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7477728工具なしで組み付けられる張力ロック、および張力ロックを工具なしで組み付けるためのシステム
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  • -工具なしで組み付けられる張力ロック、および張力ロックを工具なしで組み付けるためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】工具なしで組み付けられる張力ロック、および張力ロックを工具なしで組み付けるためのシステム
(51)【国際特許分類】
   E05C 19/14 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
E05C19/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023543265
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2021074772
(87)【国際公開番号】W WO2022063588
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】102020125243.9
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523111603
【氏名又は名称】ディーター ラムザウアー パテントフェアヴェルトゥング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dieter Ramsauer Patentverwertung GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Koenigsfelder Strasse 1,58256 Ennepetal,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ラムザウアー
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3103234(JP,U)
【文献】特開2010-196249(JP,A)
【文献】実開昭56-149768(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0298655(US,A1)
【文献】米国特許第5127684(US,A)
【文献】仏国特許出願公開第2261396(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 19/10-19/14
E05B 65/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結される2つの構成要素(3A、3B)に工具なしで組み付けられる張力ロック(1)であって、
- 前記張力ロック(1)を前記第1の構成要素(3A)に連結する第1の締結要素(5A)と、
- 前記張力ロック(1)を前記第2の構成要素(3B)に連結する第2の締結要素(5B)と、
- 前記2つの締結要素(5A、5B)の少なくとも一方に可動連結された、前記張力ロック(1)を作動させる張力レバー(2)とを備え、
- 前記第1の締結要素(5A)および/または前記第2の締結要素(5B)は、工具なしで組み付けできる、前記構成要素(3A、3B)に設けられた切抜き(13A、13B)との、具体的には嵌め合い式の連結を形成するための少なくとも1つの連結手段(6A、6B、7A、7B、8A、8B)を有し、
- 少なくとも1つの連結手段はロッキングフック(6A、6B)として構成されており、
- 少なくとも1つの連結手段は、ばね要素(8A、8B)を有する取付けブロック(7A、7B)として構成されている、
張力ロック(1)であって、
各締結要素(5A、5B)は、ロッキングフック(6A、6B)と、ばね要素(8A、8B)を有する取付けブロック(7A、7B)とを有することと、前記ロッキングフック(6A、6B)と、前記ばね要素(8A、8B)を有する前記取付けブロック(7A、7B)とは、前記切抜き(13A、13B)のそれぞれ反対側の辺におけるそれらの位置に前記締結要素(5A、5B)を固定するように、反対側の辺にかつ反対向きに配置されていることを特徴とする、張力ロック(1)。
【請求項2】
