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特許7477697経路生成装置、経路生成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】経路生成装置、経路生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B65G61/00 544
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023128639
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2019125200の分割
【原出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2023159189
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小関 光昭
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165932(JP,A)
【文献】特開2005-132595(JP,A)
【文献】特表2020-514173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点と複数の目的地とを巡回する物流経路を生成する生成部と、
生成された前記物流経路を出力する出力部と、
を備え、
前記生成部は、
前記出発地点と離着陸地点との間における所定輸送手段による物流経路であって第1条件を満たす、1以上の第1物流経路と、
無人飛行体を用いて前記離着陸地点から前記複数の目的地を経由して前記離着陸地点に移動する物流経路であって第2条件を満たす、1以上の第2物流経路と、
を生成し、
生成された前記第1物流経路と前記第2物流経路とを組み合わせた1以上の物流経路のうち経路長が最も短い物流経路から順に所定数の物流経路を生成し、
前記生成部は、前記第2条件のうち全部又は一部の条件を、巡回する地点の組み合わせに対して移動コストが最小になる経路を探索する組み合わせ最適化処理装置に適用することで、組み合わせ最適化処理装置を利用して前記第2物流経路を生成し、
前記離着陸地点における離陸地点と着陸地点とは、前記所定輸送手段上である、
経路生成装置。
【請求項2】
前記離陸地点と前記着陸地点とは同一地点である、
請求項1に記載の経路生成装置。
【請求項3】
前記離陸地点と前記着陸地点とは異なる地点である、
請求項1に記載の経路生成装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記第1条件のうち全部又は一部の条件を前記組み合わせ最適化処理装置に適用することで、前記組み合わせ最適化処理装置を利用して前記第1物流経路を生成する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の経路生成装置。
【請求項5】
前記所定輸送手段は、車両、鉄道、船舶又は航空機であり、
前記無人飛行体は、ドローンである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の経路生成装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記出発地点と前記離着陸地点との間において、更に複数の中継地点のうち一の中継地点を経由する1以上の前記第1物流経路を生成する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の経路生成装置。
【請求項7】
出発地点と複数の目的地とを巡回する物流経路を生成する生成ステップと、
生成された前記物流経路を出力する出力ステップと、
を有し、
前記生成ステップでは、
前記出発地点と離着陸地点との間における所定輸送手段による第1物流経路であって第1条件を満たす、1以上の第1物流経路と、
無人飛行体を用いて前記離着陸地点から前記複数の目的地を経由して前記離着陸地点に移動する物流経路であって第2条件を満たす、1以上の第2物流経路と、
が生成され、
生成された前記第1物流経路と前記第2物流経路とを組み合わせた1以上の物流経路のうち経路長が最も短い物流経路から順に所定数の物流経路が生成され、
前記生成ステップでは、前記第2条件のうち全部又は一部の条件を、巡回する地点の組み合わせに対して移動コストが最小になる経路を探索する組み合わせ最適化処理装置に適用することで、組み合わせ最適化処理装置を利用して前記第2物流経路が生成され、
前記離着陸地点における離陸地点と着陸地点とは、前記所定輸送手段上である、
経路生成方法。
【請求項8】
コンピュータに、
出発地点と複数の目的地とを巡回する物流経路を生成する機能、
生成された前記物流経路を出力する機能、
を実現させ、
前記生成する機能は、
前記出発地点と離着陸地点との間における所定輸送手段による第1物流経路であって第1条件を満たす、1以上の第1物流経路と、
無人飛行体を用いて前記離着陸地点から前記複数の目的地を経由して前記離着陸地点に移動する物流経路であって第2条件を満たす、1以上の第2物流経路と、
を生成し、
生成された前記第1物流経路と前記第2物流経路とを組み合わせた1以上の物流経路のうち経路長が最も短い物流経路から順に所定数の物流経路を生成し、
前記生成する機能は、前記第2条件のうち全部又は一部の条件を、巡回する地点の組み合わせに対して移動コストが最小になる経路を探索する組み合わせ最適化処理装置に適用することで、組み合わせ最適化処理装置を利用して前記第2物流経路を生成し、
