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特許7477615ハイブリッドまたは電気車両のバッテリパックのための保護要素および補強バッテリパックの組立てのためのプロセス
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  • 特許-ハイブリッドまたは電気車両のバッテリパックのための保護要素および補強バッテリパックの組立てのためのプロセス 図1
  • 特許-ハイブリッドまたは電気車両のバッテリパックのための保護要素および補強バッテリパックの組立てのためのプロセス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ハイブリッドまたは電気車両のバッテリパックのための保護要素および補強バッテリパックの組立てのためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240423BHJP
   B60K 11/00 20060101ALI20240423BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240423BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240423BHJP
【FI】
B60K1/04 A
B60K11/00
H01M50/244 Z
H01M50/244 A
H01M50/242
H01M50/249
H01M50/289
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022538949
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 IB2020061946
(87)【国際公開番号】W WO2021130606
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/061330
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】バルダン,ケビン
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2012/063393(JP,A1)
【文献】特開2018-131136(JP,A)
【文献】特開2019-147547(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/061109(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0047623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04,11/00,
H01M 50/20,10/613,10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアデバイス(10)と、前記キャリアデバイス(10)に収容された複数のバッテリモジュールと、自動車事故の間に起こり得る物理的侵入、または道路から来る要素の侵入による自動車の通常使用中の物理的侵入の両方に対して、補強バッテリパック中への前述の侵入を回避するように提供されたシールド要素と名付けられた保護要素(1)とを備え、前記キャリアデバイス(10)が保護要素(1)の上にある、電気またはハイブリッド車両のための補強バッテリパック(9)であって、保護要素(1)の固定手段(2)は、キャリアデバイス(10)に取外し可能に固定され、車両(20)のボディ(11)に固定されるようにも構成され、前記固定手段(2)は、保護要素(1)をキャリアデバイス(10)に取外し可能に固定するように提供された第1の固定要素(3)と、保護要素(1)および補強バッテリパックを車両(20)のボディ(11)に取外し可能に固定するように提供された第2の固定要素(4)とを備え、各固定要素(3、4)は、保護要素(1)において扱われる貫通穴(5、6)と、関係する穴(5、6)を通して挿入されるように提供されたねじ(7、8)とを備え、キャリアデバイス(10)は、少なくとも1つの側壁(18)と、バッテリパックの複数のバッテリモジュールを受け入れるように提供された基壁(19)とを備え、第1の面(P1)は、基壁(19)に垂直に延び、側壁(18)の底部を通る平面であり、第2の面(P2)は、基壁(19)に垂直に延び、側壁(18)の上端にあるフランジ(15)の端部を通る平面であり、側壁(18)が前記第1の面(P1)に対するドラフト角(α)に従って基壁(19)に対して傾斜され、2つの平行な前記第1の面(P1)および前記第2の面(P2)によって画定されたロケーションスペース(17)に側壁(18)が含まれ、保護要素(1)の第1の固定要素(3)は、前記ロケーションスペース(17)に含まれる、補強バッテリパック。
