(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240423BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/112 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240423BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M50/202 401D
H01M50/569
H01M50/202 501P
H01M50/211
H01M50/284
H01M50/249
H01M50/112
H01M50/105
H01M50/204 101
H01M50/202 101
H01M50/548 301
(21)【出願番号】P 2022548601
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2021074818
(87)【国際公開番号】W WO2021159995
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】202010089319.1
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何平
(72)【発明者】
【氏名】郭永明
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼中林
(72)【発明者】
【氏名】周燕▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼彦初
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110518156(CN,A)
【文献】特表2020-504431(JP,A)
【文献】中国実用新案第205645907(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0231877(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014106056(DE,A1)
【文献】特開2012-090732(JP,A)
【文献】特表2016-511512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 50/50-598
H01G 11/00-86
H01R 9/16-20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池端部に位置するカバープレートを含むケースと、
前記ケース内に位置し、少なくとも1つの電極体を含む電極体セットと、
セラミック封止部材と、接続シートと、サンプリング部材とを含むサンプリングアセンブリとを含む電池であって、
前記セラミック封止部材は、前記接続シートにより前記カバープレートに固定され、前記サンプリング部材は、前記セラミック封止部材に固定され、前記サンプリング部材の第1端は前記電極体セットに接続され、前記サンプリング部材の第2端が電池コントローラに電気的に接続されて
おり、
前記電池における電極体セットの情報を収集する電池コントローラと、
コネクタをさらに含み、
前記コネクタは、前記サンプリング部材の第2端と前記電池コントローラの間に接続され、前記コネクタは、前記サンプリング部材と前記電池コントローラとを電気的に接続し、
前記コネクタは、第1の接続部材及び第2の接続部材を含み、前記サンプリング部材の第2端は、前記第1の接続部材に挿入され、かつ前記第2の接続部材の中に突出し、前記第2の接続部材は、前記電池コントローラに電気的に接続され、前記第1の接続部材が前記第2の接続部材に接続されることにより前記サンプリング部材が前記電池コントローラに電気的に接続され、
前記第1の接続部材には、第2の凹部が配置され、前記第2の凹部は、前記第1の接続部材の前記カバープレートに向かう表面から、前記カバープレートと反対側の方向に面する表面の方に窪んでおり、前記セラミック封止部材は、前記第2の凹部内に収容され、かつ、前記第1の接続部材に接続されている、ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記電池は、電池の長さ方向である第1の方向に沿って配列され、かつ、直列に接続されている、複数の電極体セットを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記セラミック封止部材には、貫通孔が設置され、前記サンプリング部材は、前記セラミック封止部材に前記貫通孔内において固定され、かつ、第1端と第2端がそれぞれ前記貫通孔から突出する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記接続シートは、前記セラミック封止部材に溶接され、前記サンプリング部材の第1端は、前記接続シートを貫通する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記カバープレートに第1の凹部が設置され、前記カバープレートの前記第1の凹部には、前記カバープレートを貫通するサンプリング貫通孔が設置され、前記接続シートは、第1の凹部内において前記カバープレートに固定的に接続され、前記サンプリング部材の第1端は、前記サンプリング貫通孔を貫通する、ことを特徴とする請求項
4に記載の電池。
【請求項6】
前記第2の接続部材に接して第3の接続部材が配置され、前記サンプリング部材の第2端は前記第3の接続部材を介して前記電池コントローラに電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池。
【請求項7】
前記第2の凹部の壁面には、第1の留め具が配置され、前記第1の留め具は、前記第2の凹部の径方向に突出し、
