(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ロボットシステム及びロボット作業方法
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20240423BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B25J5/00 E
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2022571509
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2021047362
(87)【国際公開番号】W WO2022138653
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2020215815
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 仁志
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-190659(JP,A)
【文献】特開2009-090420(JP,A)
【文献】特表2014-503376(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0084741(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0102147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 5/00-13/00
B65G 1/137
G01B 21/22
G06T 7/00- 7/70
H04W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な台車と当該台車に搭載されたロボットアームとを含む複数の自走ロボットと、
操作者に操作されることによって前記複数の自走ロボットを手動操作することが可能なように構成された1つの操作コンソールと、を備え、
前記複数の自走ロボットは、所定の第1の作業を
自動運転で行う第1自走ロボットと、前記第1の作業と種類の異なる所定の第2の作業を
自動運転で行う第2自走ロボットとを含
み、
前記操作コンソールは、前記複数の自走ロボットの状態を自動運転、手動操作、及び停止の間で切り替える切替回路を有し、前記複数の自走ロボットの各々について手動操作終了後に自動運転に切り替えるか手動操作終了後に停止に切り替えるかが予め定められており、
前記切替回路は、前記第1自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第2自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第2自走ロボットを手動操作から停止に切り替え、前記第2自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第1自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第1自走ロボットを手動操作から自動運転に切り替えるように構成されている、
ロボットシステム。
【請求項2】
前記複数の自走ロボットは、前記操作コンソールに自動運転プログラムが格納された、前記第1自走ロボットを含む少なくとも1つ以上の自走ロボットと、自動運転プログラムが格納されたロボット制御部を有する、前記第2自走ロボットを含む少なくとも1つ以上の自走ロボットとを含み、
前記操作コンソールの前記切替回路は、前記複数の自走ロボットのうち前記操作コンソールに自動運転プログラムが格納されているものは手動操作終了後に自動運転に切り替え、前記複数の自走ロボットのうち前記ロボット制御部に自動運転プログラムが格納されているものは手動操作終了後に停止に切り替えるように構成されている、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記複数の自走ロボットのそれぞれを手動操作する必要性を検知し、前記手動操作する必要性が検知された結果を知らせる検知回路と、前記操作者に、前記検知回路が知らせる前記手動操作する必要性を提示する報知器とを、さらに備える、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記自走ロボットに搭載されたカメラを、さらに備え、
前記検知回路は、プロセッサとメモリを有し、前記プロセッサで前記メモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、前記カメラで撮像した画像を画像処理して当該画像に人物が存在する場合に前記手動操作する必要性を検知する、
請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記複数の自走ロボットと前記操作コンソールとが、データ通信可能なネットワークを介して接続されている、
請求項1乃至
4のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記操作コンソールは、所定の自動動作プログラムに従って自動運転信号を出力する自動運転回路と、前記自動運転回路から出力された前記自動運転信号を前記複数の自走ロボットのうち自動運転するものへ出力する操作コントローラとを有し、
前記複数の自走ロボットは、受け取った前記自動運転信号に基づいて前記台車及び前記ロボットアームを動作させるロボットコントローラを有する、
請求項
1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
自律走行可能な台車と当該台車に搭載されたロボットアームとを含む複数の自走ロボットを用いたロボット作業方法であって、
前記複数の自走ロボットのうち第1自走ロボットに所定の第1の作業を
自動運転で行わせ、前記複数の自走ロボットのうち第2自走ロボットに前記第1の作業と種類の異なる所定の第2の作業を
自動運転で行わせることと、
1つの操作コンソールを操作者が操作することによって、前記第1自走ロボット及び前記第2自走ロボットを選択的に手動操作することと、を含
み、
前記複数の自走ロボットの各々について手動操作終了後に自動運転に切り替えるか手動操作終了後に停止に切り替えるかが予め定められており、前記操作コンソールが、前記第1自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第2自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第2自走ロボットを手動操作から停止に切り替え、前記第2自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第1自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第1自走ロボットを手動操作から自動運転に切り替える、
ロボット作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステム及びロボット作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人によって行う作業(以下、人的作業という)をロボットに行わせること(以下、ロボット化という)が行われている。近年、この人的作業のロボット化が様々な産業分野において、行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、物流センターにおいて、多数のアイテムをロボットによってピッキングするピッキングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、全産業を眺めると、人的作業のロボット化はあまり進展していない。全産業における人的作業のロボット化を進展させるためには、ロボット化を効率よく行うことができ、且つ、使用されるロボットが広範な種類の作業に対応できることが必要である。
