(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】移植型カプセル化デバイス
(51)【国際特許分類】
A61L 27/40 20060101AFI20240423BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20240423BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240423BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240423BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240423BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61L27/40
A61L27/56
A61K45/00
A61K48/00
A61K35/12
A61M37/00 560
(21)【出願番号】P 2022161705
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2021062684の分割
【原出願日】2017-11-08
【審査請求日】2022-10-06
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ガンゼル
(72)【発明者】
【氏名】キース ナイズリー
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ ラッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ローレン ザンボッティ
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-508584(JP,A)
【文献】特表平10-503964(JP,A)
【文献】Transplantation,2009年,Vol.87,pp.983-991
【文献】THERACYTE General Purpose Cell Encapsulation Device,pp.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/00
A61M 37/00
A61M 39/02
A61K 9/00
A61K 48/00
A61K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植型カプセル化デバイスであって、
積層シートと、
前記積層シートの接着された層によって形成された複数の格納チャネルであって、それぞれの前記格納チャネル間に介在するシームを有する、複数の格納チャネルと
を含み、
前記複数の格納チャネルが、前記複数の格納チャネルの長さに沿って前記シームを介して周期的に互いに接続されており、
前記格納チャネルは、血管組織の内方成長を許す外側
多孔質ポリマー層と、前記外側
多孔質ポリマー層に隣接して配置され、細胞又は血管の内方成長を遮る内側ポリマー層とを含む多孔質複合材料を含
み、
前記シームは、組織付着及び/又は血管新生を許すように前記外側多孔質ポリマー層の多孔性を維持する、移植型カプセル化デバイス。
【請求項2】
前記複数の格納チャネルが
前記積層シートの面に垂直な方向に互いに積み重ねられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数の格納チャネル内部に収納された1つ又は2つ以上の治療デバイスを更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記治療デバイスが、薬物送達デバイス、遺伝子治療デバイス、細胞カプセル化デバイス、及びこれらの組み合わせを含む、請求項
3に記載のデバイス。
【請求項5】
マニホルド、アクセスポート、及びフラッシュポートから選択された少なくとも1つの部材を更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植型生物学的デバイス、より具体的には生物学的部分を収納するための移植型カプセル化デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓疾患、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、失明、糖尿病、及びその他の病理を治療するための方法として、生物学的療法がますます実行可能になってきている。
【0003】
一般的な生物学的療法に関しては、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、バクテリア、タンパク質、抗体、及びその他の生物学的部分を外科的及び/又は介入的方法によって患者に導入することができる。これらの方法は患者の組織床内へ生物学的部分を入れる。外科的技術は組織又は器官内への鈍的平面切開(blunt planar dissection)を含む。介入的技術は、カテーテル又はニードルを介して標的部位へ注射を施すことを含む。これらの方法は、宿主組織に外傷をもたらし、炎症、血管分布の欠如、及び免疫反応を招き、これらは全て、生物学的部分の生存能力及び効力を低下させ得る。介入的方法は、微細孔ニードル又はカテーテルを通した輸送中に被る剪断力に基づき生物学的部分の生存能力及び効力を低下させることもある。加えて、生物学的部分の注射に起因する圧力の増大も生物学的部分に外傷を引き起こし得る。結果として、移植された部分は多くの場合生着せず、注射部位から不所望に移動するおそれがある。
【0004】
いくつかの事例では、生物学的部分は体内への導入前に宿主の免疫系から保護される。生物学的部分を保護する一つの方法は、生物学的部分を患者の組織内へ導入する前にこの部分をカプセル化することである。デバイスは宿主の免疫系の部材へのアクセスを制限する一方、栄養及び他の生体分子をデバイス内へ通すことも可能にすることによりその寿命全体(例えばローディング、移植、及び移植片除去)にわたって生物学的部分を生存可能にしておかなければならない。しかしながら、その寿命サイクルの様々な段階を通して現行のカプセル化システムの有効性には数多くの難題が残されている。1つの難題は、移植中、及び酸素源及び栄養源が制限された低酸素環境に生物学的部分が晒されている治癒段階中に生物学的部分の生存を維持することを含む。種々の療法及び用量範囲に合わせてカプセル化デバイスを設計する際のスケーラビリティも難しい。一例としては、種々のデバイス形状(geometries)を臨床前の動物モデルを通して、生物学的部分にとって異なる環境をもたらすようなクリティカルな設計寸法の変更を行うことなしに人間の治療的用量に合わせてスケーリングする必要があることが挙げられる。加えて生物学的部分が寿命の終わりに達するのに伴って、カプセル化デバイスの有用寿命を延ばすか、又は移植片の領域内の表面積を、この表面積が将来の治療のために再利用され得るように保存することが望まれる。
【0005】
従って、細胞及びその他の生物学的部分をカプセル化するデバイスであって、種々のタイプの生物学的部分及び/又は種々のサイズの生物学的部分を組み込むことができ、そしてデバイス寿命の種々異なる段階で異なる治療を活用するのを可能にするために、又は交換によってデバイスの有用寿命を延ばすのを可能にするために、治療デバイスを除去及び/又は交換するように容易にアクセスすることができるデバイスが依然として必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様は、移植型カプセル化デバイスであって、単一の格納チューブと、格納チューブの第1端部に配置された第1アクセスポートと、格納チューブの第2端部に配置された第2アクセスポートと、チューブを介して第2アクセスポートに流体接続されたフラッシュポートと、格納チューブの第1端部に解離可能に取り付けられて第1アクセスポートを覆うキャップとを含む、移植型カプセル化デバイスに関する。フラッシュポートは再シール可能なキャップを含んでいてもよい。格納チューブは生物学的部分(例えば細胞)又は治療デバイス(例えば細胞格納部材)を含有してよい。
【0007】
第2の態様は、第1端部及び第2端部と、一方の端部(例えば第1端部)の単一のアクセスポートとを有する格納チューブを含む移植型カプセル化デバイスに関する。他方の端部(例えば第2端部)は単に格納チューブの端部であるか、又は第2端部に装着された永久シールであってよい。永久シールは、第2端部に解離不能に取り付けられたキャップであってよい。格納チューブは生物学的部分(例えば細胞)又は治療デバイス(例えば細胞格納部材)を含有してよい。
【0008】
第3の態様は、複数の格納チューブを含む移植型カプセル化デバイスであって、それぞれの格納チューブが、格納チューブの第1端部に配置された第1アクセスポートと、格納チューブの第2端部に配置された第2アクセスポートとを有する、移植型カプセル化デバイスに関する。第1アクセスポート上には、格納チューブの第1端部をシールするために再シール可能なキャップが設けられていてよい。格納チューブは接続部材によって第2端部で又はその近くで相互接続されていてよい。格納チューブは互いに独立して動かすことができ、デバイスの長さに沿って互いにほぼ平行である。格納チューブは生物学的部分(例えば細胞)又は治療デバイス(例えば細胞格納部材)を含有してよい。カプセル化デバイスは、格納チューブのうちの1つ又は2つ以上と流体連通している少なくとも1つのアクセスポートを有する取り外し可能なマニホルドを更に含んでいてもよい。
【0009】
第4の態様は、マニホルドと複数の格納チューブとを含む移植型カプセル化デバイスであって、それぞれの格納チューブが、第1端部に配置された第1アクセスポートと、第2端部に配置された第2アクセスポートとを有する、移植型カプセル化デバイスに関する。格納チューブは、これらの第2端部でマニホルドに装着されており、第2アクセスポートを通してマニホルドに流体接続されている。マニホルドは、格納チューブの第1端部又は第2端部に配置されてよい。格納チューブの反対側の端部には再シール可能な(又は永久的な)ポートが配置されていてよい。格納チューブは、1つ又は2つ以上の接続部材によって、格納チューブの長さに沿って所定の間隔で互いに接続されていてよく、且つ/又は格納チューブの長さに沿って互いにほぼ平行であってよい。周期的な間隔は規則的(例えば間隔が接続部材間で同じである)であっても不規則(例えば接続部材間の間隔が異なる)であってもよい。いくつかの実施態様では、格納チューブは三次元形態を成して互いに積み重ねられている。さらに他の実施態様では、格納チューブは軸外相互接続部材によってほぼ平面形態を有している。格納チューブは生物学的部分(例えば細胞)又は治療デバイス(例えば細胞格納部材)を含有してよい。
【0010】
第5の態様は、第1端部及び第2端部と、第1端部と第2端部との間の中央に配置されたマニホルドとを有する少なくとも1つの格納チューブを含む移植型カプセル化デバイスに関する。マニホルドは、少なくとも1つのアクセスポートを有しており、少なくとも1つの格納チューブに流体接続されている。いくつかの実施態様では、マニホルドは、少なくとも1つのアクセスポートの下方に配置された分割部材を含む。
【0011】
第6の態様は、移植型カプセル化デバイスであって、積層シートと、当該それぞれの格納チャネル間に介在するシームを有する、前記積層シートの接着された層によって形成された複数の格納チャネルとを含む、移植型カプセル化デバイスに関する。複数の格納チャネルは、格納チャネルの長さに沿って前記シームを介して周期的に互いに接続されていてよい。アクセスポート、マニホルド、及び/又はフラッシュポートがこの態様に含まれてもよいことが認められる。
【0012】
第7の態様は、移植型カプセル化デバイスであって、カプセル化デバイスの第1端部又は第2端部に配置されたマニホルドと、マニホルドに個々に装着されてマニホルドと流体連通している複数の格納チューブとを含む移植型カプセル化デバイスに関する。複数の格納チューブは非平面状配列を成して相互接続されていてよい。少なくとも1つの実施態様では、格納チューブは、非平面状配列を呈するように形成されるべく、形状記憶材料を含んでいる。
【0013】
第8の態様は、単一の格納チューブを含む移植型カプセル化デバイスであって、格納チューブが、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に配置された地点と、分割部材と、格納チューブの第1端部と第2端部との間の中央に配置された地点に配置された単一のアクセスポートを有するマニホルドとを有する、移植型カプセル化デバイスに関する。分割部材は、細胞含有流体の流れが分割されるのを可能にし、これにより、細胞の一部が第1の方向に(例えば第1端部へ向かって)流れ、そして細胞の一部が第2の方向に(例えば第2端部へ向かって)流れるようになる。或いは、細胞格納部材(又は他の治療デバイス)を、アクセスポートを通して格納チューブ内部に入れてもよい。
【0014】
第9の態様は、移植型カプセル化デバイスであって、第1遠位端及び第1アクセスポートを有する第1近位端を含む第1格納チューブと、第2遠位端及び第2アクセスポートを有する第2近位端を含む第2格納チューブと、第1近位端の第1アクセスポートと第2近位端の第2アクセスポートとに流体接続されたマニホルドとを含む移植型カプセル化デバイスに関する。マニホルドは第1及び第2格納チューブを流体接続する。
【0015】
第10の態様は、移植型カプセル化デバイスであって、第1端部及び第2端部を有する複数の格納チューブと、格納チューブの第1端部と第2端部との間の中央に配置された地点と、複数のアクセスポートを有するマニホルドとを含む、移植型カプセル化デバイスに関する。マニホルドは格納チューブと流体接続されている。いくつかの実施態様では、マニホルドは分割部材を含む。分割部材は、細胞含有流体の流れが分割されるのを可能にし、これにより、細胞の一部が第1の方向に(例えば第1端部へ向かって)流れ、そして細胞の一部が第2の方向に(例えば第2端部へ向かって)流れるようになる。なお、細胞格納部材を、アクセスポートを通して格納チューブ内部に入れてもよい。加えて、カプセル化デバイスは、マニホルドによって接続された複数の第1格納チューブと第2格納チューブとから形成されていてもよい。
【0016】
添付の図面は開示内容のさらなる理解を可能にするために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、実施態様を例示し、そして記述とともに開示内容の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1A及び1Bは、いくつかの実施態様に基づく細胞格納部材の断面を示す概略図である。
【
図1B】
図1A及び1Bは、いくつかの実施態様に基づく細胞格納部材の断面を示す概略図である。
【0018】
【
図2】
図2は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを示す概略図である。
【0019】
【
図3】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構成するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【
図4】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構成するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【
図5】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構成するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【
図6】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構成するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【
図7】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構成するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【
図8】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構成するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【
図9】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構成するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【
図10】
図3~10は、いくつかの実施態様に基づく格納チューブを構築するために使用される多孔質ポリマー材料の断面を示す概略図である。
【0020】
【
図11A】
図11Aは、いくつかの実施態様に基づく、2つのアクセスポートとフラッシュポートとを有する格納チューブを示す概略図である。
【0021】
【
図11B】
図11Bは、いくつかの実施態様に基づく、単一のアクセスポートを有する格納チューブを示す概略図である。
【0022】
【
図12A】
図12Aは、いくつかの実施態様に基づく、複数の相互接続された格納チューブを有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0023】
【
図12B】
図12Bは、いくつかの実施態様に基づく、フラッシュポートとマニホルドとを含む
図12Aのカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0024】
【
図12C】
図12Cは、いくつかの実施態様に基づく、複数の格納チューブとその遠位端に配置された(フラッシュポートを備えた)マニホルドとを有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0025】
【
図12D】
図12Dは、いくつかの実施態様に基づく、複数の格納チューブとその遠位端及び近位端の両方に配置された(フラッシュポートを備えた)マニホルドとを有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0026】
【
図12E】
図12Eは、いくつかの実施態様に基づく、第1端部に頂部アクセスポートを備えたマニホルドを、そして第2端部に再シール可能な(又は永久的な)ポートを含むカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0027】
【
図12F】
図12Fは、いくつかの実施態様に基づく、第1端部に側部アクセスポートを有するマニホルドを、そして第2端部に再シール可能な(又は永久的な)ポートを含むカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0028】
【
図12G】
図12Gは、いくつかの実施態様に基づく、第1端部に側部アクセスポートを有するマニホルドを、そして第2端部に再シール可能な(又は永久的な)キャップを含むカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0029】
【
図12H】
図12Hは、いくつかの実施態様に基づく、第1端部に側部アクセスポートを有するマニホルドを、そして第2端部に接続部材及び(再シール可能又は永久的な)ポートを含むカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0030】
【
図13A】
図13A及びBは、いくつかの実施態様に基づく、単一のユニットとして一緒にグループ化されたいくつかの個別の格納チューブを含むカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図13B】
図13A及びBは、いくつかの実施態様に基づく、単一のユニットとして一緒にグループ化されたいくつかの個別の格納チューブを含むカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0031】
【
図13C】
図13C及びDは、いくつかの実施態様に基づく、長さに沿った種々の地点で互いに接続された格納チューブを示す写真である。
【
図13D】
図13C及びDは、いくつかの実施態様に基づく、長さに沿った種々の地点で互いに接続された格納チューブを示す写真である。
【0032】
【
図13E】
図13Eは、一方の端部に設けられた再シール可能なポートと、長さに沿った種々の地点で互いに接続された格納チューブとを備えたカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0033】
【
図13F】
図13Fは、一方の端部に設けられたマニホルド及びフラッシュポートと、長さに沿った種々の地点で互いに接続された格納チューブとを備えたカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0034】
