(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】調整装置、調整システム、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H01F 7/122 20060101AFI20240423BHJP
H01F 7/14 20060101ALI20240423BHJP
H01F 7/18 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01F7/122 B
H01F7/14 D
H01F7/14 E
H01F7/18 K
H01F7/18 V
(21)【出願番号】P 2023516272
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021075120
(87)【国際公開番号】W WO2022053688
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】102020123803.7
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ガイスラー、ダニエル
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-341935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0078346(US,A1)
【文献】米国特許第09746665(US,B1)
【文献】米国特許第05659215(US,A)
【文献】特開2005-348505(JP,A)
【文献】特開平02-032748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233793(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0210323(US,A1)
【文献】特開2015-211552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/122
H01F 7/14
H01F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整装置(1)であって、前記調整装置(1)はベース部品(B1)と、調整体(10)と、少なくとも1つの撓みヒンジ(21)であって、前記撓みヒンジ(21)によって前記調整体(10)は撓みヒンジ回転軸線(D1)の周りで前記ベース部品(B1)上に回転可能にヒンジ結合されている、前記撓みヒンジ(21)と、少なくとも1つの駆動装置(C)と、を備えており、
前記調整体(10)は、前記駆動装置(C)を介して前記ベース部品(B1)に接続される調整体接続装置(AV)を備えており、
前記駆動装置(C)は前記ベース部品(B1)および
前記調整体接続装置(AV)に結合されており、前記駆動装置(C)の調整動作が
前記撓みヒンジ回転軸線(D1)の周りの前記調整体(10)の回転を引き起こすように、前記
調整体接続装置(AV)は前記撓みヒンジ回転軸線(
D1)から距離(H)をあけて位置しており、
前記駆動装置(C)は、
前記撓みヒンジ回転軸線(D1)に沿って延びているコイル軸線(AS)を有している電気コイルとしてのコイル(71)と、磁化可能な材料または磁化された材料からな
る補償部品(80)と、を備えているアクチュエータ(60)であって、前記補償部品(80)と前記コイル(71)とは互いに機械的に固定されている、前記アクチュエータ(60)と、
少なくとも1つの永久磁石セグメント(MS)であって、前記永久磁石セグメント(MS)は前記コイル軸線(AS)に延びている方向に非接触の距離で前記コイル(71)の横に位置する、少なくとも1つの前記永久磁石セグメント(MS)と、
を備えている、調整装置(1)。
【請求項2】
調整装置(1)であって、前記調整装置(1)はベース部品(B1)と、調整体(10)と、少なくとも1つの撓みヒンジ(21)であって、前記撓みヒンジ(21)によって前記調整体(10)は撓みヒンジ回転軸線(D1)の周りで前記ベース部品(B1)上に回転可能にヒンジ結合されている、少なくとも1つの前記撓みヒンジ(21)と、少なくとも1つの駆動装置(C)と、を備えており、
前記調整体(10)は、前記駆動装置(C)を介して前記ベース部品(B1)に接続される調整体接続装置(AV)を備えており、
前記駆動装置(C)は、前記ベース部品(B1)および
前記調整体接続装置(AV)に結合されており、前記
調整体接続装置(AV)は、前記駆動装置(C)の調整運動が
前記撓みヒンジ回転軸線(D1)の周りの
前記調整体(10)の回転を引き起こすように、前記撓みヒンジ回転軸線(
D1)から距離(H)をあけて位置しており、
前記駆動装置(C)は、
電気コイルとしてのコイル(71)を備えているアクチュエータ(60)であって、前記アクチュエータ(60)は、磁化可能な材料または磁化された材料からな
る補償部品(80)を備えており、前記補償部品(80)および前記コイル(71)は互いに機械的に固定されている、前記アクチュエータ(60)と、
少なくとも1つの永久磁石セグメント(MS)であって、前記永久磁石セグメント(MS)は、コイル軸線(AS)が延びている方向に非接触の距離で前記コイル(71)の横に位置する、少なくとも1つの前記永久磁石セグメント(MS)と、
を備えており、
それぞれの前記駆動装置が作動されると、前記コイルと前記永久磁石セグメントとの間の相対移動は、前記調整体の前記撓みヒンジ回転軸線と、それぞれの前記アクチュエータが結合された前記調整体接続装置と、によって
規定される平面に対して横方向に延びている相対移動方向に引き起こされる、
調整装置(1)。
【請求項3】
前記調整装置(1)は第2駆動装置(C)を備えており、
前記調整装置(1)が第1駆動装置(30)および前記第2駆動装置(40)を備えているように、前記第1駆動装置(30)および前記第2駆動装置(40)のそれぞれは前記調整体(10)の
第1および第2調整体接続装置(AV1、AV2)に結合されており、
前記
第1および第2調整体接続装置(AV1、AV2)は前記撓みヒンジ回転軸線(
D1)に関して対称的に反対である、
請求項1または2に記載の調整装置(1)。
【請求項4】
前記調整装置(1)は、少なくとも断面が中空リング状であるコイルハウジング(72)を備えており、前記コイル(71)は前記コイルハウジング(72)の内部に配置されており、
前記コイル(71)の周方向は、前記コイルハウジング(72)の周方向に沿って延びている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の調整装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの補償部品(80)は、前記コイル軸線(AS)で見て、前記コイルハウジング(72)を囲む外方空間に配置されている、
請求項4に記載の調整装置(1)。
【請求項6】
前記補償部品(80)は、前記コイル軸線(AS)で見て、前記コイルハウジング(72)の外周よりも外方に位置する外方空間に配置されている、
請求項4または5に記載の調整装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの駆動装置(C)は、磁石セグメント支持体(53)上に固定されている2つの永久磁石セグメント(MS11、MS12)をそれぞれの場合に備えており、
前記永久磁石セグメント(MS11、MS12)は、前記
撓みヒンジ回転軸線(D1)から見て前記アクチュエータ(60)の同じ側に位置するとともに、前記コイル(71)と前記永久磁石セグメント(MS11、MS12)との相対移動の方向において並んで配置されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の調整装置(1)。
【請求項8】
前記駆動装置(C)は、それぞれ2対の永久磁石セグメント(MS11、MS12、MS21、MS22)を備えており、
第1永久磁石セグメント(MS11、MS12)の対は第1磁石セグメント支持体(53)上に配置されており、
第2永久磁石セグメント(MS21、MS22)の対は第2磁石セグメント支持体(54)上に配置されており、
前記第1永久磁石セグメント(MS11、MS12)の対と、前記第2永久磁石セグメント(MS21、MS22)の対と、は前記
撓みヒンジ回転軸線(D1)から見て、前記アクチュエータ(60)の互いに異なる側に配置されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の調整装置(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記駆動装置(C)は、
前記調整体(10)の中心(Z)から見て、前記コイル(71)の少なくとも一方の側に位置する2つの永久磁石セグメント(MS11、MS12)の少なくとも1つの配列と、
前記永久磁石セグメント(MS11、MS12)の前記配列に面してそれぞれの場合に位置する少なくとも1つの側面(111)を備えている補償部品(80)と、
を備えており、
前記側面(111)は、少なくとも1つの表面部(113、114)を備えており、前記表面部(113、114)の向きは、それぞれの場合、前記コイル軸線(AS)に対して10度~40度の間の角度であり、前記中心(Z)から見たゼロ位置または基準状態におけるそれぞれの場合の角度は、前記永久磁石セグメント(MS11、MS12)の前記配列のうちでそれぞれより近い永久磁石セグメント(MS12)が位置する方向で開く、
請求項7または8に記載の調整装置(1)。
【請求項10】
前記調整装置(1)は、
センサ(8a):前記コイル(71)に流れる電流を捕捉する電流計と、
センサ(8b):
前記撓みヒン
ジまたは、複数の
前記撓みヒンジのうちの1つ、において、前記ベース部品(B1)に対する前記調整体(10)の回転動作を判定するための回転を捉える回転角センサと、
センサ(8c):前記アクチュエータ(60)に配置されている磁場センサであって、前記コイル(71)の周囲の空間における磁場の厚さや方向、または厚さや方向を捉える前記磁場センサと、
のうち少なくとも1つまたは複数を備えており、
前記調整装置は、センサ(8a)、(8b)、(8c)のうちの少なくとも1つのそれぞれの前記センサに動作可能に接続されたデータ管理装置を備えており、
前記データ管理装置は、
少なくとも1つのセンサによって捕捉された信号が受信されるとともに保存可能なセンサデータに変換されて保存されるようになっているインタフェース機能と、
前記センサデータが評価装置の受信装置に送信されるようになっている送信機能と、
を備えている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の調整装置(1)。
【請求項11】
調整システムであって、前記調整システムは、
請求項10に記載の調整装置(1)と、
前記評価装置と、
を備えており、前記評価装置は、
前記送信機能から前記センサデータを受信する受信機能と、
前記センサデータから前記調整装置(1)の動作状態値を割り当てる評価機能と、
を備えている、
調整システム。
【請求項12】
前記評価装置はメンテナンス機能を備えており、前記メンテナンス機能は、
複数の前記センサデータを少なくとも1つの設定値とで比較するとともに、
前記設定値をオーバーした場合またはアンダーショットした場合に、前記動作状態値を生成する、
請求項11に記載の調整システム。
【請求項13】
前記評価装置は表示装置を備えており、
前記表示装置は前記評価装置に動作可能に接続されているとともに、前記動作状態値を表示する、
請求項11または12に記載の調整システム。
【請求項14】
前記評価装置は、表示装置上で前記調整装置(1)の、
動作状態(Z1):前記調整装置(1)は通常動作中である、
動作状態(Z2):前記調整装置(1)は故障している、
動作状態(Z3):前記調整装置(1)の保守措置または安全点検の時期である、
のうちの1つまたは複数を示す少なくとも1つの前記動作状態値を決定する、
請求項11~13のいずれか1項に記載の調整システム。
【請求項15】
前記評価装置は、
前記調整装置(1)の数理モデルと、伝達機能と、によるシミュレーション機能を備えており、
前記伝達機能は、前記数理モデルに複数の前記センサデータを供給しており、
前記数理モデルは前記センサデータから、
部品(T1):前記駆動装置と、
部品(T2):前記調整体と、
のうち1つまたは複数の制御状態値を決定する、
請求項11に記載の調整システム。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載の前記調整システムの前記調整装置(1)において決定された
前記センサデータから、前記調整装置(1)の
前記動作状態値を割り当てる評価機能を
コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラ
ムであって、
前記評価機能は
、前記調整装置(1)の数理モデルと、伝達機能と、を有しているシミュレーション機能を備えており、
前記伝達機能は、複数の前記センサデータを前記数理モデルに供給しており、
前記数理モデルは前記センサデータから、
部品(T1):前記駆動装置と、
部品(T2):前記調整体と、
のうちの1つまたは複数の制御状態値を決定する
ことで、割り当てられた前記動作状態値を実現する、
コンピュータプログラ
ム。
【請求項17】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の調整装置(1)の数理モデル
によるシミュレーション機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラ
ムであって、
前記調整装置(1)の前記数理モデルは、前記コイルに対する電気入力信号の少なくとも1つの入力値に基づき、
部品(T1):前記駆動装置と、
部品(T2):前記調整体と、
のうちの1つまたは複数の制御状態値を決定する、
コンピュータプログラ
ム。
【請求項18】
前記調整装置(1)の
前記数理モデルは、前記駆動装置(C)の作動値による
前記撓みヒンジ(21)の動的挙動を機能的に取り込むことで、前記ベース部品(B1)に対する前記
撓みヒンジ回転軸線(D1)周りの前記調整体(10)の回転に伴う前記調整体(10)の調整状態値を決定する、
請求項
16~17のいずれか1項に記載のコンピュータプログラ
ム。
【請求項19】
前記調整装置(1)の
前記数理モデルは、前記コイルに対する入力信号の少なくとも1つの入力値に基づき前記駆動装置(C)の制御状態値を決定する駆動装置モデルを備えている、
請求項16~
18のいずれか1項に記載のコンピュータプログラ
ム。
【請求項20】
前記駆動装置モデルは、前記コイル(71)のための
前記入力信号に対する
前記入力値に基づき、前記コイル(71)、前記補償部品(80)、および前記永久磁石セグメント(MS)、の磁気相互作用を機能的に定義する、
