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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】冷媒配管、及び、冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/40 20210101AFI20240424BHJP
   F16L 13/08 20060101ALI20240424BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
F25B41/40 D
F16L13/08
B23K1/00 330K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021031639
(22)【出願日】2021-03-01
(62)【分割の表示】P 2019234286の分割
【原出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021092389
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2019141532
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
(72)【発明者】
【氏名】神藤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】寺本 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】奥野 将人
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205610(JP,A)
【文献】特開2010-151327(JP,A)
【文献】特許第6041014(JP,B1)
【文献】米国特許第8876425(US,B2)
【文献】特開2005-121131(JP,A)
【文献】特許第5971371(JP,B1)
【文献】特開平07-080633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/40
F16L 13/08
B23K 1/19
F04B 39/12
F04C 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍装置(1)の冷媒回路(4)を構成する冷媒配管であって、
第1配管(21)と、第2配管(22)とを備え、
前記第1配管(21)が、ステンレスからなる第1配管本体(21a)と、前記第1配管本体(21a)の管軸方向の端部に設けられかつステンレスとは異なる材料からなる第1接続部(21b)とを有し、
前記第2配管(22)が、ステンレスからなる第2配管本体(22a)と、前記第2配管本体(22a)の管軸方向の端部に設けられかつ前記第1接続部(21b)と同一材料からなる第2接続部(22b)とを有し、
前記第1接続部(21b)と前記第2接続部(22b)とが接続され、
前記第1接続部(21b)及び前記第2接続部(22b)のうち一方の接続部が、銅又は銅合金からなる管であり、
前記第1接続部(21b)及び前記第2接続部(22b)のうち他方の接続部が、メッキ層であり、
前記一方の接続部と当該一方の接続部が設けられた一方の配管本体とが第1ろう材(B1)により接続され、
前記一方の接続部と、当該一方の接続部が設けられた一方の配管本体との双方が、他方の接続部が設けられた他方の配管本体と管径方向に重複して配置されている、冷媒配管。
【請求項2】
冷凍装置(1)の冷媒回路(4)を構成する冷媒配管であって、
第1配管(21)と、第2配管(22)とを備え、
前記第1配管(21)が、ステンレスからなる第1配管本体(21a)と、前記第1配管本体(21a)の管軸方向の端部に設けられかつステンレスとは異なる材料からなる第1接続部(21b)とを有し、
前記第2配管(22)が、ステンレスからなる第2配管本体(22a)と、前記第2配管本体(22a)の管軸方向の端部に設けられかつ前記第1接続部(21b)と主成分が同一の材料からなる第2接続部(22b)とを有し、
前記第1接続部(21b)と前記第2接続部(22b)とが接続され、
前記第1接続部(21b)及び前記第2接続部(22b)のうち一方の接続部が、銅又は銅合金からなる管であり、
前記第1接続部(21b)及び前記第2接続部(22b)のうち他方の接続部が、メッキ層であり、
前記一方の接続部と当該一方の接続部が設けられた一方の配管本体とが第1ろう材(B1)により接続され、
前記一方の接続部と、当該一方の接続部が設けられた一方の配管本体との双方が、他方の接続部が設けられた他方の配管本体と管径方向に重複して配置されている、冷媒配管。
【請求項3】
前記第1接続部(21b)と前記第2接続部(22b)とが、主成分が同一の異なる材料からなる、請求項2に記載の冷媒配管。
【請求項4】
前記第1接続部(21b)が、前記第1配管本体(21a)の前記端部に施されたメッキ層、又は、前記第1配管本体(21a)の前記端部に取り付けられた管である、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項5】
前記第2接続部(22b)が、前記第2配管本体(22a)の前記端部に施されたメッキ層、又は、前記第2配管本体(22a)の前記端部に取り付けられた管である、請求項1~4のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項6】
記一方の接続部と前記他方の接続部とが第2ろう材(B2)により接続され、
前記第1ろう材(B1)が、前記第2ろう材(B2)よりも高い融点を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項7】
前記第1配管本体(21a)又は前記第2配管本体(22a)の前記端部には、当該配管本体の他の部分よりも径が大きい大径部(22a2)が設けられ、
前記大径部(22a2)の内周面に、前記第1接続部(21b)又は前記第2接続部(22b)が設けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項8】
前記第1配管本体(21a)又は前記第2配管本体(22a)の前記端部には、当該配管本体の他の部分よりも径が小さい小径部(21a1)が設けられ、
前記小径部(21a1)の外周面に、前記第1接続部(21b)又は前記第2接続部(22b)が設けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項9】
前記第1配管(21)及び前記第2配管(22)の一方の配管は、他方の配管と、ステンレス製の他の配管(23)とを接続する継手を構成している、請求項1~8のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項10】
前記第1配管(21)及び前記第2配管(22)の少なくとも一方が、冷媒回路を構成する要素部品(X)に設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項11】
前記第1配管本体(21a)及び前記第2配管本体(22a)の少なくとも一方の外周面には、前記第1接続部(21b)及び前記第2接続部(22b)と主成分が同一の材料からなる継手管(31)が取り付けられ、前記継手管(31)に、前記継手管(31)と主成分が同一の材料からなる他の配管(32)が接続される、請求項1~10のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項12】
前記冷凍装置(1)が、前記冷媒回路(4)における冷媒の流路を切り換える切換機構(17)を備え、
前記第1配管本体(21a)又は前記第2配管本体(22a)が、前記切換機構(17)に接続される、請求項1~11のいずれか1項に記載の冷媒配管。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の冷媒配管(10A)と、
