(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】焼結部品及び焼結部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/02 20060101AFI20240423BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240423BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20240423BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20240423BHJP
B22F 5/00 20060101ALI20240423BHJP
B30B 11/02 20060101ALI20240423BHJP
H01F 1/22 20060101ALI20240423BHJP
H01F 7/06 20060101ALI20240423BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B22F3/02 G
B22F1/00 Y
B22F3/00 B
B22F3/24 101Z
B22F5/00 Z
B30B11/02 F
H01F1/22
H01F7/06 D
H01F41/02 D
(21)【出願番号】P 2022535467
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2020085732
(87)【国際公開番号】W WO2021116391
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】102019134153.1
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515056277
【氏名又は名称】ゲーカーエン シンター メタルズ エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ライネル
(72)【発明者】
【氏名】ズィーゲルト,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ヴェルデ,マウリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ティラー,シュテファン
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-250256(JP,A)
【文献】特開2010-053970(JP,A)
【文献】特開平11-021602(JP,A)
【文献】特開2006-114625(JP,A)
【文献】特開2012-204574(JP,A)
【文献】特開2012-216679(JP,A)
【文献】特開昭57-041303(JP,A)
【文献】特開平07-112231(JP,A)
【文献】特開2019-143750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-7/08
H01F 1/22
H01F 7/06-7/20
H01F 17/04
H01F 37/00
H01F 41/02
H02K 33/00-33/18
B30B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末金属材料を押圧して圧粉体(2)を形成した後、焼結することによって製造される金属材料製の焼結部品(1)であって、
上記焼結部品(1)は、第1軸方向(4)を向く第1端面(5)と、第2軸方向(6)を向く第2端面(7)とを有する少なくとも1つの基部(3)を備え
、
上記焼結部品(1)は、少なくとも上記軸方向(4,6)において上記第1端面(5)から1つの端部(10)まで第1高さ(11)に亘って延びる隆起部(12)を備え、この隆起部(12)は、少なくとも部分的に0.8ミリメートル未満で、径方向(13
)に延びる第1幅(14)を有し、
上記焼結部品(1)は、上記第1幅(14)を含む部分において、上記材料の完全密度の少なくとも85%である第1密度(15)を有する。
【請求項2】
上記第1密度(15)が、上記材料の完全密度の少なくとも部分的に少なくとも92%である請求項1に記載の焼結部品(1)。
【請求項3】
上記第1幅(14)が、少なくとも部分的に0.3ミリメートル未満である請求項1又は請求項2に記載の焼結部品(1)。
【請求項4】
上記第2端面(7)と上記端部(10)との間で上記軸方向(4,6)に延びる第2高(16)さを有し、上記第1端面(5)と上記端部(10)との間の上記軸方向(4,6)において、上記隆起部(12)が上記径方向(13)に延びる最大の第2幅(17)を有し、上記第2幅(17)が最大1.0ミリメートルであり、上記第1高さ(11)が上記第2高さ(16)の少なくとも5%である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の焼結部品(1)。
【請求項5】
上記隆起部(12)の少なくとも1つの側面(18)が、上記軸方向(4,6)に対して最大30度の角度(48)で、少なくとも部分的に傾斜している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結部品(1)。
【請求項6】
上記隆起部(12)が、円環の又は円環の部分の形状で、上記第1端面(5)に沿って、かつ上記軸方向(4,6)を横断して延びる周方向において延びる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の焼結部品(1)。
