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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】超音波システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20240423BHJP
   A61B 17/3207 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B17/3207
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061989
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2020572657の分割
【原出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2023082202
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】シン,アシーム
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-539935(JP,A)
【文献】特開2017-192743(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0017878(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波システムであって、当該超音波システムは、
超音波電気信号を生成するように構成された超音波信号生成器と、
前記超音波信号生成器に電気的に結合された超音波治療デバイスであって、前記超音波治療デバイスが、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材に駆動可能に結合された超音波トランスデューサーを含み、前記超音波トランスデューサーが、前記超音波振動伝達部材の超音波振動運動を生成するために前記超音波電気信号を受信する、超音波治療デバイスと、
前記超音波トランスデューサーに関連した電気的特性を監視するように構成された回路構成であって、前記電気的特性が、前記超音波トランスデューサーにかかる総電圧、前記超音波トランスデューサーへの総電流、前記超音波トランスデューサーの誘導電流、または前記総電圧と前記総電流との間の力率のうちの1つであり、前記回路構成がプロセッサ回路を含み、前記プロセッサ回路は、前記超音波振動伝達部材の遠位端と前記超音波振動伝達部材の前記遠位端が直面する硬質基質と係合していることおよび/または前記超音波振動伝達部材の前記遠位端が前記硬質基質横断していること検出するため、および、脈管経路が蛇行しているかどうかを決定するために前記脈管経路において前記超音波カテーテルが通過している部分が屈曲部か否かを検出するために、監視された前記電気的特性を処理するように構成された、回路構成と、
を備え、
前記回路構成が、前記超音波振動伝達部材の前記遠位端と前記超音波振動伝達部材の前記遠位端が直面する前記硬質基質と係合していることおよび/または前記超音波振動伝達部材の前記遠位端が前記硬質基質横断していることおよび/または前記超音波カテーテルが通過している前記脈管経路における前記屈曲部に基づいて、前記超音波電気信号の変調周波数と波形とのうちの少なくとも1つを制御するために前記超音波信号生成器に供給される制御信号を生成するように構成され、
前記プロセッサ回路が、前記超音波振動伝達部材の前記遠位端と前記硬質基質と係合していることおよび/または前記超音波振動伝達部材の前記遠位端が前記硬質基質の横断していることおよび/または前記脈管経路における前記超音波カテーテルが通過している前記部分が屈曲部か否か検出するために、監視された前記電気的特性の各々を、それぞれの閾値またはデータプロファイルと比較する、
超音波システム。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波システムであって、
ユーザーインターフェースのディスプレイスクリーンに、前記処理するステップの結果を表示するための前記ユーザーインターフェースを備える、
音波システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波システムであって、
前記監視する行為が、前記超音波トランスデューサーに関連した複数の電気的特性を監視することを含み、前記複数の電気的特性が、前記超音波トランスデューサーにかかる前記総電圧と、前記超音波トランスデューサーへの前記総電流と、前記超音波トランスデューサーの前記誘導電流と、前記総電圧と前記総電流との間の前記力率とのうちの2つ以上を含み、
前記処理する行為が、前記脈管経路における前記超音波カテーテルが通過している前記部分が屈曲部か否かを検出するために、監視された前記複数の電気的特性を処理することを含む、
超音波システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波システムであって、
前記プロセッサ回路が前記脈管経路における脈管閉塞部を通る前記超音波振動伝達部材の進行の推移を決定するために経時的な値の変化を検出するために、前記回路構成が監視された前記電気的特性の各々を監視する、
超音波システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]なし。
