(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21L 4/00 20060101AFI20240423BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240423BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240423BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240423BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240423BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240423BHJP
【FI】
F21L4/00 400
F21V23/00 140
H05B45/10
H05B47/105
H05B47/155
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020179190
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】外山 一人
(72)【発明者】
【氏名】工藤 敏男
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-001401(JP,U)
【文献】特開2008-047407(JP,A)
【文献】特開2010-287403(JP,A)
【文献】実開昭59-041801(JP,U)
【文献】特開2008-047376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 4/00
F21V 23/00
H05B 45/10
H05B 47/105
H05B 47/155
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向を集中的に照らすための第1照明部と、周囲を照らすための第2照明部と、使用者により把持されるグリップ部と、電池パックを取り付けるための取付部とを備え、前記取付部に取り付けた電池パックの底面を載置面に面接触させることで、起立姿勢をとる照明装置であって、
前記第1照明部および前記第2照明部の点灯を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1照明部の点灯中に、前記電池パックの電池電圧が所定値を下回ると、前記第1照明部の光量を低減し又は前記第1照明部を消灯して、
電池電圧が低下したことを使用者に知らしめるために前記第2照明部を
所定回数点滅させる、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電池パックの電池電圧が所定値を下回ると、前記第1照明部および前記第2照明部による消費電力を低減するように、前記第1照明部および前記第2照明部の点灯を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2照明部を点滅させた後、点滅させたときの光量よりも低い光量で点灯させる、
ことを特徴とする請求項
1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2照明部を最大光量で点滅させる、
ことを特徴とする請求項
1から3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電池パックの電池電圧が所定値を下回ってから、所定時間が経過すると、前記第2照明部を消灯する、
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記第2照明部の光源から照射される光を蓄える蓄光部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つの照明部を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、特定の箇所を明るく照明する第1ランプと、広い範囲を照明する第2ランプとを具備したトーチライトを開示する。当該トーチライトにおいて、照射部基部が、グリップの端部に設けられた回動軸の回りに回動可能な状態で装着されて、第1ランプが照射部基部に設けられる。また当該トーチライトにおいて、照射部基部に、細長い照射部先端部が装着されて、第2ランプが照射部先端部に設けられる。
【0003】
