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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】部品供給装置および部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023514317
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2021015776
(87)【国際公開番号】W WO2022219824
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】粟野 之也
(72)【発明者】
【氏名】金澤 彩香
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-113803(JP,A)
【文献】特開2015-032622(JP,A)
【文献】特開2019-117825(JP,A)
【文献】特開2021-002690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持する部品供給テープを部品供給位置に送るとともに、前記部品供給位置において前記部品が取り出された前記部品供給テープを排出通路に向かって送る送りスプロケットと、
前記排出通路に設けられる排出スプロケットと、を備え、
前記排出スプロケットは、使用中の後続の前記部品供給テープである後続テープおよび使用済みの先行の前記部品供給テープである先行テープの両方の送り穴に同時に挿入可能な歯を有し、
前記排出スプロケットが回転されることによって、前記排出通路の前記先行テープが送られるように構成されている、部品供給装置。
【請求項2】
前記排出スプロケットは、動力を有しておらず、
前記排出スプロケットの前記歯が前記後続テープおよび前記先行テープの両方の前記送り穴に同時に挿入された状態で、前記送りスプロケットの駆動力によって前記後続テープが送られることによって、前記排出スプロケットが回転されて、前記排出通路の前記先行テープが送られるように構成されている、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記歯の高さは、前記部品供給テープの厚みよりも大きい、請求項1または2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記排出スプロケットおよび前記部品供給テープのうちの一方を、前記排出スプロケットおよび前記部品供給テープのうちの他方に向かって付勢するための付勢部をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記排出スプロケットの直径は、前記送りスプロケットの直径よりも小さく、
前記排出スプロケットの前記歯の数は、前記送りスプロケットの歯の数よりも少ない、請求項1~4のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記排出スプロケットの前記歯のピッチは、前記送りスプロケットの前記歯のピッチよりも小さい、請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記排出スプロケットの前記歯の幅は、前記送りスプロケットの歯の幅よりも小さい、請求項6に記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記排出通路に設けられるとともに、前記部品供給テープの曲げ癖を矯正する曲げ癖矯正機構をさらに備え、
前記排出スプロケットは、前記曲げ癖矯正機構と共に前記排出通路に設けられている、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項9】
部品を保持して基板に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドに前記部品を供給する部品供給部と、を備え、
前記部品供給部は、
前記部品を保持する部品供給テープを部品供給位置に送るとともに、前記部品供給位置において前記部品が取り出された前記部品供給テープを排出通路に向かって送る送りスプロケットと、
前記排出通路に設けられる排出スプロケットと、を含み、
前記排出スプロケットは、使用中の後続の前記部品供給テープである後続テープおよび使用済みの先行の前記部品供給テープである先行テープの両方の送り穴に同時に挿入可能な歯を有し、
前記部品供給部は、前記排出スプロケットが回転されることによって、前記排出通路の前記先行テープが送られるように構成されている、部品実装装置。
【請求項10】
前記排出スプロケットは、動力を有しておらず、
前記部品供給部は、前記排出スプロケットの前記歯が前記後続テープおよび前記先行テープの両方の前記送り穴に同時に挿入された状態で、前記送りスプロケットの駆動力によって前記後続テープが送られることによって、前記排出スプロケットが回転されて、前記排出通路の前記先行テープが送られるように構成されている、請求項9に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品供給装置および部品実装装置に関し、特に、部品供給テープによって部品を供給する部品供給装置および部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品供給テープによって部品を供給する部品供給装置が知られている。このような装置は、たとえば、特開2019-117825号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2019-117825号公報には、キャリアテープ(部品供給テープ)によって部品を供給するテープフィーダ(部品供給装置)が開示されている。このテープフィーダは、先行して送られるキャリアテープである先行テープと、先行テープの後に送られるキャリアテープである後続テープとを搬送可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-117825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特開2019-117825号公報には明記されていないが、上記特開2019-117825号公報に記載されるテープフィーダでは、使用済みの先行テープは、後続テープによって押し出されて排出されると考えられる。しかしながら、後続テープの先端によって先行テープを押し出して先行テープを排出する場合には、たとえば後続テープが先行テープの上に乗り上げることによって、後続テープが先行テープに重なってしまう場合がある。この場合、後続テープの先端によって先行テープを押し出すことができないため、先行テープを円滑に排出することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、後続テープが先行テープに重なってしまう場合にも、先行テープを排出通路から円滑に排出することが可能な部品供給装置および部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品供給装置は、部品を保持する部品供給テープを部品供給位置に送るとともに、部品供給位置において部品が取り出された部品供給テープを排出通路に向かって送る送りスプロケットと、排出通路に設けられる排出スプロケットと、を備え、排出スプロケットは、使用中の後続の部品供給テープである後続テープおよび使用済みの先行の部品供給テープである先行テープの両方の送り穴に同時に挿入可能な歯を有し、排出スプロケットが回転されることによって、排出通路の先行テープが送られるように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による部品供給装置では、上記のように、排出通路に排出スプロケットを設ける。