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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20240423BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
H02K1/18 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021510307
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 KR2019010883
(87)【国際公開番号】W WO2020045937
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0102692
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジチャン
(72)【発明者】
【氏名】ピョン,ジンス
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-077053(JP,A)
【文献】特開2002-262485(JP,A)
【文献】特開2003-274582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト;
前記シャフトと結合するロータ;および
前記ロータの外側に配置されるステータを含み、
前記ステータは複数個の単位ステータコアを円周方向に配置して形成されたステータコアおよび前記ステータコアに巻線されるコイルを含み、
複数個のシートを積層して形成する前記単位ステータコアは、
複数個のホールを含むヨーク、
前記ヨークから半径方向に突出した複数個のトゥース、および
複数個の前記ホール内に配置される接着部材を含み、
複数個の前記ホール前記複数個のトゥースのそれぞれの一側面に沿って半径方向に延びた仮想の第1線の上に配置される第1ホールおよび前記複数個のトゥースのそれぞれの他側面に沿って半径方向に延びた仮想の第2線の上に配置される第2ホールを含み、
前記第1ホールおよび前記第2ホールは前記ロータの中心と前記複数個のトゥースのそれぞれの中心を連結する仮想の第3線を中心に対称に配列される、モータ。
【請求項2】
前記第1線および第2線は前記第3線と平行な、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
面上前記第3線から前記第1ホールの中心(C2)までの距離は前記第3線から前記トゥースの側面までの距離と同じである、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
複数個の前記ホール内に配置される前記接着部材の一部は複数個の前記シートの間に配置される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
複数個の前記ホールそれぞれの直径は複数個の前記シートそれぞれの厚さの2倍以上、3倍未満である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
複数個の前記シートそれぞれの厚さは0.5mmである、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記接着部材の粘度は125mPa.s以上、800mPa.s未満である、請求項5又は請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
複数個の前記単位ステータコアのうち少なくとも一つの単位ステータコアを形成する複数個の前記シートは
複数個の前記ホールを含む複数個の第1シートと前記ホールが形成されていない第2シートを積層して形成する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項9】
前記第2シートは複数個の前記第1シートのうち最下層に配置された第1シートの下面に配置され、
前記第2シートは複数個の前記第1シートのホールを遮断する、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記第1ホールの中心は前記第1線の上に配置され、
前記第2ホールの中心は前記第2線の上に配置される、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項11】
前記複数個のトゥースの数は、12であり、
前記ロータのマグネットの数は、10である、
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
前記複数個の単位ステータコアを円周方向に沿って配置した状態で、複数個の前記ホールが前記接着部材で充填されると、前記接着部材は前記単位ステータコアの間の接触面に沿って軸方向に浸み込む、
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項13】
前記複数個のトゥースの内端部は、円周方向に沿って互いに離隔するように配置される、
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項14】
前記第1シートは、
弧の形状のヨークと、
