(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】検査用接続装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240423BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20240423BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/073 D
H01L21/66 B
H01L21/66 X
(21)【出願番号】P 2020131467
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 実
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-039687(JP,A)
【文献】特開2003-014955(JP,A)
【文献】国際公開第2004/072661(WO,A1)
【文献】特開2020-098185(JP,A)
【文献】特表2017-533446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 1/073
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を入力又は出力する光半導体素子の検査に使用する検査用接続装置であって、
光プローブと、
前記光プローブが貫通する貫通孔がそれぞれ形成された複数のガイド板が、前記貫通孔の中心軸方向に沿って互いに離間して配置されるプローブヘッドと、
を備え、
前記プローブヘッドは、
第1のガイド板と、
前記光プローブが前記貫通孔を貫通した状態で、前記貫通孔の半径方向に沿って前記第1のガイド板に対して相対的に移動自在に設置された第2のガイド板と
を有し、
前記第1のガイド板の前記貫通孔を形成した領域と前記第2のガイド板の前記貫通孔を形成した領域の間が空間になるように、前記第1のガイド板と前記第2のガイド板を離隔して配置し、
前記プローブヘッドは、前記第1のガイド板の前記貫通孔の中心軸の位置と前記第2のガイド板の前記貫通孔の中心軸の位置が前記半径方向に沿ってずれた状態で、前記第1のガイド板および前記第2のガイド板のそれぞれの前記貫通孔の内壁面にて前記光プローブを挟持し、
前記光プローブは、前記第1のガイド板と前記第2のガイド板の間の中空で前記半径方向に湾曲した状態で前記プローブヘッドに保持され
、
前記光半導体素子の検査において、前記光プローブの先端面と前記光半導体素子とは前記貫通孔の中心軸の方向において離隔して配置される
ことを特徴とする検査用接続装置。
【請求項2】
前記第1のガイド板が、前記第2のガイド板よりも、前記光プローブの前記光半導体素子に対向する先端に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の検査用接続装置。
【請求項3】
前記複数のガイド板よりも前記光半導体素子から離れた部分で前記光プローブを保持する光プローブ保持装置を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査用接続装置。
【請求項4】
前記プローブヘッドが、
前記貫通孔の中心軸方向に沿って前記第1のガイド板および前記第2のガイド板と離間して配置された第3のガイド板を更に備え、
前記第3のガイド板が、前記光プローブが前記貫通孔を貫通した状態で、前記半径方向に沿って前記第1のガイド板および前記第2のガイド板の少なくともいずれかに対して相対的に移動自在に設置されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査用接続装置。
【請求項5】
電気プローブと、
前記電気プローブを保持する電気プローブ保持装置と
を更に備え、
前記光プローブが前記光半導体素子の光信号端子と光学的に接続する状態において、前記電気プローブの先端部が、前記光半導体素子の電気信号端子と電気的に接続する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検査用接続装置。
【請求項6】
光信号を入力又は出力する光半導体素子の検査に使用する検査用接続装置の組み立て方法であって、
貫通孔をそれぞれ形成した第1のガイド板と第2のガイド板を準備し、
