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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】移動式陳列販売装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/025 20060101AFI20240423BHJP
   A47F 3/11 20060101ALI20240423BHJP
   A47F 3/08 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A47F5/025
A47F3/11
A47F3/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023191419
(22)【出願日】2023-11-09
【審査請求日】2023-11-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598109718
【氏名又は名称】亀山 和直
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】亀山 和直
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-051573(JP,A)
【文献】特開2020-019588(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112220307(CN,A)
【文献】中国実用新案第213308678(CN,U)
【文献】中国実用新案第211582391(CN,U)
【文献】中国実用新案第211833704(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00-13/08
B65G 1/00- 1/20
B65G17/00-17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔をあけて複数の収納ボックスが移動可能に取付けられ、前記収納ボックス内に商品を収納し陳列させて、消費者に前記商品を販売するための移動式陳列販売装置であって、
第1スプロケットと第2スプロケットに巻き掛けられた無端搬送体と、
前記第1スプロケット及び前記第2スプロケットのいずれかを回転させることにより、前記無端搬送体を回動させて前記無端搬送体に取り付けた前記収納ボックスを移動させる動力源と、
前記収納ボックスからの前記商品の取出しを検知する商品取出センサと、
前記商品取出センサからの情報に基づき、一定期間の各商品の売上量を求め、前記売上量の多い商品を収納している前記収納ボックスを、前記移動式陳列販売装置が配置される店舗内の床面から150cm±30cmである消費者が見やすい位置となるように移動させる処理を行う制御部と、
を有することを特徴とする移動式陳列販売装置。
【請求項2】
前記移動式陳列販売装置が、店舗内の床面から天井までの空間に隙間が生じないように前記装置の高さを調節して配置される、請求項1に記載の移動式陳列販売装置。
【請求項3】
前記収納ボックスが複数の商品を収納可能であり、前記収納ボックスは、該収納ボックス内の商品の有無を検知する商品有無センサを有する、請求項1に記載の移動式陳列販売装置。
【請求項4】
前記商品有無センサからの情報に基づき、空になった前記収納ボックスが生じた場合、前記制御部は、空の前記収納ボックスを商品収納位置まで移動させると共に、店員に収納ボックスに商品の収納が必要であることを連絡する処理を行う、請求項3に記載の移動式陳列販売装置。
【請求項5】
前記収納ボックスは固有の収納ボックス番号が表示されており、前記制御部は、消費者が選択した前記収納ボックス番号を操作部で入力すると、該当する収納ボックスに収納されている商品名及び商品の説明を前記操作部の表示パネルに表示する処理を行う、請求項1に記載の移動式陳列販売装置。
【請求項6】
前記制御部は、消費者が選択した前記収納ボックス番号を操作部で入力し、かつ前記操作部の購入ボタンを押すと、該当する前記収納ボックスが商品取出位置まで移動する処理を行う、請求項5に記載の移動式陳列販売装置。
【請求項7】
