(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】光源及び光源を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
F21V 29/57 20150101AFI20240423BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240423BHJP
F21V 29/58 20150101ALI20240423BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240423BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240423BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240423BHJP
【FI】
F21V29/57
F21V29/503
F21V29/58
F21V23/00 113
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2022555656
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2021056491
(87)【国際公開番号】W WO2021190971
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】102020108372.6
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593129320
【氏名又は名称】ヘレーウス ノーブルライト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Noblelight GmbH
【住所又は居所原語表記】Heraeusstrasse 12-14, Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘロルト、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】スタール、アンドレアス
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-502031(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064904(WO,A1)
【文献】特開2019-120756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/57
F21V 29/503
F21V 29/58
F21V 23/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(1)であって、
具体的には紫外線を放出する構成要素及び/又は半導体構成要素である、少なくとも1つの発光構成要素(11、13、15)と、流路系(103)であって、前記少なくとも1つの発光構成要素の温度を制御するために、前記流路系(103)を通ってある流れ方向(F)に冷却流体を流すことができる、流路系(103)と、を備える、光源(1)において、
前記流路系(103)内で前記流れ方向(F)に順に配置された第1の冷却流体圧力センサ(21)及び第2の冷却流体圧力センサ(22)と、
電子ユニット(3)であって、前記第1の冷却流体圧力センサ(21)及び前記第2の冷却流体圧力センサ(22)に接続されており、前記第1の冷却流体圧力センサ(21)によって、及び前記第2の冷却流体圧力センサ(22)によって取得された圧力(p1、p2)に基づいて、少なくとも1つの診断値、制御値、及び/又は調整値を決定するように構成されている、電子ユニット(3)と、を
備え、
前記流路系(103)が、冷却流体インレット開口部(121)及び冷却流体リターン開口部(122)を備えた分配器ブロック(10)を備え、前記分配器ブロックが、第1のキャビティ(501)及び更なるキャビティ(502)を備え、前記第1のキャビティ(501)と前記更なるキャビティ(502)とが、少なくとも1つの流体経路(409)によって互いに流体接続されており、前記第1の冷却流体圧力センサ(21)が、前記第1のキャビティ(501)内に配置され、前記第2の冷却流体圧力センサ(22)が、前記更なるキャビティ(502)内に配置されている、光源(1)。
【請求項2】
前記第1の冷却流体圧力センサ(21)が、前記冷却流体インレット開口部(121)に配置され、かつ/若しくは前記第2の冷却流体圧力センサ(22)が、前記冷却流体リターン開口部(122)に配置されており、並びに/又は、具体的には、前記第1の
冷却流体圧力センサ(21)が、前記分配器ブロック(10)の前記冷却流体インレット開口部(121)の反対側の端部(101)に配置され、かつ/若しくは、前記第2の
冷却流体圧力センサ(22)が前記分配器ブロック(10)の前記冷却流体リターン開口部(122)の反対側の前記端部(101)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記第1の冷却流体圧力センサ(21)及び/又は前記第2の冷却流体圧力センサ(22)が、前記冷却流体の圧力測定値を取得し、対応する電気的な圧力測定信号を前記電子ユニット(3)に提供し、
具体的には、前記対応する圧力測定信号が
、電流信号又は電圧信号として実現されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光源(1)。
【請求項4】
前記電子ユニット(3)が、前記流路系(103)を通る前記流れ方向(F)における前記冷却流体の流量(f)を規定するように構成された流量制御及び/又は調整デバイス(5)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源(1)。
【請求項5】
前記流量制御及び/又は調整デバイス(5)が、前記流路系(103)を通して前記冷却流体を搬送するための送達量をもつポンプ(51)を有し、前記流量制御及び/又は調整デバイス(5)が、所望の最低冷却流体流量のために前記発光構成要素(11、13、15)の所望の温度制御を考慮に入れて前記ポンプ(51)の送達量を調節するように構成され、具体的には、前記流量制御及び/又は調整デバイス(5)が、所望の最低冷却流体流量を前記電子ユニットの診断値、制御値、及び/又は調整値に応じて調節するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の光源。
【請求項6】
前記電子ユニット(3)が、前記少なくとも1つの発光構成要素(11、13、15)の光出力を調節するための少なくとも1つのパワーエレクトロニクスユニット(7)を備え、具体的には、前記電子ユニット(3)が、前記少なくとも1つの診断値、制御値、及び/若しくは調整値を前記光出力に基づいて決定するように構成されており、かつ/又は、前記流量制御及び/若しくは調整デバイスが、前記流路系(103)を通る前記冷却流体の前記流量(f)を前記光出力に基づいて規定するように構成されていることを特徴とする、請求項
4又は5に記載の光源(1)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの発光構成要素(11、13、15)を備える光源(1)を動作させる方法であって、前記少なくとも1つの発光構成要素(11、13、15)の温度が、冷却流体によって制御され、前記冷却流体が、流路系(103)を通って搬送される、光源(1)を動作させる方法において、
前記流路系(103)内の第1の位置で、前記冷却流体の第1の圧力(p1)が取得され、
前記流路系(103)内の第2の位置で、前記冷却流体の第2の圧力(p2)が取得され、
前記第1の圧力(p1)及び前記第2の圧力(p2)に基づいて、診断値、制御値、及び/又は調整値が決定されることを特徴とする、
光源(1)を動作させる方法。
【請求項8】
前記流路系(103)を通る前記流れ方向(F)の前記冷却流体の流量(f)が規定され、具体的には、所望の最低冷却流体流量が、前記発光構成要素(11、13、15)の所望の温度制御を考慮して設定されることを特徴とする、請求項7に記載の光源(1)を動作させる方法。
【請求項9】
