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特許7477449不正開封防止スリーブを有する継手を備える医療用コルゲートチューブシステム
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  • 特許-不正開封防止スリーブを有する継手を備える医療用コルゲートチューブシステム 図1
  • 特許-不正開封防止スリーブを有する継手を備える医療用コルゲートチューブシステム 図2
  • 特許-不正開封防止スリーブを有する継手を備える医療用コルゲートチューブシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】不正開封防止スリーブを有する継手を備える医療用コルゲートチューブシステム
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/26 20060101AFI20240423BHJP
   F16L 19/02 20060101ALI20240423BHJP
   F16L 35/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F16L33/26
F16L19/02
F16L35/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020539269
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019012635
(87)【国際公開番号】W WO2019143497
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】62/619,186
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520258183
【氏名又は名称】オメガ フレックス、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】リベスト、ディーン ダブル.
(72)【発明者】
【氏名】エルダー、デイヴィッド アール.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、アンドリュー
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0117226(US,A1)
【文献】特開2007-292281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0306448(US,A1)
【文献】米国特許第06428052(US,B1)
【文献】米国特許第05531695(US,A)
【文献】特開平04-307193(JP,A)
【文献】実開昭60-184488(JP,U)
【文献】特開2017-072254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0036207(US,A1)
【文献】特開2000-240867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/26
F16L 19/02
F16L 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
山部および谷部を有する金属のコルゲートチューブと共に使用するための継手であって、
前記チューブを受け入れるように構成されたナットと、
前記チューブの谷部に配置される、シール面を含むシール部材と、
前記ナットと係合するように構成される、アダプタシール面を含むアダプタと、
を備え、
組み立て時に、前記チューブは、前記アダプタシール面と前記シール面との間で圧縮され
後部のジャケットロックスリーブおよびジャケットロックをさらに備え、
前記ジャケットロックスリーブおよびジャケットロックは、前記ナットの内側に圧入され、
前記ジャケットロックは、前記チューブの外周側における波形の間の空間を埋めるジャケットと係合するように構成され、
前記ジャケットロックは、ジャケットロックテーパを含み、
前記ジャケットロックスリーブは、前記ジャケットロックを圧縮して前記ジャケットロックの直径を減少させるために前記ジャケットロックテーパと係合するように構成されるテーパ面を含む継手。
【請求項2】
前記チューブのダブルフレアは、前記アダプタシール面と、前記シール部材の前記シール面との間で圧縮される請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記アダプタシール面は湾曲している請求項1に記載の継手。
【請求項4】
前記アダプタは、ナット上のナット係合ねじと係合するアダプタ係合ねじを含む請求項1に記載の継手。
【請求項5】
前記アダプタは、前記ナットおよび前記アダプタを囲む不正開封防止スリーブとのしまりばめを提供する保持面を含む請求項1に記載の継手。