前記接続シートの前記セラミック封止部材に向かう表面と、前記カバープレートの前記セラミック封止部材に向かう表面との間に所定の距離があり、前記セラミック封止部材は、前記接続シートと重なる第1の部分と、前記第1の部分を取り囲む第2の部分とを含み、前記第2の部分と前記接続シートの周辺部とは、前記接続シートの径方向に窪んだ第1の窪みを構成し、前記第1の留め具が前記第1の窪みに嵌合することにより、前記第1の接続部材を前記セラミック封止部材に接続する、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池。
【請求項8】
第1の留め具は、前記第2の凹部の壁面に配置され、前記第1の留め具は、前記第2の凹部の径方向に突出し、第2の窪みは、前記接続シートの周辺部に配置され、前記第2の窪みは、前記接続シートの径方向に窪んでおり、前記第1の留め具が前記第2の窪みに合わされることにより、前記第1の接続部材を前記接続シートに接続する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項9】
第2の留め具が、前記第2の接続部材の外側に配置され、前記第1の接続部材には、第3の凹部が配置され、前記第3の凹部は、前記第1の接続部材の前記カバープレートから離れた表面から前記第1の接続部材の前記カバープレートに向かう表面に窪んでおり、前記第3の凹部の壁面に、凸部が配置され、前記凸部は、前記第1の接続部材の径方向に突出し、前記第2の留め具は、前記凸部に係合し、前記第2の接続部材が前記第1の接続部材の第3の凹部に挿入される場合、前記第2の留め具は、前記凸部に係合して固定される、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池。
【請求項10】
前記第2の接続部材に導電貫通孔が設置され、前記第3の接続部材は、前記導電貫通孔内を貫通し、前記サンプリング部材の第2端は、前記第2の接続部材に挿入され、かつ前記導電貫通孔内に延びて前記第3の接続部材に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項
6に記載の電池。
【請求項11】
前記ケースと前記電極体セットとの間にパッケージフィルムがさらに設置され、前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内にパッケージ化される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項12】
前記電極体セットは、電極体セット本体と、電極体セット本体に電気的に接続され、電流を引き出す第1の電極及び第2の電極とを含み、直列接続された2つの電極体セットのうちの1つの電極体セットの第1の電極と、もう1つの電極体セットの第2の電極との接続箇所は、前記パッケージフィルム内に位置する、ことを特徴とする請求項
11に記載の電池。
【請求項13】
前記パッケージフィルムと、前記第1の電極及び/又は前記第2の電極と対応する位置には、隣接する2つの電極体セット本体を隔離するパッケージ部が形成され、
隣接する2つの電極体セットのうちの1つの電極体セットの第1の電極と、もう1つの電極体セットの第2の電極とのうちの少なくとも1つは、前記パッケージ部内に位置する、ことを特徴とする請求項
12に記載の電池。
【請求項14】
前記パッケージフィルムは、間隔をあけて設置されたサブパッケージフィルムを複数含み、各前記サブパッケージフィルム内に1つの電極体セットがパッケージ化されて電極体アセンブリを形成し、前記電極体アセンブリ同士は直列接続される、ことを特徴とする請求項
11に記載の電池。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の電池を複数含む、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項16】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の電池又は請求項
15に記載の電池モジュールを複数含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項17】
請求項
15に記載の電池モジュール又は請求項
16に記載の電池パックを含む、ことを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年2月12日に提出した、発明の名称「電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車」の中国特許出願第「202010089319.1」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、具体的には、電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車の普及が進むにつれて、新エネルギー自動車の動力電池に対する使用要件は、ますます高まっている。動力電池パックの使用中には、電池の内部の温度が高くなるため、温度が高すぎて爆発が発生することを回避するように電池の内部の温度をリアルタイムに監視する必要がある。したがって、複数の電極体セットを使用して動力電池を形成する場合、動力電池をよりうまく管理するために、一般的に、電極体セットの電流、電圧、温度などの情報をタイムリーに取得する必要があり、しかしながら、各電極体セットが動力電池の内部にあるため、動力電池のケースが密封されると、動力電池の内部の電極体セットの電圧、電流、温度などの信号をリアルタイムに収集することができず、また、従来技術ではサンプリングニードルをカバープレートに直接的に固定すると、ケースの内部の気密性が低下する。したがって、どのようにして電池の内部の複数の電極体セットの信号を収集するとともに気密性を保証するかは、動力電池を製造する上で1つの解決すべき難題である。
【発明の概要】
【0004】
本願は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0005】