前記第1の圧力(p1)及び前記第2の圧力(p2)が等しいか、又は実質的に等しいときに、診断値、具体的にはエラーメッセージが出力されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の光源(1)を動作させる方法。
【請求項10】
前記第1の圧力(p1)と前記第2の圧力(p2)との間の差(Δp)が最小閾値を下回る、及び/又は最大閾値を超えるときに、診断値、具体的には警告メッセージが出力されることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の光源(1)を動作させる方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの発光構成要素(11、13、15)の光出力が設定され、
前記流路系(103)を通る前記流れ方向(F)の前記冷却流体の流量(f)が規定され、前記診断値、制御値、及び/又は調整値が、前記光出力に基づいて決定され、かつ/又は前記流量(f)が、前記光出力に基づいて設定されることを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の光源(1)を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源及び光源を動作させる方法に関する。光源は、具体的には紫外線を放出する構成要素及び/又は半導体構成要素である、少なくとも1つの発光構成要素を備え、流路系であって、少なくとも1つの発光構成要素の温度を制御するために、流路系を通ってある流れ方向に冷却流体が流れることのできる、流路系もまた備えている。
【0002】
WO2016/115299A1に、光源のためのインテリジェント分配器システム、インテリジェント分配器システムを備えた光源、及び関連する動作方法が開示されている。インテリジェント分配器システムには、分配器システム内の冷却流体の特性変数を取得する少なくとも1つのセンサと、センサデータを処理するマイクロプロセッサとが設けられている。インテリジェントセンサ機構は、例えば冷却流体の流入流量、冷却流体の流出流量、冷却流体のpH値、冷却流体の圧力、冷却流体のインレット温度、冷却流体のアウトレット温度、システムの周囲温度などを取得してもよい。取得された変数に基づいて、例えば、ランプシステムの温度を制御するため、又はスイッチオン過程を最適に制御するために、冷却流体の流れを調整することができる。この目的で、WO2016/115299A1では、特に分配器のインレット及びアウトレットにおける温度及び流量センサの使用が提案されている。更に、WO2016/115299A1では、分配器システム内の圧力の測定に基づいて漏れ検出を実行することが提案されている。異なる変量の冷却流体に様々なセンサを使用することにより様々なシステム状態を正確に認識でき、そのため、ランプシステムの温度制御の正確な調整を実行するために非常に好適であることが証明されている。いくつかの適用例では、高精度な調整が必ずしも確実に得られなくてもよいが、簡単かつ/又は費用効果の高い手段により最も効率的で安全な動作を可能にする、光源及び関連する動作方法の代替的な解決策が望まれている。具体的には、ばね、バルブ、及び/又は測定フォークなどの故障の影響を受けやすい可動部品の使用を不要にすべきである。この目的は、請求項1の主題によって達成される。
【0003】
したがって、少なくとも1つの発光構成要素と、流路系であって、少なくとも1つの発光構成要素の温度を制御するために、流路系を通ってある流れ方向に冷却流体が流れることのできる、流路系と、を備える光源が提供される。発光構成要素は、具体的には紫外線を放出する構成要素であり得る。あるいは、又は加えて、発光構成要素は半導体構成要素であり得る。
【0004】
本発明によれば、光源は、第1の冷却流体圧力センサ及び第2の冷却流体圧力センサを備える。第1の冷却流体圧力センサ及び第2の冷却流体圧力センサは、流路系内に流れ方向に順に配置されている。第1の冷却流体圧力センサ及び第2の冷却流体圧力センサは、流路系内で異なる位置に配置されている。そのような測定セットアップは、特に簡単で費用効果の高い方法で実現することができる。既存の光源の改造は簡単に実施することができる。この測定セットアップは、異なった、特に変化する出力、例えば変動するポンプ出力を許容するために適している。この測定セットアップは、光源、具体的には光源の分配器ブロックと、ポンプなどとの間の、流路の長さに対する依存性が低い。
【0005】
本発明による光源は、第1の冷却流体圧力センサ及び第2の冷却流体圧力センサに接続された電子ユニットを更に備える。冷却流体圧力センサへの電子ユニットの接続は、電気的接続、具体的にはデータ伝送接続であり、アナログデータ及び/又はデジタルデータの伝送用に設計することができる。電子ユニットは、第1の冷却流体圧力センサによって、及び第2の冷却流体圧力センサによって取得された圧力に基づいて、少なくとも1つの診断値、制御値、及び/又は調整値を決定するように構成されている。
【0006】
電子ユニットは、具体的には、第1の冷却流体圧力センサ及び第2の冷却流体圧力センサによって取得された圧力に基づいて差分値を形成するように構成され得る。例えば、電子ユニットは、第1の圧力センサによって取得された第1の冷却流体圧力と第2の冷却流体圧力センサによって取得された第2の冷却流体圧力との間の圧力差を決定するように構成され得る。あるいは、又は加えて、電子ユニットは、第1の冷却流体圧力センサにおける第1の冷却流体圧力及び第2の冷却流体圧力センサにおける第2の冷却流体圧力に関する、電気的な、具体的にはデジタル及び/又はアナログの測定信号を取得して、第1の冷却流体圧力センサ及び第2の冷却流体圧力センサからの測定値に関して差を形成するように構成され得る。冷却流体圧力センサ、すなわち第1の冷却流体圧力センサ及び第2の冷却流体圧力センサからの測定信号に応じて、また任意選択で、更なる冷却流体圧力センサ、並びに/又は考え得る更に他のセンサからの測定信号にも応じて、電子ユニットは、診断値、制御値、及び/又は調整値を決定できる。
【0007】
診断値は、例えば、警告メッセージ、状態メッセージ、又はエラーメッセージであり得る。診断値、具体的にはエラーメッセージ又は警告メッセージの出力は、専用データ伝送経路、具体的にはエラー及び/又は警告メッセージだけのための専用データ伝送ラインで行われ得る。電子ユニットは、例えば、第1の圧力と第2の圧力が同じであるときにエラーメッセージを生成するように構成され得る。電子ユニットは、例えば、第1の圧力と第2の圧力との間の圧力差が所定の許容圧力差の範囲外であるという警告メッセージを生成するように構成され得る。電子ユニットは、エラーメッセージに応答して、光源の緊急停止を開始するように構成され得る。熱交換器として作用する、アルミニウム、銅などの金属で作製された分配器ブロック及び/又は担体要素などの構成要素の熱容量は、発光構成要素の温度の急激な上昇に対して、電力制御が反応するまでの間、十分な保護を提供する。
【0008】
電子ユニットは、具体的には、第1の冷却流体圧力又は圧力値とワイド冷却流体圧力又は圧力値の間で光源を動作させるための最低必要流量又は最小必要差が存在することを示す状態メッセージを診断値として出力するように構成され得る。例えば、電子ユニットは、状態メッセージを出力するように構成され得、状態メッセージが存在しない場合には発光構成要素の起動が行われない。第1の圧力と第2の圧力との間の実際の差が最小必要差よりも小さい限り、電子ユニットは、少なくとも1つの発光構成要素を動作させない。このようにして、少なくとも1つの発光構成要素を始動するために、他のパラメータとは関係なく流路系内の最小流量が優先されることを確実にすることができる。
【0009】
制御値及び/又は調整値は、例えば、流路系内の冷却流体の流量に影響を与えるために、ポンプ、制御バルブなどの冷却流体アクチュエータを作動させる制御値であり得る。
【0010】
光源の効果的かつ安全な動作のための診断、制御、及び/又は調整は、流路系の異なる位置で取得された冷却流体圧力に基づいて、特に簡単な様式で達成することができる。例えば、圧力又は圧力測定値の差を使用して、流路系内の冷却流体の流量が所望の流量に相当するのか、あるいはそれから大きく逸脱するのかを容易に検出することができるため、対応する補正及び/又は緊急手段を実行することができる。
【0011】
