(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】非溶剤2Kポリウレタン人工皮革組成物、それで調製された人工皮革、およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
D06N 3/14 20060101AFI20240423BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240423BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240423BHJP
C08K 9/10 20060101ALI20240423BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240423BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
D06N3/14 102
C08G18/00 H
C08G18/10
C08K9/10
C08L75/04
D06N3/14 101
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2022514724
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2019107672
(87)【国際公開番号】W WO2021056229
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チャオ
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ヤンリー
(72)【発明者】
【氏名】チン、シーハオ
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2010/137264(JP,A1)
【文献】特開2013-208814(JP,A)
【文献】特開平09-019635(JP,A)
【文献】特表2008-532811(JP,A)
【文献】特開2009-235658(JP,A)
【文献】特開2007-297442(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108129628(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
71/00-71/04
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
D06N1/00-7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物であって、
(A)少なくとも1つのポリイソシアネート化合物を少なくとも1つの第1のポリオールと反応させることによって調製される1つ以上のポリウレタンプレポリマーを含む、ポリウレタンプレポリマー成分であって、前記ポリウレタンプレポリマーが、少なくとも2つの遊離イソシアネート基を含む、ポリウレタンプレポリマー成分と、
(B)少なくとも1つの第2のポリオールを含む、ポリオール成分と、
(C)外殻内にカプセル化された少なくとも1つの発泡コア相を含むカプセル化発泡剤と
を含み、
前記カプセル化発泡剤の含有量が、前記ポリオール成分(B)の総重量に基づいて、2.5~3.5重量%であり、
前記組成物が、前記カプセル化発泡剤以外の発泡剤を含まない、および/または前記組成物が、発泡安定剤を含まない
非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物。
【請求項2】
前記発泡コア相が、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC
3-C
16脂肪族炭化水素、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC
6-C
16脂環式または芳香族炭化水素、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC
2-C
16エーテル化合物、テトラ(C
1-C
6アルキル)シラン、テトラ(C
1-C
6アルコキシ)ケイ素、水、カーボンアミド(carbonamide)化合物、ヒドラジド、ポリアミン、ニトリル、カルボン酸塩、重炭酸塩、有機硫酸塩、二酸化炭素、一酸化炭素、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含み、
前記外殻が、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記発泡コア相が、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1-ジクロロフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロ-ジフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロ-エタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、ペルフルオロプロパン、水、アゾジカーボンアミド、ベンゼン-スルホニルヒドラジド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸鉄、ドデシル硫酸ナトリウム、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含み、かつ/または
前記外殻が、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、n-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレンクロロスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-フェニルマレイミド、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン(propenyllketone)、N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルオイプロパン(trimethyloipropane)トリメタクリレート、ペンタエリスリチル(pentaerithrityl)テトラメタクリレート、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロデカン、およびそれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーによって形成されるホモポリマーまたはコポリマーを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート化合物が、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
4-C
12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6-C
15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7-C
15アラリファティックポリイソシアネート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
前記第1のポリオールおよび前記第2のポリオールの各々が、独立して、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC
2-C
16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC
6-C
15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC
7-C
15アラリファティック多価アルコール、100~5,000の分子量および1.5~5.0の平均ヒドロキシル官能価を有するポリエステルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリ(C
2-C
10)アルキレングリコールまたは複数の(C
2-C
10)アルキレングリコールのコポリマーであるポリエーテルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリカーボネートジオール、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC
2-C
10アルカノールアミン、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリウレタンプレポリマー成分(A)と前記ポリオール成分との間の重量比が、100:40~100:60である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、2重量%以下の水溶剤および2重量%以下の有機溶剤を含むか、または
前記組成物が、水溶剤を含まず、有機溶剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
感温性ウレタン化触媒を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物を使用することによって、人工ポリウレタン皮革製品を調製するための方法であって、
i)前記ポリイソシアネート化合物を前記第1のポリオールと反応させて、1つ以上のポリウレタンプレポリマーを含む前記(A)ポリウレタンプレポリマー成分を形成することと、
ii)前記(A)ポリウレタンプレポリマー成分を前記(B)ポリオール成分と混合して、前駆体混合物を形成することと、
iii)前記前駆体混合物を剥離フィルムの1つの表面上に適用して、未硬化の層を形成することと、