[0002]本発明は、超音波システムおよび方法に関し、より詳細には、超音波システムの超音波治療デバイスを動作させる、および/または、超音波システムの超音波治療デバイスの動作状態を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]典型的な超音波治療デバイスの使用中に、リアルタイムでの超音波治療デバイスの処置の効果の制御および知識情報はほとんど無いか、まったく無い。例えば、医師は典型的には、ガイドワイヤ上の超音波治療デバイスの超音波カテーテル部を配置し、次に、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類、および/または、超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類についてのフィードバックを一切伴わずに、閉塞部に接触させるように遠位端を動かす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0004]当技術分野において必要とされることは、超音波治療デバイスを動作させる、および/または、超音波治療デバイスの動作状態を決定する方法であって、リアルタイムで、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つが決定され、および、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つに基づいて対処される方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]本発明は、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と、超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、超音波トランスデューサーの1つまたは複数の電気的特性が監視されるシステムおよび方法を提供する。決定は、次に超音波治療デバイスの安定した動作を維持するために、超音波電気信号の周波数および/または波形を制御するために使用され得、および/または、決定の結果はユーザーインターフェースのディスプレイスクリーンに表示され得る。
【0005】
[0006]本発明の一形態は、超音波電気信号を生成するように構成された超音波信号生成器を含む超音波システムに関する。超音波治療デバイスは、超音波信号生成器に電気的に結合されている。超音波治療デバイスは、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材に駆動可能に結合された超音波トランスデューサーを含む。超音波トランスデューサーは、超音波振動伝達部材の超音波振動運動を生成するために超音波電気信号を受信する。回路構成は、超音波トランスデューサーに関連した電気的特性を監視するように構成されている。電気的特性は、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、または、総電圧と総電流との間の力率のうちの1つであり得る。回路構成は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つ決定するために、監視された電気的特性を処理するように構成されたプロセッサ回路を含む。回路構成は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの決定された少なくとも1つに基づいて、超音波電気信号
の変調周波数と波形とのうちの少なくとも1つを制御するために、超音波信号生成器に供給される制御信号を生成するように構成されている。
【0006】
[0007]本発明の別の一形態は、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材に駆動可能に結合された超音波トランスデューサーを含む超音波治療デバイスを動作させる方法に関する。本方法は、超音波信号生成器を使用して超音波電気信号を生成することと、超音波振動伝達部材の超音波振動運動を生成するために超音波トランスデューサーに超音波電気信号を供給することと、超音波トランスデューサーに関連した電気的特性を監視することであって、電気的特性が、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、または総電圧と総電流との間の力率のうちの1つである、監視することと、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された電気的特性を処理することと、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの決定された少なくとも1つに基づいて、超音波電気信号の変調周波数と波形とのうちの少なくとも1つを制御することとを含む。
【0007】
[0008]本発明の別の一形態は、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材に駆動可能に結合された超音波トランスデューサーを含む超音波治療デバイスの動作状態を決定する方法に関する。本方法は、超音波振動伝達部材の超音波振動運動を生成するために、超音波信号生成器を使用して超音波電気信号により超音波トランスデューサーを励起することと、超音波トランスデューサーに関連した電気的特性を監視することであって、電気的特性が、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、または総電圧と総電流との間の力率のうちの1つである、監視することと、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された電気的特性を処理することと、ユーザーインターフェースのディスプレイスクリーンに、処理するステップの結果を表示することであって、結果が、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つを含む、表示することとを含む。
【0008】
[0009]本発明の利点は、粥腫切除術処置中にリアルタイムで、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つが決定され、および、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つに基づいて対処され得る。例えば、決定は、超音波治療デバイスの安定した動作を維持するために、超音波電気信号の周波数および/または波形を自動的に調節するために使用され得る。自動制御に代えて、または追加的に、決定の結果が粥腫切除術処置中に医師に表示され得、医師は表示された結果に基づいて粥腫切除術技法を調節し得る。更に、自動制御を利用しないシステムにおいて、表示された結果は、超音波信号生成器の動作パラメータを手動で調節するために医師により使用され得る。
【0009】
[0010]添付図面とあわせて考慮される本発明の実施形態の以下の説明を参照することにより、本発明の上記の、および他の特徴および利点、およびそれらを達成する手法が更に明確になり、本発明がより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0011]本発明の態様による超音波システムのブロック図である。