前記離着陸地点における離陸地点と着陸地点とは、前記所定輸送手段上である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路生成装置、経路生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ドローンと呼ばれる小型無人飛行体の技術の発展に伴い、ドローンを用いて荷物の運送を行うことが検討されている。ドローンを用いた荷物の運搬が実現されることで、例えば限界集落等への荷物の運搬やドライバーの人手不足など、輸送に関する様々な課題が解決されることが期待されている。例えば特許文献1には、所定の経路を自律飛行して、荷物の運搬などを行うドローンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-090095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドローンは飛行時間が限られることから、ドローン単体で荷物の輸送を行うことは難しい。そこで、トラック輸送とドローンによる輸送とを組み合わせた複合物流を実現することが検討されている。複合物流を効率的に行うためには、例えば、ドローンを飛行させる経路の最小化や輸送に利用するトラックの割り当てなど、様々な制約条件を考慮しながら物流経路を迅速に決定する仕組みが必要になると考えらえる。また、同様の課題は、トラック輸送やドローンに限定されず、車両、航空機及び船舶等を含むあらゆる輸送手段と、ドローン及び無人ヘリコプター等を含む無人飛行体による輸送とを組み合わせた複合物流にも生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、複合物流を行う際の物流経路を、より迅速に決定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る経路生成装置は、出発地点と複数の目的地とを巡回する物流経路を生成する経路生成装置であって、物流経路を生成する生成部であって、所定輸送手段を用いて出発地点と離着陸地点との間における1以上の第1物流経路であって第1条件を満たす1以上の第1物流経路と、無人飛行体を用いて離着陸地点から複数の目的地を経由して離着陸地点に移動する1以上の第2物流経路であって第2条件を満たす1以上の第2物流経路と、1以上の第1物流経路と1以上の第2物流経路とを組み合わせた1以上の物流経路のうち経路長が最も短い物流経路から順に所定数の物流経路を生成する生成部と、生成部により生成された所定数の物流経路を出力する出力部と、を有し、生成部は、第2条件のうち全部又は一部の条件を組み合わせ最適化処理装置に適用することで、組み合わせ最適化処理装置を利用して1以上の第2物流経路を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複合物流を行う際の物流経路を、より迅速に決定することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る経路生成装置のシステム構成の一例を示す図である。
図2】経路生成装置が物流経路を生成する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3】サーバ及び最適化用コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図4】サーバの機能ブロック構成例を示す図である。
図5】物流経路の生成例1の概要を説明するための図である。
図6】物流経路の生成例1の具体例を説明するための図である。
図7】物流経路の生成例1の具体例を説明するための図である。
図8】物流経路の生成例1の具体例を説明するための図である。
図9】物流経路の生成例1の具体例を説明するための図である。
図10】物流経路の生成例1の具体例を説明するための図である。
図11】物流経路の生成例2の概要を説明するための図である。
図12】物流経路の生成例2の具体例を説明するための図である。
図13】物流経路の生成例2の具体例を説明するための図である。
図14】物流経路の生成例2の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る経路生成装置1のシステム構成の一例を示す図である。経路生成装置1は、サーバ10と最適化用コンピュータ20とを含む。サーバ10と最適化用コンピュータ20とは、無線又は有線による通信ネットワークを介して接続され、相互に通信を行うことができる。サーバ10と最適化用コンピュータ20とは、同一の部屋や同一の建物内といったように物理的に近い位置に配置されていてもよいし、物理的に遠い位置に配置されていてもよい。
【0011】
サーバ10は、従来のプロセッサを利用して処理を行うコンピュータであり、最適化用コンピュータ20は、後述する「組み合わせ最適化問題」をより高速に解くためのコンピュータである。サーバ10は、1又は複数の物理的な情報処理装置から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。
【0012】
最適化用コンピュータ20には、組み合わせ最適化問題をより高速に解くことが可能なあらゆるコンピータが含まれる。最適化用コンピュータ20は、主に、量子方式、又は、古典(半導体)・半古典(光)方式に分けられる。前者には、例えば、量子力学を用いて組み合わせ最適化問題を高速で解くことが可能な量子コンピュータが含まれる。後者には、例えば、CMOS等の半導体等を利用して組み合わせ最適化問題を超高速に解くことが可能なコンピュータや、最適化問題を高速に解くことが可能なコンピュータ等が含まれる。
【0013】
経路生成装置1は、組み合わせ最適化問題を解くことで、出発地点と複数の目的地とを巡回する物流経路を生成する。より具体的には、車両、船舶及び航空機等を含む所定の輸送手段(所定輸送手段)による輸送とドローン(無人飛行体)による輸送とを組み合わせた複合物流を行う際の物流経路を生成する。所定の輸送手段は、ドローン以外のあらゆる輸送手段を含み、例えば、トラック及びバス等の車両、列車等の鉄道、貨物船及びフェリー等の船舶、並びに、飛行機、ヘリコプター及び飛行船等の航空機が含まれる。
【0014】
所定の輸送手段及びドローンを組み合わせた複合物流を行う際の物流経路を生成する場合、回るべき地点の数に加えて、ドローンの飛行可能時間、運行可能なトラックの有無など、様々な制約条件を満たす範囲で、より最適な物流経路を迅速に決定することが望ましい。
【0015】