iv)任意選択的に、前記未硬化の層の前記剥離フィルムに対向する表面上に担体層を適用することと、
iv)前記未硬化の層を加熱して、発泡ポリウレタン皮革層を形成することと、
v)任意選択的に、前記発泡ポリウレタン皮革層を前記剥離フィルムから剥離することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記製品が、発泡ポリウレタン皮革層、任意選択的な剥離フィルム、および任意選択的な担体層を含む、請求項
8に記載の方法によって
作製される人工ポリウレタン皮革製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非溶剤2成分(2K)ポリウレタン人工皮革組成物、組成物を使用することによって調製された人工ポリウレタン皮革製品、および人工ポリウレタン皮革製品を調製するための方法に関する。人工ポリウレタン皮革製品は、向上した安定性、穏やかな気泡の発生、および改善された費用効果を呈する。
【背景技術】
【0002】
現在、ほとんどのポリウレタン(PU)人工皮革は、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、およびトルエンなどの揮発性有機溶剤を使用して作製されている。これらの溶剤に基づく系は、製造プロセス中の有機溶剤の気化および皮革製品中の残留有機溶剤の存在に起因する環境問題を引き起こし、したがって、環境に優しいPU皮革製品に対する需要はさらに増加している。近年、政府による推進およびエンドユーザー(ブランド所有者)の興味の下で、環境に優しいPU人工皮革技術が非常に急速に成長している。PU人工皮革の製造における揮発性有機溶剤の使用を最小限に抑える試みがなされてきた。この市場には、2K(2成分)非溶剤PU発泡技術、PUD(ポリウレタン分散)発泡技術、およびTPU発泡技術などの、いくつかの新しい環境に優しい(ECO)技術が存在する。2K非溶剤PU発泡体は、費用効果および配合の柔軟性などの利点のために、最も人気のある技術のうちの1つである。発泡とは、PU皮革フィルムに気泡を発生させるステップを指し、人工皮革の用途では、例えば、コストの削減、良好な手触り、改善されたエンボス加工、向上したガス移動などの利点を達成するのにかなり重要である。2K非溶剤PU人工皮革の製造に使用される通常の発泡技術は、「水分発泡」、すなわち、イソシアネートを水または水蒸気と反応させて気泡を立てるためにCO2を生成し、PU人工皮革を発泡させることとして知られている。それにもかかわらず、水分発泡技術は、いくつかの弱点を有する。第1に、この発泡技術のメカニズムは、主に水とイソシアネートとの反応に依存し、これはまた、ポリウレタンを調製するための原料でもあるイソシアネートが消費され、したがって、製造コストが増加するであろう。第2に、このように形成された気泡を安定させるために、追加の添加剤をポリウレタン系に組み込む必要があり、これもまた、製造コストを増加させる。第3に、水とイソシアネートとの間の反応を制御することが困難であり、したがって、製造および日常的なメンテナンスの複雑性が増加する。上記の理由から、ポリウレタン製造業界では、上記の性能特性を経済的な方法で改善できるポリウレタン組成物を開発する必要が依然としてある。
【0003】
継続的な調査の結果、開発者は、驚くべきことに、上記の目標の1つ以上を達成し得るポリウレタン組成物を開発した。具体的には、2K非溶剤PU人工皮革製品を製造するためにカプセル化発泡剤を使用すると、気泡を立てるためのイソシアネート原料を無駄にせず、気泡を安定させるための界面活性剤を使用する必要がなく、ポリウレタン鎖の形成は発泡ステップの影響を受けず、生じるPU皮革製品は、より良好な手触りを呈することが見出された。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、独自の非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物、組成物を使用することによって調製された人工ポリウレタン皮革製品、および人工ポリウレタン皮革製品を調製するための方法を提供する。
【0005】
本開示の第1の態様では、本開示は、(A)少なくとも1つのポリイソシアネート化合物を、少なくとも1つの第1のポリオールと反応させることによって調製される1つ以上のポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタンプレポリマー成分であって、ポリウレタンプレポリマーが、少なくとも2つの遊離イソシアネート基を含む、ポリウレタンプレポリマー成分と、(B)少なくとも1つの第2のポリオールを含むポリオール成分であって、ポリオール成分が、外殻内にカプセル化された少なくとも1つの発泡コア相を含むカプセル化発泡剤をさらに含む、ポリオール成分と、を含む、非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物を提供する。
【0006】
本開示の第2の態様では、本開示は、本開示の組成物を使用することによって人工ポリウレタン皮革製品を調製するための方法であって、i)ポリイソシアネート化合物を第1のポリオールと反応させて、1つ以上のポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタンプレポリマー成分(A)を形成するステップであって、ポリウレタンプレポリマーが、少なくとも2つの遊離イソシアネート末端基を有する、形成するステップと、ii)ポリウレタンプレポリマー成分(A)をポリオール成分(B)と混合して、前駆体混合物を形成するステップと、iii)前駆体混合物を剥離フィルムの1つの表面上に適用して、未硬化の層を形成するステップと、iv)任意選択的に、未硬化の層の剥離フィルムに対向する表面上に担体層を適用するステップと、iv)未硬化の層を加熱して、発泡ポリウレタン皮革層を形成するステップと、v)任意選択的に、発泡ポリウレタン皮革層を剥離フィルムから剥離するステップと、を含む、方法を提供する。
【0007】
本開示の第3の態様では、本開示は、製品が、発泡ポリウレタン皮革層、任意選択的な剥離フィルム、および任意選択的な担体層を含む、上の方法によって調製された人工ポリウレタン皮革製品を提供する。
【0008】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本明細書に記載の人工皮革物品を調製するためのプロセスの概略図。
【
図3】本開示の発明例および対照例で製造されたPU発泡体の断面および表面の走査型電子顕微鏡(SEM)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0011】
本明細書に開示されるように、「組成物」、「配合物」、または「混合物」という用語は、物理的な手段によって異なる成分を単に混合することによって得られる、異なる成分の物理的なブレンドを指す。
【0012】
本明細書で開示されるように、「および/または」は、「および、または代替として」を意味する。特に記載がない限り、すべての範囲はエンドポイントを含む。特に記載がない限り、すべてのパーセンテージおよび比率は重量に基づいて計算され、すべての分子量は数平均分子量である。
【0013】
本開示の文脈において、「2成分(2K)ポリウレタン人工皮革組成物」という用語は、互いに反応してポリウレタン人工皮革を製造することができる2つの成分を含む組成物を指す。本開示の一実施形態によれば、ポリウレタン組成物は、ポリウレタンプレポリマー成分(A)とポリオール成分(B)とを含む、「2成分」、「2液」、または「2パッケージ」組成物であり、ポリウレタンプレポリマー成分(A)が、少なくとも2つの遊離イソシアネート末端基を有する少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーを含む。ポリウレタンプレポリマー成分(A)およびポリオール成分(B)は、別々に輸送および貯蔵され、人工皮革などのポリウレタン製品の製造中に適用される少し前または直前に合わせられる。合わせると、成分(A)中のイソシアネート基は、成分(B)中のヒドロキシル基および任意の追加のイソシアネート反応性基(存在する場合は、アミン基、チオール基、カルボキシル基など)と反応して、ポリウレタンを形成する。いずれの特定の理論にも限定されることなく、調製系に少なくとも1つのカプセル化発泡剤を組み込むことによって、発泡手順を効果的に改善することができ、したがって、生じるポリウレタン発泡体の性能特性を費用効果の高い方式で改善することができると考えられる。
【0014】
ポリウレタンプレポリマー成分(A)
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリウレタンプレポリマーは、過剰量のモノマーポリイソシアネートをモノマーまたはポリマーポリオールと反応させることによって調製される。
【0015】
様々な実施形態では、ポリウレタンプレポリマーを調製するためのポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式、芳香族、またはヘテロアリール化合物である。好ましい実施形態では、ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC4-C12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6-C15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC7-C15アラリファティック(araliphatic)ポリイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。別の好ましい実施形態では、好適なポリイソシアネート化合物には、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートおよび/もしくは2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、カルボジイミド修飾MDI生成物、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、またはそれらの混合物が含まれる。一般に、ポリイソシアネート化合物の量は、ポリウレタン発泡体およびポリウレタン人工皮革の実際の要件に基づいて変動し得る。例えば、例示的な一実施形態としては、ポリイソシアネート化合物の含有量は、ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、15重量%~60重量%、または20重量%~50重量%、または23重量%~40重量%、または25重量%~38重量%であり得る。