前記ヨークから半径方向に突出したトゥースと、
前記ヨークを軸方向に貫通するように前記ヨーク内に形成される複数のホールと、
を含む請求項8又は請求項9に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例はモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータは電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換させて回転力を得る装置であり、車両、家庭用電化製品、産業用機器などに広範囲に使われる。
【0003】
特に、自動車の電装化が急速に進行されるにつれて、操向システム、制動システムおよび意匠システムなどに適用されるモータの需要が大きく増加している。
【0004】
モータはハウジング、シャフト(shaft)、前記ハウジングの内周面に配置されるステータ(stator)、前記シャフトの外周面に設置されるロータ(rotor)等を含むことができる。ここで、前記ステータは前記ロータとの電気的相互作用を誘発して前記ロータの回転を誘導する。
【0005】
前記ロータはロータコアおよび前記ロータコアに配置される複数個のマグネットを含むことができる。このような多極モータの場合、ステータで騒音および振動が大きく発生する問題がある。
【0006】
前記騒音および振動を低減できるように前記ステータをオーバーモールディングすることができるが生産単価が増加する問題がある。
【0007】
それに伴い、前記モータの生産効率を増加させながらも前記騒音および振動を低減できる構造のモータが要請されているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施例はシートを積層してステータコアを形成する時、ボンドのような接着部材を利用してロバスト設計を具現することによって、騒音と振動を低減できるモータを提供する。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は以上で言及された課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は実施例により、シャフト;前記シャフトと結合するロータ;および前記ロータの外側に配置されるステータを含み、前記ステータは複数個の単位ステータコアを円周方向に配置して形成されたステータコアおよび前記ステータコアに巻線されるコイルを含み、複数個のシートを積層して形成する前記単位ステータコアは、複数個のホールを含むヨーク、前記ヨークから半径方向に突出したトゥース、および複数個の前記ホール内に配置される接着部材を含み、複数個の前記ホールそれぞれは前記トゥースの両側面に沿って半径方向に延びた仮想の線Lの上に配置されるモータによって達成される。
【0011】
ここで、前記線Lは前記ロータの中心Cと前記トゥースの中心C1をつなぐ仮想の線L1と平行であり得る。
【0012】
そして、前記線L1を基準として前記ホールは対称となるように配置され、平面上前記線L1から前記ホールの中心C2までの距離は前記線L1から前記トゥースの側面までの距離と同じでもよい。
【0013】
また、複数個の前記ホール内に配置される前記接着部材の一部は複数個の前記シートの間に配置され得る。例えば、前記ホールを通じて前記接着部材の充填時、前記接着部材は前記シートの間に浸み込まれ得る。
【0014】
また、複数個の前記ホールそれぞれの直径は複数個の前記シートそれぞれの厚さの2倍以上、3倍未満であり得る。例えば、前記シートの軸方向の厚さが0.5mmであるとき、前記ホールの直径は前記厚さの2倍以上、3倍未満であり得る。
【0015】
ここで、前記ホールの中心C2は前記線Lの上に配置され得る。
【0016】
一方、前記接着部材は嫌気性の性質であり得る。ここで、前記接着部材の粘度は125mPa.s以上、800mPa.s未満であり得る。
【0017】
また、複数個の前記単位ステータコアのうち少なくとも一つの単位ステータコアを形成する複数個の前記シートは、複数個の前記ホールを含む複数個の第1シートと前記ホールが形成されていない第2シートを積層して形成することができる。
【0018】
ここで、前記第2シートは複数個の前記第1シートのうち最下層に配置された第1シートの下面に配置され、前記第2シートは複数個の前記第1シートのホールを遮断することができる。
【0019】
また、前記ホールは前記ロータの中心Cと前記トゥースの中心C1をつなぐ仮想の線L1を基準として対称となるように配置され得る。
【0020】
また、半径方向から見る時、前記ホールは前記トゥースの側面とオーバーラップするように配置され得る。
【0021】
また、前記トゥースは12個か提供され、前記ロータのマグネットは10個が提供され得る。
【発明の効果】
【0022】
実施例に係るモータはシートを積層してステータコアを形成し、前記ステータコアに形成されたホールに接着部材を充填させて騒音および振動を低減できるロバスト設計を具現することができる。特に、10極12スロットの多極モータの場合、騒音および振動が他のモータに比べてより大きく発生するため、前記モータは前記ステータコアに形成されたホールに接着部材を充填させて騒音および振動を低減させることができる。
【0023】
