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特許7477627空気調和機管理システム、これに用いる携帯端末および空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】空気調和機管理システム、これに用いる携帯端末および空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/50 20180101AFI20240423BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20240423BHJP
【FI】
F24F11/50
F24F11/52
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022551505
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2020036089
(87)【国際公開番号】W WO2022064611
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健一
(72)【発明者】
【氏名】立石 優太
(72)【発明者】
【氏名】仙道 要
(72)【発明者】
【氏名】窪田 光
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/118885(WO,A1)
【文献】特開2014-077680(JP,A)
【文献】特開2007-040584(JP,A)
【文献】特開2016-133294(JP,A)
【文献】特開2016-038327(JP,A)
【文献】特開2003-016519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機と、前記空気調和機に無線通信で接続可能な携帯端末とを備え、
前記携帯端末は、
GPS信号を受信して自端末の位置情報を取得するGPS情報取得部と、
手動操作により入力された位置情報を取得する入力情報取得部と、
情報を表示する表示部と、
前記空気調和機の位置情報の設定を指示する操作が行われると、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報または前記入力情報取得部で取得した位置情報に、該当する位置情報がGPS信号から取得した位置情報であるかまたは手動操作により入力された位置情報であるかを示す取得区分情報を付加して、前記空気調和機の位置情報として前記空気調和機に記憶させるために送信し、
前記空気調和機の位置情報の読み出しを指示する操作が行われると、位置情報の読み出し要求を前記空気調和機に送信し、
前記位置情報の読み出し要求を送信したことに応じて前記空気調和機から送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報を、この位置情報に付加された取得区分情報とともに前記表示部に表示させ、
前記表示部に前記空気調和機から送信された位置情報および取得区分情報が表示された後に前記空気調和機の位置情報の設定を指示する操作が行われると、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報を取得し、取得した位置情報に、GPS信号から取得した位置情報であることを示す取得区分情報を付加して、記憶された位置情報を更新するために前記空気調和機に送信する端末情報処理部とを有し、
前記空気調和機は、
記憶部と、
前記携帯端末から前記空気調和機の位置情報として送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報を前記記憶部に記憶させ、
前記携帯端末から前記空気調和機の位置情報の読み出し要求を受信すると、前記記憶部に記憶された前記位置情報を読み出して前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末から、記憶した位置情報を更新するために送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報で、前記記憶部に記憶した位置情報を更新する室外機情報処理部とを有する
ことを特徴とする空気調和機管理システム。
【請求項2】
空気調和機に無線通信で接続され、
GPS信号を受信して自端末の位置情報を取得するGPS情報取得部と、
手動操作により入力された位置情報を取得する入力情報取得部と、
情報を表示する表示部と、
前記空気調和機の位置情報の設定を指示する操作が行われると、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報または前記入力情報取得部で取得した位置情報に、該当する位置情報がGPS信号から取得した位置情報であるかまたは手動操作により入力された位置情報であるかを示す取得区分情報を付加して、前記空気調和機の位置情報として前記空気調和機に記憶させるために送信し、