【0016】
本開示の一実施形態によれば、ポリウレタンプレポリマーを調製するための第1のポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC2-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC6-C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC7-C15アラリファティック多価アルコール、100~5,000の分子量および1.5~5.0の平均ヒドロキシル官能価を有するポリエステルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリ(C2-C10)アルキレングリコールまたは複数の(C2-C10)アルキレングリコールのコポリマーであるポリエーテルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリカーボネートジオール、少なくとも2つのアミノ基を含むC2-C10ポリアミン、少なくとも2つのチオール基を含むC2-C10ポリチオール、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC2-C10アルカノールアミン、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましい実施形態によれば、第1のポリオールは、ポリエーテルポリオールである。様々な実施形態では、第1のポリオールとして使用されるポリエーテルポリオールは、100~5,000g/molの分子量を有し、以下の終点値のうちのいずれか2つの組み合わせによって得られる数値範囲の分子量を有し得る:120、150、180、200、250、300、350、400、450、500、550、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、および5000g/mol。様々な実施形態では、第1のポリオールとして使用されるポリエーテルポリオールは、1.5~5.0の平均ヒドロキシル官能価を有し、以下の終点値のうちのいずれか2つの組み合わせによって得られる数値範囲の平均ヒドロキシル官能価を有し得る:1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、および5.0。本開示の好ましい実施形態によれば、ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(2-メチル-1,3-プロパングリコール)、およびポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)グリコールなどのそれらの任意のコポリマーからなる群から選択される。本開示の別の好ましい実施形態によれば、ポリエーテルポリオールは、少なくとも1つの(C2-C10)アルキレングリコールまたはそのコポリマーを含み得、例えば、ポリエチレンポリオールは、ポリエチレン、(メトキシ)ポリエチレングリコール(MPEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(2-メチル-1,3-プロパングリコール)、または一級ヒドロキシル末端基もしくは二級ヒドロキシル末端基を有するエチレンエポキシドとプロピレンエポキシドとのコポリマー(ポリエチレングリコール-プロピレングリコール)からなる群から選択され得る。
【0017】
本開示の一実施形態によれば、ポリエーテルポリオールは、触媒の存在下での、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、2-メチル-1,3-プロパングリコールおよびこれらの混合物から選択される1種以上の直鎖状または環式のアルキレンオキシドの、適切なスターター分子との重合によって調製される。典型的なスターター分子には、分子内に少なくとも1つ、好ましくは1.5~3.0のヒドロキシル基を有するか、または1つ以上の一級アミン基を有する化合物が含まれる。分子中に少なくとも1つ、好ましくは1.5~3.0のヒドロキシル基を有する適切なスターター分子は、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサン、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、例えば、グルコース、ソルビトール、マンニトールおよびスクロースなどの糖化合物、多価フェノール、フェノールおよびホルムアルデヒドのオリゴマー縮合生成物などのレゾール、およびフェノール、ホルムアルデヒドおよびジアルカノールアミンのマンニッヒ縮合物、ならびにメラミンを含む群から選択される。分子中に1つ以上の一級アミン基を有する出発分子は、例えば、アニリン、EDA、TDA、MDA、およびPMDAからなる群から、より好ましくはTDAおよびPMDAを含む群から選択され得、最も好ましくはTDAであり得る。TDAを使用する場合、すべての異性体を、単独で、または任意の所望の混合物において使用することができる。例えば、2,4-TDA、2,6-TDA、2,4-TDAと2,6-TDAの混合物、2,3-TDA、3,4-TDA、3,4-TDAと2,3-TDAの混合物、および上記のすべての異性体の混合物も使用することができる。ポリエーテルポリオールを調製するための触媒には、アニオン重合用の水酸化カリウムなどのアルカリ触媒、またはカチオン重合用の三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒が含まれ得る。好適な重合触媒には、水酸化カリウム、水酸化セシウム、三フッ化ホウ素、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛または四ホスファゼニウム化合物などの二重シアン化物錯体(DMC)触媒が含まれ得る。本開示の好ましい実施形態では、出発物質ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレン、(メトキシ)ポリエチレングリコール(MPEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(2-メチル-1,3-プロパングリコール)または一級ヒドロキシル末端基もしくは二級ヒドロキシル末端基を有するエチレンエポキシドおよびプロピレンエポキシドのコポリマー(ポリエチレングリコール-プロピレングリコール)が挙げられる。
【0018】
1つの好ましい実施形態によれば、第1のポリオールは、上記の1つ以上のポリエーテルポリオールのみを含む。1つの好ましい実施形態によれば、第1のポリオールは、ポリエーテルポリオール以外の上記の1つ以上のポリオールをさらに含む。
【0019】
本開示の好ましい実施形態によれば、第1のポリオール、第2のポリオール、および任意の追加の添加剤または調整剤に含まれるヒドロキシル基の総モル量に対して化学量論的モル量でイソシアネート基が存在するように、ポリイソシアネート化合物の量は、適切に選択される。本開示の一実施形態によれば、ポリウレタンプレポリマーは、2~50重量%、好ましくは6~49重量%、好ましくは8~25重量%、好ましくは10~20重量%、より好ましくは11~15重量%、最も好ましくは12~13重量%のNCO含有量を有する。本開示の一実施形態によれば、ポリウレタンプレポリマーは、50cSt~10,000cSt、または100cSt~9,000cSt、または300cSt~8,500cSt、または500cSt~8,000cSt、または500cSt~5,000cSt、または1,000cSt~7,000cSt、または2,000cSt~6,000cSt、または3,000cSt~5,000cSt、または500cSt~5,000cStの粘度(平均動粘度)を有する。
【0020】
本開示の好ましい実施形態によれば、成分(A)は、1つのポリウレタンプレポリマーのみを含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、成分(A)は、ポリイソシアネートおよび第1のポリオールのカテゴリーおよび相対的含有量などの、配合が互いに異なる2つ以上のポリウレタンプレポリマーのブレンドである。
【0021】