例えば図1に示すように、配送元地点Aにてトラックに荷物を積み込んでドローンを離発着させる地点Bに移動し、地点Bから荷物を積載したドローンを飛ばすことで、複数の配送地点C1~C4に荷物を配送し、ドローンを回収して配送元地点Aに戻るまでの物流経路を生成する場合を想定する。また、地点Bは、ドローンの離陸及び回収が可能な任意の地点を選択可能であるとする。
【0016】
この場合、経路生成装置1は、ドローンの飛行可能時間内に配送地点C1~C4を回ることができ、かつ、地点Aから地点Bまでの経路が可能な限り短くなるような物流経路を生成することが望ましいと考えられる。また、A地点からB地点までを1台のトラックで直接配送するのではなく、トラックターミナルのような中継地点を経由して荷物の配送が行われる場合、例えば、全体の物流経路が短くなるような中継地点を経由する物流経路を生成することが望ましいと考えられる。
【0017】
ここで、様々な制約条件に基づく膨大な組み合わせの中から最適な解を求めることは、組み合わせ最適化(Combinatorial Optimization)と呼ばれている。しかしながら、制約条件が多いと、その組み合わせの数は膨大になることから、厳密な最適解を求めることは、現実的に困難であることが知られている。厳密な最適解を求めることが難しい問題の一つとして、例えば巡回セールスマン問題が知られている。巡回セールスマン問題とは、複数の地点を巡回する場合に、移動コストが最小となるルートを求めるという問題である。
【0018】
厳密な最適解を求めることが困難な組み合わせ最適化問題については、ある程度最適な解が求まれば良いとする近似解法を用いて解くことが一般的である。近似解法の一つとして、焼きなまし法(シミュレーテッド・アニーリング:Simulated Annealing)が知られている。前述した量子コンピュータは、量子力学を用いて焼きなまし法を実現する「量子アニーリング」と呼ばれる方法を用いて最適化問題を解くものである。また、前述した半導体を用いて組み合わせ最適化問題を解くコンピュータも、焼きなまし法を利用して最適化問題を解くものである。また、現在では、焼きなまし法以外にも、組み合わせ最適化問題を超高速に解くことが可能な方法(例えば、シミュレーテッド分岐方法等)等も開発されている。以下、最適化用コンピュータ20が備える、焼きなまし法やシミュレーテッド分岐方法等の最適化問題を高速に解くためのハードウェアを、「組み合わせ最適化処理装置」と言う。組み合わせ最適化処理装置の具体例については後述する。
【0019】
上記で述べたように、組み合わせ最適化問題を高速に解くことが可能になりつつあるが、現在の技術では、同時に扱える情報量(ビット数等)が小さいことから、計算することができる制約条件の数には制限があるという問題がある。すなわち、様々な制約条件が絡み合う大規模な組み合わせ最適化問題を解くことは、現状の技術では困難である。
【0020】
そこで、経路生成装置1は、組み合わせ最適化問題を解くために組み合わせ最適化処理装置を動作させること(以下、「組み合わせ最適化処理装置を利用する」、「組み合わせ最適化処理装置を用いる」、「組み合わせ最適化処理装置を動作させる」とも言う。)による処理と、プロセッサを用いた従来のコンピュータを用いた処理との両方を併用することで、様々な制約条件を満たしつつ最適な物流経路を迅速に生成する。より具体的には、経路生成装置1は、一部の制約事項を満たす物流経路の全部又は一部を、組み合わせ最適化処理装置を利用して探索し、探索した物流経路がその他の制約事項を満たすか否かをサーバ10が確認する処理を繰り返すことで、様々な制約条件を満たしつつ最適な物流経路を生成する。つまり、経路生成装置1は、組み合わせ最適化処理装置を何度も動作させながら試行錯誤を繰り返すことで、概ね最適と考えられる物流経路をより迅速に生成する。なお、本実施形態において「最適な物流経路を生成する」とは、厳密に最適な物流経路を生成することを意図しているのではなく、現実的に計算可能な範囲で概ね最適と考えられる物流経路を生成することを意図している。
【0021】
<処理手順>
図2は、経路生成装置1が物流経路を生成する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0022】
ステップS10で、サーバ10は、物流経路を生成するために、組み合わせ最適化処理装置を用いて経路探索を行う地点を決定する。例えば、車両及びドローンを用いた複合物流において、ドローンを飛ばす物流経路を、最適化用コンピュータ20を用いて探索する場合、サーバ10は、地図データを参照することで、ドローンを離発着させることが可能な地点を決定する。また、サーバ10は、ドローンを離発着させる地点と、荷物の配送のために回るべき地点とを、組み合わせ最適化処理装置を用いて経路探索を行う地点として決定する。
【0023】
ステップS11で、サーバ10は、所定の輸送手段を用いて配送を行う物流経路に関する制約条件(第1条件)を満たす、出発地点と離着陸地点との間における物流経路を生成する。当該制約条件は、例えば、所定の輸送手段が走行可能な道路を通るルートであること等であってもよい。
【0024】
続いて、サーバ10は、ドローンを用いて配送を行う物流経路に関する制約条件(第2条件)の全部又は一部である、荷物の配送のために回るべき地点に関する制約条件(地点間のコスト(例えば距離)を示す制約条件)を組み合わせ最適化処理装置に適用して物流経路の探索を行う。具体的には、サーバ10は、各地点を1回ずつ順に巡回すべきという制約条件に対応するイジングモデル又はQUBO(Quadratic unconstrained binary optimization)を生成して最適化用コンピュータ20に入力することで、コストが最小になる解(厳密に最小ではなく、概ね最小を意味しており、例えば移動経路長が概ね最小になる経路)を最適化用コンピュータ20から取得する。最適化用コンピュータ20は、イジングモデル又はQUBOに基づいて組み合わせ最適化処理装置を動作させることで、コストが最小になる解を取得する。
【0025】
