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特許7477561無線電力伝送回路のフィードバック制御スキーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】無線電力伝送回路のフィードバック制御スキーム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20240423BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240423BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022092183
(22)【出願日】2022-06-07
(65)【公開番号】P2023001054
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】63/212,252
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フウ, ジユェン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルゲスク, アリン アイ.
(72)【発明者】
【氏名】メフラビ, アラッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ベルドニコフ, ドミトリー
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-089187(JP,A)
【文献】国際公開第2020/202422(WO,A1)
【文献】特開2017-169274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0305845(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 -50/90
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送電デバイスから無線電力信号を受信するように構成された無線受電デバイスであって、
無線電力伝送コイルと、
前記無線電力伝送コイルに結合され、前記無線電力伝送コイルからの信号を整流出力電圧に整流するように構成された、整流回路と、
制御回路であって、
前記整流出力電圧を目標整流出力電圧レベルに調節し、
前記無線送電デバイスから、前記無線送電デバイスのインバータ入力電圧を示すステータスメッセージを受信し、
前記無線送電デバイスから受信した前記ステータスメッセージに基づいて、前記インバータ入力電圧が最大インバータ入力電圧レベルにあるかどうかを判定し、
前記インバータ入力電圧を示す前記ステータスメッセージに基づいて、前記目標整流出力電圧レベルを調整する、
ように構成された、制御回路と、
を備え
前記インバータ入力電圧が前記最大インバータ入力電圧レベルにあると判定したことに従って、前記制御回路が、
現在の整流出力電圧値を測定し、
前記現在の整流電圧出力値を最小折り返し電圧レベルと比較し、
前記現在の整流出力電圧値が前記最小折り返し電圧レベル以下であると判定したことに従って、前記制御回路が、
新しい目標整流出力電圧レベルを前記最小折り返し電圧レベルに設定し、
前記整流出力電圧を前記新しい目標整流出力電圧レベルに調節する、無線受電デバイス。
【請求項2】
前記現在の整流出力電圧値が前記最小折り返し電圧レベルよりも大きいと判定したことに従って、前記制御回路が、
記現在の整流出力電圧値に前記新しい目標整流出力電圧レベルを設定し、
前記整流出力電圧を前記新しい目標整流出力電圧レベルに調節する、
求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項3】
前記制御回路が、前記現在の整流出力電圧値が前記最小折り返し電圧レベルよりも大きいと判定したことに従って、前記現在の整流出力電圧値を前記目標整流出力電圧レベルと比較する、請求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項4】
記現在の整流出力電圧値が前記目標整流出力電圧レベル未満であると判定したことに従って、前記制御回路が、制御エラーパケット(CEP)を前記無線送電デバイスに送信して、より多くの電力を求める、請求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項5】
前記制御回路は、前記ステータスメッセージから、前記インバータ入力電圧が前記最大インバータ入力電圧レベルにないと判定し、前記制御回路が、
前記整流出力電圧を前記目標整流出力電圧レベルに調節する、請求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項6】
無線送電デバイスから無線電力信号を受信するように構成された無線受電デバイスであって、
無線電力伝送コイルと、
前記無線電力伝送コイルに結合され、前記無線電力伝送コイルからの信号を整流出力電圧に整流するように構成された、整流回路と、
制御回路であって、
前記整流回路の特性を測定し、
前記整流回路の前記測定された特性に基づいて、目標整流出力電圧レベルを判定し、前記目標整流出力電圧レベルは、最小目標整流出力電圧レベルと最大目標整流出力電圧レベルとの間にあり
前記無線送電デバイスから、前記無線送電デバイスのインバータ入力電圧を示すステータスメッセージを受信し、
前記インバータ入力電圧を示す前記ステータスメッセージに基づいて、前記目標整流出力電圧レベルを調整し、
前記整流出力電圧を前記目標整流出力電圧レベルに動的に調節する、
ように構成された、制御回路と、
を備える、無線受電デバイス。
【請求項7】
前記整流回路の前記特性が、整流出力電力及び整流出力電流のうちの1つを含む、請求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項8】
前記制御回路が、前記無線送電デバイスから受信した前記ステータスメッセージに基づいて、前記インバータ入力電圧が最大インバータ入力電圧レベルにあるかどうかを判定する、請求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項9】
記インバータ入力電圧が前記最大インバータ入力電圧レベルにあると判定したことに従って、前記制御回路が、
現在の整流出力電圧値を測定し、
前記現在の整流出力電圧値に新しい目標整流出力電圧レベルを設定し、
前記整流出力電圧を前記新しい目標整流出力電圧レベルに調節する、
求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項10】
前記制御回路が、
前記整流回路の前記特性を測定し、
前記整流回路の前記測定された特性に基づいて、前記目標整流出力電圧レベルを判定し、
前記現在の整流出力電圧値を前記目標整流出力電圧レベルと比較する、
求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項11】
前記制御回路が、前記現在の整流出力電圧値が前記目標整流出力電圧レベル未満であると判定し、前記制御回路が、制御エラーパケット(CEP)を前記無線送電デバイスに送信して、より多くの電力を求める、請求項10に記載の無線受電デバイス。
【請求項12】
前記制御回路が、
前記現在の整流電圧値を最小折り返し電圧レベルと比較
記現在の整流出力電圧値が前記最小折り返し電圧レベル以下であると判定したことに従って、前記制御回路が、
前記新しい目標整流出力電圧レベルを前記最小折り返し電圧レベルに設定し、
前記整流出力電圧を前記新しい目標整流出力電圧レベルに調節する、
