(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】見積システム、見積プログラム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240423BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240423BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021113472
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2023-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505191168
【氏名又は名称】株式会社ミスミ
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【氏名又は名称】小田原 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】夘沢 裕行
(72)【発明者】
【氏名】松本 康裕
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-5287(JP,A)
【文献】特開2016-212618(JP,A)
【文献】特開2003-271677(JP,A)
【文献】特開2005-25387(JP,A)
【文献】特開2008-158740(JP,A)
【文献】特開2001-101284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備える見積システムであって、
前記プロセッサは、
穴要素を含
む物品の形状データを
ユーザのクライアント端末から取得
し、
前記形状データに付与されている情報のうちの前記穴要素の表面情報を検出
し、
前記形状データに付与可能な表面情報と前記穴要素の属性を示す穴属性と
をユーザ毎に関連付けた関連情報を参照して、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性を前記穴要素に設定
し、
設定された前記穴属性及び前記形状データに基づい
て前記物品の見積情報を作成
し、当該見積情報を前記クライアント端末に提供する、見積システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、複数の前記穴属性のそれぞれに対応させる前記穴要素の前記表面情報の指定を前記クライアント端末から受け入れて、各ユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けられた前記関連情報を作成す
る、請求項1に記載の見積システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記形状データに基づいて前記物品の形状認識処理を実行
し、
前記表面情報によって前記穴属性を設定する穴属性設定モードが指定されている場合、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性を前記穴要素に設定し、
前記穴属性設定モードが指定されていない場合、前記形状認識処理の結果に基づく穴属性を前記穴要素に設定する、請求項
1に記載の見積システム。
【請求項4】
前記表面情報は、前記穴要素の表面に設定されている色又はテクスチャを示す、請求項
1に記載の見積システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
設定された前記穴属性及び前記形状データに基づいて、設定された前記穴属性を前記物品の3次元モデルの前記穴要素に対して表現した物品画像を生成
し、
前記見積情報及び前記物品画像を前記
クライアント端末に提供す
る、請求項
1に記載の見積システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記物品画像の前記穴要素の表面に設定される色又はテクスチャと前記穴属性とを関連付けた設定情報を参照して、前記穴属性に応じた前記色又はテクスチャが前記穴要素に対して表現されるように前記物品画像を生成する、請求項5に記載の見積システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性が非対応条件を満たす場合に、前記
クライアント端末に通知
する、請求項
1に記載の見積システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記形状データに基づいて前記物品の形状認識処理を実行
し、
前記形状認識処理の結果に基づく穴属性と、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性とが異なる場合に、前記
クライアント端末に通知
する、請求項
1に記載の見積システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、検出された前記表面情報に前記穴属性が関連付けられていない場合に、前記穴属性に対応させる前記表面情報の指定を前記
クライアント端末に提案する、請求項
1に記載の見積システム。
【請求項10】
プロセッサを備え
る見積システムの見積プログラムであって、
前記
プロセッサに、
穴要素を含
む物品の形状データを
ユーザのクライアント端末から取得
させ、
前記形状データに付与されている情報のうちの前記穴要素の表面情報を検出
させ、
前記形状データに付与可能な表面情報と前記穴要素の属性を示す穴属性と
をユーザ毎に関連付けた関連情報を参照して、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性を前記穴要素に設定
させ、
設定された前記穴属性及び前記形状データに基づい
て前記物品の見積情報を作成
させ、当該見積情報を前記クライアント端末に提供させる、見積プログラム。
【請求項11】
プロセッサを備える見積システムの制御方法であって、
前記プロセッサは、
穴要素を含
む物品の形状データを
ユーザのクライアント端末から取得
し、
前記形状データに付与されている情報のうちの前記穴要素の表面情報を検出
し、
前記形状データに付与可能な表面情報と前記穴要素の属性を示す穴属性と
をユーザ毎に関連付けた関連情報を参照して、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性を前記穴要素に設定
し、
設定された前記穴属性及び前記形状データに基づい
て前記物品の見積情報を作成
し、当該見積情報を前記クライアント端末に提供する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴要素に穴属性を設定する見積システム、その見積プログラム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンピュータシステムにおいて、タップ加工を受け入れ可能な穴が識別される構成が開示されている。このコンピュータシステムでは、形成されるカスタムパーツの顧客のCADファイルを受け取り、基本的な問い合わせに対する顧客の応答に応じてCADファイルが分析され、それによりタップ加工を受け入れ可能な穴が識別される。そして、識別された穴ごとに、適切で利用可能なねじサイズが自動的に選択される。その後、顧客には、タッピング分析の結果が自動的に通知される。また、特許文献2には、3次元CADデータに付加されている色属性に基づいて処理を必要とする部分を認識する認識部を備える3次元CAM装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8295971号明細書
【文献】特開2001-084018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが見積もりを希望する物品には、穴要素が形成されることがある。この場合、穴要素の穴属性(例えばタップ穴等の穴のタイプ)は、見積り結果に影響する。例えば、キリ穴が形成される物品と、タップ穴が形成される物品とでは、物品の価格が異なる。そのため、ユーザは、物品の形状を表す形状データ(例えば3次元CADデータ)において、穴要素の穴属性を指定することが要求される。また、特許文献2においては、3次元CAD装置と3次元CAM装置とが色対照情報を共用している。そのため、3次元CADデータを作成するユーザは、3次元CAM装置を所有する加工業者の同意なく色対照情報を変更できない。したがって、ユーザは、穴属性に関連付ける情報(例えば色)を自由に設定できず制限を受けてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る見積システムは、物品の形状データをユーザのクライアント端末から受け入れて当該物品の見積情報を提供する見積システムであって、穴要素を含む前記物品の前記形状データを取得するデータ取得手段と、前記形状データに付与されている情報のうちの前記穴要素の表面情報を検出する検出手段と、前記形状データに付与可能な表面情報と前記穴要素の属性を示す穴属性とを前記ユーザ毎に関連付けた関連情報を参照して、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性を前記穴要素に設定する属性設定手段と、設定された前記穴属性及び前記形状データに基づいて、前記見積情報を作成する見積手段とを備える。
