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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】発炎筒代替発光装置の設置撤去方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/559 20160101AFI20240423BHJP
【FI】
E01F9/559
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020159953
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053240
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 真男
(72)【発明者】
【氏名】相本 正幸
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-97435(JP,A)
【文献】実開平6-46015(JP,U)
【文献】特開2011-153503(JP,A)
【文献】特開2005-220650(JP,A)
【文献】特開2015-90820(JP,A)
【文献】登録実用新案第3110865(JP,U)
【文献】特開2019-90176(JP,A)
【文献】特開平8-165619(JP,A)
【文献】登録実用新案第3009980(JP,U)
【文献】特開2004-17707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/559
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路等の道路における路面に設置されて、道路を走行する車両の運転者に注意を喚起する発炎筒の代替品として用いられる発炎筒代替発光装置を、管理車両から路面に設置又は路面から撤去するための発炎筒代替発光装置の設置撤去方法であって、
前記発炎筒代替発光装置は、基盤部と、該基盤部の上面側に設置される、複数のLEDが取り付けられた光源部及びバッテリーを備える発光本体部と、走行中の車両のタイヤが乗越え可能な高さで前記発光本体部を覆って前記基盤部の上面側に取り付けられた、前記発光本体部を臨ませる透光窓部を備える防護カバー体とを含んで構成されており、
前記防護カバー体には、これの上面部に可撓性を備える環状被係止部が一体として設けられており、管理車両に乗車している作業員が、管理車両に乗車したまま、先端部にフック状係止部を備えるロッド状部材を操作して、該フック状係止部を前記防護カバー体の前記環状被係止部に着脱可能に係止しながら、各々の前記発炎筒代替発光装置を路面に設置又は路面から撤去する発炎筒代替発光装置の設置撤去方法。
【請求項2】
前記環状被係止部が、可撓性を備える帯状部材を用いて形成されている請求項1記載の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法。
【請求項3】
前記環状被係止部が、前記防護カバー体の上面部に取り付けられた、面状ファスナーを構成する雄側ファスナー及び雌側ファスナーの何れか一方に、何れか他方が取り付けられた可撓性を備えるループ状部材を、着脱可能に係着することによって形成されている請求項1又は2記載の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法。
【請求項4】
前記ロッド状部材における先端部の前記フック状係止部とは反対側の部分に、リストバンドが連結されており、作業員は、該リストバンドを腕に装着した状態で、前記発炎筒代替発光装置を前記管理車両から路面に設置又は路面から撤去する請求項1~3のいずれか1項記載の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法。
【請求項5】
作業員は、前記管理車両の窓から前記ロッド状部材を操作して、前記発炎筒代替発光装置を路面に設置又は路面から撤去する請求項1~4のいずれか1項記載の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発炎筒代替発光装置の設置撤去方法に関し、特に、発炎筒代替発光装置を、管理車両から路面に設置又は路面から撤去するための発炎筒代替発光装置の設置撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の道路においては、例えば交通事故の事故後の処理を行なったり、道路の補修工事や清掃作業を行なったりする際に、走行中の車両の運転者に対して、これらの事故後の処理や補修工事等を行っていることへの注意を喚起する方法として、好ましくは作業用の黄パトと呼ばれる管理車両に乗車したパトロール隊員が、発炎筒を路面に設置して注意喚起を促す方法が一般に採用されている。発炎筒は、走行中の車両の安全を確保するために、事故現場や作業現場の例えば数百m~数km手前の区間に、所定の間隔をおいて複数設置されて、例えば赤い炎の発炎によって走行中の車両に危険を知らせると共に、事故現場や作業現場に進入しないように、予め告知できるようにする機能を備えている。