求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項13】
記ステータスメッセージに基づいて、前記インバータ入力電圧が前記最大インバータ入力電圧レベルにないと判定したことに従って、前記制御回路が、
前記整流回路の前記特性を測定し、
前記整流回路の前記測定された特性に基づいて、前記目標整流出力電圧レベルを判定し、
前記整流出力電圧を前記目標整流出力電圧レベルに調節する、
求項に記載の無線受電デバイス。
【請求項14】
無線送電デバイスから無線電力信号を受信するように構成された無線受電デバイスであって、
無線電力伝送コイルと、
前記無線電力伝送コイルに結合され、前記無線電力伝送コイルからの信号を整流出力電圧に整流するように構成された、整流回路と、
制御回路であって
記無線送電デバイスのインバータの動作状態を示す情報を前記無線送電デバイスに求める、制御回路とを備え、前記無線電力伝送コイルが、前記インバータを使用して前記無線送電デバイスによって送信された無線電力信号を受信し、
前記情報が、前記無線送電デバイスの前記インバータが最大入力電圧レベルで動作しているかどうかを示すステータスメッセージを含み、
前記無線送電デバイスの前記インバータが前記最大入力電圧レベルで動作していないと判定したことに従って、前記制御回路が、
前記整流出力電圧を目標整流出力電圧レベルに調節し、
前記無線送電デバイスの前記インバータが前記最大入力電圧レベルで動作していると判定したことに従って、前記制御回路が、
現在の整流出力電圧値を測定し、
前記現在の整流電圧値を最小折り返し電圧レベルと比較し、
前記現在の整流出力電圧値が前記最小折り返し電圧レベル以下であると判定したことに従って、前記制御回路が、
新しい目標整流出力電圧レベルを前記最小折り返し電圧レベルに設定し、
前記整流出力電圧を前記新しい目標整流出力電圧レベルに調節する、無線受電デバイス。
【請求項15】
前記現在の整流出力電圧値が前記最小折り返し電圧レベルよりも大きいと判定したことに従って、前記制御回路が
記現在の整流出力電圧値に前記新しい目標整流出力電圧レベルを設定し、
前記整流出力電圧を前記新しい目標整流出力電圧レベルに調節する、
求項14に記載の無線受電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2021年6月18日出願の米国特許仮出願第63/212,252号、発明の名称「Feedback Control Schemes for Wireless Power Transfer Circuits」の利益を主張するものであり、この文献は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、無線充電に関し、より具体的には、無線電力システムにおける無線電力伝送のフィードバック制御スキームに関する。
【背景技術】
【0003】
セルラー電話機、腕時計デバイス、タブレットコンピュータ、無線イヤホン、及び他のポータブルデバイスなどのポータブル電子デバイスは、バッテリを使用する。これらのデバイスのバッテリは、バッテリ充電システムを使用して充電され得る。ユーザの利便性を高めるために、ポータブル電子デバイスのバッテリを無線で充電することを可能にする無線電力システムが提供されている。送電デバイス及び受電デバイスのコイルは、無線電力信号を送信及び受信するために使用され得る。送信コイルと受信コイルとの間の結合は、無線充電効率、及び受電デバイスで生成される電力に影響を及ぼし得る。
【0004】
前述の背景の議論は、読者を助力するためのみを意図している。本明細書に記載の革新を限定することは意図していない。したがって、前述の議論は、従来システムの任意の特定の要素が本明細書に記載の革新を用いた使用に適していないことを示すように理解されるべきではなく、本明細書に記載の革新を実施する際に任意の要素が不可欠であることを示すことも意図していない。本明細書に記載の革新の実施及び適用は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【発明の概要】
【0005】
無線電力システムは、送電デバイスと受電デバイスとを含む。送電デバイス及び受電デバイスのコイルは、無線電力信号を送信及び受信するために使用される。送信コイルと受信コイルとの間の結合は、無線充電効率、及び受電デバイスで生成された電力に影響を及ぼし得る。
【0006】
例示的な無線受電デバイスは、無線送電デバイスから無線電力信号を受信するように構成され得る。無線受電デバイスは、無線電力伝送コイルを含み得る。加えて、受電デバイスは、無線電力伝送コイルに結合され、無線電力伝送コイルからの信号を出力電圧に整流するように構成された、整流回路を含む。受電デバイスはまた、整流出力電圧を目標整流出力電圧レベルに調節し、無線送電デバイスからインバータ入力電圧を示すステータスメッセージを受信し、インバータ入力電圧のステータスに基づいて目標出力電圧を調整する、ように構成された制御回路を含む。
【0007】
別の例示的な無線受電デバイスは、無線送電デバイスから無線電力信号を受信するように構成され得る。無線受電デバイスは、無線電力伝送コイルを含み得る。加えて、受電デバイスは、無線電力伝送コイルに結合され、無線電力伝送コイルからの信号を出力電圧に整流するように構成された、整流回路を含む。受電デバイスはまた、整流回路の特性を測定し、整流回路の測定された特性に基づいて目標整流出力電圧レベルを決定し、整流出力電圧を目標整流出力電圧レベルに動的に調節する、ように構成された制御回路を含む。
【0008】
別の例示的な無線受電デバイスは、無線送電デバイスから無線電力信号を受信するように構成され得る。無線受電デバイスは、無線電力伝送コイルを含み得る。加えて、受電デバイスは、無線電力伝送コイルに結合され、無線電力伝送コイルからの信号を出力電圧に整流するように構成された、整流回路を含む。受電デバイスはまた、整流出力電圧を目標整流出力電圧レベルに調節するように構成された制御回路を含む。制御回路はまた、無線送電デバイスのインバータの動作状態を示す情報を無線送電デバイスに求めてもよく、無線電力伝送コイルは、インバータを使用して無線送電デバイスによって送信された無線電力信号を受信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
前述の概要及び以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとより良好に理解される。図面では、説明を目的として、開示された技術を実施する際の変形例の理解を提供するために、多くの具体的な詳細が示されている。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態をとることができ、図面に開示されている特定の実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。実際の場合、同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0010】
図1】本開示の一態様による、例示的な無線電力システムの概略図である。
【0011】
図2】本開示の一態様による、無線電力を受信するためのコイルを有する例示的な無線受電デバイスの分解図である。
【0012】
図3A】本開示の一態様による、無線受電コイルを充電するためのコイルを有する例示的な無線送電デバイスの斜視図である。
【0013】
図3B図3Aの無線送電デバイスの上面図である。
【0014】
図4図1に示す無線電力システムにおける、送電デバイスと受電デバイスとの間の無線電力伝送のための従来技術の制御方法の例示的なプロットである。
【0015】
