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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】ガス遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/38 20060101AFI20240424BHJP
   H01H 33/42 20060101ALI20240424BHJP
   H01H 33/915 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H01H33/38 A
H01H33/42 N
H01H33/915
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020157759
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051334
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大丸 智弘
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-29069(JP,A)
【文献】特開2002-124162(JP,A)
【文献】特開2015-162338(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/38
H01H 33/42
H01H 33/915
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが充填される収容タンク内に配置され、固定接点と可動接点との接離により電路の開閉を行うものであり、操作器により駆動される駆動軸の進退動作にて前記固定接点に対して前記可動接点を接離動作させるように構成されたガス遮断器であって、
前記駆動軸に補助力を付与する補助駆動機構を前記収容タンク内に備え、
前記補助駆動機構は、
それぞれコイル体を有する固定子と可動子とを含み、前記固定子を不動に設けるとともに前記可動子を前記駆動軸と一体的に設け、各コイル体に供給される励磁電流に基づいて前記固定子と前記可動子との相互間で作用する電磁力を生じさせる電磁駆動部と、
前記電路上の電力から電流変換にて励磁電流を生成する電源生成部を含み、前記電磁駆動部の前記固定子及び前記可動子の各コイル体に前記励磁電流を供給する電源回路部と、
を備え、
前記可動接点の離間動作時において前記駆動軸の駆動力に前記電磁力を重畳させてその駆動力を大とするように構成された、ガス遮断器。
【請求項2】
前記電磁駆動部は、前記固定子として第1固定子と第2固定子とを含み、
前記駆動軸の駆動力に重畳させる前記電磁力は、前記第1固定子と前記可動子との間の反発力、及び前記第2固定子と前記可動子との間の吸着力である、請求項1に記載のガス遮断器。
【請求項3】
前記電源回路部は、前記駆動軸の動作と機械的に連動して前記固定子及び前記可動子の各コイル体に前記励磁電流を供給又は停止するように切り替える切替部を備えて構成された、請求項1又は請求項2に記載のガス遮断器。
【請求項4】
前記固定子及び前記可動子の各コイル体には、前記駆動軸の軸線に対して傾斜する方向で対向するコア部材がそれぞれ備えられ、
前記固定子と前記可動子との相互間で作用する前記電磁力に前記駆動軸の調芯力成分が生じるように構成された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項5】
前記固定子及び前記可動子の各コイル体は、直列に接続されて構成された、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の電流遮断を行うガス遮断器では、開極動作の際、ガス遮断器に付随の操作器の駆動により固定接点から可動接点を素早く離間させることが行われる。開極動作速度の向上はガス遮断器の電流遮断性能の向上に繋がるため、更なる開極動作速度の向上を図る技術が種々提案されている。
【0003】