【請求項7】
少なくとも上記隆起部(12)が、
径方向(13)の断面(20)において異なる密度を有する複数の領域(21,22,23)を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の焼結部品(1)。
【請求項8】
上記焼結部品(1)が上記径方向(13)に並行して延びる第3端面(24)を有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の焼結部品(1)。
【請求項9】
少なくとも上記隆起部(12)が、少なくとも部分的に磁性材料から構成される請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の焼結部品(1)。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の焼結部品(1)の製造方法であって、少なくとも以下のステップを備える。
a)第1軸方向(4)に向く第1端面(5)及び第2軸方向(6)に向く第2端面(7)を有する少なくとも1つの基部(3)と、さらに、少なくとも上記軸方向(4,6)において上記第1端面(5)から1つの端部(10)まで第1高さ(11)に亘って延び、上記端部(10)で第3端面(24)を形成している隆起部(12)とを備える焼結部品(1)の提供。
b)ツール(25)内への上記焼結部品(1)の配置。
c)上記焼結部品(1)に、少なくとも上記軸方向(4,6)で上記端面(5,7,24)に作用する第1圧縮力(26)を付与するための上記ツール(25)の使用。
d)上記焼結部品(1)に
、径方向(13)
に移動する加圧部材によって上記隆起部(12)
を圧縮する第2圧縮力(27)を付与
するための上記ツール(25)の使用。
ここで、ステップc)及びd)が少なくとも部分的に同時に実行され
ることで、較正され
る焼結部品(1)
の製造方法。
【請求項11】
上記焼結部品(1)が、上記第1圧縮力(26)によっても少なくとも部分的に成形される請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
上記第1圧縮力(26)が、上記第1端面(5)の全体、上記第2端面(7)の全体及び上記第3端面(24)の全体に亘って、上記焼結部品(1)に加えられる請求項10又は請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
上記
径方向(13)に移動する加圧部材が、少なくとも1つの圧延ツール(28
)、又
はスライド(
29)
である請求項10、請求項11又は請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
上記焼結部品(1)が、上記第1圧縮力(26)及び上記第2圧縮力(27)によって準等方的に押圧される請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の焼結部品(1)、又は請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された焼結部品(1)の使用であって、磁力を利用する装置(30)用として、上記焼結部品(1)の隆起部(12)が少なくとも部分的に磁性材料から構成され、上記隆起部(12)が磁束密度に影響を及ぼす使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼結部品及び焼結部品の製造方法に関する。焼結部品は、特に粉末材料から、圧粉体を形成するための押圧と、続いて固体の加工品(焼結部品)を形成するための焼結とによって製造される。
【背景技術】
【0002】
この種の焼結部品は、高い寸法精度又は少なくとも局所的な高密度を実現するため、較正(calibration)と呼ばれる後追いの押圧操作によって再加工され得る。較正は、焼結部品を、較正ツールによって軸方向に作用する第1の圧縮力に付することで通常はなされている。
【0003】
この種の焼結部品は、圧延工程(圧延とも呼ばれる)によっても再加工、つまり成形又はさらに圧縮され得る。圧延工程では、焼結部品を径方向に作用する第2の圧縮力に付されている。
【0004】
較正及び圧延は、一般に相互に独立したツールにおいて順番に実施される。焼結部品は、最初に第1のツール(較正ツール又は圧延ツール)内に配置及び処理される必要がある。そして、処理された焼結部品は、第1のツールから取り出され、第2のツール内に配置される(圧延ツール又は較正ツール)。
【0005】
独国特許発明第102015211657号明細書及び独国特許発明第102006041584号明細書は、特に、較正後に圧延工程によって処理される焼結部品である、構成部品の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102015211657号明細書
【文献】独国特許出願公開第102006041584号明細書
【0007】
密度等の特定の特性が規定されている焼結部品として、特定の幾何学形状を製造することは困難又は不可能である。低密度でのみ製造され得る、対面が所定の角度なすような薄い壁の幾何学形状が、まさにそうである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術に関連して言及された課題を少なくとも部分的に解決することにある。特に、特定の幾何学特性を有するが、少なくとも局所的に高密度である、較正済みの焼結部品を提示することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の特徴を有する方法は、これらの目的を達成することに寄与する。従属項は有利な実施形態に関連する。請求項において個別に記載された特徴は、いかなる技術的に意義のある方法によって相互に組み合わせてもよく、明細書からの実質的な説明事項及び/又は図面からの詳細で補足され、本発明のさらなる変形実施形態が示される。