前記無端搬送体が無端チェーンであり、前記無端チェーンを構成するチェーン単位におけるピンの一端を延伸し、前記ピンの延伸部に前記収納ボックスを取付ける、請求項1に記載の移動式陳列販売装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストア等の店舗内において好適に用いられる移動式陳列販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗用陳列棚は、店舗内の売場の床面と天井の間に固設して商品を陳列していた。この場合、消費者の手の届く範囲に棚を固定して商品を陳列する必要性から、床面から180cm程度の高さを有する陳列棚しか製作されていなかった。このため、どこにどのような商品が陳列されているのか消費者が識別し難く、陳列棚の頂面と店舗の建物の天井との間に無駄な空間が形成されてしまい、店舗内の売場空間が効率的に活用できず、別に商品の保管場所が必要になってしまうという課題があった。
【0003】
前記課題を解決するため、例えば、図1及び図2に示すように、数個の鎖車(6)を左右並列に固定し、これらにチェーン(2)を巻き掛け無端状に連結し、チェーン(2)に適当な間隔で陳列かご(1)を取り付け、陳列かご(1)のチェーン(2)への結合部(A)は丸ピンとし回転可能としておき、原動機(4)と伝動装置(5)の働きによってチェーン(2)を回動させることにより、陳列かご(1)を図1中矢印方向に移動させながら陳列できる移動式昇降陳列販売機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭59-189574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記提案によると、陳列棚の頂面と店舗の天井との間の空間を有効活用でき、商品の陳列量を従来に比べて増加させることができるが、商品の売上増加及び操作性の向上を図るための工夫が十分満足できるものではなく、更なる改良が必要であった。
【0006】
本発明は、店舗内の売場空間を効率的に活用できると共に、商品の売上増加及び操作性の向上を実現できる移動式陳列販売装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が開示する移動式陳列販売装置は、所定の間隔をあけて複数の収納ボックスが移動可能に取付けられ、前記収納ボックス内に商品を収納し陳列させて、消費者に前記商品を販売するための移動式陳列販売装置であって、
第1スプロケットと第2スプロケットに巻き掛けられた無端搬送体と、
前記第1スプロケット及び前記第2スプロケットのいずれかを回転させることにより、前記無端搬送体を回動させて前記無端搬送体に取り付けた前記収納ボックスを移動させる動力源と、
前記収納ボックスからの前記商品の取出しを検知する商品取出センサと、
前記商品取出センサからの情報に基づき、一定期間の各商品の売上量を求め、前記売上量の多い商品を収納している前記収納ボックスを消費者が見やすい位置となるように移動させる処理を行う制御部と、を有する。
【0008】
本発明の一態様において、前記移動式陳列販売装置が、店舗内の床面から天井までの空間に隙間が生じないように前記装置の高さを調節して配置される。
【0009】
本発明の一態様において、前記収納ボックスが複数の商品を収納可能であり、前記収納ボックスは、該収納ボックス内の各商品の有無を検知する商品有無センサを有する。
【0010】
本発明の一態様において、前記商品有無センサからの情報に基づき、空になった前記収納ボックスが生じた場合、前記制御部は、空の前記収納ボックスを商品収納位置まで移動させると共に、店員に収納ボックスに商品の収納が必要であることを連絡する処理を行う。
【0011】
本発明の一態様において、前記収納ボックスは固有の収納ボックス番号が表示されており、前記制御部は、消費者が選択した前記収納ボックス番号を操作部で入力すると、該当する収納ボックスに収納されている商品名及び商品の説明を前記操作部の表示パネルに表示する処理を行う。
【0012】
本発明の一態様において、前記制御部は、消費者が選択した収納ボックス番号を操作部に入力し、かつ前記操作部の購入ボタンを押すと、該当する前記収納ボックスが商品取出位置まで移動する処理を行う。
【0013】
本発明の一態様において、前記無端搬送体が無端チェーンであり、前記無端チェーンを構成するチェーン単位におけるピンの一端を延伸し、前記ピンの延伸部に前記収納ボックスを取付ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、店舗内の売場空間を効率的に活用できると共に、商品の売上増加及び操作性の向上を実現できる移動式陳列販売装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、従来の移動式昇降陳列販売機の一例を示す概略図である。
図2図2は、従来の移動式昇降陳列販売機における陳列かごの拡大概略図である。
図3図3は、本発明の移動式陳列販売装置の一例を示す正面から見た概略図である。
図4図4は、本発明の移動式陳列販売装置の一例を示す側面から見た概略図である。あパネルの一例を示す概略図である。