一例として、本来不動としていた固定接点をも可動接点の動作と連動して反対側に動作させる機械駆動機構を追加して可動接点の動作速度を相対的に向上させ、開極動作速度の更なる向上を図ったガス遮断器がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-88287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各接点を連動させて双方向に動作させる上記のような機械駆動機構は、作動部品も多く、構成が複雑である。そのため、本発明者は、より簡易な構成の補助駆動機構を検討し、開極動作速度の向上、ひいてはガス遮断器の電流遮断性能の向上を図ろうとしている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構成の補助駆動機構にて開極動作速度の向上が期待できるガス遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するガス遮断器は、絶縁ガスが充填される収容タンク内に配置され、固定接点と可動接点との接離により電路の開閉を行うものであり、操作器により駆動される駆動軸の進退動作にて前記固定接点に対して前記可動接点を接離動作させるように構成されたガス遮断器であって、前記駆動軸に補助力を付与する補助駆動機構を前記収容タンク内に備え、前記補助駆動機構は、それぞれコイル体を有する固定子と可動子とを含み、前記固定子を不動に設けるとともに前記可動子を前記駆動軸と一体的に設け、各コイル体に供給される励磁電流に基づいて前記固定子と前記可動子との相互間で作用する電磁力を生じさせる電磁駆動部と、前記電路上の電力から電流変換にて励磁電流を生成する電源生成部を含み、前記電磁駆動部の前記固定子及び前記可動子の各コイル体に前記励磁電流を供給する電源回路部と、を備え、前記可動接点の離間動作時において前記駆動軸の駆動力に前記電磁力を重畳させてその駆動力を大とするように構成された。
【0008】
上記態様によれば、電磁駆動部は、固定子と可動子の各コイル体に供給される励磁電流に基づいて固定子と可動子との相互間で作用する電磁力を生じさせる。電源回路部は、電源生成部において電路上の電力から電流変換による励磁電流を生成し、生成した励磁電流を電磁駆動部の固定子及び可動子の各コイル体に供給する。このような電磁駆動部と電源回路部とを備える補助駆動機構は、可動接点の離間動作時において操作器による駆動軸の駆動力に電磁力を重畳させてその駆動力を大とする。可動接点の離間動作時、すなわちガス遮断器の開極動作時の駆動軸の退避動作がより一層高速な動作となる。つまり、こうした開極動作速度の向上により、ガス遮断器の電流遮断性能の向上が期待できる。しかも、補助駆動機構は、作動部品の少ない電磁駆動部と収容タンク内で完結する電源回路部とを備える構成のため、簡易な構成にて実現可能である。
【0009】
上記ガス遮断器において、前記電磁駆動部は、前記固定子として第1固定子と第2固定子とを含み、前記駆動軸の駆動力に重畳させる前記電磁力は、前記第1固定子と前記可動子との間の反発力、及び前記第2固定子と前記可動子との間の吸着力であることが好ましい。
【0010】
上記態様によれば、電磁駆動部は、第1固定子及び可動子間の反発力と第2固定子及び可動子間の吸着力とがともに生じる構成のため、駆動軸の動作速度向上、すなわちガス遮断器の開極動作速度の向上に寄与できる。
【0011】
上記ガス遮断器において、前記電源回路部は、前記駆動軸の動作と機械的に連動して前記固定子及び前記可動子の各コイル体に前記励磁電流を供給又は停止するように切り替える切替部を備えて構成されることが好ましい。
【0012】
上記態様によれば、電源回路部に切替部が備えられ、駆動軸の動作と機械的に連動して固定子及び可動子の各コイル体に励磁電流が供給又は停止されるように切り替える。つまり、駆動軸の動作と連動した適切な電磁力を電磁駆動部にて生じさせることが可能である。
【0013】
上記ガス遮断器において、前記固定子及び前記可動子の各コイル体には、前記駆動軸の軸線に対して傾斜する方向で対向するコア部材がそれぞれ備えられ、前記固定子と前記可動子との相互間で作用する前記電磁力に前記駆動軸の調芯力成分が生じるように構成されることが好ましい。
【0014】
上記態様によれば、固定子及び可動子の各コイル体にコア部材が備えられ、固定子と可動子との相互間で作用する電磁力に駆動軸の調芯力成分が生じる構成である。つまり、駆動軸に調芯作用が生じて、駆動軸の軸方向動作の安定化が図れる。
【0015】
上記ガス遮断器において、前記固定子及び前記可動子の各コイル体は、直列に接続されて構成されることが好ましい。