【0010】
金属材料製の(較正済みの)焼結部品が提示される。この焼結部品は、粉末金属材料を押圧して圧粉体を形成した後、焼結することによって製造される。上記焼結部品は、第1軸方向を向く第1端面と、第2軸方向を向く第2端面とを有する少なくとも1つの基部を備え、これら第1端面及び第2端面は、上記軸方向に移動可能な少なくとも1つのパンチを適用することによって上記圧粉体を形成するためのプレス機内で製造される。上記焼結部品は、少なくとも上記軸方向において上記第1端面から1つの端部まで第1高さに亘って延びる隆起部を備える。この隆起部は、(0mm超であり)少なくとも部分的に0.8ミリメートル未満で、径方向及び上記軸方向を横断する方向に延びる第1幅を有する。上記第1幅に沿って、上記焼結部品は、少なくとも部分的に、上記材料の完全密度の少なくとも85%である第1密度を有する。
【0011】
上記焼結部品は、特に粉末材料から、圧粉体を形成するための押圧と、続いて固体の加工品(焼結部品)を形成するための焼結とによって製造される。上記焼結の後、上記焼結部品は、特に較正され、較正済みの焼結部品を形成する。上記較正は、高い寸法精度又は少なくとも局所的な高密度を実現するために、特に上記焼結部品の後追いの押圧を備える。以下では、「焼結部品」という用語は、特に較正済みの焼結部品を、すなわち上記焼結の後、機械的に処理された(すなわち、少なくとも後に押圧され、又はさらに圧縮された)構成部品を意味する。
【0012】
特に、上記圧粉体を製造するために使用される上記粉末材料は、少なくとも部分的に、金属材料、特に磁性材料、すなわち軟磁性材料又は硬磁性材料を含む。また、特に磁性材料を結合して上記圧粉体を形成するために使用されるバインダーが提供される。上記焼結のプロセスのための準備において、上記バインダーは、上記金属材料から最初に除去される。上記焼結の間、上記圧粉体又は上記バインダーを含まない褐色の圧縮体は、上記金属材料の融点よりもわずかに低い温度に付され、その結果、焼結ネックの形成を介して金属粒子が相互に結合し、設定可能な密度を有する焼結部品が形成される。
【0013】
特に、上記焼結部品は、上記焼結の後、較正と呼ばれる後追いの押圧操作によって製造される。較正は、高い寸法精度又は少なくとも局所的な高密度を実現するために用いられる。
【0014】
上記焼結部品の基部は、例えば、上記焼結部品の円盤形状部を備え、この円盤形状部からは、上記隆起部が上記軸方向に延びる。
【0015】
上記圧粉体がプレス機内で製造される位置は、特に上記焼結部品上で、例えば表面の微細構造、あるいは上記焼結部品の幾何学形状上で、識別可能である。特に、上記軸方向において移動可能なパンチが上記端面に適用される。上記粉末材料は、下部のパンチ及びダイに形成された差込み口(receptacle)等を介して、プレス機内に配置される。必要に応じて、圧粉体の周面の部分領域は、径方向に移動可能なスライド又はパンチによって圧縮され得る。
【0016】
特に、上記第1幅に沿った上記第1密度は、上記材料の完全密度の少なくとも部分的に少なくとも92%であり、好ましくは少なくとも94%であり、特に好ましくは少なくとも97%である。
【0017】
特に、上記第1幅は、少なくとも部分的に0.5ミリメートル未満であり、好ましくは0.3ミリメートル未満である。特に、上記第1幅は、少なくとも0.1、又は少なくとも0.15ミリメートルである。
【0018】
特に、0.5ミリメートル未満の上記第1幅に沿った上記第1密度は、上記材料の完全密度の少なくとも部分的に少なくとも89%であり、好ましくは少なくとも92%であり、特に好ましくは少なくとも94%である。
【0019】
特に、0.3ミリメートル未満の上記第1幅に沿った上記第1密度は、上記材料の完全密度の少なくとも部分的に少なくとも87%であり、好ましくは少なくとも89%であり、特に好ましくは少なくとも92%である。
【0020】
特に、上記焼結部品は、上記第2端面と上記端部との間で上記軸方向に延びる第2高さを有する。上記第1端面と上記端部との間の上記軸方向において、上記隆起部は上記径方向に延びる最大の第2幅を有し、ここで、上記第2幅は最大5.0ミリメートルであり、特に最大1.0ミリメートルであり、好ましくは最大0.8ミリメートルであり、上記第1高さは、上記第2高さの少なくとも5%であり、特に少なくとも15%であり、好ましくは少なくとも20%であり、特に好ましくは少なくとも30%である。
【0021】
上記第2高さは、端部から、第2端面の上記軸方向においてこの端部に対置される部分までで画定される。このため、上記第2高さは特に、上記軸方向における上記焼結部品の最大範囲とはならない。
【0022】
特に、上記隆起部は、上記第1幅の全体に亘って少なくともそれぞれ特定される第1密度を有する。特に、上記隆起部全体は、少なくともそれぞれ特定される第1密度を有する。
【0023】
特に、上記隆起部の少なくとも1つの側面は、上記軸方向に対して最大30度、特に最大20度、好ましくは最大15度、特に好ましくは最大10度の角度で、少なくとも部分的に傾斜している。
【0024】
特に、上記隆起部は、上記径方向に横断しかつ上記軸方向に横断して、つまり例えば周方向に延びる。特に、上記隆起部は、上記側面とは反対のさらなる側面を有し、それぞれは、上記第1端面から上記端部まで延び、上記径方向に横断しかつ上記軸方向に横断して延びる方向に、つまり例えば周方向において延びる。