【
図14A】
図14Aは、いくつかの実施態様に基づく、いくつかのチャネルから構成されたカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0035】
【
図14B】
図14Bは、いくつかの実施態様に基づく、各格納チャネル間にシームを有する格納チャネルを示す写真である。
【0036】
【
図15】
図15~17Aは、いくつかの実施態様に基づく、複数の格納チューブを有するカプセル化デバイスのための種々の三次元配列を示す図である。
【
図16】
図15~17Aは、いくつかの実施態様に基づく、複数の格納チューブを有するカプセル化デバイスのための種々の三次元配列を示す図である。
【
図17A】
図15~17Aは、いくつかの実施態様に基づく、複数の格納チューブを有するカプセル化デバイスのための種々の三次元配列を示す図である。
【0037】
【
図17B】
図17Bは、いくつかの実施態様に基づく、軸外相互接続部材を備えたほぼ平面状の配列を有する格納チューブを示す写真である。
【0038】
【
図17C】
図17Cは、相互接続部材によって流体接続された格納チューブを有する細胞カプセル化部材を示す概略図である。
【0039】
【
図18A】
図18A及び18Bは、いくつかの実施態様に基づく、再シール可能なポート又はマニホルドの可変の柔軟性(compliance)を示す概略図である。
【
図18B】
図18A及び18Bは、いくつかの実施態様に基づく、再シール可能なポート又はマニホルドの可変の柔軟性を示す概略図である。
【0040】
【
図19】
図19は、いくつかの実施態様に基づく、マニホルドの開口内に部分的に配置されたシーリング部材を含有する細胞格納部材を示す概略図である。
【0041】
【
図20A】
図20Aは、いくつかの実施態様に基づく、マニホルドが中央に配置された単一の格納チューブを有するカプセル化デバイスを示す。
【0042】
【
図20B】
図20Bは、いくつかの実施態様に基づく、2つの格納チューブと、中央に配置されたマニホルドとを有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0043】
【
図21】
図21は、マニホルドが中央に配置された複数の格納チューブを有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0044】
【
図22】
図22は、いくつかの実施態様に基づく、組織内に移植されているカプセル化デバイス内に挿入された細胞カプセル化部材を示す概略図である。
【0045】
【
図23】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図24】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図25】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図26】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図27】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図28】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図29】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【
図30】
図23~30は、いくつかの実施態様に基づく、生体吸収性材料を含有するか、又はこれを上に有するカプセル化デバイスを示す概略図である。
【0046】
【
図31A】
図31A及びBは、いくつかの実施態様に基づく、一方の端部に設けられたアクセスポートによって接続された格納チューブを示す写真である。
【
図31B】
図31A及びBは、いくつかの実施態様に基づく、一方の端部に設けられたアクセスポートによって接続された格納チューブを示す写真である。
【0047】
【
図32A】
図32A及びBは、いくつかの実施態様に基づく、両方の端部に設けられたアクセスポートによって接続された格納チューブを示す写真である。
【
図32B】
図32A及びBは、いくつかの実施態様に基づく、両方の端部に設けられたアクセスポートによって接続された格納チューブを示す写真である。
【0048】
【
図33】
図33は、いくつかの実施態様に基づく、中央のマニホルドを備えた細胞格納デバイスを示す写真である。
【0049】
【
図34】
図34は、いくつかの実施態様に基づく、中央から外れたマニホルドを備えた細胞格納デバイスを示す写真である。
【0050】
【
図35】
図35は、いくつかの実施態様に基づく、実施例6及び9で利用されるアルミニウムモールドを示す写真である。
【0051】
【
図36】
図36は、いくつかの実施態様に基づく、実施例6に記載された方法によって形成された細胞カプセル化デバイスを示す写真である。
【0052】
【
図37】
図37は、いくつかの実施態様に基づく、実施例8,9及び10で利用されるアルミニウム鋳型を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
当業者には明らかなように、所期機能を発揮するように形成されたいかなる数の方法及び装置によっても、本開示の種々の態様を実現することができる。なお、本明細書中に言及された添付の図面は必ずしも原寸に比例しているわけではなく、本開示の種々の態様を例示するために誇張される場合もある。そしてその点において、図面は制限的なものと解釈されるべきではない。さらに、「格納チューブ(containment tube)」及び「細胞格納チューブ(cell containment tube)」という用語は本明細書中で相互交換可能に使用される。加えて、「多孔質ポリマーメンブレン(porous polymeric membrane)」及び「ポリマーメンブレン(polymeric membrane)」という用語は本明細書中で相互交換可能に使用される。また、「治療デバイス(therapeutic device)」という用語は「細胞格納部材(cell containment member)」という用語と本明細書中で相互交換可能に使用され得ることが認められる。
【0054】
本開示は、移植型カプセル化デバイスであって、生物学的部分を含有し得る少なくとも1つの格納チューブ、又は生物学的部分を含有する治療デバイスを含む移植型カプセル化デバイスに関する。治療デバイスは、細胞カプセル化デバイス、薬物送達デバイス、又は遺伝子治療デバイスを含んでよい。本明細書中に記載されたデバイスを使用したカプセル化又は移植に適した生物学的部分は、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、遺伝子治療、バクテリア、タンパク質、多糖類、抗体、及びその他の生物活性部分を含む。便宜上、本明細書では、生物学的部分を細胞と称するが、しかしこの説明におけるいかなるものも、生物学的部分を細胞又は任意の特定のタイプの細胞に制限することはなく、以下の説明は細胞ではない生物学的部分にも適用される。
【0055】
カプセル化デバイスは1つ又は複数の格納チューブを含む。1つの格納チューブを有するカプセル化デバイスの場合、カプセル化デバイスは、単一の格納チューブと、格納チューブの近位端及び遠位端の両方に位置するアクセスポートと、遠位端のアクセスポートに流体接続されたフラッシュポートと、格納チューブの近位端に取り付けられた再シール可能な(又は永久的な)キャップとを含む。フラッシュポートは再シール可能なキャップを含んでもよい。再シール可能なキャップはアクセスポートを閉鎖し且つ/又はシールするための手段として本明細書中に記載されてはいるものの、アクセスポートを閉鎖し且つ/又はシールするために、いかなる再シール可能なデバイス(例えば永久的なキャップ又は溶接されたシール)を使用してもよい。また本明細書中に使用される「アクセスポート(access port)」という用語は、流体、生物学的部分、及び/又は治療デバイスを導入及び/又は引き出すために格納チューブ内への任意の開口を含むことを意味する。
【0056】
複数の格納チューブを有するカプセル化デバイスの場合、デバイスは、デバイスの長さに沿って互いにほぼ平行な、複数の相互接続された格納チューブを含んでよい。本明細書中に使用される「ほぼ平行(substantially parallel)」という用語は、格納チューブが同一方向に延びて互いに交差することがないことを意味する。別の実施態様では、格納チューブは少なくとも一度交差し、独立して運動可能である。格納チューブは近位端にアクセスポートを有している。デバイスの部材に関して本明細書中に使用される「近位端(proximal end)」及び「遠位端(distal end)」という用語は、デバイスについて説明する便宜のために使用され、本来典型的なものであることが認められる。例えば、デバイスの近位端にあるものとして記載された部材は遠位端にも等しく採用されてよい。いくつかの実施態様では、格納チューブは、複数の層から形成されており、これらの層は個々のチューブのフープ引張強さのバランスをとり、そしてこれを増強する。別の実施態様では、チューブは積層材料から形成されている。積層材料では、強度が少なくとも部分的に、積層体を形成する材料に誘導される。少なくとも1つの実施態様では、格納チューブは独立して互いに運動可能であり、ひいてはデバイスを可撓性にし、且つ/又は組織及び/又は組織の運動に対して柔軟にする。加えて、チューブの周期的な分離は、周期的なチューブ分離を介してチューブの周りの組織内方成長を可能にし、これにより血管新生、並びに栄養及び生体分子の交換のための有効デバイス表面積を改善することができる。格納チューブは、体内のデバイス設置面積に対して血管新生のために利用可能な表面積を最大化する。例えば、格納チューブは、設置面積を広くすることなしに、z方向を活用する。加えて、周囲又は遠位側のシールに基づき、使用不可能な表面はほとんどない。いくつかの実施態様では、格納チューブは、治療を必要とする個体に治療物質を提供する少なくとも1つの治療デバイスを収納するように形成されている。他の実施態様では、格納チューブは、細胞を直接に(すなわち治療デバイスなしに)収納するように形成されている。いくつかの実施態様では、細胞はマイクロカプセル化されてよい。例えば、細胞は、一例としてヒドロゲル生体材料を含む、天然起源又は合成起源の生体材料内部でマイクロカプセル化されてよい。加えて、格納チューブは流体接続されてよく、これにより、1つの格納チューブ内へ細胞を挿入すると、細胞は別の格納チューブ内へ流入することができ、或いは、格納チューブから治療デバイスを取り外すために流体流を用いることもできる。他の実施態様では、格納チューブは三次元的に積み重ねることができ、或いは、軸外相互接続部材によるほぼ平面状の配列を有することができる。
【0057】
カプセル化デバイスは、格納チューブの一方又は両方の端部に取り付けられた、取り外し可能又は取り外し不能の(例えば永久的な)マニホルドを含んでいてもよい。なお、本明細書中に記載されたマニホルド、キャップ、及びシールは、具体的な状況に応じて取り外し可能であるか、又は取り外し不能であってよい。いくつかの実施態様では、マニホルドにはチューブを介してフラッシュポートが流体接続されている。このチューブの長さは、ほぼ格納チューブの長さであってよい。フラッシュポート及びマニホルドを介して格納チューブの遠位端内へ流体を導入することにより、格納チューブの近位端から1つ又は2つ以上の治療デバイスを排出するか又は取り出すのを助けることができる。別の実施態様では、カプセル化デバイスは一つ又は複数の格納チューブと、格納チューブの遠位端と近位端との間の地点(例えば中央、又は所定の距離だけ中央から外れた地点)に配置されたマニホルドとを含む。マニホルドは任意には、一つ又は複数の治療デバイス又は細胞を格納チューブの遠位端及び/又は近位端へ向かって導く分割部材を含む。一つ又は複数の格納チューブは、治療物質を提供する一つ又は複数の治療デバイスを収納するように形成されていてよい。他の実施態様では、一つ又は複数の格納チューブは、細胞を直接に収納するように形成されている。
【0058】
本明細書中に記載されたカプセル化デバイスは、1つ又は2つ以上の格納チューブ内へ治療デバイス又は細胞を挿入する前、又は挿入した後に患者に埋め込まれてよい。例えば、カプセル化デバイスを患者内へ挿入して血管新生させておくことにより、血管組織が格納チューブの血管新生層内へ内方成長することができる。次いで、細胞又は治療デバイスを格納チューブに生体内(in vivo)で付加することができる。或いは、カプセル化デバイスを患者の組織床内へ挿入する前に、格納チューブ内部に治療デバイス又は細胞を入れることもできる。本明細書中に記載されたカプセル化デバイスは、例えば患者が寛解しもはやデバイスを必要としない場合、或いは重篤な免疫学的反応のような他の理由からデバイスを取り出すことが必要となった場合に患者から移植片除去(explantation)又は取り外しを行うこともできる。このような場合には新しいカプセル化デバイスを移植することができる。
【0059】
I. 細胞格納部材
いくつかの実施態様では、治療を必要とする個体に治療物質を提供するために、治療デバイス、例えば細胞格納部材が移植される。「治療デバイス(therapeutic device)」という用語は、本明細書中では「細胞格納部材(cell containment member)」という用語と相互交換可能に使用することができることが認められる。細胞格納部材は、患者内の移植にとって実用的な形状を維持しながら、環境と接触している透過性メンブレンに近接した細胞の比率を最大化するように構成されている。
図1A及び1Bに示されているように、このことは細胞格納部材100によって達成することができる。細胞格納部材100は、透過性メンブレン110によって取り囲まれたコア105を含んでいる。コア105の外面と透過性メンブレン110の内面との間の空間は、細胞115が含有され得る境界ゾーンを画定している。いくつかの実施態様では、細胞はマイクロカプセル化されてよい。細胞は、一例としてヒドロゲル生体材料を含む、天然起源又は合成起源の生体材料内部でマイクロカプセル化されてよい。コア105の外面と透過性メンブレン110の内面との間の最大距離は、含有される細胞115の生存及び機能に適した条件を提供するのに充分に狭い。これにより、含有される細胞115の大部分の生存能力が維持される。具体的には、細胞格納部材100内部に含有される細胞115は、細胞格納部材100外部の環境から栄養及び他の生体分子を得、そして老廃物及び治療物質を、透過性メンブレン110を通して細胞格納部材110外部へ駆出することができる。細胞の生存を保証するのに適した距離は、30ミクロン~約1,000ミクロン、約40ミクロン~約900ミクロン、約50ミクロン~約800ミクロン、又は約40ミクロン~約700ミクロンを含む。
【0060】
細胞格納部材100の中心から細胞を押し退けるように作用するものであれば、いかなる材料もコア105の材料として使用するのに適している。例えば、好適なコア材料の一例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、又は多糖類から誘導されたヒドロゲル、アルギネート、加水分解ポリアクリロニトリル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施態様では、コアは可撓性のポリマー又はエラストマーである。他の実施態様では、コアは、多糖類、ポリアクリロニトリルの親水性コポリマー、ポリアクリロニトリルとアクリルアミドとのコポリマー、及び/又は他の無孔質ポリマーから製造されてよい。
【0061】
透過性メンブレンは、適切な透過特性を有する任意の生体適合性材料から製造されてよい。透過性メンブレンは、細胞栄養、生体分子、老廃物、及びデバイス内部に含有された細胞によって分泌された治療物質の通過を許す一方で、細胞カプセル化デバイスの外部にある細胞の通過を許さない透過特性を有している。好適な選択的透過性及び/又は多孔質特性を有するポリマーの一例としては、アルギネート、セルロースアセテート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、パンビニルポリマー(panvinyl polymers)、例えばポリビニルアルコール、キトサン、ポリアクリレート、例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、例えばポリエチレン-コ-アクリル酸、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、改質ポリテトラフルオロエチレンポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、多孔質ポリアルキレン、例えば多孔質ポリプロピレン、及び多孔質ポリエチレン、多孔質ポリビニリデンフルオリド、多孔質ポリエステルスルホン(PES)、多孔質ポリウレタン、多孔質ポリエステル、多孔質PPX(ePPX)、多孔質超高分子量ポリエチレン(eUHMWPE)、多孔質エチレンテトラフルオロエチレン(eETFE)、多孔質ビニリデンフルオリド(eVDF)、多孔質ポリ乳酸(ePLLA)、及びこれらのコポリマー及び組み合わせ、並びに繊維又は糸の製織又は不織収集物、又は繊維マトリックスが、単独又は組み合わせの形で挙げられる。
【0062】
本明細書中に記載された細胞格納部材及び格納チューブとともに、種々のタイプの原核細胞又は真核細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞、及び幹細胞を使用することができる。いくつかの実施態様では、細胞は一例としてヒドロゲル生体材料を含む、天然起源又は合成起源の生体材料内部でマイクロカプセル化されてよい。いくつかの実施態様では、細胞は治療上有用な物質を分泌する。このような治療上有用な物質は、ホルモン、成長因子、栄養成長因子、神経伝達物質、リンホカイン、抗体、又は治療上の有用性をデバイスレシピエントに提供する他の細胞生成物を含む。このような治療細胞生成物の一例としては、インスリン、成長因子、インターロイキン、副甲状腺ホルモン、エリトロポエチン、トランスフェリン、及びファクターVIIIが挙げられる。好適な成長因子の一例としては、血管内皮成長因子、血小板由来成長因子、血小板活性化因子、形質転換成長因子、骨形成タンパク質、アクチビン、インヒビン、線維芽細胞成長因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、グリア細胞株由来神経栄養因子、増殖分化因子9、上皮成長因子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
II 格納チューブ
図2は、模範的な移植型格納チューブ200を示している。移植型格納チューブ200は、第1アクセスポート215と、第2アクセスポート225と、格納チューブ200の外側を形成する透過性メンブレン205と、格納チューブ200を通って延びるルーメン210とを含む。いくつかの実施態様では、格納チューブ200は可撓性チューブである。可撓性チューブは、治療を必要とする個体に治療物質を提供する1つ又は2つ以上の治療デバイスを受容するように構成されている。本開示のいくつかの態様によれば、格納チューブ200の断面形状は、格納チューブ200が収容されることになっている治療デバイス(例えば細胞格納部材)の形状と少なくとも部分的に一致するか又はほぼ一致する。一例としては、格納チューブ200の断面は円形、卵形、又は楕円形である。本明細書中に開示された実施態様では、格納チューブの内径は、約100ミクロン~約5mm、約150ミクロン~約4.5mm、約200ミクロン~約4mm、又は約250ミクロン~約3.5mmであってよい。複数の格納チューブが利用されるいくつかの実施態様では、格納チューブは約0.1ミクロン~約3mm、約5ミクロン~約2.5mm、約10ミクロン~約2mm、約25ミクロン~約1.5mm、又は約50ミクロン~約1mmの距離だけ互いに分離されていてよい。なお、本明細書中に記載された全ての範囲は本来典型的なものであり、これらの間のあらゆる値を含む。
【0064】
いくつかの実施態様では、格納チューブ200は細胞を直接に(例えば治療デバイスの存在なしに)受容するように形成された可撓性チューブである。格納チューブ200は、患者内の移植にとって実用的な形状を維持しながら、環境と接触している透過性メンブレン205に近接した細胞の数を最大化するように構成されている。ルーメン210は細胞を含有することができる領域を画定する。加えて、ルーメン210は、含有される細胞の生存及び機能に適した条件を提供する。細胞の生存を保証するのに適した距離は、約30ミクロン~約1,000ミクロン、約40ミクロン~約900ミクロン、約50ミクロン~約800ミクロン、又は約40ミクロン~約700ミクロンを含んでよい。例えば、格納チューブ200のルーメン210内部に含有された細胞は、格納チューブ200外部の環境から栄養及び他の生体分子を得、そして老廃物及び治療物質を、透過性メンブレン205を通して格納チューブ200外部へ駆出することができる。