【0006】
特許文献1に開示されたピッキングシステムでは、使用されるロボットが、ピッキングという1つの種類の作業しか行うことができず、広範な種類の作業に対応することができない。
【0007】
本開示は上記のような課題を解決するためになされたもので、ロボット化を効率よく行うことができ、且つ、使用されるロボットが広範な種類の作業に対応できるロボットシステム及びロボット作業方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るロボットシステムは、
自律走行可能な台車と当該台車に搭載されたロボットアームとを含む複数の自走ロボットと、
操作者に操作されることによって前記複数の自走ロボットを手動操作することが可能なように構成された1つの操作コンソールと、を備え、
前記複数の自走ロボットは、所定の第1の作業を自動運転で行う第1自走ロボットと、前記第1の作業と種類の異なる所定の第2の作業を自動運転で行う第2自走ロボットとを含み、
前記操作コンソールは、前記複数の自走ロボットの状態を自動運転、手動操作、及び停止の間で切り替える切替回路を有し、前記複数の自走ロボットの各々について手動操作終了後に自動運転に切り替えるか手動操作終了後に停止に切り替えるかが予め定められており、
前記切替回路は、前記第1自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第2自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第2自走ロボットを手動操作から停止に切り替え、前記第2自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第1自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第1自走ロボットを手動操作から自動運転に切り替えるように構成されている。
ここで、「作業の種類」とは、「作業」そのものを意味するのではなく、一般に「何々作業(〇〇作業)」と呼ばれる又は分類される作業の別を意味する。但し、呼び名又は分類名の末尾が「・・・作業」となっている必要はなく、実態がそのような作業であればよい。「作業の種類」として、例えば、ピッキング(アイテム取り出し作業)、レジスター打ち(清算作業)、商品陳列作業、図書陳列作業、医療補助作業、介護作業、接客作業、案内作業、警備作業、清掃作業等が挙げられる。
【0009】
また、本開示の別の一態様に係るロボット作業方法は、自律走行可能な台車と当該台車に搭載されたロボットアームとを含む複数の自走ロボットを用いたロボット作業方法であって、
前記複数の自走ロボットのうち第1自走ロボットに所定の第1の作業を自動運転で行わせ、前記複数の自走ロボットのうち第2自走ロボットに前記第1の作業と種類の異なる所定の第2の作業を自動運転で行わせることと、
1つの操作コンソールを操作者が操作することによって、前記第1自走ロボット及び前記第2自走ロボットを選択的に手動操作することと、を含み、
前記複数の自走ロボットの各々について手動操作終了後に自動運転に切り替えるか手動操作終了後に停止に切り替えるかが予め定められており、前記操作コンソールが、前記第1自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第2自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第2自走ロボットを手動操作から停止に切り替え、前記第2自走ロボットの状態を手動操作に切り替えるに際し、それまで前記第1自走ロボットが手動操作されていた場合は前記第1自走ロボットを手動操作から自動運転に切り替えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、ロボット化を効率よく行うことができ、且つ、使用されるロボットが広範な種類の作業に対応できるロボットシステム及びロボット作業方法を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係るロボットシステムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の操作ユニットの構成の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のロボットシステムの制御系統の構成の概要を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図3のロボットシステムの制御系統の構成の詳細を示す機能ブロックである。
【
図5A】
図5Aは、
図1のロボットシステムの動作を示す図であって、第1自走ロボットがコンビニエンスストアでレジスター打ちをしている様子を示す模式図である。
【
図5B】
図5Bは、
図1のロボットシステムの動作を示す図であって、第2自走ロボットがコンビニエンスストアで商品陳列作業を行っている様子を示す模式図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態2に係るロボットシステムの動作を示す図であって、第1自走ロボットが介護施設で介護作業行っている様子を示す模式図である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態2に係るロボットシステムの動作を示す図であって、第2及び第3自走ロボットがスーパーマーケットの倉庫で商品のピッキングを行っている様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、以下の図は、本開示を説明するための図であるので、本開示に無関係な要素が省略される場合、誇張等のために寸法が正確でない場合、簡略化される場合、複数の図において互いに対応する要素の形態が一致しない場合等がある。また、本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係るロボットシステム100の構成の一例を示す模式図である。
図2は、
図1の操作ユニット2の構成の一例を示す平面図である。
図3は、
図1のロボットシステム100の制御系統の構成の概要を示す模式図である。
【0014】
[ハードウェアの構成]
図1及び
図3を参照すると、実施形態1のロボットシステムは、複数の自走ロボット1(1A,1B,1C・・・)と、1つの操作ユニット(操作コンソール)2とを含む。複数の自走ロボット1(1A,1B,1C・・・)と1つの操作ユニット2とは、例えば、データ通信ネットワーク3を介して接続される。複数の自走ロボット1(1A,1B,1C・・・)と1つの操作ユニット2とが、直接、有線又は無線で接続されてもよい。なお、複数の自走ロボットに関して、個々の自走ロボットを指す場合には、1A,1B,1C・・・の参照符号を付し、複数の自走ロボットを総称する場合、又は、代表する自走ロボットを指す場合には、自走ロボットに参照符号1を付す。
【0015】
以下、ロボットシステム100におけるこれらの要素を詳しく説明する。
【0016】
<データ通信ネットワーク3>
データ通信ネットワーク3は、データ通信可能なネットワークであればよい。データ通信ネットワーク3として、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等が例示される。
【0017】
<自走ロボット1>
図1を参照すると、自走ロボット1は、基本的に、自律走行可能な台車11と当該台車11に搭載されたアーム部(ロボットアーム)13とを含むように構成されていればよい。自走ロボット1は、この基本的な構成を備えた上で、所定の作業を行うことが可能なように構成されている。「所定の作業を行うことが可能なように構成されている」とは、自走ロボット1のハードウェアが、所定の作業を行うことが可能な構造に構成されている場合と、自走ロボット1が、所定の作業を行えるように動作するようプログラムされている場合との双方を意味する。従って、2つの自走ロボット1が、互いに外観が同じであっても、互いに異なる種類の作業を行うことが可能なように構成されている場合があり得る。