特許文献2は、電池パックからの入力電圧が減光開始電圧以下になったときに、光源部の減光を開始するように光源部への出力電圧を調整する照明器具を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-185454号公報
【文献】特開2013-191304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外光が入らない建築現場では、作業者が配線などの作業を行う際、作業箇所を照らす照明装置が使用される。このような暗闇の環境で使用される照明装置は、作業箇所を照らすだけでなく、たとえば作業道具や荷物を置いている場所も同時に照らせることが好ましい。特許文献1に開示されたトーチライトは、第1ランプおよび第2ランプを備えているが、2つのランプの相対的な位置関係が固定されているため、目的とする異なる2つの箇所を同時に照らすことは難しい。また第2ランプがグリップに対して向かい合う位置に存在するため、第2ランプでトーチライトの周辺を照らすと、グリップが影を作る不具合がある。
【0006】
従来、特許文献2に開示されるように、電池パックの電池電圧が低下すると、光源部の点灯を制御して、消費電力を下げることが行われている。しかしながら2つの照明部を備えた照明装置における電池電圧低下時の点灯制御については、これまで検討されていない。
【0007】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、2つの照明部を備えた、使用者にとって使い勝手のよい照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、所定の方向を集中的に照らすための第1照明部と、周囲を照らすための第2照明部と、使用者により把持されるグリップ部と、電池パックを取り付けるための取付部とを備え、取付部に取り付けた電池パックの底面を載置面に面接触させることで、起立姿勢をとる照明装置に関する。当該照明装置は、第1照明部および第2照明部の点灯を制御する制御部をさらに備える。制御部は、第1照明部の点灯中に、電池パックの電池電圧が所定値を下回ると、第1照明部の光量を低減し又は第1照明部を消灯して、第2照明部を点灯する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、またはコンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、使用者にとって使い勝手のよい照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は照明装置の正面図であり、(b)は照明装置の背面図である。
【
図2】(a)は照明装置の左側面図であり、(b)は照明装置の右側面図である。
【
図3】(a)は照明装置の斜視図であり、(b)は照明装置の本体部から電池パックを取り外した状態の斜視図である。
【
図4】複数のチップLEDの配置例を示す図である。
【
図5】(a)および(b)は、第1軸線回りに第1照明部を回転した状態を示す図である。
【
図6】(a)および(b)は、第2軸線回りに第1照明部を回転した状態を示す図である。
【
図7】点灯制御を行うための機能ブロックを示す図である。
【
図8】電池電圧低下時の点灯制御の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態の照明装置の構成および機能を説明する。
図1(a)は、照明装置の正面図を示し、
図1(b)は、照明装置の背面図を示す。
図2(a)は、照明装置の左側面図を示し、
図2(b)は、照明装置の右側面図を示す。
図3(a)は、照明装置の斜視図を示し、
図3(b)は、照明装置の本体部から電池パックを取り外した状態の斜視図を示す。実施形態において照明装置1における前後方向は、第2照明部14が設けられた側を前側、使用者により把持されるグリップ部16が設けられた側を後ろ側として定義される。
【0013】
照明装置1は、本体部10と、第1照明部12と、第1照明部12と本体部10とを相対的な姿勢変化可能に連結する調整機構40とを備える。本体部10は、基部20と、基部20の前端側から立設される柱部22と、基部20の後端側から立設されるグリップ部16と、柱部22の上端およびグリップ部16の上端を接続する接続部24を備える。グリップ部16の下方、具体的に基部20の裏面には、電池パック2を取り付けるための取付部18が設けられる。
【0014】