光源の一実施形態によれば、冷却流体流路系は、冷却流体インレット開口部及び冷却流体リターン開口部を有する分配器ブロックを備える。分配器ブロックは、第1のキャビティ及び更なるキャビティを備え、それらは少なくとも1つの流体経路によって互いに流体接続している。第1のキャビティは、冷却流体インレット開口部を形成する。第2のキャビティは、冷却流体リターン開口部を形成する。例えば、第1のキャビティと更なるキャビティとは、多数の流体経路によって接続することができ、この数は、光源の発光構成要素の数に等しいか、少なくとも等しいか、それよりも多い、具体的には2倍に相当する。第1の冷却流体圧力センサは、第1のキャビティ内に配置され、第2の冷却流体圧力センサは第2のキャビティ内に配置される。そのような配置では、少なくとも1つの流体経路によって生じる第1のキャビティと第2のキャビティとの間の圧力損失が、圧力差の決定的要因となり得る。具体的には、流路系の設計は、分配器ブロックの冷却流体インレット開口部から第1のキャビティを通り、続いて少なくとも1つの流体経路を通り、その後、第2のキャビティを通ってから冷却流体リターン開口部を通る流れ方向に、
冷却流体の流れが起こるようになされている。流路系内の冷却流体は、第1のキャビティから更なるキャビティ又は第2のキャビティに、流れ方向の1つの流体経路又は複数の流体経路に沿ってのみ流れることが好ましい場合がある。
【0012】
第1のキャビティと更なるキャビティとの間の少なくとも1つの流体経路及び/又は複数の流体経路によって、第1の圧力センサと第2の圧力センサとの間の冷却流体の圧力差が決定され得る。具体的には、第1の圧力センサから第2の圧力センサへの圧力差は、少なくとも1つの流体経路又は複数の流体経路を通る流れの結果による圧力損失に起因して、少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%と決定され得る。具体的には、第1のキャビティ内の冷却流体圧力は、一定又は実質的に一定であり得る。具体的には、第2又は更なるキャビティ内の冷却流体圧力は、実質的に一定又は一定であり得る。第1又は第2のキャビティ内で、冷却流体インレット開口部又は冷却流体リターン開口部の冷却流体圧力が、その開口部から最も遠い位置の冷却流体圧力に対して10%未満、具体的には5%未満、好ましくは1%未満だけ異なるときに、第1のキャビティ内又は第2のキャビティ内に実質的に一定の冷却流体圧力が存在し得る。
【0013】
第1のキャビティの通水断面及び第2のキャビティの通水断面は、少なくとも1つの流体経路の最小の通水断面よりも著しく大きいことが好ましい場合がある。例えば、流体経路は、圧力損失を決定する最も小さい断面を、例えば毛細管チャネル、分岐孔、又は分岐チャネルなどの形態で有し得る。流体経路の相応する断面は、第1のキャビティ及び/又は第2のキャビティの通水断面の10分の1以下、20分の1以下、50分の1以下、又は100分の1以下であってもよい。第1のキャビティの通水断面は、第2のキャビティの通水断面に実質的に等しくてもよい。第1のキャビティの通水断面と第2のキャビティの通水断面とは、互いに、最大5倍、具体的には最大2倍、好ましくは最大1.5倍、具体的には好ましくは最大1.1倍だけ異なり得る。
【0014】
光源の1つの開発例によれば、第1の冷却流体圧力センサは、冷却流体インレット開口部に配置され得る。あるいは、又は加えて、第2の冷却流体圧力センサは、冷却流体リターン開口部に配置され得る。あるいは、又は加えて、第1の圧力センサは、分配器ブロックの冷却流体インレット開口部とは反対側の端部、又は冷却流体インレット開口部から最も遠くに位置する第1のキャビティ内の位置に配置され得る。あるいは、又は加えて、第2の圧力センサは、分配器ブロックの冷却流体リターン開口部とは反対側の端部、又は冷却流体リターン開口部から最も遠くに位置する第2のキャビティ内の位置に配置され得る。
【0015】
冷却流体流路系は、少なくとも1つの流体経路が少なくとも区分する、1つの第1の担体要素を少なくとも備える。少なくとも1つの第1の発光半導体構成要素は、第1の担体要素に固定される。具体的には、光源は、発光構成要素の数に対応する多数の担体要素を備え得る。担体要素の数は、好ましくは発光構成要素の数に等しい。少なくとも1つの担体要素は、分配器ブロックに取り外し可能又は取り外し不可能に固定され得る。例えば、担体要素は、分配器ブロック上に取り外し可能にねじ留めされ得る。担体要素は、分配器ブロックに取り外し不可能に、はんだ付け、溶接、及び/又はリベット留めされることも考えられる。
【0016】
第1のキャビティと第2のキャビティとの間の流体経路は、好ましくは、分配器ブロック内の第1の分岐チャネル、担体要素内の貫通路区画、及び分配器ブロック内の第2の分岐区画によって実現される。具体的には、少なくとも1つの第1の分岐チャネルは、第1のキャビティから担体要素まで延びていてもよい。具体的には、少なくとも1つの第2の分岐チャネルは、少なくとも1つの担体要素から更なるキャビティまで延びていてもよい。具体的には、流体経路は、少なくとも1つの第1の分岐チャネル、少なくとも1つの貫通路区画、及び少なくとも1つの第2の分岐チャネルからなり得る。流体経路は、分配器ブロック内の厳密に1つ、厳密に2つ、又はそれより多くの第1の分岐チャネルと、分配器ブロック内の厳密に1つ、厳密に2つ、又はそれより多くの第2の分岐チャネルと、担体要素内の厳密に1つ、厳密に2つ、又はそれより多くの通路区画と、からなり得る。光源の各個の担体要素は、厳密に1つの貫通路区画、厳密に2つの貫通路区画、又はいくつかの貫通路区画を形成し得る。担体要素内の貫通路区画は1つ以上の熱交換器チャネルによって形成され得、具体的には担体要素内に形成される。複数の担体要素を備える光源は、分配器ブロック内の各個々の担体要素のための、多数の第1の分岐チャネルが備えられていてもよく、その数は、担体要素の数に厳密に等しいか、その2倍であるか、あるいは、担体要素の数と少なくとも同じ大きさである。複数の担体要素を備える光源は、分配器ブロック内の各個の担体要素のための、多数の第2の分岐チャネルが備えられていてもよく、その数は、担体要素の数に厳密に等しいか、その2倍であるか、あるいは、担体要素の数と少なくとも同じ大きさである。第1の分岐チャネルと第2の分岐チャネルの数は、具体的には等しい。
【0017】
光源の一実施形態によれば、第1の冷却流体圧力センサ及び/又は第2の冷却流体圧力センサは、冷却流体の圧力測定値を取得して、対応する電気的な、具体的にはデジタル及び/又はアナログの、圧力測定信号を電子ユニットに提供する。第1の冷却流体圧力センサは、第1の電気的な圧力測定信号を提供する。第2の冷却流体圧力センサは、第2の電気的な圧力測定信号を提供する。圧力測定信号は、好ましくは、圧力測定信号が圧力測定値に比例する電流信号又は電圧信号となるように圧力測定値に対応し得る。冷却流体圧力センサの圧力測定信号は好ましくは、定数の比例係数が規定されて、測定された冷却流体圧力又は圧力測定値を乗算すると、それぞれの圧力測定信号(具体的には電圧信号又は電流信号)が得られるように、圧力測定値に対応し得る。電子ユニットは、電流信号又は電圧信号をデジタル信号に変換するために、少なくとも1つのアナログ-デジタル変換器を備え得る。電子ユニットは、特定のアナログ-デジタル変換された圧力測定信号、具体的には電流又は電圧信号を処理することができるマイクロコントローラ及び/又はマイクロプロセッサを備え得る。
【0018】
光源の一実施形態によれば、電子ユニットは、流路系を通る流れ方向の冷却流体の流量を規定するように構成された流量制御及び/又は調整デバイスを有する。冷却流体の流れは、例えば、流量として、例えば容積流量として(例えば、L/分又はm3/秒で)規定され得る。例えば、所定の最大出力電力の光源の場合、光源の温度、具体的には少なくとも1つの発光構成要素の温度を制御するための冷却流体の所望の流量は、少なくとも1つの発光構成要素の最大公称電力において発光構成要素の過熱が防止される大きさに少なくともなるように規定され得る。例えば、少なくとも1つの発光構成要素の光出力と、光源の対応する電力損失又は熱出力とに応じて、流量は、冷却流体の流れの冷却流体インレット開口部における光源固有の冷却流体温度に応じて調節され得る。
【0019】