このために、本願の第1の態様に係る電池は、
電池端部に位置するカバープレートを含むケースと、
前記ケース内に位置し、少なくとも1つの電極体を含む電極体セットと、
接続シートと、前記接続シートにより前記カバープレートに固定されたセラミック封止部材と、前記セラミック封止部材に固定され、第1端が前記電極体セットに接続され、第2端が電池コントローラに電気的に接続されるサンプリング部材とを含むサンプリングアセンブリとを含む。
【0006】
本願の1つの実施形態において、前記電極体セットは、複数であり、複数の電極体セットは、電池の長さ方向である第1の方向に沿って配列されて直列接続される。
【0007】
本願の1つの実施形態において、前記電池は、
前記電池における電極体セットの情報を収集する電池コントローラをさらに含む。
【0008】
本願の1つの実施形態において、前記セラミック封止部材には、前記セラミック封止部材を貫通する貫通孔が設置され、前記サンプリング部材は、前記貫通孔内に固定され、かつ第1端と第2端がそれぞれ前記貫通孔から延出する。
【0009】
本願の1つの実施形態において、前記接続シートは、前記セラミック封止部材に溶接され、前記サンプリング部材の第1端は、前記接続シートを貫通する。
【0010】
本願の1つの実施形態において、前記カバープレートに第1の凹部が設置され、前記カバープレートの前記第1の凹部には、前記カバープレートを貫通するサンプリング貫通孔が設置され、前記接続シートは、第1の凹部内に固定的に接続され、前記サンプリング部材の第1端は、前記サンプリング貫通孔を貫通する。
【0011】
本願の1つの実施形態において、前記電池は、
前記サンプリング部材の第2端と前記電池コントローラにそれぞれ接続されることにより前記サンプリング部材と前記電池コントローラとを電気的に接続するコネクタをさらに含む。
【0012】
本願の1つの実施形態において、前記コネクタは、第1の接続部材及び第2の接続部材を含み、前記サンプリング部材の第2端は、前記第1の接続部材に挿入され、かつ前記第2の接続部材に延び、前記第2の接続部材は、前記電池コントローラに電気的に接続され、前記第1の接続部材が前記第2の接続部材に接続されることにより前記サンプリング部材が前記電池コントローラに電気的に接続される。
【0013】
本願の1つの実施形態において、前記第2の接続部材に第3の接続部材が設置され、前記サンプリング部材の第2端は、前記第3の接続部材を介して前記電池コントローラに電気的に接続される。
【0014】
本願の1つの実施形態において、前記第1の接続部材には、前記第1の接続部材の前記カバープレートに向かう一面から前記第1の接続部材の前記カバープレートから離れた一面に窪んだ第2の凹部が設置され、前記セラミック封止部材は、前記第2の凹部内に収容され、かつ前記第1の接続部材に接続される。
【0015】
本願の1つの実施形態において、前記第2の凹部の壁面は、前記第2の凹部に径方向に突出する第1の留め具を有し、
前記接続シートの前記セラミック封止部材に向かう表面と前記カバープレートの前記セラミック封止部材に向かう一面との間に所定の距離があり、前記セラミック封止部材は、前記接続シートと重なるように接続された第1の部分と、前記第1の部分を取り囲む第2の部分とを含み、前記第2の部分と前記接続シートの周辺部とは、前記接続シートに径方向に窪んだ第1の窪みを構成し、前記第1の留め具が前記第1の窪みに嵌合することにより、前記第1の接続部材を前記セラミック封止部材に接続する。
【0016】
本願の1つの実施形態において、前記第2の凹部の壁面は、前記第2の凹部に径方向に突出する第1の留め具を有し、前記接続シートの周辺部は、接続シートに径方向に窪んだ第2の凹部を有し、前記第1の留め具が前記第2の凹部に嵌合することにより、前記第1の接続部材を前記接続シートに接続する。
【0017】
本願の1つの実施形態において、前記第2の接続部材の外側に第2の留め具が設置され、前記第1の接続部材には、前記第1の接続部材の前記カバープレートから離れた一面から前記第1の接続部材の前記カバープレートに向かう一面に窪んだ第3の凹部が設置され、前記第3の凹部の壁面は、前記第1の接続部材に向かって径方向に突出する凸部を有し、前記第2の留め具は、前記凸部に嵌合し、前記第2の接続部材が前記第1の接続部材の第3の凹部に挿入される場合、前記第2の留め具は、前記凸部に係合して固定される。
【0018】
本願の1つの実施形態において、前記第2の接続部材に導電貫通孔が設置され、前記第3の接続部材は、前記導電貫通孔内に穿設され、前記サンプリング部材の第2端は、前記第2の接続部材に挿入され、かつ前記導電貫通孔内に延びて前記第3の接続部材に電気的に接続される。
【0019】
本願の1つの実施形態において、前記ケースと前記電極体セットとの間にパッケージフィルムがさらに設置され、前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内にパッケージ化される。
【0020】
本願の1つの実施形態において、前記電極体セットは、電極体セット本体と、電極体セット本体に電気的に接続され、電流を引き出す第1の電極及び第2の電極とを含み、直列接続された2つの電極体セットのうちの1つの電極体セットの第1の電極ともう1つの電極体セットの第2の電極との接続箇所は、前記パッケージフィルム内に位置する。
【0021】
本願の1つの実施形態において、前記パッケージフィルムと前記第1の電極及び/又は前記第2の電極との相対位置には、隣接する2つの電極体セット本体を隔離するパッケージ部が形成され、
隣接する2つの電極体セットのうちの1つの電極体セットの第1の電極ともう1つの電極体セットの第2の電極とのうちの少なくとも1つは、前記パッケージ部内に位置する。
【0022】
本願の1つの実施形態において、前記パッケージフィルムは、間隔をあけて設置されたサブパッケージフィルムを複数含み、各前記サブパッケージフィルム内に1つの電極体セットがパッケージ化されて電極体アセンブリを形成し、前記電極体アセンブリ同士は直列接続される。