【0006】
また、本発明の一態様に係る見積プログラムは、コンピュータを備え、物品の形状データをユーザのクライアント端末から受け入れて当該物品の見積情報を提供する見積システムの見積プログラムであって、前記コンピュータを、穴要素を含む前記物品の前記形状データを取得するデータ取得手段と、前記形状データに付与されている情報のうちの前記穴要素の表面情報を検出する検出手段と、前記形状データに付与可能な表面情報と前記穴要素の属性を示す穴属性とを前記ユーザ毎に関連付けた関連情報を参照して、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性を前記穴要素に設定する属性設定手段と、設定された前記穴属性及び前記形状データに基づいて、前記見積情報を作成する見積手段として機能させる。
【0007】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、物品の形状データをユーザのクライアント端末から受け入れて当該物品の見積情報を提供する見積システムの制御方法であって、穴要素を含む前記物品の前記形状データを取得し、前記形状データに付与されている情報のうちの前記穴要素の表面情報を検出し、前記形状データに付与可能な表面情報と前記穴要素の属性を示す穴属性とを前記ユーザ毎に関連付けた関連情報を参照して、検出された前記表面情報に対応する前記穴属性を前記穴要素に設定し、設定された前記穴属性及び前記形状データに基づいて、前記見積情報を作成する。
【0008】
これにより、ユーザのクライアント端末から受け入れた形状データに基づいて、穴要素の穴属性を自動的に設定でき、かつ穴要素の関連情報のユーザによる設定の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図12】第2実施形態に係る警告メッセージを示す概略図。
【
図13】第3実施形態に係る提案メッセージを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、物品の形状データD1(
図3)をユーザのクライアント端末40から受け入れて、当該物品の見積情報を提供する見積システム100を示している。例えば、ユーザは、クライアント端末40から穴要素を含む物品の形状データD1を送信する。そして、見積システム100のサーバ20は、当該形状データD1をクライアント端末40から受信して記憶する。なお、物品は、物品自体が一つのまとまった機能を有する完成品であってもよいし、完成品に組み込まれる一つの物品、又は複数の部品からなる組立体であってもよい。さらに、物品は、複数の部品が組み合わさったユニット、治具、装置、及び設備を含む。
【0012】
一例として、穴要素とは、物品に形成される穴のことであり、加工されることによって得られる穴を含む。例えば、穴要素には、精度穴、タップ穴、止まり穴、貫通穴(又は通し穴)、ストレート穴、キリ穴、丸穴、インサート穴、ざぐり穴、ボルト穴、及び皿穴(又は皿モミ穴)、段付き穴、テーパ穴、面取り穴、長穴、角穴、斜め穴、及び切り欠き等が含まれる。なお、精度穴は、はめ合いに高精度を要する穴である。また、タップ穴は、細目ねじ用のタップ穴と、並目ねじ用のタップ穴とを含む。
【0013】
形状データD1は、一例として物品の形状を表す3次元CAD(Computer Aided Design)データであり、物品を構成する要素の寸法及び位置等の情報を含んでいてもよい。要素は穴要素を含み、一例として、穴、軸、段差、切り欠き、角、面、及び稜線等の物品を構成する部分のことである。また、要素は、加工されることによって得られる形状を含む。なお、形状データD1は、物品の形状を含むデータであればよく、2次元CADデータであってもよい。また、異なる種類の穴要素は、穴要素の属性を示す穴属性としての穴の種類(以下、穴タイプともいう。)によって区別できる。なお、穴属性は、穴タイプの他に、穴に関連する、材質、表面処理、穴径の公差、有効深さ(又は完全ねじ部の長さ)、長穴幅の公差、外形寸法の公差、及び表面粗さ等であってもよい。ただし、以下の説明では、穴属性が穴タイプである例について説明する。
【0014】
見積システム100は、見積サーバとしてのサーバ20を備えたネットワークシステム、又はクライアントサーバシステムとして構成されている。サーバ20は、サーバ装置として機能し、例えば複数のコンピュータとしてのサーバユニット21が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニット21によりサーバ20が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にサーバ20が構成されてもよい。サーバ20は、クライアント端末40に対して、又はクライアント端末40のユーザに対して、物品の見積サービスを含む各種サービスを提供する。これらのサービスは、ネットワーク50を介してクライアント端末40に対してプログラム或いはデータを配信する配信サービスと、クライアント端末40から受信したデータを保管する保管サービスとを含んでいる。配信サービスは、例えば、アップデート用のデータを配信するサービスである。
【0015】
クライアント端末40は、ネットワーク接続が可能であるコンピュータ装置である。例えば、クライアント端末40は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ41、及び携帯型タブレット端末装置42等を含む。その他に、携帯電話(スマートフォンを含む)のようなモバイル端末装置が、クライアント端末40に含まれる。クライアント端末40は、各種のコンピュータソフトウェアを実装することにより、サーバ20が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。また、クライアント端末40は、サーバ20に所定のネットワーク50を介して接続可能である。以下では、クライアント端末40がパーソナルコンピュータ41である場合について説明する。
【0016】
ネットワーク50は、サーバ20に対してクライアント端末40をそれぞれ接続できるように構成されている。一例として、ネットワーク50は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成されている。具体的には、LAN(Local Area Network)52が、サーバ20とインターネット51とを接続している。そして、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット51と、LAN52とが、ルータ53を介して接続されている。また、ネットワーク50は、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、その他の通信回線、及びそれらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。クライアント端末40も、インターネット51に接続されるように構成されている。代替的に、サーバ20のサーバユニット21は、LAN52に代えて又は加えてインターネット51により、相互に接続されていてもよい。
【0017】
サーバ20は、ユーザが物品の価格を見積もるために必要な各種の手順を、クライアント端末40を介してユーザに案内する。すなわち、サーバ20は、クライアント端末40からのアクセスに応じて各種のウェブページをクライアント端末40の表示部に表示させるウェブサーバとして機能する。また、サーバ20は、ユーザによる発注に対応して、発注された物品の手配、配送指示、及び購入代金の請求といった処理を実行してもよい。
【0018】
図2を参照して、本発明の概要を説明する。
図2は、穴要素の一例を示す概略断面図であり、形状データD1によって表される物品の模式的な断面を示している。