【0003】
また、発炎筒は、例えば作業用の管理車両に乗車した作業員が、素早く発火させた状態で路面に設置できるように、例えばキャップをひねって引き抜くことにより点火させるといった、一挙動の点火方式を採用したり、例えば発炎による光が昼間では600m以上、夜間では2km以上先から確認できるようにするために、好ましくは200カンデラ以上の光度を確保できるようにしたり、例えば風速が18m/sec程度、雨量が50mm/h程度の環境下でも正常に燃焼できるようにしたりする工夫がなされている。
【0004】
さらに、発炎筒は、突風等によって転がったリ横ズレしたりすることがあり、発火した炎による沿道火災の恐れがあると共に、例えば事故現場においてガソリンやオイル等が漏れていると、使用できないことから、発炎筒の代替品として、火を使用しない発炎筒(例えば、特許文献1参照)や、乾電池による非常信号灯(例えば、特許文献2参照)も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-123477号公報
【文献】実用新案登録第3110865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の発炎筒や発炎筒の代替品では、路面に安定した状態で設置することが難しく、例えば振動や風によって横ズレや転がりを生じ易い、不安定な状態で路面に設置されるようになっていると共に、走行する車両に踏まれた場合には、炎が消えたり、破損したり、跳ね上って他の車両に影響を及ぼしたりすることが考えられる。
【0007】
このようなことから、本願出願人は、発火させることなく用いることができると共に、安定した状態で迅速に路面に設置することができ、また走行する車両によって踏まれた場合でも、破損したり跳ね上って他の車両に影響を及ぼしたりするのを効果的に回避することのできる、発炎筒代替発光装置を開発している(例えば、特願2020-75682参照)。
【0008】
一方、これらの発炎筒や発炎筒の代替品では、作業員が管理車両から道路に降りて、手に持った発炎筒や発炎筒の代替品を路面に設置したり、路面から撤去して回収する作業を行っていたことから、作業中に道路を走行する一般の車両に過度な影響を及ぼし易く、場合によっては作業員が走行中の車両と接触することにもなり兼ねない。
【0009】
本発明は、道路を走行する一般の車両に過度な影響を及ぼすことなく、作業員が、発炎筒の代替品をスムーズに路面に設置したり、スムーズに路面から撤去したりすることのできる発炎筒代替発光装置の設置撤去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高速道路等の道路における路面に設置されて、道路を走行する車両の運転者に注意を喚起する発炎筒の代替品として用いられる発炎筒代替発光装置を、管理車両から路面に設置又は路面から撤去するための発炎筒代替発光装置の設置撤去方法であって、前記発炎筒代替発光装置は、基盤部と、該基盤部の上面側に設置される、複数のLEDが取り付けられた光源部及びバッテリーを備える発光本体部と、走行中の車両のタイヤが乗越え可能な高さで前記発光本体部を覆って前記基盤部の上面側に取り付けられた、前記発光本体部を臨ませる透光窓部を備える防護カバー体とを含んで構成されており、前記防護カバー体には、これの上面部に可撓性を備える環状被係止部が一体として設けられており、管理車両に乗車している作業員が、管理車両に乗車したまま、先端部にフック状係止部を備えるロッド状部材を操作して、該フック状係止部を前記防護カバー体の前記環状被係止部に着脱可能に係止しながら、各々の前記発炎筒代替発光装置を路面に設置又は路面から撤去する発炎筒代替発光装置の設置撤去方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】
そして、本発明の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法は、前記環状被係止部が、可撓性を備える帯状部材を用いて形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法は、前記環状被係止部が、前記防護カバー体の上面部に取り付けられた、面状ファスナーを構成する雄側ファスナー及び雌側ファスナーの何れか一方に、何れか他方が取り付けられた可撓性を備えるループ状部材を、着脱可能に係着することによって形成されていることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法は、前記ロッド状部材における先端部の前記フック状係止部とは反対側の部分に、リストバンドが連結されており、作業員は、該リストバンドを腕に装着した状態で、前記発炎筒代替発光装置を前記管理車両から路面に設置又は路面から撤去するようになっていることが好ましい。