請求項19に記載のコンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整装置、調整システム、およびコンピュータプログラム製品、に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワイヤボンドヘッドの動きがアクチュエータによって生成される調整装置を開示する。ワイヤボンドヘッドは、ホルダの第1端に取り付けられており、アクチュエータは、第1端の反対側に位置する第2端に取り付けられている。ホルダは、第1端と第2端との間のキャリア(担体)に、撓み(フレクシャ、屈曲)ヒンジによって取り付けられている。アクチュエータは金属製スリーブで構成されており、金属製スリーブの中には、互いに反対側に巻かれた2つのコイルが配置されている。コイル同士の軸線は、互いに同心に延びている(走る)とともに、かつ、スリーブの軸線と同心に延びている。コイルとスリーブは、キャリアに取り付けられている。強磁性体磁石は、コイルに配置されているとともに、ホルダの第2端に固定されている。コイルに電流が流れると、コイル内の強磁性体磁石が変位するので、キャリアに対してホルダが回転する。強磁性体の対応する磁化と、コイル内の強磁性体の相対的な位置と、によって構造ジョイントの復原力(復元力)が補償される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、低いエネルギー消費で正確な調整動作を可能にされているとともに、製造および組立の面でも有利な調整装置を提供することにある。
本発明の更なる目的は、調整装置の動作状態(オペレーティングステート)を決定することができる調整システムおよびコンピュータプログラム製品を提供することにある。
【0005】
これらの目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態は、これらの請求項を参照する従属請求項において規定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ベース部品(ベース構成要素、ベースコンポーネント、ベース部材)と、調整体と、少なくとも1つの撓みヒンジであって、少なくとも1つの撓みヒンジによって、調整体が撓み(フレクスチャ、屈曲)ヒンジ回転軸線を中心として(周りに)ベース部品に回転可能に取り付けられている、少なくとも1つの撓みヒンジと、少なくとも1つの駆動装置と、を備えている作動装置が提供される。少なくとも1つの駆動装置は、本発明の各実施形態において例えば調整経路に沿った調整体の作動移動(アクチュエーティングムーブメント)を生成するべく、調整体をベース部品に対して相対的に移動させるべく、ベース部品に結合されているとともに、撓みヒンジ回転軸線に対するレバーの形成によって、調整体接続装置に結合されている。
【0007】
駆動装置は、
電気コイルとしてのコイルを備えているアクチュエータであって、アクチュエータは磁化可能な材料または磁化された材料からなる少なくとも1つの補償部品(コンペンセイションコンポーネント、補償構成要素、補償材料、補償素子)を備えており、補償部品とコイルは互いに機械的に固定または固定可能にされている、アクチュエータと、および
それぞれの場合で、コイルの横でコイル軸線に延びている(走っている、走行している)方向に非接触距離で位置している少なくとも1つの永久磁石セグメントと、
を備えている。
【0008】
本発明によるすべての実施形態において、電気コイルは、撓みヒンジ回転軸線に沿って延びているコイル軸線を割り当てられることを提供することができる。コイルのコイル軸線は、本明細書では特に、コイルの幾何学的形状の直線状の重心線として定義することができる。コイル軸線のこの定義の代替として、コイル軸線は、コイルに電圧が印加されることでコイルに電流が流れる場合に生じる、通電コイルの中心曲率フリー(無し)の磁力線とで位置および方向において同一であるように定義することもできる。
【0009】
本発明によるすべての実施形態において、それぞれの駆動装置の少なくとも1つの永久磁石セグメントのそれぞれは、調整体回転軸線D1から見たときに、コイル軸線AS内の方向にまたはそれに沿った方向に分極されていることが提供され得る。
【0010】
本発明による全ての実施形態において、調整装置への駆動装置の取り付けは、2つの選択肢(a)、(b)のうちの1つに従って調整動作(調節運動)を実施するべく提供され得る:
(a)アクチュエータがベース部品に結合されている一方で、永久磁石セグメントは調整体接続装置に結合されている。
【0011】
(b)アクチュエータが調整体接続装置に結合されている一方で、永久磁石セグメントはベース部品に結合されている。
その結果、本発明による全ての実施形態において、少なくとも1つの永久磁石セグメントとアクチュエータ(アクター)は、互いに相対的に移動可能にされているように配置されていることで、この相対的な移動によって相対的な移動方向が引き起こされるようにする。本明細書において「相対移動方向」(相対的な移動方向)とは、特に、それぞれの駆動装置の作動に伴うコイルと永久磁石セグメントとの間の相対移動の前記方向またはその方向を意味する。本発明による全ての実施形態において、この相対的な移動方向が、調整体の撓みヒンジ回転軸線と、それぞれのアクチュエータが結合された調整体接続装置の撓みヒンジ回転軸線と、によって広げられる(スパンされる)平面に対して横方向に延びていることを提供することが可能にされている。
【0012】
この場合、コイルのコイル軸線は、一般に、異なる方向に、特に撓みヒンジ回転軸線に沿った方向に、または撓みヒンジ回転軸線に対して横方向に、延びていることができる。
永久磁石セグメントは、一般に、本明細書では特に強磁性体セグメントとすることができる。
【0013】
本発明による調整装置の各実施形態において、駆動装置は、特に、少なくとも1つの永久磁石セグメントのうちの少なくとも1つの永久磁石セグメントと、前記コイルの一部と、が前記少なくとも1つの永久磁石セグメントの運動の相対運動範囲において少なくとも部分的に重なり合うように設計されていてもよい。前記相対運動範囲は、コイル軸線で見て、前記少なくとも1つの永久磁石セグメントと前記アクチュエータとの、互いに対する運動を引き起こす。
【0014】
あるいは、駆動装置を備えた本発明による調整装置の各実施形態は、コイル軸線で見て、駆動装置の調整運動を引き起こす少なくとも1つの永久磁石セグメントとアクチュエータとの間の相対移動の1つの、特に全体の相対移動範囲において、少なくとも1つの永久磁石セグメントの少なくとも1つの永久磁石セグメントと、コイルの一部と、が重ならないとともに、それらの外周同士が最小距離まで接近するように設計することもできる。最小距離は、特に、コイルの直径に、特に0.001と0.25の値の範囲にあることができる係数を乗じた量から決定されることができる。
【0015】
代替的にまたは本発明による調整装置の実施形態に加えて、少なくとも1つの永久磁石セグメントとアクチュエータとの間の相対移動の限界に関して重複または最小距離が定義されており、この相対移動領域において、補償部品は、永久磁石セグメントに対して永久磁石セグメントと補償部品との間の磁気相互作用が変化する2つの位置の間で相対移動できることを定義することが可能にされている。
【0016】
本発明による調整装置の各実施形態において、特に駆動装置は、第1相対移動状態において、コイル軸線で見たときに、少なくとも1つの補償部品が少なくとも1つの永久磁石セグメントの1つの外方に位置する一方で、第2相対移動状態において、同じ補償部品と同じ永久磁石セグメントとが重なる(オーバーラップする)か、または少なくとも部分的にまたは完全に重なるように設計することができる。この場合、特に、この第2相対移動状態において、同じ補償部品と同じ永久磁石セグメントとが完全に重なり合うか、または完全に覆いかぶさることを提供することができる。第1相対移動状態は、特に、予め定められた基準状態とすることができる。
【0017】
コイルの第1側に、一対の永久磁石セグメント、すなわち第1永久磁石セグメントと第2永久磁石セグメントとの配列(配置、アレンジメント、構成)、を有している調整装置の実施形態では、任意にさらに、コイルに関して第1側とは反対側に位置する、コイルの第2側に位置する一対の永久磁石セグメント、すなわち、コイル軸線で見たときに、第1永久磁石セグメントと同じ高さに位置する追加第1永久磁石セグメントと、コイル軸線で見たときに、第2永久磁石セグメントと同じ高さに位置する追加第2永久磁石セグメントと、を備えていることができるとともに、以下の相対移動状態を設定できるように提供することができる。
【0018】
コイル軸線で見て、少なくとも1つの補償部品の各々が永久磁石セグメントの各々の外方に位置することができるか、または代替的に、少なくとも1つの補償部品の各々が、永久磁石セグメントの1対または永久磁石セグメントの2対の少なくとも1つの永久磁石セグメントを少なくとも部分的に覆う、第1相対移動状態(特に基準状態であってよい)であること。
【0019】
コイル軸線で見たときに、第1永久磁石セグメントと、第1永久磁石セグメントとで同じ高さに配置されている任意の追加第1永久磁石セグメントと、が前述の最小距離に近づいた、または少なくとも1つの補償部品の1つと、第1永久磁石セグメントおよび任意に追加第1永久磁石セグメントと、の間の少なくとも一部の重なりが起こった状態である第2相対移動状態であること。
【0020】
コイル軸線で見たときに、第2永久磁石セグメントと、それぞれ第2永久磁石セグメントと同じ高さに配置されている任意の追加第2永久磁石セグメントと、が前述の最小距離に近づいた、または少なくとも1つの補償部品の1つと、第2永久磁石セグメントおよび任意に追加第2永久磁石セグメントと、の間の少なくとも一部の重なりが起こった状態である第3相対移動状態であること。
【0021】
この点で、特に、第2相対移動状態および第3相対移動状態は、コイル軸線に対して、コイルとそれぞれの永久磁石セグメントとの間の相対移動の反対の極端な位置同士であり得る。
【0022】
少なくとも1対の永久磁石セグメントの配列を有している調整装置の実施形態では、第2相対移動状態および第3相対移動状態において復原力(復元力)を補償する保持力を生成するための規定を設けることができ、この保持力は、特に、コイルと撓みヒンジのそれぞれの永久磁石セグメントとの間の相対移動のそれぞれの瞬時位置で生じる復原力の少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、である。この点で本発明による特に最適化された調整装置では、復原力を補償する保持力は、復原力の少なくとも90%、あるいは少なくとも95%、にすることもできる。
【0023】
少なくとも1つの駆動装置が、第1永久磁石セグメントおよび任意選択で追加第1永久磁石セグメントのみを備えている、本発明による調整装置の実施形態において、特に基準状態とすることができる第1相対移動状態と、第2相対移動状態と、はコイル軸線に関して互いに反対であるコイルとそれぞれの永久磁石セグメントとの間の相対移動の極限位置であると規定することが可能にされている。この場合、特に、コイル軸線が、撓みヒンジ回転軸線に沿うように延びている(走行する、走っている)ことを備えていることができる。この代替として、コイルと永久磁石セグメントとの間の相対的な移動方向は、調整体の撓みヒンジ回転軸線と、それぞれのアクチュエータが結合された調整体接続装置の撓みヒンジ回転軸線と、によって広げられる平面に対して横方向に延びていることを規定することができる。この場合、コイル軸線は、撓みヒンジ回転軸線に対して横方向に延びていることを備えていることもできる。
【0024】
少なくとも1つの駆動装置が、第2永久磁石セグメントおよび任意選択で追加第2永久磁石セグメントのみを備えている、本発明による調整装置の実施形態では、特に基準状態であってもよい第1相対移動状態と、第3相対移動状態と、はコイル軸線に関して互いに反対であるコイルとそれぞれの強磁性セグメントとの間の相対移動の極限位置であることが提供され得る。
【0025】
本発明による調整装置の各実施形態において、補償部品は、少なくとも1つの駆動装置において、駆動装置の調整機構によって、コイルまたはコイルハウジングに対する調整範囲内の相対位置で調整可能にされているように規定することが可能にされている。調整機構によって、補償部品は、調整機構の固定装置によって、調整範囲内のこの調整された相対位置で、コイルまたはコイルハウジングに対して相対的に固定されることができる。相対位置を適合させることによって、特に、少なくとも1つの撓みヒンジの復原力が完全にまたは部分的に補償されるアクチュエータ(作用部)の調整領域を、個々の場合において、調整範囲全体内で適合および最適化することができる。この場合、特に、調整範囲は、コイル軸線ASに対して横方向にコイルの平均直径の最大50%にわたって延びていることを規定することができる。
【0026】
少なくとも1つの調整体接続装置の各々は、調整体回転軸線から距離を置いて位置しており、その距離は、コイルの最小直径の少なくとも10分の1であることが提供され得る。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、調整装置が提供されており、この調整装置は、ベース部品と、調整体と、少なくとも1つの撓みヒンジであって、この撓みヒンジによって調整体が撓みヒンジ回転軸線を中心としてベース部品に回転可能に取り付けられる、少なくとも1つの撓みヒンジと、駆動装置と、を備えている。駆動装置はアクター(アクチュエータ)を備えており、駆動装置は、撓みヒンジ回転軸線に対してレバーを形成しながらベース部品と調整体接続装置とに結合されており、駆動装置は、本明細書で定義される変形例の1つに準じて実現されている。本発明による調整装置のさらなる実施形態によれば、前記調整装置は、2つまたは2つ以上の駆動装置を備えており、これらの駆動装置は、ベース部品におよびそれぞれの調整体接続装置に結合されており、各駆動装置は、ベース部品におよび調整体接続装置に結合される。この場合、2つの駆動装置がそれぞれ調整体接続装置によって調整体に結合されているとともに、調整体接続装置同士は、撓みヒンジ回転軸線に関して互いに反対側に配置されていることを提供することが可能にされている。この場合、2つの駆動装置を、撓みヒンジ回転軸線に関して互いに反対側に配置することができる。調整装置の上述の各実施形態において、複数の調整体接続装置は、撓みヒンジ回転軸線に関して調整体の同じ側に配置することも可能にされている。
【0028】
ベース部品への駆動装置の結合は、好ましくは、それぞれの調整体接続装置の領域に位置するベース部品の領域、または調整体の中心から見て周方向両方向に最大85度、好ましくは最大45度、の角度範囲に位置する部分で行なわれる。一般に、ベース部材への駆動装置の結合は、ベース部材の任意の領域上に配置することができる。
【0029】
調整装置は、磁化可能な材料または磁化された材料で作られた少なくとも1つの補償部品を備えている。補償部品は、好ましくは、コイル軸線で見て、コイルのセクションの外方に配置される。特に、調整装置の各実施形態において、少なくとも1つの補償部品の配置は、以下の選択肢(K1)、(K2)のうちの1つまたは両方に従って各場合に提供することができる。
【0030】
(K1)コイル軸線で見て、コイルの内周によって囲まれた外方空間、または、少なくとも部分的に中空リング状のコイルハウジングの場合には、中空リング状のコイルハウジングによって囲まれた外方空間。
【0031】
(K2)コイル軸線方向から見て、コイルの外周の外方に位置する外方空間、または少なくとも一部が中空リング状のコイルハウジングの場合には、中空リング状のコイルハウジングの外周の外方に位置する外方空間。
【0032】
特に、本発明による調整装置またはアクチュエータの各実施形態において、コイル軸線で見たアクチュエータに対する少なくとも1つの永久磁石セグメントの移動範囲の少なくとも1つの区間で、少なくとも1つの永久磁石セグメントの永久磁石セグメントが、前述の最小距離までコイルのセクション(区間)または同じアプローチ自体に重なる、または少なくとも一部に重なるように、少なくとも1つの補償部品を設計および配置することができる。これらの場合、しかしそれとは別に、それぞれの駆動装置が復原力を補償する保持力を発生させるための規定を設けることができ、この保持力は、復原力の特に少なくとも0.1%、この場合特に少なくとも1%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、で撓みヒンジによるコイルとそれぞれの永久磁石セグメントとの相対移動のそれぞれの瞬間位置で発生する。この点で特に最適化された本発明による調整装置では、復原力を補償する保持力は、復原力の少なくとも90%、あるいは95%、であることも可能にされている。