【0065】
所定の直径範囲全体にわたって格納チューブ200を容易に形成することができ、これにより、格納チューブを使用して細胞の生存及び機能を保証しつつ様々な形状及びサイズの細胞及び/又は治療デバイスを収納し得る点において、格納チューブ200はスケーラビリティを有する。格納チューブ200内部に含有された細胞の生存及び機能に条件が適したものであることを保証するために、格納チューブ200の直径は、栄養及びその他の生体分子がチューブ200の中心に達し得るのに充分に小さく形成されており、或いは、格納チューブ200の中心部分が細胞押し退け部材を含有し、これにより押し退け部材と格納チューブ200の壁との間の最大距離は、大部分の細胞の生存能力が維持されるような大きさになっている。いくつかの実施態様では、細胞は媒質中の懸濁液又はスラリーの形態で、格納チューブ200内へ導入される。細胞は個々の細胞、細胞凝集体、又は細胞クラスターであってよい。一例としては、媒質は細胞培地又は細胞成長培地であってよく、任意には所望の影響及びその他の生体分子を含む。いくつかの実施態様では、格納チューブ内への細胞の挿入はシリンジを使用して達成することができる。
【0066】
いくつかの実施態様では、格納チューブ200の透過性メンブレン205は、選択的な篩過特性及び/又は多孔質特性を有する多孔質ポリマー材料から形成されている。多孔質ポリマー材料は、例えば溶質、生化学物質、ウイルス、及び細胞が、主としてサイズに基づいて材料を通過するのを制御する。本明細書中に記載された格納チューブの構造に有用な、好適な選択的透過性及び/又は多孔質特性を有する多孔質ポリマー材料の一例としては、アルギネート、セルロースアセテート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、パンビニルポリマー、例えばポリビニルアルコール、キトサン、ポリアクリレート、例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、例えばポリエチレン-コ-アクリル酸、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、改質ポリテトラフルオロエチレンポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、多孔質ポリアルキレン、例えば多孔質ポリプロピレン、及び多孔質ポリエチレン、多孔質ポリビニリデンフルオリド、多孔質ポリエステルスルホン(PES)、多孔質ポリウレタン、多孔質ポリエステル、及びこれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。他の実施態様では、外側多孔質層として有用な材料は生体材料テキスタイルを含む。
【0067】
いくつかの実施態様では、多孔質ポリマー材料は生体吸収性材料であってよい。或いは、多孔質ポリマー材料は、生体吸収性材料で塗布されていてよく、又は生体吸収性材料が粉末の形態を成して多孔質ポリマー材料中又は多孔質ポリマー材料上に組み込まれてもよい。塗布された材料は、感染部位低減、血管新生、及び好ましい1型コラーゲンの堆積を促進することができる。本明細書中に記載された多孔質ポリマー材料は、当業者に知られているいかなる生体吸収性材料を含んでもよい。一例としては、ポリグリコリド:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)、ポリアルファヒドロキシ酸、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(グリコリド)、及びポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-コ-バレレート)、及びこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。
【0068】
いくつかの実施態様では、生体吸収性材料は、種々異なるレベルの活性酸素種(ROS)を体内に発生させる能力を有していてよい。ROSは、例えば細胞の増殖、分化、移動、アポトーシス、及び血管新生の阻害又は促進を含む、体内の種々の細胞応答を促進することが判っている。ROS生成材料は、Brown他の米国特許第9,259,435号明細書に教示された内容に従って形成することができる。
【0069】
透過性メンブレン205がその厚さの一部を通してのみ多孔質である実施態様の場合、多孔質メンブレン205の分画分子量、又は篩過特性は表面で始まる。結果としてある特定の溶質及び/又は細胞は、一方の側から入って材料の孔空間を通って他方の側へ通過することはない。
図3は、本明細書中に記載された格納チューブにおいて有用な多孔質ポリマー材料300を示す断面図である。ここでは多孔質ポリマー材料300の選択的透過性が、細胞305がポリマー材料300の孔空間内へ移動又は成長するのを許さないのに対して、溶質310の双方向流束がポリマー材料300の厚さを横切るのを許す。血管内皮細胞は合体することによりポリマー材料上に毛管を形成することができる。格納チューブのポリマー材料300のこのような毛管形成又は新血管形成は、患者の組織と治療デバイスの内容物との間の流体及び溶質流束が増強されるのを許す。
【0070】
いくつかの実施態様では、ポリマー材料の透過性は、ポリマー材料の厚さにわたって連続的に変化させることができる。
図4は、本明細書中に記載された格納チューブに有用な多孔質ポリマー材料400を示す断面図である。ここではポリマー材料400の選択的透過性は、図面におけるスティップリングの密度を徐々に増大させることによって示されているように、材料の厚さにわたって連続的に変化する。いくつかの実施態様では、多孔質ポリマー材料400の透過性は、成層構造を形成するために、材料の1つの断面領域から別の断面領域へ向かって変化させられる。
図5は、本明細書中に記載された格納チューブに有用なポリマー材料500を示す断面図である。ここではポリマー材料500の選択的透過性は、図面におけるスティップリングの密度を増大させることによって示されているように、材料の厚さにわたって変化する。
【0071】
いくつかの実施態様では、多孔質ポリマー材料の透過性は、多孔質ポリマー材料付加層と一緒にその厚さにわたって変化させられる。
図6は、本明細書中に記載された格納チューブに有用な多孔質ポリマー材料600を示す断面図である。ここではポリマー材料600の選択的透過性は、1つ又は2つ以上の多孔質ポリマー材料付加層605を有するポリマー材料600の厚さにわたって変化させられる。多孔質ポリマー材料付加層605は多孔質ポリマー材料初期層600と同じ組成及び透過性を有してよく、或いは、1つ又は2つ以上の付加層605は異なる組成及び/又は透過性を有してもよい。
【0072】
別の実施態様の場合、多孔質ポリマー材料の選択的透過性は、多孔質ポリマー材料のボイド空間をヒドロゲル材料で含浸することにより変化させられる。多孔質ポリマー材料のボイド空間(例えば多孔質メンブレンの孔)の全て又はほぼ全てに、又はボイド空間の一部だけにヒドロゲル材料を含浸することができる。例えば多孔質ポリマー材料の内面に隣接する且つ/又は内面に沿ったポリマー材料内部の連続した帯の形態で、多孔質ポリマー材料をヒドロゲル材料で含浸することにより、多孔質ポリマー材料の選択的透過性は多孔質ポリマー材料の外側断面領域から多孔質ポリマー材料の内側断面領域へ向かって変化させられる。
図7は、本明細書中に記載された格納チューブに有用な多孔質ポリマー材料700を示す断面図である。ここではポリマー材料700の選択的透過性は、ヒドロゲル材料710を有するポリマー材料700の厚さ705にわたって変化させられる。
【0073】
多孔質ポリマー材料中に含浸されるヒドロゲル材料の量及び組成は、装置を構成するために使用される具体的な多孔質ポリマー材料、所与の用途のために必要とされる透過度、及びヒドロゲル材料の生体適合性に大部分が依存する。本発明において使用するのに有用なヒドロゲル材料の一例としては、加水分解ポリアクリロニトリル、アルギネート、アガロース、カラギナン、コラーゲン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、フィブリン-トロンビンゲル、又はジェランガム、及びこれらのコポリマーが、単独又は組み合わせの形で挙げられる。本発明のある特定の態様の場合、延伸PTFE/ヒドロゲル複合材料の総厚は約2μm~約1000μmであってよい。
【0074】
さらに他の実施態様では、多孔質ポリマー材料の透過性は、多孔質ポリマー材料付加層及びさらなるヒドロゲル材料層を有するポリマー材料の厚さにわたって変化させることができる。
図8は、本明細書中に記載された格納チューブに有用な多孔質ポリマー材料800を示す断面図である。ここではポリマー材料800の選択的透過性は、多孔質ポリマー材料付加層810及びさらなるヒドロゲル材料層815を有するポリマー材料800の厚さ805にわたって変化させられる。この実施態様の利点は、本明細書中に記載された故障した格納チューブ又は細胞格納部材からの細胞によって汚染されることから、移植片を施された患者が付加的に保護されることである。加えて、このような形態は、強い細胞・液性免疫分離バリアを提供することになる。
【0075】
いくつかの実施態様では、多孔質ポリマー材料の透過性は、患者からの細胞が、ポリマー材料を貫通するのではなくポリマー材料中へ成長するのを許すように選択される。1つ又は2つ以上の実施態様では、細胞透過性ゾーンが、多孔質ポリマー材料のボイド空間内に形成される。ボイド空間はポリマー材料の外面で始まって、細胞格納チューブの内面に隣接するポリマー材料内部の地点まで続く。ここでは、多孔質ポリマー材料の透過性は減少するので、ポリマー材料のボイド空間内へ移動した細胞はさらに移動してポリマー材料の内面を貫通することはできない。
図9は、本明細書中に記載された格納チューブに有用な多孔質ポリマー材料900を示す断面図である。ここではポリマー材料900は細胞透過性ゾーン905を含む。細胞透過性ゾーン905は、ポリマー材料900の外面910で始まって、ポリマー材料900の厚さを横切って、ポリマー材料900の内面920に隣接する、そしてこれに連続するポリマー材料900内部の細胞排除ゾーン915まで続く。
【0076】
細胞が移動又は成長することができない多孔質ポリマー材料の領域は、細胞排除ゾーンと呼ばれ、細胞の内方成長を遮ることができる。細胞排除ゾーンは侵入性細胞が格納チューブのルーメンに入り、格納チューブ内部に含有された治療デバイス又は細胞と接触し、これに付着し、これを汚損し、内方成長し、上方成長し、又は他の形で治療デバイス又は細胞を妨害することを防止又は最小化する。侵入する宿主細胞が貫通して格納チューブの内面まで成長する可能性を排除するために、細胞排除ゾーンの孔径は、ポロメトリーによって測定して、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満、約0.5ミクロン未満であってよい。いくつかの実施態様では、ポリマー材料の透過性はヒドロゲル材料によって調節することができる。
【0077】
いくつかの実施態様では、透過性メンブレンは、外側多孔質ポリマー層と、外側多孔質ポリマー層に隣接して配置された内側多孔質ポリマー層とを含む複合材料又は積層体である。内側及び外側多孔質ポリマー層は、異なる有孔率を有しており、そして同じ材料又は異なる材料を含むか、又はこれらの材料から形成されていてよい。いくつかの実施態様では、内側多孔質層の有孔率は外側多孔質層の有孔率よりも低い。内側多孔質ポリマー層の部分は、格納チューブの内面を形成している。
【0078】
内側多孔質ポリマー層は細胞又は血管の内方成長を遮り、細胞保持層又はタイト層(tight layer)と呼ばれることがある。いくつかの実施態様の場合、ポロメトリーによって測定して、内側多孔質層の平均孔径は約5ミクロン未満、約1ミクロン未満、又は約0.5ミクロン未満である。いくつかの実施態様の場合、孔は細胞の内方成長に抵抗するが、しかし巨大分子を選択的に通すことができる。
【0079】
外側多孔質層の平均孔径は、患者の血管組織が外側多孔質ポリマー層の孔内へ内方成長するのを許すのに充分に大きい。この層は血管新生層又はオープン層と呼ばれることがある。いくつかの実施態様では、外側多孔質ポリマー層の孔径は、ポロメトリーによって測定して約5.0ミクロンよりも大きい。外側多孔質層を通る血管組織の内方成長は栄養及び他の生体分子が身体から、格納チューブ内にカプセル化された細胞へ移行するのを促進する。
【0080】
任意には、格納チューブは外側多孔質ポリマー材料だけを含んでよく、或いは、複数の多孔質ポリマー材料から形成された積層体を含んでもよい。積層体の場合、各多孔質ポリマー材料は、患者の血管組織がポリマー材料の孔内へ内方成長するのに充分な有孔率を有している。このようなものとして、血管組織の成長は、格納チューブを形成する一つ又は複数のポリマー材料の厚さ全体を通して許される。
【0081】
種々のタイプの細胞が、本明細書中に記載された格納チューブの多孔質ポリマー材料から成る血管新生(オープン)層の細胞透過性ゾーン内へ内方成長することができる。特定の多孔質ポリマー材料内へ内方成長する主要な細胞タイプは、主として移植部位、材料の組成及び透過性、並びに、例えば材料中に組み込むか、又は格納チューブを通して導入することができる任意の生物学的因子、例えばサイトカイン及び/又は細胞接着分子に依存する。いくつかの実施態様では、格納チューブ内で使用するための多孔質ポリマー材料内へ内方成長する主要な細胞タイプは、血管内皮である。患者の組織から材料の厚さ内へそして厚さを横切って(しかし細胞排除ゾーン又は細胞保持(又はタイト)層は横切らない)、装置の内面に極めて近接して材料に新血管形成が生じる結果として、毛管網の形態を成す充分に確立された血管内皮細胞群による多孔質ポリマー材料の血管新生が促される。
【0082】
図10は、本明細書中に記載された格納チューブに有用な多孔質ポリマー材料1000を示す断面図である。ここではポリマー材料1000は、細胞透過性ゾーン1005を含む。細胞透過性ゾーン1005は、ポリマー材料1000の外面1010で始まって、ポリマー材料1000の厚さを横切って、ポリマー材料1000の内面1020に隣接する、そしてこれに連続するポリマー材料1000内部の細胞排除ゾーン1015まで続く。細胞透過性ゾーン1005には血管構造1025が集まっている。血管新生は、格納チューブの血管新生を促すために使用し得る生物学的因子及び/又は血管新生因子を添加することなしに発生することができる。加えて、血管新生は低酸素状態のような条件によって刺激することができる。格納チューブの新血管形成は、格納チューブの内面と患者の組織との間の治療薬又は生化学物質の物質輸送を改善し、これにより、格納チューブ内に収納された治療デバイスの内容物と患者の組織との間の治療薬又は生化学物質の輸送量及び輸送速度を増強する。
【0083】
いくつかの実施態様では、カプセル化デバイスはその最終形態と類似の形態又は非類似の形態で患者内へ移植されるが、しかしカプセル化デバイスがその最終形状を成すために、移植済のカプセル化デバイスの何らかの移動が発生することがある。本明細書中に記載された格納チューブの細胞透過性ゾーンの血管新生及び他の組織の内方成長は、カプセル化デバイスを移植部位に固着させることができる。しかしながら、デバイスの形状変化は、移植直後に、そして顕著な血管新生及び他の組織成長が生じる前に発生するため、この固着は、カプセル化デバイスの一次形状への変化を阻むことはない。形状変化は、形状記憶部材、又は格納チューブの端部に接合したマニホルドによって加えられた大きな力の結果であり得る。固着は、カプセル化デバイスが時間とともに移植部位から動くのを最小化又は防止し、そしてひとたび充分な固着が行われたら、カプセル化デバイスがその形状を維持するのを助けることができる。本明細書に記載された格納チューブの形状を維持することは、容易な留置、交換、及びカプセル化デバイス内部の一つ又は複数の細胞格納チューブ内に含有された細胞の適切な機能にとってしばしば必要である。
【0084】
いくつかの実施態様では、格納チューブは成形部材を含む。成形部材は、組織床内で格納チューブを柔軟構造、例えば湾曲形状又は波状形状、例えばほぼトロイダル形態に誘導するように形成することができる。いくつかの実施態様では、成形部材は、移植中及びこれに続く使用中に格納チューブを所望の形状に保持してもよい。有用な成形部材の一例としては、巻き体、ストリップ、スプライン、ステント、及びこれらの組み合わせが挙げられる。成形部材は、格納チューブのコンジットの外面上、コンジットの層間、又はコンジットの内面に沿って設けられていてよい。1つの実施態様では、成形部材は、挿入に好都合な任意の形態で格納チューブを挿入する能力を提供し、そして挿入されたら、格納チューブは独立して好ましい使用時形態を成す。別の実施態様では、成形部材は使用中に好ましい形態で格納チューブを保持し、これにより治療デバイスを容易に格納チューブから取り外し、且つ格納チューブ内へ挿入することができる。
【0085】
いくつかの実施態様では、成形部材は、形状記憶材料又は形状記憶材料から形成された構造を含む。有用な形状記憶材料の一例としては、形状記憶合金、例えばニチノール、及び形状記憶ポリマー、例えばポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリ-アルファ-ヒドロキシ酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリグリコール、ポリラクチド、ポリオルトエステル、ポリホスフェート、オリオキサエステル、ポリホスホエステル、ポリホスホネート、多糖類、ポリチロシンカーボネート、ポリウレタン、プレポリマー法によって形成されたイオン成分又はメソゲン成分を含むポリウレタン、及びこれらのコポリマー又はポリマーブレンドが挙げられる。他のブロックコポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンオキシド(PEO)とのブロックコポリマー、ポリスチレンとポリ(1,4-ブタジエン)とを含有するブロックコポリマー、及びポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)とポリテトラヒドロフランとから形成されたABAトリブロックコポリマーも形状記憶効果を示す。形状記憶合金の一例としては、銅-アルミニウム-ニッケル、銅-亜鉛-アルミニウム、及び鉄-マンガン-ケイ素合金が挙げられる。格納チューブを使用時に所望の(予め決められた)形態に誘導することに加えて、形状記憶部材は移植を容易にする。このことには、移植中の格納チューブのプロファイルのいかなる変化をも容易にすることが含まれる。
【0086】
本明細書中に記載された格納チューブを構成するために使用される材料の多くは本質的に放射線不透過性である。本質的に放射線不透過性でない材料は、例えばバリウムで材料を含浸することによって放射線不透過性となるように改質することができる。材料を放射線不透過性にするための他の有用な方法は当業者に知られている。本明細書中に記載された格納チューブを構成するために使用される材料の放射線不透過性は主に、格納チューブの外科的配置を容易にするために、又は移植に続いて患者内の格納チューブの位置を確認するために用いられる。
【0087】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された格納チューブは、細胞を含有するための一貫した円筒形断面、又はほぼ円筒形に成形された治療デバイス(例えば細胞格納部材)を維持する。いくつかの管状実施態様では、チューブの開いた端部をステントによって圧潰を防止することができる。ステントは任意の形状を成すことができ、貯蔵中及び/又は移植後に、管状格納チューブの全て又は部分を開いた又は拡張した管状形態に保つのに有用な任意の生体適合性材料から形成することができる。ステントに有用な材料の一例としては、ステンレス鋼、チタン、及びヒドロゲルが挙げられる。治療デバイス(例えば細胞格納部材)が挿入されていないとき、又は細胞が存在しないときに格納チューブを拡張形態に維持するために、治療デバイスの形状及びレジリエンスを模倣する不活性コアを格納チューブ内に配置することができる。治療デバイス又は細胞を1つ又は2つ以上の格納チューブ内へ挿入する前又は挿入した後に、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスを患者内へ埋め込むことができる。例えば、カプセル化デバイスを患者内へ挿入して血管新生させておくことにより、血管組織が格納チューブの血管新生層内へ内方成長することができる。次いで、細胞又は治療デバイスを格納チューブに生体内(in vivo)で付加することができる。或いは、カプセル化デバイスを患者の組織床内へ挿入する前に、格納チューブ内部に治療デバイス又は細胞を入れることもできる。
【0088】
III. 1つの格納チューブを備えたカプセル化デバイス