図2においては、左から順に精度穴111、精度穴112、タップ穴113、タップ穴114、キリ穴115、キリ穴116、キリ穴117、ざぐり穴118、及びざぐり穴119が並んでいる。精度穴111、タップ穴113、キリ穴115、及びキリ穴117は、物品を貫通していない止まり穴でもある。また、精度穴112、タップ穴114、キリ穴116、ざぐり穴118、及びざぐり穴119は、物品を貫通している貫通穴でもある。さらに、ざぐり穴118は皿穴でもあり、ざぐり穴119は段付き穴及びボルト穴でもある。このように、一の穴要素が、複数の穴属性を有していてもよい。
【0019】
形状データD1においては、要素に表面情報を付与可能であり、付与された表面情報は形状データD1に含まれる。例えば、ユーザは、クライアント端末40のCADソフトウェアにおいて穴要素の表面に表面情報を付与できる。さらに、物品の表面(又は体裁面)にも、表面情報を付与できる。一例として、表面情報は、要素の表面に設定されている色又はテクスチャを示し、表面に設定されている色又はテクスチャがないことを示してもよい。一例として、テクスチャは、表面の材質を表した画像、網掛け、又は模様等を示す表面情報によって示される。また、色は、RGB表色系、XYZ表色系、L*u*v*表色系、L*a*b*表色系、マンセル表色系、又はオストワルト表色系等の公知の表色系又は色空間における値を示す表面情報によって示される。以下の説明では、穴要素の表面にRGB表色系における値によって示される色が付与されている例について説明する。
【0020】
図2においては、穴要素表面に付与されている色を網掛けによって示している。例えば、精度穴111及び精度穴112の右上がりの斜線の網掛けは、赤色(一例としてR値223、G値34、B値34)を示している。また、タップ穴113及びタップ穴114の左上がりの斜線の網掛けは、緑色(一例としてR値32、G値223、B値56)を示している。また、キリ穴115、キリ穴116、キリ穴117、ざぐり穴118及びざぐり穴119には網掛けがなく、表面に付与されている色がないことを示している。
【0021】
見積システム100においては、形状データD1の穴要素に付与されている表面情報に基づいて、穴要素に穴タイプが設定される。例えば、穴要素の表面情報が赤色を示している場合、当該穴要素には穴タイプとしてタップ穴が設定される。これにより、ユーザのクライアント端末40から受け入れた形状データD1に基づいて、穴タイプを自動的に設定できる。さらに、ユーザが穴タイプを設定する必要がないので、穴タイプの設定工程を省略して見積りに要する時間を短縮できる。
【0022】
また、形状データD1において設定されていた穴タイプは、アップロード時又はデータ形式の変換時に、削除又は変更されてしまうことがある。この場合であっても、表面情報に基づいて穴要素の穴タイプを自動的に設定できる。また、ジオメトリ処理をせずに穴タイプを設定できるため、ユーザが使用するCADソフトウェアの制限がない。そのため、穴タイプの自動設定に汎用性を持たせることができる。
【0023】
[制御系]
次に、
図3を参照して、見積システム100の制御系の概略構成について説明する。サーバ20は、制御手段としてのサーバ制御部22と、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体としてのサーバメモリ23とを備えている。サーバ制御部22は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、サーバメモリ23に記憶された制御プログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。さらに、サーバ制御部22は、サーバメモリ23に記憶された見積プログラムPGに基づいて、物品の価格の見積りに伴う各種処理を実行する。
【0024】
サーバメモリ23は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。ただし、サーバメモリ23は、サーバ20の一部として設けられる例に限らず、サーバ20と協働するデータベースサーバとして設けられてもよい。以下の説明では、CPUが、ROM又はHDDに記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する。
【0025】
また、サーバメモリ23は、物品の形状データD1と、ユーザ毎に作成された関連情報D2と、設定情報D3とを記憶している。そして、関連情報D2においては、形状データD1に付与可能な表面情報と穴要素の属性を示す穴属性とがユーザ毎に関連付けられている。一例として、関連情報D2は、表面情報(例えば色を示す情報)と穴属性(例えば穴タイプ)とが関連付けられたテーブル又はリストである。当該テーブル又はリストは、設定画面においてユーザが作成でき、ユーザを識別するユーザ識別情報(例えばユーザID)と関連付けられている。なお、ユーザ識別情報は、複数の担当者に共通していても、担当者毎に異なっていてもよい。
【0026】
例えば、
図4は、設定画面の一例を示す概略図である。設定画面のモード設定欄71において、ユーザは、初期設定である形状認識モードと、表面情報によって穴属性を設定する穴属性設定モードとを選択できる。ユーザが穴属性設定モードを選択する場合、ユーザは、設定される穴属性に関連付ける表面情報を指定する。これにより、サーバメモリ23は、穴属性に関連付けられた表面情報を、関連情報D2として記憶する。代替的に、穴属性設定モードが初期設定されていてもよい。
【0027】
図4の表面情報欄72には、物品の一例である板金部品の関連情報D2として、並目ねじ用のタップ穴の穴属性に、緑色(R値32、G値223、B値56)が関連付けられている。また、表面情報欄72には、物品の一例である切削部品の関連情報D2として、並目ねじ用のタップ穴の穴属性に、赤色(R値223、G値34、B値34)が関連付けられている。同様に、細目ねじ用のタップ穴、精度穴、及びインサート穴に表面情報としてRGBの値が関連付けられている。なお、ユーザが表面情報を指定しない穴属性には、表面に設定されている色がないことを示す表面情報が関連付けられてもよい。
【0028】
さらに、ユーザは、表面情報欄72のチェックボックス73を選択することによって、穴属性設定モードを適用する穴属性を個別に選択してもよい。この場合、チェックボックス73が選択されていない穴属性は、後述する形状認識によって穴要素に設定される。なお、関連情報D2においては、少なくとも一つの穴属性に表面情報が関連付けられていればよい。この場合であっても、当該一つの穴属性を自動的に設定できる。
【0029】
代替的に、関連情報D2は、サーバ20が自動的に作成してもよい。一例として、サーバ20は、ユーザが過去にアップロードした形状データD1に適用された関連情報D2を複製して、ユーザが新たにアップロードした形状データD1に適用する関連情報D2を作成する。さらに、関連情報D2は、サーバ20の管理者が予め作成してもよい。これらの場合、ユーザは、自動的に作成された又は管理者が作成した関連情報D2を変更できてもよい。例えば、ユーザは、設定画面から、穴属性に関連付ける表面情報を変更できてもよい。
【0030】
設定情報D3においては、物品画像(
図6)の穴要素の表面に設定される色又はテクスチャと穴属性とが関連付けられている。一例として、設定情報D3は、色又はテクスチャと穴属性(例えば穴タイプ)とが関連付けられたテーブル又はリストである。当該テーブル又はリストは、予め作成されている。具体例として、設定情報D3では、ストレート穴と黄色(一例としてR値255、G値255、B値0)、タップ穴と紫色(一例としてR値128、G値0、B値128)、インサート穴と赤紫色(一例としてR値218、G値80、B値143)、皿穴と緑色(一例としてR値32、G値223、B値56)、長穴と黄緑色(一例としてR値0、G値255、B値0)、その他の穴と灰色(一例としてR値223、G値34、B値34)、が関連付けられている。さらに、設定情報D3において、穴属性が識別できない穴に、橙色(一例としてR値230、G値121、B値40)が関連付けられていてもよい。
【0031】
図3に戻り、サーバ制御部22には、所定の指令及びデータを入力するキーボード若しくは各種スイッチを含む不図示の操作部が、有線接続又は無線接続されている。また、サーバ制御部22には、サーバ装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する不図示の表示部が、有線接続又は無線接続されている。なお、サーバ制御部22は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CF(Compact Flash)カード、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0032】