【0025】
特に、上記隆起部の少なくとも1つの側面は、反対のさらなる側面に対して最大30度、特に最大20度、好ましくは最大15度、特に好ましくは最大10度の角度で、少なくとも部分的に傾斜している。
【0026】
特に、上記隆起部は、円環の又は円環の部分の形状で、上記第1端面に沿って、上記軸方向を横断して(かつ径方向を横断して)延びる周方向において延びる。円環の形状での延在が特に全周面を囲む隆起部を形成するのに対し、円環の部分の形状での延在は円環の形状での延在の少なくとも部分領域のみを備える。
【0027】
特に少なくとも、上記隆起部は、横断面において異なる密度を有する複数の領域を有する。特に、異なる領域の密度は、少なくとも1パーセンテージポイント、好ましくは2パーセンテージポイント、特に好ましくは3パーセンテージポイント相違する。
【0028】
第1領域における密度は例えば上記材料の全密度の86%であり、第2領域における密度は例えば87%であり、これら2つの領域の密度は1パーセンテージポイント相違する。
【0029】
特に、少なくとも上記焼結の後、上記端部は専ら成形又はさらなる圧縮によって処理される。特に、少なくとも上記焼結の後、上記端面は機械処理又は材料を取り除く処置を受けていない。このような機械処理は、例えば上記端面の表面によって識別され得る。上記焼結部品は、上記径方向に並行して延びる第3端面を有する。
【0030】
特に、少なくとも上記隆起部は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に軟磁性材料又は硬磁性材料等の磁性材料から構成される。特に、上記焼結部品は、完全に磁性材料から構成される。
【0031】
上述した上記(較正済の)焼結部品の製造方法が提示される。この方法は少なくとも以下のステップを備える。
a)第1軸方向に向く第1端面及び第2軸方向に向く第2端面を有する少なくとも1つの基部と、さらに、少なくとも上記軸方向において上記第1端面から1つの端部まで第1高さに亘って延び、上記端部で第3端面を形成している隆起部とを備える焼結部品の提供。
b)例えばツールの差込み口など、ツール内への上記焼結部品の配置。
c)上記焼結部品に、少なくとも上記軸方向で上記端面、特に上記第1端面、上記第2端面、及び上記第3端面に作用する第1圧縮力を付与するための上記ツールの使用。
d)上記焼結部品に、少なくとも径方向で少なくとも上記隆起部の一部に作用する第2圧縮力を付与し、上記焼結部品が少なくとも上記第2圧縮力によって成形される。
ここで、ステップc)及びd)が少なくとも部分的に同時に実行され、上記焼結部品はステップc)及びd)後に較正された焼結部品(1)である。
【0032】
a)からd)への上記方法ステップの上述した(非決定的な)分割は、主に区別することを目的として意図されたものであり、いかなる順序及び/又は従属を規定するものではない。上記方法ステップの頻度もまた変更してよい。同様に、上記方法ステップを時間について少なくとも部分的に重複させることが可能である。特に一層好ましくは、方法ステップd)は、ステップc)の間に行われる。好ましくは、少なくともステップa)からステップc)は、上述した順序で実施される。
【0033】
ステップb)において、上記焼結部品は、上記ツールの差込み口等の上記ツール内に配置される。
【0034】
ステップc)において、上記ツールは、上記焼結部品を少なくとも上記軸方向に上記端面に作用する第1圧縮力を付与するために使用される。この目的のため、上記ツールは、上記軸方向に上記焼結部品を相対移動可能であり、かつ少なくとも部分的に上記端面に接触することができる特に少なくとも1つ、場合によってはいくつかのパンチを有する。特に、少なくとも1つのパンチが各端面に適用される。
【0035】
特に、各端面の少なくとも一部は上記第1圧縮力が付与される。特に、端面の少なくとも50%は上記第1圧縮力が付与される。
【0036】
特に、第3端面のすべては、上記第1圧縮力が付与される。
【0037】
それぞれの上記パンチによって上記焼結部品への作用を発生させられる第1圧縮力は、パンチごとに相違してもよく、パンチごとに同一の力を有していてもよい。
【0038】
ステップd)において、上記焼結部品は、少なくとも径方向において上記周面に作用する第2圧縮力が付与される。
【0039】
上記焼結部品は、少なくとも上記第2圧縮力によって成形及び/又はさらに圧縮され、ステップc)及びステップd)は少なくとも部分的に同時に実施される。特に、上記焼結部品は、上記焼結部品が上記第1圧縮力も付与される場合にのみ上記第2圧縮力が付与される。
【0040】
特に、上記第2圧縮力は圧延ツールの少なくとも1つのローラを介して、又は上記径方向に変位し得るスライドを介して上記焼結部品に伝達される。
【0041】
上記第1圧縮力は、上記第2圧縮力によって引き起こされる成形又はさらなる圧縮を少なくとも補助するために使用される。特に、上記第1圧縮力は、上記焼結体を成形及び/又はさらに圧縮しない。
【0042】
代替又は追加として、上記第1圧縮力は、少なくとも3つの端面の1つの領域において、好ましくは少なくとも上記第3端面の領域において、上記焼結部品を少なくとも成形及び/又はさらに圧縮する。
【0043】
この焼結部品のさらなる圧縮又は成形は、較正と呼ばれる。これにより、例えば上記焼結部品の高い寸法精度又は少なくとも局所的な高密度を実現することができる。
【0044】
特に、上記第1圧縮力は、少なくとも200メガパスカル[MPa]であり、好ましくは少なくとも500MPaであり、特に好ましくは少なくとも1000MPaである。
【0045】
