(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】点鼻容器
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20240423BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61M11/00 D
A61J1/05 315D
(21)【出願番号】P 2020199230
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-168864(JP,A)
【文献】特開2020-033071(JP,A)
【文献】特開2013-039298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出器本体(4)の開口部(5)から点鼻用ノズル(7)を上方付勢状態で昇降可能に起立するとともに、当該点鼻用ノズル(7)の側面に押下げ片(8)が付設されており、かつ前記点鼻用ノズル(7)の昇降を規制するためのストッパ部材(10)を具備する点鼻容器であって、
前記ストッパ部材(10)は、
前記吐出器本体(4)の周囲へ装着するための基筒(12)と、
前記基筒(12)の上部から内方へ突設させた係合突部(14)と、
前記基筒(12)に開口された窓孔(22)内に回転可能に支承された回転体(26)と、
前記回転体(26)の内面に付設された係止部(28)と、
を備えており、
前記係合突部(14)の直下には、この係合突部(14)から一定の間隔をおいて、横リブ状の係止リブ(16)が前記基筒(12)の内面に付設されており、
前記係合突部(14)と前記係止リブ(16)との間に前記押下げ片(8)の径方向の外端部を挟持することにより、前記係止突部(14)
が前記押下げ片(8)とともに昇降するように連係されており、
前記回転体(26)は、前記係止部(28)が前記吐出器本体(4)の適所に設けた被係止部(B)へロック可能なロック位置と、前記係止部(28)が前記吐出器本体(4)から離れる非ロック位置との間を回動させることが可能に形成されており、
当該回転体(26)が非ロック位置にある状態では、前記基筒(12)を前記吐出器本体(4)に対して下降させることにより、前記係合突部(14)を介して前記押下げ片(8)を下降させることができ、前記回転体(26)がロック位置にあるときには、前記基筒(12)を前記吐出器本体(4)に対して下降させることができないように構成しており、
前記回転体(26)は、水平な回転軸(A)の回りで回転可能に形成されており、
前記回転体(26)から前記基筒(12)の径方向外側へ延びる操作部(30)を押し下げる操作により、前記回転軸(A)をロック位置から非ロック位置へ回転させること、及び、前記吐出器本体(4)に対して前記基筒(12)を下降させることが可能に形成したことを特徴とする、点鼻容器。
【請求項2】
前記係合突部(14)として、前記基筒(12)の全周に亘ってリング板を付設した
ことを特徴とする、請求項1
に記載の点鼻
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点鼻容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の点鼻容器として、口頸部を起立する容器体を備えるとともに、当該口頸部に装着された吐出器本体の開口部から押下げ片付きの点鼻用ノズルを上方付勢状態で昇降可能に起立してなるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の点鼻容器は、押下げ片を指で直接押し下げる構造となっているため、例えば不意に押下げ片に他物が当たることにより、無駄に内容物が吐出される可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、意図せずに内容物が吐出されることを防止できる点鼻容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、吐出器本体4の開口部5から点鼻用ノズル7を上方付勢状態で昇降可能に起立するとともに、当該点鼻用ノズル7の側面に押下げ片8が付設されており、かつ前記点鼻用ノズル7の昇降を規制するためのストッパ部材10を具備する点鼻容器であって、
前記ストッパ部材10は、
前記吐出器本体4の周囲へ装着するための基筒12と、
前記基筒12の上部から内方へ突設させた係合突部14と、
前記基筒12に開口された窓孔22内に回転可能に支承された回転体26と、