【0033】
重なり合いまたは少なくとも断面的に重なり合うことは、特に、基準状態においても実現され得る。
特に、「基準状態」は、本明細書において、ゼロ位置、またはアクチュエータの調整状態、もしくはアクチュエータの出力状態、として言及され得る。代替的にまたは追加的に、「基準状態」は、特に、コイルに電流が流れないアクチュエータの調整状態を意味すると理解することができる。
【0034】
本発明による調整装置では、移動範囲の前述の区間(セクション)において、または特に前述のオーバーラップ領域において、または磁気相互作用によるコイルと少なくとも1つの永久磁石セグメントのそれぞれの1つとの間の相対移動の特に最小距離まで近づくとき、少なくとも1つの永久磁石セグメントのそれぞれの1つと少なくとも1つの補償部品との間に保持力が生じるので、これによって撓み(屈曲)ヒンジの偏向によって生じる復原力の、または相応の復原モーメントの、補償が行なわれる。復原力を補償する保持力は、復原力の特に少なくとも0.1%、この場合特に少なくとも1%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、とすることができる。補償する保持力は、調整体の偏向位置の場合、少なくとも1つの補償部品が、少なくとも永久磁石セグメントの近傍に-任意に最小距離で-来るか、または部分的に重なりながら永久磁石セグメントの横に位置することをもたらす。少なくとも1つの永久磁石セグメントと少なくとも1つの補償部品との間の先に述べた磁気的相互作用は、撓みヒンジの撓みまたは弾性変形による復原力または復原モーメントに作用している。
【0035】
本発明による駆動装置の全ての実施形態において、調整体回転軸線から見てまたは調整体の中心から見て、少なくとも1つの永久磁石セグメントとコイルとの間の距離は非常に小さいので、それぞれの場合でそれらの間に残留エアギャップが存在するようにしてもよい。このようにして、保持力または補償力を最適化されるとともに、必要であれば増大させることができる。
【0036】
一対の永久磁石セグメントと、任意に追加的に、コイルに関して第1側とは反対側に位置する、コイルの第2側に位置する、追加一対の永久磁石セグメントと、の配列を有している本発明による調整装置の実施形態では、永久磁石セグメント同士は、コイル軸線で見たときに、特にそれぞれが、それぞれの外周を境にしている任意の周辺線によって定義される、同一の形状を有していることができる。一般に、一対の永久磁石セグメントのそれぞれの場合の、コイルに面する永久磁石セグメントの表面は、調整体の中心Zとコイル軸線とが位置する直線面に沿ってまたはその方向に延びていることを提供することができる。
【0037】
本発明による調整装置の実施形態では、特に、コイル軸線で見た、一対の永久磁石セグメントのそれぞれの場合、または一対の永久磁石セグメントのそれぞれの場合、の永久磁石セグメントの向きは、同一であることを提供することができる。これらの配向(方向、向き)は、本明細書において「ベースセグメント配向」(方向、向き)と呼ばれる。
【0038】
あるいは、コイル軸線での一対の永久磁石セグメントの場合または一対の永久磁石セグメントのそれぞれの場合の、コイル軸線で見たときの永久磁石セグメントの向きは、前述した同一の向きに対して、角度範囲について回転されることを規定することができる。この場合、それぞれの対(ペア、組)の各永久磁石セグメントの回転は、コイルに面するその表面の線のうち、ベースセグメント方向において、調整体の中心Zとコイル軸線とが位置する直線面の延長線方向に延びている線を、調整体の中心方向側に移動させる一方向に行なわれることを備えていることができる。この場合、回転軸線は、特に、コイルを中心として行なわれ得る。ベースセグメント配向からの回転量は、0.1度~60度の範囲とすることができる。
【0039】
それぞれのベースセグメントの向きに対する同じ一対の永久磁石セグメントのこの回転によって、調整装置の効果が調整体のより大きな作動動作(アクチュエータムーブメント)で最適化されることを達成することができる。特に、保持力または補償力の変化の直線性または近似的な直線性も、調整体の調整角度の機能(関数)として達成することができる。
【0040】
しかしながら、駆動装置のすべての実施形態において、コイルと少なくとも1つの永久磁石セグメントとの間の相対移動の移動範囲において、コイル軸線における補償部品と少なくとも1つの永久磁石セグメントとの重なりまたは少なくとも部分的な重なりは、可能ではないかまたは実行されないようにすることも可能にされている。これらの実施形態では、補償部品の外周の端点(エッジポイント)と、少なくとも1つの永久磁石セグメントのそれぞれの1つの最も近い端点と、の所定の最大距離から、補償力は、または復原力の補償に不可欠な補償力は、発生される。この場合、端点同士が互いに接近し続けるにつれてこの最大距離が減少するときに、補償力が増加することも提供できる。
【0041】
コイルと少なくとも1つの永久磁石セグメントとの、重なりまたは少なくとも部分的な重なりが実現できる駆動装置の実施形態において、それぞれの駆動装置は、コイルと少なくとも1つの永久磁石セグメントとの重なりまたは少なくとも部分的な重なりが提供される調整装置の調整状態に達したときのみならず、そのように予め定められた最大距離で既に復原力が部分的または完全に補償されるように、設計することも可能にされている。
【0042】
全ての実施形態において、復原力の補償が部分的にしか行なわれないこと、すなわち、復原力のほんの一部が、少なくとも1つの永久磁石セグメントと少なくとも1つの補償部品との間の保持力によって補償されるとともに、復原力が完全に補償されるのではなく部分的にしか補償されないこと、も提供され得る。
【0043】
補償部品の前述の設計および配置の代替としてまたはそれに加えて、本発明による調整装置またはアクチュエータの各実施形態において、コイル軸線で見て、アクチュエータに対する少なくとも1つの永久磁石セグメントの移動範囲のセクション(区分)において、補償部品が永久磁石セグメントの磁力線領域において少なくともセクション同士で配置されているように、少なくとも1つの補償部品を設計および配置することができる。
【0044】
補償部品の前述の構成および配置の代替としてまたは追加的に、本発明による調整装置またはアクチュエータの各実施形態において、少なくとも1つの補償部品は、そのように設計および配置することができる。すなわち、コイルの一部は、コイル軸線で見て、それぞれの駆動装置または調整装置の基準状態において永久磁石セグメント内に少なくとも部分的に延びているとともに、この場合、任意に永久磁石セグメントと少なくとも1つの補償部品とは、コイル軸線で見たときに少なくとも部分的に覆われず、基準状態から調整した調整装置の状態において少なくとも1つの永久磁石セグメントと補償部品とは重なるか、部分的に覆うか、完全に覆うこと。
【0045】
本発明による調整装置の実施形態において、本明細書に記載の調整装置の変形例の他の各々と組み合わせて、調整装置が第2駆動装置を備えているように、調整装置が、第1駆動装置と第2駆動装置とを備えており、これらの各々がアクチュエータの調整体接続装置に結合されるとともに、調整体接続装置同士が撓みヒンジ回転軸線に関して対称に対向していることを提供することが可能にされている。
【0046】
本発明による調整装置の実施形態において、本明細書に記載の調整装置のその他の任意の変形例と組み合わせて、調整装置は、コイルが配置される少なくとも断面中空リング状のコイルハウジングを備えているとともに、コイルの周方向は、コイルハウジングの周方向に沿って延びていることを提供することができる。本発明による調整装置のそのような実施形態において、コイルハウジングによって囲まれる外方の空間に、コイル軸線で見て少なくとも1つの補償部品が配置されていることを提供することができる。さらに、本発明による調整装置のそのような実施形態において、コイル軸線で見て、コイルハウジングの外周の外方に位置する外方空間に補償部品が配置されていることを提供することができる。
【0047】
本発明による調整装置のそのような実施形態では、少なくとも1つの駆動装置は、中心Zから見て、コイルの少なくとも1つの側に配置される2つの永久磁石セグメントの少なくとも1つの配列(配置、アレンジメント、構成)と、補償部品であって、それぞれの場合に永久磁石セグメントの配列に面する少なくとも1つの側面を備えている補償部品と、を備えていることが可能にされている。ここで、側面は、2つの直線面の部分表面部を備えており、その方向は、コイル軸線に対して10度~40度の間の角度で延びている。中心Zから見たゼロ位置または基準状態での角度は、永久磁石セグメントの配列のうちでそれぞれより近い永久磁石セグメントが位置する一方向に開いている。
【0048】
本発明による調整装置の実施形態において、本明細書に記載の調整装置の他の任意の変形例と組み合わせて、少なくとも1つの駆動装置が、磁石セグメント支持体(磁気セグメントサポート、マグネティックセグメントキャリア、担体)上に固定される2つの永久磁石セグメントをそれぞれの場合で備えており、永久磁石セグメントが、調整体回転軸線から見て、アクチュエータ(操作部)の同じ側に位置するとともに、コイルに対する永久磁石セグメント同士の相対移動の方向に他の後ろに1つ配置されていることを備えていることが可能にされている。
【0049】
調整体の中心Zから見てコイルの2つの反対側の1つに配置される、2つの永久磁石セグメントの配列を有している、少なくとも1つの駆動装置を備えた本発明による調整装置の全ての実施形態において、少なくとも1つの補償部品はそれぞれ、永久磁石セグメントの配列に面する側面を備え得る。永久磁石セグメントの配列は2つの、特に直線的な表面部または球状に湾曲した部分表面部を備えており、それら部分表面部の方向はコイル軸線に対して10度~40度の間の角度で延びており、中心Zから見たゼロ位置または基準状態における角度は、永久磁石セグメントの配列のうちのそれぞれでより近い永久磁石セグメントが位置する方向に開いている。
【0050】
本発明による調整装置の実施形態において、特に、本明細書に記載の調整装置の他の任意の変形例と組み合わせて、駆動装置は、それぞれの場合に2対の永久磁石セグメントを備えていることが提供され得る。永久磁石セグメントの第1対は、第1磁石セグメント支持体に配置されており、永久磁石セグメントの第2対は、第2磁石セグメント支持体に配置されている。永久磁石セグメントのこれらの対は、調整体回転軸線から見てアクチュエータの反対側同士に位置していることが提供され得る。
【0051】
2つの永久磁石セグメントの2つの配列を有している少なくとも1つの駆動装置を備えた本発明による調整装置の全ての実施形態において、その各々は、中心Zから見てまたは調整体回転軸線から見て、コイルの反対側同士に配置されている。少なくとも1つの補償部品はそれぞれ、調整体回転軸線から見たときに、補償部品の互いに反対側に横たわる側同士に位置する2つの側面を備えていることができ、その各々は永久磁石セグメントの配列に面して位置する。この場合、側面の各々は、2つの、特に直線的な表面または球状に湾曲した部分表面部を備えていることができ、それらの方向は、コイル軸線に対して10度~40度の間の角度で整列しており、中心Zから見たゼロ位置または基準状態における角度は、永久磁石セグメントの配列のうちでそれぞれより近い方の永久磁石セグメントが位置している方向において開いている。
【0052】
本発明による調整装置の実施形態において、少なくとも1つの駆動装置は、コイルの第1側に配置された1つの永久磁石セグメントのみと、任意に、コイルの第2側に配置された追加永久磁石セグメントであって、コイルに関して第1側とは反対側に位置しており、コイル軸線で見て、コイルの第1側に配置された永久磁石セグメントと同じ高さにある、追加永久磁石セグメントと、を備えている。少なくとも1つの補償部品はそれぞれ、各々の永久磁石セグメントに面する側面を備えていることができる。この側面は、特に直線的な表面または球状に湾曲した部分表面部を備えており、その向きは、コイル軸線に対して10度~40度の間の角度で延びている。中心Zから見たゼロ位置または基準状態における角度は、それぞれの永久磁石セグメントが位置している方向において開いている。
【0053】
本発明による調整装置の実施形態において、本明細書に記載の調整装置のその他の任意の変形例と組み合わせて、調整装置は、センサ(8a)、(8b)、(8c)のうちの少なくとも1つまたは複数を備えていることを提供することができる。
【0054】
(8a)コイルに流れる電流を検出する電流計。
(8b)撓みヒンジ装置、または複数の撓みヒンジのうちの1つにおいて、ベース部品B1に対する調整体の回転移動を決定するための回転を検出する回転角センサ。
【0055】
(8c)アクチュエータに配置された磁界センサであって、コイルを囲む空間の磁界の強さと方向または厚さや方向を検出する、磁界センサ。
ここで、調整装置はデータ管理装置を備えている。このデータ管理装置は、(8a)、(8b)、(8c)に従って少なくとも1つのそれぞれのセンサに機能的に接続されている。データ管理装置は、少なくとも1つのセンサによって検出される信号を受信するだけでなく保存可能なセンサデータに変換して保存するインタフェース機能と、センサデータを評価装置の受信装置に送信する送信機能と、を備えている。
【0056】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載の実施形態による調整装置を備えている調整システムは、電流計、回転角センサ、磁界センサ、および評価装置、を備えている。
【0057】
ここで評価装置は、送信機能からセンサデータを受信する受信機能と、センサデータから調整装置の動作状態値を付与する評価機能と、を備えている。
このような調整装置において、本発明によれば、評価機能は維持(メンテナンス)機能を備えていることを提供することができ、維持機能は、複数のセンサデータと少なくとも1つの設定値(セットポイントバリュー)とを比較することで、設定値がオーバーまたはアンダーショットである場合に、動作状態値を生成する。
【0058】
本発明による調整システムの実施形態において、本明細書に記載の調整システムの他の任意の変形例と組み合わせて、評価装置は表示装置を備えていることを提供することが可能にされている。表示装置は評価機能に機能的に接続されるとともに、動作状態値を表示する。
【0059】
本発明による調整システムの実施形態において、本明細書に記載の調整システムの他の任意の変形例と組み合わせて、評価機能は、表示装置上で調整装置の以下の動作状態のうちの1つまたは複数を示す少なくとも1つの動作状態値を決定することを提供することが可能にされている。
【0060】
(Z1)調整装置は通常動作中である。
(Z3)調整装置に欠陥がある。
(Z3)調整装置について、保守措置または安全点検の期限が到来している。
【0061】
本発明による調整システムの実施形態において、本明細書に記載の調整システムの他の任意の変形例と組み合わせて、評価機能(評価関数)が、調整装置の数理モデル(数学的モデル、数学モデル)とのシミュレーション機能(関数)と、伝達機能(伝達関数)と、を備えている。伝達機能は、複数のセンサデータを数理モデルに供給しており、数理モデルはセンサデータから、以下の構成要素のうちの1つまたは複数の制御状態値を決定する。
【0062】
(T1)駆動装置。
(T2)調整体。