図5図5は、本発明の移動式陳列販売装置の無端搬送体に取り付けられた収納ボックスの一例を示す正面から見た概略図である。
図6図6は、本発明の移動式陳列販売装置の無端搬送体に取り付けられた収納ボックスの一例を示す側面から見た概略図である。
図7図7は、収納ボックスに設けられたセンサドグ及び光電センサの一例を示す正面から見た概略図である。
図8図8は、商品取出位置のセンサ取付台に設けられた近接センサ及び光電センサの一例を示す側面から見た概略図である。
図9図9は、本発明の移動式陳列販売装置の操作部における表示パネルの一例を示す概略図である。
図10図10は、本発明の移動式陳列販売装置の操作部及び制御部の一例を側面から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(移動式陳列販売装置)
本発明の移動式陳列販売装置は、無端搬送体と、動力源と、商品取出センサと、制御部とを有し、操作部及び商品有無センサを有することが好ましく、更に必要に応じてその他の部を有する。
【0017】
本発明においては、所定の間隔をあけて複数の収納ボックスが移動可能に取付けられ、前記収納ボックス内に商品を収納し陳列させて、消費者に前記商品を販売するための移動式陳列販売装置が、無端搬送体と、動力源と、商品取出センサと、制御部とを有することによって、店舗内の売場空間を効率的に活用できると共に、商品の売上増加及び操作性の向上を実現できる。
【0018】
前記移動式陳列販売装置は、店舗内の床面から天井までの空間に隙間が生じないように前記装置の高さを調節して配置できるので、店舗内の売場空間を有効活用できる。
前記移動式陳列販売装置の高さの調節は、店舗内の床面から天井までの空間の高さに応じて無端搬送体の長さを伸ばすことによって実現することができる。例えば、無端搬送体が無端チェーンである場合、無端チェーンを構成するチェーン単位を増やすことによって無端チェーンの長さを伸ばすことができる。
【0019】
<収納ボックス>
前記収納ボックスは、商品を収納する容器であり、その形状、大きさ、材質、構造、数などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記収納ボックスの形状及び大きさとしては、収納する商品の形状、大きさ、数などに応じて適宜選択することができる。
前記収納ボックスの材質としては、例えば、プラスチック、金属、ガラス、木材などが挙げられる。
前記プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリウレタン、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂、AS樹脂などが挙げられる。
前記金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、真鍮などが挙げられる。
前記収納ボックスが扉を有する場合、収納ボックス及び扉の材質は透明材料が用いられる。前記透明材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ガラスなどが挙げられる。
【0020】
前記収納ボックスの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であっても複数層構造であっても構わない。
前記収納ボックスの数としては、収納ボックスの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記収納ボックスの数は、無端搬送体に取り付け可能な範囲であれば特に制限はないが、10個以上が好ましく、15個以上がより好ましい。各収納ボックスは固有の番号が表示されており、収納ボックス番号に応じて収納される商品及び商品の説明があらかじめ登録されて、制御部で管理されている。
前記収納ボックスは、1個だけでなく複数の商品を収納することができる。複数の商品を収納する場合には、収納ボックス内に仕切が設けられることが好ましい。例えば、4個の商品を収納する場合には、縦方向又は横方向に3つの仕切が設けられる。なお、商品の形状及び大きさに応じて仕切の位置及び数を調整できる。
【0021】
前記収納ボックスは、収納ボックスから商品がすべて取り出され空になったことを検知する商品有無センサを有することが好ましい。前記商品有無センサとしては、例えば、光電センサ、質量センサなどが挙げられる。
【0022】
前記収納ボックスは取付部と収納部とを有する。前記取付部により無端搬送体に取り付けられ、前記収納部に商品を収納する。
【0023】
前記収納ボックスは、開閉可能な扉を有していることが好ましい。扉を有していると商品の種類によっては密閉した方がよい場合に適しており、また収納ボックスが移動する時の商品の落下を防止できる。前記扉は収納ボックス内の商品を認識できるように透明であることが好ましい。