電池パック2は二次電池を内蔵し、上面に、基部20の取付部18に着脱可能な装着部3を備える。電池パック2の装着部3は、基部20の裏面に設けられた取付部18に機械的に取り付けられる。電池パック2の装着部3と、基部20の取付部18は、係合した状態で相対的にスライドされることで互いに取り付けられてよい。また電池パック2の装着部3と、基部20の取付部18は、嵌合した状態で対面する方向に押し込まれることで互いに取り付けられてよい。
【0015】
図示するように、照明装置1は、取付部18に取り付けた電池パック2の底面を載置面に面接触させることで、起立姿勢をとることができる。ここで載置面は、水平面に実質的に平行な面であり、たとえば建築現場における床や作業台であってよい。実施形態の照明装置1は、電池パック2の底面を下にして載置面に起立した状態で、第1照明部12を点灯して、配線作業などを行う作業箇所を明るく照らし、また第2照明部14を点灯して、照明装置1の周辺に置かれた作業道具や荷物を照らす態様で使用される。別の態様として照明装置1は、作業者がグリップ部16を把持した状態で使用されてもよい。
【0016】
第1照明部12は、所定の方向を集中的に照らすためのLED(light emitting diode)スポットライトを構成するヘッド12aと、ヘッド12aを支持するベース12bとを有する。LEDスポットライトは、単灯型のLEDモジュールと、LEDモジュールの出射光を外部に向けて反射する反射鏡を有する。反射鏡は、アルミニウムや、樹脂に蒸着された金属膜により形成されてよい。第1照明部12は、暗闇の環境において、たとえば20m先の作業箇所を明るく照らせるように、高い光量で発光するLEDモジュールを有することが好ましい。実施形態の第1照明部12は、最大光量約1500ルーメンで発光するLEDモジュールを搭載する。ヘッド12aの内部に設けられたLEDモジュールおよび反射鏡は、光を透過する透光カバー12cにより覆われる。
【0017】
ベース12bには、LEDモジュールを冷却するためのヒートシンクと、冷却ファンとが設けられる。冷却ファンは、LEDモジュールの点灯時に作動するように制御される。
【0018】
第2照明部14は、照明装置1の周囲を照らすための複数のチップLEDを有する。複数のチップLEDは、照明装置1の前方を向いた状態で取付面14cに配置され、透光ケース14aにより覆われる。第2照明部14は、暗闇の環境において照明装置1の周囲に置いた作業道具などを作業者が認識できるような明るさで発光する。そのため第2照明部14が発光する最大光量は、第1照明部12の最大光量よりも低くてよく、たとえば最大光量を約500ルーメンとしてよい。
【0019】
図4は、第2照明部14が搭載する複数のチップLEDの配置例を示す。複数のチップLED14bが、前方を向いた平坦な取付面14cに複数列に配置され、この例では、上下方向に10個のチップLED14bを等間隔に並べたチップ列が2つ設けられている。各チップLED14bは、たとえば120度の照射角度を有してよい。実施形態では全てのチップLED14bによる最大光量が約500ルーメンに設定されており、したがって各チップLED14bの最大光量は、約25ルーメンである。
【0020】
第2照明部14を小型のチップLED14bで構成することで、第2照明部14における発熱量を低減できる。そのため第2照明部14を冷却するための冷却ファンを設ける必要がなく、照明装置1の軽量化および小型化に寄与する。複数のチップLED14bが取り付けられた取付面14cは、光を透過する透光ケース14aによって覆われる。透光ケース14aは、チップLED14bの照射光を拡散する役割を有し、第2照明部14は、その前方の水平角度約180度を照らすことができる。
【0021】
照明装置1において、第1照明部12は、グリップ部16の上方に設けられ、第2照明部14は、グリップ部16の前方に設けられる。この配置により、第1照明部12および第2照明部14の照明方向は、グリップ部16が存在しない方向に向けられ、第1照明部12および第2照明部14の出射光がグリップ部16を照らすことはない。そのため第1照明部12および第2照明部14の点灯中に、グリップ部16が影を作ることがなく、必要な箇所を効果的に照らすことができる。
【0022】
照明装置1において、第1照明部12と第2照明部14の間に、第1照明部12と第2照明部14の相対的な姿勢を変化させる可動部が設けられる。第1照明部12と第2照明部14の間に可動部を設けることで、第1照明部12の照明方向と第2照明部14の照明方向とを独立に設定できるようになる。
【0023】