具体的には、担体要素は、発光構成要素の熱出力を100~5000W、好ましくは100~3000W、より好ましくは200~2000Wの範囲で放散させる冷却電力で冷却され得る。例えば、担体要素は、発光構成要素の熱出力を100~1000W、好ましくは100~500W、より好ましくは200~400Wの範囲で放散させる冷却電力で冷却され得る。あるいは、担体要素は、発光構成要素の熱出力を500~5000W、好ましくは1000~3000W、より好ましくは1500~2000Wの範囲で放散させる冷却電力で冷却され得る。光源が少なくとも1つの更なる担体要素を含む場合は、それぞれの更なる担体要素は、好ましくは、上記の範囲のうちの1つの範囲内にある冷却力で冷却されることが好ましい。
【0020】
例えば、流量制御デバイスは、所望の流量に等しいか、それを超える流量に従って冷却流体を搬送するためのポンプを備え得る。あるいは、又は加えて、流量制御デバイスは、特定の最大所望流量を設定するために、例えば、DE202013001744U1に記載されているように、制限器及び/又はバルブ、具体的には、いわゆるTacoSetterバルブなどのバランスバルブであり得る。具体的には、流量制御デバイスは、流路系を通る冷却流体を最大公称ポンプ出力に従って搬送するように構成されたポンプ、並びに、流路系内の流量を所望の流量に従って設定する、具体的には可能な最大流量を制限する、制限器及び/又はバルブ、具体的にはバランスバルブを備え得る。
【0021】
1つの開発例によれば、電子ユニットは流量制御及び/又は調整デバイスを備え、この装置は、流路系を通して冷却流体を搬送するための、ある送達量をもつポンプを有する。流量制御及び/又は調整デバイスは、所望の最低冷却流体流量のための発光構成要素の所望の温度制御を考慮に入れてポンプの送達量を調節するように構成されている。具体的には、流量制御及び/又は調整デバイスは、所望の最低冷却流体流量を、診断値、制御値、及び/又は調整値に応じて調節するように構成されている。例えば、流量制御及び/又は調整デバイスは、ポンプを公称最大ポンプ出力以下の送達量に調節するように構成され得、具体的には、流量制御及び/又は調整デバイスは電子ユニットの診断値、制御値、及び/又は調整値に基づいて、具体的には少なくとも1つの発光構成要素の温度制御が所望の温度制御に対応するように送達量を調節するように構成され得る。例えば、流量制御及び/又は調整デバイスは、ポンプ、制限器、又はバルブなどの少なくとも1つの流体アクチュエータを制御することができ、その制御では、アクチュエータの設定値を規定するために、測定値並びに/又は、診断値、制御値、及び/若しくは調整値、実際の値が、所望の温度制御に関する所望の値と比較される。例えば、流量制御及び/又は調整デバイスは、電子ユニットと信号伝送様式で通信することもできるし、又は、機能的な連合体の中に形成されることもできる。
【0022】
光源の一実施形態によれば、電子ユニットは、少なくとも1つの発光構成要素又は複数の発光構成要素の光出力を調節する少なくとも1つのパワーエレクトロニクスユニットを備え、電子ユニットは、少なくとも1つの診断値、制御値、及び/又は調整値を光出力に基づいて決定するように構成されている。あるいは、又は加えて、流量制御及び/又は調整デバイスは、流路系を通る冷却流体の流量を光出力に基づいて規定するように構成され得る。パワーエレクトロニクスユニットは、具体的には、1つ以上の発光半導体構成要素を有する光源の場合に提供され得る。パワーエレクトロニクスユニットは、少なくとも1つの発光構成要素の光出力を最大公称光出力又は、それより低い光出力に調節することができ、最大公称光出力よりも低い光出力は、減光出力に相当する。電力損失又は熱出力が光出力の設定に相関することは明らかである。減光出力で動作する光源の場合、少なくとも1つの発光構成要素の所望の温度制御を達成するために、いくつかの状況では、低減された流量の冷却流体だけが必要である場合もある。パワーエレクトロニクスユニットと、流量制御及び/又は調整デバイスとは、減光出力の場合に、対応する低減された冷却流体流量が規定されるように、又はその逆になるように、互いに連携し得る。減光出力及び/又は低減流量の場合、電子ユニットは、診断値、制御値、及び/又は調整値の決定において減光出力及び/又は低減流量を考慮するように構成され得る。電子ユニットは、例えば、低減流量では、対応する低減された圧力差が、第1の冷却流体圧力と第2の冷却流体圧力との間に予想されることを考慮に入れることができる。例えば、減光出力の場合、電子ユニットは、診断値、制御値及び/又は調整値を決定するために、他の、具体的には所望の圧力差よりも大きな偏差を許容できる。例えば、電子ユニットは、所定の比例した減光出力の場合、所定の比率に対応する許容因子によって変化する、第1の冷却流体圧力と第2の冷却流体圧力との間の許容最大差が、警告メッセージ若しくはエラーメッセージなどの診断値が生成されることなく、及び/又は、許容因子に適応した制御値若しくは調整値が生成されることなく許容されるように、構成され得る。
【0023】
電子ユニットは、設定された光出力に応じて、最小閾値及び/又は最大閾値などの圧力閾値を、光出力の特定の減光設定に対応する様式で適応させるように構成され得る。電子ユニットとパワーエレクトロニクスユニットとは、信号伝送様式で互いに結合することもできるし、機能的な連合体の中に形成されることもできる。パワーエレクトロニクスユニットと、流量制御及び/又は調整デバイスとは、信号伝達様式で互いに接続することもできるし、又は機能的な連合体の中に形成されることもできる。電子ユニット、流量制御及び/又は調整デバイス、並びにパワーエレクトロニクスユニットは、信号伝送様式で互いに結合されてもよく、又は機能結合で形成されてもよい。
【0024】
本発明はまた、光源を動作させる方法に関する。この方法は、具体的には紫外線又は半導体構成要素を放出する構成要素である、少なくとも1つの発光構成要素を備える光源を動作させることを意図しており、少なくとも1つの発光構成要素は冷却流体によって温度制御され、冷却流体は、流路系を通って搬送される。光源は、具体的には上記のとおりに設計され得る。
【0025】
本発明によれば、少なくとも冷却流体の第1の圧力が流路系内の第1の位置で取得され、冷却流体の第2の圧力が流路系の第2の位置で取得される。本発明による動作方法によれば、第1の圧力及び第2の圧力に基づいて、診断値、制御値、及び/又は調整値が決定される。例えば、光源及びその流路系の既知の特徴値を使用して、第1の圧力及び第2の圧力に基づく計算によって流路系内の実際の冷却流体流量を求めることができる。
【0026】
一実施形態によれば、光源を動作させる方法は、流路系を通る流れ方向の冷却流体の流れが規定されることを含む。具体的には、発光構成要素の所望の温度制御を考慮して、所望の最低冷却流体流量を設定し得る。所望の冷却流体流量は、流路系を通る冷却流体の流量が、適量を超えない流量で提供されるように規定されるように構成され得、流量は、発光構成要素の所望の最大温度制御、具体的には最高温度を超えるのを防ぐために必要な流量である。例えば、光源は、流路系を通る流れ方向に少なくとも適量の流量を確保するために必要な送達量と少なくとも同じ大きさ、又はそれよりも大きい送達量でポンプを動作させることによって動作させられ得る。あるいは、又は加えて、ポンプの最大公称送達量を設定することができ、具体的には、光源の少なくとも1つの発光構成要素の所望の温度制御を確保しながら流路系を通る冷却流体の流量が可能な限り低く設定されるように、制限器、例えば制御バルブ、バランスバルブなどのバルブが設定される。
【0027】
前述のものと組み合わせることのできる、光源を動作させる方法の一実施形態によれば、診断値、具体的には状態メッセージ、警告メッセージ、又はエラーメッセージは、第1の圧力と第2の圧力が等しいか、又は実質的に等しいときに、が出力される。第1の圧力と第2の圧力との間の差が0.5バール以下、具体的には0.25バール以下、好ましくは0.1バール以下である場合に、実質的に等しい圧力が存在し得る。第1の圧力及び第2の圧力が等しいか、又は実質的に等しい場合、流れが存在しない、又は流量が臨界にあって低すぎることを示すエラーメッセージが出力され得る。流路系内の異なる位置で取得される第1の圧力と第2の圧力との差が流路系内の流量と相関し、したがって、第1の圧力と第2の圧力との差が極めて低いか存在しない場合には、実際の流量が消失したか存在しないことに関する結論が導かれ得ることは、当業者には明らかである。
【0028】