シートに接着部材を塗布して積層させることによって前記ロバスト設計を具現することができるが、工程上の費用および時間が増加するところ、実施例に係るモータは接着部材をステータコアに形成されたホールを通じて前記シートの間に浸透させることによって、騒音および振動をさらに低減させながらも生産費用も減少させることができる。
【0024】
この時、前記接着部材の粘度によって前記モータの騒音および振動はさらに低減され得る。
【0025】
実施例の多様かつ有益な長所と効果は前述した内容に限定されず、実施例の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例に係るモータを示す図面である。
【0027】
図2】実施例に係るモータのロータとステータを示す図面である。
【0028】
図3】実施例に係るモータのロータとステータコアの配置関係を示す図面である。
【0029】
図4】実施例に係るモータのステータコアを示す斜視図である。
【0030】
図5】実施例に係るモータのステータコアに形成されたホールの直径による性能を比較する表である。
【0031】
図6a】比較例のコギングトルクを示すグラフである。
【0032】
図6b】実施例に係るモータのステータコアに形成されたホールの直径がφ1.0である場合のコギングトルクを示すグラフである。
【0033】
図6c】実施例に係るモータのステータコアに形成されたホールの直径がφ1.5である場合のコギングトルクを示すグラフである。
【0034】
図6d】実施例に係るモータのステータコアに形成されたホールの直径がφ2.0である場合のコギングトルクを示すグラフである。
【0035】
図7a】実施例に係るモータのホールの直径の変化によるトルクを示すグラフである。
【0036】
図7b】実施例に係るモータのホールの直径の変化によるコギングトルクを示すグラフである。
【0037】
図7c】実施例に係るモータのホールの直径の変化によるリップルを示すグラフである。
【0038】
図7d】実施例に係るモータのホールの直径の変化による逆起電力を示すグラフである。
【0039】
図8】実施例に係るモータの接着部材の粘度が125mPa.sであるとき、充填前と充填後の振動の低減を示す表である。
【0040】
図9】実施例に係るモータの接着部材の粘度が800mPa.sであるとき、充填前と充填後の振動の低減を示す表である。
【0041】
図10】実施例に係るモータの単位ステータコアを示す斜視図である。
【0042】
図11】実施例に係るモータの単位ステータコアを示す平面図である。
【0043】
図12】実施例に係るモータの単位ステータコアのシートを示す斜視図である。
【0044】
図13】実施例に係るモータの単位ステータコアに浸み込んだ接着部材を示す図面である。
【0045】
図14】実施例に係るモータの単位ステータコアの他の実施例を示す斜視図である。
【0046】
図15】実施例に係るモータのステータコアの他の実施例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0048】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施例間にその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使うことができる。
【0049】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0050】
また、本発明の実施例で使われた用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。
【0051】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせ得るすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0052】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。
【0053】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0054】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0055】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記載される場合、上(うえ)または下(した)は二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」と表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含むことができる。
【0056】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず同一または対応する構成要素は同一の参照番号を付し、これに対する重複する説明は省略することにする。
【0057】
図1は実施例に係るモータを示す図面であり、図2は実施例に係るモータのロータとステータを示す図面であり、図3は実施例に係るモータのロータとステータコアの配置関係を示す図面である。図1でx方向は軸方向を意味し得、y方向は半径方向を意味し得る。そして、軸方向と半径方向は互いに垂直であり得る。この時、図3に図示されたステータコアはホールに接着部材が充填される前の状態を示す図面であり得る。