特に、上記第2圧縮力は、少なくとも200メガパスカル[MPa]であり、好ましくは少なくとも500MPaであり、特に好ましくは少なくとも1000MPaである。
【0046】
上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力の組み合わせ、すなわち特に、少なくとも部分的に同時に上記焼結部品にこれらの圧縮力を付与することによって、従来少なくとも部分的に実現し得なかった焼結部品の特定の特性を特に生成することができる。
【0047】
特に、上記隆起部はこれまで上記材料の全密度、すなわち100%の密度、つまり細孔のない状態の85%未満の低い密度でしか製造できていない。
【0048】
特に、上記焼結部品は、少なくとも上記第1圧縮力によっても少なくとも部分的に成形される。
【0049】
較正及び例えば圧延プロセスが連続して実施される場合、上記焼結部品における圧力勾配が大きいことによって割れが生じ得る。上記焼結部品を上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力に少なくとも部分的に同時に付与する結果として、上記焼結部品におけるこれらの圧力勾配を低減できる。
【0050】
特に、ある表面(第3端面、側面及び/又は周面)又は全表面に作用する圧縮力は、例えば圧延時の望ましくない変形(空き領域への可塑的な動き)を緩和、又は、制御下でこの可塑的な変形を選択的に上記焼結部品の所定の精密に再現可能な領域に導入することができる。
【0051】
特に、この方法は初期多孔度の高い、例えば多孔度が少なくとも15%、特には20%、好ましくは25%の焼結部品の場合に適用できる。上記端面及び/又は上記周面を介して圧縮力を加える結果、大きな圧縮力が上記焼結部品において高い圧力を生成することができ、これにより、低い割れのリスク及び極めて高い精度とともに、特に隆起部において、極めて高い成形度及び(少なくとも85%、特に少なくとも87%の、好ましくは少なくとも89%の)高い圧縮の組み合わせを実現できる。
【0052】
較正の手法、及び圧延の手法又はスライドを介して上記焼結部品に上記第2圧縮力を付与する手法を組み合わせることで、特に上記焼結部品の処理を大いに短縮できる。特に、上記焼結部品の上記ツールへのクランプは1回のみ要する(以前は少なくとも2回、較正ツールへの1回及び圧延ツールへの1回)。
【0053】
処理の手法(較正、圧延又は成形、及び/又は後追いの第2圧縮力を介した押圧)を統合すると、特に、圧延のために他の方法では必要とされ得る上記焼結部品へのクランプ技術を不要とすることができる。この場合、必要なクランプ力は、少なくとも1つのパンチ及び上記第1圧縮力によって生成される。このことは、特に、圧延又は少なくとも1つのスライドによって成形される上記焼結部品の表面について大きな柔軟性をもたらす。
【0054】
特に、上記第2圧縮力は、少なくとも1つの圧延ツールを介して、又は少なくとも径方向に移動可能なスライドを介して上記焼結部品に加えられる。
【0055】
特に、上記焼結部品は、上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力によって準等方的に押圧される。
【0056】
特に、上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力は、これらの力が上記軸方向及び上記径方向の両方において(接触する周面の領域の数およびサイズに依存して)上記焼結部品に作用するため、実質的に上記焼結部品内の圧力を釣り合わせる。特に、上記圧縮力は、上記焼結部品内で可能な限り低い圧力勾配が発生するように設定される。このため、特に上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力は、同じ大きさ又は少なくとも同じ桁数の大きさ(すなわち、100から999MPa、又は1000から9999MPa等)を有する。
【0057】
特に、上記焼結部品は、上記第1圧縮力によっても少なくとも部分的に成形される。特に、上記焼結部品は、上記第1圧縮力によって少なくとも部分的にさらに圧縮される。
【0058】
特に、少なくとも1つのスライド又は少なくとも1つの圧延ツールもまた、(少なくとも1つのパンチ等、上記第1圧縮力を加える上記ツールの構成部品によって与えられる支持に加えて)上記軸方向について少なくとも部分的に上記焼結部品を支持する。この支持は、上記圧延ツールのローラの肩部によって実現される。この場合、上記焼結部品は、例えば上記第3端面を介して、上記軸方向について上記肩部で支持される。この点で、上記肩部は、第1圧縮力によって上記焼結部品に作用する。
【0059】
上述した小型の焼結部品の場合、また大型の焼結部品の場合も、上記ツールにおいてほぼ網羅的に可能な上記焼結部品へのクランプは、上記焼結部品の非常に小さな領域であっても選択的かつ高い集中度で成形することを可能にする。この工程においては、上記圧延ツール及び/上記スライドが接触させる周面の部分に隣接する上記焼結部品の領域において、これに必要な高い圧縮力が、上記焼結部品の材料の割れや上記焼結部品の望まない変形をもたらすことがない。
【0060】
特に、上述した組み合わせの手法によって以下の利点が得られる。
製造可能な幾何学形状が、半径方向の特徴又は周面での特徴(周面の溝、傾斜面、面取り、バリ、丸み、薄い壁厚(最大0.8mm[ミリメートル])、幾何学的/形状変化、角度等)によって拡張される。
上記焼結部品の密度もまた局所的に大きく増大し得る。
冷間加工硬化又は冷間成形の結果として、の表面付近の強度が増大し得る。
表面品質が向上し得る。
直径公差が大きく改善し得る。
同心度公差が改善し得る。