前記回転体26の内面に付設された係止部28と、
を備えており、
前記係合突部14の直下には、この係合突部14から一定の間隔をおいて、横リブ状の係止リブ16が前記基筒12の内面に付設されており、
前記係合突部14と前記係止リブ16との間に前記押下げ片8の径方向の外端部を挟持することにより、前記係止突部14が前記押下げ片8とともに昇降するように連係されており、
前記回転体26は、前記係止部28が前記吐出器本体4の適所に設けた被係止部Bへロック可能なロック位置と、前記係止部28が前記吐出器本体4から離れる非ロック位置との間を回動させることが可能に形成されており、
当該回転体26が非ロック位置にある状態では、前記基筒12を前記吐出器本体4に対して下降させることにより、前記係合突部14を介して前記押下げ片8を下降させることができ、前記回転体26がロック位置にあるときには、前記基筒12を前記吐出器本体4に対して下降させることができないように構成しており、
前記回転体26は、水平な回転軸Aの回りで回転可能に形成されており、
前記回転体26から前記基筒12の径方向外側へ延びる操作部30を押し下げる操作により、前記回転軸Aをロック位置から非ロック位置へ回転させること、及び、前記吐出器本体4に対して前記基筒12を下降させることが可能に形成した。
【0007】
本手段では、ストッパ部材10は、点鼻容器の吐出器本体4の周囲へ装着するための基筒12を備え、基筒の上部から係合突部14を内方へ突設させるとともに、基筒に開口された窓孔22内に回転体26を支承させ、回転体の内面に係止部28を付設している(
図1参照)。
前記回転体26は、前記係止部28が前記吐出器本体4の適所に設けた被係止部Bへロック可能なロック位置(
図4参照)と、前記係止部28が吐出器本体4から離れる非ロック位置(
図5(A)参照)との間を回動可能に形成されている。
そして回転体26が非ロック位置にある状態では、前記基筒12を吐出器本体4に対して下降させることにより、係合突部14で前記押下げ片8を下降させることができ、回転体26がロック位置にあるときには、基筒12を下降させることができない。
この構造によれば、回転体26を回動させることにより、点鼻容器の動作に対するストッパ機能を発揮させ、かつ解除することができる。
また本手段では、前記回転体26は、図2に示す水平な回転軸Aの回りで回転可能に形成されており、前記回転体26から延びる操作部30を押し下げる操作により、図5(A)に示す如く、前記回転軸Aをロック位置から非ロック位置へ回転させ、さらに図5(B)に示す如く、吐出器本体4に対して基筒12を下降させることが可能に形成したから、操作が簡単であり、使い勝手が良い。
【0010】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記係合突部14として、前記基筒12の全周に亘ってリング板を付設している。
【0011】
本手段では、
図2に示す如く、前記係合突部14として、前記基筒12の全周に亘ってリング板を付設している。この構造によれば、基筒12の構造が補強され、点鼻用ノズル7の押下げ片8を確実に下降させることができる。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段に係る発明によれば、吐出器本体4の周囲へ装着するための基筒12と、基筒12に開口された窓孔22内に回転可能に支承された回転体26とを備え、回転体26は、回転体26の内面に付設された係止部28が前記吐出器本体4の被係止部Bへロック可能なロック位置と、前記係止部28が吐出器本体4から離れる非ロック位置との間を回動可能に形成されており、回転体26が非ロック位置にある状態では、前記基筒12を吐出器本体4に対して下降させることにより、前記基筒12の上部から内方へ突設させた係合突部14を介して前記押下げ片8を下降させることができ、回転体26がロック位置にあるときには、基筒12を下降させることができないから、回転体26を回動させることにより、点鼻容器の動作に対するストッパ作用を発揮させることができる。
また第1の手段に係る発明によれば、前記回転体26は、水平な回転軸Aの回りで回転可能に形成されており、前記回転体26から延びる操作部30を押し下げる操作により、前記回転軸Aをロック位置から非ロック位置へ回転させ、かつ吐出器本体4に対して基筒12を下降させることが可能に形成したから、操作が簡単であり、使い勝手が良い。