このとき、サーバ10は、最適化用コンピュータ20から得られた物流経路が、ドローンを用いて配送を行う物流経路のうち「組み合わせ最適化処理装置に適用してない制約条件」を満たすか否かを判定する。サーバ10は、「組み合わせ最適化処理装置に適用してない制約条件」を満たす物流経路を記憶しておき、当該条件を満たさない物流経路については破棄する。「組み合わせ最適化処理装置に適用してない制約条件」とは、例えば、経路の経路長とドローンの飛行速度とに基づいて算出されるドローンの飛行時間がドローンの飛行可能時間以内であること等である。
【0026】
なお、イジングモデル又はQUBOで表現する制約条件はこれに限定されない。組み合わせ最適化処理装置におけるビット数、諧調数及び結合(全結合又は部分結合)が許す限りであれば、更に他の制約条件を含めることが可能である。
【0027】
続いて、サーバ10は、所定の輸送手段を用いて配送を行う物流経路と、ドローンを用いて配送を行う物流経路とを組み合わせることで、配送元地点から複数の配送先地点を回って配送元地点に戻ってくるまでの全体の物流経路を生成する。
【0028】
サーバ10は、ステップS11の処理手順を繰り返すことで、複数の物流経路を生成する。例えば、組み合わせ最適化処理装置による探索結果は、厳密な解ではなく近似解であることから、毎回同一の結果が得られるとは限られない。そこで、サーバ10は、ステップS11の処理手順を繰り返すことで、異なる物流経路を複数生成することができる。また、サーバ10は、ステップS10で決定した複数の地点の一部を変更し、ステップS10~ステップS11の処理手順を繰り返すことで、異なる物流経路を生成することもできる。例えば、サーバ10は、ドローンを離発着させる地点を変更することで、異なる物流経路を生成することが考えられる。
【0029】
ステップS12で、サーバ10は、制約条件を満たす物流経路を所定数生成した後、ステップS13の処理手順に進む。所定数生成していない場合、ステップS10の処理手順(又はステップS11の処理手順でもよい)に戻り、組み合わせ最適化処理装置を用いた探索を続ける。
【0030】
ステップS13で、サーバ10は、生成した所定数の物流経路を、ユーザ(例えば、経路生成装置1を用いて物流を管理するユーザ等)に提示することで、ユーザの選択を受け付ける。ユーザは、例えば画面に表示された所定数の物流経路の中から、実際に実行する一の物流経路を選択する。ユーザにより選択された物流経路は、例えば、トラックドライバー等に伝えられ、荷物の運搬が開始される。
【0031】
<ハードウェア構成>
図3は、サーバ10及び最適化用コンピュータ20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図3に示すハードウェア構成はあくまで一例に過ぎず、本実施形態がこれに限定されるものではない。
【0032】
サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing unit)等のプロセッサ11、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0033】
最適化用コンピュータ20は、組み合わせ最適化処理装置22、組み合わせ最適化処理装置22を制御する制御装置23、及び、有線又は無線通信を行う通信IF24を有する。制御装置23は、サーバ10から受信したイジングモデル又はQUBOに基づいて組み合わせ最適化処理装置22を制御する。最適化用コンピュータが量子力学を用いて最適化問題を解くコンピュータである場合、組み合わせ最適化処理装置22には、例えばQPU(Quantum Processing Unit)21が含まれる。また、最適化用コンピュータ20が半導体を用いて組み合わせ最適化問題を解くコンピュータである場合、組み合わせ最適化処理装置22には、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)21が含まれる。また、最適化用コンピュータ20が、組み合わせ最適化問題を超高速に解くことが可能な方法(例えば、シミュレーテッド分岐方法等)を用いて組み合わせ最適化問題を解くコンピュータである場合、組み合わせ最適化処理装置22には、例えば、当該方法を実行するためのCPU及びGPU21が含まれる。
【0034】
<機能ブロック構成>
図4は、サーバ10の機能ブロック構成例を示す図である。サーバ10は、記憶部101と、入力部102と、生成部103と、UI部104とを含む。記憶部101は、サーバ10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、入力部102と、生成部103と、UI部104とは、サーバ10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0035】
記憶部101は、道路図、鉄道路線図、空港の場所、港の場所等を含む地図データと、鉄道時刻表、航空機時刻表、トラックの配送スケジュール等を含む時刻表データとを記憶する。これに限定されず、記憶部101には、物流経路の生成に必要な他のデータが格納されていてもよい。
【0036】
入力部102は、経路生成装置1を利用するユーザ等から各種の入力を受け付ける機能を有する。例えば、入力部102は、物流経路の生成に必要な、配送元地点、配送先地点及び運搬する荷物に関する情報(荷物の個数、重量等)等の入力を受け付ける。また、入力部102は、物流経路の生成時に考慮すべき制約条件の入力を受け付けるようにしてもよい。例えば、入力部102は、配送先地点、各配送先を巡回する順序、及び各配送先を巡回する時刻等の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0037】
生成部103は、組み合わせ最適化処理装置を利用して、配送元地点(出発地点)と複数の配送先地点(目的地)とを巡回する物流経路を生成する機能を有する。より具体的には、生成部103は、所定の輸送手段による物流経路(第1物流経路)と、ドローンによる物流経路(第2物流経路)と、所定の輸送手段による物流経路とドローンによる物流経路とを組み合わせた物流経路全体とを生成する。生成部103は、組み合わせ最適化処理装置を利用することで、第1物流経路の全部又は一部を生成するようにしてもよい。また、生成部103は、組み合わせ最適化処理装置を利用することで、第2物流経路の全部又は一部を生成するようにしてもよい。