サーバメモリ23が記憶する見積プログラムPGは、コンピュータであるサーバ制御部22を、データ取得手段であるデータ取得部22A、検出手段である検出部22B、属性設定手段である属性設定部22C、見積手段である見積部22D、受入手段である受入部22E、形状認識手段である認識部22F、画像生成手段である生成部22G、及び提供手段である提供部22Hとして機能させる。すなわち、サーバ制御部22は、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、データ取得部22A、検出部22B、属性設定部22C、見積部22D、受入部22E、認識部22F、生成部22G、及び提供部22Hを有している。
【0033】
なお、サーバ制御部22は、上記論理的装置以外にも、クライアント端末40の操作に応じてウェブページの表示の切り替え等を制御する不図示の論理的装置等を有している。また、サーバメモリ23は、ユーザの情報、過去の見積結果、ウェブページを表示するために用いられる画像データ、及び製品又は物品の型番、名称若しくは特徴等の情報を含むデータ等の不図示の各種のデータを記録している。
【0034】
[データ取得手段]
データ取得部22Aは、穴要素を含む物品の形状データD1を取得する。一例として、ユーザは、サーバ20に形状データD1をアップロードする。そして、サーバ制御部22は、ユーザのクライアント端末40から受け入れた形状データD1をサーバメモリ23に記憶させる。続いて、データ取得部22Aは、サーバメモリ23から形状データD1を取得する。ユーザがアップロードする形状データD1においては、穴要素に対して表面情報が付与されている。代替的に、ユーザは、サーバ20が提供するウェブページ等を介して、アップロードした形状データD1の穴要素に表面情報を付与してもよい。
【0035】
[検出手段]
検出部22Bは、形状データD1に付与されている情報のうちの穴要素の表面情報を検出する。すなわち、穴要素の表面情報は形状データD1の一部であり、検出部22Bは当該表面情報を検出する。一例として、検出部22Bは、ユーザが形状データD1をアップロードしてデータ取得部22Aがこれを取得すると、認識部22Fが認識した穴要素に付与されている表面情報を検出する。代替的に、検出部22Bは、ユーザが穴属性設定モードを選択したときに、穴要素の表面情報を検出してもよい。なお、形状データD1に付与されている他の情報としては、各要素のサイズ及び公差の情報等がある。
【0036】
[属性設定手段]
属性設定部22Cは、形状データD1に付与可能な表面情報と穴要素の属性を示す穴属性とをユーザ毎に関連付けた関連情報D2を参照する。そして、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性を穴要素に設定する。例えば、属性設定部22Cは、
図4に示すような関連情報D2を参照する。この場合、属性設定部22Cは、切削部品の形状データD1において、穴要素に赤色を示す表面情報が付与されているときには、当該穴要素に並目ねじ用のタップ穴の穴属性を設定する。
【0037】
また、属性設定部22Cは、表面情報によって穴属性を設定する穴属性設定モードが指定されている場合、検出された表面情報に対応する穴属性を穴要素に設定する。そして、穴属性設定モードが指定されていない場合、属性設定部22Cは、後述する認識部22Fによる形状認識処理の結果に基づく穴属性を穴要素に設定する。一例として、ユーザは、設定画面(
図4)のモード設定欄71において、形状認識モードと穴属性設定モードとのいずれかを選択する。そして、穴属性設定モードを選択する場合、ユーザは、設定される穴属性に関連付ける表面情報を入力する。代替的に、穴属性に関連付ける表面情報を入力する画面と、穴属性設定モードの設定画面とが別であってもよい。
【0038】
なお、属性設定部22Cは、穴属性設定モードが指定されている場合であっても、表面情報が付与されていない穴要素に対しては、形状認識処理の結果に基づく穴属性を設定する。ただし、属性設定部22Cは、穴属性設定モードが指定されている場合に、表面情報が付与されていない穴要素に対して穴属性を設定しなくともよい。また、属性設定部22Cは、物品の要素の表面(又は体裁面)に付与されている表面情報とは異なる表面情報が穴要素に付与されている場合に、検出された表面情報に対応する穴属性を穴要素に設定してもよい。この場合、属性設定部22Cは、異なる表面情報が穴要素に付与されていない場合、認識部22Fによる形状認識処理の結果に基づく穴属性を穴要素に設定する。これにより、ユーザによるモードの指定がなくとも、属性設定部22Cは、表面情報に応じた穴属性を設定できる。
【0039】
[見積手段]
見積部22Dは、属性設定部22Cによって設定された穴属性と、形状データD1とに基づいて、物品の見積情報を作成する。これにより、表面情報に対応する穴属性に基づいて、物品の見積情報を作成できる。
図5を参照して、見積情報の作成について説明する。なお、
図5は、クライアント端末40の表示装置46に表示される見積画面の一例であり、見積部22Dが当該見積画面を作成する。この見積画面がクライアント端末40の表示装置46に表示されることにより、提供部22Hは、物品の見積情報をクライアント端末40のユーザに提供する。一例として、見積情報は、物品の価格及び物品の出荷までに要する日数の少なくとも一方である。代替的に、見積情報は、加工の価格、物品が出荷される日、又はユーザに物品が配送される日であってもよい。
【0040】
見積画面には基本情報タブ11とツリービュータブ12とが含まれている。基本情報タブ11を選択して表示される基本情報ビューには、例えば、材質及び表面処理の方法等の製造に必要な情報と、購入数量とが表示される。
図5の例では、ツリービュータブ12を選択して表示されるツリービュー13が図示されている。ツリービュー13には、例えば、物品の外形寸法と、穴タイプ、及び穴径等が表示される。
【0041】
図5の例では、物品Aの外形寸法を示す情報として、X方向の寸法「100mm」と、Y方向の寸法「60mm」と、Z方向の寸法「20mm」が表示されている。また、物品Aの上面(Top)にJIS規格で定められた「M10」に対応する並目ねじ用タップ穴が四個所に加工されることを示す情報として、「4×M10」が表示されている。また、一個の物品価格として「4,980円」が表示されている。さらに、出荷までに要する実働日の日数として「6日間」が表示されている。見積部22Dは、形状データD1に基づいて、属性設定部22Cによって設定された穴タイプである並目ねじ用タップ穴である場合の見積情報を作成する。すなわち、見積部22Dは、並目ねじ用タップ穴の加工に要する費用を、物品Aの価格に付加する。
【0042】
また、見積画面の下部には、見積もりの確定ボタン14が表示されており、ユーザが当該確定ボタン14を選択すると確定ボタン14の下方に合計金額、出荷日、及び出荷までに要する実働日の日数が表示される。このとき、物品の価格に購入数量を乗じて得られた金額が、合計金額として見積画面に表示される。さらに、表示されている物品に対応する型番が、型番欄15に表示される。また、確定ボタン14の下方には、印刷ボタン16が表示されており、ユーザが当該印刷ボタン16を選択すると見積結果を印刷することができる。さらに、印刷ボタン16に並んで、出力ボタン17と注文ボタン18とが表示されている。
【0043】
ユーザが出力ボタン17を選択すると、注文リストの電子データを出力することができる。また、ユーザが注文ボタン18を選択すると、注文を行うための注文画面(不図示)が、クライアント端末40の表示装置46に表示される。ユーザは、当該注文画面において、型番によって特定される物品を注文することができる。ユーザが物品を注文すると、見積部22Dは、生成部22Gが生成した物品画像と、特定された型番と、購入数量とを物品の加工業者に送信する。さらに見積部22Dは、加工業者に物品の配送指示を送信する処理、及びユーザに購入代金を請求する処理を実行してもよい。代替的に、見積画面においてユーザが注文ボタン18を選択すると、見積部22Dは、更なる操作画面を表示させずに特定された型番と購入数量とを物品の加工業者に送信してもよい。
【0044】
さらに、見積部22Dは、形状データD1に対応する物品の発注処理を行う。発注処理において、例えば、見積部22Dは、物品の型番を特定して、特定した型番に対応する物品を注文するためのウェブページとしての注文画面を作成する。そして、提供部22Hが、当該注文画面をクライアント端末40の表示装置46に表示させる。そして、ユーザが物品を注文すると、見積部22Dは、生成部22Gが生成した物品画像と、特定された型番と、購入数量とを物品の加工業者に送信する。なお、
図5に示されている見積画面は、注文画面の前段階のウェブページである。
【0045】
[受入手段]