排出スプロケットを、使用中の後続の部品供給テープである後続テープおよび使用済みの先行の部品供給テープである先行テープの両方の送り穴に同時に挿入可能な歯を有するように構成する。また、部品供給部を、排出スプロケットが回転されることによって、排出通路の先行テープが送られるように構成する。これにより、たとえば後続テープが先行テープの上に乗り上げることによって、後続テープが先行テープに重なってしまう場合にも、排出スプロケットによって先行テープを送ることができる。その結果、後続テープが先行テープに重なってしまう場合にも、先行テープを排出通路から円滑に排出することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品供給装置において、好ましくは、排出スプロケットは、動力を有しておらず、排出スプロケットの歯が後続テープおよび先行テープの両方の送り穴に同時に挿入された状態で、送りスプロケットの駆動力によって後続テープが送られることによって、排出スプロケットが回転されて、排出通路の先行テープが送られるように構成されている。このように構成すれば、排出スプロケットが動力を有する場合と異なり、排出スプロケットを駆動するモータなどの駆動部を設ける必要がない。その結果、排出スプロケットを含む排出機構の構成の簡素化および小型化を図ることができる。また、排出スプロケットを含む排出機構を小型化することができることは、設置スペースが比較的小さい排出通路に排出スプロケットを設ける場合に、非常に効果的である。
【0010】
上記第1の局面による部品供給装置において、好ましくは、歯の高さは、部品供給テープの厚みよりも大きい。このように構成すれば、排出スプロケットの歯の高さが部品供給テープの厚み以下である場合と異なり、排出スプロケットの歯を、後続テープ(部品供給テープ)および先行テープ(部品供給テープ)の両方の送り穴に確実に同時に挿入することができる。その結果、排出スプロケットの回転によって、後続テープおよび先行テープの両方を確実に送ることができる。
【0011】
上記第1の局面による部品供給装置において、好ましくは、排出スプロケットおよび部品供給テープのうちの一方を、排出スプロケットおよび部品供給テープのうちの他方に向かって付勢するための付勢部をさらに備える。このように構成すれば、付勢部の付勢力によって、排出スプロケットおよび部品供給テープを近接して配置することができる。その結果、排出スプロケットの歯を部品供給テープの送り穴に確実に挿入することができる。
【0012】
上記第1の局面による部品供給装置において、好ましくは、排出スプロケットの直径は、送りスプロケットの直径よりも小さく、排出スプロケットの歯の数は、送りスプロケットの歯の数よりも少ない。このように構成すれば、排出スプロケットを小型化することができる。その結果、設置スペースが比較的小さい排出通路においても、排出スプロケットを容易に配置することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、排出スプロケットの歯のピッチは、送りスプロケットの歯のピッチよりも小さい。ここで、送りスプロケットよりも小型の径の小さい排出スプロケットでは、排出スプロケットの歯のピッチを大型の径の大きい送りスプロケットと同じ歯の(根元の)ピッチにした場合、排出スプロケットよりも大型の送りスプロケットとは異なり、歯の先端同士が離れ過ぎてしまう場合があるため、排出スプロケットの歯が次々に部品供給テープの送り穴に挿入されない(嵌まらない)場合がある。そこで、上記のように、排出スプロケットの歯のピッチを、送りスプロケットの歯のピッチよりも小さくなるように構成する。このように構成すれば、送りスプロケットよりも小型の排出スプロケットでも、排出スプロケットの歯が次々に部品供給テープの送り穴に挿入される(嵌まる)ようにすることができる。その結果、排出スプロケットの回転によって、部品供給テープ(後続テープおよび先行テープ)を確実に送ることができる。
【0014】
上記排出スプロケットの歯のピッチは、送りスプロケットの歯のピッチよりも小さい構成において、好ましくは、排出スプロケットの歯の幅は、送りスプロケットの歯の幅よりも小さい。このように構成すれば、排出スプロケットの歯の幅を比較的細くすることができる。その結果、排出スプロケットの歯の幅が比較的太い場合に比べて、排出スプロケットの歯を部品供給テープの送り穴に、より挿入しやすく(嵌めやすく)することができる。
【0015】
上記第1の局面による部品供給装置において、好ましくは、排出通路に設けられるとともに、部品供給テープの曲げ癖を矯正する曲げ癖矯正機構をさらに備え、排出スプロケットは、曲げ癖矯正機構と共に排出通路に設けられている。このように構成すれば、曲げ癖矯正機構が設けられているために排出通路が複雑化する場合にも、排出スプロケットによって先行テープを排出通路から円滑に排出することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による部品実装装置は、部品を保持して基板に実装する実装ヘッドと、実装ヘッドに部品を供給する部品供給部と、を備え、部品供給部は、部品を保持する部品供給テープを部品供給位置に送るとともに、部品供給位置において部品が取り出された部品供給テープを排出通路に向かって送る送りスプロケットと、排出通路に設けられる排出スプロケットと、を含み、排出スプロケットは、使用中の後続の部品供給テープである後続テープおよび使用済みの先行の部品供給テープである先行テープの両方の送り穴に同時に挿入可能な歯を有し、部品供給部は、排出スプロケットが回転されることによって、排出通路の先行テープが送られるように構成されている。
【0017】
この発明の第2の局面による部品実装装置では、上記のように、排出通路に排出スプロケットを設ける。排出スプロケットを、使用中の後続の部品供給テープである後続テープおよび使用済みの先行の部品供給テープである先行テープの両方の送り穴に同時に挿入可能な歯を有するように構成する。また、部品供給部を、排出スプロケットが回転されることによって、排出通路の先行テープが送られるように構成する。これにより、たとえば後続テープが先行テープの上に乗り上げることによって、後続テープが先行テープに重なってしまう場合にも、排出スプロケットによって先行テープを送ることができる。その結果、後続テープが先行テープに重なってしまう場合にも、先行テープを排出通路から円滑に排出することが可能な部品実装装置を提供することができる。また、先行テープの未排出に起因してエラーが発生することを抑制することができるので、部品実装装置の生産性が低下することを抑制することができる。
【0018】
上記第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、排出スプロケットは、動力を有しておらず、部品供給部は、排出スプロケットの歯が後続テープおよび先行テープの両方の送り穴に同時に挿入された状態で、送りスプロケットの駆動力によって後続テープが送られることによって、排出スプロケットが回転されて、排出通路の先行テープが送られるように構成されている。このように構成すれば、排出スプロケットが動力を有する場合と異なり、排出スプロケットを駆動する動力部を設ける必要がない。その結果、排出スプロケットを含む排出機構の構成の簡素化および小型化を図ることができる。また、排出スプロケットを含む排出機構を小型化することができることは、設置スペースが比較的小さい排出通路に排出スプロケットを設ける構成において、非常に効果的である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、後続テープが先行テープに重なってしまう場合にも、先行テープを排出通路から円滑に排出することが可能な部品供給装置および部品実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態による部品実装装置を示す模式的な平面図である。