図2】[0012]図1の超音波システムの超音波治療デバイスを動作させる、および/または、超音波治療デバイスの動作状態を決定する方法の全体的なフローチャートである。
図3】[0013]逸脱状態を検出する場合における使用のための閾値および/またはデータプロファイルを決定するための「動作中の逸脱」状態を示すグラフである。
図4】[0014]図3のグラフの逸脱事象中における「急激な逸脱」状態を示すグラフである。
図5】[0015]硬質基質の係合および横断を検出する場合における使用のための閾値および/またはデータプロファイルを決定するための「硬質基質中の横断」状態を示すグラフである。
図6】[0016]複合基質を通過している間に異なる種類の基質を検出する場合における使用のための閾値および/またはデータプロファイルを決定するための「複合基質を通る横断」状態を示すグラフである。
図7】[0017]脈管経路における屈曲部を通した蛇行/パフォーマンス変動を検出する場合における使用のための閾値および/またはデータプロファイルを決定するための「蛇行経路」状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0018]複数の図面にわたり、対応する参照符号は対応する部分を示す。本明細書に記載されている例は本発明の一実施形態を示し、このような例は、いかなる手法によっても本発明の範囲を限定するようには解釈されない。
【0012】
[0019]図面、特に図1を参照すると、粥腫切除術処置に使用され得る超音波システム10のブロック図が示されている。超音波システム10は、超音波信号生成器12、超音波治療デバイス14、電流測定回路16、電圧測定回路18、デジタル信号プロセッサ回路20、およびユーザーインターフェース22を含む。
【0013】
[0020]超音波治療デバイス14は、超音波トランスデューサー24、音波カプラ26、および超音波カテーテル28を含む。超音波カテーテル28は、1回の使用のための使い捨てデバイスとして構成され得、超音波カテーテル28に統合された音波カプラ26を含み得る。超音波トランスデューサー24は、再使用可能なハンドピースの一部であり得る。代替的に、超音波治療デバイス14は、単体の使い捨て組立体であってもよい。超音波カテーテル28は、シース28-1と、遠位端28-3をもつ超音波振動伝達部材28-2とを含む。超音波振動伝達部材28-2、例えば芯線は、音波カプラ26を介して超音波トランスデューサー24に接続されている。
【0014】
[0021]超音波信号生成器12は、例えば、C.R.Bard.,Inc.から入手可能なCROSSER(登録商標)ブランドの生成器であり得る。超音波トランスデューサー24は、CROSSER(登録商標)ブランドの生成器とともに使用されるCROSSER(登録商標)ブランドのハンドピースに位置するトランスデューサーであり得る。超音波カテーテル28は、例えば、C.R.Bard.,Inc.から入手可能なCROSSER(登録商標)ブランドの慢性完全閉塞(CTO:chronic total occlusion)超音波カテーテルであり得る。
【0015】
[0022]動作中、超音波信号生成器12は、超音波周波数スペクトルにおける超音波電気信号S1を生成し、例えば18キロヘルツ(kHz)から40kHzの動作周波数範囲内であり得、より好ましくは20kHzに初期設定される。超音波電気信号S1は、所定の波形、例えば正弦波または矩形波をもち、可変なデューティサイクルをもつ。デューティサイクルは、例えば最初に50パーセントであり得、超音波電気信号S1のオン期間とオフ期間とを調節するように変えられ得る。
【0016】
[0023]超音波電気信号S1は、当技術分野において知られているように、超音波振動運
動を生成するように超音波トランスデューサー24を励起するために超音波トランスデューサー24に供給される。超音波振動運動は、音波カプラ26を介して超音波カテーテル28の超音波振動伝達部材28-2に伝えられる。
【0017】
[0024]電流測定回路16は、超音波トランスデューサー24に供給される総電流を測定するために、超音波信号生成器12と超音波トランスデューサー24との間に介在している。電流測定回路16は、例えば、超音波トランスデューサー24に供給される総電流を感知するための感知変圧器を含み得る。電流測定回路16は、デジタル信号プロセッサ回路20に供給される総電流信号S2を生成する。
【0018】
[0025]電圧測定回路18は、例えば、超音波トランスデューサー24を通した総電圧降下を測定するために、超音波トランスデューサー24にまたがって入力側とグランド側との両方に接続されている。電圧測定回路18は、例えば、超音波トランスデューサー24にかかる総電圧を感知するための電圧計を含み得る。電圧測定回路18は、デジタル信号プロセッサ回路20に供給される総電圧信号S3を生成する。
【0019】
[0026]デジタル信号プロセッサ回路20は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)として形成され得る。本実施形態では、デジタル信号プロセッサ回路20は、プロセッサ回路20-1、アナログ・デジタル(A/D)コンバーター回路20-2、アナログ・デジタル(A/D)コンバーター回路20-3、入力/出力(I/O)回路20-4、メモリ回路20-5、および出力インターフェース回路20-6を含む。
【0020】
[0027]プロセッサ回路20-1は、例えば内部電気バスとサポート回路構成とを通して、A/Dコンバーター回路20-2、A/Dコンバーター回路20-3、I/O回路20-4、メモリ回路20-5、および出力インターフェース回路20-6の各々に電気的に、および通信可能に結合されている。プロセッサ回路20-1は、1つまたは複数のプログラム可能マイクロプロセッサ、および、関連する回路構成、例えば、入力/出力インターフェース、クロック、バッファ、メモリなどを含み得る。プロセッサ回路20-1は、例えば受信された入力データを処理するための、および、出力データを生成および送信するためのプログラム命令を実行するためのメモリ回路20-5に記憶されたソフトウェアまたはファームウェアを通してプログラムされ得る。
【0021】
[0028]A/Dコンバーター回路20-2は、アナログ総電流信号S2を、処理のためにプロセッサ回路20-1に供給される対応するデジタル表現に変換する。同様に、A/Dコンバーター回路20-3は、アナログ総電圧信号S3を、処理のためにプロセッサ回路20-1に供給される対応するデジタル表現に変換する。