受入部22Eは、複数の穴属性のそれぞれに対応させる穴要素の表面情報の指定をクライアント端末40から受け入れて、各ユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けられた関連情報D2を作成する。これにより、ユーザは、自らが使用しやすい表面情報を用いて、属性設定部22Cに穴属性を設定させることができる。そのため、ユーザの利便性を向上させることができる。一例として、受入部22Eは、設定画面(
図4)をクライアント端末40の表示装置46に表示させる。そして、ユーザは、設定画面において、複数の穴属性のそれぞれに対応させる穴要素の表面情報を指定する。そして、受入部22Eは、ユーザによる指定を受け入れて関連情報D2を作成して、サーバメモリ23に記憶させる。
【0046】
[形状認識手段]
認識部22Fは、形状データD1に基づいて物品の形状認識処理を実行する。一例として、形状認識処理において、認識部22Fは、形状データD1に基づいて穴要素を含む各要素の形状を認識する。そして、認識部22Fは、形状認識処理の結果として、認識された穴要素の形状に対応する穴属性を認識する。続いて、属性設定部22Cが、当該穴属性を穴要素に自動的に設定する。これにより、認識された穴要素の形状に対応する穴属性が、形状データD1に含まれる。代替的に、認識部22Fは、形状認識処理の結果としての穴属性を、サーバメモリ23に記憶させてもよい。この場合、属性設定部22Cは、サーバメモリ23から形状認識処理の結果を取得する。
【0047】
例えば、認識部22Fは、
図2において表面に設定されている色がない、キリ穴115、キリ穴116、キリ穴117、ざぐり穴118及びざぐり穴119の穴タイプを、形状認識処理によって認識する。一例として、認識部22Fは、穴底がフラットな円柱形状からなる非貫通の穴、穴底が円錐の円柱形状からなる非貫通の穴、円柱形状からなる貫通した穴、入り口が面取りされた円柱形状からなる穴、及び複数段を有する形状からなる穴等を、穴要素として認識する。そして、認識部22Fは、穴要素に高精度の公差(例えば、公差域クラス「H7」)が設定されている場合、当該穴要素が精度穴であると認識する。
【0048】
また、認識部22Fは、穴要素の穴径が、予めサーバ20において設定されている穴径(又は下穴径)と一致する場合に、当該穴要素がタップ穴であると認識する。さらに、認識部22Fは、物品が所定の材質(例えばアルミニウム又は樹脂)からなり、且つ穴要素の穴径が、予めサーバ20において設定されている穴径と一致する場合に、当該穴要素がインサート穴であると認識する。また、認識部22Fは、入り口が面取りされた円柱形状からなる場合、すなわち、穴要素の入り口が円錐台の形状である場合、当該穴要素を皿穴であると認識する。
【0049】
さらに、認識部22Fは、穴要素が複数段を有する場合、当該穴要素を段付き穴であると認識する。そして、認識部22Fは、穴要素が、精度穴、タップ穴、インサート穴、皿穴、及び段付き穴に該当しない場合に、当該穴要素がキリ穴であると認識する。なお、認識部22Fは、形状によって認識できない穴属性(例えば斜め穴)については、穴属性を認識しなくともよい。この場合、ユーザは、サーバ制御部22が提供するウェブページ(例えば、後述する指示画面)において、当該穴属性を設定できてもよい。
【0050】
なお、提供部22Hが、形状認識処理の結果をユーザに提供してもよい。例えば、提供部22Hは、クライアント端末40の表示装置46に、形状認識処理の結果としての穴属性を表示させる。これによって、提供部22Hは、形状認識処理の結果をユーザに提供する。ユーザは形状認識処理の結果を確認して、変更が必要な場合には、形状データD1の穴要素の穴属性を変更する。代替的に、提供部22Hは、クライアント端末40に形状認識処理の結果を送信することによって、ユーザに提供してもよい。
【0051】
[画像生成手段]
生成部22Gは、属性設定部22Cによって設定された穴属性及び形状データD1に基づいて、設定された穴属性を物品の3次元モデルの穴要素に対して表現した物品画像を生成する。
図6は、生成部22Gが生成した物品画像の一例である。物品画像においては、左から順に精度穴111、精度穴112、タップ穴113、タップ穴114、キリ穴115、キリ穴116、キリ穴117、ざぐり穴118、及びざぐり穴119が並んでいる。
【0052】
そして、物品画像において、精度穴111及び精度穴112には、公差域クラス「H7」が設定されていることを示す符号が付されている。また、タップ穴113及びタップ穴114には、ねじの呼び「M6」又は「M8」が設定されていることを示す符号が付されている。さらに、キリ穴115及びキリ穴117には、止まり穴であることを示す符号が付されている。また、ざぐり穴118及びざぐり穴119には、穴径の左側にざぐり穴であることを示す略U字状の記号又は皿穴であることを示す略V字状の記号が付されている。これにより、生成部22Gは、穴属性を穴要素に対して表現している。
【0053】
また、生成部22Gは、ユーザがアップロードした形状データD1の穴要素を、穴属性に応じた形状に変更して物品画像を生成してもよい。これによっても、生成部22Gは、穴属性を穴要素に対して表現できる。例えば、ユーザがアップロードした形状データD1においては、穴要素が、表面情報が付与されている単に有底又は貫通した円柱形状の穴であってもよい。この場合、生成部22Gは、当該穴の形状を、穴属性に応じた形状に変更して物品画像を生成する。一例として、生成部22Gは、穴タイプが止まり穴であり且つタップ穴である場合、単なる円柱形状の穴を、穴底が円錐の形状を有するように変更する。これにより、ドリル先端によって形成される下穴の穴底の形状が、物品画像に反映され、穴属性に応じた形状を穴要素に反映させることができる。
【0054】
なお、生成部22Gは、設定された穴属性を穴要素に対して表現した2次元の物品画像を生成してもよい。一例として、生成部22Gは、穴属性に応じた形状を有する穴要素、又は穴属性に応じた符号若しくは記号が付された穴要素を含むように、物品の六面図又は物品の断面図を作成してもよい。
【0055】
また、生成部22Gは、設定情報D3を参照して、穴属性に応じた色又はテクスチャが穴要素に対して表現されるように物品画像を生成する。すなわち、生成部22Gは、物品画像を生成する際に、ユーザがアップロードした形状データD1の穴要素に設定されている色又はテクスチャを参照しない。一例として、設定情報D3においてタップ穴に紫色が関連付けられている場合、形状データD1のタップ穴に緑色が設定されていても、生成部22Gは、物品画像のタップ穴に紫色を設定する。その結果、物品画像においては、タップ穴の表面が紫色に表示される。これにより、生成部22Gは、穴属性に応じた色又はテクスチャを穴要素に対して表現している。
【0056】
また、設定情報D3と関連情報D2との間で、同じ属性に異なる色が関連付けられていてもよい。生成部22Gは、関連情報D2を参照しないので、両情報に相違があっても物品画像の生成に支障は生じない。すなわち、物品画像の穴属性には、各ユーザが3次元CADデータにおいて設定した色又はテクスチャとは異なる色又はテクスチャが設定されることがある。この設定情報D3は、各ユーザが作成した関連情報D2とは別の情報であり、且つ全ユーザに対して共通に利用される。これにより、サプライヤに提供される物品画像の穴属性の色又はテクスチャが、ユーザ毎に異なることを防止できる。そのため、加工業者は、物品画像に含まれる特定の色又はテクスチャに基づいて穴属性を特定できる。
【0057】
[提供手段]
提供部22Hは、見積情報及び物品画像をユーザに提供する。一例として、提供部22Hは、クライアント端末40の表示装置46に、見積画面(
図5)に並ぶように物品画像(
図6)を表示させる。これによって、提供部22Hは、見積情報及び物品画像をユーザに提供する。そのため、ユーザは、物品画像を確認しながら見積りの当否を判断できる。代替的に、提供部22Hは、クライアント端末40に見積情報及び物品画像を送信することによって、ユーザに提供してもよい。
【0058】
[クライアント端末]
クライアント端末40は、クライアント端末40を制御する端末制御部45と、制御プログラムを記憶した端末メモリ44とを備えている。当該端末制御部45は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータである。また、クライアント端末40は、表示装置46及び入力装置47を備えている。
【0059】
一例として、端末制御部45のプロセッサは、例えばCPU、又はMPUであり、端末メモリ44に記憶された制御プログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。また、端末メモリ44は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM、HDD及びSSD等の記憶装置を含む。以下の説明では、CPUが、ROM又はHDDに記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する例について説明する。なお、端末制御部45は、CD、DVD、CFカード、及びUSBメモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0060】