第1の端部(9’)を用いて前記張力レバー(2)に回転可能なように連結され、第2の端部(9’’)を用いて前記2つの締結要素(5A、5B)の一方に回転可能なように連結されている、関節式搖動体(9)を特徴とする、請求項1に記載の張力ロック(1)。
【請求項3】
前記張力レバー(2)および/または前記2つの締結要素(5A、5B)の一方は、前記関節式搖動体(9)の前記端部(9’、9’’)の一方を回転可能なように取り付ける受容部(10’、10’’)を有することを特徴とする、請求項に記載の張力ロック(1)。
【請求項4】
前記張力レバー(2)は突起(11)を有することと、前記2つの構成要素の一方(3B)は、取外し可能な連結を形成するために凹所(12)に前記突起(11)を挿入できるように前記凹所(12)を有することとを特徴とする、請求項1からの何れか一項に記載の張力ロック(1)。
【請求項5】
前記張力レバー(2)は少なくとも1つのハンドル要素(4)を有することを特徴とする、請求項1からの何れか一項に記載の張力ロック(1)。
【請求項6】
前記張力ロック(1)は、プラスチックおよび/または金属から製造されることを特徴とする、請求項1からの何れか一項に記載の張力ロック(1)。
【請求項7】
互いに連結される2つの構成要素(3A、3B)に張力ロック(1)を工具なしで組み付けるためのシステムであって、
- 請求項1からの何れか一項に記載の張力ロック(1)と、
- 互いに連結される2つの構成要素(3A、3B)と
を備える、システムであって、
前記2つの構成要素(3A、3B)はそれぞれ、切抜き(13A、13B)を有することを特徴とする、システム。
【請求項8】
前記2つの構成要素(3A、3B)は金属シートから製造され、前記切抜き(13A、13B)はほぼ矩形であることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに連結される2つの構成要素に工具なしで組み付けられる張力ロックであって、張力ロックを第1の構成要素に連結する第1の締結要素と、張力ロックを第2の構成要素に連結する第2の締結要素と、2つの締結要素の少なくとも一方に可動連結された、張力ロックを作動させる張力レバーとを備える張力ロックに関する。
【0002】
本発明は、互いに連結される2つの構成要素に張力ロックを工具なしで組み付けるためのシステムであって、先に説明した張力ロックと、互いに連結される2つの構成要素とを備える、システムにも関する。
【背景技術】
【0003】
様々な構成の張力ロックが先行技術により知られている。このような張力ロックは、2つの構成要素を互いに、例えば、ドアをドアフレームに、取外し可能なように連結するために使用される。それらを作動させるために、張力ロックは張力レバーを有することが多く、張力レバーは、閉(「クランプ固定された」)位置から開(「クランプ固定されていない」)位置にだけ移動できるように構成されている。
【0004】
張力ロックに関する課題の一つは、張力ロックによって互いに連結される構成要素に、張力ロックを締結することである。例えばリベット連結またはねじ連結を形成するためには、締結用の特別な工具が必要になることが多い。さらに、一部のタイプの連結、例えば、溶接による連結は、金属シートなどの薄肉の構成要素に対して形成することが非常に難しい。
【0005】
したがって、本発明の根底にある目的は、張力ロックによって互いに連結される構成要素に、工具を使用せずに張力ロックを確実に組み付けできるように、先に説明した張力ロックを設計し、さらに発展させることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的は、請求項1の前提条件に記載の張力ロックにおいて、第1の締結要素および/または第2の締結要素は、工具なしで組み付けできる、構成要素に設けられた切抜きとの、具体的には嵌め合い式の連結を形成するための少なくとも1つの連結手段を有することにより達成される。
【0007】
本発明は、互いに連結される2つの構成要素に工具なしで組み付けできる張力ロックに関する。張力ロックは、張力ロックを第1の構成要素に連結する第1の締結要素と、張力ロックを第2の構成要素に連結する第2の締結要素とを備える。したがって、2つの締結要素は、連結される構成要素に張力ロックを連結するために使用される。構成要素が平坦な表面を有することが多いため、締結要素もそれぞれの場合に、連結される構成要素と接触するための少なくとも1つの平坦な(接触)表面を有することが好ましい。張力ロックは、張力ロックを作動させる張力レバーも備える。この張力レバーは、2つの締結要素の少なくとも一方に、例えば関節式搖動体を介して可動連結されている。張力レバーは、両方の締結要素に連結することもでき、そこでは、張力ロックを十分に開放できるように、これら2つの連結の一方は取外し可能になるように設計されるべきである。