前記空気調和機の位置情報の読み出しを指示する操作が行われると、位置情報の読み出し要求を前記空気調和機に送信し、
前記位置情報の読み出し要求を送信したことに応じて前記空気調和機から送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報を、この位置情報に付加された取得区分情報とともに前記表示部に表示させ、
前記表示部に前記空気調和機から送信された位置情報および取得区分情報が表示された後に前記空気調和機の位置情報の設定を指示する操作が行われると、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報を取得し、取得した位置情報に、GPS信号から取得した位置情報であることを示す取得区分情報を付加して、記憶された位置情報を更新するために前記空気調和機に送信する端末情報処理部と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
前記端末情報処理部は、前記空気調和機の位置情報の設定を指示する操作が行われたときに、前記GPS情報取得部に位置情報の取得を指示し、当該指示に対応してGPS信号による位置情報を取得すると、取得した位置情報に、当該位置情報がGPS信号から取得した位置情報であることを示す情報を付加して前記空気調和機に送信し、GPS信号による位置情報が取得できなかったときには位置情報の入力を促すメッセージ情報を出力し、手動操作により入力された位置情報を取得すると、取得した位置情報に、当該位置情報が手動操作により入力された位置情報であることを示す情報を付加して前記空気調和機に送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記GPS情報取得部で取得した位置情報に当該GPS信号の信頼度を示す信頼度情報を付加し、
前記端末情報処理部は、位置情報に前記信頼度情報が付加されていれば当該位置情報はGPS信号により取得されたものであると判断し、前記信頼度情報が付加されていなければ、手動操作で入力された位置情報であると判断して取得区分情報を設定する
ことを特徴とする請求項2また3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記端末情報処理部は、地図情報を有し、取得した前記空気調和機の位置情報を、当該位置情報に付加された取得区分情報ごとに区別した表示形式で前記地図情報上に示した表示情報を生成して前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項2~いずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
GPS信号を受信して自端末の位置情報を取得するGPS情報取得部と、
手動操作により入力された位置情報を取得する入力情報取得部と、
情報を表示する表示部と、
空気調和機の位置情報の設定を指示する操作が行われると、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報または前記入力情報取得部で取得した位置情報に、該当する位置情報がGPS信号から取得した位置情報であるかまたは手動操作により入力された位置情報であるかを示す取得区分情報を付加して、前記空気調和機の位置情報として前記空気調和機に記憶させるために送信し、
前記空気調和機の位置情報の読み出しを指示する操作が行われると、位置情報の読み出し要求を前記空気調和機に送信し、
前記位置情報の読み出し要求を送信したことに応じて前記空気調和機から送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報を、この位置情報に付加された取得区分情報とともに前記表示部に表示させ、
前記表示部に前記空気調和機から送信された位置情報および取得区分情報が表示された後に前記空気調和機の位置情報の設定を指示する操作が行われると、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報を取得し、取得した位置情報に、GPS信号から取得した位置情報であることを示す取得区分情報を付加して、記憶された位置情報を更新するために前記空気調和機に送信する端末情報処理部と
を備えた携帯端末に近距離無線通信で接続され、
記憶部と、
前記携帯端末から前記空気調和機の位置情報として送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報を前記記憶部に記憶させ、
前記携帯端末から前記空気調和機の位置情報の読み出し要求を受信すると、前記記憶部に記憶された前記位置情報を読み出して前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末から、記憶した位置情報を更新するために送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報で、前記記憶部に記憶した位置情報を更新する室外機情報処理部とを有する