本発明のさらなる態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供されている。コンピュータプログラム製品は、本発明による調整装置の実施形態のまたは本発明による調整システムの実施形態の、デジタル画像を生成するように設計されている。
【0063】
本発明のさらなる側面によれば、評価機能を有しているコンピュータプログラム製品が提供される。評価機能は、調整装置において決定されたセンサデータから、調整装置の動作状態値を割り当てる。
【0064】
ここで、評価機能は、本発明による調整装置の実施形態の数理モデルと、伝達機能と、を有しているシミュレーション機能を備えている。伝達機能は、複数のセンサデータを数理モデルに供給している。数理モデルはセンサデータから、以下の複数の構成要素の制御状態値を決定する。
【0065】
(T1)駆動装置。
(T2)調整体。
本発明による各コンピュータプログラム製品において、調整装置の数理モデルは、コイルに対する電気入力信号の少なくとも1つの入力値に基づき、以下のコンポーネント(部品、構成要素、部材)の1つまたは複数の制御状態値を決定するように設計することができる。
【0066】
(T1)駆動装置。
(T2)調整体。
本発明による各コンピュータプログラム製品において、調整装置の数理モデルは、駆動装置の作動値(アクチュエータバリュー)に基づき、撓みヒンジの動的挙動の機能的包含を伴うベース部品に対する調整体回転軸線を中心とした調整体の回転を有している調整体の制御状態値を決定するように、設計することができる。
【0067】
本発明による各コンピュータプログラム製品において、調整装置の数理モデルは、コイルに対する入力信号の少なくとも1つの入力値に基づいて駆動装置の調整状態値を決定する駆動装置モデルを調整装置の数理モデルが備えているように設計することができる。
【0068】
本発明による各コンピュータプログラム製品において、調整装置の数理モデルは、駆動装置モデルが、コイルに対する入力信号の入力値に基づき、コイル、補償部品、および永久磁石セグメント、の磁気的相互作用を機能的に定義するように設計することができる。
【0069】
電気的な入力信号は、コイルを作動させることで、対応する磁界を発生させる。
一般に、シミュレーションモデルは、コイルに対する電気的入力信号の関数(機能)として、アクチュエータの動的挙動またはアクチュエータの制御状態値を決定する。電気入力信号は、特に以下のように定義することができる。
【0070】
(E1)コイルに流れる電流。
(E2)コイルに印加される電圧。
(E3)コイルに流れる電流の時間プロファイル。
【0071】
(E4)コイルに印加される電圧の時間プロファイル。
(E5)(E1)から(E4)までの選択肢の組み合わせ。
この点で、アクチュエータの各実施形態は、コイルに接続されており、その作動時に、コイルに対する入力信号、特に、コイルに流れる電流を生じさせる制御装置を含んでいてもよい。
【0072】
この点で、アクチュエータの各実施形態は駆動装置を備えていてもよい。駆動装置は、コイルに接続されているとともに、コイルを起動したときにコイルへの入力信号、特にコイルに流れる電流、を引き起こす。
【0073】
一般に、本明細書では、駆動装置の動作状態値または調整状態値を定義することができる。
(E6)少なくとも1つの永久磁石セグメントの調整経路。
【0074】
(E7)少なくとも1つの永久磁石セグメントとコイル軸線との間の相対移動距離。
(E8)それぞれの駆動装置に割り当てられた接続装置の調整経路。
(E9)(E6)から(E8)までの選択肢のうち、いくつかの選択肢を組み合わせたもの。
【0075】
一般に、本明細書では、調整体の調整状態値として、以下のものを定義することができる。
(E10)調整体の回転位置。
【0076】
(E11)調整体の回転速度。
(E12)代替案(E10)から(E11)のうちのいくつかの組合せ。
ここで、補償部品に関する「磁化された」という表現は、補償部品が、例えば補償部品の製造において、それぞれの調整装置への取り付け前に、またはそれぞれの駆動装置の作動(アクチュエーション)の開始前に、特定の方法で磁化されたことを意味する。
【0077】
ここで、補償部品に関する「磁化可能」という表現は、補償部品が外部磁場の作用下で特定の態様で磁化されることを意味する。特に、補正部品に関する「磁化可能」という表現は、補正部品が調整装置に装着された状態において、永久磁石セグメントの作用によって、保持力の発生に比例した磁気状態になることを意味する。さらに、特に補償部品に関する「磁化可能」という表現は、補償部品がそれぞれの調整装置に設置される前に、例えば補償部品の製造において、特定の方法で磁化されていないことを意味し得る。
【0078】
磁化された補償部品の材料と、磁化可能な補償部品の材料と、はそれぞれの場合において、軟磁性材料から形成されるか、または軟磁性材料を備えていることができる。
磁化可能な補償部品の材料は、軟磁性材料で形成されてもよいし、硬磁性材料で構成されてもよい。
【0079】
永久には磁化することができない材料に対して、「軟磁性」という言葉が使われる。しかし、その高い透磁率によって、軟磁性材料からなる素子に作用する力は、外部磁場における対応する素子の位置を変化させることで実現することができる。
【0080】
「硬磁性」という用語は、磁化された後、永久的な内部磁界を保持する材料に使用される。この内部磁場によって、外部磁場との相互作用によって、エネルギー最小化の原理による力効果を得ることができる。
【0081】
本発明によれば、軟磁性材料から形成される場合、補償部品は、特に、以下の材料から形成することができる。
(w1)軟磁性材料は金属をベースとしており、この金属は特に強磁性金属からなり、この場合具体的には次の金属:鉄、コバルト、またはニッケル、のうちの1つまたは複数からなる。この場合、軟磁性材料は結晶性合金、非晶質合金、またはナノ結晶性合金、からなることができる。
【0082】
(w2)軟磁性材料は、セラミック材料から形成されており、特にフェライトから形成される。
(w3)軟磁性材料は、(w1)および(w2)に記載の材料または物質の組み合わせから形成される。
【0083】
本明細書で使用される「相対移動方向」(レラティブモーブメントディレクション)という用語は、特に、それぞれの駆動装置の作動に伴うコイルと永久磁石セグメントとの間の相対移動の1つの方向または当該方向を意味する。
【0084】
「沿う」という表現は、本明細書で言及する方向指示の文脈で意味しており、特に、基準方向または基準軸線に対する、輪郭線または表面のコースまたは軸線またはその中心軸線などの部品または構造要素の方向にも関連し得る。コースまたはそれぞれの輪郭線またはそれぞれの表面への接線または明示的または暗黙的に予め定められた視線方向の一部が、局所的にまたは部分的に、それぞれの方向表示が関連するそれぞれの基準方向または基準軸線に対して最大45度、特に最大30度の角度で角度をなしていることを意味する。
【0085】
用語「横方向」は、本明細書で言及される方向指示の文脈で、特に、基準方向または基準軸線に対する、輪郭線または表面または軸線またはその中心軸線などの部品または構造部材の方向を指す場合もある。コースまたはそれぞれの輪郭線またはそれぞれの表面への接線または明示的または黙示的に予め定められた視線方向の一部が、それぞれの基準方向または基準軸線から45度~135度の間、好ましくは67度~111度の間、の角度で局所的にまたは部分的に逸脱していることである。基準軸線とは、それぞれの方向指示が参照される基準軸線のことである。
【0086】
用語「距離」、特に2つの表面同士間の距離、は本明細書では特に最短距離を意味すると理解される。
「長手方向」または基準線の別の基準方向、例えば特に中心軸線または中心方向に延びている線または少なくとも1つの構造部品または部品の、特に相対運動中のガイドトラックまたはガイド部品の中心線は、ここでは特に、例えば相対運動または相対運動から生じ得る2つの決定または所定の端部同士の間などの決定または所定の方向に沿ったそれぞれの構造部品のそれぞれの最小断面の重心点同士の接続線として求められる。基準線が湾曲したまたは少なくとも部分的に湾曲した態様で延びていることができる場合、基準方向は、一般に、局所的な長手方向と理解することができる。しかし、ここで、本明細書における基準方向は、直線的に定義された基準線の方向としても理解することができ、曲線から直線的な基準線を決定するべく、和のそれぞれの構造部品内のコースにおける曲線に対する位置が、これらの線間の最小の偏差または最小の偏差領域をもたらす線が使用される。以下、同様とする。
【0087】
部品または構成要素に関する用語「中心」は、本明細書では、特に部品または構成要素の質量中心または幾何学的重心を意味すると理解される。調整体についての中心は、特に、調整体または調整体フレームを通って延びている調整体回転軸線の長さの中心点であることができる。
【0088】
本発明による調整装置の作動のために、アクチュエータのコイルは、磁場(磁界)を発生させるように電気的に制御される。コイルの当該内部または内部に位置する磁場の中心は、またはコイルの内部におけるその中心磁力線は、本明細書ではコイル軸線ASとして定義される。
【0089】
値または比率に関連する用語「実質的に」は、本明細書において特に、特徴が、特徴またはその幾何学的特性または値から20%、特に10%、の偏差を備えていることを意味すると理解する。
【0090】
本明細書において、部品の形状または形態と、基準表示例えば長方形と、の比較に関連する「実質的に」とは、線または形態が部分的に基準表示に一致することを意味する。例えば、「実質的に長方形」は、長方形の角を有している部分の一部または全部が丸みを帯びた形状であることを意味する場合がある。
【0091】
線または辺または面の「曲線コース」とは、基準方向に沿って見た面が、基準方向に対して横方向に延びている全幅にわたって角を持たないこと、すなわち、微分可能なプロファイルを有していること、を意味する。
【0092】
表面および特定表面に関する「向き」は、本明細書では、それぞれの表面に対する法線を意味すると理解される。当該表面が直線ではなく、例えば曲面である場合、曲面に対する相対的な和が最小の偏差となる位置について、同じ大きさの直線表面に対する法線を用いることで、表面法線を決定することができる。
【0093】
表面部分の「延長」とは、参照される表面部分に沿って延びている平面的な表面部分の方向であって、2つの表面部分同士の間の偏差量の合計が最小となるような、それに対する向きを備えているものを意味すると理解される。また、表面部の範囲の長さ量に関して、本明細書では、同じ大きさの架空の表面部の長さは、2つの表面部同士の間の偏差量の和が最小となる、参照される表面部に対する相対的な位置を備えている定義すべき方向における長さを意味すると理解する。
【0094】
構成要素または部品(コンポーネント)に関する「一体に」(ワンピースで)という用語は、本明細書では、構成要素またはコンポーネントが一体(ワンピース)に製造されることを意味すると理解される。この場合、構成要素またはコンポーネントは、互いに連結されているかまたは互いに接続されている複数のピースまたはパーツから形成することができる。この点で、「ワンピースから製造される」という用語は、構成要素またはコンポーネントが、製造中にワンピースの出発ワークピースから製造されることを意味するものと理解される。
【0095】
部品または構成要素の「位置」という用語は、本明細書において、特に、それぞれの部品または構成要素の質量中心または幾何学的重心の位置を意味するものと理解され得る。
ここで、「中空リング」という用語は、外表面で外方空間を囲むとともに、内部が空洞になっている、すなわち、内表面でリング状の空間を区画している、周方向に閉じた部品を意味すると理解される。中空リングとして設計された部品は、シェルとして設計することができる。側方から中空リング部品への視線方向において、中空リング部品は円形または他の形態であることができる。リングの形状は、中空リングによって囲まれた内部空間の中心線のコースによって記述することができる。例えば、中空リングは、内部中心線が実質的に長方形に延びているような形状にすることができる。この文脈での用語「リング」は、単に中空リングが周方向に閉じていることを意味しており、中空リングのそれ以上の特性を定義するものではない。
【0096】
ここでいう「永久磁石セグメントとコイルのそれぞれの影響部(患部)との重なり」(オーバーラップ)または「永久磁石セグメントとコイルの一部との距離」はそれぞれ、各々の永久磁石セグメントの外周と、コイルの外周またはコイルの一部の外周とに関するものであり、いずれの場合も、コイル軸線ASの方向に視線を向けることになる。ここで、重なり合うとは、それぞれの永久磁石セグメントおよびコイルのそれぞれの影響される部分を部分的に覆うことである。
【0097】
以下では、添付の図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。ここで、本発明による実施形態の特徴または構成要素の説明は、これが明示的に除外されていないことを条件として、本発明による特定の実施形態が、それぞれの場合に、この特定の実施形態の追加特徴として、またはこの特定の実施形態の別の特徴を置き換える代替特徴として、別の実施形態の少なくとも1つの特徴を備えていることもできることを意味すると理解されるであろう。以下の図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】調整体ハウジングの形態のベース部品と、撓み(屈曲)ヒンジ装置によって調整体ハウジングに回転可能に取り付けられる調整体と、調整体を調整するための2つの駆動装置と、を備えている本発明による調整装置の一実施形態の透視図である。各駆動装置は、内部でコイルが周方向に延びている中空リング状のコイルハウジングと、補償部品と、アクチュエータに対して移動できる強磁性セグメントの配列と、を有しているアクチュエータ(アクター)を含んで構成されている。
【
図2】
図1に示した本発明による駆動装置の実施形態をさらに透視して示す図であり、駆動装置が部分的に切り開かれた状態である。
【
図3】各場合に1つの駆動装置を形成するべく、調整体と、調整体に固定された2つの磁石セグメントの配列と、の組み合わせを示す透視図。
【
図4】本発明による調整装置の実施形態に組み込むための駆動装置の変形例を示す透視図であり、駆動装置は、基準状態または初期位置に示されている。
【
図5】
図4による駆動装置の変形例を透視図で示しており、駆動装置は第1調整状態にあることが示されている。
【
図6】
図4による駆動装置の変形例を透視図で示しており、駆動装置は第2調整状態にあることが示されている。
【
図7】本発明による調整装置の駆動装置の実施形態のコイルの概略側面図。コイルを有しているコイルハウジングの形状を規定するための線が示されている。駆動装置は
図4~
図6に従って形成されており、駆動装置は基準状態またはゼロ位置にある。
【
図8】本発明による調整装置の実施形態の調整本体および横方向に固定された複数の永久磁石セグメントを示す透視図。
【
図9】補償部品の変形例を備えた駆動装置の分解斜視図。
【
図11】本発明による調整装置の実施形態に組み込むためのアクチュエータの変形例を示す透視図。
【
図13】
図11または
図12のアクチュエータの変形例を備えた駆動装置の変形例を示す分解斜視図。
【
図15】補償部品の変形例を備えた駆動装置の分解斜視図。
【
図17】特別な実施形態における2つの補償部品を有している駆動装置の分解斜視図。
【
図19】
図13の駆動装置の実施形態の概略断面図。補償部品は軟磁性材料から形成されている。駆動装置は2対の永久磁石セグメントを備えている。駆動装置は、計算またはシミュレーションされた磁力線の同時表現による基準状態に示されている。