【0008】
本発明によれば、第1の締結要素および/または第2の締結要素は、工具なしで組み付けできる、構成要素に設けられた切抜きとの、具体的には嵌め合い式の連結を形成するための少なくとも1つの連結手段を有することが提供され、すなわち、工具なしで組み付けできる連結は、締結要素の対応する設計によって実現されるべきである。詳細には、そのために締結要素から突出する連結手段を設けることができ、その連結手段は、連結される構成要素に(またはそこに設けられた切抜きに)挿入できる。このように、確実な連結、具体的には、嵌め合い式連結(例えば、スナップ連結)および/または圧力嵌め連結(例えば、クランプ連結)を実現することができる。連結される構成要素に、それに対応した形状の切抜きを穿孔または切断によって用意するだけでよい。連結は、好ましくは、必要な場合に張力ロックを再び組付け解除できるような取外し可能な連結である。好ましくは、連結手段は、張力レバーの閉位置にある張力レバーによって閉じ込められるかまたはカバーされるように配置されている。これは、張力レバーが閉じられているときは組付け状態の連結手段が裏側からまたは内側からのみアクセス可能であるという利点を有する。このように、張力ロックは、外部からの無許可の組付け解除が不可能であるため、(例えば、張力レバーがロック可能であることによって)ロックの機能を満たすことができる。
【0009】
張力ロックの一構成によれば、少なくとも1つの連結手段はロッキングフックとして構成されている。フックとしての構成は、連結を、具体的には嵌め合い式連結を形成する、構造的に単純かつ確実な可能性を表す。そのために、ロッキングフックは、切抜きの後方に裏側から係合するために、連結される構成要素の一方における切抜きを通して案内できる。
【0010】
張力ロックのさらなる構成は、少なくとも1つの連結手段が、ばね要素を有する組付けブロックとして設計されることを想定する。ばね要素を有する組付けブロックとしての構成も、連結を、具体的には、嵌め合い式連結および/または圧力嵌め連結を形成する、構造的に単純かつ確実な可能性を表す。そのために、組付けブロックは、連結される構成要素の一方における切抜きに挿入でき、組付けブロックに配置されたばね要素は、切抜きを通り抜けるときにその弾性によって弾性変形され、通り抜けた後に(すなわち、組付け位置に)はね返り、切抜きの縁部の後方に構成要素の裏側から係合する。
【0011】
各締結要素は、好ましくは、ロッキングフックと、ばね要素を有する組付けブロックとを有し、ロッキングフックと、ばね要素を有する組付けブロックとは、好ましくは、反対側の辺に、かつ反対向きに、すなわち、互いに「背中合わせ」に配置されている。このように、締結要素は、切抜きの互いに反対側の辺におけるそれらの位置に固定され、固定は、一方の辺ではロッキングフックを介して実行され、他方の(反対の)辺では組付けブロックおよびそのばね要素を介して実行される。
【0012】
張力ロックのさらなる構成によれば、第1の端部を用いて張力レバーに回転可能なように連結され、第2の端部を用いて2つの締結要素の一方に回転可能なように連結されている、関節式搖動体が提供される。関節式搖動体は、初めに、2点で回転可能なベアリングを実現するために使用できる。関節式搖動体の端部の一方(例えば、締結要素に取り付けられた端部)も静止して配置されている場合は、関節式搖動体の他端(例えば、張力レバーに取り付けられた端部)が円形経路に沿って案内されることも実現できる。このように、閉じるときに張力レバーは「死点」を通過しなければならないことを実現でき、そうすることで、次に張力レバーがその閉位置に留まることを実現できる。
【0013】
そのために、張力レバーおよび/または2つの締結要素の一方は、関節式搖動体の端部の一方を回転可能なように取り付ける受容部を有することがさらに提案される。張力レバーにおよび/または2つの締結要素の一方に受容部を提供することによって、関節式搖動体の端部を、張力レバーおよび/または締結要素に簡単に回転可能なように連結できる。受容部は、例えば、関節式搖動体の端部を受容部に押し込んで、スナップ連結によってそこに回転可能なように保持できるように設計されている。
【0014】