例えば壁厚(ここの例では第2幅)に対する長さ(ここの例では第一高さ)の比が20超となる、上記軸方向に長い薄い壁の焼結部品を製造し得る。この点で、最高の、同時に、可能であれば、均一な密度の焼結部品を実現し得る。
例えば、圧粉体を製造する間又は較正の間に要する上記ツールの分割プロセスに起因して、圧粉体の場合又は較正単独によると製造不可能であった薄い壁厚(幅)。
上記軸方向に対する特に角度が60度未満の傾斜を有する、上記焼結部品の円錐部の製造。
上記焼結部品における径方向の形状及び/又はアンダーカット、さらには周面の溝の製作。
上記第2圧縮力による、上記焼結部品における局所的に変更された密度の生成。
例えば、隆起部の薄壁の領域における、少なくとも85%の密度の生成。
【0061】
特に、上記第1圧縮力は、上記第1端面及び/又は上記第2端面の少なくとも75%以上に亘って、好ましくは少なくとも90%以上に亘って、特に好ましくは少なくとも95%以上に亘って、上記焼結部品に加えられる。特に、第1圧縮力は、上記第1端面の全体及び/又は上記第2端面の全体及び/又は上記第3端面の全体に亘って、上記焼結部品に加えられる。
【0062】
特に、上記第2圧縮力は、少なくとも1つの圧延ツール又は少なくとも1つのスライドを介して上記焼結部品に加えられる。この少なくとも1つの圧延ツールは、特に上記ツールの構成部分である。少なくとも1つの圧延ツール又は少なくとも1つのスライドを用いて、上記ツールの差込み口に配置され、かつ上記第1圧縮力によって少なくとも固定された上記焼結部品は、その周面、特に上記隆起部の側面、必要に応じて特にその全周面を処理され得る。
【0063】
圧延ツールは、上記焼結部品の周面に沿って少なくとも又は専ら周方向にガイドされるローラを特に備える。上記第2圧縮力は、上記ローラを介して上記焼結部品に加えられる。特に、上記ローラは上記プロセスで上記焼結部品上で転動する。上記圧延ツールの外周面は特定の形状を有していてもよく、その結果、一連の圧延操作において上記圧延ツールを介して上記焼結部品にこの特定の形状が転写される。
【0064】
特に、複数の圧延ツールが上記周方向に上記ツール内に配置され、上記第2圧縮力が複数の圧延ツールによって少なくとも断続的に同時に上記焼結部品に加えられる。
【0065】
スライドは特に、上記径方向においてのみ、上記焼結部品に向かって移動する。上記第2圧縮力は、上記スライドを介して上記焼結部品に伝達される。上記焼結部品に接触する上記スライドの押圧面は、特定の形状を有していてもよく、その結果、一連の後追いの押圧/圧縮操作において上記スライドを介して上記焼結部品にこの特定の形状が転写される。
【0066】
上述した方法によって(較正済の)焼結部品を製造するツールもまた提示される。上記焼結部品は、第1軸方向を向く第1端面及び第2軸方向を向く第2端面を有する少なくとも1つの基部を備える。これら第1端面及び第2端面は、上記軸方向に移動可能な少なくとも1つのパンチを適用することによって、上記圧粉体を形成するためのプレス機内で製造される。上記焼結部品は、少なくとも上記軸方向において上記第1端面から1つの端部まで第1高さに亘って延びる隆起部を備える。上記ツールは少なくとも、
上記焼結部品がさらに処理するために配置され得る差込み口、
上記差込み口内に配置された上記焼結部品を第1圧縮力を付与するためのパンチ、及び
上記差込み口内に配置された上記焼結部品を第2圧縮力に付するための少なくとも1つの圧延ツール又はスライド
を備える。
【0067】
特に、上記ツールは、上記方法を実行するために上記ツールを制御するように適切に設計(装備、設定又はプログラム)された少なくとも1つの制御ユニットを備える。上記制御ユニットは、上記第1圧縮力と、さらには上記第2圧縮力とを少なくとも断続的に同時に制御することができる。
【0068】
特に、上記焼結部品について上記軸方向に移動可能な少なくとも1つのパンチが上記焼結部品の各側面に設けられる。
【0069】
特に、上記少なくとも1つの圧延ツール又は上記スライドは、径方向において上記焼結部品のための上記差込み口に隣接して配置される。
【0070】
特に、上記圧延ツールは上記周方向において上記焼結部品の周囲を回転するか、又は上記焼結部品が(特に上記パンチとともに)回転される。
【0071】
磁力を利用する装置のための、上述した上記焼結部品、又は上述した方法によって製造される(較正済みの)焼結部品の使用もまた提示される。上記焼結部品の隆起部は、少なくとも部分的に磁性材料からなり、磁束密度に影響を及ぼすために用いられる。
【0072】
上記装置は、上記装置のボディ部が構成部品を作動させるために上記装置のハウジングに対して軸方向に変位可能とされる、例えばアクチュエータを備える。上記ボディ部の変位は、例えば電流を受けているコイルによって生成される磁場に上記ボディ部をさらすことで実現され得る。上記隆起部は、磁束密度を改善可能であり、その結果、上記焼結技術によって製造された構成部品によって、以前は機械処理された固形材料によってのみ実現されるものと同様に効果的で、上記アクチュエータが作動され得る。
【0073】
上記焼結部品に関する記載は、特に上記方法、上記ツール及びその使用に対しても同様に適用され、その逆も同様である。
【0074】
特に請求の範囲及びそれらを反映する明細書において、不定冠詞(「a」及び「an」)の使用は、そのまま理解され、また数値用語として理解されるべきではない。これに合わせて、記載された用語又は構成要素は、少なくとも1回現れるが、特に複数回現れ得るものとも理解される。
【0075】