ポリイソシアネート化合物と第1のポリオールとの間の反応は、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の反応を促進することができる1つ以上の触媒の存在下で行われ得る。理論に束縛されないが、触媒には、例えば、グリシン塩;三級アミン;トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィンなどの三級ホスフィン;モルホリン誘導体;ピペラジン誘導体;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトセテートなどとBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、およびNiなどの金属とから得られるものなどの様々な金属のキレート;塩化第二鉄および塩化第二スズなどの強酸の酸性金属塩;有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Ni、およびCuなどの様々な金属との塩;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクタノエート、スズ(II)ジエチルヘキサノエート、およびスズ(II)ジラウレートなどの有機スズ化合物、ならびに有機カルボン酸ジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、およびジオクチルスズジアセテート;有機カルボン酸のビスマス塩、例えば、ビスマスオクタノエート、3価および5価のAs、Sb、およびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニル、またはそれらの混合物が含まれ得る。三級アミン触媒は、少なくとも1つの三級窒素原子を含有し、かつヒドロキシル/イソシアネート反応を触媒することができる有機化合物を含む。三級アミン、モルホリン誘導体、およびピペラジン誘導体触媒には、例として、これらに限定されないが、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N-エチルモルホリン、2-メチルプロパンジアミン、メチルトリエチレンジアミン、2,4,6-トリジメチルアミノ-メチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノ-プロピル)sym-ヘキサヒドロトリアジン、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0022】
一般に、本明細書で使用される触媒の含有量は、ゼロ超であり、成分(A)の総重量に基づいて、最大3.0重量%、好ましくは最大2.5重量%、より好ましくは最大2.0重量%である。
【0023】
本開示の代替の実施形態によれば、成分(A)は、1つ以上のポリウレタンプレポリマーと1つ以上のモノマーポリイソシアネートとのブレンドであり、モノマーポリイソシアネートが、ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるものから選択される。
【0024】
ポリオール成分(B)
本開示の様々な実施形態では、ポリオール成分(B)は、ポリウレタンプレポリマーを調製するための第1のポリオールと同一かまたは異なり得る1つ以上の第2のポリオールを含む。本出願の好ましい実施形態によれば、第2のポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC2-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC6-C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC7-C15アラリファティック多価アルコール、100~5,000の分子量および1.5~5.0の平均ヒドロキシル官能価を有するポリエステルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリ(C2-C10)アルキレングリコールまたは複数の(C2-C10)アルキレングリコールのコポリマーであるポリエーテルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリカーボネートジオール、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC2-C10アルカノールアミン、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択した。本出願の一実施形態によれば、第2のポリオールは、ポリマーポリオール(ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、およびポリエステル-ポリエーテルコポリマーポリオールのうちの1つ以上など)と、モノマーポリオール(少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC2-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC6-C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC7-C15アラリファティック多価アルコール、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC2-C10アルカノールアミンのうちの1つ以上など)とのブレンドである。本出願の別の実施形態によれば、第2のポリオールは、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとのブレンドである。
【0025】
ポリウレタンプレポリマー成分(A)とポリオール成分(B)との間の反応は、1つ以上の触媒の存在下で行われ得、当該触媒は、ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるものと同一かまたは異なり得る。例えば、成分(A)と成分(B)との間の反応を触媒するために使用される触媒には、例えば、グリシン塩;三級アミン;トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィンなどの三級ホスフィン;モルホリン誘導体;ピペラジン誘導体;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトセテートなどとBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、およびNiなどの金属とから得られるものなどの様々な金属のキレート;塩化第二鉄および塩化第二スズなどの強酸の酸性金属塩;有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Ni、およびCuなどの様々な金属との塩;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクタノエート、スズ(II)ジエチルヘキサノエート、およびスズ(II)ジラウレートなどの有機スズ化合物、ならびに有機カルボン酸ジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、およびジオクチルスズジアセテート;有機カルボン酸のビスマス塩、例えば、ビスマスオクタノエート、3価および5価のAs、Sb、およびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニル、またはそれらの混合物が含まれ得る。三級アミン触媒は、少なくとも1つの三級窒素原子を含有し、かつヒドロキシル/イソシアネート反応を触媒することができる有機化合物を含む。三級アミン、モルホリン誘導体、およびピペラジン誘導体触媒には、例として、これらに限定されないが、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N-エチルモルホリン、2-メチルプロパンジアミン、メチル-トリエチレンジアミン、2,4,6-トリジメチルアミノ-メチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノ-プロピル)sym-ヘキサヒドロトリアジン、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0026】
一般に、本明細書で使用される触媒の含有量は、ゼロより大きく、ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、最大3.0重量%、好ましくは最大2.5重量%、より好ましくは最大2.0重量%である。
【0027】
本出願において、「発泡剤(foaming agent)」および「発泡剤(blowing agent)」という用語は、交換可能に使用され、生じるPU人工皮革製品に内部気孔性構造を付与することができる試薬を表す。「カプセル化発泡剤(foaming agent)」、「カプセル化発泡剤(blowing agent)」、および「ミクロスフェア発泡剤(foaming agent)」という用語は、互換的に使用され、コア-シェル構造を有する発泡剤を表す。
【0028】
本開示の様々な実施形態によれば、カプセル化発泡剤は、成分(A)と成分(B)との間の反応中存在して、穏やかかつ円滑な発泡の進行を達成する。
図1は、例示的なカプセル化発泡剤の概略図である。
図1に示されるように、カプセル化発泡剤は、シェル内にカプセル化されたコア相を含む。シェルは、好ましくは、コア相の表面全体をカプセル化する。本出願の代替の実施形態によれば、カプセル化発泡剤は、複数のコアおよび/または複数のシェルを含み、各コアおよび/またはシェルの配合および/または寸法が、互いに同一であっても、または互いに異なっていてもよい。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、コア相は、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC3-C16脂肪族炭化水素、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC6-C16脂環式または芳香族炭化水素、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC2-C16エーテル化合物、テトラ(C1-C6アルキル)シラン、テトラ(C1-C6 アルコキシ)ケイ素、水、カーボンアミド(carbonamide)化合物、ヒドラジド、ポリアミン、ニトリル、カルボン酸塩、重炭酸塩、有機硫酸塩、二酸化炭素、一酸化炭素、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの発泡化合物(発泡コア化合物としても知られている)を含む。本開示の好ましい実施形態によれば、コア相内の発泡化合物は、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1-ジクロロフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロ-ジフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロ-エタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-プロパン、ペルフルオロプロパン、水、アゾジカーボンアミド、ベンゼン-スルホニルヒドラジド、ジニトロソ-ペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸鉄、ドデシル硫酸ナトリウム、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含む。
