IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バルメット テクノロジーズ オサケユキチュアの特許一覧

特許7477463連結部を有する熱交換器及びそれを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】連結部を有する熱交換器及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20240423BHJP
   F28F 1/00 20060101ALI20240423BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20240423BHJP
   F28F 9/18 20060101ALI20240423BHJP
   F22B 37/20 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F28D7/16 D
F28F1/00 B
F28F1/32 W
F28F9/18
F22B37/20 D
F22B37/20 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020564918
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 FI2019050363
(87)【国際公開番号】W WO2019224424
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】20185466
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】オヤンペラ,ユハ
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-007887(JP,A)
【文献】特開平03-211397(JP,A)
【文献】特開平10-220708(JP,A)
【文献】特開2001-235101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/16
F28F 1/00
F28F 1/32
F28F 9/18
F22B 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、当該熱交換器は、
第1の一次直線部、第1の一次湾曲部及び第1の二次直線部を有する第1の伝熱管であって、該第1の一次直線部及び該第1の二次直線部は長手方向において互いに平行に第1の平面内に延びる、第1の伝熱管と、
第1の一次連結部分であって、
第1の一次面と、
前記第1の一次面と反対側の第1の二次面と、
第1の三次面であって、少なくとも一部が前記第1の平面の法線の方向に面し、該第1の三次面は前記第1の一次面から前記第1の二次面に延び、前記第1の一次面と前記第1の二次面とを接続する第1の三次面と、
前記第1の三次面にある第1の一次孔及び第1の二次孔であって、該第1の一次孔及び該第1の二次孔の双方は前記第1の一次連結部分にわたって前記長手方向に延びる、第1の一次孔及び第1の二次孔と、
を含む、第1の一次連結部分と、
第1の二次連結部分であって、
第2の一次面と、
前記第2の一次面と反対側の第2の二次面と、
第2の三次面であって、少なくとも一部が前記第1の平面の法線の方向に面し、該第2の三次面は前記第2の一次面から前記第2の二次面に延び、前記第2の一次面と前記第2の二次面とを接続する、第2の三次面と、
前記第2の三次面にある第2の一次孔及び第2の二次孔であって、該第2の一次孔及び該第2の二次孔の双方は前記第1の二次連結部分にわたって前記長手方向に延びる、第2の一次孔及び第2の二次孔と、
を含む、第1の二次連結部分と、
を含み、
前記第1の一次連結部分は前記第1の二次連結部分に溶接されて、前記第1の伝熱管の一部を保持する第1の一次連結部を形成し、
前記第1の一次連結部は、
前記第1の一次孔及び前記第2の一次孔により形成される第1の一次開口であって、前記第1の一次直線部は、該第1の一次開口を介して前記第1の一次連結部を前記長手方向に貫通する、第1の一次開口と、
前記第1の二次孔及び前記第2の二次孔により形成される第1の二次開口であって、前記第1の二次直線部は、該第1の二次開口を介して前記第1の一次連結部を貫通する、第1の二次開口と、
を画定し、
前記第1の一次開口の形状は、前記第1の一次直線部の外面の形状に適合され、
前記第1の二次開口の形状は、前記第1の二次直線部の外面の形状に適合され、
当該熱交換器は、
前記第2の三次面を前記第1の一次面又は前記第1の二次面に接合する第1の溶接継ぎ手と、
前記第1の三次面を前記第2の二次面又は前記第2の一次面に接合する第2の溶接継ぎ手と、
を含み、
前記第1の溶接継ぎ手は、前記第1の一次直線部と前記第1の二次直線部との間において、前記第1の平面内にあり且つ前記長手方向に垂直な方向に延び、
前記第2の溶接継ぎ手は、前記第1の一次直線部と前記第1の二次直線部との間において、前記第1の平面内にあり且つ前記長手方向に垂直な方向に延び、
前記第1の三次面の一部は前記第2の三次面の一部に面する、熱交換器。
【請求項2】
前記第1の一次孔前記第1の二次孔との間において、前記第1の一次連結部分は、前記第1の一次面の法線に垂直であり且つ前記第1の平面の法線と形成する角度が最も小さくなる方向に第1の二次厚さが最も小さくなる部分を有し、
前記第1の二次厚さが最も小さくなる部分は10mm~50mmであり、
前記第2の一次孔前記第2の二次孔との間において、前記第1の二次連結部分は、前記第2の一次面の法線に垂直であり且つ前記第1の平面の法線と形成する角度が最も小さくなる方向に第2の二次厚さが最も小さくなる部分を有し、
前記第2の二次厚さが最も小さくなる部分は10mm~50mmである、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1の一次面の法線の方向における前記第1の一次連結部の全厚さは、前記第1の一次面の法線の方向における前記第1の一次連結部分の厚さと前記第1の二次連結部分の厚さとの合計よりも小さい、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1の溶接継ぎ手と前記第1の一次直線部及び前記第1の二次直線部の両方との間に少なくとも1mmの距離が残され、
前記第2の溶接継ぎ手と前記第1の一次直線部及び前記第1の二次直線部の両方との間に少なくとも1mmの距離が残され、
前記第1の溶接継ぎ手及び前記第2の溶接継ぎ手は、前記第1の一次直線部及び前記第1の二次直線部の間で少なくとも5cm前記第1の平面内にあり且つ前記長手方向に垂直な方向に延びている、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1の一次連結部分は、前記第1の一次面の法線の方向に第1の一次厚さを有し、該第1の一次厚さは15mm~40mmであり、
前記第1の二次連結部分は、前記第2の一次面の法線の方向に第2の一次厚さを有し、該第2の一次厚さは15mm~40mmである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1の一次直線部に第1の一次ストッパ及び第1の二次ストッパを含み、前記第1の一次連結部の少なくとも一部は該第1の一次ストッパと該第1の二次ストッパとの間に残されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1の伝熱管は1つ以上の追加の直線部を含み、前記第1の一次直線部、前記第1の二次直線部及び該1つ以上の追加の直線部は前記長手方向において互いに平行に前記第1の平面内に延び、
前記第1の一次連結部分は、前記第1の三次面に、前記第1の一次連結部分にわたって前記長手方向に延びる1つ以上の追加の孔を含み、前記第1の一次連結部分の該1つ以上の追加の孔の数は、前記1つ以上の追加の直線部の数に対応し、前記1つ以上の追加の直線部の一部は前記第1の一次連結部分の1つ以上の追加の孔内に1対1の関係で配置され、
前記第1の二次連結部分は、前記第2の三次面に、前記第1の二次連結部分にわたって前記長手方向に延びる1つ以上の追加の孔を含み、前記第1の二次連結部分の該1つ以上の追加の孔の数は、前記1つ以上の追加の直線部の数に対応し、前記1つ以上の追加の直線部の一部は前記第1の二次連結部分の1つ以上の追加の孔内に1対1の関係で配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
第2の一次直線部、第2の一次湾曲部及び第2の二次直線部を有する第2の伝熱管であって、該第2の一次直線部及び該第2の二次直線部は、前記長手方向において互いに平行に前記第1の平面内に延びる、第2の伝熱管を含み、
前記第1の一次連結部分は、前記第1の三次面に、前記第1の一次連結部分にわたって前記長手方向に延びる少なくとも2つの追加の孔を含み、前記第2の一次直線部の一部は、前記第1の一次連結部分の該少なくとも2つの追加の孔のうちの第1の孔内に配置され、前記第2の二次直線部の一部は前記第1の一次連結部分の該少なくとも2つの追加の孔のうちの第2の孔内に配置され、