端末メモリ44は、ハードディスク及び半導体記憶装置等の不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体)を含んだ外部記憶装置である。さらに、端末メモリ44は、制御プログラムに加えて、CADソフト等の形状データD1を作成するための設計プログラム、及びウェブブラウザ等の各種プログラムを記憶している。
【0061】
入力装置47は、キーボード、テンキー及びタッチパネル等であり、ユーザは入力装置47を用いて形状データD1を作成又は変更する。そして、入力装置47を用いて作成された形状データD1は、端末メモリ44に記録される。また、サーバ20から見積情報及び物品画像を受信すると、表示装置46が見積情報及び物品画像を表示する。さらに、表示装置46は、設定画面、見積画面及び注文画面等のウェブページを表示させる。ユーザは、表示装置46に表示されたウェブページに従って物品を注文する。
【0062】
[見積処理]
続いて、
図7から
図11を参照して、見積処理について説明する。
図7に示すように、ユーザからの要求に応じて、受入部22Eは、設定画面(
図4)をクライアント端末40の表示装置46に表示させる。一例として、ユーザは、ユーザ設定画面において、モード設定アイコンを選択する。これにより、クライアント端末40が、サーバ20へ設定画面の表示要求を送信する。代替的に、受入部22Eは、ユーザが見積りシステム100にログインしたときに設定画面を表示させてもよい。そして、ユーザは、設定画面において、複数の穴属性のそれぞれに対応させる穴要素の表面情報を指定する。これにより、予めユーザによって作成された関連情報D2が、サーバ20において記憶される。さらに、設定画面においては、穴情報を指定できる指定画面を表示させることもできる。例えば、精度穴に対する初期指定としては、穴タイプ(止まり穴又は貫通穴であること、若しくはストレート穴又はインサート穴であること)、有効深さ、及び公差域等がある。
【0063】
物品の見積りを望む場合、ユーザは、形状データD1をサーバ20にアップロードする。そして、サーバ20のサーバ制御部22は形状データD1をサーバメモリ23に記憶させ、データ取得部22Aは形状データD1を取得する。データ取得部22Aが形状データD1を取得すると、穴属性の設定処理が行われる。具体的に設定処理においては、属性設定部22Cが、穴属性設定モードが指定されているか否かを判断する。そして、穴属性設定モードが指定されている場合、検出部22Bが穴要素の表面情報を検出する。穴要素の表面情報が検出されると、属性設定部22Cは、関連情報D2を参照する。そして、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性を穴要素に設定する。これにより、穴属性が自動的に穴要素に設定される。
【0064】
一方、設定処理において、穴属性設定モードが指定されていない場合、認識部22Fは、形状データD1に基づいて穴要素の形状を認識する。そして、認識部22Fは、形状認識処理の結果として、認識された穴要素の形状に対応する穴属性を認識する。続いて、属性設定部22Cが、当該穴属性を穴要素に設定する。これにより、穴属性が自動的に穴要素に設定される。なお、穴属性設定モードが指定されている場合であっても、表面情報が付与されていない穴要素に対しては、形状認識処理の結果に基づく穴属性が同様に設定される。
【0065】
穴属性が設定されると、生成部22Gは、物品画像を生成する生成処理を行う。生成処理において、生成部22Gは、属性設定部22Cによって設定された穴属性及び形状データD1に基づいて物品画像を生成する。このとき、生成部22Gは、設定情報D3を参照る。そして、生成部22Gは、形状データD1に設定されている穴属性に対応する色又はテクスチャが穴要素に対して表現されるように、物品画像を生成する。そして、生成部22Gは、生成した物品画像をサーバメモリ23に記憶させる。また、生成部22Gは、穴要素の断面画像をさらに生成して、記憶させる。また、穴属性が設定されると、穴情報を指示するウェブページである指示画面を、提供部22Hが表示させる。ユーザは、クライアント端末40の表示装置46に表示される指示画面において、穴情報を入力して設定できる。当該指示画面の一例を
図8から
図11に示す。
【0066】
図8は、精度穴の指示画面を示している。指示画面には、生成部22Gによって生成された穴要素の断面画像が表示される画像欄F1が含まれている。また、指示画面には、穴情報の指示欄F2が含まれている。一例として、精度穴の穴タイプが設定された場合、ユーザが指定した初期指定の穴タイプ(
図8の例ではストレート穴)が自動的に設定される。また、初期指定の公差(
図8の例では公差タイプ「はめあい公差」及び公差域クラス「H7」)、及び初期指定の有効深さ(
図8の例では一段目の深さに対応する「全長」)が自動的に設定される。一例として、止まり穴である場合、有効深さが「全長」であれば、認識部22Fによる形状認識の結果に基づいて、穴の一段目の深さが有効深さとして自動的に設定される。また、
図8の例では、穴の二段目の初期指定の公差として、公差タイプ「公差無し」が自動的に設定されている。なお、穴要素の穴径は、形状データD1に含められているか、又は認識部22Fによる形状認識の結果に基づいて自動的に設定される。さらに、止まり穴であるか貫通穴であるかは、認識部22Fによる形状認識の結果に基づいて、属性設定部22Cが設定してもよい。
【0067】
ユーザは、指示欄F2において、穴情報を選択又は入力できる。具体的に、
図8の例では、ユーザが、穴タイプ、公差(例えば、公差タイプ及び公差域クラス)、有効深さ、精度穴の内面の表面粗さ(例えば、算術平均粗さ「Ra1.6」)を選択又は入力できる。これにより、ユーザは、初期指定を変更できる。また、指示画面の下部には、更新ボタンB1とキャンセルボタンB2とが表示されている。ユーザが更新ボタンB1を選択すると、サーバ制御部22は、変更後の穴情報を形状データD1に設定する。一方、ユーザがキャンセルボタンB2を選択すると、サーバ制御部22は指示画面を消す。なお、
図8では、ユーザがドロップダウンメニューの形式で穴情報を選択できる。ただし、指示画面においては、ユーザが穴情報をテンキー等を用いて入力できてもよい。
【0068】
図9は、タップ穴の指示画面を示している。タップ穴の穴タイプが設定された場合、指示欄F2には属性設定部22Cが設定した穴タイプ(
図9の例ではタップ穴)が自動的に設定される。また、初期指定のサイズ(
図9の例ではJIS規格に従ったサイズ「M8」)、及び初期指定のピッチ(
図9の例では並目ねじのピッチ「1.25」)が自動的に設定される。さらに、初期指定のねじの回転方向(
図9の例では右回り方向)、及び初期指定の有効深さ(
図9の例では「全長」)が自動的に設定される。なお、止まり穴である場合、有効深さが「全長」であれば、認識部22Fによる形状認識の結果に基づいて、穴の一段目の深さが有効深さとして自動的に設定される。また、タップ穴の指示画面の下部には、更新ボタンB1とキャンセルボタンB2とが表示されている。タップ穴の場合も同様に、ユーザは、指示欄F2において、穴情報を選択又は入力できる。
【0069】
図10は、キリ穴の指示画面を示している。一例として、形状認識モードである場合、及び穴要素に表面情報が付与されていない場合、属性設定部22Cは、キリ穴の穴タイプを設定する。なお、属性設定部22Cは、穴要素が精度穴、タップ穴、インサート穴、皿穴、及び段付き穴に該当しない場合に、キリ穴の穴タイプを設定してもよい。キリ穴の穴タイプが設定された場合、指示欄F2には属性設定部22Cが設定した穴タイプ(
図10の例ではストレート穴)が自動的に設定される。さらに、初期指定の公差(
図10の例では公差タイプ「公差無し」)が自動的に設定される。また、キリ穴の指示画面の下部には、更新ボタンB1とキャンセルボタンB2とが表示されている。キリ穴の場合も同様に、ユーザは、指示欄F2において、穴情報を選択又は入力できる。
【0070】
図11は、皿穴の指示画面を示している。一例として、形状認識モードであり且つ穴要素の入り口が円錐台の形状である場合、属性設定部22Cは、皿穴の穴タイプを設定する。皿穴の穴タイプが設定された場合、指示欄F2には属性設定部22Cが設定した穴タイプ(
図11の例では皿穴)が自動的に設定される。なお、
図11において、円錐台(又は円錐形状)の角度は90°である。ただし、当該角度は、ユーザが皿穴の指示画面において選択又は入力できてもよい。