【請求項2】
キャリアデバイス(10)は、側壁(18)に固定され、ロケーションスペース(17)に含まれた補強中空構造(16)を備え、第1の固定要素(3)は、前記補強中空構造(16)に固定される、請求項1に記載の補強バッテリパック(9)。
【請求項3】
キャリアデバイス(10)と保護要素(1)との間に挿入され、バッテリモジュールを冷却するように提供された冷却手段(12)であって、キャリアデバイス(10)は、冷却手段(12)の上にある、冷却手段(12)と、
キャリアデバイス(10)に固定されたトップカバー(37)と、
キャリアデバイス(10)に挿入され、前記キャリアデバイス(10)に固定され、複数のハウジングメンバを形成する複数のハウジングクロスメンバを備える、メッシュであって、各バッテリモジュールが関係するハウジングメンバ内に収容される、メッシュと
をさらに備える、請求項1および2のいずれかに記載の補強バッテリパック(9)。
【請求項4】
保護要素(1)は、1500MPa超の引張り強度を有する鋼で作られる、請求項1から3のいずれかに記載の補強バッテリパック(9)。
【請求項5】
ボディ(11)と、電気動力源とを備え、請求項1から4のいずれかに記載の補強バッテリパック(9)をさらに備える、車両(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車産業における保護および補強要素に関し、より具体的には電気またはハイブリッド車両のバッテリパックの保護に関する。
【背景技術】
【0002】
電気またはハイブリッド車両は、少なくとも1つの重くてかさばるバッテリパックを組み込まなくてはならない。このバッテリパックは、複数のバッテリモジュールで作られ、各モジュールは、自動車事故の間に起こり得る物理的侵入、または道路から来る要素の侵入による自動車の通常使用中の物理的侵入の両方に対して、シールド要素と名付けられた保護要素で確実に保護されなくてはならないいくつかのバッテリセルを収容する。バッテリモジュールはまた、バッテリパックが関係する車両への組み付け中に移動される間、機械的衝撃に対する保護を必要とする。
【0003】
バッテリパックの保守のコストを下げるために、シールド要素が、例えば、ねじとナットで、取外し可能な方法でバッテリパックに固定される。
【0004】
国際特許出願第WO2018/166888号から、バッテリパックの囲いに取外し可能に固定されたシールド要素を備えるバッテリパックを設計することが知られている。
【0005】
しかしながら、そのような構成の取外し可能なシールド要素を提供することは、車両のボディに固定されたバッテリパックの機械的挙動を悪化させ、望ましくない機械振動を誘起する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/166888号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の狙いは、ハイブリッドまたは電気車両に組み付けるときに、バッテリパックの保守とその機械的挙動を最適化しながら、バッテリパックのバッテリモジュールを、効率的に保護する道を提供することによって、従来技術の欠点を是正することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の第1の目的は、電気またはハイブリッド車両のバッテリパックのためのシールド要素と名付けられた保護要素からなり、前記保護要素は、シールド要素をバッテリパックおよび車両のボディの両方に取外し可能に固定するように構成された固定手段を備える。
【0009】
本発明による保護要素は、個別にまたは組合せて考慮される、以下に挙げられた任意選択の特徴:
- 固定手段が、少なくとも保護要素の縁部分で扱われる。
- 固定手段が、保護要素をバッテリパックに取外し可能に固定するように提供された第1の固定要素と、保護要素とバッテリパックを車両のボディに取外し可能に固定するように提供された第2の固定要素とを備える。
- 各固定要素が、少なくとも、保護要素において扱われる貫通穴と、関係する穴を通して挿入されるように提供されたねじとを備える。
- 保護要素が、面内に延びており、第1と第2の固定要素の間の距離が、15cm未満、優先的には10cm未満である。