前記第1の二次連結部分は、前記第2の三次面に、前記第1の二次連結部分にわたって前記長手方向に延びる少なくとも2つの追加の孔を含み、前記第2の一次直線部の一部は、前記第1の二次連結部分の該少なくとも2つの追加の孔のうちの第1の孔内に配置され、前記第2の二次直線部の一部は前記第1の二次連結部分の該少なくとも2つの追加の孔のうちの第2の孔内に配置される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
少なくとも前記第1の一次直線部及び前記第1の二次直線部を共に保持するように構成された第1の二次連結部を含み、
前記長手方向において、前記第1の二次連結部と前記第1の一次連結部との間に少なくとも50cmの距離が残される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
1つ以上の追加の伝熱管の少なくとも2つの追加の直線部を支持するように構成された第2の一次連結部を含み、
前記1つ以上の追加の伝熱管の前記少なくとも2つの追加の直線部は互いに平行に第2の平面内に延び、
前記第2の平面は前記第1の平面と平行であり、前記第1の平面からの所定の距離の位置に配置される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項11】
流動層ボイラであって、
炉と、
前記炉から排出される煙道ガスから熱を回収するように構成された煙道ガス熱交換器と、
前記流動層ボイラの使用時に流動層が形成されるように構成された空間を画定する壁と、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱交換器と、
を含み、
前記熱交換器の少なくとも一部は前記空間内に配置される、流動層ボイラ。
【請求項12】
煙道ガスから流動媒体を分離するための手段と、
前記煙道ガスから流動媒体を分離するための手段から流動媒体を受け取るように構成されたループシールと、
を含み、
前記熱交換器の少なくとも一部は前記ループシール内に配置される、請求項11に記載の流動層ボイラ。
【請求項13】
熱交換器を製造するための方法であって、当該方法は、
第1の一次直線部、第1の一次湾曲部及び第1の二次直線部を有する第1の伝熱管であって、該第1の一次直線部及び該第1の二次直線部は長手方向において互いに平行に第1の平面内に延びる、第1の伝熱管と、
前記熱交換器の伝熱管の連結部に好適な材料からできたプレートであって、該プレートは主面と、所定の方向に厚さとを有し、該主面の法線は該厚さの方向と平行である、プレートと、を利用可能に配置するステップと、
前記プレートから第1の一次連結部分を切断するステップであって、該第1の一次連結部分は、
第1の一次面と、反対側の第1の二次面であって、前記主面の一部が該第1の一次面又は該第1の二次面を形成する、第1の一次面及び第1の二次面と、
第1の三次面であって、該第1の三次面は前記第1の一次面から前記第1の二次面に延び、前記第1の一次面と前記第1の二次面とを接続する、第1の三次面と、
前記第1の三次面にある第1の一次孔であって、該第1の一次孔は前記第1の一次連結部分にわたって前記第1の一次面から前記第1の二次面に延び、前記第1の伝熱管の第1の一次直線部の一部を受容するように構成されている、第1の一次孔と、
前記第1の三次面にある第1の二次孔であって、該第1の二次孔は前記第1の一次連結部分にわたって前記第1の一次面から前記第1の二次面に延び、前記第1の伝熱管の第1の二次直線部の一部を受容するように構成されている、第1の二次孔と、
を有する、ステップと、
前記プレート又は第2のプレートから第1の二次連結部分を切断するステップであって、該第1の二次連結部分は、
第2の一次面と、反対側の第2の二次面であって、前記主面の一部又は前記第2のプレートの主面の一部が該第2の一次面又は該第2の二次面を形成する、第2の一次面及び第2の二次面と、
第2の三次面であって、該第2の三次面は前記第2の一次面から前記第2の二次面に延び、前記第2の一次面と前記第2の二次面とを接続する、第2の三次面と、
前記第2の三次面にある第2の一次孔であって、該第2の一次孔は前記第1の二次連結部分にわたって前記第2の一次面から前記第2の二次面に延び、前記第1の伝熱管の第1の一次直線部の一部を受容するように構成されている、第2の一次孔と、
前記第2の三次面にある第2の二次孔であって、該第2の二次孔は前記第1の二次連結部分にわたって前記第2の一次面から前記第2の二次面に延び、前記第1の伝熱管の第1の二次直線部の一部を受容するように構成されている、第2の二次孔と、
を有する、ステップと、
前記第1の一次直線部の外面が前記第1の一次孔の面に適合されるように前記第1の伝熱管の第1の一次直線部の一部を前記第1の一次孔に配置するステップと、
前記第1の一次直線部の外面が前記第2の一次孔の面に適合されるように前記第1の伝熱管の第1の一次直線部の一部を前記第2の一次孔に配置するステップと、
前記第1の伝熱管の第1の二次直線部の一部を前記第1の二次孔に配置するステップと、
前記第1の伝熱管の第1の二次直線部の一部を前記第2の二次孔に配置するステップと、
前記第1の一次連結部分を前記第1の二次連結部分に溶接して、前記第1の伝熱管の直線部を保持する第1の一次連結部を形成するステップと、
を含み、
前記プレートから前記第1の一次連結部分を切断することにより前記第1の三次面が形成され、
前記プレート又は第2のプレートから前記第1の二次連結部分を切断することにより前記第2の三次面が形成され、
前記第2の三次面を前記第1の一次面又は前記第1の二次面に溶接するために第1の溶接継ぎ手を形成し、該第1の溶接継ぎ手は、前記第1の一次直線部と前記第1の二次直線部との間において、前記第1の平面内にあり且つ前記長手方向に垂直な方向に延び、
前記第1の三次面を前記第2の二次面又は前記第2の次面に溶接するために第2の溶接継ぎ手を形成し、該第2の溶接継ぎ手は、前記第1の一次直線部と前記第1の二次直線部との間において、前記第1の平面内にあり且つ前記長手方向に垂直な方向に延び、
前記第1の三次面は前記第2の三次面と部分的に面する、
方法。
【請求項14】
前記プレートは金属を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プレートの厚さは15mm~40mmである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記プレートはレーザー又は流体ジェットを用いて切断される、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状熱交換器の製造方法に関する。本発明は、流動層ボイラにとりわけ適した熱交換器に関する。本発明は、循環流動層ボイラに適した熱交換器に関する。本発明は、流動層熱交換器に関する。本発明は、循環流動層ボイラのループシール(loopseal)のための熱交換器に関する。本発明は粒子冷却器(particle cooler)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から熱交換管及び部屋の空間を形成する天井又は壁に熱交換管を容易に設置するためのハンガーが知られている。特許文献2からボイラ管を保持するためのシステムが知られている。特許文献から流動層熱交換器が知られている。係る流動層熱交換器の伝熱管は直線部及び湾曲部を含み、熱交換器は曲がりくねるように構成されている。長い管は機械的に剛性ではないため、使用の際にそれらを機械的に支持する必要がある。特許文献1では、流動層から離された空間の壁がそれらの長い管に機械的な支持を提供する。特許文献3では、流動層から分離された空間の壁が管のための機械的な支持を提供する。代替的に、それらの長い管は炉の壁に対して支持され得る。特許文献から、管を実質的にそれらの全長にわたって下から支持することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第2843363号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0146598号明細書
【文献】米国特許第9371987号明細書
【文献】米国特許第8141502号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、壁で管を支持する構造は製造が困難である。管を支持する壁には、管のための好適な開口が設けられ得る。しかしながら、そのような製造方法では、管は、互いに溶接された少なくとも直線部及び湾曲部の複数の部分を組み立てる必要がある。溶接は、周知のプロセスであっても、伝熱管が約120barの圧力及び約600℃の温度に耐える必要があるため、やや負担が大きい。
【0005】