【
図20】
図19の駆動装置の実施形態をその中に示す断面図。駆動装置は、計算またはシミュレートされた磁力線の同時表現を伴う第1調整状態または相対移動状態にあることが示されている。
【
図21】
図19の駆動装置の実施形態をその中に示す断面図。駆動装置は、計算またはシミュレートされた磁力線の同時表現を伴う第2調整状態または相対移動状態にあることが示されている。
【
図22】
図11および
図12によるアクチュエータを備えた駆動装置の変形例を示す分解斜視図。
【
図23】
図22の駆動装置の実施形態の概略断面図。補償部品は硬磁性材料から形成されており、駆動装置は2対の永久磁石セグメントを備えている。駆動装置は、計算またはシミュレーションされた磁力線の同時表現による基準状態に示されている。
【
図24】
図23の駆動装置の実施形態をその中に示す断面図。駆動装置は、計算またはシミュレートされた磁力線の同時表現を伴う第1調整状態または相対移動状態にあることが示されている。
【
図25】
図23の駆動装置の実施形態をその中に示す断面図。駆動装置は、計算またはシミュレートされた磁力線の同時表現を伴う第2調整状態または相対移動状態にあることが示されている。
【
図26】調整体ハウジングの形態の第1ベース構成要素を備えた本発明による調整装置のさらなる実施形態の透視図。この調整装置は、撓み(屈曲)ヒンジ装置によって調整体ハウジングに回転可能に取り付けられる調整体を備えている。調整装置は、調整体を調整するための2つの駆動装置を備えている。調整装置は、第2ベース部品を備えている。第2ベース部品には、第1ベース部品が追加撓みヒンジ装置によって回転可能に収容されており、第1ベース部品は2つの駆動装置によって回転可能になっている。各駆動装置は、内部でコイルが周方向に延びている中空リング状のコイルハウジングを有しているアクチュエータを備えているとともに、補償部品と、アクチュエータに対して相対的に移動できる強磁性セグメントの配列と、を備えている。
【
図28】
図26のアクチュエータの実施形態の部分切断透視図。
【
図29】
図26の調整装置の実施形態のさらなる部分切断透視図。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明による調整装置1は、少なくとも1つの電磁駆動装置としての駆動装置Cを備えており、これによって、ベース部品B1に対する調整体10の動きの作動を、少なくとも1つの作動運動方向で実現することができる。ベース部品B1は、例えば、調整体ハウジング(アクチュエータハウジング)またはフレーム装置であり得る。
【0100】
図1は、調整体ハウジング3および調整体10の形態のベース部品を備えた本発明による調整装置1の実施形態を示している。調整体10は、調整体回転軸線D1を提供しながら、調整体ハウジング3上に第1撓みヒンジ(フレクシャヒンジ)21および第2撓みヒンジ22の形態の撓みヒンジ装置20によって調整体ハウジング3に回転可能に装着される。2つの撓みヒンジ(21、22)は、調整体フレーム11に調整体回転軸線D1方向に径方向に対向して配置されている。特に、調整体回転軸線D1は、調整体10の対称軸線に平行に延びていることができる。
【0101】
この目的のために、本発明による調整装置1の各実施形態において、それがただ1つの撓みヒンジを備えていることを提供することができる。この場合、調整体10は、特に、調整体回転軸線D1を規定する調整体ハウジング3上の2つの撓みヒンジ(21、22)のうちの1つのみによって、取り付けられると規定することができる。
【0102】
調整体フレーム11上には、アプリケーション部品Kを配置することができる。アプリケーション部品Kは、調整体フレーム11によって受け入れられるか、または調整体フレーム11上に配置されることができる。アプリケーション部品Kは、特に、以下の部品のうちの1つまたは複数、または以下の部品の組み合わせ、とすることができる:センサ、センサ保持部(リテーナ)、例えば鏡などの工具、工具保持部。
【0103】
ここで、調整体(アクチュエータ)10について、中心Zが定義される。中心Zは、特に、調整体10または調整体フレーム11を通って延びている調整体回転軸線D1の長さの中点であってよい。
【0104】
本発明に従って各場合に設けられる撓みヒンジ(フレクシャヒンジ)は、従来技術に従って設計することができる。用語「撓みヒンジ」は、ここでは、第1構成要素と第2構成要素との間の特別に設計された接続部分を意味しており、この接続部分は、弾性的かつ可逆的、すなわち、非塑性変形によって、第1構成要素と第2構成要素との間の相対運動を可能にすると理解される。接続部は、接続部に隣接する第1構成要素および第2構成要素の領域に対して、実質的に低減された撓み剛性(フレクシャルリジディティ)を備えている。低減された曲げ剛性(ベンディングスティフネス)は、接続部分の局所的な断面減少、接続部分の特殊な形状、または接続部分の材料のより大きな弾性、によって達成することができる。
【0105】
第1撓みヒンジ21または第2撓みヒンジ22のそれぞれは、調整体フレーム11のそれぞれの場合に1つのピボット軸受保持部15、16に第1端部片で固定される軸部品FGを備え得る。ピボット軸受保持部15、16は、調整体回転軸線D1の方向において互いに径方向に対向して配置されている。軸部品FGは、それぞれ、第1端部片に対向する位置に存在する第2端部片によって、対応するハウジング保持部に固定される。調整装置1が第1撓みヒンジ21および第2撓みヒンジ22のうちの1つだけを備えている場合、調整装置1が1つの軸部品FGだけを備えていることも提供可能にされている。
【0106】
それぞれ提供される撓みヒンジは、軸部品FGとは異なる方法で実現することも可能にされている。
軸部品FGは、接続部品そのものを形成することができる。また、軸部品FGは、円筒ベース本体と、接続部と、を備えていることができる。接続部は、円筒ベース本体に接続されるとともに円筒ベース本体の内部に配置されており、例えば、円筒ベース本体から径方向内方に延びており、さらに接続部の上にハウジング保持部が取り付けられるかまたは固定される。
【0107】
調整体フレーム11は、1つの駆動装置Cまたは複数の駆動装置Cによって回転運動または傾斜(チルト)運動に設定される。駆動装置Cは、一方では、調整体10の、または調整体10の調整体フレーム11の、各々の調整体接続装置(接続装置)AVに結合されているとともに、他方では、ベース部品または調整体ハウジング(アクチュエータハウジング)3の受入(レシーブ)装置に結合されている。少なくとも1つの調整体接続装置AVのそれぞれは調整体回転軸線D1から距離Hで位置する。少なくとも1つの駆動装置Cの各々は、その作動中に、調整体回転軸線D1から距離Hに位置する作動移動を生成するように、ベース部品B1および調整体接続装置AVに結合されており、作動経路に沿った作動移動によって調整体回転軸線D1に関する調整体10の回転または傾斜がもたらされるように、少なくとも1つの駆動装置Cの各々は作動移動する。
図1および
図2に示す本発明による調整装置1の実施形態は、それぞれ個別に参照番号(C1およびC2)が割り当てられた2つの駆動装置Cを備えて構成されている。第1駆動装置C1は第1調整体接続装置AV1に結合されているとともに、第2駆動装置C2は第2調整体接続装置AV2に結合される。
【0108】
本発明による調整装置の更なる実施形態によれば、調整装置は、調整体回転軸線D1から距離Hに位置する調整体10の調整体接続装置AVに結合される、ただ1つの駆動装置Cを備えている。本発明による調整装置の別の更なる実施形態によれば、調整装置は、それぞれが調整体回転軸線D1の同じ側で、調整体回転軸線D1から距離Hに位置する、調整体10の調整体接続装置AVに結合される複数の駆動装置Cを備えている。
【0109】
駆動装置Cを調整体フレーム11に結合するべく、
図1および
図2による調整装置1の実施形態では、調整装置1は、2つの駆動装置(C1、C2)を有している2つの調整体接続装置AVを備えている。これら調整体接続装置AVは、調整体回転軸線D1に関して、調整体フレーム11の互いに対向する位置に存在する領域同士に配置されている。調整体接続装置AVの各々は、それぞれの場合において、2つの調整体接続部によって実現される。したがって、調整体フレーム11の第1側部S1には、2つの調整体接続部25、26が配置されているとともに、調整体回転軸線D1に関して第1側部S1とは反対側に存在する調整体フレーム11の第2側部S2には、2つの調整体接続部27、28が位置している。2つの調整体接続部25、26および2つの調整体接続部27、28は、それぞれ調整体フレーム11に接続されているとともに、特に調整体フレーム11とで一体に形成することができる。調整体接続部25、26、27、28は、調整体フレーム11から径方向に突出している。調整体接続部25、26、27、28の各々は、駆動装置Cを接続するための、例えば少なくとも1つのボアの形をした接続装置を備えていることができる。
【0110】
この代替として、少なくとも1つの調整体接続装置AVの1つまたは複数を、1つの調整体接続部のみに置き換えて実現することも可能にされている。また、調整体接続装置AVは、調整体フレーム11に導入された接続装置によって実現することができる。さらに、調整体接続装置AVは、調整体フレーム11の一部分そのものとすることも可能にされている。
【0111】
図示の実施形態に代わる調整装置1の実施形態では、1つの駆動装置Cのみを備えており、この場合、1つの調整体接続装置AVのみを備えている。
本発明による調整装置1の各実施形態に組み込むことができる駆動装置Cの実施形態について、以下に説明する。図において、示された様々な駆動装置Cの各々には、同じ参照数字が使用されている。駆動装置Cの様々な実施形態において、同じ機能を備えている特徴または構成要素には、同じ参照数字が使用される。
【0112】
少なくとも1つの駆動装置Cは、電気コイルとしてのコイル71を含んで構成される。コイル71は、コイル71のコイル軸線ASを完全に取り囲むかまたは取り囲む少なくとも1つの導体巻線を、好ましくは複数の導体巻線を、備えている。コイル軸線ASは、コイル71の幾何学的中心として定義されてもよいし、中心曲率フリー磁力線とで位置および方向が同一であってもよい。
【0113】
この場合、特に、コイル軸線ASが撓みヒンジ回転軸線D1に沿って延びていることを備えていることができる。
少なくとも1つの駆動装置Cは、コイル軸線ASを部分的にまたは全体的に取り囲み、その中に電気コイルとしてのコイル71が構造的に統合されており、特に位置するかまたは保持されるコイルハウジング72を有しているコイル装置70を備えていることもできる。特に、コイルハウジング72は、コイル71が配置される中空リング状のコイルハウジングとして設計することができるとともに、コイル71の周方向は、コイルハウジング72の周方向に沿って延びている。また、コイルハウジング72は、コイルハウジングが周方向に閉じないように、断面が中空リング状のコイルハウジングとして設計することも可能にされている。コイルハウジング72を分割された中空リングの形態のコイルハウジングとして設計する場合、コイルハウジング72のそれぞれの中空リング部分同士の幾何学軸線は、コイル71のコイル軸線ASでまたはそれに沿って延びている。
【0114】
各駆動装置Cは、補償部品80を含んで構成される。本発明による調整装置1の各実施形態において、コイル71またはコイルハウジング72と、補償部品80と、はコイル71が通電されると電気磁界が発生するので、互いに固定されるか、または直接または間接的にすなわち構造部品を介して互いに固定されることで、一緒にアクチュエータ60を形成することができる。
【0115】
図11~
図14によるアクチュエータ60の実施形態で実現されるように、補償部品80は、コイル71またはコイルハウジング72において、コイルの側面(側部)に取り付けられる締結部品63、64に固定することができる。締結部品63、64は、-コイル軸線ASに対して横方向に見て-コイル71に対して互いに反対側にあるコイル71の側面同士に位置しており、それぞれの場合に1つの締結部品63、64はコイル71の片面に位置する。
図11~
図14によるアクチュエータ60の実施形態では、締結部品63、64はそれぞれ板形状で実現されている。これらは、ホルダとして、またはクランプもしくはブラケットもしくはロッドとして、実現することも可能にされている。図示の実施形態では、締結部品63、64は、少なくとも1つの接続要素65によって互いに締結されており、接続要素65は、締結部品63、64をコイル71またはコイルハウジング72に対して両側から押圧する。締結部品63、64の間には、補償部品80が配置されており、この補償部品80は、締結部品63、64の互いに向かい合う表面から横方向にそれら表面同士の間に配置されている。この場合、補償部品80は、締結部品63、64によって保持されており、任意に押圧されることができ、この場合、締結部品63、64は、コイル71またはコイルハウジング72に対しても2つの側面から押圧される。締結部品63、64と補償部品80との間の接続は、締結部品63、64のうちの少なくとも1つによって補償部品80のそれぞれの少なくとも部分的にフォームフィットする保持部(リテーナ)によって実現することもでき、締結部品63、64のうちの少なくとも1つは、補償部品80を保持し固定できる凹部67、68またはステップまたはウェブを備えている。
【0116】
あるいは、アクチュエータ60は、コイル71またはコイルハウジング72の周囲に補償部品80が係合するとともに脚部同士の間に補償部品80を受け入れる例えばU字形状片であり得る単一の形状片によって、補償部品80がコイル71またはコイルハウジング72に保持され固定されるように実現することも可能にされている。さらなる代替案には、コイル71および補償部品80をポッティングすることでユニットを形成すること、例えばエポキシ樹脂キャスティング化合物を用いること、またはコイル71および補償部品80をプラスチック材料で封止すること、などがある。
【0117】
補償部品80の少なくとも1つの締結部品63、64への締結または固定は、例えばクリップ接続のような、少なくとも1つの接続要素65によるものとは異なる接続装置によって行なわれることも可能にされている。少なくとも1つの締結部品63、64は、コイル71またはコイルハウジング72に接着または半田付けすることもでき、この実現は、接続要素65があってもなくても可能にされている。
【0118】
補償部品80は、好ましくは、コイル軸線ASで見て、コイルの一部の外方に配置される。特に、調整装置の各実施形態において、補償部品の配置は、2つの選択肢のうちの1つに従って提供され得る。
【0119】
(K1)コイル軸線ASで見て、コイル71の内周によって囲まれた外方空間において、または少なくとも部分的に中空リング状のコイルハウジング72の場合には、コイルハウジング72によって囲まれた外方空間(
図12および13ならびに
図19~
図24)。
【0120】
(K2)コイル軸線ASで見て、コイル71またはコイルハウジング72の外周の外方に位置する空間、または少なくとも部分的に中空リング状のコイルハウジング72の場合には、コイルハウジング72を取り囲む外方空間。
【0121】
実現代替案(K2)によるアクチュエータ60の実施形態は、
図17および
図18に示されている。