図11Aは、少なくとも1つの実施態様に基づく単一の格納チューブ1105を含有するカプセル化デバイス1100を示している。カプセル化デバイス1100は、格納チューブ1105と、近位端1115に設けられた第1アクセスポート1150と、遠位端1110に設けられた第2アクセスポート1140と、チューブ1135を介して第2アクセスポート1140に流体接続されたフラッシュポート1120と、接続部材1130とを含んでいてよい。格納チューブ1105の近位端1115には再シール可能なキャップ1125が取り付けられていてよい。フラッシュポート1120は再シール可能なキャップ1160を含んでいてもよい。再シール可能なキャップはアクセスポートを閉鎖し且つ/又はシールするための手段として本明細書中に記載されてはいるものの、いかなる再シール可能なデバイスを使用してもよい。別の実施態様では、カプセル化デバイス1100は、遠位端1110に再シール可能なキャップ1125を有し、そして近位端1115に接続部材1130を有していてもよい(図示せず)。他の実施態様では、カプセル化デバイス1100は、近位端1115及び遠位端1110の両方に再シール可能なキャップ1125を有していてもよい(図示せず)。さらに他の実施態様では、カプセル化デバイス1100は、近位端1115及び遠位端1110の両方にフラッシュポート1120を有している(図示せず)。
【0089】
第2アクセスポート1150はアクセスポイントを提供し、このアクセスポイントを通して、格納チューブ1105のルーメン領域に対して細胞及び/又は1つ又は2つ以上の治療デバイスを出入りさせることができる。フラッシュポート1120はアクセスポイントを提供し、このアクセスポイントを通して、格納チューブ1105のルーメン領域に流体流を送達することにより、格納チューブ1105のルーメン領域を充填且つ/又はフラッシングすることができる。いくつかの実施態様では、流体流を使用して、細胞でルーメン領域を満たすことができる。他の実施態様では、流体流を使用して、格納チューブ1105のルーメン領域から、第2アクセスポート1150を通して格納チューブ1105の外部領域へ、1つ又は2つ以上の治療デバイス又は細胞を押し出すことができる。
【0090】
上述のように、フラッシュポート1120は、チューブ1135を介して格納チューブ1105と流体連通している。いくつかの実施態様では、チューブ1135は、格納チューブ1105の長さとほぼ等しい、例えば1cm以内の長さを有する生体適合性材料から構成されているので、カプセル化デバイス1100が患者内に埋め込まれると、再シール可能なキャップ1160を備えたチューブ1135の近位端は、格納チューブ1105の近位端1115の近くに又はこれと隣接して(且つ/又はカプセル化デバイス1100の近位端の近くに)位置する。カプセル化デバイス1100が格納チューブ1105の近位端1115及び遠位端1110の両方にフラッシュポートを有する実施態様の場合、格納チューブの近位端又は遠位端のアクセスポートを使用してアクセスポイントを提供し、このアクセスポイントを通して、格納チューブのルーメン領域に対して細胞及び/又は1つ又は2つ以上の治療デバイスを出入りさせることができる(図示せず)。格納チューブ1105は、細胞保持層と血管新生層とを有する複合材料で構成されていてよい。
【0091】
再シール可能なキャップ1125,1160及び接続部材1130は、格納チューブ1105を形成する多孔質ポリマー材料に固定されている。商業的に利用可能な取り付け具、例えばルアーロックコネクタを再シール可能なキャップ1125,1160として使用することもできる。いくつかの実施態様では、1つ又は2つ以上の再シール可能なキャップ1125,1160及び/又は接続部材1130は、中空円筒形接続部材である。中空円筒形接続部材は、格納チューブ1105の端部の内側にぴたりと嵌まる第1部分と、シーリング部材を受容して保持するために格納チューブ1105の端部を超えて延びる第2部分とを有している。いくつかの実施態様では、再シール可能なキャップ1125,1160及び/又は接続部材1130は、当業者に知られている技術を用いて、格納チューブ1105の端部上に取り付け具を射出成形することにより製作することができる。いくつかの実施態様では、再シール可能なキャップ1125は、格納チューブ1105内の穴であって、この穴を覆って閉じるように、多孔質ポリマー材料から成る1つ又は2つ以上の可撓性ピース又はフラップが配置されている。フラップはカプセル化デバイス1100の部分として形成されていてよく、或いは、カプセル化デバイス1100の構築に続いてカプセル化デバイス1100に取り付けられてもよい。
【0092】
再シール可能なキャップ1125,1160及び/又は接続部材1130は、シールによって繰り返し開閉することができる。本明細書中に使用されるシールの一例としては、キャップ、プラグ、クランプ、圧縮リング、又は弁が挙げられる。シールは摩擦によって、締め付けによって、又はねじ山と溝とから成るねじによって、再シール可能なキャップ1125,1160及び接続部材1130に取り付けられてよい。カプセル化デバイス1100の所期の用途に応じて、キャップ1125,1160及び接続部材1130は、気密シール、流体密シール、又は非流体密シールを形成するようにシールされる。患者内の生涯にわたる又は長期(例えば少なくとも約3週間)にわたる移植のために意図されるカプセル化デバイス1100は、気密シール又は流体密シールでシールされてよい。
【0093】
フラッシュポート1120及びチューブ1135は、格納チューブ1105のルーメン領域の充填及びフラッシングを容易にするのに適した任意の形状を有していてよい。いくつかの実施態様では、フラッシュポート1120及びチューブ1135は、細胞格納チューブ1105と同じ水平方向平面内で整列されている(
図11Aに示されている)。いくつかの実施態様では、チューブ1135はエルボー又は角度(例えば30°、45°、又は90°)を有してよく、これによりチューブ1135及びフラッシュポート1120は細胞格納チューブ1105の水平方向平面を通って延びるようになっている(図示せず)。
【0094】
いくつかの実施態様によれば、格納チューブ1105内部に治療デバイス(例えば細胞格納部材)が収納されてよい。いくつかの実施態様では、治療デバイスは、再シール可能なキャップ1125又は接続部材1130の界面でシールするように構成されている。いくつかの実施態様では、治療デバイスは把持構造(例えばタブ)を含み、これにより臨床医は把持構造を保持することによって治療デバイスを保持し、又は格納チューブ内部から操作(例えば挿入又は取り外し)することができる。加えて、治療デバイスは再シール可能なキャップ1125又は接続部材1130に対してシールによって繰り返し着脱することができるので、治療デバイスを格納チューブ1105に挿入し、これから回収することができる。いくつかの実施態様では、治療デバイスは取り外され、そして新しい治療デバイスが挿入される。治療デバイスだけが取り外し可能なのではなく、カプセル化デバイス1100も取り外すことができることが認められる。
【0095】
図11Bは、近位端1115に単一アクセスポート1150を有し、そして遠位端1110に永久キャップ1145(又はシール)を有する格納チューブ1105を示している。
図11Bに示された実施態様では、再シール可能なキャップ1125は、使用していないときにアクセスポート1150を閉鎖又はシールするために使用される。いくつかの実施態様では、格納チューブ1105の遠位端1110は、格納チューブの単に閉じられた端部である(ひいては端部をシールすることを必要とされるキャップはない)。上記実施態様と同様に、治療デバイスを格納チューブ1105内部に収納することができ、アクセスポート1150を通してチューブ1105内に挿入することができる。加えて、治療デバイスはアクセスポート1150を介して格納チューブ1105からアクセス且つ/又は回収することができる。
【0096】
IV. 複数の格納チューブを備えたカプセル化デバイス
図12Aは、少なくとも1つの実施態様に基づく、複数の格納チューブを含有するカプセル化デバイスを示している。図示のように、カプセル化デバイス1200は複数の相互接続された格納チューブ1205を含む。格納チューブはデバイス1200の長さに沿って互いにほぼ平行である。それぞれの格納チューブ1205は、近位端1210に設けられた第1アクセスポート1270と、遠位端1215に設けられた第2アクセスポート1280とを有している。第2アクセスポート1280には、格納チューブ1205の遠位端をシールするために再シール可能なキャップ1250が設けられていてよい。図示されてはいないものの、格納チューブ1205の近位端をシールするために再シール可能なキャップが第1アクセスポート1270に装着されていてもよい。格納チューブ1205はこれらの近位端の接続部材1260のところで相互接続されてよい。接続部材1260は、格納チューブ1205を形成する一つ又は複数の多孔質ポリマー材料から形成されていてよく、或いは異なるポリマー材料及び/又は他の生体適合性材料から形成されていてもよい。図示されてはいないものの、
図11Aに関連して上述したような形式で、一つ又は複数の格納チューブ1205にフラッシュポートを流体接続することにより、一つ又は複数の格納チューブ1205のルーメン領域を充填且つ/又はフラッシングすることができる。いくつかの実施態様では、一つ又は複数の治療デバイスは、一つ又は複数の格納チューブ1205から取り外され、そして新しい治療デバイスが挿入される。治療デバイスだけが取り外し可能なのではなく、カプセル化デバイス1200も取り外すことができることが認められる。
【0097】
図12Aに示された実施態様では、格納チューブ1205は独立して互いに運動可能であり、ひいてはデバイス1200を可撓性にし、且つ/又は組織及び/又は組織の運動に対して柔軟にする。格納チューブ1205は、少なくとも1つの治療デバイスを収納するように形成されていてよい。或いは、格納チューブ1205は細胞(又は他の生物学的部分)を直接に収納するように構成されていてもよい。いくつかの実施態様では、格納チューブ1205は、例えば接続部材1260によって、且つ/又はチューブ1240を介してマニホルド1235に接続されたフラッシュポート1255によって流体接続されていてよく(
図12B参照)、これにより、格納チューブ内へ挿入された細胞は別の格納チューブ内へ流入することができ、或いは流体流を格納チューブ1205に加えることにより、格納チューブから治療デバイスを取り外すことができる。いくつかの実施態様の場合、格納チューブ内へ新しい治療デバイスが挿入される。ひとたび充填されたら、マニホルド1235を取り外し、格納チューブをシールすることができる。上述のように、シールの一例としては、キャップ、プラグ、クランプ、圧縮リング、又は弁が挙げられる。なお、
図12Bに示された実施態様は、マニホルド1235を含むことにより、
図12Aの実施態様よりも柔軟性が低い(剛性がより高い)。
【0098】
図12Cを参照すると、カプセル化デバイス1200は、遠位端1210に設けられた第1アクセスポート(図示せず)及び近位端1215に設けられた第2アクセスポート(図示せず)を有する複数の格納チューブ1205と、第2アクセスポートをシールする再シール可能なポート1225と、遠位端1210の第1アクセスポートを流体接続するマニホルド1235とを含んでよい。マニホルド1235にはチューブ1240を介して、フラッシュポート1255が流体接続されていてよい。使用していないときには、再シール可能なキャップ1245がフラッシュポート1255を覆ってシールする。
【0099】
第2アクセスポートはアクセスポイントを提供し、このアクセスポイントを通して、格納チューブ1205のルーメン領域に対して1つ又は2つ以上の治療デバイス(例えば細胞格納部材)を出入りさせることができる。第1アクセスポートはアクセスポイントを提供し、このアクセスポイントを通して、格納チューブ1205のルーメン領域に流体流を送達することにより、複数の格納チューブ1205のルーメン領域を充填且つ/又はフラッシングすることができる。いくつかの実施態様では、流体流を使用して、格納チューブ1205のルーメン領域を細胞で満たし、又はルーメン領域から細胞を取り除くことができる。他の実施態様では、流体流を使用して、格納チューブ1205のルーメン領域から、シールされていない第1アクセスポートを通して格納チューブ1205の外部領域へ、1つ又は2つ以上の治療デバイス(例えば細胞格納部材)を押し出すことができる。複数の格納チューブ3105が、
図31A及びBに示されているような、カプセル化デバイス3100の一方の端部に設けられた単一アクセスポート3110によって、又は
図32A及びBに示されている、カプセル化デバイス3200の格納チューブ3205の両端部に設けられたアクセスポート3210,3220によって互いに流体接続されていてよいことが認められる。
【0100】
図12Cに戻ると、マニホルド1235は生体適合性材料から構成されており、チューブ1240及びフラッシュポート1255と流体連通している少なくとも1つの接続ポート1275を含んでいる。マニホルド1235はさらに、1つ又は2つ以上の開口を有するチャンバ(図示せず)を有しているので、マニホルド1235は第2アクセスポート及び各格納チューブ1205のルーメン領域と流体連通している。チャンバが複数の開口を含む実施態様では、マニホルド1235の各開口は、それぞれの格納チューブ1205のアクセスポートと整合する。
【0101】
いくつかの実施態様では、フラッシュポート1255及びチューブ1240は、細胞格納チューブ1205と同じ水平方向平面内で整列されていてよい(
図12Aに示されている)。他の実施態様では、チューブ1240はエルボー又は角度(例えば30°、45°、又は90°)を有してよく、これによりチューブ1240は細胞格納チューブ1205の水平方向平面を通って延びるようになっている(図示せず)。複数の格納チューブ1205はマニホルド1235の端部に個々に装着(例えば永久接着されるか又は再シール可能に)されてよく、1つの群として運動可能である。
【0102】
いくつかの実施態様では、格納チューブ1240は、格納チューブ1205の長さとほぼ等しい長さを有する生体適合性材料から構成されているので、具体的にはカプセル化デバイスが患者内に埋め込まれると、再シール可能なキャップ1245を備えた格納チューブ1240の近位端は、格納チューブ1205の近位端の近くに又はこれと隣接して(且つ/又はカプセル化デバイス1200の近位端1215に又はその近くに)位置する。いくつかの実施態様では、格納チューブ1205は、本明細書中に記載された細胞保持層と血管新生層とを有する複合材料で構成することができる。
【0103】
再シール可能なポート1225は、格納チューブ1205のルーメン領域内の1つ又は2つ以上の細胞格納部材の留置、回収、及び交換を容易にするのに適した任意の形状を有することができる。いくつかの実施態様では、再シール可能なポート1225は、中空取り付け具(例えばPTFEから成る)である。中空取り付け具は、格納チューブ1205の端部の内側にぴたりと嵌まる第1部分と、シーリング部材を受容して保持するために格納チューブ1205の端部を超えて延びる第2部分とを有している。いくつかの実施態様では、再シール可能なポート1225は、当業者に知られている技術を用いて、格納チューブ1205の端部上に取り付け具を射出成形することにより製作することができる。
【0104】
加えて、再シール可能なキャップ1225及びフラッシュポート1255は、シールによって繰り返し開閉することができる。上述のように、シールの一例としては、キャップ、プラグ、クランプ、圧縮リング、又は弁が挙げられる。シールは摩擦によって、締め付けによって、又はねじ山と溝とから成るねじによって、再シール可能なポート1225に取り付けられてよい。カプセル化デバイス1200の所期の用途に応じて、再シール可能なポート1225及び/又はフラッシュポート1255は、気密シール、流体密シール、又は非流体密シールを形成するようにシールされる。患者内の生涯にわたる又は長期(例えば少なくとも約3週間)にわたる移植のために意図されるカプセル化デバイス1200は、気密シール又は流体密シールでシールされてよい。
【0105】
図12Dに示された別の実施態様では、カプセル化デバイス1200は、遠位端の第1アクセスポートを流体接続する第1マニホルド1235と、近位端1215の第2アクセスポートを流体接続する第2マニホルド1260とを有している。第1及び第2マニホルド1235,1260はチューブ1240及びチューブ1270によって、それぞれ第1フラッシュポート1255及び第2フラッシュポート1265に流体接続されている。使用していないときには、再シール可能なキャップ1245,1270がフラッシュポート1255を覆ってシールすることができる。近位端1215又は遠位端1210のアクセスポートを使用することによりアクセスポイントを提供する。このアクセスポイントを通して、格納チューブ1205のルーメン領域に対して1つ又は2つ以上の細胞格納部材(又は他の治療デバイス)又は細胞を出入りさせることができる。
【0106】
図12E~12Gは、本明細書中に記載されたカプセル化デバイスと併せて使用し得る種々のマニホルド及びシールを示している。例えば、
図12Eに示されたカプセル化デバイス1201は、頂部接続ポート1285を有するマニホルド1280と、マニホルド1280に流体接続されるように構成された格納チューブ1205と、アクセスポート1297を含有する再シール可能なコネクタ部材1290と、再シール可能なコネクタ部材1290の近位端をシールするように形成された再シール可能なキャップ1298とを含んでいる。マニホルド1280に位置する接続ポート1285、又は再シール可能なコネクタ部材1290に位置するアクセスポート1297を使用してアクセスポイントを提供することができる。このアクセスポイントを通して、格納チューブ1205のルーメン領域に対して1つ又は2つ以上の細胞格納部材(治療デバイス)又は細胞を出入りさせることができる。
【0107】
図12Fに示されたカプセル化デバイス1202は、側部接続ポート1285を有するマニホルド1280と、マニホルド1280に流体接続されるように構成された格納チューブ1205と、再シール可能なポート1204とを含んでいる。マニホルド1280に位置する接続ポート1285、又は格納チューブ1205に位置するアクセスポート1297を使用してアクセスポイントを提供することができる。このアクセスポイントを通して、格納チューブ1205のルーメン領域に対して1つ又は2つ以上の細胞格納部材(又は他の治療デバイス)又は細胞を出入りさせることができる。
【0108】
図12Gに示されたカプセル化デバイス1203は、側部接続ポート1285及び側部接続ポート1285にチューブ1257を介して取り付けられたフラッシュポート1262を有するマニホルド1280と、マニホルド1280に流体接続されるように形成された格納チューブ1205と、格納チューブ1205の近位端1215をシールするための再シール可能なキャップ1298と、フラッシュポート1262をシールするための再シール可能なキャップ1258とを含んでいる。フラッシュポート1262、又は格納チューブ1205に位置するアクセスポート1208を使用してアクセスポイントを提供することができる。このアクセスポイントを通して、格納チューブ1205のルーメン領域に対して1つ又は2つ以上の細胞格納部材(又は他の治療デバイス)又は細胞を出入りさせることができる。いくつかの実施態様では、格納チューブと再シール可能なキャップ(図示せず)との間にコネクタ部材が配置されてよい。
【0109】
図12Hに示されたカプセル化デバイス1204は、側部接続ポート1285を有するマニホルド1280と、マニホルド1280に流体接続されるように形成された格納チューブ1205と、(再シール可能又は永久的な)コネクタ部材1290と、再シール可能なポート1204とを含んでいる。マニホルド1280に位置する接続ポート1285、又はコネクタ部材1290に位置するアクセスポート1297を使用して、アクセスポイントを提供することができる。このアクセスポイントを通して、格納チューブ1205のルーメン領域に対して1つ又は2つ以上の細胞格納部材(又は他の治療デバイス)又は細胞を出入りさせることができる。このような実施態様では、マニホルド1280を使用して、格納チューブ1205から一つ又は複数の細胞格納部材をフラッシングするための流体流を提供することができる。
【0110】
図13A,B及びCを参照すると、いくつかの実施態様において、単一ユニットとして一緒にグループ化されたいくつかの個別の格納チューブ1305から、カプセル化デバイス1300を構成することができる。個別の格納チューブ1305は互いに流体的又は物理的に接続されてもされなくてもよい。いくつかの実施態様では、格納チューブは接続部材を通して互いに接続されている。
図13C及びDに写真で示されているように、格納チューブ1305は接続部材1375によって互いに接続されていてよく、これらの接続部材は、格納チューブ1305の長さに沿って互いに距離1320だけ周期的に間隔を置いて設けられている。この距離1320は接続部材1375間で同じであっても異なっていてもよい。このように、周期的な間隔は規則的なパターンを有していても(例えば接続部材間の距離が同じ)、不規則的なパターンを有していても(例えば接続部材間の距離が異なる)よい。