本発明は、熱交換器の伝熱管のための機械的な支持体を目的とする。係る支持体は容易に製造できる。支持体、すなわち連結部(bond)は本明細書に開示されている。そのような連結部を有する熱交換器は独立請求項に開示されている。そのような熱交換器の製造方法は独立請求項に開示されている。連結部は、いくつかの場所で曲げられる1つ以上の伝熱管と共に用いるのに適している。連結部は、組み立てる必要がないか又はさらに組み立てる必要がない1つ以上の伝熱管と共に用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1a図1aは循環流動層ボイラの側面図を示す。
図1b図1bはバブリング流動層ボイラの側面図を示す。
図2a図2aは第1の伝熱管の側面図を示す。
図2b図2bは図2aの伝熱管及び直線部を接合する連結部を示す。
図3a図3aは図2bの伝熱管及び連結部のIIIa-IIIa断面を示す。
図3b図3bは図2bの伝熱管及び連結部のIIIb-IIIb断面を示す。
図3c図3cは図3bのIIIc部をより詳細を示す。
図4a図4aは連結部及び伝熱管の上面図を示し、一次面(511、521)の法線は伝熱管の長手方向と平行である。
図4b図4bは連結部及び伝熱管の上面図を示し、一次面(511、521)の法線は伝熱管の長手方向と平行ではない。
図5a図5aは連結部及び伝熱管の上面図を示し、連結部は面Pの法線Nの方向で部分的に重なる。
図5b図5bは連結部及び伝熱管の上面図を示し、連結部は面Pの法線Nの方向で完全に重なる。
図5c図5cは連結部及び伝熱管の上面図を示し、連結部は面Pの法線Nの方向で重ならない。
図6a図6aは連結部と、ストッパを備えた伝熱管との上面図を示す。
図6b図6bは連結部と、ストッパを備えた伝熱管との第1の端面図を示す。
図6c図6cは連結部と、ストッパを備えた伝熱管との第2の端面図を示す。
図7a図7aは内側伝熱管及び外側耐火物を有する同軸伝熱管の直管部の断面を示す。
図7b図7bは内側伝熱管及び外側耐火物を有する同軸伝熱管の湾曲部の断面を示す。
図8a図8aは2つの伝熱管と、双方の伝熱管を支持する連結部との配置の側面図を示す。
図8b図8bは図8aのVIIIb-VIIIb断面を示す。
図9a図9aは3つの伝熱管と、伝熱管を支持する連結部との配置の側面図を示す。
図9b図9bは4つの伝熱管と、伝熱管を支持する連結部との配置の側面図を示す。
図10図10は、4つの伝熱管と、これらの伝熱管を支持する2つの連結部の第1の配置と、4つの伝熱管と、これらの伝熱管を支持する2つの連結部の第2の配置の斜視図を示す。
図11a図11aは、2つの伝熱管と、双方の伝熱管を支持する2つの連結部の配置の側面図を示す。
図11b図11bは、図11aの複数の伝熱管配置の配置アセンブリの斜視図で示す。
図11c図11cは図11bの配置アセンブリを端面図で示す。
図12図12は連結部のパーツを切断できるプレートと、切断用の切断ラインを示す。 実施形態の異なる図を示すために、3つの直交する方向Sx、Sy及びSzを図示する。使用の際、方向Szは実質的に垂直であり且つ上方であることが好ましい。このように、方向Szは重力と実質的に反対である。図10の方向Shは、Szに対して垂直な水平方向を表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1aは循環流動層ボイラ1の側面図を示す。循環流動層ボイラ1は、炉50と、煙道ガスから流動媒体を分離するための手段40であるサイクロン40と、ループシール5とを含む。ループシール5は、サイクロン40から流動媒体を受け取るように構成されている。図1aでは、煙道ガス流路を参照符号20で示す。煙道ガスは、煙道ガス流路20を介して炉50から排出される。
【0008】
図1bはバブリング流動層ボイラ1の側面図を示す。バブリング流動層ボイラ1は、炉50と煙道ガス流路20とを含む。
【0009】
通常、流動層ボイラ1(バブリング又は循環)は、煙道ガス流路20内に煙道ガス熱交換器26、28を含む。煙道ガス熱交換器26、28は、煙道ガスから熱を回収するように構成されている。煙道ガス熱交換器の一部は、煙道ガスから熱を回収することにより蒸気を過熱するように構成された過熱器26であり得る。熱交換器の一部は、煙道ガスから熱を回収することにより水を加熱及び/又は沸騰させるように構成されたエコノマイザ28であり得る。
【0010】
循環流動層ボイラ(図1a)では、流動媒体をガスから分離するために、炉50の上部から流動媒体をサイクロン40に運ぶ。流動媒体は、通路60を介してサイクロン40からループシール5に落ちる。ループシール5では、流動媒体の層が形成される。流動媒体はパイプライン15を介してループシール5から炉50に戻される。ループシール5では、ループシール5の壁51により循環流動媒体の流動層が配置される容積Vが制限される。バブリング流動層ボイラ(図1b)では、流動媒体は炉50内で流動化される。そのため、炉50の壁51は、流動媒体の流動層が配置される容積Vを制限する。
【0011】
一般に、流動層ボイラ1は伝熱媒体用の配管を含む。使用の際、伝熱媒体は配管内で循環され、熱交換器により、とりわけ煙道ガス熱交換器26、28及び流動層熱交換器10により加熱される。配管は伝熱媒体の循環を形成する。循環では、同じ伝熱媒体が煙道ガス熱交換器26、28と流動層熱交換器10との間を流れ得る。通常、熱交換媒体が先ずエコノマイザ28で加熱され、その後に過熱器26で加熱されるように循環が形成される。さらに、過熱器26の後、熱交換媒体は流動層熱交換器10で加熱される。その後、媒体(例えば、過熱蒸気)は、通常、蒸気タービンに運ばれる。
【0012】
本発明は、とりわけ熱交換器の構造及びそのような熱交換器の製造方法に関する。好ましい用途では、熱交換器は流動層内に、例えば循環流動層ボイラのループシール5又はバブリング流動層ボイラの炉に配置される。一般に、熱交換器は、水及び/又は蒸気等の第1の伝熱媒体が流れるように構成された複数の管を含む。管の外側では、流動媒体等の第2の伝熱媒体が流れるように構成され、それにより管の壁を通して熱が第2の伝熱媒体から第1の伝熱媒体に伝達される。流動層内に設けられた場合に流動層熱交換器10を形成する熱交換器10は、ボイラの一部として又はボイラの予備部品として製造できる。そのため、一実施形態は熱交換器10に関する。加えて、一実施形態は流動層ボイラ1に関する。
【0013】
本説明では以下の用語を用いる。
【0014】
「伝熱管」とは管を意味する。伝熱管は、単一の実質的に均質な材料、例えば、鋼鉄等の金属から作ることができる。実施可能であると考えられる場合、伝熱管は、「同軸伝熱管」と区別するために「通常の伝熱管」という場合がある。金属は一般に伝熱性が良好であるため、普通の伝熱管はある種の金属で構成され得る。
【0015】
「同軸伝熱管」とは、最外伝熱管が内側伝熱管を取り囲むように配置された伝熱管を意味する。同軸伝熱管は、互いに同軸の伝熱管(通常、2つのみの伝熱管)の配置である。
【0016】
「直線部」とは、伝熱管(素管、同軸管)のうちの管の製造業者から入手した部分(通常管又は同軸管)であって曲げられていないものをいう。一般的に、管の製造業者は剛性の直管を供給する。曲率半径に関して、直線部の中心線の曲率半径r図2a参照)は少なくとも1メートル(1m)である。直線部の曲率半径rは無限又は実質的に無限であり得る。
【0017】
「湾曲部」とは、伝熱管(通常管又は同軸管)のうちの曲げられた部分をいう。曲率半径に関して、湾曲部の中心線の曲率半径r図2a参照)は1メートル(1m)未満である。湾曲部の曲率半径rは伝熱管の直径の少なくとも3倍であることが好ましい。
【0018】
図2aは伝熱管100、すなわち、第1の伝熱管100の側面図を示す。本発明の熱交換器10は第1の伝熱管100を含む。図2aに示すように、第1の伝熱管100は、第1の一次直線部101と、第1の一次湾曲部102と、第1の二次直線部103と、第1の二次湾曲部104と、第1の三次直線部105とを含み、さらなる(すなわち、三次)湾曲部106と、さらなる(すなわち、四次)直線部107も含む。少なくとも湾曲部は、第1の伝熱管100の直線部が長手方向dにおいて第1の平面Pと平行に延びるように、管が延びる方向において管100の2つの直線部の間に残される。図2aでは、第1の一次直線部101において伝熱媒体が管100内を流れる方向は、第1の二次直線部103におけて伝熱媒体が管内を流れる方向と逆である。これは、第1の三次直線部105におけて伝熱媒体が管内を流れる方向とも逆である。図2aは、熱交換器10の第1の伝熱管100に及び任意で他の伝熱管に伝熱媒体を供給するように構成された分配ヘッダ142も示す。図2aは、熱交換器10の第1の伝熱管100から及び任意で他の伝熱管から伝熱媒体を回収するように構成された回収ヘッダ144も示す。
【0019】
熱交換器10はモジュール式、すなわち、例えばボイラ1に挿入可能であるとともにボイラ1から取り外し可能であり得る。このような熱交換器10を取り扱うために、伝熱管100は機械的に支持されることが好ましい。そのため、熱交換器10は、図2bに示すように、第1の一次連結部530を備える。熱交換器10は、図2bに示す第1の二次連結部540も備えることが好ましい。図11aに示すように、長手方向dにおいて、第1の一次連結部530と第1の二次連結部との間に距離dbondが残される。距離dbondは、例えば少なくとも1m等の少なくとも50cmであり得る。係る距離が十分に長いと、熱交換器の機械的安定性が改善される。