【0071】
指示画面においてユーザが穴情報を指示すると、サーバ制御部22は、穴情報が含められるように形状データD1を変更してサーバメモリ23に記憶させる。そして、データ取得部22Aは、穴情報を含む形状データD1をサーバメモリ23から取得する。そして、生成部22Gは、物品画像を生成する生成処理を行う。なお、他の穴タイプ、例えば段付き穴であるざぐり穴についても、ユーザは、指示画面において穴情報(例えば、公差及び穴タイプ等)を指示できる。
【0072】
図7に戻って、ユーザは、穴情報を指示して表示された内容を確認すると、見積もりを要求する。一例として、ユーザが見積アイコンを選択すると、クライアント端末40からサーバ20へと見積要求が送信される。代替的に、ユーザが穴情報を指示すると、サーバ20へと見積要求が送信されてもよい。見積要求を受けて、見積部22Dは、属性設定部22Cによって設定された穴属性と、形状データD1とに基づいて、物品の見積情報を作成する。そして、提供部22Hは、価格及び実働日等の見積情報を含む見積画面と、生成部22Gが生成した物品画像とを表示装置46に表示させる。
【0073】
さらに、見積もりの確定ボタン14を選択すると、提供部22Hは、見積確定情報として、合計金額、出荷日、及び出荷までに要する実働日の日数を表示させる。そして、ユーザが見積画面の注文ボタン18を選択して注文に進むと、サーバ20の見積部22Dが発注処理を行い、サーバ制御部22は注文画面を表示装置46に表示させる。そして、ユーザが物品を注文すると、見積部22Dは、特定された型番と購入数量とを物品の加工業者に送信する。
【0074】
以上説明した第1実施形態に係る見積りシステム100によれば、ユーザのクライアント端末40から受け入れた形状データD1に基づいて、穴タイプを自動的に設定できる。そのため、ユーザが穴タイプを設定する必要がないので、穴タイプの設定工程を省略して見積りに要する時間を短縮できる。また、ユーザ毎に表面情報と穴属性とを関連付けた関連情報D2を用いることによって、ユーザは、加工業者の同意なく関連情報D2を作成又は変更できる。したがって、ユーザが形状データD1を作成する際に使用する表面情報、例えば、色は、ユーザが自由に設定できる。そのため、形状データD1の作成に使用するソフトウェア等は制限を受けることがなく、汎用性を高めることができる。
【0075】
なお、ユーザがアップロードした形状データD1に穴属性(例えば穴タイプ)が設定されている場合、属性設定部22Cは、設定処理によって当初の穴属性を自動的に置き換えてもよい。また、提供部22Hは、表面情報が付与されていない穴要素を検出部22Bが検出した場合に、ユーザに通知を行ってもよい。一例として、提供部22Hは、穴情報の指示画面を表示させて、ユーザに穴属性の指示を促すことによって通知を行う。
【0076】
[第2実施形態]
図12を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態は、提供部22Hがユーザに通知をする通知手段として機能する点において、第1実施形態と異なる。サーバメモリ23が記憶する見積プログラムPGは、コンピュータであるサーバ制御部22を、通知手段である提供部22Hとして機能させる。すなわち、サーバ制御部22は、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、通知手段を有している。
【0077】
なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0078】
第2実施形態において、提供部22Hは、検出部22Bによって検出された表面情報に対応する穴属性が非対応条件を満たす場合に、そのことをユーザに通知をする通知手段としても機能する。一例として、提供部22Hは、複数の段を含む穴要素の段毎に異なる色が設定されている場合に、非対応条件を満たすと判断する。すなわち、提供部22Hは、複数の段を含む穴要素において、互いに異なる穴属性に対応する表面情報が設定されている場合に、非対応条件を満たすと判断する。
【0079】
具体例として、二段の段差穴において、上段に設定されている色(例えば赤色)が並目ねじ用のタップ穴に対応し、下段に設定されている色(例えば黒)が細目ねじ用のタップ穴に対応する場合である。この場合、ユーザによる注文内容に従う穴要素は形成可能である。しかし、ねじが上段又は下段に一致しないので、ユーザは加工された物品を使用できない。そのため、提供部22Hは、非対応条件を満たすことをユーザに通知して、条件の見直し機会をユーザに与える。なお、上記の他に、上段と下段の組み合わせが、並目ねじ用のタップ穴と細目ねじ用、タップ穴とインサート穴、若しくはタップ穴と精度穴の組み合わせである場合、又はこれらの逆の組み合わせである場合に、提供部22Hは非対応条件を満たすと判断する。
【0080】
さらに、提供部22Hは、非対応条件を満たすと判断した場合、そのことをユーザに通知する。
図12の例では、提供部22Hが、非対応を示す警告メッセージM1として、「条件を確認して下さい」、及び「対応できない組み合わせからなる穴種です」の文字列を表示装置46に表示させている。これにより、提供部22Hは、非対応条件を満たすことをユーザに通知する。代替的に、提供部22Hは、画像又はコード等の他の態様によって、ユーザに通知してもよい。さらに、提供部22Hは、音声によって、又はクライアント端末40に警告メッセージM1を送信すること等によって、非対応条件を満たすことをユーザに通知してもよい。
【0081】
また、提供部22Hは、サプライヤが非対応穴属性として設定している穴属性と、検出部22Bによって検出された表面情報に対応する穴属性とが一致する場合に、非対応条件を満たすと判断してもよい。例えば、ユーザが見積もりの依頼先として選択した加工業者が、精度穴を非対応穴属性として設定していることがある。この場合、提供部22Hは、検出部22Bによって検出された表面情報に対応する穴属性が精度穴であれば、非対応条件を満たすと判断する。
【0082】
なお、提供部22Hは、警告メッセージM1と共に、又は警告メッセージM1の通知の前後に、設定の変更機会をユーザに与えてもよい。一例として、提供部22Hは穴属性の設定画面(
図4)を表示させて、穴属性に関連付けた表面情報の変更機会をユーザに与える。ユーザは、異なる表面情報(例えば赤と黒)に同一の穴属性(例えば並目ねじ用のタップ穴)を関連付けるように変更する。これにより、非対応条件を満たすことがなくなる。さらに、提供部22Hは、指示画面(
図8から
図11)を表示させて、穴属性の変更機会をユーザに与えてもよい。ユーザは、穴要素に設定されている穴属性(例えば下段の穴属性)を他の穴属性(例えば並目ねじ用のタップ穴)に変更する。これにより、非対応条件を満たすことがなくなる。
【0083】
例えば、提供部22Hは、
図7に示す設定処理において警告メッセージM1を通知する。具体的に、検出部22Bが穴要素の表面情報を検出して、表面情報が検出されると、属性設定部22Cは関連情報D2を参照する。その後、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性を特定する。そして、提供部22Hは、検出された表面情報に対応する穴属性が非対応条件を満たすか否かを判断する。ここで、非対応条件を満たす場合、提供部22Hは、警告メッセージM1をユーザに通知する。一方、非対応条件を満たさない場合、属性設定部22Cが、当該穴属性を穴要素に設定する。
【0084】
さらに、第2実施形態の提供部22Hは、認識部22Fによる形状認識処理の結果に基づく穴属性と、検出部22Bによって検出された表面情報に対応する穴属性とが異なる場合に、そのことをユーザに通知をする通知手段としても機能する。一例として、認識部22Fは、形状認識処理の結果として、認識された穴要素の形状に対応する穴属性を認識する。続いて、属性設定部22Cが、当該穴属性を穴要素に自動的に設定する。これにより、認識された穴要素の形状に対応する穴属性が、形状データD1に含まれる。
【0085】
その後、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性を特定する。そして、提供部22Hは、形状認識処理の結果に基づいて設定された穴属性と、検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性とが異なる場合に、そのことをユーザに通知をする通知手段としても機能する。一例として、提供部22Hは、穴属性が異なることを示す警告メッセージM1として、「条件を確認して下さい」の文字列を表示装置46に表示させる。これにより、提供部22Hは、穴属性が異なることをユーザに通知する。代替的に、提供部22Hは、画像又はコード等によって、ユーザに通知してもよい。さらに、提供部22Hは、音声によって、又はクライアント端末40に警告メッセージM1を送信すること等によって、穴属性が異なることをユーザに通知してもよい。