前記収納ボックスが扉を有する場合、商品の出し入れは扉を開いて行う。収納ボックスに安全確認センサを設けておき、開閉扉が開いていると動力源が作動しないようにする。
前記収納ボックスは固有の収納ボックス番号が表示されており、消費者が容易に選択できるようになっている。
【0024】
前記収納ボックスに収納される商品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飲食品、菓子、衣類、トイレタリー用品、オーラルケア用品、サプリメント、文房具、玩具、小型電気製品などが挙げられる。
【0025】
<無端搬送体>
前記無端搬送体は、第1スプロケットと第2スプロケットに環状に巻き掛けられ、収納ボックスを取り付けて移動させる手段である。
前記無端搬送体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端チェーン、無端ベルトなどが挙げられる。これらの中でも、無端チェーンが耐久性及び価格の点から好ましい。
前記無端チェーンを構成するチェーン単位におけるピンのうち間隔を置いた前記ピンの一端を延伸し、前記ピンの延伸部に前記収納ボックスを取付けることが構成の簡便化の点から好ましい。
【0026】
前記第1スプロケット及び前記第2スプロケットは、無端搬送体に回転動力を伝達することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1スプロケット及び前記第2スプロケットは、円環状に形成されており、スプロケットの外周面には無端搬送体と噛み合わせられる歯車部を有している。
前記第1スプロケットは移動式陳列販売装置の上部(店舗内の天井側)、前記第2スプロケットは移動式陳列販売装置の下部(店舗内の床側)の2箇所にそれぞれ対をなすように配置されることが好ましい。
【0027】
<動力源>
前記動力源は、前記第1スプロケット及び前記第2スプロケットのいずれかを回転させることにより、前記無端搬送体を上下方向に回動させて前記無端搬送体に取り付けた前記収納ボックスを移動させる。
前記動力源としては、前記第1スプロケット及び前記第2スプロケットのいずれかの回転軸に取り付けられたモータ、又は駆動ベルトとモータの組み合わせなどが用いられる。
【0028】
<商品取出センサ>
前記商品取出センサは、収納ボックスからの商品の取り出しを検知する。収納ボックスに収納される商品の名称、商品の内容等の情報は、あらかじめ、操作部でバーコード読み取り、手入力等によって入力され、記録部に記憶されている。
前記商品取出センサの検知によって、消費者が一定期間に収納ボックスから取り出した(購入した)各商品の個数(売上量)を算出することができる。
前記商品取出センサとしては、収納ボックスからの商品の取り出しを検知することができれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、センサドグと近接センサの組み合わせなどが挙げられる。センサドグと近接センサの組み合わせによって、収納ボックスに複数の商品が収納されている場合でも、商品ごとの取り出しを検知することができる。
【0029】
<制御部>
前記制御部は、本発明の移動式陳列販売装置の各種機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することができ、例えば、専用の制御基板、MCU(Micro Controller Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)のような演算装置と、該演算装置上で実行されるソフトウェアとから構成することもできる。
前記制御部は、商品取出センサ、商品有無センサ、安全確認センサ等の各種センサからの情報、及び操作部からの入力情報などに基づいて各種処理を実行すると共に、移動式陳列販売装置の動作全般を制御する。
【0030】
前記制御部は、商品取出センサからの情報に基づき、一定期間の各商品の売上量を求め、前記売上量の多い商品を収納している前記収納ボックスを消費者が見やすい位置となるように移動させる処理を行う。これにより、売上量の多い商品が、消費者が見やすい位置(消費者の目に留まりやすい位置)に陳列されるので、商品の売上増加を実現できる。
前記商品取出センサからの電気信号を一定期間カウントし、各商品の売上量を求めることができる。前記一定期間とは、例えば、1週間、1カ月などが挙げられる。
前記売上量は、商品の購入数、又は商品の売上額であり、商品の在庫数を考慮して決定される。即ち、商品の売上量が多い場合であっても、当該商品の在庫がない場合には、当該商品を選択せず、次に売上量が多い商品を選択する処理を行う。