張力ロックのさらなる構成は、張力レバーが突起を有することと、2つの構成要素の一方が、取外し可能な連結を形成するために凹所に突起を挿入できるように凹所を有することとを提供する。嵌め合い式の取外し可能な連結は、突起および凹所によって簡単に実現することができる。具体的には、突起が凹所に(フックのように)引っ掛かることを実現できる。これは、張力レバーによって引き起こされる引張荷重が大きくなるほど、より良好に連結がつながり合うという利点を有する。
【0015】
張力ロックのさらなる構成によれば、張力レバーが少なくとも1つのハンドル要素を有することが提供される。ハンドル要素は、例えば、くぼみまたは突起とすることができる。ハンドル要素は、張力レバーの把持および持上げを容易にすることが意図されており、したがって、好ましくは、ユーザーによって持ち上げられることになる張力レバーの端部に配置される。
【0016】
張力ロックのさらなる構成によれば、張力ロックがプラスチックおよび/または金属から製造されることを提供できる。具体的には、張力レバーおよび/または締結要素はプラスチックおよび/または金属から製造されることを提供できる。プラスチックからの製造は、費用対効果が大きく、形状を自由にでき、一方で、金属から製造することによって非常に高い剛性および引張強さを実現できる。張力ロックの異なる部品を、異なる材料から製造することもできる。好ましくは、構成要素に留めることができる張力ロックの部品、すなわち、締結要素およびそこに配置される連結手段、例えば、ロッキングフックおよびばね要素を有する組付けブロックなどは、プラスチックの高い弾性によって締結要素を留めることが単純化されるため、プラスチックから製造される。例えば、ポリアミドまたはPOM-H(Delrinという商標名のホルムアルデヒドから製造されたホモポリマー)をプラスチックとして使用できる。張力ロックが連結部品(例えば、締結要素の一方に張力レバーを連結する関節式搖動体)を有する場合は、これらの連結部品は、プラスチックから製造できるか、または特定の耐摩耗性が必要とされる場合は金属から製造できる。冒頭で説明した目的は、互いに連結される2つの構成要素に張力ロックを工具なしで組み付けるためのシステムによっても達成される。本システムは、先に説明した構成の1つにおける張力ロックと、互いに連結される2つの構成要素とを備える。本システムは、2つの構成要素がそれぞれ切抜きを有し、張力ロックに最適に適合されており、具体的には、張力ロックの連結手段(例えば、ロッキングフック、またはばね要素を有する組付けブロック)が切抜きに係合するように用意されることを特徴とする。
【0017】
最後に、本システムの一構成によれば、2つの構成要素は金属シートから製造され、切抜きはほぼ矩形である。一部の接合プロセス(例えば、溶接による連結)は薄肉材料に対して実現することが難しいため、金属シート製の薄肉構成要素に張力ロックを連結することは特に難しい。矩形の切抜きを設けることによって、例えば、張力ロックの連結手段(例えば、ロッキングフックまたはばね要素を有する組付けブロック)が切抜きに係合する場合に、嵌め合い式連結を簡単に形成することができる。
【0018】
単に好ましい例示的実施形態を表す図面に基づいて、本発明を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】組付け状態において閉位置にある本発明による張力ロックを斜視図に示す。
図2図1の張力ロックを、図1に印を付けた断面II-IIに沿った断面図に示す。
図3図1の張力ロックを、図1に印を付けた断面III-IIIに沿った断面図に閉位置にある状態で示す。
図4図3の張力ロックを開位置にある状態で示す。
図5図3の張力ロックを分解位置にある状態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、組付け状態において閉位置にある本発明による張力ロック1を斜視図に示す。図1の張力ロック1が閉位置に示されているため、その張力レバー2だけが見える。張力レバー2によって隠されている張力ロック1の部品は、以下の図に関連付けてより詳細に説明する。張力ロック1は、第1の構成要素3Aを第2の構成要素3Bに取外し可能なように連結するために使用される。2つの構成要素の一方3Aは、例えば、ドア、フラップまたはカバーとすることができ、第2の構成要素3Bは、例えば、ドアのフレームまたはキャビネットとすることができる。図1に示す例の場合は、2つの構成要素3A、3Bは、薄肉金属シートから製造されており、その厚さdは、例えば、0.8mmと2.5mmとの間の範囲にすることができる。2つの構成要素3A、3Bが金属シートではなくプラスチックから製造されている場合は、厚さdは最大4mmにすることもできる。張力レバー2は、一端に、複数のハンドル要素4を有し、ハンドル要素4は、例えば、張力レバー2の把持および持上げを容易にするくぼみまたは突起とすることができる。