を有してもよい。
【0010】
本発明の第2の目的は、電気またはハイブリッド車両のための補強バッテリパックであって、キャリアデバイスと、前記キャリアデバイス内に収容された複数のバッテリモジュールと、上記したシールド要素と名付けられ、バッテリパック中への侵入を回避するように提供された少なくとも下部保護要素とを備え、前記キャリアデバイスは保護要素の上にあり、保護要素の固定手段は、キャリアデバイスに取外し可能に固定され、車両のボディに固定されるようにも構成される、補強バッテリパックからなる。
【0011】
本発明による補強バッテリパックはまた、個別にまたは組合せて考慮される、以下に挙げられた任意選択の特徴:
- キャリアデバイスが、少なくとも、1つの側壁と、バッテリパックの複数のバッテリモジュールを受け入れるように提供された基壁とを備え、側壁は、ドラフト角に従って基壁に対して傾斜され、両方とも前記基壁に垂直に延びる、2つの平行な面で画定されたロケーションスペースに含まれ、保護要素の第1の固定要素は、前記ロケーションスペースに含まれる。
- キャリアデバイスが、側壁に固定され、ロケーションスペースに含まれた補強中空構造を備え、第1の固定要素が、前記補強中空構造に固定される。
- 補強バッテリパックが、少なくとも:
・保護要素の上にあり、バッテリモジュールを冷却するように提供された冷却手段であって、キャリアデバイスが冷却手段の上にある、冷却手段と、
・キャリアデバイスに固定されたトップカバーと、
・キャリアデバイスに挿入され、前記キャリアデバイスに固定され、複数のハウジングメンバを形成する複数のハウジングクロスメンバを備える、メッシュであって、各バッテリモジュールが、関係するハウジングメンバに収容されている、メッシュと
をさらに備える。
- 補強バッテリパックが、保護要素と冷却手段の間に位置される、規則的に離隔された耐侵入クロスメンバを備える。
- 保護要素が、1500MPa超の引張り強度を有する鋼で作られる。
を有してもよい。
【0012】
本発明の第3の目的は、ボディと少なくとも電気動力源とを備える車両であって、前記車両が、上記したような補強バッテリパックをさらに備え、保護要素の固定手段が、キャリアデバイスおよび車両のボディの両方に固定される、車両からなる。
【0013】
本発明による車両は、個別にまたは組合せて考慮される、以下に挙げられた任意選択の特徴:
- 保護要素の第1の固定要素が、キャリアデバイスの補強構造内に固定され、ロケーションスペースに含まれ、保護要素の第2の固定要素が、車両のボディに固定される。
を有してもよい。
【0014】
本発明のその他の特性および利点を、以下の記載においてより詳細に記載するであろう。
【0015】
本発明は、以下の図を参照して、純粋に説明のために提供され、制限的であることを決して意図されない、以下の記載を読むことによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による補強バッテリパックを備える車両のボディの斜視図を表す。
図2】バッテリパックおよび車両のボディの両方に固定された、本発明の保護要素を示す、補強バッテリパックの一部の横方向断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
なお、本出願で使用される用語「低」、「高」、「上」、「下」、「最低」、「最高」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」という用語は、地面に垂直に配置されるときの補強キャリアデバイスのバッテリパックのおよび車両の異なる部分の位置および向きを指すことに留意されたい。さらに、「前」、「前方」、「後」、「背後」、「後方」という用語は、車両の通常の運転方向に従って定義される。「実質的に垂直」という用語は、90°±15°の角度範囲を規定し、「実質的に平行」という用語は、0°±15°の角度範囲を規定する。
【0018】
図1および2によれば、本発明の保護要素1を含む補強バッテリパック9の実施形態が、ここに記載される。
【0019】
電気またはハイブリッド車両20のコンポーネントである、補強バッテリパック9は、キャリアデバイス10上にある複数のモジュールを本質的に備える。
【0020】