照明装置1において、第2照明部14とグリップ部16との相対的な位置関係は固定されており、一方、第1照明部12とグリップ部16との相対的な位置関係は、可動部により可変とされる。このため使用者は、グリップ部16を基準として、第1照明部12の照明方向を自在に定めることができる。
【0024】
実施形態において可動部は、本体部10に対して、第1照明部12による照明方向を調整するための調整機構40を含む。照明装置1を起立させた状態で、調整機構40により第1照明部12による照明方向を調整することで、第1照明部12のスポット照明光を、所望の箇所に当てることができる。
【0025】
調整機構40は、第1照明部12を第1軸回りに回転可能とする第1回転機構42と、第1軸とは異なる第2軸回りに第1照明部12を回転可能とする第2回転機構44を有する。照明装置1が起立姿勢にある場合に、第1回転機構42は、第1照明部12を鉛直方向の第1軸回りに回転可能とし、第2回転機構44は、第1照明部12を水平方向の第2軸回りに回転可能とする。
【0026】
具体的に第1回転機構42は、第1照明部12を支持する支持部材46を、本体部10に対して第1軸線42aの回りに回転可能とする。また第2回転機構44は、第1照明部12を、支持部材46に対して第2軸線44aの回りに回転可能とする。第1軸線42a回りの回転および第2軸線44a回りの回転には回転抵抗が作用して、所定以上の力が回転方向に付加されたときに、第1軸線42a回りおよび第2軸線44a回りの回転が行われ、力の付加を解除すると、そのときの姿勢が保たれることが好ましい。これにより第1軸線42a回りおよび第2軸線44a回りの回転角度を、所望の値に設定することが可能となる。
【0027】
実施形態において第1回転機構42は、接続部24の後ろ側で、本体部10に対して支持部材46を回転可能に支持する。
図2(a)または
図2(b)を参照して、第1照明部12と本体部10とを回転可能に連結する第1回転機構42における第1軸は、鉛直方向において電池パック2の上に存在する。また第2回転機構44は、ヘッド12aが前方側に位置するように、ベース12bを第2軸回りに回転可能に支持する。この構造により、照明装置1が起立姿勢を安定して維持できるようになる。
【0028】
図5(a)および
図5(b)は、第1回転機構42の第1軸線42a回りに第1照明部12を回転した状態を示す。照明装置1が起立した状態で、第1照明部12は、鉛直方向の第1軸線42a回りに回転可能とされる。実施形態の第1回転機構42は、正面方向を基準として、第1照明部12の照明方向を左右に最大90度回転できる。
【0029】
図6(a)および
図6(b)は、第2回転機構44の第2軸線44a回りに第1照明部12を回転した状態を示す。照明装置1が起立した状態で、第1照明部12は、水平方向の第2軸線44a回りに回転可能とされる。実施形態の第2回転機構44は、水平方向を基準として、第1照明部12の照明方向を上向きに最大90度、下向きに最大20度回転できる。
【0030】
照明装置1において、本体部10の側面に、給電用のUSBコネクタ30が設けられる。USBコネクタ30は、他の電子機器をUSBケーブルでつないで、当該電子機器を電池パック2の電力で充電するために利用される。USBコネクタ30は、第2照明部14が設けられる柱部22の側面に設けられてよい。第2照明部14の近傍にUSBコネクタ30を設けることで、使用者が、第2照明部14の照明によりUSBコネクタ30の位置を容易に認識できる。
【0031】
またグリップ部16の上方に、第1照明部12および/または第2照明部14の光量を調整するための明るさ調整ダイヤル28が設けられる。実施形態では、グリップ部16の上端に連接する接続部24の背面に回転式の明るさ調整ダイヤル28が設けられており、使用者はグリップ部16を把持したまま、明るさ調整ダイヤル28を親指で操作できる。実施形態で明るさ調整ダイヤル28は、第1照明部12および第2照明部14の双方の光量割合(最大光量に対する割合)を同時に設定するために使用され、それぞれの光量は、最大光量の10%から100%の間で調整可能である。
【0032】
グリップ部16の前面には、第1照明部12および第2照明部14の点灯モードを切り替えるための操作スイッチ26が設けられる。操作スイッチ26は、押下式スイッチであり、使用者はグリップ部16を把持したまま、操作スイッチ26を人差し指で操作できる。
【0033】
実施形態の照明装置1においては、第1照明部12および第2照明部14の点灯モードが複数用意されており、操作スイッチ26が操作されることにより、第1照明部12および第2照明部14の点灯状態がサイクリックに変化する。
【0034】