【0020】
第1の一次連結部530及び第1の二次連結部540は、本願において後述する原理に従って製造され得る。これらは構造的に同一であり得る。第1の一次連結部530は、伝熱管を支持するために少なくとも1つの伝熱管の少なくとも2つの部分を共に連結する。一実施形態では、第1の一次連結部530は、ボイラの支持構造に対して支持されるか又は支持されるように構成されている。例えば、第1の一次連結部530は、空間V内のボイラの梁又は床に対して支持される、例えば接続され得る。一実施形態では、第1の一次連結部530は、伝熱管100、200の下の支持構造に対して支持されるか又は支持されるように構成されている。このような実施形態では、連結部530は、伝熱管の重さの一部を支えるべきである。
【0021】
第1の一次連結部530は、第1の一次連結部分(bond part)510及び第1の二次連結部分520を含む。図3aは、図2bのIIIa-IIIa断面を示す。そのため、通常の用途では、図3aは、第1の一次連結部530及び管100の第1の一次直線部101の上面図である。
【0022】
図3aを参照して、第1の一次連結部分510は第1の一次面511を含む。一実施形態では、第1の一次面511の全体が平面である。図3aの実施形態では、第1の一次面511は管100の第1の直線部(101、103)の長手方向dを向く。しかしながら、図4bに示すようにこれは必要ではない。第1の一次連結部分510は、第1の一次面511と反対の第1の二次面512を含む。一実施形態では、第1の二次面512の全体が平面である。図3aでは、第1の二次面512は、長手方向dと反対の方向-dを向く。第1の一次連結部分510は第1の三次面513を含む。後述するように、第1の三次面513は切断により製造され得る。そのため、第1の三次面513の法線と第1の一次面511の法線との間の角度は、第1の一次連結部分510がどのように製造されたか、例えば、プレートから切断されたかに依存する。
【0023】
第1の一次連結部分510と管100の第1の直線部(101、103)とは、第1の三次面513の一部が第1の一次直線部101の方を向き、第1の三次面513の一部の一部が第1の二次直線部103の方を向くように互いに対して配置される。とりわけ、以下で詳述するように、孔514、515の面は直線部101、103の方を向く。これは、管100の一部が孔514、515に嵌合できるという効果を有する。そのため、第1の三次面513の少なくとも一部は第1の平面Pの法線Nの方向を向き、第1の三次面513は第1の一次面511と第1の二次面512とを接続する。第1の三次面513の各点で、第1の三次面513の接線方向は、図3aに示すように平面P内の方向であることが好ましい。しかしながら、孔514、515の面を除いて、第1の三次面は平面P(図示せず)に対して異なる角度で配置されてもよい。それでもなお、図4a及び図4bに示すように、第1の三次面513のすべての平面部分は、第1の平面Pの法線Nの方向を向いていることが好ましい。また、全ての点において、第1の三次面513は、法線が長手方向dと一方向である面に属する法線を有することが好ましい(図4a及び図4b参照)。
【0024】
次に、図3b及び図3cを参照して、第1の一次孔514が第1の三次面513に配置されている。第1の一次孔514は第1の一次直線部101の一部を受容するように構成されている。そのため、第1の一次孔514の形状は、第1の一次直線部101の外面に適合する、すなわちぴったり合う。このように、第1の一次連結部分510は、第1の三次面513上で、第1の一次連結部分510を通って第1の一次面511から第1の二次面512に長手方向dに延びる第1の一次孔514を制限する。さらに、図3bに示すように、第1の一次直線部101の一部は、第1の一次孔514内に配置されている。第1の一次孔514は第1の一次開口533の一部を形成する。
【0025】
同様に、第1の二次孔515は第1の三次面513に配置される。第1の二次孔515は、第1の二次直線部103の一部を受容するように構成されている。そのため、第1の二次孔515の形状は、第1の二次直線部103の外面に適合する、すなわちぴったり合う。このように、第1の一次連結部分510は、第1の三次面513上で、第1の一次連結部分510を通って第1の一次面511から第1の二次面512に長手方向dに延びる第1の二次孔515を制限する。さらに、図3bに示すように、第1の二次直線部103の一部は、第1の二次孔515内に配置されている。第1の一次孔515は第1の二次開口534の一部を形成する。
【0026】
孔514、515及び後で定義される孔524、525は、面513(又は523)にある凹部であり、伝熱管の一部、とりわけその直線部の一部を受容するための連結部530の開口を定義する。孔の形状は、使用時に、三次面513、523と管の外面との間に間隙が実質的に残らないように管の対応する部分に適合される、すなわち、ぴったり合うようにされる。製造公差の理由から、孔(514、515、524、525)の面と管100の一部(101、103)の外面との間で最大0.5mmの幅を有する間隙がいくつかの点で残され得る。そのため、図3bが、提示のために管の一部(101、103)と孔(514、515、524、525)との間に間隙を示しているとしても、そのような間隙は熱交換器に存在しないことが好ましい。間隙が小さいか又は全く間隙がない場合には管100の耐摩耗性が改善する。何故なら、そのような場合には、連結部分510、520と管の一部101、103との間の移動が低減されて、管100又は管100、200、300、400の摩耗が減少する。
【0027】
第1の直線部(101、103)を共に連結するために、第1の一次連結部分510は第1の二次孔515から第1の一次孔514に延びる。
【0028】
図3aを参照して、第1の二次連結部分520は第2の一次面521を含む。一実施形態では、第2の一次面521の全体が平面である。図3aの実施形態では、第2の一次面521は管100の第1の直線部(101、103)の長手方向dを向く。しかしながら、上述したようにこれは必要ではない。第1の二次連結部分520は、第2の一次面521と反対の第1の二次面522を含む。一実施形態では、第1の二次面522の全体が平面である。そのため、図3aでは、第2の二次面522は、長手方向dと反対の方向-dを向く。第1の二次連結部分520は第1の三次面523を含む。第1の二次連結部分520と管100の第1の直線部(101、103)とは、第2の三次面523の少なくとも一部が第1の直線部(101、103)の方を向くように互いに対して配置される。第2の三次面523の少なくとも一部は第1の平面Pの法線Nの方向も向く。第2の三次面523は第2の一次面521と第2の二次面522とを接続する。第2の三次面523の各点で、第2の三次面523の接線方向は、図3aに示すように平面P内の方向であることが好ましい。第1の三次面513と同様に、第2の三次面523のすべての平面部分は、第1の平面Pの法線Nの方向を向いていることが好ましい。また、全ての点において、第2の三次面523は、法線が長手方向dと一方向である面に属する法線を有することが好ましい(図4a及び図4b参照)。
【0029】
次に、図3b及び図3cを参照して、第2の一次孔524が第2の三次面523に配置される。第2の一次孔524は、第1の一次直線部101の一部を受容するように構成されている。そのため、第2の一次孔524の形状は、第1の一次直線部101の外面に適合されている。このように、第1の二次連結部分520は、第2の三次面523上で、第1の二次連結部分520を通って第2の一次面521から第2の二次面522に長手方向dに延びる第2の一次孔524を制限する。さらに、図3bに示すように、第1の一次直線部101の一部は第2の一次孔524内に配置されている。第2の一次孔524は第1の一次開口533の一部を形成する。
【0030】
同様に、第2の二次孔525が第2の三次面523に配置される。第2の二次孔525は、第1の一次直線部101の一部を受容するように構成されている。そのため、第2の二次孔525の形状は、第1の二次直線部103の外面に適合されている。このように、第1の二次連結部分520は、第2の三次面523上で、第1の二次連結部分520を通って第2の一次面521から第2の二次面522に長手方向dに延びる第2の二次孔525を制限する。さらに、図3bに示すように、第1の二次直線部103の一部は第2の二次孔525内に配置されている。第2の二次孔525は第1の二次開口534の一部を形成する。
【0031】
第1の直線部(101、103)を共に連結するために、第1の二次連結部分520は第2の二次孔525から第2の一次孔524に延びている。
【0032】