補償部品80は、磁化可能材料または磁化済材料からなるか、または軟磁性材料または硬磁性材料から製造することができる。好ましくは、補償部品80は、均質な材料ブロックとして、同時にまたは代替品として形成される。調整装置1の各実施形態において、補償部品80は、互いに異なる形状に構成することができる。特に、補償部品80は、実質的に立方体または円筒形とすることができる。このため、代替的にまたは追加的に、補償部品80は、異なる断面形状同士を有している長尺形状である。長尺形状の場合、補償部品80は、円形または楕円形または正方形の形状を有している断面を、長方形の形状を有している断面を、または一般に多角形の形状を有している断面を、備えていることができる。長尺形状の場合、補償部品80は、補償部品80の長手方向に延びている中心線であって、調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離が中心Zを通るときにこの距離に沿ってまたはこの距離の方向で延びている中心線、を備えていることができる。
【0122】
本発明による調整装置1は、コイル71またはコイルハウジング72に対して可動に取り付けられた、硬磁性材料からの少なくとも1つの永久磁石セグメントMSを備えている。図において、永久磁石セグメントMSは、一体型またはワンピース型の部品として示されており、分離線Tが導入されているか、しかし分離線Tは架空の分離線であってもよい。
図3では参照符号「T」が記入されている。この分離線Tは、他の図では参照符号無しで示されている。この分離線Tは、2つの磁極同士の間の分離を象徴的に示しており、磁場方向はそれぞれの場合に属している矢印で示されている。永久磁石セグメントMSの位置は、永久磁石セグメントMSの移動範囲内にあり、移動範囲は、コイル71またはコイルハウジング72に対する駆動装置Cの調整体10への結合およびベース部品B1への結合に基づいて機械的に予め規定されており、好ましくは、(m1)または(m2)のように設けられている。
【0123】
(m1)永久磁石セグメントMSの内部の磁力線は、コイル軸線ASに沿ってあるいはコイル軸線ASの方向で延びていることである。
(m2)永久磁石セグメントMSは、コイル軸線ASを通る非接触距離で、コイル71の横に位置している。駆動装置Cの基準状態において、コイル軸線ASで見たときにコイル71またはコイルハウジング72の一部は、永久磁石セグメントMS内で、すなわちその外周で、部分的にまたは全部で延びていること。
【0124】
本発明による調整装置1の各実施形態において、永久磁石セグメントMSは、一般的に特に板状または立方体状とすることができるが、任意の他の空間形状を備えていることもできる。永久磁石セグメントMSが板状である場合、永久磁石セグメントMSは、それぞれの駆動装置の作動時にコイルと永久磁石セグメントとの間の相対移動の中を延びている方向またはそれに沿った方向で延びている。さらに、少なくとも1つの永久磁石セグメントMSは、永久磁石セグメントMSの長手方向の延びを規定する表面を備えており、表面の向きは、コイル軸線ASの方向に沿ってまたはその方向で向いている。
【0125】
調整運動を実施するための調整装置1への駆動装置Cの取り付けは、2つの選択肢(a)、(b)のうちの1つに従って提供することができる。
(a)アクチュエータ60はベース部品B1に結合されている一方で、永久磁石セグメント(MS)は調整体接続装置AVに結合されている(移動磁石の原理)。
【0126】
(b)アクチュエータ60が調整体接続装置AVに結合されている一方で、永久磁石セグメントMSはベース部品B1に結合されている(移動コイルの原理)。
図1~
図3に示す調整装置1の実施形態では、代替案(a)が実現される。この場合、少なくとも1つの永久磁石セグメントMSは、磁性セグメント支持体(サポート)上に配置することができる。このような磁石セグメント支持体は、特に、コイル71から離れる方向にある少なくとも1つの永久磁石セグメントMSの表面上に位置することができる。
図1~
図3に示す調整装置1の実施形態では、各駆動装置Cに2つの磁石セグメント支持体(53、54)が配置されており、これら第1磁石セグメント支持体(磁気セグメント担体、マグネットセグメントサポータ)53および第2磁石セグメント支持体54はそれぞれ、コイル71に対して互いに反対側に位置する側面同士に位置する。一般に、永久磁石セグメントMSは、または1つまたは複数の永久磁石セグメントMSは、すなわち2つまたは2つ以上の永久磁石セグメントMSは、それぞれの場合に1つの磁石セグメント支持体上に配置されるように、規定を設けることができる。
【0127】
任意に、第1磁石セグメント支持体53および第2磁石セグメント支持体54は、互いに取り付けられることができる。この締結は、少なくとも1つの連結片によって実現することができる。この実施形態の例は、
図11~
図14に示されるアクチュエータ60の実施形態に示される。この実施形態のアクチュエータ60では、アクチュエータ60は、第1磁石セグメント支持体53および第2磁石セグメント支持体54の2つの端部をそれぞれ互いに接続する2つの接続片57、58を備えている。それぞれの第1磁石セグメント支持体53および第2磁石セグメント支持体54の端部は、コイル71と少なくとも1つの永久磁石セグメントMSとの間の相対運動の方向において互いに反対側の端部同士に位置している。少なくとも1つの連結片は、少なくとも1つの連結要素によってそれぞれの端部セクションに締結することができる。この締結は、別の方法、例えば、半田付けまたは接着剤による結合、あるいは、フォームフィッティングによる締結、によって行なうこともできる。
【0128】
第1磁石セグメント支持体53および第2磁石セグメント支持体54は、好ましくは、接着面に接着された永久磁石セグメントMSの電界を容易に伝導する軟磁性鋼から形成される。あるいは、磁石セグメント支持体は、アルミニウム、プラスチック、などの非磁性材料から形成されてもよい。しかしながら、非磁性材料を使用する場合、1つの永久磁石セグメントまたは複数の永久磁石セグメントの磁場が案内されないことで、その結果、悪影響を及ぼす浮遊磁場が形成されるので、調整装置の対応するアクチュエータの効率が低下する。
【0129】
上述の実施形態において、特に、コイル軸線ASは、撓みヒンジ回転軸線D1に沿って延びていることが提供され得る。この代替として、コイル71と、駆動装置Cの少なくとも1つの永久磁石セグメントと、の間の相対移動の相対移動方向は、調整体の、およびそれぞれのアクチュエータが結合された調整体接続装置の、撓みヒンジ回転軸線によってスパンされる平面に対して横方向に延びていることを設けることも可能にされている。この場合、コイル軸線は、撓みヒンジ回転軸線D1に対して横方向に延びていることを提供することもできる。
【0130】
アクチュエータ60を備えた本発明による調整装置1の動作のモードは、以下の通りである。
この電流が流れるようにコイル71を電気的に制御することで、アクチュエータ60が作動する。その結果、コイル71は、コイル軸線ASの内部に、コイル71の内部またはコイルハウジング72の内部の磁力線がコイル軸線ASの中またはコイル軸線ASに沿って延びている磁場を発生する。このコイル磁場は、永久磁石セグメントMSによって発生する磁場と協働してまたは相互作用して、1つの永久磁石セグメントMSとコイル71との間に力を生じることで、調整体の所望の調整運動または傾斜のための偏向力を提供するので、永久磁石セグメントMSとコイル71との間の対応する変位によって1つの永久磁石セグメントMSと補償部品80との間に引力を生じる。アクチュエータ運動(作動運動)は、永久磁石セグメントMSとコイル71とを、コイル軸線ASで見て、該当する永久磁石セグメントMSが補償部品80の高さに来るかまたはその領域に入る方向に、互いに相対的に移動させることができる。
【0131】
これは、結果として生じる引力が、偏向したまたは弾性変形した撓みヒンジによって引き起こされる調整体の戻り動作の傾斜を、打ち消すという効果を備えている。
補償部品80と永久磁石セグメントMSとの間のコイル71に電流が流れる際に生じる力(引力)は、コイル71に対する偏向力に基づいて生じる永久磁石セグメントMSの移動の方向とは反対の方向に、作用する。このようにして、この引力は、少なくとも1つの撓みヒンジがその作動運動の発生に伴って調整体10に作用する復原力(復元力)を、打ち消す。この場合、駆動装置が、または駆動装置の構成要素である補償部品および永久磁石セグメントMSが、少なくとも部分的に、すなわち部分的にまたは完全に、少なくとも1つの撓みヒンジが調整体10に及ぼす復原力を補償するように、調整装置1は設計されている。
【0132】
この文脈では、永久磁石セグメントに対する補償部品の前記2つの位置は、特に、以下のように定義される。アクチュエータ60の基準状態の場合に特に実現される、初期相対位置である第1相対位置は、補償部品と永久磁石セグメントとの間に引力が存在しないかまたは非常に小さいかまたは無視できる程度しか存在しない、位置である。調整相対位置である第2相対位置は、補償部品と永久磁石セグメントとの間によって大きな相互作用が生じることで、永久磁石セグメントと補償部品との間に第1相対位置よりも強い引力が存在するような領域に補償部品80を位置させる。
【0133】
アクチュエータ60のまたは調整装置1の基準状態は、ここでは特に、コイル71が電気的に作動していないときにアクチュエータ60が想定する状態を意味しているとともに、基準状態からコイル71が電気的に作動または起動したときに永久磁石セグメントMSとコイル71とが互いに相対移動するような状態を意味すると理解される。
【0134】
本発明による調整装置1の各実施形態において、少なくとも1つの駆動装置Cはそれぞれ、少なくとも1つの永久磁石セグメントMSを、特に1つまたは2つまたは4つの永久磁石セグメントMSを、備えていることができるが、異なる数の永久磁石セグメントMSを備えていることもできる。例えば、本発明による調整装置1の駆動装置Cは、2つの永久磁石セグメントMSを備えていることができ、これらの永久磁石セグメントMSは、例えば、第1磁石セグメント支持体53に固定されているとともに、永久磁石セグメントMSは、中心Zまたはコイル軸線ASから見てアクチュエータ60の同じ側に位置する。第1磁石セグメント支持体(マグネットセグメントキャリア)53は、板状とすることができる。第1磁石セグメント支持体53の大きさは、2つの永久磁石セグメントMSが完全に第1磁石セグメント支持体53の外面に位置するように設けられることが好ましい。この場合、2つの永久磁石セグメントMSは、コイル71に面して位置する第1磁石セグメント支持体53の外面に位置し得る。したがって、第1磁石セグメント支持体53に固定された2つの永久磁石セグメントMSは、調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離方向に沿って延びている視認方向で見たときに、コイル71の一側またはコイルハウジング72の一側に配置される。このようなアクチュエータ60の構成は、
図8と、
図9および
図10と、に示されている。
図8のアクチュエータ60の実現は、調整体回転軸線D1とレバーとによって広げられる平面に対して横方向の視野で見たとき、
図9および
図10による2つの永久磁石セグメントMSが配置されるアクチュエータ60の側に関して異なる:
図8の図解では、第1側部S1に位置するアクチュエータ60は、それに応じて永久磁石セグメントMS11、MS12を有している第1磁石セグメント支持体53を備えている。第2側部S2に位置するアクチュエータ60は、永久磁石セグメントMS21、MS22を有している第2磁石セグメント支持体54を有してなる。
図9および
図10では、それぞれの場合において、永久磁石セグメントMS21、MS22を有している第2磁石セグメント支持体54が示されている。
【0135】
参照符号(MS11、MS12)は、第1磁石セグメント支持体53上に配置された2つの永久磁石セグメントに割り当てられている。第1磁石セグメント支持体53上に配置された永久磁石セグメントMS11、MS12は、中心Zまたはコイル軸線ASから見ておよびコイル軸線ASの方向に見て、互いの横に配置されているとともに、コイル71と少なくとも1つの永久磁石セグメントMSとの間の相対移動の方向において、互いの後ろに1つ配置されている。また、個々の永久磁石セグメントMS11、MS12は、コイル71と永久磁石セグメントMS11、MS12との間の相対的な移動の方向において、他のものの後ろに1つずつ配置される。好ましくは、第1磁石セグメント支持体53上に配置された2つの永久磁石セグメントMS11、MS12は、連続したギャップ55によって分離されており、このギャップ55は、それぞれの場合、調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離の方向に沿って延びているとともに、この距離が中心Zを通るときに延びている。
【0136】
この実施形態では、永久磁石セグメントMS11、MS12は、調整体回転軸線D1からコイル軸線AS内でまたはコイル軸線ASに沿って向けられた異なる方向で、分極する。これを
図9に例示している:永久磁石セグメントMS11の場合、磁力線またはNS方向がコイル71から離れる方向に向けられているので、N極は、永久磁石セグメントMS11のコイル71に面した側に位置するようになる。この磁力線の方向は、
図9において、矢印と参照符号(RMS11)とによって示されている。これに対して、永久磁石セグメントMS12の場合、磁力線またはNS方向がコイル71に向けられるので、S極は、コイル71に面する永久磁石セグメントMS12の側に位置する。この磁力線の方向は、
図9において、矢印と参照符号(RMS12)とによって示されている。
【0137】
補償部品80は、軟磁性材料で形成されるかまたは軟磁性材料から作られることができる。あるいは、補償部品80は、硬磁性材料から形成されるとともに、2つの分極領域(81、82)を備えていることもできる。この場合、駆動装置の基準状態またはゼロ位置の場合、調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離方向に沿って延びている補償部品80の中心線は、第1永久磁石セグメントMS11と第2永久磁石セグメントMS12との間に位置する。永久磁石セグメントMS11、MS12が連続したギャップ55によって分離されている実施形態では、基準状態またはゼロ位置において、この中心線は、コイル71と永久磁石セグメントMS11、MS12との間の相対移動の方向においてギャップ55の高さに位置する。このゼロ位置において、第1分極領域81の磁力線方向R81が第1永久磁石セグメントMS11の磁力線方向RMS11に沿って延びているように、かつ第1分極領域81の磁力線方向R82が第2永久磁石セグメントMS12の磁力線方向RMS12に沿って延びているように、第1分極領域81は分極する。
【0138】
特に、調整体回転軸線D1から見た永久磁石セグメントMS11、MS12がコイル71の片側だけに配置されている、駆動装置Cを備えた調整装置1の実施形態では、補償部品80の成形は、参照符号(110)を付した
図9に示す補償部品に従って設けることができる。補償部品110は、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する表面または第1側面(側部表面)111を備えている。さらに、補償部品80は、第1側面111の反対側に位置する追加表面または第2側面131を具備している。第1側面111は、調整体回転軸線D1から見て互いに斜めに延びている2つの表面部(113、114)から形成され得る。その結果、第1表面部(部分面)113および第2表面部114は、ギャップ(隙間)55に沿う線(ライン、線分)115で互いに出会う。第1表面部113および第2表面部114は、または調整体回転軸線D1から見て生じるそれらの切断輪郭線は、コイル軸線ASに沿って見て、10度以上95度以下の角度で延びている。また、線115は、エッジラインであってもよい。あるいは、線115における端部同士の会合は、調整体回転軸線D1から生じる輪郭線が、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に向かう方向に球状に湾曲している区間で行なわれ得る。
