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特許7477451移動床バイオフィルム反応器プロセスにおけるバイオフィルムキャリヤ媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】移動床バイオフィルム反応器プロセスにおけるバイオフィルムキャリヤ媒体
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/10 20230101AFI20240423BHJP
   C02F 3/08 20230101ALI20240423BHJP
   C02F 11/12 20190101ALI20240423BHJP
【FI】
C02F3/10 A
C02F3/08 B
C02F11/12
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020540743
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019052091
(87)【国際公開番号】W WO2019145554
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】1850094-2
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】503289595
【氏名又は名称】ヴェオリア・ウォーター・ソリューションズ・アンド・テクノロジーズ・サポート
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】マグヌソン ペル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン クリスティアン
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05230794(US,A)
【文献】特開平01-304098(JP,A)
【文献】特開平09-085271(JP,A)
【文献】米国特許第08206504(US,B2)
【文献】Journal of Fermentation and Bioengineering,1997年,Vol.83, No.1,P.91-95
【文献】Bioresource Technology,Vol.12,2013年,P.700-703
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/02 - 3/10
C02F 3/28 - 3/34
C02F 3/12
C02F 11/00 - 11/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動床バイオフィルム反応器(MBBR)中にバイオフィルム(2)を担持するバイオキャリヤ(1)であって、前記キャリヤは脱水スラッジを含む粒子であり、
前記粒子が、20℃および1気圧で空気中で重量測定し、次いでエタノール(99.9体積%)中で重量測定し、下記式1に従って決定される、1.01~2.5g/cmの体積質量密度を有し、
前記粒子の公称直径が0.7~7mmである、バイオキャリヤ(1)。
【数1】
式1中、δ およびδ は、それぞれ20℃、1気圧での粒子の体積質量密度および20℃、1気圧でのエタノール(99.9体積%)の体積質量密度であり、Aは20℃、1気圧、空気中での粒子の重量であり、Bは20℃、1気圧、エタノール(99.9体積%)中での粒子の重量である。
【請求項2】
前記脱水スラッジが、水精製プロセスおよび/または有機固体処理プロセスからのスラッジを含む、請求項1に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項3】
前記スラッジが、地方自治体の、または産業の廃水処理プロセスから一次、二次もしくは三次処理を経て供給される一次、二次もしくは三次スラッジまたはそれらの任意の組合せおよび/または有機固体処理プロセスからの消化スラッジである、請求項2に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項4】
前記スラッジが嫌気性消化装置で消化されている、請求項3に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項5】
前記スラッジが好気性消化装置で消化されている、請求項3に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項6】
前記粒子の重量が0.1~100mgである、請求項1~5のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項7】
前記粒子の公称直径が0.9~4mmである、請求項1~6のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項8】
前記粒子が、0.02m/s~0.4m/sの範囲の沈降速度(変性エタノール(99.9体積%エタノール)中の、粒子の落下高さ(0.7m)を測定時間で割った値)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項9】
前記粒子が、乾燥質量基準での前記粒子の灰分率として測定したとき、0~90重量%の無機物含有量を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項10】
前記粒子が、全質量基準での前記粒子の水分含有率として測定した場合、0~50重量%の間の水分含有量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)。
【請求項11】
汚染物質から液体を精製するためのMBBRプロセスにおける、請求項1~10のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)の使用であって、前記MBBRプロセスが、少なくとも1つのバイオリアクター(10)を含むMBBRシステムを利用し、前記バイオリアクター(10)が、連続的または断続的にエアレーションおよび/または混合され、前記バイオキャリヤ(1)が、前記少なくとも1つのバイオリアクター(10)内に保持され、前記バイオキャリヤ(1)が、精製される前記液体のエアレーションおよび/または撹拌によって精製される前記液体中に、連続的または断続的に懸濁および移動状態に保持され、前記バイオキャリヤ(1)が、バイオフィルム(2)成長のための表面を提供する、使用。
【請求項12】
前記バイオリアクター(10)が、生物活性が促進される1つまたは数個の連結された体積またはゾーン、精製される液体を提供するための1つまたは数個の注入口(11)、精製された液体を排出させるための1つまたは数個の排出口(12)、ならびに1つまたは数個のエアレーター(複数可)(13)および/またはミキサー(複数可)(14)を含む容器である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記エアレーションが断続的エアレーションであり;および/または前記混合が断続的である、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
精製された液体が前記バイオリアクター(10)から断続的に排出され、前記バイオキャリヤ(1)が、精製された液体が、エアレーションおよび/または撹拌を連続的に不活性化することによって排出され、それによって前記バイオキャリヤ(1)を前記バイオリアクター(10)に沈降させ、前記沈降したバイオキャリヤ(1)の上に存在する精製された液体を排出させるときに、前記バイオリアクター(10)中に保持される、請求項11~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
精製液体が前記バイオリアクター(10)から連続的に排出され、前記MBBRシステムが、前記バイオリアクター(10)中に前記バイオキャリヤ(1)を保持するためのスクリーン(l5a)、ふるい(15b)、フィルター(l5c)、膜(l5d)または相分離器(16)をさらに含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記MBBRシステムが、前記バイオリアクター(10)中に前記バイオキャリヤ(1)を保持するためのスクリーン(l5a)、ふるい(15b)、フィルター(15c)、膜(15d)、または相分離器(16)をさらに含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
更なるバイオキャリヤ(1)を、失われたかまたは消費された粒子を補充するために、定期的に、バイオリアクター(10)に再充填する、請求項11~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法であって、以下の工程:
(i)総乾燥固体含有量が65重量%超にスラッジを脱水する工程;
(ii)前記脱水されたスラッジを粒子に形成する工程、
(iii)工程(ii)から前記粒子のどのサイズおよび/または重量パラメータが20℃および1気圧で変性エタノール(99.9体積%エタノール)中で0.02m/s~0.4m/sの範囲の沈降速度をもたらすかを特性解析し、特性解析に基づき、バイオフィルム(2)をMBBRプロセスで担持する際に使用するためにこれらの沈降速度、サイズおよび/または重量パラメータを有するバイオキャリヤ(1)を選択する際の基準としてこれらの沈降速度、サイズおよび/または重量パラメータを使用し、したがって、適切な沈降速度を有する粒子がサイズまたは重量基準によって選択されることを可能にする工程
を含む、方法。
【請求項19】
工程(i)における前記脱水が、薄層乾燥、ベルト乾燥、回転ドラム乾燥、ディスク乾燥、垂直方向乾燥、太陽乾燥、真空乾燥、流動床乾燥機、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のスラッジ脱水技術を利用する、請求項18に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【請求項20】
前記粒子が、工程(ii)において、フライス加工、製粉、切断、粉砕、ペレット化、顆粒化、押し出しまたは圧縮によって形成される、請求項18または19に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【請求項21】
工程(i)および(ii)が、前記脱水スラッジを粒子形態に乾燥および機械的に形成する両方の技術を用いて同時に行われる、請求項18~20のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【請求項22】
前記選択されたバイオキャリヤ(1)が、以下の属性:
前記粒子を空気中で、次にエタノール(99.9体積%)中で20℃および1気圧で秤量することにより決定される、1.01~2.5g/cmの体積質量密度、
0.1~100mgの重量、または
0.5~10mmの公称直径
の少なくとも1つを有する、請求項18~21のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【請求項23】
前記工程(iii)において、ふるい分け、スクリーニング、空気分級、および比重分離、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される技術によって前記粒子が特徴付けられる、請求項18~22のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【請求項24】
前記脱水工程(i)の前に、脱水工程(a)で前記スラッジを脱水して、5~50重量%の全固体含有量に到達させる、請求項18~23のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【請求項25】
工程(a)における前記脱水が、沈降技術、遠心分離技術、液体サイクロン技術、溶存空気浮遊技術、およびフィルター加圧技術からなる群から選択される1つまたは複数の異なる技術を用いて利用する、請求項24に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【請求項26】
前記脱水工程(i)の前に、1種または数種の添加剤を添加し、前記スラッジ中に混合し、前記添加剤(複数可)が有機または無機成分(複数可)であり、前記脱水スラッジの体積質量密度に影響を及ぼし、前記バイオキャリヤ(1)の機械的強度を増大させる繊維状成分、および/またはバイオマス成長を促進する栄養素もしくはミネラル;ならびに/あるいは
前記脱水工程(i)の前に、混合工程(b)で異なる種類のスラッジを混合する、
請求項18~25のいずれか一項に記載のバイオキャリヤ(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その上にバイオフィルムを成長させるためのキャリヤ要素に関し、前記キャリヤ要素は、前記成長するバイオフィルムによって生物学的に汚染物から精製される液体中を自由に流れるように設計されている。
【背景技術】
【0002】
水または廃水の生物学的処理では、水は、何らかの型の反応器またはいくつかの反応器(容器または別の空間)を通過し、水中の汚染物質を二酸化炭素または水のような無害な最終生成物に変換するために微生物が利用されることが知られている。処理は、空気の供給下(好気的)または空気の供給なし(嫌気的)、または空気の供給なし、しかしかなりの量の硝酸塩の存在下(無酸素的)で行うことができる。処理プロセスの効率を上げるためには、反応器内に浮遊した微生物を成長させ、反応器後の分離段階で水から分離し、微生物を反応器に戻す(例えば活性化スラッジ法)か、または微生物がバイオフィルムとして成長し、そのプロセスで保持できる表面上のプロセスに何らかの種類の支持材料を導入する(バイオフィルム法)かのいずれかによって、処理した水とともにこのような微生物が逃げるのを防ぐことにより、プロセスにおける活性な微生物の高含有量を目指すのが一般的である。ハイブリッドプロセスと呼ばれるこれら2つのプロセスタイプの混合も存在し、支持材料は、懸濁された微生物ならびにバイオフィルム成長微生物をプロセスにおいて利用することができるように、活性化スラッジプロセスに導入される。