図5】本開示の一態様による、無線電力伝送システムのフィードバック制御スキームの例示的なプロットである。
【0016】
図6】本開示の一態様による、無線電力伝送システムの別のフィードバック制御スキームの例示的なプロットである。
【0017】
図7図5及び図6に示すフィードバック制御スキームを使用して、無線電力伝送システムの受電デバイスにおいて実施される例示的な制御ループアルゴリズムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
セルラー電話機、腕時計デバイス、タブレットコンピュータ、無線イヤホン、及び他のポータブルデバイスなどのポータブル電子デバイスは、バッテリを使用する。これらのデバイスのバッテリは、無線充電システムを使用して充電され得る。例えば、ユーザは、腕時計デバイス及びセルラー電話機などのデバイスを無線充電マット上に配置して、これらのデバイスを無線で充電することができる。
【0019】
例示的な無線電力システムを、図1に示す。無線電力システム8は、電子デバイス10を含む。電子デバイス10は、無線電力を送信する電子デバイス、及び/又は無線電力を受信する電子デバイスを含む。バッテリ充電は受信電力の一般的な使用法であるため、システム8における無線電力伝送動作は、バッテリ充電動作と呼ばれることがある。しかしながら、所望であれば、電力を受信デバイスに提供して、バッテリ充電なしに、受信デバイス内のディスプレイ又は他の回路を動作させることもできる。したがって、無線電力は、電子デバイス内のバッテリを充電する、及び他のデバイス構成要素に電力を供給するために使用され得る。
【0020】
充電は、デバイス12などの送電デバイスからデバイス24などの受電デバイスに、電力を無線で伝送することによって(例えば、誘導充電を使用して)、実行することができる。送電デバイス及び受電デバイスのコイルは、無線電力信号を送信及び受信するために使用され得る。図1の例では、電力は、無線電力信号44を使用して無線で伝送される。デバイス24の無線充電効率は、部分的に、デバイス12上のコイル42とデバイス24上のコイル48との結合(本明細書では、送電デバイス12と受電デバイス24との間の結合とも呼ばれる)によって影響を受ける。
【0021】
X、Y、及びZ寸法におけるコイル42及びコイル48の物理的な位置合わせは、電磁結合に影響を及ぼす。x=0、y=0のオフセットは、コイル42及びコイル48の中心がX-Y平面において位置合わせされていることを意味する。z=0のオフセットは、コイル42及びコイル48を含む2つのデバイスの表面間の距離が最小距離であることを意味し得る。例えば、送電デバイス12又は受電デバイス24のいずれも、2つのデバイスを分離するケースを有しない。(x,y,z)=(0,0,0)のオフセットは、最良の結合状態と呼ばれ得る。加えて、(r,z)=(0,0)のオフセットもまた、最良の結合状態と呼ばれ得、ここで「r」は、コイル42及びコイル48の中心間のオフセットの半径である。
【0022】
デバイス12上のコイル42とデバイス24上のコイル48との間の電磁結合は、位置公差範囲にわたって動作するように設計され得る。一例では、無線電力伝送システムは、コイル42及びコイル48の中心がX-Y平面において5mm以内に位置合わせされ、デバイス12及び24の表面間の距離がZ方向において5mm以内になるように最適化され得る。そのような設計基準は、「5mm×5mm」オフセットと呼ばれ得る。この例では、「良好な」結合は、受電デバイス24のコイル48の中心が送電デバイス12のコイル42の中心の5mm×5mm以内に位置合わせされたときに生じる。そのような向きでは、システムが、コイルが+/-5mmだけオフセットされているときにデバイス12からデバイス24に全電力を送信するように設計されているため、良好な充電がもたらされ得る。5mm×5mmの設計例で続けると、送電及び受電コイルが+/-5mmの設計基準を超えてオフセットされている結合は、「不良な」結合として分類され得る。当業者であれば、無線電力伝送システムは、この例示的な位置公差範囲によって限定されず、本明細書に記載される発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、代替的な範囲(例えば、+/-1mm、+/-2mm、+/-3mm、+/-4mm、+/-6mm以上など)に対して設計され得ることを認識するであろう。
【0023】
送信コイルと受信コイルとの間の良好な結合は、効率的な無線電力伝送を促進し得る。送信コイルと受信コイルとの間の不良な結合は、無線充電効率、及び受電デバイス24で生成された電力に悪影響を及ぼし得る。無線電力伝送システムの効率を最適化するためのフィードバック制御スキームが、本明細書に開示されている。
【0024】
システム8の動作中、無線送電デバイス12は、デバイス24などの1つ以上の無線受電デバイスに電力を無線で送信する。無線受電デバイスは、腕時計、セルラー電話機、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、イヤホン、イヤホン及び他のデバイス用のバッテリケース、タブレットコンピュータのペンシル(例えばスタイラス)及び他の入出力デバイス(例えばアクセサリデバイス)、ウェアラブルデバイス、又は他の電子機器などの、電子デバイスを含んでもよい。無線送電デバイスは、充電するポータブルデバイス、無線送電回路を有するタブレットコンピュータ若しくは他のポータブル電子デバイス(例えば、無線送電回路を有するデバイス24のうちの1つ)、又は他の無線送電デバイスを受け入れる充電面(例えば、平面の充電面)を有する無線充電パック又はマットなどの電子デバイスであり得る。無線受電デバイスは、内部構成要素に電力を供給するため、及び内部バッテリを充電するために、無線送電デバイスからの電力を使用する。
【0025】
図1に示すように、無線送電デバイス12は、制御回路16を含む。無線受電デバイス24は、制御回路30を含む。制御回路16及び制御回路30(及び/又は他のデバイス10内の制御回路)などのシステム8内の制御回路は、システム8の動作を制御する際に使用される。この制御回路は、マイクロプロセッサ、電力管理ユニット、ベースバンドプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、及び/又は処理回路を有する特定用途向け集積回路と関連付けられた処理回路を含み得る。処理回路は、デバイス12及び24内に所望の制御及び通信機能を実施する。例えば、処理回路は、本明細書で論じられる制御ループを動作させ、コイルを選択し、コイル駆動信号の位相及び振幅を調整し、送電レベルを判定し、センサデータ及び他のデータを処理し、ユーザ入力を処理し、デバイス12とデバイス24との間のネゴシエーションを処理し、帯域内データ及び帯域外データを送信及び受信し、測定を行い、充電動作を開始及び停止し、デバイス10をオン及びオフに切り替え、デバイス10を低電力スリープモードに置き、そうでなければシステム8の動作を制御する際に使用され得る。
【0026】
システム8内の制御回路は、ハードウェア(例えば、専用のハードウェア又は回路)、ファームウェア及び/又はソフトウェアを使用して、システム8内で動作を実行するように構成されてもよい。システム8内で動作を実行するためのソフトウェアコードは、制御回路8内の非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、有形のコンピュータ可読記憶媒体)上に記憶される。ソフトウェアコードは、ソフトウェア、データ、プログラム命令、命令、又はコードと称されることがあり得る。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、不揮発性ランダムアクセスメモリ(Non-Volatile Random-Access Memory、NVRAM)などの不揮発性メモリ、1つ以上のハードドライブ(例えば、磁気ドライブ又はソリッドステートドライブ)、1つ以上の着脱可能フラッシュドライブ又は他の着脱可能媒体などを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたソフトウェアは、制御回路10(例えば、制御回路16及び/又は30)の処理回路上で実行することができる。処理回路は、処理回路を有する特定用途向け集積回路、1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、又は他の処理回路を含むことができる。