光源を動作させる方法において、少なくとも1つの発光構成要素について、具体的には光源全体が、診断値、具体的にはエラー値又は状態メッセージの出力に応答してオフに切り替えられることも考えられる。診断値は、第1の圧力及び第2の圧力に基づいて圧力差が小さすぎると判定されたことに応答して出力され得る。エラー値又はエラー信号などの所定の診断値を受信すると、動作方法は、1つ以上の発光構成要素に対する損傷、具体的には修復不可能な損傷のリスクを防止するか、又は少なくとも低減するために、発光構成要素の緊急停止を開始することができる。
【0029】
前述のものと組み合わせることのできる、光源を動作させる方法の一実施形態によれば、第1の圧力と第2の圧力との差が最小閾値を下回る場合、及び/又は最大閾値を超える場合に、診断値、具体的には警告メッセージ又は警告値が出力され得る。光源を動作させる方法は、第1又は第2の圧力の間の許容差、具体的には圧力の差又は圧力測定値の差について、特定の光源に関する最小閾値及び/又は特定の光源に関する最大閾値を事前指定することを含み得る。最大閾値及び/又は最小閾値は、較正手順によって、又は計算済みの理論値に基づいて、又はテーブル値などに基づいて指定され得る。光源を動作させる方法では、具体的には電子ユニットによって、差が最大閾値より大きいかをチェックすること、及び/又は差が最小閾値未満であるかをチェックすることが可能である。差が最小値若しくは最小閾値未満である場合、及び/又は差が最大閾値より大きい場合には、具体的には電子ユニットによって、診断値が出力され得る。例えば、差が(再び)最大閾値よりも小さくなるように、又は最小閾値よりも大きくなるように、第1の圧力及び/又は第2の圧力を変化させる手段を開始するために、診断値として警告メッセージが出力され得る。例えば、最小閾値に達しない場合、診断値又は制御値が出力され得、それにより、例えば、流量及び、それに相関する第1の圧力と第2の圧力との間の差を増加させるために、ポンプの送達量の増加が引き起こされる。
【0030】
あるいは、又は加えて、保守作業などの人手による介入を開始するために、警告メッセージが出力され得る。特定の第2の最小閾値に達しない場合、警告メッセージ又はエラーメッセージなどの診断値が出力され得、それにより、流路系内の漏れに応答する手段が開始されることも考えられる。例えば、所望の差を、具体的には光出力及び/又は所望の流量に応じて予め定めることができ、第1の圧力センサによってこれまで取得された第1の圧力と第1の圧力センサによってこれまで取得された第1の圧力との間の実際の差が、所望の差に対して逸脱している場合、±30%以上、具体的には±50%以上、好ましくは±75%以上の偏差が存在する。具体的には光出力及び/又は所望の流量に応じて設定されている所望の差に対して、最小閾値は、例えば所望の差の75%、所望の差の50%、所望の差の30%以下であり得る。具体的には光出力及び/又は所望の流量に応じて設定されている、所望の差に対して、最大閾値は、例えば所望の差の130%、150%、200%以上であり得る。
【0031】
前述のものと組み合わせることができる、光源を動作させる方法の一実施形態によれば、少なくとも1つの発光構成要素の光出力を設定し得る。具体的には、様々な発光構成要素の光出力は、好ましくは異なるように設定することができ、診断値、制御値、及び/又は調整値が1つ又は複数の光出力に基づいて決定される。あるいは、又は加えて、流量、具体的には所望の流量が光出力に基づいて設定され得る。例えば、少なくとも1つの発光構成要素の光出力を、具体的には電子ユニットによって低減又は減光して、診断値、制御値、及び/又は調整値を、光出力に基づいて、適応した調節によって調節することができる。
【0032】
本発明による光源は、本発明による方法に従って動作するように構成され得ることは明らかである。本発明による方法は、前述の光源を用いて実行でき、該当する場合には、その光源の上述した具体的には任意選択の構成要素もまた用いて実行できることは明らかである。本発明による方法は、上述の光源を動作させるために実行され得ることが明らかである。
【0033】
本発明は、任意選択として、本発明による光源を備える印刷機において実現され得る。本発明による光源の使用に好適な任意の種類の印刷機が、この目的のために考慮される。好ましい印刷機は、本発明による方法を実行するように設計されている。
【0034】
印刷機の一実施形態では、光源は、印刷基材上に印刷された組成物を照射するために、印刷機内に配置及び形成され得る。任意選択として、印刷機は組成物を処理するように構成されてもよく、組成物は印刷インク若しくは塗料又はその両方である。
【0035】
印刷機、具体的には印刷画像メモリを有さないものは、ノンインパクト印刷(NIP)のために設計され得る。印刷画像メモリを有さない好ましい印刷機は、インクジェットプリンタ若しくはレーザプリンタ又はその両方である。
【0036】
代替の実施形態では、印刷機は、印刷画像メモリを有する。好ましい印刷画像メモリは、印刷ローラ又は印刷プレートである。
【0037】
印刷機は、印刷画像メモリによる間接印刷のために配置及び設計され得る。間接印刷のための好ましい印刷機は、オフセット印刷機である。好ましいオフセット印刷機は、シートフィードオフセット印刷機である。
【0038】
光源
本発明の文脈では、電磁放射線を放出するように設計され、当業者にとって本発明による使用、好ましくは印刷機での使用に好適であると思われものは、どのようなデバイスでも光源と見なされ得る。「電磁放射線」という用語は、可視光に加えて、人間の眼に見えない電磁スペクトルの構成要素もまた含む。好ましい電磁放射線は、10nm~1mmの波長範囲内にある。更に好ましい電磁放射線は、赤外線(IR放射線)若しくは紫外線(UV放射線)又は両方を混合したものである。DIN5031-7規格によれば、UV放射線の波長範囲は、10~380nmにわたる。ここで、規定によれば、UV-A放射線は、315~380nmの範囲内、UV-B放射線は、280~315nmの範囲内、UV-C放射線は、100~280nmの範囲内、EUV放射線は、10~121nmの範囲内にある。本発明の文脈では、UV-A放射線、UV-B放射線、及びUV-C放射線からなる群より選択されるUV放射線、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせが特に好ましい。この場合、前述の規格は、UV放射線の波長範囲を規定しているが、本発明の文脈では下記で説明するように好ましい発光半導体構成要素であるLEDの技術分野では、この規格に示された波長範囲内にない波長において発光強度の最大値を有するLED(当該技術分野においてピーク波長とも称される)もまた、UV LEDと称されることを考慮すべきである。例えば、385nm、395nm、及び405nmの波長において放射強度の最大値を有するLEDもまた、UV-A LEDと称される。本発明の範囲内では、そのようなLEDもまた、好ましい発光半導体構成要素のうちに含まれる。更に、本明細書では当該技術分野の用語が採用され、そのようなLEDもまた、UV LEDと称される。好ましい光源は、LEDモジュールを含むか、又はLEDモジュールである。LEDモジュールは、好ましくは、複数のLEDが配置されたプリント回路基板を含む。ここで、LEDはそれぞれ、光学系を備え得る。更に、複数のLEDに1つの光学系が割り当てられ得る。本明細書において、光学系は、電磁放射の操作のために配置及び設計された要素である。ここでは、光学部品及び光学構成要素の両方が考えられる。好ましい光学系は、透過光学系、変換光学系、及び反射光学系からなる群より選択されるもの、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせである。透過光学系は、電磁放射線を操作するために電磁放射線が横断する光学系である。好ましい透過光学系は、レンズ又は透過回折格子である。変換光学系は、電磁放射線の波長を変化させるために配置及び設計された光学系である。LEDの場合、これは、好ましくは、LEDによって放出される光の色を調節するために使用され得る。好ましい変換光学系は、変換層、すなわち、少なくとも1つの蛍光色素を含有する層である。反射光学系は、電磁放射線、具体的には電磁放射線の伝播方向を操作するために電磁放射線を反射する光学系である。好ましい反射光学系は、ミラー又は反射回折格子である。光源は、好ましくは、LEDモジュールを動作させるために配置及び設計された安定器を更に含む。好ましい安定器は、LEDドライバである。
【0039】