【0058】
図1および図2を参照すると、実施例に係るモータ1は、一側に開口が形成されたハウジング100、ハウジング100の上部に配置されるカバー200、シャフト500と結合されるロータ300、ハウジング100の内部に配置されるステータ400、ロータ300とともに回転するシャフト500、ステータ400の上側に配置されるバスバー600およびロータ300の回転を感知するセンサ部700を含むことができる。この時、前記モータ1のロータ300は10個のマグネット320を含み、ステータ400は12個のトゥース412を含むことができる。
【0059】
ここで、ステータ400のステータコア410は軸方向に複数個のシートSを積層して形成することができる。そして、ステータコア410に形成されたホールHを通じて接着部材Bを充填することによって、シートSの間に前記接着部材Bを浸透させることができる。それにより、前記モータ1はシートSの間に浸み込んだ前記接着部材Bを通じて騒音および振動を低減させることができる。
【0060】
前記モータ1はEPSに使われるモータであり得る。前記EPS(Electronic Power Steering System)は、モータの駆動力で操向力を補助することによって、旋回安定性を保障し、迅速な復原力を提供して運転者にとって安全な走行を可能にすることができる。
【0061】
ハウジング100とカバー200は前記モータ1の外形を形成することができる。そして、ハウジング100とカバー200の結合によって収容空間が形成され得る。それにより、前記収容空間には、図1に図示された通り、ロータ300、ステータ400、シャフト500、バスバー600、センサ部700等が配置され得る。この時、シャフト500は前記収容空間に回転可能に配置される。したがって、前記モータ1はシャフト500の上部と下部にそれぞれ配置されるベアリング10をさらに含むことができる。
【0062】
ハウジング100は円筒状に形成され得る。そして、ハウジング100は内部にロータ300、ステータ400等を収容することができる。この時、ハウジング100の形状や材質は多様に変更され得る。例えば、ハウジング100は高温でもよく耐え得る金属材質で形成され得る。
【0063】
カバー200は前記ハウジング100の開口を覆うようにハウジング100の開口面、すなわちハウジング100の上部に配置され得る。
【0064】
図1図3を参照すると、ロータ300はステータ400の内側に配置され得、中心部にシャフト500が圧入方式で結合され得る。ここで、内側とは、中心Cに向かう方向を意味し、前記外側は内側に反対となる方向を意味し得る。
【0065】
そして、ロータ300はステータ400に回転可能に配置され得る。
【0066】
図2および図3を参照すると、ロータ300はロータコア310およびロータコア310の外周面に円周方向に沿って配置される複数個のマグネット320を含むことができる。
【0067】
図3に図示された通り、ロータコア310の外周面には既設定された間隔で互いに離隔するように10個のマグネット320が配置され得る。ここで、マグネット320はロータマグネットまたはドライブマグネットと呼ばれ得る。この時、ロータ300はロータコア310の外周面に複数個のマグネット320が配置されるものをその例としているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、前記ロータ300はロータコア310の内部にマグネット320が配置されるIPM(Interior Permanent Magnet)タイプで形成されてもよい。
【0068】
ロータコア310は円形の薄い鋼板の形態の複数個のプレートが積層された形状で実施されるかまたは一つの筒の形態で実施され得る。そして、ロータコア310の中心Cにはシャフト500が結合するホールが形成され得る。
【0069】
マグネット320はステータ400のステータコア410に巻かれたコイル430と回転磁界を形成する。このようなマグネット320はシャフト500を中心に円周方向に沿ってN極とS極が交互に位置するように配置され得る。
【0070】
それにより、コイル430とマグネット320の電気的相互作用でロータ300が回転し、ロータ300の回転に連動してシャフト500が回転することによって前記モータ1の駆動力が発生する。
【0071】
一方、ロータ300はマグネット320が付着されたロータコア310を覆うように配置される缶(図示されず)をさらに含むことができる。
【0072】
前記缶は外部衝撃や物理、化学的な刺激からロータコア310とマグネット320を保護しつつロータコア310とマグネット320に異物が流入することを遮断することができる。
【0073】
また、前記缶はロータコア310からマグネット320が離脱することを防止する。
【0074】
ステータ400はハウジング100の内側に配置され得る。この時、ステータ400は熱間圧入方式を通じてハウジング100に結合され得る。それにより、ステータ400はハウジング100の内周面によって支持され得る。そして、ステータ400はロータ300の外側に配置される。すなわち、ステータ400の内側にはロータ300が回転可能に配置され得る。
【0075】