【0027】
送電デバイス12は、スタンドアロン型電源アダプタ(例えば、電源アダプタ回路を含む無線充電パック若しくはマット)であってもよく、電源アダプタ若しくは他の機器にケーブルによって接続されている無線充電パック若しくはマットであってもよく、ポータブル電子デバイス(セルラー電話機、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータなど)であってもよく、家具、車両、若しくは他のシステムに組み込まれた機器であってもよく、又は他の無線電力伝送機器であってもよい。本明細書では、無線送電デバイス12が無線充電パック、マット、又はポータブル電子デバイスである例示的な構成を、例として説明することがある。
【0028】
受電デバイス24は、腕時計、セルラー電話機、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、イヤホンなどのアクセサリ、無線タブレットコンピュータペンシルなどのタブレットコンピュータ入力デバイス、バッテリケース、又は他の電子機器などの、ポータブル電子デバイスであってもよい。送電デバイス12は、壁コンセント(例えば、交流電源)に結合されてもよく、電力を供給するためのバッテリを有してもよく、及び/又は別の電源を有してもよい。送電デバイス12は、壁コンセント又は他の電源からのAC電力をDC電力に変換するための、AC-DC電力コンバータ14などの交流(AC)-直流(DC)電力コンバータを有してもよい。いくつかの構成では、AC-DC電力コンバータ14は、デバイス12のエンクロージャ(例えば、無線充電マットのエンクロージャ又はポータブル電子デバイスのエンクロージャ)とは別個のエンクロージャ(例えば、電力ブリックエンクロージャ)内に設けられてもよく、電力コンバータからのDC電力をデバイス12に供給するためにケーブルを使用してもよい。DC電力を使用して、制御回路16に電力を供給することができる。
【0029】
動作中、制御回路16内のコントローラは、送電回路52を使用して、デバイス24の受電回路54に無線電力を伝送することができる。送電回路52は、制御回路16によって提供された制御信号に基づいてオン及びオフされて、1つ以上の送信コイル42を通るAC電流信号を生成するスイッチング回路(例えば、トランジスタから形成されたインバータ回路60)を有してもよい。コイル42は、デバイス12が無線充電マットである構成などの平面のコイルアレイに配置することができ、又は他の構成に配置することができる。いくつかの配置では、デバイス12は、単一のコイルを有し得る。デバイス12が複数のコイルを有する構成では、コイルは、1つ以上の層内に配置され得る。異なる層内のコイルは、互いに重複しても重複しなくてもよい。
【0030】
AC電流が1つ以上のコイル42を通過すると、受電デバイス24内のコイル48などの1つ以上の対応する受信コイルによって受信される、時間変動電磁場(例えば磁場)(信号44)が生成される。時間変動電磁場がコイル48によって受信されると、対応する交流電流がコイル48内に誘導される。ブリッジネットワーク内に配置された同期整流金属酸化物半導体トランジスタなどの整流構成要素を含む、整流器50などの整流回路は、受信したAC信号を、コイル48から電力供給デバイス24用のDC電圧信号に変換する。
【0031】
整流器50によって生成されたDC電圧は、バッテリ58などのエネルギー蓄積デバイスに電力を供給(充電)する際に使用することができ、デバイス24内の他の構成要素に電力を供給する際に使用することができる。例えば、デバイス24は、ディスプレイ、タッチセンサ、通信回路、オーディオ構成要素、センサ、タブレットコンピュータ内又はタッチセンサを有する他のデバイス内のタッチセンサによって感知される電磁信号を(例えば、ペンシル入力を提供するためなどに)生成する構成要素、及び他の構成要素などの入出力デバイス56を含んでもよく、これらの構成要素は、整流器50によって生成されるDC電圧(及び/又はバッテリ58若しくはデバイス24内の他のエネルギー貯蔵デバイスによって生成されるDC電圧)によって電力を供給され得る。
【0032】
デバイス12及び/又はデバイス24は、(例えば、帯域内通信及び帯域外通信を使用して)無線で通信することができる。デバイス12は、例えば、アンテナを使用して、デバイス24に帯域外信号を無線で送信する無線送受信機(TX/RX)回路40を有し得る。無線送受信機回路40は、アンテナを使用して、デバイス24から帯域外信号を無線で受信するために使用することができる。デバイス24は、デバイス12に帯域外信号を送信する無線送受信機回路46を有してもよい。無線送受信機46内の受信機回路は、アンテナを使用して、デバイス12から帯域外信号を受信することができる。いくつかの構成では、デバイス10は、ローカルエリアネットワーク及び/又はワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信することができる。
【0033】
無線送受信機回路40は、コイル48を用いて無線送受信機回路46によって受信された帯域内信号を無線送受信機回路46に送信するために、1つ以上のコイル42を使用することができる。デバイス12とデバイス24との間の帯域内通信をサポートするために、任意の好適な変調スキームを使用することができる。1つの例示的な構成では、周波数シフトキーイング(FSK)を使用して、デバイス12からデバイス24へ帯域内データを搬送し、振幅シフトキーイング(ASK)を使用して、デバイス24からデバイス12へ帯域内データを搬送する。これらのFSK送信及びASK送信中に、デバイス12からデバイス24に無線で電力を搬送してもよい。所望であれば、他の種類の帯域内通信を使用することもできる。
【0034】
無線送電の動作中、回路52は、1つ以上のコイル42に所与の送電周波数のAC駆動信号を供給する。送電周波数は、例えば、約125キロヘルツ(kHz)の所定の周波数、少なくとも80kHz、少なくとも100kHz、500kHz未満、300kHz未満、150KHz未満、80kHz~150kHz、又は他の好適な無線電力周波数であってもよい。いくつかの構成では、送電周波数は、デバイス12と24との間の通信でネゴシエーションすることができる。他の構成では、送電周波数を固定してもよい。
【0035】
無線送電の動作中、送電回路52がコイル42のうちの1つ以上にAC信号を駆動して送電周波数で電磁信号44を生成している間、無線送受信機回路40は、FSK変調を使用して駆動AC信号44を介してデータ及び情報を送信することができる。デバイス24では、コイル48は、電磁信号44を受信するために使用される。受電回路54は、コイル48及び整流器50上で受信信号を使用して、DC電力を生成する。同時に、無線送受信機回路46は、FSK復調を使用して、送信された帯域内データを信号44から抽出する。このアプローチにより、コイル42及びコイル48を使用してデバイス12からデバイス24に電力を無線で搬送している間に同時に、コイル42及び48を用いてFSKデータ(例えば、FSKデータパケット)をデバイス12からデバイス24に帯域内で送信することが可能になる。所望であれば、デバイス12とデバイス24との間に他の種類の帯域内通信を使用してもよい。