【0003】
バイオフィルムプロセスは、活性化スラッジプロセスと比較して、多くの利点を有する。より高い有機負荷率を適用することができ、バイオフィルムプロセスは変化およびかく乱に対してはるかにより強固である。ほとんどの従来のバイオフィルムプロセスは、バイオフィルムが成長できる反応器内に充填された不動キャリヤ本体を含む。固定キャリヤ本体は、バイオフィルム成長または反応器内の他の固体物質によって詰まるかまたは閉塞し、それによっていわゆるデッドゾーンを作り出すことがあり、バイオフィルム内の微生物と処理される水との接触が高度に制限される。
【0004】
移動床バイオフィルム反応器(MBBR)は別のタイプのバイオフィルムプロセスであり、バイオフィルムが成長するための保護表面を有するプラスチック体の形態であることが多い、特別に設計された可動性キャリヤ材料が、好気性、嫌気性、または無酸素性のプロセスであるかどうかに応じて、エアレーションまたはミキサーのいずれかによって懸濁状態に保たれる。微生物が成長するキャリヤ材料は、流出水をキャリヤ材料より直径の小さいストレーナーまたはふるいに通すことにより、プロセス内に保持することができる。固定膜プロセスと比較して、MBBRプロセスは、懸濁液中の可動性キャリヤ材料間の衝突の点で利点を与え、これは、固定フィルムプロセスの一般的な問題である、目詰まりの可能性を著しく制限し、処理が起こらないデッドゾーンを作り出す。
【0005】
MBBR技術で利用される特別に設計されたキャリヤ媒体は、一般に、プラスチック材料の利用および特定のプラスチックキャリヤ媒体片を生成するための押出による処理を必要とする。利用されるプラスチック原料とプラスチック加工は、以下のような既存のMBBR技術に欠点を生み出している:
・ 特別に設計されたプラスチックキャリヤの製造は高価であり、それによってキャリヤ媒体をMBBRプロセスのかなりのコストとする;
・ 保護された表面積を提供するようにプラスチックキャリヤを設計することは、保護された表面のための開口部をキャリヤの設計に含める必要があるため、m当たりに提供され得る総活性面積を減少させる。外表面で成長したバイオフィルムはキャリヤ要素と反応器壁との間の衝突から生じるせん断力から保護されず、したがって無保護表面から引っかかれ、反応器からの流出液でフラッシュアウトされるため、これらのプラスチックキャリヤが懸濁状態で移動するための保護された表面積が必要である;ならびに
・ 限界的ではあるが、地球規模のプラスチック汚染と比較して、キャリヤせん断によるマイクロプラスチックの形成または廃水処理施設からの全キャリヤの海洋環境へのロスのいずれかを介したプラスチックキャリヤ媒体のロスは、可能性である。種々の用途および市場におけるプラスチックの使用に対する環境法規は、常に、今日のMBBR技術が脆弱となりうる根底にある脅威である。
【0006】
ポリエチレンまたは他の類似の合成ポリマー、ポリプロピレンは、一般に、他の合成的に生成したポリマーと比較して価格が低いため、キャリヤ媒体の製造に使用され、高容量の商品ポリマーであり、その高い耐久性および、例えば、廃水処理プロセスのための特別なデザインのキャリヤ要素のような、型付けされ、成形した物体への簡単な加工である。ポリエチレンおよびポリプロピレンは、長い鎖の中で炭素と水素を構成し、廃水処理場のような水環境では材料を高度に疎水かつ不活性にしている。
【0007】
特別に設計されたプラスチックキャリヤ要素を利用するMBBR技術とは別に、非プラスチックキャリヤ要素を利用する他の従来技術も存在する。特許文献1には、接触器、エアレーターおよび分離装置を含む流体処理プロセスが記載されている。流体は、粉末状の天然リグノセルロース材料(「PNLM」)、微生物成長接種材料、および接触器内の流体の少なくとも一部と混合されて、流体内に確立された順化された微生物成長を含む混合物を提供する。混合物をエアレーターに導入し、ここで、1つ以上の物質の少なくとも一部をPNLMに吸着させ、さらにPNLM上での微生物成長による生理的取り込みを通して結合することにより、廃水中の汚染物質の濃度を低下させる。キャリヤ要素は必ずしもバイオリアクター体積内に保持されないので、そのプロセスはMBBRプロセスではない。
【0008】
本出願の優先日以降に公表された特許文献2は、接種用の組成物(生体微生物の伝達)に関する。第1の組成物は、廃水中のCODの処理のための生物増強のための古細菌微生物顆粒、ならびにリン酸塩、窒素および懸濁固体の除去を可能にする活性化ケイ酸塩ビーズの第2の組成物を含む。両組成物の混合物は、有機物分解を促進し、処理した溶液のアルカリ度を消費することなくリン酸塩の除去を可能にすることによって相乗的に作用する。
【0009】
特許文献3はまた、ケナフ繊維などの粉末リグノセルロース材料を使用して、廃水の処理のための活性化スラッジシステム中の懸濁成長と組み合わせた場合に、生分解性吸着剤およびバイオフィルム成長のための媒体の両方として機能させる。バイオフィルム成長を伴う培地は、活性化スラッジからの懸濁バイオマスと一緒に、液体-固体分離ユニット中に沈降させられる。バイオフィルム媒体および懸濁バイオマスは、それによって処理水から分離される。他の場合において、しかし必ずしもそうではなく、いくつかのバイオフィルムおよび懸濁成長は、さらなる処理サイクルのために、戻された活性化スラッジ流を用いて、活性化スラッジ反応器入口に戻される。本発明の目的は、(a)可動性のある粉末ケナフを添加して、粉末ケナフ上への吸着を介してコロイド状および懸濁揮発性固体を物理的に除去して、前処理中のフロアfloc形成および沈降を増強すること;(b)活性化スラッジ生物学的プロセスを妨害し、それによって懸濁液中の活性化スラッジ生物への曝露を減少させるケナフ繊維上に毒性物質および元素を吸着すること;(c)細菌および付着成長に有利な他の生物のための活性化スラッジ廃水処理バイオリアクター中に固定表面を提供すること;(d)生物学的スラッジの製造を減少させ、同時にまた処理効率を維持し、スラッジの沈降特性を高めることを助けること、である。キャリヤ要素は必ずしもバイオリアクター体積内に保持されないので、そのプロセスはMBBRプロセスではない。
【0010】
グラム陰性菌およびグラム陽性菌のような種々の細菌種の細胞壁の外層には、ペプチドグリカンおよびリポテイコ酸(グラム陽性)またはリポ多糖(グラム陰性)のいずれかが含まれている。表面と細菌との間の相互作用は、水素結合、双極子およびイオン性相互作用、疎水性および親水性、その他の静電的相互作用などの分子間力によって支配されている。
【0011】
水素結合は、ほとんどの利用可能なMBBRキャリヤ媒体の製造に使用されるポリエチレンの場合のように、媒体表面の唯一の構成要素として炭素および水素を有するようには達成され得ない。この材料は、その性質上疎水性が高く、水中での湿潤が悪く、したがって細菌が付着するための表面利用性が低い。また、ポリエチレンは、キャリヤ媒体表面と細菌外層との間の水素結合を可能にしない。
【0012】
したがって、非プラスチック材料から作られたMBBRプロセスのための改良されたキャリヤは、好ましくは、費用対効果の高い生産および使用を可能にする微生物活性のための優れた表面特性を有する材料を使用して、プラスチック汚染の課題に対処するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許出願公開第US 2015/0108067 A1号
【文献】PCT/CA2018/050136
【文献】米国特許第7,481,934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は、好適には、当該分野における1つ以上の上記で同定された欠陥および欠点を単独で、または任意の組み合わせで軽減、緩和または解消し、少なくとも上記の問題を、移動床バイオフィルム反応器(MBBR)中にバイオフィルムを担持するバイオキャリヤを提供することによって解決しようとするものであり、キャリヤは、脱水スラッジを含む粒子である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
また、汚染物質からの液体を精製するためのMBBRプロセスにおけるバイオキャリヤの使用であって、少なくとも1つのバイオリアクターを含むMBBRシステムを利用するMBBRプロセスであって、バイオリアクターは連続的または断続的に通気および/または混合され、バイオキャリヤは少なくとも1つのバイオリアクター内に保持され、バイオキャリヤは、連続的または断続的に、精製される液体の通気および/または撹拌によって精製される液体中に懸濁および移動して保持され、バイオキャリヤはバイオフィルム成長のための表面を提供する、バイオリアクタープロセスの使用が提供される。
【0016】
さらに、以下の工程を含むバイオキャリヤの製造方法が提供される: (i)総乾燥固体含有量65重量%超、好ましくは80重量%超、またはより好ましくは90重量%超までスラッジを脱水する工程;および(ii)脱水したスラッジを粒子に形成する工程、および(iii)工程(ii)からの粒子の特性評価、および特性評価に基づき、MBBRプロセスにおいてバイオフィルムを担持する際に使用するバイオキャリヤを選択する工程。
【0017】
本発明が可能であるこれらおよび他の態様、特徴および利点は、本発明の実施形態の以下の説明から明らかとなり、解明され、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、バイオリアクター中に展開される前にバイオフィルム成長のための表面を有する工業用活性化スラッジを脱水することによって生成されるバイオキャリヤ(1)要素の顕微鏡像である。
図2図2は、バイオリアクター中に展開される前にバイオフィルム成長のための表面を有する消化された都市汚泥を脱水することによって生成されるバイオキャリヤ(1)要素の顕微鏡像である。
図3図3は、バイオリアクターの操作中のその上にある特定のバイオフィルム(2)成長を有する工業用活性化スラッジを脱水することによって生成されるバイオキャリヤ(1)要素の顕微鏡像である。
図4図4は、バイオリアクターの操作中のその上にある特定のバイオフィルム(2)成長を有する消化された都市汚泥を脱水することによって生成されるバイオキャリヤ(1)要素の顕微鏡像である。
図5図5は、バイオリアクター(10)として記述された、1つまたはいくつかの接続され、含まれる体積またはゾーンを使用するMBBRプロセスの概略斜視図であり、その上にバイオフィルム成長のためのキャリヤ(1)要素は、汚染物質からの廃水を処理するためにエアレーションおよび/または混合によって維持され、懸濁液中に保持される。
図6図6は、順次相分離モードで実行されるMBBRプロセスの概略的な斜視図であり、順次充填(連続的に行うこともできる)、反応、沈降および排出の4つの局面を繰り返し、反応、沈降および排出の局面を繰り返して、バイオリアクター(10)内のバイオキャリヤ(1)要素を維持する。
図7図7は、ふるい(15a)、スクリーン(15b)、フィルター(15c)または膜(15d)を利用する連続的な供給およびエアレーションで連続的分離モードで実行されるMBBRプロセスの概略的な斜視図であり、バイオキャリヤ(1)要素は、精製された液体から分離され、それによってバイオリアクター(10)の内側に保持される。
図8図8は、バイオリアクター出口(12)での相分離器(16)を利用する連続的エアレーションを伴う連続供給モードで実行されるMBBRプロセスの概略斜視図であり、バイオキャリヤ(1)要素は、精製された液体および懸濁された自由流動固形スラッジから重力によって分離され、それによってバイオリアクター(10)の内側に保持される。
図9図9は、バイオキャリヤ(1)要素を利用するMBBRプロセスが組み込まれ得る廃水処理プロセス列の概略斜視図である。表示i~viiiは、バイオキャリヤ(1)要素を利用するMBBRプロセスがプロセス列の性能を向上させ、改善するために組み込まれる可能性があることを示している。
図10図10は、廃水処理プラント施設におけるバイオキャリヤ(1)要素の生産のためのいくつかの可能な経路の概略斜視図であり、最初のスラッジ脱水(a)、天然繊維および/または鉱物などの他の物質との任意の混合、スラッジ脱水(i)、粒子への脱水スラッジの形成(ii)および選択基準(ii)からの一定の沈降速度を有する粒子の選択を、行うことができる。
図11図11は、廃水処理プラント施設におけるバイオキャリヤ(1)要素の生産のためのいくつかの可能な経路の概略斜視図であり、脱水したスラッジベース原料が生産され(a)、それを、次に、天然繊維および/または鉱物などの他の物質との任意の混合、スラッジ脱水(i)、粒子への脱水スラッジの形成(ii)およびある沈降速度を有する粒子の選択(iii)が行われ得る集中生産施設に輸送する。
図12図12は、エタノール(99.9体積%)中での20℃および大気圧でのさまざまなバイオキャリヤ要素の落下速度を、公称粒子サイズの関数として示す図であり、公称粒子サイズは等式4から導き出されている。
図13図13は、エタノール(99.9体積%)中での20℃および大気圧でのさまざまなバイオキャリヤ要素の落下速度を、各バイオキャリヤ要素の個々の粒子質量の関数として示す図である。
図14図14は、工業用の活性化されたスラッジをベース原料として使用し、バイオリアクターの出口で相分離器による連続流およびエアレーションで操作して、バイオリアクター中のバイオキャリヤ要素を保持して製造するバイオキャリヤ要素を利用したMBBRプロセスにおける日数の関数として、産業廃水中および精製した液体中の可溶性COD濃度を示す図である。