【0022】
[0029]ユーザーインターフェース22は、例えばマルチワイヤケーブルまたはUSBを通してI/O回路20-4に電気的に、および通信可能に結合され得る。代替的に、ユーザーインターフェース22は、I/O回路20-4に通信可能に結合された無線リンク、例えばBluetoothであってもよい。ユーザーインターフェース22は、例えば、タッチスクリーンデバイス、コンピュータ、タブレット、またはスマートフォンであり得る。ユーザーインターフェース22はユーザー入力コマンドをデジタル信号プロセッサ回路20に送信するように構成されており、ユーザーインターフェース22のディスプレイスクリーン22-1における表示のために、デジタル信号プロセッサ回路20から出力情報を受信するように構成されている。ディスプレイスクリーン22-1は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、または発光ダイオード(LED:light-emitting diode)ディスプレイのうちの1つであり得る。
【0023】
[0030]メモリ回路20-5は、当技術分野においてもよく知られているように、複数のデータ記憶位置を含む電子的非一時的メモリである。メモリ回路20-5は、揮発性メモリ回路、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、および、不揮発性メモリ回路、例えば、読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)、電子的に消去可能でプログラム可能なROM(EEPROM:electronically erasable programmable
ROM)、NORフラッシュメモリ、NANDフラッシュメモリなどのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0024】
[0031]出力インターフェース回路20-6は、超音波信号生成器12の制御入力に、例えばマルチワイヤケーブルまたはUSBを通して電気的に、および通信可能に結合されている。代替的に、出力インターフェース回路20-6は、超音波信号生成器12に通信可能に結合された無線リンク、例えばBluetoothであってもよい。出力インターフェース回路20-6は、プロセッサ回路20-1から制御信号を受信し、超音波信号生成器12により受信される出力制御信号S4を生成するために、必要に応じて、制御信号を調整(例えばアナログ・デジタル変換、信号増幅など)する。
【0025】
[0032]本実施形態において、プロセッサ回路20-1は、A/Dコンバーター回路20-2により供給された総電流信号S2のデジタル表現と、A/Dコンバーター回路20-3により供給された総電圧信号S3のデジタル表現とを処理するために、プログラム命令を実行する。プログラム命令は、例えば、総電流信号S2と総電圧信号S3との間の力率を計算するためのプログラムステップを含み得、および、超音波トランスデューサー24の、例えば超音波トランスデューサー24により生成された誘導(運動)電流を計算するためのプログラムステップを含み得る。プログラム命令は、必要に応じて、超音波トランスデューサー24の力率および/または誘導電流を計算するために、代数関数、比較関数、利得制御関数、フェーズロックループ関数、および/または、ゼロ線交差計算関数を含み得る。
【0026】
[0033]更に図2を参照すると、超音波治療デバイス14を動作させる、および/または、超音波治療デバイス14の動作状態を決定する方法の全体的なフローチャートが示されている。図2のフローチャートのステップの各々は、電圧測定回路18により生成された総電圧信号S3のデジタル表現(A/Dコンバーター回路20-3の出力)により示される超音波トランスデューサー24にかかる総電圧、および/または、電流測定回路16により生成された総電流信号S2のデジタル表現(A/Dコンバーター回路20-2の出力)により示される超音波トランスデューサー24に供給される総電流と組み合わされてプロセッサ回路20-1により実行されるプログラム命令として実現され得る。
【0027】
[0034]図2のステップS100を参照すると超音波トランスデューサー24に関連した1つまたは複数の電気的特性が監視される。本実施形態において、デジタル信号プロセッサ回路20は、電流測定回路16および/または電圧測定回路18から受信された入力に基づいて、超音波トランスデューサー24に関連した少なくとも1つの電気的特性を監視する。電気的特性は、総電圧信号S3のデジタル表現により示される超音波トランスデューサー24にかかる総電圧、総電流信号S2のデジタル表現により示される超音波トランスデューサー24への総電流、プロセッサ回路20-1により実行されるプログラム命令を使用して計算された超音波トランスデューサー24の誘導電流、または、プロセッサ回路20-1により実行されるプログラム命令を使用して計算された総電圧と総電流との間の力率のうちの1つまたは複数であり得る。
【0028】
[0035]ステップS102において、超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が直
面する物質の種類、および/または、超音波カテーテル28が通過している脈管経路の種類を決定するために、監視された電気的特性が処理される。例えば、本実施形態において、プロセッサ回路20-1は、超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が直面する物質の種類と、超音波カテーテル28が通過している脈管経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された電気的特性を処理する。処理するステップは、プロセッサ20-1により実施され、超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が直面する物質の種類を決定するために、監視された電気的特性の各々をそれぞれの閾値(一点(又は、シングル・ポイント)データ)および/またはデータプロファイル(経時的な多点(又は、マルチ・ポイント)データ)と比較することを含む。それぞれの閾値、および/または、複数の閾値のデータプロファイル、および/またはデータプロファイルの各々が、デジタル数値として表され、プロセッサ回路20-1によるアクセスのためにメモリ回路20-5に記憶され得る。