【0018】
また、「所定の作業」を行うことが可能なように構成されているとは、複数の「所定の作業」を行うことが可能なように構成されている場合を含む。従って、各自走ロボット1は、互いに種類が異なる複数の作業のうちの1つの作業しか行えないように特化されている場合と、互いに種類が異なる複数の作業のうちの複数の作業を行えるように汎用化されている場合とがある。
【0019】
ここで、「作業の種類」とは、「作業」そのものを意味するのではなく、一般に「何々作業(〇〇作業)」と呼ばれる又は分類される作業の類別を意味する。但し、呼び名又は分類名の末尾が「・・・作業」となっている必要はなく、実態がそのような作業であればよい。このように類別された作業として、例えば、ピッキング(アイテム取り出し作業)、レジスター打ち(清算作業)、商品陳列作業、図書陳列作業、医療補助作業、介護作業、接客作業、案内作業、警備作業、清掃作業等が挙げられる。
【0020】
以下では、複数の自走ロボット1が、第1自走ロボット1Aと、第2自走ロボット1Bとで構成され、第1自走ロボット1A及び第2自走ロボット1Bが、共に、コンビニエンスストアで「レジスター打ち」及び「商品陳列作業」を行えるように構成されている場合を説明する。
【0021】
図1を参照すると、自走ロボット1は、ここでは、走行部11と、昇降部(昇降機)12と、アーム部13とを備える。
【0022】
走行部11は、例えば、台車で構成される(以下では、台車11と表記する)。台車11は、基部に前輪及び後輪からなる車輪11aを備える。前輪及び後輪の一方が操舵輪であり、前輪及び後輪の少なくとも一方が駆動輪である。また、台車の前部に昇降部12が設けられ、台車11の後部に、物品を置くための置き棚11bが設けられている。
【0023】
台車11は、さらに、バッテリ及びモータを備えていて、台車11は、モータがバッテリを電源として車輪11aを駆動することによって自律走行する。また、昇降部12、アーム部13、並びに、後述するロボット側表示部(ロボット側モニタ)14、ロボット側マイクロフォン15、及びロボット側放音部(ロボット側スピーカ)16は、このバッテリを電源として動作する。
【0024】
昇降部12は、基部122と、基部122に対して昇降する昇降軸123と、を備える。
【0025】
昇降軸123の上部に、第1ロボットアーム121A及び第2ロボットアーム121Bが、昇降軸123の中心軸の周りに回動自在に設けられている。第2ロボットアーム121Bは、第1ロボットアーム121Aの上側に設けられている。第1ロボットアーム121A及び第2ロボットアーム121Bはそれぞれの回転位置が入れ替わることができ、左右の区別はない。
【0026】
第1ロボットアーム121A及び第2ロボットアーム121Bは、それぞれ、多関節型ロボットアームであって、それぞれ、先端にハンド124A及びハンド124Bを備える。
【0027】
ハンド124A及びハンド124Bは、特に限定されないが、ここでは、対象物を把持することが可能な形状に形成されている。
【0028】
昇降軸123の中程の高さ位置には、周囲カメラ17が設けられている。周囲カメラ17は、図示されているものの他、図示されない周囲カメラが、台車11の両側部及び後部に設けられている。図示されない周囲カメラは、図示されている周囲カメラ17と同じ高さ位置に設けられている。4つの周囲カメラは、操作者P1が自走ロボット1の周囲の環境(景色、視界)を確認するためのデバイスである。
【0029】
第2ロボットアーム121Bの先端部には、手先カメラ18が設けられている。手先カメラ18は、一対のハンド124A,124Bが把持しようとする対象物を、操作者P1が確認するためのデバイスである。
【0030】
昇降軸123の上端部には、支持部材125を介して、ロボット側表示部14が取り付けられている。ロボット側表示部14は、例えば、液晶ディスプレイで構成される。
【0031】
ロボット側表示部14の適所には、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、及び主カメラ19が設けられている。
【0032】
ロボット側表示部14、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、及び主カメラ19は、自走ロボット1が、人(以下、対話者という)と対話するためのデバイス群である。ロボット側表示部14は、対話者に伝達しようとする情報(画像情報、文字情報等)を表示する。ロボット側マイクロフォン15は、対話者の音声を取得する。ロボット側放音部16は、例えば、ラウドスピーカで構成され、対話者に伝達しようとする音声情報を放音する。主カメラ19は、対話者を撮像する。
【0033】
台車11は、さらに、演算回路モジュールCm1及びロボット側通信部(ロボット側通信機)113を備える。演算回路モジュールCm1は、プロセッサPr1とメモリMe1とを備える。演算回路モジュールCm1は、後述するように、要求検知部(要求検知回路)111及びロボット制御部(ロボットコントローラ)112(
図4参照)を構成する。
【0034】
<操作ユニット2>
操作ユニット2は、複数の自走ロボット1を、手動操作及び自動運転の少なくとも一方によって操作することが可能なように構成されている。
【0035】
図2は、
図1の操作ユニット2の構成の一例を示す平面図である。操作ユニット2は、自走ロボット1を操作できるものであれば、特に限定されない。操作ユニット2は、
図2に示すように、左右の操作部21A,21Bが、一体化されていてもよいし、個別に形成された複数の操作部で構成されてもよい。操作部は、操作者が操作できるものであれば、特に限定されない。操作部として、キー、ジョイスティック、ハンドル等が例示される。
【0036】
また、操作ユニット2は、
図2に示すように、操作部21A,21Bと、操作側表示部(操作側モニタ)23、操作側マイクロフォン25、及び操作側放音部(操作側スピーカ)26と、が一体化されていてもよいし、操作部21A,21Bと、操作側表示部23、操作側マイクロフォン25、及び操作側放音部26とが、別個に形成されていてもよい。
【0037】
図2を参照すると、操作ユニット2は、本体20を備える。本体20は、扁平な直方体状の箱に形成されている。
【0038】
本体20の左端部及び右端部には、それぞれ、左手操作部21A及び右手操作部21Bが設けられている。これらの左手操作部21A及び右手操作部21Bが、手動操作部21を構成する。左手操作部21A及び右手操作部21Bには、それぞれ、所定の一群の操作キー29が配置されている。この所定の一群の操作キー29は、例えば、ゲーム機の周知の操作キー群と同様に構成される。従って、この所定の一群の操作キー29の説明を省略する。操作者P1がこれらの一群の操作キー29を両手で、適宜、操作すると、その操作に応じて、自走ロボット1が動作する。
【0039】
本体20の上面の中央部に操作側表示部23が設けられている。操作側表示部23は、例えば、タッチスクリーンで構成されている。操作側表示部23は、操作者P1が自走ロボット1を操作するために必要な情報(画像情報、文字情報等)を表示する。例えば、操作側表示部23には、周囲カメラ17で撮像された画像、主カメラ19で撮像された画像、手先カメラ18で撮像された画像が、適宜、表示される。
【0040】