ことを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機管理システム、これに用いる携帯端末および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の保守点検や故障の原因究明等を行うために、空気調和機の設置位置を把握することが望ましい。このため、空気調和機の室外機にGPS受信機能を搭載し、GPS受信機能によって取得した設置位置の情報を空気調和機に把握させる。この位置情報を用いて対象となる空気調和機の保守点検や故障の原因究明を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4845814号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、上述したようにGPS受信機能を空気調和機に装備すると、空気調和機の部品点数が増加するとともに、コストが増加する。そこで、空気調和機の保守点検を行う作業員が、所持するGPS受信機能を有する携帯端末を使用して、空気調和機の設置現場において位置情報を取得し、これを携帯端末と空気調和機との間の通信機能を用いて空気調和機の記憶部に記憶させることが考えられる。このように処理を行うことで、空気調和機本体にはGPS受信機能を設けずに、空気調和機の位置情報を空気調和機に記憶させることができる。
【0005】
しかしながら携帯端末で空気調和機の位置情報を取得する際に、当該位置の地形、空気調和機の設置環境、または天候等によっては、当該携帯端末でGPS信号を受信することができない場合がある。このような場合、空気調和機に位置情報を入力することができなくなる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、空気調和機の設置位置でGPS情報を受信できない場合も、当該空気調和機の位置情報を取得することが可能な空気調和機管理システム、これに用いる携帯端末および空気調和機を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の空気調和機管理システムは、空気調和機と、前記空気調和機に無線通信で接続可能な携帯端末とを備え、前記携帯端末は、GPS信号を受信して自端末の位置情報を取得するGPS情報取得部と、手動操作により入力された位置情報を取得する入力情報取得部と、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報または前記入力情報取得部で取得した位置情報に、該当する位置情報がGPS信号から取得した位置情報であるかまたは手動操作により入力された位置情報であるかを示す取得区分情報を付加して前記空気調和機に送信する端末情報処理部とを有し、前記空気調和機は、前記携帯端末から送信された位置情報及び取得区分情報を、記憶する記憶部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の携帯端末は、空気調和機に無線通信で接続され、GPS信号を受信して自端末の位置情報を取得するGPS情報取得部と、手動操作により入力された位置情報を取得する入力情報取得部と、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報または前記入力情報取得部で取得した位置情報に、該当する位置情報がGPS信号から取得した位置情報であるかまたは手動操作により入力された位置情報であるかを示す取得区分情報を付加して、前記空気調和機の位置情報として記憶させるために前記空気調和機に送信する端末情報処理部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の空気調和機は、GPS信号を受信して自端末の位置情報を取得するGPS情報取得部と、手動操作により入力された位置情報を取得する入力情報取得部と、前記GPS情報取得部で取得した自端末の位置情報または前記入力情報取得部で取得した位置情報に、該当する位置情報がGPS信号から取得した位置情報であるかまたは手動操作により入力された位置情報であるかを示す取得区分情報を付加して送信する端末情報処理部とを備えた携帯端末に近距離無線通信で接続され、前記携帯端末から送信された位置情報を、自機の位置情報として記憶する記憶部を有する
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの構成を示す全体図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムに用いる空気調和機の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムに用いる携帯端末の構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの携帯端末を用いて空気調和機の位置情報を設定する動作を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの携帯端末に第1表示情報が表示されたときの画面構成図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの携帯端末に第2表示情報が表示されたときの画面構成図である。