冷媒回路(4)を構成し、前記冷媒配管(10A)が接続される要素部品(X)と、を備えている、冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒配管、及び、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置等のヒートポンプタイプの冷凍装置は、圧縮機、オイルセパレータ、四路切換弁、熱源側熱交換器、膨張機構、利用側熱交換器、アキュムレータ、閉鎖弁等の要素部品を冷媒配管で接続してなる冷媒回路を備えている。また、一般に、冷媒配管には、曲げ等の加工が容易な銅管が用いられている。しかし、銅管は材料費が高いため、比較的安価なステンレスを冷媒配管の材料として用いることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-151327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒配管の材料としてステンレスを用いた場合、冷凍装置の製造時や部品交換等のメンテナンス時に、ステンレス製の冷媒配管同士を手作業によりろう付けする作業が発生することがある。しかし、ステンレス製の冷媒配管のろう付けは、表面の酸化皮膜を除去する作業等が必要になるため、作業が煩雑となる。
【0005】
本開示は、ステンレス製の冷媒配管同士の接続を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷媒配管は、
冷凍装置の冷媒回路を構成する冷媒配管であって、
第1配管と、第2配管とを備え、
前記第1配管が、ステンレスからなる第1配管本体と、前記第1配管本体の管軸方向の端部に設けられかつステンレスとは異なる材料からなる第1接続部とを有し、
前記第2配管が、ステンレスからなる第2配管本体と、前記第2配管本体の管軸方向の端部に設けられかつ前記第1接続部と同一材料からなる第2接続部とを有し、
前記第1接続部と前記第2接続部とが接続される。
【0007】
この構成によれば、第1配管及び第2配管が、ステンレスとは異なりかつ同一材料からなる第1接続部及び第2接続部をそれぞれ有しているので、第1接続部と第2接続部とをろう付け等によって接続することで、ステンレスのろう付けが不要となり、第1配管と第2配管とを容易に接続することができる。
【0008】
(2)本開示の冷媒配管は、
冷凍装置の冷媒回路を構成する冷媒配管であって、
第1配管と、第2配管とを備え、
前記第1配管が、ステンレスからなる第1配管本体と、前記第1配管本体の管軸方向の端部に設けられかつステンレスとは異なる材料からなる第1接続部とを有し、
前記第2配管が、ステンレスからなる第2配管本体と、前記第2配管本体の管軸方向の端部に設けられかつ前記第1接続部と主成分が同一の材料からなる第2接続部とを有し、
前記第1接続部と前記第2接続部とが接続される。
【0009】
この構成によれば、第1配管及び第2配管が、ステンレスとは異なりかつ主成分が同一の材料からなる第1接続部及び第2接続部をそれぞれ有しているので、第1接続部と第2接続部とをろう付け等によって接続することで、ステンレスのろう付けが不要となり、第1配管と第2配管とを容易に接続することができる。
【0010】
(3)好ましくは、前記第1接続部と前記第2接続部とが、主成分が同一の異なる材料からなる。
このように第1接続部と第2接続部とが、主成分が同一の異なる材料からなる場合にも、第1配管と第2配管とを容易に接続することができる。
【0011】
(4)好ましくは、前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれが、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金のいずれかからなる。
この構成によれば、第1接続部と第2接続部とを、安価なろう材を用いて簡単にろう付けで接続することができる。
【0012】
(5)好ましくは、前記第1配管本体の前記端部と前記第2配管本体の前記端部とが、管径方向に重複して配置されている。
この構成によれば、ステンレスからなる第1配管本体と第2配管本体とが管径方向に重複することによって、冷媒配管は、ステンレスからなる第1配管本体又は第2配管本体が管軸方向に連続して存在することとなり、冷媒配管の強度を高めることができる。
【0013】
(6)好ましくは、前記第1接続部が、前記第1配管本体の前記端部に施されたメッキ層、又は、前記第1配管本体の前記端部に取り付けられた管である。
【0014】
(7)好ましくは、前記第2接続部が、前記第2配管本体の前記端部に施されたメッキ層、又は、前記第2配管本体の前記端部に取り付けられた管である。
【0015】
(8)好ましくは、前記第1接続部及び前記第2接続部の一方の接続部が管であり、他方の接続部がメッキ層であり、
前記一方の接続部と当該一方の接続部が設けられた一方の配管本体とが第1ろう材により接続され、
前記一方の接続部と前記他方の接続部とが第2ろう材により接続され、
前記第1ろう材が、前記第2ろう材よりも高い融点を有する。
【0016】
この構成によれば、部品交換等のために第1配管と第2配管との接続を外す場合、両者の接続部分を第2ろう材の融点よりも高く第1ろう材の融点よりも低い温度で加熱することによって、第2ろう材のみを融かし、一方の配管本体と、一方の接続部である管との接続は維持することができる。したがって、一方の接続部を、新たな他方の接続部との接続のために再利用することができる。
【0017】
(9)好ましくは、前記第1配管本体又は前記第2配管本体の前記端部には、当該配管本体の他の部分よりも径が大きい大径部が設けられ、
前記大径部の内周面に、前記第1接続部又は前記第2接続部が設けられる。
【0018】
(10)好ましくは、前記第1配管本体又は前記第2配管本体の前記端部には、当該配管本体の他の部分よりも径が小さい小径部が設けられ、
前記小径部の外周面に、前記第1接続部又は前記第2接続部が設けられる。
【0019】
(11)好ましくは、前記第1配管及び前記第2配管の一方の配管は、他方の配管と、ステンレス製の他の配管とを接続する継手を構成している。
このような構成によって、一方の配管を小型化し、その配管本体に接続部を設ける作業等を容易に行うことができる。
【0020】
(12)好ましくは、前記第1配管及び前記第2配管の少なくとも一方が、冷媒回路を構成する要素部品に設けられている。
【0021】
(13)好ましくは、前記第1配管本体及び前記第2配管本体の少なくとも一方の外周面には、前記第1接続部及び前記第2接続部と主成分が同一の材料からなる継手管が取り付けられ、前記継手管に、前記継手管と主成分が同一の材料からなる他の配管が接続されている。
この構成によれば、ステンレス製の配管本体に、ステンレスとは異なる材料の他の配管を介してセンサ等の機能部品を容易に接続することができる。
【0022】
(14) 前記冷凍装置が、前記冷媒回路における冷媒の流路を切り換える切換機構を備え、
前記第1配管本体又は前記第2配管本体が、前記切換機構に接続される。
【0023】
(15)本開示の冷凍装置は、
上記(1)~(14)のいずれか1つに記載の冷媒配管と、
冷媒回路を構成し、前記冷媒配管が接続される要素部品と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態に係る冷媒配管を備えた冷凍装置の概略的な構成図である。
図2】冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図3図2のA部の拡大断面図である。
図4】第2の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図5】第1配管の第1配管本体と第1接続管とのろう付け前の状態を示す断面図である。
図6】第1配管本体の変形例を示す断面図である。
図7】第1配管本体のさらなる変形例を示す断面図である。
図8】第1配管本体のさらなる変形例を示す断面図である。
図9】第1配管本体のさらなる変形例を示す断面図である。
図10】第3の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図11】第4の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図12】第5の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を拡大して示す断面図である。
図13】第6の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図14】第7の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図15】第8の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図16】第9の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
図17】四路切換弁と冷媒配管とを一体化した弁ユニットを示す正面図である。