【0014】
さらにまた、本発明の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法は、作業員が、前記管理車両の窓から前記ロッド状部材を操作して、前記発炎筒代替発光装置を路面に設置又は路面から撤去するようになっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法によれば、道路を走行する一般の車両に過度な影響を及ぼすことなく、作業員が、発炎筒の代替品をスムーズに路面に設置したり、スムーズに路面から撤去したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る発炎筒代替発光装置の設置撤去方法に用いる発炎筒代替発光装置を例示する斜視図である。
図2】先端部にフック状係止部を備えるロッド状部材を例示する部分破断斜視図である。
図3図3(a)は、防護カバー体の天面部を透視した状態で示す発炎筒代替発光装置の部分透視平面図、図3(b)は、図3(a)をA方向から見た側面図、図3(b)は、図3(a)をB方向から見た側面図である。
図4】充電器を用いて発炎筒代替発光装置に充電している状態を説明する斜視図である。
図5】発炎筒代替発光装置の他の形態を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい一実施形態に係る発炎筒代替発光装置の設置撤去方法は、例えば、図1に示す発炎筒代替発光装置10を、高速道路等の道路における路面30(図3(b)、(c)参照)に設置したり、路面30から撤去したりするための方法として採用されたものである。図1に示す発炎筒代替発光装置10は、例えば交通量の少ない夜間に道路の補修工事を行なう際に、好ましくは補修工事の工事現場の数百m~数km手前の区間の路面30に、所定の間隔をおいて複数設置されて発光することにより、発炎筒の代替品として用いられる。また発炎筒代替発光装置10は、走行中の車両の運転者に注意を喚起することで、走行中の車両が作業現場に進入したりしないように、工事現場の存在を予め効果的に告知できるようにする機能を備えている。さらに、発炎筒代替発光装置10は、LED12(図3(a)、(c)参照)を光源として用いることで、発火することなく使用できるようになっていると共に、安定した状態で迅速に路面30に設置することができ、また走行する車両に踏まれた場合でも、破損したり跳ね上って他の車両に影響を及ぼすことになるのを、効果的に回避できるようになっている。発炎筒代替発光装置10は、本実施形態の設置撤去方法によって、道路を走行する一般の車両に過度な影響を及ぼすことなく、また作業員が走行中の車両と接触するのを回避しつつ、作業員による手作業によって、スムーズに路面30に設置したり、スムーズに路面30から撤去したりできるようになっている。
【0018】
そして、本実施形態の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法は、高速道路等の道路における路面30に設置されて、道路を走行する車両の運転者に注意を喚起する発炎筒の代替品として用いられる発炎筒代替発光装置10を、管理車両から路面30に設置又は路面から撤去するための設置撤去方法であって、発炎筒代替発光装置10は、図1及び図3(a)~(c)に示すように、基盤部11と、基盤部11の上面側に設置される、複数のLED12が取り付けられた光源部13及びバッテリー14を備える発光本体部15と、走行中の車両のタイヤが乗越え可能な高さで発光本体部15を覆って基盤部11の上面側に取り付けられた、発光本体部15を臨ませる透光窓部16aを備える防護カバー体16とを含んで構成されており、防護カバー体16には、これの上面部16eに可撓性を備える環状被係止部20が一体として設けられており、例えば黄パト等の管理車両(図示せず)に乗車している作業員が、管理車両に乗車したまま、例えば図2に示すような、先端部にフック状係止部22aを備えるロッド状部材22を操作して、フック状係止部22aを防護カバー体16の環状被係止部20に着脱可能に係止しながら、各々の発炎筒代替発光装置10を路面30に設置又は路面30から撤去するようになっている。
【0019】
また、本実施形態では、環状被係止部20は、可撓性を備える帯状部材21を用いて形成されている。
【0020】