図7図7は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの携帯端末で、空気調和機に記憶された位置情報を取得し更新する動作を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの携帯端末に、GPS信号により取得された位置情報を地図情報上に示した第1表示情報が表示されたときの画面構成図である。
図9図9は、本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの携帯端末に、手動で入力された位置情報を地図情報上に示した第2表示情報が表示されたときの画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈一実施形態による空気調和機管理システムの構成〉
本発明の一実施形態による空気調和機管理システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による空気調和機管理システム1は、空気調和機10と、当該空気調和機10との間でNFC(Near Field Communication)による近距離無線通信可能な携帯端末20とを備える。携帯端末20は、空気調和機10の設置作業や保守点検を行う作業員が携帯する端末である。
【0012】
空気調和機10の概略構成を図1に示し、詳細な構成を図2に示す。空気調和機10は、室外機11と、当該室外機11に通信線および冷媒配管により接続された室内機12と、室内機12に通信接続されたリモートコントローラ13とを備える。室外機11は、NFCタグ111と、室外制御器112とを有する。NFCタグ111は、NFC通信を行うための室外機アンテナ111aと、不揮発性メモリ111bと、情報入出力部111cとを有する。情報入出力部111cは、NFC通信による情報の入出力処理を行う。室外機11、室内機12、もしくはリモートコントローラ13のいずれかは、より上位の空気調和機の集中制御装置や、インターネットを経由して空気調和機管理用サーバに接続しても良い。
【0013】
室外制御器112は、第1通信部112aと、第2通信部112bと、室外記憶部112cと、制御部112dとを有する。第1通信部112aはNFCタグ111との通信を行う。第2通信部112bは、室内機12との通信を行う。室外記憶部112cは、室外機11に関する各種情報を記憶する。室外記憶部112cは、NFCタグ111の不揮発性メモリ111bと同様に、電源が遮断されても記憶が消去されない不揮発性メモリが使用される。制御部112dは、NFCタグ111との間、室内機12との間、および室外記憶部112cとの間での情報の送受信を制御する。
【0014】
室内機12は、室外機11から送信される情報、およびリモートコントローラ13から送信される情報に基づいて室内機12内の機器を制御する室内制御器121を有する。リモートコントローラ13は、ユーザの操作情報を室内機12に送信する。また、室内制御器121は、室外制御器112に室外機11内の機器を制御するための情報を送信する。さらに室内制御器121は、リモートコントローラ13の表示部(図示せず)に表示するための情報を送信する。
【0015】
携帯端末20は例えばスマートデバイスで構成され、図3に示すように、NFCにより室外機11のNFCタグ111との間で通信を行うための端末アンテナ21と、GPS受信部22と、操作情報入力部23と、ネットワーク通信部24と、端末記憶部25と、表示部26と、端末制御部27とを有する。
【0016】
GPS受信部22は、GPS信号を受信して携帯端末20の位置情報を取得する。操作情報入力部23はタッチ画面等で構成され、作業員による手動操作情報を入力する。ネットワーク通信部24は、汎用の広域ネットワークに接続する。端末記憶部25は、端末制御部27の指示に基づいて情報を記憶する。表示部26は、操作情報入力部23として用いるタッチ画面と兼用される液晶画面で構成され、端末制御部27の指示に基づいて情報を表示する。
【0017】
端末制御部27は、GPS情報取得部271と、入力情報取得部272と、端末情報処理部273とを有する。GPS情報取得部271は、GPS受信部22で取得された位置情報を取得する。入力情報取得部272は、操作情報入力部23から手動で入力された作業員の操作情報を取得する。
【0018】
端末情報処理部273は、操作情報入力部23から作業員の手動操作によって空気調和機10の位置情報設定指示が入力されたときに、GPS情報取得部271で取得した自携帯端末20の位置情報または入力情報取得部272で取得した位置情報に、該当する位置情報がGPS信号から取得した位置情報であるかまたは作業員の操作により入力された位置情報であるかを示す取得区分情報を付加して、空気調和機10、より具体的には室外機11の設置位置情報として記憶させるために室外機11に送信する。 また端末情報処理部273は、操作情報入力部23から作業員の手動操作によって空気調和機10の位置情報読み出し指示が入力されると、空気調和機10に位置情報読み出し要求を送信し、これに応答して空気調和機10から送信される当該空気調和機10に記憶されている位置情報を取得して端末記憶部25に記憶させるとともに表示部26に出力させる。