熱交換器10において、第1の一次連結部分510は、第1の伝熱管100の一部を連結するために第1の二次連結部分520に溶接されて第1の一次連結部530を形成する。共に溶接された場合、第1の一次孔514と第2の一次孔524との組み合わせは第1の一次連結部530の第1の一次開口533を形成し、伝熱管100のとりわけ第1の一次直線部101が第1の一次開口533を通って延びる。第1の一次開口533の形状は、伝熱管100の直線部101の外面の形状に適合される。同様に、第1の二次孔515と第2の二次孔525との組み合わせは第1の一次連結部530の第1の二次開口534を形成し、伝熱管100の直線部103は第1の二次開口534を通って延びる。第1の二次開口534の形状は、伝熱管100の直線部103の外面の形状に適合される。このように、一実施形態では、第1の伝熱管100の湾曲部(例えば102)は、第1の一次連結部530を通って延びていない。このように、一実施形態では、第1の伝熱管100の湾曲部(例えば102)は連結部530内に延びていない。
【0033】
上記及び図4aで示したように、上記の実施形態では、第1の一次面511は、管100の第1の直線部(101、103)の長手方向dと平行な法線N511を有する。このような構造は、例えば、プレート500上に垂直な方向にプレート500を切断することにより第1の三次面513を形成することによって製造され得る。しかしながら、第1の三次面513は異なる角度で切断されてもよい。加えて又は代替的に、流体ジェットを用いて第1の三次面513が切断される場合、第1の三次面513はプレート500の主面501に対して垂直ではない(図12を参照)。図4bを参照して、そのような場合、第1の一次面511は、管100の第1の直線部(101、103)の長手方向dと角度φを形成する法線N511を有する。しかしながら、第1の一次面511の法線N511は、管100の第1の直線部(101、103)の長手方向dと実質的に平行であることが好ましい。より具体的には、一実施形態では、(i)面の法線N511は長手方向dと平行であるか又は(ii)面の法線N511は長手方向dと角度φを形成し、角度φは45°未満、例えば30°未満又は15°未満であり、好ましくは5°未満である。角度が小さいと、連結部530の組み立てが容易になる。
【0034】
図2bに示すように、熱交換器10は第1の二次連結部540を含むことが好ましい。第1の二次連結部540は、第1の一次連結部530と同様の方法で製造され得る。第1の二次連結部540も、少なくとも第1の一次直線部101と第1の二次直線部103とを共に連結するように構成されている。図2bでは、第1の二次連結部540は、第1の三次直線部103及び第1の四次直線部107も共に連結する。
【0035】
このような熱交換器10を製造する場合、上述する及び/又は後述する第1の伝熱管100が利用可能に配置される。管100は、例えば、曲げることによって製造され得るか又は管100は、例えば購入され得る。第1の一次連結部分510及び第1の二次連結部分520は、図12に示すようにプレート500から切断され得る。プレート500は厚さtを有する。厚さtは、図12に示すように、プレート500の厚さtpの方向dtpに方向付けられている。図12に切断線を灰色で示す。係る線に沿って切断すると、第1の一次連結部分510及び第1の二次連結部分520が形成される。これらの部分を図12に示す。上述したように、切断線は、プレート500の厚さtの方向にプレート500にわたって延びるか又は切断線は、厚さtの方向に対して斜めに配置され得る。当然のことながら、第1の一次連結部分510をプレート500から切断し、第1の二次連結部分520を別のプレートから切断することが可能であり得る。
【0036】
最初に、プレート500は、プレート500の厚さの方向dtpに平行な面法線を有する主面501を有する。通常、プレート500の主面501は平面である。加えて、通常、主面501と反対の面も平面である。連結部530は十分な機械的強度を有する必要があるため、第1の一次連結部分510は、主面501の一部が第1の一次面511又は第1の二次面512のいずれかを形成するようにプレート500から切断される。第1の三次面513の少なくとも一部は前記切断により形成される。一実施形態では、結果として得られた第1の三次面は、プレート500の厚さの方向dtpに垂直又は実質的に垂直な方向を向いている。「実質的に垂直」という用語は、前述の角度φに沿って、45°よりも大きい角度(大きくても90°)、例えば60°よりも大きいか又は75°よりも大きい角度、好ましくは85°よりも大きい角度を意味し得る。第1の三次面513の少なくとも一部を形成する間、第1の一次孔514及び第1の二次孔515も切断によって形成される。その結果、本方法は、第1の伝熱管100の第1の一次直線部101の一部を受容するように構成された第1の一次孔514を形成することを含む。孔514の形状は、上述したように部分101の面に適合される。さらに、本方法は、第1の伝熱管100の第1の二次直線部103の一部を受容するように構成された第1の二次孔515を形成することを含む。孔515の形状は、上述したように部分103の面に適合される。
【0037】
第1の二次連結部分520はプレート500(又は第2のプレート)から同様に切断される。第1の二次連結部分520は、主面501の一部(又は第2のプレートの主面)が第2の一次面521又は第2の二次面522のいずれかを形成するようにプレート500から切断される。さらに、第2の三次面523の少なくとも一部が前記切断により形成される。一実施形態では、結果として得られた第2の三次面は、プレート500又は第2のプレートの厚さの方向dtpに垂直又は実質的に垂直な方向を向いている。「実質的に垂直」という用語は、前述の角度φに沿って、45°よりも大きい角度(大きくても90°)、例えば60°よりも大きいか又は75°よりも大きい角度、好ましくは85°よりも大きい角度を意味し得る。第2の三次面523の少なくとも一部を形成する間、第2の一次孔524及び第2の二次孔525も切断によって形成される。その結果、本方法は、第1の伝熱管100の第1の一次直線部101の一部を受容するように構成された第2の一次孔524を形成することを含む。孔524の形状は、上述したように部分101の面に適合される。さらに、本方法は、第1の伝熱管100の第2の二次直線部103の一部を受容するように構成された第2の二次孔525を形成することを含む。孔515の形状は、上述したように部分103の面に適合される。
【0038】
前記の孔514、515、524、525を形成した後、図3bに示すように、直線部101、103の一部が孔内に配置される。したがって、一実施形態において、管100及び部分510、520は、第1の一次連結部分510の厚さの方向と長手方向dとが平行になるように又は上述の角度φを形成するように配置される。さらに、第1の二次連結部分520の厚さ方向と長手方向dとは平行であるか又は角度φについて示された角度に沿って例えば45°未満の角度を形成する。図12で示すように、切断の間、第1の一次連結部分510の厚さ方向はプレート500の方向dtpと平行である。さらに、切断の間、第1の二次連結部分520の厚さ方向は、プレート500又は第2のプレートの方向dtpと平行である。
【0039】
その後、第1の一次連結部分510は第1の二次連結部分520に溶接されて、第1の一次連結部530を形成する。第1の一次連結部530は、第1の伝熱管100の直線部(101、103)を共に連結する。第1の二次連結部540は同様の方法で製造され得る。
【0040】
プレート500はレーザーを用いて切断され得る。加えて又は代替的に、プレート500は流体ジェット、例えば、液体ジェット又はガスジェットを用いて切断され得る。流体ジェットの効果は、砂等の研磨粒子を用いることにより改良され得る。切断のために流体ジェットを用いることは、三次面513が一次面511に対して垂直でなくなるという効果を有し得る。
【0041】
プレート500は、少なくとも1000℃の融点を有する溶接可能な金属を含むことが好ましい。そのような金属は機械的強度を通常有する。そのような好適な金属の例としては鋼鉄、例えばオーステナイト鋼が挙げられる。熱交換器10では、連結部分510、520は、プレート500について説明したような材料を含む。
【0042】
十分な機械的安定性を有するために、プレートの厚さtは15mm~40mmであることが好ましい。これに対応して、図5aを参照して、熱交換器10の一実施形態では、第1の一次連結部分510は、第1の一次面511の法線N511方向に第1の一次厚さtl1を有し、第1の一次厚さtl1は15mm~40mmである。第1の一次連結部分510がプレート500から作られる場合、第1の一次厚さtl1は一定である。さらに、第1の二次連結部分520は、第2の一次面521の法線N521の方向に第2の一次圧さtl2を有し、第2の一次厚さtl2は15mm~40mmである。第1の二次連結部分520がプレート500又は別のプレートから作られる場合、第2の一次厚さtl2は一定である。連結部分510、520が同じプレート500から作られる場合、第1の一次厚さtl1は、第2の一次厚さtl2と等しい。しかしながら、上述したように、部分510、520は同じプレート500で作られる必要はない。