【0139】
これらの実施形態では、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面111は、2つの、特に直線状の表面または球状の部分表面部(113、114)を備え得、それらの向きは、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びている。ここで、中心Zから見たゼロ位置または基準状態における角度は、永久磁石セグメントの配列のうちのそれぞれでより近い永久磁石セグメントMS11、MS12が位置する一方向に開いている。
【0140】
このような補償部品(補償構成要素)110は、特に、永久磁石セグメントMS11、MS12の間に連続的なギャップ55が提供されるか否かにかかわらず、提供され得る。
一般に、中心Zから見てコイル71の少なくとも一方の側に位置する2つの永久磁石セグメントMS11、MS12の少なくとも1つの配列(配置、構成、アレンジメント)を備えている、駆動装置Cの場合、補償部品(補償構成要素)80は、以下を備えていることができる:永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面111であって、第1側面111は2つの直線面、すなわち湾曲していない部分表面部(113、114)を備えており、それらの方向は、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びている。この点で、角度は、中心から見たときに、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列のうちでそれぞれより近い方の永久磁石セグメントMS11、MS12が位置する方向に、ゼロ位置または基準状態で開いている。
【0141】
図7は、図示されたアクチュエータ60のゼロ位置または基準状態を模式的に示す。
図7に示すように、本発明に従って提供されるアクチュエータ60は、基準状態において-コイル軸線ASで見て-、永久磁石セグメントの対のうちの第1永久磁石セグメントMS11がコイル71の第1コイル部(コイルセクション)75に断面で重なるとともに、永久磁石セグメントの対のうちの第2永久磁石セグメントMS12がコイル71の第2コイル部76に断面で重なるように、設計および配置できる。この場合、コイル71の第1コイル部75と、コイル71の第2コイル部76と、は例えば調整体回転軸線D1から見たコイル軸線ASに関して互いに反対側に配置されている。すなわち、コイル71と、少なくとも1つの永久磁石セグメントMSと、の間の相対移動の方向において互いに後ろに配置される。
【0142】
合計1つのみの永久磁石セグメントMSを有している、本発明による調整装置1の実施形態では、調整体回転軸線D1から見て、合計1つのみの永久磁石セグメントMSは、コイル71の片側に配置される。合計1つのみの永久磁石セグメントMSは、基準状態において-コイル軸線ASで見た場合-永久磁石セグメントMSがコイル71の第1コイル部75または第2コイル部76に少なくとも一部で重なるように、設計および配置することができる。類似の方法で、2つの永久磁石セグメントMSを有している、本発明による調整装置1の一実施形態では、-調整体回転軸線D1と、距離によって規定されるレバーと、によってスパンされる平面に対して横方向の視認方向で見たときに、またはコイル軸線ASで見たときに-2つの永久磁石セグメントMSは、それぞれの場合にコイル71の片側に配置されている場合、コイル軸線ASで見たアクチュエータ60の基準状態におけるそれぞれの永久磁石セグメントMSは、少なくとも一部において、コイル71の第1コイル部75または第2コイル部76に重なることができる。
【0143】
本発明による調整装置1の各実施形態において、調整装置1の移動領域は、コイル軸線ASの方向で見て、移動領域において、コイル71と少なくとも1つの永久磁石セグメントMSとの間の相対移動の方向においてコイル軸線ASから離間された、第1コイル部75または第2コイル部76のうちの1つによる永久磁石セグメントMSの少なくとも重複または被覆が設けられるように定義することができる。
【0144】
さらに、本発明による調整装置1の各実施形態において、少なくとも1つの駆動装置Cが、2対の永久磁石セグメントMS11、MS12、MS21、MS22を備えており、そのうちの各場合に1対の永久磁石セグメントMS11、MS12、MS21、MS22が第1磁石セグメント支持体53および第2磁石セグメント支持体54上に固定されることが提供され得る。すなわち、永久磁石セグメントMS11、MS12の第1対は、第1磁石セグメント支持体53上に配置されているとともに、永久磁石セグメントMS21、MS22の第2対は、第2磁石セグメント支持体54上に配置される。ここで、各対の永久磁石セグメントMS11、MS12またはMS21、MS22は、中心Zからまたはコイル軸線ASから見たときに、コイル71またはアクチュエータ60の互いに異なる側に配置される。この点で、それぞれの場合において、2つの永久磁石セグメントMS11、MS21および2つの永久磁石セグメントMS12、MS22は、調整体回転軸線D1から見たときに、コイル軸線ASの方向において互いに横に配置される。
【0145】
第1磁石セグメント支持体53および第2磁石セグメント支持体54上に配置される2つの永久磁石セグメントMS11、MS12またはMS21、MS22は、好ましくはそれぞれの場合に、調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離が中心Zを通るときの当該距離の方向に沿って延びている連続したギャップ55または56によって分離されている。ギャップ55、56は、コイル71と永久磁石セグメントとの間の相対的な動きの方向において、互いに反対側にまたは同じ高さに位置している。
【0146】
これらの特徴を有している駆動装置の実施形態を、
図3~
図6および
図13に示す。永久磁石セグメントMS11、MS12は第1磁石セグメント支持体53上に配置されているとともに、永久磁石セグメントMS21、MS22は第2磁石セグメント支持体54上に配置される。
図3~
図6または
図13に示す駆動装置の実施形態において、本発明による駆動装置の変形例によれば、永久磁石セグメントMS11、MS12の対は、または永久磁石セグメントMS21、MS22の対は、存在しなくてもよい。
【0147】
永久磁石セグメントMS11、MS12またはMS21、MS22の2つの対を有している駆動装置の実施形態では、永久磁石セグメントMS11、MS21およびMS21、MS22は、調整体回転軸線D1から見た場合、コイル軸線ASの方向に互いに横に配置されており、好ましくは同じ方向に分極されている。コイル軸線ASに対して垂直方向に互いに横に配置される永久磁石セグメントMS11、MS12およびMS21、MS22は、好ましくは異なる方向に分極される。これは
図4~
図6、
図19~
図21、および
図23~
図25、に例として示されている。永久磁石セグメントMS11、MS21の場合、磁力線またはNS方向がコイル71から離れる方向に向けられるので、N極は、永久磁石セグメントMS11、MS21のコイル71に面する側に位置している。これに対して、永久磁石セグメントMS12、MS22の場合、磁力線またはNS方向がコイル71に向けられるので、S極は、永久磁石セグメントMS12、MS22のコイル71に面する側に位置する。
【0148】
図7と
図19と
図23は、図示されたアクチュエータ60のゼロ位置または基準状態を概略的に示している。これらの図から、本発明に従って提供されるアクチュエータ60のこの実施形態では、基準状態またはゼロ位置において、それぞれの場合で配置される異なる対の第1永久磁石セグメントMS11、MS21が配置されるように、補償部品が設計および配置されていることがわかる。さらに、コイル軸線ASの方向に見たときに、他の1つが第1コイル部75と、各場合において他の1つが第2コイル部76とで重なるように配置される異なる対の第2永久磁石セグメントMS12、MS22と、を断面で重複して配置する。この場合、第1コイル部75および第2コイル部76は、コイル軸線ASに関して互いに反対側に配置されているので、すなわち、コイル71と少なくとも1つの永久磁石セグメントMSとの間の相対的な動きの方向において他の後ろに1つずつ配置される。特に、第1コイル部75および第2コイル部76は、少なくとも調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離の方向に沿った区間を延びていることが、特にこの距離が中心Zを通る場合、本発明によれば提供される。
【0149】
コイル71の両側の一対の永久磁石セグメントMS11、MS12またはMS21、MS22をそれぞれの場合で備えている、少なくとも1つの駆動装置Cを有している調整装置1の実施形態では、補償部品80は、軟磁性材料で形成されるかまたは軟磁性材料からなることができる。
【0150】
アクチュエータ60のこれらの実施形態では、補償部品(補償構成要素)80は、代替的に、硬磁性材料で形成されるかまたはからなることができる。さらに補償部品80は、永久磁石セグメントMS11、MS12がコイル71の片側にのみ配置(
図15)されている駆動装置Cに類似して、異なる方向に分極することができる。この場合、補償部品80は、2つの分極領域(81、82)から形成されており、駆動装置の基準状態またはゼロ位置の場合、調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離方向に沿って延びている補償部品80の中心線は、第1永久磁石セグメントMS11と第2永久磁石セグメントMS12との間に位置する。永久磁石セグメントMS11、MS12が連続したギャップ55によって分離されており、永久磁石セグメントMS21、MS22が連続したギャップ56によって分離されている実施形態では、基準状態またはゼロ位置において、この中心線は、コイル71と永久磁石セグメントMS11、MS12との間の相対移動の方向において、ギャップ55、56の高さに位置している。特にこのゼロ位置において、第1分極領域81は、その磁力線方向R81が第1永久磁石セグメントMS11の磁力線方向RMS11に沿って、かつ第1永久磁石セグメントMS21の磁力線方向RMS21に沿って、延びているように分極する。さらに、第2分極領域82は、その磁力線方向R82が第2永久磁石セグメントMS12の磁力線方向RMS12に沿って、かつ第2永久磁石セグメントMS22の磁力線方向RMS22に沿って、延びているように分極している。
【0151】
各場合に一対の永久磁石セグメントMS11、MS12またはMS21、MS22がコイル71のそれぞれの側部に位置しているとともに、補償部品80が軟磁性材料または硬磁性材料からなるかまたは構成されている、駆動装置Cを備えた調整装置1の実施形態では、補償部品80の成形は、参照符号(110)が付された
図15に示す補償部品に従って設けることができる。補償部品110は、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面(表面)121と、永久磁石セグメントMS21、MS22の配列に面する第2側面(表面)131と、を備えている。第1側面121または第2側面131は、それぞれ、調整体回転軸線D1から見て互いに斜めに延びている2つの表面部(部分面)123、124または133、134から形成されている。その結果、表面部123、124は、ギャップ55に沿って延びている線125で互いに会っているとともに、表面部133、134は、ギャップ56に沿って延びている線135で互いに会う。調整体回転軸線D1に起因する表面部123、124またはそれらの切断輪郭線同士とともに表面部133、134またはそれらの切断輪郭線同士は、線125または135において互いに出会う中央部分またはそれらの端部同士において、10度~95度の間の角度でコイル軸線ASに沿って延びている。線125または135は、それぞれエッジラインとすることも可能にされている。あるいは、線125または135における端部同士の会合は、調整体回転軸線D1から生じる輪郭線同士が、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列への方向に、または永久磁石セグメントMS21、MS22の配列への方向に、球状に湾曲した区間で行なわれることができる。このような補償部品110は、永久磁石セグメントMS11、MS12と永久磁石セグメントMS21、MS22と、の間に連続したギャップ55が存在する場合にまたは存在しない場合に設けることができる。
【0152】
一般に、これらの実施形態において、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面121は、2つの表面部(側面)123、124を備え得、それらの向きはそれぞれ、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で整列される。ここで、中心Zから見たゼロ位置または基準状態における角度は、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列のうちでそれぞれより近い方の永久磁石セグメントMS11、MS12が位置する方向に開いている。一般に、これらの実施形態では、永久磁石セグメントMS21、MS22の配列に面する第2側面131は、向きがそれぞれコイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で整列している2つの表面部(側面)133、134を備えていることができる。中心Zから見て、ゼロ位置または基準状態での角度は、永久磁石セグメントMS21、MS22の配列のうちのそれぞれでより近い永久磁石セグメントMS21、MS22が位置している方向に開いている。
【0153】
本明細書で定義する実現代替案(K2)によれば、補償部品(補償部材)80は、コイル軸線ASで見て、コイル71またはコイルハウジング72の外周の外方に位置する空間に位置することができる。
【0154】
図17および
図18は、補償部品80が第1補償部品(補償要素)380と第2補償部品390とから形成されている、アクチュエータ60の実施形態を示す。第1補償部品380および第2補償部品390の両方は、コイル71またはコイルハウジング72の外周の外方に位置する空間に配置される。第1補償部品380は、コイル71の第1コイル部75に配置されている一方で、第2補償部品390は、コイル71の第2コイル部76に配置される。第1補償部品380および第2補償部品390の両方およびコイル71は、他のものの上に1つ-コイル71と少なくとも1つの永久磁石セグメントMSとの間の相対移動の方向で見て-位置している。
【0155】