【請求項6】
前記不正開封防止スリーブは、第1内径および第2内径を含み、前記第1内径は前記第2内径よりも小さく、前記第1内径は前記アダプタの保持面に係合する請求項に記載の継手。
【請求項7】
前記ジャケットロックは、当該ジャケットロックの内面に少なくとも1つのジャケットロック溝を含む請求項に記載の継手。
【請求項8】
金属に固定される継手、山部および谷部を有するコルゲートチューブ、を含むチューブシステムであって、
前記継手は、
前記チューブの周りに配置されるナットと、
前記チューブの谷部に配置される、シール面を含むシール部材と、
前記ナットと係合する、アダプタシール面を含むアダプタと
含み、
前記チューブは、前記アダプタシール面および前記シール面との間で圧縮され
後部のジャケットロックスリーブおよびジャケットロックをさらに含み、
前記ジャケットロックスリーブおよびジャケットロックは、前記ナットの内側に圧入され、
前記ジャケットロックは、前記チューブの外周側における波形の間の空間を埋めるジャケットと係合するように構成され、
前記ジャケットロックは、ジャケットロックテーパを含み、
前記ジャケットロックスリーブは、前記ジャケットロックを圧縮して前記ジャケットロックの直径を減少させるために前記ジャケットロックテーパと係合するように構成されるテーパ面を含むチューブシステム。
【請求項9】
前記継手は、前記ナットおよび前記アダプタを囲む不正開封防止スリーブをさらに含む請求項8に記載のチューブシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療施設内の医療用配管は、伝統的に、NPFA99医療施設コードに準拠した銅管であった。医療施設は、病院、外来医療センタおよび外来診療所から、医院および歯科医院
診療所および歯科院、特別養護老人ホームおよび限定的な介護施設まで多岐にわたる。硬い銅管は、設置が困難な場合がある。
【発明の概要】
【0002】
本発明の実施形態は、従来のろう付けされた銅管に取って代わる医療用コルゲートチューブシステムで使用するための継手に関する。
【0003】
一実施形態では、山部および谷部を有する金属のコルゲートチューブと共に使用する継手は、チューブを受け入れるように構成されたナットと、チューブの谷間に配置される、シール面を含むシール部材と、ナットと係合するように構成される、アダプタシール面を含むアダプタと、ナットおよびアダプタを囲む不正開封防止スリーブと、を含み、組み立て時に、チューブはアダプタシール面とシール面との間で圧縮される。
【0004】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、チューブは、アダプタシール面とチューブの二重フレアからなるシール面との間で圧縮されてもよい。
【0005】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、アダプタシール面は湾曲していてもよい。
【0006】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、アダプタは、ナット上のナット係合ねじと係合するアダプタ係合ねじを含んでもよい。
【0007】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、アダプタは、不正開封防止スリーブとのしまりばめを提供する保持面を含んでもよい。
【0008】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、不正開封防止スリーブは第1内径および第2内径を含み、第1内径は第2内径よりも小さく、第1内径はアダプタの保持面と係合してもよい。
【0009】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、後部のジャケットロックスリーブおよびジャケットロックを含み、ジャケットロックはチューブのジャケットと係合するように構成されてもよい。
【0010】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、ジャケットロックは当該ジャケットロックの内周面に少なくとも1つのジャケットロック溝を含んでもよい。
【0011】
本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上に加え、あるいは代案として、さらなる実施形態においては、ジャケットロックはジャケットロックテーパを含み、ジャケットロックスリーブはジャケットロックを圧縮してジャケットロックの直径を減少させるためにジャケットロックテーパと係合するように構成されるテーパ面を含んでもよい。
【0012】
別の実施形態では、チューブシステムは、金属に固定される継手、山部および谷部を有するコルゲートチューブを含み、継手は、チューブの周りに配置されるナットと、チューブの谷部に配置される、シール面を含むシール部材と、ナットと係合する、アダプタシール面を含むアダプタと、ナットおよびアダプタを囲む不正開封防止スリーブと、チューブは、アダプタシール面およびシール面との間で圧縮される。