【0019】
〈一実施形態による空気調和機管理システムの動作〉
本実施形態による空気調和機管理システム1の動作について、図4および図のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、作業員Xが携帯する携帯端末20を携帯端末20Xとし、作業員Yが携帯する携帯端末20を携帯端末20Yとする。また、室外機11の室外制御器112の室外記憶部112cには、室外機11の製造時に当該室外機11に関する情報として、例えば、機種名「MMY-MUP***」、シリアル番号「12345678」、およびユニット番号「U1/12HP」が書き込まれて記憶されている。
【0020】
まず、空気調和機10の設置時に、作業員Xが携帯端末20Xに当該空気調和機10を設置した建物名「ABCビル No.1 East」を入力し、携帯端末20Xを室外機11のNFCタグ111の室外機アンテナ111aに近づけてNFC通信可能な状態にすると、携帯端末20の端末制御部27および室外制御器112の制御部112dにおいてNFC通信可能な状態になったことが検知される。
【0021】
制御部112dは、NFC通信可能な状態になったことを検知すると、室外記憶部112cから室外機11の機種名「MMY-MUP***」、シリアル番号「12345678」、およびユニット番号「U1/12HP」を取得し、第1通信部112a、情報入出力部111c、および室外機アンテナ111aを介して携帯端末20に送信する。携帯端末20は、室外機11から送信された各種情報を、端末アンテナ21を介して端末制御部27の端末情報処理部273で取得し、表示部26に表示する。
【0022】
携帯端末20と室外機11とがNFC通信可能になった状態で(S1の「YES」)、作業員Xが携帯端末20Xの操作情報入力部23から空気調和機10の位置情報の設定を指示する操作を行うと、当該操作の情報が端末制御部27の入力情報取得部272で取得される(S2の「YES」)。
【0023】
入力情報取得部272で位置情報の設定指示操作の情報が取得されると、端末情報処理部273は、GPS情報取得部271にGPS信号による位置情報の取得を指示する(S3)。GPS情報取得部271は、当該指示に対応してGPS受信部22を起動させてGPS信号を受信させる。
【0024】
ここで、GPS受信部22でGPS信号が正常に受信され、当該GPS信号に基づいて携帯端末20Xの位置情報(緯度・経度情報)が取得された場合には(S4の「YES」)、当該位置情報がGPS情報取得部271で取得され、端末情報処理部273に送出される。
【0025】
端末情報処理部273は、位置情報を取得すると、当該位置情報に付加されている書誌情報に基づいて取得区分情報を設定する。ここでは、取得区分情報として、当該位置情報がGPS信号に基づいて取得されたことを示す情報が設定される。そして、取得した位置情報および取得区分情報を含む第1表示情報300を表示部26に表示させる(S5)。表示部26に表示された第1表示情報300の一例を、図5に示す。
【0026】
図5に示す第1表示情報300では、作業員Xが入力した建物名情報301として「ABCビル No.1 East」が表示され、室外機11から取得した室外機11の機種名情報302として「MMY-MUP***」が表示され、シリアル番号303として「12345678」が表示され、ユニット番号304として「U1/12HP」が表示され、GPS情報取得部271で取得された位置情報の緯度情報305として「35.149972」が表示され、経度情報306として「138.554495」が表示され、当該位置情報がGPS信号に基づいて取得されたことを示す取得区分情報307として「GPS」が表示される。
【0027】
また、表示部26(表示画面)に表示された図5の第1表示情報300には、「戻る」ボタン308、「保存」ボタン309、「送信」ボタン310、および「読出」ボタン311の情報が含まれている。「戻る」ボタン308は、携帯端末20の表示部26の表示を、当該第1表示情報300の画面から1つ前の表示画面に戻すためのボタンである。「保存」ボタン309は、当該第1表示情報300で表示されている位置情報を、端末記憶部25に記憶させるためのボタンである。「送信」ボタン310は、当該第1表示情報300で表示されている情報を、室外機11に送信するためのボタンである。「読出」ボタン311は、室外機11に記憶されている位置情報を読み出すためのボタンである。
【0028】
ここで、作業員Xにより「保存」ボタン309が操作されて位置情報の保存が指示されると(S6の「YES」)、端末情報処理部273は、取得した位置情報に、当該位置情報がGPS信号から取得した位置情報であることを示す取得区分情報としてフラグF=1を付加して、端末記憶部25に記憶させる(S7)。