【0043】
機械的安定性は、連結部分510、520の厚さ及び他の寸法を選択することによっても影響され得る。しかしながら、連結部分510、520が大きい場合には、伝熱管の異なる部分を互いに遠く離して配置されなければならないために熱交換器10のサイズが大きくなる。通常、熱交換器10の容積に対する伝熱管100、200、300、100b、200bの表面積の比は、良好な熱回収のために最大化される。これらの観点から、上述の厚さは、とりわけ連結部530が鋼鉄を含む場合に特に好適であることが分かっている。
【0044】
連結部分510、520の他の寸法に関しては、機械的支持機能を有するために他の寸法も適度に大きくなければならず、コンパクトな熱交換器の場合には適度に小さくなければならない。とりわけ、いくつかの用途では、連結部530及び/又は540は、管100、200、300、400を下から且つ管の重力に対して機械的に支持するのに用いられる。したがって、薄い、例えばプレート状の連結部は十分な支持を提供しない。しかしながら、連結部530、540が管を吊すために用いられる場合、より薄い連結部で十分であり得る。そのため、図5を参照して、好ましい実施形態では、第1の一次孔514と第1の二次孔515との間に、第1の一次連結部分510は、第1の一次面511の法線N511に垂直な方向に第1の二次厚さtt1を有し、第1の平面Pの法線Nと最小角度を形成する。なお、第1の一次面511の全ての方向は法線N511に対して垂直である。さらに、第1の一次面511の方向のうちのそれぞれは、第1の平面Pの法線Nと角度(任意で0°)を形成する。そのため、第1の一次面511の1つの方向のみが、第1の平面Pの法線Nと最小角度(任意で0°)を形成する。厚さの方向を図4b及び図5aに明示する。
【0045】
第1の二次厚さtt1は一定である必要はないが、例えば、図3cに示すように、厚さを測るレベル(例えば、高さ)に依存し得る。機械的支持の観点から、第1の二次厚さtt1の最小値tt1,min、すなわち、最小の第1の二次厚さtt1,minは、連結部530の支持能力を決定し得る。したがって、一実施形態では、最小の第1の二次厚さtt1,minは10mm~50mmであり、好ましくは15mm~50mmである。第1の二次厚さtt1は、図3cから分かるように場所に依存し得る。そのため、一実施形態では、第1の一次孔514と第1の二次孔515との間では、第1の一次連結部分510の第1の二次厚さtt1は10mm~50mmである。すなわち、第1の二次厚さtt1の最大値tt1,maxは最大で50mmであり得る。これは、製造コストを妥当なレベルで維持し、熱交換器を適度に小さくするのに役立つ。
【0046】
同様に、好ましい実施形態では、第2の一次孔524と第2の二次孔525との間では、第1の二次連結部分520は、第2の一次面521の法線N521に垂直な方向に第2の二次厚さtt2を有し、第1の平面Pの法線Nと最小角度を形成する。第2の二次厚さtt2は最小値、最小の第2の二次厚さtt2,min及び最大値tt2,maxを有する。一実施形態では、最小の第2の二次厚さtt2,minは10mm~50mmであり、好ましくは15mm~50mmである。第2の二次厚さtt2は場所に依存し得る。そのため、一実施形態では、第2の一次孔524と第2の二次孔525との間では、第1の二次結合部520は10mm~50mmの二次厚さtt2を有する。すなわち、第2の二次厚さの最大値tt2,maxは最大で50mmであり得る。
【0047】
連結部分510、520が同じプレート500から作られているか又は異なるプレートから作られているかにかかわらず、第2の厚さ(tt1、tt2)は互いに異なっていてもよい。しかしながら、第2の一次厚さtt1は、少なくとも局所的に、すなわち特定の位置(例えば、Sz方向のレベルで、図3c参照)で、第2の二次厚さtt2と等しいことが好ましい。これは、使用時に連結部530、540の反りが生じるのを防止するか又は少なくとも高温環境において反りが生じる傾向を減少させる。
【0048】
連結部分510、520は、図3a、図3b、図3c、図4a、図4b、図5a、図6aに示すように共に溶接されていることが好ましい。熱交換器10は、第2の三次面523を第1の一次面511(図4a参照)又は第1の二次面512(図3a参照)に接合する第1の溶接継ぎ手531を含むことが好ましい。熱交換器10は、第1の三次面513を第2の二次面522(図4a参照)又は第2の一次面521(図3a参照)に接合する第2の溶接継ぎ手532を含むことが好ましい。溶接継ぎ手531、532は溶接の証拠である。そのため、本方法の一実施形態は、第2の三次面523を第1の一次面511又は第1の二次面512に溶接することを含む。さらに、本方法の一実施形態は、第1の三次面513を第2の二次面522又は第2の一次面521に溶接することを含む。このように溶接することは、使用時に連結部530、540の反りを生じることを防止するか又は少なくとも高温環境におけて反りを生じる傾向を減少させることが分かっている。
【0049】
連結部分510、520の間の継ぎ手が十分強くなるように、溶接継ぎ手531、532は十分長くなければならない。したがって、図3cを参照して、一実施形態では、第1の溶接継ぎ手531は第1の平面P内の方向であるとともに、長手方向dに垂直な方向dextに延びている。一実施形態では、第1の溶接継ぎ手531は第1の一次直線部101と第1の二次直線部103との間に延びている。第1の溶接継ぎ手531はこの方向に延び、任意で前述の位置にも(少なくとも5cm)延びていることが好ましい。同様に、一実施形態では、第2の溶接継ぎ手532は方向dextに延びている。一実施形態では、第2の溶接継ぎ手532は第1の一次直線部101と第1の二次直線部103との間に延びている。第2の溶接継ぎ手532はこの方向に延び、任意で前述の位置にも(少なくとも5cm)延びていることが好ましい。好ましい実施形態では、溶接継ぎ手531、532は、管100の直線部101、103のいずれにも完全に延びない。これに対応して、第1の溶接継ぎ手531と直線部101、103の双方との間に少なくとも1mmの距離が残り、第2の溶接継ぎ手532と直線部101、103の双方との間に少なくとも1mmの距離が残っていることが好ましい。これは、連結部分510、520を共に溶接することは伝熱管100の機械的特性、とりわけ高圧に耐える能力に影響を及ぼさないという効果を有する。
【0050】
上述のように、このような溶接は、連結部の反りを低減させる。連結部分の尺度及び溶接の種類に加えて、反りの傾向は、第1の一次連結部分510と第2の一次連結部分520との相対位置によって影響を受け得る。図5aを参照して、第1の一次面511の法線N511の方向における第1の一次連結部530の長さltotは、第1の一次厚tさtl1、第2の一次圧さtl2及び重なり距離dにより定義される。数学的には、ltot=tl1+tl2-dで表される。通常、一次面511の法線N511及び一次面521の法線N512は一方向である。
【0051】
図5a及び図5bのように、少なくとも部分的な重なりがある場合、第1の三次面513の一部は第2の三次面523の一部を向いている。もし、図5bのように、完全な重なりがある場合、重なり距離dはltotと等しくなる。そのような場合、前述の面は互いに溶接されない。対照的に、そのような場合、例えば、面512が面522に溶接され、面511が面521に溶接され得る(面については図4aを参照)。しかしながら、そのような溶接を確実に行うことがより困難であり得る。そのため、少なくとも反りが生じるリスクが増大し得る。さらに、このような方法で溶接した場合、連結部530に反りが生じることが分かった。使用時における連結部530の反りは、連結部分510、520及び管100、200、300、400の熱膨張の結果生じ得る。
【0052】
図5cのように重なりがない場合には重なり距離dはゼロとなり、それに対応して、連結部530の厚さltotはその部分の厚さの合計となる。さらに、図5cに示すように、第1の三次面513のどの部分も第2の三次面523の一部の方を向いていない。そのような場合、前述の面は互いに溶接され得る。この解決策は図5aのものと同じくらい容易に製造可能である。しかしながら、連結部の反りは部分的な重なり(図5a)によって最小化され、完全な重なり(図5b)により最悪の状態になることが分かっている。したがって、重なり距離dがゼロでないことが好ましい。すなわち、長手方向dにおける第1の一次連結部530の全厚さttotは、第1の一次面511の法線N511の方向における第1の連結部分510の厚さtl1と第1の連結部分520の厚さtl2の合計であるtl1+tl2未満であることが好ましい。重なり距離dは、連結部分510の厚さtl1及び連結部分520の厚さtl2のうち小さい方の10%~90%であることが好ましい。重なり距離dは、連結部分510の厚さtl1及び連結部分520の厚さtl2のうち小さい方の25%~75%、例えば33%~66%であることがより好ましい。
【0053】