【0029】
[0036]例えば、総電圧信号S3のデジタル表現により示される超音波トランスデューサー24にかかる総電圧は、総電圧閾値および/または総電圧データプロファイルと比較され得る。総電流信号S2のデジタル表現により示される超音波トランスデューサー24への総電流は、総電流閾値および/または総電流データプロファイルと比較され得る。プロセッサ回路20-1により実行されるプログラム命令を使用して計算された超音波トランスデューサー24の誘導電流は、誘導電流閾値および/またはデータプロファイルと比較され得る。プロセッサ回路20-1により実行されるプログラム命令を使用して計算された総電圧と総電流との間の力率は、力率閾値および/または力率データプロファイルと比較され得る。
【0030】
[0037]ステップS104において、超音波電気信号S1の変調周波数と波形とのうちの少なくとも1つが、処理するステップS102における決定に基づいて制御される。最初に、例えば、超音波電気信号S1に対する基本となる周波数は20kHzであり得、変調周波数は例えば10Hzであり得る。一例として、変調周波数の変化量は、プラスまたはマイナス100パーセントの範囲内、すなわち、0Hz~20Hzの範囲内であり得る。
【0031】
[0038]本実施形態において、ステップS102における処理の結果として、プロセッサ回路20-1は、出力インターフェース回路20-6により調整される、および超音波信号生成器12に出力制御信号S4として供給される制御信号を生成し得る。出力制御信号S4は超音波信号生成器12により受信され、超音波カテーテル28の超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が直面する決定された物質の種類、および/または、超音波カテーテル28が通過している脈管経路の種類(例えば、屈曲部、蛇行、直線など)に基づいて、超音波電気信号S1の変調周波数と波形(例えばデューティサイクル)とのうちの少なくとも1つを制御するようになっており、それにより、超音波治療デバイス14、および特に超音波カテーテル28を安定した動作状態に維持し、超音波振動伝達部材28-2の破損の危険性を減らすようになっている。
【0032】
[0039]ステップS106において、処理するステップS102の決定の結果は、ユーザーインターフェース22のディスプレイスクリーン22-1に表示され得る。ステップS106が、ステップS104に対して補完的であるか、またはステップS104の代わりであり得ることが想定される。
【0033】
[0040]本実施形態において、ステップS106において、プロセッサ回路20-1により実施される処理の結果(ステップS102参照)が、ユーザーインターフェース22のディスプレイスクリーン22-1に表示され得る。結果は、テキスト形態、画像形態、グラフィカル形態、またはそれらの組み合わせであり得る。表示される結果は、逸脱の識別結果、超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が直面している物質の種類、および
/または、例えば脈管経路の蛇行といった、超音波カテーテル28が通過している脈管経路の種類の識別結果を含み得る。
【0034】
[0041]加えて、ステップS100~ステップS106の補足として、監視された電気的特性の各々が、内部に超音波カテーテル28が配備される脈管経路における脈管閉塞部(例えば病巣またはプラーク)を通る超音波カテーテル28の超音波振動伝達部材28-2の進行の推移を決定するために、経時的な値の変化を検出するために、ある期間、例えば0.5秒から1秒にわたって監視され得る。脈管経路における脈管閉塞部を通る超音波カテーテル28の超音波振動伝達部材28-2の進行の推移は、ユーザーインターフェース22のディスプレイスクリーン22-1にグラフ形式で示され得る。
【0035】
[0042]図3図6は、様々な粥腫切除術事象の発生を知らせるために、経験的なデータが適切な閾値および/または動作プロファイルを決定するためにどのように使用され得るかを示す。図3図6の各々において、別段の指定が無い限り、縦軸はボルトを単位としており、横軸は任意の時間を単位としている。図3図6の各々において、実際のデータポイントが点により表され、長方形はデータポイントのグルーピングに関連した電圧の範囲を表す。データは、C.R.Bard.,Inc.から入手可能な、CROSSER(登録商標)超音波カテーテルシステムを使用して、および、CROSSER(登録商標)ブランドの慢性完全閉塞(CTO)超音波カテーテル、モデルCR14Sカテーテルを使用して収集された。
【0036】
[0043]更に、図3図5のグラフの各々に対して、超音波信号生成器12は、以下のパラメータ設定、すなわち、自動利得制御(AGC:automatic gain control)900、10Hz変調を伴う20kHzの周波数および50パーセントのデューティサイクルを使用して動作するように設定されており、開始フェーズは1500ボルトである。図6のグラフに対して、超音波信号生成器12は、以下のパラメータ設定、すなわち、自動利得制御(AGC)700、17Hz変調を伴う20kHzの周波数、および50パーセントのデューティサイクルを使用して動作するように設定されており、開始フェーズは1600ボルトである。図7のグラフに対して、超音波信号生成器12は、以下のパラメータ設定、すなわち、自動利得制御(AGC)700、10Hz変調を伴う20kHzの周波数、および50パーセントのデューティサイクルを使用して動作するように設定されており、開始フェーズは1600ボルトである。図3図6の様々なグラフの説明において、「通常動作」という用語は、脈管経路における脈管閉塞部との係合前における、脈管経路における超音波カテーテル28の動作を意味する。
【0037】
[0044]図3のグラフは、動作中における逸脱の事象を検出することに関連する。本明細書において使用されるとき、「逸脱」という用語は、超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が脈管閉塞部(例えばプラークまたは病巣)に押し付けられ、超音波振動伝達部材28-2が屈曲し始めて破損をもたらすおそれがある状態である。実験又は観察データが、通常動作状態中に、動作中の逸脱を伴って収集された。図3のグラフは、動作中の逸脱が検出されたか否かを判定するために、リアルタイムで、総電圧信号S3のデジタル表現の比較のための閾値(一点データ)、または代替的にはプロファイルデータ(状態を示す経時的な多点データ)を決定するための基礎を形成し得る。閾値または代替的にはプロファイルデータが、比較を行う場合におけるプロセッサ回路20-1による取り出しおよび使用のために、メモリ回路20-5に記憶され得る。