図13C及びDは、接続部材1375を視覚化するためにここに含まれているのであって、さらなる調製によって、格納チューブ1305に一つ又は複数のマニホルド、一つ又は複数の再シール可能なポート、一つ又は複数のフラッシュポート、再シール可能なキャップなどを加えてもよいことが認められる。
【0111】
接続部材1375によって格納チューブ1305が取り付けられることにより、細胞カプセル化デバイスは接続部材1375の間に可撓性を有することができると同時に、移植中に安定性が得られるようになる。加えて、接続部材1375の間で格納チューブ1305が分離していることは、宿主組織が完全に格納チューブ1305の周りに、そして格納チューブの間に一体化するのを助ける。加えて、格納チューブ1305の間の空間は、血管新生のために利用可能なチューブの表面積を最大化する。「可撓性である(flexible)」及び「可撓性(flexibility)」という用語は、細胞カプセル化デバイスの全体的な柔軟性又は曲げ剛性、及び宿主組織と接触している宿主界面/内方成長層の柔軟性を表すように意図されており、これによりそのような内方成長層は宿主組織の柔軟性、並びに宿主組織に対する細胞カプセル化デバイスの柔軟性とマッチングするので、細胞カプセル化デバイスは、デバイス及びホスト界面/内方成長層と、宿主組織との柔軟性の顕著なミスマッチに起因する過剰な炎症反応を生じさせることなしに、宿主組織と一緒に撓み、運動することができる。
【0112】
いくつかの実施態様では、接続部材1375は生体吸収性材料から形成されるか、又はこれを含んでよい。細胞カプセル化デバイス1300が体内に留置された後、生体吸収性材料は分解して体内へ吸収される。移植前には分解はほとんど又は全くないはずである。いくつかの実施態様では、接続部材1374の一部だけが生体吸収性材料から形成されていることにより、生体吸収性材料が吸収されると、細胞カプセル化デバイス1300は格納チューブ1305内部に細胞又は治療デバイスを収納するための何らかの構造を持ち続けるようになっている。他の実施態様では、生体吸収性材料は接続部材1375の全て又はほぼ全てを形成することにより、生体吸収性材料が吸収されたあとには接続部材1375は残らない。接続部材1375を再吸収することにより、格納チューブ1305はもはや拘束されず、独立して運動可能である。上述のように、格納チューブ1305の分離は、宿主組織が完全に格納チューブ1305の周りに、そして格納チューブの間に一体化するのを助け、血管新生のために利用可能なチューブの表面積を最大化する。加えて、意図的に又は生体吸収により接続部材1375を欠如させることは、細胞カプセル化デバイスのより容易な取り外しを可能にする。例えば、接続部材1375上及び/又は接続部材1375内への組織の成長は、棘(barb)として作用し、細胞カプセル化デバイスの移植片除去しやすさ/取り外ししやすさを妨げ又は制限することがある。
【0113】
生体吸収性材料は急速に(例えば僅か数日又は数ヶ月で)完全吸収されてよく、又は完全吸収するのに著しく長い時間(例えば数年間)を要することもある。生体吸収性材料の吸収速度は材料の特質及び生物学的環境に依存し、必要に応じて当業者によって選択することができる。生体吸収性材料は固体(モールディング、押し出し、又は結晶)、(例えば格納チューブ上の)被膜、自己結合ウェブ(self-cohered web)、隆起ウェビング(raised webbing)、又はスクリーンとして形成されていてよい。ある特定の生体吸収性材料が低速の生体吸収プロファイルを提供すると有利である。このプロファイルを用いて、移植部位における接続部材内への血管新生及び他の組織内方成長を知らせることができる。例えば、生体吸収プロファイルは血管新生速度よりも遅くてよい。加えて、低速分解プロファイルは、細胞カプセル化デバイスの移植片除去/取り外しを容易にすることができる。
【0114】
図13Eは、細胞カプセル化デバイス1390の近位端1314における再シール可能なポート1365を概略的に示している。細胞カプセル化デバイス1390の遠位端に再シール可能なポート(図示せず)又は再シール可能なキャップを装着させることにより、遠位端に配置された格納チューブ1305のアクセスポートをシールすることができることが認められる。
図13Eは、図示しやすさのために再シール可能なキャップ1307の使用を示している。
図14Fは、細胞カプセル化デバイス1395の格納チューブ1305のアクセスポートを流体接続するための取り外し可能なマニホルド1335を概略的に示している。マニホルド1335にはチューブ1337を介して、フラッシュポート1380を流体接続することができる。使用していないときには、再シール可能なキャップ1385がフラッシュポート1380を覆ってシールすることができる。細胞カプセル化デバイス1390の遠位端に再シール可能なポート(図示せず)又は再シール可能なキャップを装着することにより、遠位端に配置された格納チューブ1305のアクセスポートをシールすることができることが認められる。
図13Fは、図示しやすさのために再シール可能なキャップ1307の使用を示している。接続部材1375間の距離は、0.25mm~約10cm、約0.50mm~約8cm、約0.75mm~約5cm、約1mm~約2cmであってよい。なお、これらの距離は、格納チューブ及び/又はチャネルが相互接続されている、本明細書に記載された実施態様のそれぞれに当てはめることができる。いくつかの実施態様では、個々の格納チューブ1305は、少なくともコンプライアントな配置、又は剛性的な配置(図示せず)の場合、これらの全長に沿って互いに完全に接続することができる。アクセスポート1315を使用して、格納チューブ1305のルーメン領域に対して1つ又は2つ以上の細胞格納部材(治療デバイス)及び/又は細胞を出入りさせることができる。
【0115】
図13Bを参照すると、取り外し可能なマニホルド1335を使用して、カプセル化デバイス1300の遠位端1312でアクセスポート1315を流体接続することができる。マニホルド1335にはチューブ1340を介して、フラッシュポート1355を流体接続することができる。使用していないときには、再シール可能なキャップ1345がフラッシュポート13855を覆ってシールすることができる。アクセスポート1315はアクセスポイントを提供し、このアクセスポイントを通して、格納チューブ1305のルーメン領域に流体流を送達することにより、格納チューブ1305のルーメン領域を充填することができる。いくつかの実施態様では、流体流を使用して、格納チューブ1305のルーメン領域を細胞で充填することができる。いくつかの実施態様では、そして
図13A及びBに示されているように、格納チューブ1305の周りを生体適合性材料1310で取り囲み又はオーバーモールディングすることにより、密な永久的形態を成して格納チューブを保持する。いくつかの実施態様では、格納チューブ1305は、本明細書中に記載されているような細胞保持層及び血管新生層を有する複合材料によって構成することができる。いくつかの実施態様では、織布又は不織布又はニットを細胞カプセル化デバイス1300上に被せることができる。別の実施態様では、織布又は不織布又はニットは、細胞カプセル化デバイス1300に周期的に取り付けることができる。織布又は不織布又はニットは拘束層として役立ち、組織の内方成長又は付着を助けることができる。加えて、織布又は不織布又はニットは細胞カプセル化デバイスの取り扱い性、移植、及び取り外しのための機械的支援を提供することもできる。
【0116】
ここで
図14A及びBを参照すると、いくつかのポリマー材料層を互いに接着させることにより形成される積層体から、カプセル化デバイス1400が構成されていてよい。積層体を形成するために使用されるポリマー材料層は、本明細書中に記載された格納チューブを構成するのに使用されたものと同じポリマー材料層であってよく、本明細書中に記載された細胞保持層及び血管新生層を有する複合材料層で構成されてよい。細胞カプセル化デバイス1400は格納チャネル1405を含有していて、各格納チャネル1405の間にはシーム1410が介在している。格納チャネル1405は互いに接続されていてよく、この場合それぞれの格納チャネルは
図14Bに写真によって示されているように他の格納チャネルから分離され流体的に隔離されている。或いは、又はこれに加えて、格納チャネル1405は、これらが互いに流体連通するように互いに接続されていてもよい。例えば、チャネルのそれぞれを互いに流体的に隔離するように、チャネル1405をこれらの全長に沿って互いに接続することができ、或いは、隣接する格納チャネルを流体接続するように相互接続チャネルを提供するために、格納チャネル1405は、所定の間隔(又は様々な間隔)を置いて相互接続されてよい(図示せず)。いくつかの格納チャネルは互いに隔離される一方、いくつかの隣接する格納チャネルは、これらの長さに沿った1つ又は2つ以上の地点で流体接続されてよい(図示せず)。材料層が接着されているいくつかの実施態様では、シーム1410内部に組織付着及び/又は血管新生を許すように多孔性を維持することができる。
【0117】
他の実施態様では、シーム1410は、隣接する格納チャネル1405間に非付着領域を含むことにより、組織付着及び/又は血管新生を許すことができる。格納チャネル1405は、材料層を一方又は両方の端部で接着することにより、一方又は両方の端部でシールすることができる。いくつかの実施態様では、材料層の周囲がシリコーン1420によってオーバーモールディングされる。1実施態様では、格納チャネル1405にマニホルド1425を流体接続することにより、細胞又は細胞格納部材を留置するためにチャネルのルーメンへのアクセスを可能にすることができる。いくつかの実施態様では、積層体内へ織布又は不織布又はニットを本質的に形成することによって、細胞カプセル化デバイスの取り扱い、移植、及び取り外しのための機械的支援を増強することができる。
【0118】
図13A及びB、又は
図14A及びBに示された配列において、格納チューブ1305又は格納チャネル1405は層状に形成されていてよく、これにより格納チューブ1305又は格納チャネル1405は移植型装置の長さに沿って互いに平行又はほぼ平行である。いくつかの実施態様では、格納チューブ1305又は格納チャネル1405は同じ平面内にある。格納チューブ1305又は格納チャネル1405が成形部材を含む実施態様の場合、格納チューブ1305又は格納チャネル1405は非平面状(すなわち平面状でなく、単一平面内に位置していない)であるか、又は種々の平面内に設けられている。
図13A及びB、又は
図14A及びBに示された二次元層形成配列の代わりに、格納チューブ1305又は格納チャネル1405は、
図15及び16に示されているような三次元配列を成して積み重ねられてよく、或いは
図17Aに示されているように、三次元配列、例えば製織メッシュ形態を成して互い違いに配置されてよい。三次元配列を用いて、格納チューブ1305又は格納チャネル1405を積み重ねられた又は互い違いの配向で(x,y及び/又はz方向で)提供することができる。
【0119】
図17Bに示されたさらなる実施態様では、格納チューブ1705(又はチャネル(図示せず))は軸外相互接続部材1730を有するほぼ平面状の配列を有することにより、ラティス形態を成すことができる。本明細書中に使用される「軸外(off-axis)」とは、相互接続部材1730がゼロ度よりも大きく90°よりも小さい角度で格納チューブ1705に接続されていることを表すために意図される。
図17Bに示された細胞カプセル化デバイスの場合、相互接続部材1730は、格納チューブ1705に対して約45°の角度で配向され、これによりラティス形態を形成する。格納チューブ1705は相互接続部材1730を通して互いに流体接続されている。こうして、1つの格納チューブ1705内へ入った流れは、相互接続部材1730を通って、隣接する一つ又は複数の格納チューブ1705内へ流入する。このような「ラティス(lattice)」の実施態様では、格納チューブ1705は細胞を直接に含有し、そして典型的には治療デバイスを含有しないものの、治療デバイスを含有することが禁止されているわけではない。図示されてはいないが、遠位端1712又は近位端1714に、一つ又は複数のマニホルド、一つ又は複数の再シール可能なポート、一つ又は複数の再シール可能なキャップが配置されてよい。
【0120】
図17Cに概略的に示された別の実施態様では、細胞カプセル化デバイス1750は、相互接続部材1340によって相互接続された格納チューブを含んでよい。相互接続部材1340は、格納チューブ1705に対して任意の配向、例えば軸外又は垂直の配向を有する。
図17Cに示されているように、相互接続部材1740は格納チューブ1705に対して種々の角度で、そして垂直に格納チューブ1705を接続し、細胞カプセル化デバイス1750に相互接続部材1740のよりランダムな形態を与える。格納チューブ1705は、相互接続部材1740を通して互いに流体接続されている。こうして、1つの格納チューブ1705内へ入った流れは、相互接続部材1740を通って、隣接する一つ又は複数の格納チューブ1705内へ流入する。やはり、細胞カプセル化デバイス1750は一般に細胞を含有するものの、格納チューブ1705内に1つ又は2つ以上の治療デバイスを含むことが禁止されているわけではない。図示されてはいないが、遠位端1712又は近位端1714に、一つ又は複数のマニホルド、一つ又は複数の再シール可能なポート、一つ又は複数の再シール可能なキャップが配置されてよい。
【0121】
図18A及び18Bを見ると、再シール可能なポート及び/又はマニホルドは可変の柔軟性を有することができる。いくつかの実施態様では、再シール可能なポート及び/又はマニホルドは、より剛性の構造を必要とするカプセル化デバイスの所期用途、例えば金属板の表面又は骨の上、或いは金属板の表面又は骨の内部での移植のために、柔軟性のより低い構造1805(
図18Aに示されている)を有することができる。例えば、再シール可能なポート及び/又はマニホルドは、
図18Aに概略的に示されているように、単一の一体型構造であってよい。他の実施態様では、再シール可能なポート及び/又はマニホルドは、より高い可撓性の構造を必要とするカプセル化デバイスの所期用途、例えば皮下領域内、又は器官表面上、又は器官内部での移植のために、柔軟性のより高い構造1810(
図18Bに示されている)を有することができる。例えば、再シール可能なポート及び/又はマニホルドは、種々の開口1820の間に配置されたヒンジ様構造1815を有していてよい。いくつかの実施態様の場合、ヒンジ様構造1815は、延伸PTFEのような材料又はその他の可撓性の生体適合性材料から形成されてよい。或いは、再シール可能なポート及び/又はマニホルドの構造内に、形状記憶材料又はこれから形成された構造を含み得る本明細書中に詳述された成形部材を使用することにより、柔軟性のより高い構造をもたらすこともできる。
【0122】
他の実施態様では、格納チューブ内部には1つ又は2つ以上の細胞格納部材(又は他の治療デバイス)が収納されていてよい。いくつかの実施態様では、再シール可能なポート及び/又はマニホルドのインターフェイスでシールするように細胞格納部材を構成することができ、これにより、細胞格納部材はシーリング面となる(すなわち細胞格納部材は自己シール性である)。
図19を参照すると、マニホルド1910が、開口1905のうちの1つに部分的に配置された細胞格納部材1900と一緒に示されている。細胞格納部材1900はシーリング部材1920を含有しているので、細胞格納部材1900は開口1905内に完全に挿入されると、マニホルドの開口1905に対してシールされる。細胞格納部材1900は把持構造1915(例えばタブ)を含んでいてもよく、これにより臨床医は把持構造1915を保持することによって細胞格納部材1900を保持又は操作(例えば挿入又は取り外し)することができる。細胞格納部材1900はシーリング部材1920を介してマニホルド1910に対してシール且つシール解除することができる。同様又は同一の細胞格納部材1900を使用して、再シール可能なポートに対してシール且つ再シールすることができることが認められる。シーリング部材1920は例えば摩擦によって、締め付けによって、又はねじ山と溝とから成るねじによって、マニホルド又は再シール可能なポートに取り付けられてよい。
【0123】
V. 中央マニホルドを備えたカプセル化デバイス
図20Aは、本開示の種々の実施態様に基づく、中央に配置されたマニホルドを備えた単一の格納チューブを含有するカプセル化デバイスを示している。本明細書中に使用される「中央に(centrally)」という用語は、マニホルドが完全にセンタリングされていないかもしれない中央地点を取り囲む距離を含むように意図されていることが認められる。他の実施態様では、マニホルドは所定の距離だけ中央から外れた、又は近位端寄り又は遠位端寄りに配置されていてよい。カプセル化デバイス2000は、格納チューブ2005と、遠位端2010と、近位端2015と、遠位端2010と近位端2015との間の(中央の、又は所定の距離だけ中央から外れた)地点2020と、分割部材2035と、単一の接続ポート2030を有するマニホルド2025とを含んでよい。分割部材2035は、細胞(又は他の生物学的部分)を含有する流体流が分割されて細胞の一部が遠位方向に流れ、そして細胞の一部が近位方向に流れるのを可能にする。マニホルド2025の接続ポート2030を通して、細胞格納部材(又は他の治療デバイス)を格納チューブ2005内部に配置することができることが認められる。
【0124】
図20Bは、種々の実施態様に基づく、中央に配置されたマニホルドを備えた2つの格納チューブを含有するカプセル化デバイスを示している。カプセル化デバイス2000は、第1格納チューブ2040及び第2格納チューブ2045と、第1及び第2の格納チューブ2040,2045を(例えば第1及び第2格納チューブの第1アクセスポート(図示せず)で)流体接続して単一の接続ポート2030を有するマニホルド2025とを含む。マニホルドは、第1格納チューブ2040の遠位端2015と第2格納チューブ2045の遠位端2010との間の地点2020に配置されている。マニホルド2025の接続ポート2030を通して、細胞格納部材(又は他の治療デバイス)を格納チューブ2040,2045のそれぞれの内部に配置することができることが認められる。
【0125】
図21は、複数の格納チューブ2105を含む細胞カプセル化デバイス2100を示している。格納チューブ2105は、遠位端2010及び近位端2015と、遠位端2110に設けられた第1アクセスポート2145と近位端2115に設けられた第2アクセスポート2135との間の地点2120とを有する。地点210は中央にあるか、又は所定の距離だけ中央から外れていてよい。加えて、マニホルド2125は複数の接続ポート2130を有している。これらの接続ポートは第1及び第2アクセスポート2135,2145に流体接続されている。いくつかの実施態様では、
図33に例示されているように、マニホルド2125は第1及び第2アクセスポート2135,2145の間の中央に配置されている。他の実施態様では、
図34に示されているように、マニホルドは中央から外れた、又は近位端2115寄り又は遠位端2110寄りに配置されていてよい。いくつかの実施態様では、マニホルド2125は分割部材(図示せず)を含む。分割部材は、細胞(又は他の生物学的部分)を含有する流体流が分割されて細胞の一部が遠位方向に流れ、そして細胞の一部が近位方向に流れるのを可能にする。接続ポート2130を通して、細胞格納部材(又は他の治療デバイス)を格納チューブ2105内部に配置することができることが認められる。加えて、図示されてはいないが、カプセル化デバイス2100は、
図20Bを参照しながら説明したような複数の第1格納チューブと第2格納チューブとから形成されていてもよい。いくつかの実施態様では、近位端2115及び遠位端2110で格納チューブに、再シール可能なポート(図示せず)を流体接続することができる。他の実施態様では、格納チューブ2105を閉鎖し且つ/又はシールするために、再シール可能なキャップ(図示せず)を使用することができる。
【0126】
図22は、本発明に基づく、カプセル化デバイス2200内に挿入されている細胞格納部材であって、カプセル化デバイスは皮膚2205及び皮下組織2210の下方に、そして組織床2260内に移植されている、細胞格納部材を示している。カプセル化デバイス2200は、格納チューブ2215の遠位端2220と近位端2225との間の(中央又は所定の距離だけ中央から外れた)地点2230と、接続ポート2240を有するマニホルド2235とを含んでいてよい。
図22に示された実施態様では、第1細胞カプセル化デバイス2250が格納チューブ2215内へ近位側に(格納チューブ2215の近位端2240に向かって)挿入されており、そして第2細胞カプセル化デバイス2255が格納チューブ2015内へ遠位側に(格納チューブ2015の遠位端2245に向かって)挿入されている。
図20Bに示された2つの格納チューブを有するカプセル化デバイスが
図22に関して示されているように移植されてよく、そして細胞格納部材がそれぞれの格納チューブ内へ挿入されてよいことが認められる。