上記態様によれば、固定子及び可動子の各コイル体は直列に接続される構成のため、簡易な回路構成とすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のガス遮断器によれば、簡易な構成の補助駆動機構にて開極動作速度の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態におけるガス遮断器の概略構成図。
図2】一実施形態におけるガス遮断器の補助駆動機構の説明図。
図3】一実施形態におけるガス遮断器の補助駆動機構の説明図。
図4】変更例におけるガス遮断器の補助駆動機構の説明図。
図5】変更例におけるガス遮断器の補助駆動機構の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ガス遮断器の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態のガス遮断器10は、絶縁ガスGが充填される収容タンク11内に収容され、絶縁ガスGの雰囲気中に配置されている。絶縁ガスGには、例えばSFガス(六フッ化硫黄ガス)やCOガス(二酸化炭素ガス)等、アークの消弧に適した周知のガスが用いられている。ガス遮断器10は、所定の電路12上に設けられ、例えば電力系統に生じた過大な故障電流を遮断する際に動作する。
【0019】
ガス遮断器10は、電路12の開閉を行う一対の接点として固定接点13と可動接点14とを備えている。固定接点13は、電路12の一方側と電気的に接続され、不動に設けられている。可動接点14は、電路12の他方側と電気的に接続され、固定接点13と同軸上に配置されている。可動接点14は、軸方向に沿って進退動作し、固定接点13に対して接離可能に設けられている。固定接点13と可動接点14との接離動作、すなわちガス遮断器10を開極又は閉極に切り替える動作は、ガス遮断器10に設けられる開閉駆動装置15により行われる。
【0020】
開閉駆動装置15としては、ガス遮断器10の主たる開閉動作を行わせる操作器16を備えている。操作器16の操作駆動力を伝達する駆動軸17は、可動接点14の固定接点13とは反対側の端部と連結されている。操作器16は、ガス遮断器10の開極動作時に駆動軸17を高速で後退動作させ、固定接点13から可動接点14を瞬時に離間させる。このように固定接点13と可動接点14とが瞬時に所定間隔離間することで、両接点13,14間に生じたアークの消弧が図れ、電路12の電流遮断がなされる。
【0021】
また、固定接点13と可動接点14との近傍には、パッファ部18が設けられている。パッファ部18は、両接点13,14間に生じるアークの消弧のためにアークに向けて周囲の絶縁ガスGを強く吹き付けるように動作する。パッファ部18のガス吹付け動作は、可動接点14の固定接点13からの離間動作と連動した動作である。パッファ部18は、熱パッファ、機械パッファ等、周知の構成よりなるものである。
【0022】
また、本実施形態の開閉駆動装置15としては、上記した操作器16の他、操作器16の駆動力に補助力を付与する補助駆動機構19を備えている。補助駆動機構19は、収容タンク11内に設けられている。補助駆動機構19は、図2に示すように、電磁駆動部20と電源回路部30とを備えている。
【0023】
電磁駆動部20は、第1固定子21と第2固定子22と可動子23とを有している。第1固定子21及び第2固定子22は、それぞれ絶縁支持部24,25にて収容タンク11内に不動に設けられている。第1固定子21及び第2固定子22は、互いに間隔を有して同軸上に配置されている。第1固定子21は接点13,14側に位置し、第2固定子22は接点13,14とは反対側の操作器16側に位置している。第1固定子21及び第2固定子22は、それぞれ環状をなし、内側の各挿通孔21a,22aに駆動軸17が挿通されている。
【0024】
可動子23は、第1固定子21と第2固定子22との間に配置されている。可動子23は、環状をなし、内側の孔を固定孔23aとして駆動軸17の外周面に固定されている。つまり、可動子23は、駆動軸17と一体的に動作するようになっている。可動子23は、固定接点13と可動接点14とが接触する図2に示す閉極状態では第1固定子21に近接して位置し、固定接点13から可動接点14が所定間隔離間する図3に示す開極状態では第2固定子22に近接して位置する。第1固定子21、第2固定子22及び可動子23は、それぞれコイル体21x,22x,23xを有し、通電によりそれぞれ励磁状態となる。これらが励磁状態となると、第1固定子21と可動子23とが反発、第2固定子22と可動子23とが吸着する励磁関係となる(図2及び図3の太矢印参照)。