図18】弁ユニットを要素部品に接続した様子を示す斜視図である。
図19】比較例に係る弁ユニットを要素部品に接続した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(冷凍装置の全体構成)
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る冷媒配管を備えた冷凍装置の概略的な構成図である。
冷凍装置1は、例えば室内の温度や湿度を調整する空気調和装置であり、室外に設置される室外機2と、室内に設置される室内機3とを備えている。室外機2と室内機3とは、冷媒配管10によって互いに接続されている。
【0026】
冷凍装置1は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路4を備えている。冷媒回路4は、複数の要素部品と、複数の要素部品を接続する冷媒配管10とを備えている。冷媒回路4は、要素部品として、室内熱交換器11、圧縮機12、マフラー13、室外熱交換器14、膨張機構15、アキュムレータ16、四路切換弁(切換機構)17、閉鎖弁18L,18G等を備えており、これらが冷媒配管10によって接続されている。冷媒配管10は、液配管10Lとガス配管10Gとを含む。液配管10L及びガス配管10Gには、それぞれ閉鎖弁18L,18Gが設けられている。
【0027】
室内熱交換器11は、室内機3に設けられ、冷媒と室内空気との間で熱交換を行う。室内熱交換器11としては、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器又はマイクロチャネル式熱交換器等を採用することができる。室内熱交換器11の近傍には、室内空気を室内熱交換器11へ送風し、調和空気を室内に送るための室内ファン(図示省略)が設けられている。
【0028】
圧縮機12、マフラー13、室外熱交換器14、膨張機構15、アキュムレータ16、四路切換弁17、及び閉鎖弁18L,17Gは、室外機2に設けられている。圧縮機12は、吸入管から吸入した冷媒を圧縮して吐出管から吐出するものである。圧縮機12としては、例えば、スクロール圧縮機等の種々の圧縮機を採用することができる。
【0029】
マフラー13は、圧縮機12から吐出された冷媒の圧力脈動を抑制する。なお、圧縮機12の吐出管と四路切換弁17との間には、マフラー13に代えて又は加えて、油分離器が設けられていてもよい。油分離器は、圧縮機12から吐出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離するものである。
【0030】
室外熱交換器14は、冷媒と室外空気との間で熱交換を行う。室外熱交換器14は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器又はマイクロチャネル式熱交換器等を採用することができる。室外熱交換器14の近傍には、室外空気を室外熱交換器14へ送風するための室外ファンが設けられている。
【0031】
膨張機構15は、冷媒回路4の冷媒配管10において室外熱交換器14と室内熱交換器11との間に配設され、流入した冷媒を膨張させて、所定の圧力に減圧させる。膨張機構15として、例えば開度可変の電子膨張弁、又はキャピラリーチューブを採用することができる。
【0032】
アキュムレータ16は、冷媒回路4において圧縮機12の吸入ポートと四路切換弁17との間に配設され、流入した冷媒を気液分離する。アキュムレータ16で分離されたガス冷媒は、圧縮機12に吸入される。
【0033】
四路切換弁17は、図1において実線で示す第1の状態と、破線で示す第2の状態とに切換可能である。空気調和装置1が冷房運転を行うときには、四路切換弁17は第1の状態に切り換えられ、暖房運転を行うときには、四路切換弁17は第2の状態に切り換えられる。
【0034】
(冷媒配管の構成)
図2は、冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
前述した複数の要素部品のうち、少なくとも1つの要素部品Xには、図2に示す冷媒配管10Aが接続されている。冷媒配管10Aは、第1配管21と第2配管22とを有する。第1配管21及び第2配管22は、同一の軸心Oを有する。本実施形態では、軸心Oが上下方向(鉛直方向)に向けて配置されている。以下の説明において、軸心Oに沿った方向を「管軸方向」ともいう。軸心Oを中心とする径方向を「管径方向」ともいう。
【0035】
(第1配管)
第1配管21は、第1配管本体21aと、第1接続部21bとを有する。
第1配管本体21aは、ステンレス製である。第1配管本体21aは、例えば、SUS304、SUS304L、SUS436L、SUS430等により形成されている。
【0036】
第1配管本体21aは、第1大径部21a2と、第1段差部21a3と、第1小径部21a1とを管軸方向に並べて有している。図2に示す例では、第1小径部21a1は、第1配管本体21aの管軸方向の一端部(下部)に配置されている。第1段差部21a3は、第1小径部21a1の上側に配置されている。第1大径部21a2は、第1小径部21a1の上側に配置されている。
【0037】
第1配管本体21aは、外径Dを有する管の管軸方向の一端部を管径方向に縮小させることによって、第1小径部21a1と第1段差部21a3とを形成し、この管の径が縮小されていない部分を第1大径部21a2としたものである。
【0038】
第1接続部21bは、第1配管本体21aとは別体の管により形成されている。以下、第1接続部21bのことを、「第1接続管」ともいう。図2には、第1接続管21bに対して「管」を表す(p)を付している。第1接続管21bは、第1配管本体21aと異なる材料により形成されている。本実施形態の第1接続管21bは、銅製である。本明細書における「銅」とは、主成分としての銅を99.9重量%以上含む「純銅」である。第1接続管21bは、一定の外径及び内径を有する直管である。第1接続管21bの管軸方向の長さは、第1配管本体21aの管軸方向の長さよりも短い。第1接続管21bの管軸方向の長さは、第1配管本体21aの第1小径部21a1の管軸方向の長さよりも長い。第1接続管21bの内径は、第1小径部21a1の外径よりも若干大きい。
【0039】
第1接続管21bの管径方向の内側には、第1配管本体21aの第1小径部21a1が挿入されている。第1接続管21bの内周面と、第1小径部21a1の外周面とは、管径方向に対向して配置されている。第1接続管21bの内周面と、第1小径部21a1の外周面とは、第1ろう材B1によりろう付けされている。なお、図2においては、ろう付け部分を解りやすく示すために、第1ろう材B1の管径方向の厚さが誇張して示されている。後述する第2ろう材B2についても同様である。図3図16においても、同様にろう材B1,B2の管径方向の厚さが誇張して示されている。
【0040】
図3は、図2のA部の拡大断面図である。
第1接続管21bの内周面と、第1小径部21a1の外周面とは、「炉中ろう付け」によって接続されている。これは、次の理由による。
まず、第1配管本体21aの材料であるステンレスは、表面に不動態皮膜(酸化皮膜)が形成されているので、トーチろう付け等の手作業によるろう付け(以下、「手ろう付け」ともいう)を行うには、酸化皮膜を除去するフラックスが必要となる。冷媒は、閉回路である冷媒回路4中を流れるため、冷媒配管10A内にフラックスが残存していると、冷媒にフラックスが混入し、冷媒自身や冷媒が流入する要素部品X(例えば、圧縮機12)の性能に悪影響を与える可能性がある。このため、ろう付け後にフラックスを除去する作業が必須となる。
【0041】
第1配管本体21aの材料であるステンレスは、熱が加わることによって鋭敏化と呼ばれる脆化が生じる。鋭敏化とは、ステンレス中の炭素にクロムが結合し、粒界にクロムが析出することでクロム成分の低い部分が生成され、耐食性等が低下する現象である。この鋭敏化は、発生しやすい温度域やその熱の付与時間が知られている。
【0042】
炉中ろう付けは、連続炉等の内部において所定のガス雰囲気、例えば、酸化皮膜を除去することができる水素ガス雰囲気中でろう付けを行う手法である。そのため、フラックスを用いることなくステンレスのろう付けを行うことが可能となる。そのため、ろう付け後にフラックスを除去する作業も不要となる。炉中ろう付けは、ろう付け温度やろう付け時間の管理を容易に行うことができるので、鋭敏化の発生を抑制し得る温度及び時間でろう付けを行うことが可能となる。なお、第1配管本体21aとして、SUS304よりも炭素量の少ないSUS304Lを用いることによって、第1配管本体21aの鋭敏化を抑制することもできる。