第2の手段に係る発明によれば、前記係合突部14として、前記基筒12の全周に亘ってリング板を付設したから、基筒12の構造が補強され、点鼻用ノズル7の押下げ片8を確実に下降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るストッパ部材の一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図4】
図2のストッパ部材を備えた点鼻容器の側面図である。
【
図5】
図4の点鼻容器の作用説明図であり、同図(A)はストッパ部材の操作部を小さく押し下げて回転体を外方へ変位させた状態を示す図、同図(B)は、前記操作部を大きく押し下げてストッパ部材自体を吐出器本体に対して引き下げた状態を示す図である。
【
図6】
図4に示す点鼻容器からオーバーキャップ及びストッパ部材を取り外して、オーバーキャップだけを再装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から
図6は、本発明の実施形態に係るストッパ部材付きの点鼻容器を示している。
【0015】
点鼻容器は、本実施形態において、容器体2と、吐出器3と、ストッパ部材10と、オーバーキャップ9とを備える。
容器体2は、胴部2aから肩部2bを介して図示しない口頸部を起立している。
吐出器3は、前記口頸部に固定された吐出器本体4と、吐出器本体4に対して上方付勢状態で昇降可能な作動部材6とを備える。
前記吐出器本体4は、前記口頸部に装着された筒状の装着キャップ4aを有し、この装着キャップから容器体2内へ、図示しないシリンダを垂設するとともに、このシリンダの上部に、作動部材6の下半部の抜出しを防止するための抜止め筒4bが取り付けられている。この装着キャップ4aは、作動部材6の下半部の挿入口である開口部5を有する。
前記作動部材6は、前記吐出器本体4に対して上方付勢状態で昇降可能に組み付けられている。具体的には、前記作動部材6は、前記シリンダ内を摺動可能なピストン(図示せず)を有し、このピストンより上方へ起立するステム(図示せず)の上部に点鼻用ノズル7を付設している。
この点鼻用ノズルの側面には、押下げ片8が付設されている。図示例の押下げ片8は、環状の外向きフランジに形成されているが、その形状は適宜変更することができる。例えば押下げ片として、点鼻用ノズルから横方向反対側へ延びる一対の押下げ用アームを突設してもよい。
点鼻容器を使用するときには、容器体2の外面を把持して、点鼻用ノズル7を鼻孔内に挿入する。そして、この状態で、前記押下げ片8に下方へ押圧させればよい。本発明では押下げ片8の押圧操作を、後述のストッパ部材10を介して行う。これに関しては後述する。
そうするとシリンダ内の液体がステムを通って点鼻用ノズル7から鼻孔内に吐出される。点鼻作業が終わったら、鼻孔から点鼻用ノズル7を引き抜くとともに、前記押下げ片8の押し下げを開放すればよい。そうすると、作動部材6が上方へ移動して、シリンダの内部が負圧化されるので、容器体2内の液体がシリンダ内へ吸い上げられる。
【0016】
本実施形態では、
図4に示す如く、前記肩部2bは筒状に形成されている。
当該肩部2bの外周面には、第1抜止め用リブr1が付設(図示例では周設)されている。もっとも第1抜止め用リブは省略しても構わない。前記肩部の外周面は、後述のオーバーキャップ9を嵌合するための第1嵌合面部S1に形成されている。
なお、本明細書において、「嵌合面部」という用語は、肩部の外周面にリブが付設されている場合には、このリブを含む構造を指すものとする。
前記第1嵌合面部S1の上方から見た形状は円形であるが、適宜変更することができる。
また図示例では、前記胴部2aの上端と肩部2bとの間には上向きの段差部が設けられており、この段差部の上にオーバーキャップ9の下端部を載置できるように構成している。
【0017】
ストッパ部材10は、
図1に示すように、前記吐出器本体4の周囲へ昇降可能に配置された基筒12を具備するとともに、この基筒12に係合突部14及び回転体26を連設させている。
本実施形態では、基筒12の筒径方向の反対側の2箇所に一対の窓孔22を開口させ、この窓孔の孔縁に一対のジョイント部24を介して回転体26を回転可能に支承させている。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
なお、図示例では、前記回転体26は、基筒12を構成する筒壁の一部を、後述の切溝18で残りの筒壁部分から区画させた構造を基にして設計されている。