【0030】
シェルは、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含むか、またはそれらからなる。本開示の一実施形態によれば、外殻は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、n-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレンクロロスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-フェニルマレイミド、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン(propenyllketone)、N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルオイプロパン(trimethyloipropane)トリメタクリレート、ペンタエリスリチル(pentaerithrityl)テトラメタクリレート、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロデカン、およびそれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーによって形成されるホモポリマーまたはコポリマーを含む。本開示の好ましい実施形態によれば、シェルは、アクリル樹脂、好ましくは硬質アクリル樹脂を含むか、またはそれからなる。
【0031】
本開示の一実施形態によれば、カプセル化発泡剤は、「未膨張」状態下で成分(A)と成分(B)との間に反応系に組み込まれ、次いで、60℃~300℃、好ましくは70℃~250℃、より好ましくは75~240℃、最も好ましくは80℃~235℃の温度下で反応が進行するにつれて膨張して、生じるポリウレタン内に気孔を形成する。例えば、「開始温度」または「膨張開始温度」としても知られている、カプセル化発泡剤が膨張し始める温度は、80℃、82℃、84℃、85℃、88℃、90℃、92℃、94℃、95℃、96℃、98℃、100℃、102℃、104℃、105℃、106℃、108℃、110℃、115℃、118℃、120℃、122℃、125℃、127℃、130℃、132℃、134℃、135℃、137℃、139℃、140℃、142℃、144℃、145℃、147℃、148℃、149℃、150℃Cであり得るか、または上の値のうちのいずれか2つの組み合わせによって得られる温度範囲内であり得る。反応中の最高温度は、反応活性/速度、ならびに加熱/冷却/熱リサイクルメカニズムなどの要因に依存し、120℃、125℃、128℃、130℃、132℃、135℃、138℃、140℃、142℃、144℃、145℃、146℃、148℃、150℃、152℃、155℃、158℃、160℃、162℃、165℃、168℃、170℃、172℃、175℃、178℃、180℃、182℃、185℃、188℃、190℃、192℃、195℃、198℃、200℃、202℃、205℃、208℃、210℃、212℃、215℃、218℃、220℃、222℃、225℃、228℃、230℃、232℃、235℃、238℃、240℃、242℃、245℃、248℃、250℃、252℃、255℃、258℃、260℃、262℃、265℃、268℃、270℃、272℃、275℃、277℃、280℃、282℃、285℃、288℃、290℃、292℃、295℃、298℃、300℃であり得るか、または上の値のうちのいずれか2つの組み合わせによって得られる温度範囲内であり得、ただし、最高温度は、開始温度よりも高い。
【0032】
本開示の一実施形態によれば、カプセル化発泡剤は、非膨張状態下で、40kg/m3以下、または38kg/m3以下、または35kg/m3以下、または32kg/m3以下、または30kg/m3以下、または28kg/m3以下、または26kg/m3以下、または25kg/m3以下、または23kg/m3以下、または22kg/m3以下、または20kg/m3以下、または18kg/m3以下、または16kg/m3以下、または15kg/m3以下、または12kg/m3以下、または10kg/m3以下、または8kg/m3以下、または7kg/m3以下、または6kg/m3以下、または5kg/m3以下の低密度を有する。
【0033】
本開示の一実施形態によれば、カプセル化発泡剤は、非膨張状態下で、5μm、もしくは7μm、もしくは8μm、もしくは9μm、もしくは10μm、もしくは12μm、もしくは14μm、もしくは15μm、もしくは17μm、もしくは19μm、もしくは20μm、もしくは22μm、もしくは24μm、もしくは25μm、もしくは27μm、もしくは30μm、もしくは32μm、もしくは34μm、もしくは35μm、もしくは37μm、もしくは39μm、もしくは40μmの粒径を有するか、または上の値のうちのいずれか2つの組み合わせによって得られる数値範囲内であり得る。本開示の一実施形態によれば、カプセル化発泡剤の外殻は、非膨張状態下で、0.02μm、もしくは0.05μm、もしくは0.08μm、もしくは0.1μm、もしくは0.2μm、もしくは0.5μm、もしくは0.8μm、もしくは1μm、もしくは2μm、もしくは3μm、もしくは4μm、もしくは5μm、もしくは6μm、もしくは7μm、もしくは8μm、もしくは9μm、もしくは10μm、もしくは11μm、もしくは12μmの厚さを有するか、または上の値のうちのいずれか2つの組み合わせによって得られる数値範囲内であり得る。
【0034】
図1は、熱処理下でのカプセル化発泡剤の膨張を示しており、カプセル化発泡剤の直径が、非膨張のカプセル化発泡剤の元の直径の1.2倍、または1.5倍、または1.7倍、または1.9倍、または2.0倍、または2.2倍、または2.5倍、または2.8倍、または3.0倍、または3.2倍、または3.5倍、または3.8倍、または4.0倍、または4.2倍、または4.5倍、または4.8倍、または5.0倍、または5.2倍、または5.5倍、または5.8倍、または6.0倍、または6.5倍、または6.8倍、または7.0倍、または7.2倍、または7.5倍、または7.8倍、または8.0倍、または8.2倍、または8.5倍、または8.8倍、または9.0倍、または9.2倍、または9.5倍、または9.8倍、または10倍まで増加し得る。そのような膨張は、物理的プロセス(熱膨張、蒸発、昇華など)、化学的プロセス(分解、ガス発生など)、またはそれらの組み合わせによって引き起こされ得る。シェルの厚さは、拡張が進行するにつれて減少するであろう。本出願の一実施形態によれば、シェルは、膨張段階中、無傷のままであるので、コア内の発泡剤が漏れず、当該成分(A)または第2のポリオールと接触することはなく、したがって、気孔性の形成は、主に膨張に依存し、PU製品内の気孔構造は、実質的には独立気孔である。
【0035】
本開示の代替の実施形態では、カプセル化発泡剤のシェルの一部、例えば、カプセル化発泡剤のシェルの約5%、7%、9%、10%、12%、15%、17%、19%、20%、22%、25%、27%、29%、30%、32%、35%、37%、40%、42%、45%、48%、50%、52%、55%、58%、60%、62%、65%、68%、70%、72%、75%、78%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、または100%は、膨張段階中に壊れ、したがって、発泡剤は、シェルから漏れ出し、系内のポリウレタンプレポリマー、第2ポリオール、または任意の他の添加剤/アジュバントと接触して、発泡体および気孔性構造をさらに生成する。気孔性構造は、そのような状況下でのコアシェル発泡剤の膨張と漏れたコア発泡剤の物理的/化学的作用との組み合わせに由来する。
【0036】
本開示の一実施形態によれば、カプセル化発泡剤の含有量は、ポリオール成分(B)の総重量に基づいて、0.1重量%~30重量%、より好ましくは0.1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~7重量%、より好ましくは2.3重量%~6.2重量%、最も好ましくは2.5重量%~3.5重量%である。
【0037】
本開示の一実施形態によれば、カプセル化発泡剤は、成分(A)および成分(B)の反応の前に第2のポリオールと合わせられる。本開示の代替の実施形態によれば、成分(B)のカプセル化発泡剤、第2のポリオール、および任意の他の成分は、成分(A)と独立してブレンドされるが、それらのすべては、依然として、成分(B)の成分と見なされる。
【0038】
本開示の好ましい実施形態によれば、本開示の非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物は、カプセル化発泡剤のみを含み、任意の他の発泡剤を含まない。本開示の様々な実施形態によれば、本開示の非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物は、好ましくは、任意の発泡安定剤を含まない。
【0039】