【0038】
まず、生成部103は、生成すべき全体の物流経路のうち、ドローンによる物流経路を探索する際に用いる地点(離発着地点)を決定する。続いて、生成部103は、所定の輸送手段を用いて配送元地点と離発着地点との間における1以上の物流経路であって所定の輸送手段に関する制約条件(第1条件)を満たす物流経路(第1物流経路)を1又は複数生成する。なお、離発着地点について、離陸地点と着陸地点とは同一地点であってもよいし、異なる地点であってもよい。所定の輸送手段に関する制約条件は、少なくとも所定の輸送手段が利用可能であることに関する条件であってもよい。例えは、所定の輸送手段が大型トラックである場合、大型トラックが通行可能な道路を通ることや、配送を行う時間帯が指定されている場合に大型トラックの免許を有するドライバーが確保できる時間帯であること等であってもよい。
【0039】
また、生成部103は、配送元地点と離発着地点との間において、更に、複数の中継地点のうち一の中継地点を経由する1又は複数の物流経路を生成するようにしてもよい。中継地点は、例えば、トラックターミナルやハブ空港等であってもよい。
【0040】
続いて、生成部103は、ドローンが離発着地点から複数の配送先地点を1回ずつ経由して離発着地点に移動するまでの物流経路(第2物流経路)であって、ドローンに関する制約条件(第2条件)を満たす物流経路を1又は複数生成する。このとき、生成部103は、ドローンに関する制約条件(第2条件)のうち全部又は一部の条件を組み合わせ最適化処理装置に適用することで、組み合わせ最適化処理装置を利用して、ドローンを用いる1又は複数の物流経路(第2物流経路)を生成する。
【0041】
続いて、生成部103は、所定の輸送手段を用いる1又は複数の物流経路(第1物流経路)と、ドローンを用いる1又は複数の物流経路(第2物流経路)とを組み合わせることで得られる1又は複数の物流経路の中から、経路長が最も短い物流経路から順に所定数(例えば5つ等)の物流経路を選択することで、配送元地点と複数の配送先地点とを巡回する物流経路全体を1又は複数生成する。
【0042】
また、生成部103は、組み合わせ最適化処理装置を複数回動作させることで、離発着地点から複数の配送先地点を経由して離発着地点に移動するまでの複数の経路を探索し、探索された複数の経路のうち、「組み合わせ最適化処理装置に適用していないドローンに関する制約条件」を満たす経路を残し、「組み合わせ最適化処理装置に適用していないドローンに関する制約条件」を満たさない経路を破棄することで、ドローンを用いる1又は複数の物流経路(第2物流経路)を生成するようにしてもよい。
【0043】
また、生成部103は、所定の輸送手段に関する制約条件(第1条件)のうち全部又は一部の条件を組み合わせ最適化処理装置に適用することで、組み合わせ最適化処理装置を利用して、所定の輸送手段を用いる1又は複数の物流経路(第1物流経路)を生成するようにしてもよい。
【0044】
UI部104は、生成部103により生成された1又は複数の物流経路を示す情報(例えば物流経路を地図上にマッピングした画像等)を、ディスプレイ等の出力デバイス15に出力する。また、UI部104は、出力した1又は複数の物流経路の中から、実際に実行する物流経路の選択をユーザから受け付けるようにしてもよい。例えば、配送センター等において、経路生成装置1を利用して配送ルートを決定する場合、配送を管理するオペレータは、経路生成装置1が生成した複数の物流経路の中から配送に利用する物流経路を一つ選択するようにしてもよい。UI部104は、出力部と称されてもよい。
【0045】
<制約条件の一例>
本実施形態では、サーバ10は、様々な制約条件を満たす物流経路の生成を行う。以下、所定の輸送手段に関する制約条件及びドローンに関する制約条件の一例を、図2を用いて説明する。
【0046】
生成部103は、各配送先に配送する順序をドローンに関する制約条件として考慮するようにしてもよい。例えば、生成部103は、ステップS11の処理手順において、組み合わせ最適化処理装置による経路探索を行う際に、配送する順序に関する制約条件をイジングモデル又はQUBOの一部として組み合わせ最適化処理装置に適用する(最適化用コンピュータ20に入力する)ようにしてもよい。例えば、定められた配送順序を満たさない経路についてはコストが増大するような条件をイジングモデル又はQUBOに組み込むことで、配送する順序を満たす経路探索を行うことができる。若しくは、生成部103は、ステップS12の処理手順において、組み合わせ最適化処理装置の探索結果を用いて生成された物流経路における配送順序が定められた配送順序であるか否かを判定し、定められた配送順序ではない場合には当該物流経路は制約条件を満たさないものとして破棄するようにしてもよい。
【0047】
生成部103は、各配送先に配送する時間帯を所定の輸送手段に関する制約条件及び/又はドローンに関する制約条件として考慮するようにしてもよい。例えば、生成部103は、ステップS11の処理手順において、生成された物流経路とドローンの飛行速度やトラック等の移動速度とに基づいて各配送先に配送が行われる時間帯を算出し、算出した時間帯が予め配送時間として指定された時間帯に合致するか否かを判定するようにしてもよい。合致しない場合、生成部103は、生成された物流経路は制約条件を満たさないものとして破棄するようにしてもよい。若しくは、定められた配送時間帯に合致しない場合はコストが増大するような条件をイジングモデル又はQUBOに組み込むことで、配送する時間帯を満たす経路探索を行うようにしてもよい。
【0048】
生成部103は、所定の輸送手段及びドローンに積載可能な最大積載量、所定の輸送手段及びドローンが回ることができる最大地点数、所定の輸送手段が移動可能な最大距離、ドローンが移動可能な最大距離、及び/又は、所定の輸送手段及びドローンが稼働可能な最大時間等を満たす範囲の物流経路を生成するようにしてもよい。生成部103は、ステップS10の処理手順において、これらの制約条件を満たすように、ドローンを離陸させる地点や、組み合わせ最適化処理装置に経路探索させる地点等を決定するようにしてもよい。