キャリアデバイス10のいくつかの概念が可能である。本発明を明らかにする目的で、バッテリモジュールがその上にある基壁19と、少なくともバッテリモジュールを囲むフレームを形成するいくつかの側壁18とを備えるキャリアデバイス10が考えられるであろう。しかしながら、異なる概念、例えば、側壁無しのフラットトレイを有するキャリアデバイスで、本発明を実装することも可能であることに留意されたい。キャリアデバイス10は、優先的に、一般的な長方形形状を有し、縦方向軸に関して延び、2つの縦方向側壁18と2つの横方向側壁とを備える。しかしながら、この一般的な形状は、本発明の枠組みの範囲内で異なってもよい。
【0021】
キャリアデバイス10は、例えば、鋼で作られ、スタンピング工程を容易にするために、鋼ブランク、好ましくは1000MPa未満の引張り強度を有する鋼をスタンピングすることによって製造される。キャリアデバイス10の形状の故に、およびスタンピング工程後のキャリアデバイス10のデモールディングを可能にするために、キャリアデバイスの各側壁18は、ドラフト角αに従って、基壁19に対して傾斜される。キャリアデバイス10の各側壁18はよって、前記ドラフト角αに従って基壁19に対して傾斜され、両方とも前記基壁19に垂直に延びる2つの平行な面P1、P2によって画定されるスペース17に含まれる。以下では、このスペース17は、ロケーションスペース17と名付けられる。
【0022】
図2は、図1における矢印IIに従う縦方向側壁18を図示している。この側壁は、基壁19に平行なフランジ15を形成する自由端部分を備える。
【0023】
キャリアデバイス10はまた、キャリアデバイス10の側壁18の少なくとも1つの補強構造16を備える。この補強構造16は、側壁18の少なくとも一部に沿って延びる、少なくとも、内部補強片22と外部補強片21とを備える。内部および外部補強片21、22は、それぞれ、少なくとも関係する側壁18の反対側面に固定されており、少なくとも部分的に互いに面し、好ましくは互いに面している。
【0024】
以下において、関係する側壁18の反対側面にそれぞれ固定されて、少なくとも部分的に互いに面する一対の内部および外部補強片21、22は、補強構成と名付けられ、補強構造16はいくつかの補強構成を備えるので、よって前記補強構造16の一部である。
【0025】
図2は、両方とも関係する側壁18によって横断される、2つの隣接する補強中空部分23、24を備える縦方向補強構成を図示している。加えて、各補強中空部分23、24は、関係する内部補強片22の内部補強中空セクション26、27と、関係する外部補強片21の外部補強中空セクション28、29とで作られ、両方の補強中空セクション23、24は少なくとも部分的に互いに面し、好ましくは全体的に互いに面している。この特有の構成によって、2つの中空部分23、24は、1つまたはいくつかの側壁18に対するいかなる衝撃も吸収するように提供され、キャリアデバイス10のいかなる変形も回避する。
【0026】
各補強構成はまた、補強中空部分23、24間に位置し、関係する側壁18に固定される補強締結部分25も備える。この補強締結部分25は、内部補強片22の内部補強締結セクション30と、外部補強片21の外部補強締結セクション31とで作られ、両方の補強締結セクション30、31は、関係する側壁18に溶接される。加えて、両方の補強締結セクション30、31は、少なくとも部分的に互いに面し、好ましくは全体的に互いに面している。この特有の構成によって、2つの中空部分23、24の体積が減少されて、補強バッテリパックのモジュールを通した機械的伝播を制限する。言い換えると、補強締結部分25は、バッテリモジュールによって経験される機械的振動を減少させる。
【0027】
各補強片21、22は、鋼ブランクをスタンピングすることによって製造される。特定の実施形態においては、スタンピング作業は、熱間スタンピング作業であり、この場合に、ブランクが加熱され、続いてスタンピングツール内で急冷される。よって、衝撃発生時の高い抵抗を確保するために高い機械的性質を確保しながら、部品に必要な複雑な形状を得ることができる。代替的実施形態において、補強片21、22の少なくとも一部をロール成形してもよい。
【0028】
例として、内部および外部補強片21、22は、1500MPa超の引張り強度を有するマルテンサイト系鋼で作られる。この鋼の組成は、例えば、重量パーセントで次のとおりである:
【表1】
【0029】
別の実施形態において、内部および外部補強片21、22は、1700MPa超の引張り強度を有するより硬いマルテンサイト系鋼で作られることができる。この鋼の組成は、例えば、重量パーセントで次のとおりである:
【表2】
【0030】
これらの鋼合金の2つの例は、補強片21、22が、キャリアデバイス10の相対的な延性にもかかわらず、キャリアデバイス10のいかなる変形に対しても、またはバッテリモジュールを通したいかなる物理的侵入に対しても、保護を提供するように、高い剛性を有する。