図2】第1実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態による部品供給部を示す模式的な側面図である。
図4】第1実施形態による部品供給テープを示す斜視図である。
図5】第1実施形態による部品供給部の部品供給テープの排出部を示す模式的な側面図である。
図6】第1実施形態による部品供給部の部品供給テープの排出部を示す斜視図である。
図7】第1実施形態による部品供給部の部品供給テープの排出について説明するための第1図である。
図8】第1実施形態による部品供給部の部品供給テープの排出について説明するための第2図である。
図9】第1実施形態による部品供給部の部品供給テープの排出について説明するための第3図である。
図10】第1実施形態による部品供給部の排出スプロケットを示す図である。
図11】第1実施形態による部品供給部の送りスプロケットを示す図である。
図12】第1実施形態による排出スプロケットの歯の部品供給テープの送り穴への挿入について説明するための第1図である。
図13】第1実施形態による排出スプロケットの歯の部品供給テープの送り穴への挿入について説明するための第2図である。
図14】比較例による排出スプロケットの歯の部品供給テープの送り穴への挿入について説明するための第1図である。
図15】比較例による排出スプロケットの歯の部品供給テープの送り穴への挿入について説明するための第2図である。
図16】第2実施形態による部品供給部を示す模式的な側面図である。
図17】第2実施形態による部品供給部の部品供給テープの排出について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1図15を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0023】
(部品実装装置の構成)
部品実装装置100は、図1および図2に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
【0024】
部品実装装置100は、基台1と、基板搬送部2と、ヘッドユニット3と、ヘッド水平移動機構部4と、部品撮像部5と、基板撮像部6と、制御部7(図2参照)と、部品供給部10と、を備えている。なお、部品供給部10は、請求の範囲の「部品供給装置」の一例である。
【0025】
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、基板搬送部2、後述するレール部42および部品撮像部5が設けられている。また、基台1内には、制御部7が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、部品Eを供給するための複数の部品供給部10が配置されている。
【0026】
基板搬送部2は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、搬入された基板Pを実装停止位置Paまで搬送するとともに、実装停止位置Paにおいてクランプ機構などの基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21を含んでいる。基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21により、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板搬送方向に基板Pを搬送するように構成されている。
【0027】
ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット3は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット3は、複数(5つ)の実装ヘッド31を含んでいる。実装ヘッド31は、部品Eを保持して基板Pに実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド31の先端には、部品Eを吸着するための吸着ノズル(図示せず)が着脱可能に構成されている。実装ヘッド31は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、吸着ノズルに部品Eを保持(吸着)するように構成されている。
【0028】
ヘッドユニット3は、実装ヘッド31の吸着ノズルを上下方向(Z方向)に移動させるZ軸モータ32(図2参照)と、実装ヘッド31の吸着ノズルを上下方向に延びる回転軸線回りに回転させるR軸モータ33(図2参照)とを含んでいる。実装ヘッド31は、Z軸モータ32により、所定の下降位置と、所定の上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、実装ヘッド31は、部品Eを保持した状態でR軸モータ33により回転されることにより、保持している部品Eの向きを調整可能に構成されている。
【0029】
ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を基板搬送方向(X方向)に移動可能に支持する支持部41と、支持部41を基板搬送方向と水平面内で直交する方向(Y方向)に移動可能に支持するレール部42とを含んでいる。支持部41は、基板搬送方向に延びるボールねじ軸41aと、ボールねじ軸41aを回転させるX軸モータ41bとを有している。ヘッドユニット3には、支持部41のボールねじ軸41aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット3は、X軸モータ41bによりボールねじ軸41aが回転されることにより、ボールねじ軸41aと係合するボールナットとともに、支持部41に沿って基板搬送方向に移動可能に構成されている。
【0030】
レール部42は、支持部41のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール42aと、Y方向に延びるボールねじ軸42bと、ボールねじ軸42bを回転させるY軸モータ42cとを有している。支持部41には、レール部42のボールねじ軸42bと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部41は、Y軸モータ42cによりボールねじ軸42bが回転されることにより、ボールねじ軸42bと係合するボールナットとともに、レール部42の一対のガイドレール42aに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0031】
ヘッド水平移動機構部4の支持部41およびレール部42により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3の実装ヘッド31は、部品供給部10の上方に移動して、部品供給部10から供給される部品Eを保持可能である。また、ヘッドユニット3の実装ヘッド31は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、保持された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0032】