【0043】
図3に示すように、第1接続管21bは、第1配管本体21aの端部である第1小径部21a1から、管軸方向に突出する突出部21b1を有している。この突出部21b1の突出量T1は、例えば、0.1mm以上25mm以下である。好ましくは、突出量T1は、1.0mm以上5.0mm以下である。より好ましくは、突出量T1は、2.0mm以上3.0mm以下である。本実施形態の突出量T1は、第1配管本体21aと第1接続管21bとの管径方向の重なり量R1よりも小さい。この重なり量R1は、例えば7.0mmである。
【0044】
(第2配管)
第2配管22は、図2及び図3に示すように、第1配管21の管軸方向の一端部(下端部)に接続されている。第2配管22は、圧縮機12のような要素部品Xから突出し、要素部品Xの一部を構成するとともに、冷媒配管10Aの一部を構成している。本実施形態の第2配管22は、第2配管本体22aと、第2接続部22bとを有する。
【0045】
第2配管本体22aは、第1配管21の第1配管本体21aと同一の材料であるステンレスにより形成されている。第2配管本体22aは、第2大径部22a2と、第2段差部22a3と、第2小径部22a1とを管軸方向に並べて有している。第2大径部22a2は、第2配管本体22aの管軸方向の一端部(上部)に配置されている。第2小径部22a1は、第2配管本体22aの管軸方向の他端部(下部)に配置されている。第2小径部22a1の下端部は、要素部品Xに直接接続され、固定されている。第2大径部22a2と第2小径部22a1との間に、第2段差部22a3が配置されている。
【0046】
第2配管本体22aは、外径Dを有する管の一端部を管径方向に拡大させることによって、第2大径部22a2及び第2段差部22a3を形成し、この管の径が拡大されていない部分を第2小径部22a1としたものである。
【0047】
第2接続部22bは、第2配管本体22aの第2大径部22a2及び第2段差部22a3の内周面に施されたメッキ層からなる。第2接続部22bは、第2配管本体22aとは異なる材料であって、第1接続管21bと同一の材料により形成されている。本実施形態の第2接続部22bは、銅製である。図2には、第2接続部22bに対して、「メッキ層」を表す(m)を付している。
【0048】
第2配管本体22aの第2大径部22a2は、開口が上方に向くように配置されている。第2大径部22a2の内径は、第1配管21における第1接続管21bの外径よりもやや大きい。そして、第2大径部22a2の管径方向の内側に、第1配管21の第1接続管21bが挿入されている。第2大径部22a2の内周面に設けられた第2接続部22bと第1接続管21bの外周面とは、管径方向に対向して配置されている。第1接続管21bの突出部21b1は、第2配管本体22aの第2段差部22a3(実質的には、第2段差部22a3に施されたメッキ層(第2接続部22b))に接触している。
【0049】
第2接続部22bと第1接続管21bとは、第2ろう材B2によってろう付けされている。このろう付けは、トーチろう付け(バーナーろう付け)等の手ろう付けである。第1接続管21bと第2接続部22bとは、共に銅製であるため、りん銅ろう等の安価なろう材を用いて容易にろう付けにより接続することができる。
【0050】
第1配管21と第2配管22とは、第1接続管21bの突出部21b1が第2配管本体22aの第2段差部22a3に接触することによって、管軸方向に関して相対的に位置決めされる。これにより、ろう付け作業をより容易に行うことができる。
【0051】
図3に示すように、第1接続管21bは、第2配管本体22aと、R2で示す範囲で管径方向に重なっている。この重なり量R2は、第1接続管21bと第1配管本体21aとの重なり量R1とほぼ同じ寸法である。第1接続管21bは、第2配管本体22aから管軸方向に突出している。第1接続管21bの突出量T2は、重なり量R2よりも小さい。突出量T2は、例えば2mm以上3mm以下である。
【0052】
第1配管本体21aの下端部と、第2配管本体22aの上端部とは、管径方向に重なっている。第1配管本体21aと第2配管本体22aとの重なり量R3は、例えば5.0mmである。第1接続管21bは、第1配管本体21aとのろう付けの際に炉内の高温環境下に置かれる。そのため、第1接続管21bは、銅の結晶粒が粗大化することによって強度が低下するおそれがある。本実施形態では、ステンレス製の第1配管本体21aと第2配管本体22aとが管径方向に重なるように配置されることによって、冷媒配管10Aには、強度が低下した第1接続管21bが単独で存在することがない。言い換えると、第1接続管21bは、第1配管本体21a及び第2配管本体22aの少なくとも一方と管径方向に重なっている。そのため、第1接続管21bの強度の低下が、第1配管本体21aと第2配管本体22aとによって補われている。
【0053】
本実施形態では、第1接続管21bが、第1配管本体21aから管軸方向に突出する突出部21b1を有しているが、図3において、仮に、第1接続管21bを管軸方向に短く形成し、第1接続管21bを第1配管本体21aから突出させずに上方へ後退させたとすると、第2配管122の第2大径部22a2と、第1配管121の第1小径部21a1の下端部との管径方向の間にわずかな空間が生じ、第1接続管121bと第2配管122との重なり量R2も小さくなる。そのため、第1接続管121bと第2配管122との接続強度が低下する可能性がある。
【0054】
本実施形態では、図3に示すように、第1接続管21bが、第1配管本体21aから管軸方向に突出する突出部21b1を有しているので、第2配管22と第1配管21との間に空間が形成されることもなく、第1接続管21bと第2配管本体22aとの重なり量R2も大きくし、第1配管21と第2配管22との接続強度を高めることができる。
【0055】
第2ろう材B2は、第1ろう材B2よりも融点の低いものが用いられている。そのため、例えば、要素部品Xを交換する際に、第1配管21と第2配管22との接続部分を、第2ろう材B2の融点よりも高く第1ろう材B1の融点よりも低い温度で加熱することによって、第1ろう材B1を溶かすことなく第2ろう材B2のみを溶かし、第1配管21から第2配管22を取り外すことができる。したがって、第1配管21においては、第1配管本体21aに第1接続管21bが接続されたままとなり、この第1接続管21bに対して新たな要素部品Xの第2配管22を接続することが可能となる。
【0056】
第1配管21の第1大径部21a2及び第2配管22の第2小径部22a1は、外径Dが共通している。そのため、冷凍装置1の製造工程において、各配管を固定、保持、ハンドリング等をする際に用いる治具を共通化することができる。第1大径部21a2の内径及び第2小径部22a1の内径を共通とした場合には、冷媒配管10Aの流れる冷媒の圧力変動を小さくすることができる。
【0057】
(弁ユニット)
図17は、四路切換弁と冷媒配管とを一体化した弁ユニットを示す正面図である。
四路切換弁17は、外殻を構成する弁本体17aと、弁本体17aの内部に収容された弁体等を有する。弁本体17aは、ステンレスにより形成されている。
【0058】
弁本体17aには、短い管からなり冷媒の出入口を構成する4本の第1~第4ポート17b1~17b4が設けられている。これらの第1~第4ポート17b1~17b4は、ステンレス製である。第1~第4ポート17b1~17b4には、それぞれ第1~第3冷媒配管10A1~10A3と、第4冷媒配管10Bとの一端が接続されている。
【0059】
第1~第3冷媒配管10A1~10A3は、図2及び図3を参照して説明した本実施形態の冷媒配管である。第1~第3冷媒配管10A1~10A3の第1配管21は、第1配管本体21aと、第1接続管21bとを有する。3本の第1~第3ポート17b1~17b3には、第1配管本体21aの一端が接続されている。第1配管本体21aの他端には、第1接続管21bが設けられている。第1配管本体21aはステンレス製であるので、第1~第3ポート17b1~17b3と第1配管本体21aとの接続は、ステンレス同士の接続となる。
【0060】
残りの1本の第4ポート17b4には、第4冷媒配管10Bの一端が接続されている。第4冷媒配管10Bは、第1~第3冷媒配管10A1~10A3とは異なり、ステンレスのみにより形成されている。第4冷媒配管10Bの他端には、マフラー13の一端が接続されている。マフラー13もステンレス製である。したがって、第4冷媒配管10Bとマフラー13との接続は、ステンレス同士の接続となる。
【0061】