【0038】
[0045]例えば、グラフによると、1400未満の電圧測定回路18により測定された総電圧は、超音波治療デバイス14が通常動作状態にあることを示し、1500ボルトより高い値は、超音波治療デバイス14が逸脱した動作状態にあることを示す。したがって、「動作中の逸脱」状態を示すための総電圧信号S3(超音波トランスデューサー24にか
かる電圧)のデジタル表現との比較のための総電圧閾値は、許容されるオーバーシュートまたはアンダーシュートの量に応じて、1400ボルトから1500ボルトの範囲内において選択され得る。次に、出力制御信号S4は、逸脱が超音波振動伝達部材28-2に対して破壊的となることを防ぐように調節され得る。
【0039】
[0046]図4のグラフは、図3の「動作中の逸脱」事象のうちの1つにおける急激な逸脱の事象に関連しており、より高い解像度で示される。総電圧閾値を横断する急激なうねりが急激な逸脱状態を示すことに留意されたい。
【0040】
[0047]図5のグラフは、硬質基質を検出する事象、および、例えば脈管経路における石灰化プラークといった硬質基質との係合および/または硬質基質の横断を検出する事象に関連する。実験又は観察データは、通常動作状態中に、および、硬質基質の係合および横断中に収集された。図5のグラフは、硬質基質を検出するために、硬質基質との係合を検出するために、および/または、硬質基質の横断を検出するために、リアルタイムで、総電圧信号S3のデジタル表現の比較のための閾値(シングル・ポイントデータ)、または代替的にはプロファイルデータ(状態を示す経時的なマルチ・ポイントデータ)を決定するための基礎を形成し得る。閾値または代替的にはプロファイルデータは、比較を行う場合におけるプロセッサ回路20-1による取り出しおよび使用のために、および、逸脱を防ぐために出力制御信号S4を調節するために、メモリ回路20-5に記憶され得る。
【0041】
[0048]例えば、グラフによると、電圧測定回路18により測定された1150ボルト未満の総電圧が、通常動作状態から硬質基質横断状態との関与への超音波治療デバイス14の動作の遷移を示すための横断状態における総電圧閾値として使用され得る。処置が所定の期間にわたって総電圧閾値未満に留まっている場合、超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が硬質基質を横断している過程にある、すなわち、「硬質基質中の横断」状態にあるという決定が行われ得る。したがって、硬質基質横断状態を示すための超音波トランスデューサー24にかかる総電圧との比較のための総電圧閾値は、許容されるオーバーシュートまたはアンダーシュートの量に応じて1150ボルトであるように選択され得る。
【0042】
[0049]図6のグラフは、脈管経路における複合基質を通過する間に異なる基質の種類を検出することに関連し、例えば複合基質は硬質の近位キャップと遠位キャップとを含み、および、近位キャップと遠位キャップとの間に比較的柔らかい物質を含む。実験または観察データは、通常動作状態中に、および複合基質の係合および横断中に収集された。図6のグラフは、複合基質を検出するために、複合基質との係合を検出するためにおよび/または、複合基質の横断を検出するために、リアルタイムで、総電圧信号S3のデジタル表現の比較のための閾値(シングル・ポイントデータ)、または代替的にはプロファイルデータ(状態を示す経時的なマルチ・ポイントデータ)を決定するための基礎を形成し得る。閾値または代替的にはプロファイルデータは、比較を行う場合におけるプロセッサ回路20-1による取り出しおよび使用のために、および必要な場合に逸脱を防ぐように出力制御信号S4を調節するために、メモリ回路20-5に記憶され得る。
【0043】
[0050]例えば、図6のグラフによると、電圧測定回路18により測定された1550ボルト未満の総電圧は、近位キャップからより柔らかい内部物質への、および後方の遠位キャップへの超音波治療デバイス14の動作の遷移を示すために横断状態における総電圧閾値として使用され得る。このグラフにおいて、1450未満において逸脱が検出された。処置が所定の期間にわたって1550の総電圧閾値より高く留まっている場合、超音波振動伝達部材28-2の遠位端28-3が脈管閉塞部の近位キャップと遠位キャップとの間におけるより柔らかい内部物質を横断している過程にあるという決定が行われ得る。
【0044】
[0051]図7は、脈管経路における屈曲部を通した蛇行/パフォーマンス変動を検出するために使用される経時的な総電圧の実質的に正弦波状の変動を示すグラフを示す。この例において、グラフは、経時的な総電圧のおおむね正弦波状の変動を示し、正弦曲線のピーク間の期間は、脈管経路における屈曲部を通した蛇行/パフォーマンス変動を表した、例えば150センチメートル(cm)といった、超音波振動伝達部材28-2の超音波振動のノード(節点又は波節)間隔に相関し得る。図7のグラフは、蛇行/パフォーマンス変動を検出するために、リアルタイムで、総電圧信号S3のデジタル表現の比較のための閾値(シングル・ポイントデータ)、または代替的にはプロファイルデータ(状態を示す経時的なマルチ・ポイントデータ)を決定するための基礎を形成し得る。閾値または代替的にはプロファイルデータは、比較を行う場合におけるプロセッサ回路20-1による取り出しおよび使用のために、メモリ回路20-5に記憶され得る。
【0045】
[0052]図3図7のグラフがリアルタイムで様々な基質物質ならびに逸脱および横断状態を検出するために超音波トランスデューサー24にかかる総電圧を監視することに関連したデータの収集に基づいて生成されたが、当業者は、超音波トランスデューサー24に関連した他の電気的特性のうちの任意のものを使用して逸脱および横断事象をリアルタイムで検出するための代表的な閾値を決定する場合において、同様の実験又は観察データが収集され、および使用され得ることを認識するであろう。加えて、複数の電気的特性が、様々な逸脱および横断事象のリアルタイム検出において同時に監視され、および使用され得ることが想定される。したがって、例えば、監視された電気的特性は、総電圧信号S3のデジタル表現により示される超音波トランスデューサー24にかかる総電圧、総電流信号S2のデジタル表現により示される超音波トランスデューサー24への総電流、プロセッサ回路20-1により実行されるプログラム命令を使用して計算された超音波トランスデューサー24の誘導電流、および/または、プロセッサ回路20-1により実行されるプログラム命令を使用して計算された総電圧と総電流との間の力率のうちの1つまたは複数であり得る。