前記ストッパ部材10は、前記吐出器本体4に対して前記基筒12を下降させることで、前記係合突部14を介して前記点鼻用ノズル7の押下げ片8を下降させることができ、かつ、前記回転体26に付設された係止部28を、前記吐出器本体4の適所に配置された被係止部Bに対して着脱自在に係合させることにより、前記基筒12の下降を規制できるように構成されている。
【0018】
前記基筒12は、前記吐出器本体4を、遊嵌状態で包囲するカバー筒として形成されている。
前記基筒12は、実施形態では、
図4に示す如く、前記押下げ片8付近から胴部2aの上端部分までの範囲で点鼻容器の外面を覆っている。
図示例の基筒12は、
図1に示すように、大径の下方筒壁部12aの上端から内向きフランジ状壁部12bを介して小径の上方筒壁部12cを起立するように形成されている。
前記下半筒壁部12aと胴部2aとの間には、後述の如く、操作部30を押し下げて回転体30を回転させること(
図5(A)参照)が可能な程度の間隙gが設けられている。
また本実施形態では、前記基筒12の筒長方向の一部(図示例では上方筒壁部12c)の外面を、オーバーキャップ9を嵌合するための第2嵌合面部S2に形成している。
第2嵌合面部S2は、吐出器本体4にストッパ部材10を組み付けている状態で、オーバーキャップ9を嵌合させる箇所である。
前記第2嵌合面部S2と第1嵌合面部S1とは、上方から見て同一の形状(図示例では真円形)であり、かつ同一の寸法に形成されている。従って、同じオーバーキャップ9を、第1嵌合面部S1及び第2嵌合面部S2のどちらにも付け替えることができる。
なお、第1嵌合面部S1及び第2嵌合面部S2が同一形状でなくても、同じオーバーキャップ9に対して嵌合可能とさせることはできる。
また第2嵌合面部S2には、第2抜止め用リブr2が付設(図示例では周設)されているが、省略しても構わない。
【0019】
前記係合突部14は、本実施形態では、前記基筒12の上端部の全周に連結されており、当該連結部から基筒12の内方へ張り出すリング板として形成されている。
このように構成することにより、ストッパ部材の強度が向上する。
もっとも、前記係合突部14は、基筒12から内方へ延びており、前記押下げ片8を下降させることができれば、どのような構造でも構わない。例えば係合突部は、基筒12の周方向の複数箇所に設けていてもよく、基筒12の上端部以外の箇所に配置されていてもよい。
なお、係合突部の“係合”とは、前記押下げ片8に対して、当該押下げ片を吐出器本体4に対して下降させることが可能に連係していることをいい、どのような形態(例えば当接・嵌合など)で押下げ片に連係していてもよい。
また
、前記係合突部14の直下には、係合突部14から一定の間隔をおいて、
図1に点線で示すように、横リブ状の係止リブ16が基筒12の内面に付設されている。
そして、係合突部14と係止リブ16との間に前記押下げ片8の径方向の外端部を挟持できるように設けている。
【0020】
前記回転体26は、前記窓孔22内に回転可能に支承されており、回転体26の一部には、後述の係止部28が付設されている。
そして回転体26は、回転軸Aの回りで回転することで、前記係止部28が前記吐出器本体4の適所(図示例では開口部5)に形成された被係合部Bと係合するロック位置(
図4参照)と、係止部28が被係合部Bから離れる非ロック位置(
図5(A)参照)との間で変位することが可能に形成されている。係止部28については、ロック位置にある状態で、押下げ片8と吐出器本体4の上端部(装着キャップ4aや抜止め筒4b)との間に設けてあることが好ましい。
前記回転体26と、その回りの筒壁部分とは、回転軸Aに沿って配置された2個のジョイント部24とで連結されている
本実施形態では、基筒12の筒径方向の両側に一対の窓孔22を開口し、各窓孔にそれぞれ係止部28付きの回転体26を支承させている。こうすることで、吐出器本体4の径方向の二カ所をそれぞれ係止部28と係合させるので、ロック機能が向上する。
好適な図示例では、前記回転体26を回転壁部として形成しているが、その形状は適宜変更することができる。
また本実施形態では、回転壁部26の回転軸Aを水平方向へ配向するとともに、前記係止部28が回転軸Aより上側に配置され、かつ回転壁部26の外面から径方向外側へ指掛け用の操作部30を突設している。
こうすることにより、操作部30を下方へ押し下げる操作により、回転壁部26をロック位置から非ロック位置へ回転させる動きと、前記吐出器本体4に対して基筒12を下降させる動きとを連続して実現することができ、使い勝手がよい。
また回転壁部26の内面の適所(図示例では上端部)からは、係止部28が内方突出されている。