マフラー13の他端には、第5冷媒配管10A5が接続されている。第5冷媒配管10A5は、第1~第3冷媒配管10A1~10A3と同様に、図2及び図3を参照して説明した本実施形態の冷媒配管である。第5冷媒配管10A5の第1配管21の一端は、マフラー13の他端に接続されている。第1配管21の他端には、第1接続管21bが設けられている。第1配管本体21aはステンレス製であるので、マフラー13と第1配管本体21aとの接続は、ステンレス同士の接続となる。
【0062】
第3冷媒配管10A3の第1配管本体21aの外周面には、継手管31が取り付けられている。この継手管31は、第1配管本体21aとは異なる材料であって、第1接続管21bと同一材料からなる。本実施形態の継手管31は銅製である。この継手管31には、継手管31と同一材料からなる他の冷媒配管32が接続される。他の冷媒配管32は、銅製であり、第1配管本体21aよりも径が小さい。
【0063】
図17に示す弁ユニットUにおいて、ステンレス同士の接続と、ステンレスと銅との接続とは、いずれも炉中ろう付けにより行われる。本実施形態では、四路切換弁17、マフラー13、冷媒配管10A,10B、及び継手管31を仮組みした弁ユニットU全体が炉内に投入され、各接続部分が同時に炉中ろう付けされる。
【0064】
継手管31と冷媒配管32とは、銅同士の接続となるため、炉中ろう付けではなく、手ろう付けで接続される。冷媒配管32は、サービスポートと呼ばれるものであり、冷凍装置1のメンテナンスの際や検査の際に、圧力センサ等の機能部品を取り付けるために用いられる。仮に、この冷媒配管32をステンレス製にしたとすれば、上記のように他の配管等とともに炉中ろう付けすることが可能となる。しかし、この冷媒配管32は、他の冷媒配管10Aに比べて径が小さいため、ステンレス製であると所定の精度を得るために却って製造コストが高くなるという弊害がある。そのため、本実施形態では、冷媒配管32を銅製とし、銅製の継手管31のみを冷媒配管10Aに炉中ろう付けで接続している。これにより、冷媒配管32の強度低下を招くことなく、手作業によるろう付けで継手管31を介して冷媒配管10Aに冷媒配管32の接続することができる。
【0065】
継手管31及び冷媒配管32は、第3冷媒配管10A3に限らず、他の冷媒配管10A1,10A2,10A5,10A6に設けられていてもよい。継手管31及び冷媒配管32は、第1配管21に限らず第2配管22に設けられていてもよい。
【0066】
図18は、弁ユニットを要素部品に接続した状態を示す斜視図である。
具体的に、図18は、図17に示す弁ユニットUを、要素部品Xとしての圧縮機12と、アキュムレータ16とに接続した状態を示している。圧縮機12の吐出管12aは、第5冷媒配管10A5の第2配管22により構成されている。この第2配管22に、弁ユニットUのマフラー13に接続された第5冷媒配管10A5の第1配管21が接続されている。したがって、圧縮機12は、第5冷媒配管10A5、マフラー13、及び第4冷媒配管10Bを介して四路切換弁17に接続されている。
【0067】
アキュムレータ16の流入管16aは、第1冷媒配管10A1の第2配管22を構成している。この第2配管22には、第1冷媒配管10A1の第1配管21が接続されている。
アキュムレータ16の流出管16bと、圧縮機12の吸入管12bとは、第6冷媒配管10A6により接続される。第6冷媒配管10A6は、弁ユニットUには含まれていないが、図2及び図3を参照して説明した本実施形態の冷媒配管である。アキュムレータ16の流出管16bと、圧縮機12の吸入管12bとは、いずれも第6冷媒配管10A6の第2配管22を構成している。第6冷媒配管10A6の第1配管21の両端部が、それぞれ第2配管22に手作業によるろう付けで接続される。
【0068】
四路切換弁17の他の2本の第2,第3ポート17a2,17a3に接続された第2,第3冷媒配管10A2,10A3の第1配管21は、それぞれ図1に示される閉鎖弁18Gと、室外熱交換器14のガス側ヘッダとに接続される。
【0069】
図19は、比較例に係る弁ユニットを要素部品に接続した様子を示す斜視図である。図19に示す弁ユニットは、四路切換弁17の弁本体17a及びポート17b1~17b4、並びに、冷媒配管110を銅製にしたものである。この比較例の場合、圧縮機12の振動は、冷媒配管110に伝達されるが、銅製の冷媒配管110は強度が低いため、振動を吸収するための構造が必要となる。例えば、冷媒配管110を部分的に折り曲げてループ部110aを形成したり、迂回部110bを形成したりする必要がある。そのため、冷媒配管110の構造が複雑になるとともに、冷媒配管110を配設するために広いスペースが必要となる。
【0070】
本実施形態の場合、図18に示すように、第1~第3,第5,第6冷媒配管10A1~10A3,10A5,10A6のうち強度を担う部分(第1,第2配管本体21a,22a)は全てステンレス製であり、第4冷媒配管10Bもステンレス製である。これらの冷媒配管10A1~10A3,10A5,10A6,10Bは、図19に示す銅製の冷媒配管110よりも強度が高いため、圧縮機12の振動を吸収するような特殊な構造を設ける必要が無い。そのため、圧縮機12に接続される第5、第6冷媒配管10A5,10A6を、大きく曲げることなく簡単な構造に形成し、小さいスペースに配設することができる。
【0071】
また、冷媒配管10A1~10A3,10A5,10A6,10Bは、管軸方向の一部に銅が単独で存在する部分が含まれると、その部分に応力が集中し、破損の原因となるが、本実施形態の冷媒配管10A1~10A3,10A5,10A6,10Bは、管軸方向の一部に銅が単独で存在する部分を有していないため、応力集中による破損も抑制することができる。
【0072】
前述した圧縮機12やアキュムレータ16は、通常、室外機2におけるケーシングの底板に固定されるが、四路切換弁17は、底板から上方に離れた位置に配置され、室外機2のケーシング等に直接的に固定されていない。そのため、冷凍装置1の運搬中等は、四路切換弁17が振動しやすくなり、四路切換弁17に接続される第1~第4冷媒配管10A1~10A3、10Bには振動に伴う荷重が付与される。しかし、第1~第3冷媒配管10A1~10A3は、主に強度を担う部分(第1,第2配管本体21a,22a)が全てステンレス製であり、第4冷媒配管10Bもステンレス製であるため、変形や損傷を抑制することができる。
【0073】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21及び第2配管22に加え、第3配管23を有している。第3配管23は、第1配管21及び第2配管22と同一の軸心Oを有する。
【0074】
本実施形態の第1配管21は、第1の実施形態の第1配管21と比べ管軸方向に短く形成されている。第1配管21は、第2配管22と第3配管23との管軸方向の間に配置されている。したがって、本実施形態の第1配管21は、第2配管22と第3配管23とを接続する継手としての機能を有している。
【0075】
第3配管23は、第1配管21の第1配管本体21aにおける第1大径部21a2に接続されている。第3配管23は、第1配管本体21aと同一の材料であるステンレスにより形成されている。第1配管本体21aと第3配管23とは、Tig溶接等の溶接により接続されている。ただし、第1配管本体21aと第3配管23とは、ろう付けによって接続されてもよい。第3配管23は、第1配管本体21aの第1大径部21a2と同一の外径Dを有している。
【0076】
上述した第1の実施形態の冷媒配管10Aにおける第1配管21は、第1配管本体21aの第1大径部21a2が管軸方向に長く形成されていたため、第1配管21が大型化し、第1配管本体21aと第1接続管21bとの炉中ろう付けの際等に、第1配管21のハンドリングが煩雑となる。本実施形態の第1配管21は、第1配管本体21aを短く形成し、第1配管21自体を第2配管22と第3配管23とを繋ぐ「継手」として用いることによって、第1配管21を小型化し、炉中ろう付けの作業を容易に行えるようにしている。また、第1配管21を小型化することで、一度に炉内に投入できる第1配管21の数を増やすことができるため、生産効率を向上させることができる。
【0077】
図5は、第1配管の第1配管本体と第1接続管とのろう付け前の状態を示す断面図である。
本実施形態において、第1配管本体21aと第1接続管21bとをろう付けするには、まず、第1配管本体21aの第1小径部21a1の管径方向の外側に、第1ろう材B1となるリングろうBaを嵌める。次いで、第1小径部21a1の管径方向の外側に第1接続管21bを嵌め、第1接続管21bと第1段差部21a3との間にリングろうBaを挟み込む。第1配管本体21aを上側、第1接続管21bを下側にした状態で、第1配管本体21a及び第1接続管21bを高温の炉内に投入することによってリングろうBaを溶かし、矢印aで示すように、第1小径部21a1の外周面と第1接続管21bの内周面との隙間に第1ろう材B1を流し込む。