【0036】
デバイス24とデバイス12との間の帯域内通信は、ASK変調及び復調技術、又は他の適切な帯域内通信技術を使用してもよい。無線送受信機回路46は、スイッチ(例えば、結合コイル48である送受信機46内の1つ以上のトランジスタ)を使用することによって、デバイス12に帯域内データを送信して、受電回路54(例えば、コイル48)のインピーダンスを変調する。これにより、次々に、信号44の振幅、及びコイル(単数又は複数)42を通過するAC信号の振幅を変調する。無線送受信機回路40は、コイル(単数又は複数)42を通過するAC信号の振幅を監視し、ASK復調を使用して、無線送受信機回路46によって送信されたこれらの信号から、送信された帯域内データを抽出する。ASK通信を使用することにより、コイル42及びコイル48を使用してデバイス24からデバイス12へ電力が無線で搬送されている間に同時に、コイル48及び42を用いてASKデータビットのストリーム(例えば、一連のASKデータパケット)をデバイス24からデバイス12へ帯域内で送信することが可能になる。
【0037】
制御回路16は、デバイス12に関連付けられた充電面上の外部物体を検出する外部物体測定回路41(異物検出回路又は外部物体検出回路と呼ばれることもある)を有し得る。回路41は、コイル、ペーパークリップ、及び他の金属物体などの異物を検出することができ、無線受電デバイス24の存在を検出することができる。物体検出及び特性評価動作中、外部物体測定回路41を使用して、コイル42上で測定を行い、任意のデバイス24がデバイス12上に存在するかどうか(例えば、デバイス24がデバイス12上に存在すると疑われるかどうか)を判定することができる。制御回路30内の測定回路43は、コイル48での電流及び電圧測定を行う際に使用されてもよく、及び/又は無線受電回路54に対する他の測定を行う際に使用されてもよい。制御回路16内の測定回路41は、コイル(単数又は複数)42での電流及び電圧測定を行う際に使用されてもよく、及び/又は無線送電回路52に対する他の測定を行う際に使用されてもよい。デバイス12が複数のコイル42を含むシナリオでは、制御回路16は、各コイル42を順番に及び/又は並列に使用して測定を実行してもよい。制御回路16は、測定回路41を使用して行われた測定値を、デバイス24に関連付けられた所定の特性(例えば、制御回路16が、充電されているデバイス24の種類を識別するために使用する、異なる種類のデバイス24に関連付けられた所定の特性)と比較することができる。
【0038】
図2は、例示的な無線受電デバイス24の分解図を示している。図2に示すように、無線受電デバイス24は、内部空洞を画定するように嵌合することができる上部ハウジング62及び底部ハウジング64などのハウジングを含む。底部ハウジング64は、本明細書では後面74とも呼ばれる、デバイス24を無線で充電するためにデバイス12の充電面上又はその上方に配置される表面74を有する。例えば、デバイス12の後面74及び充電面82の両方は、無線充電中に図2のX-Y平面に対して実質的に平行に位置し得る。ディスプレイスクリーン(例えば、OLEDディスプレイ)又は他の入出力デバイスを、本明細書では上面74とも呼ばれる表面72上の上部ハウジング64に取り付けてもよい。
【0039】
デバイス24は、底部ハウジング64上に、又は上部ハウジング62及び底部ハウジング64によって形成された内部空洞内に、1つ以上のコイル48を含む。ハウジング62、64は、金属材料、誘電材料、又はこれら及び/若しくは他の材料の組み合わせを含み得る。デバイス24は任意選択的に、コイル48の近傍に強磁性シールド66及び熱シールド65を含み得る。熱シールド65は、コイル48とデバイス24のバッテリ及び他の構成要素との間の熱的隔離を提供するグラファイト又は類似の層を含み得る。強磁性シールド66は、電力コイル48と熱シールド65との間に配置される。強磁性シールド66は、送電デバイス12内でコイル42とより高い結合を得るために磁束を方向転換させて充電効率の改善をもたらし得る、磁場シールドとして機能し得る。デバイス24は任意選択的に、コイル48を底部ハウジング64に取り付ける接着剤構成要素67を含み得る。接着剤構成要素67は、感圧接着剤(PSA)などの接着剤材料の単一シートであり得る。コイル48は任意選択的に、コイル48を受け入れるようにサイズ決め及び成形された切り欠き領域68内で底部ハウジング64に取り付けられ得る。
【0040】
いくつかの状況では、ユーザは、デバイス12の充電面上にデバイス24を配置して、底部ハウジング64の後面74が充電面上で平坦になるようにすることができる。この例示的な構成では、コイル48の中心軸は、デバイス12内のコイル42の中心軸に対して平行に延び、コイル42からの磁場はコイル48を通過し得る。磁場は、コイル48上に、デバイス24を無線で充電するために使用される電流を誘導する。
【0041】
図3Aは、例示的な構成における無線送電デバイス12の斜視図であり、図3Bは、その上面図である。示すように、無線送電デバイス12は、受電デバイス24内のコイル48に無線電力を伝送するためのコイル42を充電面82に有し得る。1つの例示的な構成では、デバイス12は、充電面82に対向し、卓上又は他の表面などの、下にある表面上に置かれる平面84を有する無線充電パックである。ユーザは、デバイス24を充電面82上に配置して、デバイス24を充電することができる。デバイス24の後面74(図2)及び充電面82は、無線充電中に、図3のX-Y平面に対して実質的に平行な平面内に載置される。
【0042】
デバイス12は、図1の対応するインバータ60を使用してコイル42を駆動して、磁場を生成することができる。磁場は、デバイス24が充電面82上に配置されている間にコイル48を通過し、デバイス24を無線で充電するように機能するコイル48上に電流を誘導する。コイル42とコイル48との間の電磁結合が、コイル48がコイル42のほぼ中心にあるときに最適化される。しかしながら、コイル42のサイズは、デバイス24を充電面82上に配置するための、図3のX軸及びY軸に沿ったいくらかの位置公差範囲を許容する。上記のように、デバイス24の無線充電効率は、部分的に、デバイス12上のコイル42とデバイス24上のコイル48との間の結合によって判定される。
【0043】
図4は、従来技術の制御方法400に対する設計制約の例示的なプロットである。図4は、Y軸上に電圧、及びX軸上に電力をプロットしている。図4は、共に送電デバイス12のインバータ入力電圧が最大レベルにあるときの、送電デバイス12と受電デバイス24との間の良好な結合で生じる例示的な整流出力電圧(「Vrect」)負荷ライン410A、及び送電デバイス12と受電デバイス24との間の不良な結合で生じる例示的なVrect負荷ライン410Bを含む。この制御方法では、受電デバイスは、整流出力電圧を一定の目標レベル430で調節しようと試みる。制御ループがインバータ入力電圧を減少させてVrectを目標レベルにもたらすことができるため、調節は、負荷ライン410A及び410Bが調節目標430を上回る領域において達成可能である。調節は、インバータ入力電圧を更に増加させることができないため、負荷ライン410Bが目標レベル430を下回る領域では達成できない。良好な結合により、システムは、440Aにおいて全電力を達成することができる。しかしながら、不良な結合では、システムは、利用可能な最大インバータ入力電圧420及び無線送電デバイスと受電デバイスとの間の弱い磁気結合によって制約されるため、440Bでは減少した電力のみしか達成することができない。
【0044】