【0023】
本願の第2の態様に係る電池モジュールは、上記いずれか1項に記載の電池を複数含む。
【0024】
本願の第3の態様に係る電池パックは、上記いずれか1項に記載の電池又は複数の上記電池モジュールを複数含む。
【0025】
本願の第4の態様に係る電気自動車は、上記電池モジュール又は上記電池パックを含む。
【0026】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本願の上記及び/又は追加的な態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0028】
【
図1】本願の一実施例に係る電池の概略構成図である。
【
図2】本願の一実施例に係る電池のカバープレート部分の概略斜視図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池のカバープレート部分の分解斜視図である。
【
図4】本願の一実施例に係る電池のカバープレートのサンプリングアセンブリ部分の分解斜視図である。
【
図5】本願の一実施例に係る電池のカバープレート部分の正面図である。
【
図9】本願の別の実施例に係る電池のカバープレート部分の断面図である。
【
図11】本願の一実施例に係る電池の断面図である。
【
図12】本願の他の実施例に係る電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似する符号は、同一又は類似する部材、若しくは同一又は類似する機能を有する部材を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するためのものであると理解すべきではない。
【0030】
図1を参照して、本願の一実施例は、ケース100、電極体セット500及びサンプリングアセンブリ300を含む電池10を提供し、ケース100は、電池10端部に位置するカバープレート110を含み、カバープレート110は、1つであってよく、2つであってもよく、サンプリングアセンブリ300は、1つのカバープレート110に位置してもよく、2つのカバープレートにいずれもサンプリングアセンブリ300が設置されてもよい。本実施例において、ケース100は、両端が開口するサイドケースと、両端にそれぞれ位置する2つのカバープレート110とを含み、2つのカバープレート110とサイドケースは、密閉された収容キャビティを構成し、収容キャビティ内に電極体セット500(
図11に示すように)が設置され、サンプリングアセンブリ300は、そのうちの1つのカバープレート110に位置する。上記電極体セット500は、ケース100内に位置し、少なくとも1つの電極体を含む。
【0031】
図4を参照して、サンプリングアセンブリ300は、接続シート320と、接続シート320によりカバープレート110に固定されたセラミック封止部材310と、セラミック封止部材310に固定され、第1端331(
図9に示すように)が電池10における電極体セット500に電気的に接続され、第2端332が電池コントローラ200に電気的に接続されたサンプリング部材330とを含み、サンプリング部材330は、第1端331により電池10における電極体セット500の情報を収集し、かつ第2端332により情報を電池コントローラ200に伝送する。
【0032】
従来技術において、サンプリング部材330をカバープレート110に直接的に固定し、サンプリング部材330とカバープレート110との接続箇所の密封性が低く、本願において、セラミック封止部材310及び接続シート320によりサンプリング部材330をカバープレート110に固定し、サンプリング部材330を直接的にカバープレート110に固定することに比べて、ケース100内の気密性を向上させることができ、また、従来の一体射出成形構造は、長期老化後に気密性が保証されにくい。
【0033】
図3を参照して、本実施例において、上記カバープレート110に負極端子120がさらにあり、他の実施例において、サンプリングアセンブリ300は、正極端子を有するカバープレートに取り付けられてもよい。
【0034】
図2を参照して、さらなる実施例において、電池は、電池10における電極体セット500の情報を収集する電池コントローラ200をさらに含む。上記電極体セット500の情報は、電流、電圧、温度情報を含み、電池コントローラ200は、さらに収容キャビティ内の気圧情報などを収集する。電池コントローラ200は、さらに、サンプリングアセンブリ300が収集した電極体セット500の情報に基づいて電池を制御し管理することにより、電池10を電池の破損から保護する。
【0035】
本実施例において、電池コントローラ200は、電池BMSユニットであり、PCBA硬質板を含んでもよい。
【0036】
図4を再度参照して、さらなる実施例において、セラミック封止部材310には、セラミック封止部材310を貫通する貫通孔311が設置され、サンプリング部材330は、貫通孔311内に固定され、かつサンプリング部材330の第1端331と第2端332は、それぞれ貫通孔311(
図9に示すように)から延出する。本実施例において、サンプリング部材330は、貫通孔311内に溶接され、具体的にはろう付けされる。貫通孔311の数は、サンプリング部材330の数に対応し、本願において、貫通孔311同士は、間隔をあけて設置されて、さらにサンプリング部材330同士は、間隔をあけて設置され、サンプリング部材330の間の絶縁性が保証される。
【0037】
本願において、上記サンプリング部材330は、好ましくは耐高温600~800度の銅針である。接続シート320は、アルミニウム接続シートである。カバープレート110及び接続シート320は、好ましくはアルミニウム材質である。
【0038】
さらなる実施例において、サンプリング部材330がセラミック封止部材310と接触する表面にいずれも金属層が設置されることにより、両者の間の導電接続性を向上させ、接触抵抗を低減する。好ましくは、上記金属層は、金層である。上記金属層の厚さは、好ましくは0.2mmである。