【0021】
図2は、図1の張力ロック1を、図1に印を付けた断面II-IIに沿った断面図に示す。張力ロック1の先に言及した領域は、対応する参照番号を付して図2に提示されている。図2では、張力レバー2に加えて、張力ロック1は第1の締結要素5Aおよび第2の締結要素5Bも有することを確認できる。第1の締結要素5Aは、第1の構成要素3Aとの連結を形成するために使用されており、そのために、第1の締結要素5Aは、ロッキングフック6Aと、弾性のばね要素8Aを有する組付けブロック7Aとを有する。一方、第2の締結要素5Bは、第2の構成要素3Bとの連結を形成するために使用されており、そのために、第2の締結要素5Bは、ロッキングフック6Bと、弾性のばね要素8Bを有する組付けブロック7Bとを有する。2つの構成要素3A、3Bに対する2つの締結要素5A、5Bの連結は、以下の図に関連付けてより詳細に説明する。
【0022】
図2に示す張力ロック1は関節式搖動体9も有し、張力レバー2は、関節式搖動体9を介して第1の締結要素5Aに可動連結されている。そのために、張力レバー2および第1の締結要素5Aの両方はそれぞれ、関節式搖動体9が回転可能なように取り付けられた受容部10を有する。関節式搖動体9の第1の端部9’は、第1の受容部10’に取り付けられており、関節式搖動体9の第2の端部9’’は、第2の受容部10’’に取り付けられている。関節式搖動体9は、関節式搖動体9の第1の端部9’および第2の端部9’’を通って延びる長手方向軸Lを有する。張力レバー2は、第2の締結要素5Bにも連結でき、そのために、張力レバー2は、ハンドル要素4の反対側の端部に突起11を有し、そのために、第2の締結要素5Bは、嵌め合い式の取外し可能な連結を形成するために突起11が係合できる凹所12を有する。あるいは、第2の締結要素5Bに突起11を設けることもでき、張力レバー2に凹所12を設けることもできる。
【0023】
図3は、図1の張力ロック1を、図1に印を付けた断面III-IIIに沿った断面図に閉位置にある状態で示す。既に先に言及した張力ロック1の領域は、やはり対応する参照番号を付して図3に提示されている。断面の位置を変更したことで、第1の構成要素3Aが第1の切抜き13Aを有し、その第1の切抜き13Aには、第1の締結要素5Aのロッキングフック6Aおよび弾性のばね要素8Aを有する組付けブロック7Aが係合し、そうすることで、第1の構成要素3Aと第1の締結要素5Aとの間に嵌め合い式の取外し可能な連結が形成されることを確認できる。第2の構成要素3Bが第2の切抜き13Bを有し、第2の切抜き13Bには、第2の締結要素5Bのロッキングフック6Bおよび弾性のばね要素8Bを有する組付けブロック7Bが係合し、そうすることで、第2の構成要素3Bと第2の締結要素5Bとの間に嵌め合い式の取外し可能な連結が形成されることも確認できる。
【0024】
図3に示す張力ロック1の閉位置は、張力レバー2が長手方向軸Lを有し、その軸が第1の構成要素3Aおよび第2の構成要素3Bの表面と共に張力レバー角度αを成し、前記張力レバー角度が、0°と15°との間の範囲、特に0°と10°との間の範囲にあることを特徴とする。張力レバー2は、ハンドル要素4の領域で張力レバー2を持ち上げることによって、(図3に示す)閉位置から(図4に示す)開位置に移動できる。その移動によって、関節式搖動体9の第1の端部9’が円形経路Kに沿って回転運動し、円形経路Kの中心Mは関節式搖動体9の第2の端部9’’によって形成される。図3に示す閉位置において、関節式搖動体9は、その第1の端部9’がその第2の端部9’’よりも深い位置に(すなわち、第1の構成要素3Aおよび第2の構成要素3Bの表面により近くに)配置され、そうすることで、関節式搖動体9の長手方向軸Lが第1の端部9’から第2の端部9’’に向かって上に上がるように配置されている。
【0025】