図20A~22に示された実施態様では、マニホルドの接続ポートが皮膚に近接しているのに対して、一つ又は複数の格納チューブは組織床内部の適切な深さに位置し、その結果、細胞又は細胞格納部材(治療デバイス)を取り外すために必要な剪断力が低減されるので有利である。
【0127】
図11~19に示されたカプセル化デバイスに関して論じたように、
図20A~22に示されたカプセル化デバイスはさらに、1つ又は2つ以上の再シール可能なポートであって、アクセスポイントを提供し、このアクセスポイントを通して格納チューブのルーメン領域に対して細胞又は1つ又は2つ以上の細胞格納部材(又は他の治療デバイス)を出入りさせることができる、1つ又は2つ以上の再シール可能なポート、アクセスポイントを提供する1つ又は2つ以上のフラッシュポートであって、このアクセスポイントを通って、格納チューブのルーメン領域をフラッシングするために格納チューブのルーメン領域へ流体流を送達し得る、1つ又は2つ以上のフラッシュポート、及び/又は格納チューブ内部に収納された1つ又は2つ以上の細胞格納部材を含むことができる。細胞格納部材は、再シール可能なポート、マニホルド及び/又はアクセスポートのインターフェイスでシールするように構成することができる。
【0128】
VI.生体吸収性材料
図23~30は、移植型カプセル化デバイスの1つ又は2つ以上の構成部分上に分配された所定量の生体吸収性材料を含む種々の実施態様を示している。生体吸収性材料は、固体(モールディング、押し出し、又は結晶)、自己結合ウェブ(self-cohered web)、隆起ウェビング(raised webbing)、又はスクリーンとして形成されていてよい。いくつかの実施態様では、一つ又は複数の生体吸収性材料層を、巨視的な孔を有する非生体吸収性材料に取り付けることにより細胞透過が複合体を形成するのを可能にする。他の実施態様では、細胞透過を低減又は防止するための微視的な孔を有する非生体吸収性材料を多孔質自己結合ウェブに解離可能に取り付けることにより、移植から数日後に患者の身体から格納チューブを無傷除去するのを可能にする。体内への吸収は好ましい1型コラーゲン堆積、新血管形成、及び感染の低下を促進することができる。他の例では、細胞カプセル化デバイス上に生体吸収性材料を粉末として組み込むことができる。好適な生体吸収性材料の一例としては、ポリグリコリド:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)、ポリアルファヒドロキシ酸、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(グリコリド)、及びポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-コ-バレレート)、及びこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。
【0129】
図23に示されたカプセル化デバイス2300は、格納チューブ2310の表面上に粉末又は突起様構造2305として散在する所定量の生体吸収性材料を含む。
図24に示されたカプセル化デバイス2400は、格納チューブ2410の表面上に粉末又は突起様構造2405として散在する所定量の一つ又は複数の生体吸収性材料を含む。
図25は、スクリーン又は隆起ウェビングの形態2505の、フィルム2500の表面上の所定量の一つ又は複数の生体吸収性材料を示している。フィルム2500の生体吸収性材料及び表面上で、閉じ込められた細胞が増殖して成長し始めた時に、フィルム2500が枕状に膨らむのを最小化又は防止するようにフィルム2500を支持するために、一つ又は複数の生体吸収性材料を使用することができる。いくつかの実施態様では、生体吸収性材料は、一時的な生体吸収性材料、例えばポリマー又は金属(例えばマグネシウム)であってよい。フィルム2500を使用して、単一の格納チューブ及び複数の格納チューブを含むカプセル化デバイスの種々の構成部分を形成することができる。
【0130】
図26に示されたカプセル化デバイス2600は、突起様構造2610として散在する所定量の一つ又は複数の生体吸収性材料と、格納チューブ2620の端部にテーパ状前縁2605を有する生体吸収性材料とを含む。
図27に示されたカプセル化デバイス2700は、格納チューブ2710の端部にテーパ状前縁を有する固体構造2705として、生体吸収性材を含む。
図28に示されたカプセル化デバイス2800は、チャネル2810の端部にテーパ状前縁を有する固体構造として、生体吸収性材2805を含む。生体吸収性材料は、格納チャネル2810の間に自己結合ウェブ構造として散在することにより、付加的な長手方向支持体を格納チャネルに提供することもできる。カプセル化デバイス内に生体吸収性成分を組み込むことは、移植を容易にするのを助ける。例えば生体吸収性材料は温度感受性であってよい。具体的には、生体吸収性材料は低温では著しく剛性であり、高温(例えば移植時の体温)では軟化するので、生体吸収性材料は移植後に、より適合性(conformable)且つ柔軟(compliant)になる。結果として、長手方向の強度、並びに生体吸収性材料から形成されたテーパ状前縁は、臨床医が軽減された労力で且つ外傷を宿主にあまり与えることなしに、移植型装置を患者内に留置するのを可能にし、そして移植が行われたら、生体吸収性材料はより適合性且つ柔軟になる。
【0131】
図29に示されたカプセル化デバイス2900は、テーパ状前端を備えた固体のテーパ状構造を成す生体吸収性材料2905、並びに突起様構造2910として格納チューブ2920の表面にわたって分配された所定量の生体吸収性材料の組み合わせを含む。
図30に示されたカプセル化デバイス3000は、テーパ状前端を備えた固体のテーパ状構造を成す生体吸収性材料3005と、格納チューブ3020の表面上の突起様構造3010の分布との組み合わせを含む。
【0132】
VII. 促進される栄養輸送
ある特定の材料、例えばペルフルオロカーボンエマルジョン、フルオロヒドロゲル、シリコーンオイル、シリコーンヒドロゲル、大豆油、シリコーンゴム、ポリビニルクロリド、及びこれらの組み合わせは、高い酸素透過性を有することが知られている。このような高酸素透過性材料は,移植型装置の材料構造内、例えば格納チューブ、キャップ、マニホルド、アクセスポート、把持構造、又は治療デバイスのうちの1つ又は2つ以上において利用することができる。1つの実施態様では、治療デバイス及び/又は細胞格納チューブのうちの1つ又は2つ以上が高酸素透過性材料を含む。高酸素透過性材料は、格納チューブを形成する多孔質ポリマーメンブレン又は積層体のうちの1つ又は2つ以上、各格納チャネル間に介在するシーム又はシールのうちの1つ又は2つ以上、又は突起構造を備えた格納チャネルのうちの1つ又は2つ以上の上に設けられる被膜の形態を成して利用されてよい。或いは、高酸素透過性材料は、充填剤の形態で使用することができる。充填剤は、例えば格納チューブを形成する多孔質ポリマーメンブレン又は積層体のボイド空間内に部分的に充填されるか、又は完全に充填される。いくつかの実施態様では、高酸素透過性材料は、格納チューブのルーメン内に部分的又は完全に充填される充填剤の形態で利用することができる。
【実施例】
【0133】
実施例1
【0134】
Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容に従って、第1多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを調製した。フィルムの単位面積当たり質量は約2.43g/m2、厚さは約8.9μm、密度は約0.27g/cc、長手方向マトリックス引張強度は約663MPa、横方向マトリックス引張強度は約14.3MPa、及びIPA泡立ち点は約4.83kPAであった。
【0135】
Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書の教示内容に従って、第2多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを調製した。フィルムの単位面積当たり質量は約1.46g/m2、厚さは約0.00012インチ(ほぼ3.05μm)、密度は約0.48g/cc、長手方向マトリックス引張強度は約101,321psi(ほぼ699MPa)、横方向マトリックス引張強度は約9288psi(ほぼ64.04MPa)、及びIPA泡立ち点は約35.27psi(ほぼ243.2kPA)であった。
【0136】
Brancaの米国特許第5,814,405号明細書の教示内容に従って、第3多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを調製した。フィルムの単位面積当たり質量は約6.23グラム/m2、厚さは約0.0017インチ(ほぼ43.2μm)、IPA泡立ち点は約0.41psi(ほぼ2.83kPA),長手方向引張強度は約27974psi(ほぼ192.87MPa)、及び横方向マトリックス引張強度は約5792psi(ほぼ39.93MPa)であった。
【0137】
Newman他の米国特許第6,617,151号明細書(
図9、工程902~910及び対応テキスト)に概ね従って、連続した長さの第1ePTFEを、内径0.089”(ほぼ2.26mm)のチューブにすることにより、マルチチューブ細胞含有構造を製造した。細胞格納チューブは、第1ePTFEメンブレンの1つの長手方向ラップと、第2ePTFEメンブレンの6つのオーバーラップするらせん状ラップと、第3ePTFEメンブレンの1つのオーバーラッピングするラップとを有するように形成した。細胞格納チューブを8つの区分に切断した。それぞれの区分の長さはほぼ7”(ほぼ17.8cm)であった。各チューブの一方の端部内に、0.089”(ほぼ2.26mm)のマンドレルを挿入した。
【0138】
再シール可能な接続部材を形成するための圧縮モールドを2つの半部(上半部と下半部)の形態で製作した。それぞれの半部は平滑な角隅を有する方形キャビティ(ほぼ1/4×0.164×1.7”(ほぼ6.4mm×4.2mm×43mm))を有し、これは直径0.094”(ほぼ2.4mm)の8つの円筒形チャネルによって交差される。充分な量の熱可塑性ポリマー(ニューヨーク州オレンジバーグ在、Dyneon AmericaのTHV500)を圧縮モールド下半部内に入れ、そして熱可塑性ポリマーを溶融するのに充分な温度まで加熱することによって、接続部材の一方の半部をモールド内で形成することにより接続部材を構成した。次いで8つの円筒形マンドレルを溶融済ポリマー中に押し込んだ。次いでモールドを冷却し、半部片を取り出した。このプロセスを繰り返すことによって、接続部材の第2半部を得た。
【0139】
これらの接続部材半部を圧縮モールドの各半部内に入れ、マンドレルが挿入された8つのePTFEチューブをモールドを横切るように置いた。この場合ePTFEチューブの端部は方形キャビティのほぼ中間に配置された。モールドを閉じ、ホットプレス(インディアナ州ウォバシュ在、Wabash MPIによって製造されたWabashモデルC30H-15-CPX)内に入れた。プレスは400°F(ほぼ204℃)の温度に設定し、5分間にわたって予熱し、次いで0.3トン(ほぼ272kg)の圧力で2分間にわたって閉じた。モールドをホットプレスから取り出し、そして冷却した。ホットプレスによって加熱されていない第1マニホルドを有するePTFEチューブの反対側の端部でこのプロセスを繰り返した。
【0140】
Newman他の米国特許第6,617,151号明細書に記載されているような細胞押し退けコア及び治療細胞、又はButler他の米国特許第5,787,900号明細書に記載されているような適宜の長さの細胞ロッドでそれぞれのチューブを充填することができた。次いで端部を適宜のキャップで閉じることができる。
【0141】
実施例2
【0142】
厚さ1ミルEFEP熱可塑性フィルム(ほぼ0.025mm)(ニューヨーク州オレンジバーグ在、Daikin Americaから入手可能なNEOFLON(登録商標)RP-4020)をレーザーによって切断した。レーザーは、8つの平行な方形開口0.150”×5”(ほぼ3.81mm×127mm)を形成するようにプログラミングされた。開口間の間隔は0.1”(ほぼ2.5mm)(フィルムの7個所)であり、余剰の熱可塑性フィルムがそれぞれの側及び端部に存在した。
【0143】
フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続なフルオロポリマー層と一緒に接合された種々異なるメンブレンから成る層を組み合わせることにより、多層延伸PTFE(ePTFE)メンブレンを製造した。第1層(タイト層)は、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容に基づいて処理された、より小さな孔径と、表3に挙げられた材料特性とを有するメンブレンから成る。第2層(オープン層)は、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容に基づいて製造されたより大きい孔径のメンブレンから成っている。ここでは不連続なFEP層がBacinoの国際公開第94/13469号パンフレットのプロセス教示内容に基づいてこのメンブレンの表面上に組み込まれているものの、この支持体がまだ空気透過性であるのを可能にしている。このオープン層の性質は表1に挙げられている。第1層(タイト層)を次いで第2層(オープン層)と接触させた。不連続FEP表面を2つのPTFE層の間に、これらの層がFEPの溶融温度を上回る温度で加熱された状態で配置し、これにより表1に特定された最終特性を有する接合多層複合メンブレンを形成した。ePTFE複合メンブレンには、親水性処理を施した。
【表1】
【0144】
ステンレス鋼プレート8”×8”×1/16”厚(ほぼ20.3cm×20.3cm×1.6mm厚)、シリコーンパッド6”×6” 1/4“厚(ほぼ15.2cm×15.2cm×1.6mm厚)、及び親水性処理されたePTFEメンブレンから成るスタック。ePTFEメンブレンを0.2μm側が上方に向く状態で配置した(すなわち7.5μmは、これが下方に向くように配置された)。予め切断されたEFEP熱可塑性フィルムをePTFEメンブレン上に載置した。第1ePTFEメンブレンと同一の第2ePTFEメンブレン層をEFEP熱可塑性フィルム上に置き、この場合0.2μm側が下方に向くようにした。ステンレス鋼シート6”×6”×1/16”厚(ほぼ15.2cm×15.2cm×1.6mm厚)を第2ePTFE層の上面上に置いた。
【0145】
スタックをホットプレス(インディアナ州ウォバシュ在、Wabash MPIによって製造されたWabashモデルC30H-15-CPX)内に入れた。ホットプレスを437°F(ほぼ225℃)の温度まで予熱し、そして0.2トン(ほぼ181kg)の設定点圧力まで5分間にわたって閉じた。次いでスタックをホットプレスから取り出し、そして鋼テーブル上でほぼ2kgのアルミニウム錘がスタックの上部に置かれた状態で、スタックが触って冷たくなるまで冷却した。
【0146】
冷却後、こうして形成された積層シートを取り出しトリミングすることにより、ほぼ0.1”(ほぼ0.25cm)のエッジシームを有した。端部をトリミングすることにより、開口の端部と同様にした。実施例1に記載された通りにモールディングした熱可塑性端部(ニューヨーク州オレンジバーグ在、Dyneon Americaから入手可能なTHV500)を端部に取り付けた。
【0147】
実施例3
【0148】
Newman他の米国特許第6,617,151号明細書の“Method of Making Devices”と題する項、第11欄第18行~第12欄第29行に概略的に記載されているように、直径0.084”(ほぼ0.21cm)の模倣細胞ロッドを形成した。細胞を有するデバイスをローディングすることなしにシールされた端部を有するマルチチューブ細胞含有構造を(実施例1に記載されたような)接続部材内へ挿入した。フィブリン/トロンビン外科用接着剤を使用してマニホルドを装着した。
【0149】
生理食塩水で充填されたシリンジを13ゲージのブラントニードルに接続した。細胞格納チューブに接続されたマニホルドに設けられた1つの開口内にブラントニードルを圧縮嵌めした。細胞格納チューブには、模倣細胞ロッドが挿入されていた。次いでシリンジのプランジャロッドを木槌で軽く叩くことにより生理食塩水中に圧力波を形成した。この圧力波は、デバイスから模倣細胞ロッドを押し出すのに役立った。
【0150】
実施例4
【0151】
Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容に従って、第1多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを調製した。フィルムの単位面積当たり質量は約2.43g/m2、厚さは約8.9μm、密度は約0.27g/cc、長手方向マトリックス引張強度は約663MPa、横方向マトリックス引張強度は約14.3MPa、及びIPA泡立ち点は約4.83kPAであった。
【0152】
Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書の教示内容に従って、第2多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを調製した。フィルムの単位面積当たり質量は約1.46g/m2、厚さは約0.00012インチ(ほぼ3.05μm)、密度は約0.48g/cc、長手方向マトリックス引張強度は約101,321psi(ほぼ699MPa)、横方向マトリックス引張強度は約9288psi(ほぼ64.04MPa)、及びIPA泡立ち点は約35.27psi(ほぼ243.2kPA)であった。
【0153】
Brancaの米国特許第5,814,405号明細書の教示内容に従って、第3多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを調製した。フィルムの単位面積当たり質量は約6.23グラム/m2、厚さは約0.0017インチ(ほぼ43.2μm)、IPA泡立ち点は約0.41psi(ほぼ2.83kPA)、長手方向引張強度は約27974psi(ほぼ192.87MPa)、及び横方向マトリックス引張強度は約5792psi(ほぼ39.93MPa)であった。
【0154】
Newman他の米国特許第6,617,151号明細書(
図9、工程902~910及び対応テキスト)に示された教示内容に概ね従って、
連続した長さの第1ePTFEを、内径0.089”(ほぼ2.26mm)のチューブにすることにより、シングルチューブ細胞含有構造を製造した。細胞格納チューブは、第1ePTFEメンブレンの1つの長手方向ラップと、第2ePTFEメンブレンの6つのオーバーラッピングするらせん状ラップと、第3ePTFEメンブレンの1つのオーバーラッピングするラップとを有するように形成した。細胞格納チューブを切断することにより長さほぼ6cmの区分を得た。
【0155】
短くされたチューブの一方の端部(遠位側)内に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)プラグを挿入し、そしてジョー内で2.25mmワイヤホールによって改質されたハンドピース4Cを有するHOTweezersサーマルワイヤストリッパーModel M10(カリフォルニア州ウェストレイクビレッジ在、Meisei Corporation)を使用して所定の場所にシールすることによりプラグの外面を、ePTFE細胞格納チューブの内部に対して溶融した。細胞格納チューブの開いた端部内へ、リブ状突起を備えたシリコーンから製作されたほぼ5cm長のスプラインを挿入した。スプラインは、Butler他の米国特許第5,980,889号明細書の
図2、符号7で記載されているものと同様であった。
【0156】
0.89mmの内径(ID)及び1.6mmの外径(OD)及びほぼ5cmの長さの寸法を有するBionate 80A PCU (ポリカーボネートポリウレタン) (DSM Incから入手可能)チューブを採用し、そしてアダプタを一方の端部に取り付けることによって、充填集成体を構成した。アダプタはBionate 80A PCUからモールディングされ、1.6mmのID及び2.25mmのODの寸法を有した。アダプタを3mmの長さに切断した。PCUチューブ内へマンドレルを、その端部からほぼ1mm突出した状態で挿入した。次いでアダプタをBionate 80A PCUに被せることにより、Bionate 80A PCUチューブ及びアダプタの端部は整合した。アダプタとBionate 80A PCUチューブとのサブ集成体をePTFE細胞格納チューブ内へ挿入することにより、マンドレルは内部スプラインに丁度接触した。アダプタと、Bionate 80A PCUチューブと、ePTFE細胞格納チューブとを、ほぼ2.25mmの直径を有する円筒形開口を有するジョー内で2.25mmワイヤホールによって改質されたハンドピース4Cを有するHOTweezersサーマルワイヤストリッパーModel M10(カリフォルニア州ウェストレイクビレッジ在、Meisei Corporation)を使用することによって一緒にシールした。