【0049】
(車両を利用する場合の制約条件)
車両の種別により積載可能な荷物の数や走行可能な道路が異なることから、最適な物流経路も変化すると考えられる。そこで、生成部103は、荷物の運搬に利用可能な車両の種別を所定の輸送手段に関する制約条件として物流経路を生成するようにしてもよい。例えば利用可能な車両が長距離トラックである場合、大型トラックが通行可能な道路のみを通るルートにて物流経路を生成するようにしてもよい。利用可能なトラックが中距離トラックや宅配トラックである場合、生成した物流経路にて荷物を運搬する時間帯において、運転者を確保することができるか否かを確認し、運転者を確保できる車種で運搬可能な範囲で最適な物流経路を生成するようにしてもよい。
【0050】
また、利用可能な車両の有無や運転者の確保可否を判定する際、運転者が保持する免許が、大型免許であるのか、中型免許であるのか、普通免許であるのかといった条件や、トラックを所有する運送業者が一般貨物自動車運送事業であるのか、特定貨物自動車運送事業であるのか、一般貨物自動車運送事業(特別積合せ)であるのか、貨物軽自動車運送事業であるのかといった条件も考慮することで、判定を行うようにしてもよい。
【0051】
また、鉄道を利用して運搬を行う場合、時刻表、路線図、駅の場所、運行状況等に基づいて最適な物流経路を生成するようにしてもよい。
【0052】
車両の種別には、長距離トラック、中距離トラック、宅配トラック、宅配カート、保冷車、冷蔵車、冷凍車、冷凍冷蔵車、平ボディ、バンボディ、ウィングボディ、幌ウィングボディ、ダンプ、タンクローリー、水素運搬車、ミキサー車、バルク車、塵芥車、動物運搬車、コンテナ運搬車、散水車、現金輸送車、霊柩車、超重量車及び特殊トレーラー、セミトレーラー、フルトレーラー、ポールトレーラー、高速バス、路線バス、観光バス、貸切りバス、送迎バス、コミューター、ダブルデッカー、スーパーハイデッカー、大型ハイデッカー、大型一般車、中型ハイデッカー、中型一般車、小型ハイデッカー、小型一般車、ミニバス、サロンタイプ、トイレ付きバス、リフト付きバス、貨物列車、旅客列車、普通列車、急行列車、特急列車、私鉄、JR、電車、ディーゼル車、モノレール、路面電車、貨物列車、コンテナ車、汽車、ロープウェイ、ラック式鉄道、ケーブルカー等が含まれていてもよい。
【0053】
(船舶を利用する場合の制約条件)
船舶を利用して運搬を行う場合、船舶が発着可能な地点(商港、工業港、漁港、マリーナ、フェリーターミナル等)、クレーン(港湾設備)の有無、発着する船舶の種類、船舶が発着する時刻、航路等に基づいて最適な物流経路を生成するようにしてもよい。また、操縦者が保持する免許が、一級船舶、二級船舶、特殊船舶、水上バイク、各免許有資格者、海技士(海、機関、通信、電子)1級~6級等の、各免許有資格者であるのかといった条件を所定の輸送手段に関する制約条件として物流経路を生成するようにしてもよい。船舶の種別には、フェリー、カーフェリー、貨客船、貨物船、漁船、水中翼船、高速船、帆船、ホバークラフト、釣船、タンカー、LPG船、蒸気船、潜水艇、水上タクシー、水上バス、冷凍船、ボート、LNG船、RORO船、クルーズ船、コンテナ船、鉱石運搬船、木材運搬船、ばら積み船、セメント運搬船、観光船、遊覧船等が含まれていてもよい。
【0054】
(航空機を利用する場合の制約条件)
航空機を利用して運搬を行う場合、離発着が発着可能な地点(空港、ヘリポート等)、空港の設備、発着する航空機の種類、航空機が離発着する時刻等を所定の輸送手段に関する制約条件として物流経路を生成するようにしてもよい。また、パイロットが保持する免許が、事業用操縦士(動力滑空機、上級滑空機、飛行船)、回転翼事業用操縦士、又は、定期運送操縦士であるのか、計器飛行証明を有しているか等の条件を所定の輸送手段に関する制約条件として物流経路を生成するようにしてもよい。航空機の種別には、有人飛行船、無人飛行船、軟式飛行船、半硬式飛行船、硬式飛行船、モーターグライダー、モーターパラグライダー、観光用飛行船、広告用飛行船、観光用気球、有人ヘリコプター、無人ヘリコプター、航空機の用途(遊覧飛行用、空撮、チャーター、農薬散布、空輸、報道、医療)、回転翼航空機普通N類、回転翼航空機輸送TA級、回転翼航空機輸送TB級等が含まれていてもよい。
【0055】
<物流経路の生成例>
続いて、経路生成装置1が、組み合わせ最適化処理装置を用いて、トラックとドローンを用いた複合物流を行うための物流経路を生成する際の具体例を説明する。
【0056】
(物流経路の生成例1)
図5は、物流経路の生成例1の概要を説明するための図である。具体例1は、配送元地点Xから、限界集落に存在する複数の配送先地点群Bに、トラック及びドローンを用いて荷物を配送するものとする。具体的には、荷物及びドローンを搭載したトラックを用いて、配送元地点Xから、ドローンの離発着が可能な離発着地点に移動する。続いて、荷物を搭載したドローンが離発着地点から離陸して複数の配送先に荷物を配達し、全ての配送先を回って離発着地点に戻る。続いて、ドローンを回収したトラックは、離発着地点から配送元地点Xに戻ることで配達が完了する。
【0057】
ここで、ドローンの離発着が可能な地点群Aには、離発着地点として複数の候補地点が含まれており、ドローンは、地点群Aのうち予め指定されたいずれかの地点にて離着陸を行う。また、離陸地点と着陸地点とは同一地点であってもよいし異なる地点であってもよい。異なる地点である場合、トラックは、ドローンが離陸した後、着陸地点に先回りして、ドローンが戻ってくるまで待機する。
【0058】
まず、生成部103は、地点群Aの中から離陸地点と着陸地点とを選択することで、トラックが走行する経路を生成する。具体的には、配送元地点Xから離陸地点及び着陸地点を経由して配送元地点Xに戻る経路を生成する。このとき、生成部103は、離陸地点及び着陸地点を、所定の道路又は所定のエリアの中から任意の2地点を選択するようにしてもよい。所定の道路は、例えば、ドローンが離発着可能な道路として予め定められた道路であってもよい。また、所定のエリアは、例えば、ドローンが離発着可能なエリアとして予め定められたエリアであってもよい。