前記消費者が見やすい位置とは、消費者の目の位置を基準にして決定され、店舗の種類や消費者の年齢層に応じて異なるが、例えば、床面から150cm±30cmの位置が好ましい。
例えば、週間売上量が1位と2位の商品が収納されている収納ボックスが床面から150cmの高さの左右の位置となるように調整することができる。
収納ボックスを陳列する位置を消費者が見やすい位置に調整する方法としては、収納ボックスへの商品の入れ替えが無い場合には制御部によって自動制御で位置を調整する。収納ボックスへの商品の入れ替えが必要な場合には、商品の入れ替え作業を店員が手動で行った後、自動制御で位置を調整する。
【0031】
前記制御部は、前記商品有無センサからの情報に基づき、商品がすべて取り出され空になった前記収納ボックスが生じた場合、空の前記収納ボックスを商品収納位置まで移動させると共に、店員に商品の収納が必要であることを連絡する処理を行う。これにより、空の収納ボックスに商品を速やかに補充することができる。
前記制御部は、収納ボックスの商品収納位置までの移動が最短時間となるように調整する。
前記商品収納位置は、店員が収納ボックスに商品を収納し易い位置であれば特に制限はないが、床面から100cm±30cmの位置が好ましい。
前記店員への連絡方法としては、例えば、音声による通知、レジ端末画面への警告表示、携帯端末への連絡などが挙げられる。
【0032】
前記制御部は、消費者が選択した収納ボックス番号を操作部に入力すると、操作部の表示パネルに前記収納ボックスに収納されている商品名及び商品の説明を表示する処理を行う。これにより、消費者の商品選択が容易となる。収納ボックスに収納される商品の名称及び商品の説明は、あらかじめ、操作部でバーコード読み取り、手入力等により入力され、記録部に記憶されている。
前記制御部は、消費者が操作部に収納ボックス番号を入力し、かつ操作部の購入ボタンを押すと、該当する前記収納ボックスを商品取出位置まで移動させる処理を行う。これにより、消費者の商品受け取りが容易となる。収納ボックスの商品取出位置までの移動は最短時間となるように調整される。前記商品取出位置は、消費者が収納ボックスから商品を取り出し易い位置であれば特に制限はないが、床面から100cm±30cmの位置が好ましい。
前記制御部は、収納ボックスの商品取出位置までの移動が最短時間となるように調整する。
【0033】
<操作部>
前記操作部は、消費者が操作を行う操作キーと、操作内容、商品内容等を表示する表示パネルなどを有する。なお、前記操作部は音声機能を有することもできる。
消費者は、表示パネルの表示内容を確認しながら、操作を行うことができる。
前記操作部と制御部とはケーブルを介して電気的に接続されている。
【0034】
<その他の部>
前記その他の部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信部、記録部などが挙げられる。
【0035】
前記通信部としては、移動式陳列販売装置の外部と通信可能なものであれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、送受信機などが挙げられる。
【0036】
前記記録部としては、各種情報を記録することができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。
【0037】
ここで、本発明の移動式陳列販売装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。なお、各図面において、同一の構成部材には同一の符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で、好ましい数、位置、形状等にすることができる。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本開示を限定するものではない。これらの方向を示す用語は、特に明示しない限り、移動式陳列販売装置を正面視した場合の方向を意味している。
【0038】
<第1実施形態>
図3は本発明の移動式陳列販売装置を正面から見た概略図、図4は本発明の移動式陳列販売装置を側面から見た概略図、図5は収納ボックスを正面から見た拡大概略図、図6は収納ボックスを側面から見た拡大概略図である。
【0039】
図3及び図4に示す移動式陳列販売装置100は、店舗内の床面から天井までの空間に余分な隙間なく配置され、所定の間隔をあけて取付けられた複数の収納ボックス101を移動可能に有し、前記収納ボックス101内に商品を収納し陳列して、消費者に商品を販売するものである。
この移動式陳列販売装置100は、第1スプロケット103と、第2プロケット104と、第1スプロケット103と第2スプロケット104に巻き掛けられた無端搬送体102と、無端搬送体102に所定の間隔をあけて取付けられた複数の収納ボックス101とを有している。