【0039】
説明すべきものとして、本実施例において、サンプリング部材330の数は、7つであり、そのうちの1つのサンプリング部材330は、負の収集端子とし、他の6つのサンプリング部材330は、それぞれ6つの電極体セット500の正の収集端子とし、負の収集端子と1つの正の収集端子は、対応する電極体セット500の情報を収集するため、本実施例において6つの電極体セット500を同時にサンプリングすることができる。もちろん、6つより少ない電極体セット500をサンプリングしてもよい。他の実施例において、サンプリング部材330の数は、11個であってもよく、10個以下の電極体セット500をサンプリングしてもよい。数は、具体的な必要に応じて設定されてもよい。
【0040】
さらなる実施例において、接続シート320は、セラミック封止部材310に溶接され、サンプリング部材330の第1端331は、接続シート320(
図9に示すように)を貫通し、接続シート320は、カバープレート110に固定的に接続される。接続シート320は、中央部が抜かれたリング形であり、接続シート320とセラミック封止部材310は、ろう付けにより固定的に接続される。
【0041】
本願において、サンプリング部材330をセラミック封止部材310にろう付けし、セラミック封止部材310を接続シート320にろう付けし、接続シート320をカバープレート110にレーザ溶接することが好ましく、サンプリング部材330をカバープレート110に直接的に溶接することに比べて、気密性がより高く、支持強度がより高く、接続がより堅固であり、サンプリング部材330とセラミック封止部材310の構造の引き抜き強度及び密封性の要件を保証する。
【0042】
図4を再度参照して、さらなる実施例において、カバープレート110に第1の凹部111が設置され、カバープレート110の第1の凹部111には、カバープレート110を貫通するサンプリング貫通孔112が設置され、接続シート320は、第1の凹部111内に固定的に接続され、サンプリング部材330の第1端331は、サンプリング貫通孔112を貫通する。本実施例において、上記
第1の凹部111は、カバープレート110が上記セラミック封止部材310に向かう一面から電極体セット500に向かう一面に窪んで形成される。接続シート320は、溶接により
第1の凹部111に固定的に接続される。
【0043】
さらなる実施例において、サンプリングアセンブリ300は、サンプリングライン(図示せず)をさらに含み、サンプリングラインは、一端がサンプリング部材330に接続され、他端が電極体セット500に電気的に接続される。サンプリングラインは、サイドケースにおけるサンプリング孔を介して電極体セット500に接続することができる。
【0044】
図2を再度参照して、さらなる実施例において、電池10は、コネクタ400をさらに含み、コネクタ400は、それぞれサンプリング部材330の第2端332と電池コントローラ200に接続されることによりサンプリング部材330を電池コントローラ200に電気的に接続する。コネクタ400を介してサンプリング部材330と電池コントローラ200とは電気的に接続して、両者の導電接続性が向上する。
【0045】
図5~
図9を参照して、さらなる実施例において、コネクタ400は、第1の接続部材410及び第2の接続部材420を含み、サンプリング部材330の第2端332は、第1の接続部材410に挿入され、かつ第2の接続部材420(
図9に示すように)に延び、第2の接続部材420は、電池コントローラ200に電気的に接続され、第1の接続部材410が第2の接続部材420に接続されることによりサンプリング部材330が電池コントローラ200に電気的に接続される。第1の接続部材410と第2の接続部材420とは、固定的に接続されてもよく、可動に接続されてもよい。両者が可動に接続される場合、電池コントローラ200に接続された第2の接続部材420を第1の接続部材410に固定するか又は第1の接続部材410から分離して、電池コントローラ200とカバープレート110での部材との固定又は分離を実現することができ、取り付け及び取り外しを容易にする。
【0046】
図9を参照して、さらなる実施例において、第2の接続部材420に第3の接続部材430が設置され、サンプリング部材330の第2端332は、第3の接続部材430を介して電池コントローラ200に電気的に接続される。第3の接続部材
430は、導線である。本実施例において、第1の接続部材410及び第2の接続部材420は、プラスチック接着剤で製造され、第3の接続部材
430は、金属導線であり、第2の接続部材420に熱可塑化される。
【0047】
図7及び
図8を参照して、さらなる実施例において、第1の接続部材410には、第1の接続部材410のカバープレート110に向かう一面から第1の接続部材410のカバープレート110から離れた一面に窪んだ第2の凹部414が設置され、セラミック封止部材310は、第2の凹部414内に収容され、かつ第1の接続部材410に接続される。第1の接続部材410は、上記セラミック封止部材310を第2の凹部414にカバーするとも言える。
【0048】
さらなる実施例において、第2の凹部414の壁面は、第2の凹部414に径方向に突出する第1の留め具411を有し、接続シート320のセラミック封止部材310に向かう表面とカバープレート110のセラミック封止部材310に向かう一面との間に所定の距離Hがある。すなわち、接続シート320は、カバープレート110と面一ではなく、カバープレート110の表面から突出する。セラミック封止部材310は、接続シート320と重なるように接続された第1の部分312と、第1の部分312を取り囲む第2の部分313とを含み、第2の部分313と接続シート320の周辺部とは、接続シート320に径方向に窪んだ第1の窪み314を構成し、第1の留め具411が第1の窪み314に嵌合することにより、第1の接続部材410をセラミック封止部材310に接続し、さらに第1の接続部材410をカバープレート110に接続する。