前記第1のガイド板の前記貫通孔を形成した領域と前記第2のガイド板の前記貫通孔を形成した領域の間が空間になるように、前記第1のガイド板と前記第2のガイド板を配置し、
前記第1のガイド板と前記第2のガイド板のそれぞれの前記貫通孔の中心軸の位置が一致した状態で、前記第1のガイド板と前記第2のガイド板のそれぞれの前記貫通孔に光プローブを貫通させ、
前記光プローブが前記貫通孔を貫通した状態で、前記貫通孔の半径方向に沿って前記第1のガイド板に対して相対的に前記第2のガイド板を移動し、前記光プローブを前記第1のガイド板と前記第2のガイド板の間の中空で前記半径方向に湾曲させ、
前記第1のガイド板および前記第2のガイド板のそれぞれの前記貫通孔の内壁面にて前記光プローブを挟持
し、
前記光半導体素子の検査において、前記光プローブの先端面と前記光半導体素子とは前記貫通孔の中心軸の方向において離隔して配置される
ことを特徴とする検査用接続装置の組み立て方法。
【請求項7】
前記貫通孔の中心軸方向に沿って前記第1のガイド板および前記第2のガイド板と離間して第3のガイド板を配置し、
前記第1のガイド板、前記第2のガイド板および前記第3のガイド板のそれぞれの前記貫通孔の中心軸の位置が一致した状態で、前記第1のガイド板、前記第2のガイド板および前記第3のガイド板のそれぞれの前記貫通孔に前記光プローブを貫通させ、
前記光プローブが前記貫通孔を貫通した状態で、前記第1のガイド板と前記第2のガイド板のうちの前記第3のガイド板に隣接するガイド板に対して相対的に前記第3のガイド板を移動し、
前記第1のガイド板、前記第2のガイド板および前記第3のガイド板のそれぞれの前記貫通孔の内壁面にて前記光プローブを挟持する
ことを特徴とする請求項6に記載の検査用接続装置の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体素子の特性の検査に使用する検査用接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体素子の特性をウェハ状態で検査するために、光半導体素子が出力する光信号を伝搬させる光プローブを有する検査用接続装置を用いて、光半導体素子と検査装置を接続することが有効である。光ファイバなどが光プローブとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光プローブを有する検査用接続装置では、光プローブの損傷や特性劣化などに応じて光プローブの交換が必要な場合がある。このため、光プローブの交換が容易な検査用接続装置が望まれている。更に、多数の光プローブを有する検査用接続装置の場合、光プローブの位置決めが容易であることが重要である。
【0005】
本発明は、光プローブの交換と位置決めが容易な検査用接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る検査用接続装置は、光プローブと、光プローブが貫通する貫通孔がそれぞれ形成された複数のガイド板が、貫通孔の中心軸方向に沿って互いに離間して配置されるプローブヘッドを備える。プローブヘッドは、第1のガイド板と、光プローブが貫通孔を貫通した状態で、貫通孔の半径方向に沿って第1のガイド板に対して相対的に移動自在に設置された第2のガイド板を有する。第1のガイド板の貫通孔を形成した領域と第2のガイド板の貫通孔を形成した領域の間が空間になるように、第1のガイド板と第2のガイド板を離隔して配置する。プローブヘッドは、第1のガイド板の貫通孔の中心軸の位置と第2のガイド板の貫通孔の中心軸の位置が半径方向に沿ってずれた状態で、第1のガイド板および第2のガイド板のそれぞれの貫通孔の内壁面にて光プローブを挟持する。光プローブは、第1のガイド板と第2のガイド板の間の中空で半径方向に湾曲した状態でプローブヘッドに保持され、光半導体素子の検査において、光プローブの先端面と光半導体素子とは貫通孔の中心軸の方向において離隔して配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光プローブの交換と位置決めが容易な検査用接続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の模式的な底面図である。
【