本体20の上面の適所には、操作側マイクロフォン25及び操作側放音部26が設けられている。操作側マイクロフォン25は、対話者の音声を取得する。操作側放音部26は、例えば、ラウドスピーカであって、ロボット側マイクロフォン15で取得された対話者の音声を放音する。操作側放音部26は、ヘッドフォンなどのウェアラブルスピーカ26aであってもよい。本体20の適所には、音声出力端子が(不図示)設けられており、この音声出力端子にウェアラブルスピーカ26aの接続コード30を接続すると、操作側放音部26の出力部がラウドスピーカからウェアラブルスピーカ26aに切り替わり、ウェアラブルスピーカ26aからロボット側マイクロフォン15で取得された対話者の音声が放音される。
【0041】
本体20の適所には、さらに、要求提示部(報知器)24が設けられている。要求提示部24は、自走ロボット1の要求検知部111で検知された手動操作要求を操作者P1に提示する。要求提示部24は、手動操作要求が到着していることを、操作者P1に知らせることができる手段であればよい。そのような手段として、操作者P1の身体を刺激する手段、操作者P1に聴覚情報を伝達する手段、操作者P1に、視覚情報を伝達する手段等が例示される。操作者P1の身体を刺激する手段としてバイブレータが例示される。操作者P1に聴覚情報を伝達する手段として、例えば、操作側放音部26から「手動操作要求が届きました」等の音声を放音してもよい。操作者P1に視覚情報を伝達する手段として、例えば、操作側表示部23に「手動操作要求が届きました」等の文字メッセージを表示してもよい。
【0042】
ここでは、要求提示部24は、バイブレータで構成され、手動操作要求が届くと、バイブレータが、所定時間、振動する。操作者P1は、この振動を感知して、手動操作要求が届いたことを知る。
【0043】
本体20の内部には、演算回路モジュールCm2及び操作側通信部28が設けられている。演算回路モジュールCm2は、プロセッサPr2とメモリMe2とを備える。演算回路モジュールCm2は、後述するように、自動運転部(自動運転回路)22及び操作制御部(操作コントローラ)27(
図4参照)を構成する。
【0044】
[制御系統の構成]
図4は、
図3のロボットシステム100の制御系統の構成の詳細を示す機能ブロックである。
【0045】
図4を参照すると、ロボットシステム100は、自走ロボット1と操作ユニット2と、を備える。
【0046】
以下、制御系統の構成を、1つの自走ロボットに関する構成と、複数の自走ロボットに関する構成とに分けて説明する。
【0047】
<1つの自走ロボットに関する構成>
{操作ユニット2側の構成}
操作ユニット2は、手動操作部21、自動運転部22、操作側表示部23、要求提示部24、操作側マイクロフォン25、操作側放音部26、操作制御部(切替部)27、及び操作側通信部28を備える。
【0048】
手動操作部21は、操作者P1の一群の操作キー29の操作に応じたキー操作信号を、操作制御部27に出力する。
【0049】
自動運転部22は、予め設定された自動動作プログラムを格納しており、この自動動作プログラムに従って、自動運転信号を操作制御部27に出力する。
【0050】
操作側表示部23は、操作制御部27から入力される画像表示信号に従って、画像を表示する。
【0051】
要求提示部24は、要求検知部111から知らされた、自走ロボット1を手動操作する必要性を、操作者P1に提示するブロックである。要求提示部24は、操作制御部27から入力される手動操作要求に従って、手動操作要求を操作者P1に提示する。ここでは、手動操作要求が入力されると、バイブレータを振動させる。
【0052】
操作側マイクロフォン25は、操作者P1の音声を取得し、これを操作者音声信号として、操作制御部27に出力する。
【0053】
操作側放音部26は、操作制御部27から入力される対話者音声信号に従って、音声を放音する。
【0054】
操作制御部27は、手動操作部21から入力されるキー操作信号に応じた手動操作信号を生成し、これを操作側通信部28に出力する。この手動操作指令は、例えば、予め設定された「一群の操作キー29のキー操作信号の組み合わせ」に対する「自走ロボットの動作」の割り当て情報に基づいて生成される。また、操作制御部27は、自動運転部22から入力される自動運転信号、操作側マイクロフォン25から入力される操作者音声信号を、それぞれ、操作側通信部28に出力する。また、操作制御部27は、操作側通信部28から入力される周囲画像信号、手先画像信号、及び主画像信号に基づいて、適宜、画像表示信号を生成し、これを操作側表示部23に出力する。
【0055】
また、操作制御部27は、操作側通信部28から入力される手動操作要求を要求提示部24に出力し、且つ、操作側通信部28から入力される対話者音声信号を操作側放音部26に出力する。
【0056】
操作側通信部28は、データ通信可能な通信器で構成される。操作側通信部28は、操作制御部27から入力される手動操作信号、自動運転信号、及び操作者音声信号を、それぞれ、通信データ(パケット)に変換して、ロボット側通信部113に送信する。
【0057】
また、操作側通信部28は、ロボット側通信部113から周囲画像信号、手先画像信号、主画像信号、手動操作要求、及び対話者音声信号の通信データを受信し、これらを、それぞれ、周囲画像信号、手先画像信号、主画像信号、手動操作要求、及び対話者音声信号に戻して操作制御部27に出力する。
【0058】
これらの通信は、ここでは、データ通信ネットワーク3を介して、行われる。
【0059】
ここで、操作制御部27及び自動運転部22は、プロセッサPr2とメモリMe2とを有する演算回路モジュールCm2で構成される。操作制御部27及び自動運転部22は、この演算回路モジュールCm2において、メモリMe2に格納された制御プログラムをプロセッサPr2が実行することによって実現される機能ブロックである。この演算回路モジュールCm2は、具体的には、例えば、マイクロコントローラ、MPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)等で構成される。これらは、集中制御を行う単独の演算回路モジュールで構成されてもよく、分散制御を行う複数の演算回路モジュールで構成されてもよい。
【0060】
{自走ロボット1側の構成}
自走ロボット1は、走行部11、昇降部12、アーム部13、ロボット側表示部14、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、周囲カメラ17、手先カメラ18、主カメラ19、要求検知部111、ロボット制御部112、及びロボット側通信部113を備える。
【0061】
ロボット側通信部113は、データ通信可能な通信器で構成される。ロボット側通信部113は、操作側通信部28から、手動操作信号、自動運転信号、及び操作者音声信号の通信データを受信し、これらを、手動操作信号、自動運転信号、及び操作者音声信号に戻して、これらをロボット制御部112に出力する。
【0062】
また、ロボット側通信部113は、ロボット制御部112から入力される周囲画像信号、手先画像信号、主画像信号、手動操作要求、及び対話者音声信号を通信データに変換し、これらを操作側通信部28に送信する。
【0063】
ロボット制御部112は、ロボット側通信部113から入力される手動操作信号及び自動運転信号を走行部11、昇降部12、及びアーム部13に出力し、且つ、ロボット側通信部113から入力される操作者音声信号をロボット側放音部16に出力する。
【0064】
また、ロボット制御部112は、適宜、画像表示信号を生成して、これをロボット側表示部14に出力する。
【0065】
また、ロボット制御部112は、ロボット側通信部113から入力される操作者音声信号をロボット側放音部16に出力する。なお、この場合、例えば、ロボット制御部112は、ロボット側表示部14に、所定のコンビニエンスストア従業員の制服を着用した画像(例えば、イラスト画像)を表示させ、操作者音声信号を、当該所定のコンビニエンスストア従業員に適合する音声(例えば、当該従業員の性別に対応し、且つ、ソフトな音声)の信号に変換してもよい。
【0066】
また、ロボット制御部112は、周囲カメラ17から入力される周囲画像信号、手先カメラ18から入力される手先画像信号、主カメラ19から入力される主画像信号、及び要求検知部111から入力される手動操作要求を、ロボット側通信部113に出力する。