図5は、本開示の一態様による、無線電力伝送システムのフィードバック制御スキームの例示的なプロットである。受電デバイス24に実装された制御ループにより、送電デバイスのインバータ入力電圧が最大インバータ入力電圧レベルにあり、かつ負荷が増加するときに、整流出力電圧を目標レベルに調節し、目標整流出力電圧が折り返ることを可能にする(すなわち、目標整流出力電圧レベルが降下するのを可能にする)。
【0045】
図5は、Y軸上に電圧、及びX軸上に電力をプロットしている。図5は、送電デバイスのインバータ入力電圧がその最大レベルにあるときに、送電デバイス12と受電デバイス24との間の不良な結合で生じる例示的な整流出力電圧(「Vrect」)負荷ライン510を含む。負荷ライン510に示す負荷は、X軸に沿って左から右に移動するときに、軽負荷から重負荷に遷移する。
【0046】
曲線520は、送電デバイスのインバータ入力電圧をプロットしている。曲線520は、負荷ライン510に表される負荷が増加するにつれて、インバータ入力電圧が522にて最大インバータ入力電圧まで上昇する、第1の部分520Aを含む。以下で論じるように、制御ループは、インバータ入力電圧曲線520のこの領域において、整流出力電圧を目標レベルに調節することができる(すなわち、受電デバイスによってVrect調節が達成可能である)。曲線520は、インバータ入力電圧が最大レベルにあり、更に増加することができないため、Vrect調節が達成可能ではない、第2の部分520Bを含む。負荷電力を更に増加させると、Vrectが目標レベル530未満に降下する。
【0047】
曲線530は、受電デバイスの整流目標出力電圧をプロットしている。示すように、曲線530は、負荷が負荷ライン510に沿って増加するにつれて、受電デバイスが整流出力電圧を目標整流出力電圧レベルに調節する、第1の部分530Aを含む。曲線530は、送電デバイスのインバータ入力電圧が最大レベルにあり、かつ負荷が増加し続けるときに、受電デバイスが532にてトリガされる目標整流出力電圧折り返しモードで動作している、第2の部分530Bを含む。目標整流出力電圧折り返しモードは、目標整流出力電圧レベルが降下することを可能にし、負荷がライン510に沿って更に増加するにつれて、制御ループは目標整流出力電圧を新しい目標整流出力電圧レベルに適応的に調整する。目標整流出力電圧折り返しモードにある間、受電デバイス制御回路30は、目標整流出力電圧を所定の最小折り返し整流出力電圧レベル未満に降下しないように要求することができ、それによって、整流器50が少なくとも最小整流出力電力を生成することを確実にする。
【0048】
目標整流出力電圧折り返しモードの制御ループアルゴリズムが、受電デバイス24内に実装される。無線電力伝送中、送電デバイス12は、インバータ入力電圧ステータスを示す情報を受電デバイス24に通信することができる。例えば、情報は、インバータ入力電圧が最大インバータ入力電圧レベルにあることを示すメッセージであり得る。あるいは、情報により、インバータ入力電圧値を識別することができる。通信は、インバータ入力電圧情報を搬送するパケットであり得る。別の例では、情報は、インバータ入力電圧が最大レベルに達したかどうかを示すための、既存のデータパケットにおける1ビットフラグであり得る。送電器12から受電器24への通信は、上述のような周波数シフトキーイング(FSK)技術を使用して行われ得る。あるいは、所望であれば、他の種類の帯域内通信又は帯域外通信を使用することができる。
【0049】
別の例では、受電デバイス24は、送電デバイスのインバータの動作状態を示す情報を送電デバイス12に求めてもよく、無線電力伝送コイル48は、インバータを使用して無線送電デバイス12によって送信された無線電力信号を受信する。加えて、情報は、無線送電デバイス12のインバータがその最大入力電圧で動作しているかどうかを示すステータスを含み得る。送電デバイス12が、インバータ入力電圧が最大レベルにあることを示して受電デバイス24に応答する場合、受電デバイス24は、インバータ入力電圧が最大レベルにある間に目標整流出力電圧を適応的に調整するために、上述のように目標整流出力電圧折り返しモードをトリガすることができる。
【0050】
図6は、本開示の一態様による無線電力伝送システムの別のフィードバック制御スキーム600の例示的なプロットである。制御スキーム600は、軽負荷での充電効率を改善することができ、上述の目標整流出力電圧折り返しモードを含む。軽負荷充電効率は、軽負荷用の送電デバイスのインバータ入力電圧を減少させることによって改善され得る。受電デバイス24に実装された制御ループは、受電デバイスの整流出力電力又は出力電流のいずれかの関数として、目標整流出力電圧を動的に制御する。以下で論じるように、目標整流出力電圧レベルは、軽負荷で低く、負荷が重負荷に増加するにつれて高い目標整流出力電圧レベルに増加する。負荷及び目標整流出力電圧は、受電デバイス24の動作状態に依存し得る。例示的な動作状態は、バッテリの充電状態、デバイスが動画を再生しているのかどうか、又はビデオゲームなどの電力大量消費アプリケーションを実行しているのかどうかを含む。目標整流出力電圧関数(曲線630)は、最良の結合状態用に設計することができ、目標整流出力電圧関数曲線部分630Cに示すように、目標整流出力電圧がより悪い結合状態で折り返すことを可能にし得る。
【0051】
図6は、Y軸上に電圧、及びX軸上に電力をプロットしている。図6は、送電デバイスのインバータ入力電圧がその最大レベルにあるときに、送電デバイス12と受電デバイス24との間の不良な結合で生じる例示的な整流出力電圧(「Vrect」)負荷ライン610を含む。負荷ライン610に示される負荷は、X軸に沿って左から右に移動するときに、軽負荷から重負荷に遷移する。
【0052】
曲線620は、送電デバイスのインバータ入力電圧をプロットしている。曲線620は、負荷ライン610の最も左の部分に示すように、送電デバイスのインバータ入力電圧が軽負荷用の低レベルにある、第1の部分620Aを含む。曲線620は、負荷ライン610に表される負荷が軽負荷から重負荷に遷移するにつれて、インバータ入力電圧が低レベルから622にて最大インバータ入力電圧レベルまで増加する、第2の部分620Bを含む。曲線620は、インバータ入力電圧が最大インバータ入力電圧レベルにある動作状態を表す、第3の部分620Cを含む。
【0053】
曲線630は、受電デバイスの整流目標出力電圧を、整流出力電力の関数としてプロットしている。示すように、曲線630は、負荷ライン610の最も左の部分に示すように、整流出力電力が低く、かつ整流出力電圧が軽負荷用の最小目標整流出力電圧レベルに調節されるように設計されている、第1の部分630Aを含む。整流出力電圧を最小目標整流出力電圧レベルに調節することにより、インバータ入力電圧が低電圧レベル(すなわち、インバータ入力電圧曲線の第1の部分620A)に維持されるため、軽負荷での充電効率を改善することができる。
【0054】
曲線630は、整流出力電力が増加している第2の部分630B及び第3の部分630Bを含み、目標整流出力電圧は、負荷が軽負荷から重負荷に遷移するにつれて、最小目標整流出力電圧レベルから最大目標整流出力電圧レベル634まで増加するように設計されている。しかしながら、送電器12と受電器24との間の不良な結合により、受電器は、送電器インバータ入力電圧が最大インバータ入力電圧レベルにあるため、第3の部分630Bに示される目標整流出力電圧レベルに整流出力電圧を調節することができない場合がある。そのような場合、曲線630の第4の部分630Cは、送電デバイスのインバータ入力電圧が最大レベルにあり、かつライン610に沿った負荷が増加し続けるときに、受電デバイスが632にてトリガされる目標整流出力電圧折り返しモードで動作していることを示す。目標整流出力電圧折り返しモードは、目標整流出力電圧レベルが降下することを可能にし、制御ループは、負荷がライン610に沿って更に増加するにつれて、目標整流出力電圧を新しい目標整流出力電圧レベルに適応的に調整する。目標整流出力電圧折り返しモードにある間、受電デバイス制御回路30は、目標整流出力電圧が所定の最小折り返し整流出力電圧レベル未満に降下しないように要求し、それによって、整流器50が少なくとも最小整流出力電力を生成することを確実にすることができる。