発光半導体デバイス
半導体を含有し、当業者にとって本発明による光源の発光構成要素として好適であると思われるものは、どのような構成要素でも発光半導体デバイスとして好適である。発光半導体構成要素は、具体的には発光ダイオード(LED)及びレーザダイオード(半導体レーザとも呼ばれる)を含み、ここでは、発光ダイオードが特に好ましい。
特に好ましいLEDは、IR LED若しくはUV LED、又はその両方である。好ましいUV LEDは、UV-A LED、UV-B LED、及びUV-C LEDからなる群より選択されるもの、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせである。
【0040】
担体要素
当業者にとって本発明による光源で使用するために好適であると思われるものは、どのような構成要素でも、担体要素として好適である。好ましい担体要素はプレート形状であり、すなわち、担体プレートとして形成される。特に好ましい担体要素は、冷却プレートである。どの場合でも、すべての位置において厚さが、長さ及び幅の少なくとも2分の1より小さい、より好ましくは5分の1より小さいシート状の要素は、本明細書ではプレートと呼ばれる。担体要素は、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、更により好ましくは95重量%の、少なくとも50W/(m・K)、より好ましくは少なくとも100W/(m・K)、更により好ましくは少なくとも200W/(m・K)、最も好ましくは少なくとも230W/(m・K)の熱伝導率を有する材料からなる。担体要素は、好ましくは、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%の金属を含有する。好ましい金属は、銅又はアルミニウム、又は前述の金属の一方若しくは両方を含有する合金である。好ましい実施形態では、前述の材料が担体要素の基部本体を形成し、基部本体は1つ以上のコーティングもまた有し得る。好ましいコーティングは、ニッケル、パラジウム、及び金からなる群より選択される金属、又は前述の金属のうちの少なくとも1つを含む合金金属からなる。担体要素が複数のコーティングを含む場合、後者は好ましくは、前述の順序で基部本体から外部まで、基部本体を上塗りする。ここで、層の配列は、基部本体、ニッケルコーティング、金コーティングの順、また特に基部本体、ニッケルコーティング、パラジウムコーティング、金コーティングの順も好ましい。担体要素は前述のコーティングを、特に好ましくは、少なくとも担体表面の側に有する。本明細書において担体要素と称される要素は、好ましくは、LED又はLEDモジュールの基板又はプリント回路板ではない。その代わりに、担体要素は、好ましくは、担体表面に複数のLED又はLEDモジュールを配置できる構成要素である。担体要素の担体表面は、好ましくは、ほぼ平坦になるように設計される。
【0041】
分配器ブロック
原則として、当業者にとって本発明による20回の使用について当業者に好適であると思われるものは、どのような構成要素でも分配器ブロックとして好適である。分配器ブロックは、好ましくは、冷却流体の分配器として機能し、かつ、本発明による光源の第1の担体要素及び更なる担体要素がある場合はそれを担持する構成要素として機能する。この目的のために、分配器ブロックは、好ましくは電気接続を有し、冷却流体のインレット及びリターンのための接続もまた有する。前述の接続は、好ましくは、分配器ブロックの一方又は両方の端面に位置する。更に、分配器ブロックは、好ましくは、冷却流体のインレット及びリターンを含む。
【0042】
冷却流体
当業者にとって、本発明の範囲内で、具体的には本発明による光源を冷却するために好適であると思われるものは、どのような液体でも冷却流体として好適である。この文脈において、流体は流動性媒体である。これらには、具体的には気体及び液体が含まれる。この文脈では、冷却流体として冷却液が好ましい。好ましい冷却液は、水若しくはグリコール、又は両方の混合物を含む。冷却液は、好ましくは水又は水とグリコールとの混合物からなる。
【0043】
印刷基材
当業者にとって本発明の範囲内で好適であると思われるものは、どんな物体でも、印刷材料とも呼ばれる印刷基材として考慮の対象となる。好ましい印刷基材は、シート状の設計である。このことは、印刷基材の長さ及び幅が、印刷基板の厚さの少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも100倍、更により好ましくは少なくとも1000倍の大きさであることを意味する。好ましいシート状の印刷基材は、ウェブ形状の設計を有する。これは、印刷基材の長さが、印刷基材の幅の少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、更により好ましくは少なくとも10倍、最も好ましくは少なくとも100倍の大きさであることを意味する。好ましい印刷基材は、紙、フィルム、又は積層体を含有し、好ましくはそれらからなる。好ましい積層体は層の配列内に、1つ以上のポリマー層、1つ以上の紙層、1つ以上の金属層、又は、前述の層の組み合わせを含有する。
【0044】
印刷インク
印刷インクは、薄層としての塗布に好適な粘度を有する着色剤含有混合物である。この場合、好ましくは、硬化された状態の薄層は、0.5~50μm、好ましくは1~30μm、より好ましくは1~20μmの範囲の厚さ(乾燥厚さ)を有する。好ましい印刷インクは、1つ以上の着色剤、結合剤、展色剤、及び添加剤からなる群より選択される1つ、又は前述の少なくとも2つ、好ましくはすべての組み合わせを含む。ここでの好ましい結合剤は、樹脂若しくはポリマー、又は両方の20混合物である。好ましい展色剤は溶媒である。好ましい添加剤は、印刷インクの所望の特性、好ましくは、例えば印刷インクの粘度などの所望の加工特性を設定するために使用される。好ましい添加剤は、分散添加剤、消泡剤、ワックス、潤滑剤、及び基材湿潤剤からなる群より選択されるもの、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせである。好ましい印刷インクは更に、トナー、インクジェットプリンタ用インク、オフセット印刷インク、イラストレーション印刷インク、液体着色剤、及び放射線硬化印刷インクからなる群より選択されるもの、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせである。好ましいオフセット印刷インクは、ウェブオフセットプリントインク若しくはシートオフセット印刷インク、又はその両方である。好ましいウェブオフセット印刷インクは、ウェブオフセットコールドセット印刷インク若しくはウェブオフセットヒートセット印刷インク、又はその両方である。好ましい液体着色剤は、水性液体着色剤若しくは溶媒系液体着色剤、又はその両方である。特に好ましい印刷インクは、どの場合でも印刷インクの重量に基づいて、少なくとも1つの着色剤、好ましくは少なくとも1つの顔料を8~15重量%、及び少なくとも1つの樹脂若しくは少なくとも1つのポリマー又はその2つの混合物を合計25~40重量%、少なくとも1つの高沸点鉱油(沸騰範囲250~210℃)を30~45重量%、及び少なくとも1つの添加剤を合計2~8重量%で含有する。
【0045】
塗料
塗料は、薄層としての塗布に好適な粘度を有し、硬化によって、固体の、好ましくは粘着性のフィルムが得られる、液体又は粉末状のコーティング材料である。塗料は多くの場合、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの展色剤、少なくとも1つの着色剤、少なくとも1つの樹脂及び/又は少なくとも1つのアクリレート、及び少なくとも1つの添加剤からなる群より選択される少なくとも1つ、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせを含有し、前述のすべての成分の組み合わせ(樹脂及び/又はアクリレートを有する)が好ましい。好ましい添加剤は、ここでは殺生物剤である。好ましい殺生物剤として、缶内防腐剤がある。塗料は多くの場合、装飾、例えば電気的特性の変更若しくは耐摩耗性の変更などの物体の表面の機能化、又は前述の機能の組み合わせにより、塗料が提供された物体を保護する役割を果たす。本発明の範囲内で好ましい塗料は、水性塗料、溶剤系塗料、UV系、すなわちUV硬化性の塗料、及び分散塗料からなる群より選択されるもの、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせである。特に好ましい塗料は、印刷された表面を保護するように設計されている。