【0067】
走行部11、昇降部12、及びアーム部13は、ロボット制御部112から入力される手動操作信号及び自動運転信号に従って動作する。
【0068】
ロボット側表示部14は、ロボット制御部112から入力される画像表示信号に従って、画像を表示する。
【0069】
ロボット側マイクロフォン15は、対話者(例えば、顧客)の音声を取得し、これを対話者音声信号として、ロボット制御部112に出力する。
【0070】
ロボット側放音部16は、ロボット制御部112から入力される操作者音声信号に従って、音声を放音する。ロボット側放音部16は、例えば、スピーカで構成される。
【0071】
周囲カメラ17は、自走ロボット1の周囲の環境を撮像して、これを周囲画像信号として、ロボット制御部112に出力する。
【0072】
手先カメラ18は、第2ロボットアーム121Bの手先の環境(景色)を撮像して、これを手先画像信号として、ロボット制御部112に出力する。第2ロボットアーム121Bの手先の環境として、ハンド124Bが把持しようとする対象物等が例示される。
【0073】
主カメラ19は、立っている人の視野に相当する視野を撮像して、これを、主画像信号としてロボット制御部112及び要求検知部111に出力する。自走ロボット1が対話者と対面している場合には、この主画像に対話者の画像が存在する。
【0074】
要求検知部111は、自走ロボット1を手動操作する必要性が検知された結果を知らせる(即ち、出力する)。要求検知部111は、主カメラ19から入力される主画像に基づいて、手動操作要求を生成し、これをロボット制御部112に出力する。要求検知部111は、例えば、主画像を取得し、画像処理によって、主画像から対話者の画像を抽出する処理を行い、主画像の中に対話者の画像が存在する場合に手動操作要求を生成する。なお、本実施形態における撮像画像からの人物の輪郭の抽出には、高い精度が要求されない。従って、そのような画像処理には、各種の公知の方法を適用することができる。従って、その詳しい説明を省略し、簡単な画像処理を例示する。例えば、撮像画像を2値化し、エッジ処理することによって、当該撮像画像から人物の輪郭候補を抽出し、この人物の輪郭候補と基準の人物の輪郭との一致度を判定することによって、撮像画像中に人物が存在するか否か判定することができる。あるいは、AI(人工知能)を用いて、撮像画像中に人物が存在するか否か判定してもよい。
【0075】
ここで、ロボット制御部112及び要求検知部111は、プロセッサPr1とメモリMe1とを有する演算回路モジュールCm1で構成される。ロボット制御部112及び要求検知部111は、この演算回路モジュールCm1において、メモリMe1に格納された制御プログラムをプロセッサPr1が実行することによって実現される機能ブロックである。この演算回路モジュールCm1は、具体的には、例えば、マイクロコントローラ、MPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)等で構成される。これらは、集中制御を行う単独の演算回路モジュールで構成されてもよく、分散制御を行う複数の演算回路モジュールで構成されてもよい。
【0076】
ここで、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、「ユニット」又は「部」は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、「ユニット」又は「部」は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアは、ハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0077】
<複数の自走ロボットに関する構成>
複数の自走ロボット1A,1Bには識別記号が付与されている。
【0078】
一方、自動運転部22には、複数(ここでは2つ)の自走ロボット1A,1B毎に、当該自走ロボット1A,1Bを自動動作させる自動動作プログラムが格納されている。
【0079】
また、操作ユニット2の手動操作部21は、例えば、一群の操作キー29を組み合わせて操作することによって、手動操作する自走ロボットを選択するキー操作信号(以下、手動操作選択信号という)を出力し、且つ、手動操作しない自走ロボットを自動運転するか停止させるかを選択するキー操作信号(以下、自動運転/停止選択信号という)を出力することができるように構成されている。これらの選択信号は、操作制御部27に出力される。
【0080】
操作制御部27は、手動操作選択信号を受け取ると、それ以降、生成する手動操作信号に、宛先として、手動操作する自走ロボットの識別記号を付して、これを操作側通信部28に出力する。
【0081】
また、操作制御部27は、自動運転/停止選択信号を受け取ると、以下のように動作する。自動運転/停止選択信号が、「自動運転」を選択する信号である場合、自動運転部22に手動操作しない自走ロボットを通知する。すると、自動運転部22が、手動操作しない自走ロボットに対応する自動動作プログラムを起動し、自動運転信号を出力する。この自動運転信号には手動操作しない自走ロボットの識別記号が宛先として含まれており、操作制御部27は、これを操作側通信部28に出力する。
【0082】
一方、自動運転/停止選択信号が、「停止」を選択する信号である場合、操作制御部27は、手動操作しない自走ロボットの識別記号を宛先として含む停止信号を操作側通信部28に出力する。
【0083】
各自走ロボット1A,1Bのロボット制御部112は、ロボット側通信部113から入力される各種の信号(データ)のうち、自身が属する自走ロボット1A,1Bの識別記号を宛先として含む信号(データ)のみを処理する。
【0084】
以上に説明した構成により、複数の自走ロボット1A,1Bを、1つの操作ユニット2によって、手動操作と自動運転とを切り替えながら操作することができる。
【0085】
[動作(ロボット作業方法)]
次に、以上のように構成されたロボットシステム100の動作(ロボット作業方法)を説明する。
図5Aは、
図1のロボットシステム100の動作を示す図であって、第1自走ロボット1Aがコンビニエンスストアでレジスター打ちをしている様子を示す模式図である。
図5Bは、
図1のロボットシステム100の動作を示す図であって、第2自走ロボット1Bがコンビニエンスストアで商品陳列作業を行っている様子を示す模式図である。
【0086】
図3を参照すると、操作ユニット2は、データ通信ネットワーク(ここではインターネット)3を介して、第1及び第2自走ロボット1A,1Bと接続されている。操作ユニット2は、無線でデータ通信ネットワーク3に接続されている。また、第1及び第2自走ロボット1A,1Bも無線でデータ通信ネットワーク3に接続されている。
【0087】
図1、
図4、
図5A、及び
図5Bを参照すると、第1自走ロボット1Aは、あるコンビニエンスストアのレジスター(清算所)50Aでレジスター打ち(清算作業)を行い、第2自走ロボット1Bは、当該コンビニエンスストアの商品陳列エリア50Bで商品陳列作業を行う。第1自走ロボット1A及び第2自走ロボット1Bは、共に、
図1の自走ロボット1と同様に構成されていて、以下に説明するように、レジスター打ち及び商品陳列作業を行うことができる。また、操作ユニット2の自動運転部22には、第1及び第2自走ロボット1A,1Bの自動動作プログラムが格納されている。これらの自動動作プログラムは、第1及び第2自走ロボット1A,1Bが、例えば、商品陳列作業中の商品陳列棚54の前の床に置かれた商品収容箱56から商品55を取り出して、商品陳列棚54に順に並べ、商品55を陳列し終わったら停止するようにプログラムされている。
【0088】