【0055】
目標整流出力電圧折り返しモード制御ループアルゴリズムは、受電デバイス24に実装される。無線電力伝送中、送電デバイス12は、インバータ入力電圧ステータスを示す情報を受電デバイス24に通信することができる。例えば、情報は、インバータ入力電圧が最大インバータ入力電圧レベルにあることを示すメッセージであり得る。あるいは、情報は、インバータ入力電圧値を識別し得る。通信は、インバータ入力電圧情報を搬送するパケットであり得る。別の例では、情報は、インバータ入力電圧が最大レベルに達したかどうかを示すための、既存のデータパケットでの1ビットフラグであり得る。送電器12から受電器24への通信は、上述のような周波数シフトキーイング(FSK)技術を使用して行われ得る。あるいは、所望であれば、他の種類の帯域内通信又は帯域外通信を使用することができる。
【0056】
別の例では、受電デバイス24は、送電デバイスのインバータの動作状態を示す情報を送電デバイス12に求めてもよく、無線電力伝送コイル48は、インバータを使用して無線送電デバイス12によって送信された無線電力信号を受信する。加えて、情報は、無線送電デバイス12のインバータがその最大入力電圧で動作しているかどうかを示すステータスを含み得る。送電デバイス12が、インバータ入力電圧が最大レベルにあることを示して受電デバイス24に応答する場合、受電デバイス24は、上述の通り、目標整流出力電圧折り返しモードをトリガして、インバータ入力電圧が最大レベルにある間に目標整流出力電圧を適応的に調整してもよい。
【0057】
図7は、図5及び図6に示すフィードバック制御スキーム500及び600を使用して無線電力伝送システムの受電デバイス24に実装された例示的な制御ループアルゴリズムのフロー図である。図7のフロー図を、最初に、図5に示すフィードバック制御スキーム500の例示的な動作に関連して論じる。
【0058】
無線電力システム8では、無線受電デバイス24は、通信のマスターであり、無線電力システム8における電力伝送を制御する。受電デバイス24は、無線送電デバイス12から電磁信号44を受信するように構成されている。電力伝送前及び電力伝送中に、受電デバイス24及び送電デバイス12は、最大許容電力レベルをネゴシエーションすることができる。受電デバイス24は、無線電力伝送コイル48を含む。加えて、受電デバイス24は、無線電力伝送コイル48に結合され、無線電力伝送コイルからの信号を出力電圧に整流するように構成された、整流回路50を含む。受電デバイス24はまた、整流出力電圧を目標出力電圧レベル(例えば、図5の530A)に調節し、送電デバイス12からインバータ入力電圧を示すステータスメッセージを受信し、インバータ入力電圧のステータスに基づいて目標整流出力電圧を調整する、ように構成された制御回路30をも含む。
【0059】
図7のステップ704を参照すると、受電デバイス24の制御回路30は、(例えば、回路43を使用して)現在の整流出力電圧値を測定し、それが目標電圧整流出力レベル以上であるかどうかを判定する。そうである場合、ステップ706において、受電デバイスは、最大許容電力に達するまで負荷電力を上昇させ、ステップ708に進むことができる。現在の整流出力電圧値が目標整流出力電圧レベル未満である場合、受電デバイスは直接、ステップ708に進む。
【0060】
ステップ708において、受電デバイス24の制御回路30は、インバータ入力電圧が、図5のインバータ入力電圧曲線部分520Bに沿った動作状態などの最大レベルにあるかどうかを判定する。例えば、制御回路30は、送電デバイス12から受信したインバータ入力電圧を示すステータスメッセージに基づいて、この判定を行うことができる。別の例では、受電デバイス24は、インバータ入力電圧ステータスを示す情報を送電デバイス12に求めることができる。いずれの例でも、ステータスが、インバータ入力電圧が最大レベル(例えば、図5のインバータ入力電圧曲線の第1の部分520Aに沿った動作状態)にないことを示す場合、受電デバイス24はステップ710に進む。
【0061】
ステップ710において、制御回路30は、整流出力電圧を目標整流出力電圧レベルに調節する。ステップ712において、制御回路30は、送電デバイスのフィードバック情報を提供することによって、制御エラーパケット(CEP)を計算して、送電デバイスが整流出力電圧を調整することを可能にする。ステップ730において、受電デバイス24は、CEPを送電デバイス12に送信する。送電デバイス12は、CEP内の情報を使用して、インバータ入力電圧を調整することができる。
【0062】
ステップ708を参照すると、インバータ入力電圧ステータスメッセージが、インバータ入力電圧が最大レベル(例えば、図5のインバータ入力電圧曲線の第2の部分520Bに沿った動作状態)にあることを示すと受電デバイス24の制御回路30が判定した場合、受電デバイスは、目標整流出力電圧折り返しモード(例えば、整流出力電圧曲線の第2の部分530Bに沿った動作状態)に入る。ステップ720において、受電デバイス24の制御回路30は、(例えば、回路43を使用して)現在の整流出力電圧値を測定する。折り返しモードにある間、現在の整流出力電圧値は、目標整流出力電圧レベル未満であり得る。したがって、受電デバイス24は、新しい目標整流出力電圧レベルを現在の整流出力電圧値に設定し、整流出力電圧を新しい目標整流出力電圧レベルに調節する。ステップ722において、受電デバイス24は制御エラーパケット(CEP)を計算せず、むしろ、受電デバイス24は、送電デバイス12により多くの電力を求める値をCEPに割り当てる。より多くの電力のCEP要求により、送電デバイス12がインバータ入力電圧を増加させ、それによって、インバータ入力電圧がインバータ入力電圧最大レベルに保たれることを確実にさせることができる。ステップ730において、受電デバイス24はCEPを送電デバイス12に送信する。
【0063】
インバータ入力電圧が最大レベルにある間、受電デバイス24は、目標整流出力電圧折り返しモード(すなわち、図7のステップ720及び722)で動作し続け、整流出力電圧が降下することを可能にする。折り返しモードは、受電デバイス24が、負荷が変化するにつれて(例えば、整流出力電圧曲線の第2の部分530Bに沿った動作状態)、目標整流出力電圧レベルを新しい目標整流出力電圧レベルに適応的に調整することを可能にする。折り返しモードにある間、受電デバイス24の制御回路30は、目標整流出力電圧レベルが最小折り返し電圧レベル未満に降下しないように要求することができる。受電デバイス24の制御回路30は、ステップ720において測定された現在の整流出力電圧値を、最小折り返し電圧レベルと比較することができる。制御回路30が、現在の整流出力電圧値が最小折り返し電圧レベル未満であると判定した場合、制御回路30は、新しい目標整流出力電圧レベルを最小折り返し電圧レベルに設定し、整流出力電圧を新しい目標整流出力電圧レベルに調節することができる。最小整流出力電圧レベルを制御することにより、受電デバイス24は、整流器50が最小出力電力を生成することを確実にし得る。
【0064】