図4は、図3の張力ロック1を開位置にある状態で示す。既に先に言及した張力ロック1の領域は、やはり対応する参照番号を付して図4に提示されている。開位置は、張力レバー2の位置が変更されていることが閉位置とは異なる。張力レバー2の開位置において、長手方向軸Lは、第1の構成要素3Aおよび第2の構成要素3Bの表面と共に張力レバー角度αを成し、その角度αは10°よりも大きく、特に15°よりも大きく、そのため閉位置の場合よりも急傾斜である。図4に示す開位置において、関節式搖動体9の位置も変更されており、関節式搖動体9は、その第1の端部9’がその第2の端部9’’よりも高い位置に(すなわち、第1の構成要素3Aおよび第2の構成要素3Bの表面からより遠くに離れる方に)配置され、そうすることで、関節式搖動体9の長手方向軸Lは、第1の端部9’から第2の端部9’’に向かって下方に傾斜するように配置されている。図4では、張力レバー2を持ち上げると、張力レバー2の突起11が第2の締結要素5Bの凹所12から押し出されて、第2の締結要素5Bと張力レバー2との間の嵌め合い式連結を取り外しでき、そうすることで、張力レバー2を持ち上げて第2の締結要素5Bから離すことができ、そのときに、張力レバー2は(関節式搖動体9を介して)第1の締結要素5Aにだけ連結されていることも確認できる。このように、第1の締結要素5Aと第2の締結要素5Bとは、互いに連結することができ(張力レバー2の閉位置)、互いから分離することができる(張力レバー2の開位置)。張力レバー2を持ち上げたときの突起11と凹所12との分離は、関節式搖動体9の第1の端部9’が円形経路Kに沿って移動する結果として起きる。つまり、張力レバー2が持ち上げられると、「死点」(関節式搖動体9の長手方向軸Lが第1の構成要素3Aおよび第2の構成要素3Bの表面に平行になる)に到達するまで、まず突起11が凹所12の深くに引っ張られ、それを越えた後で、突起11が押し戻されて凹所12から出る。張力レバーが所望の位置に(具体的には、閉位置に)移動され、意図せずに開くことがないことから、これを実現できるため、このような「死点」は、張力ロックの典型的な特徴である。
【0026】
最後に図5は、図3の張力ロック1を分解位置にある状態で示す。既に先に言及した張力ロック1の領域は、やはり対応する参照番号を付して図5に提示されている。分解位置では、張力ロック1の個々の構成要素をよりはっきりと見ることができる。2つの締結要素5A、5Bを2つの構成要素3A、3Bに連結できる様子が特に明確である。2つの構成要素3A、3Bには切抜き13A、13Bがあり、切抜き13A、13Bは、好ましくはほぼ矩形である(幅は、例えば、10mmと15mmとの間の範囲にでき、長さは、例えば、15mmと25mmとの間の範囲にできる)。2つの締結要素5A、5Bは連結手段を有し、連結手段は、例えば、ロッキングフック6A、6B、およびばね要素8A、8Bを有する組付けブロック7A、7Bとして設計できる。連結は、まず、ロッキングフック6A、6Bが切抜き13A、13Bの縁部の後方に2つの構成要素3A、3Bの裏側から係合するように、ロッキングフック6A、6Bを切抜き13A、13Bに挿入することによって形成される。次に、組付けブロック7A、7Bが切抜き13A、13Bに挿入され、組付けブロック7A、7Bに配置されているばね要素8A、8Bが、切抜き13A、13Bを通り抜けるときに、その弾性によってロッキングフック6A、6Bの方向に曲げられ、通り抜けた後にはね返り(すなわち、組付け位置に)、切抜き13A、13Bの縁部の後方に2つの構成要素3A、3Bの裏側から係合する。このように、締結要素5A、5Bはそれぞれ、切抜き13A、13Bのそれぞれ互いに反対側の辺におけるそれらの位置に固定され、一方の辺への固定は、ロッキングフック6A、6Bを介して行われ、他方の(反対の)辺への固定は、組付けブロック7A、7Bおよびそのばね要素8A、8Bを介して行われる。あるいは、ロッキングフック6A、6Bそれぞれの代わりに、組付けブロック7A、7Bおよびそれに配置されたばね要素8A、8Bを用いることもでき、そうすることで、各締結要素5A、5Bは、2つの組付けブロック7A、7Bおよび2つの張力フック8A、8Bを有することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 張力ロック
2 張力レバー
3A、3B 構成要素
4 ハンドル要素
5A、5B 締結要素
6A、6B ロッキングフック
7A、7B 組付けブロック
8A、8B ばね要素
9 関節式搖動体
9’、9’’ (関節式搖動体9の)端部
10、10’、10’’ 受容部
11 突起
12 凹所
13A、13B 切抜き
α、α 張力レバー角度
d (構成要素3A、3Bの)厚さ
K 円形経路
(張力レバー2の)長手方向軸
(関節式搖動体9の)長手方向軸
M (円形経路Kの)中心
図1
図2
図3
図4
図5