符号は、図6及び図7に示した各ステップに対応する。
【0052】
図8に示すように、日常運用時において、車両41が帰庫し、車両41のキーシリンダーにおいてイグニッションスイッチがOFF(KEY-OFF)される(図6のステップS26でNO)。KEY-OFFのまま12時間経過すると(ステップS27でYES)、電子制御装置10は動作モードを省電力モード1に移行する(ステップS28)。省電力モード1において、積載重量計測装置1は、電源OFF状態であるが、制御部16(マイコン)は動作し、荷重センサ25A~25Dへの電源供給は行われる。但し、省電力モード1において、制御部16は荷重信号に基づく重量演算は行わない。
【0053】
省電力モード1において、車両41から車両起動信号が入力される(KEY-ON、ステップS29でYES)と、電子制御装置10は動作モードを通常モードに移行する(ステップS25)。通常モードにおいて、積載重量計測装置1は、電源ON状態であり、制御部16は重量演算を行う。省電力モード1において荷重センサ25A~25Dに電源供給されており荷重センサ25A~25Dは温まっているため、通常モードへの移行時、積載重量計測装置1は、すぐに、重量計測が可能であり、計測精度低下の懸念は低い。
【0054】
次に、車両41が長時間起動されない長期連休時について説明する。図9に示すように、車両41が帰庫し、車両41のキーシリンダーにおいてイグニッションスイッチがOFF(KEY-OFF)される(図6のステップS26でNO)。KEY-OFFのまま12時間経過後(ステップS27でYES)、電子制御装置10は動作モードを省電力モード1に移行する(ステップS28)。省電力モード1への移行から108時間経過すると(ステップS30でYES)、電子制御装置10は動作モードを省電力モード2に移行する(ステップS22)。省電力モード2において、積載重量計測装置1は、電源OFF状態であり、制御部16(マイコン)がスタンバイ状態であり、荷重センサ25A~25Dへの電源供給及び制御部16による重量演算は行われない。
【0055】
省電力モード2において、稼働カレンダー設定の有無によって処理が分岐する。稼働カレンダー設定がある場合、電子制御装置10は、稼働カレンダーに設定された稼働開始時間の1時間前になると(図7のステップS42でYES)、自動で、省電力モード1へ状態遷移する(ステップS44)。すなわち、稼働開始時間の1時間前から、荷重センサ25A~25Dへの電源供給が行われる。その後、稼働開始時間に、車両41のイグニッションスイッチがONされる(図6のステップS29でYES)と、電子制御装置10は、動作モードを通常モードへ移行する(ステップS25)。このとき、すでに荷重センサ25A~25Dは温まっているため、通常モードへ移行してすぐに、積載重量計測装置1は重量演算を行うことでき、計測精度低下の懸念は低い。
【0056】
一方、稼働カレンダー設定がない場合、電子制御装置10は、省電力モード2において、車両41のイグニッションスイッチがONされる(図6のステップS23でYES)と、電子制御装置10は、初期動作を行う(ステップS24)。初期動作後、電子制御装置10は、動作モードを通常モードへ移行する(ステップS25)。このとき、荷重センサ25A~25Dは冷えており、自己発熱による計測精度の懸念があるため、始業点検などの時間にて暖気運転とすることが望ましい。
【0057】
次に、図10図12を参照して、車両管理システムにおける、複数の車両41の運行を管理する事務所PC28及び各車両41に搭載される積載重量計測装置1の動作を説明する。これらの動作は、コンピュータが所定のプログラムを実行することにより、実現される。
【0058】
図10は、事務所PC28内に蓄積される情報(蓄積情報S)の一例を示すイメージ図である。電子制御装置10は、定期的に、又は、事務所PC28の要求に応じて、現時点でのモード情報(モードM)と、現時点での積載重量を示す稼働データ(現時点での積載重量K2)とを、事務所PC28に送信する。モードMは、動作モードが通常モード、省電力モード1及び省電力モード2のいずれであるかを示す。事務所PC28は、事務所PC28が管理する複数の車両41に搭載される電子制御装置10から、現時点でのモードM及び積載重量K2を受信し、内部の記録部(データベース)に記憶し、一括管理する。尚、電子制御装置10は、現時点でのモードM又は積載重量K2を、動作モードが移行される都度、又は、積載重量が変更される都度、事務所PC28に送信してもよい。
【0059】
事務所PC28には、各車両41の電子制御装置10から受信した現時点でのモードM、積載重量K2に加え、車番N、車両の最大積載重量K1、追加積載可能重量K3の各情報が蓄積される。追加積載可能重量K3は、車両の最大積載重量K1から現時点での積載重量K2を引いた重量である。また、事務所PC28には、各車両41の稼働カレンダー(稼働計画)、位置情報等の運行記録情報も蓄積される。尚、事務所PC28は、事務所PC28と通信可能に接続された外部サーバーに、現時点でのモードM及び現時点での積載重量K2を含む各種情報を蓄積してもよい。
【0060】