添加剤
本開示の様々な実施形態では、非溶剤2成分ポリウレタン組成物は、鎖延長剤、架橋剤、カプセル化発泡剤以外の発泡剤、発泡安定剤、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、顔料、水スカベンジャー、界面活性剤、溶剤、希釈剤、難燃剤、滑り止め剤、帯電防止剤、防腐剤、殺生物剤、抗酸化剤、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。これらの添加剤は、独立した成分として送られ、貯蔵され得、成分(A)および(B)の組み合わせの少し前または直前にポリウレタン組成物に組み込まれ得る。あるいは、これらの添加剤は、それらが、イソシアネート基またはイソシアネート反応性(ヒドロキシル)基に対して化学的に不活性である場合、成分(A)および(B)のうちのいずれかに含有され得る。
【0040】
本開示の一実施形態によれば、1つ以上の気泡制御剤および気泡安定剤は、非溶剤2成分ポリウレタン組成物中に含まれ得る。
【0041】
ポリウレタン発泡体を形成する反応物中には鎖延長剤が存在し得る。鎖延長剤は、分子当たり2つのイソシアネート反応性基を有し、イソシアネート反応性基当たりの当量が300未満、好ましくは200未満、および特に31~125である化学物質である。イソシアネート反応性基は、好ましくは、ヒドロキシル、一級脂肪族または芳香族アミノまたは二級脂肪族または芳香族アミノ基である。代表的な鎖延長剤には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3-クロロ-4-アミノフェニル)メタン、ジメチルチオ-トルエンジアミンおよびジエチルトルエンジアミンが含まれる。
【0042】
ポリウレタン発泡体を形成する反応物中に、1つ以上の架橋剤も存在し得る。本発明の目的において、「架橋剤」とは、分子当たり3つ以上のイソシアネート反応性基および300未満のイソシアネート反応性基当たり当量を有する材料である。架橋剤は、分子当たり、好ましくは、3~8、特に3~4のヒドロキシル、一級アミンまたは二級アミン基を含有し、30~約200、特に50~125の当量を有する。好適な架橋剤の例には、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ-、ジ-、またはトリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが含まれる。
【0043】
鎖延長剤および架橋剤は、これらの材料のいずれかの量が増加するにつれて硬度が増加するため、少量で適切に使用される。好適には、第1のポリオールと第2のポリオールとを合わせた100重量部当たり0~25重量部の鎖延長剤が使用される。好ましい量は、第1のポリオールと第2のポリオールとを合わせた100重量部当たり1~15部である。好適には、第1のポリオールと第2のポリオールとを合わせた100重量部当たり0~10重量部の架橋剤が使用される。好ましい量は、第1のポリオールと第2のポリオールとを合わせた100重量部当たり0~5部である。
【0044】
ポリウレタン組成物中に充填剤が存在し得る。充填剤は主にコストを削減するために含まれる。粒子状のゴム状材料は、特に有用な充填剤である。そのような充填剤は、ポリウレタン組成物の重量の1~50%以上を構成し得る。
【0045】
カプセル化発泡剤以外の追加の発泡剤には、水、空気、窒素、アルゴン、二酸化炭素、およびC4-C8炭化水素、C4-C8ハイドロフルオロカーボン、C4-C8ハイドロクロロフルオロカーボンが含まれ、これらのすべては、シェル内にカプセル化されない。反応混合物中に界面活性剤が存在し得る。界面活性剤はまた、充填剤粒子を濡らし、それによってそれらを反応性組成物およびエラストマーに分散させるのを助けるのに有用であり得る。シリコーン界面活性剤はこの目的で広く使用されており、ここでも使用できる。使用される界面活性剤の量は、一般に、第1および第2のポリオールを合わせた100重量部当たり0.02~1重量部であろう。
【0046】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン組成物は、その中に意図的に添加された水または水分を実質的に含まない。例えば、「水を含まない」または「非含水」とは、ポリウレタン組成物を調製するために使用されたすべての原料の混合物が、原料の混合物の総重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは100重量ppm未満、より好ましくは50重量ppm未満、より好ましくは10重量ppm未満、より好ましくは1重量ppm未満を構成することを意味する。
【0047】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン組成物は、その中に意図的に添加された任意の有機溶剤を実質的に含まない。例えば、「有機溶剤を含まない」または「有機溶剤不含の」とは、ポリウレタン組成物を調製するために使用されるすべての原料の混合物が、原料の混合物の総重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは100重量ppm未満、より好ましくは50重量ppm未満、より好ましくは10重量ppm未満、より好ましくは1重量ppm未満の有機溶剤を含むことを意味する。
【0048】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン組成物は、その中に意図的に添加された任意の溶剤を実質的に含まない。本明細書に開示されるように、「溶剤」という用語は、いかなる化学反応も引き起こすことなく、1つ以上の固体、液体、または気体の材料を単に溶解する機能を有する有機および無機液体を指す。言い換えれば、重合技術で一般に「溶剤」と見なされるいくつかの有機化合物、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコール、ならびに水は、PU発泡体の調製に使用されるが、それらは、主に化学反応を起こすことにより、イソシアネート反応性機能性物質、鎖延長剤、または発泡剤などとして機能するため、それらのいずれも「溶剤」に属さない。
【0049】
剥離層
剥離フィルムはまた、剥離層としても知られているか、または従来技術では典型的には「剥離紙」として知られている。好適な剥離フィルム/剥離層の例には、金属、プラスチック、または紙の箔が含まれる。本開示の1つの好ましい実施形態では、剥離層は、任意選択的にプラスチック膜でコーティングされた紙層である。好ましくは、本明細書に開示される紙層は、ポリオレフィン、より好ましくはポリプロピレンでコーティングされる。あるいは、紙層は、好ましくはシリコーンでコーティングされる。代替の実施形態では、本明細書で使用される剥離層は、任意選択的に、プラスチック膜でコーティングされたPET層である。好ましくは、PET層は、ポリオレフィン、より好ましくはポリプロピレンでコーティングすることができる。あるいは、PET層は、好ましくはシリコーンでコーティングされる。好適な剥離層の例は、市販されている。本開示で使用される剥離層は、対応する表面または相補的な表面プロファイルが人工皮革物品の最外面上に形成され得るように、平坦な表面、エンボス加工された表面、またはパターン付き表面を有し得る。好ましくは、剥離層は、高級天然皮革のものに匹敵する良好な触感特性を人工皮革物品に付与するように、皮革銀面の様式のテクスチャー加工を施される。剥離層は、一般に、0.001mm~10mm、好ましくは0.01mm~5mm、より好ましくは0.1mm~2mmの厚さを有する。
【0050】
剥離層の材料および厚さは、剥離層が、製造手順中に経験する化学反応、機械的加工、および熱処理に耐えることが可能であり、かつスキンフィルムと2K PU発泡体ベース層との間の層間剥離を引き起こすことなく、生じる人工皮革から容易に剥離することができる限り、適切に調節することができる。
【0051】
担体層
本開示の実施形態では、担体層はまた、下地基材としても知られており、0.01mm~50mmの範囲、好ましくは0.05mm~10mmの範囲、より具体的には0.1mm~5mmの範囲の厚さを有する。担体層は、布地、好ましくは織布地もしくは不織布地、含浸布地、ニット布地、編組布地、またはマイクロファイバー;金属またはプラスチック、例えばゴム、PVC、またはポリアミドの箔;および皮革、好ましくは床革からなる群から選択される1つ以上を含み得る。
【0052】
担体層は、織テキスタイルまたは不織テキスタイルで作製され得る。好ましくは、テキスタイルは、不織テキスタイルである。テキスタイルは、当技術分野で既知のものなどの任意の好適な方法によって作製され得る。テキスタイルは、任意の好適な繊維材料から調製され得る。好適な繊維材料には、合成繊維材料、および天然または半合成繊維材料、ならびにそれらの混合物またはブレンドが含まれるが、これらに限定されない。合成繊維材料の例には、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、およびそれらのブレンドまたは混合物が含まれる。天然の半合成繊維材料の例には、綿、羊毛、および麻が含まれる。
【0053】
製造技術
本開示の一実施形態によれば、合成ポリウレタン皮革製品は、本開示の組成物を使用する方法によって調製することができ、方法が、i)ポリイソシアネート化合物を第1のポリオールと反応させて、(A)1つ以上のポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタンプレポリマー成分を形成するステップと、ii)(A)ポリウレタンプレポリマー成分を(B)ポリオール成分と混合して、前駆体混合物を形成するステップと、iii)前駆体混合物を剥離フィルムの1つの表面上に適用して、未硬化の層を形成するステップと、iv)任意選択的に、未硬化の層の剥離フィルムに対向する表面上に担体層を適用するステップと、iv)未硬化の層を加熱して、発泡ポリウレタン皮革層を形成するステップと、v)任意選択的に、発泡ポリウレタン皮革層を剥離フィルムから剥離するステップと、を含む。
