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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】アークヒューズ付加製造経路の生成方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/25 20210101AFI20240423BHJP
   B22F 10/38 20210101ALI20240423BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240423BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20240423BHJP
【FI】
B22F10/25
B22F10/38
B33Y30/00
B33Y50/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023516634
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2021117962
(87)【国際公開番号】W WO2022053041
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】202010962181.1
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522112364
【氏名又は名称】貴州翰凱斯智能技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 強
(72)【発明者】
【氏名】李 江山
(72)【発明者】
【氏名】パワル シッダールス スハス
(72)【発明者】
【氏名】喩 川
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-224710(JP,A)
【文献】特開2019-089108(JP,A)
【文献】特開2019-098353(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105772905(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00,10/22,10/25,10/38,10/80,
12/00,12/90
B23K 9/032
B33Y 30/00,50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アークヒューズ付加製造経路の生成方法であって、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含み、
前記ステップS5において三次元モデルの構造の複雑さに基づいて方向オフセット係数nを設定し、そうすると、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向はステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z 軸の単位ベクトルbを加えた値を方向オフセット係数nに乗じたベクトルc
の逆方向であり、前記三次元モデルの構造が複雑であるほど、方向オフセット係数nの数値が大きくなることを特徴とするアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【請求項2】
前記方向オフセット係数nの範囲が0.1~1であることを特徴とする請求項に記載のアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【請求項3】
アークヒューズ付加製造経路の生成方法であって、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z 軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含み、
前記ステップS1における三次元モデルが三角形メッシュモデルであることを特徴とすアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【請求項4】
アークヒューズ付加製造経路の生成方法であって、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z 軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含み、
前記ステップS2における前記階層化処理された各層の厚さ範囲が0.5~3.5mmであることを特徴とすアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【請求項5】
アークヒューズ付加製造経路の生成方法であって、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z 軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含み、
ステップS3における異なる階層のアーク溶接開始点をランダムに決定することを特徴とすアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【請求項6】