【0049】
図9及び
図10を参照して、別のいくつかの実施例において、第2の凹部414の壁面は、第2の凹部414に径方向に突出する第1の留め具411を有し、接続シート320の周辺部は、接続シート320に径方向に窪んだ第2の凹部321を有し、第1の留め具411が第2の凹部321に嵌合することにより、第1の接続部材410を接続シート320に接続する。第1の接続部材410と接続シート320とは、第1の留め具411及び第2の凹部321により係合して接続固定され、さらに第1の接続部材410をカバープレート110に接続する。
【0050】
図6を参照して、さらなる実施例において、第2の接続部材420の外側に第2の留め具421が設置され、第1の接続部材410には、第1の接続部材410のカバープレート110から離れた一面から第1の接続部材410のカバープレート110に向かう一面に窪んだ第3の凹部412が設置される。第3の凹部412は、第1の接続部材410のカバープレート110から離れた一面がカバープレート110に向かう一面に窪んで形成される。第3の凹部412の壁面は、第1の接続部材410に向かって径方向に突出する凸部413を有し、第2の留め具421は、凸部413に嵌合し、第2の接続部材420が第1の接続部材410の第3の凹部412に挿入される場合、第2の留め具421は、凸部413に係合して固定される。すなわち、第1の接続部材410と第2の接続部材420は、第2の留め具421により凸部413に係合して固定される。
【0051】
本実施例において、第1の接続部材410と接続シート320とは、第1の留め具411及び第1の窪み314により係合して接続され、第2の接続部材420と第1の接続部材410とは、第2の留め具421及び凸部413により係合して接続されるとともに、サンプリング部材330を固定することができ、第1の接続部材410は、接続シート320によりカバープレート110に接続され、第2の接続部材420は、電池コントローラ200に接続され、さらにカバープレート110と電池コントローラ200との突合せ及び取り外しを容易にすることができる。
【0052】
図5及び
図9を参照して、さらなる実施例において、第2の接続部材420に導電貫通孔422が設置され、第3の接続部材430は、導電貫通孔422に穿設され、サンプリング部材330の第2端332は、第2の接続部材420に挿入され、かつ導電貫通孔422に延びて第3の接続部材430に電気的に接続される。第2の接続部材420が第1の接続部材410に係合される場合、サンプリング部材330は、導電貫通孔422内に第3の接続部材430と電気的に接続され、電池における電極体セット500の情報を電池コントローラ200に伝送することをさらに実現する。
【0053】
さらなる実施例において、上記電極体セット500は、複数であり、複数の電極体セット500は、電池10の長さ方向である第1の方向Aに沿って配列されて直列接続される。各電極体セット500は、少なくとも1つの電極体を含む。一実施例において、電極体セット500は、3つであり(
図11に示すように)、3つの電極体セット500は、第1の方向Aに沿って配列されて直列接続される。他の実施例において、電極体セット500の数は、実際の必要に応じて設定されてもよい。
【0054】
図11を参照して、さらなる実施例において、ケース100と電極体セット500との間にパッケージフィルム600がさらに設置され、電極体セット500は、パッケージフィルム600内にパッケージ化される。本願において、各電極体セット500は、ソフトラップ電極体セット500であり、すなわち電極体セット500は、パッケージフィルム600によって密封されて外装され、好ましくは、パッケージフィルム600の密封材質は、PET-PP複合膜又はアルミラミネートフィルムである。ソフトラップ電極体セット500は、容量等級付けと化成の後に膨張し、ケース100は、一般的にアルミニウムケースでパッケージ化され、パッケージフィルム600の内部のキャビティに対して負圧を引いてソフトパッケージ電極体セット500を拘束する必要があるため、パッケージフィルム600内の収容キャビティに気密性が要求される。本願において、サンプリング部材330をセラミック
封止部材310及び接続シート320によりカバープレート110に固定することにより、カバープレート
110とサンプリング部材330との接続箇所の気密性を向上させることができる。
【0055】
本実施例において、上記ケース100は、金属ケースであり、電極体セット500をまずパッケージフィルム600内にパッケージ化し、パッケージフィルム600外に金属ケース100を嵌着することにより、電極体セット500に対する二次パッケージ化を実現し、電池10の密封性能を向上させる。パッケージフィルム600内に電解液がさらに注入されることを理解されたい。したがって、上記方式により、さらに電解液と金属ケース100との接触を回避し、金属ケース100の腐食又は電解液の分解を回避することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、電極体セット500は、電極体セット本体510と、電極体セット本体510に電気的に接続され、電流を引き出す第1の電極520及び第2の電極530とを含み、直列接続された2つの電極体セット500のうちの1つの電極体セット500の第1の電極520ともう1つの電極体セット500の第2の電極530との接続箇所は、パッケージフィルム600内に位置する。
【0057】
換言すれば、パッケージフィルム600は、一体的に設置され、複数の電極体セット500は、同一のパッケージフィルム600内にパッケージ化され、本実施例において、同一の電極体セット500における複数の電極体が並列接続され、電極体セット500同士が直列接続されることにより、電池の容量を向上させ、製造コストを低減することができる。
【0058】