図4】光プローブと電気プローブの先端の位置を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る検査用接続装置のガイド板の配置を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の組み立て方法を説明するための模式的な工程図である(その1)。
【
図7】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の組み立て方法を説明するための模式的な工程図である(その2)。
【
図8】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の組み立て方法を説明するための模式的な工程図である(その3)。
【
図9】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の組み立て方法を説明するための模式的な工程図である(その4)。
【
図10】本発明の実施形態に係る検査用接続装置による光半導体装置の測定方法を示す模式的な平面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る検査用接続装置による光半導体装置の測定方法を示す模式的な側面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る検査用接続装置による他の光半導体装置の測定方法を示す模式的な平面図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の他の組み立て方法を説明するための模式的な工程図である(その1)。
【
図14】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の他の組み立て方法を説明するための模式的な工程図である(その2)。
【
図15】本発明の実施形態の変形例に係る検査用接続装置のガイド板の配置を示す模式図である。
【
図16】検査対象の光半導体素子の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0010】
図1に示す本発明の実施形態に係る検査用接続装置は、光信号を出力する光半導体素子の検査に使用される。光半導体素子は、特に限定されるものではないが、例えば垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)などである。
【0011】
なお、下方とは、光半導体素子を検査する際に、検査用接続装置に対して光半導体素子が位置する方向を示す。以下、下方の面を下面と示す。すなわち、下方の面は、光半導体素子を検査する際に、光半導体素子に対向する。上方とは、下方の反対方向を示す。以下、上方の面を上面と示す。
【0012】
図1に示す検査用接続装置は、光プローブ100と、光プローブ100が貫通する貫通孔がそれぞれ形成され、貫通孔の中心軸方向に沿って互いに離間して配置された複数のガイド板を有するプローブヘッド1を備える。プローブヘッド1は、第1のガイド板21と、光プローブ100が貫通孔を貫通した状態で、貫通孔の半径方向に沿って第1のガイド板21に対して相対的に移動自在に設置された第2のガイド板22を有する。
【0013】
図1に示すプローブヘッド1は、基板10の下面に第1のガイド板21が配置され、基板10の上面に第2のガイド板22が配置されている。第1のガイド板21および第2のガイド板22は、例えば、貫通孔が精密加工により形成されたセラミック板である。基板10は、例えば金属板である。
【0014】
図1では、基板10の厚み方向をZ軸方向としている。また、Z軸方向に垂直な平面をXY平面として、
図1の紙面の左右方向をX軸方向、紙面に垂直な方向をY軸方向としている。
【0015】
図1で図示を省略している検査対象の光半導体素子は、Z軸方向に沿って第1のガイド板21の下方に配置される。以下において、光半導体素子と対向する第1のガイド板21を「ボトム板」、第2のガイド板22を「トップ板」とも称する。光半導体素子は、光信号端子や電気信号端子の形成された表面を、検査用接続装置の下面に対向して配置される。
【0016】
光プローブ100の一方の先端面(以下、「入射端面」という。)は、第1のガイド板21の下方に露出している。入射端面は光半導体素子に対向して配置され、光プローブ100は、光半導体素子が出力する光信号を入射端面で受光する。光プローブ100には、光ファイバや、光ファイバとレンズを組み合わせた構成などを採用可能である。例えば、グレーデッドインデックス型(GI型)光ファイバを利用して光プローブ100を製造する。