【0059】
続いて、生成部103は、離陸地点から全ての地点Bを1回ずつ通って着陸地点に戻ってくるルートの探索を、組み合わせ最適化処理装置を用いて行う。例えば生成部103は、各地点間の直線距離を算出し、算出した直線距離をコスト(cost)とするイジングモデル又はQUBOを生成するようにしてもよい。生成部103は、ルートの探索を複数回(例えば、10回など)行うことで、複数の探索結果を得るようにしてもよい。
【0060】
続いて、生成部103は、他の離陸地点と他の着陸地点とを選択することで、トラックが走行する他の経路を生成する。また、生成部103は、選択された他の離陸地点から全ての地点Bを通って他の着陸地点に戻ってくるルートの探索を、組み合わせ最適化処理装置を用いて行う。同様に、生成部103は、ルートの探索を複数回(例えば、10回など)行うことで、複数の探索結果を得るようにしてもよい。
【0061】
生成部103は、これらの手順を、全ての離陸地点と着陸地点との組み合わせについて行うことで、複数の物流経路の候補を得る。
【0062】
続いて、生成部103は、得られた複数の物流経路の候補のうち、トータル距離が短い順に複数の物流経路(例えば5つの物流経路)を選択する。続いて、UI部104は、選択された複数の物流経路をディスプレイ等に表示する。
【0063】
図6図11を用いて、物流経路の生成例1の具体例を説明する。図6に示すように、離着陸地点の候補地点が3地点(A1~A3)存在し、配送先が9地点(B1~B9)存在すると仮定する。この場合において、離着陸地点が同一地点である場合にドローンが通る地点の組み合わせを、図7のA~Cに示し、離着陸地点が異なる地点である場合にドローンが通る地点の組み合わせを、図8のA~Cに示す。また、各々の図について、組み合わせ最適化処理装置を用いてルートの探索を行った結果の一例を、図9のA~C及び図10のA~Cに示す。なお、図10のAは、離陸地点が地点A1であり着陸地点が地点A2である場合における探索結果と、離陸地点が地点A2であり着陸地点が地点A1である場合における探索結果の両方を含む。図10のB及びCについても同様である。
【0064】
例えば、組み合わせ最適化処理装置により図9のAに示す結果が得られた場合、生成部103は、トラックが配送元地点Xから離発着地点A1に移動し、地点A1から飛び立ったドローンが、地点B4、地点B5、地点B6、地点B3、地点B7、地点B8、地点B9、地点B1、地点B2を通って離発着地点A1に戻り、ドローンを回収したトラックが離発着地点A1から配送元地点Xに戻るまでのトータルの物流経路について、総移動距離を算出する。このとき、生成部103は、トラックが配送元地点Xから離発着地点A1に移動し、配送元地点Xに戻るまでのルートの移動距離を直線距離で計算するのではなく、地図データにマッピングすることで、道路を走行した場合における実際の距離に置き換えた上で移動距離を計算するようにしてもよい。一方、ドローンの飛行ルートについては直線距離で計算するようにしてもよい。生成部103は、同様の計算を、図9のB及びC、図10のA~Cのパターン全てについて行うことで、トータル距離が短い順に複数の物流経路(例えば5つの物流経路)を選択する。
【0065】
(物流経路の生成例2)
図11は、物流経路の生成例2を説明するための図である。具体例2は、複数の限界集落(C1~C6)に荷物を配送するものとする。また、具体例2では、配送元地点Xから出発したトラックは、トラックターミナルMにてドローンを搭載した後で各限界集落を回るものとする。また、各限界集落では、ドローンが各配送先を回ることで荷物を配達していくものとする。荷物を配り終わったトラックは、トラックターミナルMでドローンを下ろしてから配送元地点Xに戻るものとする。各限界集落(C1~C6)には、具体例1と同様、ドローンの離発着が可能な複数の地点を含む地点群Aと、複数の配送先を含む配送先地点群Bとが含まれる。
【0066】
まず、生成部103は、地点Mの中から任意の中継地点を1つ選択し、トラックが走行する経路を生成する。具体的には、配送元地点XからトラックターミナルMを経由して配送元地点Xに戻る経路を生成する。このとき、生成部103は、トラックターミナルMを、予め地図データに格納されているトラックターミナルの中から選択するようにしてもよい。続いて、生成部103は、各限界集落に存在する地点群Aの中から、ドローンが離発着する地点(離発着で同一地点であってもよいし、離発着で異なる地点であってもよい)を、限界集落ごとに選択する。
【0067】
続いて、生成部103は、トラックターミナルMから各限界集落においてドローンが離発着する地点を1回ずつ通ってトラックターミナルMに戻ってくるルートの探索を、組み合わせ最適化処理装置を用いて行う。
【0068】
続いて、生成部103は、他のトラックターミナルMと、各限界集落に存在する地点群Aの中から、ドローンが離発着する他の地点を、限界集落ごとに選択する。また、生成部103は、選択された他のトラックターミナルMから各限界集落においてドローンが離発着する他の地点を1回ずつ通ってトラックターミナルMに戻ってくるルートの探索を、組み合わせ最適化処理装置を用いて行う。
【0069】
このとき、生成部103は、各地点間の直線距離をそのままコスト(cost)とするのではなく、地図データに含まれる道路データとマッチングを行うことで、各地点間をトラックが走行する場合の走行距離を検索し、検索した走行距離をコスト(cost)とするイジングモデル又はQUBOを生成するようにしてもよい。これにより、実際の走行距離に即した経路探索を行うことができる。
【0070】
生成部103は、以上説明した手順を繰り返し行うことで、全てのトラックターミナルMと、各限界集落に存在する地点群Aに含まれる離発着地点を通る全ての組み合わせについて、組み合わせ最適化処理装置を用いて物流経路の探索を行う。更に、生成部103は、当該全ての組み合わせの各々について、物流経路の生成例1で説明した処理を行うことで、各限界集落内においてドローンが配送を行う物流経路も探索する。
【0071】