【0078】
このように、第1接続管21bと第1段差部21a3との間にリングろうBaを挟むことによって、第1接続管21bと第1配管本体21aとリングろうBaとを相対的に位置決めした状態でろう付けを行うことができる。また、第1実施形態のように第1配管21が長く形成されていると炉内に第1配管21を横向きの姿勢でしか投入できないが、本実施形態のように第1配管21が小型化されていると、上述したように第1配管21(第1配管本体21a及び第1接続管21b)の軸心を上下方向に向けた状態でろう付けを行うことができるので、第1小径部21a1の外周面と第1接続管21bの内周面との隙間に均一に第1ろう材B1を流し込むことができる。
【0079】
(第1配管本体21aの変形例)
図6は、第1配管本体の変形例を示す断面図である。
図6に示す変形例では、第1配管21の第1配管本体21aに形成された第1大径部21a2の内側に第3配管23の端部23aが挿入され、第1大径部21a2と第3配管23とが溶接によって接続されている。
【0080】
図6(a)に示す例では、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とが、Y1で示す管軸方向の1箇所において全周溶接されている。この溶接箇所Y1は、第1大径部21a2の先端に位置している。この溶接箇所Y1において第1大径部21a2の外周側から溶接を行うことで第1大径部21a2と第3配管23とが溶融し、両者が接続される。
【0081】
溶接箇所Y1は、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とが管径方向に重なる範囲のうち、第2配管22とは反対側の端部に位置している。溶接箇所Y1は、言い換えると、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とが管径方向に重なる範囲のうち、より大気に近い側(冷媒配管10Aの外部側)に位置している。そのため、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23との接続状態を確認しつつ溶接作業を容易に行うことができる。さらに、図4に示す実施形態のように、第1配管本体21aと第3配管23との突き合わせ部分を溶接する場合に比べて、本変形例では、溶接の領域を広くすることができ、第1配管本体21aと第3配管23との接続部分の強度を高め、大きな応力に耐えうる構造とすることができる。
【0082】
図6(b)に示す例では、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とが、Y1,Y2で示す管軸方向の2箇所において全周溶接されている。これらの溶接箇所Y1,Y2は、第1大径部21a2の管軸方向の両端に位置している。
【0083】
図6(a)に示すように、溶接箇所Y1のみで第1大径部21a2と第3配管23とを接続した場合、冷媒配管10A内の冷媒の流れ等によって第3配管23の端部23aに微小な動きが生じると、第1大径部21a2と第1段差部21a3との境界部付近で応力が集中する可能性がある。そのため、図6(b)に示す例では、溶接箇所Y2においても第1大径部21a2と第3配管23とを接続することで、第3配管23の動きを制限し、第1配管21の第1配管本体21aに生じる応力集中を抑制することができる。
【0084】
図6(c)に示す例では、図6(a)に示す例と同様に、第1配管21の第1配管本体21aに形成された第1大径部21a2の内側に第3配管23の端部23aが挿入され、第1大径部21a2と第3配管23とが溶接で接続されている。本変形例の第1大径部21a2は、図6に示す第1大径部21a2よりも管軸方向に短く形成されており、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とは、管軸方向の1箇所Y3で全周溶接されている。本変形例では、第1大径部21a2が短く形成されているので、1箇所Y3における溶接であっても第1大径部21a2の管軸方向の範囲全体を第3配管23に接続することができる。
【0085】
図6(a)~(c)に示す各例においては、第1配管本体21aの第1小径部21a1を管軸方向に短く形成するか、又は、第1接続管21bを管軸方向に長く形成することによって、第1接続管21bの端部を第1段差部21a3に当て、第1配管本体21aに対する第1接続管21bの管軸方向の位置決めを行ってもよい。
【0086】
図7図9は、第1配管本体のさらなる変形例を示す断面図である。
図7(a)に示す例では、第1配管21の第1配管本体21aが一定の外径を有する直管により構成されている。これに対して、第3配管23は、第3小径部23a1と、第3大径部23a2と、第3段差部23a3とを有している。第3小径部23a1は、第3配管23の端部に配置され、第1配管本体21aの内側に挿入されている。第1配管本体21aと第3配管23とは、管軸方向の1箇所Y4で全周溶接されている。この溶接は、第3小径部23a1の管軸方向の範囲全体で行われている。
【0087】
図7(b)に示す例では、第1配管21の第1配管本体21aが一定の外径を有する直管により構成されている。第3配管23も、少なくとも端部が第1配管本体21aと同一の外径を有する直管により構成されている。第1配管本体21aと第3配管23とは、突き合わされた面Y5において溶接されている。
【0088】
図8に示す変形例では、第1配管21の第1配管本体21aに、第1大径部21a2よりもさらに径が拡大された第4大径部21a4と、第1大径部21a2と第4大径部21a4との間に配置された第4段差部21a5とが形成されている。第4大径部21a4には、第3配管23の端部が挿入され、第4大径部21a4と第3配管23とが溶接によって接続されている。
【0089】
図8(a)に示す例では、第1配管21の第4大径部21a4と第3配管23とが、Y1で示す管軸方向の1箇所において全周溶接されている。この溶接箇所Y1は、第4大径部21a4の先端に位置している。この溶接箇所Y1において第4大径部21a4の外周側から溶接を行うことで第4大径部21a4と第3配管23とを溶融し、両者が接続される。
【0090】
溶接箇所Y1は、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とが管径方向に重なる範囲のうち、第2配管22とは反対側の端部に位置している。溶接箇所Y1は、言い換えると、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とが管径方向に重なる範囲のうち、より大気に近い側(冷媒配管10Aの外部側)に位置している。そのため、第1配管21と第3配管23との接続状態を確認しつつ溶接作業を容易に行うことができる。さらに、図4に示す実施形態のように、第1配管本体21aと第3配管との突き合わせ部分を溶接する場合に比べて、本変形例では、溶接の領域を広くすることができ、第1配管本体21aと第3配管との接続部分の強度を高め、大きな応力に耐えうる構造とすることができる。
【0091】
図8(b)に示す例では、第1配管21の第1配管本体21aと第3配管23とが、Y1,Y2で示す管軸方向の2箇所において全周溶接されている。これらの溶接箇所Y1,Y2は、第4大径部21a4の管軸方向の両端に位置している。
【0092】
図8(a)に示すように、溶接箇所Y1のみで第4大径部21a4と第3配管23とを接続した場合、冷媒配管10A内の冷媒の流れ等によって第3配管23の端部23aに微小な動きが生じると、第4大径部21a4と第4段差部21a5との境界部付近で応力が集中する可能性がある。そのため、図8(b)に示す例では、溶接箇所Y2においても第4大径部21a4と第3配管23とを接続することで、第3配管23の動きを制限し、第1配管21に生じる応力集中を抑制することができる。
【0093】
図9に示す例では、図8に示す例と同様に、第1配管21の第1配管本体21aに第4大径部21a4及び第4段差部21a5が形成されている。第4大径部21a4には、第3配管23が挿入され、第4大径部21a4と第3配管23とが溶接で接続されている。本変形例の第4大径部21a4は、図8に示す第4大径部21a4よりも管軸方向に短く形成されており、第1配管21と第3配管23とは、管軸方向の1箇所Y3で全周溶接されている。本変形例では、第4大径部21a4が短く形成されているので、1箇所Y3における溶接であっても第4大径部21a4の管軸方向の範囲全体を第3配管23に接続することができる。