本実施形態では、発炎筒代替発光装置10を構成する基盤部11は、図1及び図3(a)~(c)に示すように、発炎筒代替発光装置10の底面部を形成する部分となっており、好ましくは縦横が100~250mm程度(本実施形態では、例えば縦横198mm程度)の大きさの、4箇所の角部が面取りされた略正方形状の平面形状を備えている。基盤部11は、車両として例えば5トントラックが当該発炎筒代替発光装置10を踏んだ際の緩衝効果や、路面からの地熱による影響の緩和効果等を鑑みて、適度な可撓性や弾性を備える材質として、例えばNBR(Nitrile Butadiene Rubber)やウレタン等による成形品となっている。基盤部11の上面側には、後述する防護カバー体16が、内側に発光本体部15を取り付けた状態で、傾斜脚部16cの下端面を当該基盤部11の上面に接合することによって、一体として取り付けられている。
【0021】
発炎筒代替発光装置10を構成する発光本体部15は、本実施形態では、後述する防護カバー体16により覆われるようにしてこれの内側に配置された状態で、基盤部11の上面側に設置されている(図3(a)、(b)参照)。発光本体部15は、例えば特開2019-90176号公報に記載の路面案内灯装置を構成する、点滅照明部の透光カバー体や光源部と同様の材質や部品からなる、透光カバー15aや、複数のLED12が取り付けられた光源部13を備えている他、中央部分のバッテリ-収容ボックス15bに、充電可能なバッテリー14を着脱可能に装着して、内蔵できるようになっている。
【0022】
発光本体部15に内蔵された子充電器としてのバッテリー14は、例えば作業用の管理車両である黄パト(図示せず)に設けられた、走行中に充電される親充電器24(図4参照)に、好ましくは充電分配モジュールを介してワンタッチで接続されることによって、適宜充電され、光源部13のLED12に電力を供給することにより、例えば3時間以上、発光本体部15を発光させることができるようになっている。
【0023】
発光本体部15は、光源部13のLED12として、例えば高輝度の弾丸型の複数の赤色LED(6cd)と複数の緑色LED(18cd)とを使用することによって、好ましくは200カンデラ以上の光度の、炎の色に近い赤色で、発光できるようになっている。また発光本体部15は、LED12による光源部13を、透光カバー15aを介して防護カバー体16の周囲の透光窓部16aに臨ませることによって(図3(a)参照)、好ましくは200カンデラ以上の光度の赤色の光を、設置された箇所の周囲に向けて発光させることができるようになっている。
【0024】
発炎筒代替発光装置10を構成する防護カバー体16は、本実施形態では、好ましくはアルミウムによる金属製のダイキャスト製品や、又はポリプロピレン製のプラスチック製品となっており、図3(a)~(c)に示すように、四方に張り出した4箇所の傾斜脚部16cにおける、対角状に設けられた各一対の傾斜脚部16cの先端辺部の間の間隔幅が、略正方形状の基盤部11の対角方向の長さと同様の大きさとなる平面形状を備えるように形成されている。防護カバー体16は、四方の角部が円弧形状に面取りされた略正方形状の天面部16b(図1参照)と、天面部16bの四方の角部分から上面が外側に向けて斜め下方に延設する、傾斜脚部16cとを含んで構成されている。防護カバー体16は、傾斜脚部16cの下端面を基盤部11の上面に接合して基盤部11に取り付けられた際に、略正方形状の天面部16bが、走行中の車両のタイヤが乗越え可能な高さとして、路面30から例えば50mm以下程度(本実施形態では、34mm程度)の高さに配置されるように成形されている。
【0025】
また、防護カバー体16の4箇所の傾斜脚部16cにおける、各隣接する傾斜脚部16cの天面部16bへの接続基端部の間の部分には、四方に向けて各々開口する開口部16a,16dが、4箇所に形成されている。これらの4箇所の開口部16a,16dのうちの3箇所を、透光窓部16aとして、発光本体部15のLED12による光源部13や透光カバー15aが、臨んで配置されるようになっている。残りの1箇所を装着開口16dとして、この装着開口16dを介して、発光本体部15の中央部分のバッテリ-収容ボックス15bに、バッテリー14を嵌め込むようにして装着することで、バッテリー14を発光本体部15に着脱可能に内蔵できるようになっている。
【0026】