【0025】
電源回路部30は、電源生成部31と一対の接触端子32,33とを有している。電磁駆動部20の各コイル体21x,22x,23xは、接続線34にて直列に接続されており、電源生成部31にて生成される励磁電流の供給を受ける。電源生成部31は、電路12上の電力に基づいて電流変換する変流器等を備え、各コイル体21x,22x,23xの励磁に適した励磁電流を生成する。
【0026】
一対の接触端子32,33は、一方の接触端子32が第1固定子21を支持する絶縁支持部24に設けられ、もう一方の接触端子33が可動子23と一体に設けられる端子支持部26に設けられている。一対の接触端子32,33は、電源生成部31と各コイル体21x,22x,23xとの間の接続線34上に設けられ、接触端子32,33の接触又は非接触にて電流経路を切り替える。接触端子32,33が非接触となる場合では、電源生成部31で生成された励磁電流が各コイル体21x,22x,23xに供給可能な電流路を形成する。これに対し、接触端子32,33が接触する場合では、電源生成部31で生成された励磁電流が各コイル体21x,22x,23xに供給されない電流路を形成する。ちなみに、固定接点13と可動接点14とが接触する閉極状態では(図2参照)、接触端子32,33が互いに接触する状態であり、固定接点13から可動接点14が所定距離だけ僅かに離間した以降では、接触端子32,33の接触状態が解除されて非接触状態となる。
【0027】
本実施形態のガス遮断器10の動作(作用)について説明する。
ガス遮断器10が閉極状態においては、操作器16から延びる駆動軸17が軸方向に突出した状態であり、固定接点13と可動接点14とが接触している。また、図2に示すように、駆動軸17と一体的に設けられる電磁駆動部20の可動子23は、第1固定子21と近接位置に配置されている。また、電源回路部30の一対の接触端子32,33は、互いに接触状態にあり、電源生成部31から各コイル体21x,22x,23xに電流供給されない電流路側に切り替えられている。
【0028】
そして、電力系統に過大な故障電流が生じた場合等、ガス遮断器10は、電路12上に流れる電流遮断を行うべく開極動作を行う。操作器16は、固定接点13から可動接点14を瞬時に離間させるために駆動軸17を高速で軸方向に退避動作させ、最終的に図3に示す完全な開極状態まで動作する。
【0029】
この一連の開極動作過程において、駆動軸17の退避動作とともに可動子23が僅かに動作した段階で、電源回路部30の接触端子32,33が接触状態から非接触状態に切り替わる。すると、電源生成部31から各コイル体21x,22x,23xに電流供給される電流路側に切り替わる。このとき、電路12の電流遮断が生じていないため、電源生成部31にて励磁電流が生成され、各コイル体21x,22x,23xに供給される。第1固定子21、第2固定子22及び可動子23は、各コイル体21x,22x,23xへの励磁電流の供給に基づいてそれぞれ励磁状態となり、可動子23は第1固定子21とは反発、第2固定子22とは吸着する電磁力が生じる。
【0030】
このように補助駆動機構19にて生じた電磁力は、駆動軸17を退避動作させる操作器16の駆動力に重畳され、駆動力が大となる。したがって、電磁力が加勢した以降の開極動作では、駆動軸17の退避動作がより一層高速な動作となる。そして、固定接点13から可動接点14が十分に離間して両接点13,14間に生じたアークが消弧することで、ガス遮断器10による電路12上の電流遮断が完了する。このように開極動作速度を向上させることで、ガス遮断器10の電流遮断性能の向上に繋げている。
【0031】
なお、操作器16により駆動軸17を突出させて開極から閉極状態に復帰させる際、電路12上は無電状態であるため、電源回路部30にて励磁電流が生成されない。つまり、電磁駆動部20にて電磁力が生じないため、駆動軸17の突出動作の妨げとならず、駆動軸17を突出状態に戻す操作器16の駆動力は増大しないものとなっている。
【0032】
本実施形態の効果について説明する。