【0013】
本開示の実施形態の技術的効果には、不正開封防止構造を有する柔軟な配管ソリューションを提供する能力が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】医療用コルゲートチューブにスエージされた継手の斜視図である。
図2】医療用コルゲートチューブにスエージされた継手の断面図である。
図3】継手および医療用コルゲートチューブの分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および2を参照すると、チューブシステムは、医療用コルゲートチューブ7の端部に軸方向にスエージされた端部継手を含む。軸方向にスエージされた継手は、アダプタ1、割りリングセットの形をしたシール部材3、軸方向にスエージされたナット2、ジャケットロック4、後部の軸方向にスエージされたジャケットロックスリーブ5、および不正開封防止スリーブ6を含み、これらはすべて、例えば、真鍮またはステンレス鋼のような金属から製造される。既存の硬質の銅管は、アダプタ1のポケット25に受け入れられ(図1)、例えばろう付けによってアダプタ1に固定される。シール部材3は、コレットなどの割りリングセット以外の構成要素を使用して実装されてもよい。医療用コルゲートチューブ7は、例えば、銅合金またはステンレス鋼などの金属から製造されるコルゲートプライマリチューブを含み、コルゲートプライマリチューブは波形の間の空間を埋める非金属のジャケットで覆われ、それによってジャケットがプライマリコルゲートチューブに機械的に取り付けられている。ジャケットは、チューブと共押出成形される。
【0016】
アダプタ1は、医療用コルゲートチューブ7と係合し、プライマリシールを形成することによって、一端の波形とともに金属のダブルフレアを作成する。当該端の波形は、約35°であってもよいテーパ状のシール面を含むシール部材3によって支持される。シール部材3は、チューブ7の末端の完全な波形に位置し、軸方向にスエージされたナット2によって所定の位置に保持されている。軸方向にスエージされたナット2は、アダプタ1にねじ込まれている。アダプタ1のシール面は、湾曲または球形などの非直線状であってもよい。シール部材3を捕捉し、アダプタのシール面上に軸方向にスエージされるナット2をねじ込む動作は、アダプタ1と医療用コルゲートチューブ7との間に金属間プライマリシールを形成するのに必要な圧縮荷重を発生させる。
【0017】
後部のジャケットロックスリーブ5は、ナット2に軸方向にスエージされ、ジャケットロック4上をスライドしてジャケットロック4の内径を縮小させ、それによってジャケットロック4と医療用コルゲートチューブ7のジャケットとの間に半径方向の圧縮荷重を発生させる。ジャケットロック4は、縮径を容易にするためのスプリットを含む。これにより、継手を配管に機械的に取り付け、圧力下での膨張を防止し、ナット2の脱落を防止できる。
【0018】
不正開封防止スリーブ6は、ナット2およびアダプタ1に軸方向にスエージされる。不正開封防止スリーブは外側は滑らかで、不正開封防止スリーブ6とアダプタ1との間のしまりばめは分解を防止するのに十分な大きさであり、それによって半永久的に取り付けられる継手が形成される。不正開封防止スリーブ6は、真鍮などの金属から作られてもよい。
【0019】
図3を参照すると、チューブシステムの特徴が数字で示されている。アダプタ1のガイド直径21は、医療用コルゲートチューブの内径をアダプタ1に中心合わせするためのものである。
【0020】
アダプタシール面22は、シール部材3のテーパ上のシール面26(例えば、約35°)によって支持される医療用コルゲートチューブ7のダブルフレアと嵌合する。湾曲または球形のアダプタシール面22は、医療用コルゲートチューブ7との単一の接触ラインを提供し、それによって、シールを形成するのに必要な軸方向の圧縮荷重を低減する。
【0021】
アダプタ1のアダプタ係合ねじ23は、軸方向にスエージされるナット2のナット係合ねじ30に係合する。
【0022】
アダプタ1のプライマリ保持面24は、不正開封防止スリーブ6とのしまりばめを提供する。不正開封防止スリーブ6の第1内径38は、例えば、約0.010インチだけ面24の直径よりも小さい。これにより、不正開封防止スリーブ6とアダプタ1との間に不正開封防止スリーブの回転を無効にする強い干渉が生じる。
【0023】
ポケット25は、ろう付けなどによって銅管に取り付けるためのものである。
【0024】
シール部材3のシール面26は、約35°にテーパ状になっている。シール面26は、アダプタ1と軸方向にスエージされるナット2との間にシールを形成するための剛性を提供する。
【0025】
金属のダブルフレア27は、医療用コルゲートチューブ7の頂部から形成される。ダブルフレア27は、ナット2がアダプタ1にねじ込まれるときに、アダプタ1のアダプタシール面22とシール部材3のシール面26との間に形成される。