第1補償部品380は、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面381と、第1側面381とは反対側に位置しているとともに永久磁石セグメントMS21、MS22の配列に面する第2側面382と、を備えている。永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面381は、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びている配向を備えている。代替または追加として、一般に、第1側面381は、向きがコイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びている、特にまったく平坦または球状の部分表面部を備えていることができ、その角度は、中心Zから見たとき、ゼロ位置または基準状態において、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列のうちの近い方の永久磁石セグメントMS11が位置している方向に開いている。さらに、永久磁石セグメントMS21、MS22の配列に面する第2側面382は、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びている向きを備えている。代替的または追加的に、第2側面382は、一般に、特に直線的な表面部または球状の部分的表面部を備えていることができ、その向きは、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びており、中心Zから見たゼロ位置または基準状態での角度は、永久磁石セグメントMS21、MS22の配列のうちのより近い永久磁石セグメントMS21が位置する方向に開いている。
【0156】
第2補償部品390は、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面391と、第1側面391および永久磁石セグメントMS21、MS22の配列とは反対側に位置する第2側面392と、を備えている。永久磁石セグメントMS11、MS12の配列に面する第1側面391は、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びている向きを有している。代替的または追加的に、第1側面391は、一般に、特に直線状または球状の部分表面部を備えていることができ、その向きは、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びており、その角度は、中心Zから見たゼロ位置または基準状態において、永久磁石セグメントMS11、MS12の配列のうちの近い方の永久磁石セグメントMS12が位置する方向で開いている。さらに、永久磁石セグメントMS21、MS22の配列に面する第2側面392は、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びている向きを備えている。代替的または追加的に、第2側面392は、一般に、特に直線状または球状の部分表面部を備えていることができ、その向きは、コイル軸線ASに対して10度~40度の間の角度で延びており、中心Zから見たゼロ位置または基準状態における角度は、永久磁石セグメントMS21、MS22の配列のうちのより近い永久磁石セグメントMS22が位置する方向で開いている。
【0157】
第1補償部品(補償素子)380および第2補償部品390は、それぞれ軟磁性材料または硬磁性材料で形成または製作することができる。
図17では、第1補償部品磁界方向R380および第2補償部品磁界方向R390が記入されている。第1コイル部75または第2コイル部76上に位置する補償部品の補償部品磁場方向は、それぞれの第1補償部品380および第2補償部品390とで同じコイル部(75、76)上に位置する永久磁石セグメントの磁力線方向の内でまたは磁力線方向に沿って延びているように設けられる。従って、第1補償部品磁界方向R380は、永久磁石セグメントMS11の磁力線方向RMS11と、永久磁石セグメントMS21の磁力線方向RMS21と、の方向の内でまたはそれらに沿って延びている。第2補償部品磁界方向R390は、永久磁石セグメントMS12の磁力線方向RMS12と、永久磁石セグメントMS22の磁力線方向RMS22と、の方向でまたはそれらに沿って延びている。
【0158】
アクチュエータ60のこの実施形態の変形例では、同じものが2つの補償部品(380、390)のうちの1つのみを備えているように、すなわち、第1コイル部75に配置される第1補償部品(第1補償要素)380と、または第2コイル部76に配置される第2補償部品(第2補償要素)390と、のいずれかを備えているように実現することもできる。これは特に、1つの永久磁石セグメントMSのみがコイル71の片側または両側に配置されるように、アクチュエータ60が実現されている場合である。これらの変形例では、それぞれの補償部品(380、390)は、少なくとも基準状態において、コイル軸線ASで見たときに少なくとも部分的に重なるかまたは覆う、それら第1コイル部75または第2コイル部76に位置する。第1コイル部75または第2コイル部76上に位置する補償部品の補償部品磁場方向は、それぞれの補償部品(380、390)とで同じコイル部上に位置する永久磁石セグメントの磁力線方向でまたはそれに沿って延びているように設けられる。コイル71のそれぞれの側部に一対の永久磁石セグメントMS11、MS12またはMS21、MS22が配置された、駆動装置Cの一例について、
図19~
図21および
図23~
図25を参照しながら以下に説明する。
【0159】
図19~
図21に示す駆動装置Cの実施形態は、軟磁性材料から形成されている補償部品を備えている。
図19に示す基準状態またはゼロ位置から出発して、例えば、第1コイル部75には調整体回転軸線D1に向かう方向に電流が流れるとともに、第2コイル部76には調整体回転軸線D1から離れる方向に電流が流れるように、コイル71を電気的に通電することができる。第1コイル部75および第2コイル部76の電流方向と、磁力線方向RMS11、RMS12、RMS21、RMS22と、は補償部品80と永久磁石セグメントMS11、MS12、MS21、MS22との間の対応する相対変位を伴う、アクチュエータ60の偏向または移動をもたらす。永久磁石セグメントMS11、MS12、MS21、MS22に対するアクチュエータ60の相対的な移動の効果は、
図20または
図21に示す駆動装置Cの調整状態である。
【0160】
永久磁石セグメントとで協働するコイル71の通電によって引き起こされる、調整状態におけるアクチュエータ60の偏向または移動は、同様に
図19~
図21から把握することができるとともに、基準状態において
図19に従って存在する磁力線分布とは異なる磁力線分布をもたらす。駆動装置の調整状態における、結果として生じる非対称な磁力線分布のために、補償部品80と、対応する永久磁石セグメントMS11、MS12、MS21、MS22と、の間の引力の望ましい構成または増幅が生じるので、これら引力の望ましい構成または増幅はコイル71の通電によって生じるアクチュエータの偏向または移動を支えるとともに、偏向に類似する撓みヒンジ21または22のこの変形に基づいて生じる復原力を相殺するかまたは部分的にまたは完全に補償する。
【0161】
補償部品80と、対応する永久磁石セグメントMS11、MS12、MS21、MS22と、の間に作用する力は、調整体10の撓みに依存しているので、アクチュエータ60が基準状態から撓むと同時に絶対値=0よりも大きくなる。調整体10の撓みは、コイル71に流れる電流によって決定される。電流に依存する作用力(アクチュエータフォース)は、永久磁石セグメントの磁界と、コイル71内の電流密度と、の間の相互作用から生じる(ローレンツ力)。補償部品80と永久磁石セグメントとの間に生じる引力は、コイル71を通って伝導される電流とはほとんど無関係である。補償部品80と永久磁石セグメントとの間の力作用は、アクチュエータ60の実施形態に応じて、永久磁石セグメントによって生じる外方磁場と、任意に補償部品80の自身の磁場または補償部品80の透磁率と、の間のエネルギー最小化の傾向から生じる。
【0162】
一方、例えば、第1コイル部75には調整体回転軸線D1から離れる方向に電流が流れるとともに、第2コイル部76には調整体回転軸線D1に向かう方向に電流が流れるように、コイル71に通電すると、磁力線方向RMS11、RMS12、RMS21、RMS22とともに、
図21に示すように、アクチュエータ60を
図20による撓みとは反対の方向に撓ませる。
【0163】
図23~
図25に示す駆動装置Cの実施形態は、本明細書において
図15を参照して説明したように、磁力線方向R81およびR82が生じるように硬磁性材料からなる補償部品80を備えている。この場合、
図24に示す調整状態は、
図20で説明したコイル71に流れる電流の方向と動作モードとで、
図20に示す調整状態に対応する。さらに、
図25に示す調整状態は、
図21に示す設定状態に、
図21に記載のコイル71に流れる電流の方向と動作モードとを対応させたものである。補償部品80に硬磁性材料を用いることで、補償部品80と永久磁石セグメントMS11、MS12、MS21、MS22との相互吸引力による上述の効果を増幅することができる。
【0164】
図19~
図21および
図23~
図25で説明した効果は、駆動装置Cがアクチュエータ60の第1側のみに一対の永久磁石セグメントMS11、MS12を備えている場合、または駆動装置Cがアクチュエータ60の第2側のみに一対の永久磁石セグメントMS21、MS22を備えている場合、にも当てはまる。
【0165】
図19~
図21および
図23~
図25を参照して説明した動作モードは、駆動装置Cが1つの永久磁石セグメント、1つのコイル71、および1つの補償部品80、のみを備えている場合にも当てはまる。この場合、特に、コイル軸線ASで見た基準状態またはゼロ位置にある駆動装置Cの個々の永久磁石セグメントが、少なくとも第1コイル部75または第2コイル部76内の区間に位置しているとともに、第1コイル部75および第2コイル部76が、少なくとも調整体回転軸線D1とコイル軸線ASとの間の距離の方向に沿った区間で、特にこの距離が中心Zを通る場合にこの区間で、延びていることを備えていることができる。
【0166】
図19~
図21および
図22~
図25を参照して説明した動作モードは、アクチュエータ60が
図17および
図18に示された実施形態に従って、またはその変形例として実現される場合にはそれとは反対の意味で、行なわれる。本発明による調整装置1のさらなる実施形態では、ベース部品B1と、調整体10と、撓みヒンジ装置20と、少なくとも1つの駆動装置Cと、を備えている配列が提供され得る。この配列は、本明細書に記載の実施形態の1つに従って実現されるとともに、その手段によって調整体10がベース部品B1に対して調整できる。この配列は、関節装置、特に屈曲ヒンジ装置420、によって第2ベース部品B2に回動可能に支持されており、回転軸線受は、調整体回転軸線D1に対して横方向に、特に調整体回転軸線D1に対して垂直方向に延びているベース部品回転軸線D2を提供する。その結果、第2ベース部品B2上での調整体10のカルダン支持(カーダンサポート)は実現される。
【0167】
調整装置1のこのような実施形態は、
図26~
図29に示されている。第2ベース部品B2は、ベース部品回転軸線D2に関して互いに反対側に横たわる第2ベース部品B2の側部同士において、駆動装置C400によって第1ベース部品B1に結合されている。駆動装置C400は、
図1~
図25に従って本明細書に記載されている駆動装置の変形例の1つに従って設計することができる。しかしながら、これらの変形例のそれぞれにおいて、撓みヒンジ回転軸線D1は、ベース部品回転軸線D2によって置き換えられることができる。
【0168】
特に、ベース部品B1および第2ベース部品B2に結合される駆動装置C400のこの実施形態では、駆動装置Cの作動運動がベース部品回転軸線D2を中心とする第2ベース部品B2の回転を引き起こすように、同じものがベース部品回転軸線D2から距離H400に位置している。駆動装置C400は、以下の構成である。
【0169】
電気コイルとしてのコイル71を備えているアクチュエータ60であって、前記コイル71のコイル軸線ASがベース部品回転軸線D2に沿って延びており、硬磁性材料または軟磁性材料から形成されるとともにコイル71の一部の外方に配置される補償部品80を備えており、補償部品80とコイル71とは互いに機械的に固定されている、アクチュエータ60。
【0170】
少なくとも1つの永久磁石セグメントMSであって、永久磁石セグメントMSは、コイル軸線ASの方向に距離が延びているコイル71の横に非接触で配置されており、少なくとも1つの永久磁石セグメントMSは、コイル軸線ASで見て、アクチュエータ60に対する少なくとも1つの永久磁石セグメントMSの移動領域で、少なくともコイル71の一部とで部分的に重なる、永久磁石セグメントMS。
【0171】
ここで、調整装置1への駆動装置Cの取り付けは、2つの選択肢(a)、(b)のうちの1つに従って調整運動を実施するべく提供される。
(a)アクチュエータ60がベース部品B1に結合される一方で、永久磁石セグメントMSは調整体接続装置AVに結合される。
【0172】
(b)アクチュエータ60が調整体接続装置AVに結合される一方で、永久磁石セグメントMSはベース部品B1に結合される。
調整装置1のこれらの実施形態において、アクチュエータ60は、本明細書に記載された変形例の1つに従って設計することができる。また、駆動装置Cは、本明細書に記載の変形例の1つに従って具体化することができ、特に、本明細書に記載の複数の永久磁石セグメントMSを備えて具体化することが可能にされている。
【符号の説明】
【0173】
1…調整装置。
3…調整体ハウジング。
10…調整体。
【0174】
11…調整体フレーム。
15…ピボット軸受保持部(ベアリングリテーナ)。
16…ピボット軸受保持部。
【0175】
20…撓み(フレクシャ、屈曲)ヒンジ装置。
21…第1撓みヒンジ。
22…第2撓みヒンジ。
【0176】
25…調整体調整部。
26…調整体調整部。
27…調整体調整部。
【0177】
28…調整体調整部。
53…第1磁石セグメント支持体(マグネティックセグメントサポート、キャリア、担体)。
【0178】
54…第2磁石セグメント支持体。
55…ギャップ(隙間)。
57…接続片(コネクションピース)。
【0179】
58…接続片。
60…アクチュエータ(アクター、作用体)。
63…締結部。
【0180】
64…締結部。
65…接続素子。
67…凹部。
【0181】
68…凹部。
70…コイル(コイル装置)。
71…コイル(電気コイル)。
【0182】
72…コイルハウジング。
75…第1コイル部。
76…第2コイル部。
【0183】
80…補償部品(補償部材)。
81…第1分極(ポラリゼーション)領域。
82…第2分極領域。
【0184】
110…補償部品。
111…第1側面(表面)。
113…第1部分表面部。
【0185】
114…第2部分表面部。
115…線(線分、ライン)。
120…補償部品。
【0186】
121…側面。
123…表面部。
124…表面部。
【0187】
125…線。
380…補償部品(補正素子)。
381…第1側面。
【0188】
382…第2側面。
390…補償部品。
391…第1側面。
【0189】
392…第2側面。
420…撓みヒンジ装置。
AS…コイル軸線。
【0190】
AV…調整体接続装置。
B1…ベース部品。
B2…第2ベース部品。
【0191】
C…駆動装置。
C1…第1駆動装置。
C2…第2駆動装置。
【0192】
C400…駆動装置。
C401…第1駆動装置。
C402…第2駆動装置。
【0193】
D1…調整体回転軸線。
D2…第2ベース部品回転軸線。
FG…軸(アクスル)部品。
【0194】
H…距離。
MS…永久磁石セグメント。
MS11…永久磁石セグメント。
【0195】
MS12…永久磁石セグメント。
MS21…永久磁石セグメント。
MS22…永久磁石セグメント。
【0196】
R81…第1分極領域81の磁力線方向。
R82…第2分極領域82の磁力線方向。
R380…補償部品(補償素子)磁力線。
【0197】
R390…補償部品磁力線。
RMS11…永久磁石セグメントMS11の磁力線。
RMS12…永久磁石セグメントMS12の磁力線。
【0198】
RMS21…永久磁石セグメントMS21の磁力線。
RMS22…永久磁石セグメントMS22の磁力線。
Z…調整体10の中心。