アークヒューズ付加製造経路の生成方法であって、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z 軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含み、
前記ステップS3において曲線の曲率が大きいほど、選択された離散点間の距離が短くなり、前記離散点間の距離が1~3mmであることを特徴とすアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【請求項7】
前記ステップS7における運動命令が離散点の座標及び対応する印刷方向に基づいて作成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【請求項8】
アークヒューズ付加製造経路の生成方法であって、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z 軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含み、
該方法は主に金属3D印刷製造に応用されることを特徴とすアークヒューズ付加製造経路の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は付加製造の技術分野に関し、特にアークヒューズ付加製造経路の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤアーク付加製造技術(WAAM、WireArcAdditiveManufacture)は1層ずつ肉盛りする原理に基づいてガスシールド消耗電極式アーク溶接(MIG)、タングステン不活性ガス溶接(TIG)及びプラズマ溶接電源(PA)などの溶接機によるアークを熱源として用いて、ヒューズ材を加えることにより、プログラムの制御によって三次元デジタルモデルに基づいて線-面-立体から金属部品を徐々に成形する先進的なデジタル製造技術である。それは堆積効率が高く、ヒューズ材の利用率が高く、製造周期が短くてコストが低く、部品の寸法に対する制限が少なく、部品を修復しやすいという利点を有するだけでなく、更にin-situコンポジット製造及び大寸法部品の成形能力を有する。
【0003】
現在、ワイヤアーク付加製造成形は1層ずつ累加する方式を用いて三次元実体部品を構築し、ワイヤアーク付加製造の経路の計画・設計は水平スライス方法を用いる場合が多く、それは具体的な実践において、(1)として、このような方法が主に3自由度のFDMプリンタに適用され、取得されたのがxzy座標であり、印刷方向情報がなく、(2)として、溶接ガンの角度に対して厳しく要求され、アーク破壊現象が生じて印刷穿孔欠陥を形成しやすく、且つロボットによる各点での印刷方向がいずれも一致するため、このような方法が大きな勾配の構造を印刷できず、最大の勾配が15~20であり、(3)として、複雑な構造を印刷するとき、軌跡曲率が変化する要素によってロボットの移動速度が一致するように保持できず、印刷品質(表面テクスチャ)に対して一定の影響力がある、という欠点がある。従って、複雑な形態に適用し、勾配範囲がより広いアークヒューズ付加製造経路の生成方法を提供することは付加製造の技術分野における解決する必要がある問題となる。
【0004】
特許文献≪ワイヤアーク付加製造方法≫(CN108723549A)にはワイヤアーク付加製造方法が開示されており、成形目標部品の材料要件に応じて対応する熱源タイプ、成形用ヒューズ材、基板の材料タイプを選択するステップ(1)と、成形目標部品のCAD幾何モデルを確立し、STLモデルを抽出し、STLモデルをスライス処理して、印刷に必要なGコードファイルを生成し、且つGコードをプリンタに伝送するステップ(2)と、印刷パラメータを設定し、印刷装置を起動し、計画経路に基づいて金属薄層の印刷を1層ずつ行うステップ(3)と、プリンタがすべての層シートを印刷し終えた後、溶接ガンがアークを消弧すれば、成形目標部品を得ることができるステップ(4)と、を含む。本発明の方法で印刷された付加部材は誤差が小さく、クラックがなく、表面品質が良いという利点を有するとともに、過程が安定化し、寸法精度及び表面品質が高く、加工周期が短く、コストが低く、印刷過程を閉ループ制御し、自動性が高く、操作者の仕事量を軽減することができ、連続的に製造でき、製造効率が高い。上記特許の技術案はワイヤアーク付加製造過程における印刷傾斜角度の変化を実現することができるが、該方式は傾斜角度がより一致する製品のみに適用されるが、複雑な形態の異形構造部材に適用できず、操作過程が複雑で、限定性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の問題を解決するために、本発明は複雑な形態の製品に適用されるアークヒューズ付加製造経路の生成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のステップ、すなわち、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z0軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含むアークヒューズ付加製造経路の生成方法を提供する。
【0007】
更に、前記ステップS5において三次元モデルの構造の複雑さに基づいて方向オフセット係数nを設定し、そうすると、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向は、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z軸の単位ベクトルbを加えた値を方向オフセット係数nに乗じたベクトルc