【0094】
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21の構造が第1実施形態とは異なる。第1配管21の第1配管本体21aは、内径及び外径Dが一定であり、第1実施形態のような第1大径部、第1小径部、及び第1段差部を備えていない。
【0095】
本実施形態においても、第1の実施形態と略同様の作用効果を奏する。また、第1配管21は、第1小径部21a1が不要であるため、加工が容易になるという利点がある。その反面、本実施形態では、第2配管22における第2配管本体22aの第2大径部22a2の外径を、第1実施形態の第2大径部22a2よりも大きく拡大させる必要があるので、第2配管本体22aの加工が困難となる。この点においては、第1実施形態の方が有利である。
【0096】
[第4の実施形態]
図11は、第4の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21の構造が第1実施形態とは異なる。第1配管21の第1接続管21bは、第1配管本体21aとの重なり量R1よりも、第1配管本体21aから突出する突出部21b1の管軸方向の突出量T1の方が大きい。突出部21b1の突出量T1は、第1接続管21bと第2配管22との管軸方向の重なり量R2よりも大きい。したがって、本実施形態の冷媒配管10Aは、管軸方向の途中に第1接続管21bが単独で存在する領域R4を有している。
【0097】
本実施形態においても、第1の実施形態と略同様の作用効果を奏する。しかし、本実施形態の冷媒配管10Aは、炉中ろう付けによって強度低下のおそれがある第1接続管21bが、単独で存在する領域R4を有しているので、強度面においては第1の実施形態の方が有利である。
【0098】
[第5の実施形態]
図12は、第5の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を拡大して示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第2配管22の第2接続部22bの構造が第1の実施形態とは異なる。第2接続部22bは、第2配管本体22aの第2大径部22a2の内周面及び先端面(図12における上端面)と、第2段差部22a3の内周面とに施されたメッキ層からなる。つまり、本実施形態は、第2接続部22bが、第2大径部22a2の先端面を覆う部分22b1を有している点で、第1の実施形態と異なっている。
【0099】
第1の実施形態においては、第2接続部22bが第2大径部22a2の先端面には設けられていないので、第2大径部22a2の先端面にまでろう付けを施そうとしても第2ろう材B2がはじかれてしまい、ろう付け面積を拡大することが困難である。本実施形態では、第2接続部22bの一部22b1が第2大径部22a2の先端面に設けられているので、当該一部22b1を覆う位置までろう付け面積を拡大し、第2配管22と第1配管21との接続をより強固にすることができる。
【0100】
なお、図12における第2接続部22bの構造は、上述した第2~第4の実施形態にも適用することができる。
【0101】
[第6の実施形態]
図13は、第6の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第2配管22の構成が、第1の実施形態とは異なっている。第2配管22は、第1の実施形態と同様に、第2配管本体22aと、第2接続部22bとからなっている。しかし、第2接続部22bは、第2配管本体22aの一端部だけでなく、第2配管本体22aの外面全体に施されたメッキ層により構成されている。
【0102】
本実施形態では、第2配管本体22aにメッキ層からなる第2接続部22bを設けるとき、メッキ浴に第2配管本体22a全体を浸漬すればよいので、メッキ作業を行いやすくなる。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
なお、第2接続部22bは、第2配管本体22aの第2大径部22a2及び第2段差部22a3の内周面及び外周面にメッキ層を施すことによって構成されていてもよい。
【0103】
[第7の実施形態]
図14は、第7の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21の第1接続部21bが、第1配管本体21aの端部に施されたメッキ層である。第2配管22の第2接続部22bは、第2配管本体22aの端部に取り付けられた管(第2接続管22b)である。第1配管本体21a及び第2配管本体22aは、ともにステンレス製である。第1接続部21bと第2接続管22bとは、ともに銅製である。
【0104】
本実施形態では、ステンレス製の第2配管本体22aと銅製の第2接続管22bとが、第1ろう材B1によって炉中ろう付けで接続される。また、銅製の第2接続管22bと、銅製の第1接続部21bとが、第2ろう材B2によって手ろう付けで接続される。第1ろう材B1の融点は、第2ろう材B2の融点よりも高い。
【0105】
本実施形態において、第1配管21と第2配管22との接続を外すには、両者の接続部分を第1ろう材B1の融点よりも低く第2ろう材B2の融点よりも高い温度で加熱し、第1ろう材B1を融かすことなく第2ろう材B2を融かすことで、第1配管21と第2配管22との接続を外すことができる。第2配管22において、第2接続管22bは第2配管本体22aに接続されたままとなるので、第2接続管22bを利用して新たな第1配管21を接続することができる。
【0106】
[第8の実施形態]
図15は、第8の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21の第1接続部21bと、第2配管22の第2接続部22bとが、ともに管(第1接続管21b、第2接続管22b)である。第1配管本体21a及び第2配管本体22aは、ともにステンレス製である。第1接続管21bと第2接続管22bとは、ともに銅製である。
【0107】
本実施形態では、ステンレス製の第1配管本体21aと銅製の第1接続管21bとが、第1ろう材B1によって炉中ろう付けで接続される。ステンレス製の第2配管本体22aと銅製の第2接続管22bとも、第1ろう材B1によって炉中ろう付けで接続される。
銅製の第1接続管21bと、銅製の第2接続管22bとは、第2ろう材B2によって手ろう付けで接続される。第1ろう材B1の融点は、第2ろう材B2の融点よりも高い。
【0108】
本実施形態において、第1配管21と第2配管22との接続を外すには、両者の接続部分を第1ろう材B1の融点よりも低く第2ろう材B2の融点よりも高い温度で加熱し、第1ろう材B1を融かすことなく第2ろう材B2を融かすことで、第1配管21と第2配管22との接続を外すことができる。第1配管21において、第1接続管21bは第1配管本体21aに接続されたままであり、第2配管22において、第2接続管22bは第2配管本体22aに接続されたままとなるので、第1接続管21b及び第2接続管22bを利用してそれぞれ新たな第2配管22又は第1配管21を接続することができる。
【0109】
[第9の実施形態]
図16は、第9の実施形態に係る冷媒配管の第1配管と第2配管との接続部分を示す断面図である。
本実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21の第1接続部21bが、第1配管本体21aの端部に施されたメッキ層である。第2配管22の第2接続部22bは、第2配管本体22aの端部に施されたメッキ層である。
【0110】
第1配管21と第2配管22とは、第1接続部21bと第2接続部22bとを手ろう付けすることによって接続される。
本実施形態では、第1,第2配管本体21a,22aに第1、第2接続部21b,22bを容易に設けることができる。
【0111】
[その他の実施形態]
以上に説明した各実施形態では、第1配管21の第1接続部21bと第2配管22の第2接続部22bとが銅製とされていた。しかし、これらは銅製に限らず、適宜変更することが可能である。例えば、第1接続部21bと第2接続部22bとは、銅合金とすることができる。銅合金は、主成分としての銅に他の金属または非金属を加えて、銅の性質を改善した合金である。銅合金は、銅と同様に、フラックス処理等が不要であり、ろう付けしやすい部材である。銅合金としては、例えば、銅を98重量%以上含むものが採用される。より好ましくは、銅合金として、銅を99重量%以上含むものが採用される。