図15図15は、都市の消化されたスラッジをベース原料として使用し、バイオリアクターの出口で相分離器による連続流およびエアレーションで操作して、バイオリアクター中のバイオキャリヤ要素を保持して製造するバイオキャリヤ要素を利用したMBBRプロセスにおける日数の関数として、産業廃水中および精製した液体中の可溶性COD濃度を示す図である。
図16図16は、リサイクルされたポリ塩化ビニル粒子をキャリヤ要素として利用し、バイオリアクターの出口で相分離器による連続流およびエアレーションで操作して、バイオリアクター中のバイオキャリヤ要素を保持するMBBRプロセスにおける日数の関数として、産業廃水中および精製した液体中の可溶性COD濃度を示す図である。
図17図17は、産業的な活性化されたスラッジをベース原料として使用し、バイオリアクターの出口で相分離器による連続的バイオリアクターで操作して、バイオリアクター中のバイオキャリヤ要素を保持して製造したバイオキャリヤ要素を利用したMBBRプロセスにおける日数の関数として、産業廃水中のアンモニア(NH )濃度と、精製した液体のアンモニア、硝酸塩(NO )および亜硝酸塩(NO )濃度を示す図である。
図18図18は、産業的な活性化されたスラッジをベース原料として使用して製造したバイオキャリヤ要素を利用して、連続流れとエアレーションで操作される第1のものに直列に連結された第2のバイオリアクター体積における日数の関数として、産業廃水中のアンモニア(NH )濃度と、精製した液体のアンモニア、硝酸塩(NO )および亜硝酸塩(NO )濃度を示す図である。キャリヤ要素粒子は、バイオリアクターの出口で相分離器を利用してバイオリアクターにバイオキャリヤ要素を保持することにより、バイオリアクターに保持された。
図19図19は、都市の消化されたスラッジをベース原料として使用し、バイオリアクターの出口で相分離器による連続的バイオリアクターで操作して、バイオリアクター中のバイオキャリヤ要素を保持して製造したバイオキャリヤ(1)要素を利用したMBBRプロセスにおける日数の関数として、産業廃水中のアンモニア(NH )濃度と、精製した液体のアンモニア、硝酸塩(NO )および亜硝酸塩(NO )濃度を示す図である。
図20図20は、産業廃水における可溶性COD濃度と精製した液体の最終的な可溶性COD濃度を、工業用活性化スラッジをベース原料として製造されたバイオキャリヤ要素を利用するMBBRプロセスの日数の関数として示す図であり、最初の47日間のバイオリアクターは連続モードで操作し、連続供給と排水を流出物出口でふるいを利用して、バイオリアクター内のバイオキャリヤ要素を保持する。47日目の翌日、操作モードは連続相分離モードから順次相分離モードに移行しまし、まだ連続供給が使用するが、断続的なエアレーションにより、バイオキャリヤ要素が沈降し、反応器の上部からバイオキャリヤ要素の粒子レベルより上に精製した液体を空にして、バイオリアクター内に保持した。
図21図21は、産業廃水中のアンモニア(NH )濃度と、精製した液体のアンモニア、硝酸塩(NO )および亜硝酸塩(NO )濃度を、工業用の活性化されたスラッジをベース原料として用いて生成したバイオキャリヤ要素を利用したMBBRプロセスの日数の関数として示す図であり、最初の47日間バイオリアクターを連続相分離モードで操作し、連続供給と一定の通気を行い、流出物出口のふるいを利用して、バイオリアクターにバイオキャリヤ要素を保持した。47日の翌日に、連続相分離モードから順次相分離モードに動作モードを移行させ、尚連続供給を使用するが、それらをバイオリアクター内に保持するために、バイオキャリヤ要素粒子レベルより上の反応器の頂部から精製液体を沈降させ、空にすることを可能にする断続的なエアレーションを伴う。
図22図22は、表面積(K5)を保護した従来のポリエチレンプラスチックベースキャリヤ媒体およびバイオキャリヤ要素を利用して連続流およびエアレーションで操作した場合のMBBRプロセスにおける日数の関数として、産業廃水中および精製液体中の可溶性COD濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の記載は、移動床バイオフィルム反応器(MBBR)プロセスでの使用に適したキャリヤ要素に適用可能な本発明の実施形態に焦点を当て、それは、合成プラスチックの漏出を防止し、高い表面アベイラビリティならびにその上での迅速な微生物付着および成長を提供する。
【0020】
プラスチックの代替品と考えられ得る材料には、いくつかの異なるクラスがある。しかしながら、移動床バイオフィルム反応器(MBBR)プロセスでの使用に適したキャリヤ要素は、いくつかの異なる品質を有しなければならない。このような用途のために関連するキャリヤ材料は、好ましくは、バイオフィルム成長を材料にもたらすことができる分子構造を有し;粒子衝撃エネルギーを制限し、それによって成長したバイオフィルムの収縮を回避するのに十分小さい重量を有し;廃水中でエアレーションおよび/または混合に供されたときにせん断によって溶解または粉砕されないのに十分な構造的完全性を有し;沈降速度が十分に低いその質量をエアレーションおよび/または水容積中で満足のいく方法で懸濁および/または混合されるが、同時に水容積中で迅速に沈降するのに十分に高い沈降速度で制御することによって、特定の沈降速度範囲を有し;特定のバルクのキャリヤ要素に対して高い活性表面を有する。理想的には、キャリヤ物質はまた生分解性であり、廃水または固形廃棄物処理サービスの循環経済に存在するであろう。
【0021】
本発明では、これらの基準を満たす材料が有機バイオマス生産から種々のタイプの半製品となり得ることが想定された。多くの潜在的な候補物質の中で、1つの有効な源は、生物学的廃水処理で生産された余剰スラッジであることが分かった。スラッジは、例えば生物学的廃水処理からの固体廃棄物であり、細菌が付着して強く結合するための天然の分子構造を有し、さらに細菌の増殖を助ける栄養素を自然に含むこともある。しかし、スラッジは通常単に脱水されて廃棄され、スラッジ物質は古典的なMBBRキャリヤ(通常プラスチック製)とは組成が全く異なるため、スラッジがMBBRキャリヤ要素としてうまく使用できることは全く予想外であった。さらに、廃水処理スラッジでは、通常、コストの観点から正当化できる点まで(脱水および乾燥に時間がかかり、エネルギーを使用するため)脱水されるだけである。なぜ、本発明の乾燥スラッジ粒子は、通常の廃水処理施設では見つからないのか。有機および無機含有量を有するスラッジを乾燥する場合、乾燥スラッジ粒子の特性は、廃水処理プロセスで通常使用される湿式または脱水スラッジのいずれとも実質的に特性が異なることが見出された。
【0022】
スラッジは、液体水、有機固体および無機固体を含む半固体スラリーであり、水および/または廃水処理中の液体から固体を分離することに起因するが、これらに限定されるものではない。スラッジを十分な程度に脱水することにより、その構造的完全性は、その主要構造成分を溶解することなく、またはミクロ粒子にせん断されることなく、その形状をエアレートされた、および/または混合された水容積に維持するのに十分なほど強くなることがわかった。したがって、本発明では、脱水スラッジから製造されたキャリヤが、MBBRプロセスにおけるキャリヤとして使用される。それによって、プラスチック加工およびプラスチック材料を回避することができ、その結果、実質的な環境利益およびキャリヤ媒体のコストの有意な低下の両方がもたらされる。
【0023】
1つの実施形態において、移動床バイオフィルム反応器(MBBR)中にバイオフィルム2を担持するバイオキャリヤ1であって、キャリヤは脱水スラッジを含む粒子である。
【0024】
工業および都市の廃水処理施設は、生物学的または物理化学的プロセスから発生するかどうかにかかわらず、スラッジとも呼ばれる固体を生産する。
【0025】
スラッジは、有機固体廃棄物および/または他の生物材料を扱う有機固体処理プラントでも発生する可能性がある。このようなプラントの例には、ガス製造のための嫌気性消化槽、微生物が酸素の非存在下で生分解性物質を分解する処理業者の集合体が含まれる。それは、産業、農業または家庭目的で廃棄物の管理または再生可能エネルギーの生産に使われる。
【0026】
一実施形態では、脱水スラッジは、水精製プロセスまたは有機固体処理プロセスからのスラッジから構成される。
【0027】
スラッジの源には、限定されるわけではないが、地方自治体の廃水処理施設からの一次スラッジ、地方自治体の、もしくは産業廃水処理施設からの二次スラッジ、または地方自治体の、もしくは産業廃水処理施設での消化された一次、二次もしくは三次スラッジが含まれる。
【0028】
1つの実施形態において、スラッジは、地方自治体の、もしくは産業廃水処理プロセスからの一次、二次もしくは三次スラッジ、またはそれらの任意の組合せおよび/または有機固体処理プロセスからの消化されたスラッジである。1つのさらなる実施形態では、スラッジは、嫌気性または好気性消化器で消化されている。
【0029】
スラッジ、下水スラッジ、生物学的スラッジまたは細菌が産生するバイオマススラッジは、天然の副産物または廃棄物であり、注意を払って処分する必要がある。したがって、安価な原料を構成することができ、それによって、ポリエチレンおよびポリプロピレンのような人工合成材料の業界標準を利用する場合と比較して、MBBRプロセスのコストを著しく減少させることができる。それは細菌がつくる天然の二重産物であるので、環境中に偶然失われた場合にも自然に生分解される。実際、多くの国では、余剰スラッジは、農地で栄養源として利用されている。
【0030】
図1に、産業的に活性なスラッジを脱水して作製したこのようなバイオキャリヤ1要素の顕微鏡像を示す。図2には、消化された地方自治体のスラッジを脱水してできたバイオキャリヤ要素の顕微鏡像を示す。明らかなように、非常に異なる種類のスラッジは、MBBRバイオキャリヤであることに適した粒子を尚形成することができ、より多くの例が以下に挙げられる(図13のように)。これを以下にさらに詳細に示す。
【0031】
スラッジを脱水すると、その表面も粗くなり、バイオフィルムの付着に理想的となり、小区画または不規則性を形成し、有効な微生物の付着および成長を促進する。可能な限り高い活性表面積を確保し、良好なエアレーションおよび/または水容積中のバイオキャリヤ1の混合を有するために、脱水スラッジを、一定の重量範囲内にあるべき粒子に形成することができる。乾燥スラッジ粒子は、キャリヤ粒子および精製した液体の固液分離のために十分な沈降特性を維持すると同時に、その構造的完全性を維持するために、特定の最小粒子質量が必要とされる。粒子の沈降速度は、満足のいく方法で水容積中でエアレートおよび/または混合することができるのに十分低いが、同時に、水容積中で迅速に沈降するのに十分に高い必要がある。図12および実施例5から導かれるように、最適重量は、実施例5で決定された最適粒子沈降速度に基づいて、0.1~100mg、好ましくは0.5~30mgの範囲にある。
【0032】
1つの実施形態において、粒子は、0.1~100mg、好ましくは0.5~30mgの重量を有する。
【0033】
バイオキャリヤ1の特性は、その体積質量密度にも関係している。それは、水中に沈むのに十分高い必要がある。しかしながら、それは、エアレーションおよび/または混合時にバイオリアクター10容積中で懸濁液中で自由に流動するのに十分に低いことも必要である。所定の温度および大気圧で既知密度のエタノール(99.9体積%)を用いて、適切なバイオキャリヤ1粒子の容量質量密度を測定した。バイオキャリヤ1粒子は、まず空気中(A)、次に液体中(B)で秤量した。次に、実施例2にさらに記載したように、固体バイオキャリヤ1粒子δの体積質量密度を計算した。図12および実施例2に由来するように、最適な体積質量密度は、1.01~2.5g/cm、好ましくは1.02~1.8g/cmの範囲である。
【0034】
1つの実施形態において、粒子は、大気中で粒子を秤量し、次いで20℃および1気圧でエタノール(99.9体積%)中で測定すると、1.01~2.5g/cm、好ましくは1.02~1.8g/cmの体積質量密度を有する。
【0035】
しかし、バイオキャリヤ1要素の粒子サイズおよび形状は、また、沈降特性ならびにエアレーションおよび/または機械的混合時に液体中で自由に流れるバイオキャリヤ1要素の能力に影響を及ぼすであろう。バイオキャリヤ1粒子の沈降速度が高すぎる(最大沈降速度、Vmaxを超える)場合、少なくとも非常に高いエネルギー強度のエアレーションまたは混合を用いずに、バイオリアクター10内の懸濁液中のエアレーションおよび/または混合を通して粒子を懸濁液中に保持することは不可能であろう。同時に、バイオキャリヤ1粒子のサイズは、これが低い沈降速度をもたらすので、小さすぎることはできず、これは、図6および8に示したように、比重依存性相分離器16におけるバイオキャリヤ1の沈降を妨げるであろう。図7に示すように、相分離器16でプロセスを操作する場合、沈降速度は極めて重要ではないが、ここでも、小さすぎる粒子径は不利である。スクリーン15a/ふるい15b/フィルター15c/膜15d開口部は、結果としての閉塞リスクの増加と同様に、低いスクリーン15a/ふるい15b/フィルター15c/膜15d処理量でバイオキャリヤ1を保持するために小さくなければならないからである。本発明では、落下球粘度計実験で沈降速度を測定した。実施例3では、図12にまとめたが、脱水した地方自治体の消化スラッジ、脱水食品廃棄物バイオマスおよび再循環したPVC (ポリ塩化ビニル)など、粒子塊の関数として、多数の異なる粒子塊および材料について、落下速度を測定した。実施例5で決定した最適沈降速度は、0.02m/s~0.4m/s、好ましくは0.05m/s~0.2m/sの範囲にあり、従って最適粒子質量範囲は、図12から決定できることが見出された。
【0036】
MBBRプロセスで使用するための最適な沈降速度範囲の下限を決定するために、広範囲の測定した沈降速度(実施例3に従って測定した場合、0.1、0.15、0.20、0.25および0.30m/s)を有する粒子を、5つの別々のバルク体積中に蓄積し、MBBRプロセスで試みた。沈降速度特性が0.01および0.03m/sのバイオリアクター1要素を含むバイオリアクター10は、それぞれキャリヤ要素の75および50%を失い、一方0.05m/sの沈降速度特性を持つキャリヤバイオリアクター1要素を含むバイオリアクターは、実施例5に従い、バイオキャリヤ1要素の10%を失ったことが見出された。