の逆方向であり、前記三次元モデルの構造が複雑であるほど、方向オフセット係数nの数値が大きくなる。
【0008】
更に、前記方向オフセット係数nの範囲が0.1~1である。
【0009】
更に、前記ステップS1における三次元モデルが三角形メッシュモデルである。
【0010】
更に、前記ステップS2における前記階層化処理された各層の厚さ範囲が0.5~3.5mmである。
【0011】
更に、ステップS3における異なる階層のアーク溶接開始点をランダムに決定する。
【0012】
更に、前記ステップS3において曲線の曲率が大きいほど、選択された離散点間の距離が短くなり、前記離散点間の距離が1~3mmである。
【0013】
更に、前記ステップS7における運動命令が離散点の座標及び対応する印刷方向に基づいて作成される。
【0014】
更に、該方法は主に金属3D印刷製造に応用される。
【0015】
更に、該方法は主にRhinoソフトウェアにより実施して行われる。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本発明の利点は以下のとおりである。
1、本発明は経路計画過程において異なる離散点でのアーク溶接ツールヘッドの印刷方向を決定し、従来技術におけるワイヤアーク付加製造の経路生成は一般的に水平方向に沿って階層化する経路計画方法を用い、印刷過程において印刷点の世界座標のみを決定できるが、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向を独立して計画・設計できず、且つ従来技術に採用されるワイヤアーク付加製造技術は印刷勾配が大きくとも世界座標Z軸を20度ずれてはならず、構造がより簡単な製品のみを印刷でき、本発明は垂直方向においてモデルを階層化する方法を用いて、離散点の曲線での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、X軸とY軸とが点平面を構成し、点平面の法線をZ軸とし、Z軸の単位ベクトルaに世界座標Z0軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定し、従来技術に比べて、本発明の相違点は、離散点の座標を決定するとともに、更に対応する離散点でのアーク溶接ツールヘッドの印刷方向を独立して決定することができ、且つアーク溶接ツールヘッドの印刷方向の決定方法を提供し、そして、該アーク溶接ツールヘッドの印刷方向の決定方法はステップが簡単で、ワイヤアーク付加製造技術をより広く応用し、最大の印刷勾配が60度に達することができ、印刷製品は形態がより複雑で、適用範囲が広いことにある。
【0017】
2、本発明は三次元モデル構造の複雑さに対して方向オフセット係数nを設定し、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向を決定するとき、世界座標Z0軸の単位ベクトルbを方向オフセット係数nに乗じた値に離散点Z軸の単位ベクトルaを加えることにより、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向を元の印刷方向から一定の角度ずれさせることができ、且つ三次元モデルは構造が複雑であるほど、方向オフセット係数nの数値が大きくなり、このように、アーク溶接ツールヘッドの角度の大幅な変化を抑制することができ、アーク溶接ツールヘッドの角度範囲の変化が大きすぎるため、印刷ロボットアームの速度制限を突破して失速し、印刷ロボットアームに引っ掛かり又はジャンプエラーなどの問題が発生することを回避する。
【0018】
3、本発明は曲線の曲率が大きいほど、選択された離散点間の距離が短くなり、離散点の数が多くなるとともに、離散点間の距離を1~3mmとして設定することにより、間隔が大きすぎて成形品質に悪影響を与え、間隔が小さすぎてデータファイルが膨大でロボットに読み取られない状況が発生することを回避する。また、一般的なワイヤアーク付加製造技術は印刷が曲率から影響される場合、離散点の分布が不均一であるため、印刷成形された製品の表面テクスチャが悪いが、本発明を用いれば曲率の変化によって離散点の数を自由に選択することができ、更に上記状況を効果的に克服し、最終的に印刷された製品は成形効果がより顕著で、品質がより良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の記述に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に記載する本発明に関わる図面は単に本発明の実施例の一例であって、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
図1図1は本発明のフローチャートである。
図2図2は本発明に係るステップS1の三次元模式図である。
図3図3は本発明に係るステップS2におけるモデルを階層化する模式図である。
図4図4は本発明に係るステップS3におけるアーク溶接開始点を選択する模式図である。
図5図5は本発明に係るステップS3における離散点を選択する模式図である。
図6図6は本発明に係るステップS4における離散点の座標を取得する模式図である。