図11は、事務所PC28による計画外の配車指示動作例を示すフローチャートである。事務所PC28は、顧客からの配車要求を受け付ける。事務所PC28は、計画外の顧客より配車要求があった場合(ステップS51でYES)、蓄積情報Sを参照して配車可能車両を決定する(ステップS52)。事務所PC28は、複数の車両41のそれぞれについて、顧客住所からの距離や車両状態(稼働計画、現時点でのモードM及び現時点での積載重量K2)を判定し、判定結果に従って、配車可能車両を決定する。事務所PC28は、計画外の配車要求に備えて、図10に示すように、現時点でのモードM及び積載重量K2に基づいて計画外配車指示優先度Pを定めて、蓄積情報Sに含めることができる。計画外配車指示優先度Pは、現時点での追加積載可能重量K3の多い車両の優先度を高く、又は、省電力モード2(長期休止中)よりも省電力モード1(休止中)の優先度を高く、定めることができる。
【0061】
図10に示す例において、電子制御装置10の動作モードが、通常モード(稼働中)でない、省電力モード1(休止中)又は省電力モード2(長期休止中)の車両41(車番Nが1003、1005)が配車可能車両の候補となる。この場合、事務所PC28は、計画外配車指示優先度Pの最も高い、車番Nが1003の車両41を配車可能車両と決定する。
【0062】
事務所PC28は、決定した配車可能車両(車番Nが1003の車両41)の電子制御装置10に、無線通信部24を介して、配車指示を送信する(ステップS53)。配車指示を受信した電子制御装置10は、本体メモリ12に配車指示を保存する。
【0063】
事務所PC28は、図10に示す例において、計画外配車指示優先度Pが、顧客住所からの距離が近い場合等、計画外配車指示優先度Pの低い車両41(車番Nが1005の車両41)を配車可能車両と決定してもよい。
【0064】
図12は、配車指示を受けた電子制御装置10の動作モード移行制御例を示すフローチャートである。電子制御装置10は、配車指示を受信したか否か、すなわち、配車指示が本体メモリ12に記憶されているか否かを判断する(ステップS61)。配車指示有りの場合(ステップS61でYES)、電子制御装置10は、現時点の動作モードが省電力モード2か否かを判断する(ステップS62)。電子制御装置10は、動作モードが省電力モード2の場合(ステップS62でYES)、動作モードを省電力モード1に移行する(ステップS63)。電子制御装置10は、ステップS61でNOの場合は配車指示の受信を待機し、ステップS62でNOの場合、すなわち動作モードが省電力モード1又は通常モードの場合、処理を終了する。このように、配車指示を受けた電子制御装置10が動作モードを省電力モード2から省電力モード1に移行するので、配車指示は、電子制御装置10の動作モードの移行に関する指示に相当する。
【0065】
図10に示す例において、車番Nが1005の車両41の電子制御装置10に配車指示が送信された場合、この電子制御装置10は、図12に示す制御によって、省電力モード2から省電力モード1に状態遷移して、荷重センサ25A~25Dへの電源供給を開始する。したがって、車両41が起動される前に、荷重センサ25A~25Dを温めておくことができる。このため、稼働計画外の突発的な車両使用時にも、積載重量計測装置1における計測精度の低下防止と車両バッテリーの負担低減とを実現できる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の積載重量計測装置1によれば、電子制御装置10が図6に示した動作モード移行制御を実行することにより、積載重量計測装置1の電源ON、OFFを自動化でき、作業者のボタン押し忘れによる計測忘れ防止が可能となる。また、二段階の省電力モード1、2に切り替えることで、日常運用時の利便性と長期連休時の車両バッテリー(車両電源23)の負担低減との両立が可能となる。日常運用時には、電子制御装置10の動作モードを省電力モード1として、電源OFF状態であっても荷重センサ25A~25Dに電源供給を行い荷重センサ25A~25Dを温めることで、センサの自己発熱誤差発生を防止し、計測精度低下を防止できる。また、長期連休時には、電子制御装置10の動作モードを省電力モード2として、荷重センサ25A~25Dに電源供給を行わず、マイコン(制御部16)をスタンバイ状態とする最低限の消費電力に抑えるため、車両バッテリーの負担を低減できる。
【0067】
また、本実施形態の積載重量計測装置1によれば、電子制御装置10が図7に示した動作モード移行制御を実行することにより、事務所側で設定された稼働カレンダーに従って、長期連休明けの省電力モード2の自動解除が可能となる。よって、事前に荷重センサ25A~25Dを温めておき、長期連休明けの稼働開始時間において、すぐに精度の高い計測が可能となる。
【0068】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、前述した実施形態では、積載重量計測装置1(電子制御装置10)が一般的なトラック車両に積載される例を示したが、車両の種類はパッカー車、ローリー車等であってもよい。また、前述した実施形態では、タイマ設定された待機時間が12時間、108時間である例を示したが、待機時間は設定により変更可能である。また、前述した実施形態では、事務所PC28が配車指示を行う例を示したが、事務所PC28に代えて、積載重量計測装置1(電子制御装置10)と直接又は事務所PC28を介して通信可能なサーバーが行ってもよい。