図7は、第1照明部12および第2照明部14の点灯制御を行うための機能ブロックを示す。制御部50は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0035】
制御部50は、明るさ調整ダイヤル28で設定された最大光量に対する割合(光量割合)で、第1照明部12および第2照明部14を点灯する。上記したように明るさ調整ダイヤル28により設定される光量割合は、最大光量の10%から100%の間の値となる。
【0036】
制御部50は、操作スイッチ26の操作に応じて、第1照明部12および第2照明部14を複数の点灯モードのいずれかで点灯制御する。複数の点灯モードは、第1照明部12を点灯して第2照明部14を消灯する点灯モードと、第1照明部12を消灯して第2照明部14を点灯する点灯モードを少なくとも含む。このように、第1照明部12および第2照明部14のいずれかを単独で点灯するモードを用意することで、必要な照明のみを利用できるようになる。
【0037】
実施形態の照明装置1は、以下の全消灯モードと複数の点灯モードを有する。
(全消灯モード)第1照明部12および第2照明部14ともに消灯
(第1点灯モード)第1照明部12のみ点灯
(第2点灯モード)第1照明部12および第2照明部14ともに点灯
(第3点灯モード)第2照明部14のみ点灯
【0038】
第1照明部12および第2照明部14がともに消灯しているとき(全消灯モード)、使用者が操作スイッチ26を操作すると、制御部50は、全消灯モードを、第1照明部12を点灯して第2照明部14を消灯する第1点灯モードに切り替える。第1点灯モードでは、第1照明部12のみが点灯し、使用者は、スポット照明光を遠くの特定の箇所に当てることができる。第1点灯モードにおいて、制御部50は、冷却ファン48を作動して、第1照明部12を冷却する。
【0039】
第1点灯モードの設定時に操作スイッチ26が操作されると、制御部50は、第1点灯モードを、第1照明部12および第2照明部14を点灯する第2点灯モードに切り替える。第2点灯モードにおいても第1照明部12が点灯するため、使用者は、スポット照明光を遠くの特定の箇所に当てることができ、第2照明部14により照明装置1の周囲を照らすことができる。第2点灯モードにおいても、制御部50は、冷却ファン48を作動して、第1照明部12を冷却する。
【0040】
第2点灯モードの設定時に操作スイッチ26が操作されると、制御部50は、第2点灯モードを、第1照明部12を消灯して第2照明部14を点灯する第3点灯モードに切り替える。第3点灯モードにおいても第2照明部14が点灯するため、照明装置1の周囲を明るく保つことができる。
【0041】
第3点灯モードの設定時に操作スイッチ26が操作されると、制御部50は、第3点灯モードを、全消灯モードに切り替える。実施形態では、連続する第1点灯モードおよび第2点灯モードで、第1照明部12が継続して点灯するようにし、連続する第2点灯モードおよび第3点灯モードで、第2照明部14が継続して点灯するようにする。このように点灯モードを切り替える順番を設定することで、点灯モードを切り替える度に、第1照明部12および第2照明部14が点灯と消灯を繰り返さずに済む利点がある。また点灯モードを切り替える度に、第1照明部12が点灯と消灯を繰り返さないため、冷却ファン48のオンオフを繰り返さなくてよい利点がある。
【0042】
実施形態の制御部50は、電池パック2の電池電圧に応じて、第1照明部12および第2照明部14の点灯を制御する機能も有する。以下の点灯制御では、第1照明部12が点灯していることを前提とし、つまり第1点灯モードまたは第2点灯モードのいずれかが設定されている。
【0043】
図8は、電池電圧低下時の点灯制御の手順を示すフローチャートである。電池電圧監視部52は、電池パック2の電池電圧が所定の閾値を下回るか監視する(S10)。所定の閾値は、たとえば定格電圧の90%~95%に設定されてよい。電池電圧が所定の閾値以上であれば(S10のY)、制御部50は、設定された点灯モードおよび光量割合に応じて第1照明部12および/または第2照明部14を点灯する。
【0044】
第1照明部12の点灯中に、電池電圧が所定の閾値を下回ると(S10のN)、制御部50は、第1照明部12および第2照明部14による消費電力を低減するように、第1照明部12および第2照明部14の点灯を制御する。
【0045】
具体的に、制御部50は、第1照明部12を消灯して、全体の消費電力を低減する(S12)。同時に制御部50は、第2照明部14を点灯して、完全消灯する事態を避ける。なお制御部50は、第1照明部12を消灯せず、その光量を低減することで、全体の消費電力を下げてもよい。