【0026】
コルゲートチューブプロファイル28は、例示的な実施形態では銅合金から製造されるが、ステンレス鋼から製造されてもよい。波形は、設計上、環状である。
【0027】
非金属のジャケット29は、医療用コルゲートチューブ7の波形の間の空間を埋める。ジャケット29は、滑らかな外観を有する。例示的な実施形態では、ジャケットは、低密度ポリエチレンから製造されるが、圧力下での波形の動きに抵抗するのに十分な引張強度を提供する他の材料を利用することもできる。ジャケット29は、最大火炎拡散指数が25、最大煙密度指数が50であるASTM E84に準拠してもよい。ジャケット29は、金属管28と共押出成形されてもよい。
【0028】
ナット2は、不正開封防止スリーブ6の第2の内径39よりも例えば約0.005インチだけわずかに小さい直径の不正開封防止スリーブ直径31を含む。
【0029】
軸方向にスエージされるナット2の後部の保持直径32は、後部のジャケットロックスリーブ5の外径37と一致する。ジャケットロック4は、軸方向にスエージされるナット2の内径32よりわずかに小さい外径33を有する。ジャケットロック4の内面には、ジャケットロック溝34が形成されている。1つ以上のジャケットロック溝34は、共押出成形されたジャケット29の外径を圧縮して係合する。
【0030】
ジャケットロック4は、ジャケットロックテーパ35を含む。ジャケットロックテーパ35は、後部のジャケットロックスリーブ5がジャケットロック4上に押し付けられたとき、ジャケットロック4の直径を減少させるためのセンタリングおよびガイド機構を提供する。後部のジャケットロックスリーブ5は、ジャケットロック4を圧縮してジャケットロック4の直径を減少するためにジャケットロックテーパ35に係合するテーパ面36を含む。
【0031】
後部のジャケットロックスリーブ5は、軸方向にスエージされるナット2の内径32よりもわずかに小さい外径37を有しており、これにより、内径32に押し込まれ、後部のジャケットロックスリーブ5がナット2の所定の位置に機械的に固定される。
【0032】
不正開封防止スリーブ6は、アダプタ1のプライマリ保持面24よりも直径が小さい、例えば約0.010インチだけ小さい第1内径38を含む。不正開封防止スリーブ6の第1内径38とアダプタ1の第1保持面24との間の干渉は、半永久的な取り付けを提供し、軸方向にスエージされたナット2がアダプタ1から取り外されることを防止する。
【0033】
不正開封防止スリーブ6は、軸方向にスエージされるナット2の不正開封防止スリーブ直径31よりも直径がわずかに大きい、例えば0.005インチだけ大きい第2内径39を含む。これにより、不正開封防止スリーブ6は、ナット2上をスライドする。不正開封防止スリーブ6は、直径24と直径38との間のしまりばめによってアダプタ1に強制的に装着される。第1内径38は、第2内径39よりも小さい。
【0034】
不正開封防止スリーブ6は、継手の分解を防止する滑らかな外面40を含む。組み立てにおいて、シール部材3は、チューブ7の谷部に配置される。ナット2は、金属チューブシールのダブルフレアを形成するためにアダプタ1にねじ込まれる。ジャケットロック4と後部のジャケットロックスリーブ5は、ナット2の内径32に圧入される。不正開封防止スリーブ6は、アダプタ1とナット2の外側に圧入(例えば、アダプタ1からナット2に移動)されてもよい。
【0035】
「約」という用語は、出願時に利用可能な装置に基づく特定の量の測定と関連付けられた誤差の程度、および/または、製造公差を含むことを意図している。
【0036】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示を限定するためのものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上そうでないことが明確に示されない限り、複数形も含むことが意図される。「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外するものではない。
【0037】
それぞれが特定の実施形態において特定の特徴を有する様々な例示的な実施形態が本明細書に示され説明されるが、当業者であれば、本開示がそれらに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本開示は、これまで記載されていないが、本開示の範囲に相応する任意の数の変形、代替、置換、組み合わせ、サブ組み合わせ、または同等の配置を組み込むように修正することができる。加えて、本開示の様々な実施形態を説明したが、本開示の態様は説明した実施形態の一部のみを含んでいてもよいことも理解されたい。したがって、本開示は、以上の説明によって限定されるとみなされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3