【0017】
第1のガイド板21と第2のガイド板22の間の光プローブ100が通過する領域は、中空である。つまり、基板10は、第1のガイド板21と第2のガイド板22の間に空間を設けるスペーサとしても機能している。
【0018】
光プローブ100は、第2のガイド板22を貫通した後に、第2のガイド板22の上方でXY平面に沿って湾曲する。そして、光プローブ100は、第1のガイド板21や第2のガイド板22よりも光半導体素子から離れた部分で、光プローブ保持装置50により保持される。光プローブ保持装置50は、下部保持装置51と上部保持装置52を有する。下部保持装置51の上面に設けられた溝の内部に、光プローブ100を配置する。そして、下部保持装置51の上方に上部保持装置52を配置する。これにより、光プローブ保持装置50は、下部保持装置51と上部保持装置52により光プローブ100を挟んで保持する。
【0019】
光プローブ100の他方の先端部には、光コネクタ110が接続している。光コネクタ110を介して、光プローブ100を伝搬した光信号が、テスタなどの検査装置に入力する。なお、検査用接続装置に光電変換装置を配置し、光プローブ100を伝搬した光信号を光電変換装置によって光電変換してもよい。変換した電気信号が、検査装置に入力する。
【0020】
図1に示す検査用接続装置は、電気プローブ300と、電気プローブ300を保持する電気プローブ保持装置40を更に備える。電気プローブ300は、光半導体素子の電気信号端子と電気的に接続する。電気プローブ300は、基板10に配置した電気プローブ保持装置40に、樹脂材45によって固定される。
【0021】
電気プローブ300の一方の端部(以下、「先端部」と称する。)は、検査用接続装置の下方に露出する。電気プローブ300の先端部は、光半導体素子の電気信号端子と電気的に接続する。
【0022】
電気プローブ300の他方の端部(以下、「基端部」と称する。)は、検査用接続装置に配置した配線基板30の第1接続端子31と電気的に接続する。電気プローブ300の基端部と第1接続端子31は、例えば半田付けにより接続する。配線基板30は、配線基板30に配置した配線(図示略)により第1接続端子31と電気的に接続する第2接続端子32を有する。第2接続端子32は、電気配線310と接続する。電気配線310には、例えば金属などの導電性のワイヤを使用してもよい。
【0023】
このように、電気プローブ300は、配線基板30を介して、電気配線310と電気的に接続する。電気配線310は、例えばテスタなどの検査装置と接続する。電気プローブ300には、カンチレバータイプ、垂直ニードルタイプ、垂直スプリングタイプなど、任意のタイプの電気プローブを使用できる。
図1では、電気プローブ300にカンチレバータイプを使用した例を示した。電気プローブ300の材料には、金属材などの導電性材料が好適に使用される。
【0024】
第1のガイド板21は、固定ネジ301によって基板10に固定する。第2のガイド板22は、固定ネジ302によって基板10に固定する。配線基板30は、固定ネジ303によって基板10に固定する。電気プローブ保持装置40は、固定ネジ304によって基板10に固定する。下部保持装置51は、固定ネジ305によって基板10に固定する。上部保持装置52は、固定ネジ306によって下部保持装置51に固定する。固定ネジ301~固定ネジ306を総称して「固定ネジ」とも称する。固定ネジには、例えばネジピンなどを使用してもよい。
【0025】
図2に、検査用接続装置の底面図を示す。
図1は、
図2のI-I方向に沿った断面図である。なお、底面図では樹脂材45の図示を省略している。
【0026】
図2に示すように、検査用接続装置は、複数の光プローブ100と複数の電気プローブ300を有する。
図2では、複数の光プローブ100と複数の電気プローブ300を、それぞれY軸方向に沿って配列した場合を示している。このため、検査用接続装置は、Y軸方向に沿って配列した複数の光半導体素子を同時に検査することが可能である。そのために、光プローブ100と電気プローブ300を、プローブヘッド1に所定の位置精度で配置する。ここで、「所定の位置精度で配置する」とは、必要な測定精度が得られるように、光プローブ100が光半導体素子の光信号端子と光学的に接続し、電気プローブ300が光半導体素子の電気信号端子と電気的に接続することである。