留意事項として、本明細書において使用される数値用語(「第1」、「第2」等)は、主に(専ら)複数の類似する対象、寸法又は工程の間を区別するために機能すること、つまり特に、これら対象、寸法又は工程のいかなる従属関係及び/又は順序を不可避的に特定しないことが指摘される。従属関係及び/又は順序が必要な場合は、その旨が本明細書に明示的に記載されるか、又は具体的に記述された実施形態を検討する際に当業者にとって自明となる。構成要素が1回以上(少なくとも1回)現れる場合は、これら構成要素の1つに関する記載は、これら複数の構成要素のすべて又は一部に同様に適用し得るが、必須ではない。
【0076】
本発明及び技術分野を、添付の図面に基づいてより詳細に以下に説明する。本発明は記載された例示的な変形実施形態によって限定されることを意図していないことが留意される。特に、明示的に示されない限り、図面における実質的な説明事項の部分的な側面を抽出し、本明細書からの他の構成要素及び知見と組み合わせることも可能である。特に、図面及び特に図示された大きさの比率は模式的に過ぎないことが指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】磁力を利用する装置の第1変形実施形態の一部の断面の側面図を示す。
【
図2】磁力を利用する装置の第2変形実施形態の一部の断面の側面図を示す。
【
図3】磁力を利用する装置の第3変形実施形態の断面の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、磁力を利用する装置30の第1変形実施形態の一部の断面の側面図を示す。装置30はアクチュエータである。このアクチュエータにおいて、装置30のボディ部42は、構成部品を作動させるべく、装置30のハウジング40に対して軸方向4、6において、かつ軸45に沿って変位可能である。装置30は、軸45について実質的に回転対称である。ボディ部42の変位は、例えば電流を受けたコイル41によって生成可能な磁場にボディ部42をさらすことによって実現され得る。
【0079】
ハウジング40は、金属材料製の焼結部品1を備える。焼結部品1は、粉末金属材料を押圧して圧粉体2(
図4参照)を形成した後、焼結することによって製造される。焼結部品1は、第1軸方向4を向く第1端面5と、第2軸方向6を向く第2端面7とを有する基部3を備え、第1端面5及び第2端面7は、軸方向4,6に移動可能な1つのパンチ9(
図4参照)を適用することによって、圧粉体2を形成するためのプレス機8(
図4参照)内で製造される。焼結部品1は、少なくとも軸方向4,6において第1端面5から1つの端部10まで第1高さ11にわたって延びる隆起部12を有する。
【0080】
図1において、ハウジング40、ボディ部42及び焼結部品1は、従来の焼結技術によって製造される構成部品である。この図は、密度の異なる領域、特に最高密度44を有する領域及び最低密度43を有する領域を示している。隆起部12の特別な形状のため、この領域は最低密度43を有する。
【0081】
図2は、磁力を利用する装置30の第2変形実施形態の一部の断面の側面図を示す。
図3は、磁力を利用する装置30の第3変形実施形態の断面の側面図を示す。
図2及び
図3は、以下で合わせて説明する。
図1に関する記載が参照される。
【0082】
焼結部品1は、第1軸方向4を向く第1端面5と、第2軸方向6を向く第2端面7とを有する基部3を備える。第1端面5及び第2端面7は、軸方向4,6に移動可能な1つのパンチ9(
図4参照)を適用することによって、圧粉体2を形成するためのプレス機8(
図4参照)内で製造される。焼結部品1は、少なくとも軸方向4,6において第1端面5から1つの端部10まで第1高さ11に亘って延びる隆起部12を有する。
【0083】
隆起部12は、径方向13及び軸方向4,6を横断する方向に延びる第1幅14を有する。第1幅14に沿って、焼結部品1は、少なくとも部分的に、第1密度15を有する。
【0084】
焼結部品1は、上記焼結の後、較正と呼ばれる後追いの押圧操作によって製造され、較正は、高い寸法精度又は少なくとも局所的な高密度を実現するために用いられる。
【0085】
焼結部品1の基部3は、焼結部品1の円盤形状部を備え、この円盤形状部からは、隆起部12が軸方向4,6に延びる。
【0086】
焼結部品1は、第2端面7と端部10との間で軸方向4,6に延びる第2高さ16を有する。第1端面5と端部10との間の軸方向4,6において、隆起部12は径方向13に延びる最大の第2幅17を有する。
【0087】
隆起部12の側面18は、軸方向4,6に対して角度48で傾斜している。
【0088】
隆起部12は、径方向13に横断しかつ軸方向4,6に横断する周方向19に延びる。隆起部12は、側面18とは反対のさらなる側面を有し、、それぞれの側面は第1端面5から端部10まで延び、径方向13に横断しかつ軸方向4,6に横断して延びる周方向19において延びる。
【0089】
隆起部12は、上記第1端面5に沿って周方向19において、円環の形状で延びる。円環の形状の延在12が全周面を囲む隆起部12を形成する。
【0090】
装置30はアクチュエータであり、そのボディ部42は、構成部品を作動させるべく、装置30のハウジング40に対して軸方向4,6において、かつ軸45に沿って変位可能である。装置30は、軸45について実質的に回転対称である。ボディ部42の変位は、例えば電流を受けたコイル41によって生成される磁場にボディ部42をさらすことによって実現され得る。電流がオフにされると、ボディ部42はばね28を介して第1軸方向4に元通りに変位する。
【0091】
隆起部12は、磁束密度を改善可能である。端部10に向かう隆起部12の円錐形状は、磁場の力線39をボディ部42に効果的に結合させることができる。
【0092】
図4は、プレス機8及び圧粉体2の断面の側面図を示す。
図1から
図3に関する記載が参照される。