図7図7(A)は本発明に係るステップS5におけるアーク溶接印刷方向を確認する模式図であり、図7(B)は本発明に係るステップS5における方向オフセット係数を導入してからアーク溶接印刷方向を確認する模式図である。
図8図8は本発明に係るステップS7におけるモデル離散点の座標及びアーク溶接印刷方向を取得する模式図である。
図9図9は本発明の図8におけるC箇所の部分拡大模式図である。
図10図10は本発明に係るステップS6における製品の離散点でのアーク溶接印刷方向を決定する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施例の図面を参照しながら本発明の実施例の技術案を詳しく説明し、無論、説明される実施例は本発明の実施例の一部であり、実施例の全部ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに取得するすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
図1に示すように、本発明はアークヒューズ付加製造経路の生成方法であって、
モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立するステップS1と、
モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理するステップS2と、
離散点の選択を行い、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択するステップS3と、
離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4と、
印刷方向を決定し、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定するステップS5と、
ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6と、
ロボットの文法ルールに従って運動命令を作成し、且つ運動命令の前後にアーク溶接開始停止命令を追加して制御プログラムを生成するステップS7と、を含む方法を提供する。
【0022】
従来技術におけるワイヤアーク付加製造の経路生成は一般的に水平方向に沿って階層化する経路計画方法を用い、印刷過程において印刷点の世界座標のみを決定できるが、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向を独立して計画・設計できず、且つ従来技術に採用されるワイヤアーク付加製造技術は印刷勾配が大きくとも世界座標Z軸を20度ずれてはいけなく、構造がより簡単な製品のみを印刷でき、本発明は垂直方向においてモデルを階層化する方法を用いて、離散点の曲線での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、X軸とY軸とが点平面を構成し、点平面の法線をZ軸とし、Z軸の単位ベクトルaに世界座標Z軸の単位ベクトルbを加えたベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定し、従来技術に比べて、本発明の相違点は、離散点の座標を決定するとともに、更に対応する離散点でのアーク溶接ツールヘッドの印刷方向を独立して決定することができ、且つアーク溶接ツールヘッドの印刷方向の決定方法を提供し、そして、該アーク溶接ツールヘッドの印刷方向の決定方法はステップが簡単で、ワイヤアーク付加製造技術をより広く応用し、最大の印刷勾配が60度に達することができ、印刷製品の形態がより複雑で、適用範囲が広いことにある。
【0023】
前記ステップS5において三次元モデルの構造の複雑さに基づいて方向オフセット係数nを設定し、そうすると、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向はステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaに世界座標Z軸の単位ベクトルbを加えた値を方向オフセット係数nに乗じたベクトルc
の逆方向であり、前記三次元モデルは構造が複雑であるほど、方向オフセット係数nの数値が大きくなる。
【0024】
本発明は三次元モデルの構造の複雑さに対して方向オフセット係数nを設定し、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向を決定するとき、世界座標Z軸の単位ベクトルbを方向オフセット係数nに乗じた値に離散点Z軸の単位ベクトルaを加えることにより、アーク溶接ツールヘッドの印刷方向を元の印刷方向から一定の角度ずれさせることができ、且つ三次元モデルは構造が複雑であるほど、方向オフセット係数nの数値が大きくなり、このように、アーク溶接ツールヘッドの角度の大幅な変化を抑制することができ、アーク溶接ツールヘッドの角度範囲の変化が大きすぎるため、印刷ロボットアームの速度制限を突破して失速し、印刷ロボットアームに引っ掛かり又はジャンプエラーなどの問題が発生することを回避する。
【0025】
前記方向オフセット係数nの範囲が0.1~1であり、本発明の方向オフセット係数nの範囲を0.1~1とすることにより、印刷方向が離散点に接近して曲面の法線方向に位置するように確保し、アーク溶接ツールヘッドが印刷操作をより良く行うことに寄与する。
【0026】
前記ステップS1における三次元モデルが三角形メッシュモデルであり、離散点が曲面の法線に位置することをより良く決定することに寄与する。
【0027】