【0037】
MBBRプロセスで使用するための最適な沈降速度範囲の上限を決定するために、広範囲の測定された沈降速度(実施例3に従って測定した場合、0.1、0.15、0.20、0.25および0.30m/s)を有する粒子を、5つの別々のバルク体積中に蓄積し、体積の15%に相当する同じバルク体積内で同じ沈降速度を有する粒子とした。通気量の上部で採取した水試料中の充填率を測定することにより、どのような粒子沈降速度で見ることができ、上部から採取した試料中の充填率は5%未満であった。この沈降速度は、実施例3のように測定し、実施例5に従って決定した場合、0.2m/sと決定された。
【0038】
したがって、1つの実施形態では、粒子は、20℃および1気圧で変性エタノール(99.9体積%エタノール)中の0.02m/s~0.4m/s、好ましくは0.05m/s~0.2m/sの範囲の沈降速度を有する。
【0039】
実施例4でさらに述べたように、バイオキャリヤ1要素のサイズは、落下球粘度計実験から外挿することができた。これは、図13に種々の体積質量密度を有する種々の物質についてまとめたものである。本発明における公称粒子径(D)は、非球形バイオキャリヤ1要素と同じ体積を有する球の直径と呼ばれる。バイオキャリヤ1要素は一般にある程度不規則に成形されているので、公称粒子径(D)は適当な定義である。
【0040】
MBBRプロセスに適したバイオキャリヤ1要素は、公称直径0.5~10mm、好ましくは0.7~7mm、またはさらに好ましくは1~4mmの材料単位であり、その表面に微生物がバイオフィルム2を形成することができ、懸濁、移動を保ち、汚染物質から処理される液体容積に保持することが可能な表面を有し、上記で決定され、実施例4に示す最適な沈降速度範囲から最適な公称粒径範囲を決定することができる図13に示すように、材料単位である。
【0041】
したがって、1つの実施形態において、粒子は、0.5~10mm、好ましくは0.7~7mm、さらに好ましくは0.9~4mmの公称直径を有する。
【0042】
細菌とバイオキャリヤ1表面との間でより強い引力を形成する可能性のあるバイオキャリヤ1材料を用いると、細菌成長の速度を有意に高めることができる可能性がある。また、形成された分子間結合は、有意に強く、バイオキャリヤ1のエアレートされた体積中のバイオマスの剃りをより少なくする。
【0043】
従来のMBBRキャリヤについては、細菌とポリエチレンのキャリヤ媒体表面との間の細菌の付着は、分子内結合の形成された強度と同様に、水素結合を可能にするキャリヤ材料と比較して低い。これに反して、スラッジ粒子は、溶液中でバイオフィルム2と水素結合および他の分子力を形成することができる分子構造を有する。これにより、微生物とキャリヤ表面との間のより強い引力が可能になる。同時に、スラッジ粒子は、スラッジ粒子上の微生物成長をさらに助ける水中に溶解される栄養素を含み得る。
【0044】
理論に拘束されることなく、これが、図16に示すように、従来のMBBRキャリヤと比較して、バイオリアクター10において短時間後に観察されたバイオキャリヤ1上の微生物成長の高い比率に寄与していると仮定することができる。図16は、1種類のバイオキャリヤ1要素を利用した150日間の操作中のバイオリアクター10中の流入および流出可溶性COD濃度の結果を示す。本発明のバイオキャリヤ1については、安定した可溶性COD除去(90%を超える)が、操作のわずか5日後に達成され得、一方、従来のHD-ポリエチレンプラスチック媒体を使用する場合、湿潤が生じた後に、安定かつ高いCOD除去を得るのに10~15日もかかる可能性があることが例示されている。
【0045】
図3および4は、MBBRプロセスバイオリアクター10中でのエアレーションによってバイオキャリヤ1を懸濁状態に保った後に、バイオキャリヤ1要素表面上にバイオフィルム2の形態で成長した生物学的に活性な微生物の2つの異なる例を示す。リアクター10において、バイオキャリヤ1要素上で成長する微生物は、バイオリアクター10に供給されている廃水を処理している。
【0046】
本発明のバイオキャリヤ1のもう一つの利点は、水と接触させたときのスラッジ粒子の軟化であると見出された。これは、水中で不活性な硬質材料から作られている従来のMBBRキャリヤとは異なり、他のキャリヤまたは硬い表面からの擦過からバイオフィルム2を保護することができる保護された表面を有することから恩恵を受ける。代わりに、本発明では、水への長期曝露によって軟化したバイオキャリヤ1間の衝突がそれほど過酷ではなく、それによってより少ないバイオフィルム2を削り取ることが見出された。また、バイオキャリヤ1要素の小さな粒径は、サイズがはるかに大きい伝統的なMBBRキャリヤと比較して、低い衝撃衝突に大きく寄与する。これらの要因が組み合わさる結果、保護された表面領域の必要がなくなり、代わりに、バイオキャリヤ1が高い総活性表面積しか持たないことを可能にし、それによってプラスチック加工を用いて特定の形状および形態を作製する必要がなくなる。
【0047】
バイオキャリヤ1要素は、実施例6によると、0~50重量%、より好ましくは2~40重量%またはさらにより好ましくは5~30重量%の水分含有量を有していてもよい。30重量%より高い水分含有量が可能であり、なおMBBR用途において有効なバイオキャリヤ1要素を有するが、製品の取扱いおよび貯蔵には問題が生じる可能性がある。また、より湿潤したバイオ粒子1の方が重量が高くなり、その結果、粒子を中心点で製造し、使用部位に輸送した場合、輸送コストが高くなる。しかし、局所使用については、乾燥もエネルギーを消費する工程であるため、逆が真実であり得る。なぜ、輸送を行わずに粒子を直接使用するのであれば、35~50%の水分含有量が正当化されるかもしれない。
【0048】
1つの実施形態において、バイオキャリヤ1粒子は、全質量基準で粒子の水分含有率として測定した場合、0~50重量%、より好ましくは2~40重量%またはさらにより好ましくは5~30重量%の間の水分含有量を含む。
【0049】
廃水スラッジについては、無機成分と有機物成分の比率は、約1:1(乾燥重量)であり得る。しかしながら、異なるスラッジタイプについては、実施例3に見られるように、これは大きい程度に変動し得る。バイオキャリヤ1要素は、実施例6による乾燥質量基準での粒子の灰分含有率として測定した0~90%、好ましくは0.5~60%の無機含有量を含んでいてもよい。本発明によるMBBRで使用するためのバイオキャリヤ1要素の製造に適したスラッジ原料は、これらの要件を満たす。典型的には、より多量の無機物質を含む組成物は、粒子のより高い密度をもたらし、MBBRプロセスでの使用に適している場合には、より小さな粒子を生じる。しかし、多孔質の無機材料も存在し、このような多孔質材料の混入は逆の効果を有する可能性があり、なぜ90%までの無機含有量が可能であるかもしれない。また、無機材料には微量元素が含まれている可能性があり、バイオマス成長にプラスの影響を及ぼす。
【0050】
1つの実施形態において、バイオキャリヤ1粒子は、乾燥質量基準で粒子の灰分含有率として測定した場合、0~90重量%、好ましくは0.5~60重量%の無機含有量を有する。
【0051】
バイオキャリヤ1要素は、実施例6に従い、乾燥質量基準での粒子の灰分含有率として測定した10~100%、好ましくは40~99.5%の有機含有量を含んでいてもよい。有機物質は通常、無機成分よりも低密度である。有機材料はまた、バイオキャリヤ1の機械的強度を増加させる役割を果たす。さらに、粒子の表面上の無機物質と有機物質の混合は、速い成長速度とバイオフィルム2への水素結合を確実にする表面を提供する。したがって、少なくとも10%の有機含有量が好ましい。
【0052】
1つの実施形態において、バイオキャリヤ1粒子は、乾燥質量基準での粒子の灰分含有率として測定した場合、10~100重量%、好ましくは40~99.5重量%の有機含有率を有する。
【0053】
MBBRプロセスで使用すると、粒子は湿潤し、ゆっくりと軟化し始めるであろう。欠点であることに反して、より柔らかい粒子は、恐らく粒子の有機および無機内容物が粒子の表面に成長する微生物のための栄養素として使用されることに起因して、バイオフィルム2の成長を促進すると思われることが見出された。さらに、柔らかい粒子は、粒子間の衝突によるいかなる損傷も最小限にし、粒子上でのバイオフィルム2の成長をさらに容易にするようである。これにより、プラスチック材料上で達成された活性と比較して、生物活性の迅速な確立がもたらされる。剛性プラスチック粒子(実施例11および図16参照)と比較して、高い生物活性は、バイオキャリヤ1要素上で迅速に確立され、一方限定された生物活性のみが、プラスチック粒子上でゆっくりと確立される。これは、最もおそらく、より低い衝撃衝突を可能にする剛性プラスチック粒子と比較して、強い分子間結合による表面へのより強いバイオフィルム2結合、およびバイオキャリヤ1の粒子軟化によるより少ない摩損に起因する。
【0054】
この実施例16および図22に加えて、生物活性は、従来のプラスチックMBBRキャリヤ要素と比較して、バイオキャリヤ1要素上でより早く確立され、このことは、バイオキャリヤ1がバイオフィルム2の確立により適した表面を有することを示すことが強調される。しかし、最終的な生物活性は、この場合、プラスチックキャリヤ要素が保護された表面を有するのと同様である。このことから、バイオキャリヤ1へのバイオフィルム2擦傷は有意ではないと結論づけられる。
【0055】
MBBRプロセスで使用すると、バイオキャリヤ1粒子密度もゆっくりと変化し、大部分は粒子の水分含有量の増加とその上のバイオフィルム2成長による。これは、コロニー形成およびせん断されたバイオキャリヤ1要素の沈降が調査される、実施例8に見ることができる。湿式および有意なバイオフィルム2成長にもかかわらず、沈降速度は、バイオキャリヤ1要素沈降速度が、MBBRプロセスにおける適用時の特性の変化を考慮に入れるように選択されているため、MBBRプロセスにおけるキャリヤ要素としての使用に適するのに尚十分に高いことが明らかである。
【0056】
移動床バイオフィルム反応器(MBBR)は、MBBRプロセスに適したキャリヤ要素を利用して、廃水などの液体を処理する方法と定義され、それは、1つもしくは数個のバイオリアクター10体積および/またはキャリヤ要素が保持される帯域において、汚染物から精製される液体中で連続的または断続的に懸濁および移動状態に保たれる。MBBRシステムは、エアレートおよび/または混合される少なくとも1つのバイオリアクター10を含む。混合は、機械的撹拌と同じくらい簡単でよい。バイオリアクター10体積において、バイオキャリヤ1が少なくとも1つのバイオリアクター10内に保持されている場合、バイオキャリヤ1は、エアレーションおよび/または混合によって精製される液体中に、連続的にまたは断続的に、懸濁および移動状態に保たれる。それによって、保持されたバイオキャリヤ10は、効率的な水の精製を可能にするバイオフィルム2の成長に大きく、適した表面を提供する。種々の体積または帯域のバイオリアクター10の例を、図5に示し、5aは1容量のバイオリアクター10を示し、5bは2容量のバイオリアクター10を示し、5cは2容量帯域のバイオリアクター10を示している。
【0057】
精製される液体は、一般に、処理される液体、廃水または流入液と呼ばれることがある。精製された液体は、処理された水、処理された液体または流出物と呼ばれることがある。保持された微生物によって分解される汚染物質には、主として、可溶性、コロイド状または粒子形態の有機、窒素およびリン成分が含まれる。しかし、微生物は、他の汚染物質にも同様に分解または適応する可能性がある。
【0058】
1つの実施形態において、バイオキャリヤ1は、汚染物質からの液体を精製するためにMBBRプロセスにおいて使用され、MBBRプロセスは、少なくとも1つのバイオリアクター10を含むMBBRシステムを利用し、バイオリアクター10は連続的または断続的にエアレートおよび/または混合され、少なくとも1つのバイオリアクター10内にバイオキャリヤ1が保持され、バイオキャリヤ1は、連続的または断続的に、精製される液体のエアレーションおよび/または撹拌によって精製される液体中に懸濁および移動した状態で保持され、バイオキャリヤ1は、バイオフィルム成長2のための表面を提供する。
【0059】
図5には、MBBRプロセスに利用されるバイオリアクター10の典型的な模式図が示されている。バイオキャリヤ1要素は、バイオリアクター10内に展開され、ガスエアレーションおよび/または混合によって懸濁液中で自由に流動するように維持される。混合は、バイオリアクター10内の水を機械的にかき混ぜるか、またはポンプで送り込むような多種多様な方法によって達成することができる。廃水は、バイオリアクター10に、バイオキャリヤ1要素表面上で細菌を成長させるように、1つまたは複数の明確に定義された流入口から連続的にまたは連続的に供給される。バイオリアクター10内の一定の保持時間の後、バイオリアクター10内のバイオキャリヤ1要素を保持しながら、1つまたは複数の明確に定義された流出口11を通して、精製された液体をバイオリアクター10から連続的にまたは順次排出する。
【0060】
この概略図には、バイオリアクター10内にバイオキャリヤ1要素を保持する方法または装置の任意の種類を示すことは含まれない。
【0061】
1つの実施形態において、バイオリアクター10は、生物活性が促進される1つまたはいくつかの連結された体積または帯域と、精製される液体を提供するための1つまたはいくつかの流入口11と、精製された液体を引き出すための1つまたはいくつかの流出口12と、1つまたはいくつかのエアレーター(複数可)13および/またはミキサー(複数可)14とを含む容器である。
【0062】