図1および図2を参照すると、ステータ400はステータコア410、前記ステータコア410に配置されるインシュレータ420および前記インシュレータ420に巻線されるコイル430を含むことができる。ここで、インシュレータ420はステータコア410とコイル430の間に配置されてコイル430を絶縁させることができる。
【0076】
ステータコア410には回転磁界を形成するコイル430が巻線され得る。
【0077】
ステータコア410はホールHが形成されたヨーク411、前記ヨーク411から半径方向に突出したトゥース412およびホールHに配置される接着部材Bを含むことができる。
【0078】
図4は、実施例に係るモータのステータコアを示す斜視図である。
【0079】
図4を参照すると、ステータコア410は薄い鋼板の形態の複数個のシートSが相互に積層された形態で形成され得る。それにより、前記接着部材BがホールHを通じて充填されると、前記接着部材BはシートSの間に浸み込んで前記モータ1の騒音および振動を低減させることができる。ここで、複数個のシートSは所定の軸方向の厚さTを有することができる。ここで、前記厚さTは0.5mmであり得る。
【0080】
ヨーク411は円筒状に形成され得る。そして、複数個のトゥース412はヨーク411の内周面から半径方向に突出するように配置され得る。ここで、トゥース412は円周方向に沿って互いに離隔するように配置され得る。それにより、トゥース412の間にはコイル430の巻線のためのスロットが形成され得る。
【0081】
そして、トゥース412にはコイル430が巻線され得る。この時、トゥース412とコイル430の間にはインシュレータ420が配置されてトゥース412とコイル430を絶縁させることができる。
【0082】
前記ホールHはヨーク411に円周方向に沿って互いに離隔するように複数個が配置され得る。この時、前記ホールHは軸方向に貫通するようにヨーク411に形成され得るが必ずしもこれに限定されない。
【0083】
図3を参照すると、前記ホールHは前記トゥース412の側面413に沿って半径方向に延びた仮想の線Lの上に配置され得る。それにより、半径方向から見る時、前記ホールHは前記トゥース412の側面413とオーバーラップするように配置され得る。
【0084】
図3に図示された通り、前記トゥース412の側面413が二つで提供されるため、ホールHもトゥース412の側面413に対応して二つが形成され得る。
【0085】
この時、前記ホールHの中心C2は前記線Lの上に配置され得るが必ずしもこれに限定されない。例えば、ホールHの外径が前記線Lから外れない範囲内で前記ホールHはヨーク411に配置されてもよい。
【0086】
ここで、前記線Lは前記ロータ300の中心Cと前記トゥース412の中心C1をつなぐ仮想の線L1と平行であり得る。それにより、前記線L1を基準として二つの前記ホールHは対称となるように配置され、前記線L1から前記ホールの中心C2までの距離D1は前記線L1から前記トゥース412の側面413までの距離と同じでもよい。
【0087】
一方、ホールHの直径Dは前記シートSの軸方向の厚さTの2倍以上、3倍未満であり得る。したがって、シートSの厚さTが0.5mmであるとき、ホールHの直径Dはφ1.0≦D<φ1.5の範囲内で形成され得る。
【0088】
そして、ホールHに接着部材Bが充填されることよって、接着部材BはシートSの間に浸透することができる。例えば、接着部材BをホールHに投入すると、毛細管現象によって接着部材Bは軸方向に積層されたシートSの間に浸透することができる。
【0089】
ここで、ホールHに投入される接着部材Bは嫌気性のボンドであり得る。それにより、前記接着部材Bは熱硬化または紫外線を利用した硬化工程なしに硬化され得る。そして、接着部材Bの粘度は125mPa.s以上、800mPa.s未満であり得る。
【0090】
例えば、接着部材Bの粘度が125mPa.sである場合、接着部材BがシートSの間に迅速に浸透してシートSの間には未塗布区間が存在しない。すなわち、接着部材BがシートSの間にすべて塗布され得る。ただし、接着部材Bの粘度が125mPa.s未満である場合、接着部材BはシートSの間を塗布した後に外部に流出され得る。
【0091】
そして、接着部材Bの粘度が800mPa.sである場合、接着部材BがシートSの間に浸透するが、シートSの間でトゥース412の内側まで浸透できない区間が発生する。そして、接着部材Bの粘度が2000mPa.sである場合、接着部材BがシートSの間に浸透するのに相当な時間がかかるため作業性が低下し、硬化が進行されて接着部材BがシートSの面積の半分程度まで浸透できない区間が発生する。
【0092】
したがって、前記モータ1の接着部材Bは浸透速度および毛細管現象を考慮して接着部材Bの粘度が125mPa.s以上、800mPa.s未満の範囲内で選択されることが好ましい。
【0093】
図5は実施例に係るモータのステータコアに形成されたホールの直径による電気的性能変化を比較する表であり、図6は比較例のコギングトルクおよび実施例に係るモータのステータコアに形成されたホールの直径によるコギングトルクを示すグラフであり、図7は実施例に係るモータのステータコアに形成されたホールの直径による電気的性能変化を示すグラフである。
【0094】