【0046】
[0053]以下の事項も本発明に関連している。
[0054]概して、経路が人体の外部の経路であることが考えられる。一形態において、本発明は、任意選択的に脈管治療のための、超音波電気信号を生成するように構成された超音波信号生成器を含む超音波システムに関する。超音波治療デバイスは、超音波信号生成器に電気的に結合されている。超音波治療デバイスは、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材に駆動可能に結合された超音波トランスデューサーを含む。超音波トランスデューサーは、超音波振動伝達部材の超音波振動運動を生成するために超音波電気信号を受信するように構成されている。回路構成は超音波トランスデューサーに関連した電気的特性を監視するように構成されており、電気的特性は、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、または総電圧と総電流との間の力率のうちの1つであり、回路構成は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と、超音波カテーテルが通過している経路(任意選択的に脈管経路)の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された電気的特性を処理するように構成されたプロセッサ回路を含む。回路構成は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している経路(任意選択的に脈管経路)の種類とのうちの決定された少なくとも1つに基づいて、超音波電気信号の変調周波数と波形とのうちの少なくとも1つを制御するために超音波信号生成器に供給される制御信号を生成するように構成されている。
【0047】
[0055]ユーザーインターフェースのディスプレイスクリーンに処理するステップの結果を表示するために、ユーザーインターフェースが含まれ得る。結果は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類、逸脱状態、および超音波カテーテルが通過している経路(任意選択的に脈管経路)の種類のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0048】
[0056]上述のように、監視する行為は、超音波トランスデューサーに関連した複数の電気的特性を監視することを含み得、複数の電気的特性は、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、および総電圧と総電流との間の力率のうちの2つ以上を含む。更に、処理する行為は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質と、超音波カテーテルが通過している経路(任意選択的に脈管経路)の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された複数の電気的特性を処理することを含み得る。
【0049】
[0057]プロセッサ回路は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類を決定するために、それぞれの閾値またはデータプロファイルを、監視された電気的特性の各々と比較し得る。
【0050】
[0058]補足的な、または代替的な動作として、回路構成は、経路(任意選択的に脈管経路)における閉塞部(任意選択的に脈管閉塞部)を通る超音波振動伝達部材の進行の推移を決定するために、経時的な値の変化を検出するために、監視された電気的特性の各々を監視するように構成され得る。
【0051】
[0059]補足的な、または代替的な動作として、プロセッサ回路は、超音波カテーテルが通過している経路(任意選択的に脈管経路)の種類を決定するために、監視された電気的特性の各々を、それぞれの閾値またはデータプロファイルと比較するように構成され得る。
【0052】
[0060]本発明は、更に、超音波システムにおける超音波治療デバイスを動作させる方法に関し、超音波治療デバイスが、任意選択的に、段落54から59のデバイスであり、デバイスが、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材に駆動可能に結合された超音波トランスデューサーを含んでいる。本方法は、超音波信号生成器を使用して超音波電気信号を生成することと;超音波振動伝達部材の超音波振動運動を生成するために、超音波トランスデューサーに超音波電気信号を供給することと;超音波トランスデューサーに関連した電気的特性を監視することであって、電気的特性が、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、または総電圧と総電流との間の力率のうちの1つである、監視することと;超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された電気的特性を処理することと;超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの決定された少なくとも1つに基づいて、超音波電気信号の変調周波数と波形とのうちの少なくとも1つを制御することとを含む。本発明は、更に、このような方法を適用するためのシステムに関し、および、それにしたがって治療デバイスおよび/または超音波システムを制御するための制御ユニットに関する。
【0053】
[0061]本方法は、ユーザーインターフェースのディスプレイスクリーンに、処理するステップの結果を表示することを更に含み得、結果が、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの少なくとも1つを含む。
【0054】
[0062]監視するステップは、超音波トランスデューサーに関連した複数の電気的特性を監視することを含み得、複数の電気的特性が、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、および総電圧と総電流との間の力率のうちの2つ以上を含む。