【0157】
イソプロピルアルコール(IPA)中に浸し、そして集成体プラグの内部を空気で5psig(ほぼ0.34bar)まで加圧することにより、集成体全体の漏れ検査を行った。デバイスから逃げる泡は観察されなかった。
【0158】
実施例5
【0159】
Witzkoの米国特許第5,565,166号明細書に記載された手順に概ね従うことによって、チューブ集成体を形成した。チューブのサイズは3mm直径であり、チューブ間の間隔は1mmであった。出発メンブレンの単位面積当たり質量は42.4グラム/平方メートルであり、厚さは0.07mmであった。チューブ集成体は、8チューブ幅であり16.5cm長であるようにトリミングした。
【0160】
再シール可能な接続部材を形成するための圧縮モールドを2つの半部(上半部と下半部)の形態で製作した。それぞれの半部は平滑な角隅を有する方形キャビティ(ほぼ1/4×0.164×1.7”(ほぼ6.4mm×4.2mm×43mm))を有し、これは直径3mの8つの円筒形チャネルによって交差される。充分な量の熱可塑性ポリマー(ニューヨーク州オレンジバーグ在、Dyneon AmericaのTHV500)を圧縮モールド下半部内に入れ、そして熱可塑性ポリマーを溶融するのに充分な温度まで加熱することによって、接続部材の一方の半部をモールド内で形成することにより接続部材を構成した。次いで8つの円筒形マンドレルを溶融済ポリマー中に押し込んだ。次いでモールドを冷却し、半部片を取り出した。このプロセスを繰り返すことによって、接続部材の第2半部を得た。
【0161】
これらの半部片をモールドの各半部内に入れ、1.0mmマンドレルが8つの各チューブの端部内へ挿入されたePTFEチューブをモールドを横切るように置いた。この場合ePTFEチューブの端部は方形キャビティのほぼ中間に配置された。モールドの上半部を組み立て、モールドを熱可塑性ポリマーの溶融温度を上回る温度でホットプレス内に入れた。熱可塑性ポリマーを溶融するのに充分な時間にわたってモールドをホットプレス内に保持し、次いでこれを完全に閉じた。モールドをホットプレスから取り出し、そして冷却した。ホットプレスによって加熱されていない第1マニホルドを有するePTFEチューブの反対側の端部でこのプロセスを繰り返した。
【0162】
この実施例のために使用される熱可塑性ポリマーは、DyneonのTHV500(ニューヨーク州オレンジバーグ在、Dyneon America)であり、プレスを400°F(ほぼ204℃)の温度に設定し、5分間にわたって予熱し、次いで0.3トン(ほぼ272.2kg)の圧力で2分間にわたって閉じた。
【0163】
Newmanの米国特許第6,617,151号明細書に記載されているような細胞押し退けコア及び治療細胞、又はButler他の米国特許第5,787,900号明細書に記載されているような適宜の長さの細胞ロッドでそれぞれのチューブを充填することができた。次いで端部を適宜のキャップで閉じることができた。それぞれのチューブを細胞押し退けコアなしで細胞で充填することもできた。各チューブの直径は0.5mm以下、0.25mm以下、又は0.13mm以下であってよい。
【0164】
実施例6
【0165】
Branca他の米国特許第5,814,405号明細書に教示されているようなオープンな(多孔質)マイクロ構造ePTFEメンブレンから成る3つの層を、40mm OD SSTマンドレルに巻き付けた。メンブレンは構築物内で接着剤として使用される一方の表面上に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)熱可塑性物質から成る不連続被膜を有した。不連続FEP被膜は多孔性を維持する一方で、ePTFE層を互いに接着する方法も提供した。不連続FEP被膜は、Campbell他の米国特許第6,159,565号明細書に教示された方法に従って適用した。ePTFE層は「シガレットロール」様式でマンドレルに巻き付けた。この場合FEPはマンドレルから離反する側に位置し、これによりePTFEメンブレンがマンドレルに付着するのを防止した。
【0166】
次に、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書に教示されているようなタイトなマイクロ構造ePTFEメンブレンから成る2つの層をePTFE構築物に巻き付けた。このePTFEメンブレンにも前述のような不連続FEP被膜を施した。FEPはやはりマンドレルから離反する側に配置した。
【0167】
次いで、マンドレル及びePTFE構造を、対流空気炉(イリノイ州ラウンドレイク在、The Grieve Corporation から入手可能なGrieve, Model NT-1000)内に、FEPの溶融温度(320℃)を上回る温度で入れた。320℃で10分間の滞留後、マンドレル及びePTFE構築物を取り出し、周囲温度まで空気冷却させておいた。冷めたら構築物に長手方向のスリットを施し、そしてこれをマンドレルから取り出した。
【0168】
この時点でのePTFE構築物は、平面状のePTFE多層積層体であって、一方の側ではFEPを含まない極めてオープンなマイクロ構造を有し、そして反対側では不連続FEPを含む極めてタイトなマイクロ構造ePTFEを有した。次にこの構築物を、タイトなマイクロ構造の側が互いに離反して配置されるように半分に折り曲げた。
【0169】
アルミニウムシートから製造された鋳型を使用して、McMaster Carrから入手可能なWellerはんだ鏝Model PU-120Tを使用することによって、局所的な熱を加えた。局所的な熱はFEPを再溶融し、構築物の局所的接着を生じさせた。接着されたパターンは、接着されていない材料から成る7つのチャネルと一方の端部のチャネルとを備えた、全てのチャネルが連通するのを可能にする平面状構築物をもたらした。
【0170】
鋳型の平らなパターンは、4mm直径の周囲に近似する長さを有する平らなチャネルを形成するように構成した。余剰の材料を鋏でトリミングした後、外径4mmの7つのプラスチックチューブを、接着されていないチャネル内に入れた。次いで構築物を、
図33に示された基本的なアルミニウムモールド内に入れた。
【0171】
モールドを閉位置で締め付け、そしてカリフォルニア州クパチーノ在、NuSil Corporationから利用可能な部品番号NuSil MED-1137のシリコーンを、20CCシリンジを使用してモールド内に押し込んだ。モールド及び内在する構築物を、60℃の空気対流炉(日本国東京在、Yamatomo Scientificから入手可能なYamatomo, Model DKN600)内に入れた。ほぼ12時間の滞留時間後、構築物を周囲温度まで空気冷却させておいた。冷めたら、モールドを開き、部品を取り出した。シリコーンは、ばりの僅かなトリミングを必要とした。このプロセスの結果、ほぼ54mm×85mmの積層ePTFEの構築物が得られ、構築物は、血管内方成長を促進するオープン(多孔質)マイクロ構造外層と、一方の側のシリコーンマニホルドから反対側の端部の連通チャネルへ延びる7つのチャネルとを備えた。周囲のシリコーンビードは、ハンドリング目的に充分な剛性を加えた。チャネルの内面は極めてタイトなマイクロ構造を有することにより、細胞を含有しながらも栄養及び他の生体分子の輸送を可能にした。
図34に示されたこの構築物を使用して、細胞ロッドを収納するか、又は適切に寸法設定されるならば、細胞を単独で収納することができた。
【0172】
実施例7
【0173】
Branca他の米国特許第5,814,405号明細書に教示されているような極めてオープンな(多孔質)マイクロ構造ePTFEメンブレンから成る3つの層を、40mm OD SSTマンドレルに巻き付けた。ePTFEメンブレンは構築物内で接着剤として使用される一方の表面上に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)熱可塑性物質から成る不連続被膜を有した。不連続FEP被膜は多孔性を維持する一方で、ePTFE層を互いに接着する方法も提供した。不連続FEP被膜は、Campbell他の米国特許第6,159,565号明細書に従って適用した。ePTFE層は「シガレットロール(cigarette roll)」様式でマンドレルに巻き付けた。この場合FEPはマンドレルから離反する側に位置し、これによりePTFEメンブレンがマンドレルに付着するのを防止した。
【0174】
次に、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書に教示されているようなタイトなマイクロ構造メンブレンから成る2つの層をePTFE構築物に巻き付けた。このePTFEメンブレンにも前述のような不連続FEP被膜を施した。FEPはやはりマンドレルから離反する側に配置した。
【0175】
次いで、マンドレル及びePTFE構造を、対流空気炉(イリノイ州ラウンドレイク在、The Grieve Corporation から入手可能なGrieve, Model NT-1000)内に、FEPの溶融温度(320℃)を上回る温度で入れた。320℃で10分間の滞留後、マンドレル及びePTFE構築物を取り出し、周囲温度まで空気冷却させておいた。冷めたら構築物に長手方向のスリットを施し、そしてこれをマンドレルから取り出した。
【0176】
この時点でのePTFE構築物は、平面状のePTFE多層積層体であって、一方の側ではFEPを含まない極めてオープンなマイクロ構造を有し、そして反対側では不連続FEPを含む極めてタイトなマイクロ構造ePTFEを有した。次にこの構築物を、タイトなマイクロ構造の側が互いに離反して配置されるように半分に折り曲げた。
【0177】
次いで、層状構築物を真空プレート上に置き、セレン化亜鉛(Zinc Selenide)片(ニュージャジー州ニュートン在、Thor Labsから入手可能)によって、25ワットのCO2レーザーにおいてカバーした。真空が印加されるのに伴って、セレン化亜鉛「レーザー窓(laser window)」はePTFE積層体に圧力を加えた。セレン化亜鉛は、CO2レーザービームがそのエネルギーとのカップリングなしに通過するのを可能にした。レーザービームは出力を低減され、意図的に焦点をずらされたので、熱を生成しはするがePTFE/FEP積層体を切断することはなかった。出力及び速度の設定値を変化させ、焦点を変化させることによって、ビームを使用してePTFE/FEP積層体の焦点加熱をもたらし、これによりFEP層を溶融して再流動させ、接着を生じさせた。積層体を含有するチャンバの加熱は、レーザー出力のさらなる低減を可能にした。それというのも、レーザービームは、FEPを流動させるのに充分に局所的温度を上昇させる(ほぼ285℃)ことだけを必要としたからである。例えば、チャンバが250℃で動作しているならば、レーザーは、レーザーは接着点の局所的な温度を35℃だけ上昇させることにより接着を促進することを必要とするにすぎない。
【0178】
接着されたパターンは、接着されていない材料から成る7つのチャネルと一方の端部のチャネルとを備えた、全てのチャネルが連通するのを可能にする、リボンチューブの例と同様の平面状構築物をもたらした。この集成体は、所望の場合には前の例のようにシリコーンでオーバーモールディングすることもできた。加えて、集成体のこの「レーザー加熱(laser heating)」法は、ハード工具が必要でなく、デバイスのパターン変更をプログラミングによって行うことができるので特に有利である。
【0179】
実施例8
【0180】
Branca他の米国特許第5,814,405号明細書に教示されているようなオープンな(多孔質)マイクロ構造ePTFEメンブレンから成る3つの層を、40mm OD SSTマンドレルに巻き付けた。メンブレンは構築物内で接着剤として使用される一方の表面上に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)熱可塑性物質から成る不連続被膜を有する。不連続FEP被膜は多孔性を維持する一方で、ePTFE層を互いに接着する方法も提供した。不連続FEP被膜は、Campbell他の米国特許第6,159,565号明細書で教示された方法に従って適用した。ePTFE層は「シガレットロール(cigarette roll)」様式でマンドレルに巻き付けた。この場合FEPはマンドレルから離反する側に位置し、これによりePTFEメンブレンがマンドレルに付着するのを防止した。
【0181】
次に、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書に教示されているようなタイトなマイクロ構造メンブレンから成る2つの層をePTFE構築物に巻き付けた。このePTFEメンブレンにも前述のような不連続FEP被膜を施した。FEPはやはりマンドレルから離反する側に配置した。
【0182】
次いで、マンドレル及びePTFE構造を、対流空気炉(イリノイ州ラウンドレイク在、The Grieve Corporation から入手可能なGrieve, Model NT-1000)内に、FEPの溶融温度(320℃)を上回る温度で入れた。320℃で10分間の滞留後、マンドレル及びePTFE構築物を取り出し、周囲温度まで空気冷却させておいた。冷めたら構築物に長手方向のスリットを施し、そしてこれをマンドレルから取り出した。
【0183】
この時点でのePTFE構築物は、平面状のePTFE多層積層体であって、一方の側ではFEPを含まない極めてオープンなマイクロ構造を有し、そして反対側では不連続FEPを含む極めてタイトなマイクロ構造ePTFEを有した。次にこの構築物を、タイトなマイクロ構造の側が互いに離反して配置されるように半分に折り曲げた。
【0184】
アルミニウムシートから製造された、
図35に示された鋳型を使用して、McMaster Carrから入手可能なWellerはんだ鏝Model PU-120Tを使用することによって、局所的な熱を加えた。局所的な熱はFEPを再溶融し、構築物の局所的接着を生じさせた。接着されたパターンは、接着されていない材料から成る7つのチャネルと一方の端部のチャネルとを備えた、全てのチャネルが連通するのを可能にする平面状構築物をもたらした。鋳型の平らなパターンは、4mm直径の周囲に近似する長さを有する平らなチャネルを形成するように構成した。余剰の材料をトリミングし、チャネルのうちの1つを部分的に分離してフラッシュポートとして指定した。
【0185】
次いで構築物をオーバーモールディングし、且つ/又は適切な場合に実施例6のように取り付けられたマニホルドを有することができる。この記述は、複数のチャネルと、細胞ロッドを内部から除去するのを容易にするフラッシュポートとを備えた細胞格納デバイスをもたらす。
【0186】
実施例9
【0187】
Branca他の米国特許第5,814,405号明細書に教示されているようなオープンな(多孔質)マイクロ構造ePTFEメンブレンから成る3つの層を、40mm OD SSTマンドレルに巻き付けた。メンブレンは構築物内で接着剤として使用される一方の表面上に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)熱可塑性物質から成る不連続被膜を有した。不連続FEP被膜は多孔性を維持する一方で、ePTFE層を互いに接着する方法も提供した。不連続FEP被膜は、Campbell他の米国特許第6,159,565号明細書に教示された方法に従って適用した。ePTFE層は「シガレットロール」様式でマンドレルに巻き付けた。この場合FEPはマンドレルから離反する側に位置し、これによりePTFEメンブレンがマンドレルに付着するのを防止した。
【0188】
次に、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書に教示されているようなタイトなマイクロ構造ePTFEメンブレンから成る2つの層をePTFE構築物に巻き付けた。このePTFEメンブレンにも前述のような不連続FEP被膜を施した。FEPはやはりマンドレルから離反する側に配置した。
【0189】
次いで、マンドレル及びePTFE構造を、対流空気炉(イリノイ州ラウンドレイク在、The Grieve Corporation から入手可能なGrieve, Model NT-1000)内に、FEPの溶融温度(320℃)を上回る温度で入れた。320℃で10分間の滞留後、マンドレル及びePTFE構築物を取り出し、周囲温度まで空気冷却させておいた。冷めたら構築物に長手方向のスリットを施し、そしてこれをマンドレルから取り出した。
【0190】
この時点でのePTFE構築物は、平面状のePTFE多層積層体であって、一方の側ではFEPを含まない極めてオープンなマイクロ構造を有し、そして反対側では不連続FEPを含む極めてタイトなマイクロ構造ePTFEを有した。次にこの構築物を、タイトなマイクロ構造の側が互いに離反して配置されるように半分に折り曲げた。
【0191】
アルミニウムシートから製造された、
図35に示された鋳型を使用して、McMaster Carrから入手可能なWellerはんだ鏝Model PU-120Tを使用することによって、局所的な熱を加えた。局所的な熱はFEPを再溶融し、構築物の局所的接着を生じさせた。接着されたパターンは、接着されていない材料から成る7つのチャネルと一方の端部のチャネルとを備えた、全てのチャネルが連通するのを可能にする平面状構築物をもたらした。鋳型の平らなパターンは、4mm直径の周囲に近似する長さを有する平らなチャネルを形成するように構成した。余剰の材料を鋏でトリミングした後、外径4mmの7つのプラスチックチューブを、接着されていないチャネル内に入れた。次いで構築物を、
図33に示された基本的なアルミニウムモールド内に入れた。
【0192】
モールドを閉位置で締め付け、そしてほぼ200℃まで予熱した。予熱後、Hayesの米国特許第6,165,217号明細書に教示されたポリグリコール酸とトリメチレンカーボネート(PGA:TMC)との溶融ブレンドをモールド内へ注入した。モールドチャネルが充填されたら、モールドを室温水中でクエンチングすることにより、急速な冷却を促進した。冷めたら、モールドを分離し、部品を取り出した。結果として得られたデバイスは、モールディングされた周囲の補剛ビードが生体吸収性材料から成ることを除けば、実施例6のものに類似している。ビードは剛性を提供するために成形することができ、また、患者内への挿入を容易にするためにテーパさせるか又は先を尖らせることもできる。
【0193】
PGA:TMCが記載されてはいるものの、他の生体吸収性ポリマーを利用することもできる。所望の要件(例えば剛性)及び/又は分解プロファイルによって選択に影響を与えることができる。生体吸収性ポリマーの多くが溶融加工可能であるので、製造プロセスは、押し出し、射出成形、及び付加製造技術(例えば3Dプリンティング)を含んでよい。
【0194】
このデバイスの生体分解性部分は金属(例えばマグネシウム)を含んでよい。この事例では、金属は別個の構成部分として機械加工するか又は形成し、そして最終組み立て時に、接着剤(例えば前述のFEP)を使用することにより接着することができる。
【0195】
実施例10
【0196】
Branca他の米国特許第5,814,405号明細書に教示されているようなオープンな(多孔質)マイクロ構造ePTFEメンブレンから成る3つの層を、40mm OD SSTマンドレルに巻き付けた。メンブレンは構築物内で接着剤として使用される一方の表面上に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)熱可塑性物質から成る不連続被膜を有した。不連続FEP被膜は多孔性を維持する一方で、ePTFE層を互いに接着する方法も提供した。不連続FEP被膜は、Campbell他の米国特許第6,159,565号明細書に教示された方法に従って適用した。ePTFE層は「シガレットロール」様式でマンドレルに巻き付けた。この場合FEPはマンドレルから離反する側に位置し、これによりePTFEメンブレンがマンドレルに付着するのを防止した。
【0197】
次に、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書に教示されているようなタイトなマイクロ構造ePTFEメンブレンから成る2つの層をePTFE構築物に巻き付けた。このePTFEメンブレンにも前述のような不連続FEP被膜を施した。FEPはやはりマンドレルから離反する側に配置した。
【0198】
次いで、マンドレル及びePTFE構造を、対流空気炉(イリノイ州ラウンドレイク在、The Grieve Corporation から入手可能なGrieve, Model NT-1000)内に、FEPの溶融温度(320℃)を上回る温度で入れた。320℃で10分間の滞留後、マンドレル及びePTFE構築物を取り出し、周囲温度まで空気冷却させておいた。冷めたら構築物に長手方向のスリットを施し、そしてこれをマンドレルから取り出した。
【0199】
この時点でのePTFE構築物は、平面状のePTFE多層積層体であって、一方の側ではFEPを含まない極めてオープンなマイクロ構造を有し、そして反対側では不連続FEPを含む極めてタイトなマイクロ構造ePTFEを有した。次にこの構築物を、タイトなマイクロ構造の側が互いに離反して配置されるように半分に折り曲げた。
【0200】