図6は、バイオキャリヤ1要素を使用するMBBRのための逐次操作の方法を示す。バイオリアクター10を逐次操作で走行させることにより、バイオリアクター10内のキャリヤ要素の大部分を保持することが可能である。図6の例では、充填局面中の廃水は、エアレーションおよび/または混合をオフに維持しながら反応器に供給される(ただし、実際には、エアレーションおよび/または混合が供給中にオンになることは珍しくない)。次に、エアレーションおよび/または混合をオンにして、バイオキャリヤ1要素が懸濁において自由に流れるように保持し、バイオキャリヤ1要素上に成長する活性バイオフィルム2が、好気性、嫌気性または無酸素条件のいずれかを利用して、廃水中の種々の汚染物を分解している。ある汚染物質の濃度が十分に低い場合、エアレーションおよび/または混合は、液体出口12がまだ閉じている状態で、かつバイオキャリヤ1要素の特性のためにオフにされ、バイオリアクター10の底部に速やかに沈降する。それは、沈降したバイオキャリヤ1要素レベルより上のレベルで精製液体を排出する最終相を可能にし、それによってバイオリアクター10内にバイオキャリヤ1要素を保持する。精製された液体は、ポンプ輸送、重力流、デカンティング、および液体の連続抽出のための他の確立された技術によって抽出され得る。次いで、充填相を再び繰り返す(連続供給)か、または連続的(連続供給)し、続いて反応、沈降および排出局面を連続的方式で繰り返すことができる。
【0063】
一実施形態では、精製された液体は、バイオリアクター10から断続的に排出され、バイオキャリヤ1は、エアレーションおよび/または撹拌を順次不活化することによって精製された液体が排出されるときにバイオリアクター10内に保持され、それによってバイオキャリヤ1がバイオリアクター10体積内に沈降することを可能にし、沈降したバイオキャリヤ1の上方に存在する精製された液体を排出させる。
【0064】
これは、逐次相分離モード、逐次モードまたは逐次操作と呼ばれる。
【0065】
1つの実施形態において、エアレーションは断続的エアレーションであり;および/または混合は断続的である。
【0066】
図7では、ふるい15a、スクリーン15b、フィルター15cまたは膜15dを利用した連続供給およびエアレーションによる連続分離モードで実行するMBBRプロセスが見られる。このようなプロセスにおいて、MBBR反応器は連続的にエアレートされ、供給され、バイオキャリヤ1要素は、前記ふるい15a、スクリーン15b、フィルター15cまたは膜15dを利用してバイオリアクター10内に保持される。バイオキャリヤ要素1は、精製された液体から分離され、それによってバイオリアクター19の内側に保持されて、コロニー形成されたバイオキャリヤ1要素をバイオリアクター10の内側に保持する。
【0067】
ふるい分け15aメッシュサイズは、ミリメートルメッシュサイズを意味する微生物成長を有するバイオキャリヤ1要素よりも当然小さくなければならない。このような小さなメッシュサイズは、懸濁液中のバイオリアクター10内の自由に生息するかまたは凝集したバイオマス構築により容易に詰まる可能性があり、従って、逆流または他のタイプのふるい15a洗浄が推奨される。
【0068】
図8に示されるような他の分離器をまた利用することができ、相分離器16が使用される。相分離器16は、相間の密度の差を利用して、気体、液体、懸濁スラッジおよびバイオキャリヤ1要素相を分離することができ、それによってバイオリアクター10内にバイオキャリヤ1要素を保持することができ、バイオキャリヤ1要素は最も重い相にある装置である。相分離器16の一例は、Heijnen、米国特許第5,230,794号に記載されており、微生物成長を有するキャリヤ要素を精製した液体から分離し、それによってキャリヤ要素をバイオリアクター10体積に保持する。
【0069】
図8は、相分離器16を利用した連続的エアレーションによる連続供給モードでのMBBRプロセス実行を示す。バイオキャリヤ1要素は、精製した液体および懸濁させた自由流動固体スラッジから重力によって分離され、それによってバイオリアクター10の内側に保持される。
【0070】
1つの実施形態において、MBBRシステムは、バイオリアクター10内にバイオキャリヤ1を保持するために、スクリーン15a、ふるい15b、フィルター15c、膜15d、または相分離器16をさらに含む。
【0071】
1つの実施形態において、精製した液体は、バイオリアクター10から連続的に排出され、MBBRシステムは、バイオリアクター10内にバイオリアクター1を保持するために、スクリーン15a、ふるい15b、フィルター15c、膜15dまたは相分離器16をさらに含む。
【0072】
これを、連続相分離モード、連続モードまたは連続操作と呼ぶ。
【0073】
バイオリアクター10にバイオキャリヤ1を保持するためにスクリーン15a、ふるい15b、フィルター15c、または膜15dを使用すると、懸濁したスラッジがより大きい程度に反応器内に蓄積し、フィルターの詰まりにつながる可能性があることが見出された。このように、このような問題が発生した場合には、連続相分離モードでの相分離器16の利用または逐次相分離動作モードの利用が好ましいと思われる。
【0074】
逐次動作は、粒子が懸濁状態に保たれず、バイオリアクター10の底部に蓄積される期間をもたらす。しかし、コロニー形成されたバイオキャリヤ1粒子は、従来のMBBRキャリヤよりも付着せず、または詰まらず、容易に溶液中に再懸濁し得ることが見出された。
【0075】
バイオキャリヤ1要素は、最終的に分解、崩壊、または損失される可能性があるので、時々粒子を再充填する必要があるかもしれない。操作のモード、粒子組成に依存して、粒子の分解の時間は変動し得、また再充填のための種々の戦略も利用される可能性がある。例えば、少量のバイオキャリヤ1粒子を非常に頻繁に、例えば毎日添加することができるか、またはより多量の粒子をより少ない頻度で、例えば毎日、毎週、毎月、毎年、もしくはさらに少ない頻度で添加することができる。バイオキャリヤがより高い速度で失われるプロセスについては、より断続的に粒子を再充填することが有益であろう。
【0076】
1つの実施形態において、さらなるバイオキャリヤ1は、失われたかまたは消費された粒子を補充するために、バイオリアクター10に定期的に、例えば毎日、毎週、毎月、またはさらには毎年再充填される。
【0077】
しかし、バイオキャリヤ1粒子が最終的に崩壊するかまたは分界されるという事実は、課題とならない。なぜなら、この段階的なプロセスでは、消費されたバイオキャリヤ1は単に廃棄物懸濁スラッジの一部となり、廃水処理プラント下流でリサイクルまたは処理されるからである。
【0078】
このように、1つの実施形態では、消費されたバイオキャリヤ1は、排懸濁スラッジの一部となり、水洗浄プロセスで、または廃水処理プラントで下流でリサイクルされる。
【0079】
より大きな粒子がバイオリアクター1から逃れるように管理される場合には、ふるいまたはフィルターを用いて、このような失われた粒子を液体流のさらに下流で捕捉することができる。もしそうであれば、そのような捕獲された粒子を、バイオリアクター10に戻し、再利用してもよい。
【0080】
スクリーン15a、ふるい15b、フィルター15c、または膜15dを、バイオリアクター出口12に設置して、図7に示すように、バイオリアクター10の内側にコロニー形成されたバイオキャリヤ1要素を保持することもできる。ふるい15aメッシュサイズは、ミリメートルメッシュサイズを意味する微生物成長を伴うバイオキャリヤ1要素よりも当然小さくなければならない。このような小さなメッシュサイズは、懸濁液中のバイオリアクター10内の自由に生息するかまたは凝集したバイオマス構築により容易に詰まる可能性があり、従って、逆流するか、または他のタイプのふるい15b洗浄を定期的に利用することが好ましい。
【0081】
CODおよびアンモニアを除去して廃水を処理するMBBRプロセスにおける活性バイオフィルム2キャリヤとしてのバイオキャリヤ1要素の性能を保証するために、ベンチスケール試験を、いくつかの構成で実施した。実施例8では、2種類のバイオキャリヤ1要素、産業的な活性化されたスラッジベースの、および消化された地方自治体のスラッジベースを、MBBRプロセスに利用した。さらにリサイクルされたポリ塩化ビニル粒子(水中に沈む)を、MBBRプロセスで使用して、スラッジベースのバイオキャリヤ1に関連するプラスチック材料として機能させた。実施例9および10に見られるように、迅速なCOD除去は、非常に迅速に続き、実施例9では7日間で90%まで、実施例10では3日後にすでに50%のCOD除去が生じ、その後1週間以内に90%超のCOD除去に達した。これは、実施例11のポリ塩化ビニル粒子と比較することができ、7日後にはわずか45%のCOD除去に達し、22日後にはそれ以上CODを除去しなかった。これらの結果は、プラスチック材料が保護された表面領域を持たずにMBBRプロセスにおけるキャリヤ要素としての使用に適さないことを明らかに示した。また、実施例16は、保護された表面領域を有する従来のMBBRキャリヤに対するバイオキャリヤ要素の比較を示す。図22は、バイオキャリヤ1を利用したより迅速なCOD除去を明確に示している。このように、バイオキャリヤ1粒子は、保護された表面領域を有するプラスチック粒子および従来のプラスチックMBBRキャリヤと比較して、非常に速く活性化することが明らかである。
【0082】
実施例12では、図14および17に見られるように、バイオキャリヤ1を使用する単一の反応器において、COD除去およびアンモニア除去を同時に促進することができることも示されている。
【0083】
実施例13は、バイオキャリヤ1を用いた2段階反応器におけるCOD除去およびアンモニア除去を示す。2段階システムにより、95%可溶性COD除去および98%アンモニア除去が達成された。
【0084】
実施例14は、地方自治体の消化スラッジに基づくバイオキャリヤ1要素を用いて同様の結果が達成されることを確認する。
【0085】
実施例15では、バイオキャリヤ1は、逐次および連続操作モードの両方の間、MBBRプロセスにおいて使用される。ここでは、連続および逐次モードでMBBRプロセスを実行すると、同じ反応器におけるCODおよびアンモニア除去が達成できることが示される。図21に見られるように、一定のエアレーションを利用する代わりに逐次相分離モードでバイオリアクター10を操作することは、1段階反応器でCODを同時に除去する場合、より安定な硝化プロセスであった。逐次相分離は、バイオキャリヤ1要素を保持しながら、懸濁液中のバイオマスの除去を確実にした。バイオリアクター10内にバイオキャリヤ1要素を保持するためにふるいを利用する連続相分離は、バイオキャリヤ1要素上のバイオフィルム2の硝化能力を妨げる懸濁したバイオマスの有意により多くを保持する傾向がある。逐次相分離モードでは、可溶性CODを90%超除去し、一方同時にアンモニアを効果的に除去した。
【0086】
図9では、本発明のバイオキャリヤ1を、水処理プロセス列内の種々の位置に組み込んで、プロセス列の性能を高め、向上させることができることも想定される。また、本発明のバイオキャリヤ1は、他の処理工程、例えば、粒子がバイオフィルム2成長のためのより大きな表面積を可能にする嫌気性である工程において利用することができることが想定される。
【0087】
図10および11に、バイオキャリヤ1要素の製造の可能な経路の模式図を示す。図10は、バイオキャリヤ1要素の製造方法を示し、例えば、一次または二次スラッジであり得るあらゆる種類の廃水処理プラントからのスラッジの可能性がある。一次および二次スラッジの両方は、バイオキャリヤ1要素製造のための原料として直接利用することができ、または例えば、消化された一次スラッジ、消化された二次スラッジまたはそれらの任意の組み合わせをバイオキャリヤ要素製造のための原料として利用することができるバイオガス製造のためにさらに消化することができる。
【0088】
バイオキャリヤ1の製造に局所的スラッジを用いることにより、バイオキャリヤ1の水処理プラントへのコストのかかる輸送が回避され得る。さらに、バイオキャリヤ1は、スラッジが特定の水処理プロセスから収集されるので、水精製プロセスにおけるスラッジと非常に良好な整合である可能性が最も高く、これは、良好な成長特性を保証するはずである。また、バイオキャリヤ1は貯蔵または輸送する必要がないため、スラッジをより少ない程度で乾燥させることができ、それによって時間が節約され、エネルギーが保存され得る。そのため、いくつかの環境的および経済的利益の両方が提供される。
【0089】
図11では、バイオキャリヤ1要素の製造のための模式図、脱水されたスラッジ基材が廃水処理プラント施設で生産され、おそらく脱水された後、バイオ粒子1が製造される集中生産施設に輸送される。
【0090】
中心製造設備はまた、水処理プラントでのバイオキャリヤ1製造装置の必要性を回避するなどの利点を提供するであろう。さらに、中央施設は、バイオキャリヤ1製造方法において有用であり得る、いくつかの異なる種類のスラッジまたは任意の添加剤を有することができる。
【0091】
製造プロセスでは、種々の種類のスラッジ原料(どの種類が廃水処理プラントの構成およびどのような技術を現場で利用するかに依存する)を、1つまたはいくつかの異なる技術、例えば、限定されるものではないが、沈降技術、遠心分離技術、ハイドロサイクロン技術、溶存空気浮遊技術またはフィルター加圧技術を用いて、脱水されたスラッジ中の総固形分含有量が5~60重量%またはより可能性の高い10~40重量%またはさらに可能性の高い10~30重量%に達する工程で、1つまたはいくつかの工程で任意にさらに脱水する。
【0092】
スラッジは、工程(i)で脱水されて、例えば、しかし限定されずに、1つ以上のスラッジ脱水技術、例えば、しかし限定され;薄層乾燥、ベルト乾燥、ドラム乾燥、円盤乾燥、垂直方向乾燥、太陽乾燥、またはそれらの任意の組み合わせを利用して、65重量%超、またはより好ましくは80重量%を超える、さらにより好ましくは90重量%を超える全乾燥固形分含有量に達する。
【0093】
次いで、脱水スラッジは、工程(ii)において、例えば、しかし限定されずに、製粉、フライス加工、破砕、切断、ペレット化または顆粒化によって、粒子に形成される。