【0055】
[0063]処理するステップは、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された複数の電気的特性を処理することを含み得る。
【0056】
[0064]処理するステップは、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類を決定するために、監視された電気的特性の各々を、それぞれの閾値またはデータプロファイルと比較することを含み得る。
【0057】
[0065]補足的な、または代替的な動作として、本方法は、経路における閉塞部を通る超音波振動伝達部材の進行の推移を決定するために、経時的な値の変化を検出するために、監視された電気的特性の各々を監視することを含み得る。
【0058】
[0066]補足的な、または代替的な動作として、処理するステップは、超音波カテーテルが通過している経路の種類を決定するために、監視された電気的特性の各々を、それぞれの閾値またはデータプロファイルと比較することを含み得る。
【0059】
[0067]本発明は、更に、超音波システムにおける、任意選択的に段落54から59のデバイスといった超音波治療デバイスの動作状態を決定する方法、すなわち超音波システムにおける超音波治療デバイスを動作させる方法に関し、超音波治療デバイスが、超音波カテーテルの超音波振動伝達部材に駆動可能に結合された超音波トランスデューサーを含んでいる。本方法は、超音波振動伝達部材の超音波振動運動を生成するために、超音波信号生成器を使用して超音波電気信号により超音波トランスデューサーを励起することと;超音波トランスデューサーに関連した電気的特性を監視することであって、電気的特性が、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、または総電圧と総電流との間の力率のうちの1つである、監視することと;超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定するために、監視された電気的特性を処理することと;ユーザーインターフェースのディスプレイスクリーンに、処理するステップの結果を表示することであって、結果が、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの少なくとも1つを含む、表示することとを含む。本発明は、更に、このような方法を適用するためのシステム、および、それにしたがって治療デバイスおよび/または超音波システムを制御するための制御ユニットに関する。
【0060】
[0068]本方法は、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの決定された少なくとも1つに基づいて、超音波電気信号の変調周波数と波形とのうちの少なくとも1つを制御することを更に含み得る。
【0061】
[0069]監視するステップは、超音波トランスデューサーに関連した複数の電気的特性を監視することを含み得、複数の電気的特性が、超音波トランスデューサーにかかる総電圧、超音波トランスデューサーへの総電流、超音波トランスデューサーの誘導電流、および総電圧と総電流との間の力率のうちの2つ以上を含む。
【0062】
[0070]処理するステップは、監視された複数の電気的特性から、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテルが通過している経路の種類とのうちの少なくとも1つを決定することを含み得る。
【0063】
[0071]表示するステップは、ユーザーインターフェースのディスプレイスクリーンに、監視された複数の電気的特性の処理に基づいた、処理するステップの結果を表示することを含み得、結果が、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類と超音波カテーテ
ルが通過している経路の種類とのうちの少なくとも1つを含む。
【0064】
[0072]処理するステップが、超音波振動伝達部材の遠位端が直面する物質の種類を決定するために、監視された電気的特性の各々を、それぞれの閾値またはデータプロファイルと比較することを含み得る。
【0065】
[0073]補足的な、または代替的な動作として、本方法は、経路における閉塞部を通る超音波振動伝達部材の進行の推移を決定するために、経時的な値の変化について少なくとも1つの監視された電気的特性を監視することを含み得る。
【0066】
[0074]補足的な、または代替的な動作として、処理するステップは、超音波カテーテルが通過している経路の種類を決定するために、監視された電気的特性の各々を、それぞれの閾値またはデータプロファイルと比較することを含み得る。
【0067】
[0075]本明細書において使用される「脈管経路」という用語は、例えば動物または人間といった生き物における実際の脈管経路であり得、または、例えば様々な寸法および構成のポリマーチューブといった脈管経路の模擬表現であり得、ここで超音波システムが、試験、評価、訓練、および/または治療のために使用され得る。
【0068】
[0076]更に、本明細書において使用されるとき、「実質的に」、「おおむね」、および、程度を表す他の用語は、そのように修飾された特性からの許容可能な変動を示すことを意図した相対的な修飾語句である。これらの用語は、これらの用語が修正する絶対的な値または特性に限定されることを意図したものでは無く、むしろ、その反対に、このような物理的な、または機能的な特性に近い、または近似される、より多くの物理的な、または機能的な特性を含む。
【0069】
[0077]少なくとも1つの実施形態に関連して本発明が説明されているが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内において更に変更され得る。したがって、本出願は、その共通の原理を利用した本発明の任意の変形、使用、または適用を包含することを意図したものである。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野において知られた、または慣行の範囲に含まれるような、および添付の請求項の限定に含まれるような、本開示からの展開を包含することを意図したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7