部品撮像部5は、部品認識用のカメラである。部品撮像部5は、ヘッドユニット3の実装ヘッド31による部品Eの基板Pへの搬送中に、実装ヘッド31の吸着ノズルに保持された部品Eを撮像する。部品撮像部5は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、実装ヘッド31の吸着ノズルに保持された部品Eを撮像する。部品撮像部5による部品Eの撮像結果に基づいて、制御部7は、部品Eの状態(回転姿勢および実装ヘッド31に対する吸着位置)を取得(認識)する。
【0033】
基板撮像部6は、基板認識用のカメラである。基板撮像部6は、ヘッドユニット3の実装ヘッド31による基板Pへの部品Eの実装開始前に、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの上面に付された位置認識マークF(フィデューシャルマーク)を撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部6による位置認識マークFの撮像結果に基づいて、制御部7は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。
【0034】
図2に示すように、制御部7は、部品実装装置100の動作を制御する制御回路である。制御部7は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリとを含んでいる。制御部7は、基板搬送部2、部品供給部10、X軸モータ41bおよびY軸モータ42cなどを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pに部品Eを実装させる制御を行うように構成されている。
【0035】
(部品供給部の構成)
図3に示すように、部品供給部10は、部品供給テープTにより部品Eを供給するテープフィーダである。部品供給テープTは、リールRから供給されるとともに、リールRの軸心に巻き回されている。また、部品供給部10は、リールRから供給される部品供給テープTを部品供給位置Pb(部品保持位置、部品吸着位置)に送るように構成されている。部品供給位置Pbは、ヘッドユニット3の実装ヘッド31が部品Eを取得する位置である。
【0036】
図4に示すように、部品供給テープTは、部品Eを保持するように構成されている。具体的には、部品供給テープTは、キャリアテープT1と、カバーテープT2とを備えている。キャリアテープT1には、部品Eを収容(収納)する凹部T1aと、スプロケットの歯と係合する送り穴T1bとが形成されている。凹部T1aは、キャリアテープT1(部品供給テープT)が延びる方向に沿って所定のピッチで形成されている。また、送り穴T1bは、キャリアテープT1(部品供給テープT)が延びる方向に沿って所定のピッチP1で形成されている。カバーテープT2は、圧着および熱融着などにより、キャリアテープT1の上面に貼り付けられている。カバーテープT2は、キャリアテープT1の複数の凹部T1aを上側から被覆している。なお、詳細な説明は省略するが、カバーテープT2は、部品供給位置Pbの手前で、部品供給部10の部品露出機構(図示せず)により開かれる。
【0037】
図3に示すように、部品供給部10は、本体部10aを備えている。本体部10aには、テープ通路11が設けられている。テープ通路11は、本体部10aに形成された部品供給テープTが通る通路である。テープ通路11は、先行の部品供給テープTである先行テープTaが通る第1通路11aと、後続の部品供給テープTである後続テープTbが通る第2通路11bとを含んでいる。また、テープ通路11は、第1通路11aと第2通路11bとに対して送り方向の下流側に設けられ、第1通路11aと第2通路11bとの合流通路としての第3通路11cを含んでいる。第3通路11cには、供給状態に応じて、先行テープTa、または、後続テープTbのいずれかが通る。なお、以下では、先行テープTaと後続テープTbとを区別する必要がない場合には、先行テープTaと後続テープTbとを、単に部品供給テープTと称する。
【0038】
本体部10aでは、上記のように、テープ通路11として、第1通路11aおよび第2通路11bを設けることにより、予め、部品Eを補給するための後続テープTbを本体部10aに配置可能である。これにより、先行テープTaを使い切った後、スプライシング作業を行うことなく、後続テープTbを迅速に供給して部品Eを補給可能である。部品供給部10は、先行テープTaの使用が終了した場合、後続テープTbを自動的に送り、後続テープTbの使用を開始するオートローディング形式のフィーダである。なお、図3では、先行テープTaが第1通路11aおよび第3通路11cに通り、後続テープTbが第2通路11bに通った状態を示している。
【0039】
また、本体部10aは、部品供給テープTを送るテープ送り機構12を備えている。テープ送り機構12は、テープ通路11に沿って部品供給テープTを送るように構成されている。具体的には、テープ送り機構12は、複数(3つ)のスプロケット12a、12bおよび12cと、複数(2つ)の駆動モータ12dおよび12eとを含んでいる。スプロケット12a、12bおよび12cは、部品供給テープTの送り穴T1bに挿入される歯を有している。スプロケット12a、12bおよび12cは、歯が部品供給テープTの送り穴T1bに挿入された状態で回転することにより、スプロケット12a、12bおよび12cは、部品供給テープTを送るように構成されている。なお、スプロケット12bおよび12cは、請求の範囲の「送りスプロケット」の一例である。
【0040】
スプロケット12a、12bおよび12cは、送り方向の上流側から下流側に向かって、この順に配置されている。スプロケット12aは、本体部10aの送り方向の上流側の部分に配置されている。スプロケット12aは、第2通路11bの入口部の近傍に配置されている。スプロケット12aは、第2通路11bの入口部から導入された部品供給テープTを、下流側に配置されたスプロケット12bに送る。
【0041】
スプロケット12bおよび12cは、本体部10aの送り方向の下流側の部分に配置されている。スプロケット12bおよび12cは、部品供給位置Pbに対応する位置(部品供給位置Pbの近傍の位置)に配置されている。スプロケット12bおよび12cは、部品供給テープTを部品供給位置Pbに送るように構成されている。また、スプロケット12bおよび12cは、部品供給位置Pbにおいて部品Eが取り出された部品供給テープTを排出通路11dに向かって送るように構成されている。排出通路11dは、テープ通路11のうち、部品供給位置Pbにおいて部品Eが取り出された部品供給テープTが通る通路である。排出通路11dを通った部品供給テープTは、部品実装装置100内に部品供給部10とは別個に設けられたカッタースロープ90内に排出される。また、排出通路11dは、部品供給部10の本体部10aの先端に設けられている。
【0042】
駆動モータ12dは、スプロケット12aを回転させるモータである。駆動モータ12dは、駆動モータ12dの駆動力をスプロケット12aに伝達する駆動力伝達機構12fにより、スプロケット12aに接続されている。駆動力伝達機構12fは、たとえば、ベルト-プーリ機構である。なお、駆動力伝達機構12fは、ギヤ機構であってもよい。駆動モータ12eは、スプロケット12bおよび12cを回転させるモータである。駆動モータ12eは、駆動モータ12eの駆動力をスプロケット12bおよび12cに伝達する駆動力伝達機構12gにより、スプロケット12bおよび12cに接続されている。スプロケット12bおよび12cは、単一の駆動モータ12eにより同期して駆動される。駆動力伝達機構12gは、たとえば、ベルト-プーリ機構である。なお、駆動力伝達機構12gは、ギヤ機構であってもよい。
【0043】