受電デバイス24は、ステップ704において、受電デバイス24の制御回路30が、現在の整流出力電圧値が目標整流出力電圧レベル以上(例えば、図5の整流出力電圧曲線の第2の部分530Aに沿った動作状態)であると判定すると、折り返しモードで動作することを停止する。したがって、送電デバイス12のインバータ入力電圧は、最大レベルにならず、むしろ、図5のインバータ入力電圧曲線の第1の部分520Aに沿った動作状態になる。ステップ708において、受電デバイス24は、図7のフロー図の左側の制御ループに進み、整流出力電圧を目標出力電圧レベルに調節し、ステップ710及び712に従ってCEPを計算する。
【0065】
次に、図7のフロー図を、図6に示すフィードバック制御スキーム600の例示的な動作に関連して論じる。上記のように、フィードバック制御スキーム600は、軽負荷での充電効率を改善することができ、目標整流出力電圧折り返しモード制御ループを含む。
【0066】
無線電力システム8では、無線受電デバイス24は、通信のマスターであり、無線電力システム8における電力伝送を制御する。受電デバイス24は、無線送電デバイス12から電磁信号44を受信するように構成されている。電力伝送前及び電力伝送中に、受電デバイス24及び送電デバイス12は、最大許容電力レベルをネゴシエーションすることができる。受電デバイス24は、無線電力伝送コイル48を含む。加えて、受電デバイス24は、無線電力伝送コイル48に結合され、無線電力伝送コイルからの信号を出力電圧に整流するように構成された、整流回路50を含む。受電デバイス24はまた、(例えば、回路43を使用して)整流回路50の特性を測定するように構成された制御回路30を含む。例えば、整流回路特性は、整流出力電力及び/又は整流出力電流であり得る。
【0067】
制御回路30は、整流回路50の測定された特性の関数に基づいて、目標整流出力電圧レベルを判定及び動的に制御することができる。例えば、目標整流出力電圧は、図6の曲線630に示すように、整流出力電力の関数として判定及び制御され得る。目標整流出力電圧関数(曲線630)は、最良の結合状態(すなわち、曲線部分630A、630B、630B)用に設計することができ、目標整流出力電圧がより悪い結合状態(すなわち、曲線部分630C)で折り返されることを可能にする。目標整流出力電圧関数は、軽負荷(例えば、低整流出力電力が必要)では低い目標整流出力電圧を、重負荷(例えば、高整流出力電力が必要)では高い目標整流出力電圧を提供することができる。
【0068】
図7のステップ704を参照すると、受電デバイス24の制御回路30は、(例えば、回路43を使用して)現在の整流出力電力を測定し、測定された整流出力電力の関数として目標整流出力電圧レベルを判定する。制御回路30はまた、現在の整流出力電圧値を測定し、それが目標電圧整流出力レベル以上であるかどうかを判定する。そうである場合、ステップ706において、受電デバイス24は、最大許容電力に達するまで負荷電力を上昇させ、ステップ708に進むことができる。現在の整流出力電圧値が目標整流出力電圧レベル未満である場合、受電デバイスは直接、ステップ708に進む。
【0069】
ステップ708において、受電デバイス24の制御回路30は、インバータ入力電圧が図6のインバータ入力電圧曲線部分620Cに沿った動作状態などの最大レベルにあるかどうかを判定する。例えば、制御回路30は、送電デバイス12から受信したインバータ入力電圧を示すステータスメッセージに基づいて、この判定を行うことができる。別の例では、受電デバイス24は、インバータ入力電圧ステータスを示す情報を送電デバイス12に求めることができる。いずれの例でも、ステータスが、インバータ入力電圧が図6のインバータ入力電圧曲線部分620A又は620Bに沿った動作状態などの最大レベルにないことを示す場合、受電デバイス24は、ステップ710に進む。
【0070】
ステップ710において、制御回路30は、整流出力電圧を、測定された整流出力電力(例えば、図6の設計目標整流出力電圧部分630A又は630Bに沿った動作状態)の関数として判定された目標出力電圧レベルに調節する。ステップ712において、制御回路30は、送電デバイスのフィードバック情報を提供することによって、制御エラーパケット(CEP)を計算して、受電デバイスが整流出力電圧を調整することを可能にする。ステップ730において、受電デバイス24は、CEPを送信デバイス12に送信する。送電デバイス12は、CEP内の情報を使用して、インバータ入力電圧を調整することができる。
【0071】
再びステップ708を参照すると、受電デバイス24の制御回路30が、インバータ入力電圧ステータスメッセージが、インバータ入力電圧が最大レベル(例えば、図6のインバータ入力電圧曲線部分620Cに沿った動作状態)にあることを示すと判定した場合、受電デバイスは、目標整流出力電圧折り返しモード(例えば、整流出力電圧曲線部分630Cに沿った動作状態)に入る。ステップ720において、受電デバイス24の制御回路30は、(例えば、回路43を使用して)現在の整流出力電圧値を測定する。折り返しモードにある間、現在の整流出力電圧値は、目標整流出力電圧レベル未満であり得る。したがって、受電デバイス24は、新しい目標整流出力電圧レベルを現在の整流出力電圧値に設定し、整流出力電圧を新しい目標整流出力電圧レベルに調節する。ステップ722において、受電デバイス24はCEPを計算せず、むしろ、受電デバイス24は、送電デバイス12により多くの電力を求める値をCEPに割り当てる。より多くの電力のCEP要求により、送電デバイス12がインバータ入力電圧を増加させ、それによって、インバータ入力電圧がインバータ入力電圧最大レベルに保たれることを確実にさせることができる。ステップ730において、受電デバイス24はCEPを送電デバイス12に送信する。
【0072】
インバータ入力電圧が最大レベルにある間、受電デバイス24は、目標整流出力電圧折り返しモード(すなわち、図7のステップ720及び722)で動作し続け、整流出力電圧が降下することを可能にする。折り返しモードは、受電デバイス24が、負荷が変化するにつれて(例えば、整流出力電圧曲線の部分630Cに沿った動作状態)、目標整流出力電圧レベルを新しい目標整流出力電圧レベルに適応的に調整することを可能にする。折り返しモードにある間、受電デバイス24の制御回路30は、目標整流出力電圧レベルが最小折り返し電圧レベル未満に降下しないように要求することができる。受電デバイス24の制御回路30は、ステップ720において測定された現在の整流出力電圧値を、最小折り返し電圧レベルと比較することができる。制御回路30が、現在の整流出力電圧値が最小折り返し電圧レベル未満であると判定した場合、制御回路30は、新しい目標整流出力電圧レベルを最小折り返し電圧レベルに設定し、整流出力電圧を新しい目標整流出力電圧レベルに調節することができる。最小整流出力電圧レベルを制御することにより、受電デバイス24は、整流器50が最小整流出力電力を生成することを確実にし得る。
【0073】
前述の記載は説明の目的で提供されており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は例示的な実施例又は方法を参照して説明されているが、本明細書で使用されている単語は、限定の単語ではなく、説明及び例示の単語であることが理解される。更に、本発明は特定の構造、方法、及び実施例を参照して本明細書に説明されているが、本発明が添付の特許請求の範囲内にある全ての構造、方法、及び使用に及ぶため、本発明は本明細書に開示される詳細に限定されることを意図するものではない。この明細書の教示の利益を有する当業者であれば、本明細書に記載の発明に対する多数の修正をもたらすことができ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく変更を行うことができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7