【0069】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る制御装置、車両管理システム及び車両管理プログラムの特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1]車両(車両電源23)から動作電源を供給される制御装置(電子制御装置10)であって、
前記車両に設けられ前記車両に加わる荷重に相当する荷重信号を出力する荷重センサ(25、25A~25D)からの入力を受け付けるセンサ入力部(入出力I/F18)と、
前記車両の稼働計画を保存する記憶部(本体メモリ12)と、
前記車両を起動させるための車両起動信号(KEY-ON)の入力を受け付ける信号入力部(外部信号入力部22、外部入出力I/F13)と、
動作モードを、第一モード(通常モード)、前記第一モードよりも少ない消費電力で動作する第二モード(省電力モード2)、前記第一モードよりも少なく、かつ、第二モードよりも多い消費電力で動作する第三モード(省電力モード1)のいずれか一に切り替える制御部(16)と、を備え、
前記制御部は、
前記車両起動信号が入力される(ステップS23でYES、ステップS26でYES)と、前記動作モードを前記第一モードに移行し(ステップS25)、
前記車両起動信号が入力されない状態で所定条件が成立する(ステップS21でYES、ステップS30でYES)と、前記動作モードを前記第二モードに移行し(ステップS22)、
前記動作モードが前記第二モードの場合において(ステップS43でYES)、前記稼働計画に従って、前記動作モードを前記第三モードに移行する(ステップS44)、
制御装置(電子制御装置10)。
[2]前記制御部は、前記第一モード及び前記第三モードにおいて前記荷重センサへの電源供給を行い、前記第二モードにおいて前記荷重センサへの電源供給を行わない、
上記[1]に記載の制御装置。
[3]現在時刻を把握する計時部(制御部16)を備え、
前記稼働計画は、前記車両の次回稼働開始時期に基づいて定められたモード移行時期の情報を少なくとも含み、
前記制御部は、前記現在時刻と前記モード移行時期とに基づいて、前記動作モードを前記第三モードに移行する、
上記[1]又は[2]に記載の制御装置。
[4]前記車両の運行を管理する管理装置(事務所PC28)と通信する通信部(無線通信部24)を備え、
前記制御部は、前記通信部が前記管理装置から前記動作モードの移行に関する指示を受信すると、前記動作モードを前記第二モードから前記第三モードに移行する、
上記[1]から[3]のいずれか一に記載の制御装置。
[5]複数の車両(41)のそれぞれに搭載される、上記[1]から[4]のいずれか一に記載の制御装置(電子制御装置10)と、
前記複数の車両の運行を管理し、複数の前記制御装置と通信可能な管理装置(事務所PC28)と、を備える車両管理システムであって、
前記複数の制御装置は、現時点での前記動作モードが、前記第一モード、前記第二モード、及び前記第三モードのいずれであるかを示すモード情報(モードM)と、前記車両の現時点での積載重量を示す稼働データ(現時点での積載重量K2)とを、それぞれ前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、受信した前記モード情報及び前記稼働データに基づいて、前記複数の制御装置から選択した少なくとも一の前記制御装置に、前記動作モードの移行に関する指示を送信する(ステップS53)、
車両管理システム。
[6]上記[5]に記載の車両管理システムにおいて、コンピュータを、前記制御装置(電子制御装置10)及び前記管理装置(事務所PC28)として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、
現時点での前記動作モードが、前記第一モード、前記第二モード、及び前記第三モードのいずれであるかを示す前記モード情報(モードM)と、前記車両の現時点での積載重量を示す前記稼働データ(現時点での積載重量K2)とを、前記複数の制御装置のそれぞれが、前記管理装置に送信し、
前記管理装置が、受信した前記モード情報及び前記稼働データに基づいて、前記複数の制御装置から選択した少なくとも一の前記制御装置に、前記動作モードの移行に関する指示を送信する(ステップS53)、
処理を実行させる、車両管理プログラム。
【符号の説明】
【0070】
1 積載重量計測装置
10 電子制御装置
12 本体メモリ
13 外部入出力I/F
14 警報出力部
15 表示部
16 制御部
17 電源部
21 記録カード
22 外部信号入力部
23 車両電源
24 無線通信部
25、25A~25D 荷重センサ
27 設定用パソコン
28 事務所PC
41 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12