そして、本実施形態では、防護カバー体16の天面部16bや傾斜脚部16cによる上面部16eに、可撓性を備える環状被係止部20が、可撓性を有する帯状部材21を用いて形成されて、これらの上方に一体として設けられている。すなわち、帯状部材21は、例えば保形性を備えるシート状の織布、不織布、形状記憶合金等からなり、例えば防護カバー体16の天面部16bの対角方向の長さよりも長く形成されていて、好ましくはこれの両側の端部を、対角方向にある一対の傾斜脚部16cにおける天面部16bへの接続基端部分に、接着剤や溶着等を介して接合することによって、防護カバー体16の上面部16eから、当該上面部16eを底辺部とするループ状に立設させて、ロッド状部材22のフック状係止部22a(図2参照)を着脱可能に係止させる、環状被係止部20を形成する。また、帯状部材21による環状被係止部20は、例えば防護カバー体16の天面部16bとの間に好ましくは50mm程度の間隔を保持して立設していることで、ロッド状部材22のフック状係止部22aを容易に着脱させることができるようになっていると共に、可撓性を備えていることで、例えば走行中の車両のタイヤが防護カバー体16を乗越える際に、押し潰されるように変形して、車両の通過を阻害しないようになっており、さらに保形性を備えていることで、車両が通過した後に、元の立設する形状にスムーズに復帰できるようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、発炎筒代替発光装置10の基盤部11の下方に重ねるよう配置されて、ゴム製板部17が一体として設けられている。ゴム製板部17は、公知のゴム製品として、好ましくはNBR(Nitrile Butadiene Rubber)製の2~10mm程度の厚さの板部材となっており、また基盤部11と同様の平面形状を備えている。ゴム製板部17の下面側には、好ましくは粘着剤が塗布されており、発炎筒代替発光装置10は、ゴム製板部17が粘着剤18を介して路面30に粘着された状態で、路面30に設置されるようになっている。これによって、発炎筒代替発光装置10が、発炎筒の代替物として路面30の所定の位置に設置された際に、例えば走行時の車両による路面30の振動や風によって、横ズレや転がりを生ないようにして、より容易に且つ安定した状態で、発炎筒代替発光装置10を路面30の所定の位置に設置できるようになっている。
【0028】
上述のような構成を備える発炎筒代替発光装置10は、全体として、例えば0.5~2kg程度(本実施形態では、1.1kg程度)の重量を備えるものとなっている。
【0029】
本実施形態では、発炎筒代替発光装置10の防護カバー体16に設けられた環状被係止部20を、フック状係止部22aに着脱可能に係止させるロッド状部材22は、好ましくは図2に示すように、両側の端部を曲折加工した金属製や合成樹脂製の鍵形の棒状部材となっている。ロッド状部材22は、管理車両に乗車した作業員が、乗車したまま、好ましくは当該管理車両の窓から、発炎筒代替発光装置10の環状被係止部20にフック状係止部22aを係止したり、係止状態を解除したりする作業を容易に行うことが可能な長さとして、例えば90~130cm程度の長さを備えると共に、先端部にフック状係止部22aが設けられている。フック状係止部22aは、係止した帯状部材21による環状被係止部20が容易には外れないように、安定した状態で係止可能にすると共に、係止状態をスムーズに解除できるように、先端部を浅いコの字形状となるように折り曲げることによって形成されている。
【0030】
また、ロッド状部材22における、先端部のフック状係止部22aとは反対側の部分である他端部には、例えば環状に曲折された取手部22bが形成されており、管理車両に乗車した作業員は、この取手部22bを把持して、好ましくは管理車両の窓から、発炎筒代替発光装置10を路面30に設置したり、路面30から撤去したりする作業を行うことができるようになっている。
【0031】
さらに、本実施形態では、ロッド状部材22における先端部のフック状係止部22aとは反対側の部分に、リストバンド22cが連結されている。作業員は、このリストバンド22cを腕に装着した状態で、発炎筒代替発光装置10を管理車両から路面30に設置したり、或いは路面30から撤去する作業を行なえるようになっており、これによって、作業中にロッド状部材22を不用意に路面30に落としてしまうことになるのを、効果的に回避することが可能なる。
【0032】
そして、本実施形態の発炎筒代替発光装置の設置撤去方法では、例えば作業用の管理車両である黄パトに乗車した、作業員であるパトロール隊員が、図4に示すように親充電器24によってバッテリー14が充電された発炎筒代替発光装置10を、例えば親充電器24から取り外すだけの簡単な操作によって発光させると共に、ロッド状部材22のフック状係止部22aに、発炎筒代替発光装置10の環状被係止部20に係止した状態で、パトロール隊員が、好ましくは管理車両の窓を介して、管理車両に乗車したままの状態でロッド状部材22を操作するだけの簡単な作業によって、発炎筒代替発光装置10を路面の所定の位置に位置決めすると共に、係止状態を解除することによって、発炎筒代替発光装置10を路面の所定の位置に容易に設置して据え付けることが可能になる。路面30の所定の位置に据え付けられた発炎筒代替発光装置10は、発光本体部15が相当の強度を有する防護カバー体16によって覆われているので、走行する車両によって踏まれた場合でも、破損することなく、所定の光度の光を周囲に発光させる機能を、強固に保持することが可能なる。また発炎筒代替発光装置10は、好ましくはゴム材料によるゴム製板部17や基盤部11を介して、路面30に接触しているので、これらの摩擦力や接地面積によって、横ズレや転がりを生じさせることなく、且つ走行する車両が踏んだ際の緩衝効果を発揮しつつ、安定した状態で路面30に設置することが可能になる。