【0054】
このように製造された製品は、発泡ポリウレタン皮革層、任意選択的な剥離フィルム、および任意選択的な担体層を含む。成分(A)と成分(B)とを合わせることによって形成される組成物は、噴霧コーティング、ブレードコーティング、ダイコーティング、キャストコーティングなどの従来のコーティング技術によって適用され得る。
【0055】
本開示の実施形態では、成分(A)中のポリイソシアネート、成分(A)中の第1のポリオール、および第2のポリオールのカテゴリーおよびモル含有量は、具体的には、NCO基対ヒドロキシル基の全体的な当量比が、0.9:1~1.8:1の範囲、好ましくは0.92:1~1.6:1、好ましくは0.95:1~1.5:1の範囲、より好ましくは1:1~1.45:1の範囲、より好ましくは1.05:1~1.4:1の範囲、より好ましくは1.10:1~1.35:1の範囲であるように選択される。
【0056】
コーティングは、次の層、例えば担体層を適用する前に、部分的にまたは完全にのいずれかで硬化され得る。
【0057】
一実施形態によれば、成分(A)および成分(B)は、一緒に混合され、剥離フィルムに適用され、例えば70℃~130℃、好ましくは75℃~100℃の温度のオーブンで、10秒~5分、好ましくは30秒~2分、より好ましくは45~90秒の短い持続時間の間加熱されることによって予備硬化される。次いで、担体層(例えば、テキスタイル布地)は、予備硬化された2K PU発泡体層に押圧ローラを補助として用いて適用され、続いて例えば、105℃~150℃、好ましくは110℃~140℃のより高い温度で、2~20分、好ましくは3~10分、より好ましくは4~10分のより長い持続時間の間、後硬化される。上記の2ステップ硬化プロセスは、予備硬化された2K PU発泡体と担体層との間の高い接着強度を確保することを目的とする。一実施形態によれば、生じる2K発泡体PU層は、0.01~1000μm、好ましくは10~500μm、より好ましくは200~500μmの厚さを有する。
【0058】
本開示の好ましい実施形態によれば、剥離フィルム/剥離層は、2K PU発泡体が完全に硬化した後、除去される。剥離層は、任意の通常の技術を介して剥離することができる。
【0059】
本開示の好ましい実施形態によれば、剥離層の除去後、上部仕上げ層を人工皮革の表面上(すなわち、上部コーティング層の最外面上)に適用し、乾燥させて保護フィルム層を形成してもよい。仕上げ層の存在は、多層人工皮革の耐摩耗性をさらに増加させることができる。保護フィルム層は、任意の好適な原料および技術を使用することによって形成され得る。仕上げ層は、任意選択的に、湿潤剤、架橋剤、結合剤、艶消し剤、手触り調整剤、顔料および/もしくは着色剤、増粘剤、または上部コーティング層に使用される他の添加剤などの添加剤を含んでもよい。本明細書に開示の人工皮革は、スキン層と仕上げ層との間のカラー層などの1つまたは2つ以上の任意選択的な追加の層をさらに含み得る。他の好適な任意選択的な追加の層は、撥水層、UV保護層、および触覚(タッチ/フィール)変性層から選択することができる。
【0060】
本発明のプロセスは、連続的またはバッチ式で実施され得る。連続プロセスの例は、ロールツーロールプロセスであり、
図2に概略的に示されている。剥離フィルム/剥離層のロールはほどかれ、2つ以上のワークステーションを通って送られ、ワークステーションで2K非溶剤PU発泡体の混合物が適用される。加熱または照射デバイスは、コーティングされた層の乾燥または硬化を促進するために各コーティングステーションの後に配設され得、ローラはまた、層間の接着強度を向上するために使用され得る。巻き戻された剥離層は、概して、10~20,000メートル、10~15,000メートル、好ましくは20~10,000メートルの長さであり、典型的には、0.1~60m/分、好ましくは3~45m/分、より好ましくは5~15m/分の範囲の速度で送られる。連続的な技術の端部において、剥離層は、剥離され、スピンドル上に巻かれる。巻き取られた剥離層は、好ましくは少なくとも2回再利用され得る。
【0061】
担体層/下地基材/皮革ベースは、ロールツーロールモードで提供され得る、すなわち、担体層は、ロールとして提供され、ほどかれ、部分的に硬化された2K非溶剤PU発泡体の表面上に適用され、次いで、2K非溶剤PU発泡体は、完全に硬化され、積層人工皮革物品は、スピンドルに巻き付けられ、ロールとして貯蔵/販売され得る。
【0062】
1つの好ましい実施形態では、人工皮革は、1つまたは2つの方向に延伸されることによって配向される(すなわち、一軸または二軸配向)。配向された人工皮革の寸法は、1.1~5倍、好ましくは1.2~2倍増加し得る。配向された人工皮革は、改善された通気性を呈する。
【0063】
本明細書に開示の多層構造人工皮革は、靴の製造などの任意の所望の目的に好適な形状を有するように、切断されるかまたは成形され得る。人工皮革は、天然皮革と同様に、意図される用途に応じて、例えばブラッシング、充填、ミリング、またはアイロンがけによってさらに処理または後処理され得る。必要に応じて、人工皮革は、(天然皮革のように)通常の仕上げ組成物で仕上げられ得る。これは、それらの性質を制御するためのさらなる可能性を提供する。本明細書に開示の多層構造は、人工皮革としての使用に特に好適な様々な用途、例えば、履物、ハンドバッグ、ベルト、財布、衣服、家具装飾、自動車装飾、および手袋に使用され得る。多層構造は、自動車用途での使用に特に好適である。
【実施例】
【0064】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例に詳細に説明する。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に記載される配合物に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明である。
【0065】
実施例で使用された原料の情報を以下の表1に列挙する。
【表1】
【0066】
調製例1~4および対照例:非溶剤2成分ポリウレタン組成物の合成
調製例および対照例では、VORANOL(商標)CP 6001、VORANOL(商標)4240、SPECFLEX(商標)NC 701、FOMREZ UL-29、およびExpancel 031 DU40/Expancel 043 DU80を、2500rpmのFlackTekスピードミキサ(モデル番号:DAC150.1 FVA)で2.5分間混合した。このミキサは、試料中に気泡を生成することなく試料を混合することができる。次いで、SPECFLEX(商標)NE 1156を反応系に添加し、2500rpmのFlackTekスピードミキサで0.5分間混合して、PUプレポリマー/ポリオール混合物を生成した。
【0067】
これらの例では、
図2に示される連続コーティング装置を使用し、上記のPUプレポリマー/ポリオール混合物を、ギャップコントローラ付きのナイフによって剥離紙上に適用した。コーティングした剥離紙を、90℃のオーブンで40秒間予備硬化させた。任意選択的に、3.9Kgのローラを補助として用いて、PU樹脂層の剥離紙に対向する表面上に布地を適用した。このように形成した積層体を、140℃のオーブンで4分間完全に硬化させた。硬化した製品を周囲温度まで冷却した後、剥離紙を剥離し、最終製品を試験用の標準試料に切断した。
【表2】
【0068】
PUフィルムを特徴評価するための技術
PUフィルムの引張強度
上のプロセスに続いて、布地を適用することなく純粋なPUフィルムを調製した。ASTM D638-10に従って、生じたPUフィルムをマイクロ「ドッグ」ボーン試料に切断した。各試料の上端および下端をInstron機に固定し、50cm/分の速度でその引張強度を特徴評価した。樹脂フィルムの特性を表3に列挙する。
【0069】
皮革の剥離強度
剥離紙、PUフレア、およびラテックスを含む3層積層体を20cm×3cmのサイズを有する皮革試験片に切断し、試験片のそのスキン表面上をエポキシ接着剤でコーティングした。次いで、エポキシコーティングされた表面を各々向かい合わせて、各試験片を折りたたんで、10cm×3cmの試験片を形成した。折りたたんだ試験片を押圧し、室温で一晩硬化させた。次いで、Tモデルの剥離強度、伸び、弾性率@100%の試験をInstronで行った。2つの面を引き離す剥離力を記録するようにデバイスを設定する。各試料の3つの試験片を試験し、生じた剥離力を記録し、表4に要約した。剥離強度の通常の要求は、業界では>20N、ミドルエンドでは>40N、およびハイエンド製品では>80Nである。
【0070】
皮革のBally Flex
合成皮革の各方向を7.5cm×4.5cmの皮革シート2枚に切断した。2つの異なる方向の試料を2台のBally Flex機に固定した(1つは室温でBally Flexを試験するため、もう1つは-15℃でBally Flexを試験するため、各温度試験は2つの方向試料を必要とする)。これらの2組のBally Flexを、100回/分の速度で試験した。室温(RT)のBally Flex試験は100000回を必要とし、-15℃のBally Flex試験は30000回を必要とする。Bally Flex特徴評価データを、表5に列挙した。ローエンドの要求は、RTで50000回、ハイエンドの要求は、RTで100000回、-15℃で30000回である。
【0071】
皮革のSEM画像
PU発泡体層の断面および表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、5.00KVの加速電子ボルト下で撮影した。ナイフで試験片を切断することによって断面を露出させ、
図3a~
図3eは、本開示の発明例、比較例、および対照例で製造したPU発泡体の断面および表面の走査型電子顕微鏡(SEM)を示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【0072】