【0040】
第1スプロケット103と第2スプロケット104の間に、環状の無端チェーン33が掛け渡され、外周面に設けられた歯車部によって無端搬送体102と噛合されている。
第1スプロケット103は移動式陳列販売装置100の上部(店舗内の天井側)、第2スプロケット104は移動式陳列販売装置100の下部(店舗内の床側)の2箇所にそれぞれ対をなすように配置されている。
図4に示すように、動力源105であるモータの作動により駆動ベルト124を介して第2スプロケット104が回転することにより、無端搬送体102を上下方向に沿って回動させて無端搬送体102に取り付けた収納ボックス101が移動される。無端搬送体102の回動方向は、時計回り及び反時計回りのいずれでもよく、動力源105であるモータの回転方向を切り替えることにより調整することができる。
【0041】
無端搬送体102としては、無端チェーンが用いられる。図6に示すように、無端チェーンを構成するチェーン単位120におけるピン121の一端を延伸し、ピン121の延伸部に収納ボックス101を取り付けることができる。収納ボックス101は延伸部にナット122で回動可能に固定されている。
【0042】
収納ボックス101はプラスチック製であり、本実施形態ではポリカーボネート樹脂を用いている。
収納ボックス101は、図5及び図6に示すように、取付部101aと収納部101bを有している。取付部101aにより無端搬送体102に取り付けられる。収納部101bにより商品を収納する。
収納ボックスの収納部101bは複数の商品を収納することができる。例えば、図5では、4個の商品を収納できるように、収納ボックスの横方向に3つの仕切123が設けられている。仕切123の位置は適宜調整可能である。
【0043】
収納ボックス101は、該収納ボックス内の各商品の有無を検知する商品有無センサとしての光電センサ113を有している(図7及び図8参照)。
光電センサ113からの情報に基づき、商品がすべて取り出され空になった収納ボックスが生じた場合、制御部107は、空の前記収納ボックスを商品収納位置まで移動させると共に、店員に商品の収納が必要であることを連絡する処理を行う。これにより、空の収納ボックスに商品を速やかに補充することができる。
前記商品収納位置は、店員が収納ボックスに商品を収納し易い位置であれば特に制限はないが、床面から100cm±30cmの位置が好ましい。本実施形態では、床面から100cmの位置とした。
前記店員への連絡方法としては、例えば、音声による通知、レジ端末画面への警告表示、携帯端末への連絡などが挙げられる。
制御部107は、動力源105であるモータを制御して収納ボックス101が商品収納位置まで移動する時間が最短となるように調整する。
【0044】
操作部106は、図9及び図10に示すように、消費者が操作を行う操作キーと、商品名及び商品内容等を表示する表示パネル106aを有する。操作部106と制御部107とはケーブルを介して電気的に接続されている。
【0045】
制御部107には、例えば専用の制御基板又はMCUを用いることができる。
制御部107は、商品取出センサからの情報に基づき、一定期間の各商品の売上量を求め、前記売上量の多い商品を収納している前記収納ボックスを陳列する位置を消費者が見やすい位置となるように調整する処理を行う。これにより、売上量の多い商品を消費者が見やすい位置、即ち、消費者の目に留まりやすい位置に陳列できるので、更なる売り上げの向上が望める。
【0046】
商品取出センサとしては、図7及び図8に示すようなセンサドグと近接センサの組み合わせが用いられる。これにより、収納ボックスに複数個の商品を収納した場合にどの商品を取り出したのかを検知でき、一定期間の売上量を求めることができる。
【0047】
図7では、収納される4個の商品に対応して、センサドグ1(108)、センサドグ2(109)、センサドグ3(110)、センサドグ4(111)と、センサドグN(112)が設けられている。センサドグ1とセンサドグNとが電気的に接続され、商品1を認識している。センサドグ1とセンサドグNとが電気的に接続され、商品1を認識している。センサドグ2とセンサドグNとが電気的に接続され、商品2を認識している。センサドグ3とセンサドグNとが電気的に接続され、商品3を認識している。センサドグ4とセンサドグNとが電気的に接続され、商品4を認識している。
【0048】
図8では、商品取出位置のセンサ取付台119には、近接センサ1(114)、近接センサ2(115)、近接センサ3(116)、近接センサ4(117)、すべての商品に共通の近接センサN(118)が設けられており、消費者が商品取出位置で商品を取り出すと、センサドグ1~4とセンサドグNとの電気的な接続状態となり、各近接センサによって、該当する商品の取出しを検知することができる。即ち、商品1~商品4のいずれを取り出したのかを検知することができる。