【0033】
一方、所定の位置に設置した発炎筒代替発光装置10を撤去する際には、パトロール隊員が、好ましくは管理車両の窓を介して、管理車両に乗車したままの状態でロッド状部材22を操作して、ロッド状部材22のフック状係止部22aを、路面30における所定の位置に設置された発炎筒代替発光装置10の環状被係止部20に係止させ、係止させた発炎筒代替発光装置10を管理車両の中に取り込むことによって、路面30から発炎筒代替発光装置10を容易に撤去することが可能になる。管理車両の中に取り込まれた発炎筒代替発光装置10は、ロッド状部材22のフック状係止部22aの環状被係止部20への係止状態を開放した後に、親充電器24に接続されて、バッテリー14への充電が、再度開始されることになる。
【0034】
これらによって、本実施形態の筒代替発光装置の設置撤去方法によれば、管理車両に乗車したまま作業を行うことで、道路を走行する一般の車両に過度な影響を及ぼすことなく、作業員が、発炎筒の代替品をスムーズに路面に設置したり、スムーズに路面から撤去したりすることが可能になる。
【0035】
図5は、本実施形態の筒代替発光装置の設置撤去方法に用いる発炎筒代替発光装置25の他の形態を提示するものである。なお、図5に示す他の形態の発炎筒代替発光装置25に関して、上記の発炎筒代替発光装置10と異なる構成部分について主として説明し、同様の構成部分については同一の符号を付して説明を省略している。特に言及しない構成部分については、上記の発炎筒代替発光装置10に関する説明が適宜適用される。図5に示す他の形態の発炎筒代替発光装置25では、防護カバー体16の上面部16eに一体として設けられた可撓性及び保形性を備える環状被係止部20’が、面状ファスナー26を構成する雄側ファスナー26a及び雌側ファスナー26bの何れか一方に、何れか他方が取り付けられた可撓性及び保形性を備えるループ状部材27を、着脱可能に係着することによって形成されている。
【0036】
すなわち、図5に示す他の形態の発炎筒代替発光装置25では、雌側ファスナー26bが、防護カバー体16の天面部16bによる上面部16eに、貼り付けるようにして取り付けられており、雌側ファスナー26bに、上面側に可撓性及び保形性を備えるループ状部材27が取付けられた雄側ファスナー26aを係着させることによって、ループ状部材27による環状被係止部20’が、防護カバー体16の上面部16eに一体として設けられることになる。
【0037】
図5に示す他の形態の発炎筒代替発光装置25を用いた場合でも、管理車両に乗車したままの作業によって、作業員が、ロッド状部材22のフック状係止部22aをループ状部材27による環状被係止部20’に係止したり、係止状態を開放したりする操作を行うことで、上述と同様の作用効果が奏される。また、図5に示す他の形態の発炎筒代替発光装置25の場合、管理車両において、ループ状部材27による環状被係止部20’を防護カバー体16から取り外すことができるので、複数の発炎筒代替発光装置25を複数の親充電器24に各々取り付けて、同時に充填させる場合に、場所をとらないコンパクトな状態で、充電を行うことが可能になる。
【0038】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、防護カバー体の上面部に一体として設けられる環状被係止部は、帯状部材やループ状部材を用いて形成されるものである必要は必ずしも無く、ロッド状部材のフック状係止部を係止させることが可能な、好ましくは可撓性及び保形性を備えるその他の種々の部材からなるものであっても良い。
【符号の説明】
【0039】
10,25 発炎筒代替発光装置
11 基盤部
12 LED
13 光源部
14 バッテリー
15 発光本体部
15a 透光カバー
15b バッテリ-収容ボックス
16 防護カバー体
16a 透光窓部(開口部)
16b 天面部
16c 傾斜脚部
16d 装着開口(開口部)
16e 上面部
17 ゴム製板部
20,20’ 環状被係止部
21 帯状部材
22 ロッド状部材
22a フック状係止部
24 親充電器
26 面状ファスナー
26a 雄側ファスナー
26b 雌側ファスナー
27 ループ状部材
30 路面
図1
図2
図3
図4
図5