【0094】
1つの実施形態において、バイオキャリヤ1の製造方法は、(i)総乾燥固形分含有量が65重量%超、好ましくは80重量%超、またはより好ましくは90重量%超までスラッジを脱水し;および(ii)脱水したスラッジを粒子に形成する工程を含む。
【0095】
スラッジは、例えば薄層乾燥、ベルト乾燥、ドラム乾燥、減圧乾燥、ディスク乾燥、垂直トレイ乾燥、太陽乾燥またはこれらの任意の組み合わせのような廃水処理プラントで頻繁に利用可能であり得るかまたは利用可能であり得ない既知の最新のスラッジ乾燥技術を利用することによるスラッジ乾燥技術を含むが、これらに限定されない技術を用いて脱水される。脱水は、バイオキャリヤ1要素がMBBRプロセスにおいてキャリヤ要素として利用されるのに十分な高い機械的強度と体積質量密度を得るために行われる。
【0096】
1つの実施形態において、工程(i)の脱水は、薄層乾燥、ベルト乾燥、回転ドラム乾燥、ディスク乾燥、垂直方向乾燥、太陽乾燥、真空乾燥、流動床乾燥機、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つまたはいくつかのスラッジ脱水技術を利用する。
【0097】
脱水スラッジは、製粉、フライス加工、破砕、切断造粒、押出、プレスもしくはペレット化、またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、従来の技術水準を使用して粒子に形成される。小粒子の生産は、細菌があるバルク体積のバイオキャリヤ1要素中で成長するための大きな表面積をもたらす。また、産生されたバイオキャリヤ1要素の沈降速度範囲が最適であることを確認する。
【0098】
1つの実施形態において、粒子は、工程(ii)において、製粉、フライス加工、切断、粉砕、ペレット化、顆粒化、押出またはプレスによって形成される。
【0099】
1つの実施形態において、工程(i)および(ii)は、乾燥および脱水スラッジを機械的に粒子形態に形成する両方の技術、例えば回転ドラム乾燥を用いて、同時に行われる。
【0100】
次いで、形成された粒子を工程(iii)で選択して、バイオリアクター10の作動に適した沈降速度を有するバイオキャリヤ1要素を、操作モードで、ふるい分け、スクリーニング、空気分類、比重分離またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない技術を利用して作製する。
【0101】
1つの実施形態において、製造方法はさらに、以下の工程を含む:
(iii)工程(ii)からの粒子を特性評価し、および特性評価に基づいて、MBBR工程においてバイオフィルム2を担持する際に使用するためのバイオキャリヤ1を選択する工程。
【0102】
1つの実施形態において、前記選択されたバイオキャリヤ1は、以下の属性の少なくとも1つを有する:
公称直径0.5~10mm、好ましくは0.7~7mm、さらに好ましくは0,9~4mm;
空気中で、次いでエタノール(99.9体積%)中で20℃、1気圧で秤量して測定するとき、容量質量密度1.01~2.5g/cm、好ましくは1.02~1.8g/cm
0.1~100mg、好ましくは0.5~30mgの重量。
【0103】
1つのさらなる実施形態において、前記選択されたバイオキャリヤ1は、以下の属性の少なくとも1つを有する:
20℃および1気圧での変性エタノール(99.9体積%エタノール)中の0.02m/s~0.4m/s、好ましくは0.05m/s~0.2m/sの範囲の沈降速度;
粒子の乾燥質量基準のパーセンテージによって灰分含有量として測定される0~90重量%、好ましくは0.5~60重量%の無機物含有量;および
粒子の総重量によって計算される0~50重量%、より好ましくは2~40重量%またはさらにより好ましくは5~30重量%の水分含有量。
【0104】
効率的な製造選別方法の使用を可能にするために、脱水したスラッジ粒子を、沈降速度、無機含有量および/または水分含有量のような属性について、分離された特性化ステップにおいて選択することができる。次いで、選択された基準内に入るスラッジ粒子を、サイズおよび/または重量のような属性を考慮して特徴付けてもよい。これにより、適切な沈降速度、無機物含有量および/または水分含有量を有する粒子を、サイズまたは重量基準を通して選別することが可能になる。
【0105】
1つの実施形態では、20℃および1気圧での変性エタノール(99.9体積%エタノール)中の0.02m/s~0.4m/s、好ましくは0.05m/s~0.2m/sの範囲の沈降速度を有するバイオキャリヤ1が、選別のためのサイズおよび/または重量パラメータの参考として使用され、したがって、適切な沈降速度を有する粒子がサイズまたは重量基準を通して選別されることを可能にする。
【0106】
公称の直径またはサイズ、体積質量密度または重量のような基準による選別の場合、非常に有効な産業選別技術、例えばふるい分け、スクリーニング、空気分類、および比重分離、またはそれらの任意の組合せを利用することができる。
【0107】
1つの実施形態において、粒子は、ステップ(iii)において、ふるい分け、スクリーニング、空気分類、および比重分離、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される技術によって特徴付けられる。
【0108】
選択段階の後、バイオキャリヤ1要素は、生物学的処理プロセスにおいてバイオフィルム2キャリヤとして機能するために、廃水処理プラントにおける二次生物処理工程に戻すことができる。
【0109】
バイオキャリヤ1要素はまた、生物学的処理プロセスにおいてバイオフィルム2キャリヤとして機能するために、局所的な場所で使用するために中央化された施設から輸送されてもよい。
【0110】
特徴付けおよび選択は、特に適用の性質に適した粒子を選択する機会を提供する。例えば、実施例12において、COD除去は、同じバイオリアクター10においてアンモニア除去と組み合わせられ、これは、流入物中の高いCOD負荷のために、有意なバイオフィルム2付着をもたらす。このような場合、大量の付着したバイオフィルムは、コロニー形成されたバイオキャリヤ1の沈降速度を低下させるため、より大きな重いバイオキャリヤ1要素を使用することが有利であり得る。実施例13において、COD除去は、既に第1のバイオリアクター10において実施されており、これは、アンモニア除去のみが第2のリアクターにおいて直列に実施されることを意味する。ここでは、付着したバイオフィルム2の量が有意に低くなり(主に硝化バイオフィルム2)、それによってバイオキャリヤ1要素の沈降速度が同程度に低下しないため、より軽く小さいバイオキャリヤ1要素を使用してもよい。
【0111】
異なるスラッジは、わずかに異なる特性をバイオキャリヤ1に与えるであろう。例えば、高い無機含有量を有するスラッジは、そのより高い密度のために、おそらく、適当なMBBR特性を有するより小さな粒子を生成するであろう。そのため、特定の用途に適したスラッジが選択される場合がある。選択プロセスはまた、バイオリアクター10、またはバイオリアクターに類似したエアレートおよび/もしくは混合された容器のようなエアレートおよび/または混合された容器で直接行うこともできる。つまり、広範囲の粒子(MBBRには不適なものもある)を加えると、粒子が軽すぎる/小さすぎると洗い流され、一方重すぎる/大きな粒子は沈むだろう。粒子は湿潤し始めるであろうし、そのため粒子はすぐに柔らかくなり、中央施設からの輸送に適さなくなる。これが局所的施設で代わりに行われる場合、場合によってはMBBRバイオリアクター10でも、粒子が小さすぎると、粒子が添加された際に、フィルターを詰まらせるか、または精製プロセスにピーク負荷を加える危険性がある。同様に、バイオリアクター10の底部に蓄積された余剰スラッジは、精製される水中の利用可能な酸素含有量を減少させる可能性があり、これも成長を遅らせる可能性がある。そのため、粒子を湿らせる前に、特徴付けおよび選択プロセスを有することが好ましい。
【0112】
1つの実施形態において、選択工程(iii)は、連続的もしくは断続的にエアレートされ、かつ/または連続的もしくは断続的に混合されたバイオリアクター10において行われ、ここで、特性評価基準よりも遅い沈降速度の粒子は廃棄され、
液体は、バイオリアクター10から断続的に取り出され、特徴付け基準に適合するバイオキャリヤ1は、エアレーションおよび/または撹拌を逐次的に不活性化することによって精製された液体が引き出されたときに、バイオリアクター10に保持され、それによって、特徴付け基準に適合するバイオキャリヤ1がバイオリアクター10に沈殿することを可能にし、沈殿したバイオキャリヤ1の上に存在する沈殿するには小さすぎるかまたは軽い粒子と共に液体を引き出す、または
液体がバイオリアクター10から連続的に取り出される場合、バイオリアクター10は、スクリーン15a、ふるい15b、フィルター15c、膜15dまたは相分離器16をさらに含んで、バイオキャリヤ1を保持して、バイオリアクターに定着する特徴付け基準に適合し、沈降したバイオキャリヤ1の上に存在するように、粒子が小さすぎるか、または軽すぎることを伴って液体を排出させる。
【0113】
スラッジは、脱水工程の前に脱水してもよい。これは、例えば、スラッジを中心製造設備に輸送する場合には、スラッジの過剰な容積および重量を避け、結果としてコストおよび環境への影響を高めるために好ましい。通常、スラッジは約15~30%の総固形分量まで脱水されるが、10~40%、さらには5~50%のようなより広い範囲が、バイオキャリヤ製造法に働くであろう。
【0114】
1つの実施形態において、スラッジは、脱水工程(a)において、脱水工程(i)の前に、5~50重量%、好ましくは10~40重量%、またはより好ましくは15~30重量%の総固形分含有量に達するように脱水される。
【0115】
利用できる複数の異なる脱水技術があり、種々の技術は種々の利点を提示する。たとえば、空間および水の処理能力が可能である場合、沈降技術が最適であろう。しかしながら、脱水工程の足跡が小さくなければならず、かつ全体を通して高くなければならない場合には、遠心分離またはフィルタープレスのような技術が好まれることがある。
【0116】
1つの実施形態において、工程(a)における脱水は、沈降技術、遠心分離技術、ヒドロサイクロン技術、溶存空気浮遊技術、およびフィルター加圧技術からなる群から選択される1つまたはいくつかの異なる技術を使用することを利用する。
【0117】
示されているように、ほとんどのスラッジ型は、本発明のバイオキャリヤ1と適合する。しかし、バイオ成長を支えることができない有害な化学スラッジ、または主に砂であるスラッジ堆積物のような、ある種のスラッジタイプは、バイオキャリヤ1の製造にはあまり適さない場合がある。このような場合には、異なる種類のスラッジを混合し、スラッジを適当なものにするか、または1種もしくは数種の添加剤を添加し、スラッジ中に混合することができる。高度に毒性のスラッジなど、ある種のスラッジは単に避けることができるかもしれない。
【0118】
有機または無機成分のような添加剤を用いて、脱水スラッジの体積質量密度を変化させることができる。繊維状成分を用いて、バイオキャリヤ1の機械的強度を増大させることができる。バイオマスの成長を促進するために、栄養素またはミネラルを添加してもよい。添加物は、本発明によるバイオキャリヤ原料に添加することができ、バイオキャリヤ1要素質量の50%以下、好ましくは30%以下またはさらに好ましくは20%以下を構成することができる。50%を超える高い量は、技術的および/または経済的観点から有益ではない。
【0119】
スラッジの種類および添加剤の混合は、スラッジが脱水される前に行うことが好ましい。
【0120】
1つの実施形態では、脱水工程(i)の前に、1つまたはいくつかの添加剤が添加され、スラッジ中に混合され、添加剤(複数可)は有機または無機成分であり、脱水したスラッジの体積質量密度に影響を及ぼし、バイオキャリヤ1の機械的強度を増加させる繊維状成分、および/またはバイオマス成長を促進する栄養素もしくはミネラル;ならびに/あるいは脱水工程(i)の前に、異なる種類のスラッジが混合工程(b)で混合される。
【0121】
本発明を、具体的な実施形態(複数可)を参考にして上述したが、ここに示される特定の形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明は、添付した特許請求の範囲によってのみ限定され、上に特定した以外の他の実施形態も、例えば上記とは異なる、これらの添付した特許請求の範囲内で等しく可能である。
【0122】
特許請求の範囲において、「含む(comprises)/含む(comprising)」という用語は、他の要素または工程の存在を除外するものではない。さらに、個々に記載されているが、複数の手段、要素または方法の工程は、例えば、単一のユニットまたは処理装置によって実施されてもよい。さらに、個々の特徴は、種々の請求項に含まれてもよいが、これらは、場合によっては有利に組み合わせられてもよく、異なる請求項における包含は、特徴の組み合わせが実行可能ではない、かつ/または有利でないことを意味しない。さらに、単数の参照は、複数を除外しない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の」、「第2の」などの用語は、複数を排除しない。特許請求の範囲の引用符号は、単に明確な例として提供されるものであり、いかなる方法においても特許請求の範囲を何ら限定するものと解釈してはならない。
【実施例
【0123】
以下の実施例は単なる例であり、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、決して本発明の範囲を限定することを解釈されるべきではない。
【0124】
実施例1:実施例で利用されるキャリヤ要素の材料および製造方法
多くの種々の種類のスラッジおよび他の廃棄物原料を、以下に従い、キャリヤ要素の製造に利用した。
1.局所的な廃水処理プラントから供給される産業脱水活性(二次)スラッジ
2.局所的な廃水処理プラントから供給される自治体の脱水消化(一次+二次)スラッジ