各商品の取出数を電気信号で一定期間カウントし、一定期間の売上量を求めることができる。本実施形態では、一定期間は1週間とし、週間売上量とした。
前記売上量は、商品の購入数、又は商品の売上額であり、商品の在庫数を考慮して決定される。即ち、商品の売上量が多い場合であっても、当該商品の在庫がない場合には、当該商品を選択せず、次に売上量が多い商品を選択する処理を行う。
【0049】
前記消費者が見やすい位置とは、消費者の目に留まりやすい位置であり、消費者の目の位置を基準にして決定され、店舗の種類や消費者の年齢層などに応じて異なるが、例えば、床面から150cm±30cmの位置が好ましい。本実施形態では、床面から150cmの位置とした。
本実施形態では、週間売上量の1位と2位の商品が収納されている収納ボックスが床面から150cmの高さの左右の位置となるように調整した。
収納ボックスを陳列する位置を消費者が見やすい位置となるように調整する方法としては、収納ボックスへの商品の入れ替えがない場合には制御部107によって自動で調整することができる。
【0050】
収納ボックス101は、消費者に認識できるように収納ボックス番号が表示されている。本実施形態では、図3に示すように、合計16個の収納ボックスが取り付けられており、取付部101aに収納ボックス番号(1)~(16)が表示されている。
制御部107は、図9に示すように、消費者が選択した収納ボックス番号を操作部106に入力すると、操作部106の表示パネル106aに収納ボックスに収納されている商品名及び商品の説明を表示する処理を行う。これにより、消費者の商品選択が容易となり、売上増加に寄与することができる。なお、収納ボックスに収納される商品の名称及び商品の説明は、あらかじめ、操作部106でバーコード読み取り、手入力等により入力され、記録部に記憶されている。
【0051】
制御部107は、図9に示すように、消費者が操作部106に収納ボックス番号を入力し、かつ操作部106の表示パネル106aの購入ボタンを押すと、該当する収納ボックスを商品取出位置まで移動させる処理を行う。これにより、消費者が商品の取出しをスムーズに行うことができ、操作性が向上する。なお、入力が間違えた場合や商品の購入をキャンセルする場合には表示パネル106aのリセットボタンを押すことで解除することができる。
前記商品取出位置は、店員が収納ボックスに商品を収納し易い位置であれば特に制限はないが、床面から100cm±30cmの位置が好ましい。本実施形態では、床面から110cmの位置とした。
制御部107は、動力源105であるモータを制御して収納ボックス101が商品取出位置まで移動する時間が最短となるように調整する。
【0052】
なお、第1実施形態における移動式陳列販売装置は、当該装置を複数台並列に並べて配置することができる。これにより、更に店舗内の売場空間を効率的に活用できる。
【0053】
以上、移動式陳列販売装置の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。
【符号の説明】
【0054】
100 移動式陳列販売装置
101 収納ボックス
101a 取付部
101b 収納部
102 無端搬送体
103 第1スプロケット
104 第2スプロケット
105 駆動源
106 操作部
106a 表示パネル
107 制御部
108 センサドグ1
109 センサドグ2
110 センサドグ3
111 センサドグ4
112 センサドグN
113 光電センサ
114 近接センサ1
115 近接センサ2
116 近接センサ3
117 近接センサ4
118 近接センサN
119 センサ取付台
123 仕切
【要約】
【課題】店舗内の売場空間を効率的に活用できると共に、商品の売上増加及び操作性の向上を実現できる移動式陳列販売装置の提供。
【解決手段】所定の間隔をあけて複数の収納ボックスが移動可能に取付けられ、前記収納ボックス内に商品を収納し陳列させて、消費者に前記商品を販売するための移動式陳列販売装置であって、第1スプロケットと第2スプロケットに巻き掛けられた無端搬送体と、前記第1スプロケット及び前記第2スプロケットのいずれかを回転させることにより、前記無端搬送体を上下方向に回動させて前記無端搬送体に取り付けた前記収納ボックスを移動させる動力源と、前記商品取出センサからの情報に基づき、一定期間の各商品の売上量を求め、前記売上量の多い商品を収納している前記収納ボックスを消費者が見やすい位置となるように移動させる処理を行う制御部と、を有する移動式陳列販売装置である。
【選択図】図3
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10