上述したように、連結部530に対する管の部分101、103の動きは、孔514、515、524、525によって形成される開口533、534に管の部分101、103をしっかり嵌合によって主に減少する。さらに、二次的に、前記の動きは、管の部分の表面の一部にストッパを設けることによってさらに低減できる。このため、図6a~図6cを参照して、一実施形態では、管100の第1の一次直線部101は第1の一次ストッパ131及び第1の二次ストッパ132を備える。管の部分101について図6aに示すように、第1の一次連結部530の少なくとも一部は、第1の一次ストッパ131と第1の二次ストッパ132との間に残される。このように、ストッパ131、132は、第1の一次ストッパ131が第1の一次連結部530に接触する及び/又は第1の二次ストッパ132が第1の一次連結部530に接触するようにストッパ131、132が少なくとも配置された場合に連結部530に対する管の部分101の動きを防止する。同様に、第1の二次直線部103を連結部530にロックすることができる。そのため、一実施形態では、管100の第1の二次直線部103は、図6b及び図6cから分かるように、第2の一次ストッパ133及び第2の二次ストッパ134を備える。第1の一次連結部530の少なくとも一部は、第2の一次ストッパ1133と第2の二次ストッパ134との間に残される。しかしながら、管の直管部の全てにストッパを設ける必要はない。そのため、例えば、第1の二次直線部103は、ストッパ134、134により連結部530にロックされる必要はない。熱交換器が第2の伝熱管200を含む場合、その直線部の少なくとも1つにストッパ(図示せず)を設けてもよい。
【0054】
図3cを参照して、第1の一次連結部分510は、第1の一次面511と角度を形成する第1の四次面514を有する。この角度は真っ直ぐであり得るが、そうである必要はない。第1の四次面514は、第1の三次面513とも角度を形成する。この角度は真っ直ぐであり得るが、そうである必要はない。第1の四次面514は平面であり得る。第1の四次面514も第1の伝熱管100と反対側を向いている。同様に、第1の二次連結部分520は、第2の一次面521及び第2の三次面523と角度を形成するとともに、第1の伝熱管100とは反対側を向く第2の四次面524を有する。一実施形態では、四次面514及び524は互いに溶接されていない。これは、ブリッジ551、552(図11c参照)を用いて2つの異なる連結部を互いに連結する場合、連結部530の端部に溶接継ぎ手がなければ、連結部530は、連結部530の端部からブリッジ551、552により容易に固定できるという効果を有する。例えば、ブリッジ551、552は、連結部530、とりわけ四次面514、524を受容するように構成された孔を備え得る。
【0055】
図2b及び図3bを参照して、一実施形態では、第1の伝熱管100は、例えば第1の三次直線部105を含む1つ以上の他の直線部(105、107)を含む。一実施形態では、第1の一次直線部101、第1の二次直線部103及びその他の直線部(105、107)は平行に第1の平面P内に長手方向dに延びる。管100は、分配ヘッダ142及び回収ヘッダ144の双方が熱交換器10の同じ側、例えば例えば図11bに示すように管(100、200、300、400)の同じ側に残されるように設計されることが好ましい。図3bを参照して、そのような場合、第1の一次連結部分510の第1の三次面513には、第1の一次連結部分510を通って長手方向dに延びる1つ以上の他の孔516、517が設けられる。さらに、他の直線部105、107の一部は、第1の一次連結部分510の他の孔516、517内に配置される。同様に、第1の二次連結部分520の第2の三次面523には、第1の二次連結部分520を通って長手方向dlに延びる1つ以上の他の孔526、527が設けられる。さらに、他の直線部105、107の一部は、第1の二次連結部分520の他の孔526、527内に配置される。他の孔は、例えば、第1の一次開口533について説明した方法で他の開口を形成し、他の直線部(105、107)のうちの一方の直線部は、これらの他の開口のうちの一方を貫通する。
【0056】
しかしながら、同じ連結部530を用いて2つ以上の伝熱管を連結できるように、2つ以上の伝熱管を並べて用いることも可能であり得る。図8aを参照して、一実施形態では、熱交換器10は第2の伝熱管200を含む。第2の伝熱管200は、第2の一次直線部201、第2の一次湾曲部202及び第2の二次直線部203を含む。また、第2の直線部201、203は互いに平行に且つ第1の平面P内に延び、第1の平面P内には第1の直線部101、103も延びる。さらに、第2の直線部201、203は、第1の直線部101、103と長手方向dにおいて平行に延びている。図8bを参照して、このような管100、200を用いる場合、第1の一次連結部分510の第1の三次面513には、第1の一次連結部分510を通って長手方向dに延びる2つ以上の他の孔516、517が設けられる。さらに、第2の一次直線部201の一部は、他の孔516、517のうちの1つ(516)内に配置され、第2の二次直線部203の一部は、第1の一次連結部分510の他の孔516、517のうちの1つ(517)内に配置される。同様に、第1の二次連結部分520の第2の三次面523には、第1の二次連結部分520を通って長手方向dに延びる1つ以上の他の孔526、527が設けられる。さらに、第2の一次直線部201の一部は、他の孔526、527のうちの1つ(526)内に配置され、第2の二次直線部203の一部は、第1の二次連結部分520の他の孔526、527のうちの1つ(527)内に配置される。他の孔516、517、526、527は、孔514、515、524、525及び第1の伝熱管に関連して詳細に説明したように、第2の伝熱管200の表面に適合される。他の孔は、例えば、第1の一次開口533について説明したような形で他の開口を形成し、他の管200の直線部はこれらの他の開口を貫通する。
【0057】
図9a及び9bを参照して、1つの連結部530でさらに多くの伝熱管を連結することが可能であり得る。そのため、一実施形態では、熱交換器10は、上述したように、第1の伝熱管100及び第2の伝熱管200を含み、さらに第3の伝熱管300を含む。第3の伝熱管300は、第3の一次直線部301、第3の一次湾曲部302及び第3の二次直線部303を含む。第3の直線部301、303も互いに平行に且つ第1の平面P内に延び、第1の平面P内には第1及び第2の直線部101、103、201、203も延びる。さらに、第3の直線部301、303は、長手方向dにおいて、第1及び第2の直線部101、103、201、203と平行に延びる。連結部530は、1つ又は2つの管について上述した方法で、3つの管100、200、300の直線部101、201、301、103、203、303を連結するために用いることができる。
【0058】
図9bを参照して、一実施形態では、熱交換器10は、上述したように、第1の伝熱管100、第2の伝熱管200及び第3の伝熱管300を含み、さらに第4の伝熱管400を含む。第4の伝熱管400は、第4の一次直線部401、第4の一次湾曲部402及び第4の二次直線部403を含む。第4の直線部401、403も互いに平行に且つ第1の平面P内に延び、第1の平面P内には第1、第2及び第3の直線部101、103、201、203、301、303も延びる。さらに、第4の直線部401、403は、長手方向dにおいて、第1、第2及び第3の直線部101、103、201、203、301、303と平行に延びる。連結部530は、1つ又は2つの管について上述した方法で、4つの管100、200、300、400の直線部101、201、301、401、103、203、303、403を連結するために用いることができる。
【0059】
平面P内に直線部が延びる伝熱管の数Ntubeは、図2Aに示すように1つ、図8aに示すように2つ、図9Aに示すように3つ、図9bに示すように4つ、5つ(図示せず)、6つ(図示せず)又は6つ以上(図示せず)とすることができる。そのような伝熱管の数Ntubeは少なくとも2つ、2つ、少なくとも3つ、3つ又は4つであることが好ましい。このような管及びそれらの湾曲部の数を用いる場合、連結部分510、520のそれぞれの三次面513、523には8~24個の孔、例えば12~18個の孔が設けられ、伝熱管の直管部の一部がそれぞれの孔内に設けられることが好ましい。また、連結部分510、520のそれぞれの三次面513、523には、偶数(即ち、2の整数倍)の孔が設けられ、伝熱管の直管部の一部がそれぞれの孔内に設けられることが好ましい。
【0060】
次に図7aを参照して、第1の伝熱管100の第1の一次直線部101は、第1の内側伝熱管110の第1の一次直線部111及び第1の外側耐火物120の第1の一次直線部121を含み得る。任意で、第1の一次直線部101は、内側伝熱管110と外側耐火物120との間に断熱材140を含み得る。図7bを参照して、第1の伝熱管100の第1の一次湾曲部102は、第1の内側伝熱管110の第1の一次湾曲部112及び第1の外側耐火物120の第1の一次湾曲部122を含み得る。任意で、第1の一次湾曲部102は、内側伝熱管110と外側耐火物120との間に断熱材140を含み得る。これは、先行技術の公報である米国特許第9371987号に開示されているような有利な効果がある。同様に、第2の伝熱管200、第3の伝熱管300及び第4の伝熱管400のいずれか又は全ても内側管及び外側耐火物を含み得る。