前記ステップS2における前記階層化処理された各層の厚さ範囲は0.5~3.5mmであり、前記階層化処理された各層の厚さはアーク溶接電流及び印刷材料の直径によって決定され、電流が大きいほど、層厚が小さくなり、印刷材料の直径が大きいほど、層厚が大きくなり、それによりアーク溶接付加製造を行った最終製品の品質が確保され、当業者であれば実際のアーク溶接電流及び材料の直径に基づいて階層の厚さを決定することができる。
【0028】
ステップS3における異なる階層のアーク溶接開始点をランダムに決定し、異なる階層のアーク溶接開始点が不完全に隣接するように確保し、このように、同じ開始点であれば開始点に材料を堆積して最終製品の表面品質が悪いという問題を回避することに寄与する。
【0029】
前記ステップS3において曲線の曲率が大きいほど、選択された離散点間の距離が短くなり、前記離散点間の距離が1~3mmであり、本発明において、曲線の曲率が大きいほど、選択された離散点間の距離が短くなり、離散点の数が多くなるとともに、離散点間の距離を1~3mmとして設定し、このように、間隔が大きすぎて成形品質に悪影響を与え、間隔が小さすぎてデータファイルが膨大でロボットに読み取られない状況が発生することを回避する。また、一般的なワイヤアーク付加製造技術は印刷が曲率から影響される場合、離散点の分布が不均一で、大きな曲率の離散点の選択数が少な過ぎるため、印刷成形された製品の表面テクスチャが悪くなりやすいが、本発明を用いれば曲率の変化によって離散点の数を自由に選択することができ、更に上記状況を効果的に克服し、最終的に印刷された製品は成形効果がより顕著で、品質がより良い。
【0030】
前記ステップS7における運動命令は離散点の座標及び対応する印刷方向に基づいて作成され、本発明の離散点の座標は世界座標系を基準として取得した絶対座標を選択してもよく、離散点の相対座標系を基準として決定した相対座標を選択してもよい。
【0031】
該方法は主に金属3D印刷製造に応用され、本発明は主にアーク溶接付加製造の分野に応用され、使用される印刷材料が主に金属材料である。
【0032】
該方法は主にRhinoソフトウェアにより実施して行われ、当業者であれば実際の印刷ニーズに応じてRhinoのgrasshopper可視化プログラミングソフトウェアを用いて関連プログラムを作成して、本発明の技術案を実現することができる。
【0033】
実施例
本発明は、以下のステップを含むアークヒューズ付加製造経路の生成方法を提供する:
図2に示すように、モデルの生成を行い、アークヒューズ付加製造の角度制約に基づいて三次元モデルを確立し、好ましくは最終的に確立された三次元モデルが三角形メッシュモデルであるステップS1、
図3に示すように、モデルの階層化を行い、高さ方向に沿って三次元モデルを階層化処理し、即ち世界座標Z軸に沿って階層化処理し、階層化順序がアーク溶接順序に応じて低いから高いまで処理し、階層化処理された層厚がアーク溶接電流及び印刷材料の直径によって決定され、電流が大きいほど、層厚が小さくなり、印刷材料の直径が大きいほど、層厚が大きくなり、成形効果が確保される上で、各層の層厚を0.5~3.5mmとして決定するステップS2、
離散点の選択を行い、図4に示すように、異なる階層のアーク溶接開始点をランダムに決定し、異なるアーク溶接開始点が隣接しないように確保し、図5に示すように、モデルの異なる階層に対して曲線の曲率に基づいて複数の離散点を選択し、曲線の曲率が大きいほど、選択された離散点間の距離が短くなり、離散点の数が多くなり、離散点間の間隔が1~3mmであるステップS3、
図6に示すように、離散点の座標を取得し、曲線の離散点での接線をX軸、離散点の曲面での法線をY軸とし、前記X軸とY軸とが点平面を構成し、前記点平面の法線をZ軸とするステップS4、
印刷方向を決定し、図7(B)に示すように、世界座標Z軸の単位ベクトルbを方向オフセット係数nに乗じた後、ステップS4におけるZ軸の単位ベクトルaを加えてベクトルcを取得し、ベクトルcの逆方向をアーク溶接ツールヘッドの印刷方向として決定し、方向オフセット係数nが三次元モデルの構造の複雑さ及び曲率の大きさによって決定され、構造が複雑であるほど、曲率が大きくなり、そうすると、方向オフセット係数nの値が小さいほど、アーク溶接印刷方向が離散点に接近して曲面の法線方向に位置し、方向オフセット係数nの値範囲が0.1~1であるステップS5、
図8~10に示すように、ステップS3及びステップS4に基づいて選択された複数の離散点の座標及び対応する印刷方向を順次取得するステップS6、
ロボットの文法ルールに従って、離散点の座標及び対応する印刷方向に基づいて運動命令を作成し、且つ運動命令の前にアーク溶接開始命令を追加し、運動命令の後にアーク溶接開始停止命令を追加して、制御プログラムを生成するステップS7。
【0034】
以上、本発明の基本原理、主な特徴及び本発明の利点を表示及び説明した。当業者であれば理解されるように、本発明は上記実施例により制限されるものではなく、上記実施例及び明細書に説明されるのは本発明の原理を説明するものに過ぎず、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく本発明は更に種々の変化及び改良を行うことができ、これらの変化及び改良はいずれも保護を求める本発明の特許請求の範囲内に含まれる。本発明の保護を求める範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9
図10