【0029】
また、ステップS4においてGPS受信部22でGPS信号が正常に受信されず、端末情報処理部273がGPS信号による位置情報を取得できなかったときには(S4の「NO」)、作業員Xに位置情報の入力を促す情報、例えば「位置情報が入手できませんでした。キーを使用して位置情報を入力して下さい。」等のメッセージ情報を表示部26に出力させる。
【0030】
作業員Xは、表示部26に表示されたメッセージ情報を確認し、GPS信号を用いた位置情報取得手段以外の手段を用いて現在地の位置情報を取得して操作情報入力部23から手動で入力する。GPS信号を用いた位置情報取得手段以外の手段を用いて取得する位置情報とは例えば、緯度・経度情報が表示された地図情報から作業員Xが現在地の緯度・経度情報を読み取った位置情報等である。このようにして作業員Xが取得して手動で入力した位置情報は、GPS信号を用いて取得された位置情報よりも精度が低い場合が多いが、大まかな位置は特定することができる。作業員Xの操作により入力された位置情報は入力情報取得部272で取得され、端末情報処理部273に送出される。
【0031】
端末情報処理部273は、作業員Xの操作により入力された位置情報を取得すると(S8の「YES」)、当該位置情報の書誌情報に基づいて取得区分情報を設定する。ここでは、取得区分情報として、当該位置情報が手動で入力されたことを示す情報が設定される。そして、取得した位置情報および取得区分情報を含む第2表示情報400を表示部26に表示させる(S9)。この場合に表示部26(表示画面)に表示される第2表示情報400の一例を、図6に示す。なお、作業員Xによって操作がなされない場合(S8の「NO」)には、そこで処理を終了する。
【0032】
図6に示す第2表示情報400では、建物名情報401「ABCビル No.1 East」、室外機11の機種名情報402「MMY-MUP***」、シリアル番号403「12345678」、ユニット番号404「U1/12HP」が表示されている。また、作業員Xが手動で入力した位置情報の緯度情報405として「35.1」が表示され、経度情報406として「138.6」が表示され、当該位置情報が作業員により手動で入力されたことを示す取得区分情報407として「手動」が表示されている。また、図5と同様に、第2表示情報400には、「戻る」ボタン408、「保存」ボタン409、「送信」ボタン410、および「読出」ボタン411の情報が含まれている。
【0033】
ここで、作業員Xが「保存」ボタン409を操作して位置情報の保存を指示すると(S10の「YES」)、端末情報処理部273は、取得した位置情報に、当該位置情報が作業員Xの操作により入力された位置情報であることを示す取得区分情報としてフラグF=0を付加して、端末記憶部25に記憶させる(S11)。
【0034】
次に、作業員Xが「送信」ボタン410を操作して位置情報の送信を指示すると(S12の「YES」)、端末情報処理部273は、該当する位置情報を、端末アンテナ21を介して空気調和機10の室外機11に送信する(S13)。
【0035】
室外機11では、携帯端末20Xから送信された位置情報が室外機アンテナ111aを介して受信され、NFCタグ111の情報入出力部111cにより不揮発性メモリ111bに記憶される。さらに、記憶された位置情報は、情報入出力部111cにより室外制御器112に送出され、制御部112dの制御により空気調和機10の位置情報として室外記憶部112cに記憶される。
【0036】
このように室外機11に空気調和機10の位置情報が記憶された後、当該空気調和機10に訪れた他の作業員Yが、携帯端末20Yで当該位置情報を読み出す際の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、図7のフローチャートは、関連して動作する携帯端末20と室外機11それぞれの制御フローを並列して示している。
【0037】
作業員Yが携帯端末20Yを室外機11の室外機アンテナ111aに近づけてNFC通信可能な状態にし(S21の「YES」、S22の「YES」)、携帯端末20Yの操作情報入力部23から空気調和機10の位置情報の読み出しを指示する操作を行うと(S23の「YES」)、入力情報取得部272で位置情報の読み出し要求操作の情報が取得される。端末情報処理部273は、この位置情報読み出し要求を、端末アンテナ21を介して空気調和機10の室外機11に送信する(S24)。なお、何らかの理由で携帯端末20Yと室外機11との間でNFC通信が出来なければ、処理を終了する(S21の「NO」、S22の「NO」)。また、携帯端末20Yで位置情報の読み出しを要求する操作が行われなければ(S23の「NO」)、処理を終了する。
【0038】
室外機11では、携帯端末20Yから送信された位置情報読み出し要求が室外機アンテナ111aを介して受信され、制御部112dに送出される。制御部112dは、取得した位置情報読み出し要求に応じて室外記憶部112cから空気調和機10の位置情報を読み出し、NFCタグ111の室外機アンテナ111aを介して携帯端末20Yに送信する(S25)。