ここで、部品供給部10では、先行テープTaを使い切った場合、使用済みの先行テープTaは、後続テープTbの先端によって押し出されることによって、排出通路11dから排出される。しかしながら、たとえば後続テープTbが先行テープTaの上に乗り上げることによって、後続テープTbが先行テープTaに重なってしまった場合(図7参照)、後続テープTbの先端によって先行テープTaを押し出して排出通路11dから排出することができない。また、後続テープTbの先端によって先行テープTaを押し出して排出通路11dから排出することができない場合、先行テープTaは、排出通路11dから飛び出した先端がカッタースロープ90に挿入された状態になるため、部品供給部10を部品実装装置100から取り外す場合に、先行テープTaがカッタースロープ90に引っかかる場合がある。この場合、部品供給部10を再び部品実装装置100に取り付ける際に、先行テープTaがカッタースロープ90に引っかかったままであると、部品供給部10とカッタースロープ90との間に先行テープTaが挟まれるとともに、挟まれた先行テープTaが次の部品供給テープTの排出を阻害する場合がある。この場合、エラーが発生して部品実装装置100の生産性が低下する場合がある。
【0044】
そこで、図5図9に示すように、第1実施形態では、部品供給部10は、排出通路11dに設けられる排出スプロケット13を備えている。排出スプロケット13は、使用中の後続の部品供給テープTである後続テープTbおよび使用済みの先行の部品供給テープTである先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入可能な歯13aを有している。また、部品供給部10は、排出スプロケット13が回転されることによって、排出通路11dの先行テープTaが送られるように構成されている。
【0045】
また、第1実施形態では、排出スプロケット13は、動力を有していない(モータ駆動でない)。また、部品供給部10は、排出スプロケット13の歯13aが後続テープTbおよび先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入された状態で、スプロケット12bおよび12cの駆動力(駆動モータ12eによる駆動力)によって後続テープTbが送られることによって、排出スプロケット13が回転されて、排出通路11dの先行テープTaが送られるように構成されている。
【0046】
具体的には、部品供給部10は、排出スプロケット13の歯13aが後続テープTbおよび先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入された状態で、後続テープTbが送られた場合、後続テープTbの送り穴T1bが排出スプロケット13の歯13aに当接することによって、後続テープTbの駆動力が排出スプロケット13に伝達されて排出スプロケット13が回転されるように構成されている。また、部品供給部10は、後続テープTbの送り穴T1bが排出スプロケット13の歯13aに当接することによって、排出スプロケット13が回転された場合、排出スプロケット13の歯13aが先行テープTaの送り穴T1bに当接することによって、排出スプロケット13の駆動力が先行テープTaに伝達されて、排出通路11dにおいて後続テープTbと重なった先行テープTaが送られるように構成されている。
【0047】
また、排出スプロケット13は、複数(2つ)設けられている。2つの排出スプロケット13のうちの一方は、排出通路11dの中央部の近傍に設けられている。また、2つの排出スプロケット13のうちの他方は、排出通路11dの出口部の近傍に設けられている。また、2つの排出スプロケット13は、部品供給テープTに対して一方側および他方側に設けられている。2つの排出スプロケット13のうちの一方は、歯13aが上方から部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されるように構成されている。また、2つの排出スプロケット13のうちの他方は、歯13aが下方から部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されるように構成されている。また、排出スプロケット13には、歯13aが複数設けられている。複数の歯13aは、周方向に略等角度間隔で設けられている。
【0048】
また、第1実施形態では、部品供給部10は、部品供給テープTの曲げ癖を矯正する曲げ癖矯正機構14を備えている。曲げ癖矯正機構14は、排出通路11dに設けられている。また、部品供給テープTの曲げ癖とは、部品供給テープTがリールRに巻き回されることによって部品供給テープTに付く巻き癖である。第1実施形態では、排出スプロケット13は、曲げ癖矯正機構14と共に排出通路11dに設けられている。
【0049】
曲げ癖矯正機構14は、部品供給テープTを曲げ癖方向とは反対方向に屈曲させることによって、部品供給テープTの曲げ癖を矯正するように構成されている。具体的には、曲げ癖矯正機構14は、複数(4つ)のローラ14a、14b、14cおよび14dと、レバー部14eと、付勢部14fとを含んでいる。複数のローラ14a、14b、14cおよび14dは、排出通路11dにおいて部品供給テープTを支持してガイドするように構成されている。また、複数のローラ14a、14b、14cおよび14dは、部品供給テープTを曲げ癖方向とは反対方向に屈曲させるように配置されている。
【0050】
ローラ14aは、複数のローラ14a、14b、14cおよび14dにおいて、最も上段の位置に配置されている。ローラ14aは、回転軸部15aに回転可能に支持されている。また、ローラ14bおよび14cは、複数のローラ14a、14b、14cおよび14dにおいて、中段の位置に配置されている。また、ローラ14bおよび14cは、部品供給テープTを挟み込むように構成されている。また、ローラ14bおよび14cは、それぞれ、回転軸部15bおよび15cに回転可能に支持されている。また、回転軸部15cは、排出スプロケット13(上流側の排出スプロケット)を回転可能に支持している。ローラ14cおよび排出スプロケット13は、共通の回転軸部15cによって支持されている。また、ローラ14dは、複数のローラ14a、14b、14cおよび14dにおいて、下段の位置に配置されている。また、ローラ14dは、回転軸部15dに回転可能に支持されている。また、回転軸部15dは、排出スプロケット13(下流側の排出スプロケット)を回転可能に支持している。ローラ14dおよび排出スプロケット13は、共通の回転軸部15dによって支持されている。
【0051】
レバー部14eは、本体部10aに設けられた回転軸部15eに回転可能に支持されている。また、レバー部14eは、付勢部14fの付勢力によって、回転軸部15eを回転中心として回転可能に構成されている。また、レバー部14eには、ローラ14bおよび14dが一体的に回転可能に設けられている。ローラ14bは、レバー部14eの中央部の近傍に設けられている。また、ローラ14dは、レバー部14eの回転軸部15e側とは反対側の端部に設けられている。また、レバー部14eは、付勢部14fの付勢力によって、ローラ14bおよび14dを部品供給テープTに押し付けるように構成されている。また、レバー部14eには、ローラ14dと共に排出スプロケット13(下流側の排出スプロケット)が一体的に回転可能に設けられている。
【0052】
付勢部14fは、付勢力を有するコイルばねである。付勢部14fは、レバー部14eを付勢するように構成されている。具体的には、付勢部14fは、レバー部14eを介して、ローラ14bおよび14dを部品供給テープTに向かって付勢するように構成されている。また、第1実施形態では、付勢部14fは、レバー部14eおよびローラ14bを介して、部品供給テープTを、排出スプロケット13(上流側の排出スプロケット)に向かって付勢するように構成されている。また、第1実施形態では、付勢部14fは、レバー部14eを介して、排出スプロケット13(下流側の排出スプロケット)を部品供給テープTに向かって付勢するように構成されている。また、付勢部14fの付勢力によって、厚みが互いに異なる部品供給テープTを扱うことが可能である。