ここで、図6aは比較例のコギングトルクを示すグラフであり、図6bはステータコアに形成されたホールの直径がφ1.0である場合のコギングトルクを示すグラフであり、図6cはステータコアに形成されたホールの直径がφ1.5である場合のコギングトルクを示すグラフであり、図6dはステータコアに形成されたホールの直径がφ2.0である場合のコギングトルクを示すグラフである。そして、図7aはホールの直径の変化によるトルクを示すグラフであり、図7bはホールの直径の変化によるコギングトルクを示すグラフであり、図7cはホールの直径の変化によるリップルを示すグラフであり、図7dはホールの直径の変化による逆起電力を示すグラフである。
【0095】
この時、比較例で提示されるモータはステータコアにホールが形成されていないモータである。ここで、実験に提示されたそれぞれのモータは、10個のマグネットを具備するロータと12個のトゥースを具備するステータを対象に電気的性能変化を比較し、前記モータ1の場合、ホールに接着部材が充填されていない状態である。
【0096】
図5および図6を参照すると、ホールHの直径Dがφ1.0≦D<φ1.5の範囲内である場合、前記モータ1のトルク、コギングトルク、リップルおよび逆起電力の変化が微小であることを確認することができる。
【0097】
図7aを参照すると、ホールHの直径Dがφ1.0≦D<φ1.5の範囲内でトルクが微小に減少するが、φ1.5超過時にトルク低減率が大きくなることを確認することができる。
【0098】
図7bを参照すると、ホールHの直径Dがφ1.0≦D<φ1.5の範囲内でコギングトルクが微小に増加するが、φ1.5超過時にコギングトルクが急激に減少することを確認することができる。しかし、数値を考慮してみる時、前記コギングトルクは30mNmから28mNmに減少するところ、φ1.5超過時にコギングトルクが微小に減少することを確認することができる。
【0099】
図7cを参照すると、ホールHの直径Dがφ1.0≦D<φ1.5の範囲内でリップルが微小に増加するが、φ1.5超過時にリップルが急激に増加することを確認することができる。
【0100】
図7dを参照すると、ホールHの直径Dがφ1.0≦D<φ1.5の範囲内で逆起電力が微小に減少するが、φ1.5超過時に逆起電力が急激に減少することを確認することができる。
【0101】
図8は、実施例に係るモータの接着部材の粘度が125mPa.sであるとき、充填前と充填後の振動の低減を示す表であり、図9は、実施例に係るモータの接着部材の粘度が800mPa.sであるとき、充填前と充填後の振動の低減を示す表である。
【0102】
図8を参照すると、ホールHに充填される接着部材Bの粘度が125mPa.sであるとき、3000~4000Hz区間の振幅が約54%減少することを確認することができる。
【0103】
図9を参照すると、ホールHに充填される接着部材Bの粘度が800mPa.sであるとき、3000~4000Hz区間の振幅が約51%減少することを確認することができる。
【0104】
図4を参照すると、ステータコア410は複数個の単位ステータコア410aを円周方向に沿って配置して形成することができる。ここで、軸方向に貫通したホールHを含む単位ステータコア410aは第1単位ステータコアと呼ばれ得る。
【0105】
図10は実施例に係るモータの単位ステータコアを示す斜視図であり、図11は実施例に係るモータの単位ステータコアを示す平面図であり、図12は実施例に係るモータの単位ステータコアのシートを示す斜視図であり、図13は実施例に係るモータの単位ステータコアに浸み込んだ接着部材を示す図面である。
【0106】
図10図13を参照すると、単位ステータコア410aは弧の形状のヨーク411aと前記ヨーク411aから半径方向に突出したトゥース412aを含むシートSaを積層し、前記ホールHに接着部材Bを投入して形成することができる。図12に図示された通り、弧の形状のヨーク411aにはホールHが形成され得る。ここで、単位ステータコア410aを形成するようにホールHが形成されたシートSaは第1シートと呼ばれ得る。
【0107】
それにより、単位ステータコア410aに形成されたホールHを通じて接着部材Bを充填することによって、図13に図示された通り、シートSaの間に前記接着部材Bを浸透させることができる。それにより、前記モータ1の騒音および振動は低減され得る。
【0108】
図14は、実施例に係るモータの単位ステータコアの他の実施例を示す斜視図である。
【0109】
図14を参照すると、ステータコア410は複数個の単位ステータコア410bを円周方向に沿って配置して形成することができる。
【0110】
軸方向に貫通したホールHを含む単位ステータコア410aの第1単位ステータコアと比較してみる時、他の実施例に係る単位ステータコア410bは下部側にホールHを遮断する第2シートSbをさらに含むという点で差がある。それにより、他の実施例に係る単位ステータコア410bは第2単位ステータコアと呼ばれ得る。
【0111】
図14を参照すると、他の実施例に係る単位ステータコア410bは、ホールHが形成された複数個の第1シートSaと前記第1シートSaの下側に配置される一つの第2シートSbを含むことができる。この時、第2シートSbにはホールHが存在しない。それにより、前記第2シートSbは積層されて配置される複数個の第1シートSaのホールHを遮断して接着部材Bが単位ステータコア410bの下部側に流出することを防止することができる。
【0112】
図15は、実施例に係るモータのステータコアの他の実施例を示す図面である。