【0027】
光プローブ100および電気プローブ300と光半導体素子との位置合わせは、プローブヘッド1に配置したアライメントマーク60を、光半導体素子を配置した半導体基板のアライメントマークと合わせこむことにより行う。アライメントマーク60は、ピンタイプであってもよいし、ホールタイプであってもよい。
【0028】
図3及び
図4に示すように、電気プローブ300の先端部は、光プローブ100の入射端面の近傍に配置される。例えば、検査装置が出力した電気信号を、電気プローブ300を介して光半導体素子に入力することにより、光半導体素子が通電する。光半導体素子がVCSELである場合は、電気プローブ300によってVCSELの上面に配置された電気信号端子に電気信号を印加することにより、通電したVCSELが光信号を出力する。この光信号を、光プローブ100が受光する。
【0029】
図3に示すように、電気プローブ300は樹脂材45によって光プローブ保持装置50に固定される。樹脂材45を除去することにより、電気プローブ300を1本単位で交換することができる。また、配線基板30はプローブヘッド1に脱着可能である。このため、電気プローブ300を接続した状態で配線基板30を交換することも可能である。
【0030】
図5に示すように、光プローブ100を保持した状態のプローブヘッド1では、同一の光プローブ100が貫通する第1のガイド板21の貫通孔の中心軸の位置と第2のガイド板22の貫通孔の中心軸の位置は、Y軸方向にずらして配置されている。このように貫通孔の中心軸の位置をずらしたガイド板の配置を、以下において「オフセット配置」と称する。オフセット配置により、第1のガイド板21と第2のガイド板22の中間で、光プローブ100は湾曲する。なお、第1のガイド板21の貫通孔の中心軸の位置と第2のガイド板22の貫通孔の中心軸の位置が一致していることを、以下において、「第1のガイド板21と第2のガイド板22の貫通孔の位置が一致している」とも称する。
【0031】
上記のように、プローブヘッド1は、第1のガイド板21の貫通孔の中心軸の位置と第2のガイド板22の貫通孔の中心軸の位置が貫通孔の半径方向に沿ってずれた状態で、光プローブ100を保持する。このため、プローブヘッド1は、第1のガイド板21および第2のガイド板22の貫通孔の内壁面にて光プローブ100を挟持する。これにより、光プローブ100は、第1のガイド板21および第2のガイド板22から受ける一定の強度により、プローブヘッド1に保持される。
【0032】
プローブヘッド1を有する検査用接続装置では、第1のガイド板21により、光プローブ100のX軸方向およびY軸方向の位置決めがなされる。また、第1のガイド板21および第2のガイド板22と光プローブ100との間に働く摩擦力により、光プローブ100が一定の強度でプローブヘッド1に保持される。これにより、光プローブ100のZ軸方向の位置決めがなされる。
【0033】
更に、光プローブ保持装置50により、光プローブ100がより強く保持される。すなわち、下部保持装置51と上部保持装置52により上下から受ける押圧により、光プローブ100が固定される。このため、例えば、光コネクタ110が接続された端部からの引っ張り力に対して、光プローブ100の位置を安定させることができる。
【0034】
上記のように、光プローブ100は、オフセット配置よって第1のガイド板21および第2のガイド板22の貫通孔の内壁面にて挟持されている。また、光プローブ保持装置50は、下部保持装置51と上部保持装置52により光プローブ100を挟持する。第1のガイド板21および第2のガイド板22を基板10に固定ネジで固定し、下部保持装置51と上部保持装置52を固定ネジで固定している。このため、固定ネジを緩めることにより、オフセット配置を解消してガイド板の貫通孔の位置を一致させ、かつ、下部保持装置51と上部保持装置52の間を広げることできる。この状態で、光プローブ100を容易に抜き取ったり挿入したりできる。したがって、
図1に示した検査用接続装置によれば、光プローブ100を1本ずつ容易に交換することが可能である。
【0035】
以下に、オフセット配置を採用する検査用接続装置の組み立て方法の例を説明する。
【0036】