【0053】
また、図4および図10に示すように、第1実施形態では、排出スプロケット13の歯13aの高さH(図10参照)は、部品供給テープT(キャリアテープT1)の厚みTh(図4参照)よりも大きい。すなわち、排出スプロケット13の歯13aの高さH(図10参照)は、2つの重なった部品供給テープTの送り穴T1b(先行テープTaおよび後続テープTbの両方の送り穴)に同時に挿入可能な大きさを有している。なお、部品供給テープTの厚みThは、複数種類の部品供給テープTのうちの最大厚みである。
【0054】
また、図10および図11に示すように、排出スプロケット13は、スプロケット12c(12b)よりも小型である。具体的には、排出スプロケット13の直径D1は、スプロケット12c(12b)の直径D2よりも小さい。また、排出スプロケット13の歯13aの数は、スプロケット12c(12b)の歯121の数よりも少ない。
【0055】
また、第1実施形態では、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2は、スプロケット12c(12b)の歯121のピッチP3よりも小さい。すなわち、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2は、部品供給テープTの送り穴T1bのピッチP1(図4参照)よりも小さい。また、スプロケット12c(12b)の歯121のピッチP3は、部品供給テープTの送り穴T1bのピッチP1と略等しい。ピッチP1、P2およびP3は、特に限られないが、たとえば、ピッチP1およびP3は4mm程度であり、ピッチP2は3.5mm程度である。また、ピッチP2およびピッチP3は、スプロケットの隣り合う歯の根元部間の周方向の長さを意味している。また、排出スプロケット13の歯13aの幅W1は、スプロケット12c(12b)の歯121の幅W2よりも小さい。具体的には、排出スプロケット13の歯13aは、根元部から先端部にわたって、スプロケット12c(12b)の歯121よりも細くなるように形成されている。
【0056】
ここで、図12図15を参照して、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2と、部品供給テープTの送り穴T1bとの関係について説明する。
【0057】
2つの部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されるために、排出スプロケット13の歯13aは、ある程度の高さが必要である。一方、排出スプロケット13は、スプロケット12c(12b)よりも小さいスプロケットであるため、スプロケット12c(12b)とは異なり、歯13aの先端のピッチと、歯13aの根元のピッチ(P2)との間に大きな差が発生する。このため、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2を、スプロケット12c(12b)の歯121のピッチP3と同程度の大きさにしてしまうと、排出スプロケット13の歯13aが次々に部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されることが困難になる。
【0058】
そこで、第1実施形態では、上記のように、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2は、スプロケット12c(12b)の歯121のピッチP3よりも小さい。これにより、排出スプロケット13の歯13aが次々に部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されることが可能である。
【0059】
図12および図13に示すように、たとえば、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2が3.5mmであり、隣り合う歯13aの先端の外側と外側との間の長さL1は、5.3mmであるとする。また、たとえば、部品供給テープTの送り穴T1bのピッチP1(およびスプロケット12c(12b)のピッチP2)が4mmであり、隣り合う送り穴T1bの外側と外側との間の長さL2は、5.5mmであるとする。この場合、排出スプロケット13の隣り合う歯13aの先端の外側と外側との間の長さL1が、部品供給テープTの隣り合う送り穴T1bの外側と外側との間の長さL2よりも小さいので、排出スプロケット13の歯13aが次々に部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されることが可能である。なお、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2が3.5mmで、部品供給テープTの送り穴T1bのピッチP1が4mmであるため、ピッチ同士は合っていないが、歯13aが送り穴T1bに挿入されれば、排出スプロケット13と部品供給テープTとの間で滑りが発生することによって、排出スプロケット13の歯13aが次々に部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されることが可能である。
【0060】
第1実施形態では、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2が、スプロケット12c(12b)の歯121のピッチP3よりも小さいことによって、排出スプロケット13の隣り合う歯13aの先端の外側と外側との間の長さL1が、部品供給テープTの隣り合う送り穴T1bの外側と外側との間の長さL2よりも小さくなっている。
【0061】
一方、図14および図15に示すように、比較例では、排出スプロケット113の歯113aのピッチが4mmであり、隣り合う歯113aの先端の外側と外側との間の長さL3は、5.9mmである。また、部品供給テープTの送り穴T1bのピッチP1(およびスプロケット12c(12b)のピッチP2)が4mmであり、隣り合う送り穴T1bの外側と外側との間の長さL2は、5.5mmである。この場合、排出スプロケット113の隣り合う歯113aの先端の外側と外側との間の長さL3が、部品供給テープTの隣り合う送り穴T1bの外側と外側との間の長さL2よりも小さいので、排出スプロケット113の歯113aが部品供給テープTの送り穴T1bと干渉してしまい、排出スプロケット113の歯113aが次々に部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されることができない。