なお、本実施例の直列接続方式は、隣接する電極体セット500同士が直列接続されてもよく、具体的な実現方式は、隣接する電極体セット500の第1の電極520と第2の電極530とが直接的に接続されてもよく、追加の導電部材により電気的に接続されてもよく、一般的には、各上記電極体セット500は、いずれも電流を引き出す第1の電極520及び第2の電極530を含み、電極体セット500が1つの電極体のみを含む場合、第1の電極520と第2の電極530は、それぞれ電極体の正極タブと負極タブであってもよいか、又はそれぞれ負極タブと正極タブであってもよい。複数の電極体を含む場合、第1の電極520及び第2の電極530の引出部材は、電極リードであってもよい。第1の電極520及び第2の電極530における「第1の」及び「第2の」は、名称を区別するためのものに過ぎず、数を限定するものではなく、例えば第1の電極520は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0059】
金属ケース100内に複数の電極体セット500が含まれる場合、金属ケース100内の負圧により、複数の電極体セット500の金属ケース100内での移動を効果的に回避し、電池10の安全性能を向上させることができる。
【0060】
上記実施形態において、パッケージフィルム600と第1の電極520及び/又は第2の電極530との相対位置には、隣接する2つの電極体セット本体510を隔離するパッケージ部540が形成され、隣接する2つの電極体セット500のうちの1つの電極体セット500の第1の電極520ともう1つの電極体セット500の第2の電極530とのうちの少なくとも1つは、パッケージ部540内に位置する。パッケージ部540により複数の電極体セット500を隔離して、複数の電極体セット500の間の電解液が互いに流通することを回避し、複数の電極体セット500は、互いに影響せず、かつ複数の電極体セット500における電解液は、電位差が大きすぎて分解することがなく、電池の安全性能及び耐用年数を保証する。
【0061】
パッケージ部540は、様々な実施形態を有してもよく、例えば結束バンドを使用してパッケージフィルム600を締め付けてパッケージ部540を形成してもよく、パッケージフィルム600を直接的に熱溶着して接続してパッケージ部540を形成してもよい。パッケージ部540の具体的な形態は、特に限定されない。
【0062】
このような実施形態において、複数の電極体セット500は、同一のパッケージフィルム600を共有してもよく、この場合に、電極体セット500の間にパッケージ部540が設置され、該パッケージ部540は、電極体セット500の間のパッケージフィルム600を熱融着して接続して形成されたものであってもよい。具体的には、電極体セット500は、第1の電極520及び第2の電極530を有する。電極体セット500をパッケージ化する前に、まず複数の電極体セット500を直列接続し、次に1枚のパッケージフィルム600を利用して直列接続された電極体セット500を被覆し、例えば、直列接続された電極体セット500をパッケージフィルム600の一部の領域に配置し、次にパッケージフィルム600の他の一部の領域を電極体セット500の方向に向かって中折りし、その後に熱融着処理により2つの部分の領域のパッケージフィルム600を熱融着して密封することにより、直列接続された電極体セット500を同一のパッケージフィルム600内にパッケージ化し、そして電極体セット500の間に位置する上下の2つの部分の領域のパッケージフィルム600を熱融着して押出して一体成型することにより、電極体セット500の間に電極体セット500を隔てるセパレータを形成する。
【0063】
図12を参照して、本願の別のいくつかの実施形態において、パッケージフィルム600は、間隔をあけて設置されたサブパッケージフィルム610を複数含み、各サブパッケージフィルム610内に1つの電極体セット500がパッケージ化されて電極体アセンブリを形成し、電極体アセンブリ同士は直列接続される。
【0064】
換言すれば、サブパッケージフィルム610の数と電極体セット500の数とは、1対1に対応し、各電極体セット500は、1つのサブパッケージフィルム610に単独でパッケージ化され、このような実施形態において、複数の電極体セット500の製造を終了した後、各電極体セット500の外に1つのサブパッケージフィルム610を単独で嵌着し、次に電極体アセンブリを直列接続することができる。
【0065】
複数の電極体セットのサブパッケージフィルム610は、互いに独立し、すなわち各電極体セットについては、単独で1枚のサブパッケージフィルム610を用いて対応する電極体セット500をパッケージ化し、この場合に、電極体セット500の第1の電極520と第2の電極530は、それぞれ第1の方向Aに沿って電極体セット500の両端から引き出される。各電極体セット500は、サブパッケージフィルム610で電極体セット500をパッケージ化した後、引き出された第1の電極520及び第2の電極530により直列接続される。
【0066】
本願において、電池の容量を向上させるために、電池10のケース100内に複数の電極体セット500が直列接続され、振動、揺れの場合に、複数の電極体セット500がケース100内に移動しやすく、電極体セット500同士又は電極体同士の相対変位が発生し、電極体に損傷が発生し、例えば、集電体が破損し、セパレータが皺になり、極片での活性材料層が脱落し、電池の安定性が低く、安全上の問題も発生しやすい。
【0067】
したがって、さらなる実施例において、金属ケース100とパッケージフィルム600との間の気圧は、金属ケース100外の気圧より低い。
【0068】
本願において、「気圧」は、大気圧の略称である。それは、単位面積当たりに作用する気体の圧力を指し、すなわち単位面積において、大気上界まで上方に延びる垂直空気柱の重量に等しい。
【0069】