貫通孔をそれぞれ形成した第1のガイド板21と第2のガイド板22を準備する。例えば、基板10の下面に第1のガイド板21を配置し、基板10の上面に第2のガイド板22を配置する。第1のガイド板21の貫通孔を形成した領域と第2のガイド板22の貫通孔を形成した領域の間が空間になるように、基板10をスペーサとして使用する。そして、第1のガイド板21と第2のガイド板22の貫通孔の位置が一致した状態で、第1のガイド板21の貫通孔と第2のガイド板22の貫通孔に光プローブ100を順に貫通させる。
【0037】
このとき、
図6に示すように、第1のガイド板21と第2のガイド板22の貫通孔の位置が一致した状態において、第1のガイド板21から基板10を貫通して第2のガイド板22まで連続して形成した第1ガイド穴410に棒状ガイドピン401を挿入しておく。第1のガイド板21と第2のガイド板22の貫通孔の位置が一致した状態で、第1ガイド穴410の中心軸は、第1のガイド板21から第2のガイド板22まで直線状である。第1ガイド穴410に棒状ガイドピン401を挿入することにより、第1のガイド板21と第2のガイド板22の位置が安定する。このため、第1のガイド板21と第2のガイド板22の貫通孔に光プローブ100を貫通させる作業が容易である。
【0038】
その後、光プローブ100が貫通孔を貫通した状態で、貫通孔の半径方向に沿って第1のガイド板21に対して相対的に第2のガイド板22を移動する。このようにしてオフセット配置を実行することにより、第1のガイド板21および第2のガイド板22の貫通孔の内壁面にて光プローブ100を挟持する。例えば、第1のガイド板21の位置を固定し、第2のガイド板22をY軸方向に移動させる。
【0039】
このとき、
図7に示すように、光プローブ100が第1のガイド板21と第2のガイド板22の貫通孔を貫通した状態で、第1ガイド穴410から棒状ガイドピン401を抜き取り、固定ネジ302を緩める。そして、
図8に示すように、第1のガイド板21に対して、矢印M10の方向に第2のガイド板22を移動する。その後、
図9に示すように、オフセット配置において、第1のガイド板21から基板10を介して第2のガイド板22まで連続して形成した第2ガイド穴420に棒状ガイドピン401を挿入する。第2ガイド穴420は、オフセット配置において、第2ガイド穴420の中心軸が第1のガイド板21から第2のガイド板22まで直線状であるように形成されている。そして、固定ネジ302を締めることにより、第2のガイド板22を基板10に固定する。第1のガイド板21と第2のガイド板22の位置を固定した後に、棒状ガイドピン401をプローブヘッド1から抜き取ってもよい。
【0040】
以上の工程により、検査用接続装置のオフセット配置を実現できる。その後、光プローブ保持装置50を基板10に取り付け、光プローブ100を光プローブ保持装置50に固定する。また、電気プローブ300を接続した配線基板30を基板10に取り付ける。そして、配線基板30に電気配線310を接続する。
【0041】
図10および
図11に、検査用接続装置により光半導体素子500を検査する例を示す。光半導体素子500は、光信号端子510と電気信号端子520が表面に配置されたVCSELである。
図10に示すように、複数の光半導体素子500がY軸方向に沿ってウェハ600に配置されている。一つの光半導体素子500について、光プローブ100と電気プローブ300を対で配置する。すなわち、光プローブ100が貫通するガイド板の貫通孔200と電気プローブ300の先端部をそれぞれY軸方向に配列する。
【0042】
このように、光プローブ100と電気プローブ300を含むプローブユニットを構成してもよい。プローブユニットは、ウェハ600に形成された光半導体素子500の配置に対応して配置する。
図10に示した例では、プローブユニットをY軸方向に沿って配列することにより、複数の光半導体素子500について同時に検査が可能である。
【0043】
図11に示すように、光半導体素子500の検査では、光プローブ100の入射端面が光信号端子510と光学的に接続し、電気プローブ300の先端部が電気信号端子520と電気的に接続する。電気プローブ300の先端部が所定の押圧で電気信号端子520と接触するように、電気プローブ300を光半導体素子500に押し付けるようにオーバードライブを印加してもよい。光プローブ100の入射端面と光信号端子510との間の作動距離WDは、光プローブ100の入射端面の位置と電気プローブの先端部の位置とのZ軸方向に沿った差やオーバードライブ量を考慮して、一定の範囲に制御する。
【0044】