【0046】
上記したように、この点灯制御は、第1点灯モードまたは第2点灯モードにおいて実施される。第1点灯モードでは、第2照明部14は消灯されているため、制御部50は、第1照明部12の代わりに第2照明部14を点灯して、照明装置1の周辺の明るさを確保する。第2点灯モードでは、第2照明部14は既に点灯されているため、制御部50は、引き続き第2照明部14の点灯を維持して、照明装置1の周辺の明るさを確保する。
【0047】
制御部50は、第1照明部12の消灯または減灯の直後または同時に、第2照明部14を所定回数点滅させてよい(S14)。制御部50が第2照明部14を点滅させることで、使用者は、電池電圧が下がったことを原因として、第1照明部12が消灯または減灯されたことを認識できる。この点滅は、たとえば3回程度実施されてよい。なお電池電圧が低下したことを使用者に知らしめるために、制御部50は、明るさ調整ダイヤル28により設定された光量割合に関係なく、最大光量で第2照明部14を点滅させてよい。これにより、使用者は、第2照明部14の点滅を確実に認識できるようになる。
【0048】
制御部50は、第2照明部14の点滅後、第2照明部14の光量を下げて、第2照明部14を所定時間点灯させる(S16)。つまり制御部50は、点滅させたときの光量よりも低い光量で、第2照明部14を所定時間点灯させる。この点灯時間は、使用者が電池パック2を交換する時間、ないしは使用者が明るい場所まで移動する時間を確保するための時間として設定され、たとえば10分間であってよい。この期間中、制御部50は、第2照明部14の光量を最低光量(10%)まで下げてよい。制御部50は、所定時間が経過すると、第2照明部14を消灯する(S18)。
【0049】
なお第2照明部14は、第2照明部14の光源から照射される光を蓄える蓄光部を備えてよい。たとえば蓄光部は、透光ケース14aの外側部分に設けられて、第2照明部14の消灯後も発光して、使用者に明かりを提供できることが好ましい。
【0050】
以上、本開示を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
本開示の態様の概要は、次の通りである。
本開示のある態様の照明装置(1)は、所定の方向を集中的に照らすための第1照明部(12)と、周囲を照らすための第2照明部(14)と、使用者により把持されるグリップ部(16)と、電池パック(2)を取り付けるための取付部(18)とを備え、取付部に取り付けた電池パックの底面を載置面に面接触させることで、起立姿勢をとる照明装置(1)であって、第1照明部(12)および第2照明部(14)の点灯を制御する制御部(50)をさらに備え、制御部(50)は、第1照明部(12)の点灯中に、電池パック(2)の電池電圧が所定値を下回ると、第1照明部(12)の光量を低減し又は第1照明部(12)を消灯して、第2照明部(14)を点灯する。
【0052】
制御部(50)は、電池パック(2)の電池電圧が所定値を下回ると、第1照明部(12)および第2照明部(14)による消費電力を低減するように、第1照明部(12)および第2照明部(14)の点灯を制御する。制御部(50)は、電池パック(2)の電池電圧が所定値を下回ると、第2照明部(14)を所定回数点滅させてよい。制御部(50)は、第2照明部(14)を点滅させた後、点滅させたときの光量よりも低い光量で点灯させてよい。制御部(50)は、第2照明部(14)を最大光量で点滅させてよい。制御部(50)は、電池パック(2)の電池電圧が所定値を下回ってから、所定時間が経過すると、第2照明部(14)を消灯してよい。照明装置(1)は、第2照明部(14)の光源から照射される光を蓄える蓄光部をさらに備えてよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・・照明装置、2・・・電池パック、3・・・装着部、10・・・本体部、12・・・第1照明部、12a・・・ヘッド、12b・・・ベース、12c・・・透光カバー、14・・・第2照明部、14a・・・透光ケース、14b・・・チップLED、14c・・・取付面、16・・・グリップ部、18・・・取付部、20・・・基部、22・・・柱部、24・・・接続部、26・・・操作スイッチ、28・・・明るさ調整ダイヤル、30・・・USBコネクタ、40・・・調整機構、42・・・第1回転機構、42a・・・第1軸線、44・・・第2回転機構、44a・・・第2軸線、46・・・支持部材、48・・・冷却ファン、50・・・制御部、52・・・電池電圧監視部。