3.廃水処理プラントから供給される自治体の脱水一次+二次スラッジ(供給源1)
4.廃水処理プラントから供給される自治体の脱水活性(二次)スラッジ(供給源2)
5.食品の生産者から供給される乾燥食品廃棄物
6.リサイクルされたポリ塩化ビニル(PVC)粒子
【0125】
1~4からの脱水したスラッジケークを、64~95重量%の間で変化する最終全乾燥固体含有量に達するまで、70℃のオーブン中で乾燥させた。乾燥したケークを粉砕ミルに供給して、粒子を形成させ、次いで粒子を異なる比率でふるい分けして、それらの間の質量および粒子サイズに一定の変動があるようにした。1からのふるい分けした粒子を図1に示し、2からのふるい分けした粒子を図2に示す。
【0126】
4からの脱水したスラッジケークを、スラッジ乾燥機のパイロットスケール版で処理した。この工程で、スラッジケークは、64~95重量%で変動する乾燥固体の種々の水分含有量になるように紐状に均等に乾燥させることができた。乾燥した紐をグラインダーに供給して粒子を形成させ、次いで粒子を種々の比率でふるい分けして、それらの間の質量および粒子サイズに一定の変動をもたせた。
【0127】
さらに、スラッジベースの粒子に関連して使用して、他の廃棄物を試験した。供給者から受け取った粉砕した乾燥食品廃棄物およびリサイクルされたPVC粒子を、粉砕ミルに供給して、粒子を形成させ、その後、粒子を種々の比率でふるい分けして、それらの間の質量および粒子サイズに一定の変動があるようにした。
【0128】
上記に従って製造された種々のキャリヤ粒子を、以下の実施例で利用した。
【0129】
実施例2:バイオキャリヤ要素の体積質量密度の測定
所定の温度および大気圧(δ)で既知密度のエタノール(99.9体積%)を用いて、バイオキャリヤ粒子の体積質量密度を測定した。バイオキャリヤ粒子は、まず空気中(A)で、次に液体中(B)で秤量した。次いで、式1に従って、固体バイオキャリヤ粒子δの体積質量密度を表すことができた。
【数1】
【0130】
AT/AGおよびPG/PG-S/PRバランスのためのMettler Toledo密度判定キットを、10mgの感度でMettler Toldeo PG802-Sバランスに接続した。バランスの密度測定キットプラットフォームにあるガラスビーカーの端から温度計を懸垂した。ビーカーは、測定される固体の少なくとも1cmを覆うように、所定の温度および大気圧で、既知の密度の十分な変性エタノール(99~9体積%)で充填された。固形物を沈めるのに適したホルダーを吊り下げ、細かいブラシを用いて、ホルダーの浸漬部分に気泡が付着しないようにした。次いで、バランスを風袋引きし、Mettler Toldeo密度測定キットに取り付けられた秤量皿上で350mgの固体バイオキャリヤ要素を秤量した。表示された重量(空気中の固形物の重量)に気付いた。次いで、固体バイオキャリヤ要素を秤量皿から取り出し、エタノールに浸漬されているサンプルホルダーに配置した。細かいブラシで取り除くことにより、固形物に気泡が付着しないことを確実にした。バランスを安定化させ、P=A-Bである浮力Pの直接測定を可能にした。次いで、固体バイオキャリヤ要素の体積質量密度を、式2に従って計算できた。
【数2】
【0131】
上記の方法を用いて決定した多数の異なる廃棄物原料から製造された粒子の体積質量密度を、以下に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
上の表に見られるように、種々のスラッジ原料はすべて、水の体積質量密度を超える体積質量密度を有し、水中に沈むことを意味する。
【0134】
実施例3:バイオキャリヤ要素落下速度の測定
キャリヤ粒子の落下速度を、落下球粘度計実験に従って測定した。直径5cmの高さ80cmの測定ガラスに、変性エタノール(99.9体積%エタノール)を充填した。測定ガラスは外側にセンチメートル印を付け、各粒子はエタノールの表面直下にピンセットを用いて保持した。粒子を放出し、粒子がエタノール表面の5cm下のゼロセンチメートルマークを通過した際にタイマーを始動させた。粒子が測定ガラス底面から5cm上の70cmマークに達した際にタイマーを停止した。これにより、粒子沈降速度は、粒子の落下高さ(0.7m)を測定時間で割ることにより計算できた。エタノールは、水と比較して表面張力が著しく低く、本発明で利用されるような小さな粒子を扱う場合に測定誤差源を減少させるため、液体媒体として水の代わりに使用される。
【0135】
落下速度は、以下に要約した多数の種々の粒子塊および材料について測定し、そこで水分含有量を測定したところ、全ての粒子について5重量%であった。種々のキャリヤ要素の粒子質量の関数としての粒子落下速度もまた、図12に示される。
【表2】
【0136】
実施例4:バイオキャリヤ粒子公称サイズの判定
バイオキャリヤ要素の沈降速度は、Stokesの法則に従い、体積質量密度および粒子径(または質量)に依存する。Stokesの法則は、粘性流体中の非常に小さなレイノルズ数(層状流)をもつ球状物体にかかる摩擦力または抗力(F)を表す。それを、以下のように述べる:
=6πμrv (式3)
式中:Fは、流体と粒子との間の界面に作用する摩擦力であり、μは、粘性液体の動的粘度であり、rは、球形物体の半径であり、vは、物体に対する流速である。
【0137】
Sl単位において、Fはニュートンで、μはPa・sで、rはメートルで、vはm/sで与えられる。Stokesの法則は、層状流、球形粒子、均一(組成が均一)物質、表面平滑で、粒子同士が互いに干渉しないという仮説を立てている。
【0138】
ストークスの法則は、落下球粘度計の基礎である。このタイプの実験では、流体は垂直ガラス管内で静止している。既知の大きさおよび密度の球体を、液体中に落下させる。球の終末速度は、管上の2つのマークを通過するのに要する時間で測定できる。末端(または沈降)速度では、超過力(F)は、次によって与えられる:
【数3】
式中、ρおよびρは、それぞれ球体および流体の質量密度であり、gは重力加速度である。
【0139】
末端速度(v)は、次に、F=Fを通して2つの力を平衡化し、速度(v)について解くことによって与えられる。粒子がそれ自体の重量の下で粘性流体中に落下している場合、末端速度、すなわち沈降速度は、浮力と結合した摩擦力が重力と正確に釣り合うときに到達する。この速度v(m/s)は、次によって与えられる:
【数4】
式中:vは、ρ>ρであれば垂直方向に下向き、ρ<ρであれば垂直方向に上向き、gは重力加速度(m/s)、rは球形粒子の半径、ρは粒子の質量密度(kg/m)、ρは流体の質量密度(kg/m)、μは粘性液体の動的粘度(kg/m*s)である。
【0140】
非球形粒子、粗い粒子、または非常に高い濃度の粒子の沈降速度または落下速度は、Stokesによって研究されたように、層状流における滑らかな球形粒子と比較していくぶん低い。より粗い非球形形状を持つより大きな粒子の急速な沈降は、主に各顆粒(粒子)の後方の後流の乱流抗力によって抵抗される。Ferguson and Church (Journal of Sedimentary Research,Vol.74,No.6,November,2004,P.933-937)は、遷移領域を含む形状因子(C)も含めたサイズ範囲全体にわたる砥粒堆積物落下速度の明確な式を提案し、公表された新しい実験データとよく一致することを示した。この式は、以下を述べる;
【数5】
式中、wは粒子落下速度(m/s)、gは9.82(m/s)の値をとる重力加速度、Dは粒子径であり、非球形粒子の場合は、非球形粒子(m)と同等の体積の球の粒子径、ρは粒子の体積質量密度(kg/m)、ρは流体の体積質量密度(kg/m)、vは粘性流体の動的粘度(m/s)、Cは極めて角度の高い粒子に対して24の値をとる定数、Cは極めて角度の高い粒子に対して1.2の値をとる定数である。
【0141】
バイオキャリヤ要素粒子は一般に不規則な形状であり、不均一で、粗い表面を有するため、式4を利用して、種々の液体におけるそれらの粒子落下速度を計算することができる。大気圧およびエタノール中20℃の容量質量密度(ρ)(実施例2)、ならびに大気圧および20℃のエタノール中のバイオキャリヤ要素の粒子落下速度(実施例3)を測定することにより、本発明で非球形バイオキャリヤ粒子と同じ体積を有する非球形バイオキャリヤ粒子と同じ物質の球体の粒子径として定義した公称粒子径を算出することができる。20℃、大気圧でのエタノールの動的粘度v=1.52・10-6/sを用いて、種々のキャリヤ要素の計算された公称直径での20℃、大気圧でのエタノールの体積質量密度δ=793kg/mを以下に示す。図13には、外挿値(本例では測定されなかった整定速度に対する曲線スパンを増加させるため)も示されている。
【0142】
【表3】
【0143】
実施例5:MBBRで使用する場合の最大および最小粒子沈降速度特性の判定
バイオキャリヤ要素がMBBRプロセスにおいて良好に機能するためには、水中で一定の最大沈降速度を有しなければならず、それを超えると、懸濁液中を自由に流動する適切にエアレーションされた粒子を有することは困難であろう。実施例3に従って測定した最大沈降速度特性(vmax)を決定するために、広範囲の測定沈降速度(実施例3に従って測定した場合、0.1、0.15、0.20、0.25および0.30m/s)を有する粒子を、5つの別々のバルク体積に蓄積し、同じバルク体積で同じ沈降速度を有する粒子を、バイオリアクターの15%に対応させた。それは、本発明における生物学的プロセスにおいて効率的に働くことが試験されているバイオキャリヤ要素充填グレードである。次に、バイオリアクター体積に水を加え、バイオリアクターの底部から、バイオキャリヤ要素の15%負荷と同様の容量でフルスケールのMBBRエアレーションを模擬する速度で空気を吹き付けた。エアレーション反応器容積の上部で採取した水試料中の充填率を測定することにより、どのような粒子沈降速度で見ることができ、上部から採取した試料中の充填率は5%以下であった。上面の充填率が5%未満になった粒子の実施例3で測定した沈降速度は、Vmaxとして設定し、それ以上では、バイオキャリヤ要素は、もはや懸濁液中で適切に自由流動しないと考えられる。バイオキャリヤ要素のVmaxは、実施例3に従って測定した場合、0.2m/sと決定された。
【0144】
実施例3に従って測定した最小沈降速度特性(vin)を決定するために、種々の沈降速度を有するバイオキャリヤ要素を、バイオリアクターの15%に相当する同じバルク体積において同じ沈降速度を有する粒子と共に、多数の別々のバルク体積において蓄積した。5つの平行なバイオリアクターをセットアップし、各々は同じ沈降速度(実施例3に従って測定した場合、0.01、0.03、0.05、0.1および0.12m/s)を有する粒子のバルク体積を含有した。反応器を、1分の沈降時間を利用して逐次相分離モードで運転し、産業廃水(4kg/m/日の可溶性COD負荷)を、各々のバイオリアクターに供給して、バイオフィルム成長をバイオキャリヤ要素に誘導した。有意なバイオフィルム成長を、バイオキャリヤ上に30日間確立させた。バイオフィルム成長および低すぎる最初の沈降速度特性を有するバイオキャリヤ要素を含むバイオリアクターは、排出された液体と共にかなりの量のバイオキャリヤ要素を失った。沈降速度特性が0.01および0.03m/sのバイオキャリヤ要素を含むバイオリアクターは、それぞれキャリヤ要素の75と50%を失い、一方0.05m/sの沈降速度特性のキャリヤバイオキャリヤ要素を含むバイオリアクターは、10%のキャリヤ要素を失った。0.1および0.12m/sの速度特性を沈降させるバイオキャリヤ要素を含むバイオリアクターは、バイオキャリヤ要素のわずかな量を失った。実施例3に従って測定したこれらの実験vminからの結果により、バイオフィルム成長のない最初のバイオキャリヤ要素は、0.05m/sに設定された。
【0145】
実施例6:バイオ粒子の無機および有機含有量の測定
湿潤スラッジを秤量し(mWet sludge)、その後105℃で24時間オーブンで乾燥した。次に、乾燥試料を再度秤量し(mdry sludge)、水分含有量の百分率を100×mdry sludge/mWet sludgeに従って計算した。その後、乾燥したスラッジ試料を、550℃のオーブンに4時間入れた。次に「灰化した」試料を再度秤量した(mash)。乾燥スラッジ中の無機含有量は、100*(mash/mdrysludge)に従って計算した。その後、乾燥スラッジ中の有機含有量を、100*(1-mash/mdry sludge)に従って計算した。種々のスラッジ源から製造されたバイオキャリヤ要素について、総粒子量、粒子乾燥質量基準での無機含有量および粒子乾燥質量基準での有機含有量に基づく水分含有量の結果を、以下に示す。
【0146】
【表4】
【0147】
さらに、バイオキャリヤ要素特性、例えば、しかし限定されずに構造的完全性、体積質量密度、表面結合特性または生物学的活性促進特性を修正するために、上記に従って、有機または無機添加剤をバイオキャリヤ原料に添加してもよい。このような有機または無機材料は、構造的完全性増強のための繊維材料、体積質量密度を修正するための種々のミネラル、または表面特性の増強を促進し、生物活性をさらに促進するための種々のタイプの栄養素および/もしくは触媒であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0148】
添加剤は、本発明によるバイオキャリヤ原料に添加することができ、バイオキャリヤ要素質量の50%以下、好ましくは30%以下またはさらに好ましくは20%以下を構成することができる。50%を超えるより高い量は、技術的および/または経済的観点から有益ではない。
【0149】
実施例7:コロニー形成した、およびせん断されたバイオキャリヤ要素の沈降