【0062】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第1実施形態では、上記のように、排出通路11dに排出スプロケット13を設ける。また、排出スプロケット13は、使用中の後続の部品供給テープTである後続テープTbおよび使用済みの先行の部品供給テープTである先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入可能な歯13aを有する。また、部品供給部10は、排出スプロケット13が回転されることによって、排出通路11dの先行テープTaが送られるように構成されている。これにより、たとえば後続テープTbが先行テープTaの上に乗り上げることによって、後続テープTbが先行テープTaに重なってしまう場合にも、排出スプロケット13によって先行テープTaを送ることができる。その結果、後続テープTbが先行テープTaに重なってしまう場合にも、先行テープTaを排出通路11dから円滑に排出することができる。また、先行テープTaの未排出に起因してエラーが発生することを抑制することができるので、部品実装装置100の生産性が低下することを抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、排出スプロケット13は、動力を有しておらず、排出スプロケット13の歯13aが後続テープTbおよび先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入された状態で、スプロケット12c(12b)の駆動力によって後続テープTbが送られることによって、排出スプロケット13が回転されて、排出通路11dの先行テープTaが送られるように構成されている。これにより、排出スプロケット13が動力を有する場合と異なり、排出スプロケット13を駆動するモータなどの駆動部を設ける必要がない。その結果、排出スプロケット13を含む排出機構の構成の簡素化および小型化を図ることができる。また、排出スプロケット13を含む排出機構を小型化することができることは、設置スペースが比較的小さい排出通路11dに排出スプロケット13を設ける場合に、非常に効果的である。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、歯13aの高さHは、部品供給テープTの厚みThよりも大きい。これにより、排出スプロケット13の歯13aの高さHが部品供給テープTの厚みTh以下である場合と異なり、排出スプロケット13の歯13aを、後続テープTb(部品供給テープT)および先行テープTa(部品供給テープT)の両方の送り穴T1bに確実に同時に挿入することができる。その結果、排出スプロケット13の回転によって、後続テープTbおよび先行テープTaの両方を確実に送ることができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、部品供給部10は、排出スプロケット13および部品供給テープTのうちの一方を、排出スプロケット13および部品供給テープTのうちの他方に向かって付勢するための付勢部14fを備える。これにより、付勢部14fの付勢力によって、排出スプロケット13および部品供給テープTを近接して配置することができる。その結果、排出スプロケット13の歯13aを部品供給テープTの送り穴T1bに確実に挿入することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、排出スプロケット13の直径D1は、スプロケット12c(12b)の直径D2よりも小さい。また、排出スプロケット13の歯13aの数は、スプロケット12c(12b)の歯121の数よりも少ない。これにより、排出スプロケット13を小型化することができる。その結果、設置スペースが比較的小さい排出通路11dにおいても、排出スプロケット13を容易に配置することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2は、スプロケット12c(12b)の歯121のピッチP3よりも小さい。ここで、スプロケット12c(12b)よりも小型の径の小さい排出スプロケット13では、排出スプロケット13の歯13aのピッチP2を大型の径の大きいスプロケット12c(12b)と同じ歯の(根元の)ピッチ(P3)にした場合、排出スプロケット13よりも大型のスプロケット12c(12b)とは異なり、歯13aの先端同士が離れ過ぎてしまう場合があるため、排出スプロケット13の歯13aが次々に部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されない(嵌まらない)場合がある。そこで、上記のように、排出スプロケット13の歯13aのピッチを、スプロケット12c(12b)の歯121のピッチよりも小さくなるように構成する。これにより、スプロケット12c(12b)よりも小型の排出スプロケット13でも、排出スプロケット13の歯13aが次々に部品供給テープTの送り穴T1bに挿入される(嵌まる)ようにすることができる。その結果、排出スプロケット13の回転によって、部品供給テープT(後続テープTbおよび先行テープTa)を確実に送ることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、排出スプロケット13の歯13aの幅W1は、スプロケット12c(12b)の歯121の幅W2よりも小さい。これにより、排出スプロケット13の歯13aの幅を比較的細くすることができる。その結果、排出スプロケット13の歯13aの幅が比較的太い場合に比べて、排出スプロケット13の歯13aを部品供給テープTの送り穴T1bに、より挿入しやすく(嵌めやすく)することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、部品供給部10は、排出通路11dに設けられるとともに、部品供給テープTの曲げ癖を矯正する曲げ癖矯正機構14を備える。また、排出スプロケット13は、曲げ癖矯正機構14と共に排出通路11dに設けられている。これにより、曲げ癖矯正機構14が設けられているために排出通路11dが複雑化する場合にも、排出スプロケット13によって先行テープTaを排出通路11dから円滑に排出することができる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、図16および図17を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、排出通路に曲げ癖矯正機構が設けられた上記第1実施形態とは異なり、排出通路に曲げ癖矯正機構が設けられていない例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
(部品実装装置の構成)
本発明の第2実施形態による部品実装装置200は、図16および図17に示すように、上記第1実施形態の部品供給部10に代えて、部品供給部210を備えている。なお、部品供給部210は、請求の範囲の「部品供給装置」の一例である。
【0073】
第2実施形態では、部品供給部210では、排出通路11dに、上記第1実施形態の曲げ癖矯正機構14が設けられていない。また、部品供給部210は、本体部10aと、テープ通路11と、テープ送り機構12と、排出スプロケット213と、レバー機構214と、付勢部215とを備えている。
【0074】
ここで、第2実施形態では、排出スプロケット213は、排出通路11dに設けられている。排出スプロケット213は、使用中の後続の部品供給テープTである後続テープTbおよび使用済みの先行の部品供給テープTである先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入可能な歯213aを有している。また、部品供給部210は、排出スプロケット213が回転されることによって、排出通路11dの先行テープTaが送られるように構成されている。
【0075】
また、第2実施形態では、排出スプロケット213は、動力を有していない(モータ駆動でない)。また、部品供給部210は、排出スプロケット213の歯213aが後続テープTbおよび先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入された状態で、スプロケット12bおよび12cの駆動力(駆動モータ12eによる駆動力)によって後続テープTbが送られることによって、排出スプロケット213が回転されて、排出通路11dの先行テープTaが送られるように構成されている。
【0076】