第1及び第2自走ロボット1A,1Bは、停止する際に、第1及び第2ロボットアーム121A,121Bを折り畳む縮小姿勢(不図示)を取るように構成されている。また、第1及び第2自走ロボット1A,1Bは、停止している間、ロボット側表示部14、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、周囲カメラ17、手先カメラ18、主カメラ19、及び要求検知部111が動作するよう構成されている。例えば、ロボット側表示部14に、上述の所定のコンビニエンスストア従業員の制服を着用したイラスト画像が表示される。
【0089】
操作者P1は、例えば、当該コンビニエンスストアから遠く離れた自宅に居て、操作ユニット2の音声出力端子に、ウェアラブルスピーカ26aの接続コード30を接続し、当該ウェアラブルスピーカ26aを頭部に装着して、操作ユニット2を両手で操作する。
【0090】
操作者P1は、例えば、以下のように、第1及び第2自走ロボット1A,1Bを操作する。
【0091】
まず、手動操作する自走ロボットとして第2自走ロボット1Bを選択し、第1自走ロボット1Aを停止させる。
【0092】
そして、操作ユニット2を操作して、第2自走ロボット1Bを以下のように動作させる。
【0093】
第2自走ロボット1Bは、置き棚11bに複数の商品収容箱56を置き、商品陳列エリア50Bを移動する。その過程で、置き棚11bから商品収容箱56を商品陳列棚54の前の床に置き、その商品収容箱56から商品55を取り出して、商品陳列棚54に順に並べる。
【0094】
この際、第2自走ロボット1Bは、一対のハンド124A,124Bで交互に商品55を把持する。
【0095】
また、操作者P1は、周囲カメラ17からの周囲画像で第2自走ロボット1Bの周囲を監視しながら、当該第2自走ロボット1Bを移動させる。そして、操作者P1は、主カメラ19からの主画像で、商品55を陳列する商品陳列棚54を確認する。そして、操作者P1は、手先カメラ18からの手先画像で商品収容箱56の把持位置を確認しながら置き棚11bから商品収容箱56を床に降ろし、手先カメラ18からの手先画像で商品55の把持位置を確認しながら商品55を把持する。
【0096】
そして、この商品陳列作業中に、レジスター50Aに顧客(不図示)が来ると、第1自走ロボット1Aの主カメラ19がこの顧客を撮像し、要求検知部111が、主画像からこの顧客の画像を抽出し、それに基づいて、手動操作要求を出力する。すると、操作ユニット2の要求提示部24のバイブレータが振動する。
【0097】
操作者P1は、これにより、レジスター50Aに顧客が来たことを察知し、手動操作する自走ロボットとして第1自走ロボット1Aを選択し、第2自走ロボット1Bを自動運転にする。
【0098】
そして、操作側マイクロフォン25に向かって、「いらっしゃいませ。少々お待ちください。」と言う。すると、この言葉が所定のソフトな音声に変換されて、第1自走ロボット1Aのロボット側放音部16から放音される。
【0099】
そして、操作者P1は、操作ユニット2を操作して、第1自走ロボット1Aを以下のように動作させる。
【0100】
第1自走ロボット1Aは、例えば、第2ロボットアーム121Bのハンド124Bで、レジスター50Aの購買商品置き場(不図示)に置かれた買い物かご(不図示)の中の商品52を把持して買い物かごから取り出し、これをバーコードリーダ(不図示)にかざして、商品52の価格を精算機53に入力する。そして、第1ロボットアーム121Aのハンド124Aで差し棒51を把持して、精算機53に所要の入力を行う。
【0101】
この際、第1自走ロボット1Aは、必要に応じて顧客と適宜対話する。この対話は、操作ユニット2の操作側表示部23、操作側マイクロフォン25、及び操作側放音部26と、第1自走ロボット1Aのロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、及び主カメラ19と、を用いて行われる。
【0102】
具体的には、顧客が主カメラ19によって撮像され、撮像された主画像が操作ユニット2の操作側表示部23に表示され、且つ、顧客の音声がロボット側マイクロフォン15で取得され、これが操作ユニット2の操作側放音部26から放音される。一方、操作者P1の音声が操作側マイクロフォン25で取得され、これが自走ロボット1Aのロボット側放音部16から放音される。このようにして、第1自走ロボット1Aと顧客との対話が行われる。
【0103】
また、操作者P1は、手先カメラ18の手先画像で商品52の把持位置を確認しながらハンド124Bで商品52を把持する。
【0104】
一方、この間、第2自走ロボット1Bは、操作ユニット2の自動運転部22の自動動作プログラムに従って、商品陳列作業中の商品陳列棚54の前の床に置かれた商品収容箱56から商品55を取り出して、商品陳列棚54に順に並べ、商品55を陳列し終わったら停止する。
【0105】
操作者P1は、第1自走ロボット1Aによる顧客のレジスター打ちが終了したら、手動操作する自走ロボットとして、第2自走ロボット1Bを選択し、第1自走ロボット1Aを停止させる。
【0106】
操作者P1は、例えば、第2自走ロボット1Bが自動で行った商品陳列に不具合がある場合、第2自走ロボット1Bを手動操作して、これを修正する。
【0107】
なお、操作者P1は、第2自走ロボット1Bに、レジスター(清算所)50Aでレジスター打ち(清算作業)を行わせ、第1自走ロボット1Aに、商品陳列エリア50Bで商品陳列作業を行わせてもよい。
【0108】
以上に説明したように、実施形態1によれば、1つの操作ユニット2によって、2つの自走ロボット1A,1Bを操作するので、効率よくロボット化することができる。また、ロボットとして自走ロボット1A、1Bが用いられるので、人が移動しながら行う商品陳列作業をもロボット化することができ、且つ、2つの自走ロボット1A,1Bが互いに異なる種類の作業であるレジスター打ち及び商品陳列作業を行うように構成されているので、使用される自走ロボット1A、1Bが2種類の作業に対応できる。その結果、全産業における人的作業のロボット化の進展に貢献することが可能である。
【0109】
(実施形態2)
実施形態2は、以下に述べる点が実施形態1と異なり、その他の点は実施形態1と同様である。以下、この相違点を説明する。
【0110】
図6Aは、本開示の実施形態2に係るロボットシステムの動作を示す図であって、第1自走ロボット1Aが介護施設60Aで介護作業行っている様子を示す模式図である。
図6Bは、本開示の実施形態2に係るロボットシステムの動作を示す図であって、第2及び第3自走ロボット1B,1Cがスーパーマーケットの倉庫60Bで商品63のピッキングを行っている様子を示す模式図である。
【0111】
図3を参照すると、操作ユニット2は、データ通信ネットワーク(ここではインターネット)3を介して、第1乃至第3自走ロボット1A~1Cと接続されている。操作ユニット2は、無線でデータ通信ネットワーク3に接続されている。また、第1乃至第3自走ロボット1A~1Cも無線でデータ通信ネットワーク3に接続されている。
【0112】
操作ユニット2の自動運転部22には、第1乃至第3自走ロボット1A~1Cのいずれの自動動作プログラムも格納されていない。
【0113】
図6A及び
図6Bを参照すると、第1自走ロボット1Aは、実施形態1の自走ロボット1A、1Bと同様に構成されている。第1自走ロボット1Aは、介護施設60Aで介護作業を行う。この介護施設60Aでは、被介護者P2がベッド61に横臥されている。ベッド61上には、ナースコール65が置かれている。ナースコール65は、無線で第1自走ロボット1Aの要求検知部111(
図4参照)と接続されている。要求検知部111は、ナースコール65が押されると手動操作要求を出力する。
【0114】
第2及び第3自走ロボット1B、1Cは、共に、低く形成された走行部11の上に昇降部12を介して単腕の垂直多関節ロボットアームで構成されたアーム部13が設けられている。第2及び第3自走ロボット1B,1Cは大型スーパーの倉庫60Bで、商品63のピッキングを行う。このピッキングは、非対人作業であるので、第2及び第3自走ロボット1B,1Cは、