【0093】
図1から3及び
図5に図示された焼結部品1は、押圧によって圧粉体2を形成した後に焼結によって固体の加工品(焼結部品1)を形成することによって、粉末材料から製造される。
【0094】
軸方向4,6に移動可能なパンチ9は、端面5,7に適用される。粉末材料はプレス機8内に、この実例においては下部のパンチ9及びダイ64によって形成されるプレス機8の差込み口32内に配置される。この点で、まさに隆起部12の領域においては、低い密度しか実現され得ない。
【0095】
隆起部12の領域は、特に較正ツール25による較正の際に、さらに圧縮され、かつさらに成形される。
【0096】
図5は、焼結部品1(例えば、
図2及び
図3に係る焼結部品)の隆起部12の断面の側面図を示す。
図1から
図4に関する記載が参照される。
【0097】
焼結部品1は、少なくとも軸方向4,6において第1端面5から1つの端部10まで第1高さ11に亘って延びる隆起部12を有する。隆起部12は、径方向13及び軸方向4,6を横断する方向に延びる第1幅14を有する。第1幅14及び第1高さ11に沿って、焼結部品1は第1密度15を有する。隆起部12は、横断面20において異なる第1密度15を有する複数の領域21,22,23を有する。第1領域21は、第1密度15の最高密度44を有する。第3領域23は、第1密度15の最低密度43を有する。第2領域の第1密度15は、最高密度44の値と最低密度43の値との間となる。
【0098】
局所的に密度を設定するため、選択的に焼結部品1のさらなる圧縮も使用でき、その結果、高密度及び場合によっては異なる密度を与え得る。磁性材料製の焼結部品1におけるこの種の密度の設定又は密度の分布は、特に磁力を利用する装置30にとって特に有利となり得る。
【0099】
図5において、側面18のさらなる圧縮の結果として端部10が成形され、このプロセスで軸方向4,6に延びる突起が形成されることがわかる。この種の変形は、第1圧縮力26を用いて軸方向4,6について特に第3端面24を支持することによって防止できる(
図6参照)。焼結部品1に第1圧縮力26及び第2圧縮力27を同時に付与することによって、さらなる圧縮が可能となる一方、他方でさらに圧縮された焼結部品の規定の幾何学形状を実現できる。
【0100】
図6は、ツール25の断面の側面図を示す。
図1に関する記載が参照される。
【0101】
ツール25は、さらなる処理のために焼結部品1が配置される差込み口32を備える。ツール25はまた、差込み口32内に配置された焼結部品1を第1圧縮力26に付するための、差込み口32の上方にパンチ9を有する上部パンチングユニットと、差込み口32の下方にパンチ9を有する下部パンチングユニットとを備える。下部パンチングユニットは、焼結部品1を通って延び、上部パンチングユニットのパンチ9に挿入されるマンドレル47を有する。この実例では、差込み口32がパンチングユニット又はパンチ9、及びマンドレル47によって形成される。さらに、差込み口32内に配置された焼結部品1に第2圧縮力27を付与するために、ローラ37及びローラキャリアー36からなる2つの圧延ツール28が設けられている。
【0102】
圧延ツール28の代わりに、焼結部品1に対して径方向13にのみ送られる(ここでのみ示される)スライド29を設けることもできる。
【0103】
圧延ツール28は、焼結部品1のための差込み口12に隣接して、径方向8に配置される。圧延ツール28は、焼結部品1及びパンチ9に対して回転し得るように配置され、周方向9において焼結部品1の周りを共に回転できる。この目的で、圧延ツール28は、軸受(ここでは不図示)を介して静止の第2ツール部35に対して回転可能に搭載された回転可能な第1ツール部34内に配置される。
【0104】
各圧延ツール28は、焼結部品1の周面31に沿って周方向19に少なくとも又は専らガイドされるローラ37を備える。第2圧縮力27は、ローラ37を介して焼結部品1に加えられる。ローラ37は、このプロセスにおいて焼結部品1上を転動する。圧延ツール28のローラ37の外周面は、特定の形状を有し、その結果、一連の圧延操作において、圧延ツール28を介して焼結部品1にこの特定の形状が転写される。ロー37は、軸方向4,6について焼結部品1、又は焼結部品1の端部10及び第3端面24も支持する肩部38を有する。
【0105】
焼結部品1は、第1端面5と、軸方向4,6において離間する第2端面7と、端面5,7の間の周面31とを有する。
【0106】
ツール25は、上記方法を実施するためにツール25を制御するように適切に設計(装備、設定又はプログラム)された制御ユニット33を備え、制御ユニット33は、パンチ9及びマンドレル4、そしてこれらによる第1圧縮力26と、さらには圧延ツール28及び第1ツール部34、そしてこれらによる第2圧縮力27とを少なくとも断続的に同時に制御できる。
【符号の説明】
【0107】
1 焼結部品
2 圧粉体
3 基部
4 第1軸方向
5 第1端面
6 第2軸方向
7 第2端面
8 プレス機
9 パンチ
10 端部
11 第1高さ
12 隆起部
13 径方向
14 第1幅
15 第1密度
16 第2高さ
17 第2幅
18 側面
19 周方向
20 横断面
21 第1領域
22 第2領域
23 第3領域
24 第3端面
25 ツール
26 第1圧縮力
27 第2圧縮力
28 圧延ツール
29 スライド
30 装置
31 周面
32 差込み口
33 制御ユニット
34 第1ツール部
35 第2ツール部
36 ローラキャリアー
37 ローラ
38 肩部
39 力線
40 ハウジング
41 コイル
42 ボディ部
43 最低密度
44 最高密度
45 軸
46 ダイ
47 マンドレル
48 ばね