この係止部28は、回転壁部26がロック位置にある状態で、吐出器本体4の被係止部Bに係合(当接)するように形成されている。
なお、図示例では、前記開口部5を被係止部としているが、吐出器本体4の別の箇所を被係止部にしても構わない。
【0021】
本実施形態において、縦筒状の筒壁の周方向の一部に、ジョイント部24となる2箇所を除いて、略逆U字形の切溝18を穿設することで、窓孔22を開口させている。この構造では、前記切溝18の外側の縁部が、前記窓孔22の孔縁となる。
また当該切溝18により周囲から区画された壁部分をベースとして回転壁部26の構造を形成している。
前記切溝18の縦溝部19は、ジョイント部24をはさんで縦方向に連なる下側縦溝部19aと上側縦溝部19bとで形成されており、両縦溝部19の上端は、一本の横溝部20の両端で形成されている。
図示例では、横溝部20の幅(上下方向)を幅広に形成している。これは、
図5(A)に示すように、一対のジョイント部24を通る回転軸Aを中心として、回転壁部26が回転するときに、その回転壁部26が押下げ片8の下面の縁部に衝突しないようにするためである。
前記回転壁部26は、
図1に如く、下側垂直壁部26aの上端から内向きの水平壁部26bを介して上側垂直壁部26cを上方へ起立している。そして上側垂直壁部26cの上端側から上内方へ傾斜壁部26dを突設させるとともに、この補強壁部26eの上端から水平方向内側へ補強壁部26eが延設されている。
そして前記傾斜壁部26dの内面及び補強壁部26eの下面に連設させて、垂直板状の係止部28を付設している。
図示例では、
図3に示すように、回転壁部26の幅方向の三箇所(幅方向の中間部及び両側)にそれぞれ係止部28を設けている。もっとも係止部28の数は適宜変更することができ、例えば各回転壁部26に一つの係止部28を設けてもよい。
本例の係止部28は、基筒12の径方向内側に一定の巾を有する厚肉板に形成されているが、その構造は適宜変更することができる。
また図示例では、操作部30は、前記回転軸Aと同じ高さで基筒12の径方向外側へ突設した水平な指当て用板部としている。
【0022】
なお、
図1に示す如く、回転軸A及び操作部30は、回転体26の下端寄りに配置されている。このようにすることで、回転軸Aから回転体26の上端部までの距離を大きくとることができる。その結果として、操作部30を下方に僅かに押し込んだだけで係止部28が被係止部Bから大きく離脱するように構成することができる。
なお、操作部30を基筒12の下端寄りに配置することにより、手の小さな利用者でも操作し易くなる。
【0023】
オーバーキャップ9は、有頂の筒体であり、
図4に示すようにストッパ部材10を使用している状態では、前記基筒12の第2嵌合面部S2に嵌合させている。ストッパ部材10を外すときには吐出器本体4の第1嵌合面部S1に付け替えるとよい。これにより、点鼻容器から取り外したオーバーキャップを紛失するなどの不都合を回避できる。
【0024】
前記構成において、
図4の状態では、回転壁部26の係止部28が吐出器本体4の被係止部Bに係合している。この状態で、オーバーキャップ9を外し、例えば基筒12を把持して下方へ押しても、ロックがかかっているので、下降させることができない。
一対の操作部30の上面に指を押すと、
図5(A)に示す如く、まず回転壁部26が回転軸Aを中心として非ロック位置へ回転する。
これにより、前記係止部28が被係止部Bから外れる。
さらに一対の操作部30を下方への押込みを続けると、
図5(B)に示す如く、ストッパ部材10全体が吐出器本体4に対して下降する。
これにより、係合突部14を介して点鼻用ノズル7の押下げ片8が押し下げられ、内容液が点鼻用ノズル7から吐出する。
【符号の説明】
【0025】
2…容器体 2a…胴部 2b…肩部
3…吐出器 4…吐出器本体 4a…装着キャップ 4b…抜止め筒
5…開口部 6…作動部材 7…点鼻用ノズル 8…押下げ片
9…オーバーキャップ
10…ストッパ部材 12…基筒 12a…下方筒壁部 12b…フランジ状壁部
12c…上方筒壁部 14…係合突部(リング板) 16…係止リブ
18…切溝 19…縦溝部 19a…下側縦溝部
19b…上側縦溝部 20…横溝部 22…窓孔 24…ジョイント部
26…回転体(回転壁部) 26a…下側垂直壁部 26b…水平壁部
26c…上側垂直壁部 26d…傾斜壁部 26e…補強壁部
28…係止部 30…操作部(ハンドル)
A…回転軸 B…被係止部 g…隙間
r1…第1抜止め用リブ r2…第2抜止め用リブ
S1…第1嵌合面部 S2…第2嵌合面部