【0086】
例えば、提供部22Hは、
図7に示す設定処理において警告メッセージM1を通知する。具体的に、穴属性設定モードが指定されているか否に関わらず、認識部22Fは、形状データD1に基づいて穴要素の形状を認識する。そして、認識部22Fは、形状認識処理の結果として、認識された穴要素の形状に対応する穴属性を認識する。続いて、属性設定部22Cが、当該穴属性を穴要素に設定する。
【0087】
次に、検出部22Bが穴要素の表面情報を検出して、表面情報が検出されると、属性設定部22Cは関連情報D2を参照する。その後、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性を特定する。そして、属性設定部22Cが特定した穴属性が形状認識処理の結果に基づく穴属性と異なる場合、提供部22Hは、警告メッセージM1をユーザに通知する。一方、両穴属性が一致する場合、属性設定部22Cは、特定した穴属性を穴要素に設定する。
【0088】
以上説明した第2実施形態に係る見積りシステム100によっても、ユーザのクライアント端末40から受け入れた形状データD1に基づいて、穴タイプを自動的に設定できる。さらに、第2実施形態に係る見積りシステム100によれば、表面情報の付与に誤りがあると予想される場合に、ユーザに見直し機会を与えることができる。すなわち、非対応条件を満たす場合には表面情報の付与に誤りがあると予想される。そのため、提供部22Hは、そのことをユーザに通知する。また、形状認識処理の結果に基づく穴属性と、検出部22Bによって検出された表面情報に対応する穴属性とが異なる場合にも、設定に誤りがあると予想される。そのため、提供部22Hは、そのことをユーザに通知する。
【0089】
[第3実施形態]
図13を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態は、属性設定部22Cが穴属性に対応させる表面情報の指定をユーザに提案する点において、第1実施形態と異なる。なお、第3実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0090】
第3実施形態において、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された表面情報に穴属性が関連付けられていない場合に、穴属性に対応させる表面情報の指定をユーザに提案する。一例として、属性設定部22Cは、関連情報D2を参照した際に、検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性が関連情報D2に含まれていない場合、当該表面情報に穴属性が関連付けられていないと判断する。そして、属性設定部22Cは、穴属性に対応させる表面情報の指定をユーザに提案する。その後、ユーザは、設定画面(
図4)を表示させる操作を行い、所望の穴属性が関連付けられるように表面情報を指定する。代替的に、属性設定部22Cは、設定画面を自動的に表示させてもよい。
【0091】
図13の例では、属性設定部22Cが、表面情報の指定の提案メッセージM2として、「穴の色に[R:148,G:63,B:175]が設定されています。穴タイプを自動設定したい場合は設定画面で色を登録して下さい。」の文字列を表示装置46に表示させる。これにより、属性設定部22Cは、穴属性に対応させる表面情報の指定をユーザに提案する。代替的に、属性設定部22Cは、画像又はコード等によって、ユーザに提案してもよい。さらに、属性設定部22Cは、音声によって、又はクライアント端末40に提案メッセージM2を送信すること等によって、表面情報の指定をユーザに提案してもよい。
【0092】
また、属性設定部22Cは、表面情報の指定の提案と共に、又は表面情報の指定の提案の前後に、穴属性が関連付けられておらず且つ穴要素に付与されている表面情報を、ユーザに通知する。
図13の例では、当該表面情報として、穴の色を示す情報「R:148,G:63,B:175」が、提案メッセージM2に含まれている。代替的に、属性設定部22Cは、表面情報を提案メッセージM2とは別に表示させてもよい。さらに、属性設定部22Cは、画像又はコード等によって、ユーザに通知してもよい。さらに、属性設定部22Cは、音声によって、又はクライアント端末40に表面情報を送信すること等によって、表面情報をユーザに通知してもよい。
【0093】
さらに、属性設定部22Cは、表面情報の指定の提案と共に、又は表面情報の指定の提案の前後に、穴属性に関連付けられている表面情報をユーザに通知する。属性設定部22Cは、表面情報の確認を指示するユーザの操作に応じて通知してもよく、ユーザの操作が無くとも自動的に通知してもよい。
図13の例では、属性設定部22Cが、表面情報を示す色通知メッセージM3として、指定済みの色の一覧を表示させている。これにより、属性設定部22Cは、穴属性に関連付けられている表面情報をユーザに通知する。代替的に、属性設定部22Cは、画像又はコード等によって、ユーザに通知してもよい。さらに、属性設定部22Cは、音声によって、又はクライアント端末40に指定済みの表面情報を送信すること等によって、表面情報をユーザに通知してもよい。
【0094】
例えば、提供部22Hは、
図7に示す設定処理において提案メッセージM2を通知する。具体的に、検出部22Bが穴要素の表面情報を検出して、表面情報が検出されると、属性設定部22Cは関連情報D2を参照する。そして、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された表面情報に穴属性が関連付けられていない場合に、穴属性に対応させる表面情報の指定をユーザに提案する。一方、穴属性が関連付けられている場合、属性設定部22Cは、検出部22Bによって検出された穴要素の表面情報に対応する穴属性を特定して、特定した穴属性を穴要素に設定する。
【0095】
以上説明した第3実施形態に係る見積りシステム100によっても、ユーザのクライアント端末40から受け入れた形状データD1に基づいて、穴タイプを自動的に設定できる。さらに、第3実施形態に係る見積りシステム100によれば、表面情報の指定に漏れがある場合に、ユーザに指定を促すことができる。さらに、指定の漏れではなく、表面情報の付与に誤りがある場合には、ユーザに見直し機会を与えることができる。
【0096】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0097】
例えば、サーバ20を備えるシステムは、見積り以外の用途に用いることもできる。一例として、サーバ20を備えるシステムは、物品の設計に用いられてもよい。この場合であっても、形状データD1を用いた物品の設計において、穴属性の設定を省略できる。
【0098】
また、見積システム100がクライアント端末40を含んでいてもよい。この場合、サーバ制御部22が有する各手段の少なくとも一部は、クライアント端末40の端末制御部45に設けられていてもよい。一例として、データ取得部22A、検出部22B、属性設定部22C、見積部22D、受入部22E、認識部22F、生成部22G、及び提供部22Hの少なくとも一つが、端末制御部45に設けられていてもよい。例えば、クライアント端末40は、ユーザが入力した形状データD1を受け入れて端末メモリ44に記憶する。そして、端末制御部45のデータ取得部22Aは、端末メモリ44から形状データD1を取得する。さらに、端末制御部45の属性設定部22Cは、端末メモリ44が記憶する関連情報D2に基づいて設定処理を行う。
【0099】
また、サーバ制御部22が提供するウェブページ上にて、ユーザが物品の形状又は寸法を変更できてもよい。この場合、サーバ制御部22は、ユーザによる変更を形状データD1に反映させて、サーバメモリ23に記憶させる。そして、データ取得部22Aは、サーバメモリ23から変更が反映された形状データD1を取得する。さらに、サーバ20が提供する画面上において表面情報を穴要素に付与できるように、見積システム100を構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
22 :サーバ制御部(コンピュータ)
22A :データ取得部(データ取得手段)
22B :検出部(検出手段)
22C :属性設定部(属性設定手段)
22D :見積部(見積手段)
22E :受入部(受入手段)
22F :認識部(形状認識手段)
22G :生成部(画像生成手段)
22H :提供部(提供手段、通知手段)
40 :クライアント端末
100 :見積システム
D1 :形状データ
D2 :関連情報
D3 :設定情報
PG :見積プログラム