コロニー形成した、およびせん断されたバイオキャリヤ要素の沈降速度を試験するために、コロニー形成したバイオキャリヤ要素の380mLバルク体積(最初のバイオキャリヤ要素の150mLバルク体積)を、ビーカー中の1Lの淡水道水に分散させ、内容物を1000mLのガラスメジャーに急速に注いだ。タイマーを始動させ、コロニー形成したキャリヤをガラスメジャーに沈降させた。380mLは、コロニー形成したバイオキャリヤ要素が占める最小のバルク体積であり、それ以上沈降することはできなかった。下表は、エアレーションの中断後に完全にコロニー形成したバイオキャリヤ要素を沈降させるのに要する時間を示す。コロニー形成したバイオキャリヤ要素は、約1分で元のバルクに近づいた。
【0150】
【表5】
【0151】
実施例8:バイオキャリヤ要素およびリサイクルしたPYCキャリヤ要素を利用した連続相分離によるMBBRバイオリアクターの操作
CODおよびアンモニアを除去することによって廃水を処理するMBBRプロセスにおける活性バイオキャリヤとしてのバイオキャリヤ要素の性能を保証するために、ベンチスケール試験を、いくつかの構成で行った。2種類のバイオキャリヤ要素、産業的な活性化されたスラッジベースおよび消化された地方自治体のスラッジベースを、MBBRプロセスに利用した。さらに、リサイクルされたポリ塩化ビニル粒子(水中に沈む)も、MBBRプロセスで利用して、スラッジベースのバイオキャリヤ粒子を参照するプラスチック材料として機能させた。利用された全てのキャリヤ要素は、実施例3に従って測定した場合、0.05m/sを上回り、0.2m/sを下回る沈降速度特性を有するように選択された。3つの1リットルバイオリアクターを、並行して設置した。3つの異なるキャリヤ要素およびリサイクルされたPVC粒子の150mLバルク体積を、別々のバイオリアクター中に添加した。バイオリアクターには、約500mg/Lの可溶性COD、80mg/LのNH -N、5mg/LのPO -P、緩衝液(NaHCO)および微量金属を含む産業廃水を、2時間の水圧保持時間、20℃の温度を利用して連続的エアレーションを伴って連続的に供給し、キャリヤ要素は、図8に従った連続相分離モード10を利用することによってバイオリアクター内に保持した。
【0152】
実施例9:産業的に活性化されたスラッジに基づくバイオキャリヤ要素を利用したMBBRにおけるCOD除去
実施例8によるMBBRバイオリアクター操作手順で、図14は、脱水された産業的に活性化されたスラッジから生成されたバイオキャリヤ要素を利用した150日間の操作中の流入および流出可溶性COD濃度の結果を示す。90%を超える可溶性COD除去が、操作の5日後に達成された。22日後、バイオキャリヤ要素の半分を除去し、出口における可溶性COD濃度の急激な増加を観察した。システムは回復したが、翌日には90%を超える除去が再び達成された。60日後、低pHショックの操作ミスが、成長したバイオフィルム中の細菌を固定化し、出口における可溶性COD濃度の急激な増加が見られた。このシステムは、再び回復し、3~4日後に90%超の除去を達成し、その後、残りの試行では90%、またはそれを超える可溶性COD除去で安定したままであった。
【0153】
実施例10:地方自治体の消化されたスラッジをベースとしたバイオキャリヤ要素を利用したMBBRにおけるCOD除去
実施例8に従ったMBBRバイオリアクター操作手順により、図15は、脱水された地方自治体の消化されたスラッジから生成されたバイオキャリヤ要素を利用するバイオリアクターの70日間の操作中の流入および流出可溶性COD濃度の結果を示す。最初の10日間、入口の可溶性COD濃度は、実施例9と比較して2倍(1000mg/mL)であった。図17から、可溶性COD濃度は、3日間で半分に低下し、その後この濃度で一定のままであり、それによって、実施例8のバイオキャリヤを利用した場合と同量の可溶性CODを除去することが分かる。入口濃度を10日後に半分に切断して、実施例8の可溶性COD除去反応器の入口濃度に一致させた。入口濃度を下げた6日後に、85%の可溶性COD減少に到達し、その後85~95%の間で安定したままであった。これは実施例9のバイオキャリヤの性能と同様であった。
【0154】
実施例11:リサイクルされたポリ塩化ビニル(PVQ)に基づくキャリヤ要素を利用したMBBRにおけるCOD除去
実施例8に従ったMBBRバイオリアクター操作手順により、図16は、リサイクルされたPVCに基づくキャリヤ要素を利用するバイオリアクターの21日間の操作中の流入および流出可溶性COD濃度の結果を示す。可溶性COD減少は、7日後に45%であり、その後50%前後でかなり一定であった。
【0155】
実施例12:産業的に活性化されたスラッジに基づくバイオキャリヤ要素を利用した1段階MBBRにおけるアンモニア除去
実施例8に従った(本実施例からは最初にアンモニア窒素濃度40mg/Lを有することを除いて)MBBRバイオリアクター操作手順で、図17は、脱水された産業的に活性化されたスラッジから生産されたバイオキャリヤ要素を利用したバイオリアクターの150日間の操作中の、流入(精製される液体)および流出(精製された液体)アンモニア窒素(NH-N)および流出亜硝酸塩(NO -N)および硝酸塩(NO -N)濃度の結果を示す。硝化は、NO -N濃度が流出量の増大を始めた30日後に開始された。流出物中のNH -Nは、35日後、硝化が開始されてから5日後にほぼ枯渇した。そのため、NH -N入口濃度は、43日後に80mg/Lに倍増した。55日後、出口内のNH -N濃度は、流出物中のNO -N濃度の増加と共に再び減少し始め、同時に可溶性CODを除去し、実施例9に示される通りである。60日後、低pH衝撃の操作ミスがバイオフィルム中の硝化剤を固定化し、NO -NおよびNO -N製造を根絶した。バイオフィルム内の硝化剤の回収は、NH -Nの除去が大幅に増加した80日間の操作後に、流出物中のNO -N濃度の増加を伴う120日間の操作後に85%の除去に達したときに確認できた。可溶性COD除去は、NH -N除去の増加と同時に高く維持した(図14)。
【0156】
実施例13:産業的に活性化されたスラッジに基づくバイオキャリヤ要素を利用した2段階MBBRにおけるアンモニア除去
追加の反応器を、実施例9および12の反応器に直列に連結して(2段階MBBR、5b)、アンモニア還元をさらに改善した。直列に連結された反応器を、最初のCOD除去反応器(図14および17)を36日間実行した後に作動させ、COD除去バイオリアクターから成長しているバイオフィルムをすでに有するバイオキャリヤ要素のいくつかを、バイオリアクター体積の15%の総バルク体積で最初のバイオリアクター要素と共に使用することにより、キック開始した。直列に連結された反応器に供給された廃水は、COD除去反応器から出る反応器からの流出物であった(図14および17)。図18は、直列に連結された第2の反応器における流入および流出アンモニア窒素(NH-N)および流出亜硝酸塩(NO -N)および硝酸塩(NO -N)濃度の結果を示す。流出物中のNH-N濃度は、(NO -N)および(NO -N)濃度の対応する増加と共に、(第1の反応器におけるNH-N除去とは無関係に)37日後に着実に減少し始めた。67日後、すべてのNH-Nは、NO -Nのみが流出物中に残された状態で枯渇し、試験全体を通して120日目で終了する安定していた完全な硝化を示す。2段階システムで、95%可溶性COD除去ならびに98%アンモニアおよび亜硝酸塩除去を達成した。
【0157】
実施例14:地方自治体の消化されたスラッジをベースとしたバイオキャリヤ要素を利用した1段階MBBRにおけるアンモニア除去
実施例8に従ったMBBRバイオリアクター操作手順により、図19は、脱水された地方自治体の消化されたスラッジから生産されたバイオキャリヤ要素を利用するバイオリアクターの70日間の操作中の流入および流出アンモニア窒素(NH-N)および流出亜硝酸塩(NO -N)および硝酸塩(NO -N)濃度の結果を示す。NO -N濃度は、処理約55日後に増加し始め、湧出物中のNH-N濃度が対応して減少した。可溶性COD除去は、NH -N除去の増加と同時に高く(図15)維持した。
【0158】
実施例15:バイオキャリヤ要素を利用した連続および逐次相分離によるMBBRバイオリアクターの操作
バイオリアクター中のバイオキャリヤ要素を保持するために連続相分離モードおよび逐次相分離モードの両方を利用してCODおよびアンモニアを除去することにより、廃水を処理するためのMBBRプロセスにおける活性バイオフィルムキャリヤとしてのバイオキャリヤ要素の性能を保証するために、ベンチスケール試験を行った。地方自治体の活性化されたスラッジから製造したバイオキャリヤ要素を、MBBRプロセスで利用した。利用されたバイオキャリヤ要素は、実施例3に従って測定した場合、0.05m/sを上回り、0.2m/sを下回る沈降速度特性を有するように選択された。1リットルのバイオリアクターを設定し、150mLのバルク体積の最初のバイオキャリヤ要素を加えた。バイオリアクターには、約500mg/Lの可溶性COD、80mg/LのNH -N、5mg/LのPO -P、緩衝液(NaHCO)および微量金属を含む産業廃水を、2時間の水圧保持時間および20℃の温度を利用して連続的に供給した。最初の45日間、バイオリアクターを連続的エアレーションで操作し、バイオキャリヤ要素を、それによって、図7に示すようにふるい(9)を利用して連続相分離によりバイオリアクター内に保持した。45日後から試験終了(80日)まで、バイオリアクターを連続的エアレーションおよび機械的混合で運転し、バイオキャリヤ要素を、それによってバイオリアクター内に図6に示すように逐次相分離8により保持した。エアレーションサイクルの順序は、15分間のエアレーション、1分間のエアレーションなし(バイオキャリヤ要素の沈降)および沈降キャリヤより上のレベルでの4分間の流出であった。その後、このサイクルを、1時間に3回繰り返した。
【0159】
図20は、45日後の相操作の変化が顕著な150日間の操作の間の流入および流出可溶性COD濃度の結果を示したものである。可溶性COD除去は、5日後に約90%であった。その後、除去は90~95%の間で安定化され、40日目頃まで可溶性COD除去が80%に減少した。これは、偶発的な操作上の問題が原因で、それによって一部のバイオキャリヤ要素が工程外に失われたためである。
【0160】
断続的エアレーションによる逐次相分離モードは47日目に開始し、可溶性COD除去は連続相分離モードと比較して低く、定常的なエアレーションは何らかのバイオキャリヤ要素の損失のため85%前後であった。したがって、入ってくる産業廃水中の可溶性COD濃度は、バイオキャリヤ要素の損失について調整すると250mg/Lに濃度の半分に減少した。廃水供給中の可溶性COD濃度がより低い15日間の操作後、除去は再び90%超であった。
【0161】
入ってくる産業廃水および出ていく流出液中のNH4-N濃度を、流出液中のNO -NおよびNO -N濃度と一緒に測定し、結果を図21に示した。バイオフィルムの硝化は、流出物においてNH4-N濃度が減少し始め、NO -N濃度が増加し始めたとき、24日間の操作(バイオキャリヤ要素を保持するために、ふるい9を利用した連続的相分離)後に開始された。32日目には、流出物中のNO -N濃度が低下し始め、40日目に再び低くなった。この時間の間、バイオキャリヤ要素を保持するために流出物に配置されたふるいは、適所に置かれたふるい洗浄機構が機能しなかったために過成長した。これにより、バイオリアクターは懸濁液中のスラッジで過成長し、バイオリアクターのオーバーフローによりバイオキャリヤ要素が失われた。これにより硝化率は低下した。
【0162】
ふるい洗浄メカニズムを回復し、反応器を懸濁液中のバイオマスから洗浄し、硝化は40日目から47日目まで回復し、流出物中のNO -N濃度が再び増加し、NH -N濃度が減少した。47日目の後、バイオリアクターは、前に述べたように、バイオリアクター中のバイオキャリヤ要素を保持するために、断続的なエアレーションを伴う連続相分離モードで操作された。この時点以降、硝化は65日後に硝化設定とともに増加した。
【0163】
図21では、一定のエアレーションを利用する代わりに逐次相分離モードでバイオリアクターを操作することが、1段反応器でCODを同時に除去する場合、硝化のためのより安定なプロセスであったことがわかる。逐次相分離は、バイオキャリヤ要素を保持しながら懸濁液中のバイオマスを除去することを保証した。バイオリアクター内にバイオキャリヤ要素を保持するためにふるいを利用する連続相分離は、バイオキャリヤ要素上のバイオフィルムの硝化能力を妨げる懸濁バイオマスの有意により多くを保持し、また溶存酸素濃度を低下させる傾向がある。逐次相分離モードでは、可溶性CODは90%以上除去され、同時にNH -Nを効果的に除去された。
【0164】
実施例16:K5キャリヤ媒体を基準として利用した1段階MBBRの操作
さらに、特定の保護表面積を有する標準プラスチックK5キャリヤ媒体(K5のPICTURE)を利用したMBBRを設定して、開始時の初期COD除去率をバイオキャリヤ要素と比較した。K5キャリヤ媒体の50%充填グレードを1L反応器に加え、500mg/L可溶性COD、80mg/L NH4+-N、5mg/L PO4+-P、緩衝液(NaHCO)および微量金属を含む産業廃水を、20℃の温度で2時間の水力保持時間を使用して反応器に連続的に供給した。K5キャリヤ媒体は、出口を通過できない十分な容量を有し、それによってバイオリアクターに保持された。
【0165】
バイオキャリヤ要素を利用した可溶性COD除去率も、保護された表面を有する市販のプラスチックK5キャリヤ媒体を利用した場合の可溶性COD除去率と比較することができた。図22では、充填グレード50%のK5キャリヤ媒体を利用した流出物中の可溶性COD濃度と、バイオキャリヤ要素を利用した場合の流出物中の可溶性COD濃度とを比較した。図11bに見られるように、主な可溶性COD濃度は、K5キャリヤ媒体を使用する場合と比較して、バイオキャリヤ要素を利用する場合、有意に短い時間で除去される。K5培地上での不均一な細菌の最初のバイオフィルム蓄積は最初は遅く、バイオフィルムがバイオキャリヤ要素上でバイオフィルムに追いつくまでにはK5媒体上のバイオフィルムの除去速度に6日を要した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22