図1の自走ロボット1の対話に必要な要素(ロボット側表示部14、ロボット側マイクロフォン15、ロボット側放音部16、及び主カメラ19)を備えていない。もちろん、第2及び第3自走ロボット1B,1Cが、対話に必要な要素を備えていてもよい。この倉庫60Bの適所には、第2及び第3自走ロボット1B、1Cによるピッキングを監視することが可能な監視カメラが設けられていて、この監視カメラの撮像画像が、操作ユニット2の操作側表示部23に表示される。
【0115】
本実施形態では、操作者P1は、以下のように、第1乃至第3自走ロボット1A~1Cを操作する。
【0116】
操作者P1は、手動操作する自走ロボットとして、第1自走ロボット1Aを選択し、第2及び第3自走ロボット1B,1Cを停止させる。
【0117】
そして、操作者P1は、例えば、第1自走ロボット1Aを、以下のように、動作させる。
【0118】
第1自走ロボット1Aは、介護施設60Aにおいて、自走して、ベッド61に横臥した被介護者P2に近づき、第2ロボットアーム121Bの手先カメラ18で被介護者P2の様子を撮像する。操作者P1は、操作側表示部23に表示された手先画像で被介護者P2の様子を確認し、問診等の必要な対話を被介護者P2と行う。この対話は、実施形態1と同様に行われる。
【0119】
介護施設60Aでは、常時、介護作業を行う必要が無いので、操作者P1は、空き時間を利用して、大型スーパーの倉庫60Bにおけるピッキングを行う。このピッキングは、あまり時間に制約されないので、介護作業と両立させることができる。
【0120】
操作者P1は、上記介護作業が終了すると、手動操作する自走ロボットとして第2自走ロボット1Bを選択し、第1自走ロボット1Aを停止させる。
【0121】
そして、操作者P1は、操作ユニット2の操作側表示部23に表示される監視カメラの撮像画像を見ながら、第2自走ロボット1Bを以下のように動作させる。
【0122】
第2自走ロボット1Bは、倉庫60Bを移動しながら、商品棚66に並べられた商品収容箱62から所要の商品63を取り出して、これを、移動棚64上に置かれた商品収容箱62に入れる。
【0123】
そして、第3自走ロボット1Cに近い商品棚66の商品をピッキングすることが必要になったら、操作者P1は、手動操作する自走ロボットとして、第3自走ロボット1Cを選択し、第2自走ロボット1Bを停止させる。そして、第3自走ロボット1Cを第2自走ロボット1Bと同様に動作させて、第3自走ロボット1Cに商品のピッキングを行わせる。
【0124】
ここで、介護施設60Aの被介護者P2がナースコール65を押すと、操作ユニット2の要求提示部24のバイブレータが振動する。すると、操作者P1は、手動操作する自走ロボットとして第1自走ロボット1Aを選択し、第3自走ロボット1Cを停止させる。
【0125】
そして、操作者P1は、操作ユニット2を手動操作して、第1自走ロボット1Aに必要な介護作業を行わせる。
【0126】
このような実施形態2によっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0127】
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1又は実施形態2のロボットシステムが以下のように変更されている。実施形態3のロボットシステムでは、操作ユニット2の操作制御部27が、手動操作要求を受け取ると、手動操作要求を出力した自走ロボットを手動操作する自走ロボットとして選択する。そして、手動操作していた自走ロボットを自動運転するか又は停止させる。具体的には、操作制御部27は、自動運転部22に、手動操作していた自走ロボットの自動動作プログラムが格納されている場合には、当該自走ロボットを自動運転し、そうでない場合には、当該自走ロボットを停止させる。
【0128】
これ以外の点は、実施形態1又は実施形態2のロボットシステムと同様である。
【0129】
この実施形態3によれば、自動的に、操作ユニット2の操作者P1が、手動操作が必要な自走ロボットを手動操作することが可能になる。
【0130】
(実施形態4)
実施形態5では、実施形態1乃至3のいずれかのロボットシステムにおいて、操作ユニット2の自動運転部22が省略される。これ以外の点は、実施形態1乃至3のロボットシステムと同様である。
【0131】
この実施形態4によれば、操作ユニット2が簡略化される。
【0132】
(実施形態5)
実施形態5のロボットシステムでは、実施形態1乃至3のいずれかのロボットシステムにおいて、操作ユニット2の自動運転部22が省略され、自動動作プログラムが、各自走ロボットのロボット制御部112に格納される。操作制御部27は、「自動運転」を選択する信号である自動運転/停止選択信号受け取ると、手動操作しない自走ロボット宛てに自動動作指令を出力する。この自動動作指令を受け取った自走ロボットのロボット制御部112は、自動動作プログラムに従って、走行部11、昇降部12、及びアーム部13を動作させる。
【0133】
これ以外の点は、実施形態1乃至3のロボットシステムと同様である。
【0134】
この実施形態4によれば、操作ユニット2が簡略化される。
【0135】
(その他の実施形態)
実施形態1乃至5のいずれかにおいて、自走ロボット1の動力源が、内燃機関であってもよい。この場合、自走ロボット1は、内燃機関で駆動される発電機及び当該発電機により充電される二次電池を備え、この二次電池を電源として自走ロボット1の電気デバイスが動作するように構成される。
【0136】
以上に説明したように、本開示の上記実施形態においては、ロボットシステム100が、複数の自走ロボット1A~1Cのそれぞれを手動操作する必要性を検知し、手動操作する必要性が検知された手動操作必要自走ロボットを手動操作するよう要求する(手動操作する必要性が検知された結果を知らせる)手動操作要求を出力する検知部111をさらに備える。
【0137】
人的作業の中には、ロボットを手動操作しないと遂行することが困難な作業が存在する。この構成によれば、複数の自走ロボット1A~1Cのうち、手動操作が必要な自走ロボット1A~1Cを検知部111が検知し、手動操作要求を出力するので、そのような、ロボットを手動操作しないと遂行することが困難な作業を、適切に遂行することができる。
【0138】
また、ロボットシステム100は、操作ユニット2によって手動操作を行う操作者P1に、検知部111が出力する手動操作要求を提示する(検知部111が知らせる手動操作する必要性を提示する)ための提示部24をさらに備える。
【0139】
従って、操作ユニット2の操作者P1が、提示部24の提示を利用して、手動操作が必要な自走ロボット1A~1Cを手動操作することが可能になる。
【0140】
また、操作ユニット2は、手動操作要求を受け取ると、当該手動操作要求に対応する手動操作必要自走ロボット1A~1Cを手動操作可能にするように構成されている。
【0141】
従って、自動的に、操作ユニット2の操作者P1が、手動操作が必要な自走ロボット1A~1Cを手動操作することが可能になる。
【0142】
また、操作ユニット2は、手動操作必要自走ロボット1A~1Cを手動操作可能にした場合に、それまで手動操作可能にしていた自走ロボット1A~1Cを自動運転するように構成されている。
【0143】
従って、手動操作しない自走ロボット1A~1Cに自動的に作業をさせることができるので、複数の自走ロボット1A~1Cを効率よく使用することができる。
【0144】
また、操作ユニット2は、手動操作必要自走ロボット1A~1Cを手動操作可能にした場合に、それまで手動操作可能にしていた自走ロボット1A~1Cを停止させるように構成されている。
【0145】
従って、それまで手動操作可能にしていた自走ロボット1A~1Cを安全な状態(想定外の作業を行えない状態)にして、手動操作必要自走ロボット1A~1Cを手動操作することができる。
【0146】
また、停止される自走ロボット1A~1Cは、ロボットアーム121A,121Bを折りたたむ所定の縮小姿勢を取るように構成されている。