続いて、生成部103は、探索により得られた複数の物流経路の候補のうち、トータル距離が短い順に複数の物流経路(例えば5つの物流経路)を選択する。続いて、UI部104は、選択された複数の物流経路をディスプレイ等に表示する。
【0072】
ここで、生成部103は、各限界集落に存在する地点群Aの中から、ドローンが離発着する1つの地点を予め固定的に定めておき、当該1つの地点を、ドローンが離発着する地点とみなすようにしてもよい。例えば、図12に示すように、限界集落が6地点(C1~C6)存在し、トラックターミナルMが3か所(M1~M3)存在する場合を想定する。地図全体の面積のうち、地点群Aが存在するエリアの範囲はごく一部であることから、予め固定的に定めた1つの地点にてドローンが離発着を行うものとして経路探索を行ったとしても、地点群Aの中からドローンの離陸地点及び着陸地点の全ての組み合わせについて経路探索を行う方法と比較して、誤差はそれほど生じないものと考えられる。
【0073】
これにより、生成部103は、トラックターミナルMから各限界集落においてドローンが離発着する地点(予め固定的に定められた地点)を1回ずつ通ってトラックターミナルMに戻ってくるルートの探索を、トラックターミナルMの数だけ繰り返し行えばよいため、計算処理を簡略化でき、処理速度を向上させることができる。
【0074】
図12図14を用いて物流経路の生成例2の具体例を説明する。図12に示すように、限界集落が6地点(C1~C6)存在し、トラックターミナルMが3か所(M1~M3)存在すると仮定する。また、説明を簡略化するために、各限界集落においてドローンが離発着する地点は予め固定的に指定されている(図12のAC1~AC6)ものと仮定する。
【0075】
この場合において、トラックがトラックターミナルM1を経由して各限界集落を回る場合にトラックが通る地点の組み合わせを図13のAに示す。同様に、トラックがトラックターミナルM2を経由して各限界集落を回る場合にトラックが通る地点の組み合わせを図13のBに示す。同様に、トラックがトラックターミナルM3を経由して各限界集落を回る場合にトラックが通る地点の組み合わせを図13のCに示す。また、図13のA~Cの各々に示す地点の組み合わせに対して、組み合わせ最適化処理装置を用いて経路探索を行うことで得られた巡回順序の一例を、図14のA~Cに示す。
【0076】
続いて、生成部103は、具体例1で説明した手順を用いて、限界集落C1~C6の各々について、ドローンが荷物を全ての配送先地点に運ぶ際の移動距離を算出する。例えば限界集落C1の場合、生成部103は、地点AC1からドローンが離陸して各配送先地点を回って地点AC1に戻ってくるまでの巡回順序を、組み合わせ最適化処理装置を用いて探索し、探索された順序で配送先を巡回した場合の移動距離を算出する。
【0077】
続いて、生成部103は、組み合わせ最適化処理装置を用いて探索された3パターンの物流経路(図14のA~C)について、移動距離をパターンごとに算出し、算出結果に各限界集落においてドローンが巡回する際の移動距離を加算することで、各物流経路における総移動距離を算出する。続いて、生成部103は、総移動距離が短い順に所定数の物流経路を選択し、UI部104は、選択された所定数の物流経路をディスプレイ等に表示する。なお、図12図14の例では、物流経路が3パターンしかないことから、UI部104は、これらの3パターンの物流経路を、総移動距離と共にディスプレイ等に表示するようにしてもよい。
【0078】
<ドローンの離陸及び着陸>
本実施形態では、ドローンの離陸が可能な地点でドローンに荷物を搭載して離陸させ、ドローンの着陸が可能な地点で、ドローンを回収するようにした。このとき、ドローンは、離発着をトラックの上で行うようにしてもよい。このような動作を実現するために、ドローン及びトラックに高精度なGPS信号(例えば、みちびきの信号等)を受信可能な受信器を搭載することで、ドローン及びトラックが数センチメートル単位の精度で自身の位置を測位できるようにしておく。また、サーバ10は、ドローンとトラックに対して、ドローンの着陸地点を指定するデータ(例えば緯度、経度及びトラックの天井の高さ)を、無線通信等を介して通知しておく。
【0079】
トラックは、ドローンが戻ってくる前に、ドローンが着陸する地点の真下に移動しておく。ドローンは、全ての配送先地点を回って着陸地点に戻ると、予めサーバ10から通知された着陸地点の上空に移動する。続いて、ドローンは、GPS信号を受信して自身の高度を計測しながら徐々に高度を下げていき、トラックの上に着陸する。
【0080】
ここで、ドローンは、風の影響を受けて左右に振られることで、着陸地点の真上で静止することが出来ないことが想定される。この場合、ドローンは、ドローン自身の高度が着陸地点の高度から所定の範囲内であり、かつ、ドローン自身の水平面での位置が、着陸地点から半径10cmの範囲に2度目に収まったタイミングで、トラックに着陸する。これにより、風の影響を受けてドローンが左右に振られる場合であっても、トラックの上部という狭い範囲に着陸することが可能になる。
【0081】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、経路生成装置1は、経路探索を非常に高速に実行可能な組み合わせ最適化処理装置を何度も動作させながら試行錯誤を繰り返すことで、概ね最適と考えられる物流経路をより迅速に生成するようにした。これにより、複合物流を行う際の物流経路を、より迅速に決定することが可能な技術を提供することが可能になる。
【0082】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…経路生成装置、10…サーバ、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…最適化用コンピュータ、21…QPU/FPGA/CPU+GPU、22…組み合わせ最適化処理装置、23…制御装置、24…通信IF、101…記憶部、102…入力部、103…生成部、104…UI部
図1
図2
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