アルミニウムシートから製造された、
図35に示された鋳型を使用して、McMaster Carrから入手可能なWellerはんだ鏝Model PU-120Tを使用することによって、局所的な熱を加えた。局所的な熱はFEPを再溶融し、構築物の局所的接着を生じさせた。接着されたパターンは、接着されていない材料から成る7つのチャネルと一方の端部のチャネルとを備えた、全てのチャネルが連通するのを可能にする平面状構築物をもたらした。鋳型の平らなパターンは、4mm直径の周囲に近似する長さを有する平らなチャネルを形成するように構成した。余剰の材料を鋏でトリミングした後、外径4mmの7つのシリコーンビードを、接着されていないチャネル内に挿入した。
【0201】
この手順を繰り返して2つのePTFE構築物を得た。それぞれのePTFE構築物は、各チャネルを充填するシリコーンビードを有した。次に各ePTFE構築物をアルミニウムモールド内に入れた。モールドは、構築物の大部分が平面状であり、そしてチャネルの開いた端部が平面配向からほぼ90度上方に曲げられている形態で、構築物を配向した。モールド内に配置された他方の構築物は第1の構築物に対して鏡像であった。各デバイスは「背中合わせ(back-to-back)」で形成され、チャネルの全ての開いた端部は近接して、平面配向から上方に曲げられて保持された。
【0202】
モールドを閉位置で締め付け、そしてカリフォルニア州クパチーノ在、NuSil Corporationから利用可能な部品番号NuSil MED-1137のシリコーンを、20CCシリンジを使用してモールド内に押し込んだ。モールド及び内在する構築物を、60℃の空気対流炉(日本国東京在、Yamatomo Scientificから入手可能なYamatomo, Model DKN600)内に入れた。ほぼ12時間の滞留時間後、構築物を周囲温度まで空気冷却させておいた。冷めたら、モールドを開き、部品を取り出した。シリコーンビーディング(qty=14)をチャネルから取り出した。
【0203】
このプロセスの結果、ほぼ54mm×120mmの積層ePTFEの構築物が得られ、構築物は、血管内方成長を促進するオープン(多孔質)マイクロ構造外層を備え、14個のチャネルが中央のシリコーンマニホルドから2つの連通チャネルへ(各端部に1つ)延びている。周囲に配置されたシリコーンビードは、ハンドリング目的に充分な剛性を加えた。チャネルの内面はタイトなマイクロ構造を有することにより、細胞を含有しながらも栄養及び他の生体分子の輸送を可能にした。この構築物を使用して細胞ロッドを収納するか、又は適切に寸法設定されるならば、細胞を単独で収納することができた。
【0204】
中央マニホルド形態は、ポートが患者の皮膚表面に対してほぼ垂直にアクセスされるのを可能にし、これにより細胞ロッドの交換中に引き起こされる外傷を軽減する。また、デバイスの中央から細胞ロッドを挿入することにより細胞ロッドを取り外すために必要となる剪断力はほぼ半分に低減される。
【0205】
本発明は下記のものによって記述することもできる。
【0206】
1. 移植型カプセル化デバイスであって、
【0207】
接続部材によって相互接続された複数の格納チューブであって、それぞれの前記格納チューブは、前記格納チューブの第1端部に設けられた第1アクセスポートと、前記格納チューブの第2端部に設けられた第2アクセスポートとを有している、複数の格納チューブを含み、
【0208】
前記格納チューブが前記デバイスの長さに沿って互いにほぼ平行である、
移植型カプセル化デバイス。
【0209】
2. 請求項1に記載のデバイスであって、
【0210】
- 前記接続部材が、前記格納チューブの長さに沿って互いに所定の距離だけ周期的に間隔を置いて設けられているか、又は
【0211】
- 前記格納チューブの前記第2端部をシールするために、前記第2アクセスポートに装着された再シール可能なキャップを更に含むか、又は
【0212】
- 前記格納チューブが、内側細胞保持層と外側血管新生層とを含む透過性メンブレンを含むか、又は
【0213】
- 前記格納チューブ上に生体吸収性材料が設けられているか、又は
【0214】
- 前記格納チューブがz方向に互いに積み重ねられているか、又は
【0215】
- 前記複数の格納チューブのそれぞれが一貫した円筒形断面を維持しているか、又は
【0216】
- 前記格納チューブが形状記憶材料を含む、デバイス。
【0217】
3. 前記格納チューブの前記第1端部に流体接続された、取り外し可能なマニホルドを更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【0218】
4. 前記取り外し可能なマニホルドに流体接続されたフラッシュポートとチューブとを更に含む、請求項3に記載のデバイス。
【0219】
5. 前記格納チューブが、生物学的部分又は治療デバイスを中に受容し格納するためのルーメンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【0220】
6. 前記治療デバイスが薬物送達デバイス、遺伝子治療デバイス、細胞カプセル化デバイス、及びこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載のデバイス。
【0221】
7. 前記1つ又は2つ以上の治療デバイスが、前記格納チューブの前記第1端部に流体接続されたマニホルドに対して取り外し可能にシールされている、請求項6に記載のデバイス。
【0222】
8. 前記1つ又は2つ以上の治療デバイスのそれぞれが把持構造を含む、請求項7に記載のデバイス。
【0223】
9. 前記生物学的部分が複数の細胞である、請求項6に記載のデバイス。
【0224】
10. 固体形態及び自己結合ウェブのうちの少なくとも一方を成す生体吸収性材料を更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【0225】
11. 前記生体吸収性材料が、テーパ状前縁を備えた固体形態として、前記第1端部又は前記第2端部に形成されている、請求項10に記載のデバイス。
【0226】
12. 細胞カプセル化デバイスであって、
【0227】
複数の格納チューブであって、前記複数の格納チューブはそれぞれ、前記格納チューブの第1端部に設けられた第1アクセスポートと、前記格納チューブの第2端部に設けられた第2アクセスポートとを有している、複数の格納チューブと、
【0228】
前記格納チューブの前記第1端部、前記第2端部、又は前記第1及び第2端部にシール可能に接続された少なくとも1つのポートと、
【0229】
1つ又は2つ以上の開口を有し、前記格納チューブに流体接続されたマニホルドと、
【0230】
前記マニホルドにチューブによって流体接続されたフラッシュポートと
を含む、細胞カプセル化デバイス。
【0231】
13. 請求項12に記載のデバイスであって、
【0232】
- 前記フラッシュポートに装着されたシール可能なキャップを更に含むか、又は
【0233】
- 前記マニホルドが、前記格納チューブの前記第1端部又は前記第2端部に流体接続されているか、又は
【0234】
- 前記マニホルドが、前記端部と前記第2端部との間に位置する地点に配置されており、そして
【0235】
- 前記ポートが前記格納チューブの前記第1及び第2端部にシール可能に接続されているか、又は
【0236】
- 前記マニホルドが、前記第1端部と前記第2端部との間の中央に配置されているか、又は
【0237】
- 前記マニホルドが、前記開口間に配置されたヒンジ付き構造を含むか、又は
【0238】
- それぞれの前記格納チューブが、前記マニホルドの前記1つ又は2つ以上の開口のうちの1つに装着されているか、又は
【0239】
- 前記フラッシュポート及び前記チューブが、前記格納チューブと同じ平面内に位置しているか、又は
【0240】
- 前記格納チューブが、細胞保持層と血管新生層とを含む透過性メンブレンを含むか、又は
【0241】
- 前記複数の格納チューブのそれぞれが一貫した円筒形断面を維持しているか、又は
【0242】
- 前記格納チューブが形状記憶材料を含む、デバイス。
【0243】
14. 前記格納チューブが、生物学的部分又は治療デバイスを中に受容し格納するためのルーメンを含む、請求項12に記載のデバイス。
【0244】
15. 前記治療デバイスが薬物送達デバイス、遺伝子治療デバイス、細胞カプセル化デバイス、及びこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のデバイス。
【0245】
16. 前記生物学的部分が複数の細胞である、請求項14に記載のデバイス。
【0246】
17. 前記治療デバイスが、前記格納チューブの前記第1端部に流体接続されたマニホルドに対して取り外し可能にシールされている、請求項15に記載のデバイス。
【0247】
18. 前記治療デバイスが把持構造を含む、請求項17に記載のデバイス。
【0248】
19. 前記生物学的部分が複数の細胞である、請求項15に記載のデバイス。
【0249】
20. 前記格納チューブ上に生体吸収性材料が設けられている、請求項12に記載のデバイス。
【0250】
21. 請求項20に記載のデバイスであって、
【0251】
- 前記生体吸収性材料が、固体形態及び自己結合ウェブのうちの少なくとも一方を成しているか、又は
【0252】
- 前記生体吸収性材料が、テーパ状前縁を備えた固体形態として、前記装置の第1端部又は第2端部に形成されている、デバイス。
【0253】
22. 移植型カプセル化デバイスであって、
【0254】
積層シートと、
【0255】
当該それぞれの格納チャネル間に介在するシームを有する、前記積層シートの接着された層によって形成された複数の格納チャネルと
を含み、
【0256】
前記複数の格納チャネルが、前記複数の格納チャネルの長さに沿って前記シームを介して周期的に互いに接続されている、移植型カプセル化デバイス。
【0257】
23. 請求項22に記載のデバイスであって、
【0258】
- 前記複数の格納チャネルがz方向に互いに積み重ねられているか、又は
【0259】
- 前記複数の格納チャネル内部に収納された1つ又は2つ以上の治療デバイスを更に含むか、又は
【0260】
- 前記治療デバイスが、薬物送達デバイス、遺伝子治療デバイス、細胞カプセル化デバイス、及びこれらの組み合わせを含むか、又は
【0261】
- マニホルド、アクセスポート、及びフラッシュポートから選択された少なくとも1つの部材を更に含む、デバイス。
【0262】
24. カプセル化デバイスであって、
【0263】
互いにほぼ平行な複数の格納チューブであって、前記複数の格納チューブはそれぞれ、前記格納チューブの第1端部に設けられた第1アクセスポートと、前記格納チューブの第2端部に設けられた第2アクセスポートとを有している、複数の格納チューブと、
【0264】
隣接する格納チューブを流体接続する複数の相互接続部材と
を含む、カプセル化デバイス。
【0265】
25. 前記相互接続部材が、前記格納チューブに対して所定の角度を成して配置されている、請求項24に記載のデバイス。
【0266】
26. 前記相互接続部材が、前記格納チューブに対してゼロ度の角度を成して配置されている、請求項25に記載のデバイス。
【0267】
27. 前記格納チューブのルーメン及び相互接続部材の内部に収納された生物学的部分を更に含む、請求項24に記載のデバイス。
【0268】
本出願の発明を全体的に、そして具体的な実施態様に関して上述してきた。当業者には明らかなように、本開示の範囲を逸脱することなしに、種々の改変及び変更を加えることができる。このように、実施態様は本発明の改変形及び変更形にも範囲が及ぶものとする。ただし、これらが添付の請求項及びこれらと同等のものの範囲に含まれることを条件とする。本発明の実施形態の例を以下の項目[1]~「56」に列記する。
[1]
移植型カプセル化デバイスであって、
接続部材によって相互接続された複数の格納チューブであって、それぞれの前記格納チューブは、前記格納チューブの第1端部に設けられた第1アクセスポートと、前記格納チューブの第2端部に設けられた第2アクセスポートとを有している、複数の格納チューブを含み
前記格納チューブが前記デバイスの長さに沿って互いにほぼ平行であり、
前記格納チューブは、血管組織の内方成長を許す外側ポリマー層と、前記外側ポリマー層に隣接して配置され、細胞又は血管の内方成長を遮る内側ポリマー層とを含む多孔質複合材料を含む、移植型カプセル化デバイス。
[2]
前記接続部材が、前記格納チューブの長さに沿って互いに所定の距離だけ周期的に間隔を置いて設けられている、項目1に記載のデバイス。
[3]
前記格納チューブの前記第1端部に流体接続された、取り外し可能なマニホルドを更に含む、項目1に記載のデバイス。
[4]
前記取り外し可能なマニホルドに流体接続されたフラッシュポートとチューブとを更に含む、項目3に記載のデバイス。
[5]
前記複数の格納チューブが前記接続部材によって流体的に相互接続されている、項目1に記載のデバイス。
[6]
前記接続部材は、ゼロ度よりも大きく90°よりも小さい角度で格納チューブに接続されている、項目1に記載のデバイス。
[7]
織布、不織布、又はニットを更に含む、項目1に記載のデバイス。
[8]
前記第2アクセスポートに装着され、前記格納チューブの前記第2端部をシールする、再シール可能なキャップを含む、項目1に記載のデバイス。
[9]
前記格納チューブが、生物学的部分又は治療デバイスを中に受容し格納するためのルーメンを含む、項目1に記載のデバイス。
[10]
前記治療デバイスが薬物送達デバイス、遺伝子治療デバイス、細胞カプセル化デバイス、及びこれらの組み合わせを含む、項目9に記載のデバイス。
[11]
前記1つ又は2つ以上の治療デバイスが、前記格納チューブの前記第1端部に流体接続されたマニホルドに対して取り外し可能にシールされている、項目10に記載のデバイス。
[12]
前記1つ又は2つ以上の治療デバイスのそれぞれが把持構造を含む、項目11に記載のデバイス。
[13]
前記生物学的部分が複数の細胞である、項目10に記載のデバイス。
[14]
前記格納チューブ上に生体吸収性材料が設けられている、項目1に記載のデバイス。
[15]
前記格納チューブがz方向に互いに積み重ねられている、項目1に記載のデバイス。
[16]
前記複数の格納チューブのそれぞれが一貫した円筒形断面を維持している、項目1に記載のデバイス。
[17]
固体形態及び自己結合ウェブのうちの少なくとも一方を成す生体吸収性材料を含む、項目1に記載のデバイス。
[18]
前記生体吸収性材料が、テーパ状前縁を備えた固体形態として、前記第1端部又は前記第2端部に形成されている、項目17に記載のデバイス。
[19]
前記格納チューブが形状記憶材料を含む、項目1に記載のデバイス。
[20]
細胞カプセル化デバイスであって、
複数の格納チューブであって、前記複数の格納チューブはそれぞれ、前記格納チューブの第1端部に設けられた第1アクセスポートと、前記格納チューブの第2端部に設けられた第2アクセスポートとを有している、複数の格納チューブと、
前記格納チューブの前記第1端部、前記第2端部、又は前記第1及び第2端部にシール可能に接続された少なくとも1つのポートと、
1つ又は2つ以上の開口を有し、前記格納チューブに流体接続されたマニホルドと、
前記マニホルドにチューブによって流体接続されたフラッシュポートと
を含み、
前記格納チューブは、血管組織の内方成長を許す外側ポリマー層と、前記外側ポリマー層に隣接して配置され、細胞又は血管の内方成長を遮る内側ポリマー層とを含む多孔質複合材料を含む、細胞カプセル化デバイス。
[21]
前記マニホルドが取り外し可能である、項目20に記載のデバイス。
[22]
前記フラッシュポートに装着されたシール可能なキャップを更に含む、項目20に記載のデバイス。
[23]
前記マニホルドが、前記格納チューブの前記第1端部又は前記第2端部に流体接続されている、項目20に記載のデバイス。
[24]
前記マニホルドが、前記端部と前記第2端部との間に位置する地点に配置されており、そして
前記ポートが前記格納チューブの前記第1及び第2端部にシール可能に接続されている、
項目20に記載のデバイス。
[25]
前記マニホルドが前記第1端部と前記第2端部との間の中央に配置されている、項目20に記載のデバイス。
[26]
前記マニホルドが前記開口間に配置されたヒンジ付き構造を含む、項目20に記載のデバイス。
[27]
それぞれの前記格納チューブが、前記マニホルドの前記1つ又は2つ以上の開口のうちの1つに装着されている、項目20に記載のデバイス。
[28]
前記フラッシュポート及び前記チューブが、前記格納チューブと同じ平面内に位置している、項目20に記載のデバイス。
[29]
前記格納チューブが、生物学的部分又は治療デバイスを中に受容し格納するためのルーメンを含む、項目20に記載のデバイス。
[30]
前記治療デバイスが薬物送達デバイス、遺伝子治療デバイス、細胞カプセル化デバイス、及びこれらの組み合わせを含む、項目29に記載のデバイス。
[31]
前記生物学的部分が複数の細胞である、項目29に記載のデバイス。
[32]
前記治療デバイスが、前記格納チューブの前記第1端部に流体接続されたマニホルドに対して取り外し可能にシールされている、項目31に記載のデバイス。
[33]
前記治療デバイスが把持構造を含む、項目32に記載のデバイス。
[34]
前記生物学的部分が複数の細胞である、項目30に記載のデバイス。
[35]
前記複数の格納チューブのそれぞれが一貫した円筒形断面を維持している、項目20に記載のデバイス。
[36]
前記格納チューブ上に生体吸収性材料が設けられている、項目20に記載のデバイス。
[37]
前記生体吸収性材料が、固体形態及び自己結合ウェブのうちの少なくとも一方を成している、項目36に記載のデバイス。
[38]
前記生体吸収性材料が、テーパ状前縁を備えた固体形態として、前記装置の第1端部又は第2端部に形成されている、項目36に記載のデバイス。
[39]
前記格納チューブが形状記憶材料を含む、項目20に記載のデバイス。
[40]
移植型カプセル化デバイスであって、
積層シートと、
前記積層シートの接着された層によって形成された複数の格納チャネルであって、それぞれの前記格納チャネル間に介在するシームを有する、複数の格納チャネルと
を含み、
前記複数の格納チャネルが、前記複数の格納チャネルの長さに沿って前記シームを介して周期的に互いに接続されており、
前記格納チャネルは、血管組織の内方成長を許す外側ポリマー層と、前記外側ポリマー層に隣接して配置され、細胞又は血管の内方成長を遮る内側ポリマー層とを含む多孔質複合材料を含む、移植型カプセル化デバイス。
[41]
前記複数の格納チャネルがz方向に互いに積み重ねられている、項目40に記載のデバイス。
[42]
前記複数の格納チャネル内部に収納された1つ又は2つ以上の治療デバイスを更に含む、項目40に記載のデバイス。
[43]
前記治療デバイスが、薬物送達デバイス、遺伝子治療デバイス、細胞カプセル化デバイス、及びこれらの組み合わせを含む、項目40に記載のデバイス。
[44]
マニホルド、アクセスポート、及びフラッシュポートから選択された少なくとも1つの部材を更に含む、項目40に記載のデバイス。
[45]
カプセル化デバイスであって、
互いにほぼ平行な複数の格納チューブであって、前記複数の格納チューブはそれぞれ、前記格納チューブの第1端部に設けられた第1アクセスポートと、前記格納チューブの第2端部に設けられた第2アクセスポートとを有している、複数の格納チューブと、
隣接する格納チューブを流体接続する複数の相互接続部材と
を含み、
前記格納チューブは、血管組織の内方成長を許す外側ポリマー層と、前記外側ポリマー層に隣接して配置され、細胞又は血管の内方成長を遮る内側ポリマー層とを含む多孔質複合材料を含む、カプセル化デバイス。
[46]
前記相互接続部材が、前記格納チューブに対して所定の角度を成して配置されている、項目45に記載のデバイス。
[47]
前記相互接続部材が、前記格納チューブに対してゼロ度の角度を成して配置されている、項目46に記載のデバイス。
[48]
前記格納チューブのルーメン及び相互接続部材の内部に収納された生物学的部分を更に含む、項目45に記載のデバイス。
[49]
前記生物学的部分が複数の細胞である、項目48に記載のデバイス。
[50]
前記格納チューブ及び前記相互接続部材の少なくとも一方が形状記憶材料を含む、項目45に記載のデバイス。
[51]
前記相互接続部材が、細胞保持層と血管新生層とを含む透過性メンブレンを含む、項目45に記載のデバイス。
[52]
前記格納チューブ及び前記相互接続部材の上に生体吸収性材料が設けられている、項目45に記載のデバイス。
[53]
前記生体吸収性材料が、固体形態及び自己結合ウェブのうちの少なくとも一方を成している、項目52に記載のデバイス。
[54]
前記生体吸収性材料が、テーパ状前縁を備えた固体形態として、前記第1端部又は前記第2端部に形成されている、項目53に記載のデバイス。
[55]
前記複数の格納チューブ及び相互接続部材のそれぞれが、一貫した円筒形断面を維持している、項目45に記載のデバイス。
[56]
マニホルド、アクセスポート、再シール可能なキャップ、及びフラッシュポートから選択された少なくとも1つの部材を更に含む、項目45に記載のデバイス。