【0061】
外側耐火物120を有することにより、使用時に、耐火物120の外面の温度は、伝熱管100が通常の伝熱管で構成されている場合に、伝熱管100の温度よりもはるかに高くなるというさらなる有利な効果がある。さらに、第1の一次連結部530の温度も使用時には高くなる。そのため、外側耐火物を有することにより、使用時に連結部530と管100の外面との間の温度差が低減される。これにより、連結部530と管100との嵌合が改善される。さらに、これはまた、使用時に連結部530の反りを低減する。
【0062】
熱交換器10は、同じ平面Pに延びる複数の第1の伝熱管100(及び任意で、第2、第3、第4、第5、第6の伝熱管200、300、400・・・)と、これらの管を共に連結する第1の一次連結部530及び任意で第1の二次連結部540とを含む第1の伝熱管配列を通常含む。図10図11b及び図11cを参照して、熱交換器10は、第1の平面Pと平行な第2の平面P’に延びる少なくとも第1の二次伝熱管100bを含む第2の伝熱管配列を通常含む。第2の伝熱管配列は、第2の平面P’に延びる第2の二次伝熱管200b、任意で第2の平面P’に延びる第3の二次伝熱管300b及び任意で第2の平面P’に延びる第4の二次伝熱管400b(及び任意で第2の五次及び六次伝熱管も)もさらに含み得る。図10及び図11cを参照して、第2の伝熱管配列の管は第2の一次連結部530b及び任意で第2の二次連結部540bを用いて連結され得る。図10に示すように、第2の一次伝熱管100bは、第1の伝熱管100と同様に直線部101b、103bを含む。同様に、第2の二次伝熱管200bは直線部201b、203bを含み、第2の三次伝熱管300bは直線部301b、303bを含み、第2の四次伝熱管400bは直線部401b、403bを含む。同様に、第3の伝熱管配列は、第3の一次連結部530c(図11c参照)を用いて連結され得る。
【0063】
第2の伝熱管配列(100b、200b、300b、400b)は、第1の伝熱管配列(100、200、300、400)が第1の一次連結部530によって支持されるのと同様に、第2の一次連結部530bによって支持される。そのため、一実施形態では、熱交換器10は、少なくとも1つの他の伝熱管(100b、200b、300b、400b)、すなわち二次伝熱管の少なくとも2つの他の直線部(101b、103b、201b、203b、301b、303b、401b、403b)を支持するように構成された第2の一次連結部530bを含む。さらに、二次伝熱管(100b、200b、300b、400b)の他の少なくとも2つの直線部は互いに対して平行に第2の平面P’内に延びる。第2の平面P’は第1の平面Pと平行である。さらに、第2の平面P’は第1の平面Pから所定の距離の位置に配置される。
【0064】
図11cを参照して、一実施形態では、第1の一次連結部530は、第1のブリッジ551により第2の一次連結部530bに接続される。図11cの実施形態では、第1の一次連結部530の端部が第1のブリッジ551に固定され、第2の一次連結部530bの端部が第1のブリッジ551に固定される。さらに、熱交換器10の全ての伝熱管100、200、100b、200bは、第1のブリッジ551の同じ側に配置されている。例えば、図11cでは、全ての伝熱管は第1のブリッジ551の上方に配置されている。加えて、図11cの実施形態は第2のブリッジ552を含む。第1の一次連結部530の他端は第2のブリッジ552に固定され、第2の一次連結部530bの他端は第2のブリッジ552に固定されている。さらに、熱交換器10の全ての伝熱管100、200、100b、200bは、第1のブリッジ551と第2のブリッジ552との間に配置されている。ブリッジ551、552の目的は、一次連結部530、530bを共に連結することである。ブリッジ551、552は、使用時に水平であり得る第1の平面Pの法線Nの方向で管100、200、100b、200bを機械的に支持する。連結部530、530bは、使用時に垂直であり得る別の方向で管100、200、100b、200bを機械的に支持する。
【0065】
図11cを参照して、一実施形態では、第1の平面Pの方向における(i)管の湾曲部によって分離される管の2つの直線部又は(ii)異なる管の2つの直線部の間の少なくとも1つの点で、第2の一次連結部530bは第1の一次連結部530と接触して、第1の一次連結部530と第2の一次連結部530bとの間に機械的ロック537を形成する。これは、第1の平面Pの法線Nの方向において且つ熱交換器の中央部分において管を互いにロックするのを助ける。これは、モジュール式熱交換器の場合にとりわけ実行可能である。機械的ロック537では、第1の平面Pの法線Nの方向において第1の伝熱管100と反対を向く第1の一次連結部530の面が、第2の平面P’の法線の方向において第2の一次伝熱管100bと反対を向く第2の一次連結部530bの面と接触する。一部の管の構成では、機械的ロック537は中央ブリッジ要素(central bridging element)553と形成することができる。中央ブリッジ要素553は第1の一次連結部530及び第2の一次連結部530bの双方に固定できる。機械的ロック(537、553)は、第1の平面P内にあり長手方向d1に垂直な方向(すなわち、図3cの方向dext)において、(i)管の湾曲部によって分離された管の2つの直線部の間又は(ii)異なる管の2つの直線部の間に残される点で形成される。
【0066】
さらに、一部の領域では、図11cにおいて参照符号538で示すように、第2の一次連結部530bと第1の一次連結部530との間に間隙538(すなわち距離)が残される。図11cに示すように、そのような間隙538は、第2の一次連結部530bと第1の一次連結部530との間で第1の平面Pの法線Nの方向に残される。
【0067】
熱交換器100は第1のブリッジ551を含んでいる必要はない。何故なら、連結部の端部の近くで連結部530、530bを連結する目的で中央ブリッジ要素553(すなわち、第1の中央ブリッジ要素533)を用いることができるからである。熱交換器10は第2のブリッジ552を含んでいる必要はない。何故なら、連結部の端部の近くで連結部530、530bを連結する目的で中央ブリッジ要素553(すなわち、第2の中央ブリッジ要素)を用いることができるからである。しかしながら、要素(ブリッジ及び/又は中央ブリッジ要素)を用いて連結部530、530bを互いに接続することが好ましい。
【0068】
図10を参照して、モジュール性の観点から、熱交換器10は実質的に矩形の形状を有することが有益である。より正確には、一実施形態では、熱交換器10は、分配ヘッダ142が第1の方向dfeedに延びるように、分配ヘッダ142及び回収ヘッダ144を含む。モジュール性の観点から、第1の平面Pの法線Nは第1の方向dfeedと平行であるか又は第1の方向dfeedと最大で60°の角度αを形成することが有益である。また、第1の平面Pは使用時に実質的に垂直であることも好ましい。そのため、一実施形態では、第1の平面Pの法線Nは、使用時に水平になり、水平方向Shと最大で45°の角度βを形成するように構成される。少なくともそのような場合には、熱交換器は、空間Vに挿入可能であるとともに、壁51の開口を介して空間Vから取り外すことが可能なモジュール式アセンブリを形成する。そのような手順は、国際特許出願PCT/FI2016/050760により詳細に記載されている。
【0069】
熱交換器10は、流動層熱交換器10として流動層ボイラで用いられることが好ましい。流動層熱交換器10は、循環流動層ボイラのループシール5で用いられることがより好ましい。そのため、一実施形態では、流動層ボイラ1は、流動媒体を煙道ガスから分離する手段40を含む。図1aを参照して、一実施形態では、流動層ボイラ1は、流動媒体を煙道ガスから分離するためのサイクロン40を含む。流動層ボイラは、流動媒体を煙道ガスから分離するための手段40(例えば、サイクロン)から流動媒体を受け取るように構成されたループシール5を含む。さらに、流動層熱交換器10の少なくとも一部はループシール5内に配置されている。例えば、図2b、図2c、図7a、図7b及び図8を参照して、分配ヘッダ142及び回収ヘッダ144はループシールの外側に配置され得る。しかしながら、伝熱管(100、200)又は伝熱管(110、120、210、220)の少なくとも大半は、上述したようにループシール内に配置される。例えば、一実施形態では、流動層熱交換器10の伝熱管(100、200)又は伝熱管(110、120、210、220)の長手方向に測った場合の少なくとも90%は、上述のようにループシール5内に配置される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図11c
図12