光半導体素子500の検査では、電気プローブ300を介して電気信号端子520に電気信号を入力して、光半導体素子500を通電する。そして、光半導体素子500の光信号端子510から出力される光信号Lを、光プローブ100が受光する。
【0045】
なお、
図10では、一つのプローブユニットを構成する光プローブ100と電気プローブ300の本数が1本ずつである場合を例示的に示した。しかし、プローブユニットに含まれる光プローブ100と電気プローブ300の本数は、光半導体素子の構成や測定内容に応じて任意に設定する。例えば、
図12に示すように、通電用の電気プローブ300Sとグランド用の電気プローブ300Gをペアにしてプローブユニットを構成してもよい。電気プローブ300Sは、光半導体素子500の電気信号端子520と電気的に接続する。電気プローブ300Gは、光半導体素子500のGND端子530と電気的に接続する。このように、1本の光プローブ100に対して、通電用の電気プローブ300Sとグランド用の電気プローブ300Gの2本の電気プローブ300を配置したプローブユニットを構成してもよい。
【0046】
以上に説明したように、実施形態に係る検査用接続装置では、オフセット配置により第1のガイド板21と第2のガイド板22が光プローブ100を挟持することにより、プローブヘッド1が光プローブ100を保持する。このため、光プローブ100を1本ずつ容易に交換することができる。なお、X軸方向とY軸方向については、第1のガイド板21により光プローブ100の位置決めがされる。また、Z軸方向については、オフセット配置により光プローブ100の位置決めがされる。このように、実施形態に係る検査用接続装置によれば、複数の光プローブ100の位置決めを同時に実行でき、かつ、光プローブ100の位置決めが容易である。
【0047】
オフセット配置を実現するためには、種々の方法が可能である。例えば、
図6~
図9を参照して説明した方法以外の方法として、
図13~
図14を参照して他の方法を説明する。
【0048】
図13に示すように、第1挿入孔431を形成した第1のガイド板21と、第2挿入孔432を形成した第2のガイド板22を準備する。第1挿入孔431のY軸方向の幅は、第2挿入孔432のY軸方向の幅よりも広い。そして、第1のガイド板21と第2のガイド板22の貫通孔200の位置が一致した状態において、第1挿入孔431と第2挿入孔432の位置がずれている。このずれの距離は、オフセット配置における第2のガイド板22を移動させる距離に対応する。第2のガイド板22から第1のガイド板21まで貫通する固定ネジ403により、第1のガイド板21と第2のガイド板22の相対的な位置は固定されている。
【0049】
図13で矢印M21に示すように、固定ネジ403を抜き取る。そして、矢印M22に示すように、楔状ガイドピン402を第1のガイド板21から第2のガイド板22まで挿入する。楔状ガイドピン402は、Y軸方向について上辺が下辺よりも狭い楔形状である。つまり、楔状ガイドピン402は、第2のガイド板22に挿入される部分の幅が、第1のガイド板21に挿入される部分の幅よりも狭い。そして、第2挿入孔432の内壁面は、楔状ガイドピン402の形状に対応して下側に広がる斜面である。このため、楔状ガイドピン402がZ軸方向に沿って第2挿入孔432に挿入されるにしたがって、
図14に矢印M23で示すように、第2のガイド板22がY軸方向に移動する。
図14に示すように楔状ガイドピン402が所定の位置までガイド板に挿入されると、第1のガイド板21と第2のガイド板22とはオフセット配置になる。その後、矢印M24に示すように、固定ネジ403を第2のガイド板22から第1のガイド板21まで挿入し、第1のガイド板21に対して第2のガイド板22を固定する。第2のガイド板22を固定した後に、楔状ガイドピン402をガイド板から抜いてもよい。
【0050】
なお、オフセット配置の前後において固定ネジ403を第2のガイド板22に挿入できるように、第2のガイド板22の固定ネジ403を挿入するネジ穴は、Y軸方向に固定ネジ403の幅よりも長く形成しておく。或いは、オフセット配置の前に第1のガイド板21と第2のガイド板22で中心軸が一致する第1のネジ穴と、オフセット配置の後に第1のガイド板21と第2のガイド板22で中心軸が一致する第2のネジ穴を設けてもよい。そして、オフセット配置の前後で異なるネジ穴に固定ネジ403を挿入する。
【0051】
<変形例>