【0039】
携帯端末20Yでは、室外機11から送信された空気調和機10の位置情報が端末アンテナ21を介して受信され、端末情報処理部273により端末記憶部25に記憶されるとともに、当該位置情報に付加されたフラグFが1であれば図5と同様の第1表示情報300が表示部26に表示され、フラグFが0であれば図6と同様の第2表示情報400が表示される(S26)。
【0040】
ここで、表示部26に表示された情報が第2表示情報400の場合、作業員Yが当該位置情報は手動で入力されているため精度が低い可能性があると判断し、再度、GPS信号を用いた位置情報を取得して室外機11に記憶された位置情報を更新する処理を実行する。
【0041】
作業員Yが、室外機11に記憶された位置情報を更新するために、携帯端末20Yの操作情報入力部23から空気調和機10の位置情報の設定を指示する操作を行うと、当該操作の情報が端末制御部27の入力情報取得部272で取得される(S27の「YES」)。以降、ステップS28~S35で実行される処理は、上述したステップS3~S7、S12、S13の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
このようにしてGPS信号を用いた位置情報で室外機11に記憶された手動で入力された位置情報を更新することで、以降に当該空気調和機10に他の作業員が訪れたときに、空気調和機10から精度の高い位置情報を取得することができる。
【0043】
なお、ステップS29において、GPS信号による位置情報が取得できなかった場合には(S29の「NO」)、位置情報の更新処理は実行せず、ステップS21に戻る。また、既に空気調和機が保存している位置情報がGPS信号に基づいて取得された情報である場合には、作業者は位置情報設定指示操作を行わず(S27は「NO」)、設置位置確認の処理を終了する。
【0044】
上述した実施形態において、ステップS4の「YES」、またはステップS29の「YES」で端末情報処理部273が位置情報を取得した際に、GPS信号に基づき携帯端末20で作成される、取得した位置情報の信頼度を示す当該GPS信号の信頼度情報を、取得区分情報に用いてもよい。GPS信号の信頼度情報は、既存の技術によりGPS信号に付加される情報である。一方、ステップS8(「YES」)で取得された手動入力による位置情報は、このような信頼度情報を含んでいない。
【0045】
この場合、端末情報処理部273は、取得した位置情報に信頼度情報が付加されていれば当該位置情報はGPS信号により取得されたものであると判断し、信頼度情報が付加されていなければ、作業員により手動で入力された位置情報であると判断する。
【0046】
また、端末情報処理部273が地図情報を有し、取得した空気調和機10の位置情報を、当該位置情報に付加された取得区分情報ごとに区別した表示形式で当該地図情報上に示した表示情報を生成して表示部26に表示させるようにしてもよい。
【0047】
例えば、端末情報処理部273は、当該位置情報の取得区分情報が「GPS」である場合には、図8に示すように、地図情報M上に、当該位置情報の位置P1を中心とし、信頼度情報が低い程大きい円S1を表示させる。また、端末情報処理部273は、当該位置情報の取得区分情報が「手動」である場合には、図9に示すように、地図情報M上に、当該位置情報の位置P2を中心とした1点を表示させる。作業員は、この地図情報M上の表示内容を元に保存されている位置情報が「GPS」であるか「手動」であるかを判別することもできる。
【0048】
また上述した実施形態において、携帯端末20X、20Yに記憶された空気調和機10の位置情報を、作業員X、Yの操作によりネットワーク通信部24から広域ネットワークを介して他の作業員の携帯端末に送信してもよい。このように情報を送信することで、空気調和機10の場所に行く前の作業員に対しても、空気調和機10の位置情報を提供することができる。
【0049】
以上の実施形態によれば、空気調和機の設置位置でGPS情報を受信できない場合も、当該空気調和機の位置情報を入力させ保存させることができる。また、記憶した空気調和機の位置情報の精度が低い場合に、精度の高い情報に更新することができる。このようにして取得した空気調和機の位置情報を作業員が携帯する携帯端末で読み取ることで、当該作業員は以降の保守点検の際に、取得した位置情報を利用して容易に当該空気調和機の場所に向かうことができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、室外機11は、携帯端末20から入手した位置情報を室外記憶部112cに記憶させるようにしたが、NFCタグ111の不揮発性メモリ111bにのみ記憶させ、携帯端末20からの位置情報の読み出し要求に対しては、この不揮発性メモリ111bに記憶されている位置情報を制御部112dが第1通信部112a、情報入出力部111cを介して読み出して携帯端末20に送信するようにしても良い。
【0051】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9