【0046】
着色剤
好適な着色剤は、当業者に既知の、本発明に好適な固体着色剤及び液体着色剤の両方である。DIN55943:2001-10によれば、「着色剤」という用語は、すべての着色物質、具体的には染料及び顔料の集合的な用語である。好ましい着色剤は顔料である。好ましい顔料は有機顔料である。本発明の文脈において考慮される顔料は、具体的には、DIN55943:2001-10で述べられている顔料、及び「Industrial Organic Pigments,3rd edition」(Willy Herbus、Klaus Hunger、copyright (著作権) 2004 WILEY-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,Weinheim,ISBN:3-527-30576-9)に記載されているものである。顔料は着色剤であり、好ましくは適用媒体に不溶性である。染料は着色剤であり、好ましくは適用媒体に可溶性である。
【0047】
測定方法
特に明記しない限り、本発明の文脈で実行される測定は、周囲温度23℃、周囲気圧20、100kPa(0.986気圧)、相対大気湿度50%で実行された。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明は、例及び図面によって以下により詳細に例示されるが、例及び図面は本発明を限定するものではない。更に、別段の指示がない限り、図面は正確な縮尺ではない。本発明の好ましい実施形態を、特許請求の範囲において特定している。本発明の特定の実施形態及び態様について、添付の図面を参照して後述する。
【
図1】本発明による光源の一実施形態を示す図である。
【
図2】本発明による光源用の例示的な分配器ブロックの断面斜視図である。
【
図3】第1及び第2の冷却流体圧力の流量に応じた概略グラフである。
【0049】
図1は、本発明による光源1の概略図を示す。光源1は、第1の冷却流体圧力センサ21及び第2の冷却流体圧力センサ22に接続された、電子ユニットを備える。光源1は、冷却流体インレット開口部121及び冷却流体リターン開口部122を有する、分配器ブロック10を更に備える。分配器ブロックには、発光構成要素11、13、15が固定されている。光源1は、発光構成要素11、13、及び15の光出力を調節するためのパワーエレクトロニクスユニット7を備える。
【0050】
光源1は、流路系103を備え、流路系103を通って冷却流体が流れ方向Fに搬送される。冷却流体は、流量制御及び/又は調整デバイス5を使用して流路系103を通して搬送され、この流路系は、ポンプ51並びに、任意選択として、制御弁又はバランスバルブなどの制限器及び/又はバルブ53を備え得る。
【0051】
第1の圧力センサ21は、分配器ブロック10の冷却流体インレット開口部121に配置され得る。第2の冷却流体圧力センサ22は、分配器ブロックの冷却流体リターン開口部122に配置され得る。分配器ブロック10は、発光半導体構成要素11、13、15を受容するハウジングとして設計されている。
【0052】
図2は、
図1による本発明による光源1の分配器ブロックの断面の概略的な部分表現を示す。
図2には、発光構成要素11のうちの1つを担持する担体要素12が示されている。発光構成要素11は、紫外線発光半導体構成要素として、より正確にはLEDモジュールとして実現れている。
図2は、単一の発光構成要素11を有する1つのみの第1の担体要素12を示す。
図1を参照すると、光源1は、複数の発光構成要素11、13、15を備えることができ、具体的には各発光構成要素11、12、13がそれぞれ1つの担体要素12によって分配器ブロック10に固定され得ることが明らかである。第1の発光半導体構成要素11は、LEDモジュール11であり、第1の担体要素12にはんだ付けされている。第1の担体要素12は、例えば、2本の皿頭ねじを締結手段として用いて分配器ブロック10にねじ留めされ得る。第1の発光半導体構成要素11、第1の担体要素12、及び分配器ブロック10は、前述の順序で互いに重なっている。LEDモジュール11は、セラミック材料で作製された基板を含み、その基板上に複数のLEDチップが、具体的にはチップオンボード技術で取り付けられている。LEDモジュール11は、UV LEDモジュールである。1つのLEDモジュール11、13、または又は15をそれぞれ備えた12を有する28個の担体要素が、例えば、分配器ブロック10上で長手方向に互いに隣接して取り付けられている。
【0053】
図示されていない別の実施例によれば、それぞれが1インチの長手方向の幅を有し、1個のLEDモジュール11、13、又は15を担持する16個の担体要素12が、例えば、分配器ブロック10上に互いに隣接して分配器ブロック10の長手方向に取り付けられ得る。この例では、16L/分の所望の流量が提供され得、第1の圧力センサ21で測定された第1の冷却流体圧力p1(例えば、1.2バール)と第2の圧力センサ22で測定された冷却流体圧力p2(例えば、0.9バール)との間に、おおよそ300ミリバールの圧力差Δpが確立される(
図3を参照)。第1のチャネル501及び/又は第2のチャネル502の直径は、例えば、0.75インチであり得る。第1の分岐チャネル504及び/又は第2の分岐チャネル506の直径は、例えば、1.3mmであり得る。
【0054】
図2に示す、本発明による光源1の分配器ブロック10の概略断面図は、分配器ブロック10が、冷却流体のインレットとして設計された第1のキャビティ501を含むことを示す。第1のキャビティは、担体要素12の各々の下を通過する第1のチャネルとして形成されている。分配器ブロック10はまた、冷却流体のリターンとして設計された第2のキャビティ502を含む。第2のキャビティ502は、担体要素12の各々の下を通過する第2のチャネルとして形成されている。第1の流体経路409が、第1のキャビティ501から第2のキャビティ502に通じる。第1のキャビティ501の断面と第2のキャビティ502の断面はサイズが等しい。冷却流体は、第1のキャビティ501から第2のキャビティ502に流れるためには、分配器ブロック10の複数の流体経路409のうちの1つを通って流れなければならない。
【0055】
流体経路409は3つの区画からなる。中央の区画は、担体本体12によって提供される。担体本体12は、担体本体13内の発光素子11(又は13、15)の下に形成された複数の熱交換器チャネル403を備える。第1の分岐チャネル504rは、第1のキャビティ501から熱交換器チャネル403に通じる。第1のキャビティ501から担体要素又は担体本体12の熱交換器チャネル403に通じる更なる第1の分岐チャネル(図示せず)もまた、分配器ブロック10内に提供され得る。第1の分岐チャネル及び、任意選択で更に第1の分岐チャネルは、流体経路409の第1の区画を形成する。
【0056】
第2のキャビティ502から、少なくとも1つの第2の分岐チャネル506が担体本体12の熱交換器チャネル403に通じる。更なる第2の分岐チャネル(より詳細には図示せず)が、第2のキャビティ502から熱交換器チャネル403に通じ得る。少なくとも1つの第1の分岐チャネル504及び少なくとも1つの第2の分岐チャネル506は、分配器ブロック10内に形成されている。少なくとも1つの第1の分岐チャネル504、少なくとも1つの第2の第1の分岐チャネル506、及び少なくとも1つの熱交換器チャネル403は、共に流体経路409を形成する。
【0057】
第1の冷却流体圧力センサ21と第2の冷却流体圧力センサ22との間の流体抵抗又は圧力損失は、流体経路の水圧特性によって明確に決定される。流体経路409の水圧特性は、最小断面を有する区画によって明確に決定される。流体経路409の第1の区画は、第1の分岐チャネル504によって形成され、流体経路409の第3の区画は、分岐チャネル506によって形成される。第1の分岐チャネル504と第2の分岐チャネル506とは、実質的に同じ断面を有する。分岐チャネル504及び506は、流体経路409の水圧特性を明確に決定する。第1の冷却流体圧力センサ21、第2の冷却流体圧力センサ22間の流体抵抗又は圧力差は、少なくとも1つの第1の分岐チャネル504及び少なくとも1つの第2の分岐チャネル506の流体抵抗によって明確に決定される。