具体的には、部品供給部210は、排出スプロケット213の歯213aが後続テープTbおよび先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入された状態で、後続テープTbが送られた場合、後続テープTbの送り穴T1bが排出スプロケット213の歯213aに当接することによって、後続テープTbの駆動力が排出スプロケット213に伝達されて排出スプロケット213が回転されるように構成されている。また、部品供給部210は、後続テープTbの送り穴T1bが排出スプロケット213の歯213aに当接することによって、排出スプロケット213が回転された場合、排出スプロケット213の歯213aが先行テープTaの送り穴T1bに当接することによって、排出スプロケット213の駆動力が先行テープTaに伝達されて、排出通路11dにおいて後続テープTbと重なった先行テープTaが送られるように構成されている。
【0077】
また、排出スプロケット213は、1つ設けられている。排出スプロケット213は、排出通路11dの出口部の近傍に設けられている。また、排出スプロケット213は、歯213aが下方から部品供給テープTの送り穴T1bに挿入されるように構成されている。また、排出スプロケット213には、歯213aが複数設けられている。複数の歯213aは、周方向に略等角度間隔で設けられている。
【0078】
レバー機構214は、レバー部214aと、回転軸部214bとを含んでいる。レバー部214aは、回転軸部214bに回転可能に支持されている。また、レバー部214aは、付勢部215の付勢力によって、回転軸部214bを回転中心として回転可能に構成されている。また、レバー部214aには、排出スプロケット213が一体的に回転可能に設けられている。レバー部214aでは、一端に回転軸部214bが設けられるとともに、他端に排出スプロケット213が設けられている。また、レバー部214eは、付勢部14fの付勢力によって、排出スプロケット213を部品供給テープTに押し付けるように構成されている。
【0079】
付勢部215は、付勢力を有するコイルばねである。付勢部215は、レバー部214aを付勢するように構成されている。具体的には、付勢部215は、レバー部214aを介して、排出スプロケット213を部品供給テープTに向かって付勢するように構成されている。また、付勢部215の付勢力によって、厚みが互いに異なる部品供給テープTを扱うことが可能である。
【0080】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0082】
第2実施形態では、上記のように、排出通路11dに排出スプロケット213を設ける。また、排出スプロケット213は、使用中の後続の部品供給テープTである後続テープTbおよび使用済みの先行の部品供給テープTである先行テープTaの両方の送り穴T1bに同時に挿入可能な歯213aを有する。また、部品供給部210は、排出スプロケット213が回転されることによって、排出通路11dの先行テープTaが送られるように構成されている。これにより、上記第1実施形態と同様に、後続テープTbが先行テープTaに重なってしまう場合にも、先行テープTaを排出通路11dから円滑に排出することができる。また、先行テープTaの未排出に起因してエラーが発生することを抑制することができるので、部品実装装置200の生産性が低下することを抑制することができる。
【0083】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0084】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0085】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、排出スプロケットが排出通路の中央部の近傍または排出通路の出口部の近傍に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、排出スプロケットが排出通路の入口部の近傍に設けられていてもよい。しかしながら、排出通路の先行テープを円滑に排出する観点からは、排出スプロケットが排出通路において送り方向の比較的下流側に設けられていることが好ましい。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態では、排出スプロケットの歯の幅は、送りスプロケットの歯の幅よりも小さい例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、排出スプロケットの歯の幅は、送りスプロケットの歯の幅と略同じか、または、送りスプロケットの歯の幅よりも大きくてもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、部品供給位置の近傍に送りスプロケットが2つ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、部品供給位置の近傍に送りスプロケットが1つのみ設けられていてもよい。
【0088】
また、上記第1実施形態では、排出スプロケットが2つ設けられている例を示し、上記第2実施形態では、排出スプロケットが1つ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上記第1実施形態において、排出スプロケットが1つまたは3つ以上設けられていてもよい。また、上記第2実施形態の構成において、排出スプロケットが2つ以上設けられていてもよい。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、排出スプロケットおよび部品供給テープのうちの一方を、排出スプロケットおよび部品供給テープのうちの他方に向かって付勢するための付勢部が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、付勢部を設けずとも排出スプロケットの歯が2つの部品供給テープの送り穴に同時に挿入可能である場合には、排出スプロケットおよび部品供給テープのうちの一方を、排出スプロケットおよび部品供給テープのうちの他方に向かって付勢するための付勢部が設けられていなくてもよい。
【0090】
また、上記第1実施形態では、曲げ癖矯正機構に3つのローラが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、曲げ癖矯正機構に1つまたは3つ以外の複数のローラが設けられていてもよい。
【0091】
また、上記第1実施形態では、排出スプロケットと曲げ癖矯正機構のローラとが、共通の回転軸部によって支持されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、排出スプロケットと曲げ癖矯正機構のローラとが、別々の回転軸部によって支持されていてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10、210 部品供給部(部品供給装置)
11d 排出通路
12b、12c スプロケット(送りスプロケット)
13、213 排出スプロケット
13a、213a 排出スプロケットの歯
14 曲げ癖矯正機構
14f 付勢部
31 実装ヘッド
100、200 部品実装装置
121 スプロケットの歯(送りスプロケットの歯)
215 付勢部
D1 排出スプロケットの直径
D2 スプロケットの直径(送りスプロケットの直径)
E 部品
H 排出スプロケットの歯の高さ
P 基板
Pb 部品供給位置
P2 排出スプロケットの歯のピッチ
P3 スプロケットの歯のピッチ(送りスプロケットの歯のピッチ)
T 部品供給テープ
Ta 先行テープ
Tb 後続テープ
Th 部品供給テープの厚み
W1 排出スプロケットの歯の幅
W2 スプロケットの歯の幅(送りスプロケットの歯の幅)
図1
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