【0112】
第1配管21の第1接続部21bと第2配管22の第2接続部22bとは、主成分が同一の材料で形成されていればよい。したがって、第1接続管21bと第2接続部22bとは、双方が銅製である場合、又は、双方が銅合金製である場合のほか、一方が銅製で他方が銅合金製であってもよい。第1接続管21bと第2接続部22bとの双方が銅合金製である場合、これらは主成分以外の他の成分が互いに異なっていてもよい。つまり、第1接続管21bと第2接続部22bとは、主成分が同一であって互いに異なる材料で形成されていてもよい。この場合も、フラックスを用いずに両者をろう付けすることができる。
【0113】
第1接続部21bと第2接続部22bとは、アルミニウム又はアルミニウム合金とすることができる。本明細書において「アルミニウム」とは、主成分としてのアルミニウムを99.9重量%以上含む「純アルミニウム」である。アルミニウム合金は、主成分としてのアルミニウムに他の金属または非金属を加えて、アルミニウムの性質を改善した合金である。アルミニウム合金としては、例えば、アルミニウムを95重量%以上含むものが採用される。第1接続管21bと第2接続管22bとは、双方がアルミニウム製である場合、双方がアルミニウム合金製である場合、及び、一方がアルミニウム製で他方がアルミニウム合金製である場合のいずれであってもよい。第1接続管21bと第2接続部22bとの双方がアルミニウム合金製である場合、主成分以外の他の成分が異なっていてもよい。
【0114】
上記各実施形態の第2配管22は、要素部品Xに設けられ、要素部品Xの一部を構成していたが、単に冷媒配管10Aのみを構成するものであってもよい。第1配管21は、要素部品Xの一部を構成するものであってもよい。
【0115】
継手管31は、第1配管21の第1配管本体21aに設けられていたが、第2配管22の第2配管本体22aに設けられていてもよい。上記実施形態の継手管31は、銅製であったが、銅合金製であってよい。継手管31に接続される他の冷媒配管32も、同様に銅合金製であってもよい。継手管31及び他の冷媒配管32の一方が銅製で、他方が銅合金製であってもよい。継手管31及び他の冷媒配管32の双方が銅合金製である場合、これらは主成分以外の他の成分が互いに異なっていてもよい。
【0116】
第2の実施形態における第3配管23は、第2配管22における第2配管本体22aに接続されるものであってもよい。この場合、第2配管22が、第1配管21と第3配管23とを接続する継手として機能することになる。
【0117】
[実施形態の作用効果]
(1) 上記各実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21と、第2配管22とを備える。第1配管21は、ステンレスからなる第1配管本体21aと、第1配管本体21aの管軸方向の端部に設けられかつステンレスとは異なる材料からなる第1接続部21bとを有する。第2配管22は、ステンレスからなる第2配管本体22aと、第2配管本体22aの管軸方向の端部に設けられかつ第1接続部21bと同一材料からなる第2接続部22bとを有する。第1接続部21bと第2接続部22bとが、接続される。
【0118】
以上の構成を有する冷媒配管10Aでは、第1配管21及び第2配管22が、ステンレスとは異なりかつ同一材料からなる第1接続部21b及び第2接続部22bをそれぞれ有しているので、第1接続部21bと第2接続部22bとをろう付け等によって接続することで、ステンレスのろう付けが不要となり、第1配管21と第2配管22とを容易に接続することができる。
【0119】
(2) 上記各実施形態の冷媒配管10Aは、第1配管21と、第2配管22とを備える。第1配管21は、ステンレスからなる第1配管本体21aと、第1配管本体21aの管軸方向の端部に設けられかつステンレスとは異なる材料からなる第1接続部21bとを有する。第2配管22は、ステンレスからなる第2配管本体22aと、第2配管本体22aの管軸方向の端部に設けられかつ第1接続部21bと主成分が同一の材料からなる第2接続部22bとを有する。第1接続部21bと第2接続部22bとが、接続される。
【0120】
以上の構成を有する冷媒配管10Aでは、第1配管21及び第2配管22が、ステンレスとは異なりかつ主成分が同一の材料からなる第1接続部21b及び第2接続部22bをそれぞれ有しているので、第1接続部21bと第2接続部22bとをろう付け等によって接続することで、ステンレスのろう付けが不要となり、第1配管21と第2配管22とを容易に接続することができる。
【0121】
(3) 上記他の実施形態の冷媒配管10Aは、第1接続部21bと第2接続部22bとが、主成分が同一の異なる材料からなる。
このような場合であっても、第1配管と第2配管とを容易に接続することができる。
【0122】
(4) 上記各実施形態では、第1接続部21b及び第2接続部22bのそれぞれが、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金のいずれかからなる。そのため、第1配管21と第2配管22とを、安価なろう材を用いて簡単にろう付けで接続することができる。
【0123】
(5) 上記各実施形態では、第1配管本体21aの端部と第2配管本体22aの端部とが、管径方向に重複して配置されている。そのため、冷媒配管10Aは、炉中ろう付けによって強度低下するおそれがある第1,第2接続部21b,22bが単独で存在することがなく、第1,第2接続部21b,22bの強度低下を第1配管本体21aと第2配管本体22aとで補うことができる。
【0124】
(6) 上記各実施形態では、第1接続部21bは、第1配管本体21aの端部に施されたメッキ層、又は、第1配管本体21aの端部に取り付けられた管である。第2接続部22bは、第2配管本体22aの端部に施されたメッキ層、又は、第2配管本体22aの端部に取り付けられた管である。
【0125】
第1接続部21b及び第2接続部22bがメッキ層である場合、第1配管本体21a及び第2配管本体22aの端部に容易に第1接続部21b及び第2接続部22bを設けることができる。第1接続部21b及び第2接続部22bが管である場合、ステンレスからなる第1配管本体21a及び第2配管本体22aの端部に、ステンレス以外の材料からなる第1接続部21b及び第2接続部22bを炉中ろう付けにより接続することができる。
【0126】
(7) 上記第1~第7実施形態において、第1接続部21b及び第2接続部22bの一方の接続部が管であり、他方の接続部がメッキ層であり、一方の接続部と当該一方の接続部が設けられた一方の配管本体とが第1ろう材B1により接続され、一方の接続部と他方の接続部とが第2ろう材B2により接続され、第1ろう材B1が、第2ろう材B2よりも高い融点を有する。そのため、部品交換等のために第1配管21と第2配管22との接続を外す場合、両者の接続部分を第2ろう材B2の融点よりも高く第1ろう材B1の融点よりも低い温度で加熱することによって、第2ろう材B2のみを融かし、一方の配管本体と、一方の接続部である管との接続は維持することができる。したがって、一方の接続部を、新たな他方の接続部との接続のために再利用することができる。
【0127】
(8) 上記第2実施形態において、第1配管21及び第2配管22の一方の配管は、他方の配管と、ステンレス製の他の配管23とを接続する継手を構成している。そのため、一方の配管を小型化し、その配管本体に接続部を設ける作業等を容易に行うことができる。
【0128】
(9) 上記各実施形態において、第1配管本体21a及び第2配管本体22aの少なくとも一方の外周面には、第1接続部21b及び第2接続部22bと主成分が同一の材料からなる継手管31が取り付けられ、継手管31に、継手管31と主成分が同一の材料からなる他の配管32が接続される。そのため、ステンレス製の配管本体に、ステンレスとは異なる材料の他の配管32を介してセンサ等の機能部品を容易に接続することができる。
【0129】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0130】
1 :冷凍装置
4 :冷媒回路
10A :冷媒配管
10B :冷媒配管
17 :四路切換弁(切換機構)
21 :第1配管
21a :第1配管本体
21b :第1接続部(第1接続管)
22 :第2配管
22a :第2配管本体
22b :第2接続部(第2接続管)
23 :第3配管
31 :継手管
32 :冷媒配管
B1 :ろう材
B2 :ろう材
X :要素部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19