【0031】
各構成の外部補強片21は、キャリアデバイス10の対応する側壁18の外面に、より正確には、前記側壁18のフランジ15の直ぐ下に溶接された第1の端部34を備える。外部片21はまた、キャリアデバイス10の基壁19の外面に溶接された反対側の端部分36と、一般的な台形形状を有する2つの隣接する中空セクション28、29とを備える。
【0032】
各構成の内部補強片22は、外部補強片21の第1の端部分34と面する、キャリアデバイス10の対応する側壁18の内面に溶接された第1の端部分35を備える。内部片22はまた、キャリアデバイス10の基壁19の内面に溶接された反対側の端部分37と、外部補強片21の2つの中空部分28、29にそれぞれ面する一般的な台形形状を有する2つの隣接する中空セクション26、27とを備える。内部補強片22はまた、キャリアデバイス10の基壁19の内面に溶接された反対側の端部分37を備える。
【0033】
有利な方法において、補強構成の補強中空部分23、24は、ロケーションスペース17に含まれる。補強中空部分23、24のこの特有の配置により、キャリアデバイス10においてバッテリモジュールの収容のために許容される合計スペースは、完全に最適化される。
【0034】
有利には、補強バッテリパック9は、キャリアデバイス10に挿入されたメッシュ(図示せず)を備えてもよい。このメッシュは、キャリアデバイス10の基壁19の上にあり、縦方向メンバと、前記縦方向メンバに固定された複数のハウジングクロスメンバとを備える。ハウジングクロスメンバは、少なくともバッテリモジュールを収容するように各々が提供された複数の規則的にディスパッチされたハウジングメンバを形成する。
【0035】
補強バッテリパック9はまた、キャリアデバイス10の基壁19の外面に固定され、バッテリモジュールを冷却するように提供された冷却手段12を備える。
【0036】
本発明によれば、補強バッテリパック9は、以下においてシールド要素と名付けられる下部保護要素1を備え、前記シールド要素1は、キャリアデバイス10に取外し可能に固定された固定手段2を備え、車両20のボディ11に取外し可能に固定されるように提供される。シールド要素1はよって、損傷した場合には、補強バッテリパック9から取り外されて、新品のシールド要素1で置き換えてもよい。
【0037】
補強バッテリパック9のキャリアデバイス10は、本発明の前記シールド要素1の上にある。加えて、冷却手段12は、キャリアデバイス10とシールド要素1との間に挿入される。
【0038】
このシールド要素1は、正方形形状であり、キャリアデバイス10よりも、同じ縦方向軸に従う面において延びている。シールド要素1は、好ましくは、重量で0.15から0.5%の間で炭素を含む、完全マルテンサイト系鋼で作られる。このマルテンサイト系鋼は、1500MPa超の引張り強度を有し、シールド要素1に、補強バッテリパック9を通した物理的侵入に対して特に耐性をもたせる。
【0039】
補強バッテリパック9はまた、シールド要素1に固定され、前記シールド要素1と冷却手段12の間に位置する、規則的に離隔された耐侵入クロスメンバ13を備える。加えて、上記したメッシュの横方向ハウジングクロスメンバは、車両20の底部から来る侵入の場合に、前記耐侵入クロスメンバ13と、横方向ハウジングクロスメンバとが協働して最適な抵抗を提供するように、耐侵入クロスメンバ13と整列される。
【0040】
最後におよび図1に図示されているように、補強バッテリ背部9は、キャリアデバイス10のフランジ15に固定される、トップカバーとも名付けられたトッププレート37を備える。別の好ましい実施形態においては、トップカバー37は、メッシュの少なくとも1つのハウジングクロスメンバにボルト留めすることによって、キャリアデバイス10に固定されてもよい。この最後の実施形態において、バッテリモジュールまたはその他の要素の保守が必要な場合には、トップカバーを取り外すことが可能である。
【0041】
本発明に従って、シールド要素1の固定手段2がここで記載される。
【0042】
固定手段2は、少なくともシールド要素1の縁部分14上で扱われ、優先的には、正方形のシールド要素1が4つの縁部分14を備えると想定して、シールド要素1の各端部分14において扱われる。図2に示されているように、少なくともシールド要素1の2つの反対側の縁部分14は、キャリアデバイス10のフランジ15を越えて延びる各突出セクション32を備え、前記突出セクション32は、以下において説明されるように、車両20のボディ11に対面するように提供されている。