【0113】
前述された前記ステータコア410は単位ステータコア410a、410bを円周方向に沿って配置して形成したものをその例としているが、必ずしもこれに限定されない。
【0114】
図15に図示された通り、前記ステータコア410はリング状のヨーク411bと前記ヨーク411bから半径方向に突出した複数個のトゥース412bを含むシートScを積層して形成してもよい。この時、複数個のシートScは所定の軸方向の厚さTを有することができる。ここで、前記厚さTは0.5mmであり得る。
【0115】
ただし、単位ステータコア410a、410bを利用してステータコア410を形成する場合、接着部材Bの粘度によって各単位ステータコア410a、410bの間の接触面に沿って前記接着部材Bが軸方向に浸透することができるため、前記モータ1の騒音および振動をさらに低減させることができる。
【0116】
例えば、複数個の単位ステータコア410a、410bを円周方向に沿って配置し、点溶接などの方法を通じて複数個の単位ステータコア410a、410bを仮組立した状態で前記接着部材BをホールHを通じて充填させると、前記接着部材BはシートSaの間に浸透した後に単位ステータコア410a、410bの間の接触面に沿って前記接着部材Bが軸方向に浸み込むことができる。
【0117】
一方、前記トゥース412はロータ300のマグネット320と対向するように配置され得る。そして、それぞれの前記トゥース412にはコイル430が巻かれる。
【0118】
インシュレータ420はステータコア410とコイル430を絶縁させるように合成樹脂材質で形成され得る。
【0119】
そして、コイル430はインシュレータ420が配置されたステータコア410に巻線され得る。そして、コイル430は電源の供給によって回転磁界を形成することができる。
【0120】
インシュレータ420はステータコア410の上側と下側に結合され得る。この時、ステータコア410との結合のためにインシュレータ420は一つの単一品で形成されてもよい。またはインシュレータ420はステータコア410に円周方向に沿って配置されるように複数個の単位インシュレータで形成されてもよい。
【0121】
シャフト500は、図1に図示された通り、ベアリング10によりハウジング100の内部に回転可能に支持され得る。そして、シャフト500はロータ300の回転に連動して共に回転することができる。
【0122】
バスバー600はステータ400の上部に配置され得る。
【0123】
そして、バスバー600はステータ400のコイル430と電気的に連結され得る。
【0124】
バスバー600はバスバーボディと前記バスバーボディの内部に配置される複数個のターミナルを含むことができる。ここで、前記バスバーボディは射出成形を通じて形成されたモールド物であり得る。そして、前記ターミナルそれぞれはステータ400のコイル430と電気的に連結され得る。
【0125】
センサ部700はロータ300と回転連動可能に設置されたセンシングマグネットの磁力を感知してロータ300の現在位置を把握することによって、シャフト500の回転を感知できるようにする。
【0126】
センサ部700はセンシングマグネット組立体710と印刷回路基板(PCB、720)を含むことができる。
【0127】
センシングマグネット組立体710はロータ300と連動するようにシャフト500に結合されてロータ300の位置を検出されるようにする。この時、センシングマグネット組立体710はセンシングマグネットとセンシングプレートを含むことができる。前記センシングマグネットと前記センシングプレートは同軸を有するように結合され得る。
【0128】
前記センシングマグネットは、内周面を形成するホールに隣接して円周方向に配置されるメインマグネットと縁に形成されるサブマグネットを含むことができる。
【0129】
前記メインマグネットはモータのロータ300に挿入されたドライブマグネットと同一に配列され得る。
【0130】
前記サブマグネットは前記メインマグネットより細分化されて多くの極を有するように形成され得る。これに伴い、回転角度をさらに細かく分割して測定することが可能であり、モータの駆動をさらにソフトにすることができる
【0131】
前記センシングプレートは円板状の金属材質で形成され得る。センシングプレートの上面にはセンシングマグネットが結合され得る。そして前記センシングプレートはシャフト500に結合され得る。ここで、前記センシングプレートにはシャフト500が貫通するホールが形成され得る。
【0132】
印刷回路基板720にはセンシングマグネットの磁力を感知するセンサが配置され得る。この時、前記センサはホールIC(Hall IC)で提供され得る。そして、前記センサはセンシングマグネットのN極とS極の変化を感知してセンシングシグナルを生成することができる。
【0133】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0134】
1:モータ
100:ハウジング
200:カバー
300:ロータ
310:ロータコア
320:マグネット
400:ステータ
410:ステータコア
430:コイル
500:シャフト
600:バスバー
700:センサ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15