【0058】
担体本体12内の熱交換器チャネル403は、一方では担体本体12によって、他方では分配器ブロック10の外面によって画定されている。冷却流体の損失を防止するために、分配器ブロック10の外側と担体本体12との間にシール16が設けられている。あるいは、発光構成要素が担体本体なしで分配器ブロック10に直接固定されて、分配器ブロック10内に流体経路が実現されることも考えられる(詳細には図示せず)。あるいは、熱交換器チャネル403が、分配器ブロックの側部によって画定されていない担体本体12内に形成されることも考えられる。そのような熱交換器チャネルは、担体本体12によってのみ画定される(図示せず)。発光構成要素11は、分配器ブロック10上に保持された保護窓14を介して周囲に光を放出し得る。
【0059】
発光構成要素11、13、及び15は、分配器ブロック10の一方の端部101から順に、1つ以上の近位発光構成要素11、1つ以上の微小発光構成要素13、及び1つ以上の遠位発光構成要素15に分割され得る。様々な近位(11)、中央(13)、及び遠位(15)発光構成要素は、互いに独立して、電子ユニット3のパワーエレクトロニクスユニット7によって調節され得る。例えば、光源1が異なるフォーマット幅の複数のプリンタに使用される場合、発光構成要素は、具体的には位置に応じた様式で、部分的に減光され得る、かつ/又は無効化され得る。例えば、小さいフォーマットでは、近位発光構成要素11のみが起動され、中央発光構成要素13及び遠位発光構成要素15が無効化又は減光されることが可能である。近位発光構成要素11、中間発光構成要素13、及び遠位発光構成要素15への細分化は、単に例であることは明らかである。具体的には、パワーエレクトロニクスユニット7は、光源1の各個の発光構成要素11、13及び/又は15の光出力を互いに独立して調節し得る。
【0060】
ポンプ51は最大公称ポンプ出力で動作させることができ、流量fは、例えばDE202013001744U1に記載されているバランスバルブを用いて、バルブ53で所望の流量に設定し得る。このようにして、それぞれの最大公称出力での動作中に、動作中の発光構成要素11、13、15の温度制御に必要な冷却電力を、所定の冷却流体入力温度で確保するために必要な流量fを設定することが可能である。
【0061】
図3は、第1の圧力p1の測定値及び第2の圧力p2の測定値のグラフを概略的に示す。第2の圧力p2が流路系103内の流れ方向Fにおいて第1の圧力p1の下流で測定されるため、第1の測定位置第2の位置間の流体抵抗の結果として、第2の圧力p2は第1の圧力p1よりも低い。第1の圧力p1と第2の圧力p2との差は、圧力差Δpである。分配器ブロック10及び/又は、必要に応じて流路系103は、特に異なるポンプ構成(図示せず)の場合には、逆方向に流れることもあることは明らかである。
【0062】
図3に示すグラフによれば、圧力は、バール又はパスカルの圧力値として与えられ得る。圧力測定値は、例えば、第1の冷却流体圧力センサ21又は第2の冷却流体圧力センサ22によって生成される電圧信号又は電流信号の形態の圧力として使用されることも考えられる。圧力測定値、すなわち電流値又は電圧値は、好ましくは、それぞれの圧力値p1又はp2に比例して対応する。
【0063】
図3に示すように、流路系103内の圧力p1又はp2[バール]は、流路系103を通る冷却流体の流量f[L/分]に依存する。第1の圧力センサ21第2の圧力センサ22間の圧力差は、直線管に沿った圧力変化を求めるために当業者に既知の式によって、おおよそ求めることができる。
【0064】
電子ユニット3は、センサ21、22によって取得された第1の圧力p1及び第2の圧力p2によって、光源1が正しく機能しているか機能不全であるかに関する結論が得ることができたかどうかを検知するように構成されている。
【0065】
圧力差Δpが0に近づく場合、容積流量が同様に0に近づいていること、言い換えれば、発光構成要素11、13、及び15の温度が適切に制御されていないとみなすことができる。この場合、電子ユニット3は、光源1の緊急停止を開始することができる。光源1の緊急停止が発生すると、パワーエレクトロニクスユニット7に、具体的にはまず、発光構成要素11、13、及び15の光出力をオフに切り替えさせることができる。
【0066】
電子ユニット3は、具体的には、最小必要圧力差Δpの存在に応じて状態メッセージなどの診断値を生成するように構成され得、パワーエレクトロニクスユニット7は、次いで、電子ユニット3が最低必要圧力差Δpの存在を報告したとき、排他的に少なくとも1つの光源1を動作させるように構成されている。最低必要圧力差は、例えば、50ミリバール、100ミリバール、500ミリバール、又は1バールに相当し得る。それ以外の場合、少なくとも1つの光源1を損傷なく動作させるための、適切な冷却流体流fが存在しないとみなすことができる。
【0067】
光源1の通常動作では、電子ユニット3は、第1の圧力p1及び第2の圧力p2に基づいて、又は第1の圧力若しくは第2の圧力に対応する電気的な圧力測定値に基づいて、調整を実行できる。例えば、圧力差Δpが減少する場合、これは低減された流量を示し得るため、電子ユニット3は、流量制御及び/又は調整デバイス5によって流量fを調節することができ、例えば、ポンプ51の送達量を増加させ、かつ/又はバルブ53の開度を広げることができる。
【0068】
光源1の動作中に、第1の圧力p1と第2の圧力p2との間のΔpの差、又はΔpの差に対応する電気的な圧力測定値が、具体的には予想外に増加する場合、電子ユニット3は、制御又は調整デバイスによって、流量f及び/又は、診断値、具体的には警告及び/又はエラーメッセージを調節することができる。
【0069】
差Δpが急増(例えば、1分未満で少なくとも0.5バールの変化)する場合、これは、例えば、第1のチャネル501又は第2のチャネル502の流路系103の漏れ又は著しい閉塞を示し得る。電子ユニット3は、差Δpの急増が発生した場合に、制御又は調整デバイスによって、例えば、ポンプ51の送達量を減少させること、及び/又はバルブ53の開放幅を縮小することにより、流量fを調節するように構成され得る。
【0070】
差Δpが漸増(例えば、少なくとも1時間内で少なくとも0.5バールの変化)する場合、これは、流路系103、具体的には少なくとも1つの流体経路409の、部分的及び/又は進行性の閉鎖を示し得る。差Δpが漸増する場合、ポンプ51と同じ送達量において、流量fが減少し、一方で流れ抵抗及び関連する差Δpが増加するとみなすことができる。電子ユニット3は、差Δpの特定の漸増が発生すると、制御又は調整デバイスによって、例えば、ポンプ51の送達量を増加させること、及び/又はバルブ53の開放幅を拡大することにより、流量fを調節するように構成され得る。
【0071】
電子ユニット3は、圧力差Δpが最も低い許容最小閾値と最も高い許容最大閾値との間の許容範囲内にあるかを検知するために、例えば、最も高い許容最大閾値及び/又は最も低い許容最小閾値を考慮に入れることができる。Δpの圧力差がこの許容範囲外である場合、電子ユニット3は、対応する診断値、制御値、及び/又は調整値を出力するように構成され得る。
【0072】
光源1の構造に起因して、光源1の担体要素12の各々は、互いに長手方向に最も離れて位置する2つの担体要素12が最大4Kの温度差を示すように、例えば約5バール又は約1.5バールで冷却回路103内を流れる水-グリコール混合物を冷却流体として使用して、約300Wの冷却力を用いる方法で冷却され得る。その結果、光源のすべてのLEDモジュール11、13、15が、ほぼ同じ効率で動作できる。その結果、例えば、一様な照射、ひいては広い面積にわたる印刷インクの一様な硬化が可能である。
【0073】
参照符号
1 光源
3 電子ユニット
5 制御及び/又は調整デバイス
7 パワーエレクトロニクスユニット
10 分配器ブロック
11、13、15 発光構成要素
12 担体本体
14 窓
16 シール
21 第1の圧力センサ
22 第2の圧力センサ
51 ポンプ
53 バルブ
103 流路系
121 冷却流体インレット開口部
122 冷却流体リターン開口部
403 熱交換器チャネル
409 流体経路
501 第1のキャビティ
502 第2のキャビティ
504 第1の分岐チャネル
506 第2の分岐チャネル
f 流量
F 流れ方向
p1 第1の圧力
p2 第2の圧力
Δp 圧力差