【0147】
従って、停止される自走ロボット1A~1Cが、作業現場において邪魔になる可能性を低減できる。
【0148】
また、操作ユニット2は、複数の自走ロボット1A~1Cを手動操作するための手動操作部21を含んでいる。
【0149】
従って、手動操作部21を操作者P1が操作することによって、複数の自走ロボット1A~1Cを手動操作することができる。
【0150】
また、操作ユニット2は、複数の自走ロボット1A~1Cを自動運転するための自動運転部22を含んでいる。
【0151】
従って、自動運転部22によって、複数の自走ロボット1A~1Cを自動運転することができる。
【0152】
また、操作ユニット2は、複数の自走ロボット1A~1Cを操作するための手動操作部21と、複数の自走ロボット1A~1Cを自動運転するよう構成された自動運転部22と、当該操作ユニット2の動作を、複数の自走ロボット1A~1Cが、手動操作部21によって手動操作する手動動作と、自動運転部22によって自動運転する自動動作と、停止との間で選択的に切り替えるよう構成された切替部(切替回路として機能する操作制御部27)と、を備えている。
【0153】
従って、複数の自走ロボット1A~1Cを、手動操作と自動運転との間で切り替えながら、操作することができる。
【0154】
また、2つのロボットアーム121A,121Bが台車11に設けられている。
【0155】
従って、自走ロボット1A~1Cは、2つのロボットアーム121A,121Bを使用することができるので、より広範な種類の作業を遂行することができる。
【0156】
また、ロボットアーム121A,121Bが昇降可能に台車11に設けられている。
【0157】
従って、自走ロボット1A~1Cは、ロボットアーム121A,121Bを昇降できるので、より広範な種類の作業を遂行することができる。
【0158】
また、複数の自走ロボット1A~1Cがそれぞれ行う所定の作業の種類の互いの相違が、対人作業と非対人作業との相違である。
【0159】
従来は、主に非対人作業がロボット化されていたが、この構成によれば、対人作業もロボット化されるので、その分、使用されるロボットが広範な種類の作業に対応できる。
【0160】
また、複数の自走ロボット1A~1Cがそれぞれ行う所定の作業の少なくとも1つが第三次産業における作業である。
【0161】
従来は、主に第二次産業における作業がロボット化されていたが、この構成によれば、第二次産業に比べてGDP寄与率の高い第三次産業における作業がロボット化されるので、その分、全産業における人的作業のロボット化の進展に貢献する。
【0162】
また、複数の自走ロボット1A~1Cと操作ユニット2とが、データ通信可能なネットワーク3を介して接続されている。
【0163】
従って、リモートワークによって、このロボットシステム100を実施することができる。
【0164】
[総括]
本開示に係るロボットシステム100は、自律走行可能な台車11と当該台車11に搭載されたロボットアーム121A,121Bとを含む複数の自走ロボット1と、操作者に操作されることによって前記複数の自走ロボット1を手動操作することが可能なように構成された1つの操作コンソール2と、を備える。そして、複数の自走ロボット1は、所定の第1の作業を行う第1自走ロボット1Aと、第1の作業と種類の異なる所定の第2の作業を行う第2自走ロボット1Bとを含むことを特徴としている。
【0165】
また、本開示に係るロボット作業方法は、自律走行可能な台車11と当該台車11に搭載されたロボットアーム121A,121Bとを含む複数の自走ロボット1を用いたロボット作業方法であって、複数の自走ロボット1のうち第1自走ロボット1Aに所定の第1の作業を行わせ、複数の自走ロボット1のうち第2自走ロボット1Bに第1の作業と種類の異なる所定の第2の作業を行わせることと、1つの操作コンソール2を操作者が操作することによって、第1自走ロボット1A及び第2自走ロボット1Bを選択的に手動操作することと、を含むことを特徴としている。
【0166】
上記構成のロボットシステム100及びロボット作業方法によれば、1つの操作コンソール2によって、複数の自走ロボット1を操作するので、効率よくロボット化することができる。また、ロボットとして自走ロボット1が用いられるので、人が移動しながら行う作業をもロボット化することができ、且つ、複数の自走ロボット1が互いに異なる種類の作業を行うように構成されているので、使用されるロボットが広範な種類の作業に対応できる。その結果、全産業における人的作業のロボット化の進展に貢献することが可能である。
【0167】
上記ロボットシステム100において、操作コンソール2は、複数の自走ロボット1を自動運転することが可能に構成されており、第1自走ロボット1Aは自動運転において第1の作業を行い、第2自走ロボット1Bは自動運転において第2の作業を行うように構成されていてよい。
【0168】
上記ロボットシステム100において、複数の自走ロボット1のそれぞれを手動操作する必要性を検知し、手動操作する必要性が検知された結果を知らせる検知回路111と、操作者に、検知回路111が知らせる手動操作する必要性を提示する報知器24とを、さらに備えていてよい。
【0169】
上記ロボットシステム100は、自走ロボット1に搭載されたカメラ19を、さらに備え、検知回路111は、プロセッサPr1とメモリMe1を有し、プロセッサPr1でメモリMe1に記憶された所定のプログラムを実行することにより、カメラ19で撮像した画像を画像処理して当該画像に人物が存在する場合に手動操作する必要性を検知するように構成されていてよい。
【0170】
上記ロボットシステム100において、操作コンソール2は、自走ロボット1を自動運転すること、自走ロボット1を手動操作可能にすること、及び、自走ロボット1を停止させることを選択的に切り替えるように構成された切替回路27を有し、操作コンソール2は、第1自走ロボット1Aを手動操作可能にした場合に、それまで手動操作可能にしていた第2自走ロボット1Bを自動運転するように構成されていてよい。
或いは、上記ロボットシステム100において、操作コンソール2は、自走ロボット1を自動運転すること、自走ロボット1を手動操作可能にすること、及び、自走ロボット1を停止させることを選択的に切り替えるように構成された切替回路27を有し、操作コンソール2は、第1自走ロボット1Aを手動操作可能にした場合に、それまで手動操作可能にしていた第2自走ロボット1Bを停止させるように構成されていてよい。
上記構成のロボットシステム100によれば、自走ロボット1のいずれかを手動操作に切り替えると余の自走ロボット1を自動的に自動運転又は停止に切り替えることができ、自走ロボット1の運転の切替を効率的に行うことができる。
【0171】
上記ロボットシステム100において、複数の自走ロボット1と操作コンソール2とが、データ通信可能なネットワーク3を介して接続されていてよい。これにより、操作者は複数の自走ロボット1から離れたところからこれらを遠隔操作することができる。
【0172】
上記ロボットシステム100において、操作コンソール2は、所定の自動動作プログラムに従って自動運転信号を出力する自動運転回路22と、自動運転回路22から出力された自動運転信号を複数の自走ロボットのうち自動運転するものへ出力する操作コントローラ27とを有し、複数の自走ロボット1は、受け取った自動運転信号に基づいて台車11及びロボットアーム121A,121Bを動作させるロボットコントローラ112を有していてよい。このように自動運転回路22が操作コンソール2に搭載されるので、複数の自走ロボット1は汎用のものを採用することができる。
【0173】
以上の説明から、当業者にとっては、多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。
【0174】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。