【0043】
反対側の縁部分14の各々に対して、固定手段2は、少なくとも第1の固定要素3、有利には、キャリアデバイス10にシールド要素1を取外し可能に固定する複数の第1の固定要素3と、第2の固定要素4、有利には、シールド要素および補強バッテリパック9を車両20のボディ11に固定するように構成された複数の第2の固定要素4とを備える。
【0044】
各第1の固定要素3は、中空構造16の関係する構成の外部片21に面する貫通穴5と、前記穴5を通しておよび補強構造16の外部片21の底壁内において扱われた第2の穴を通して挿入されるねじ7とを備える。ねじ7は、ナット33で補強構造16に固定されて、シールド要素1をバッテリパックに取外し可能に固定する。
【0045】
各第1の固定要素3はよって、ロケーションスペース17に含まれ、これは、キャリアデバイス10の基壁19の上にあるバッテリモジュールに利用可能な体積を最適化する。
【0046】
各第2の固定要素4はまた、関係する縁部分14の突出部分32において扱われる貫通穴6を備え、前記貫通穴6は、車両20のボディ11において扱われる穴、好ましくは、ねじ付き穴と面するように構成されている。第2の固定要素4はまた、車両20のボディ11のねじ付き穴に挿入されて、シールド要素1および補強バッテリパック9を車両20のボディ11に取外し可能に固定するように構成されたねじ8を備える。
【0047】
図1に図示されているように、補強バッテリパック9は、車両20のボディ11の下部に取外し可能に固定されて、前記補強バッテリパック9の車両20への組み付けおよび分解を容易化する。車両はよって、各第2の固定要素5を前記車両20のボディ11のねじ付き穴に単純に固定することによって、本発明の補強バッテリパック9を簡単に装備することができる。加えて、補強バッテリパック9は、関係する第2の固定要素4の各ねじ8を回して外すことによって、車両20から簡単に取り外すことができる。
【0048】
図2に図示されているように、固定手段2の第1および第2の固定要素3、4は、シールド要素1の面において扱われ、前記第1および第2の固定要素3、4の間の距離は、15cm未満であり、優先的には10cm未満である。第1および第2の固定要素3、4の間の比較的小さい距離を有する固定手段2のこの特有の配置により、補強バッテリパック9と車両20のボディ11との間の振動伝達経路を短くすることができる。これにより、ドライバ満足の重要因子である、良好な騒音振動ハーシュネス(Noise Vibration Harshness)挙動という結果になる。
【0049】
ハイブリッドまたは電気車両20に組み付けられた補強バッテリパック9の損傷したシールド要素の交換のためのプロセスがここで記載される。
【0050】
第1のステップにおいて、車両20から補強バッテリパック9を分解するために、第2の固定要素4のねじ8が、車両20のボディ11から取り外される。補強バッテリパック9はよって、第2のステップにおいて、車両20から取り外される。
【0051】
第3のステップにおいて、損傷したシールド要素を補強バッテリパック9の残部から自由にするために、第1の固定要素3のねじ7が、関係するナット33から取り外される。損傷したシールド要素はよって、バッテリパックから取り外される。
【0052】
第4のステップにおいて、新品のシールド要素1が、キャリアデバイス10の前方に位置づけられる。
【0053】
第5のステップにおいて、第1の固定要素3によって、新しいシールド要素1がバッテリパックに固定される。使用の準備ができた補強バッテリパック9はよって、再組立てされる。
【0054】
最後に、第6のおよび最終ステップにおいて、使用準備のできた補強バッテリパック9が、車両20のボディ11の前方に位置づけされ、補強バッテリパック9を前記車両20に取外し可能に固定するために、第2の固定要素4のねじ8が、車両20のボディ11において扱われる関係するねじ付き穴に挿入される。
【0055】
勿論のこと、補強バッテリパック9は、上記した実施形態に限定はされず、本発明の文脈内で修正を行うことができる。例として、トッププレート37は、任意選択としてもよく、冷却手段12は、異なるように製造されてもよく、上述したようにキャリアデバイス10も同様である。
【0056】
加えて、当業者は、シールド要素1が、固定手段2との組立てをサポートすることのできるバッテリパックの任意の部分に固定するように構成されていれば、本発明による前記シールド要素1は、ハイブリッドまたは電気車両20の任意のタイプのバッテリパックに適していることを理解する。
図1
図2