金属ケース100とパッケージフィルム600との間の気圧は、金属ケース100とパッケージフィルム600との間に位置する空間内の気圧であり、該気圧は、金属ケース100外の気圧より低く、したがって、本願の実施例において、金属ケース100とパッケージフィルム600との間が負圧状態にあるため、金属ケース100が大気圧の作用で窪むか又は変形すると、金属ケース100と電極体セット500との間の隙間がそれに伴って小さくなり、電極体セット500が移動するか又は互に変位する空間が小さくなり、さらに電極体セット500の移動及び電極体セット500同士の相対変位を減少させ、電池10の安定性、強度及び安全性能を向上させることができる。
【0070】
例えば、金属ケース100とパッケージフィルム600との間の空間に対して空気抜き処理を行うことにより、金属ケース100とパッケージフィルム600との間を負圧状態にすることにより、金属ケース100を内部の電極体セット500にできるだけ近接させ、内部の隙間を小さくし、電極体が金属ケース内で移動することを防止するとともに、電極体同士の相対変位が発生することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料が脱落するような状況の発生を減少させ、電池全体の機械的強度を向上させ、電池の耐用年数を長くし、電池の安全性能を向上させる。
【0071】
一実施形態において、金属ケース100とパッケージフィルム600との間の気圧はP1であり、P1の値範囲は、-100Kpa~-5Kpaであってもよく、さらに、P1の値は、-75Kpa~-20Kpaであってもよい。もちろん、当業者は、実際の必要に応じてP1の値を設定してもよい。
【0072】
パッケージフィルム600内の気圧は、P2であり、P1とP2との関係は、P1>P2を満たし、かつP1/P2の範囲は、0.05~0.85である。
【0073】
P2の値は、-100Kpa~-20Kpaであってもよい。
【0074】
P1、P2及びP1/P2を上記範囲内に限定し、本技術における電極体セット500は、二次密封のモードを使用し、上記実施形態で説明したように、まず電池の電極体セット500をパッケージフィルム600内にパッケージ化し、内部の気圧が大きすぎてパッケージフィルム600が外向きに膨出することによるパッケージフィルム600の破損を回避するために、本発明者らは、金属ケース100とパッケージフィルム600との間の気圧がパッケージフィルム600内の気圧より大きいことを選択する。また、本発明者らは、多くの実験により、P1/P2が上記範囲にある場合、電池の二次密封の信頼性を効果的に保証するとともに、電池極板の間の界面を保証し、極板の間の隙間を回避し、リチウムイオンをより良好に伝導させることを検証した。
【0075】
いくつかの実施形態において、パッケージフィルム600内の気圧は、金属ケース100とパッケージフィルム600との間の気圧より低い。
【0076】
本願は、上記いずれか1項に記載の電池を複数含む電池モジュールをさらに提供する。
【0077】
本願は、上記いずれか1項に記載の複数の電池又は上記電池モジュールを複数含む電池パックをさらに提供する。
【0078】
本願は、上記電池モジュール又は上記電池パックを含む電気自動車をさらに提供する。
【0079】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明して説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部材が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解してはならない。
【0080】
また、用語「第1の」、「第2の」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を実質的に示唆するものとして理解してはならない。これにより、「第1の」、「第2の」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は実質的に含んでもよい。本願の説明において、「複数」とは、別に明確で具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0081】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定的な接続、着脱可能な接続、一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続であってもよく、直接的な連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0082】
本願において、明確な規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接的に接触することであってもよく、第1の特徴と第2の特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。また、第1の特徴が第2の特徴「の上」、「上方」又は「上」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることであってもよく、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことを表すことであってもよい。第1の特徴が第2の特徴「の下」、「下方」又は「下」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下にあることであってもよく、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴より低いことを表すことであってもよい。
【0083】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0084】
以上、本願の実施例を示し、説明したが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものとして理解してはならず、当業者であれば、本願の範囲内に上記実施例に対して変更、修正、置換及び変形を行うことができる。