(1)電磁駆動部20は、第1及び第2固定子21,22と可動子23の各コイル体21x,22x,23xに供給される励磁電流に基づいて各固定子21,22と可動子23との相互間で作用する電磁力を生じさせる構成である。電源回路部30は、電源生成部31において電路12上の電力から電流変換による励磁電流を生成し、生成した励磁電流を電磁駆動部20の各コイル体21x,22x,23xに供給する構成である。このような電磁駆動部20と電源回路部30とを備える補助駆動機構19は、可動接点14の離間動作時において操作器16による駆動軸17の駆動力に電磁力を重畳させてその駆動力を大とするように動作する。可動接点14の離間動作時、すなわちガス遮断器10の開極動作時の駆動軸17の退避動作がより一層高速な動作となる。つまり、こうした開極動作速度の向上により、ガス遮断器10の電流遮断性能の向上を十分に期待することができる。しかも、補助駆動機構19は、作動部品の少ない電磁駆動部20と収容タンク11内で完結する電源回路部30とを備える構成のため、簡易な構成にて実現することができる。
【0033】
(2)電磁駆動部20は、第1固定子21及び可動子23間の反発力と第2固定子22及び可動子23間の吸着力とがともに生じる構成のため、駆動軸17の動作速度の一層の向上、すなわちガス遮断器10の開極動作速度の一層の向上に寄与することができる。
【0034】
(3)電源回路部30に電流路を切り替える切替部として一対の接触端子32,33が備えられ、駆動軸17の動作と機械的に連動して各固定子21,22及び可動子23の各コイル体21x,22x,23xに励磁電流が供給又は停止されるように切り替える。つまり、駆動軸17の動作と連動した適切な電磁力を電磁駆動部20にて生じさせることができる。
【0035】
(4)各固定子21,22及び可動子23の各コイル体21x,22x,23xは直列に接続される構成のため、簡易な回路構成とすることができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0036】
・補助駆動機構19の構成を適宜変更してもよい。例えば、補助駆動機構19の電磁駆動部20において、図4及び図5に示すように、第1及び第2固定子21,22の挿通孔21a,22aのある内周面に環状のコア部材21y,22yを設けるとともに、可動子23の外周面に同じく環状のコア部材23yを設ける。すなわち、コア部材21y,22yとコア部材23yとは、駆動軸17の軸線に対して傾斜する方向で対向させる。そして、第1固定子21と可動子23との間の反発力、及び第2固定子22と可動子23との間の吸着力は各コア部材21y,22y,23yを主に生じるが、その電磁力には駆動軸17の軸線に対して傾斜する成分が生じるようになる(図4及び図5の太矢印参照)。これにより、駆動軸17の軸線に対して傾斜する電磁力の一部が調芯力成分となり、駆動軸17に調芯作用が生じることとなって、駆動軸17の軸方向動作の安定化を図ることが期待できる。
【0037】
また、第1固定子21と可動子23とが反発力を生じさせる組み合わせ、第2固定子22と可動子23とが吸着力を生じさせる組み合わせであり、上記実施形態ではその両者を用いたが、いずれか一方の組み合わせのみを用いてもよい。閉極状態では第1固定子21と可動子23とが近接配置されているため、開極動作初期から強い電磁力を相互に作用させるためには、第1固定子21と可動子23との組み合わせを少なくとも用いるのが好ましい。
【0038】
また、補助駆動機構19の電源回路部30において、上記実施形態の第1固定子21、第2固定子22及び可動子23の各コイル体21x,22x,23x、電源生成部31、一対の接触端子32,33の接続態様は一例であり、適宜変更してもよい。また、接触端子32,33の接離動作は駆動軸17の動作と機械的に連動する構成としたが、これに限らず適宜変更してもよい。一対の接触端子32,33により電流路を切り替える構成についても適宜変更してもよい。
【0039】
・固定接点13と可動接点14とを簡易的に記載したが、各接点13,14はそれぞれ単一の接点であってもよく、主接点とアーク接点とを有するものであってもよい。
・パッファ部18は、熱パッファ、機械パッファ等、いずれであってもよく、省略したものであってもよい。
【0040】
・その他、ガス遮断器10の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…ガス遮断器
11…収容タンク
12…電路
13…固定接点
14…可動接点
16…操作器
17…駆動軸
19…補助駆動機構
20…電磁駆動部
21…第1固定子(固定子)
22…第2固定子(固定子)
23…可動子
21x,22x,23x…コイル体
21y,22y,23y…コア部材
30…電源回路部
31…電源生成部
32,33…接触端子(切替部)
G…絶縁ガス
図1
図2
図3
図4
図5