結論
図3a~3eに示される微細構造学によれば、カプセル化発泡剤は、安定剤を使用することなく、良好な手触りを有しながらPU樹脂中に均一な気泡を生成することができる。発泡PU樹脂の機械的性能特性は、発泡材料の通常の要件を満たしている。表4から理解され得るように、未発泡試料および発泡試料は、同等のBally Flexの結果を呈し、すべての試料は、皮革業界における最高のBally Flexの要件を満たしている。未発泡PU皮革は、高い剥離強度を呈さず、これは、2K PU発泡体層上に布地を適用する前の、より速い反応速度に起因し得る。さらに、少ない量の発泡剤を含む発泡PU試料は、より多い量の発泡剤を含むものよりも良好な性能特性を達成することができる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物であって、
(A)少なくとも1つのポリイソシアネート化合物を少なくとも1つの第1のポリオールと反応させることによって調製される1つ以上のポリウレタンプレポリマーを含む、ポリウレタンプレポリマー成分であって、前記ポリウレタンプレポリマーが、少なくとも2つの遊離イソシアネート基を含む、ポリウレタンプレポリマー成分と、
(B)少なくとも1つの第2のポリオールを含む、ポリオール成分と、を含み、
前記ポリオール成分が、外殻内にカプセル化された少なくとも1つの発泡コア相を含むカプセル化発泡剤をさらに含む、非溶剤2成分ポリウレタン人工皮革組成物。
[2] 前記発泡コア相が、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC
3
-C
16
脂肪族炭化水素、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC
6
-C
16
脂環式または芳香族炭化水素、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC
2
-C
16
エーテル化合物、テトラ(C
1
-C
6
アルキル)シラン、テトラ(C
1
-C
6
アルコキシ)ケイ素、水、カーボンアミド(carbonamide)化合物、ヒドラジド、ポリアミン、ニトリル、カルボン酸塩、重炭酸塩、有機硫酸塩、二酸化炭素、一酸化炭素、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含み、
前記外殻が、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含む、[1]に記載の組成物。
[3] 前記発泡コア相が、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1-ジクロロフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロ-ジフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロ-エタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、ペルフルオロプロパン、水、アゾジカーボンアミド、ベンゼン-スルホニルヒドラジド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸鉄、ドデシル硫酸ナトリウム、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含み、かつ/または
前記外殻が、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、n-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレンクロロスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-フェニルマレイミド、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン(propenyllketone)、N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルオイプロパン(trimethyloipropane)トリメタクリレート、ペンタエリスリチル(pentaerithrityl)テトラメタクリレート、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロデカン、およびそれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーによって形成されるホモポリマーまたはコポリマーを含む、[2]に記載の組成物。
[4] 前記カプセル化発泡剤の含有量が、前記ポリオール成分(B)の総重量に基づいて、2~7重量%である、[1]に記載の組成物。
[5] 前記カプセル化発泡剤の含有量が、前記ポリオール成分(B)の総重量に基づいて、2.5~3.5重量%である、[1]に記載の組成物。
[6] 前記カプセル化発泡剤が、以下のパラメーターのうちの少なくとも1つを有する、[1]に記載の組成物:
a)5~40μmの粒径を有すること、
b)0.1~10μmの外殻の厚さを有すること、
c)加熱すると、粒径が2~10倍、不可逆的または可逆的に膨張することが可能であること、
d)30kg/cm
3
以下の予備膨張密度を有すること、
e)80℃~150℃の膨張開始温度を有すること、および
f)120℃~235℃の軟化温度を有すること。
[7] 前記カプセル化発泡剤が、16~24μmの粒径、95~115℃の膨張開始温度、10kg/cm
3
以下の予備膨張密度、147℃~167℃の軟化温度を有し、
前記外殻が、アクリル樹脂で形成され、前記発泡コア相が、少なくとも1つの塩素原子および/またはフッ素原子で任意選択的に置換されたC
3
-C
16
脂肪族炭化水素である、[1]に記載の組成物。
[8] 前記ポリイソシアネート化合物が、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
4
-C
12
脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6
-C
15
脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7
-C
15
アラリファティックポリイソシアネート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
前記第1のポリオールおよび前記第2のポリオールの各々が、独立して、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC
2
-C
16
脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC
6
-C
15
脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC
7
-C
15
アラリファティック多価アルコール、100~5,000の分子量および1.5~5.0の平均ヒドロキシル官能価を有するポリエステルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリ(C
2
-C
10
)アルキレングリコールまたは複数の(C
2
-C
10
)アルキレングリコールのコポリマーであるポリエーテルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリカーボネートジオール、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC
2
-C
10
アルカノールアミン、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]に記載の組成物。
[9] 前記ポリウレタンプレポリマー成分(A)と前記ポリオール成分との間の重量比が、100:40~100:60である、[1]に記載の組成物。
[10] 前記ポリウレタンプレポリマーが、10~20重量%のNCO含有量、および50~10,000cStの粘度を有する、[1]に記載の組成物。
[11] 前記第2のポリオールが、スチレンおよびアクリロニトリルのコモノマーで修飾され、2,000~3,000の分子量、20~25mg KOH/gの平均OH価、4500~4900cStの粘度、ならびに25重量%~45重量%の固体含有量を有する、ポリエーテルポリオールを含む、[1]に記載の組成物。
[12] 前記組成物が、2重量%以下の水溶剤および2重量%以下の有機溶剤を含むか、または
前記組成物が、水溶剤を含まず、有機溶剤を含まない、[1]に記載の組成物。
[13] 前記組成物が、前記カプセル化発泡剤以外の形成剤を含まない、および/または
前記組成物が、発泡安定剤を含まない、[1]に記載の組成物。
[14] [1]~[13]のいずれかに記載の組成物を使用することによって、人工ポリウレタン皮革製品を調製するための方法であって、
i)前記ポリイソシアネート化合物を前記第1のポリオールと反応させて、1つ以上のポリウレタンプレポリマーを含む前記(A)ポリウレタンプレポリマー成分を形成することと、
ii)前記(A)ポリウレタンプレポリマー成分を前記(B)ポリオール成分と混合して、前駆体混合物を形成することと、
iii)前記前駆体混合物を剥離フィルムの1つの表面上に適用して、未硬化の層を形成することと、
iv)任意選択的に、前記未硬化の層の前記剥離フィルムに対向する表面上に担体層を適用することと、
iv)前記未硬化の層を加熱して、発泡ポリウレタン皮革層を形成することと、
v)任意選択的に、前記発泡ポリウレタン皮革層を前記剥離フィルムから剥離することと、を含む、方法。
[15] 前記製品が、発泡ポリウレタン皮革層、任意選択的な剥離フィルム、および任意選択的な担体層を含む、[14]に記載の方法によって調製される人工ポリウレタン皮革製品。