上記では、プローブヘッド1が2枚のガイド板を有する場合を説明した。しかし、プローブヘッド1のガイド板の枚数は2枚に限定されない。例えば、プローブヘッド1が、貫通孔の中心軸方向に沿って第1のガイド板21および第2のガイド板22と離間して配置された第3のガイド板を更に備えてもよい。第3のガイド板は、光プローブ100が貫通孔を貫通した状態で、貫通孔の半径方向に沿って第1のガイド板21および第2のガイド板22の少なくともいずれかに対して相対的に移動自在に設置される。そして、第1のガイド板21と第2のガイド板22のうちの第3のガイド板に隣接するガイド板の貫通孔の中心軸の位置と、第3のガイド板の貫通孔の中心軸の位置が、貫通孔の半径方向に沿ってずれた状態で、プローブヘッド1が、光プローブ100を保持してもよい。
【0052】
例えば、
図15に示すように、プローブヘッド1が、第2のガイド板22の上方に配置した第3のガイド板23を有してもよい。
図15に示すプローブヘッド1では、第1のガイド板21と第2のガイド板22をオフセット配置するだけでなく、第2のガイド板22と第3のガイド板23をオフセット配置している。2つのオフセット配置により、プローブヘッド1が光プローブ100を保持する力を増強することができる。なお、ガイド板の枚数を増やしても、オフセット配置を解消してすべてのガイド板の貫通孔の位置を一致させることにより、光プローブ100を容易に交換できる。
【0053】
なお、複数のオフセット配置を実現するには、
図6~
図9や
図13~
図14を参照して説明した方法を採用すればよい。例えば、貫通孔の中心軸方向に沿って第1のガイド板21および第2のガイド板22と離間して第3のガイド板23を配置する。そして、第1のガイド板21の貫通孔の中心軸の位置、第2のガイド板22の貫通孔の中心軸の位置および第3のガイド板23の貫通孔の中心軸の位置を一致させる。この状態で、第1のガイド板21の貫通孔、第2のガイド板22の貫通孔および第3のガイド板23の貫通孔に、光プローブ100を順に貫通させる。そして、光プローブ100が貫通孔を貫通した状態で、貫通孔の半径方向に沿って第1のガイド板21および第3のガイド板23に対して相対的に第2のガイド板を移動する。或いは、第1のガイド板21に対して相対的に第2のガイド板を移動したのち、第2のガイド板22に対して相対的に第3のガイド板23を移動してもよい。これにより、第1のガイド板21、第2のガイド板22および第3のガイド板23の貫通孔の内壁面にて光プローブ100を挟持する。
【0054】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0055】
例えば、上記では、光プローブ100の光半導体素子に対向する入射端面に近い位置に配置された第1のガイド板21に対して、第2のガイド板22が移動自在である場合を説明した。しかし、第2のガイド板22の位置を固定し、第1のガイド板21を移動させてもよい。
【0056】
また、Y軸方向に沿って光プローブ100および電気プローブ300を配列した例を説明したが、X軸方向に沿って光プローブ100および電気プローブ300を配列してもよい。或いは、X軸方向およびY軸方向の両方向に沿って光プローブ100および電気プローブ300を配列してもよい。これにより、例えば
図16に示すように、ウェハ600にマトリクス状に配置した複数の光半導体素子500を、同時に検査することができる。
【0057】
また、配線基板30を介さずに、電気プローブ300の基端部を電気配線310と直接に接続してもよい。電気配線310に同軸配線を使用し、光半導体素子の高周波特性を検査できるようにしてもよい。
【0058】
なお、光プローブ100が、光半導体素子が出力する光信号を受光する例を説明したが、光プローブ100から光半導体素子に光信号を出力して行う検査にも、実施形態に係る検査用接続装置は使用できる。
【0059】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0060】
1…プローブヘッド
10…基板
21…第1のガイド板
22…第2のガイド板
23…第3のガイド板
30…配線基板
40…電気プローブ保持装置
45…樹脂材
50…光プローブ保持装置
51…下部保持装置
52…上部保持装置
100…光プローブ
300…電気プローブ
310…電気配線
401…棒状ガイドピン
402…楔状ガイドピン
403…固定ネジ